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【SS】天邪鬼いつまた帰る【二次創作】
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『帰らざる河』13
※独自設定を含む内容です
自分は何をしているのかと正邪は思う。
あれだけの事をしたのである。いつもならさっさと飛び出して女からおさらばしているところだ。
なのにここに留まっている。
まるで叱られるのを待っているかのように。
正邪は背後で女がようやく腰を上げる気配を感じたが、女は正邪の方へ向かって来なかった。
ややあって正邪の座っていた場所の向かいあたりで割れた食器を拾い上げる音が聞こえてきた。
少し迷った後、正邪はおそるおそる振り向いた。
女が床にこぼれた飯を手ですくって口に運ぶのが見えた。
正邪は慌てて前に向き直った。見てはいけないものを見てしまったような気まずさが胸を掻きむしる。
「…正邪よ」
不意に女が声をかけてきた。身を固くする正邪。
「何だよ…」
「それでも納得がいかないというならおめえのやりたいようにやりゃええ。どぅーざらいとしんぐ、自分が正しいと思う事をやりゃええだよ」
「どこの言葉だよ…私のやろうとしている事が正しいと思うか?」
「うんにゃ、一個も思わねえ。だからおめえはまた負ける。負けて追われて野垂れ死にだぁ」
女の余りの言い様。正邪は腰が抜けそうになった。
「何だよそれ! エールを送ったんじゃないのかよ!?」
「心配いらねえ、おめえだけじゃねえだよ。うちもいずれは野垂れ死にだぁ。誰に看取られる事も無くな」
そう言って女はカラカラと笑った。先程の“あの女”ではない、野性的なこの女の笑い声だ。
「…ったく、心臓に良くねえ事ばかり言いやがる…」
「ンな事ぼやく元気があるならもう飯はいらねえべ。文句は言わせねえだよこの罰当たりが」
そう言った後、女は残りの自分の飯を手早くかき込み膳を片付け始めた。
殴られる代わりに飯抜きにされた正邪。これで許されたのかどうかは分からないが、少なくとも女にこれ以上ギスギスした空気を引きずる気がないのは確かなようだった。
さてこれからどうしようかと何気なく胸に手を当てた時、正邪は初めて自分がいつもの服を身に付けていない事に気が付いた。
今着ているのは年期の入った子供用の丈の肌襦袢(はだじゅばん)だった。
(あのババア、どこへやりやがった…)
胸の内で悪態をつきながら正邪は渋々布団の中に潜り込んだ。
(続く)
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