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( ・∀・)「毎日好きと言うようです」
162
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:44:39 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「おはようございます!」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、おはよう。今日も元気だねぇ」
ほんの少しの罪悪感を覚えながら、いつもと変わらず挨拶する。
顔に疲れが出ないタチで良かった、心配症なのだから。
(*・∀・)「先輩と会えましたから」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、嬉しいことを」
毎度毎度、こっちが恥ずかしくなるようなことを当たり前に言ってくれる。
出会うたびに喜んでしまうあたり、だいぶ私も絆されている。
(*・∀・)「今日も今日とて、好きです、先輩」
ζ(゚ー゚*ζ「なんで?」
(*・∀・)「え?」
あ。
163
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:45:39 ID:cWF.XMM60
(;・∀・)「⋯⋯⋯⋯なんで、ですか?」
モララーくんが考え込んでしまったのをみて、言うべきではないことを口に出した、と気付いた。
( ・∀・)「思えば、理由もなく好意を口にするのも、不誠実なのかもしれないですね。しかし、なんで。なんで⋯⋯?」
ζ(゚ー゚;ζ「い、いやー、あんまり、深く考えなくてもいいよ。ほら、私、かわいいからね!」
精一杯誤魔化してみる。
正直、かわいいを自称したり言わせたりが凄い恥ずかしいんだけど、やめ時を逃した感がある。
( ・∀・)「いや、別に顔で惚れたわけじゃないんで」
小生意気にも一刀両断である。
少し嬉しいのが腹立たしい。
164
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:46:09 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「あ、もちろん先輩はいつでもかわいいですが」
ζ(゚ー゚*ζ「とってつけたような褒め言葉はいいです」
(*・∀・)「かわいいから好き、ではなく、好きだからかわいい、と感じてる部分は大きいと思います」
ζ(゚ー゚*ζ「う」
なんだこの子、今日は冷静だぞ。
(*・∀・)「こう、なんと言うか⋯⋯多分、先輩が顔に怪我とかして、世間にかわいいかわいい言われなくなっても、先輩にくっついて歩いてる気がするんですよね、俺」
ζ(゚ー゚*ζ「それは私も思う」
( ・∀・)「まあ、人なんていざってとき、どうするか分かりませんから。この考えは自分を美化してる気もしますが」
キミは見た目でどうこうって人じゃないと思うよ、ホントに。
165
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:46:46 ID:cWF.XMM60
( ・∀・)「で、なんで俺が先輩を好きか、ですよね」
ζ(゚ー゚;ζ「そ、それはもういいよ」
( ・∀・)「いやー、自分でも気になっちゃいまして」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯はじめに出会ったとき、甘やかしたからでしょ」
もう諦めて、不貞腐れる。
どうせ最初にちょっと優しくしただけの、タイミングのいい女ですよ、ふん。
166
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:47:14 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「あれは大切な思い出ですけど。あのときよりずっと好きですよ、俺は」
.
167
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:47:48 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ 「へぁ?」
まぬけな声が出た。
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯なんで好きなんだろう」
(*・∀・)「なにかで相談しにいったときに、しょうがないなぁ、って笑ってくれるところとか」
(*・∀・)「図書室で勉強してるときの集中した横顔とか」
(*・∀・)「意外と礼儀に厳しいところとか」
(*・∀・)「好きだなぁ、と思うところは多いけど。それが理由で好きってわけじゃない気がするんだよなぁ」
私に、というより、自分の中の言葉を、まとめるように口に出す姿が、思いのほか真剣で。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯」
照れるんですけど。
168
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:48:20 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「優しいところが好きですけど。たぶんいじめられても、嫌いに慣れないと思います」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと、勘弁してもらっていいかな」
とても、恥ずかしいんですけど。
(*・∀・)「⋯⋯案外本当に理由がなくて、あとから理由付けしてるだけかムグッ」
手でモララーくんの口を多い、物理的に止めました。
ζ(゚ー゚*ζ「やめてって言ったら、やめてね」
(*・∀・)「はい」
手を離すと、モララーくんが苦笑する。
ちょっと、苦笑したいのはこっちですよ。
169
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:49:00 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ「いつものことだけどね、キミは考えすぎて暴走するところがあるよ」
( ・∀・)「⋯⋯ごめんなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、思っていることを口に出せるようになったのは、成長だね」
(*・∀・)「! ありがとうございます!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、私は何もしてないでしょう」
ころころ表情が変わる。
落ち込んだり喜んだり、忙しい子だなぁ。
170
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:49:41 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯? 何かな?」
立ち止まったモララーくんの様子を見るため、振り返る。
眩しいものを見るような、決して手に入らないものを眺めるような、優しい目をしていた。
(*・∀・)「あー⋯⋯いえ。そういうところだろうな、と思っただけです」
ζ(゚ー゚*ζ
ど、どういうところだろう。
(*・∀・)「たぶん、先輩にとっては本当に大したことじゃないんです。ただ、あたりまえに口にする言葉が、俺にとってそのとき一番欲しい言葉だったってだけで」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯そんなに、ご立派な人間じゃないけどね」
とても嬉しそうな顔を見て、少し後ろめたくなってしまう。
私が言った言葉は、きっと誰でも言えるようなことばかりだ。
171
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:50:22 ID:cWF.XMM60
(*・∀・)「そうなのかもしれません。でも、先輩が『私は何もしてないよ』って言うとき、必ず俺は救われてるんです」
ζ(゚ー゚*ζ
それは本当に恋なの、なんて。
わざわざ聴かなくても、私だってわかるくらいに。
(*・∀・)「先輩が大したことじゃないと思っていても、俺には人生を変えるほどの出来事だったりするんです」
一生懸命に、モララー君は言葉を紡ぐ。
(*・∀・)「例えば、保健室での別れ際の『いつでも相談しに来なさい』の一言が、何かに挑戦する励みになったり」
(*・∀・)「なんとなしに『字が綺麗だね』と言われてただけで、文字を書くたび嬉しくなったり」
(*・∀・)「『ちゃんと全部話しなさい』と叱られた事が、気持ちを隠さず話すきっかけになったり」
172
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:51:17 ID:cWF.XMM60
本当に、些細な言葉。
私が覚えてないような言葉すら、こんなにも嬉しそうに語る姿が、嬉しくて。
(*・∀・)「そんな些細な何かがあれば、俺は、自分を好きになれて。少しずつ、できる事が増えて」
見守ることしか、出来ていないと思っていた。
成長するキミの、選択肢を狭めるばかりだと思っていたのに。
(*・∀・)「いつか、先輩と離れても心配掛けない、頼れる後輩になれると思います」
いつのまにか、私が思うよりずっと頼もしくなっていた。
ζ(゚ー゚*ζ「なまいき。いつの間に、男の子みたいになってさ」
(;・∀・)「ずっと男の子ですが」
ζ(゚ー゚*ζ「どうだったかなぁ」
守ってあげたいと、思っていたのに。
甘えてしまいそうになる。
173
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:52:24 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ「ずっと一緒、って言ったのに。またお別れを考えてるし」
(;・∀・)「いやでも受験とかで会えなくなることは多くなりますし。最終的には後ろをついて回るにしても、どうしても離れる機会は増えるじゃないですか」
少し、過保護だったのかもしれない。
もしかしたら。
私の気持ちを打ち明けて、寄り添って一緒に成長していく、という選択肢だって、あるのだろうか。
174
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:52:57 ID:cWF.XMM60
(;・∀・)「何かの間違いで先輩に追い払われたり、先輩に恋人ができたり、というのもあるかもしれませんし」
.
175
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:53:37 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ
この子は。
本当に、この子は。
こっちの気も知らないで。
いや、知られないようにしてるのは私なんだけど、それにしたってコレはないでしょ。
これで、私のためだというのだから、困ってしまう。
(*・∀・)「まあ、そんなことはないと思いますが。先輩にも成長を認めて貰えたし、」
ζ(゚ー゚*ζ「キミはいつまでも成長しないなぁ」
( ・∀・)「!?」
全然頼りにならない。
こんな調子じゃ、先が思いやられるよ。
176
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:54:08 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ「これは、もう少しきちんとお話しする必要があるかもね」
少し目を離すと、私のことが見えなくなってしまうようだし。
私だって、キミの気持ちを考えられていなかったのかもしれない。
このまますれ違ったら、きっと目も当てられない。
ζ(゚ー゚*ζ「あのさあ、放課後、時間作ってよ」
(*・∀・)「はい、もちろん!」
理由も聞かず、即答。
そういうところが心配なんだけど。
177
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:56:10 ID:cWF.XMM60
ζ(゚ー゚*ζ「二人で出かけようか。行ってみたい喫茶店があるの」
(*・∀・)「! それってもしかしてデー」
ζ(゚ー゚*ζ「デート、ではないけど」
( ・∀・)「あ、そうですか⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「キミと、二人で、出かけたいの」
(*・∀・)「喜んで!」
178
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:56:32 ID:cWF.XMM60
もしも。
どんな大事な未来も、私の気持ちも見逃さず、それでも私を選んでくれるなら。
ζ(゚ー゚*ζ「かわいい後輩だね、キミは」
こんな遠回しじゃなくて、夢の中みたいに素直に伝えられるのかもしれない、なんて。
諦めたはずなのに、未練がましく思ってしまった。
完、あるいは『(*・∀・)もはや声も出ないようです』へ続く。
179
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 22:57:13 ID:cWF.XMM60
もしも。
どんな大事な未来も、私の気持ちも見逃さず、それでも私を選んでくれるなら。
ζ(゚ー゚*ζ「かわいい後輩だね、キミは」
こんな遠回しじゃなくて、夢の中みたいに素直に伝えられるのかもしれない、なんて。
諦めたはずなのに、未練がましく思ってしまった。
完、あるいは『(*・∀・)もはや声も出ないようです』へ続く。
180
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/13(月) 23:00:53 ID:cWF.XMM60
よし、今度こそ完結です!
未熟ながら書くべきこと全部書ききった、今週中にあとがきとか書きます。
本当にありがとう!
181
:
名無しさん
:2024/05/13(月) 23:15:43 ID:BFBnTEKU0
乙だ!
182
:
名無しさん
:2024/05/13(月) 23:24:40 ID:09q/HlTQ0
やっぱり二人とも可愛い!乙!また読めて嬉しい!
祭りでこの話に投票したよ〜!!是非また何か書いてくれ〜!!
183
:
名無しさん
:2024/05/14(火) 21:32:30 ID:Trl1vV8U0
乙です
184
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/15(水) 22:50:37 ID:aOyGv6lo0
>>182
投票ありがとうございます! とてもうれしいです! とてもとてもうれしいです!
他のみんなも乙やかわいいをありがとうございます!
あとがき土曜か金曜投下です。何書いたらいいか迷っているため。質問とかあったら、書いてね。
本編は終わったし、読まなくても全然大丈夫だからね。なんかおまけするかもだけど。
185
:
名無しさん
:2024/05/15(水) 22:51:41 ID:sOV3RK/Y0
たいへんおいしゅうございました
186
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/15(水) 23:08:10 ID:aOyGv6lo0
オレンジデー祭りスレの
>>568
にもお礼を言いたくて戻ってきたら、追加で感想があって嬉しいです。
勿論、他の感想も、乙も、かわいいも、やったぜも嬉しいよ。
>>185
ありがとう、お粗末様でした。またどこかで!
187
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:52:39 ID:6.e01KAI0
あとがき
オレンジデー祭り、おつかれさまでした。
大変楽しいお祭りでした、読者、作者、主催者さん、あな本先生、皆様本当にありがとうございました。
あな本先生だけ別枠なのは、ファンだからです。嘘です(嘘ではないですけど)、この方のリツイートでオレンジデー祭りに参加したからです。全く面識無いので、本人からすればいい迷惑かも。
思いつきで色々書きます、文章が読みにくいかも。
このレス以降は読まなくても大丈夫です。
188
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:54:02 ID:6.e01KAI0
まずはテーマ曲みたいなものを記載しておきます。
完全一致ではなく、なんとなくこんな主題を持ってたのかな、くらいで考えてください。
聞いてみて「そうだね」「違うんじゃない?」など考えてみてね。
作品全体
・世界はそれを愛と呼ぶんだぜ/サンボマスター
( ・∀・)「毎日好きと言うようです」
・( ・∀・)なんでもないや/マカロニえんぴつ
・ζ(゚ー゚*ζまた あした/Every Little Thing
・ζ(゚ー゚*ζ君の瞳に恋してない/UNISON SQUARE GARDEN
(*・∀・)もはや声も出ないようです
・メルト/Supercell
ζ(゚ー゚*ζ夢の中なら、言えるようです
特にないけど、あえていうなら
・メランコリック/ Junky feat. 鏡音リン
・夜な夜な夜な/倉橋ヨエコ
どっちかがコレを歌えれば私は苦労しなかった
・時間を止めるラブソング/サンボマスター
189
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:54:40 ID:6.e01KAI0
( ・∀・)モララーについて
・明るく素直で人懐っこい子ですが、本心では自信がない。些細なことの積み重ねで落ち込んで、誰かに打ち明けて「なんだ、男らしくないな」なんて言われると怖いので、ずっと一人で抱えていました。
・偶々出会って、言葉でなく心に寄り添い、何を言うでもなくただ話を聞いて「また来なさい」と言ってくれたことが、彼にとっては救いで、とても大切なことでした。
・他の人から見たら、先輩から見ても、それくらいで? と言われることはわかっていましたが、それでも大事だったのです。
・大事過ぎて神格視している節がありました。一度離れて、迎えに来てもらって、自分より小さな女の子だと気付きました。先輩も一人は寂しいんだと気付いたので、もう自分から離れることはないでしょう。
・先輩に「なんで恋人作らないの?」と聞かないのは、それが聞かれたくないことかもしれない、話したくなれば話してくれるだろう、という信頼で、気遣いです。
・デレが先に気付いていましたが、というかモララーが気付いてるかわからないですが、対等になりたかった。助けられるだけでなく、助け合いたかった。
・本人が気付いてないだけで、デレも結構モララーを頼りにしてました。一緒にいると、当たり前に相手の手伝いとかするよね。
・「どっか行ってよ」に対して「嫌だ」が言えるようになった今、「付き合わない、結婚しない」にも「嫌だ」と言えるように成長すればさくっと付き合えます。もうちょっとですね。
・さくっとは言い過ぎましたが、要は「自分に逆らえないから付き合えないよ」というのに対してNOと言えれば「お付き合いとか恥ずかしいし⋯⋯」と逃げ道を失って弱体化するためです。
・プロットではデレさん呼びでした。ちょいちょい修正漏れがありますね。
190
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:55:25 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζデレについて
・聡明な読者の皆様ならばもうお分かりでしょうが、実はモララーが好き。どこで気付いたかな。
・いつのまにかモララーが好きだった。でも好きと言われたから好きになるなんてズルじゃん、と負い目があった。別にいいと思うよ。
・出会いに関しては「なんか転んでたね、キミ」くらいの温度。基本的に誰にでも優しいので、倒れてたのがモララーじゃなくてもきっと助けた。でも、その相手とは恋に落ちなかったと思う。
・めちゃくちゃ嬉しそうにお礼を言いに来たことは覚えてる。
・後輩だし、生き方不器用だし、凄い心配。二人称「あの子」な時点でだいぶ子供扱いして、甘やかしている。「彼」と呼ぶときは男扱いしてるとき。
・「付き合わない、結婚しない」は、モララーと一緒になると成長しなくなるから付き合わない、でも他の人を好きになることはないだろう、という精一杯の強がり。
・恋人になれなくても先輩は自分のものだ、という意思が強い。初恋を諦めたんだからこれくらいのワガママ許してよ。勝手に諦めて何言ってんの君。
・書いてて筆の走りが速い時と遅い時に差がありました。具体的には告白とか慰めるときは実力以上の甘い言葉が出るくせに、モララーから逃げようとするとクッソ時間かかるうえ、なんか読みにくい文章になりました。頑張って直したけど。
・公開しないけど、試しに失恋したらどうなるかプロット切ったら最速で出来てビビりました。悩んでるとダメで覚悟決まると行動早い人なの?
・肩の力が抜けてモララーに甘えられるようになったとき、デレから告白することがあるかもしれません。
191
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:56:59 ID:6.e01KAI0
( ・∀・)「毎日好きと言うようです」
・初投稿です。完成させる、読みやすい、かわいい、が目標でした。二つは達成しました、みんな、読みやすかったかな?
・読みやすい=面白いではないけれど、読みにくい=読まなくていいや、には繋がるからね。せっかく書くなら読んで欲しい。
・テーマは「かわいい」、「理由なんてなくても一緒にいたい」です。クオリティよりまず完成、を合言葉に必死でした。アホなので10日もかかりました。
・まず完成とは本当に心にブッ刺したいところだけクオリティを上げて、他は雑でも完成させるという意味です。
・皆どうせホラーとか横道に逸れるし、一作くらいはただ甘い作品があってもいいでしょ。
・素人なので参加に少し迷いましたが、読む物は多ければ多いほどいいんだよ、と思い書きました。
・後輩が好き好き言ってるけど、本当は先輩の方が執着強い、でも後輩は気づいてない。そんな話が書きたくて、書きました。
【アホでもわかる図解】
(*・∀・)→好感度100→ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ→好感度200→( ・∀・)?
・タイトルになんで「」がついてるのかというと、純粋にミスです。
・なるべくデレと話すときのモララーは紅潮させています。照れ屋さんだからね。
192
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:57:24 ID:6.e01KAI0
(*・∀・)もはや声も出ないようです
・コメント欄を見て、「あれ、私が思ったよりデレってモララーを甘やかしてないのかな?」と思い、最後まで読んだ人が楽しめるようオマケを作りました。
・読み返した今、「本編も甘やかしてたよ?」ってなりました。執筆後は疲れてるからね、仕方ないね。
・二人が未来に向かって歩いていく綺麗な終わりなので蛇足かな、求められてないかもなと思い、ちょっと投下が怖かったです。
・でも出来上がったので投下しました。おまけなんてなんぼあってもいいんやで。面白ければ。
・最終発表でオマケ良かったよ、の声が多くて嬉しかった。
・モララーを幸福で殺す、デレを素直に、読者を糖死させる、1レス1かわいい、などが目標でした。繰り返しになりますが、感想を見るとちゃんと死んでて嬉しかったです。
193
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:58:14 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ夢の中なら、言えるようです
・「デレ先輩はなんでそんな付き合いたくないの」という点に説得力が薄いので書きました。
・失恋して泣いてる女の子が世界で一番かわいい。夢の中から夜にかけてのデレを書くのが楽しかった、もっと長くてもよかったかな。でも幸せになって欲しいよね。
・難産過ぎて一度挫折しました。
デレが「諦める」から「モララーと話し合う」まで持っていくための流れが難しくて。
・口では好き好き言ってるけど内心諦めもあるモララーと、諦めるって言い聞かせて本当は成長を待っているデレ、というのを書きたかった。
・前二作が駆け足作成だったから、丁寧に作るのを心がけました。最後の最後に二重投稿したけど。
194
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:58:42 ID:6.e01KAI0
思うこと
・「傷つけるより傷つく方がいい」って言いますよね。今作の二人はそんな感じです。でもそれって、相手には「傷ついて欲しくない相手が、一人で傷ついている」という辛さを押し付けることです。作中でもデレさんに言って貰いました。
ζ(゚ー゚*ζ「私がモララーくんを傷つけた言葉。本心だけど、キミがやったことと同じだよね」
・人間関係は言葉のナイフを振り回すようなものだと、とある作家が言いました。私の大切な言葉です。
親しいとは、相手のナイフが刺さってもいい位置まで近くこと。それは相手をナイフで傷つける覚悟を持つこと、お互いがつけた傷を笑い合えるようになることと同意だと。
・二人とも、もうちょっとだけ相手に迷惑をかける勇気が必要ですね。「しょうがないなぁ」で笑って許しあえる二人なので、きっといつか幸せになるでしょう。
・私も言葉のナイフでたくさんの読者を傷つけたいです。作品を作って刺しに行くので、読者の皆さんも作者を乙で殺しに来てください。
195
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:59:23 ID:6.e01KAI0
お祭りについて
・楽しかったねー!
・8位でした。自惚れるなら、真ん中くらいには面白かったみたい。5人も投票してくれたようです。本当にありがとうございます。びっくり、嬉しい、ありがたい。語彙が少なく恐縮です。
・『爪'ー`)y‐5人も投票してくれたようです』ってありそうですね。生徒会選挙で不良生徒フォックスに何故無記名の投票があったのか、前生徒会長トソンとフォックスが喧嘩しながら調べる話。多分オムライスとか漁ったら全6話ぐらいであるよね?
・感想も嬉しかったです。「かわいいしか言えない身体にしてやるぜ」と思って書いた結果、いろんな表現でかわいいが返ってきました。
・上位を見ると「俺はそうなると思ってたぜ」ってなるのに、他の順位を見ると「こんなに低いわけないだろ!」ってなる、不思議なランキング表でした。皆面白かった。
196
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 18:59:53 ID:6.e01KAI0
長々と語りましたがオレンジデーの残り香もあと僅か、これで物語はおしまい、あとは若いお二人で、となります。
たまに何か投下するかもです。
短編の練習がしたいので。
今の私にはカラテが足りない⋯⋯
※カラテとはネットミームで実力のことです。
今日もちょっとだけおまけがあるんじゃ。
197
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:00:40 ID:6.e01KAI0
【おまけ】
( ・∀・)ポストカードは買わないようです
198
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:01:14 ID:6.e01KAI0
デート、ではない映画鑑賞の帰りだった。
( ・∀・)「売店のポストカードって誰が買うんでしょうね、アレ」
特に今日みたいなゴリッゴリのホラーのヤツ。
情け無いことに、鑑賞中の俺は涙目で叫び声をあげないよう必死だった。
そんな俺を横目に、先輩は笑いを堪えるのに必死だったようだ。
おまけにこっそり手を握るという余裕まで見せてくれて、俺の感情はもう滅茶苦茶だった。
そんなこんなで映画館を出た頃には、体力を使い果たしてげっそりしていた。
見かねた先輩に一休みを提案され、現在は近場の喫茶店である。
ζ(゚ー゚*ζ「私は買ったよ」
(;・∀・)「マジですか」
じゃん、と取り出された五枚組のソレを、薄目で見る。
199
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:01:48 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ「あはは、いいでしょ。どれがいい?」
封を開け、一枚ずつ並べる。
み、見たくねー。
(;・∀・)「えー⋯⋯じゃあ、コレ」
映画の宣伝ポスターになっているソレを指差す。
ζ(゚ー゚*ζ「ふうん、私はコレが一番好きかな」
答えとは無関係に、一番血みどろのヤツを裏返して渡してくる。
えー、聞くならせめて気に入ったヤツくださいよ⋯⋯
200
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:02:17 ID:6.e01KAI0
(;・∀・)「あー⋯⋯た、大切にしますね」
声が裏返る。
先輩からのプレゼントでも、さすがに今回は辛い。
ζ(゚ー゚*ζ「え、あげないよ?」
わあうれしい、じゃなくて。
(;・∀・)「じゃあなんで聞いたんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「はいココ、住所書いてね」トントン
全然話を聞いてくれない。
今度はボールペンを差し出し、ポストカードの裏面をトントンする。
(;・∀・)「いいですけど。いいですけど、結局のとこ何がしたいんです?」サラサラ
言われた通りに書いて、先輩にペンとポストカードを返す。
ζ(゚ー゚*ζ「うん、よく出来ました」
ふふん、と満足げに胸を張って。
201
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:06:01 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ「今日の映画が面白かったなぁ、と私が思い出すたび、キミにこのポストカードが届きます」
.
202
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:06:49 ID:6.e01KAI0
満面の笑顔。
ζ(゚ー゚*ζ「これから先、四回ね」
(*・∀・)「そんなの最高じゃないですか!」
映画館でポストカードを買わないヤツはどうかしてるぜ!
⋯⋯俺も買えばよかったな。
( ・∀・)「ってあれ、四回ですか? 五回じゃなく?」
ζ(゚ー゚*ζ「これは、私の分だから、だめ」
俺が住所を書いた、そのポストカードを大事そうに両手で持って。
203
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:09:18 ID:6.e01KAI0
(*・∀・)「俺もポストカード買えばよかったなー!」
俺からも送れば先輩の手元に同じのが残るじゃん!
そうしたら五回、先輩の気持ちが俺のものだったのに!
次から絶対、ポストカード買おう。
⋯⋯⋯⋯後日、郵便で届いたゴアでパンクなポストカードにビビり散らかしたのは内緒。
完
('A`)「⋯⋯⋯⋯一服したのか? うち以外の喫茶店で⋯⋯」
完
204
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:10:18 ID:6.e01KAI0
【おまけ】
ζ(゚ー゚*ζ全部寒さのせいのようです
205
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:11:14 ID:6.e01KAI0
記録的な寒波の襲った日。
珍しく、朝一番に先輩が教室に押しかけてきた。
ζ(゚ー゚;ζ「ジャージ貸して!」
(;・∀・)「!? 喜んで!」
( ・∀・)
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯いや、喜ぶのはおかしいな。そもそもサイズ合わないですよ」
先輩のお願いには反射的に頷いてしまう俺だが、恥をかかせるわけにはいかない。
ここはきちんと断ろう。
( ・∀・)←標準よりデカい
ζ(゚ー゚*ζ←標準より小さい
.
206
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:11:54 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚;ζ「寒いから制服の下に着るって、他クラスの子みんな貸してくれないの! おっきくてもいいから!」
(;・∀・)「いや、俺、三年で成長するだろって、ばーちゃんからちょっと大きめのジャージ買ってもらってまして」
先輩が着たらぶっかぶかである。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯いいよ! 覚悟したから!」
ぐっ、と両手を握って言う。
なんでこう思い切りがいいかなぁ。
(;・∀・)「マジでデカいんですって! じゃあもう、しゃーない、俺の友達から借りてくるんで」
207
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:12:29 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ「男子のジャージとか恥ずかしいでしょ!」
.
208
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:13:17 ID:6.e01KAI0
( ・∀・)「お、俺は!?」
ζ(゚ー゚*ζ「弟みたいなもんでしょ、もう身内枠だよ! ほら、さっさと用意して!」
( ゚∀゚)o彡゜「おーおー。またモララーがサラッとフラれてるぜ」
(*・∀・)「身内枠⋯⋯! 急いで用意します!」
( ´_ゝ`)「あ、いいんだ」
超特急で急いで用意し、先輩にジャージを渡す。
先輩は服の上からジャージを当て、大きさを測っている。
お父さんの服を引っ張り出した幼児、みたいなサイズ差だ。
(;・∀・)「⋯⋯やっぱり無理じゃないです? 俺転校生ですから、みんな青ジャージの中一人だけ赤ですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「だいじょぶ、着れるよ! ありがとう!」
そう言って、ぎゅっと俺のジャージを抱きしめる。
くそ、今日もかわいいが過ぎるぜ。
209
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:13:59 ID:6.e01KAI0
( ・∀・)「じゃあ、お昼に取りに行きますね。五限が体育なので」
ζ(゚ー゚*ζ
嬉しそうだった先輩が、ピタリと、動きを止める。
ζ(゚ー゚*ζ「や、やっぱりいいや。半袖で受けるね、体育」
(;・∀・)「えっ!?」
交通に影響が出るレベルの寒波である。
(;・∀・)「なんでですか、風邪じゃすみませんよ!? 俺のがイヤなら、他のヤツのを」
ζ(゚ー゚*ζ「そういうんじゃないから」
(;・∀・)「じゃあどういう理由だってんですか!?」
210
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:14:29 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ「汗かいた後の服着られるのは流石に恥ずかしいでしょ!」
.
211
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:14:57 ID:6.e01KAI0
(♯・∀・)「じゃあ俺が半袖で授業受けるから持って行ってくださいよ!」
思ったより下らない理由だった。
全く、先輩には困ったものだ。
(; ゚∀゚)o彡゜「お前、それ、大丈夫なの?」
( ・∀・)「大丈夫でしょ、先輩外だけど俺ら体育館だし」
昔は東北のほうで暮らしていたこともある、寒さには強いのだ。
( ・∀・)「⋯⋯あ、先輩、カイロ持ってってください。ぶかぶかだから多分首から風入って寒いっすよ」
ζ(゚ー゚;ζ「ちょ、ちょっと、そこまでさせるわけには⋯⋯」
( ・∀・)「大丈夫です」
ζ(゚ー゚*ζ「でも」
212
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:15:22 ID:6.e01KAI0
( ・∀・)「先輩、大丈夫ですから。ほら、俺、結構丈夫なんで」
.
213
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:16:03 ID:6.e01KAI0
安心させたくて、先輩の真似をして、自信満々に笑顔を作って。
カイロとジャージをしっかり押し付けた。
まあ、ちょっとだけ強がりだけど、体調崩した先輩とか絶対見たくないし。
ζ(゚ー゚;ζ「⋯⋯⋯⋯」
先輩はちょっと、迷うような顔をして。
ζ(゚ー゚*ζ「〜〜〜っ!!」
凄く困ったような顔をして。
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ借りるから! ちゃんと午後はこれ着て体育受けてよね!」
真っ赤な顔で言った。
(;・∀・)「いや、それがイヤだって話じゃないんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「うるさい、口答え禁止! 先輩ですよ私は! じゃあね!」
逃げるように去ってしまった。
もうちょっと話してたかったのに。
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯優しい人だよなぁ」
( ゚∀゚)o彡゜「オマエモナー」( ´_ゝ`)
214
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:16:32 ID:6.e01KAI0
◆◆◆
(,,゚Д゚)「せっかく外出て貰ったけど、あんまりに寒いんで今日は体育中止なー! 中に戻って自習だ!」
ζ(゚ー゚*ζ
ぶっかぶかである。
裾を捲っても手が出ないくらい、大きい。
私はなんのためにこんな辱めを受けているのか。
('、`*川「あっはははははは! コナンくんみたいじゃん!」
(゚、゚トソン「ふっ、ふふふ⋯⋯⋯⋯かわいいですよ、デレ」
ミセ*゚ー゚)リ「うちの弟が小さいとき、お父さんの服着てそんなんなってたよ」
(゚、゚トソン「ふふふ、ははははははは! ミセリ、やめてくださいよ」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯そんな笑うことないじゃない」
215
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:17:00 ID:6.e01KAI0
ミセ*゚ー゚)リ「だよねー! 彼氏のジャージとか、ちょっと憧れちゃうもんね!」
ζ(゚ー゚*ζ「そういうんじゃないから! 弟みたいなものだから」
( ・∀・)『先輩、大丈夫ですから。ほら、俺、結構丈夫なんで』
ζ(゚ー゚*ζ カァァ⋯
ζ(゚ー゚*ζ「弟だから!」
('、`*川「いや、弟ではないだろ」
(゚、゚トソン「顔赤くないですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「カイロいっぱい持ってるから暑いの! あの子、二個も三個も渡してくるんだもの、勿体無いなぁ!」
ミセ*゚ー゚)リ「いいな、愛されてて。一個ちょーだい」
ζ(゚ー゚*ζ「だからそういうのじゃないの! はいカイロ!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんきゅー」
216
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:17:36 ID:6.e01KAI0
◆◆◆
ヴヴヴッ
( ・∀・)「?」
『通知:かわいいミセリちゃん』
メッセージアプリの通知だ。
ミセリ先輩から(強制的に)登録されたアドレスからの連絡のようだ。
( ・∀・)「なんだろ」
『可愛かろ?』
添付写真、だぼだぼジャージのデレ先輩が眉間に皺を寄せてピースしているところ。
( ・∀・)「ぐはっ!」
『通知:セクシーペニちゃん』
『ひれふせ』
添付動画、デレ先輩が袖を捲っては、ずり落ちてくるところ。
( ・∀・)「げふっ!」
『通知:都村トソン』
『ペンギン』
添付動画、裾を踏んで転ばないよう、ゆっくり歩くデレ先輩。
( ・∀・)「ごふぁぁ!」
今日は人が死ぬレベルの大寒波である。
217
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:18:10 ID:6.e01KAI0
◆◆◆
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯ありがとうね」
お昼休み。
先輩自らジャージを返しに来てくれた。
( ・∀・)「⋯⋯なんか不機嫌です?」
ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスたちにめちゃくちゃいじられた」
(;・∀・)「本当すいません」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、キミは何も悪くないでしょ。はいこれ、助かりました」
ジャージと、缶のカフェオレ。
カフェオレを学ランのポケットに入れる。
律儀な人だなぁ。
218
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:19:04 ID:6.e01KAI0
( ・∀・)「いえいえ。こちらこそ、ごちそうさまです」
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね、洗って返すべきなのに」
( ・∀・)「あー、別にいいですいいです。それよりデカくて困りませんでした?」
ζ(゚ー゚*ζ「困った」
照れたように、えへへと笑う。
219
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:19:49 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ「でもほら、校内で自習になったから。あんまり汗もかかなかったし」
( ・∀・)「ふふ、よかったですね」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、制汗剤いっぱいかけたから、ちゃんと着てね」
( ・∀・)「ホントだ」スン
スパアン!
ζ(゚ー゚;ζ「なんで嗅ぐの!」
(;・∀・)「え、あ、フリじゃないんですか今の」
ζ(゚ー゚;ζ「フリじゃないよ!? な、何でそんな、そんなさぁ、ヘンタイなのキミ!?」
(;・∀・)「ごめんなさい! ごめんなさい!」
俺先輩のこと大好きだけど、たまにすげー理不尽だと思う。
220
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:20:26 ID:6.e01KAI0
(;・∀・)「あー、じゃあもう着替えちゃうんで、チャチャっとお昼ご一緒させてください!」
ζ(゚ー゚*ζ「お、おう⋯⋯」
( ・∀・)「なんです、その反応」
ζ(゚ー゚*ζ「汗かいてなくても自分が着てた服を着られるって、恥ずかしいでしょ」
そうかなぁ。
わからないのは俺が鈍感なのか、男女の差なのか。
まあ、ささっと着替えてしまおう。
ζ(゚ー゚*ζ「嗅がないでね」
(;・∀・)「わかりましたって」
下に半袖短パンは着ていたので、制服を脱いでジャージを着るだけのお手軽お着替え。
ζ(゚ー゚*ζ「でっかー。ふふふ、おっとこのこー」
先輩は俺が脱いだ学ランを羽織って、くるくるしてる。
怒ったり笑ったり、見てて飽きない人だなぁ。
( ・∀・)「えー⋯⋯俺が脱いだのは着るんだ」
かわいいから是非是非って感じだけど。
221
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:21:18 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、寒いからね。全部寒さが悪いの」
( ・∀・)「そうですか」
ζ(゚ー゚*ζ「キミがヘンタイなのも、カッコつけなのも、全部寒さが悪いの」
( ・∀・)「そ、そうですか?」
カッコつけた覚えはないですけども。
ζ(゚ー゚*ζ「だから、これも寒さのせい」
( ・∀・)「え、なに、どれですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯ばいばい!」ダッ!
( ・∀・)「!?」
走って逃げた!?
一歩遅れて追いかける。
222
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:21:42 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ「購買に先についたほうの勝ち!」
( ・∀・)「ずるじゃん! 先輩ずるじゃん!」
ζ(゚ー゚*ζ「あはは、寒いから身体動かさないと」
( ・∀・)「俺このあと体育ですってば!」
ζ(゚ー゚*ζ「頑張ってね」
聞いてくんないし。
でも、先輩がはしゃいでるのも寒さのせいなら、こういうのも悪くないかもしれない。
目の前をひらひら揺れる学ランを見ながら、そう思った。
223
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:22:38 ID:6.e01KAI0
ζ(゚ー゚*ζ「へぶっ」
べちっと音を立てて、転んだ。
空気が凍る。
何度も言うが、外は記録的な寒波である。
(;・∀・)「⋯⋯⋯⋯こ」
(;・∀・)「これも寒さのせいです!」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがと⋯⋯」
先輩が立ち上がるため手を貸しながら、思った。
やっぱり寒いのは良くないね。
完
224
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 19:24:45 ID:6.e01KAI0
あー終わった終わった。
宿題終わりって感じですね。
みんなもお疲れでした。
225
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 19:53:59 ID:EL7Y/COo0
大好きです
乙
226
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/18(土) 20:14:53 ID:6.e01KAI0
>>225
ありがとうございます。
また何か書いたら読んでね。
227
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 20:56:43 ID:uDZvSzek0
乙
228
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 00:39:19 ID:Zw3QR1Oo0
またおまけ!?めっちゃ嬉しいありがとう!乙!
気が向いたらまた何かお話投下してくれ〜!待ってるから〜!!
229
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/20(月) 03:23:22 ID:.qSkPn4I0
>>227
ありがとう。
>>228
あとがきだけだとがっかりするかな、って。また何か書きます、読んでくれてありがとう。
230
:
◆xSBhltJ66c
:2024/05/20(月) 03:25:55 ID:.qSkPn4I0
【おまけ】
(*・∀・)ちょっと口には出せないようですζ(゚ー゚*ζ
(*・∀・)(連絡、しなきゃいけないんだけど)
(*・∀・)(耳元で先輩の声がすると、凄い心臓バクバクするんだよな⋯⋯)
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯メッセージでいいか」
◆◆◆
『メッセージを保護しました』
ζ(゚ー゚*ζ「あの子の文章、『好き』とか『かわいい』って突然入ってくるから、読んでて照れるんだよなぁ」
ζ(゚ー゚;ζ(まさか私の書いたメッセージからもそういう雰囲気出てたりしないよね?)
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯電話で返事しよ」
◆◆◆
ζ(゚ー゚*ζ「キミってさ、電話嫌いだよね」
(*・∀・)「⋯⋯先輩は、文章のやり取りは嫌いな感じですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「うーん。まあ結局、連絡がつけばそれでいいじゃない」
(*・∀・)「まあ、そうですよね!」
(*・∀・)「ははははは!」ζ(゚ー゚*ζ
あなたの声/文章に一々心躍るなんて、流石にちょっと口に出せないので、笑って誤魔化した。
完
231
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:18:37 ID:vuGcRS6E0
終わる終わる詐欺になってしまったけど、許してね。
投下します。
232
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:19:06 ID:vuGcRS6E0
県外に進学する、と先輩から告げられたのは、三日前のことだった。
( ・∀・)いつもと違う、ようです
土曜日の朝である。
休日にわざわざ先輩を呼び出しておいて、遅れてしまった。
急いで階段を駆け上り、屋上の扉の前で息を整える。
(;・∀・)「はぁっ、はぁっ、はぁっ⋯⋯⋯⋯」
「聞こえてるよー」
扉の向こうから、少しからかいの混じった先輩の声。
意を決して、扉を開ける。
(;・∀・)「ごめんなさい遅れました!」
心地いい風が吹く。抜けるような青空と、入道雲を背に笑う先輩と目が合う。
初夏だなぁ、なんて思っている暇はない。
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、いいよ。ほんの数分でしょ? そんなに慌てなくても」
233
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:19:41 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「先輩!」
ζ(゚ー゚*ζ「は、はい。何かな?」
( ・∀・)「結婚してください!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、だめです」
俺の勢いに少し驚いた先輩も、なんだいつも通りか、なんて安心したような顔になり、やんわりと告白を断る。
いつもなら、ここから日常がはじまる。
でも。
いつもの日常は、終わりが近づいているのだ。
234
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:20:15 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「お願いします。結婚してください」
一本のバラを差し出して、繰り返す。
ζ(゚ー゚*ζ「あのねぇ、何か焦らせちゃったようだけど。まだ先の話だし、受かるかどうかもわからないしね」
( ・∀・)「先輩は、必ず受かります」
断言できる。
( ・∀・)「そして、お別れはいつか、必ず来ます」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯そうだね」
何を言っても、先輩が先に卒業するのは避けられない。
235
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:20:52 ID:vuGcRS6E0
ζ(゚ー゚*ζ「でも、それは今キミと結婚する理由にはならないでしょう」
困ったように笑う先輩。
( ・∀・)「今じゃなくていいです」
さらに困らせてしまうな、なんて思いながら、言葉を続ける。
ζ(゚ー゚*ζ「え?」
( ・∀・)「2年、ください。待たせてしまいますし、大学も別になると思います。でもバイトして金貯めて、こんな一本キリじゃない、バラ百本の花束を贈ります」
( ・∀・)「指輪だって綺麗なやつを贈ります」
236
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:21:28 ID:vuGcRS6E0
「必ず」「必ず、迎えに行きます」「幸せに、します」
.
237
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:22:15 ID:vuGcRS6E0
少しの、沈黙。
ζ(゚ー゚*ζ「ふうん、本気なんだ」
先輩は受け取ったバラを弄りながら、呟く。
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯はい」
「先輩に、話したいことがたくさんあるんです」
ζ(゚ー゚*ζ「そっか」
先輩は、少し考えたあと。
ζ(゚ー゚*ζ「うん、そうだね」
何かに納得したように頷く。
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと聞くって言ったもんね」
そして先輩はこちらを一度見て、影のベンチを指差し、言った。
ζ(゚ー゚*ζ「座って、ゆっくり話そうか」
238
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:25:22 ID:vuGcRS6E0
ベンチへ移動し、並んで座る。
ζ(゚ー゚*ζ「男の人にお花を贈られたの、はじめてかも」
先輩は、受け取ったバラをくるくると回しながら、どことなく嬉しそうだ。
ζ(゚ー゚*ζ「ふふん、キザだね。薔薇なんて」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯すいません、一本きりで」
俺の心を映し出すように、バラも心なし萎れているように見える。
ζ(゚ー゚*ζ「額のついた花は、一輪、と数えるんだよ」
そっちの方が風情があるでしょ、なんて優しく笑って、余裕の表情だ。
少し悔しい。
ζ(゚ー゚*ζ「それで、何から話してくれるのかな?」
239
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:26:55 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「まずは、先輩に謝まらなければいけないことがあります」
ζ(゚ー゚*ζ「許します」
当たり前のように、こちらも見ずに言う。
せめて内容を聞いてからにして欲しい。
ζ(゚ー゚*ζ「キミのことだから、悪気があってやったことではないだろうし」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯まあ、言うべきでは無いことかな、とも思ったんですけど。色々と用意した段取りがあるのでね、聞いてください」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、用意したんだ」
( ・∀・)「そりゃもう、寝れなくなるくらいには」
ふふふ、と顔を見合わせて笑う。
240
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:27:18 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「実は、先輩が県外に行くって聞いたとき、少しだけ『行かないで欲しい』と思いました」
ζ(゚ー゚*ζ「そりゃそうでしょ」
馬鹿正直だね、と困ったように笑う。
ζ(゚ー゚*ζ「普通ね、仲良い人が居なくなるってなったら、嫌だよ。むしろ、そう思われないほうが寂しいくらい」
( ・∀・)「でも、口に出して言われたら困るでしょ」
ζ(゚ー゚*ζ「まあねぇ」
( ・∀・)「それに、もし先輩が俺のために進学先変えたら、多分一生顔向け出来ないです」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、いい子だ」
くしゃくしゃ、と、頭を撫でられる。
先輩は俺をデカい犬かなんかだと思っている節があり、褒める時は取り敢えず撫でとけ、と雑な扱いをされる。
それで喜んでしまう自分が単純で困る。
241
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:28:16 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「じゃあどうしようか、ということをここ三日ほど、色々考えたんです」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯本当、気を使う子だよね、キミは」
頭を撫でる手を止め、ため息を吐く。
( ・∀・)「まず、先輩と同じ学校に進学を考えました」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯うん」
( ・∀・)「でも、辞めました」
ζ(゚ー゚*ζ「どうして?」
ぐさり、と頬に指を突きつけられる。
ちょっと痛い。
242
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:29:25 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「私学の文系じゃないですか、先輩の進学先」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。キミは理系クラスの予定だっけ?」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯はい。同じ理由で、先輩の進学先の近所に進学、というのも無しです」
頬に刺さっていた指が離れ、ぐしゃぐしゃになった頭を整えるように撫でられる。
ずっと一緒って言ったのに薄情かな、とも思ったが、正解のようだ。
( ・∀・)「じゃあ何が出来るかっていったら、もう背中を押して送り出すか、迎えに行くしかないと思いまして」
ζ(゚ー゚*ζ「キミなら、すぐにでも追いかけてくると思ったけど」
( ・∀・)「気持ちだけなら、そうしたいとこですけど」
現実的には、何もできない。
口に出せずに苦笑した。
243
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:30:32 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「進学して、バイトして金貯めて、自分の力で迎えに行けるのが2年後かな、と」
ζ(゚ー゚*ζ「迎えに来られても、私がキミと一緒に帰ってくるとは限らないじゃない?」
そもそも在学中だしねぇ、と茶化される。
( ・∀・)「まあ、それならそれでいいんですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「いいんだ」
少しムッとして、撫でる手が乱暴になる。
( ・∀・)「俺が寂しいだけです。振られても、断られても、先輩が笑ってくれたら、いいんです」
手が、止まる。
髪をそっと直し、離れていく。
244
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:32:30 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「それに、先輩って地元がここでしょう?」
( ・∀・)「はじめての引越しで辛いことがあっても、誰かが迎えにくると思えば少しは違うかなって」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、私が引越しくらいで⋯⋯」
余裕そうに笑い、何かに気付いたように、こちらを見る。
ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん、キミも誰かに迎えに来て欲しかったの?」
聡い人だなと思う。
少し考えて、答える。
( ・∀・)「先輩と会ってからは、そういうのは無いですけどね。そもそも誰に来てもらうんだ、って話ですし」
笑いかけてみるが、先輩は心配そうな顔のままだ。
本当にもう平気なんだけど、経験上こういうときに弱音を吐かないと絶対逃がしてくれない。
( ・∀・)「⋯⋯⋯まあ、人間関係出来上がってる中に途中から入ってきた俺と、先輩では全然違うんでしょうけど」
245
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:32:54 ID:vuGcRS6E0
「一番辛いのはアレです」
「帰る場所がないこと」
.
246
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:35:26 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「いや、家にはいくらでも帰れるんですけど。なんて言ったらいいのかなぁ⋯⋯。昔居た場所に、自分の居場所がどんどん無くなっていくんですよね」
( ・∀・)「また連絡するね、なんて言ってた友達が一人一人とゆっくり減っていって、ゼロになる」
( ・∀・)「たまにこっちから連絡してみれば、もう友達じゃなくて珍しいお客さんみたいな扱いになってて」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯そういうのも何回かやれば慣れるもんで。もうどこ行ってもお客さんなんだなって、諦めちゃうんですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯」
隣の先輩が、一歩近くに寄ってくれる。
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね、置いていくことになって」
(;・∀・)「わー! 違います違います、先輩が遠くに行っても俺がいますよって話です!」
心配かけないように、先輩がそうならないようにと口に出した言葉が、かえって逆効果だった。
( ・∀・)「どれだけ離れても、先輩の場所はちゃんと後ろで俺が守ってますから!」
ζ(゚ー゚*ζ「本当に、キミは私のことばっかり」
ありがとう、と先輩は小さく微笑んだ。
やっと、安心してくれたようだ。
247
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:36:14 ID:vuGcRS6E0
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯ねぇ」
ζ(゚ー゚*ζ「いつか、私が言ったこと、覚えてる?」
優しい声で、語り掛けられる。
( ・∀・)「いやぁ、色々お話しましたから、どれのことやら」
ζ(゚ー゚*ζ「あはは、確かに」
いつも、一緒だった。
たくさんの言葉を交わした。
そのいつもに、終わりが近づいている。
248
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:37:34 ID:vuGcRS6E0
ζ(゚ー゚*ζ「『結婚しなくてもできること、一緒に全部しよう』って言ったの」
ζ(゚ー゚*ζ「それじゃ、ダメなの?」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ダメじゃ、ないです」
( ・∀・)「ダメなわけがないんですけど」
( ・∀・)「それでも、伝えておきたかったんです」
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
( ・∀・)「分不相応だってのも、困らせてるのもわかってます。後輩として可愛がって貰ってるのに。いつか恋人に、なんて不純な気持ちで、ずっと一緒にいました」
( ・∀・)「そんなの、ズルじゃないですか。だから、諦めたかったんです、本当は」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯うん」
249
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:38:33 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「先輩、いつか言ってくれたじゃないですか。告白は、言わされてるうちはダメなんだって。胸を張って、自分から、タイミングを選んでやりなさいって」
( ・∀・)「だから」
( ・∀・)「諦める前に、一度、伝えておきたかったんです」
だって好きなんだ。
ズルしてでもずっと一緒にいたかったんだ。
あなたがもしも俺を好きになってくれたら、なんて、夢みたいなことを思ってた。
250
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:40:22 ID:vuGcRS6E0
( ・∀・)「先輩、好きです」
( ・∀・)「ずっとずっと好きでした」
( ・∀・)「ほかの言葉なんて思い浮かばないくらいに」
でも、俺じゃダメなんだろうなって、本当はずっと気付いてた。
( ・∀・)「最後の告白です。もう、好きですとか、結婚してくださいとか、そういうことを言って困らせません」
混乱して、熱に浮かされて、考えないようにしていたことが、今になってゆっくりと表に出てきた。
うまく、笑えているだろうか。
( ・∀・)「いつもみたいに。断ってくれて、いいですから」
声が、震えていないだろうか。
( ・∀・)「ちゃんと、諦めます。ただ、俺は、あなたが好きだから」
( ・∀・)「迷惑かもしれないけど、遠くに行っても無くならない、帰る場所はあるって伝えたかったんです」
251
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:41:23 ID:vuGcRS6E0
もう、心配はかけたくなかった。
何も出来ることがないから。
今の自分みたいにへたったバラ一輪を片手に、未来に迎えに行く、なんて無責任な告白をした。
( ・∀・)「それさえ伝われば、他にはもう、いいです」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯そっか」
先輩の顔を見れなかった。
顔を逸らして、無意味に透き通った空を見た。
先輩は、黙って俺の手の上に、その小さな手を重ねた。
252
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:43:13 ID:vuGcRS6E0
◆◆◆
「こんなに、天気が良くてさ」
「はい」
「空が抜けるように青くて、どこまででも行けそうで」
「⋯⋯はい」
「でも、どこにも行けないのが、嫌になるよね」
「本当ですね」
◆◆◆
253
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:45:54 ID:vuGcRS6E0
どれくらいの時間だろうか。
穏やかなような、気まずいような、心地良いような不思議な気持ちで。
無言で二人、並んで空を見ていた。
ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん」
重ねられた手が、ゆっくりと離れていく。
(;・∀・)「え、えー、はい、まあ、そういうことです」
(;・∀・)「じゃあ、失礼しますね」
言葉はなくとも、渾身のプロポーズが失敗したのだと、じわじわ実感が湧いてくる。
気まずくなり、立ち上がってその場を後にする。
ζ(゚ー゚*ζ「こら」
座っている先輩に手を引かれ、元の位置に戻る。また、横並びである。
顔が見れない。
ζ(゚ー゚*ζ「私から逃げようとするのが、キミの悪いところだよ」
254
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:46:15 ID:vuGcRS6E0
動けなくなっていると、肩へ先輩が倒れ込んでくる。
( ・∀・)「!?」
ζ(゚ー゚*ζ「そして私の悪いところは、素直になれないところだね」
( ・∀・)「そ、そうなんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「そうなんです、実はね」
くすくすと、安心したように笑う。
255
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:47:58 ID:vuGcRS6E0
ζ(゚ー゚*ζ「今日さ」
ζ(゚ー゚*ζ「行かないで、って言われると思ってたの」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯言いませんよ。それだけは、絶対」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、ありがとう。そう言ってくれるとも、思ってたよ」
256
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:49:33 ID:vuGcRS6E0
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね、信じてあげられなくて」
( ・∀・)「いえ、そんな⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「キミを置いて一人で遠くに行くのも、許してくれるって分かってて謝るのも、素直じゃないのも。ぜんぶ、ぜんぶごめんね」
( ・∀・)「そんなの、謝ることじゃないですよ。むしろ、気にしてくれるのが嬉しいくらいです」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう。私も、同じ気持ちだからね」
257
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:50:39 ID:vuGcRS6E0
ζ(゚ー゚*ζ「自分はずるいとか、何もできないとか。それでも、一緒に居たいとか。同じ気持ちだからね」
ζ(゚ー゚*ζ「キミほど素直に言えないけど、キミを大事に思ってるよ」
.
258
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:52:11 ID:vuGcRS6E0
嬉しいけど。多分、先輩の大事と、俺の好きは、少し違うんだろうな。
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、考えるから」
( ・∀・)「⋯⋯はい」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、信じてないね」
拗ねるような声。
(;・∀・)「いやいや、信じてます、信じてますよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、私も疑っちゃったし。こういうところもお互い様かなぁ」
考えるような、声。
259
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:53:17 ID:vuGcRS6E0
(;・∀・)「信じてますけど! こういうのって即決で答えが出ない時点で、それがもう答えみたいなもんじゃないですか!」
先輩の声を聞くと、自分の暴走を自覚して、逃げ出したくなることがある。
情けなくて、涙が出そうなのを必死で堪えていた。
ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん、あのね」
(;・∀・)「気付いてるんですからね、先輩が俺のこと、デカい犬かなんかだと思ってること!」
ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん」
(;・∀・)「あーもう、帰りますね俺! 心配しなくてもちゃんと諦めますから! 明日からまたよろしくお願いします!」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと」
胸元を掴まれ、引き寄せられる。
先輩が近づき、その唇が、俺の頬に触れる。
260
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:53:40 ID:vuGcRS6E0
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、考えるって、言ってるんだけど」
.
261
:
◆xSBhltJ66c
:2024/06/11(火) 15:55:00 ID:vuGcRS6E0
耳元で、声がする。
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯?」
優しい匂いがする。
あたまが、働かない。言葉の意味を、遅れて理解する。
ζ(゚ー゚*ζ「あのね、そもそも、誰から贈られた花でも喜んで受け取るなんて、思わないでね」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯え、え?」
ζ(゚ー゚*ζ「一人にしたら悪いなとか、少し目を離した隙に成長したなぁとか、これから先離れたくないなぁとか、色々、色々、色々思ってるの、私も」
( ・∀・)「せ、せんぱい?」
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、考えるから」
突き放される。
少し離れたことで、先輩の顔が見えるようになる。
口元を抑えた先輩は、バラのように真っ赤だった。
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