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('A`)ビーストのようです( ^ω^)
76
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:52:37 ID:h3qmlEFs
ブーンだけでなくツンやクーも、俺の父がビーストによって殺されたことを知っている。
それに気を使ったのか、彼女は少しばかり表情を暗くしてそう謝った。
('A`)「俺の事なら気にすんなよ。みんなそう思って当然だし、俺だってそう思ってる」
( ^ω^)「二人の言ってることは事実だお。仕掛けて終わりなのかもしれない、けれどどこかで爆破させるのかもしれない、っていう二重の不安だお」
('A`)「爆破しなかったら、もう一生公園に近づけねーよな」
( ^ω^)「そこなんだお!」
('A`)「?」
ブーンが、今までの穏やかな口調はどこへやら、少しだけ強くそう言った。
( ^ω^)「恐らく、爆破する事が目的じゃないんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「……ってことは、公園に人を近づけさせない事が目的ってこと?」
77
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:53:11 ID:h3qmlEFs
('A`)「なるほど。爆破するのではなく、公園に人が近寄らないうちに、何かするつもりなのか。なんなら、爆弾なんか端から仕掛けないつもりかもな」
( ^ω^)「そうだお。……まあこれはあくまで憶測で、もしかしたらそう混乱させるのが目的かもしれないから、確信には程遠いお」
('A`)「……わからんもんだな。しかし、誰もいないところに人が現れたら逆に不自然じゃないか?」
(;^ω^)「それは思ったお。小さい公園ならともかく、大きい公園だと警察とかが見回ってるかもしれないから……、結局は憶測にとどまるんだお」
('A`)「……でもまあ、お前意外とこういうときに頭キレるよな」
( ^ω^)「そうかお?」
普段の様子からはあまり想像できないほど、今の彼は饒舌であった。
いつも口を開けば“ピザ”なのに、彼は思ったよりも物を考えているようだ。
そんな彼を、少し頼もしいと思った。
( ^ω^)「それで今日は、公園に行ってみようと思うんだお」
(;'A`)「は?」
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ!?」
78
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:53:44 ID:h3qmlEFs
正直なところ、彼の直前の言葉と“それで”は繋がっていないように感じた。
公園に出向けば自分が怪しまれるかもしれないし、下手したら爆破に巻き込まれる可能性もある。
わざわざ自らそんな事をする理由が、俺にはわからなかった。
( ^ω^)「ビーストを、捕まえるチャンスかもしれないんだお」
しかし俺は、彼のその言葉で理解ができた。
ビーストを捕まえたい。いや、いっその事殺してしまいたいとまで思っているのだ。
そのチャンスが、目の前にある。
ξ;゚⊿゚)ξ「でも、流石に危ないんじゃない?」
( ^ω^)「まあそう思うお。だからツンはついてきちゃダメだお。だけど……」
( ^ω^)「ドクオにはついてきて欲しいんだお」
('A`)「ッ……」
(´・ω・`)「面白そうな話をしてるね」
(;'A`)「うわおっ、びっくりした」
突然後ろから、ショボンが現れた。
いつから話を聞いていたのかは分からないが、ブーンはその存在に気がついていたようだ。
79
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:54:21 ID:h3qmlEFs
( ^ω^)「ショボンも来るかお? 人数が多いほうが怪しまれないし……何より、ビーストを捕まえられたらショボンとしてもありがたいはずだお」
(´・ω・`)「そりゃあ捕まえられるならそうしたいね。ぜひともついていきたいな」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとちょっと、大丈夫なの?」
('A`)「……まあ大丈夫だろ。もし本当に爆弾が仕掛けられてたとしても、その仕掛けられてる公園に行くかどうかなんてわからないだろ?」
( ^ω^)「それに、多分爆破はしないお。よく考えてみれば、人が少ない公園なんかを爆破するメリットは無いお」
(´・ω・`)「まあ、最悪僕達三人だけでも被害者になるけど」
ξ;゚⊿゚)ξ「…………」
(´・_ゝ・`)「……ま、あまり危険のないようにな」
(;'A`)「次々と現れすぎだろあんたら!!」
今度は、デミタス先生が後ろから現れた。いつもはチャイムと同時に現れるというのに、今日はやたらと早い。
あとどうでもいい事だが、どうやら俺は背後を取られやすいようだ。
80
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:54:58 ID:h3qmlEFs
(´・_ゝ・`)「しかし公園ったって、いっぱいあるだろ」
( ^ω^)「ありますお。でも、この辺で公園って言えば……」
(´・ω・`)「ソウサク公園かな。まああそこは野外ライブなんかでも使われるくらい大きいし、有名だね」
( ^ω^)「だからソウサク公園は無いお」
('A`)「ま、そうだよな。そもそもあそこは、警察署の隣だ。警備も厳重になるだろうな」
(´・_ゝ・`)「なら、次に浮かぶのは……市内のファイナル公園か。そこそこ広いし、普段は人も集まっている」
('A`)「ですね。ただ、それは俺らがファイナル市の住民であるからであって……ビーストだったら、違うところを想像してるかも」
( ^ω^)「おっおっ、でも多分ファイナル公園じゃないかと思うお」
(´・ω・`)「僕もそう思う。全国的な知名度で言えばニイタ区のニイタ公園だけど、あそこはソウサク公園と同じく有名すぎる。なんたってニイタ明神の隣だしね」
('A`)「……つまり、ファイナル市くらいの微妙なところの、そこそこ広い公園を選びそうだと……。有り得そうだな」
81
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:56:01 ID:h3qmlEFs
人数が多いと、それだけ多くの意見が飛び交う。そうする事で、より確信に近づけるだろう。
実際に、俺もファイナル公園なら有り得そうだと思い始めていた。
( ^ω^)「というわけで、放課後はファイナル公園に行くお」
(´・_ゝ・`)「あー、俺も行きたかったな」
(´・ω・`)「先生は放課後も忙しいですもんね。僕らみたいに部活やってないわけじゃないですし」
(´・_ゝ・`)「いや俺は本来暇だけどね。部活だって、俺が見てるのは軽音楽部だよ? 別にあんなの顔なんか出さなくてもいいんだけど……」
(´・_ゝ・`)「放課後はお前らのためにやらなきゃならないことがあるんだよ、先生ってのは。プリント作ったり……」
( ^ω^)「案外ちゃんとやってるんですかお」
(´・_ゝ・`)「プリントとか印刷したら一枚一枚まんべんなくツバつけて乾燥させてからお前らに渡さなきゃならないしね」
(;'A`)「ツバつけるのは捲る時だけでいいよ! 捲る時もいらないよ!!」
(´・_ゝ・`)「素晴らしいツッコミだ」
.
82
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:57:02 ID:h3qmlEFs
昼休みを迎え、俺は昼食を忘れたことを思い出して、誰に声をかけることもなく急いで購買へと走った。
昼休みの購買の競争率は高い。急がねば、不味いパンですら手にする事ができないのだ。
幸いなことに、俺のクラスは比較的他のクラスに比べて購買との距離が近かった。
お陰で俺は、なんとか昼食のパンを確保することができたのだった。
焼きそばパンとメロンパンを両手に、教室へと戻る。
すでに教室内は閑散としていて、そこにいるのはショボンを含めた男子数人と、ツンやクーら女子数人であった。
('A`)「あれ、ブーンは?」
(´・ω・`)「放送委員だってさ。昨日委員会決めたじゃん?」
('A`)「ああ、そういやあいつずっと放送委員やりたがってたよな。やっと念願が叶ったんだな」
(´・ω・`)「僕は園芸委員」
('A`)「俺は教科委員だよ。なんだよ教科委員って。ただの黒板消し係じゃねーか」
(´・ω・`)「ははは。教科関係ないよね」
川 ゚ -゚)「私はクラス委員だ」
('A`)「似合いすぎだな。委員長って感じだ」
83
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:57:38 ID:h3qmlEFs
川 ゚ -゚)「委員長があるならやりたかったが、残念ながら無かったな」
この三人で昼食を取るのは珍しい。いつもはブーンとショボンとの三人で集まることが多かったからだ。
一つ思ったのだが、クーに女子の友人はいるのだろうか。
川 ゚ -゚)「私にも女子の友人はいるからな」
(;'A`)「あれ、口に出てたか」
川 ゚ -゚)「いや、そう思われてる気がしてな」
(´・ω・`)「ツンのいるグループとはあんまり絡んでる印象はないね」
川 ゚ -゚)「そうだな。ツンとはよく話すが」
('A`)「他の女子と話してるところ見たことねぇよ。いっつも俺らのとこ来るじゃん。ってか今朝は珍しく来なかったな」
川 ゚ -゚)「今朝はお腹が痛くてな。登校してすぐ机にうずくまっていたが、会話は聞こえてたぞ」
('A`)「想像するとシュールすぎて笑えるな」
川 ゚ -゚)「よく図書室で話す知り合いもいるんだ。だから心配は無用だ」
84
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:58:28 ID:h3qmlEFs
('A`)「別に心配してたわけじゃないが、まあ安心したわ」
川 ゚ -゚)「それならよかった」
(´・ω・`)「でもさ、僕らも友達少ないよね」
(;'A`)「それを言うなよ」
実際のところ、確かに俺とブーンとショボンは、お互い意外の男子と話すことが滅多にない。
もちろん全く話さないわけではないし、朝の挨拶を交わす相手だっている。
だが、友達と言えるかどうかは別であった。
無論、俺はそれで構わない。
もともと、人と関わりを持つことが苦手な方である。故に、部屋に上げる友人もブーンしかいないのだ。
(´・ω・`)「まあいいんだけどね。君らといるの楽しいし」
('A`)「恥ずかしがらずにそういう事を言えるの、羨ましいよ」
川 ゚ -゚)「素直になれよ」
('A`)「羨ましいけど余計なお世話だ」
.
85
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:59:16 ID:h3qmlEFs
放課後を迎えて、俺はブーンとショボンと共に学校を後にした。
ファイナル公園は学校からさほど遠くなく、歩いて20分もすれば到着するだろう。
家とは真逆の方向になるため、帰りは長くなりそうだが。
( ^ω^)「さすがにファイナル公園は警備とかしてなさそうだお」
('A`)「まあしないだろうなあ。そこそこ広いとは言え、こんな寂れた街の公園なんかに動員させるほど暇じゃないだろ」
(´・ω・`)「そこそこ広いからこそ人数も必要になるしね」
('A`)「しっかし、どうすんだ? 芝生の上を三人でうろちょろすんのか?」
(´・ω・`)「あまり賢明とは言えないね」
('A`)「だろ? 捕まえるにしても、目立ったら意味ねーからな。三人で手分けする方が良いかもな」
( ^ω^)「それがいいかもだお。適当にスマホで連絡取りながら、茂みのあたりとかをぐるぐる回るかお」
今はスマホがあれば、複数人でも簡単に連絡が取れる。
株なんかも、ガラケーに比べれば随分と見やすく、取引しやすい。
非常に便利なものだ。俺達現代人は、もはやこれに依存してしまっているのだろう。
そんな事を考えながら歩いていると、ファイナル公園が見えてくる。
俺達はそれぞれ別の入り口から入る事に決め、ここで一度別れる事となった。
入り口付近を見回しても、警察官らしき人影はない。
俺は少しそこに立ち止まって、ゆっくりと中に足を踏み入れた。
.
86
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/03(日) 23:59:51 ID:h3qmlEFs
――――――――――
――――――
――
予想通り、予告状は今朝の朝刊で公表された。
様々な憶測が飛び交っているようであるが、まさにそれこそが目的だと言ってもいい。
公園を爆破したところで、得られるものは大してありはしないのだ。
しかし、自分は公園までやってきていた。
得られるものが無いとはいえ、予告状に嘘はつかない。
SSテレビに仕掛けたものよりは小さく、その分大した威力がないものであるが、自分はそれを持ってきていた。
わかってはいたが、やはり警官による警備や見回りは一切ない。
あるとしても数日後だろう。先に他の有名な公園を警備するはずだ。
公園内に、人影はない。この公園の周りには住宅地も少ない。
この状況であれば、誰かに見られることも無いだろう。
姿勢を低く、ゆっくりと移動しながら、バッグの中からカプセル状の物体を取り出す。
それをベンチの下の土の中や、噴水の中などに入れた。
87
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:00:42 ID:w8Mnu3WQ
他に仕掛けても意味の有りそうな場所といえば、遊具付近だろうか。
そう思って、少しだけ駆け足で遊具のある場所へと向かった。
そんな時、視界の隅に人影が見えた。
まずい。そう思ってすぐに茂みに身を隠した。
なんとか見つかる事は避けられたようだが、視界に入った男は少しずつこちらに近づいてくる。
「……今は気づくなよ……」
男が、一歩一歩確実に、こちらへと近寄る。
久々だ。この緊張感は。
高鳴る胸の鼓動に、迫りくる緊張感に、自分は快感を覚えている。
懐かしい。実に3年ぶりだ。
自分は、このために犯行を続けていたのだ。
「…………」
やがて、自分が身を潜めている茂みの目の前を、男が通過する。
これで一安心だ。そう思った瞬間であった。
茂み越しに、男と視線が合ったように感じた。
.
88
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:01:18 ID:w8Mnu3WQ
ぐっと息を呑む。
堪えるんだ。ここでこいつを殺すことは望ましくない。
じっと身を潜めて、やり過ごすしかない。
「…………」
しばらくそのまま、彼はこの茂みを見回した。
そして、何もせずにまた歩き始めたのだった。
やがて遠くなる男の姿。今度こそ、やり過ごした。
久々にここまでの緊張感を味わえたことに、自分は少しだけ満たされたような気分になった。
そして何故か少しだけ、胸が苦しくなった。
――
――――――
――――――――――
.
89
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:02:03 ID:w8Mnu3WQ
('A`)「…………あれ?」
ふと、ポケットの中を探す。だが、そこにあるべき感触が無い。
('A`)「あれ? どこやった?」
おかしい。ついさっきまで、スマホはポケットの中に入っていたはずなのに。
しゃがみこんで移動している際に、どこかへ落として来てしまったのだろうか。
引き返して、自分が歩いていた茂み周辺を探す。
芝生の上にぽつんと、黒い物体が転がっていた。
('A`)「おーあったあった。よかった」
それは紛れもなく俺のスマホであり、拾い上げて画面をつけた。
画面が割れたり汚れたりしていないか、の確認のためであったが、お陰でブーン達から連絡が来ていたことに気がついた。
('A`)「やべ、音消してたな」
90
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:02:54 ID:w8Mnu3WQ
アプリを起動すると、ブーン達からいくつもメッセージが届いていた。
――いまどこ? 噴水近くで集合ね――
それに返信してから向かうべきかと思ったが、噴水はここからそれほど遠くもない。
今から走って向かった方が早いだろう。そう思い、スマホをポケットの中に押し込むようにして、駆け出した。
しばらく走ると、噴水が見えてくる。
よく目を凝らすと、その縁に腰をおろす二人の姿があった。
こちらの存在に気がつくと、手招きするようにゆらゆらと手を動かしていた。
('A`)「悪い悪い、音もバイブも切ってたわ」
(´・ω・`)「そんなとこだろうと思ってたよ。どうだった?」
('A`)「どうだったって……。ここに一人で来てる以上、何もないってことだよ」
( ^ω^)「ビースト連れて来たら面白すぎるお」
('A`)「笑えるわ」
(´・ω・`)「さっきブーンと話してたんだけど……もうしばらく残らない?」
91
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:03:50 ID:w8Mnu3WQ
('A`)「もう30分近く見回ってたと思うんだけど」
(´・ω・`)「いや、今この時間にいるとも限らないんだしさ。もっとも、ここじゃなかったのかもしれないけど……」
( ^ω^)「まだ夕日も落ちてないお。とりあえずこれでも飲んでくれお」
ブーンがそう言って差し出したのは、缶のコーラであった。
俺がそれを好きであることをわかっていて、わざわざ買ってきたのだろう。
そこまでされてしまったら、もう少しだけここに残るしかない。
('A`)「ありがとよ、いただくわ」
栓を開けると、ぷしゅっ、と空気の抜ける小気味のいい音がする。
甘い匂いのする炭酸ガスを吸い込んでから、中身を一気に飲み干した。
('A`)「しっかし、三人で固まってたら目立つんじゃねえの」
( ^ω^)「意外と噴水のおかげで目立たないお」
('A`)「……そう言われてみりゃそうだったな」
92
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:05:25 ID:w8Mnu3WQ
先ほど俺が走っていた時も、目を凝らさないとわからないほど、二人は目立っていなかったのだ。
ならば気にする必要もない。そう思って、スマホの株アプリを起動した。
( ^ω^)「こんな時間に見てどうするんだお、もう動いてないんじゃないかお?」
('A`)「いや、暇つぶしだよ。今動いてなくても、過去の変動は見れるからよ」
( ^ω^)「よくわからんお」
('A`)「お前のやってる、そのゲームみたいなもんだよ」
( ^ω^)「全然違うお」
俺とブーンは、しばらくの間スマホの画面を眺めていた。
そんな時、唯一何もせずに周りを見渡していたショボンが口を開いた。
(´・ω・`)「……あれ、人影じゃない?」
('A`)「えっ?」
ショボンが指差す先。そこは遊具と茂みで物陰の多い場所だった。
そんな所に一つだけ、何やら動くものが見えた。
93
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:06:32 ID:w8Mnu3WQ
( ^ω^)「……人、だお」
('A`)「……おい、行くぞ」
(´・ω・`)「そうだね、隠れながら行こう」
ゆっくりと、その場所へ近づく。
時に茂みに身を隠して、小走りで向かう。
しばらく歩き、ようやくその付近に辿り着く。
俺が物陰から覗いて確認したが、まだそこに人影はあった。
見たところ男性のようだが、こちらからは背中しか見えない。
彼が一体何をしているのかは分からないが、周りを警戒している様子は見て取れた。
('A`)「同時に行こう。お前らは別の場所から頼む」
( ^ω^)「わかったお」
二人が反対側へ回り込み、それを確認してから、スマホのアプリで彼らにメッセージを送った。
俺が走り出したら同時に走ってくれ、と。
了解、という返事を確認して、スマホをポケットの中にしまった。
94
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:07:19 ID:w8Mnu3WQ
まだ、男はすぐそこにいる。
文字通り息を呑んで、俺は駆け出した。
('A`)「おい!!!」ダッ
「ッ!? うわっ!!」ダッ
(`・ω・´)「待てこら!!!」ダダッ
( ゚ω゚)「おおおおおっ!!!」ダダッ
「なんだなんだ!?」
男は俺達の存在に気がつくと、驚いたように逃げ出した。
当然の行動であると思う。突然誰かに迫られたら、身体は反射的に逃げ出そうとするだろう。
しかし、どうだろうか。反射的に動かした身体は、自分の思考と噛み合ってくれない。故に、まともに動いてくれやしないのだ。
案の定、男は自らの足にもう片方の足を引っ掛け、そのまま地面に倒れ込んだのだった。
95
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:07:53 ID:w8Mnu3WQ
('A`)「捕まえたぞ!!」ガシッ
( ^ω^)「観念しろお!!」
(`・ω・´)「通報してやるからな!!」
「まっ、待て!! 誤解だ!!」
('A`)「顔を見せろ!!」グイッ
「うっ!!」
三人がかりで男を掴み、仰向けにひっくり返す。
男は両手で顔を隠していたが、流石に三人を相手にしては、そんなもの無意味であった。
腕を掴んで、顔から引き剥がす。
(;´・_ゝ・`)「悪かった!! 悪かったって!!」
男の正体は、デミタス先生であった。
96
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:08:26 ID:w8Mnu3WQ
(;'A`)「でっ、デミタス先生!?」
(;^ω^)「まさかデミタス先生がビースト……!?」
(;´・ω・`)「……そんなまさか……」
(;´・_ゝ・`)「誤解だ!! 誤解だよ!!」
(;'A`)「……ほんとか?」
(;´・_ゝ・`)「お前らを脅かしに来ただけだ!! とりあえず離せって!!」
(;^ω^)「……まあ、離してやるかお……」
デミタス先生から離れても、彼は逃げるような様子もなかった。
言い訳を聞かなくとも、きっと本当に誤解なのだろう。
彼は腹や背中についた土を払い落としながら、口を開いた。
(´・_ゝ・`)「お前らを、脅かそうと思ってな」
(´・ω・`)「…………」
(´・_ゝ・`)「そんな目で見るな」
( ^ω^)「…………」
(´・_ゝ・`)「脅かそうと思って、ここでお前らを探してたんだが……、逆に俺が驚かされちゃったな」
('A`)「…………」
97
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:09:00 ID:w8Mnu3WQ
(´・_ゝ・`)「三人の男が大声をあげながら迫ってきたら、そりゃ逃げ出すわ」
('A`)「マジでビーストじゃないんですか」
(;´・_ゝ・`)「違うよ!! そんなわけあるか!!」
( ^ω^)「……まあいいお。許すお。デミタス先生だし」
デミタス先生を疑うのは、ちょっとばかり違う気がする。
普段の彼の人間性から、彼がビーストであることを想像するのは、どうにも簡単ではなかった。
(´・_ゝ・`)「まあなんだ、悪かったな」
('A`)「いや俺らも、確認せずに飛びかかってすいませんでした……」
( ^ω^)「でも、先生忙しいんじゃなかったですかお?」
(´・_ゝ・`)「いやー、そう言っとけばまさか俺が来るなんて思わないだろうと……」
(´・ω・`)「あんな時から考えてたんですか」
(´・_ゝ・`)「プリントなんて3年前に使ってたやつでいいんだよ。同じことしかやんないし、印刷もう終わってるし」
(´・ω・`)「適当だ……」
98
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:09:35 ID:w8Mnu3WQ
('A`)「もうなんでもいいよ。なんかつかれたわ」
(;^ω^)「おっおっ、じゃあ帰るかお」
(´・ω・`)「そうだねぇ」
(´・_ゝ・`)「お詫びになんかおごってやるよ」
('∀`)「ピザ!!!!」
(*^ω^)「ピザ!!!!!」
(´・_ゝ・`)「がめついな無理だよ」
結局、帰りがけに寄ったコンビニでチキンやフランクフルトをおごってもらったのであった。
何も、得られることは無かった。
ビーストが本当に爆弾を仕掛けたのか、仕掛けたとしたらどこの公園なのか、何もわからない。
しかしまあ、こういう日もいいのだろう。
友人たちと笑いながら帰るのも、悪くはない。
いつまで続くのかわからない青春を、楽しまなければ。
.
99
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:10:15 ID:w8Mnu3WQ
ブーン達と別れ、スーパーで夕食の買い物などをしていたら、家に着いたのは19時をとっくに過ぎていた頃だった。
とりあえず今日は焼きそばを作ろう。
そう思って早速野菜を切り始めていたのだが、ポケットの中に入れたままだったスマホが普段はあまり聞かない着信音を鳴らしたのが、俺は気になった。
手を洗い、スマホを取り出す。
画面に表示されているのは、メールの通知だった。
普段は使う事のない、本名で登録したフリーメール宛てだったために、あまり聞かない着信音が鳴ったのだろう。
件名や本文などは書かれておらず、メールアプリを起動しないと誰から送られてきたのかはわからない。
仕方なしに、俺はメール画面を開いた。
(;'A`)「……ッ?」
俺は、目を疑った。
本来ならば差出人のアドレスが表示されているべき箇所に、何も書かれていないのだ。
100
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:10:50 ID:w8Mnu3WQ
確認のために他のメールを見てみるが、差出人のアドレスは表示されていた。
たった今送られてきたメールだけが、おかしいのだ。
件名や本文も何も書かれていない。
しかし、何やら添付ファイルがある事に気がついた俺は、すぐさまそれをダウンロードした。
改めて考えてみれば、危険な行為であっただろう。もしかしたらそれにはスマホ向けのウィルスが書き込まれていたかもしれなかったのだ。
しかし好奇心が、俺の指を動かしてしまった。拡張子がmp3であった事に油断したのも、その理由の一つだろう。
データは確かにmp3で間違いなく、音楽プレイヤーで再生する事が出来た。
しかしそのデータに吹き込まれていたのは、音楽ではなかった。
『……やあ、ドクオ』
機械で作られたであろう声で、俺の名前を呼ぶ。
本名で作られたメールアドレスに送ってくるくらいだ。名前を呼ばれたことにそれほど驚きはない。
『俺が誰だか、検討はついてるんだろう』
101
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:11:24 ID:w8Mnu3WQ
確かに、そうだったらいいなんて思ってはいるさ。
だが、そんなわけないのだ。そんな事、ありえないのだ。
『……ビーストさ』
あるはずがない。
ビーストが俺にメールを送ってくるなんて、あるはずがないんだ。
なのに、俺は彼の言葉を疑うことはしなかった。
いや、疑いたくなかったのかもしれない。
『俺を、捕まえてみないか』
チリン、という鈴のような音が聞こえた気がした。
それとほぼ同時に、mp3の再生が停止された。
('A`)「…………」
一体、どういうつもりなんだ。
仮にこれがビーストだったとして、何故こんなメッセージを俺に送ったんだ。
普通だったらこんなもの、ただのいたずらとしか思わないだろう。
しかし、いたずらであったとしても、俺は彼の言葉を真に受けてみたかった。
ビーストを、捕まえてみたかった。
102
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:11:57 ID:w8Mnu3WQ
('A`)「……やってやろうじゃねーか」
具体的にどうするかなんて、わからない。
どうすればいいかなんて、想像もつかない。
しかし俺は、決意したのだ。
('A`)「……捕まえてやるよ」
こうして、俺とビーストの戦いが始まった。
――いや、もうとっくに始まっていたのかもしれない。
運命の歯車がぎりぎりと音を立てながら、ゆっくりと回る。
今の俺にはまだ、そんな音も聞こえていなかったのだ。
――続く。
103
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 00:13:57 ID:w8Mnu3WQ
また来週、投下できたらいいなと思ってます。
でも週1で投下してしまうと書き溜めに追いついてしまいます。
よろしくお願いします。
104
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/04(月) 01:41:56 ID:bX3HdTp6
ビーストが本当にデミタスかもしれないし違うかもしれないし……続きが楽しみだ
105
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:24:45 ID:nYZhV..U
レスありがとうございます。
第4話、投下します。
106
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:25:29 ID:nYZhV..U
第4話「死の鐘が鳴るその前に」
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107
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:26:15 ID:nYZhV..U
眠気覚まし代わりに缶のコーラを一気に飲み干して、俺の一日が始まる。
ちょっと過剰なくらいの炭酸の刺激が、眼球に張り付いた瞼をこじ開けるには丁度いいのだ。
('A`)「……はぁ」
昨日は、忙しい一日だった。
いやそれほど大した事はしてないのだが、俺の身体は酷く疲れている。
全て、ビーストからのメールのせいだろう。
いたずらか本物かどうかは結局のところ定かではないが、俺の闘志のようなものに火をつけるには十分すぎる代物だった。
あんなものを聞いてしまっては、眠れるはずがない。頭の中は、ビーストを捕まえる事で一杯だった。
('A`)「……どうしたもんかな」
しかし、いくら考えても無駄だったのだ。
ビーストを捕まえるためには、相手の情報が少なすぎる。前にも言ったように、警察でも捕まえられない相手なのだ。
俺一人で太刀打ちできるとは到底思えなかった。
108
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:26:55 ID:nYZhV..U
テーブルから拾い上げたリモコンのボタンを押して、テレビをつける。
テレビをつけるのはニュースを見る時くらいのもので、チャンネルはいつもと変わらずNBSというローカルテレビ局のままだった。
爆破されて以来、SSテレビのものであった5チャンネルは何も放送されていない。爆破の一件で、会社自体が機能していないからだ。
きっとこれからも当分の間は5チャンネルが使われることはないのだろう。
それ自体は、俺の生活に影響を及ぼさなかった。NBS以外のチャンネルを見る事は無かったからだ。
テレビの右上に表示される時刻が7時30分になったと同時に、軽快な音楽が流れ出し、画面上では大きなロゴがぐるぐると回転していた。
俺がいつも見ている、“ニイターニュース”というニュース番組が始まったのだ。
キャスターがお辞儀をして、早速今日の注目のネタが読み上げられた。
それと同時に、画面の下にテロップが表示される。
その内容は、“ビースト、再び予告状”というものであった。
『先日から再び犯行を再開したビーストが、本日も予告状を出しました』
.
109
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:28:13 ID:nYZhV..U
予告状の写真などがテレビで映し出されたことは、今まで一度もなかった。今回もそれはない。
ビーストのふりをしたいたずらの予告状が多いと聞く。
恐らく、写真を出したことでそっくりの偽物を作られてしまうと、判別が容易でなくなるからだろう。
今回の予告状の内容は、“テレビ関係者を殺害する”というもの。
ビーストの予告状は必ずテレビで読み上げられる。それを逆手に取った皮肉のつもりなのだろうか。
昨日の“公園に爆弾を仕掛ける”という予告状は、実際に行われたのかどうかはわかっていない。
同じように、今回の予告状も牽制の意味でしかないのかもしれない。
あまり俺の事を悪く言うと殺してやるぞ、という。
牽制自体は意味の無い行為ではないのだろう。
インターネット上には、ビーストを信仰する者によるホームページがいくつも存在するらしい。
信者を増やすためには、テレビという強力なマスメディアを手中に収めた方がいい。
そう考えてみれば、先日のSSテレビの爆破も、テレビ局への圧力とも取れるだろう。
俺個人の意見としては、テレビ局が圧力に屈しようが、負けじと皮肉をぶちまけようが、どちらでもよかった。
ニュースは世間の事実を知るものであり、他者の個人的見解や思想に基づく意見などには興味ないのだ。
この番組でも、たまに評論家などが偉そうな顔をしながら熱く語る場面を目撃するが、たった一人の意見に左右されるほど、俺の脳味噌は安い造りをしていない。
あくまで参考程度に聞くのが丁度良く、あってもなくても変わらないと思うのだ。
110
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:30:00 ID:nYZhV..U
そんな事を考えていた矢先だった。
リィン、リィン。そんな音と共に映像が動きだし、カメラが切り替えられる。
映し出されたのは、何度かこの番組で見た事のある、犯罪心理学者の“モナー”という男だった。
トップニュースが報道されると専門家の意見をもらうのがこの番組の特徴の一つであり、俺がこの番組の中で唯一不必要だと思っている点でもあった。
それでもこの番組を毎日見続けているのは、緊張感のない朝のニュース番組が多い中、堅苦しい雰囲気を崩さないスタイルと、キャスターの声の聞き取りやすさ故なのだろう。
『ビーストが犯行を再開して以来、立て続けに予告状を出してますが、どう思われますか』
( ´∀`)『何かに焦ってるんだと思うモナ。恐らく、話題性がなくなってきていた事を考えて、3年という期間をあけた』
( ´∀`)『事実、再び予告状を立て続けに出す事で、以前よりも随分と話題になってるモナ。ビーストはそれが目的だったんじゃないかと私は考えているモナ』
『……ではつまり、ビーストは自分の知名度や話題性のために犯罪を行っていると……』
( ´∀`)『この国ではあまり見られないけど、予告状を出す犯罪者にはよくある事で、有名になる事に何かしらの快感を覚えている場合がほとんどモナ』
111
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:30:55 ID:nYZhV..U
モナーが語る意見は、俺やクーの考えと全く同じものだった。
それが犯罪心理学に基づいた意見であるかどうかは俺には分からないが、そうでなくとも誰でも考えつく答えだろう。
( ´∀`)『ふざけた話モナ。一人の快楽のために、私達は生きているわけではないモナ』
『…………』
ああこいつ、余計な事を。アナウンサーはきっと、そんな事を思っているのだろう。
だがなんと言って止めれば良いのかわからない様子で、渋い顔でただ黙っているだけだった。
( ´∀`)『私は屈しないモナ。ビーストという悪魔に、命を捧げたりしないモナ』
もはや犯罪心理学などとはまるで関係のない、彼自身の意思を述べていた。
彼も考えているのだろう。今回の予告が、テレビというメディアに対する圧力なのだと。
それに逆らうかどうかは彼の自由だが、これでもしNBSが爆破でもされたら、彼は非難されるのだろうか。
112
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:31:42 ID:nYZhV..U
まあ俺には、あまり関係のない話だ。
ただ一つ言えることは、ビーストに目をつけられるとしたらこのモナーという学者だろうという点だ。
彼を追っていれば、もしかしたらビーストの手がかりが掴めるかもしれない。
『……、ありがとうございました。では、次のニュースです』
予定通りだったのかはわからないが、番組はすぐにカメラを切り替えて、次のニュースへと入った。
この番組に出演する専門家は、一瞬間に一度交代する。
つまりあと数日間はモナーが出演する事が決まっているのだ。
テレビをつけなかったために知らなかったが、恐らく昨日も出演していたのだろう。
それならば、明日からでもモナーを追うことは可能だ。
NBSに出向いてみよう。俺に何ができるかはわからないが、出来る限りのことをやってみよう。
そんな事を考えた。
.
113
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:34:30 ID:nYZhV..U
教室に入ると、すでに見知った顔が何人か席について会話をしていた。
俺はなぜだかそれに混ざる気にはなれず、代わりに一人でぽつんと本を読んでいる少女に声をかけたのだった。
('A`)「クー、おはよ」
川 ゚ -゚)「おお、ドクオ。君から来るなんて珍しいな」
('A`)「そうか?」
川 ゚ -゚)「いつもは私から声をかけに行ってるからな。拳でぶん殴られるけど」
('A`)「ぶん殴ってはいねぇよ」
川 ゚ -゚)「後ろから鉛筆で刺したりしたのがまずかったか」
('A`)「そりゃぶん殴るわ」
川 ゚ -゚)「殴るといえば、今朝のニイターは見たか?」
('A`)「話題の切り替え方おかしくない? 殴る関係ないよね?」
川 ゚ -゚)「“おはようございます。言葉の暴力、ニイターニュースの時間です”」
('A`)「苦情殺到だわ」
川 ゚ -゚)「“ファッキンポリス!!!”」
('A`)「NBS倒産するぞ」
114
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:35:27 ID:nYZhV..U
川 ゚ -゚)「ビーストがまた予告状を出したな」
('A`)「えっ、ああそうだな。ほんと唐突だな」
川 ゚ -゚)「あれはモナーが殺されるな」
('A`)「まあ今のところ間違いないだろ。って言っても他の番組見てねーけど」
( ^ω^)「ブーンもそう思うお」
('A`)そ「どっから出てきた」
( ^ω^)「楽しそうな話をしてたから来ちゃったお」
('A`)「お前さっきまでそこでツンと話してたじゃねーか」
川 ゚ -゚)「ツンの気持ちも考えてやれ、可哀想だろう」
( ^ω^)「可哀想……?」
('A`)「おいクー、こいつはなんにもわかってねーんだよ」
(;^ω^)「おっおっ……?」
川 ゚ -゚)「ああ、言われてみれば何もわからなそうな顔立ちだな」
('A`)「だろう」
( ^ω^)「わけわからんお。それより、ビーストだお?」
115
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:36:11 ID:nYZhV..U
('A`)「…………」
川 ゚ -゚)「ビーストがモナーを殺すとしたら、明日か明後日だろうな」
('A`)「話戻すんだ」
( ^ω^)「今日の段階でモナーと決めたのなら、明日だと思うお。3年前も、予告状を出した翌日に決行することが多かったお」
( ^ω^)「でも皮肉を言うような人は他にもいそうだし……すぐに決めるつもりもないのかもしれんお」
川 ゚ -゚)「まあな。嫌な話だが、殺すならモナーよりももっと適切な人物はいくらでもいるだろうしな」
( ^ω^)「だおだお」
彼らの話に混ざることはしなかった。俺が口を挟まなくとも、有益な意見はいくつも飛び交っていたからだ。
俺のもとに不審なメールが来た話はしていない。もちろん、NBSに出向いてみようなんて話もしていない。
ただ、彼らの意見を参考に、これからの動きを考えていた。
やはり、明日はモナーを追ってみよう。
そこで何も起きないのならば、別の人物にスポットを当ててみればいいだけだ。
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116
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:42:29 ID:nYZhV..U
そして、翌日。
俺はいつもよりも早く鳴った目覚まし時計を、これでもかというくらいに叩きながら、目を覚ました。
まだ朝の6時だ。いつもならあと1時間は寝ている。
ふらつく身体を強引に動かしながら、いつものバッグを抱えて、朝食も取らずに部屋を後にした。
朝の冷たい空気を吸い込むと、いつの間にか眠気は飛んでいた。
時計を見てまだ時間に余裕があることを確かめると、俺の身体はいつの間にかコンビニに吸い込まれていた。
「いらっしゃいませー」
俺を出迎える、店員の声。
こんな朝早くから働くのは大変だろう、などとどうでもいい事を考えながら、俺はチルドケースにずらりと並ぶブリトーを眺めた。
タコスミートやソーセージの入ったものを2つ手に取り、コーラのペットボトルと共にそれをレジカウンターへ置いた。
温めること20秒。店員がレンジを開けると、またたく間に店内へいい匂いが充満した。
その匂いに脳が刺激され、俺の胃は堪えきれなくなる。温かいブリトーの入った袋を受け取ると、逃げ出すように店を出た。
117
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:43:09 ID:nYZhV..U
まだ太陽も見えない灰色の空の下、BGMが漏れ出す店先の犬走の上、タバコの煙を長く吐き出す男性の隣で、俺はブリトーを貪った。
寝起きであろうと、俺の胃は“美味いもの”を求める。
俺にとっての美味いものとは、ファストフード店で売られるハンバーガーやポテトであったり、原付に載せられてやってくるアメリカンピザであったりする。
このコンビニのブリトーも間違いなく美味いものに分類され、ジャンクフードがいかに人間の胃と心を満たす至高の食物か、俺に再認識させるには充分すぎる代物であった。
食は、生活の基本である。
食が俺達の生活を、人生を成り立たせているのだ。
国産? 添加物?
そんなものを気にして食事に制限をかけ、本当に美味しいと思うものを食べられないとしたら、それは人生の彩りをぼかしてしまっているだろう。
というのはあくまで建前の持論であり、実際のところ他人がどうしようが俺には関係のないことで、各自好きなように生きれば良い、というのが本音だ。
生き方は、人それぞれだ。
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118
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:43:42 ID:nYZhV..U
話が逸れた。つまりブリトーは美味しいのだ。
いつの間にか、隣にいた男性は姿を消していた。俺も空になった袋をゴミ箱に押し込んで、再び歩きだした。
駅の改札に電子マネーを翳して、ホームへと足を踏み入れる。
この時間帯はまだ利用客も少ないようで、電車に乗り込んでも座席を確保する余裕はあった。
スマートフォンの画面を眺めて、数十分。乗り換えをして、また十数分。
目的のニイタ駅にたどり着いたのは、6時50分頃であった。
('A`)「思ったより早く着いたな」
駅を出て、冷たい空気を吸い込む。それだけの動作で、車内で凝り固まった身体がほぐされるような気がした。
息を吐いてゆっくりと歩きだす。
そんな時だった。
閑散とした街並みの中、見覚えのある後ろ姿が一つ。
安物の白いポロシャツに、これまた安物のジーパン。間違いない。デミタス先生だ。
(´・_ゝ・`)「…………」キョロキョロ
119
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:44:38 ID:nYZhV..U
彼が何をしているのか俺にはわからない。
顔を合わせる事を都合が悪いとも思わなかったが、何故だか俺は彼の姿が見えなくなるまで、その姿をじっと見届けた。
それからまた数分。
駅からしばらく歩いた先に、NBSのビルがそびえ立っていた。
('A`)「綺麗な建物だなー」
ガラスとコンクリートで出来たその建物は、上り始めた朝日を反射させ煌めいていた。
非常階段であろうものが建物の横に上から下まで取り付けられており、この巨大な建物には似合わないなと、少しだけにやりと笑う。
ちょうど2階に位置する高さに、大きなスクリーンが取り付けられている。
今まで真っ黒だった画面が急に明るくなり、俺は少しだけ驚いた。どうやらたった今7時を過ぎたらしく、NBSの放送が映し出されたのだ。
広場には意図の分からないオブジェが飾られており、こんな朝早くだというのに、そのオブジェの周りを彷徨く人も数人ばかりいた。
俺は大きな外階段を上って、ガラスとコンクリートの建物の中へと足を踏み入れた。
この時間に一般人が入れるのかと疑問に思うかもしれないが、7時から一般開放されているブースがあるのだ。
そこでは、ニイターニュースの公開放送を毎日見ることができる。
120
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:45:34 ID:nYZhV..U
実際に訪れたのは初めてであったが、スタジオを見ることができるという話は知っていた。
特にスタッフに案内されることもなかったが、入ってすぐの場所に、それはあった。
遠巻きだが、上から見下ろすようにして、ガラス越しに見えるスタジオ。テレビで見たものと何ら変わりはなかった。
中ではスタッフ達が何やら忙しそうに準備をしている。
('A`)「……大変そうだ」
率直な感想であった。
放送の30分前からどんな準備をしているのかは眺めているだけではわからなかったが、忙しそうに走り回る様子は本当に大変そうであった。
彼らの行動が放送にどんな影響を及ぼすのか考えてみるのは、或いは有益なことなのかもしれない。
だが、今は他に考えるべき事柄があるのだ。
もし今日、ビーストがモナーを殺すとしたら。
どのような手段をもって、彼を死に至らしめるのだろうか。
不謹慎極まりないな、と俺は思った。
人の死に様を想像するだなんて、いい気分になれるような行為ではない。
しかし俺はそれをやめるつもりもなく、むしろ“俺ならどう殺すか”などと、悪い方向へと傾いていった。
殺すタイミングにもよるだろうが、俺なら間違いなく爆発物を使うだろう。離れた場所であっても、確実に命を取れる手段だ。
例えば、この地下の駐車場に停めてあるモナーの車に。自宅の扉に。彼が着けるピンマイクの発信器に。
取り付ける場所はいくらでもある。
121
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:46:19 ID:nYZhV..U
(;'A`)「…………」
そこまで考えて、俺は思った。
簡単すぎる。
人の命は、こんなにも軽いのか。
もし俺が爆弾を手にしていたら、人を一人殺すことくらい、株取引よりも簡単だ。
ボタン一つで、命が消える。
爆弾でなくともそうだ。俺はこの肩に下げたバッグに入っているボールペン一つで、すぐそこのスタッフを刺し殺すことができる。
或いは命まで取らなくとも、一刺しで目をくり抜くことだって不可能じゃない。
恐ろしい。
理性の存在が、社会の成立が、そう感じさせるのだ。
動物の本能が人間にも残っていれば、そんな事を感じることはなかったのだろう。
よくここまで社会が発展したものだ。よく、紙一重である“殺人”を、当たり前のように回避できたものだ。
そして俺も、その中の一人なのだ。
('A`)「……人殺し……か」
しかし紙一重とは言えど、周りが当たり前のように回避してきた“殺人”という行為をビーストが続けるのには、理由があるのだろう。
簡単に想像できるのが“快楽”であり、それがもっともらしいとも思える。
なぜならば、ビーストはわざわざ予告状を出しているからだ。昨日モナーも言っていた、“有名になる事が快楽”という話とも、合点がいく。
122
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:47:23 ID:nYZhV..U
('A`)「……待てよ、だとしたら……」
そこで俺は再び考えた。もし俺がビーストだったら、一体どのようにしてモナーを殺すか。
俺は目立ちたい。そのために予告状も出している。
そして今度は、テレビ関係者を殺すのだ。
だとしたら――
('A`)「……放送中に殺したい」
答えは、すぐに出た。
俺――いや、ビーストの力を、モナーの死に様を衆目に晒すには、放送中に殺すのが一番である。
(;'A`)「……いやしかし……どうやって」
ピンマイクの発信器に爆発物を?
あり得ない話ではない。たとえビースト自身がNBSに忍び込んでピンマイクに細工ができなくとも、ビーストに共犯者がいないとは限らないのだ。
それに、モナー一人を殺すのならその方法がやりやすいだろう。
しかしその方法を取られてしまうと、ビーストを捕まえるための手がかりは掴めそうにない。
出来ても、モナーの死を食い止める程度の事だ。
123
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:48:27 ID:nYZhV..U
――いや、俺は何を考えているんだ。
ビースト一人を捕まえる事に夢中になって、モナーを救う事が頭から抜け落ちていた。
優先すべきは、モナーの命だ。それがビーストとの勝負にもなる。
出演するのを食い止めれば、モナーの命は助かるかもしれない。
('A`)「……、出演……?」
そこまで決心がついた時、不意に思い出す。
一昨日の夜、俺に届いたあの音声メッセージの内容を。
――最後に鳴った、鈴の音を。
あの鈴の音がもし、俺へのヒントなのだとしたら。
ニイターニュース恒例のコーナー。リィン、というベルの音と共にテレビに映るモナーが、やはり今回の被害者に違いないのではないか。
ニイターニュースの今週のゲストはモナーであると、数日前から決まっていた。
ビーストはそれを知っていて、予めモナーを殺すつもりだったのかもしれない。
124
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:49:03 ID:nYZhV..U
推理とは程遠い、予想程度の考察だ。
しかし時計を見て焦りを覚えた俺は、得られた小さな答えを信じるしかなかった。
(;'A`)(どうする……どうする……ッ!)
あまり時間はない。
何とかしてモナーの出演を食い止めなければならないのだが――
モナーはすでに、スタジオの中にいた。
中途半端な笑顔を浮かべて、他のスタッフ達と談笑している姿が、遠巻きであるが見て取れた。
あの中に入る事は、ひょっとしたら不可能ではないのかもしれない。
しかし入ってどうする? モナーを連れ出すのか?
考えている暇はない。
やるしか、ないんだ。
('A`;三;'A`) キョロキョロ
周りを見渡す。
どこかからあのスタジオに通じる道は無いだろうか。
しかしあるはずがない。ここはあくまで一般開放されているフロアであり、そんな場所からスタジオに行けるような構造であってはならないのだ。
あのスタジオに行くには、一度別のフロアへ出なければならないだろう。
しかし、それはできない。途中でスタッフや警備員に止められてしまうだろう。
125
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:49:38 ID:nYZhV..U
ならばどうすればいい。
なぜさっき、“不可能ではない”と思ったのだ。
思い出せ――。
('A`)「――ッ!」
この通路の奥に見える、御手洗いの小さな案内板。
その更に奥にある、立ち入り禁止と書かれてプラスチックのチェーンで塞がれている、薄暗い通路の先。
そこには、一つの扉があった。
非常口だ。
非常口があるのは当然で、この状況においてはあまり有益な物であるとは言い難い。
しかし俺が見た“ある物”と、そこが繋がっているのならば。
焦らず、ゆっくりと、その扉の方へと歩きだした。目立つことは許されない。
一度、手前にあるトイレの中へ身を隠す。そこから少しだけ顔を出して、元いた場所を覗く。
スタッフはこちらを見ていない。その隙に、俺はチェーンを潜って、薄暗い通路へと入った。
目の前にある非常口の鍵を開け、取っ手を回す。扉は難なく開き、俺はその先に身を出した。
非常階段だ。
.
126
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:50:13 ID:nYZhV..U
どうやらここは三階に位置するらしく、上から見下ろしてみると結構な高さがあった。
しかしだからといって、ゆっくり階段を下りている余裕はなかった。俺はなるべく音を立てず、それでも飛び降りるようにして、階段を下りた。
そんな時だった――
(;'A`)「うおッ!?」ツルッ
足を、踏み外す。
行き場を失った足は、段差を滑っていく。
身体が浮いた。いや、一瞬だけ浮いたように感じた。
直後、俺は意識を失った。
――――――――――
――――――
――
――――――
――――――――――
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127
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:51:00 ID:nYZhV..U
目を覚ましたのがそれから何分後のことか、すぐにはわからなかった。
時計を見たところ、眠っていたのはほんの10分程度だったようだ。
しかし、事態は尚更急を要する。何故ならばもう、時刻は放送開始5分前になっていたからだ。
痛む後頭部を押さえながら、階段を一段一段確実に下りる。
二階に位置する高さまで下りると、三階のものと同じような扉があった。俺は迷う事なくその取っ手を掴んだのだが、その時不意に視界に入った物に、俺は驚きを隠せなかった。
扉に、一枚の紙が貼り付けられていた。
遅かったな、とただ一言だけ書かれた、小さな紙が。
それは、先日届いたメールがビーストのものであるという確信を抱くための、充分な理由になった。
俺は何も考えず、その紙を剥がして、ポケットの中へと押し込んだ。
嬉しくもあり、悔しくもあった。
ビーストがこの俺と勝負をしようと考えているのが、何故だか嬉しく思ったのだ。
――そして、“遅かったな”という言葉の意味を考えて、悔しく思ったのだ。
128
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:51:34 ID:nYZhV..U
それでもまだ、諦めてはいなかった。
放送が始まっていない今ならきっと、モナーは生きているだろう。
まだ助け出す方法はあるはずだ。
取っ手を回して、鉄の扉を開けた。
鍵は、かけられていなかった。
それはつまり、内側から鍵が開けられていた事を意味するのだという事実に、俺は今更気がついた。
――やはり俺は、遅かったのかもしれない。
扉の向こう側には、三階とはまた違った雰囲気の通路が続いていた。
ここから見える場所には人影もなく、俺は中に入って辺りを散策した。
すぐ近くにある別れ道。その先にどうやら、スタジオへの入り口があるようだ。
しかし俺は、そこで最後の難関に立ち向かうことになる。
入り口の前に立つ、一人の男。どうやら彼もここのスタッフのようで、その扉の奥に入るには彼の許しを得なければならないのだろう。
俺は少し焦ったように、小走りで彼の元へ向かった。
129
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:52:09 ID:nYZhV..U
(;'A`)「すいません」
(-@∀@)「ん?」
メガネをかけ、暇そうに立っているだけの男は、俺の顔を見て、なにやら不思議に思っているような顔を浮かべた。
俺のような学生が、朝早くにこんな所にいるのは少し不自然なのだろう。
(;'A`)「モナーの息子なんですが……ちょっと緊急事態で」
(-@∀@)「えっ、息子さん?」
モナーに、俺と同じくらいの息子がいるという話は知っていた。
このスタッフがその息子の顔を知らなければ、もしかしたらモナーを呼んでもらえるかもしれない。そう考えたのだ。
(-@∀@)「いやいやー、もう放送始まっちゃうから」
(;'A`)「……そこをなんとか……!」
(-@∀@)「そんなに急用なの?」
(;'A`)「母が……母が倒れちゃって……!」
130
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:52:48 ID:nYZhV..U
(-@∀@)「……そりゃまずいね……。でも、放送に穴を空けるわけにはいかないから。モナーさんも、抜け出す訳にはいかないって言うだろうし」
(;'A`)「ッ…………」
まあ、そうだろう。
そんなに上手くいくとは思っていなかった。
ただもしこれが成功していたら、少しは楽だったのだが。
方法を変えるしかない。
('A`)「……ごめんなさい、母が倒れたのは嘘です」
(-@∀@)「……ん?」
(;'A`)「でも今日出演したら、父は殺されてしまうんです!」
(-@∀@)「……どういうこと? 待ってよくわからない」
(;'A`)「ビーストに狙われてるんですよ……!!」
(-@∀@)「……いやいや、今日出演してもしなくてもそれは変わらないでしょ」
(;'A`)「出演中に殺されるんです!!」
(-@∀@)「…………」
131
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:53:23 ID:nYZhV..U
(-@∀@)「君さ、本当にモナーさんの息子なの?」
(;'A`)「……はい」
(-@∀@)「通行証は? ここに来るにはそれがないと入れないはずだけど」
(;'A`)「――ッ!」
通行証。言われてみれば確かに、そういった物が無いと通れないのは当然だ。
予めそれらしいものを自作して用意してくるべきだった。昨日の時点でここのスタッフ達が首から吊り下げている通行証を確認して、そっくりな物を作っておけばよかったのだ。
(-@∀@)「……ちょっと待ってね」
そう言うとスタッフの男は、振り返って鉄の扉を開けた。
(@∀@-)「すいませーん」
(;'A`)「…………」
まずい。これは俺を捕まえようとしているのではないだろうか。
確証はないが、俺は少しばかり焦りを覚えた。
132
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:55:01 ID:nYZhV..U
(-@∀@)「ちょっと僕についてきてもらっていいかな」
間違いない。今更モナーのところへ連れて行く気なんてあるわけがないんだ。
こんなところで捕まって何を言われるかわかったものじゃない。下手したら、学校に連絡されて停学処分を受ける可能性だってある。
(;'A`)「…………クソッ!」ダッ
(;-@∀@)「あっ、待て!!」
考えが纏まるよりも前に、逃げ出していた。
俺は、怖かったのだ。いや、怖いなんて言葉で濁すのは正しくない。人の事など考えている余裕もないほど、“びびって”いたのだ。
この時初めて、俺は自分という人間の小ささに気がついた。
達観したつもりでいた。一人で大人になった気でいた。けれど、目の前に迫る小さな恐怖にすら、立ち向かえなかったのだ。
再び非常階段に出た俺は、そのまま階段を下りて地上に戻るつもりでいた。しかしこの時初めて気がついた。
二階から地上に下りるには、備え付けられた梯子を降ろさなければならないのだと。
セキュリティの都合なのか分からないが、梯子を降ろさなければ地上と非常階段の行き来はできないようになっていた。
133
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:55:35 ID:nYZhV..U
梯子を降ろすような目立った行動は避けたかった。できればこのまま、他のスタッフに怪しまれることなくこの建物を脱出したい。
そう考えた結果、俺は階段を駆け上がっていた。
静かに扉を開け、立ち入り禁止のチェーンをくぐり、元のフロアへ。
そのまま堂々とスタッフの前を通り過ぎて、俺はこの建物から抜け出した。
(;'A`)「……はぁ……はぁ……」
外に出ただけで安心してはいられない。
しかし恐怖と疲れからか、まるでマラソンを終えた後のように心臓が脈打っていて、身体中が酸素を求めている。
そのせいで、再び走ることはできなかった。
振り返っても、追手は来ていない。これなら大丈夫だろう。
気づいた時には俺の尻は地面についていた。
その時。
聞き慣れた音が、俺の耳に届く。
リィン、リィン。
.
134
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:56:12 ID:nYZhV..U
顔を上げると、NBSの建物に貼り付けられた巨大なスクリーンに、モナーの姿が映し出されているのが見えた。
その直後であった。
思わず目を瞑ってしまうほどの、閃光。
肌で感じることのできる熱風。
遅れてやってくる、地鳴りのような轟音。
NBSの二階フロアのガラスは砕け、取り付けられていたスクリーンは俺のもとにも届きそうなほど、吹き飛ばされていた。
粉々になったガラスやコンクリートの欠片が、俺の身体にも降り注ぐ。
傷を負うほどではないが、その爆発の凄まじさを、俺の身体は感じていた。
.
135
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:56:45 ID:nYZhV..U
まさかここまでの事態になるだなんて。
俺の推理は当たっていたものの、その規模は桁違いだった。
二階にいた人達は――いや、場合によってはその上下階にいた人達も、命を落としただろう。
俺は、彼らを救えたはずだ。
モナーが出演するのをなんとしてでも阻止していれば――。
(;'A`)「はぁ……はぁ……ッ!」
再び、動悸が激しくなる。胸の奥、みぞおち辺りに、重たい物がのしかかるような感覚を覚える。
肺が酸素を効率よく吸収してくれない。息が、苦しい。
(; A )(俺のせいで……、俺のせいで――――)
――続く。
136
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/17(日) 18:58:11 ID:nYZhV..U
投下中にちょっと居眠りしかけました。
出来る限りがんばりますので、よろしくお願いします…
137
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/17(日) 19:18:38 ID:onTRFVqk
うおおおお面白くなって来たぞ!
いちいちデミタスが怪しいな
乙
138
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/18(月) 02:07:38 ID:JwG9h09A
ハラハラする展開おもしろい
139
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/03(水) 11:07:46 ID:cLCgRPWc
続きはまだかね?
140
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/09(火) 19:59:40 ID:eP4W7Bbo
期待
141
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:46:36 ID:orv13PNg
第5話「疑いの目に棘あれば」
.
142
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:47:32 ID:orv13PNg
金曜日の朝。
目を覚ましたのは、スマートフォンのスピーカーから鳴り響く着信音のせいだった。
がなり立てるような歌い方をするボーカルが特徴的なバンドの代表曲。俺がこのバンドの曲の中で、一番好きなものでもあった。
目覚ましに好きな曲を設定するとその曲が嫌いになってしまう、という事があるらしい。
話を聞いただけでは、そんなバカな、むしろいい目覚めだろう、などと思っていたのだが、実際に経験してみるとなかなかうるさいものだ。
今後はマナーモードにしておくのが理想かもしれない。
そんな事を考えながら、画面の受話ボタンを押してスマートフォンを耳に当てた。
(;^ω^)『おっ、出たお』
スピーカーから聞こえた声は、ブーンのものであった。
('A`)】「……何の用だ」
( ^ω^)『何の用、じゃないお。メッセも無視してひどいじゃないかお』
('A`)】「…………」
( ^ω^)『心配してたんだお。でもわざわざ家に押しかけるのも悪いかと思って電話にしたんだお』
143
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:48:26 ID:orv13PNg
('A`)】「……悪かったよ、無視して」
( ^ω^)『……、まあそれはいいお。それで、何で2日も学校を休んでるんだお?』
('A`)】「……もう2日も経ったか」
(;^ω^)『今日で3日目だお』
('A`)】「……気付かなかった」
NBSに忍びこんだあの日。本当ならば、あのまま学校へ行くはずだった。
しかしそれは叶えられなかった。酷い罪悪感に苛まれ、とても学校へ行くような気分にはなれなかったのだ。
度し難い感情が、心を万力のようなものでじわじわと押しつぶす感覚。
苦しかった。そして、悲しかった。
(;^ω^)『気づかないってどういうことだお。ちゃんとご飯食べてるかお?』
('A`)】「うーん、多分」
這うようにしてベッドから起き上がり、そのままリビングへ。
カーペットの上には、デリバリーピザの箱とコーラの空き缶がいくつも転がっていた。
あまり覚えていないが、食事は取っていたのだろう。
144
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:49:00 ID:orv13PNg
( ^ω^)『体調でも悪いのかお?』
('A`)】「……うん、まあ、そんなとこ」
( ^ω^)『それなら仕方ないお』
('A`)】「まあもう割と良くなったよ」
( ^ω^)『おっおっ、だったら午後からでもいいから、顔出せたら出してくれお。ショボンは今日来てないけど』
('A`)】「あー……そうすっかなぁ……」
ブーンと会話をしていたら、少しばかり気分は良くなった。
ゆっくり支度をして、昼休み辺りに学校へ行こう。そう思えた。
流石にこれ以上休んでしまうと成績に影響が出てしまうかもしれない。そんな懸念もあったのだが。
( ^ω^)『おっおっ、じゃあ期待して待ってるおー』
('A`)】「あいよ」
('A`)
っロ゙ピッ
145
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:49:46 ID:orv13PNg
スマートフォンをソファに放り投げて、冷蔵庫を開ける。中には、昨日の晩に残したピザが4切れほどラップに包まれて入っていた。
それを油の引いていないフライパンに乗せて、弱火で加熱した。
冷めてしまったピザを温めるには、電子レンジは好ましくない。
ハンドトスという名称で有名なナポリ風生地は、耳が非常に分厚い。そういう生地の場合、レンジで加熱すると耳が固くなってしまうケースが多いのだ。
さらにラップをしたまま温めると、場合によってはピザに触れていたラップが溶けてしまう事もある。
それでは食べることもままならないので、できるだけ避けたいところだ。
好ましいのは、オーブンで温める事だ。
オーブンで加熱すると、生地の水分を無駄に失くさず、表面から内側までしっかりと加熱できるからだ。
おまけに具材に若干の火が通り、ものによってはより美味しくなる事もある。
しかし昔の俺は、オーブンを持っていなかった。
いかに美味しく温め直すか考えた結果、フライパンに行き着いたのだ。
ピザをそのまま乗せ、弱火で加熱。蓋をして待つこと数分。たったそれだけだ。
当然だが生地の裏面に最も火が通る。そのため、焦げないように注意が必要だ。
しかしそのお陰で生地の表面がさくさくになり、オーブンでは得られない違った美味しさが味わえるのだ。
フライパンによってはピザが張り付いてしまう事もあるが、それはクッキングシートを敷いておく事で防げるだろう。
146
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:50:20 ID:orv13PNg
(*'A`)「くぅ��、いい匂いだ」
蓋を開けると、焼けたチーズの香りが漂う。それは俺の胃を刺激して、胸の奥につっかえていた何かを振り払ってくれた。
皿に乗せたピザを、耳を掴んで持ち上げる。
そのまま先端を一気に頬張った。
('A`)
っΔ゙
サクッ
(*'A`)「����ッ!」
っΔ゙
ああ、俺はなんて幸せなのだろう。
こんなピザ一切れで、俺の心は簡単に満たされてしまう。
なんて単純なのだろうか。いや、美味しいものでしか満たされる事のないこの心は、複雑とも言えるかもしれない。
そんな事はどうだっていい。今は、このピザのことだけを考えていたい。
俺の脳はそう訴え続けていた。
.
147
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:52:35 ID:orv13PNg
あれれちょっと中断
148
:
訂正
:2016/08/11(木) 06:56:54 ID:orv13PNg
(*'A`)「くぅ〜、いい匂いだ」
蓋を開けると、焼けたチーズの香りが漂う。それは俺の胃を刺激して、胸の奥につっかえていた何かを振り払ってくれた。
皿に乗せたピザを、耳を掴んで持ち上げる。
そのまま先端を一気に頬張った。
('A`)
っΔ゙
サクッ
(*'A`)「――ッ!」
っΔ゙
ああ、俺はなんて幸せなのだろう。
こんなピザ一切れで、俺の心は簡単に満たされてしまう。
なんて単純なのだろうか。いや、美味しいものでしか満たされる事のないこの心は、複雑とも言えるかもしれない。
そんな事はどうだっていい。今は、このピザのことだけを考えていたい。
俺の脳はそう訴え続けていた。
.
149
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:58:29 ID:orv13PNg
学校に到着したのは、4限がもうすぐ終わろうというタイミングだった。
教室の前に到着した時にチャイムが鳴り響いたので、俺は安心して教室の扉を開くことができた。
ガララ
('A`)ノ゙「うーっす」
( ^ω^)「おっ、ドクオが来たお!」
ξ゚⊿゚)ξ「何よ久しぶりじゃない」
('A`)「体調崩してたんだよ」
(´・_ゝ・`)「おいドクオ、お前俺の授業が終わったと同時に来るってのはどういうつもりだ」
('A`)「うわっハゲ」
(#´・_ゝ・)「殺されたいのか」
('A`)「死にたくはねーっす」
(´・_ゝ・`)「ふざけた野郎だ、飯を食いに来たようなもんじゃないか」
('A`)「そうですよ、先生も食べてきてくださいよ」
(#´・_ゝ・)「言われなくてもそうするわ!」
ガララ
150
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:59:13 ID:orv13PNg
('A`)「なんだあの人……」
( ^ω^)「今日も昨日も一昨日も社会の授業があってドクオが来てないから怒ってるんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「出席が少ないと成績も誤魔化せないからね」
('A`)「えっなに、あの人自分の教科の成績誤魔化してんの?」
( ^ω^)「さっきそう言ってたお」
('A`)「ゴミクズじゃねぇか」
あの教師、ろくでもない男だ。そんなことを考えながら、俺はバッグから取り出した弁当箱を机の上に広げた。
今日は時間があったため、自ら弁当を用意したのだ。
冷凍食品のみで彩られた中身だったが、それでもちゃんとした弁当と言うのは悪くない。
( ^ω^)「おっ、珍しく弁当だお」
('A`)「まあたまにはな」
( ^ω^)「ブーンは相変わらずピザパンだお……」
っ□c
('A`)「いいじゃねぇかピザパン、寄越せよ」
(*^ω^)「やーだおー!!」
っ□c゙ モグモグ
('A`)「なんだこいつ」
151
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:00:05 ID:orv13PNg
ξ゚⊿゚)ξ゙「私も失礼するわね」ガタッ
('A`)「こりゃまた珍しいな、女友達いないのか?」
ξ#゚⊿゚)ξ「いるわよ、失礼な」
('A`)「そうかそうか、心配して損したわ」
(*^ω^)「ツン、ピザパン食べるかお!?」
('A`)「おい、どういうことだ」
ξ*゚⊿゚)ξ「あ、えっ……た、食べかけ……?」
(*^ω^)「違うお、ちゃんともう一個あるんだお」
っ□゙ ガサッ
ξ゚⊿゚)ξ「あっ……そうだよね……」シュン
( ^ω^)「いらなかったかお……?」
ξ*゚⊿゚)ξ「えっ!? べべ、別に貰ってあげてもいいわよ!」
(*^ω^)「おっおっ」
ξ*゚⊿゚)ξ「う、嬉しくなんかないんだから……」
っ□゙ ガサッ
('A`)「やめろお前ら飯が不味くなるだろ」
( ^ω^)「じゃあブーンが貰ってあげるお」
(#'A`)「くれてたまるか!!」
ξ*゚⊿゚)ξ「お、美味しくなんかないんだからね!」
っ□c゙
('A`)「そこは素直になれよ」
.
152
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:00:55 ID:orv13PNg
弁当を食べ終えてからは、トランプで遊んでいた。
スマホゲームではなくトランプを選択する辺りがなんとも俺らしくも感じ、またその特異な感覚に少しばかり格好良さのようなものを見出していた。
中二病というやつだろうか。
('A`)「5」
ξ゚⊿゚)ξ「ダウト」
(#'A`)「はぁー!? なんでわかるんだよ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「5と7は4枚揃ってるわよ。こんな人数でやるからじゃない……。はい6」
('A`)「こいつめ……」ガサガサ
( ^ω^)「7だお」
('A`)「……おいツン、ダウト言えよ」
ξ*゚⊿゚)ξ「…………」
(#'A`)「なんで言わねぇんだよ!! ダウトだダウト!!」
( ^ω^)「おっおっ」
っ[7]゙ ペラリ
('A゚)「はぁー!?」
ξ゚⊿゚)ξ「バカじゃないのあんたwww」
('A`)「何にも信じられねぇよ……敵ばっかりかよ……」
153
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:01:36 ID:orv13PNg
( ^ω^)「まあまあ3枚くらいいいじゃないかお」
('A`)「お前俺が既に何枚抱えてると思ってんだよ」
多くの枚数を抱えたツンよりも更に多く、俺の手札は一杯になっていた。
これを消費しきる前にどちらかに上がられてしまうのは間違いないだろう。
いっそのこと破り捨ててやろうか、なとど考えていた。その時だった。
ピーンポーンパーンポーン
( ^ω^)「おっ?」
『3年2組、ドクオ君。至急第二会議室へ』
('A`)「…………」
( ^ω^)「…………」
('A`)「…………えっ?」
(*^ω^)「何やらかしたんだおww」
(;'A`)「いや知らねーよ、休んでただけじゃねーか。ってか第二会議室ってどこだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「B棟の2階よ。家庭科室の向かいね」
('A`)「あんなとこ滅多に行かないのによく覚えてんな……。仕方ない、行ってくるか」
154
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:02:15 ID:orv13PNg
ξ゚⊿゚)ξ「死なない程度に頑張ってね」
(;'A`)「死なねーよ」
( ^ω^)「留年になってもブーンは友達だお」
(;'A`)「怖いこと言うな」
一体どんな用件なのだろうか。放送で先生に呼び出されたのは、生まれてこの方初めてのことだ。
呼び出し先が職員室ではなく会議室、というところも気になる。
緊張からか脚がもつれそうになりながらも、俺は第二会議室へと向かった。
階段を降り、渡り廊下を歩いて、突き当りを左へ。そのまままっすぐ進んだ奥に、第二会議室はあった。
扉は閉まっている。扉についている小窓は凸凹になっており、中の様子は確認できない。
もうすでに中に人がいるのかは分からないが、俺は扉をノックしてから、ゆっくりと開けた。
('A`)「失礼します……」
っ゙ ガララッ
/ ,' 3「おお、君がドクオ君かな」
( ゚д゚ )「…………」
155
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:02:57 ID:orv13PNg
長机の前に置かれた椅子に座る、二人の男。
俺に声をかけた人は、俺もよく知っている。この学校の校長、荒巻先生だ。
しかし、スーツに身を包むもう一人の男は見覚えがない。
彼は2つの目を大きく広げて、俺の顔を睨みつけるように凝視していた。
(;'A`)「……えと……どんなご用件で……」
/ ,' 3「まあまあ、とりあえずこっちに座りなさい」
(;'A`)「はあ……」
言われたように、机を挟んで二人の対面に置かれた椅子へ腰を下ろした。
一体、何が始まろうというのか。俺には想像もつかなかった。
/ ,' 3「この方はミルナさん。ニイタ警察署の刑事さんだよ」
( ゚д゚ )「ミルナ警部だ。君に話を聞きたい」
っロ゙ パタッ
(;'A`)「け、警察……?」
ミルナという男は、わざわざ警察手帳を目の前に翳してそう言った。
一体なぜ、警察が俺のもとへ。焦りと緊張から溢れ出る汗を拭いながら、俺は考えた。
思い浮かぶ答えは一つしかない。俺がNBSに忍び込んだ一件だ。
焦るな。顔に出してはダメだ。
冷静に、自然な緊張感で挑むんだ。
156
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:03:29 ID:orv13PNg
(;'A`)「なんでしょう……」
( ゚д゚ )「水曜日と木曜日は学校を休んだそうだな。それはどうしてだ?」
(;'A`)「いや……体調が悪くて……」
( ゚д゚ )「……ほう。それは今朝もか?」
(;'A`)「……今朝は寝坊みたいなものです。具合悪くて変な時間に寝たりしてたせいで、昨日は眠れなくて……」
( ゚д゚ )「なるほど」
('A`)「…………」
( ゚д゚ )「NBSがビーストによって爆破されたことは知っているな?」
('A`)「はい、知ってます」
( ゚д゚ )「君はあの日……水曜日は何をしていたんだ?」
(;'A`)「いや、ですから……体調が悪くて」
( ゚д゚ )「これを見ろ」
っロ゙ ペラッ
(;'A`)「……!?」
ミルナ警部がファイルから取り出したのは、一枚の写真。
画質は非常に荒い。しかし俺にはそれがどういうものなのか、すぐに理解できた。
NBSの非常口からスタジオに向かっている俺が写っていたのだ。
157
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:04:20 ID:orv13PNg
( ゚д゚ )「はっきりとは見えないが、この少年が来ている服はここの制服だろう。そしてこの容姿は、君によく似ている。そうは思わないか?」
(;'A`)「…………」ゴクリ
(;'A`)「似ています」
そう答えるしかなかった。似ているか似ていないかの事実だけ取れば、間違いなく似ているのだから。
不自然に答えに詰まる様子を見せてはならない。
( ゚д゚ )「この写真はNBS二階の廊下につけられた監視カメラの映像から切り出したものだ。当然だが、一般人が入れる場所じゃあない」
( ゚д゚ )「非常口の扉に、ピッキングされた痕跡が残っていた。この少年は三階から非常階段で二階まで降り、扉の鍵を開けて侵入したのだ」
――ピッキングだって? いや、俺はそんな事はしていない。元々鍵がかかっていなかったのだ。
あの時は焦っていて不審に思わなかったが、言われてみてればおかしな事だ。鍵が開いているはずが無い。
158
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:05:32 ID:orv13PNg
(;'A`)「……ッ」
そこまで考えて思い出した。
あの時、二階の非常口の扉につけられていた紙のことを。“遅かったな”と書かれた、ビーストからのメッセージを。
ブレザーのポケットの中に手を入れると、まだその紙が残っている事が手触りで確認できた。
そう。俺はこの紙を、持って帰ってきてしまったのだ。本当にビーストの用意した物なのか、果たして俺宛の物なのかもわからないのに、だ。
ただこの紙をあの場所に残しておく事は、ビーストにとっても俺にとっても有益な行為には思えなかったのだ。
( ゚д゚ )「非常階段にはビーストの指紋も残っていた。つまり、この少年がビーストである可能性もあるという事だ」
(;'A`)「……はぁ……」
( ゚д゚ )「ここまで聞いた上で、もう一度確認したい。君はあの日、NBSには行っていないんだな?」
(;'A`)「ッ…………。行ってません……」
( ゚д゚ )「そうか。では次にこれだ」
っロ゙ペラッ
ミルナ警部が再びファイルから取り出した写真。今度のものは先程の物程でもないが、やはり画質は荒く、対象物の輪郭がぼやけている。
しかしすぐに分かった。そこに写っているのが、銀色の電車から降りる俺の姿だと。
159
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:06:04 ID:orv13PNg
( ゚д゚ )「こちらの写真はさっきよりは見やすいだろう。まあ、はっきりと君だとは言い切れないが……、そうなんだろう?」
(;'A`)「ッ……いや……その…………」
( ゚д゚ )「はっきり答えろ……!」
/ ,' 3「ミルナさん、そういう言い方はここではやめていただけませんか」
( ゚д゚ )「ッ…………」
/ ,' 3「ここは学校です。生徒を指導する事も目的ではありますが、それはあなたの役目ではありません。どうか抑えてください」
( ゚д゚ )「……ッ。すみません、仕事柄でして」
/ ,' 3「…………」
その後も俺は、何も言えずにいた。
彼の迫力に気圧されたのも理由の一つではあるが、やはり焦りや緊張による思考回路の混線が与える影響は大きい。
考えることの出来なくなった脳は、自然とこの口を閉ざしてくれたのだ。
( ゚д゚ )「……まあいいさ」
(;'A`)「……えっ?」
( ゚д゚ )「君の指紋を取らせてもらおう」
(;'A`)「――ッ!?」
/ ,' 3「……ドクオ君は容疑者扱いなのですか?」
( ゚д゚ )「いや、あくまで参考人ですよ。しかし、これは協力してもらわなければなりません」
160
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:06:54 ID:orv13PNg
指紋を取られようと、俺はビーストでは無い。しかし問題は別にある。
不法侵入が発覚してしまえば、停学――いや退学処分すらも有り得るのだ。
まずい事態になった。そう思うと、額や首筋が熱くなりじわりと汗が滲み始めていた。
それがやがて雫となり、頬を伝って、膝の上で握りしめられた拳の上にひたりと落ちた。
その時だった。
「ちょっと待ったァ!!」ガララッバンッ
突如として、室内に響き渡る大声。
聞き覚えのある声だ。だがこんなにも張り上げたそれは一度足りとも聞いたことがない。
一体誰が――。そう考えながら振り返ると、そこには見慣れたハゲ頭があった。
(;´・_ゝ・`)「ドクオはNBSには入っていない!!」
(;'A`)「!?」
/; ,' 3「で、デミタス先生、急に困りますよ。あなたの代わりに私がついている約束だったでしょう」
(;´・_ゝ・`)「俺が証人なんですよ!!」
/; ,' 3「なっ……!?」
( ゚д゚ )「…………ほう。良ければ聞かせてもらえますかな」
161
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:07:47 ID:orv13PNg
彼は何を言っているんだ。時間を要するどころか、いくら考えたって彼の言っていることが理解できる気がしなかった。
(´・_ゝ・`)「あの日のあの時間、私とドクオは一緒にいました」
( ゚д゚ )「ッ……あんな時間に一体どこへ……?」
(´・_ゝ・`)「ニイタ公園ですよ」
(;'A`)「え……?」
(;'A`)「――ッ!」
思い出した。あの日、ニイタ駅からデミタス先生の後ろ姿を見かけた事を。
そして、その二日前の放課後、俺達とファイナル公園にいた事を。
(´・_ゝ・`)「月曜日、彼とその友達がファイナル公園に行ったんですよ」
( ゚д゚ )「……公園に爆弾が仕掛けられてるかもしれないのに……ですか」
(´・_ゝ・`)「だからこそですよ。そしてそれを私は止めに行った。しかし今度はニイタ公園に行くと言って聞かないので、仕方なく一緒に行ったわけですよ」
( ゚д゚ )「……それは本当か、ドクオ」
162
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:08:32 ID:orv13PNg
(;'A`)「……はい」
( ゚д゚ )「だったらなぜ最初から言わないんだ」
(;'A`)「ッ……それは……」
/ ,' 3「私の前じゃ、言いづらかったかな」
( ゚д゚ )「…………」
/ ,' 3「デミタス先生。その件についてはまた後でお話があります」
(´・_ゝ・`)「わかっております」
校長と教師の自然なやり取り。一見そう見えるのだが、両者ともに俺を庇うためにそう言っているような気がしてならなかった。
実際にデミタス先生は嘘を付いている。たまたま先生自身がニイタにいたために、俺を庇っているのだ。
( ゚д゚ )「……にわかに信じがたいが、あなたがニイタにいた証拠はすぐに出る。そんな間抜けな嘘をついて教職を辞めるということはないでしょう」
(´・_ゝ・`)「当たり前ですよ」
( ゚д゚ )「出来れば、ファイナル公園に行った友人たちの話も聞きたいんだが……」
(´・_ゝ・`)「廊下で待ってますよ」
( ゚д゚ )「……では、ちょっと聞いてくるとしよう」ガタッ
163
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:09:04 ID:orv13PNg
ガララッ
『……君たちがドクオの友達か』
『そうですお』
(;'A`)「…………」
廊下からは、ブーンやショボンの声が聞こえてくる。二人共デミタス先生が連れてきてくれたのだろう。
一体なぜ、俺のためにそこまでしてくれるのか。その理由は、直接デミタス先生から聞いた方がいいだろう。
(;'A`)「……なんで、あんな嘘を……」
(´・_ゝ・`)「嘘? なんの事だ」
(;'A`)「とぼけないでくたさいよ。一緒にニイタ公園なんか行ってないじゃないですか」
(´・_ゝ・`)「……言ってる事がよくわからんが……まあ仮に嘘を付いていたとしよう。それはなぜか」
/ ,' 3「…………」
(´・_ゝ・`)「大事な生徒をつまらん理由で退学になんかさせられないからだ」
('A`)「――ッ……」
/ ,' 3「……デミタス先生……」
(´・_ゝ・`)「俺の沽券に関わる」
/ ,' 3「…………」
('A`)「…………」
164
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:09:39 ID:orv13PNg
(´・_ゝ・`)「というのは嘘だが……まあなんだ、詳しい話はまた聞かせろよ」
('A`)「……ありがとうございます」
(´・_ゝ・`)「礼なんかいいさ」
('A`)「ゴミクズって言ってすみませんでした」
(´・_ゝ・`)「いいよいいよ。……ってゴミクズ??」
ガララッ
( ゚д゚ )「経緯はわかりました。聞く限りでは、ドクオ君は特に関係は無さそうですね」
/ ,' 3「それなら良かったです」
( ゚д゚ )「しかしこの学校の生徒の中に不法侵入者がいる可能性は変わりません。引き続き捜査を行いますので」
/ ,' 3「そうですね……。よろしくお願いします」
( ゚д゚ )「はい。それでは失礼いたします」
('A`)「……ふぅ……」
( ゚д゚ )「っと、そうだドクオ。ポケットの中身を見せてもらってもいいか?」
(;'A`)「えっ?」
( ゚д゚ )「さっきいじっていただろ。少し気になったんだ」
165
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:10:12 ID:orv13PNg
なんて洞察力だ。素直に感心すらしてしまう。
このポケットの中身を見られてしまっては、何を聞かれるかわからない。少しばかり焦りを覚えてしまった俺は、返事に詰まっていた。
(´・_ゝ・`)「疑いもないんでしょう。今更そんなものを見る必要がありますか」
( ゚д゚ )「やましい事は何もないんですから、見ても問題はないでしょう」
(;´・_ゝ・`)「ぐっ……」
( ゚д゚ )「どうなんだ? 拒否する権利はあるぞ。任意だからな」
(;'A`)「…………」
拒否しては、また怪しまれてしまうかもしれない。そう思うと、答えはひとつしかなかった。
(;'A`)「……いいですよ」
( ゚д゚ )「そうか。じゃあちょっと失礼しよう」
166
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:10:55 ID:orv13PNg
ミルナは俺に歩み寄って、俺の制服に手を伸ばす。あの紙が入った右ポケットへ。
落ち着け、大丈夫だ。何も問題はない。あんな紙一枚で何がわかると言うんだ。ミルナは俺を試しているだけだ。
そう心の中で自らに言い聞かせても、不安に思う気持ちは拭えなかった。
( ゚д゚ )「…………」ゴソゴソ
っ゙
(;'A`)「…………」
( ゚д゚ )「……なんだ……?」
っロ゙ ペラッ
(;'A`)「……そ、それは……」
( ゚д゚ )「ピザのクーポン?」
っロ
(;'A`)「!?」
ミルナ警部が掲げたもの。それは確かにあの時の紙に違いなかった。
しかし、ミルナ警部はその裏面を見ていた。“遅かったな”と書かれている面をこちらに向けて。
正確にはミルナ警部が見ている面が表面なのだろう。
( ゚д゚ )「大したものではなかったか」
っロ゙ スッ
167
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:11:28 ID:orv13PNg
偶然に、救われた。表面がピザのクーポンであったために、裏面まで見る事をしなかったのだろう。
一体どうしてピザのクーポンの裏にメッセージを残したのかは知らないが、そのお陰で変な事を聞かれずに済んだのだ。
変な話ではあるが、少しばかり感謝の気持ちを抱いてしまった。
(;'A`)「……昼休みだったんでお腹空いてて……つい気になっちゃって」
っロ゙ パシッ
( ゚д゚ )「おっとそういえば昼休みだったな……。すまない、時間を取らせてしまって」
(;'A`)「いえいえ! 大丈夫です!」
( ゚д゚ )「今度こそ失礼するとしよう。すみません、ありがとうございました」
/ ,' 3「いえ、こちらこそご迷惑おかけします」
( ゚д゚ )゙「では」コツコツ
開け放されていた扉からミルナ警部が出ていくと、廊下からブーンとショボンが中へと入って来た。
二人とも何故だか申し訳なさそうな表情を浮かべて、俺の顔を見つめていた。
('A`)「なんでそんな顔してるんだよ」
(;´・ω・`)「えっ……いやだって……僕たちのせいでもあるし……」
168
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:12:02 ID:orv13PNg
('A`)「え?」
(;^ω^)「あの日ファイナル公園になんて行かなければ、ドクオと先生がニイタ公園に行く事もなかっただろうし……」
('A`)「ああいや……それは嘘だよ」
(;^ω^)「お?」
(´・_ゝ・`)「俺とドクオはニイタ公園には行ってない。俺はもちろん、ドクオもニイタにいたのは事実のようだが」
(;´・ω・`)「……どういうこと?」
(;^ω^)「まさかドクオ……本当にNBSに侵入したのかお!?」
('A`)「……ああ」
(;´・ω・`)「……わーお……」
(;^ω^)「じゃあデミタス先生は嘘ついたんじゃ……」
(´・_ゝ・`)「そういう事だな」
('A`)「すみませんでした……」
(´・_ゝ・`)「気にするな。だが校長がなんと言うだろうか……」
169
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:12:51 ID:orv13PNg
/ ,' 3「私は何も知りませんし、聞いてません。デミタス先生の受け持つ生徒ですから、あなたのやり方に任せますよ。ただし問題が起きた時は……」
Σ(;´・_ゝ・`)「はっ校長、いたんですか」
/ ,' 3「貴方が現れるずっと前からいましたが」
(´・_ゝ・`)「問題が起きた時には、責任を取る所存です」
/ ,' 3「そうですか」
('A`)「…………」
たった一人の生徒のために、自分の立場すら差し出す。そんな姿勢に、俺は憧れのような感情を抱いていた。
それと同時に、俺の心は申し訳ない気持ちで一杯になった。目頭が熱くなり何処かからこみ上げる涙を抑えるように、俺は顔を両手でぐしゃぐしゃに潰した。
('A`)「今度ピザでも食べましょう。奢ります」
(´・_ゝ・`)「えっ、ピザ? 生徒には奢らせられんなぁ」
('A`)「多分先生の貯金より持ってますよ」
(;´・_ゝ・`)「おいなんでうちの貯金が5万円しかないことを知ってるんだ」
(;'A`)「少ないなおい!! あんた家庭持ちだろ!!」
170
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:13:41 ID:orv13PNg
(´・_ゝ・`)「子供の入学費用なんだよね。来年小学生になるんだ」
(;'A`)「一体どんな学校にぶち込む気ですか」
(´・_ゝ・`)「更生所」
(;'A`)「ほぼ刑務所じゃねーか!!」
(´・_ゝ・`)「Yo! 学校を脱走そのまま勘当! あんよ覚えたてのワンコにしちゃSo coolだろ?」
(;'A`)「どこにツッコめばいいんだよ」
/ ,' 3「“だろ?”でも韻を踏むところがいいと思います」
(;'A`)「校長!!!!!!!」
場の雰囲気は賑やかであったが、俺の心に溜まる雲のようなものは晴れてはくれない。
本当にこのまま、ビーストとの勝負を続けてもいいのだろうか。周りに迷惑をかけてしまっているのではないだろうか。
ふつふつと湧き出る度し難い感情にストップをかけ、俺は会議室を後にした。
――続く。
171
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:17:46 ID:orv13PNg
レスありがとうございました。
新作に浮気してて全然書き溜めしてないですごめんなさい。でもまたモチベ出てきたので……。
172
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 12:11:14 ID:zijfwS1g
ハゲさん妻子持ちかぁ
んぬぬどっちだ
173
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 12:57:32 ID:xMnLoltg
きな臭い…きな臭いぞ…
乙
174
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 15:18:27 ID:QEZrPCd2
疑惑溢れる感じいいね、乙
175
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2017/07/28(金) 06:13:30 ID:p6RD5ho6
つづき……気になる……
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