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【SS】天邪鬼いつまた帰る【二次創作】

76名無し妖精:2017/10/15(日) 16:29:24 ID:D5YeOZyc0
『帰らざる河』14

※独自設定を含む内容です



(じれってえ…)

昼近くまでふて寝していた正邪だが、流石に落ち着かない気分が高まってきた。
いつまでもこんな所にいても埒が明かない。正邪は布団から起き上がりあの女がいる土間に向かった。

「おいババア、私の…」
「ああ、起きてきただな。ほれおめえの服、洗って干しておいただよ」

女の指し示した板の間の隅に正邪の衣服がたたんで置かれていた。

「…ったく、勝手に脱がしてんじゃねえよ」

悪態をつきながら正邪はその場で肌襦袢を脱ぎ始めた。女はそれまでしていた鉢で木の実をすり潰す作業に戻りながら言った。

「正邪よぉ」
「あんだよ」
「今朝言った事と逆の話に取るかも知れんが…自分を正しいと思うんでねぇ。何が正しいかそうでないかを決められるのはお天道様だけだぁ。そしてその答えは時に人の望まない形を取る事もある」
「……」
「だから人々ってのは希望のある大きな変化より細かい不満に満ちた平穏を望むもんだよ…うちから言えるのはそんだけだ。後どうするかは自分で考えれ」

女の話に耳を傾けながら正邪は下着を身に付けた後白いワンピースを手に取った。
その下に笹の葉を藁で縛った包みが置いてあった。正邪は女の方を見た。

「おい、これ…」
「行くんだべ? 行くなら陽のあるうちに行け。おめえの分の晩飯は用意しねえからな」

正邪は笹の葉の包みを手に取った。感触から中身が握り飯だと想像できた。

「気に入らねえんならそいつは置いていってええぞ。中身は何も入ってねえかんな」
「ケッ、大きなお世話だ。天邪鬼が置いてけと言われて置いてくかよ」

正邪はそう吐き捨てると土間に置いてあった自分のサンダルを突っ掛けそのまま小屋を飛び出した。
女の顔を見る事もなく、礼も別れの挨拶をする事もなく。


(続く)




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