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彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大物芸術家や」

319名無しさん:2024/06/19(水) 19:47:32 ID:jeVRr9YI0
今回はここまで

320名無しさん:2024/06/19(水) 20:17:01 ID:PH3AMKb20
乙津

321名無しさん:2024/06/19(水) 22:24:37 ID:vG27ajMs0
乙!

322名無しさん:2024/06/20(木) 18:42:01 ID:O4Kjop/Q0
乙!!

323名無しさん:2024/06/20(木) 18:47:44 ID:Vx2GxVL20
乙乙
今のところ青春映画にありそうな感じだなってところがまた余計に後の展開の気配を怖くさせるね…

324名無しさん:2024/06/20(木) 20:22:29 ID:BpvzBis20
(´・ω・`; )「うーん、でもその独学の期間中どうやって生活するんだい?」
(´-ω-` ; )「かなりの時間がかかるとおもうんだけど」

彡(゚)(゚)「そんなことは遺族年金と孤児年金が切れてから考えるで」

(;´・ω・` )……
社会を批判するのに社会制度は利用する
この矛盾をアドルフはどう考えているんだろう…
質問しても怒られるだけだから聞かないけど…

325名無しさん:2024/06/20(木) 20:22:54 ID:BpvzBis20
彡(゚)(゚)「お前はええな 若い婦人に課外レッスンして金稼げるんやから」

(´・ω・`)「あれはボクの実力じゃないよ」
(´・ω・`)「教授に紹介されただけ 運がよかっただけさ」

(´•ω•)「それに、前から不思議だったんだけど…」
(´・ω・`)「アドルフは副業をしないの?」

(`・ω・´)「君ほどの才能があればいくらでもお金を稼げるだろうに」
彡(゚)(゚)「ほう…というと?」

(´・ω・`)「たとえば、アドルフはスケッチができるじゃん」
(`・ω・´)「新聞社や出版社でイラストレーターの仕事を探すのはどうだい」

326名無しさん:2024/06/20(木) 20:23:31 ID:BpvzBis20
彡(-)(-)「うーん…」
彡(゚)(゚)「ワイに対する期待は嬉しいけどなクビチェク」

彡(゚)(゚)「報道関係ならスケッチより写真の方がええやろ」
彡(-)(-)「いくら優秀なイラストレーターでもカメラほど早くは書けん」

(`・ω・´)「じゃ、演劇の批評は?」
(´・ω・`)「君はもうその仕事をしてるようなもんじゃん」

(´ᴖωᴖ`)「君の批評を聞くウィーン市民はたくさんいると思うよ!」
(;´・ω・` )「もちろん、過激な発言なんかには気を使う必要はあるけどね」

327名無しさん:2024/06/20(木) 20:24:02 ID:BpvzBis20
彡(-)(-)「うーん…ウィーン市民にはドイツ系のオペラだけやダメやな…」
彡(゚)(゚)「イタリアやロシアの知識も必要やろ」

彡(-)(-)「芸術は、特定の民族から生まれても……」
彡(゚)(゚)「民族的な境界には束縛されんのやから」

(´・ω・`)……
アドルフの言うことはもっともだけど
とりあえずやってみればいいのに……

328名無しさん:2024/06/20(木) 20:24:29 ID:BpvzBis20
グーギュルギュル

(。゚ω゚)「すごいお腹の音だね!」
彡(-)(-)「気にすんな いつものことや」グーギュルギュル

(´・ω・`)「アドルフはいつも腹ペコだね…」
( ´-ω-` )「ボクは学食でちゃんとしたもの食べてるけど…」

(;´・ω・` )「君は毎日パンとミルクとバターしか食べてないんじゃない?」

彡(゚)(゚)「飯なんてそれだけで十分や」

329名無しさん:2024/06/20(木) 20:24:53 ID:BpvzBis20
(´・ω・` )「ねえ、一緒に学食に行こうよ」
(´・ω・`)「だれもアドルフのことを気にしないよ」

彡;(゚)(゚)「いやや!あんな奴らとメシなんて食うきにならん!」
彡()()「絶対にいやや!!」グーギュルギュル

(´-ω-` ; )「もう、本当に頑固なんだから…」

330名無しさん:2024/06/20(木) 20:25:25 ID:BpvzBis20
( ;´-ω-` )つ「ア、アドルフ……なんとかチケット…確保したよ……」
彡;(゚)(゚)「でかしたクビチェク!」

彡;(゚)(゚)「あとはワイがいい席を取ってきたるさかいにな」
( ;´-ω-` )「よ、よろしく………」

彡;(゚)(゚)/「ほな、行ってくる!!」
アドルフは人混みの中になりふり構わず突き進んでいった

( ;´-ω-` ) .。oO(はぁ……劇を見るだけでも一苦労だ……)
ボクたちが買えるのは立ち見席が限界なんだけど

331名無しさん:2024/06/20(木) 20:25:45 ID:BpvzBis20
(´・ω・`) .。oO(それでもチケットを手に入れるための競争は激しい)
チケットを手に入れるためには、二時間前から劇場前に集まる必要がある
そして売り出しが始まるや否や、徒競走のように皆が一斉に走り出す

途中、急な曲がり角があるので転ばないように気をつけるのだけど
まるでトラップかのように床はツルツルに磨かれていた
そのために、転んで跳ね飛ばされる人も多く出る

(;´・ω・` ) .。oO(その激戦を勝ち抜いても、すぐ第二の戦いがはじまる)
場所取りだ
立ち見席での最上の場所はキプフェル……
なんて説明したらいいかな?
三日月形のパンのような形をした空間があるんだけど
そこが特等席だった

332名無しさん:2024/06/20(木) 20:26:10 ID:BpvzBis20
(´・ω・`) .。oO(アドルフは無事にその席を確保できたかな?)
ボクもそろそろ中に入ろう

彡(゚)(゚)/「おーいクビチェク」
(´ᴖωᴖ`)「やったね!上手く場所取りできたんだ!」

彡(゚)(゚)「当たり前や、ワイを誰やと思っとるんや…ん?」
彡(゚)(゚)「ちっ、今日はあいつらもおるんかい」

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)   ┃       彡(゚)(゚) (・ω・`)

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『あーかったりー』

(´・ω・`) .。oO(あの人たちは軍人だ)
立ち見席は青銅の仕切り棒で
片方が民間人用、もう片方が軍人用に二等分されている
民間人に提供されているスペースは学生や労働者で満員状態なのに
軍人用部分はスカスカに空いている
さらに噂によると軍人たちは特権を使い
破格の安さでチケットを手に入れているようだ
本当に不公平な話だ…

333名無しさん:2024/06/20(木) 20:26:43 ID:BpvzBis20
ブー
(´・ω・`) .。oO(上演が始まった……タンホイザーだ)

♪♪♪

ブー
(´・ω・`) .。oO(休憩だ……それにしてもやっぱり……)

(´ᴖωᴖ`)「ワーグナーの劇は最高だね」
彡(-)(-)「偉大なる巨匠が生み出した神話世界の前では……」

彡(゚)(゚)「すべてがかすむわ……」

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『ハーこんなもんか』
ε三(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『ロビーでなんか食おうぜ』

彡(゚)(゚)「……あいつら」
彡(•)(•)「芸術を楽しむのでなく、社交界気分で来よってからに」

(;´・ω・` )「まあ、まあ……仕方ないよ」
彡(•)(•)「クソが、芸術的な理解力とチケットの価格が反比例しとるやんけ!」

334名無しさん:2024/06/20(木) 20:27:10 ID:BpvzBis20
ブー
(;´・ω・` ) .。oO(後半が始まった……)

♪♪♫

(´・ω・`) .。oO(もうそろそろ終盤の盛り上がりどころだ)

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『終わったら次どこ行く?』

彡(•)(•)「ぐ……」
(;´・ω・` )「アドルフ抑えて……ここで暴れたら劇が台無しだよ」

彡;(-)(-)……
(;´・ω・` )「ふぅ……」

・・・

335名無しさん:2024/06/20(木) 20:27:31 ID:BpvzBis20
(´-ω-`) .。oO(無事に終わった……)
でも、大事なのはここから……
見終わった後の余韻と共に聴くオーケストラの演奏は至福のひと時なんだ

(〃` 3´〃)「ブラボー!!!」

( ;´-ω-` ) .。oO(最悪……まだ演奏は続いているのに……)
マナー違反だし、無粋にもほどがある……

(;´・ω・` ) .。oO(すべてが台無しだ)

336名無しさん:2024/06/20(木) 20:27:54 ID:BpvzBis20
彡(●)(●)「もう我慢できん!!!」
彡(●)(●)「黙れやゴラァ!!!」=◯)`3゜)∵

(。゚ω゚)「アドルフ!暴力はダメだよ!!」
彡(●)(●)「そんな綺麗ごとに付き合ってられるか!!」

彡(●)(●)「こういうアホは痛い目に合わんと学ばんのや!!」
彡(●)(●)「これは教育や!!」=◯)`3゜)∵

(。゚ω゚)「だからダメだって!!」

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『おいおい兄ちゃん……その辺で止めとけ』

彡(●)(●)「あん?」
彡(●)(●)「ワイが悪いって言うんか!?」

337名無しさん:2024/06/20(木) 20:28:16 ID:BpvzBis20
彡(●)(●)「どの口でそんな戯言をほざくんや!!」

彡(●)(●)「お前らみたいな芸術を介する脳を持たん筋肉バカが」
彡(●)(●)「偉そうにワイを非難するなや!」

彡(●)(●)「そもそも……」
彡(●)(●)「なんでお前らみたいなのがステファニーの側におるんや!」

(;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)『ステファニーって誰だよ……』

彡(●)(●)「彼女を誘惑しといて、彼女のことを知らんやと……」
彡(●)(●)「ふざけんなや!!!」=◯)`3゜)∵

(;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)『えぇ…』

その後、警察の人が来て事情聴取された
だが、アドルフの猛烈な自己弁護が功を奏し
放免されることになった

338名無しさん:2024/06/20(木) 20:28:40 ID:BpvzBis20
今回はここまで

339名無しさん:2024/06/20(木) 20:58:50 ID:fOHtJAxQ0
おつ!

340名無しさん:2024/06/20(木) 23:36:53 ID:h3sPFODM0
乙です

341名無しさん:2024/06/21(金) 10:46:58 ID:lcXlTLjM0
おつ

342名無しさん:2024/06/21(金) 18:50:30 ID:SXetiiDw0
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
ボクとアドルフは大通りを歩いていた
するとそこではデモ行進が行われていた

(# ゚Д゚) # ゚Д゚)# ゚Д゚)「民族統一!」「社会改革!」「貧民救済!」
若者たちがプラカードや垂れ幕を持って練り歩いている

343名無しさん:2024/06/21(金) 18:51:00 ID:SXetiiDw0
(´・ω・`)「アドルフは政治に関心があるけど…」
(´・ω・`)「ああいったものには参加しないね」

彡(-)(-)「あんなん、ただ扇動されとるだけの……」
彡(゚)(゚)「自分の意志すらなく動かされとる哀れな奴らや」

彡(゚)(゚)「あいつらと一緒におっても堕落するだけ……」
彡(゚)(゚)/「ワイはワイの道を行くわ!!」

(;´・ω・` )「ちょ、アドルフ 声が大きいよ…」

彡(゚)(゚)「まあでも、どうせ何も変えられないと諦めとる大人よりはマシやな」
彡(●)(●)「あきらめた者に生きる権利なんてないわ!」

(。゚ω゚)「だから声が大きいって…」

彡(゚)(゚)「そろそろ帰るか 浮浪者が多くなってきよった」
( ˘ω˘ ; )「そうだね ま、周りの目も怖いしね…」

344名無しさん:2024/06/21(金) 18:51:30 ID:SXetiiDw0
彡(^)(^)「おっ、図書館やんけ 寄ったろ!」
(;´・ω・` )「えぇ…ねえ早く帰ろうよ 危ないよ」

彡(゚)(゚)「なにが危ないねん!はよ行くぞ!」
Σ( °ω° )「あっ待ってよ」

(´・ω・`)「あれ?君はあっちの図書館を使ってるんじゃなかったっけ?」
彡(゚)(゚)「色んな本を借りられるように三つの図書館の会員になっとるで」

(´・ω・`)「君はありとあらゆる本すべてを読もうとしているのかい?」
彡(●)(●)「アホなこと言うなや!!」

彡(●)(●)「そんなもん無理に決まっとるやろう!!」
(;´・ω・` )「ちょっとした冗談だよ……そんなに怒らないでよ……」

345名無しさん:2024/06/21(金) 18:51:52 ID:SXetiiDw0
(´・ω・`) .。oO(真面目に質問したつもりだったんだけどな……)
だって、本のないアドルフを想像できないもん
彼は部屋に本を積み上げて
常になにかを読んでいる
出かける際も、最低一冊は本を持ち歩いている

アルコール中毒者が酒を手放せないように
アドルフは本を手放せなくなっているかのよう
まるで読書中毒者だ

彡(゚)(゚)「ふんっ、はよ行くぞ!」

346名無しさん:2024/06/21(金) 18:52:26 ID:SXetiiDw0
図書館

パラパラ
(´・ω・`)「さっきから何を読んでるの?」

彡(•)(•)「ル・ボンの『群衆心理』や」
彡(⦿)(⦿)「これは凄いで」

( ;´-ω-` )「また建築と関係ない本を読んで…」
(;´・ω・` )「どっちかと言うとそれは政治系の本じゃないの?」

彡(゚)(゚)「これからは群衆が中心の世界になるからな 勉強しとかんと」
(;´・ω・` )「で、でも直接、建築には関係しないよね…」

彡(-)(-)「ハァ〜お前は本当に…なんというか小市民的やなぁ」
彡(゚)(゚)「金や職に関わらん本でも進んで読むべきやぞ」

(;´・ω・` )「えーやだよ、面倒くさい」
彡(-)(-)「ハァ〜」

347名無しさん:2024/06/21(金) 18:52:59 ID:SXetiiDw0
彡(⦿)(⦿)「おお!この本は本当に参考になるで…」
彡(゚)(゚)ノ「クビツェク!お前も愚かな群衆にならんようにこの本を読むんや!」

彡(゚)(゚)「これはこの世の真実やぞ!」

(;´・ω・` )「わかったよ…どれどれ」
彡(●)(●)「なにしとんねん! なんで目次をとばすんや」

(;´・ω・` )「え…どうせ全部読むし…」
彡(-)(-)「全く、お前は本の読み方も知らんのやな…」

彡(゚)(゚)「ええか、読書ってのは本を選ぶ時から始まっとるんや」
彡(゚)(゚)「ワイは馬鹿みたいに本を読む奴を知っとる 奴らは一字一句読む…」

彡(-)(-)「でもな、ワイはそいつらを『博識』とは呼ばん」
彡(゚)(゚)「確かにそいつらは膨大な知識を得る」

348名無しさん:2024/06/21(金) 18:53:26 ID:SXetiiDw0
彡(゚)(゚)「でもそいつらは脳に取り入れた知識を分類整理する方法を知らん」
彡(●)(●)「一番大事なのは目次なんや!」

彡(゚)(゚)「最初に核心部分から読むのが秘訣や!」
彡(-)(-)「そしてそこだけを覚えて頭の図書館にしまい込むんや」

(´・ω・`)……
確かにアドルフの本のチョイスはその辺の読書家よりも優れていた
でも彼の読書は、自分の考えの欠けたピースを埋めるため
いわば知識の補完だ
つまりは自己確認の意味合いが強かったように思う

349名無しさん:2024/06/21(金) 18:53:59 ID:SXetiiDw0
彡(゚)(゚)「ちなみにこの『群衆心理』は全部が核心や!」

(;´・ω・` )「えぇ…」
( ;´-ω-` )「だったら怒らなくてもよかったのに」

彡(゚)(゚)「細かいことは気にすんなや」
彡(゚)(゚)/「つうことで今から本屋に行くで!この本は買わなアカン!」

(;´・ω・` )「ええ〜今から〜」

彡(^)(^)「いやぁ〜こんな本に出会ったんは……」
彡(^)(^)「『ドイツ英雄伝説』以来かもしれんな!」

彡(゚)(゚)「はよ行くで」

350名無しさん:2024/06/21(金) 18:54:52 ID:SXetiiDw0
┗(゚)(゚)ミ┓三三3    (‘・ω・`; )
アドルフを追いかけようとした時、トントンと肩を叩かれた

(;´・ω・` )「はい?」

<#`Д´>「図書館ではお静かに!!!」

(。゚ω゚)「ひぃ ごめんなさい」

彡(゚)(゚)「あん?」
彡(●)(●)「なんや!お前の方がうっさいやんけ!」

351名無しさん:2024/06/21(金) 18:55:16 ID:SXetiiDw0
:(´ºωº`):「アドルフ!なに言ってんの…」
(;´・ω・` )「ほら 本屋に行くんでしょ」

彡(゚)(゚)「いや待てや、どう考えても声量はあいつの方が…」
(´ᴖωᴖ`;)「もう、いいから!ごめんなさい〜」

(´ᴖωᴖ`;)っ彡(゚)(゚) 三三3         <`Д´#>

352名無しさん:2024/06/21(金) 18:55:45 ID:SXetiiDw0
彡(^)(^)「♪」テクテク
(´ᴖωᴖ`;)「本があってよかったね」

彡(>)(<)「うん♬」

アドルフは子供みたいによろこんでる
喧嘩にならなくてよかった……
それにしても……

(´・ω・`)「アドルフは確かに凄い記憶力を持ってるけど…」
(´・ω・`)「本当に本だけで勉強を完成させるつもりなの?」

(;´・ω・` )「人からも学んだほうが…」

353名無しさん:2024/06/21(金) 18:56:17 ID:SXetiiDw0
彡(-)(-)「ハア〜なにを言うかと思えば…」
彡(゚)(゚)「確かにお前には教師が必要みたいやな」

彡(•)(•)「でもワイは違う!」
彡(●)(●)「ワイに教師は必要ない」

彡(゚)(゚)「ちなみに他人頼りのお前みたいなのを…」
彡(゚)(゚)「他人の机で学ぶ居候っていうんやで」

(´・ω・`)「う〜ん この名言はいまいちだな」
(´・ω・`) .。oO(う〜んボクにはよくわかんないや)

彡(•)(•)「なんやと?」
(。゚ω゚)「しまった、本音と建前が逆だった」

354名無しさん:2024/06/21(金) 18:56:41 ID:SXetiiDw0
彡(゚)(゚)「なにをいうとんのや?」
(´ᴖωᴖ`;)「なんでもないよ!ほら早く帰ろ!」

(;`・ω・´)「その本 読むんでしょ!?」
彡(^)(^)「せやった はよ帰るで〜♪」

帰宅後

彡(-)(-)「つまり、群衆に理論は通じんで感情が聞くんや」
彡(^)(^)「それみろや、この本の著者もワイと同じ考えや」

(´-ω-` ; ) .。oO(アドルフはよく、読書の後こう言った)
君の読む本は、君があのやり方で選ぶんだから
そうなるのも当然じゃん……

355名無しさん:2024/06/21(金) 18:57:02 ID:SXetiiDw0
今回はここまで

356名無しさん:2024/06/21(金) 19:28:34 ID:cy/3XkLw0
乙じゃ

357名無しさん:2024/06/22(土) 20:23:27 ID:U2Mn3lZA0
ガチャ
(´・ω・`)「ただいまー」

彡(゚)(゚)「おかえりやで」

(´・ω・`)「あれ?ピアノを弾いているの?」
彡(゚)(゚)「せや、自作のオペラを作ろうと思ってな」

(;´・ω・` ) .。oO(この時間は……)
ボクがピアノの練習をするって約束してたのに

( ;´-ω-` ) .。oO(でも……)
変わってくれそうな雰囲気ではないな……

358名無しさん:2024/06/22(土) 20:23:51 ID:U2Mn3lZA0
彡(゚)(゚)「それでや、ワイが今から歌ってみるさかい」
彡(゚)(゚)「ちょっと聴いてみてくれや」

(;´・ω・` )「うん……分かったよ」
彡(゚)(゚)「ほな、いくで」

彡(゚)(゚)♩♩♩♩♩

(;´・ω・` ) .。oO(うーん……)
単調で拍子も調整もない……音符を置いているだけ
音程も外れている
正直……最低限の音楽理論も知らない素人が思い付きで描いた駄作だ

359名無しさん:2024/06/22(土) 20:24:23 ID:U2Mn3lZA0
彡(゚)(゚)「……どや?」
(;´・ω・` )「……テーマはいいけど」

(;´・ω・` )「オペラと呼ぶにはほど遠い出来だよ……」
彡(゚)(゚)……

(´・ω・`)「よかったら、基礎的なオペラ理論を教えようか?」

彡(•)(•)「バカにすんな!!」
彡(•)(•)「今さら一から音楽理論なんて学んでられるか!!」

(;´・ω・` )「でも……そんなんじゃ一生、完成しないよ」
(;´・ω・` )「それに、読書をする君なら分かるだろ?」

(´・ω・` )「知識や理論がどれだけ大事なものかを」
彡(•)(•)「ぐぬぬ……」

360名無しさん:2024/06/22(土) 20:24:45 ID:U2Mn3lZA0
彡(-)(-)「……分かった」
彡(゚)(゚)「アドバイス、頼むわ」

(´・ω・` )「うん、任せて」

・・・

(´・ω・`)「そこはね、そうじゃなくて……」
彡(•)(•)「ぐぬぬ……」

(´・ω・`)「違うよ、それだと小節ごとに拍子が変わっちゃうよ」
彡(•)(•)「ぐぬぬ……」

(´・ω・`)「ここは、こういう風に正しい形式にしないと」
彡(•)(•)「……どっちが作曲者や?」

(´・ω・`)「え?」
彡(●)(●)「ワイとクビチェク、どっちがこのオペラの作曲者なんや!?」

361名無しさん:2024/06/22(土) 20:25:10 ID:U2Mn3lZA0
(;´・ω・` )「それは君だけど……何をそんなに怒ってるんだい?」
彡(-)(-)「このままやと、ワイの構想とまったく別のもんができあがる」

(´・ω・`) .。oO(あぁ…そういうことか……)
きっとアドルフの頭の中には完成した曲が出来上がっている
でも、ボクを仲介することによって彼の創作は歪められていく
ボクが培ってきた音楽知識が彼の邪魔になっているんだ

スケッチなら
鉛筆を介して思う存分にアイディアを具現化することができるアドルフでも
音楽ではそうはいかない
ボクはアドルフの楽器にはなれないのだから

彡(゚)(゚)「なにか別の方法を考えんとな……」

362名無しさん:2024/06/22(土) 20:25:40 ID:U2Mn3lZA0
ある日の劇場帰り
夜の公園をボクとアドルフは歩いていた

(´・ω・`)「あ!アドルフ見て!」
(´^ω^`)「噴水がライトアップされていてとても綺麗だね」

彡(゚)(゚)「ホンマやな……」

噴水は夜の闇に照らされて夢のように浮かび上がっていた
水しぶきは絶え間なく吹き上がり
燃えるような赤色、明るい黄色、澄み渡る青色に輝いていた
まるでこの世のモノとは思えない神秘的な世界を表現していた

彡(゚)(゚)「これは使えるで……」

363名無しさん:2024/06/22(土) 20:26:05 ID:U2Mn3lZA0
あくる日

ガチャ
(´・ω・`)「ただいまー」

彡(゚)(゚)「おかえりやで」

(。゚ω゚)「うわっ!なんだいこれ?」
ピアノの上に電灯が置かれていた

彡(゚)(゚)「ちょっとした実験で、音と色を融合させようと思ってな」
(´・ω・`)「どういうこと?」

彡(゚)(゚)「オペラについて考えとる内に思いついたんや……」
彡(゚)(゚)「言葉は音楽を表現するには複雑すぎるってな」

(´・ω・`)「なにを言っているんだい?」
(´・ω・`)「音に合わせて歌うなんて当たり前のことじゃないか」

364名無しさん:2024/06/22(土) 20:26:34 ID:U2Mn3lZA0
彡(゚)(゚)「まあ、ええから見とけ」
アドルフはピアノを弾くと同時に、手に持っていたボタンを押した
すると、ピアノの上に乗っていた照明器具が点灯した
そして、音を鳴らしてはボタンを操作し、照明を点けては消したりした

彡(゚)(゚)「どうや?」
(;´・ω・` )「どうって言われても……点滅してるねとしか……」

彡(゚)(゚)「今は一つの色しかないが、それぞれの音に色を割り当てたら」
彡(゚)(゚)「オペラになると思わんか?」

(´・ω・`)「あのさ……楽器や歌の練習が嫌だからって」
(´・ω・`)「そんな小手先の技術に逃げるのはよくないよ」

彡(●)(●)「誰が逃げとるや!!」
彡(●)(●)「ワイは新しいオペラの発見をやな!!」

365名無しさん:2024/06/22(土) 20:27:02 ID:U2Mn3lZA0
(´・ω・`)「だって、音と色の融合なんて、どの音楽家もやってないよ」
(´・ω・`)「アドルフの案がいいものなら……とっくに誰かがやっているよ」

彡;(゚)(゚)「そんなはずはない……これは新発見や!」
( ;´-ω-` )「そんなに言うなら、しばらくやってみなよ……」

後日
彡;(゚)(゚)「あー電線が細かくて手もとが……ん?」

ビリビリ
彡()()「電気を触ると……体は……痺れるん…やな……」

(´・ω・`)「もう……死なないでよ」
新聞でも読もう……ふむふむ

『ロシア人作曲家!音と色を合わせた色彩的音楽を発表!!』

(;´・ω・` ) .。oO(……アレ?)
コレってアドルフの案と同じだよね……

366名無しさん:2024/06/22(土) 20:27:24 ID:U2Mn3lZA0
( ˘ω˘ ; ) .。oO(あちゃー)
アドルフの発想は間違ってなかったんだ
自分の知識を過信して、うぬぼれちゃってたな……

(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう、アドルフに…正直に伝える?)

彡()()「ビクン……ビクン……」

( ˘ω˘ ; ) .。oO(怒られたら嫌だし……黙っておこう)

367名無しさん:2024/06/22(土) 20:27:53 ID:U2Mn3lZA0
ガチャ
(´・ω・`)「ただいまー」

彡(゚)(゚)「おかえりやで」

彡(゚)(゚)「なあクビチェク、教えて欲しいことがあるんやが」
(´・ω・`)「なんだい」

彡(゚)(゚)「古代ゲルマン人の音楽についてなんやが」
(´・ω・`)「うーん……ボクもあまり知らないや」

彡(゚)(゚)「どんな楽器を使ってたかも分からんか?」
(´・ω・`)「それなら分かるよ」

(´・ω・`)「代表的なのは太鼓と笛かな」
(´・ω・`)「後はルールーっていうトロンボーンみたいな楽器もあるよ」

368名無しさん:2024/06/22(土) 20:28:16 ID:U2Mn3lZA0
彡(゚)(゚)「それだけやと厳しいな……」
(´・ω・`)「次はいったい、なにを思いついたんだい?」

彡(゚)(゚)「太古のゲルマン音楽に従ったオペラを作曲しようと思ってな」
彡(゚)(゚)「そしたら、もっと単純で簡単な分かりやすいオペラになるやろ」

(´・ω・`)「また、そうやって君は楽を……」

(´・ω・`) .。oO(待てよ……)
前はアドルフの案をボクはありえないと否定したけ
でも、それは間違いだった
ボクはこの案が現代の人間に受け入れられるとは到底思えないけど
もしかしたらボクの見込み違いかもしれない

(´・ω・`) .。oO(もう少し、アドルフに付き合ってみよう)

369名無しさん:2024/06/22(土) 20:28:41 ID:U2Mn3lZA0
彡(゚)(゚)「他にもなんかあるやろ?」
(´・ω・`)「うーん…分からないな」

彡(-)(-)……!
彡(゚)(゚)「せや!思い出した」

彡(゚)(゚)「スカルドって吟遊詩人がおったやろ」
(´・ω・`)「古代の詩人だね……それがどうしたの?」

彡(゚)(゚)「スカルドの歌は何によって伴奏されとった?」
(´・ω・`)「あ!たしか…ハープのような楽器を使ってた」

(´・ω・`)「さすがアドルフ、鋭いね」
彡(゚)(゚)「お前の勉強不足やろ」

( ˘ω˘ ; ) .。oO(ぐっ、何も言い返せない)

370名無しさん:2024/06/22(土) 20:29:03 ID:U2Mn3lZA0
彡(゚)(゚)「ここまで分かったら、逆算して……」
彡(゚)(゚)「古代の音楽を推測できんか?」

(;´・ω・` )「うーん……ボクには難しいや」
(´・ω・`)「ちょっと待ってて、教科書見てみるよ」

パラパラ
(´・ω・`)「あ!少しだけど書いてあるよ。読むね」

ゲルマン人の音楽は、純粋なメロディー中心の水平的な地中海諸民族とは反対に
和音中心の垂直的な音楽だったみたいだ
もしかしたら、古代のゲルマン人は長調と短調を分かっていたのかもしれない

(´・ω・`)「だって」
彡(゚)(゚)「よっしゃ!それだけの情報があれば、後はなんとかできるわ」

彡(゚)(゚)「やるでクビチェク!!」
(´・ω・`)「うん」

371名無しさん:2024/06/22(土) 20:29:30 ID:U2Mn3lZA0
数時間後
彡;(゚)(゚)「うーん……なんか微妙や……」
(;´・ω・` )「聴きごたえのある曲にするには音階が絶対に必要だよ」

(;´・ω・` )「嫌かもしれないけど、近代の楽器で代用するしかないよ」
彡;(゚)(゚)「背に腹は代えられんか……その案は採用や!!」

その後も何日も、ボクとアドルフはあーでもない、こーでもないと
知恵と熱意と時間を浪費し続けた

(´-ω-`)Zzz……
彡(•)(•)つ「なに寝とんねん、起きろや!」

372名無しさん:2024/06/22(土) 20:29:53 ID:U2Mn3lZA0
(っω-`)「ん……もう……今日はこの辺で……」
彡(●)(●)「なに言っとんのや!今いいとこやろうが!!!」

ドン!!
「うっせえぞ!何時だと思ってんだ!」

彡(●)(●)「あん?」
(。゚ω゚)「落ち着いてアドルフ…ちゃんと付き合うから」

(;´・ω・` )「でも、声は小さくね」

(´・ω・`) .。oO(なにやってんだろ……)
こんな一円にもならないことをやって……
大学の勉強をしていた方がよっぽど有意義なのに
……
でも、アドルフとこうやって何かを創作するのは

(´^ω^`) .。oO(とても楽しいや)

373名無しさん:2024/06/22(土) 20:30:17 ID:U2Mn3lZA0
それからもボクとアドルフのオペラ創作は続いた
でも、ボクは音大の勉強、アドルフにも緊急を要する問題で忙しくなり
いつしか、話題にすら上がらなくなってしまった

こうしてボクとアドルフの共同制作オペラ
『鍛冶屋ヴィーラント』は未完成のまま終わった

374名無しさん:2024/06/22(土) 20:30:38 ID:U2Mn3lZA0
今回はここまで

375名無しさん:2024/06/22(土) 22:04:34 ID:8FviI0KI0


376名無しさん:2024/06/22(土) 22:06:42 ID:Y5MuqNs20
乙乙
現代の学生で言うところのオールナイトか
誰かと過ごすのは楽しいよね

377名無しさん:2024/06/22(土) 23:36:24 ID:t8DMU8vI0
群集心理………着々と聞こえてくるんだよな総統閣下の足跡が。

378名無しさん:2024/06/22(土) 23:37:18 ID:t8DMU8vI0
>>377ミスった。正確には足音が、でした。

379名無しさん:2024/06/22(土) 23:50:25 ID:anXrMZLg0
乙乙

380名無しさん:2024/06/23(日) 21:36:28 ID:nX3jRR8Y0
彡(゚)(゚)「カー世の中アホばっかやで!」
(´・ω・`)「どうしたんだよ急に?」

彡(゚)(゚)ノ「これ見てみいや」
新聞を手渡された

(´・ω・`) .。oO(ふむ、なになに)
『オーストリア全国音楽協会が音楽活動普及のため小学校にピアノを寄贈』
と書かれていた

(´・ω・`)??
(´・ω・`)「これの何が悪いの?」

(;´・ω・` )「いいニュースじゃない…」

381名無しさん:2024/06/23(日) 21:36:50 ID:nX3jRR8Y0
彡(゚)(゚)「あのな、やっとることはよくてもな」
彡(•)(•)「やり方がアホなんや!」

彡(-)(-)「こんなちまちま回りくどいやり方しよって」

(;´・ω・` )「普及活動はそういうものだよ…」
(;`・ω・´)「それにそんなに言うなら 君ならどうするつもりなの?」

彡(゚)(゚)「そんなん決まっとる!」
彡(^)(^)「移動帝国歌劇団や!!」

(;´・ω・` ).。oO(はぁ?)
アドルフの悪い癖だ
彼は自分が作った造語をさも当然のように使ってくる

382名無しさん:2024/06/23(日) 21:37:39 ID:nX3jRR8Y0
(;´・ω・` )「えっと、その移動大帝キャラバンは」
彡(•)(•)「移動帝国歌劇団や!」

(;´・ω・` )「ごめん、ごめん その移動帝国歌劇団ってなに?」
彡(゚)(゚)「ハァ…ほんまにクビチェクは何も知らんな…」

( ;´-ω-` )「分かるわけないじゃん……」
彡(゚)(゚)「ええわ 教えたる」

383名無しさん:2024/06/23(日) 21:38:06 ID:nX3jRR8Y0
(;´・ω・` )「えっと、その移動大帝キャラバンは」
彡(•)(•)「移動帝国歌劇団や!」

(;´・ω・` )「ごめん、ごめん その移動帝国歌劇団ってなに?」
彡(゚)(゚)「ハァ…ほんまにクビチェクは何も知らんな…」

( ;´-ω-` )「分かるわけないじゃん……」
彡(゚)(゚)「ええわ 教えたる」

384名無しさん:2024/06/23(日) 21:38:52 ID:nX3jRR8Y0
アドルフの説明によると移動帝国歌劇団は
国の辺境隅々までオーケストラを派遣して
ベートーヴェンの『運命』や『第九』いった名曲を
多くの人々に届ける事業のようだ

(`・ω・´)「へぇー アドルフにしてはいい案じゃない」
彡(^)(^)「やろ!」

彡(゚)(゚)「ん?ワイにしてはってどういう…」
(´ᴖωᴖ`;)「いやいや、最高の案だよ さすがだよアドルフ!」

彡(^)(^)「せやろ!」
彡(^)(^)「楽器の持ち運びにはな……」   
 
アドルフは鼻息荒く詳細な構想を語りだした

385名無しさん:2024/06/23(日) 21:39:33 ID:nX3jRR8Y0
(´・ω・`)……
ほんとに誰に頼まれたわけでもないのによくここまで考えるよ
でも、ここまで事細かに練ってあるってことは…
前から考えてたってことだよね

(;´・ω・` )「ねえ、アドルフ」
彡(`)(´)「なんや、今いいとこやのに!」

(´・ω・` )「君は建築家になるんだろ?音楽にかまけてていいの?」
(´・ω・`)「音楽はボクの分野なのに」

彡(゚)(゚)「だからやろ」
(´・ω・`)「え?」

彡(^)(^)「お前がそばにおるから考えるんや」
(´・ω・`)「ボ、ボクのために…」

386名無しさん:2024/06/23(日) 21:40:25 ID:nX3jRR8Y0
(;`・ω・´)「じゃあ!もしかしてそのオーケストラの指揮をするのは…」
彡(゚)(゚)「そんなん決まっとる」

(´・ω・`)「アドルフ…」
彡(゚)(゚)「クビチェク お前でないことは確かや!」

(;´・ω・` ) .。oO(え?)
っとガッカリしたとたんアドルフは彡(^)(^)と笑みをみせた

ピキツ
(ꐦ`•ω•´)「アドルフ!ボクをからかったな!!」

(ꐦ`•ω•´)「ひどいじゃないか!!!」
彡;(゚)(゚)「そ、そんなに怒こんなや…」

387名無しさん:2024/06/23(日) 21:40:54 ID:nX3jRR8Y0
(ꐦ`•ω•´)「いいや怒るね!君はボクの夢を笑ったんだ!!」
彡;(゚)(゚)「わ、わかった ちゃんと指揮者になれたら呼んだるさかい」

(`-ω-´)「いいや遠慮しとくね!」
(ꐦ`•ω•´)「誰がそんなオーケストラに参加するもんか!」

彡(•)(•)「そんなとはなんや!」
彡(●)(●)「そん時になって泣いて頼んでも遅いんやで!!」

(ꐦ`•ω•´)「絶対にお断りだね!!」

388名無しさん:2024/06/23(日) 21:41:17 ID:nX3jRR8Y0
ちなみに
彡(>)(<)ノ「ワイが作詞作曲したこれも一緒に届けるんや!」

(´・ω・`) .。oO(ふむ、どれどれ)
走れー♪ 光速のー♩ 帝国歌劇団♫
唸れー♪ 衝撃のー♩ 帝国歌劇団♫

彡(゚)(゚)「どや?ええやろ」
(;`・ω・´)「アドルフ これはダメだ」

彡;(゚)(゚)「な、なんでや!いい出来やろ!」
(;`・ω・´)「あまりにも前衛的すぎる 色々問題がでるよ」

彡;(゚)(゚)「いや、でも…」
(ꐦ`•ω•´)「分かったね!!!」

彡(-)(-)「……はい」

389名無しさん:2024/06/23(日) 21:41:46 ID:nX3jRR8Y0
彡(゚)(゚)「カー世の中アホばっかやで!」
( ;´-ω-` )「はぁ…次はなんだい?」

彡(゚)(゚)ノ「これ見てみいや」
アドルフから新聞を手渡された

(´・ω・`) .。oO(ふむ、なになに)
ライト兄弟の記事だ
確か、ライト兄弟は空飛ぶ機械
飛行機を作って飛ばした最初の人だったかな?

記事の一面には
『ライト兄弟!飛行機による射撃実験を開始!!』
と書かれていた

390名無しさん:2024/06/23(日) 21:42:24 ID:nX3jRR8Y0
(;´・ω・` )「確かに物騒な記事だね…」
彡(•)(•)「新しい発明をすぐに戦争の道具にしよってからに!」

彡(●)(●)「ふざけんなや!」

彡(゚)(゚)「戦争を命じるのはいつも王や支配者や」
彡(-)(-)「自分らは安全な場所から莫大な富を得るくせに…」

彡(•)(•)「何もしらない平民は犠牲になるだけや!」
彡(●)(●)「ほんま世の中狂っとるわ!!」

(;´・ω・` ) .。oO(前は戦争を望んでいたのに……今は戦争を憎んでいる)
どちらもきっと彼にとって本心なんだろうけど…
ボクとしては戦争を憎むアドルフでこの先もあって欲しいな

391名無しさん:2024/06/23(日) 21:42:55 ID:nX3jRR8Y0
彡(゚)(゚)「カー世の中アホばっかやで!」
( ;´-ω-` )「……次の関心事はなんだい?」

彡(゚)(゚)ノ「これ見てみいや」
アドルフから新聞を手渡された

(´・ω・`) .。oO(ふむ、なになに)
『失業率増加、経済成長率過去最低、自殺者増』と書かれていた

( ;´-ω-` )「不景気で嫌な世の中だね……」

392名無しさん:2024/06/23(日) 21:43:25 ID:nX3jRR8Y0
彡(•)(•)「政治家も資本家も役人も誰もかも………」
彡(●)(●)「自分のことしか考えとらん!!」

彡(•)(•)「故郷を失い、職を失い、希望を失っとる……貧民のことを…」
彡(●)(●)「誰もが他人事やと思っとる!!」

彡(●)(●)「そんなんじゃアカン!!」

(´・ω・`)………
アドルフは全身全霊を込めて運命に見放された人々
貧困者たちについて
どうしたらよいかとひたすらに考え、憤っていた

(´・ω・`) .。oO(たしかに…)
ボクたちも貧しい生活をしているから
貧困者たちの苦しみも理解できる
でも、同情だけでそこまでの力は出ない

393名無しさん:2024/06/23(日) 21:43:46 ID:nX3jRR8Y0
( ;´-ω-` ) .。oO(きっと自分の運命を切り開こうとしてるんだ……)
時代はアドルフを含め、多くの人を貧困へと追い込んでいた
そのような強大な力に個人で太刀打ちできるはずがない

(;´・ω・` ) .。oO(だから、彼は考えるだ……)
一人で敵わないなら、数を集めればいい
そしたら僅かでも打開策が見えてくる
少しでも希望があれば、人は精神のバランスを保つことができる
そして、暗い展望と意気消沈した日々から抜け出し
明日に向かって生きていけるんだ……と思う

394名無しさん:2024/06/23(日) 21:44:10 ID:nX3jRR8Y0
でも……矛盾していることに
アドルフは大衆とは常に距離を取り
彼らの中に入っていくことを拒んでいた
だからきっと、恐ろしいまでの燃えるようなアドルフの想いが
困窮している人々に燃え移っていくことはないだろう

( ;´-ω-` ) .。oO(それが幸か不幸か、ボクには分からない……)

395名無しさん:2024/06/23(日) 21:44:35 ID:nX3jRR8Y0
今回はここまで

396名無しさん:2024/06/23(日) 22:04:18 ID:TNeG6PYA0


397名無しさん:2024/06/23(日) 22:14:24 ID:4UB9j0EU0
乙乙
確かにその曲はいけない


その曲はいけない

398名無しさん:2024/06/24(月) 20:17:12 ID:armf4McQ0
劇場
彡(^)(^)「やっぱりワーグナーは最高や!」

(`-ω-´)「リンツの劇場でも何回も見たけど…」
(´^ω^`)「やっぱり都会のものは格が違うね!」

彡(-)(-)「ワイはいつかドイツ民族の巡礼の地・バイロイトに訪れるで…」
彡(゚)(゚)「ヴァーンフリート館を見て、ワーグナーの墓参りをするんや…」

彡(゚)(゚)/「そしてワーグナー自身が作った劇場でワーグナーの作品を見る!」
彡(>)(<)「くぅ〜夢が広がるで!」

(´・ω・`) .。oO(まーた始まった……)
バイロイトで行われるワーグナーの劇は
成功者の中でもさらに一握りの選ばれた人しか見る事ができない
立ち見席が常連のボクたちには夢のまた夢の話だ
とは言いつつ……口にはだせないけど
ボクもアドルフと同様に夢見る住人の一人だったりする

399名無しさん:2024/06/24(月) 20:17:37 ID:armf4McQ0
|⌔•..)チラ……チラ…

(´・ω・`) .。oO(なんだ、視線を感じる)
向こうの女性がこっちを見てる……?

|⌔•..)チラ……チラ…

(。゚ω゚) .。oO(え!もしかして……ボクのことを……)
(,,>ω<,,)ドキドキ

|⌔•..)チラ……チラ…           彡(゚)(゚)

( ´-ω-` ) .。oO(違う…)
この視線はアドルフに向けられたものだ……

400名無しさん:2024/06/24(月) 20:18:04 ID:armf4McQ0
彡(゚)(゚)←コレは質素な服装で素っ気ない控え目な態度……
ボクと大して変わらないのに……
一体どこに差があるんだろう?

(´・ω・`) .。oO(確かに、アドルフには謎の魅力がある)
あの婦人なんて振り返ってまでアドルフを見つめている
劇場で振り返るのはマナー違反だって誰でも知っているのに…

彡(`)(´)「なんや 今日は客層が悪いな!行くでクビツェク」
(´・ω・`)「う、うん」

(´・ω・`)……
アドルフはなにも朴念仁でなければ天然ジゴロでもない
ちゃんと彼女たちの熱意をキャッチしているし
思わせぶりな態度なんて絶対に取らない

J(„❛⌄❛„)を好きなようにノンケ、同性愛者でもない
なのにアドルフは何もしなかった

彡(゚)(゚)「全く、なっとらん、なっとらんなぁ」

401名無しさん:2024/06/24(月) 20:18:33 ID:armf4McQ0

(´・ω・`)「アドルフってモテるよね?」
彡(゚)(゚)「ん……なんのことや? それより来週の公演は〜」

(´・ω・`)……
アドルフは強い女運を持っている
なのに、その幸運を利用しようとしない

恋人でもいれば……
自分で『犬のような生活』と呼んでいる惨めな生活も
少しは美しく彩られることになるだろうに

402名無しさん:2024/06/24(月) 20:18:57 ID:armf4McQ0
魅力だけじゃない、彼には……
読書で知り得た膨大な知識
スケッチや演説といった技
そして何にでも真剣に取り組む情熱
アドルフには普通の人にはないたくさんの才能があった
でも彼は頑なにチャンスを掴もうとしない

行動力がないわけでもない…
有りすぎるくらいだ
それなのに何も起きない
本当に不思議だ……

403名無しさん:2024/06/24(月) 20:19:18 ID:armf4McQ0
彡(゚)(゚)「そろそろ後半が始まるで 戻ろうや」
(´・ω・`)「うん」

|⌔•..)つ「あの……これ……」
彡(゚)(゚)「はぁ…どうも」

女性はアドルフの袖を引っ張り、カードを一枚手渡し
|彡サッとすぐ、駆けて行った

(`・ω・´) .。oO(おお!秘密を解き明かす絶好の機会!!)
それにそうだ…
視線だけを送られたからって奥手の
彡(゚)(゚)←コレが反応するはがずない!
でも、これだけ明確に愛を伝えられたんだ
きっとアドルフにもロマンスが始まるに違いない!

404名無しさん:2024/06/24(月) 20:19:40 ID:armf4McQ0
彡(-)(-)「ハアー」
(。゚ω゚) .。oO(え、ため息?)

彡(゚)(゚)「またや」
(。゚ω゚)「え…!」

彡(゚)(゚)ノ「見てみいや、これ……」
(;´・ω・` )「う、うん……恋文みたいだね」

彡(゚)(゚)「お前やったらこの意味ありげな誘いに応じるか?」
(;`・ω・´)「これはボクの問題じゃなくて、君の問題じゃないか」

(;´・ω・` )「…でもボクなら、あの娘を失望させたくないかな」
彡(゚)(゚)「そか」

405名無しさん:2024/06/24(月) 20:20:05 ID:armf4McQ0
ヴー
Σ彡(゚)(゚)「お、そろそろ始まるで」スタスタ

(。゚ω゚) .。oO(え!それだけ!!)

( ´-ω-` )でも、仕方ない…
アドルフが変なのは今に始まったことじゃない
でもいったい、女性たちはアドルフのどこに惹かれているんだろう?

たしかに彡(゚)(゚) ←コレは均整のとれた顔立ちでスラリとしている
でも一般的に「美男子」と呼ばれる容姿ではない

彡(゚)(゚)「あの主役、なかなかええ男やんけ」

(;´・ω・` ) .。oO(え!やっぱり同性愛者だったの!?)
ど、どうしようボクはいたって普通なのに……
君の想いに応えることはできないよ……

406名無しさん:2024/06/24(月) 20:20:30 ID:armf4McQ0
彡(゚)(゚)「なにを考えてるかよう分からんが…」
彡(●)(●)「断じて違う!!」

彡(゚)(゚)「とだけは言っとくで」
(´・ω・`)「あ、そう」

( ;´-ω-` ) .。oO(よかった……)
(;`・ω・´)じゃない!

アドルフの魅力についてだ
あの舞台の上で踊ってる美男子とアドルフの違いはなんだろう…?
考えられる線といえば……並外れた大きな目……?彡(⦿)(⦿)
妙に厳しく、禁欲的な表情……?彡(゚)(゚)

(´•ω•).。oO(う〜ん……)
考えてても分かんないや
それとなく聞いてみようっと

407名無しさん:2024/06/24(月) 20:20:55 ID:armf4McQ0
帰り道
(´・ω・`)「そういえば……」
(´・ω・`)「アドルフはステファニー以外に好きになった人っているの?」

彡(゚)(゚)「おらん ステファニー以外の女なんて眼中にもないで」

(´・ω・`) .。oO(あーなるほど)
一人の女性を愛し続けるジェントルマンだったんだアドルフは
これで謎が……

408名無しさん:2024/06/24(月) 20:21:19 ID:armf4McQ0
彡(-)(-)「ステファニーこそドイツ女性の理想像なんや…」
彡(゚)(゚)「ステファニー以外の女にうつつを抜かすなんてことは……」

彡(●)(●)「ドイツ民族に対する冒涜や!!!」

(;´・ω・` ) .。oO(ん?)
一人の女性を愛すとかそんな話じゃないぞ
もっと信念……いや…コレは……信仰だ……

ステファニーはアドルフの心の中で神格化、偶像化、聖人化されて
彼の道徳観の拠り所になっている
だからアドルフは他の女性に目もくれない
でも女性たちは女性たちで自分たちに素っ気ない態度をとるアドルフに……
女のプライドからつい試したくなってしまう

409名無しさん:2024/06/24(月) 20:21:39 ID:armf4McQ0
(;´・ω・` ) .。oO(これが答え…?)

彡(-)(-)「彼女がウィーンにいたなんて信じられんな」
彡(゚)(゚)「この都市は売春が蔓延るドイツ女性の敵や」

彡(•)(•)「全てはこの国の多民族性が悪いんや!」
彡(●)(●)「チェコ人、マジャール人、クロアチア人、イタリア人が〜!」

( ;´-ω-` ) .。oO(ま〜た始まった)
この話しになったらもうどうしようもないや

410名無しさん:2024/06/24(月) 20:22:04 ID:armf4McQ0
今回はここまで

411名無しさん:2024/06/24(月) 20:34:54 ID:7DyFKIGI0


412名無しさん:2024/06/24(月) 20:38:25 ID:7YWOZSOQ0
乙乙
アドルフのキャラ濃過ぎるな…ラノベの主人公じゃん
それからショボンの心の中の声がなんだか詩的で好き

413名無しさん:2024/06/24(月) 22:38:30 ID:JiiA8lhg0
乙乙

414名無しさん:2024/06/25(火) 20:43:04 ID:x.scKDhw0
交差点
彡(゚)(゚)「この都市の性は乱れきっとる! 例えばバ……」
(´・ω・`)「バ?」

彡(゚)(゚) (´・ω・`)??         (◦灬•)ピタっ
なんだ?急に前の男性が立ち止まったぞ

彡(-)(-)「…いや、お前は知らんでええ」
(´・ω・` )「え、そうなの…」

彡(゚)(゚) (´・ω・`)??         (◦灬⦿)ジー
紳士っぽい人がじっとボクたちを見ている

415名無しさん:2024/06/25(火) 20:43:30 ID:x.scKDhw0
(◦灬•)「君たち、最近の暮らしぶりは如何かね?」

(´・ω・`) .。oO(おっ近くでみると、やっぱり身なりが上流階級のそれだ)

彡(゚)(゚)「いいとは言えませんな なにせ貧乏学生なもので」
(´・ω・`)「彼は建築を学び、ボクは音楽を学んでいます」

(◦灬•)「なるほど、ならば未来のオーストリアを担う若者という訳だ」
(◦灬¯)「……この近くにホテルがあるんだ」

(◦灬⦿)「どうだろう夕食を食べていかない……か?」

(´ᴖωᴖ`)「えっ、本当ですか!?」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)「アドルフ、たまにはこういうのもいいんじゃない?」
彡(-)(-)……

416名無しさん:2024/06/25(火) 20:43:52 ID:x.scKDhw0
(´・ω・`)「アドルフ?」
彡(゚)(゚)「……せやな」

ホテル前
(。゚ω゚)「うわぁ……大きいところですね 屋上があんなに高い」
彡(゚)(゚)「ほう、中々ええ建築やな」

(◦灬⦿)「……」

(´・ω・`; ) .。oO(なんだろうお尻を見られてる気がする……)

(◦灬¯)「おっと失礼 さあ、さっそく中にイこうか」

417名無しさん:2024/06/25(火) 20:44:25 ID:x.scKDhw0
ホテル内
(◦灬^)「さぁ、好きなものを注文するといい」

(*>ω<*)「じゃあボクは…」
彡(゚)(゚)「……」

(´ᴖωᴖ`)「ふふ、ボクこんなところに来たことないよ!」
(´・ω・`)「アドルフは何を食べる?」

彡(゚)(゚)「…………」
(´・ω・`)「さっきからどうしたの?」

彡(-)(-)「……まあ、気をつけてればええか」
彡(゚)(゚)「クビチェクも楽しんでるみたいやし」

(;´・ω・` )「お腹、痛いの?」
彡(^)(^)「なんでもないで…じゃあワイは」

418名無しさん:2024/06/25(火) 20:44:46 ID:x.scKDhw0
食後

(´ᴖωᴖ`)「ああ〜美味しかった 本当に今日はありがとうございます」

(´・ω・`)「って、あの紳士の方は?」
彡(゚)(゚)「いつの間にかいなくなったな」

(◦灬^)「おまたせ デザートはケーキしかなかったんだけどいいかな」

(´^ω^`)「デザートまで!」
彡(>)(<)「おっ、甘い物はワイの好物や」バクバクバク

(;´・ω・` )「あっ!一人で全部、食べないでよ……」
( ;´-ω-` )「あー空っぽだ……もう……」

(◦灬^)「ははは、君はこっちのアイスティーでも飲みなさい」
( ;´-ω-` )「ありがとうございます」

419名無しさん:2024/06/25(火) 20:45:17 ID:x.scKDhw0
(´^ω^`)「ああ〜もうお腹いっぱいだ」
(`・ω・´)「すっかりご馳走になりました」

(◦灬¯)「いやいや、若者を応援することが大人の務めというものさ」
(◦灬⦿)「先程交差点で君たちの話を聞いたらイても立ってもいられずにね」

(◦灬•)「しかし、アドルフ君は最近の若者にしては鋭い考えを持っている…」

(´ᴖωᴖ`)「そうなんです!」
(´ᴖωᴖ`)「それにアドルフはすっごく女の人にモテるんですよ!!」

( ˘ω˘ ; )「でも、全然……女性に興味を示さないんです…」

彡(゚)(゚)「おいおい、よせって」
(◦灬⦿)「ほう…実に興味深いね」

420名無しさん:2024/06/25(火) 20:45:58 ID:x.scKDhw0
(´-ω-`)「さっきだって女の人からお誘いのカードを貰ったのに」
(´・ω・`)「チラっと見ただけで それでお終いなんです」

彡;(゚)(゚)「クビチェク 本当にもうやめて」

(◦灬^)「ははは、君は私の若い頃にそっくりだね」
(◦灬•)「私はフェクラブルックの工場主をしていてね」

(◦灬¯)「最近は金目当ての婦人ばかりに寄られて 困っているんだ」

彡(-)(-)「最近のウィーンは欲にまみれてますからな」
彡(゚)(゚)「かつての英雄がいた時代が輝かしいばかりです」

(◦灬¯)「本当にね… 筋骨隆々の男達が戦場で合間見えていた時代は……」
(◦灬¯)「もう遠い昔だ……」

421名無しさん:2024/06/25(火) 20:46:25 ID:x.scKDhw0
(◦灬^)「君の方は音楽を学んでいるんだってね」
(◦灬•)「私は最近、室内音楽に凝っているんだが」

(´ᴖωᴖ`)「本当ですか! 室内での音響は〜」

喋ること数分

(´-ω-`)「うーん、少し眠くなってきたかな……?Zzz」

彡(^)(^)「はは、彼は毎朝早いのでこの時間はもうベッドの上なんです」
彡(-)(-)「ではそろそろ、この辺で……」

(◦灬•)「ああ、今日は実に楽しかったよ」
(◦灬⦿)「ところで君……」

422名無しさん:2024/06/25(火) 20:47:00 ID:x.scKDhw0
彡(゚)(゚)「クビツェク、起きろや」
(っω-`)「うーん」

(´・ω・`)「あれ、ボクいつの間にか寝ちゃってた?」
彡(゚)(゚)「全く、お前を背負って来るのは大変やったで」

彡(゚)(゚)「ところでクビツェク、お前あの紳士を気に入ったか?」
(´^ω^`)「申し分ないよ! 芸術を好み、とても教養ある人だ」

彡(゚)(゚)「他には?」
(´・ω・`)「他に何があるんだい?」

彡(-)(-)「クビツェク、どうやらお前は肝心なことを何もわかっとらんな」
(´・ω・`)?

423名無しさん:2024/06/25(火) 20:47:28 ID:x.scKDhw0
彡(゚)(゚)ノ「このカードを見てみいや」
(´・ω・`)「何のカード? 名刺?」

(◦灬•)『また、今日と同じホテルにおいで』

(´・ω・`)「これがどうしたの??」

彡(-)(-)「はぁ……」
彡(゚)(゚)「つまり、あいつはホモや」

(。゚ω゚)「ええ……!?」
(´•ω•)「何それ……?」

彡;(-)(-)「ノンケは知っといてホモは知らんのかい……」
彡;(゚)(゚)「ホモってのはな……」

・・・男と男でボーイミーツボーイになりチューすることである

424名無しさん:2024/06/25(火) 20:48:10 ID:x.scKDhw0
:(´ºωº`):「ひええ……」
(;´・ω・` )「アドルフ、まさかまた行くの……?」

彡(●)(●)「行くわけないやろ、このドアホ!」
彡(゚)(゚)ノ「こんな名刺はストーブにポイーや」

アドルフが恋愛に消極的な理由
彼は大都市のさまざまな性的倒錯に強い嫌悪感をもって立ち向かっていた

( ;´-ω-` )「うう…なんかショックだよ」
彡(゚)(゚)「まだまだクビツェクは田舎もんやな」

堕落した都市ウィーンの真ん中で
アドルフは自身の周囲に堅固な防壁を築いていた

425名無しさん:2024/06/25(火) 20:48:50 ID:x.scKDhw0
彡(-)(-)「…まあええ、これに関して悪いのはウィーンや」
彡(゚)(゚)「でもここきてだいぶ経つんやぞ」

彡(•)(•)「ええ加減に都会の怖さを知らんと痛い目あうから気いつけや」

だから周囲から独立して内面的自由の中に
自分の身を置くことができたのだ

彡;(゚)(゚)グーギュルギュル

(´ᴖωᴖ`)「はは、アドルフまた空腹でお腹が鳴ってるよ」
(´ᴖωᴖ`;)「……あれ? さっきご馳走食べたばかりなのになんで? 」

426名無しさん:2024/06/25(火) 20:49:13 ID:x.scKDhw0
彡;(^)(^)「さ、さあ?なんでやろうな……」

彼は孤独であり続け、修道士のような禁欲生活の中で
自分の存在を守っていた

(。゚ω゚) .。oO(というか……)
アドルフがいなかったらボクどうなってたんだろ……

:(´ºωº`):アワワワワ

427名無しさん:2024/06/25(火) 20:49:36 ID:x.scKDhw0
今回はここまで

428名無しさん:2024/06/25(火) 21:26:56 ID:QfQbeYhI0
乙です

429名無しさん:2024/06/26(水) 21:54:06 ID:09.lD5Vg0
一九〇八年四月

(´・ω・`)「あ!ボクに手紙が来てる」
(´・ω・`)「何かな」

(´・ω・`)ふむふむ……

( ;´-ω-` )
彡(゚)(゚)「どしたクビツェク」

( ;´-ω-` )つ「これ…よんでみて」
彡(゚)(゚)「どれどれ」

彡(゚)(゚)……
彡(●)(●)「はあああん!徴兵やと!ふざけんなや!!」

430名無しさん:2024/06/26(水) 21:54:36 ID:09.lD5Vg0
彡;(゚)(゚)「クビツェク、絶対に行ったら駄目や!」
彡;(゚)(゚)「もし行ったらおまえは……」

彡;(●)(●)「クソが!こんな令状、破り捨てたる!」

(;`・ω・´)「あっ、駄目だよ!」
バッと素早くアドルフから手紙を取り戻した

(;´・ω・` )「全く、ヒヤヒヤさせないでよ」
彡;(゚)(゚)「くそ、一体どうすれば……」

(;´・ω・` )「まだ適合になるとは決まってないよ 去年肺病になったし」

431名無しさん:2024/06/26(水) 21:55:00 ID:09.lD5Vg0
彡;(-)(-)「せやな、とにかく、リンツに戻って兵役検査は受けた方がええ」
彡;(゚)(゚)「でも、もし適合した場合はこっそり越境してドイツに行くんや」

彡;(•)(•)「絶対にハプスブルク家の兵隊になったらアカン!」
(;´・ω・` )「そんなことできるのかな…」

彡(-)(-)「もう少ししたらワイも二十や」
彡(゚)(゚)「その時がきたらワイはそうするで」

(;´・ω・` )「とにかく、音楽院の先生に相談してみるよ」

432名無しさん:2024/06/26(水) 21:55:20 ID:09.lD5Vg0
音楽院

(◎෴◎)「君は音楽院生だから、1年志願兵になる資格がある」
(◎෴◎)「でも職人の息子である君は後備兵に志願したほうがいい」

(;´・ω・` )「兵役を逃れる為にドイツに行くという方法はどうでしょうか」

Σ(◎෴◎)「!?誰がそんなバカげたことを……」
(;◎෴◎)「悪いことは言わないからやめておきなさい……」

(◎෴◎)「とにかく、ご両親に手紙を出すんだ」
(;´・ω・` )「はい」

433名無しさん:2024/06/26(水) 21:55:40 ID:09.lD5Vg0
数日後
父から手紙が届いた

『徴兵のことは分かった。
だが、お前はなんてことを言い出すんだ!
国境越えなんてしてみろ、脱走とみなされ罰せられるぞ。
そしたらお前は二度と故郷に帰ることができなくなる。
もう私達と会うこともできなくなるのだぞ。
悪いことは言わない、校長先生の言う通りにしなさい。
母さんもそれを望んでいる。
父と母より( ¯灬¯ ) (∗ 'ω' ∗) 愛する息子へ』

434名無しさん:2024/06/26(水) 21:56:24 ID:09.lD5Vg0
(;´・ω・` )「ということなんだよ」
(;`・ω・´)「だからボクは後備兵に志願する」

(;´・ω・` )「今期の授業と学期末コンクールが終わったら一旦リンツに帰るよ」

彡;(゚)(゚)「……たとえ数ヵ月といえどもハプスブルクの兵隊に……」
彡;(-)(-)……

彡(゚)(゚)「まっ、ワイと違ってお前は家族があるからしゃあないな」
(´・ω・` )「やっぱり自分の時はやるつもりなんだね……」

彡(゚)(゚)「それはそのときに考えるわ」

彡(゚)(゚)「それより、期末のコンサートが近いんやろ?」
彡(゚)(゚)「指揮者への進路が決まる大事なイベントや言うてたやないか」

彡(゚)(゚)「まずはそれに集中や!」
彡(^)(^)「兵役なんて忘れてまえ」

(´・ω・`)「うん そうするよ」

435名無しさん:2024/06/26(水) 21:57:00 ID:09.lD5Vg0
今回はここまで

436名無しさん:2024/06/27(木) 00:37:01 ID:15qLIdi.0
乙!

437名無しさん:2024/06/27(木) 12:49:40 ID:BahOcBiE0


438名無しさん:2024/06/27(木) 21:45:15 ID:WpPSSs4U0
期末コンサート本番

(`-ω-´)/♪〜♪〜♪〜

よし、カールもソリストも練習どうりにやれてる
簡単な演奏じゃないけど…このままミスなくいってくれ…!

パチパチパチパチ

(;´・ω・` ) .。oO(ふぅ、なんとか無事に終わった)

(`・ω・´;) .。oO(でも本当の難関は次…!)
ボクの作曲したオーケストラ曲がプロの宮廷歌手に歌われるんだ…!
これにボクの音楽家人生がかかっている…!
でもボクならやれる!!
これまで努力してきたんだ!

(;`・ω・´)やってやる!!!

439名無しさん:2024/06/27(木) 21:45:48 ID:WpPSSs4U0
( ´-ω-` )/♬〜♪〜♪〜
(`・ω・´)/♬〜♩〜♪〜
(`-ω-´)/♫〜♪〜♪〜

(`-ω-´)/……
お、終わった…

パチパチ
Σ(´・ω・`)!

パチパチパチパチ
Σ(´・ω・`)!!

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
Σ(´・ω・`)!!!

(´^ω^`) .。oO(やった、拍手喝采。大成功だ!)

440名無しさん:2024/06/27(木) 21:46:19 ID:WpPSSs4U0
楽屋

ガチャ
彡(^)(^)「おークビt」

(◎灬◎)「凄い反響だったぞ 指導したものとして鼻が高いぞ」
(´ᴖωᴖ`)「教授! ありがとうございます」

(◎෴◎)「いやー期待以上だ 主席卒業も夢じゃないよ」
(´ᴖωᴖ`;)「またまたそんな…」

(*´0`)´0`)。´0`)『おーいクビチェク!』
(´ᴖωᴖ`)「あ、みんな!」

           ワイワイガヤガヤ    ワイワイガヤガヤ
彡(゚)(゚)      (*´0`)´0`)。´0`) (´ᴖωᴖ`) (◎灬◎) (◎෴◎)

441名無しさん:2024/06/27(木) 21:46:46 ID:WpPSSs4U0
(。´0`。)「とてもすごかったよ」
(´ᴖωᴖ`)「ありがとう」

(*´0`*)「私、感動して泣いちゃった…」
(。゚ω゚)「え、本当に!」

(´0`)「どうだいこの後、みんなで飲みにいかないかい?」
(´・ω・`; )「え、この後…」

           ワイワイガヤガヤ    ワイワイガヤガヤ
彡(゚)(゚)      (*´0`)´0`)。´0`) (´・ω・`; ) (◎灬◎) (◎෴◎)

442名無しさん:2024/06/27(木) 21:47:11 ID:WpPSSs4U0
(;´ᴖωᴖ`)「ご、ごめん…この後は用があるんだ また今度」
(*´0`)´0`)。´0`)『えー主役が不在じゃ盛り上がらないじゃん』

(`・ω・´;)「ごめん、本当にごめんね」

彡(゚)(゚)  (・ω・`)三3      (´0`(´0`(´0`*) (◎灬◎) (◎෴◎)

(;´・ω・` )「待たせてごめん アドルフ」
(´・ω・` )「ここじゃ騒がしいから外に行こうよ」

彡(゚)(゚)……

(´・ω・` )「アドルフ?」
彡(-)(-)「せやな」

443名無しさん:2024/06/27(木) 21:47:49 ID:WpPSSs4U0
ほこりっぽい椅子張り職人見習いだったボクが…
都会のことを何も知らない田舎者だったボクが…
そしてなにより臆病なボクがここまでこれたのは
誰がなんと言おうとアドルフのおかげだ
感謝してもしたりないよ

彡(^)(^)「おめでとさん クビチェク」
(´^ω^`)「ありがとう!アドルフ!」

444名無しさん:2024/06/27(木) 21:48:30 ID:WpPSSs4U0
(´・ω・`)「来週には、ボクはリンツに戻って兵役検査を受けるよ」

彡(゚)(゚)「久々の故郷や 休日と思って両親と過ごしてこいや」
(◦灬¯)「そうだよ 里帰りして親孝行しないと」

(´・ω・`) .。oO(なんでこの人がいるんだろう?)

(◦灬^)「ところで、君の指揮は迫真の出来だったらしいじゃないか」
(◦灬⦿)「どこかのオーケストラから推薦もウケたんじゃないのかね?」

彡(゚)(゚)「…そうなんか?」

(;´・ω・` )「えっと…まぁ紹介はされたけど」
(´・ω・` )「…………うん」

彡(゚)(゚)ノバシン!!
(。゚ω゚) .。oO(痛っ!)

強く背中を叩かれた

445名無しさん:2024/06/27(木) 21:49:04 ID:WpPSSs4U0
彡(゚)(゚)「何をためらっとるんや!」

彡(^)(^)「よかったなクビツェク、夢が叶ったんや!」
彡(^)(^)「やったやんけ!」

(◦灬¯)「で、これからどうするんだい?」

(´・ω・` )「どうするって… とりあえず故郷に帰って… 兵役をうけて…」
(`・ω・´)「いずれにせよ、ボクとアドルフはずっと一緒です」

(◦灬^)「ハッハッハ、君たちは本当に仲がいいんだね」

彡(゚)(゚)……

446名無しさん:2024/06/27(木) 21:49:26 ID:WpPSSs4U0
今回はここまで

447名無しさん:2024/06/27(木) 21:56:11 ID:vMUg.aBw0


448名無しさん:2024/06/28(金) 12:31:57 ID:fLnQXgRc0

仲良いのに距離が開いていくのが切ない……

449名無しさん:2024/06/28(金) 20:35:11 ID:iCgCMp.s0
乙乙
>(´・ω・`) .。oO(なんでこの人がいるんだろう?)

ほんそれw

450名無しさん:2024/06/28(金) 21:29:34 ID:IXRCVJqg0
コンサートも終わり、授業もなく、兵役検査の日までヒマだった
なのでボクは旅行を計画した

(´・ω・`)「ねえアドルフ、旅行に行こうよ」
彡(゚)(゚)「そんな金はない……」

(´・ω・`)「お金はボクが出すから大丈夫」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)「こんな狭くて、かびてて、油臭い部屋に引き籠ってないでさ」
(´・ω・`)「柔らかい春の日差しが降り注ぐ、草原や森、山々に行こうよ」

彡(゚)(゚)「……そこまで言うならしゃーない、行ってやるわ」
(´ᴖωᴖ`)「うん、ありがとう」

(´・ω・`) .。oO(なんでお金を出すボクがお礼を言ってるんだろう?)
まあ、付いてきてくれるなら、それでいいや
第一関門は突破!
さっそくお弁当やその他諸々の準備に入ろう

451名無しさん:2024/06/28(金) 21:30:04 ID:IXRCVJqg0
翌日
(´・ω・`)「うん!雲一つない快晴の旅行日和……」
(`・ω・´)「さあ!出発だ!」

彡()()Zzz…Zzz…

( ;´-ω-` ) .。oO(そして……第二関門)
旅行の計画は伝えていたのに
なにがあっても早起きだけはしたくないって豪語してたから

(;´・ω・` ) .。oO(やっぱり起きてこない……)
『寝ている子を起こすな!』じゃないけど
寝ているアドルフを起こすのはとても危険だ
彼を無理やり起こすと、とても不機嫌になる
でも、起こさないと旅行に行けない……

452名無しさん:2024/06/28(金) 21:30:28 ID:IXRCVJqg0
(;´・ω・` )つ「ねえ、アドルフ…起きてよ」ユサユサ
彡(•)(•)「なんや?」

彡(●)(●)「なんでこんな朝早くに起こすんや!!」
(;´・ω・` )「ほら、外を見てよ……もう陽は高いよ」

彡(-)(-)「そんなもん知らん。ワイは寝る」
(ꐦ^ω^)「……」

(`・ω・´)「くらえ!太陽の光!!」ピカー
彡;(-)(-)「ぐぬぬぬ……」

彡(-)(-)Zzz…

(ꐦ^ω^).。oO(この甲斐性なしの無職のゴミが!)
もういい、こうなったら最後の手段だ

ε=ε=彡;(゚)(゚)⊂(;`・ω・´)「力強くだ!!」

453名無しさん:2024/06/28(金) 21:30:56 ID:IXRCVJqg0
電車の中
彡(゚)(゚)「……」

(;´・ω・` ) .。oO(不機嫌そうに黙ってる……)
こんなんで旅行になるのかな……

ジーフェリング駅
(´^ω^`)「自然がいっぱいで気持ちいいね!」
彡(゚)(゚)「……」

( ;´-ω-` ) .。oO(どうしよう……まだ不機嫌みたいだ)

彡(゚)(゚)「いい景色や……」
彡(゚)(゚)「来てよかったわ」

(。゚ω゚)!
(´^ω^`)「うん!よかった!!」

454名無しさん:2024/06/28(金) 21:31:19 ID:IXRCVJqg0
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
それからボクたちは大自然の中を歩き回った

木々は花開き、ブドウ畑は新緑に覆われ、若葉が茂っていた
アドルフもウィーンの喧騒から解放され

彡(^)(^)(´^ω^`)
本当に喜んでいるようだ

彡(゚)(゚)「こうしとると……」
彡(-)(-)「リンツの頃を思い出すな……」

(´・ω・`)「なんだい、ホームシックになったのかい?」
彡(゚)(゚)「……そうかもしれんな」

こうして旅行初日は終わった

455名無しさん:2024/06/28(金) 21:31:47 ID:IXRCVJqg0
二日目
彡(゚)(゚)「はえーこれがメルク修道院か……」
(´・ω・`)「すごいね……まるで、岩山から生えているみたい」

三時間後
彡(゚)(゚)「はえー」
( ;´-ω-` )「ねえ、そろそろ中に入ろうよ……」

彡(゚)(゚)「どうやったら、こんな断崖に修道院を建てれるんやろ」スタスタ

(。゚ω゚)「アドルフ、ダメだよ!」
(。゚ω゚)「危険だから立ち入り禁止って書いてあるじゃないか!!」

ε=ε=彡;(゚)(゚)⊂(;`・ω・´)「勝手にウロチョロしないの!!」

メルク修道院の中
彡(>)(<)「お!図書館があるやんけ!」
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」

( ;´-ω-` )「旅行にきてまで読書ってどうなの……」

456名無しさん:2024/06/28(金) 21:32:17 ID:IXRCVJqg0
三日目
彡(^)(^)「ひゃっほう!!」
(;´・ω・` )「アドルフ、はしゃぎすぎだよ…他のお客さんに迷惑だよ」

ボクたちは汽船に乗って、ドナウ川を下っていた
しばらくするとヴァッハウ渓谷にさしかかった
左側にヴァイテンエック城、右側にシェーンビュール城
さらに奥には険しい岩山の上にそびえるアックシュタイン城が見えた

彡;(゚)(゚)「スケッチが間に合わん!」
(´ᴖωᴖ`)「ははは、ホラホラ急いで!」

457名無しさん:2024/06/28(金) 21:32:49 ID:IXRCVJqg0
渓谷を抜けるとシュピッツとヴァイセンキルヒェンの町が見え
急斜面に植えられたブドウ畑の牧歌的な景色が広がっていた

(´・ω・`)「すごいロマンチック……」
(´・ω・`)「アドルフ……この風景を絵にしてよ」

・・・

(´・ω・`) .。oO(あれ??)
反応がないと思ったら
どこにもいない……

(・ω・`;≡;´・ω・)「また…勝手にウロチョロして……」

(。゚ω゚)「あ!あんな所に!!」

アドルフは船首に立ち、景色に見とれていた

(;´・ω・` )「なにやってるの!危ないからはやくこっちに」
彡(゚)(゚)「I’m the king of the world!」

(´・ω・`)「なにそれ?」
彡(゚)(゚)「なんか知らんが……叫びたくなった……」

458名無しさん:2024/06/28(金) 21:33:14 ID:IXRCVJqg0
それから船は東へと進路を変え工業地帯に入った
倉庫、製油所、資材置き場に粗末な小屋、放浪の民の集落もあった

(´・ω・`)「汚ったない所だな……」

(´・ω・`)「ボクたちの知るライン川とは思えないね」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)「アドルフ?」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`) .。oO(どうしたんだろう?)
アドルフは黙ったまま物想いにふけっていた

459名無しさん:2024/06/28(金) 21:33:52 ID:IXRCVJqg0
四日目
ボクたちは列車に乗って、山岳地帯に来た

(´・ω・`)「青い空、緑に輝く草原、雪をかぶった山々……」
(´・ω・`)「いい景色だね」

彡(゚)(゚)「さらに登ったら、もっとよく見えるんとちゃうか?」
(´・ω・`)「まあ、たしかに…そうだろうけど」

(´・ω・` )「登山の準備なんてしてきてないよ……」
彡(゚)(゚)「道はあるんやし、歩いていけばいいだけやろ」

彡(゚)(゚)「よし、いくで」
(。゚ω゚)「ちょっと、待ってよ!」

460名無しさん:2024/06/28(金) 21:34:16 ID:IXRCVJqg0
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`; )┓三三3

ボクとアドルフはろくな準備もなく出発した
そしてしばらく行くと、頂上と思われる平地に到着した

彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「……」

(´・ω・`) .。oO(あまりの壮大な景色に言葉が出ない)
天国から見る地上ってこんな感じなんだろうな
人間がどれほど小さな存在かを、まざまざと見せつけられた気分だ

461名無しさん:2024/06/28(金) 21:34:51 ID:IXRCVJqg0
感激のあまり時間を忘れていた
すると太陽が黒雲に隠れ、霧が立ち昇り、雷雨が降り注いだ

急いで山道を下った
全身ずぶ濡れ、靴の中まで水浸し、冷たい風も吹いてきて
ボクはあまりの寒さに震えた
でも、どういう訳かアドルフは上機嫌だった

┗(^)(^)川┓┗:(´ºωº`):┓三3

(。゚ω゚)「あそこに小屋がある!」
(;`・ω・´)「ひとまず避難だ!」

462名無しさん:2024/06/28(金) 21:35:21 ID:IXRCVJqg0
小屋の中
(;´・ω・` )「止みそうにない、一晩ここに泊まるしかなさそうだ」
川(゚)(゚)「干し草と亜麻布があったで」

(;´・ω・` )「二人で寝るにはそれで十分だね……」
(* >ω<)、;'.・くちゅん

川(゚)(゚)「濡れたままやと風邪ひくで」
:(´ºωº`):「そ、そうだね」

ボクたちは服を脱ぎ、亜麻布にくるまり、干し草をベットにした

(´・ω・`) .。oO(一時はどうなるかと思ったけど……)
二人だけ、暗闇の中、雨音だけが聞こえる小屋の中は……
とても神秘的な世界だった
でも……

463名無しさん:2024/06/28(金) 21:36:03 ID:IXRCVJqg0
(´・ω・`)「お腹が空いたね」グーギュルギュル
彡(゚)(゚)「せやな」グーギュルギュル

彡(-)(-)「……でも」
彡(゚)(゚)「苦しみも二人で分け合えば半分になるわ」

(´・ω・`)「これまでもそうだったよね……」

体も温まってきて、想いで話に花が咲いた

464名無しさん:2024/06/28(金) 21:36:30 ID:IXRCVJqg0
彡(゚)(゚)「クビチェク……」
(´・ω・`)「なんだい?」

彡(-)(-)「いや、なんでもないわ……」
(´・ω・`)「なんだよ……気になるじゃないか」

彡(-)(-)「なんや……その……」
彡(゚)(゚)「ありがとな……」

(´・ω・`)「旅行のお礼かい?」
(´・ω・`)「そんなのいいよ……ボクも楽しかったし」

(´・ω・`)「また来ようね」
彡(゚)(゚)「せやな……」

こうしてボクたちの旅行は幕を閉じた

465名無しさん:2024/06/28(金) 21:36:55 ID:IXRCVJqg0
今回はここまで

466名無しさん:2024/06/28(金) 23:08:22 ID:4rO1IiVM0
乙乙

467名無しさん:2024/06/28(金) 23:22:10 ID:VraLCGfk0
乙です

468名無しさん:2024/06/29(土) 18:54:47 ID:g7K//bD20
一九〇八年七月


(´・ω・`)「じゃあ、暫くの間お別れだね」
(´・ω・`)ゞ「ステファニーのこと、ちゃんと調べておくよ」

彡(゚)(゚)「いや、ステファニーのことは調べんでもええ」

(;´・ω・` )「え、なんで……?」
彡(^)(^)「兵役で大変なのにそんなことさせれんわ」

(;´・ω・` )……
この時、ボクはどことなく違和感を覚えた
しかし、それが何を意味しているかを気付くことはできなかった

469名無しさん:2024/06/29(土) 18:55:08 ID:g7K//bD20
彡(゚)(゚)「お前は優しすぎるからな」
彡(゚)(゚)「軍隊でいじめられんよう気をつけるんやで」

彡(-)(-)「特に、ユダヤ人にはな」

『都会には卑怯者しかいない 英雄が生まれるのは田舎だ
そして、田舎にユダヤ人はいない』

後にアドルフが残すことになる言葉だ

470名無しさん:2024/06/29(土) 18:55:38 ID:g7K//bD20
彡(゚)(゚)「じゃあなクビツェク」

     ガシッ!
(´・ω・`)つ⊂(゚)(゚)ミ

アドルフは両手でボクの手をしっかり握りしめた

(´・ω・`) .。oO(あれ?)
アドルフは両手で握る握手を滅多にしない
なにか特別に感動を覚えたときぐらいにしかしないはずなのに
……たかだか数ヵ月の間いなくなるだけなのに大げさだよ

471名無しさん:2024/06/29(土) 18:56:03 ID:g7K//bD20
(´・ω・`)「うん、またね」

\( )ミ三三3
それからアドルフは回れ右して、一度も振り向かずに
少し早足で出口に向かった

(´・ω・`) .。oO(もう、少しは振り向いてくれてもいいのに……)
ま、アドルフらしいといえばらしいか

こうして、ボクはリンツへ帰郷した

472名無しさん:2024/06/29(土) 18:56:35 ID:g7K//bD20
リンツ

(´・ω・`) ( ¯灬¯ ) (∗ 'ω' ∗)
両親は、ボクを快く迎えてくれた

久々の故郷はちっとも変わっていなかった
ドナウ川も、それに跨がる橋も、田舎の風景も
アドルフと歩いて回ったあの頃のままだ

(´・ω・`)「父さん、仕事を手伝うよ」
( ¯灬¯ )「すまないな」

(`・ω・´)「父さんは凄いよ たった一代でここまでの事業を築くなんて」
v( ¯灬¯ )「都会に染まらずにいい男に育ったな アドルフ君には感謝だ」

(´・ω・`) .。oO(アドルフはああ言ったけど)
どうせ後になって騒ぐんだからステファニーのことを調べておこう

(;´・ω・` ) .。oO(いないな…J(„❛⌄❛„))
一家全員ということは避暑にでも出掛けたのかな?

473名無しさん:2024/06/29(土) 18:57:11 ID:g7K//bD20
それからもアドルフとは何回か手紙のやり取りをした
兵役検査でボクは結膜炎にかかっているとわかったので
これから眼鏡(⁻◎ω◎⁻)をかけることになるかもしれないと書いた

アドルフから返信が届いた

『親切な手紙をありがとう。
君が失明するかもしれないと聞いて、僕は悲しみでいっぱいだ。
君は今よりもますます楽譜を読み間違えることになるのだからね(笑)。
君が盲目になったら、僕もだんだんと消えてなくなっていくのだろうか。
おぉ、なんて悲しいことだ!
それはともかく親愛なるご両親によろしく。
アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』

474名無しさん:2024/06/29(土) 18:57:34 ID:g7K//bD20
(´・ω・`)「もう、手紙でもボクのことをからかって……」
(´・ω・`)「あれ?この手紙の受付印の日付……四月二十日になってる」

(´・ω・`) .。oO(しまった!)
この日はアドルフの誕生日だ
すっかり忘れてた

(´ᴖωᴖ`;) .。oO(まあ、いいよね)
アドルフも誕生日のことにはなにも触れてないし
もしかしたら本人も忘れてるんじゃないのかな
それに、ウィーンに戻ってからお祝いすればいいんだ
とりあえず、帰る日が決まったよとだけ返信しておこう

475名無しさん:2024/06/29(土) 18:58:13 ID:g7K//bD20
十一月二十日
ウィーン駅

(´・ω・`) ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) ---ざわ… ┃柱┃

あの柱の下が、待ち合わせの場所なんだ
人混みは相変わらずだけど もう慣れたよ

テクテク┏(´・ω・`)┛

(´^ω^`)「あ、いた!」
(´・ω・`)「お待たせ アドルフ!」

(# ゚Д゚)「は?誰だよお前!」

(。゚ω゚)!!
( ;´-ω-` )「ご、ごめんなさい 人違いです…」

(# ゚Д゚)「ったく………気安く声をかけんな!」

アドルフによく似た青年
と言っても服装と背丈だけだけど、は悪態をついて去っていった

476名無しさん:2024/06/29(土) 18:58:41 ID:g7K//bD20
(;´・ω・` ) .。oO(はぁ、ビックリした)
あれ…でも、アドルフはいない?
さてはまた遅くまで起きてて寝坊したんだな…

( ;´-ω-` )「全く 手紙には今日のこの時間だって書いたのに…」
仕方ない、柱にもたれながら待つか

五分後
 ┃柱┃
(´・ω・`) 

二十分後
 ┃柱┃
(´・ω・`) .。oO(……待合室にいるのかな?)

テクテク┏(´・ω・`)┛

(・ω・`;≡;´・ω・)
(´・ω・`)……

(´・ω・`) .。oO(戻ろう……)

┗(`・ω・´)┓テクテク

477名無しさん:2024/06/29(土) 18:59:27 ID:g7K//bD20
一時間後
 ┃柱┃
(;´・ω・` ) .。oO(おかしい…)
っていうかアドルフが時間を破るなんてありえない

(。゚ω゚)「まさか……病気!?」
そうだ、そうに違いない!
そういえば手紙にまた気管支カタルがぶり返してるって書いてた!
いそいで借家に行こう!

ε三三┏(;´・ω・` )┛

借家
ガチャガチャ

(;´・ω・` )「あれ?鍵が閉まってる」
(;´・ω・` )っ「おーいアドルフ ボクだよ 開けてよ」ドンドン

(・∞・)「なんだい騒がしいね!」
Σ(・∞・)「あれ?クビチェク君じゃない」

(´ᴖωᴖ`;)「お久しぶりです すみませんちょっと鍵がかかってて…」

大家のツァクライス婦人は不思議そうな顔をしてる

478名無しさん:2024/06/29(土) 18:59:52 ID:g7K//bD20
(・∞・)「鍵がかかってるって当たり前じゃない…」
(・∞・)「だってその部屋は空き部屋ですもの」

(;´・ω・` )「え?何を言ってるんですか…」
(;`・ω・´)「ここはボクとアドルフの部屋ですよ!」

(;・∞・)「……もしかして何も知らないのかい?」
(;´・ω・` )「え?」

(;・∞・)(´・ω・`; )
ツァクライス婦人から次の三つのことを告げられた
アドルフは家賃を払うと姿を消したこと
別れの挨拶も何もなかったこと
手紙やメモも何も残さなかったこと

479名無しさん:2024/06/29(土) 19:00:27 ID:g7K//bD20
( ;´-ω-` ) .。oO(アドルフ…)
一体何があったんだ……
……

(`・ω・´) .。oO(そうだ!)
そもそもあの部屋はボクがピアノを弾くために借りたんだ
きっとアドルフは一人であの広い部屋を持て余したんだ
だから引っ越したんだ!
アドルフはせっかちで抜けている所があるから
いろいろ無作法なことをして……
……

(´・ω・`) .。oO(……アドルフがそんなことをする?)

急いで部屋を借り
知りうる限りの知人、考えられる限りの関係者のもとに走った
そしてボクの住所を教えた
アドルフを見かけたら知らせて欲しい、伝えて欲しいと言伝をして

しかし、一週間たっても、二週間たっても
なんの音沙汰もなかった……

480名無しさん:2024/06/29(土) 19:00:54 ID:g7K//bD20
(´-ω-`) .。oO(そして一年がたった)
アドルフを貧民街で見たと目撃証言はあったけど、いなかった
もしかしたら兵役を逃れるためにドイツに行ったのかもしれないけど
確かめようがない……

(´・ω・`)……

481名無しさん:2024/06/29(土) 19:01:17 ID:g7K//bD20
(´・ω・`) .。oO(確かにアドルフは……)
口は悪いし、急に怒るし、仕事はしないし、外面だけはいいし、束縛するし
どこでもうろうろするし、突然演説を始めるし、色々と連れ回されるし
自分勝手だし、犯罪の片棒を担がせようとするし、誰にでも喧嘩は売るし
民族主義者だし、妄想癖がすごいし、唯我独尊だし、嫉妬深いし
気狂いだし、夢想家だし、すぐ反論してくるし、甲斐性なしだし
訳の分かんないことばかり言うし、頑固だし、我がままだし
読みたくもない本を読まされるし、自分だけモテてムカつくし
そのくせガードは堅いし、何も言わずどこかに行ってしまう

482名無しさん:2024/06/29(土) 19:01:46 ID:g7K//bD20
( ;´-ω-` ) .。oO(自分で言っててなんだけど……)
本当にひどい同居人だ……
こんな同居人なら、いない方がいいのかもしれない……

(;´・ω・` ) .。oO(でも、それじゃ駄目なんだ……)
アドルフがいなければボクの人生は平凡で退屈そのもの……
どんなにステキで優雅な芸術に触れても
一人だけじゃ感想を語り合うこともできない…

(´・ω・`) .。oO(楽しさも半減だ……)

483名無しさん:2024/06/29(土) 19:02:12 ID:g7K//bD20
今回はここまで

484名無しさん:2024/06/29(土) 21:55:44 ID:mrXUkoZM0
おつです

485名無しさん:2024/06/30(日) 00:28:45 ID:xFejEhSQ0
おつおつ

486名無しさん:2024/06/30(日) 20:37:47 ID:jwXtMIO.0
一九一四年 第一次世界大戦勃発 

戦争がすべてをぶち壊した
僕がレールから外れたのではない、レールそのものが吹き飛んだのだ
音楽家の道は途絶え、兵隊としての道が始まった
僕に兵士という役はふさわしくなかったと思う
けど、戦友たちと同様に自分の義務は果たそうと努力した

一九一八年 クビチェク父永眠

 ( ¯灬¯ )
┏┛墓┗┓

父は家具職人を辞め、郊外に畑を買い、ひっそりと過ごしていた
そして絶望と悲痛の中で亡くなったと戦場で伝えられた
父さんにはもっとよい晩年を送って欲しかった

487名無しさん:2024/06/30(日) 20:38:16 ID:jwXtMIO.0
一九一九年 第一次世界大戦終結

運よく生き残った
でも、どうやって生きていけばいいのか分からなかった

音楽を楽しむ余裕など誰も持っていない
僕があれほど努力して身につけた音楽は……
誰にも必要とされない無用の長物となっていた

もはや僕一人ではどうしようもなかった
そんな時だった母から手紙が届いたのは

488名無しさん:2024/06/30(日) 20:38:42 ID:jwXtMIO.0
『エフェーディングの役場で事務員を募集しています。
市長さんが言うには
これから採用する職員には戦争中に解散されたオーケストラを新しく設立し
指導する役割が期待されると。
クビチェク、あなたにピッタリの仕事だと思います。
よかったら考えてみてください。
母より。愛する息子へ』

母が気をつかっているのは明らかだ
仕事内容を見ても、給料は少なく、芸術的な業務なんてほとんどなかった
でも他に選択肢はなかった
なによりこれ以上、母を心配させたくなかった

そして僕は役人となった

489名無しさん:2024/06/30(日) 20:39:44 ID:jwXtMIO.0
一九二〇年 アドルフ・ヒトラー ナチス党結成
一九二三年 ミュンヘン一揆 アドルフ・ヒトラー逮捕
一九二五年 アドルフ・ヒトラー ナチス党を再結成

時が過ぎるのは早いものだ
役人になってからもう十年は経とうとしていた
生活は楽ではなかったが、子供もできた
趣味…音楽に捧げる時間も少しずつだが持てるようになっていた
そしてアドルフの生存も知ることができた…

490名無しさん:2024/06/30(日) 20:40:15 ID:jwXtMIO.0
一九二八年 ナチス党 十二の国会議席を獲得

新聞を見て一目ですぐに彼だと分かった
青白くひっそりとした彼は何も変わらない大きな目を輝かせて演説していた

とても残念だった

彼も僕と同じく芸術の道を歩めなかったのだと
芸術活動を断念することが彼にとって何を意味するかを考えると
胸が苦しくなった

この間、僕は不思議とアドルフに連絡を取る気にはなれなかった
なぜだろうか…
仕事や生活が多忙であったからだろうか
それも理由になるだろう

……でもやはり、僕と彼を繋いでいたのは芸術だったのだ
このとき、僕と彼は芸術とはあまりに疎遠だった

491名無しさん:2024/06/30(日) 20:40:58 ID:jwXtMIO.0
一九三二年 ナチス党 選挙で大勝 
一九三三年 アドルフ・ヒトラー 首相に就任

「お前たち あまり遠くに行ってはダメだぞ!」
『は〜い』

我が子ながら素直なものだ
それにしても子供がこれほど愛おしい存在だとは……
お父さん、お母さん…
そして…クララおばさんもこんな気持ちだったのかもしれない

おっと、感傷に浸ってばかりもいられない
握りしめていた新聞の一面には次の記事が大々的に書かれていた

『アドルフ・ヒトラー 帝国宰相に就任』

492名無しさん:2024/06/30(日) 20:41:29 ID:jwXtMIO.0
今や彼の聴衆は僕だけでなく、何万、何十万……何百万人となろうとしている
まさか彼がここまで上り詰めるなんて誰が予想しただろう
僕も大人も教授も誰もできなかった

…いや、リンツの少年時代からもしかしたらアドルフだけは
こうなることを予感していたのかもしれない
そう考えると不思議と納得がいった

また、感傷的になっている
やることがあるのに…

493名無しさん:2024/06/30(日) 20:41:51 ID:jwXtMIO.0
納屋をあさってようやく
鍵がかかっている古びれたトランクを見つけた
確か、鍵はコレで開くはずだ

ガチャ

トランクの中には大きな青い封筒があった
そして僕の筆跡で
アドルフ・ヒトラーと書かれていた

494名無しさん:2024/06/30(日) 20:42:29 ID:jwXtMIO.0
封筒の中には手紙、絵はがき、スケッチが入っていた
どれもアドルフから貰ったものだ

大人びた文字で所々綴りを間違えている手紙が数点
出来の悪い水彩画が数枚
押し付けられた邸宅の設計図も入っている

そして、一番底にあったスケッチには
若かりし僕が羽飾りの着いた軍帽をかぶっていた

495名無しさん:2024/06/30(日) 20:42:59 ID:jwXtMIO.0
彡(゚)(゚)(おいクビチェク 見てみいや!)
彡(゚)(゚)(まるで古参兵のようや)

彡(^)(^)(お前はまだ新兵ですらないのに!)
(´・ω・` )(また そうやってボクをからかって…)

フフッ…

(´-ω-`) .。oO(あの頃の記憶が湧き出てきた)
…どうして忘れていたんだろう
恐ろしい戦争の出来事や戦後の悲惨な状況が蓋をしていたのかな?

(´・ω・`) .。oO(まあ、いいや)
さて、掘り出したはいいが
どうしたものか?
今ならきっと高値で売れるだろうけど
思い出を売り払うようなことはしたくない

496名無しさん:2024/06/30(日) 20:43:21 ID:jwXtMIO.0
(´・ω・` ) .。oO(…でも、持っていてもしょうがないしな)
なんだったら本人に送るか?
いまさら?
帝国宰相の彼に…?
僕のことを覚えているかも分からないのに…?

(´・ω・`) .。oO(……よし!)
とりあえず、一筆書いて聞いてみよう
返事がくるとは思えないけど…

497名無しさん:2024/06/30(日) 20:43:46 ID:jwXtMIO.0
今回はここまで

498名無しさん:2024/06/30(日) 22:41:30 ID:7vzgEzWA0


499名無しさん:2024/06/30(日) 23:45:35 ID:9u8hkXqw0
乙!なんと最早、言葉もないよ……。

500名無しさん:2024/07/01(月) 00:00:09 ID:TKr/aPnk0
乙……

501名無しさん:2024/07/01(月) 19:29:14 ID:IjxNavq.0
(;;;゚Д゚;)「ク、クビツェクさんお、お、お便りです…」
(´・ω・`)「はーい」

(;;;゚Д゚;)「こ、これを ででは失礼します」

(´・ω・`)?
なにをそんなに怯えているんだろう
それで、差出人は?

『アドルフ・ヒトラー』

(。゚ω゚)!!!

502名無しさん:2024/07/01(月) 19:29:56 ID:IjxNavq.0
『親愛なるクビツェク!
今日やっと君の手紙を見た。
就任以来、膨大な量の手紙を見るので、こういうことは珍しくないないのだ。
それだけに、長い年月の末に初めて君の消息と居場所がわかって、とても嬉しい。
困難な闘争の日々が終われば
僕は喜んで我が人生最良の日々の思い出にまた浸りたい。
君が僕のところに来ることは可能だろうか?
旧友を想いながら、君と君の母上にご多幸をお祈りします
アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』

503名無しさん:2024/07/01(月) 19:30:59 ID:IjxNavq.0
(。゚ω゚) .。oO(アドルフは僕のことを覚えていた……!!)

(;´・ω・` ) .。oO(…でも)
『我が人生最良の日々』は言い過ぎだと思う
あの貧しくて困窮していた日々を……

   ブンブン
(-ω-`;≡;´-ω-)

アドルフの想いを僕が否定していいはずがない

(´・ω・`) .。oO(それにしても…)
『君が僕のところに来ることは可能だろうか?』だって?

504名無しさん:2024/07/01(月) 19:31:27 ID:IjxNavq.0
( ;´-ω-` ) .。oO(無理に決まってるじゃないか……)
僕はただの小役人、アドルフは帝国宰相
どの面下げて会いにいけばいいのさ…
それに僕にはもう家庭がある
仕事をほっぽり出すこともできない……

(;`・ω・´) .。oO(って何を真に受けてるのさ!)
こんなのただの社交辞令じゃないか
僕はもう子供じゃない大人だ
社交辞令を真に受けるなんてどうかしてる

(´・ω・`) .。oO(そうだよ………)
ほんとうにどうかしてる

505名無しさん:2024/07/01(月) 19:31:53 ID:IjxNavq.0
役所
ザワザワ…ザワザワ      ザワザワ…ザワザワ
(´0`)´0`)´0`)    (´0`(´0`(´0`*)(´・ω・`)

職場ではある話題でもちきりだった

(*´0`)´0`)´0`)『帝国宰相がリンツを訪問するんだって』

506名無しさん:2024/07/01(月) 19:32:14 ID:IjxNavq.0
(´・ω・`)……
彼がわざわざボクに会いに来たのではない
その証拠にアドルフが故郷リンツを訪れるなんてボクも初耳だった

何のめぐり合わせか分からないが
たまたまアドルフから手紙が来た後に
たまたまアドルフがリンツを訪れ
たまたまボクも足を運んだ
ただそれだけのことだ

507名無しさん:2024/07/01(月) 19:32:47 ID:IjxNavq.0
リンツのホテル前

ザワザワ ハイル! ザワザワ ハイル! ザワザワ
…ー╲(⚭-⚭╲(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)/⚭-⚭)/ ---

(。゚ω゚) .。oO(うわっ、すごい人だ)
ウィーンの駅を思いだすよ
こんな中をかき分けて行くなんて至難の業だ
…でも

(`・ω・´) .。oO(これでもあの大都会で揉まれてきたんだ)
負けないぞ!

┗(`・ω・´)┓三三3

508名無しさん:2024/07/01(月) 19:33:22 ID:IjxNavq.0
( ;´-ω-` ) .。oO(ふぅ、やっと前までこれた……)

(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『なんだお前は!!』

:(´ºωº`): .。oO(ひぃ、怖い顔!)
きっとアドルフの親衛隊だ
屈強な彼らに不審者だと思われたら
僕なんて成す術もなく取り押さえられるに違いない
……でも

(`・ω・´) .。oO(僕だって戦場を生き抜いて来たんだ)
負けない!

509名無しさん:2024/07/01(月) 19:33:58 ID:IjxNavq.0
(´・ω・`)「ア、いや違う」
(;`・ω・´)「ヒトラー総統閣下に会わせてください」

(;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)『なに言ってんだ お前??正気か?』

( ;´-ω-` ) .。oO(まあ、そうなるよね)
後ろからの視線も痛いし……

ソウトウニアワセテダッテヨ プーナニアノオヤジ ヤマダタロウオツ

(´-ω-`) .。oO(…聞こえない聞こえない)

510名無しさん:2024/07/01(月) 19:34:32 ID:IjxNavq.0
(;´・ω・` )つ「えっと…これを見てください」
(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)「なんだ……ん!!!」

親衛隊の男は手紙と僕を交互に何度も見比べた
そばにいた同僚と何度も顔を合わせ不振がった
そして、上官を呼んだ

(*■_■)「なんだいったい?」
(;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)つ「これを……」

Σ(*■_■)「……!!」

(*■_■)「部下が失礼しました。どうぞこちらへ」

ウオオ!トオサレタゾ イッタイナニモノナンダ!
…ー╲(⚭-⚭╲(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)/⚭-⚭)/ ---

511名無しさん:2024/07/01(月) 19:34:55 ID:IjxNavq.0
今回はここまで

512名無しさん:2024/07/01(月) 22:45:45 ID:PIIIYiOM0

手紙では代わり映えなく見えて、ほっとしてしまった
どんな再会になるのか……

513名無しさん:2024/07/02(火) 17:15:18 ID:Dr0TdrcI0
乙乙
溺愛系おハイソ漫画でよく見かける展開や!

514名無しさん:2024/07/02(火) 18:47:00 ID:vej3OpOc0
ホテルの中

(。゚ω゚) .。oO(うわぁ!)
新聞で見るような有名人ばっかりだ
大臣、高官、将軍……
この人たちが今のアドルフの……
それにしてもすごい慌ただしさだ!

( ;´-ω-` ) .。oO(頭がクラクラしてきた)
人が多いのもそうだけど
僕はこれから彼らを率いる帝国宰相に会うんだ…
今さらだけどとんでもないことをしようとしてるんじゃないかな?
アドルフと別れてからもう三十年と経とうとしてるんだよ!
……それなのに今さら会おうなんて
………

515名無しさん:2024/07/02(火) 18:47:33 ID:vej3OpOc0
(;´・ω・` ) .。oO(やっちゃったかな……)
どうしよう…もう帰りたい……

( ´_ゝ`)「クビチェクさんですね?どうぞこちらへ」
(;´・ω・` )「は、はい…」

(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう…)
胸がドキドキだ
偉くもないし、立派でもない
そんな僕が……

帝国宰相に会うなんて……

アドルフなんて呼んだら…駄目だよね
礼儀正しくしないと
彼もそういう無礼なのが嫌いだったし…

516名無しさん:2024/07/02(火) 18:48:28 ID:vej3OpOc0
案内され少し歩いた
すると突然ガチャっと、とある一室のドアが開き
質素なフィールドグリーンの上着を着た見知った男が出てきた

彡(゚)(゚)「ん?」
彡(^)(^)「お、クビツェクやんけ!」

(。゚ω゚) .。oO(ええええええええええ)
アドルフが出てくるの!!??
てっきり僕が部屋に入っていくものとばかり!??!?

彡(^)(^)「いや〜ホンマ 久しぶりやな〜!」

    ガシッ!
(。゚ω゚)つ⊂(^)(^)ミ

と彼は僕の右手を両手でしっかりと握りしめ
昔と同じ明るく大きな目で見つめてきた

517名無しさん:2024/07/02(火) 18:49:22 ID:vej3OpOc0
(。゚ω゚) .。oO(あっわわわわわわわ)

(。゚ω゚)「お、お久しぶりです総統閣下…」
(。゚ω゚)「この度は急に押し掛けてしまい申し分ありません」

(;´・ω・` )「今日のお日柄もよく…えと…」
彡(゚)(゚)……

彡(^)(^)「上出来や、クビツェク! 」
彡(゚)(゚)「ついにお前も他の連中と同じことを言うようになったな」

(´ᴖωᴖ`;)「あ、あはは…は…」
彡(゚)(゚)「まあええ、ついて来いや!」

(゚)(゚)ミ(‘・ω・`; )三三3 (´<_`)三3
とアドルフは前を歩いていった

518名無しさん:2024/07/02(火) 18:49:57 ID:vej3OpOc0
チーン 上に参ります

(´・ω・`) .。oO(え?)
エレベーターに乗るの?
ボクとアドルフと偉そうな人……の三人

シーン

(;´・ω・` ) .。oO(き、気まずい……)
なにか話した方が……
いや、ダメだ。ちゃんとしないと

チーン 三階です

テクテク…ガチャ
( ´_ゝ`)「どうぞお入りください」

物腰の柔らかい彼に促され、とある一室に通された

519名無しさん:2024/07/02(火) 18:50:25 ID:vej3OpOc0
( ´_ゝ`)「ではごゆるりと」
ガチャ

(。゚ω゚) .。oO(え、アドルフと二人っきり!!!)
(´・ω・`)いや、まあ別にいいんだけど……

520名無しさん:2024/07/02(火) 18:51:07 ID:vej3OpOc0
通された場所は、バルコニーからリンツが一望できる部屋だった

彡(゚)(゚)「クビツェク、お前は本当にあの頃のままや」
彡(゚)(゚)「お前がどこにいても、ワイならすぐに見分けられたで」

彡(-)(-)「お前は何も変わっとらん」
彡(゚)(゚)「ただ年をとっただけや!」

彡(^)(^)「こうして再会できてホンマ嬉しいで!」
(;´・ω・` )「あ、ありがとうございます」

彡(゚)(゚)……

彡(゚)(゚)「スマンな 本当は会いに行きたかったんやが…」
彡(-)(-)「今のワイにプライベートはないんや……」

彡(-)(-)「普通の人みたいに振る舞うこともできないんや……」

521名無しさん:2024/07/02(火) 18:51:55 ID:vej3OpOc0
(´・ω・`) .。oO(なに言ってんだい)
もとから普通ではないし
アドルフこそ昔とまったく変わらないじゃないか

( ;´-ω-` ) .。oO(……なんて言えないや)
(;´・ω・` )「はい、理解できています」

彡(゚)(゚)「……見ろや、ドナウ川に架かるあの橋を」

彡(゚)(゚)「まだ架かっとるで 昔と変わらんボロいままやな!」
(;´・ω・` )「そうですね」

522名無しさん:2024/07/02(火) 18:52:30 ID:vej3OpOc0
彡(゚)(゚)「ワイは断言するで! あの橋をあのままにはせん」
彡(゚)(゚)「橋だけやない、リンツの街そのものを根底から変えたる!!」

彡(-)(-)「でもな……街を作り変える前に……」
彡(゚)(゚)「ワイはまたお前とあのボロ橋を渡ってブラブラ歩きたいんや」

彡(-)(-)「だがそれは無理や…… ワイが現れれば、皆がついてまわる」
彡(゚)(゚)「しかしなクビツェク、信じてくれや 」

彡(゚)(゚)「ワイは故郷にたくさんのことをしてやるつもりや」
(´・ω・` )「あ、あの頃の計画ですね」

彡(^)(^)「せや! 覚えとったか!!」

523名無しさん:2024/07/02(火) 18:52:56 ID:vej3OpOc0
彡(•)(•)「お前はワイの計画を実現不可能やと疑っとったが……」
彡(^)(^)「今こそあれを実現するで!」

彡(^)(^)「まずはどでかいオーケストラからや!」

アドルフは青春時代に企てたすべての計画を再び披露した
まるであの頃から三十年ではなく
せいぜい三年しか経っていないかのようだった

524名無しさん:2024/07/02(火) 18:53:46 ID:vej3OpOc0
彡(゚)(゚)「ところで、お前は何になったんや?」
(´・ω・`)「私は地方官司になり、助役になりました」

彡(゚)(゚)「助役とはどういうもんや?」
(;´・ω・` )「え、ええと…つまり、役人です」

(;´・ω・` ) .。oO(し、しまった!)
役人は禁句だ!!
これだけは口にしちゃいけないと決めていたのに!
つい口が滑った

( ; ›ω‹ ) .。oO(くるか来るか!?)

525名無しさん:2024/07/02(火) 18:54:11 ID:vej3OpOc0
彡(゚)(゚)「そか、役人か……そか」
(´・ω・`) .。oO(あれ……?)

彡(゚)(゚)「せやけど、お前には合わんやろ」
彡(゚)(゚)「お前の音楽的才能はどこにいったんや?」

(;´・ω・` )「えーと…」

僕はありのままを話した
戦争によって僕の音楽家の道は途絶えたこと
飢え死にしたくなかったこと
母の勧めから役人になったこと

彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「せや、戦争のせいや」

526名無しさん:2024/07/02(火) 18:54:52 ID:vej3OpOc0
それからもアドルフは僕のプライベートを聞きたがった
正直に話した
今は家庭を持って大変ながらも落ち着いていること
そして規模は小さいがオーケストラを作ったことを

彡(-)(-)「……町で小さなオーケストラを…」
彡(゚)(゚)「素晴らしいことや」

彡(^)(^)「さすがやクビチェク」
彡(゚)(゚)「で?どんな交響曲を演奏しとるんや?」

(´・ω・`)「シューベルトの『未完成』」
(´・ω・`)「ベートーヴェンの『英雄』『運命』」
(´・ω・`)「モーツァルトの『ジュピター』などです」

527名無しさん:2024/07/02(火) 18:55:17 ID:vej3OpOc0
彡(-)(-)「そかそか……ワイも直接 聞きに行きたいで…」
(。゚ω゚)「本気ですか?」

彡(•)(•)「もちろん本気や!」
彡(^)(^)「あれからどんだけ上手くなったか楽しみやわ!」

彡(-)(-)「……まあ、さっきも言ったが無理なんやけどな……」
(;´・ω・` )「そうですよね…」

528名無しさん:2024/07/02(火) 18:55:42 ID:vej3OpOc0
彡(゚)(゚)「よっしゃ決めたで! ワイが援助したる!」
彡(゚)(゚)「報告書を作って送ってくれや」

彡(゚)(゚)「それと、何か悩んだでることはないか?」
彡(^)(^)「ワイがパパーッと解決したるで!」

(;´・ω・` )「い、いえ…つつましながらも十分生活は出来てるので……」
(´・ω・`)「特に希望はありません」

彡;(゚)(゚)「ファ!?大抵の奴は喜んで頷くんやで!」
(´・ω・`)「そうですか…」

529名無しさん:2024/07/02(火) 18:56:15 ID:vej3OpOc0
彡;(゚)(゚)「だったら…」
彡(゚)(゚)「せや!クビツェク、子供がおる言うとったやろ?」

(´・ω・`)「ええ、3人います」
彡(•)(•)「3人もか!」

彡(-)(-)「ええな……ワイには家族がおらん…」
彡(゚)(゚)「一人ぼっちや……」

530名無しさん:2024/07/02(火) 18:56:35 ID:vej3OpOc0
(´・ω・`) .。oO(あれ?)
アドルフには長年付き合っている恋人がいるって週刊誌で……
でも、それはステファニーではない
彼女は別の人と結婚したはずだ
もしかしてまだステファニーを引きづっているなんてことはないよね?
それだと、あまりに交際相手が可哀そうだよ……

531名無しさん:2024/07/02(火) 18:56:57 ID:vej3OpOc0
彡(-)(-)「未来ある子供にはワイらみたいに貧困で苦しんでほしくないんや」
彡(゚)(゚)「お前と別れてから、ワイは最悪の日々を送った」

彡(゚)(゚)「若い才能が困窮のために破壊されるようなことがあってはならんのや」
彡(•)(•)「だからクビチェクの子に援助させてくれや!」

彡(^)(^)「リンツのブルックナー学院に入れさせたるで」

僕は断った
でも、彼はそれでも食い下がった

532名無しさん:2024/07/02(火) 18:57:24 ID:vej3OpOc0
彡;(゚)(゚)「頼むわ、それくらいはさせてくれや!」
彡;(゚)(゚)「他ならぬ、クビツェクの子や 遠慮するなや…」

彡(-)(-)「このとおりや」
(;´・ω・` )「えと…やはりそういう訳には…」

彡(•)(•)「頑固やな……まあ、ええ ちょっと待っとれ」

アドルフは立ち上がるとドアに向かって歩いて行った
そして偉そうな人( ´_ゝ`)を呼び寄せ何か話していた
きっと子供の援助についてだろう

(´・ω・`) .。oO(どっちが頑固なんだか……)

533名無しさん:2024/07/02(火) 18:57:59 ID:vej3OpOc0
僕とアドルフは気づけば一時間以上も話し込んでいた

( ´_ゝ`)「総統、そろそろ時間が……」
彡;(゚)(゚)「ファ!? もうこんな時間か!」

(´・ω・`) .。oO(あ、忘れてた!)
アドルフに手紙やスケッチを返さなくちゃ!

(´・ω・`)「そうでした! これを!」
彡(゚)(゚)「これは…ワイが贈った画材や絵葉書…」

彡(゚)(゚)「そして、ワイが設計した邸宅か………」
彡(゚)(゚)………

534名無しさん:2024/07/02(火) 18:58:43 ID:vej3OpOc0
彡(゚)(゚)「クビツェク、これらはお前だけの物や…」
彡(゚)(゚)「これをどうしようとワイは一切関与する気はあらへん」

彡(゚)(゚)「最近になってワイの作品は脚光を浴びるようになった」
彡(•)(•)「ワイが書いた絵だと言って高値で贋作を売るアホまで出る始末」

(´・ω・`)……

彡(•)(•)「覚えとるか!?ワイが学生時代に肖像画のペアを組まされたやつを!」
彡(•)(•)「あのドアホ、ワイとほとんど喋ったこともない癖に…」

彡(•)(•)「ワイの伝記を書きよったんやで!!」

535名無しさん:2024/07/02(火) 18:59:21 ID:vej3OpOc0
彡(゚)(゚)「そういうものはワイのことを本当に知っとる人物が書くべきや」
彡(-)(-)「もし…そういう人物がいるとすれば……」

彡(゚)(゚)「それはお前や、クビツェク」

彡(゚)(゚)「ヘス副総統、このことを直ちに記録しておくように」
( ´_ゝ`)「はい総統」

(´・ω・`) .。oO(僕に伝記を…?)
嫌だよ面倒くさい

536名無しさん:2024/07/02(火) 18:59:52 ID:vej3OpOc0
彼はヘスって言うんだ…落ち着いてていい人そうだな
……え、副総統って言わなかった?
もしかして僕はこの国のトップ二人と一緒にいるの?

(。゚ω゚) .。oO(はえー)

彡(゚)(゚)「ほなまた会おうな、クビツェク」

こうして会見は終了した
どうやって帰ったかまったく覚えていない

537名無しさん:2024/07/02(火) 19:00:16 ID:vej3OpOc0
今回はここまで

538名無しさん:2024/07/03(水) 12:40:16 ID:mQlLlEgU0

うまく言えないけど、本当に楽しんで読んでます

539名無しさん:2024/07/03(水) 21:30:30 ID:ES5HwQfQ0
あれから、僕の静かで目立たない生活は急に騒がしくなった
アドルフの作品を狙う不良隊員や欲深な連中がよく家にきた
こういった輩にはこう言って追い返した

(´・ω・`)「それについてはヒトラー閣下と個人的に話したいと思います」
(´・ω・`)「ところであなたのお名前は?」

効果はてきめんだった、誰もがこの一言で黙って帰った

540名無しさん:2024/07/03(水) 21:31:01 ID:ES5HwQfQ0
役所
(;;;゚Д゚;)「あの、この書類についてなんですが」
(´・ω・`)「はい…なんでしょうか…」

明らかに怖がられてる…たまにそうでない人がいてもコネ狙い…

でも新たな知り合いもできた
副総統のヘス( ´_ゝ`)だ
彼は他の隊員や高官と違い
興味深そうにアドルフのことについて聞きたがった

(´ᴖωᴖ`)「そこで彼は言ったんですよ『彼女と一緒にドナウ川に飛び込む』って」
( ´_ゝ`)「ははは、女性に対しては昔からそうだったんですねぇ…実は…」

(´ᴖωᴖ`;)「あはは、付き合った女性3人が自殺未遂……!ははは……は…」

541名無しさん:2024/07/03(水) 21:31:45 ID:ES5HwQfQ0
ある日、アドルフから招待状が送られてきた
リヒャルト・ワーグナーの祝賀劇の招待状だ!
その公演は見たい!見たい!!どうしても見たいと
夢に見ていた公演だった!
でも経済的な理由で…ってこんなことを言うのは無粋だよね

数日後 ヴァンフリート館

(´-ω-`) .。oO(とても素晴らしい演劇だった)
まるで魔法にかけられたようだった
美しい名曲、夢にまで見たワーグナーの息吹!
まさか夢が現実になるなんて…!
ありがとう!神様、仏様……アドルフ様!!
なんてね!

542名無しさん:2024/07/03(水) 21:32:11 ID:ES5HwQfQ0
(´・ω・`) .。oO(でも……)
アドルフはいなかった……
彼は多忙だった
噂では、大きな戦争がまた始まるのではないかとさえ言われている……

( ;´-ω-` ) .。oO(……昔のように起きっこないなんてもう言えない)

(´・ω・`)……
あーあ、夢は叶ったけど…なんだかな……

どんなに素晴らしい芸術もアドルフがいない溝を埋めることはできなかった
このまま残っていても不完全燃焼なもどかしい気持ちが積もるだけだ
家族のもとに帰ろう

543名無しさん:2024/07/03(水) 21:32:32 ID:ES5HwQfQ0
(´・ω・`) .。oO(でも、どうなんだろう?)
アドルフがそばにいてもあの頃のように語れたのかな……

( ;´-ω-` ) .。oO(うーん…無理だろうなぁ)

(´・ω・`)「今日はありがとうございます。とても素晴らしい演奏でした!」
( ´_ゝ`)「もう帰られるのですか?」

( ´_ゝ`)「あと一日いると、よいことがあるかもしれませんよ」
(´・ω・`)「へ?」

544名無しさん:2024/07/03(水) 21:32:55 ID:ES5HwQfQ0
翌日
⊂(゚)(゚)ミ⊃三三3ブーンキキッー

彡(゚)(゚)/「待たせたなクビチェク!!」
アドルフは遠方からわざわざ飛行機に乗ってやってきた

彡;(゚)(゚)「すまん、時間がないんや!」

アドルフはボクの腕をつかむと歩き出した
彡(゚)(゚)っ(´・ω・`)「え…え?」 三三3

彡(●)(●)「お前らはええ 付いてくんなや!」

(;*■_■) (;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)ザワザワザワ

ああ、皆、動揺しちゃって…なんというか…御愁傷様…

545名無しさん:2024/07/03(水) 21:33:33 ID:ES5HwQfQ0
アドルフは庭に通じるドアを開け、石段を下った
手入れの行き届いた小路を抜け、鉄柵のドアが開かれた

するとそこにはリヒャルト・ワーグナーの墓があった

(´・ω・`)人(゚)(゚)ミ
アドルフは僕の手を握った
彼の感動がひしひしと伝わってくる

彡(-)(-)「ワイらにとってここは最も神聖な場所や……」

彡(゚)(゚)「あの頃に語り合った夢がこうして叶って……」
彡(^)(^)「ワイは満足や!!」

ボクの隣には頬のこけた青白い大きく特徴的な目をした
あの頃のアドルフがいた

546名無しさん:2024/07/03(水) 21:34:15 ID:ES5HwQfQ0
その後、僕たちは劇場に向け歩き出した
だが、階段の所までくるとアドルフは止まった

(´・ω・`)??

彡(-)(-)「すまんな」
彡(゚)(゚)「ワイは他にやることがあるから一緒に見れへんのや…」

(´・ω・`; )「え…」
彡;(゚)(゚)「そんな顔すんなや……でもな…」

彡(゚)(゚)「若いワイらがあれだけ熱狂したワーグナーの劇や!」
彡(^)(^)「ちゃんと楽しむんやでクビチェク」

     ガシッ!
(´・ω・`)つ⊂(゚)(゚)ミ
アドルフは両手でボクの手をしっかり握りしめた

\(   )ミ
そして回れ右して、振り向かずに、少し早足で出口に向かおうとした

547名無しさん:2024/07/03(水) 21:34:50 ID:ES5HwQfQ0
(´・ω・`)「ア……」
彡(゚)(゚)「ん、なんや?」

(;´・ω・` )「あ、え、えーと…」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)「もしかして戦争の……こと?」

彡(゚)(゚)「お!」
彡(^)(^)「せや お前も少しは政治に関心を持つようになったんやな!」

彡(゚)(゚)「クビツェク、お前も知っとるやろ」
彡(゚)(゚)「どれ程ワイに建設したいものがあるかを」

548名無しさん:2024/07/03(水) 21:35:42 ID:ES5HwQfQ0
彡(●)(●)「戦争なんて糞や!」
彡(●)(●)「ワイの建築計画を邪魔しおってからに……」

彡(-)(-)「この戦争のせいで……」
彡(゚)(゚)「ワイの建設事業は何年も後戻りしてしまったんや」

彡(-)(-)「残念や」
彡(-)(-)「ワイは戦争をするために帝国宰相になったんやない…」

(´・ω・`)……

彡(゚)(゚)「闘争の日々が終わったら、ワイはお前を呼ぶ」
彡(゚)(゚)「そしたらまた……」

彡(^)(^)「芸術について語ろうや」
彡(^)(^)「お前はずっとワイのそばにおらなアカンのやからな!」

549名無しさん:2024/07/03(水) 21:36:20 ID:ES5HwQfQ0
ヴー

解放者リエンツィは高らかに宣言した
トランペットの響きが
長く鳴り響くのを聞いたら
起き上がって駆けつけるのだ
そのとき私は諸君に自由を宣言する

貴族マドリアーノが問う
リエンツィ、君は何をする気だ?
君は強大だ。言ってくれ、
権力をどこに向けて使う気なのだ?

リエンツィは答える
私はこの国を偉大で自由にする
……
私はそのために法を作りたいだけだ
その法に民衆も貴族も従うのだ!

550名無しさん:2024/07/03(水) 21:36:57 ID:ES5HwQfQ0
民衆は狂喜する
彼こそ、我ら民衆のためにいるのだ
それゆえ、我らの言うこと聞いて、賛成してくれ
我らは彼の民衆、彼は我らの王だ!

リエンツィは叫んだ
私は王ではない!
だが、諸君らは私を守護者に選んだ
民衆に法を知らしめる守護者
諸君らの先祖に倣って
護民官と私は名乗ろう!

民衆は歓喜して答える
ハイル リエンツィ、我らの護民官!

551名無しさん:2024/07/03(水) 21:37:25 ID:ES5HwQfQ0
貴族ステファノは吐き捨てる
奴は民衆の偶像だ
民衆を欺瞞している

・・・

貴族に扇動された民衆がわめく
裏切り者!俺たちは奴に尽くした
奴の功名心のために、俺たちの血が犠牲になった
奴は俺たちを破滅に追い込んだ
復讐だ!

リエンツィは嘆く
……私が引き上げてやった民衆たちも
私を見捨てた
私の幸運に集まってきた友たちも
私を見捨てた……

552名無しさん:2024/07/03(水) 21:37:48 ID:ES5HwQfQ0
貴族は嘲笑する
しょせん、愚かな暴徒どもだ!
リエンツィが奴らを騎士にしたのだ
リエンツィを奴らから奪えば、奴らは本来の群衆に戻る!

民衆は怒り狂う
集まれ!集まれ!急いでこっちに来い!
石を持って来い!たいまつを持って来い!
リエンツィは呪われた。奴は破門された!
奴は俺たちを裏切った!!

リエンツィは問いかける
言ってくれ、誰が諸君らを偉大で自由にしたか?
私が自由と平和を与えたとき
諸君らは私に歓喜して挨拶してくれたではないか
あの歓喜のことをもう思い出してくれないのか?
もう私の名を呼んではくれないのか?

553名無しさん:2024/07/03(水) 21:38:16 ID:ES5HwQfQ0
誰もリエンツィに耳を傾けようとしない

……何ということだ!これが人間なのか?
人間とは、これほど惨めで無価値なのか?
私はお前たちを呪うぞ!
こんな世界は呪われ、破滅するがよい!
腐敗し、干からびた世界!
お前たちがそれを望んだのだ!

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554名無しさん:2024/07/03(水) 21:38:42 ID:ES5HwQfQ0
彡(゚)(゚)/「ワイのすべてはここから始まったんや!」

(´・ω・`)「…うん、初めてリンツでこの劇を見た時も……」
(´・ω・`)「君はそう叫んだよね」

(。゚ω゚)「え!?アドルフ?」

慌てて横を振り向くと怪訝そうな顔をした老年の紳士が
(◦灬⦿)ジトォーと僕のことを凝視していた

(;´・ω・` ) .。oO(あれ?この人…)
どこかで見たことがあるような気が……

(◦灬¯)「ゴホン!」
(;´・ω・` )「す、すみません!」

(;´・ω・` )「あまりに感銘を受けてしまってその一人ごとを……」
(;´・ω・` )「……本当にすみません」

なんだ空耳か…

555名無しさん:2024/07/03(水) 21:39:20 ID:ES5HwQfQ0
演目がすべて終わり僕は見送りの最前列に立っていた
眼の前には黒光りのベンツがゆっくり通りすぎようとしている
こんな車に乗れるのは要人に決まっている
そしてそれがアドルフ・ヒトラーだと誰でも知っている
誰もが歓声を上げて彼を送り出そうとしていた

僕も皆と同じように手を振った
すると、アドルフがきづいたようだ
運転手に何か合図をだしている

キキッ
車が止まった

ウィーン
窓が開いた

556名無しさん:2024/07/03(水) 21:39:46 ID:ES5HwQfQ0
彡(^)(^)つスッ
微笑んだアドルフが握手を求めてきた

       つ⊂

彡(^)(^)「ほななクビチェク、また!」
(´・ω・`) .。oO(うん、またね アドルフ)

      つ  ⊂

ウィーン
窓が閉まった

557名無しさん:2024/07/03(水) 21:40:24 ID:ES5HwQfQ0
一九三九年 第二次世界大戦勃発
一九四〇年 ドイツ・イタリア・日本三国同盟締結
一九四一年 ドイツ ソ連に宣戦布告
一九四三年 スターリングラードの戦い ドイツ敗北
一九四四年 連合国軍 ドイツに侵攻

一九四五年 アドルフ・ヒトラー自殺
         彡(゚)(゚)
         ┏┛墓┗┓
       
       第二次世界大戦終結

558名無しさん:2024/07/03(水) 21:40:57 ID:ES5HwQfQ0
終戦後、僕はアドルフ・ヒトラーの関係者として逮捕された

「あなたはヒトラーから何かもらいましたか?」
(´・ω・`)「いいえ」

「何も?」
(´・ω・`)「はい」

「お金も?」
(´・ω・`)「はい」

「食糧などは?」
(´・ω・`)「もらってません」

「車は?家は?」
(´・ω・`)「もらってません」

559名無しさん:2024/07/03(水) 21:41:27 ID:ES5HwQfQ0
「美女を紹介されたりは?」
(`・ω・´)「ありえません」

「何かに招待されたことは?」
(´・ω・`)「ワーグナーの祝賀劇に招待されました」

「ヒトラーはあなたを歓迎しましたか?」
(´・ω・`)「はい」

「よく会いましたか?」
(´・ω・`)「ほんの数回です」

「どうやって彼に会ったのですか?」
(´・ω・`)「僕から会いに行きました」

「その時、ヒトラーはあなたのそばにいましたか?」
(´・ω・`)「はい、すぐそばにいました」

「二人だけで?」
(´・ω・`)「二人だけです」

「警護もなしで?」
(´・ω・`)「警護もなしです」

「それならあなたはヒトラーを殺すこともできたでしょう?」
(;´・ω・` )「…はい、できたと思います」

560名無しさん:2024/07/03(水) 21:42:12 ID:ES5HwQfQ0
「最後にひとつ聞きます」

ではなぜ、あなたはヒトラーを殺さなかったのですか?
彼を殺していれば…あなたは英雄になれたのに

それは…

僕とアドルフは友人だから
でも…こんなこと言えるわけがない……
彼は戦勝国の人々から
そして……
あんなに熱狂していた国民からも
史上最悪の独裁者と称される極悪人となっていた

そんな男を友だなどと口が裂けても言えるはずがない

………
………
……でも

561名無しさん:2024/07/03(水) 21:42:49 ID:ES5HwQfQ0
あの時、いやあの時、それともあの時
それとも……あの時

アドルフにちゃんと向き合っていたら
アドルフに君は間違っているって言えたなら
激怒するアドルフに言い返してたら
そしてとことんアドルフと言い争ってたら

どうなってたんだろう…

二人がおじいちゃんになっても一緒に劇場に足を運んでいたのかな?
そして芸術について語り合うんだ!
ボクが聞き役でアドルフが話す役なのはきっと変わらないんだろうけど

……

562名無しさん:2024/07/03(水) 21:43:34 ID:ES5HwQfQ0
まあでも、そんなことできるわけないんだけどね
言えるわけないじゃん!
だって、あのアドルフ・ヒトラーにだよ!!

だから何を思ったって
過去は変わらないし、未来も変えられない
彼が許されない罪を犯したことも変わらないし、変えられない

……

でも……
ボクとアドルフが友達だってことも変わらないし、変えられない

だからアドルフには言えなかったけど
今ならはっきりと言える

563名無しさん:2024/07/03(水) 21:44:01 ID:ES5HwQfQ0
(´・ω・`)「そんなの決まってるだろ」
(´・ω・`)「ヒトラーはボクの友達だからさ」

564名無しさん:2024/07/03(水) 21:44:38 ID:ES5HwQfQ0
おしまい

565名無しさん:2024/07/03(水) 21:45:06 ID:ES5HwQfQ0
長い間、読んで頂きありがとうございました

566名無しさん:2024/07/03(水) 22:41:17 ID:I3O.V2ac0
最高でした!

567名無しさん:2024/07/03(水) 23:28:22 ID:mQlLlEgU0
乙乙乙乙乙乙乙乙

568名無しさん:2024/07/04(木) 22:17:49 ID:2UK1gPpY0
ひとまず乙じゃ!
あとでよむ

569名無しさん:2024/07/04(木) 22:44:09 ID:7ocQAWpM0
乙乙乙
クビツェクからしたらめっちゃ切ない思い出だよね
いやぁ文体がずっとエモーショナルで良かった。良かった。

570名無しさん:2024/07/04(木) 22:55:26 ID:EGLUWAq60
乙です

571名無しさん:2024/07/05(金) 12:37:48 ID:GPR/6pDc0
すごい良かった
ヒトラーへの認識が180度変わったわ


572名無しさん:2025/06/10(火) 02:13:23 ID:9.NnSh.g0
乙乙


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