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( ^ω^)ブーン系オレンジデー祭り2024 本スレ

96 ◆mzr18G4QOc:2024/04/21(日) 00:51:48 ID:n/BUvMv60

「シーンおねえさんのつくるごはんは、おいしそうなみためで、いいにおいがするんだよ」

 彼はミセリに根気よく話しかけているが、ミセリは無言で部屋の隅で膝を抱いて蹲っている。
 食事の準備が整ったので、ミセリを招く。彼が繋がれている牢屋の前に食卓が置かれていて、ミセリは変な顔をした。

「…………おにいさんのごはん、ない」

「ぼくはね、ごはんがいらないんだ。 しあわせそうなシーンおねえさんとミセリをみるのが、ぼくのしょくじなんだよ」

「…………へんなの」

 ミセリはそう呟いて、いただきますと小さい声で食前の挨拶をした。スプーンを握り、甘く味付け直したカレーを口に入れた。

「…………これ、おいしい」

 幸いにもカレーは口に合ったようで、ミセリは夢中で食べてくれた。急いで食べるから、喉を詰まらせないかと心配した。
 デザートに昨日買ったオレンジチョコケーキをあげたら、目を丸くして「これもつくったの?」と訊く姿が可愛らしかった。

 腹が満ちたミセリは、彼としりとりで遊ぶ余裕ができたようだ。
 急いで上の母屋に行って、幼い子供のための下着や服を探す。育ての母が記念として、私の古着が保存されていて良かった。「シーン5歳・春物」と丁寧な字で書かれたダンボールを抱え、地下に戻った。

[ふるいのでごめんね、あした あたらしいふくを かいにいこうね]

 彼が読み上げるとミセリは頷き、大人しく着替えた。ミセリは年齢より少し小柄なだけで、極端にやせ細っておらず、傷もない体で安堵した。

「……くさくない」

 なるべく綺麗な状態で残っていたオレンジ色のワンピースを着たミセリが、微笑んだような気がした。

 しばらくして眠くなったはずなのに、ミセリは檻に寄りかかって眠ろうとしない。彼に「おひるねしようよ」と言われても、いやいやと頭を振り近付いた私の服の裾を掴んだ。

「ママみたいに、ねてるうちに、どっかいかないよね……」

 そんなミセリを見て、モララーの母が私の世話をした気持ちがわかるような気がしてきた。
 私はただただミセリを抱きしめるしかできなかった。


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