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( ・∀・)「毎日好きと言うようです」
67
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:16:11 ID:zoafWSng0
(;´_ゝ`)「また急にぶっ込まんで下さいよ!」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、トソンってそうなの!?」
('、`*川「そんなわけないでしょ」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯別にトソンはモララーくんのこと、好きじゃないでしょ」
(゚、゚トソン「仮に、です」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯お祝いしますよ、それは」
(゚、゚トソン「笑って、ですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「だから、私のことは、いいでしょ」
68
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:16:36 ID:zoafWSng0
(*・∀・)「それはおかしいですよ。むしろデレ先輩の感情だけが大事です。他がどうでもいい」
(; ゚∀゚)o彡゜「オメーもゼロか百かしかできねー男だよね、ホント」
ζ(゚ー゚*ζ「だって私がどうして欲しいか言ったらそうするでしょ、君」
(*・∀・)「? はい」
(;´_ゝ`)「ちっとは悩んでくれやさっきまでみたいにさぁ!」
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、自分で考えないとダメだよ。幸せになれないよ」
ζ(゚ー゚*ζ「君は、たまたま初めに優しくしてくれた私に、懐いちゃっただけでさ。他にもたくさん、女の人っているから⋯⋯」
69
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:17:35 ID:zoafWSng0
ミセ*゚ー゚)リ「え、今告白されても物足りないから色々見たうえで自分を選んで、ってことなの?」
(゚、゚トソン「他の女と付き合っても私たち友達だからずっと一緒よ、ってことですか?」
('、`*川「アンタ⋯⋯そんな強欲でよく『それだけでいい』とか言えたわね⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「ち、ちがう、ちがうし」
ζ(゚ー゚*ζ「ゆうどうじんもん、誘導尋問ですよ、これは」
('、`*川「どんな誘導したらこんな迷路みたいな答え出てくんのよ⋯⋯」
70
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:18:33 ID:zoafWSng0
( ´_ゝ`)「⋯⋯あのさぁ」
( ´_ゝ`)「そもそもモララーが毎回毎回、一足飛びに『結婚してくれ』って言うから断られるだけで、普通に『付き合って』って強引に押したら行けるんじゃないか?」
( ゚∀゚)o彡゜「よし、やれ!」
(;・∀・)「そんな単純じゃないでしょ⋯⋯」
( ゚∀゚)o彡゜「もうやるだけやれ!」
71
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:19:27 ID:zoafWSng0
(*・∀・)「デレ先輩、俺と付き合ってください!」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯言わされてるうちは、ダメ」
(*・∀・)「でも、俺はずっとデレ先輩が」
ζ(゚ー゚*ζ「好きだとしても、ダメ。こういうことは胸を張って、自分から言いなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「あと、タイミングも大事だから。雑に済ませようとしないで」
( ・∀・)「すいませんでした⋯⋯」
72
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:20:26 ID:zoafWSng0
( ・∀・)「やっぱり無理だったじゃん⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、いちいち落ち込まないの」
(゚、゚トソン「デレ、あなたがちょっと素直になればいいだけでは⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「す、素直、ですけど? 何を言ってるのかな?」
( ゚∀゚)o彡゜「あんまりいじめてやらんでくださいね、ソイツ先輩のこと大好きなんで」
ζ(゚ー゚*ζ「い、いじめてないよ! じゃあもう私帰るので! ちょっとこの子借りて行きますね!」
(;・∀・)「え、あ、デレさん? そんな引っ張らないで⋯⋯」グイグイッ
73
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:21:00 ID:zoafWSng0
ζ(゚ー゚*ζ「うるさい! みんなにごめんなさいして、帰るよ!」ダダッ
(;・∀・)「あ、はい、先輩方、ボンクラども、お騒がせしました!」ダダッ
ガララッ ピシャン
( ´_ゝ`)「なんかドッと疲れたわ⋯⋯」
( ゚∀゚)o彡゜「俺余計なことしたかなぁ」
(゚、゚トソン「恋愛って難しいんですね」
ミセ*゚ー゚)リ「いや、あんな面倒なの中々ないから」
('、`*川「でもさぁ、なんだかんだで一番いいカタチで終わりじゃない?」
74
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:21:42 ID:zoafWSng0
〜下駄箱〜
俺の手を引きながら、デレ先輩はどんどん進む。
ζ(゚ー゚*ζ
この人の後ろを歩くのが好きだった。
小さな背中が、とても神々しくて、頼り甲斐があって。
たまに振り向いて、笑ってくれるのが好きだった。
ζ(゚ー゚*ζ「あのさぁ」
デレ先輩がキョロキョロと辺りを見まわし、振り返る。
75
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:22:07 ID:zoafWSng0
(*・∀・)「? なんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっとこっちきて」チョイチョイ
考えていたことがバレただろうか、と思いながら、近づいて行く。
ζ(゚ー゚*ζ「屈んで。耳、寄せて」
(*・∀・)「?」
吐息がかかる距離まで、近づく。
76
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:22:51 ID:zoafWSng0
ζ(゚ー゚*ζ「だいすき」
77
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:24:53 ID:zoafWSng0
(*・∀・)「!?!?!」
びっくりして、ひっくり返った。
それを見て、先輩はけらけらと笑っている。
ζ(゚ー゚*ζ「告白って、こうやるのよ」
耳まで真っ赤にして、してやったりって顔で笑っている。
ζ(゚ー゚*ζ「私、君に先輩って呼ばれるの、好きなの」
くるりと、俺に背を向けて、先輩は出口へ向かう。
(*・∀・)「あ、ああ、あー⋯⋯そういうやつですか、はい、わかってました」
ζ(゚ー゚*ζ「私、誰とも付き合わないし、結婚しないから」
(*・∀・)「はい、存じております」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯ずっと後ろにいて。いなくならないで」
78
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:25:13 ID:zoafWSng0
(*・∀・)「いいんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ダメなんだけどさ」
ζ(゚ー゚*ζ「本当は、いつものデレ先輩なら、君のためにならないからダメって格好つけて言うんだけどさ」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯一緒にいてよ」
小さな背中が、さらに小さく見える。
ずっと一緒にいたのに、こんなにも自信なさげな声を聞いたのは初めてで。
79
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:25:38 ID:zoafWSng0
(*・∀・)「ずっと一緒にいます」
(*・∀・)「特別ななにかが無くても、俺のなにかがダメになるとしても、一緒にいますから」
(*・∀・)「だから、泣かないで下さい」
ハンカチを持って、急いで前に回り込む。
泣いていなかった。真っ赤になって俯いていただけだった。
ζ(゚ー゚*ζ「後ろにいてって言ったのに」
80
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:27:31 ID:zoafWSng0
(*・∀・)「かわいい」
ζ(゚ー゚*ζ「恥ずかしいからどっかいって」
(;・∀・)「え、あ、はい! どっかいきます!」
先輩を置いて、急いで校舎内に戻ろうとする。
後ろから、服の裾を掴まれた。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯早くいなくなって」
(;・∀・)「⋯⋯⋯⋯」
初めて会ったとき、俺も同じことを言った気がする。
そのとき、先輩はーーー
81
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:27:51 ID:zoafWSng0
(*・∀・)「だ、大丈夫です」
(*・∀・)「振り向きませんから。もう前に来ません、ずっと一緒ですから」
ずっと、一緒にいてくれた。
それが、とても嬉しかったんだ。
82
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:28:24 ID:zoafWSng0
ζ(゚ー゚*ζ「気を使うのへた」
(;・∀・)「すいません」
ζ(゚ー゚*ζ「先輩に逆らったね」
(;・∀・)「重ねてすいません」
ζ(゚ー゚*ζ「許してあげないから」
でも、一緒にいていいんですよね。
83
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:28:44 ID:zoafWSng0
(;・∀・)「許して貰えるまで、一緒にいます!」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯あたりまえでしょ! 帰るよ!」
84
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:29:36 ID:zoafWSng0
手を引かれて、校門に出る。
あのときより少ないけど、桜が散っている。
あの西陽の中を、二人で歩いている。
ζ(゚ー゚*ζ「私がいない間に、なにか特別なことはなかったの?」
(*・∀・)「遠くから見るデレさんも、特別綺麗でした」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯いつも思うんだけど、他の人にもそういうこと言うの?」
(*・∀・)「他の人を綺麗と思ったことがないので、なんとも」
ζ(゚ー゚*ζ「そうなんだ」
デレさんがいつもみたいに、しょうがないなぁ、って笑っている。
85
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:29:56 ID:zoafWSng0
ζ(゚ー゚*ζ「しばらく、君の先輩でいさせてね」
(*・∀・)「? ずっと先輩じゃないんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「それは、君次第だねぇ。どうなると思う?」
(*・∀・)「分かるまで、毎日会いに行っていいですか」
当然先輩は、好きにしなさい、と言ってくれて。
ずっとこんな日が続けばいいと思った。
完……?
86
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:30:16 ID:zoafWSng0
ζ(゚ー゚*ζ「あ、さっきのは内緒にしてね」
(*・∀・)「さっきの⋯⋯ってなんです?」
ζ(゚ー゚*ζ「2人でいる間のこと、ぜんぶ」
( ・∀・)「毎日好きと言うようです」完!
87
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/24(水) 17:31:20 ID:zoafWSng0
オレンジデー祭り参加作品です。
楽しんでいただければ幸いです。
88
:
名無しさん
:2024/04/24(水) 18:06:56 ID:L9lA1zdY0
乙
かわいい
89
:
名無しさん
:2024/04/24(水) 18:27:50 ID:vmmxdLm20
乙
デレがツンツン気味なの珍しいな、こういうのもいい
90
:
名無しさん
:2024/04/24(水) 21:02:37 ID:i6WKWYsg0
乙乙乙
91
:
名無しさん
:2024/04/25(木) 18:49:48 ID:F12Jc5.60
乙!かわいくてずっとニヤニヤしてた
92
:
名無しさん
:2024/04/26(金) 18:18:57 ID:N3xOx9GA0
乙乙
ほんとほんと。ニヤニヤしちゃうね
93
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 09:58:56 ID:amB2qlHU0
ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。
これからおまけを投下します。
あたたかく見守ってください。
94
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 09:59:24 ID:amB2qlHU0
【おまけ】
人は幸福すぎる時間の中にいると、かえって終わりを意識するという。
頭いいヤツは何言ってんのかよくわかんねー、なんて思ってたけど、今なら分かる。
ζ(゚ー゚*ζ「はい、どうぞ」
ケーキが一欠片刺さったフォークを、デレ先輩が俺に差し出す。
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、はやく」
いや、これさっきアナタが口付けてませんでした!?
ζ(゚ー゚*ζ「あー⋯⋯嫌いかな、こういうの」
デレ先輩が苦笑して、フォークを下げようとする。
95
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:00:03 ID:amB2qlHU0
(*・∀・)「あ、い、いえ、いただきます!」
アナタにそんな顔をしてほしく無くて、反射的にケーキへ飛びついた。
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯うまいです」
嘘です味なんてわかんないです。
ζ(゚ー゚*ζ「そうでしょうそうでしょう」
デレ先輩はふふん、と自慢げに胸を張ると、ちら、とフォークを見て、それからゆっくり俺の口元を見て、またフォークに目を戻す。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯あ」
なぜ俺が一瞬躊躇したのか、気付いてしまって。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯えっち」
どうしろっていうんですか!?
96
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:00:25 ID:amB2qlHU0
(*・∀・)もはや声も出ないようです
97
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:00:45 ID:amB2qlHU0
〜ちょっとだけ前〜
ζ(゚ー゚*ζ「ここねぇ、来てみたかったの」
通学路から外れた路地の、ちょっとおしゃれな喫茶店。
2人きりで、『デートじゃないよ』と念押しされて、でもデレ先輩からはじめてのお誘いで、そんなんもう断れるわけなくて。
二つ返事で飛びついて、気がついたらここにいた。
カランカランッ
ζ(゚ー゚*ζ「おじゃましまーす」
(*・∀・)「お、おじゃまします」
軽快なベルを鳴らして入店した。
98
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:01:06 ID:amB2qlHU0
('A`) 「いらっしゃい。⋯⋯⋯⋯2名様?」
カウンターで文庫本を読んでいた店員さんが、顔を上げ、好きな席にどうぞと店内を勧める。
ガラガラだ。
ζ(゚ー゚*ζ「2名です」
('A`) 「あいよー。ごゆっくり。注文決まったら呼んでね」
( ・∀・)「へーい」
ちょっと贅沢に空間を使い、奥の四人掛けのテーブル席に、二人で座る。
99
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:01:38 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「なににしましょうねぇ」
(*・∀・)「はは、ご機嫌ですね」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。日常が戻ってきた感じ」
あなたの日常に、当たり前に俺が居る。
その事実だけで、ちょっと感動してしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「それに、私から誘う、って言っちゃったしねぇ」
ひとつ、ため息をついてそんなことを言う。
⋯⋯義務感も、ちょっとあるんですね。
100
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:02:07 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「君からおでかけに誘ってくれたことなんて、今まで一度も無いのにね」
( ・∀・)「⋯⋯?」
不満げな声。
まるで、誘って欲しかったみたいな。
( ・∀・)「いやいや、思い上がりすぎでしょー⋯⋯」
101
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:02:37 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「まあねぇ。所詮はただの先輩ですから?」
ζ(゚ー゚*ζ「可愛がってた後輩に、遊びに誘って貰えるかなー⋯⋯なんて、ほんと、思い上がりだよねぇ」
( ・∀・)「!? いや、いやいやいや! 今のは自分への戒め? 的なアレでして!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、知ってる」
慌てる俺を見て、優しく微笑む先輩。
ζ(゚ー゚*ζ「きみのことなら、ぜんぶ、しってる」
(*・∀・)「」
102
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:04:17 ID:amB2qlHU0
('A`) 「サービスのカップルプレートでーす。あとお兄さん、今はいいけど、お客さん増えたら声落としてね」
店員さんがクッキーの乗ったプレートを持ってくる。
(*・∀・)「あ、すいません、うるさくて」
あまりの破壊力に記憶が一瞬飛んでいた。
(*・∀・)「あと、俺たちカップルじゃなくて⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ
('A`) 「そうなの? ま、いいよいいよ」
ヒラヒラ、と手を振って下がる店員さん。
103
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:04:45 ID:amB2qlHU0
(*・∀・)「あざっす!」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございます。キミも、お礼はちゃんとね」
(*・∀・)「ありがとうございます!」
('A`) 「あいあい、ごゆっくりー」
優しい店員さんは読書に戻っていった。
104
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:05:15 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、よくできました。で、キミに聞きたいんだけどね」
サービスのクッキーを摘んで、デレ先輩が言う。
ζ(゚ー゚*ζ「カップルじゃないんだ?」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯え?」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、冗談なんだけれど」
そうですか、冗談ですか、冗談きついぜほんとにさあ。
たぶん無自覚だろうけど、今日の先輩は一言一言が俺の心を揺らしにきている。
105
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:05:37 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「で、なににするー? 私はねぇ⋯⋯カフェオレに、しようかなぁ」
メニューを広げて、先輩が呟く。
( ・∀・)「あれ、ブラックじゃないんですか」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯実はね、甘いの、好きなの」
実は知ってました。
( ・∀・)「でも、コーヒーだけはブラックだと思ってたんで、ちょっと意外です」
先輩は、メニューで顔を隠して。
ζ(゚ー゚*ζ「甘いの好き、って言ったら、可愛く見えるかなぁ、って」
(*・∀・)「」
106
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:05:59 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「だ、だいじょうぶ?」
だいじょばない、おれは、あなたが、かわいすぎてしぬ。
(*・∀・)「だいじょうぶでーす。あ、俺はブラックで」
なんて、まさか言えるわけないので。
苦いので気付けをしないと、意識が飛んでしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、格好つけー」
鼻先を、指でちょんと押された。
(*・∀・)「」
107
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:06:35 ID:amB2qlHU0
(*・∀・)「け、けいき、けいきを頼みましょう、けいきを」
ζ(゚ー゚*ζ「なんでカタコトなの?」
(*・∀・)「ふふ、なんででしょうね」
ζ(゚ー゚*ζ「私はショートケーキかな」
(*・∀・)「俺も同じので」
ζ(゚ー゚*ζ「だめ、違うの頼んで」
(;・∀・)「注文にダメとかあります?」
ζ(゚ー゚*ζ「わけっこできないでしょ」
『わけっこ』って。
不意に出る言葉のチョイスが、もう、ねぇ?
108
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:07:00 ID:amB2qlHU0
〜冒頭に戻る〜
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯ハッ!?」
なんだか幸せな夢の中にいた気がする。
ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、そっちも食べたい」
ちょっと照れながら、先輩が俺のチョコケーキをフォークで指す。
(;・∀・)「あ、はい、どーぞどーぞ!」
もう味なんて分かんないんで、好きなだけ食べちゃってほしい。
109
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:07:24 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「うむ。あーん」
( ・∀・)「アァン?」
俺がヤンキーみたいになっているのに対し、先輩は目を瞑って、小さな口を開けて待っている。
⋯⋯⋯⋯え、あーん、って、アレですか。
俺が、このお方に、ケーキを食べさせるってこと?
(;・∀・)「あ、そうですね、本当に気が利かなくて! では、フォークをお借りして」
ζ(゚ー゚*ζ「それ」
俺の手元にあるフォークを指差し。
ζ(゚ー゚*ζ「はやく」
自分の口元を指差す。
110
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:07:47 ID:amB2qlHU0
でもね先輩。このフォーク、俺が使ったヤツなんですよ。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯ねぇ」
耳まで真っ赤にして、催促をしている。
さっきと違って、誰が使ったか分かった上での催促ってことですか?
(*・∀・)「せ、先輩さっき俺にえっちって言ったくせに」ボソッ
ζ(゚ー゚*ζ「うん?」
(*・∀・)「せ、先輩の方がー。えっちなんじゃないですかー?」
ああ、ちょっとした反撃が出来るくらいには、頭が回るようになってきた。
111
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:08:12 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯あ、あのね」
(*・∀・)「ほら、こんなふうに言われたら、困るじゃないですか。だから」
そっと、近寄って。耳を寄せてと手招きするから、従う。
ζ(゚ー゚*ζ(⋯⋯⋯⋯えっちでな先輩で、ごめんね)コソッ
(*・∀・)「」
112
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:08:35 ID:amB2qlHU0
(*・∀・)「で、で、では、失礼しまして」
(*・∀・)「あ、あ、あ、あ、アァァン!?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、いただきます」
差し出した一欠片を、パクリと小さな口に納める。
もぐもぐと美味しそうにしているが、口元にチョコレートが少しついている。
113
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:09:12 ID:amB2qlHU0
(*・∀・)「先輩、ここ」
ちょいちょい、と俺自身の口元を指し、チョコついてますよ、と知らせてみる。
ζ(゚ー゚*ζ「うん? ⋯⋯ふふ、欲しがりさんめ」
何か勘違いしたようで、先輩はまた、自分のケーキを一欠片差し出してきた。
ζ(゚ー゚*ζ「ね、別のを頼んでよかったでしょう?」
ふふん、と胸を張るが、口元が大変可愛らしいことになっているので当然威厳がない。
(;・∀・)「あ、あの、そうではなく」
ζ(゚ー゚*ζ「遠慮しなくていいよ」
(*・∀・)「⋯⋯で、では、失礼しまして」
食べる。
さっきより、少し、味、分かる。
114
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:10:47 ID:amB2qlHU0
(;・∀・)「そ、それでなんですが、先輩、口元」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯キミねぇ、落ち着いて食べなさいね」
(*・∀・)「?」
しょうがないなぁ、と笑って先輩が紙ナプキンを取り、俺の口元を拭く。
ζ(゚ー゚*ζ「かわいい子だねぇ、キミは」
115
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:11:09 ID:amB2qlHU0
(*・∀・)「先輩もついてますよ」
ζ(゚ー゚*ζ「」
ζ(゚ー゚*ζ「い、言ってよ」
(;・∀・)「すいません、こう、付いてるよーって伝えたつもりだったんですが」
ζ(゚ー゚*ζ「き、キミはアレだね。今日は、ちょっと。そのさぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「いじわる」
(*・∀・)「」
116
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:11:36 ID:amB2qlHU0
俺が言葉を失ううちに、話は少し変わりまして。
ζ(゚ー゚*ζ「もうすぐ私ねぇ、修学旅行じゃない?」
そういえば、ウチの学校は3年の5月に修学旅行らしい。
(*・∀・)「あー、らしいですねぇ」
ζ(゚ー゚*ζ「大きなイベントだと、色恋に浮き足立つ男の多いこと多いこと」
やれやれ、とカップを手に取る先輩。
117
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:12:14 ID:amB2qlHU0
(*・∀・)「先輩は恋人作らないって言ってましたもんねぇ」
ζ(゚ー゚*ζ「でもそういうの、他の人にはあんまり分かってもらえてないからね」
ζ(゚ー゚*ζ「私の都合どうこうではなく、自分の都合で恋人が欲しいだけの人から声かけられることは、増えたよ」
( ・∀・)「そうなんですか」
なんかヤダな、そういうの。
先輩がなぜ恋人を作りたがらないのかは分からないし、教えてくれるまで聞く気もないけれど、きっと熟考したうえでの選択なのだろう。
先輩が選んだことを、軽く扱うようなヤツに、先輩の側にいて欲しくないな。
118
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:12:42 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「だからしばらく毎日迎えにきてね」
( ・∀・)「!?」
ζ(゚ー゚*ζ「場合によっては、一時的に私の恋人を名乗ることを許可しましょう」
( ・∀・)「?!?!?」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、ホントには付き合わないからね」
( ・∀・)「」
情報量が多すぎてパンクしてしまう。
119
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:13:30 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「勿論、キミに恋人が出来たら、来なくていいよ」
( ・∀・)「」
120
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:13:56 ID:amB2qlHU0
ああ、この人は。
俺のことを、『かわいい後輩』としか見ていないんだ。
それが、無性に悲しくて。
ちょっとだけ、腹が立った。
121
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:14:19 ID:amB2qlHU0
( ・∀・)「⋯⋯先輩はズルい」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、なんで?」
さっきまで口にケーキつけてたくせに、余裕ぶって。
( ・∀・)「俺は先輩が好きだから、恋人なんて出来ませんよ」
ζ(゚ー゚*ζ「私が、いいよ、って言ってるんだよ?」
( ・∀・)「なんでも言いなりってわけじゃないです」
ζ(゚ー゚*ζ「本当はね、私は、キミが思うほど素敵な人じゃないよ?」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯実はね、結構頑張って演じてるの」
( ・∀・)「分かってますよ」
先輩が、ちょっと背伸びしてたことくらい。
122
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:14:43 ID:amB2qlHU0
( ・∀・)「今日だって、かわいすぎると思ってました」
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
( ・∀・)「ブラックコーヒー好きなのに、かわいこぶってカフェオレ頼んでみたり」
ζ(゚ー゚*ζ「ほ、ホントはブラックの方が苦手なんだよ?」
( ・∀・)「じゃあなんですか、今まで格好つけて半年間も苦手なコーヒー飲んでたって言うんですか、そんなかわいい人いるわけないでしょ!」
ζ(゚ー゚*ζ「」
ζ(゚ー゚*ζ「あのね」
123
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:15:10 ID:amB2qlHU0
( ・∀・)「言葉選びもいちいちかわいいし! なんですか、『わけっこ』とか、17歳で言わないでしょ」
ζ(゚ー゚*ζ「え、言わない? あれ?」
( ・∀・)「口にケーキつけたまま、人の口拭いたり、もう、あざとすぎますよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、狙ってない! 狙ってないところばっかり言わないで!」
( ・∀・)「いっつも格好つけて香水とかつけてるし! 今年受験のくせに!」
ζ(゚ー゚*ζ「それに関しては全く心当たりがないよ!?」
( ・∀・)「じゃあなんでいっつもいい匂いするんですか! 今日は距離近いからなおさら感じましたよ!」
124
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:15:39 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯えっち」
125
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:16:06 ID:amB2qlHU0
空気が、凍った。
ζ(゚ー゚*ζ「あのね」
ζ(゚ー゚*ζ「香水は、してないです」
(;・∀・)「え、でも甘い匂いしますよ」
ζ(゚ー゚*ζ「えっち」
(;・∀・)「」
126
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:16:32 ID:amB2qlHU0
しょうがないなぁ、と先輩はため息を吐く。
ζ(゚ー゚*ζ「キミはホント、私が思ってもいないことばっかり」
(;・∀・)「すいません」
ζ(゚ー゚*ζ「自分だってブラック飲めないくせに格好つけて頼んだでしょ」
(;・∀・)「はい」
ζ(゚ー゚*ζ「今日だって、急に誘ったのに、当たり前みたいについてくるし」
(;・∀・)「嬉しかったので」
127
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:16:59 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「カップルと間違われたら、すぐに否定するし」
(;・∀・)「先輩誰とも付き合いたくないって」
ζ(゚ー゚*ζ「付き合わないって言ったの! 付き合いたくないわけじゃないの!」
どう違うのかわからないけど、たぶん大事なんですね、それが。
128
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:17:39 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「こ、こほん。話を、戻しますが。私もねぇ、いじわるを言った自覚はありますよ」
( ・∀・)「はい⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「でもねぇ、キミも悪いんだよ?」
( ・∀・)「俺、なにかしましたっけ⋯⋯?」
ζ(゚ー゚*ζ「急に姿見せなくなったよね」
(;・∀・)「その節は本当に! 本当にご迷惑をおかけしました!」
純度100%の落ち度を指摘されてしまうと、なにも言えなくなってしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「私がいなくても、人生楽しくやれそうな感じだったし」
(;・∀・)「いや、いやいやいや」
ζ(゚ー゚*ζ「いっそあれかな? 年下の子のほうが、キミはしっかり守ってあげられるのかな?」
(;・∀・)「俺が好きなのは、ずっとあなただけです!」
129
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:18:17 ID:amB2qlHU0
('A`)「そろそろお客さん来るから、声、落としてね」
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんなさい」
(;・∀・)「あ、ご、ごめんなさい」
('A`)「おう、がんばれ、青春少年」
130
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:19:09 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「は、恥ずかしかった⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、ちょっといじめすぎました。とにかく、ね」
ζ(゚ー゚*ζ「キミが私のことを考えてしたことは、とても寂しくて、ほんの少しだけ、嬉しかったよ」
( ・∀・)「⋯⋯ごめんなさい」
131
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:20:01 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「私がモララーくんを傷つけた言葉。本心だけど、キミがやったことと同じだよね」
優しく、諭すような声。
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯はい」
ζ(゚ー゚*ζ「私たちは、少し似たところがあるからね。同じ間違いをしないように、話し合わないといけないと思って、今日は誘いました」
照れくさそうに、少し目を逸らして言う。
こういうことを自然に言えるの、すごいと思う。
( ・∀・)「ありがとう、ございます」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、ご静聴ありがとうございます」
ふふふ、とおどけて見せる。
ζ(゚ー゚*ζ「それを踏まえたうえでね」
ζ(゚ー゚*ζ「あらためて、伝えておきたかったの」
132
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:20:33 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「キミが、この先誰を選んでも、自由だからね」
133
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:21:17 ID:amB2qlHU0
( ・∀・)「だから、俺は先輩がーーー」
⋯⋯⋯⋯誰を選んでも自由?
俺はいつも、選ぶまでもないと思っていたけれど。
先輩を選んだことは、あったのだろうか。
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、考えてね」
134
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:22:00 ID:amB2qlHU0
( ・∀・)「先輩、は」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
誰とも恋人にならない、と選択した人。
ずっと後ろを歩いていいと、言ってくれた人。
俺をだいすきと、言ってくれた人。
いつか、先輩じゃない何かになるかもしれない人。
つまり。
つまり?
135
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:23:10 ID:amB2qlHU0
( ・∀・)「⋯⋯俺がほかに恋人を作らないで、ずっと先輩といてもいいと思ってくれてます?」
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、考えたうえでのことならね」
ふふふ、と笑って。
ζ(゚ー゚*ζ「この話をするためにねぇ。今日は距離が近く感じてもらえるよう、ちょっとだけ頑張りました」
(;・∀・)「な、なんでですか? いつもどおり、」
ζ(゚ー゚*ζ「誰かを選ぶ前に、ちゃんと分からせておかないといけないでしょ?」
136
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:24:17 ID:amB2qlHU0
ζ(゚ー゚*ζ「キミの人生で出会う人の中で、私が一番かわいいってこと」
(*・∀・)「」
137
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:25:07 ID:amB2qlHU0
今まで見た中でいちばんの、輝かしい笑顔。
今日は特別かわいいと思ってたけど、やっぱり狙ってやってたんだ。
この人、ズルい。
選ばせる気なんて、最初からないんじゃないか?
気持ちが高ぶりすぎて。
もはや、好きという言葉も出ない。
138
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:25:45 ID:amB2qlHU0
【おまけの、蛇足】
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯あれ? 先輩が俺と同じくらい傷ついたなら、俺のこと好きじゃないとおかしくないです?」
ζ(゚ー゚*ζ
( ・∀・)「この間『だいすき』って」
ζ(゚ー゚*ζ「言ってない」
( ・∀・)「え?」
ζ(゚ー゚*ζ「言ってないです、ノーカン、忘れてね」
(*・∀・)「でも」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ一人でチョコレートでも食べてたらいいじゃない!」
( ・∀・)「」
それはズルいでしょ!?
じゃあ、って全然話繋がってないし!
('A`)(俺の店で……青春がほとばしっている……)ドキドキ
('A`)(あの子ら、毎週来ないかな……)ドキドキ
139
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:26:14 ID:amB2qlHU0
【おまけの、蛇足の、そのまた蛇足】
ζ(゚ー゚*ζ「ちなみになんだけど、修学旅行までの間、迎えに来てくれる?」
(*・∀・)「え、あ、はい、もちろん」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、しばらく離れる分、一緒にいる時間を作らないと、寂しくなっちゃうだろうしね」
(;・∀・)「別に数日くらいなら、俺は」
ζ(゚ー゚*ζ「……そっか」
ζ(゚ー゚*ζ「私だけかぁ」
(*・∀・)「」
('A`)(いけ! 押せばいけるぞ、少年!)ドキドキ
完
140
:
◆NGYeHpCrH2
:2024/04/28(日) 10:28:14 ID:amB2qlHU0
以上です。
オレンジデー祭りも後半戦、皆さん楽しんでください。
141
:
名無しさん
:2024/04/28(日) 13:47:59 ID:hzbmscVY0
おつです
142
:
名無しさん
:2024/04/28(日) 18:31:04 ID:syhLkZKQ0
乙!おまけ嬉しい!!
この2人本当可愛い
143
:
名無しさん
:2024/05/07(火) 21:41:48 ID:X5owII2U0
乙乙
>>132-133
ここ大事なことだと思った
144
:
♯もらでれ
:2024/05/12(日) 23:29:58 ID:Wx5TSJ7s0
自分が逃げないようにこっそり書いておくんだけど、今週中にあとがきとおまけ投下します。
お祭りの余韻を楽しみたいので、それまでトリップは貸してね。
145
:
名無しさん
:2024/05/12(日) 23:36:11 ID:Wx5TSJ7s0
>>144
本当に恥ずかしいので、別なトリップを考えておきますね。
146
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:35:13 ID:cWF.XMM60
トリップを変えました。作者です。
おまけを投下します。
昨日は(入力したのは昨日じゃないだろうけど)感想をありがとう、元気いっぱいです。
147
:
名無しさん
:2024/05/13(月) 22:35:48 ID:jofhPzuk0
やったぜ
148
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:36:02 ID:cWF.XMM60
今がそうなんだと、気付いてしまうことがある。
(*・∀・)ノシ
駆け寄るあなたを一目見ただけで、ああ、そうなんだな、ってすぐ気付いた。
ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん」
今なら、言える。
(*・∀・)「先輩、おはようござ⋯⋯」
つくづく卑怯な自分が嫌になる。
ζ(゚ー゚*ζ「だいすき」
149
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:36:28 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ夢の中なら、言えるようです
.
150
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:36:54 ID:cWF.XMM60
最初は、ちょっとしたおせっかいだった。
( ;∀;)
ちょっと馴染めてない、年下の転校生。
先輩、って一度呼ばれてみたくって。
部活もやってない私が、調子に乗って格好つけた。
( ゚∀゚)o彡゜( ・∀・)( ´_ゝ`)
優しい子だから、すぐに友達もできたね。
自分が頑張ったんだろうに、私のおかげ、なんて嬉しそうに報告に来てくれて。
私は、いつでも来なさい、なんて偉そうなことを言った。
151
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:37:16 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)
それからは、ちょっとしたことでも、放課後に話しかけに来てくれるようになって。
小さな相談事とか、友達とのお話とか、もうすぐテストだね、なんて他愛無い話までするようになって。
君が私に憧れているんだな、って、それくらいは分かるんだ。
ζ(゚ー゚*ζ
でもさ。
私はたまたま最初に手を差し伸べただけで。
頼るモノのないあなたは、それを特別に感じてしまった。
それはきっと、恋とは別のものだ。
152
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:37:51 ID:cWF.XMM60
(;・∀・)「せ、せんぱい⋯⋯?」
困惑する彼を、正面から抱きしめる。
ζ(゚ー゚*ζ「すきなの」
夢だから。
夢だからって、何をしても許されるわけじゃない。
信頼されているのに、心の底でそれを踏み躙っている。
本当のあの子に、申し訳ないと思いながら。
ζ(゚ー゚*ζ「すきって、言って」
あの子に似た彼を、強く抱きしめる。
153
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:38:19 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「⋯⋯いつでも、何度でも言いますけど。好きです」
ζ(゚ー゚*ζ「なんで?」
(*・∀・)「優しくて」打算的で
(*・∀・)「格好良くて」見栄っ張りで
(*・∀・)「可愛らしい」見た目だけの
(*・∀・)「あなたが、好きです」自分が、嫌い。
154
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:39:05 ID:cWF.XMM60
彼が優しく、私を抱きしめ返す。
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、夢だ⋯⋯」
あの子なら、きっと慌てて、抱きしめ返すなんてできなくて。
でも、きっと私のために、笑って、焦って、大丈夫ですよ、って繰り返して。
そんな姿を見て、しょうがないなぁって、なんだか優しい気持ちになるんだ。
ζ(゚ー゚*ζ「だいすきだよ」
(*・∀・)「俺も、先輩が好きです」
155
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:39:28 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「他のことなんか、考えられないくらい」
.
156
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:40:19 ID:cWF.XMM60
その一言で飛び起きた。
ζ(゚ー゚;ζ ハァ、ハァ、ハァ⋯
まだ部屋は暗く、日が上る前だ。
ζ(゚ー゚;ζ「悪夢だ⋯⋯」
間違いなく幸せな夢だった。
ただ、一人の男の子から、多くの選択肢を奪ったうえでの、幸せだった。
( ・∀・)『世の中には、美味しいものとか、楽しいことが沢山あって』
( ・∀・)『ソレを探すには、出会うには、沢山の時間が必要じゃないですか』
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯本当にね」
157
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:41:08 ID:cWF.XMM60
あの子が好きだ。
たぶん、誰が見ても気付くだろう。
でも、あの子にだけは、決してバレてはいけない。
ζ(゚ー゚*ζ コロン⋯
たった、ひとこと。
あなたが好きだと、ひとこと言えば。
自惚れではなく、あの子と私は、恋人になる。
そうなったときあの子は、今よりもっと視野が狭くなって。
私が喜ばないような選択肢を、考えることすら辞めてしまうのではないか。
現状ですら、私のためにと隠れてしょんぼりするような子なのだ。
恋と信頼とを勘違いしたままに、手に入るはずだった幸せに、気付かないまま日々を過ごしてしまうのではないか。
158
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:41:55 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ「それだけは、だめ」
あんなに、ひたむきに頑張った子が、幸せになれないなんて、あってはいけない。
じゃあ、どうするかなんて、決まってる。
私が、諦めるのだ。
ただ、諦めて、優しい先輩として、支えてあげればいい。
ζ(゚ー゚*ζ「先輩、だもん」
先輩と、呼ばれた。
あたたかな声で、何度も、何度も、先輩と呼ばれた。
それだけで、いいじゃない。
⋯⋯⋯⋯いい、はずだ。
159
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:42:33 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ『でもさぁ、結婚しなくてもできること、いっぱいあるじゃない? そういうの全部、一緒にやろうよ』
ζ(゚ー゚*ζ『今度はちゃんと、私から誘うから』
.
160
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:43:00 ID:cWF.XMM60
あの子が、寂しがるからと。
自分に言い訳して、放った言葉だけが、救いだった。
161
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:43:37 ID:cWF.XMM60
いつの間にか眠っていて、目が覚めたらもう朝だった。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯ねむーい」
歯を磨いて顔を洗って髪を整え着替えていつのまにか通学路でした、滅茶苦茶寝たのに眠気が取れない。
「デレせんぱーい!」
聞き慣れた声。
振り返ると、まあ、当然だけれど。
(*・∀・)ノシ
あの子がいる。
夢と同じ構図でクラクラしてしまう。
162
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:44:39 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「おはようございます!」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、おはよう。今日も元気だねぇ」
ほんの少しの罪悪感を覚えながら、いつもと変わらず挨拶する。
顔に疲れが出ないタチで良かった、心配症なのだから。
(*・∀・)「先輩と会えましたから」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、嬉しいことを」
毎度毎度、こっちが恥ずかしくなるようなことを当たり前に言ってくれる。
出会うたびに喜んでしまうあたり、だいぶ私も絆されている。
(*・∀・)「今日も今日とて、好きです、先輩」
ζ(゚ー゚*ζ「なんで?」
(*・∀・)「え?」
あ。
163
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:45:39 ID:cWF.XMM60
(;・∀・)「⋯⋯⋯⋯なんで、ですか?」
モララーくんが考え込んでしまったのをみて、言うべきではないことを口に出した、と気付いた。
( ・∀・)「思えば、理由もなく好意を口にするのも、不誠実なのかもしれないですね。しかし、なんで。なんで⋯⋯?」
ζ(゚ー゚;ζ「い、いやー、あんまり、深く考えなくてもいいよ。ほら、私、かわいいからね!」
精一杯誤魔化してみる。
正直、かわいいを自称したり言わせたりが凄い恥ずかしいんだけど、やめ時を逃した感がある。
( ・∀・)「いや、別に顔で惚れたわけじゃないんで」
小生意気にも一刀両断である。
少し嬉しいのが腹立たしい。
164
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:46:09 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「あ、もちろん先輩はいつでもかわいいですが」
ζ(゚ー゚*ζ「とってつけたような褒め言葉はいいです」
(*・∀・)「かわいいから好き、ではなく、好きだからかわいい、と感じてる部分は大きいと思います」
ζ(゚ー゚*ζ「う」
なんだこの子、今日は冷静だぞ。
(*・∀・)「こう、なんと言うか⋯⋯多分、先輩が顔に怪我とかして、世間にかわいいかわいい言われなくなっても、先輩にくっついて歩いてる気がするんですよね、俺」
ζ(゚ー゚*ζ「それは私も思う」
( ・∀・)「まあ、人なんていざってとき、どうするか分かりませんから。この考えは自分を美化してる気もしますが」
キミは見た目でどうこうって人じゃないと思うよ、ホントに。
165
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:46:46 ID:cWF.XMM60
( ・∀・)「で、なんで俺が先輩を好きか、ですよね」
ζ(゚ー゚;ζ「そ、それはもういいよ」
( ・∀・)「いやー、自分でも気になっちゃいまして」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯はじめに出会ったとき、甘やかしたからでしょ」
もう諦めて、不貞腐れる。
どうせ最初にちょっと優しくしただけの、タイミングのいい女ですよ、ふん。
166
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:47:14 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「あれは大切な思い出ですけど。あのときよりずっと好きですよ、俺は」
.
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