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o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

198 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 22:45:00 ID:G9CJR.d6

o川* д )o「ごっ、ごっご、ごごごごごめん!!!」

(* ∀ )「いやっ、その、そんな反応されると、か、かえって恥ずかしい……」

o川* д )o「すっ、すぐ着替えるから!」

そう言うなり、キュートは僕の目の前でタンクトップを脱ごうとする。
裾を掴んだ手をほとんど反射的に握りしめて、制止させた。

(* ∀ )「バカバカバカッ!!! こんなとこで脱ぐな!」

o川* д )o「どどっどっどどどこで脱げばいい!?」

(* ∀ )「道路の横で僕がシートで囲って見えないようにするから!
        そこに行くまで頼むから脱がないでくれ!」

o川* д )o「わ、わかった!」

真っ赤な顔をしたまま錯乱しているキュートは、言うなり砂塵を舞い上げて消えた。
着替えと敷いていたシートを持って、僕も彼女のいるであろう道路の方へ走りだした。

199 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 22:48:11 ID:G9CJR.d6

腕を胸の前で組んで、キュートは壁に寄りかかって僕を待っていた。
駆け寄って僕の服と、腰から引き抜いたベルトを渡す。

(*・∀・)「ほら、これ着替え」

o川*゚ー゚)o「うん、ありがと」

心なしかまだ顔が赤いように見えたけど、態度は普段のキュートに戻っていた。
一連の出来事のせいか、走ったせいか。僕の顔はまだ熱を帯びている。

o川*゚ー゚)o「このまま立ってればいい?」

この海岸は、道路より低い場所に広がっている。
海岸に降りるには、等間隔に設置されている階段を使うしかない。
つまり、道路のすぐ横は海岸から見ると、壁のようになっている。

( ・∀・)「うん、……よっと」

だから、僕が正面からキュートを隠すようにシートで囲えば、即席の着替え部屋の完成だ。
上は僕がなんとしても死守するし、横は誰もいない。とりあえず問題はないだろう。

「それじゃ、ちょっとだけ頑張っててね」

シートの向こうからは、その声を最後にかすかな物音しか聞こえなくなった。

200 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 22:52:08 ID:G9CJR.d6

(#・∀・)「ふんぬぬぬぬ……」

両腕と両足を目いっぱい広げて壁に付ける。
自分の体より大きいシートを押さえるのは、思った以上にきつかった。
しかし、こうしないとキュートが着替えるスペースが確保できない。

(#・∀・)(早くしてくれ……)

幸い、キュートはさほど体が大きいわけじゃない。身長は僕の肩より少し大きいくらいだ。
その小さな体がもぞもぞ動くのを、シート越しに感じる。
よく考えればシート一枚隔てただけで、僕とキュートの距離はかなり近い。

(#・∀・)「……」

脳裏に浮かんだのは、目の前で僕を見つめるキュートの顔。
そこから先程の光景、さらには部屋での一件がスライドショーのように頭をかすめた。

(;・∀・)「……いや、待て待て待て。キュートだぞ?
        あのキュー……」

一瞬よぎった思考に、思わず言葉を飲んだ。
そんな風に考えたことが、自分でも信じられなかった。

201 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 22:53:59 ID:G9CJR.d6
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他ならぬキュートだから、そう思うんじゃないか。

そんなことを考えた自分が、信じられなかった。














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202 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 22:56:56 ID:G9CJR.d6

( ・∀・)「……」

「着替え終わったよモララー……モララー?」

(;・∀・)「っ! ごめんごめん」

キュートの声で我に返って、シートを取り払う。

o川;^ー^)o「たはは……すっごいだぼだぼ」

シャツの襟を軽く摘まんで、キュートは困ったように笑った。
まるでクラブにいるラッパーの格好のようで、かなりアンバランスだ。

(;・∀・)「ははは、ぜっんぜん似合ってないな。下は大丈夫か?」

o川*゚ー゚)o「ベルトぎゅーって絞めたから大丈夫!」

そう言って両手を胸の前でグッと握って見せる。
ヘアゴムの飾りが少し揺れて、夕日できらりと光った。

( ・∀・)「よかったよかった。んじゃ、脱いだやつ鞄に入れてきな」

o川*゚ー゚)o「うん!」

走りづらいのか、普通の速度で荷物のところへ走っていく。

203 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:00:13 ID:G9CJR.d6

o川;゚ー゚)o「あっ!」

鞄に服を閉まっていたキュートが、急に大きな声を出した。

( ・∀・)「どうした?」

僕も荷物の場所までたどり着き、後ろから声をかける。

o川;゚ー゚)o「え、えーと……そのー、うん」

( ・∀・)「気になるじゃんか、早く言えよ」

o川;゚ー゚)o「こ、こんなものが……」

キュートが広げて見せたのは、檸檬色のビキニだった。
なんでこんなものを見せてくるのか、しばし考え込む。
そして、さっきまでの自分の発言を思い返して、合点がいった。



( ・∀・)『僕の着替えだよ。大きいだろうけど、ベルト貸せばなんとか着られるだろ。
      その下に水着を着ればなんとかなりそうだし』



(;・∀・)「しまった……服の下に何も着てないのか」

o川;゚ー゚)o「よ、よろしければもう一回頑張っていただきたいなー、なんて……」

204 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:02:54 ID:G9CJR.d6

(;・∀・)「このまま帰らせるわけにもいかないよな……」

o川;゚ー゚)o「大丈夫なの……?」

(;-∀-)「やれるかやれないかじゃない……やるんだ」

砂浜に置いたシーツを再び持って、道路の方へ歩いて行く。
正直腕はかなりきついけど、やれないこともない。

「ありがと……でも、ごめん」

うしろからキュートの申し訳なさそうな声が聞こえた。
らしくないな、そう思いながら振り返って話しかける。

( ・∀・)「お前、そんなやつだったか? いつもみたいに
      『キューちゃんの悩殺バディを守るためによろしく! 覗いちゃダメだぞ?』
      とか言ってればいいんだよ」

o川;゚ー゚)o「ん……でも……」

それっきり、キュートは何も言わなかった。
そして再び壁にたどり着いて、僕はキュートの体をシートで囲んだ。

205 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:05:51 ID:G9CJR.d6

「モララー……いる?」

しばらく経って、キュートの動きが止まる。
そして、ぽつりと僕の名前を呼んだ。

(;・∀・)「いないわけないだろ……」

「そっか、そうだよね」

( ・∀・)「どうした? もう着替え終わったのか?」

「うん。それより、聞いて」

いつもと変わらない声で放たれた、言葉に込められた真意を僕は汲み取れなかった。
お構いなしと言わんばかりに、キュートは話を続けた。

「今日、楽しかった?」

( -∀-)「そうじゃなきゃ途中で帰ってるよ」

「あはははは、モララー楽しかったんだ……よかったぁ」

206 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:08:54 ID:G9CJR.d6

「わたしもね、楽しかった。モララーと海に来れて、すっごい楽しかったよ。
 だからこそ、少しでもいいからもっと楽しんで欲しくて、迷惑かけたくなくて。
 申し訳なくて……いつもみたいになんてできないよ」

カラフルだったシートは、いつの間にかオレンジ一色に染め上げられていた。
それをキュートの顔を見るために、降ろそうとする。

「ダメ……恥ずかしいから、ダメ」

( ・∀・)「……」

僕を制する、恥じらいを含んだ声に、手を止めて答えた。
沈黙を話を続けることへの肯定と受け取ったのか、キュートは話を再開する。

「たまには……真面目なこと、言ってみようかな」

深く息を吸い込んで、吐き出す音が、波の音に混じって聞こえてくる。
よし、と小さく呟く声がして、シートの上からキュートの手が出てきた。

(;・∀・)「うわっ!」

シートを取り払って、中からキュートが飛び出してきた。
真っ直ぐと海の方へ小走りで駆けていく。
そして、キュートは沈み始めた太陽を背負うように、こちらを振り向いた。

207 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:11:56 ID:G9CJR.d6
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http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2181.png

o川*^ー^)o「いつもありがと! モララーといっしょにいれて楽しいです!
        ずっといっしょにいたいです! これからもよろしくお願いします!」













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208 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:15:04 ID:G9CJR.d6

夕日よりも赤く耳を染めて、そう叫んだキュートが見せた、満面の笑みが。
振り向いた瞬間に夕日に透けて、きらきらと輝いたキュートの髪が。
僕がいままで見たどんなものよりも、綺麗に見えた。

(* ∀ )「え……あ……」

別に激しく動いたわけでもないのに、鼓動が一気に高鳴る。
そして、収まるどころかますます強くなっていく。
その原因から目が離せないまま、僕はその場で立ち尽くす。

o川* ー )o「あー、はずかし……」

キュートは手で顔を扇ぎながら、荷物の置いてあるところへ歩いていく。
相変わらず耳は真っ赤だけど、逆光でその表情はうかがい知れない。

o川* д )o「もー、恥ずかしいからしゃきっとして! 帰ろ!」

自分の鞄を持って、キュートは僕にそう促す。
僕が近付くと、こちらも見ようともせずに、さっさと先に行ってしまった。
その背中を、すでに強く脈打つ心臓を抱えて、走って追いかけた。

209 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:17:55 ID:G9CJR.d6

「……なんで置いていくんだよ」

「だって顔見れないもん! 恥ずかしいよ!」

「僕だって恥ずかしいよ!」

「んー! そういうこと言われるともっと恥ずかしい!」

「あっ……消えやがった」

「……なんだよ、いっしょにいたいって言ったくせに」

「いつも僕のこと振り回してばっかで、あきれるようなことばかりして」

「そのくせ……ときどき、すごい女の子らしいとこ見せて」

「ずるいんだよ……まったく」

「……」

210 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:20:55 ID:G9CJR.d6
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「好き……なのかな」




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211 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:21:55 ID:G9CJR.d6
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o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

第五話 ふりむいた君の輝き

おわり












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212 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:26:42 ID:G9CJR.d6
以上で今回の投下を終了します。
次回の投下は9月6日20時からの予定です。変更がある場合はその都度お知らせします。
第五話のメイキングは明日21時公開予定です。公開時には再度スレでお知らせします。

最後になりましたが、質問や感想などありましたら気軽に書いていってください。

213以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/08/23(火) 23:30:03 ID:YvmSsMaM

やっぱり絵がいいね

214 ◆LemonEhoag:2016/08/23(火) 23:31:58 ID:G9CJR.d6
ちょっとしたお知らせです。
なんかNGワードがどうとかでURLが書きこめませんが、このたびブンツンドーさんがリマスター版をまとめてくれました。
この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。

215以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/08/23(火) 23:42:56 ID:0BerLIRM

期待してます

216 ◆LemonEhoag:2016/08/24(水) 21:02:33 ID:S1NHGkow
http://afterimage411.blog.fc2.com/blog-entry-40.html

第五話のメイキング公開しました。

217以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/08/24(水) 23:36:27 ID:N.dy2zmA

夏がまぶしいなぁ
キュートのかわいさにグッとくるし、モララーも好きだ

218 ◆LemonEhoag:2016/09/06(火) 20:42:12 ID:FRrYStjI
すみません、体調不良のため本日の投下は延期させていただきたいと思います。
第六話の投下は来週9月13日、時刻は20時からです。

219以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/09/06(火) 22:03:51 ID:lnytr2Ho
残念

220以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/09/06(火) 22:06:55 ID:FypZB4.U
しっかり休みなされ、お大事に

221 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:01:32 ID:G7xN1/5c
投下開始します。

222 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:05:10 ID:G7xN1/5c

( -∀-)「ん……むう……」

けたたましいアラームの音で目を覚ます。
枕もとの時計に目をやると、ちょうど七時半。
どうやら、二学期の最初から遅刻はしなくて済みそうだ。

( ・∀-)「ふあ……」

二度寝してしまわないうちに、目をこすりながらベッドから降りる。
制服に着替え終わるころには、眠気もすっかり覚めていた。

( ・∀・)「よし、準備ばっちり」

夏休み中でも早寝早起きしたおかげだろうか。
体は以前とと変わらないバイオリズムを保っていた。
朝食の献立に思いを馳せながら、階段を降りてリビングへ向かう。

( ・∀・)「母さーん、今日の朝ご」

o川*゚ー゚)o「このトースト超おいしいです! さっすが専業主婦してるだけありますね!」

ζ(゚ー゚*ζ「あらあら、キューちゃんったら嬉しいこと言ってくれるじゃない」

( ^ω^)「女の子がいると家が賑やかになるおー」

( ・∀・)「」

リビングに入ると、なぜかキュートが我が家で朝食を食べていた。

223 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:10:09 ID:G7xN1/5c
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o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

第六話 制服のあの子が泣いてた













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224 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:15:07 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「な、なんでいるんだよっ!?」

o川*゚〜゚)o「んーっとね、んぐんぐ……今日から二学期でしょ?
       夏休みの間に髪型変えた、とか髪染めた、とかあるじゃん?
       それが早く見たくて……あむっ……とりあえずモララーのとこに来たの。
       でも変わってないね、つまんない。あ、焼けた。バター取ってください」

キュートは説明しながらどんどんトーストを頬張っていく。
遠慮、という言葉を知らないのだろうか。

(#・∀・)「食べながら喋るな少しは遠慮しろその最後の一枚は僕に食べさせろおおお!」

o川#゚д゚)o「モララーのケチー!」

僕が皿ごとトーストを奪い取ると、頬を膨らませながらキュートが取り返そうとしてくる。
迫ってくるキュートの額を、すかさず空いた方の手で押さえた。
前に進めなくなったキュートの両手は、トーストに届くことなくむなしく空を切る。

o川*;д;)o「あーん! とーどーかーなーいー!」

(#・∀・)「僕が来る前にさんっざん食べただろうが!」

o川#;д;)o「全然食べてないもん! 三枚しか食べてないもん!」

(#・∀・)「六枚切りを三枚食べてが何が全然だあああ!」

225 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:20:56 ID:G7xN1/5c

(#・∀・)「ふんっ!」

o川;゚д゚)o「あぁーっ!!」

一瞬のすきをついてトーストを口に運ぶと、途端にキュートの力が弱まった。

o川*;д;)o「キューちゃんが大事に大事に育てたトースト……」

名残惜しそうに言いながら、キュートはその場に崩れ落ちた。
しかし、どんな理由があってもこの一枚だけは失うわけにはいかない。
ようやくありつけた朝食を、ゆっくりと噛みしめる。

(;‐∀‐)「……冷めてる」

長く小競り合いしすぎたんだろう。
ふわふわだったはずのトーストは、よく噛んで食べざるを得ない状態だった。

o川*;д;)o「キューちゃんにおいしく食べられるはずだったのに……」

(;・∀・)「そもそも僕の朝ご飯になるはずだったんだよ!」

キュートはいまだにトーストを諦めきれないらしい。
僕が仕方なく牛乳で胃に流し込んでいる間も、そんなことを言っていた。

226 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:25:28 ID:G7xN1/5c

ζ(゚ー゚*ζ「あらら、明日からふたつ買ってこないといけないわねぇ」

(;・∀・)「なんで毎日キュートが来る前提なの!?」

僕らの意思を差し置いて、母さんが当たり前のように言ってのける。
そのうちキュート専用の食器とか用意しそうで怖い。
そうなるとキュートも調子に乗って、遠慮なく家に来るようになりそう気がする。

( ・∀・)(キュートが毎日家に来るのは……まあ、うん。悪くは)

( ^ω^)「のんびりするのはいいけど……時間まずいんじゃないかお?」

( ・∀・)「え?」

ぼんやりしていると、父さんの気まずそうな声が聞こえた。
定まっていなかった視線を、壁にかけられた時計に向ける。

( ・∀・)「」

いつも家を出ている時間を、とっくに過ぎていた。

227 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:30:07 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「ああああああああ!!! まずいいいいいいいいいいい!!」

慌てて階段を駆け上がって、自分の部屋へ飛び込む。
机の上に置いてある鞄をひったくるように掴み、再びリビングへ戻った。

(;・∀・)「おい、キュート!! 早く行かないと遅刻するぞ!!」

いまだに床に座りこんでいるキュートの腕を引いて、立つように催促する。

o川*;д;)o「やだー! トーストもう一枚食べるまで動かないー!」

(#・∀・)「お前は子供かあああああああああああ!!」

o川*;д;)o「子供だもん! 永遠のティーンエイジャーだもん!」

駄目な意味で開き直ったキュートは、手足をじたばたさせて駄々をこねる。
トーストが食べたくて駄々をこねる女子高生なんて、全国探してもこいつくらいだろう。

(#・∀・)「ティーンエイジャーだってもっとしっかりしてるわああああああ!
        早く行かないと新学期早々遅刻するんだよおおお!
        早く行っても遅刻だろうけどさあああああああ!」

o川*;д;)o「キューちゃんは走れば今からでも間に合うもん!」

(;・∀・)「そういえばそうだったあああああああ!!!」

228 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:35:16 ID:G7xN1/5c

ζ(゚ー゚*ζ「あまりモララーを困らせないであげて、キューちゃん。
        今度はいっぱい買っておいてあげるから、ね?」

o川*゚ー゚)o「ほんとですかぁ!? じゃあ学校行ってきます!」

(;・∀・)(あっさり陥落したあああああああああ!)

母さんの話を聞いたキュートは、さっきまでのわがままっぷりが嘘のように態度を改めた。
そして、次の瞬間には立ち上がって、玄関まで駆けていくのだった。

「ねー、モララー置いてっちゃうよー?」

(;・∀・)(僕よりトーストの方が大事なのか!? そうなのか!?)

そう考えると、なんだか目の奥が熱くなってくる。
なんとも言えない胸のもやつきを抱えたまま、キュートのあとを追って玄関へ向かおうとした。

( ^ω^)「「モララー」」ζ(゚ー゚*ζ

( ・∀・)「ん?」

背後から父さんと母さんが僕を呼び止めた。
どこか変なところでもあるのか、と自分の体を見てみても、特に何もない。
不思議に思って顔を上げると、ふたりが真剣な面持ちで口を開いた。

229 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:41:48 ID:G7xN1/5c

( ^ω^)「大丈夫だお、お前は父さんと母さんの自慢の息子。
      気にしなくてもトーストなんかに負けちゃいないお」

ζ(゚ー゚*ζ「だからあまり気を落とさないで。もっと自信を持つのよ」

(;・∀・)「……あー、うん。それじゃいってきます」

なんだかよく分からない励ましを受けた。
どう反応したらいいのかも分からなかったので、無難に返事をして玄関へ向かう。

( ・∀・)「あれ? キュート?」

しかし、玄関にいたはずのキュートがどこにもいなかった。
靴もなかったので、たぶん外にいるんだろう。
さっさと靴を履いて、僕も外へ出る。

(;・∀-)「うおっ、まぶしっ!!」

出た途端にまばゆいな光が、僕の目に飛び込んできた。
思わず顔を腕で覆って、横へ逸らしてしまう。

「あははは、びっくりした!?」

230 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:45:15 ID:G7xN1/5c

声のした方へ視線を向けようとすると、また光が僕の目に飛び込んできた。
手のひらで光を遮りながら、なんとか声のする方に向く。

(;・∀-)「……おい、キュート」

o川*゚ー゚)o「遅いってばー、キューちゃん待ちくたびれちゃったよ!」

手鏡で僕の顔を照らして笑いながら、キュートはそう言った。

o川*゚ー゚)o「罰ゲームのキューちゃんシャイニングビームはどうだt」

(#・∀・)「トーストで駄々こねて人を待たせたやつの態度かあああああああ!!」

o川;゚д゚)o「モララーがわりと本気で怒ったー!」

キュートは踵を返すと、あっという間に残像を残してその場から消え去った。
逃げたといっても、どうせ行き先は学校以外にない。
僕は急いで自転車にまたがり、生ぬるい風を切って通学路を走りだした。

(#・∀・)(久しぶりにいっしょに学校行けるって思ったのに散々人を振り回しやがってええええ!!!!)

o川;゚д゚)o「うぇぇっ!? モララーはやっ! 追いつかれる!?」

これからの人生で、こんなに速く自転車を漕げる日はもう来ないだろう。
走って逃げるキュートにみるみる迫る自分を、どこか客観的に見ながらそう思った。

〜〜〜〜〜〜

231 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:50:17 ID:G7xN1/5c

(#・∀・)「いいか、社会に出ればいままで以上に周りに対して気を配らないといけなくなるんだ。
      そして僕たちはいま高校生。社会に出るまでの練習期間なわけだ。だけど、そんなもの呆けているとあっという間に終わる。
      いまからでも遅くはない、少しは自分の周りに目を向けてみろ。気を配ってみろ。そうすれば……」

o川;´д`)o「わかったよぉ、わかったからもうお説教はやめて……」

始業式が終わって、体育館からの帰り道。
弱り果てた顔でキュートが振り返って呟く。

(#・∀・)「都合よく男女に分かれて並んで出たのに、キュートが僕の前にいたからね。
      てっきり説教の続きが聞きたくて仕方ないと思ったんだよ」

o川;´д`)o「なんで近付いちゃったんだろ……キューちゃんのバカ……」

自分の頭を抱えて、アホの子だとでも言わんばかりのリアクションを取る。
ちなみにキュートに追いついたおかげか、僕は奇跡的に遅刻せずに済んだ。
そこだけは感謝すべきなのかもしれない。

(#・∀・)「バカなら仕方ない。また最初から言ってやろうか、理解できるまでな」

o川;´д`)o「誰か助けて……へるぷみー……」

遅刻の心配がなくなった僕は、溜まりに溜まった鬱憤を説教という形でぶつけた。
始業式で中断させられたけど、こうして再開していまに至っている。

232 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 20:55:08 ID:G7xN1/5c
  _
( ゚∀゚)「助けを求めるキューちゃんの声を聞いて参上!
      さあキューちゃんを離せ、怪人モララー!」

o川;゚д゚)o「ジョルくん助けてー! キューちゃん洗脳されそう!」

(;・∀・)「なんだこの小芝居……」

ぼそりと呟いたキュートの声を聞いたのか、ジョルジュがどこからともなく現れた。
そして、ヒーローショーのごとくポーズを決めて、僕を怪人呼ばわりする。
  _
( ゚∀゚)「安心しろキューちゃん! すでに手は打ってある!」

o川;゚д゚)o「な、なんだってー!?」

親指を突き立てたジョルジュに、キュートが棒読みもいいところの合いの手を入れる。
そして、キュートに爽やかに笑いかけながら、ジョルジュは力強く言い放った。
  _
( ゚∀゚)「実はこのあと、席替えがある! つまりキューちゃんはモララーと離れる!
     いくら怪人モララーとはいえ、離れた相手に説教など不可能!」

(;・∀・)「席替えって別にジョルジュが手を打ったわけじゃないだろ!?」

見事すぎるほどに勢いだけで、内容が伴っていなかった。

233 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:00:06 ID:G7xN1/5c

o川*゚ー゚)o「モララーに説教されなくなるよ! やったねジョルくん!」
  _
( ゚∀゚)「俺の手柄ってことで、ここは御褒美にキューちゃんのお」

(#・∀・)「おい」
  _
(;゚∀゚)「イエ、ナンデモナイデス」

肩を叩いてひと言、声をかける。
少しだけ僕の顔を見たジョルジュは、謝罪の言葉を最後に何も言わなくなった。

( ・∀・)(席替え、か)

説教はともかく、冷静に考えればあまり喜ばしいことじゃない。
席が離れれば当然、キュートと会話する機会も減るだろう。
そして、その間にキュートと親交を深めるクラスの男子。

(;・∀・)(やがてふたりは……いやいやまずいまずい)

o川*゚ー゚)o「ふたりともどうしたの?」
  _
(;゚∀゚)「ナンデモナイヨ……ハハハ……」

(;・∀・)「そ、そうそう……」

適当にはぐらかしている間も、生徒たちの列は教室へと進んでいく。
いまは周囲のクラスメイトが、羊の皮を被った狼に見えて仕方がなかった。

〜〜〜〜〜〜

234 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:05:17 ID:G7xN1/5c

o川*゚ー゚)o「結局前と変わらなかったね!」

振り返りながらキュートが話しかけてくる。
机の位置は変わったけど、キュートが僕の前の席というのは変わらなかった。

「またかよ……なんだよ……主人公補正でも働いてんのかよ……」

「せっかく隣になったのに……向いてくれるのは後ろばかり……」
  _
( ;∀;)「遠くだからイチャつかれてもよく見えないもんねー、わーい……」

(;・∀・)(一学期より居心地悪っ!!)

その代償、とでも言えばいいのだろうか。
僕への羨望というか、殺気というか、怨念のようなものは一層その強さを増していた。

(゚、゚;トソン「……席も変わって心機一転したところで、次へ進んでいいでしょうか」

暗い空気の漂う教室をぐるりと見渡してから、気まずそうに先生が口を開いた。
本当に問題ないのか、答える余裕がないのか分からないけど、反対の声は聞こえない。
確認するかのようにもう一度教室を見渡してから、先生は黒板に向かう。

235 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:10:14 ID:G7xN1/5c

(゚、゚トソン「はい、黒板にも書きましたが文化祭での出し物についてです。
      これを決めるまで今日は帰れません!」

綺麗な文字で「文化祭の出し物」と書いた先生が、振り返って言い放った。
えー、という不満げな声があちこちから聞こえてくる。

o川;゚д゚)o「えぇーっ!? キッズウォーの再放送をみるという大事な用事があるのにっ!」

(;・∀・)「いや、確かに夏休み終わっても続いてるから気になるけどさ!」

目の前にいるキュートも、そんな声の発信源のひとつだった。
教室がにわかに騒がしくなり始める。
それを遮るかのように、先生の凛とした声が響いた。

(゚、゚トソン「早く帰りたいなら早く決めればいいんですよ。
      食品を扱う出し物は一年時には禁止されていますので、それ以外でお願いします」

( ・∀・)「なんかいいのないかな……」

頬杖をついて文化祭の風景を思い浮かべる。
喫茶店、展示、劇、ゲーム。ぱっと浮かんだのはそれくらいだ。
喫茶店は無理だから、必然的に残り三つから選ぶことになる。

236 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:15:29 ID:G7xN1/5c
「劇とかどうですか!?」

「なんかゲームしましょうよ!」
  _
( ゚∀゚)「クラスの女子全員のおっぱいをかたどったオブジェをですね」

(゚、゚トソン「ジョルジュ君、あとで職員室に来てください」
  _
(;゚∀゚)「冗談ですごめんなさいすいませんでしたぁっ!」

思い浮かべたそばから、黒板は同じ意見で埋まっていった。
みんな考えることは大体いっしょ、ということだろう。

(゚、゚トソン「まだ他に意見があるという人はいませんか?」

手を上げる人が誰もいなくなって、教室が静かになる。
切り上げるために先生が最終確認を取ったときだった。

o川*゚ー゚)o「はい! はいっ!! はああい!!!」

キュートが勢いよく立ちあがり、ぴょんぴょんと跳ねながら手を挙げた。

237 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:20:19 ID:G7xN1/5c

o川*゚ー゚)o「キューちゃんは気付いたの、いままで挙がった案に足りないものに!」

「「「な、なんだってー!?」」」

台本でも用意されているかのように、教室中から驚きの声が上がった。
みんなの注目の視線を浴びながら、なぜかキュートは教卓に向かっていく。
そして、チョークを手に取ると黒板に大きく文字を書いた。

o川*゚ー゚)o「それはね……具体例だよっ!」

書かれた文字をばんばん、と叩きながらキュートはみんなの方へと向き直った。
勢いを重視し過ぎたのか、書かれた文字は言われなければと『具体例』とは読めない汚さだ。
しかし、それを気にすることなくキュートは話を続ける。

o川*゚ー゚)o「劇ならどんな劇をするのか。
       ゲームならどんなゲームをするのか。
       なにか作るならなにを作るのか。
       それを決めるために、これからさらに時間を取られるに決まっているんだよ!」

(;・∀・)「キュートがまともなことを言っている……だと……?」

想像すら出来なかった光景に、思考が口からそのまま出てしまう。
戸惑いを隠せずにいるとキュートは胸を張り、それから息を大きく吸い込むと、声高に宣言した。

238 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:25:12 ID:G7xN1/5c

o川*゚д゚)o「だからキューちゃんは……ここで具体例としておばけ屋敷を提案します!!!」

「灯台もと暗しだった……しかし、灯台の下にはキューちゃんがいたんだな」

「これがキュートさんの77の能力のひとつ……相手は死ぬ……」

周りの席から納得の意見が続々と僕の耳に入ってくる。
ざわつく喧騒の中を、キュートは颯爽と戻ってきた。
僕の気のせいだろうか、どことなく表情がいつもより凛々しく見えた。

(;・∀・)「どうしたんだキュート……こんなのお前のキャラじゃないだろ……?」

まるで、どこか遠くに行ってしまったかのような感覚すら覚える。
知らないものに初めて触れるみたいに、おそるおそる、その横顔に呼びかけてみる。

o川*゚ー゚)o「キッズウォーまでに家に帰りたいキューちゃんに死角はないっ!」

僕の心配を粉々に砕くようなどや顔で、キュートは右手の親指を天へと突き上げた。

(;‐∀‐)「なるほどね……」

さっきまでの自分があまりに馬鹿馬鹿しくて、頭を抱え込む。
僕はどうやら、キュートのことになると大げさに考えすぎてしまう傾向があるらしい。

239 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:30:15 ID:G7xN1/5c

(゚、゚;トソン「ええと……他に意見がある人はいませんか?
      なければこの中からひとつ選んで手を上げてください」

異様な空気の中、先生が本来の目的を思い出させるように問いかけた。
挙げられた順番に多数決を取っていくが、上げられる手はまばらだ。

(゚、゚トソン「おばけ屋敷がいい、という人」

一番最後の案が読み上げられる。
途端に、教室中の手が一斉に上げられた。

(゚、゚トソン「それでは、おばけ屋敷に決定ですね」

もはや数えるまでもない、といった調子で先生は結論付けた。

(゚、゚トソン「これでホームルームは終わりです。みなさん文化祭に向けて頑張りましょう」

先生がそう告げると、教室は一気に騒がしくなる。
みんな内心は早く帰りたくて仕方なかったんだろう。

o川*^ー^)o「わーい! やっと終わったよぉー!」

嬉しくてたまらないといった感じで、キュートが大きく伸びをした。
そして、すぐに鞄へ勉強道具を詰め込んでいく。

240 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:35:06 ID:G7xN1/5c
o川*゚ー゚)o「準備完了! じゃあねモララー、文化祭楽しみだねっ!」

(;・∀・)「ああ、じゃあなキュー……ってもういないし」

言い終わるより先に、キュートの姿は目の前から消えていた。
あそこまで急いで帰るあたり、相当楽しみにしているらしい。

( ・∀・)「僕も帰るか……」

午前で終わる予定だったから今日は弁当を持ってきていない。残るなら昼食は自腹になってしまう。
幸いそんな予定もないから、おとなしく帰って節約することにしようと思った。

〜〜〜〜〜〜

241 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:40:15 ID:G7xN1/5c

あっという間に月日は過ぎて、文化祭が目前に迫っていた。
ここ最近の放課後は、クラスみんなで残って小道具を作る日々が続いている。

「あ、そこのガムテープ取って」

( ・∀・)「ん……はい」

「サンキュー」

いまやっているのは背景作りだ。
順路の両側に置くための壁や、おどろおどろしいお墓といったところだ。
  _
( ゚∀゚)「モララー、これ倉庫に運ぶの手伝ってくれ」

ジョルジュが完成した壁を軽く叩きながら誘ってくる。

( ・∀・)「おお、分かった……せーのっ」
  _
( ゚∀゚)「よっし、行こうぜ」

息を合わせて壁を持ち上げる。
周りに気を付けながら教室を出て倉庫へと向かった。

242 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:45:13 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「いつ来てもほこりっぽいというか、こもってる……?」
  _
( ゚∀゚)「ささっと置いて戻ろうぜ。息苦しくてたまんねえ」

( ・∀・)「そうだな……ん?」

僕らのクラスの小道具を置く場所のすぐ脇。
影になっててよく見えないけど、何かが置かれてある。

(;・∀・)「うわっ!!」
  _
(;゚∀゚)「な、なんだよ!?」

(;・∀・)「だ、っだだだっだ誰かいる!!!」

目を凝らして見てみると、それからは乱れた長い黒髪が生えていた。
大きさはちょうど、人がうずくまったくらいの大きさ。
さらに、髪の色とは対照的に、新雪のように白い着物がかけられている。

243 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:50:15 ID:G7xN1/5c
  _
( ゚∀゚)「ん……?」

(;・∀・)「ちょっ、何してんだよ!? 逃げようよ!!」

心霊的なことをしていると本物が寄ってくると聞いたことがある。
鼓動が高鳴って、脳が警鐘を最大音量で鳴らしている。
僕は声を荒げて余裕の態度を見せるジョルジュに呼びかけた。
  _
( ゚∀゚)「ああ……大丈夫だよ。これ、うちのクラスで使う衣装だ」

(;・∀・)「……へ?」
  _
( ゚∀゚)「モララーってヘタレだったんだな……ははっ」

(;・∀・)「う、うるさいな!!」

さっきとは違って、今度は恥ずかしさで鼓動が高鳴る。
からかわれながらも、壁を他の小道具と一緒のところに置いた。

244 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 21:55:52 ID:G7xN1/5c
  _
( ゚∀゚)「ったく、よく見れば分かんだろこれぐらい」

( ・∀・)「そういえば……こういうの作ってるところ見た気がするな」

改めて近寄って眺めてみる。
正体さえ分かってしまえば、こんなの怖くもなんともない。

( ・∀・)「なんでこんなのにビビってたんだろう……」

じっくり眺めてみようと思い立って、カツラを手に取ろうとした。

(;・∀・)「えっ!?」
  _
(;゚∀゚)「はぁっ!?」

手が届こうとした瞬間、目の前からカツラが消え去った。
それだけじゃない、衣装も消えている。
いったい何が起こったのか。それを理解する前に。

「……うらめしや」

背後からぼそり、と低い声が聞こえた。

245 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:00:32 ID:G7xN1/5c

o川д゜川o「うらめしやあああああああああ!!!!」

(; ∀ )「」
  _
(; ∀ )「」

頭が真っ白になって、言葉も出せず足元からその場に崩れ落ちた。
動こうとするけど、体が言うことを聞いてくれる気配はない。
本当に恐ろしい体験をしたとき、人は何もできなくなるらしい。

o川д川o「……ぷっ」

(; ∀ )「……?」

o川*д川o「あっはははははは! あーおかしい!」

どれほど固まっていただろう。
静寂の中に、聞き慣れた笑い声がこだました。

(;・∀・)「あ……れ?」

ようやく強張っていた体が動き、後ろに振り返る。
広がる視界の先で、小道具もとい幽霊が笑い転げていた。

246 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:05:41 ID:G7xN1/5c

o川*д川o「ふたりとびびりすぎ……お腹痛いぃ……!」

( ・∀・)「……」

いまだにぷるぷると震える幽霊に近付いていく。
向こうが僕に気付く気配はない。

( ・∀・)「ていっ」

「あっ!」

振り乱された黒髪を掴んで取り払うと、

(;・∀・)「……やっぱりお前か」

o川;゚ー゚)o「あ、バレた?」

見慣れた顔が現れた。

247 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:10:31 ID:G7xN1/5c

( ・∀・)「……何やってんだ?」

o川*゚ー゚)o「いやね、せっかく衣装も小道具もできたから誰か驚かそうと思って。
        そしたらさ、モララーが倉庫へ行くっていうじゃん。
        だからキューちゃんは先回りしてスタンバイしておいたんだよ!」

両手の親指をグッと立てて、僕の眼前に突き付けてきた。
よほど思い通りにいったのか、キュートの表情はいきいきとしている。
日も暮れ始めて、薄暗い倉庫の中でも輝いて見えた。

(#・∀・)「そうか、それはよかったな」

o川*゚ー゚)o「うん! でも、まさかここまでうまくいくなん」

(#;∀;)「いきすぎなんだよバカ野郎がああああああああ!!!」

o川;゚д゚)o「うんにゃああああああっ!?」

大成功の余韻に浸ろうとするところを、ヘッドロックで阻止した。
僕の背後でキュートの体がじたばたと暴れる。

248 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:15:09 ID:G7xN1/5c

(#;∀;)「時と場所ってものがあるだろうがよおおおおおおおおお!!」

o川;゚д゚)o「え、選んだ結果がこれ……いひゃいー! やあー!」

弁解しようとするキュートの頬を、空いている方の手でつねる。
より強くキュートが暴れるが、体勢的には僕の方が有利だ。

(#;∀;)「見ろ、ジョルジュなんかまだ魂抜けたみたいになったままなんだぞ!!」
  _
(  ∀ )「」

o川;゚д゚)o「ろれんあひゃい! もえんあはい!」

こうして時に騒がしく、準備に追われる日々は矢のように過ぎていった。
ちなみに、このあと目覚めたジョルジュは
  _
( ゚∀゚)『おっぱいの大きい天使さんが手を引いて川へ連れてってくれたんだよ。
      そしたらさ、川の反対側で遺影でしか見たことないひいじいちゃんが手振ってたわ」』

ということを話してくれた。

〜〜〜〜〜〜

249 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:20:34 ID:G7xN1/5c

( -∀-)「ふあ……おはよう」

ζ(゚ー゚*ζ「おはようモララー。はい、朝ご飯」

まだ重力にあらがえない目を擦りながらテーブルに着く。
僕の前にことり、とトーストが置かれた。

(;・∀・)「またトースト?」

(;^ω^)「仕方ないお、母さんが大量に買ってきちゃったんだから……」

トーストを一口かじって、諦めたように父さんが呟いた。
大きくため息をついてから僕もトーストにかじりつく。
当たり前だけど、味は食べ飽きた食パンだった。

( ・∀・)「今日の天気はどうですか、っと」

牛乳でトーストを流し込みながら、テレビに目をやった。
ちょうど清楚な美人のキャスターが天気情報を読み上げていく。
今日も明日も、その先にも太陽のマークが並んでいた。

ζ(゚ー゚*ζ「あらぁ、よかったじゃない。ずっと晴れよ」

( ・∀・)「うん、たくさん人が来てくれた方がいいしね」

明日はいよいよ文化祭だ。

250 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:25:35 ID:G7xN1/5c
「えー、ただいま入ってきた情報です」

天気予報が終わると同時に、神妙な面持ちの初老のキャスターが映された。
手に持った原稿らしき紙に目を配りながら、それを読み上げ始める。

「筋ジストロフィーの特効薬、通称SNOCを開発し、
 2000年のノーベノレ医学・生理学賞を受賞した荒巻博士が、
 先ほどシベリア市内の病院で亡くなったとのことです」

画面が穏やかな顔をした老人の写真に切り替わる。
横に簡単なテロップが表示された。

「死因はまだ発表されていません。今後情報が入り次第……」

(;^ω^)「この人死んじゃったのかお……」

( ・∀・)「父さん知ってるの?」

( ^ω^)「モララーはまだ小さかったから覚えてないだろうけど、受賞当時はすごかったんだお。
      テレビを付けると、どこかのチャンネルには出ているくらいだったんだお」

( ・∀・)「ふーん……」

視線を父さんからテレビに戻すと、すでに画面は次のニュース番組に変わっていた。
そして、右上に表示されている時刻は八時ちょうど。

251 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:30:36 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「ああっ! やばい、遅刻する!」

慌てて立ち上がってトーストを無理矢理小さく折りたたむ。
大きく開けた口にねじ込み数回噛んで、牛乳で一気に流し込んだ。

(;・∀・)「行ってきまーす!」

「車に気を付けるのよー」

母さんの声を聞きながら、玄関を勢いよく飛び出した。
鞄を前かごへ乱暴に放り込んで、自転車にまたがる。

( ・∀・)「ひっく」

(;・∀・)「……食パン一気に食べたからか」

しゃっくりは学校に着くまでの間、止まることはなかった。

252 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:36:42 ID:G7xN1/5c
o川*゚ー゚)o「おはよ、モララー」

( ・∀・)「おはよう」

短い挨拶をかわして席に座る。
最近は殺気も弱まってきたので、ここにいるのが億劫じゃない。
こんな高校生活が続けばいい、そう思った。

(゚、゚トソン「ホームルームを始めます、みなさん席について下さい」

物思いにふけっていると、ドアを開けて先生が入ってきた。
いそいそとみんな自分の席に戻っていく。

(゚、゚トソン「明日は文化祭ですので、午後の授業はなしです。
      今日はみなさん怪我に気を付けて準備をしてください。
      文化祭実行委員は……」

( ・∀・)「なんか……わくわくしてきたな」

去年、志望校の候補の文化祭に行ったときを思い出す。
あのときは廊下ですれ違う生徒がみんな大人に見えていた。
今年は自分が大人に見られる番なのだろうか。

253 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:40:55 ID:G7xN1/5c

o川*゚ー゚)o「だよね、楽しみだよね!!!」

僕の呟いた独り言を聞いたのだろう。
キュートが体をこっちにひねって話しかけてきた。
僕を見つめる瞳は、綺羅綺羅としたビームが出そうなほど輝いている。

o川*゚ー゚)o「初めての文化祭だよ! 絶対今日寝れない!」

(;・∀・)「小学生かよ……」

思い返せば初めての体育祭も、海に行ったときもやたらはしゃいでいた。
小学生というのはあながち外れていないのかもしれない。

o川*^ー^)o「キューちゃんいっぱい驚かせるんだ!!
          家で怖い声を出す練習もたくさんやったんだよ!」

(;・∀・)「すごい念の入れようだな、おい」

o川*^ー^)o「それだけじゃないよ! たくさんホラー映画見てありとあらゆるパターンの……」

(;・∀・)「分かった分かった、キュートの努力は分かったから」

僕は、こうやって無邪気で、素直なところに惹かれたのかもしれない。

254 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:45:51 ID:G7xN1/5c

(゚、゚トソン「素直さん、素直さん」

o川*゚ー゚)o「はい?」

満面の笑みで喋っていたキュートに先生が呼びかけた。
キュートは顔だけ先生の方に向けて答える。

(゚、゚トソン「ホームルームが終わったら、私と一緒に校長室まで来てください」

o川;゚ー゚)o「先生、もしかしてキューちゃん……なにかまずいこと、しました?」

(゚、゚トソン「私も呼んでくるように言われただけなので……」

o川;゚ー゚)o「なんだろ……わかりました」

どうやらキュート自身に思い当たる節はないらしい。
しかし、身に覚えはなくても天然で何かやっていそうな気はする。

(゚、゚トソン「それではこれでホームルームを終わります。
      行きましょう、素直さん」

o川*゚ー゚)o「そういえば、一時間目移動なんですけど……」

(゚、゚トソン「それは事前に向こうの先生に連絡済みだそうです。
       遅れても問題ないですよ」

o川*゚ー゚)o「わかりました、じゃあ行きます。またあとでね、モララー」

255 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:50:22 ID:G7xN1/5c

僕に軽く手を振って席を立つと、キュートは先生といっしょに教室から出ていった。

( ・∀・)「しっかし、なんでなんだろうな……」

ふたりが出ていったドアを眺めながら、思案にふける。
当然だけど、答えは分からないままだった。

( ・∀・)「……移動するか」

キュートのことは気がかりだけど、僕があれこれ考えても仕方ない。
教科書を机を取り出すと、誰もいなくなった教室を出た。

( ・∀・)「LOVELETTER FROM HEART BEAT 今〜♪」

最近気にいった歌を口ずさみながら、無人の廊下を歩く。
人がいそうなところではなるべく小声だ。

( ・∀・)「心よりの恋便りあなたへ〜……あれ?」

移動先の教室が目前に迫ったとき、妙な違和感を覚えた。
なんだろう、と自分の体をぐるりと見渡してみる。

(;・∀・)「筆箱忘れた……」

ここに来るまでに気付かない自分に、我ながらあきれる。
ため息を漏らしながら、仕方なく教室への道を引き返し始めた。

256 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 22:55:33 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「やばいやばい、授業に遅れる!」

息を切らしながら廊下を駆けていく。
筆箱のせいで遅れました、なんて説明することだけはなんとしても避けたい。

(;・∀・)「よっし、着いた……」

開けっぱなしだった教室に、勢いのまま転がりこんだ、そのとき。

http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2184.png

o川 - )o

誰もいないはずなのに、何故かキュートの姿があった。
俯いたまま机の上の鞄に勉強道具を詰めている。
前髪に隠されたその表情を、窺い知る事はできない。

(;・∀・)「ど、どうしたんだよ。早く移動し――」

o川 - )o

僕が言い終わるよりも早く、キュートの姿が消える。

(;・∀・)「っ!?」

次の瞬間、僕の体は見えない何かに突き飛ばされていた。
受け身を取る暇もなく、壁に思い切り頭をぶつけてしまった。

257 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 23:00:12 ID:G7xN1/5c
(;・∀・)「おい! いきなり……」

いきなりの暴力に対する文句は途中で途切れた。
それを聞く相手は、すでにこの場から消え去っていたからだ。

(;・∀-)「なんなんだよ……いつっ」

後頭部をさすりながら立ち上がった。
痛みからして、あきらかに手加減なしで突き飛ばされている。

( ・∀・)「ん……?」

ふと触れた自分の頬に、何かが付いていた。
手を見てみると、それは水のような無色の液体だった。

( ・∀・)「これ……何だろう」

僕しかいない教室に、チャイムの音が鳴り響く。
それでも僕はただただ、その場に立ち尽くしていた。

〜〜〜〜〜〜

258 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 23:05:12 ID:G7xN1/5c

「モララー、お疲れさん」

「ジョルジュ……ありがとう」

「文化祭、大盛況だったな」

「ああ」

「お客さん、たくさん来てたな」

「ああ」

「みんなすごい怖がってくれてたな」

「……ああ」

「……なあ、モララー」

「……」

「なんで……キューちゃん、来なかったんだろうな」

「……なんで、だろうな」

大盛況に終わった文化祭。
そこにキュートの姿は、なかった。

259 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 23:07:16 ID:G7xN1/5c
.











o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

第六話 制服のあの子が泣いてた

おわり












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260 ◆LemonEhoag:2016/09/13(火) 23:11:49 ID:G7xN1/5c
以上で今回の投下を終了します。

まず、先週は投下を延期してしまい大変申し訳ありませんでした。
ちょっと暑さにやられて熱中症になってしまいました。もう大丈夫です。
どうしようもない限りは、なるべく投下間隔は守っていくようにしたいです。

次回の投下は9月27日20時からの予定となっています。変更がある際はその都度お知らせします。
第六話のメイキングは明日21時公開の予定です。更新され次第スレでお知らせします。

最後になりましたが、質問や感想などありましたら気軽に書いていってください。

261 ◆LemonEhoag:2016/09/14(水) 21:02:59 ID:n9ONO0hw
http://afterimage411.blog.fc2.com/blog-entry-41.html

第六話のメイキング公開しました。

262以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/09/14(水) 21:15:45 ID:.4M0GKB6

話が大きく動きはじめてドキドキする

263以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/09/14(水) 21:56:50 ID:fHYaKw7U
相変わらず絵がすげえな

264 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 19:36:33 ID:4mU/onyo
帰宅が遅れるため、投下は21時から開始させていただきます。申し訳ありません。

265 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:02:02 ID:4mU/onyo
投下開始します。

266 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:06:02 ID:4mU/onyo

ベンチに座る僕を、一際強い風が撫でて、通り過ぎていった。
思わず身震いするほどの寒さは、冬がすぐそこまで迫っていることを予感させる。

(;-∀-)「コンポタにしとけばよかったかな……」

かたわらにふたつ並べた、レモンスカッシュの缶を見つめて呟く。
いくら初めて会ったときのことを思いだして買ってしまったけど、この寒さでは少し考え物だ。
ため息をついて、自販機の明かりに照らされるへと視線を移した。

( ・∀・)「まだ、来ないのかな」

普通に考えれば、待ちぼうけになる確率の方が高いだろう。
なにしろ、あの日から一回も学校には来ていないのだから。
そんな考えが頭をよぎって、再びため息をついたときだった。

( ・∀・)「……あ」

自販機の明かりに照らされながら公園に入ってくる、人影を見つけた。
僕は立ち上がって、のろのろと近づいていく。
やがて、はっきり顔が見える距離になり、僕はいつものように、彼女の名前を呼んだ。

( ・∀・)「よう、キュート」

o川*゚ー゚)o「……久しぶり、モララー」

電灯に照らされるキュートの顔は、前よりも痩せて見えた。

267 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:10:16 ID:4mU/onyo
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o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

第七話 一生消えぬ感覚













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268 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:15:40 ID:4mU/onyo

o川*゚ー゚)o「びっくりしちゃったよ。届いたプリントの中に手紙、混じってるんだもん」

( ・∀・)「こうでもしないと、連絡取れないと思ったからさ」

o川*゚ー゚)o「書いてあったけど……頑張って連絡取ろうとしてくれたみたいだね」

ふたりでベンチまで歩いていき、僕は右、キュートは左の端に腰かけた。
僕らの間に挟まれたレモンスカッシュを、おもむろにキュートが手に取る。
寒いのに、と小声で呟いて笑みを浮かべてみせたけど、弱々しさは消えない。

( ・∀・)「そりゃ……心配だしさ。でも、元気でよかった」

o川*゚ー゚)o「ごめんね、心配かけて」

(;・∀・)「いや、いいんだ。うん……」

ぎこちない会話が途切れて、無言の時間が訪れる。
早く話せ、と催促するように風が吹いて、キュートの髪が揺れる。
見慣れた水色の髪留めは、見当たらなかった。

( ・∀・)「……髪留め、取ったんだな」

o川*゚ー゚)o「もう寒いからさ……首が冷たくなっちゃうよ」

269 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:20:43 ID:4mU/onyo
なんとか会話のきっかけをつかむ事ができた。
そして、このチャンスを逃したら、もう二度と口を開けない気がした。

( ・∀・)「……なあ、キュート」

o川*゚ー゚)o「ん?」

恐る恐る名前を呼ぶと、キュートはくるりと僕の方に向いた。
一瞬、話を切り出すことを躊躇する。だけど、迷いを振り払うように口を動かし続ける。

(;・∀・)「どうして……どうして文化祭来なかったんだ?
        あんなに楽しみにしてたのに……それに、あれからずっと学校も……」

o川* - )o「モララーはさ、荒巻博士って知ってる?」

突然、目を逸らすように、表情が読み取れなくなるほどキュートはうつむいた。
そして、まったく関係のない話題を切り出した。

(;・∀・)「荒巻……?」

どうしてキュートがそんな話題を出したのかは分からない。
だけど、わざわざ僕に聞くのだから、何か関係があるのだろうと考えた。
記憶の引き出しを漁ると少し前に、その名前をニュースで耳にしたことを思い出した。

270 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:26:41 ID:4mU/onyo

o川* - )o「すごい発明だけど、なかなか成果が出なかった時期があってね。
          十六年前、すぐに成果を出さないと研究の支援を打ち切られちゃうって話が出たの。
          でも、成果って言われても、まさか開発中の薬を患者に投与するわけにはいかないでしょ?」

( ・∀・)「それじゃ、どうしたんだよ?」

o川* - )o「健康な状態でも投与すれば、筋肉にある程度作用することはわかってた。
          だけど、臨床試験の被験者を募集している時間はなかった」

そこまで話して、一度、話が切られる。
縮こまるようにますますうつむいて、一呼吸置いてから、キュートは話を再開した。

o川* - )o「……だから、博士は最終手段を取った」

(;・∀・)「最終……手段?」

o川* - )o「研究に参加していた研究員を、臨床試験の被験者にしたの」

(;・∀・)「え……」

僕には、その行為が許されることなのか、否かは分からない。
ただ、最終手段というくらいだから、普通はあり得ないことなんだろうと思った。

271 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:32:13 ID:4mU/onyo

o川* - )o「研究の存続に関わる事態だったから、誰も反対しなかった。
          そうして、SNOCは参加していた研究員全員に投与されたの」

( ・∀・)「それで……結果は?」

o川* - )o「投与された結果、予想されていた範囲内の筋力の増加が観測されたよ。
          ……たったひとり、なにも変化も見られなかった例外を覗いてね」

話の途中、キュートがためらうように、一瞬黙り込む。
再び口を開いてから紡がれた例外、という言葉に、不穏な気配を感じた。

o川* - )o「その研究員には、再びSNOCが投与されたの。
          そして直後に、研究員の妊娠が発覚した。
          発覚当時の胎児の月齢は5週。ちょうど……手足が、形成され始めるころだった」

急にキュートの口調がスムーズさを取り戻す。
まるで、早く喋り終わってしまいたいと言わんばかりに。

o川* - )o「そして、投与されたSNOCはすべて、胎児に吸収されていた」

最後の言葉を聞き、心臓が潰れそうなほどに大きく脈を打った。
僕の頭の中を、いままでの会話から導き出された、ひとつの仮定が埋め尽くす。

(;・∀・)「待て……よ、それって……まさか……!」

o川* - )o「たぶん……モララーの想像通り」

272 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:37:27 ID:4mU/onyo
.













o川* - )o「研究員の名前は素直クール……わたしのお母さんだよ」














.

273 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:42:10 ID:4mU/onyo

(;・∀・)「……っ」

o川* - )o「薬の投与はただちに中止されて、精密な超音波検査が毎週行われた。
          幸い、わたしは異常も見られないまま育って、元気に生まれてきたよ」

戸惑い、言葉を失う僕を尻目に、キュートは話を続ける。
わずかに見える口元は、さっきにも増してせわしなく動いていた。

o川* - )o「でも、わたしって生まれて半年で、立ち上がって歩くどころか走り始めたんだって。
          びっくりして調べてみたら、異常に足の筋力が発達してたみたい」

(;・∀・)「……だから、キュートはあんなことができるのか?」

やっと絞り出した言葉は、なんとも無神経な質問だった。
だけど、キュートは意に介さず、まるで他人事のように返答する。

o川* - )o「うん、正解。大きくなっていくにつれて、どんどん人間離れしていってね。
          世間で言う中学生になったころかな。いまみたいに残像しか残らなくなったのは」

ふと、キュートの言い回しに違和感を覚えた。

(;・∀・)「世間で言うって……まるで自分が世間の中学生じゃないような言い方だな」

274 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:49:02 ID:4mU/onyo

o川* - )o「……行ってないんだよね、学校」

( ・∀・)「え?」

ぼそりとキュートが呟いた言葉に、思わず気の抜けた声が出てしまう。
一瞬、自分の耳がおかしくなったのかと考えた。

o川* - )o「まともに学校行ったの、高校が初めてなんだ」

(;・∀・)「そんな馬鹿な! 普通は……」

o川* - )o「普通じゃないんだよ」

僕の言葉を、感情のこもっていない声でキュートが遮った。

o川* - )o「どこから聞いたのかわからないけど、国の偉い人がわたしのことを知ったらしくて。
          身体能力の詳しいデータを取ることになったの……」

(;・∀・)「それじゃ……そんなの、実験動物みたいじゃないか……」

悪い冗談であって欲しい。そんな思いが頭の中を埋め尽くしていく。
だけど、願いもむなしく、キュートは淡々と自分の過去を語り続ける。

o川* - )o「実際、そんな感じだったんだ。ずっと研究所で暮らして、何時間もデータの測定をして。
          籍だけ置いて学校にも行かないで、同年代の子がやるような勉強も全部研究所でやって」

275 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 21:54:05 ID:4mU/onyo

(;・∀・)「……」

o川* - )o「残像が出せるようになったころからね、いままで上がり続けていた身体能力も頭打ちになったの。
          普通だったら成長期って、そんなことないんだろうけど」

氷柱のような冷たく鋭い何かに、心臓を刺し貫かれたような感覚。
まるで自分のことのように、胸が痛くて、辛くて、悲しかった。

o川* - )o「そしたら去年さ、博士がわたしに普通の生活をさせようっていう提案を出したの」

( ・∀・)「それと研究にどんな関係があるんだ?」

o川* - )o「博士が言うには、心と体は密接に繋がっているらしいの。
          だから、精神的な変化を促すことで身体能力にも変化が見られるはずなんだって」

(;・∀・)「その考え、分からなくもないけどさ……」

根拠は分からないけど、確かによく耳にする理論だ。
科学者が提唱するあたり、科学的な立証でもあるのだろうか。

276 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 22:02:56 ID:4mU/onyo

o川* - )o「特に変化がないままで、研究も行き詰まり始めいてたから、提案が通ったんだ。
          とは言っても、けっこう反対意見もあったみたいだけどね」

( ・∀・)「それで学校に行くことになったのか……」

o川* - )o「データの測定は続いてたから、早く帰らないといけなかったけどね」

キュートの言葉には心当たりがあった。
体育祭のときに言っていた『家の手伝い』。
さすがに事実をそのまま伝えることはできないから、ああ言っていたのだろう。

o川* - )o「入学式の日、待ちきれなくて夜も明けないうちに起きちゃった。
          それから、空が明るくなってきたころに家を出てさ。たくさん寄り道しながら登校したよ。
          それでもやっぱり早すぎて、学校入れなくて。ここに座って、時間つぶしてた」

( ・∀・)「……」

入学式の日は、僕もはっきり覚えている。
早く来てしまって、なんとなくこの公園に立ち寄ったことを。
そして、桜色の空を見上げているキュートの姿を。

277 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 22:10:25 ID:4mU/onyo

o川* - )o「そしたら、モララーと出会った」

o川* - )o「初めて同年代の子と、男の子と話した。初めて友達ができた。すっごい……嬉しかったよ」

キュートは少しだけ顔を上げて、僕の方へ向き直った。
そして、ひと言ひと言、噛みしめるように呟く。

( ・∀・)「僕も……嬉しかった」

o川* ー )o「そっかぁ、よかった」

わずかに見える口元が緩んで、キュートが優しい声で呟く。
最初に見せた笑顔よりずっと、ずっと嬉しそうだった。

o川* ー )o「初めて授業を受けた。初めておしゃべりしながらお昼を食べた。初めて先生に怒られた。
       ほんとは全部当たり前のことなんだろうけど、新鮮だった」

キュートは思い出を語り続けるのを止めない。
僕だって全部見てきて、全部覚えているのに。

278 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 22:15:59 ID:4mU/onyo

もう会えないから、ずっと覚えていて欲しい、とでも思っているのだろうか。

o川* ー )o「初めて友達のことを心配した。初めて友達と、モララーといっしょに帰った」

( ・∀・)「うん」

もしもそう思っているなら、いますぐやめて欲しかった。

o川* ー )o「初めて学校行事に参加した。初めて男の子に、モララーに抱きついた」

( ・∀・)「うん……」

思い出だけが残されても、いまの僕には無意味だ。

o川* ー )o「初めてモララーと一緒にテスト勉強した。初めてモララーに押し倒された……初めて、ドキドキした」

( -∀-)「……うん」

僕はキュートといっしょに、思い出を増やしていきたい。

o川* - )o「初めてモララーと出かけた。初めてモララーと海に行った。初めて、モララーとデートした」

( -∀-)「……」

279 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 22:22:51 ID:4mU/onyo
.









o川* - )o「モララーといると楽しかった。ずっと忘れたくないくらい、忘れられないくらい楽しかった」







僕は、好きな人といっしょに、思い出を増やして生きたい。










.

280 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 22:28:53 ID:4mU/onyo

o川* - )o「でも、もうおしまい」

ベンチからおもむろにキュートが立ちあがって、僕の方へ振り返る。
そして、さっきまでと変わらない穏やかな声で、終わりを告げた。
耳を塞いで逃げ出したくなる衝動に襲われる。

o川* - )o「博士が亡くなって、反対派だった人が研究を引き継いだの。
          だから、二度と学校にも行けない。モララーとも会えない」

(;・∀・)「あのとき呼び出されたのは……それが理由か?」

誰もいない教室に、ひとりでたたずむキュートの姿が脳裏に蘇る。
いまになって、あのとき顔に飛んできたのが涙だったのだと気付いた。

o川* ー )o「うん、正解。さすがモララー、物わかりがいいっ」

再び笑みを浮かべて、キュートが僕の肩をばしばしと叩く。
口元は綻ぶというより、歪んでいるように見えた。
本心から笑っていないと、簡単に分かってしまう。

o川* - )o「学校に行かなくなってからは、いままでと変わらない生活してるんだ。
          ただ測定されるのを待つだけ。ずっと続けてきた、慣れた生活」

o川* - )o「慣れていたはずなんだけどね、すごいつまらないの。
          ……変だよね。それが普通だったのに」

281 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 22:34:12 ID:4mU/onyo

( ・∀・)「キュート……」

o川* - )o「いままでが普通じゃないって知ったから……かなぁ……」

キュートの肩がふるふると小刻みに震え始める。
小さく白い手が、余った袖を握りしめているのが見えた。

o川*;д;)o「なんでっ、わたし……普通じゃないんだろ……」

o川*;д;)o「ふ、普通がよかった……わたしだって……みっ、んなみたいに……」

言葉を何度も詰まらせて、しゃくりあげながら話し続ける。
電灯に照らされて綺羅綺羅と輝く涙が、前髪の向こう側から次々とこぼれていった。

o川*;д;)o「学校だっていっ、行きたいし……遊びたいっ、しぃ……恋し、しだいのに……っ!」

鼻をすする音が、嗚咽を上げる音が、静かな公園に響く。
せき止められていた感情が溢れ続ける音というのは、こういう音なんだろうか。

(;・∀・)「……」

o川*;д;)o「ごんなにっ、辛いなら……ふっ、普通なんて知らな、きゃよがったぁ……!」

その言葉を最後に、キュートは顔を両手で覆って、何も語らなくなった。
聞こえてくるのは、子供のように泣きじゃくる声だけだった。

282 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 22:47:00 ID:4mU/onyo

( ・∀・)「なあ……キュート」

o川*;д;)o「うえぇぇぇっ……!」

答えられるような状態ではないだろう。
それでも僕はキュートにどうしても聞きたいことが、言いたいことがあった。

( ・∀・)「本当に、そう思ってるのか? 普通の人のことなんて知りたくなかったのか?」

o川*;д;)o「っふぅ……ひぐっ……っ」

キュートは泣き声を噛み殺そうとしているけど、それでもまだ答える余裕は出そうにない。
聞こえているのが分かった僕は、そのまま話を続けた。

( ・∀・)「キュートが普通に暮らして知ったことは、全部要らないことだったのか?」

o川*;д;)o「はっ……っ」

さっきの言葉は本心ではなく、気の迷いだと分かっている。
それでも、僕は衝動を抑えることができなかった。
ベンチから立ちあがり、キュートの眼前まで近寄って、問いかける。



(  ∀ )「僕のことも……知らない方がよかったのか?
         キュートにとって……僕は要らないやつだったのか?」

283 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 22:52:14 ID:4mU/onyo
例え本心でなかったとしても、いっしょに泣きたいくらいに悲しかった。
僕のことをそんな風には思っていないと、はっきりと聞きたかった。
我ながら子供で、意地の悪い人間だな、と心の中だけで吐き捨てる。

o川* - )o「……ずるい」

ふと、囁くような小さい声が聞こえて、胸に何かがぶつかった。
視線を落とすと、僕の胸にキュートの顔がうずめられていた。
背中に回された腕には、痛いほどに力を込められている。

o川* - )o「そんな風に言われて……うん、なんて言えるわけないじゃん……」

顔を上げることなく、顔を押し付けたまま涙声でキュートは答えた。
乱暴に扱えば壊れてしまいそうなほど華奢な肩が、再び震えだす。

o川*;д;)o「モララーのこと……好きな人のこと!!! 知れてよかったに決まってるじゃん!!!」

( ‐∀‐)「……」

キュートは近所迷惑なんて考えないほど大きな声で叫んだ。
想像を越えた返答に、心がとても暖かくなる感覚がする。
だけど、いまは自分のことよりキュートを落ち着かせる方が優先だ。

284 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:00:30 ID:4mU/onyo

o川*;д;)o「ぁ……」

左手を腰のに回して、優しく抱き寄せる。
そして、右手でゆっくりと頭を撫でてやった。

( -∀-)「普通って幸せなことかもしれないけど、まだ知らないキュートだけの幸せもきっとあるさ。
      もし、見つからないって言うなら、いっしょに探すから。ずっといっしょにいて探してやるから」

( -∀-)「だから、普通なんて知らなきゃよかったなんて言うなよ。
      自分の過去を、いまの自分を否定なんてするなよ」

僕の腕の中で、キュートは無言で何度も何度も頷いていた。

〜〜〜〜〜〜

o川*゚ー゚)o「ありがと……もう大丈夫」

( ・∀・)「そっか……だったらいいけど」

落ち着きを取り戻したキュートは、目を拭いながら僕から離れた。
僕を真っ直ぐに見つめる表情は、いつものキュートに戻っていた。

285 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:06:03 ID:4mU/onyo

o川*゚ー゚)o「ねえ、モララー」

( ・∀・)「ん、どうした?」

o川*゚ー゚)o「さっき言ってくれたこと、ほんと?」

小首をかしげて、覗きこむようにして僕に尋ねてくる。
思い返すと、よくもあんな臭い台詞を言ったものだ。

(;-∀-)「ああ……本当だよ」

o川*^ー^)o「わかった。それだけ聞きたかったの」

キュートが満足そうな顔で頷く。
自分も僕のことを好きだと言ったくせに、この態度の差はなんなんだろうか。

o川*゚ー゚)o「もう帰らなきゃ……脱走してきたし、絶対怒られるなぁ」

(;・∀・)「なんか……ごめん」

ちらりと時計を見たキュートが呑気に言う。
よく考えれば外出禁止の身だ。きっといまごろは大騒ぎになっているはずだ。

286 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:11:17 ID:4mU/onyo

o川*^ー^)o「ううん、いいの。久しぶりに会えたから、いくら怒られても幸せ」

(;・∀・)「そ、そういうものなんだ……?」

o川*^ー^)o「うん、そういうもの」

キュートはニヤニヤという擬音がぴったりの笑顔を浮かべる。
そして、ポケットから髪留めを取り出すと、髪をいつものふたつ結びにまとめてみせた。

o川*^ー^)o「どう?」

( ・∀・)「……その方がキュートらしくって、いいかな」

o川*^ー^)o「えへへへへ……」

(;・∀・)「なんだよ気持ち悪い……大丈夫か? 送っていくか?」

o川*゚ー゚)o「だいじょぶだいじょぶ、モーマンタイ」

(;・∀・)「分かった……」

お気楽な口調で、キュートが手を振って公園の出口へと歩いていく。
とりあえず出口までは付いていこうと思い、僕も少し後ろを歩く。

287 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:25:34 ID:4mU/onyo

o川*゚ー゚)o「……」

( ・∀・)「キュート? どうしたんだ立ち止まっ――」

突然、キュートが立ち止まって振り返る。
理由を聞こうとしたその瞬間、キュートの姿が眼前に現れた。
そして、伸びてきた手になすすべなく襟首が掴まれる。

(;・∀・)「!?」


すべてが、スローモーションに見える。


巻き起こった風になびく、色素の薄いキュートの髪も。


その髪が電灯の明かりに照らされて、綺羅綺羅と輝く光も。


閉じられたまぶたから伸びる、まだ涙に濡れたキュートの長いまつ毛も。

288 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:30:55 ID:4mU/onyo
.











http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2240.png

気付けば、いままで感じたことのない柔らかさと熱が、唇に重ねられていた。














.

289 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:39:43 ID:4mU/onyo

o川* ー )o「んっ……」

唇越しに漏れた、キュートの声。
襟首を掴まれて、少し前かがみになったまま固定されている。
柔らかさはまだ、僕の唇に触れている。

(* ∀ )「……っ」

視界を埋め尽くすキュートの顔が少しふらつく。
反射的に肩を抱いてやると、ぴたりと収まった。

o川* д )o「ふぁ……」

どれくらい時間が経っただろうか。
砂糖をまぶしたような甘い声を出して、キュートの顔が離れる。
どうやら背伸びをしていたらしく、離れた途端にストンと身長が縮んだ。

o川* д )o「……」

うつむいたその顔を呆然と眺めていると、キュートはいきなり顔を上げた。
そして、普段から想像もできないほどにどもりながら、

o川* д )o「ま、まっ、またねっ!」

それだけ言って踵を返すと、残像だけを残して消え去った。
ひとり立ち尽くし、夢心地なまま残像を見つめる。

夜の帳の中でも分かるほど、その顔は真っ赤に染まっていた。

290 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:41:46 ID:4mU/onyo

「……」

「……」

「……いま、何された?」

「キュートの顔が近付いてきて……」

「それから、それ、から……」

「キュートの顔が目の前にあって……」

「顔が離れて……」

「……」

「……」

「顔真っ赤のキュートが急いで帰って……」

「……」

「……」





(* ∀ )「こんなの、ずるいだろ……馬鹿……」

291 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:42:40 ID:4mU/onyo
.











o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

第七話 一生消えぬ感覚

おわり












.

292 ◆LemonEhoag:2016/09/27(火) 23:48:39 ID:4mU/onyo
以上で投下を終了します。帰宅が遅れてしまい、投下を遅らせて申し訳ありません。

まだ未確定ですが、職場の都合で残り二話の投下日が変更になる可能性が出てきました。
変更が決定した際にはスレでお知らせします。ご理解いただければ幸いです。
メイキングは明日21時公開予定となっています。こちらも公開され次第スレでお知らせします。

最後になりましたが、質問や感想などありましたら気軽に書いていってください。

293 ◆LemonEhoag:2016/09/28(水) 20:23:24 ID:TJxG8wKw
すみません、ブログにログインできない状態になってしまったため、第七話のメイキングは明日に延期させていただきます。
公開できる状態になり次第、スレでお知らせします。

294以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/09/28(水) 23:38:54 ID:3YrxzV1A
了解
待ってる

295以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/09/29(木) 19:35:21 ID:sa1ph.h2

甘酸っぱいけど、切ない...

296 ◆LemonEhoag:2016/09/29(木) 21:57:15 ID:IfqThtPg
第七話のメイキング公開しました。
http://afterimage411.blog.fc2.com/blog-entry-42.html

297以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします:2016/09/30(金) 02:50:03 ID:UfOYwU7U
あと少しで終わりやね 乙


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