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从 ゚∀从激重感情のようです

1 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 21:13:43 ID:7hsDycEw0
オレンジデー祭り2024参加作品

95 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 22:56:36 ID:7hsDycEw0


 三人と別れた後、いつもとは違う喫茶店でアイスココアを飲んでから帰宅した。
 もう夜だ。
 風呂や飯よりもまず先に、キュートには恨まれていないようだとつーに伝えよう。

( ФωФ)「ただいま……」

 リビングに入ると、スマホを見つめていたらしいつーが勢いよく顔を上げた。

(;゚∀゚)「ロマ!」

 顔色が悪い。
 ばたばた手招きをするので隣に腰を下ろす。

(;゚∀゚)「あの。あのね、私、あの。
     昨日、話したあと疲れて寝ちゃったでしょ」

( ФωФ)「うむ」

(;゚∀゚)「だから夜中に目が覚めちゃってさ。
     怖かったし、高校のときの夢も見ちゃってしんどかったから、美和に連絡したの」

( ФωФ)「高崎さんであるか?」

(;゚∀゚)「……美和もね、キュートたちにいじめられたことがあって。
     私と仲良くなったのも、それがきっかけだったから」

 ああ、だからあまりロマネスクに会わせたくなかったのか。
 うっかりその頃の話が出てしまわぬようにと。
 今さら理解が至った。

96 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 22:57:26 ID:7hsDycEw0

(;゚∀゚)「い、今まではさ、たまに高校の話をしても落ち着いてたし、むしろ私が泣くと慰めてくれたりしたから、てっきり今回も大丈夫だと思ったの。
     でも違って、本当は私よりずっと苦しんでて」

( ФωФ)「落ち着け、ゆっくり話すである」

 テーブルの上に飲みかけのお茶があったのでそれを手渡す。
 一口飲み込んで、一呼吸置いて、つーは続けた。


(;゚∀゚)「……美和、今でも定期的にキュートのお母さんのとこ行って謝らせてたらしいの……」

.

97 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 22:58:31 ID:7hsDycEw0



<(' _'<人ノ『たまたま近くを通ったので』



lw´  _ ノv『それでもどうやって突き止めたのか、時々来る方もいます。先日だって……』


.

98 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:00:56 ID:7hsDycEw0

(;ФωФ)「そう……であったか……」

(;゚∀゚)「この間も行ってきたばかりだったんだって。
     そういうタイミングで私が昔のこと話したせいで、なんか……わーってなっちゃったみたい」

(;゚∀゚)「それで、思わずネットにキュートのこと書き込んじゃったって……」

(;ФωФ)「なに?」

 言って、スマホを見せてくる。
 液晶にはSNSが表示されていた。

(;゚∀゚)「そしたら、暴露系っていうのかな、そういう人に見付かって拡散されちゃったんだって」

 キュートの名前、学校名、同じグループに属していた生徒たちの名前。
 彼女たちがしてきたこと。つーや美和たちがされたこと。
 それらへの処罰が下されたが、内容も相手も不十分だったこと。
 最終的にキュートが自殺するに至るまでの顛末。

 それらが事細かに書き記されていた。

 斜め読みする短い間にも、下部に表示された閲覧数や評価数が目まぐるしく上昇していく。
 一度ホーム画面に戻ってみれば、その件に触れる投稿ばかりが流れてきた。

99 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:01:35 ID:7hsDycEw0


『話題になってる投稿見たけどただただ胸糞悪い どっちがいじめっ子だよ』

『カスが自爆しただけで草』

『うーん…あの話を聞いていじめっこのほうを擁護する人とはちょっと距離をおきたい(なんか見た)』

『先にやった方が悪いんだし、復讐されるのはしかたない。
 けど首謀者は生きて苦しみ続けるべきだった。こんなのじゃ被害者もすっきりしないよ。』

『過剰な報復で償いの機会を奪うことは果たして正義か?』

『どっちもどっち。学校の民度が終わりすぎ。』

『責任逃れた連中のうち四人の職場がもう特定されてる! 残りのメンバーも震えて待て』

『自◯したから可哀想って何?虐められた事ない奴は黙ってろよ』


 ほとんどがいじめのグループ、特にリーダー格──ということにされた──キュートを責める声。
 キュートに同情的な声や、中傷するユーザーへの非難も時々あるが、割合としてはわずかなものだろう。
 またそれらとは別に、事件や被害者を茶化したり性的な被害に対する下卑た意見も目につき、気分が悪くなってスマホを伏せた。

 ロマネスクだってキュートには怒りや憎悪を抱いていた。
 だが他者から発されたそれらの感情を目にすると、毒あたりしたような気にもなる。
 まして、頭を下げた彼女を見た後では。

100 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:02:25 ID:7hsDycEw0

(;゚∀゚)「どうしよう、ロマ、私こんなのやだよ」

(;ФωФ)「つー……」

(;゚∀゚)「私もそりゃさ、キュートのこと嫌いだよ。
     美和の気持ちもよく分かるよ。でも、でもさ」



(;゚∀゚)「き、嫌いな奴だってさ……酷い目に遭うの見たら、やな気分になるよ……」



 ──それでもいいのかと。

 腹の奥底に、何かが落ちた。

101 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:04:49 ID:7hsDycEw0

 かつての問題児。
 足元の霊が増えて、ゆっくりと窶れて弱っていく彼を見て、そして最後は小さな壺の中に収まったことを聞いても、ざまあみろとは思えなかった。


 たしかに自業自得だ。
 きっとあの霊たちは被害者で、真っ当に復讐していただけ。そこに理不尽はない。
 理不尽なのはこちらの感情だ。

 理解し、納得し、共感しても、それでも割り切れない何かがある。
 きっちりと片付けられず雑然とし続けるから傷が治らない。

 それが嫌で。
 彼を、彼に似たものをきつく責めたてねば気が済まなかった。

 ほんの少しでも彼らを「可哀想」と思ってはいけなかった。
 そしたら自分が──負けてしまう。

 だが、許す許さないも、好悪も勝敗も無理に結びつける必要はない。
 感じたままでいい。
 ねじ曲げるからおかしくなる。

102 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:05:30 ID:7hsDycEw0

(*;∀;)「これも私のせいなのかな。私が美和に連絡したから……」

( ФωФ)「違う、お前は何も──」


 そのとき、耳元で幼い声がした。


( ^ν^)「あーあ。杉浦さん、面倒なことになりましたね」


.

103 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:07:00 ID:7hsDycEw0

 振り返る。
 後ろに手を組んだニュッが、にっこり笑って立っていた。

(;ФωФ)「な……っ!?」

( ^ν^)「とっとと素直キュートの本性を暴いて、高岡さんが愛想を尽かしてくれれば良かっただけなのに。
       どうしてこうなっちゃうんでしょう」

(;ФωФ)「な、何の話である、いや、どうやって中に」

(*;∀;)「……? ロマ、どうしたの、何見てるの……」

 つーがきょとんとした様子で言う。
 涙で濡れた目は、すぐ傍にいるニュッを映そうとしない。

( ^ν^)「今は他の人には見えないようにしてます。
       あー……チャンネル? 杉浦さんが言うところの。
       それ、ずらしてますから」

(;ФωФ)「……」

( ^ν^)「見届けたいなら、今から小学校にどうぞ。どうでもいいならお気になさらず。
       ただ、ここまで関わっておいて結末は放置、なんてのも……
       バランスが悪いでしょう?」


 くすくす笑い声を残して、ニュッは消えた。

 意味が分からない。
 頭の中がぐずぐずだ。

104 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:08:46 ID:7hsDycEw0

 ロマネスクはつーの両腕をぽんと叩くと、腰を上げた。

(;ФωФ)「つー。少し、出かけてくる」

(*;∀;)「ロマ……?」

(;ФωФ)「SNSはもう見るな、無視していろ。
       それと──」

(;ФωФ)「……キュートはお前を憎んではいない。
       だからもう自分を責めるな」







 母校でなくとも小学校という存在自体への忌避感があった。
 何年も何年も悩まされてきたが、今日はそれがない。
 馴染みのない時間帯だからか、それどころではなかったからか、別の理由かはどうでもいい。

 ともかくロマネスクは塀をよじ登って敷地内に侵入し、フェンス越しに差し込む街路灯の光で薄明るい校庭にハインとキュートを発見した。

105 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:10:16 ID:7hsDycEw0

(;ФωФ)「ハイン!」

从 ゚∀从「ロマさん。
     あなたも少年に呼ばれたのかい」

(;ФωФ)「ああ、……ニュッ君は?」

从 ゚∀从「分からない。呼ばれたから来ただけで……」

 ハインはスマホを握っていた。
 画面の上部には、先ほどロマネスクが見ていたのと同じSNSのロゴ。

 見たか、と訊けば、見たよ、との答え。
 そこに溢れ返る言葉に何を思ったのか。
 表情からは分からない。


( ^ν^)「──わざわざすみません、人気がないところの方が都合がいいかと思って。
       それにお二人が出会った場所だし、顛末としてもちょうどいいでしょう」


 声のした方へ三人が同時に顔を向ける。

 鉄棒の上にニュッが座っていた。
 普通にではなく、胡坐をかいて。
 それでいながら落ちたり傾いたりする気配はない。

106 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:11:18 ID:7hsDycEw0

o川;゚-゚)o「……何なのあんた。あんたも幽霊なの?」

( ^ν^)「そういうのとは違うんですけどね……何かって訊かれるとこっちもちょっと困ります」

 この数日間、ずっと思考が落ち着かなかった。
 間違いなく今がそのピークだ。

( ^ν^)「何が何だか分からなくて困ってるでしょう。
       だから、ちょっと長くなりますが教えてあげます。
       あなた方も頑張ったんだから、これくらいのご褒美がなくちゃバランスが悪い。
       そう、世の中バランスなんですよバランス」

(;ФωФ)「ど……どういうことなんだよ、さっきから! ご褒美って何だよ!」

 ぐちゃぐちゃの脳が言葉の変換を放棄する。
 ニュッはそれを聞き、目を眇めた。

( ^ν^)「どの面下げてキレてんだ。
       あのなあ。てめえらが勝手に、感情なんてもんに重いだの軽いだのって概念をくっつけたもんだから大変なんだよ」

 子供の小さな手が鉄棒を弾く。
 肌が触れたとは思えないほど硬質で威圧的な音が響き、ロマネスクは肩を竦めた。

107 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:12:48 ID:7hsDycEw0

( ^ν^)「おかげで、マジで感情に重さが生まれちまった。
       あんたらが直接感じることは出来ねえがな」

( ^ν^)「向けられた感情が重けりゃ重いだけ、それを受け止めた魂も質量を得る。
       質量を得たら形になる。
       そんで、あんたらが言うとこの幽霊になる」

从 ゚∀从「キュートはそうやってここにいると?」

( ^ν^)「そう。ハインちゃんほんと賢くて順応性高くて好き。
       もうお察しだろうが、そいつは憎まれすぎた」

o川*゚-゚)o「……あっそう。でしょうね」

 そのときロマネスクの脳裏を過ぎったのは、問題児の周りにいた小動物の姿だった。

 ニュッの話では感情を「向けられた」側が霊となるはずだ。
 であるならば。おそらく彼は単なる遊びやいたずらではなく、深く明確な殺意を持って小動物を。
 ──当然、ロマネスクや同級生への暴力も、きっとそれなりの意志を持って。

 ここに来て、その事実が最もロマネスクの肝を冷やした。

 いや。こんなわけの分からない奴の言うことが正しいとは限らない。
 限らないのに。
 そういうものだと、おそらくは彼が口にする「魂」が、勝手に納得する。

108 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:13:52 ID:7hsDycEw0

( ^ν^)「何でキュートがハインリッヒから離れられないのかって話をしてたよな。
       逆だ、ハインリッヒの方が離れられねえんだ」

 ニュッが指を弾くと、彼の手の上に古めかしい天秤が落ちてきた。
 片側の皿にハイン、もう片方にキュートの名が刻まれている。

( ^ν^)「関わりを持った奴らは普通、お互いに感情も持ち合うわけだ。
       ここで、片方だけがやたらにデカい感情ぶち込まれたらどうなるか」

 どこから出したのか、ファンシーなハート型の分銅をキュートの皿へと放り込んでいく。
 当然秤は傾き、大きな傾斜が生まれた。
 その坂のてっぺんに指を乗せ、つうっと下るように滑らせる。

( ^ν^)「足場も秤も重い方に傾く。傾いたら、その上に乗ってるもんは重力に従ってそっちに引っ張られる。
       簡単な話だな」

( ^ν^)「おまけに気力やら体力やらもそっちに転がり落ちて弱ってった。
       ちなみにこのおまけは、あんたらが魂と生命力を結びつけるような思想を生んだ末の副産物だ。
       余計なことして首絞めるのやめた方がいいぜ、人類」

 ハインは腕を組み、黙って聞いている。
 彼女へ退屈そうな視線をやってから彼は続けた。

109 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:15:19 ID:7hsDycEw0

( ^ν^)「もういっこ副産物の話をしよう。
       てめえらは物事をカテゴリ分けしねえと安心できねえ馬鹿だから、感情の種類を『いい』と『悪い』に分けやがった」

( ^ν^)「『いい』のは好きだの愛だのってやつで、『悪い』のは嫌いとか憎いとかな。
       まあ人によってまた考えは違うだろうが、こういうのは多数派の意見が力を持つ。悪しからず」

 これはキュートちゃんの魂、と言いながら、くるりと天秤の前後をひっくり返す。
 ハートの乗った皿には「いい」、反対の皿には「悪い」という文字。

 「いい」に傾いていた秤は、ニュッが真っ黒で角張った分銅を「悪い」に重ねていくにつれ逆転する。
 完全に傾ききっても重ねていく。
 崩れるだろうというほど積んでも、まだ。

 そうして重さに耐えきれず、真っ黒な塔よりも秤の方が先に崩壊した。

( ^ν^)「どっちかに偏りすぎると、ひっくり返って壊れんだ。
       そんでもって、こういう無茶な壊れ方ってのは連鎖したり影響を与えたりする。
       それを放っとけば最終的には全部こんな風に終わっちまうわけ」

(;ФωФ)「『全部』?」

( ^ν^)「『世界』」

110 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:16:33 ID:7hsDycEw0

 ここからが本題だ──
 言って、ニュッは鉄棒から下りないままに立ち上がった。

( ^ν^)「というわけで、どっかで過剰に傾いてるものを見付けたら、早急にバランスをとらなくちゃいけなくなる」

( ^ν^)「素直キュートの場合は、まあ初めから悪感情に傾いてたから監視してはいたがよ。
       それでも急いで対応する必要はなかった。時間の経過で誤魔化せそうな程度だったんだ。
       あのままなら何十年後かには『幽霊』を成形するほどの重みも薄れて、静かに消えられたろうに」

( ^ν^)「それをあんたらがつっついたせいで、事態がいかれちまった。
       ……SNSってなあ……ほんとお前らは面倒なもんしか作らねえ」

 ようやく地面へと下りてくる。
 見た目は相変わらず子供のままで、ロマネスクの視点よりずっと下にいるはずなのに。
 やけに大きく、重苦しい。

o川*゚-゚)o「バランスをとるって、どうやってやるわけ」

( ^ν^)「怖ェよなキュートちゃん。不安だよな。
       おおむね想像どおりだよ。
       魂に、受け取った感情をふさわしい形で消化してもらうんだ」

o川;゚-゚)o「……だから! その『消化』って何!」

111 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:17:58 ID:7hsDycEw0

( ^ν^)「『いい』に傾きすぎた奴は、その『いい』を何らかの形に変えて受け止めさせる。
       形ってのは、まあ、心地いい何かだ。人による。幸せなもんさ。
       その反対の場合は──分かんだろ大体」

从 ゚∀从「たくさん愛されてたら天国でご褒美をもらえて、
     たくさん嫌われてたら地獄に落ちて罰を与えられると?」

( ^ν^)「そういう認識でいい。
       天国地獄もあんたらが勝手に言ってるもんだから厳密には違うが、やることは大体同じだしな」

( ^ν^)「消化し終わったら魂も自然に消える。
       そうすりゃ感情を受け止める先がなくなるわけで、この先あんたに向けられ続けるであろう憎しみも愛情も、地面に転がって均されて終いだ」

 キュートの顔は真っ白になっている。
 幽霊にも血の気はあるのだと、こんな状況で知ることになるとは思わなかった。

 ──高遠な話よりも卑近な気付きに心の拠り所を求めたロマネスクの意識を、少年の声が攫う。

( ^ν^)「杉浦ロマネスク」

(;ФωФ)「っ!」

112 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:20:21 ID:7hsDycEw0

( ^ν^)「昔あんたを泣かせたクソガキも、まあとんでもない奴だったな」

(;ФωФ)「は、は?」

( ^ν^)「あいつは生きてる内から恨みを買いすぎてバランスがいかれてた。あの歳でだ!
       だから、あいつが病気したのは霊に生気を吸い取られたからってだけじゃねえ。
       俺らが調節したからだ。天罰みてえなもんさ」

( ^ν^)「どうだ、すかっとしたか?」

 そう問われて、ようやく、思考と感情が一旦の着地点を得た。
 ほんの少し前に考えたばかりの話だったからだろう。

( ФωФ)「……しない」

 片眉を上げたニュッが、あっそう、と返して視線をずらした。

 突然こちらへ話を振ったのは、「彼女」の理解を待つ時間を作るためだったようだ。
 そうして正しく理解を得た彼女が呟く。

o川;゚-゚)o「……地獄に落ちるの? 私……」

( ^ν^)「そうだっつってんだろ、性根が悪けりゃ頭も悪ィか?」

113 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:21:00 ID:7hsDycEw0

 指を弾く。
 直後、彼の隣に真っ黒な壁が現れた。

 壁──ではない。
 四角く切り取られた、真っ黒な空間がそこにあるのだ。

( ^ν^)「長話も飽きちまうよな、終わりとしようぜ。
       まあ素直キュートにとっての『終わり』はまだまだずっと先だがな。
       こんだけの感情、消化すんのにどれだけかかるか分かんねえ。きっと途方もねえよ」

o川;゚-゚)o

 キュートが踵を返そうとした。
 しかし、彼女が向かいたいのとは逆方向へと──黒い空間へと、勝手に体が引っ張られていく。

114 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:22:12 ID:7hsDycEw0

o川; - )o「やだ……いやだ!!」

o川; - )o「なんで! 私、もう充分ひどい目に遭ったでしょ!?」

 わめく声が耳に突き刺さる。
 ずきずきとロマネスクの体か頭か、どこかも分からない場所が痛む。

( ^ν^)「ああそうだ、冥途の土産ってやつをやっとこう。
       お前の母ちゃんな、お前にはもう、ほとんど恨みの感情しか持ってねえよ。
       お母さんが丹精込めたお気持ち、ちゃんと受け取ってあげてね」

 叫びが止まった。

 反対に、ロマネスクの痛みはよりきつく、重たく。

115 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:23:28 ID:7hsDycEw0

 たしかにキュートは恋人を苛んだ憎い相手だ。
 だが、たぶん自分は彼女のことをそこまで嫌っていない。

 違う。
 嫌ってはいるけれど、嫌いでないところもある。

 駆け出し、キュートの腕を掴もうとする。
 しかしあっさりと通り抜けてしまった。
 ロマネスクは勢いあまって倒れ込み、キュートは黒色へ引き寄せられていく。

(;ФωФ)「ま、待て!」

( ^ν^)「待たない」

(;ФωФ)「いきなりこんな……あ、あんまりだろ!
       なんとか……なんとかならないのか」

( ^ν^)「ならない」

 手も声も、これっぽっちも届かない。

116 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:24:18 ID:7hsDycEw0

 どうしてこんなことになってしまったのだ。
 放っていれば静かに消えていたという。
 自分たちがつっついたからこうなったという。

 「こうなった」。
 SNSで彼女の所業が拡散され、数多の感情が彼女に注ぎ込まれた。
 どうして?

 つーの友人がSNSに書き込んだから。
 つーが友人に過去の話をしたから。
 ロマネスクがつーに昔のことを訊いたから。
 キュートに直接話を聞けなかったから。
 キュートが加害者側だったとすぐに気付けなかったから。


 キュートの名前と自殺のことを知ったとき。
 その場で詳細を調べるのを、ロマネスクがやめさせたから。

.

117 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:25:38 ID:7hsDycEw0

(; ω )「……この事態は……吾輩のせいなのであるか……」

 頭を抱えて呻く。
 ニュッが目を細め、殊更に優しい声を落とした。

( ^ν^)「そうかもしれませんね、杉浦さん」


 とうとう黒色に飲み込まれようというところでキュートの体が止まった。
 止まっただけで、どんなにもがこうと、こちら側には動かない。

( ^ν^)「最後のお別れですよ、お互いに何か言っておくことは?」

 「お互い」の中にロマネスクは含まれていない。
 今ここで見つめ合っているのは、ハインとキュートだけだ。

118 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:25:59 ID:7hsDycEw0

o川;゚-゚)o「……た、助けてよ、ハイン……」

从 ゚∀从

 ハインは目を瞑り。
 小さく息を吐くと、改めて瞼を持ち上げた。

从 ゚∀从「人を加害した人間が幸せに……どころか普通に暮らすことを絶対に許したくない人はまあ多いものだよ。
     直接被害に遭ったか否かに関係なくね。
     感情としては私もまあ理解できる」

从 ゚∀从「だからお前もそうなるんだ。それは仕方ない」

o川; - )o

从 ゚∀从「仕方ないからね、私も一緒に受けるよ。罰」

 いつだってトーンの変わらない声は、やはり、こういうときにもよく通る。

119 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:26:46 ID:7hsDycEw0

 唖然とするロマネスクを置いてハインは歩いていく。
 そうしてキュートの前に立って言うのだ。


从 ゚∀从「結婚しよう、キュート。お前が持ってるもの、私にもちょうだい」


 キュートが目を丸くする。
 ロマネスクも同じように。

 ニュッだけが、退屈そうに一連のやり取りを眺めていた。

120 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:27:35 ID:7hsDycEw0

从 ゚∀从「少年、そういうのは出来るかな。出来ないと困るのだけど」

( ^ν^)「さあ。やったことないので分かんないですけど」

( ^ν^)「一応これ、一人ひとりに合わせた専用の──まあ、地獄? なんで……。
       そこに二人放り込んだら、うーん。
       同一のものと見なされて、高岡さんも同じようなことされるんじゃないですかね。消化の助けにはならないんで無意味でしょうけど」

从 ゚∀从「同一ね。夫婦らしくてちょうどいい。
     病めるときも健やかなるときも、だ。
     愛し合って助け合って支え合うもんだよ」

(;ФωФ)「おっ、お前は何をまた馬鹿なことを!
       聞いたであろう、お前が行っても無意味に苦しむだけだ!」

从 ゚∀从「でも、二人いたら少しは気が楽なんじゃないかと思うんだ」

(;ФωФ)「はあ!?」

从 ゚∀从「一人きりで充分だと思ってても、二人でいると案外楽しい。
     一緒にいたら楽しそうだと思えた相手なら尚更だ。
     私はね、ロマさんにそういうのを教わったんだよ」

121 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:29:23 ID:7hsDycEw0

从 ゚∀从「ロマさんのおかげだ。
     あの店のヨーグルトケーキが美味しいと教えてくれたのもロマさんだ。
     他にもそんなことがいっぱいあるよ」

(;ФωФ)「……おまえ」

从 ゚∀从「誰のせいとか責任とか、そういうのは突き詰めていくとキリがない。
     考えるなとは言わないけれど、いたずらに気分が沈んでいくだけだ。
     だからあなたの『おかげ』で助かった奴のことも考えて、バランスをとっておくれ」

 ハインがキュートへ向き直る。
 まだ少女らしさを多分に宿した丸みのある頬へ、優しく手を添える。

从 ゚∀从「あ、私はキュートに触れるんだね」

( ^ν^)「高岡さんも大概死にかけですからね。
       視覚や聴覚以外もチャンネルが合ってきてるんでしょう」

从 ゚∀从「ますますちょうどいい。あんまりにも辛いときは抱きしめ合える」

 声はひたすらにまっすぐ整っていても、その指先は頼りなく震えていた。

122 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:30:42 ID:7hsDycEw0

从 ゚∀从「ほら。観念して行こう、キュート」

o川* - )o




 ──制服のスカートから伸びた足が、ハインを蹴飛ばした。




 後ろへ倒れ込んだハインは、慌てて身を起こして「地獄」の入口を見上げる。

从 ゚∀从「キュート」

 反動で体が傾いたせいで、キュートは既に黒色に飲まれ始めていた。
 とうに頭は向こう側にあり、その表情は分からない。

123 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:31:36 ID:7hsDycEw0

 始まればあっという間だった。
 ブレザーに包まれた体もたちまち埋もれていき、やがては黒い空間そのものがなくなって。

 静まり返る校庭に、あーあ、と呆れとも嘲笑ともとれない声。

( ^ν^)「ふられちゃいましたね」

 それから。

 ──ばいばい。
 最後にそう言って手を振ると、彼もすっかり、この場から消えてしまったのだった。


.

124 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:32:26 ID:7hsDycEw0

 二人とも地面に尻をつけたまま呆然としていた。
 先に我に返ったのはロマネスクで、なんとか立ち上がるとハインに駆け寄る。

(;ФωФ)「ハイン……」

从 ゚∀从「ねえ」

 無人の鉄棒を見つめたままハインが口を開く。
 目元も鼻も真っ赤にして、ちょっと触れればどちらからも水がこぼれてしまいそうだ。

从 ゚∀从「私は、あの子のことが本当に本当に好きだったんだよ」

 そんなことはもう、この上ないほど分かっている。

125 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:33:25 ID:7hsDycEw0

从 ゚∀从「あの日、私が校門の前で吐いたとき、それはもうみっともない有様でさ。
     汗が不快で、髪を掻き上げていたんだ。……顔を露わにしていた。
     街路灯が煌々と照らす中でだ」

从 ゚∀从「そんな私を前にしてあの子はね、私じゃなくて嘔吐物に『汚い』と言ったんだよ」

( ФωФ)「……ああ」

从 ゚∀从「数日間一緒にいたけれど、髪の下についてはついぞ一度も、何も言われなかった。
     馬鹿にすることも気をつかわれることもなかった」

从 ゚∀从「それでいい子だ悪い子だと判断するわけじゃない。
     ただ私にはそれだけが大きくて、重たくて、全てだった」

 ずず、と鼻を啜る。
 瞳を潤ませる涙は、瞬きとともに一粒だけ落ちて弾けた。


从 ゚∀从「一生の恋だと思ったんだよ……」

.

126 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:34:57 ID:7hsDycEw0

 ロマネスクが手を伸ばす。
 ようやくこちらを見上げたハインはその手をとると、ふらつきそうになりながらもゆっくり立ち上がった。

 もう一度鼻を啜る。
 それを済ませたら、足取りも目つきも、もうしっかりしていた。

( ФωФ)「なら良かったではないか」

( ФωФ)「数日ぽっちで終わりそうだった恋が、60年ばかし伸びたのだ」



 永遠に一人だけを愛し続けられる人間が、果たしてこの世にどれだけいるのかは知らないが。
 少なくともこの女はそういうたちだろう。

 その推定60年を抱え込んだ愛が、いくらかはキュートのためになる。



 ▼     ▲


.

127 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:35:52 ID:7hsDycEw0



 一週間が経った。

 SNS上の騒ぎは未だ長引いているが、勢いはすっかり衰えている。
 美和が元の投稿を削除したことと、やはりキュートが亡くなっていることが一部でブレーキの役割を果たしたようだった。

 ロマネスクはあまり熱心に事を追いかけるつもりがないので、これ以上はろくに知らない。
 どのみち直接の被害者や加害者を除いた大衆の中ではいずれ風化していくのだろう。
 人間など常に何かの感情を抱えて、あちらこちらへ流れるものだ。

.

128 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:36:20 ID:7hsDycEw0

从 ゚∀从「二人の方がしっくり来るというのも、妙な感じだね」

( ФωФ)「本当にな……」

 そこそこ賑わう昼の喫茶店。
 窓際の席についているのはハインとロマネスクの二人のみ。

 あれ以来ニュッの姿を見ていない。
 どころか、店主も店員も、誰も彼のことなど知らないという。
 しっかり接客をしていたはずなのに。

从 ゚∀从「よくよく考えてみれば、私たちが少年と仲良くなったときの記憶がないんだ。
     お金を立て替えたと言われたが、そんな覚えがなくてね」

( ФωФ)「吾輩も、この店ではお前としか友達になった覚えがないのである」

 ここのところ、ずいぶん前から彼のことを知っていたような気になっていたのだが。
 大方、「バランス」の危うかったキュートを注視していたらハインと出会ってややこしいことになったので、様子を窺うために接近してきた──なんてところ。
 違ったとして、どうせこの先も正解を知る術はない。適当に解釈しておこう。

129 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:37:35 ID:7hsDycEw0

( ФωФ)「しかしお前、何であるかその格好は」

 ロマネスクは胡乱にハインを見やった。
 品のいい黄色のワンピース。
 まさかもう新たな婚約者を見付けたわけではあるまい。さすがにあの流れでそれは引く。

从 ゚∀从「このあと指輪を買いに行こうと思うんだ。
     せっかくだから小洒落た格好で行きたいじゃないか」

( ФωФ)「指輪」

从 ゚∀从「形だけでもキュートと結婚した気分になれたらなって」

( ФωФ)「……本当に重いな、お前は……」

 一応ふられたのではなかったか。

 まあ、形から入りたがる彼女のこと。一人で勝手に一生の愛を誓っていればいい。
 仲人役くらいはやってやる。



 ▼     ▲

130 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:38:58 ID:7hsDycEw0


 リビングへ入れば、つーが立ち上がった。

(*゚∀゚)「おかえり」

( ФωФ)「ただいま」

 喫茶店の紙袋をテーブルに置くと、わ、と嬉しそうな声をあげた。
 見るなと言ってもしばらくはどうしてもSNSを気にしていたが、ネット上の話題が移り変わるにつれて、つーもスマホを手にする時間が減って元気になっていった。

 さすがにニュッの話を全て伝えるのも躊躇われて、キュートのことは「成仏した」とだけ言ってある。
 ありのままを教えたら、この人はまた自分を責める。

131 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:40:05 ID:7hsDycEw0

(*゚∀゚)「ありがとうロマ、大好き!
     ちょうどいいからおやつにしよ、お茶入れてくるね」

( ФωФ)「つー」

(*゚∀゚)「んー?」

 キッチンに入る彼女の後を追う。
 表情も声もお茶の準備をする手付きも、すっかり以前どおり。
 これなら言ってもいいだろう。言いたい。



( ФωФ)「僕と結婚してほしいんだ」

(*゚∀゚)


.

132 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:43:48 ID:7hsDycEw0

 茶葉の缶を握りしめたつーが、ばっと振り返った。

(*゚∀゚)「へ? え?」

( ФωФ)「僕と結婚してください」

(*゚∀゚)「何で言い方ちょっと丁寧にしたの。え? うそ、今?
     いや待って、喋り方。大丈夫なの?」

( ФωФ)「君の前ではどう喋ったって怖くない」

(*゚∀゚)「ほんとに?」

( ФωФ)「……本当はちょっと無理してるけど、でも前ほどじゃない。
       ちゃんと片付けていったら、少し楽になったから」

(*゚∀゚)「う、うん? よく分かんないけど、良かったね……」

 憎からず思っている相手からいきなり、とびきりの気持ちをぶつけられた人間というものは、大体このような反応をするのかもしれない。

 ──あのとき蹴飛ばされたハインには見えなかったろうが、ロマネスクには、こんな風な表情をするキュートが見えていた。
 一瞬だけだったから、絶対とは言えないが。

133 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:44:36 ID:7hsDycEw0

( ФωФ)「それで、あの、返事は」

 つーは真ん丸にした目でロマネスクを見つめてから。

(*゚∀゚)「……ケーキ食べてから!」

 真っ赤にした顔で、そう言った。


.

134 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:45:54 ID:7hsDycEw0

 結婚さえすれば幸せが決まるわけではない。
 愛し合っているなら結婚しなければならないものでもない。
 しかし、やはり自分も形から入ると安心するタイプだから。

 きっとこれがいい。





(*;∀;)『私のせいなのかな』


 ──罪悪感という感情の行き場はどこなのだろう。

 申しわけなさということなら、相手に向かうものかもしれない。
 しかし自分を責めたり悔いたりするのなら、それは自身に注がれるのではないだろうか。

 そしてそれが過ぎたら、何かが傾いてしまって、バランスを取らされるのではないだろうか。

135 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:47:23 ID:7hsDycEw0

 それならば一生この人を愛してみせると誓いたい。

 「悪い」に傾いた秤が「いい」に傾くように。
 いつか魂だけになったとき、この人が心地よい気分だけをたくさん味わってくれるように。


 この、世界がひっくり返りそうになるくらいに重たい愛でもって。


.

136 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:48:04 ID:7hsDycEw0




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137 ◆KD5oTB3lZY:2024/04/29(月) 23:48:27 ID:7hsDycEw0
以上です
ありがとうございました

138名無しさん:2024/04/29(月) 23:54:28 ID:qPQT80qU0
乙!

139名無しさん:2024/04/30(火) 20:10:38 ID:BfTbm.AU0
乙乙むっっっちゃ良かった!
ゆるい感じからサスペンスになってくのが凄くワクワクしたし、関係無い外野が正義ぶる事で罪が重くなってくの胸糞だったし、ロマネスクが最後に出した答えに感動した。世界中を敵に回してもってまさにこういう事なんだなと

140名無しさん:2024/05/01(水) 13:54:51 ID:qxBVL6Y60
乙!めっちゃ面白かった!
夢中になって読んじゃった

141名無しさん:2024/05/01(水) 17:16:35 ID:SmI1cIwY0
乙です

142名無しさん:2024/05/08(水) 19:29:12 ID:6zEaDdgY0

ものすごい満足感をもって読了できた
作中に色々な要素があったけど全部本当に面白かった
登場人物の偽りない強い思いにジーンとする

143名無しさん:2024/05/09(木) 23:05:22 ID:mo0DEQ0Y0

読み終わって、ロマとハインが愛おしく思える。
ロマが勝ち負けを決めなくていい、と認められたところが好き。
ハインの最後の告白も切なく、美しかった。

144名無しさん:2025/06/12(木) 11:56:20 ID:O8CHgyIU0

改めてタイトルが嘘偽りなくて良い


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