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マッ()ョ()ョタハ ナシのようです
1
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:14:42 ID:YBW90TBk0
.,、
(i,)
|_|
21
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:26:13 ID:9Q1bW8tA0
キュッキュッと音を鳴らして取り付けます。これで一安心です!
( l v l) 「光ってますよ」
(;TДT)「え?」
( l v l) 「ほら」
取り付けたあと僕は離れたというのにピカっと灯りがついていました。
(;TДT)「えー…センサー壊れてるのかな、誰もいないのに」
( l v l) 「誰か」
ムネオくんは光の下をジィっと見ています。
( l v l) 「いるんでしょ」
(;TДT)「……なるほど…電気代もったいないからはずそう」
全てのモノが見えるわけではない、と彼は教えてくれました。
電気よりよっぽど良い防犯じゃないですか!と笑っていましたが、僕は釈然としない気持ちなのでした。
22
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:26:42 ID:9Q1bW8tA0
10.
僕はしがない幽霊です。って言ってもシんでるからシがある幽霊なんですけど(笑)
この住み心地の良い家に住んで早……どれくらいの月日が経ったかもはやわからないですけど、沢山の年月を過ごしてきました。
この家は何故だか色んな人間が住んでは出て行っての繰り返しです。何故でしょうかね、とっても良い家なのに。
僕はここにやってくる人間が驚くのを見るのが好きでした。他の幽霊達が驚かせてるのを見て、楽しそうだと思っていました。
僕も驚かせてみたい!
そう思ったのに、しばらくの間人間は来ませんでした。つまんない。退屈。最低な日々です。成仏できないので、それはもう暇で暇でシにそうなくらい暇でした。あっ、シんでますけどね(笑)
そんな中、久しぶりにやってきた人間はマッチョでした。
僕は喜び勇んで、彼を脅かしにかかったのです!
結果はまあ、おもしれー結果になりましたケド!
23
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:27:09 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「ていうかマッチョさん、泥棒に取られて困るものないじゃないですか」
(;TДT)「お金は困るかな、生活する上で必要だって気付いたから」
( l v l) 「マッチョさん働いてないのに取られるほどお金あるんですか?」
(;TДT)「確かに僕もいい歳してトレーニングマチョさんだけど、お金はあるよ」
( l v l) 「何?」
(;TДT)「捨てるつもりで適当に買った株とか宝くじとかが全部当たったから大金はあるんだ」
( l v l) 「いやそこじゃなくて。トレーニング…何です?」
(;TДT)「成人後にトレーニングルーム占領するタイプのマッチョのことだよ」
( l v l) 「子供部屋おじさんみたいに言わないでくださいよ」
(;TДT)「僕、陰筋肉だし…筋肉のオーラがないから貧乏って思われがちだけどこの家だって現金一括で買ったんだよ」
( l v l) 「なんです?」
(;TДT)「どちらかと言えば陰気な筋肉のことだよ」
( l v l) 「隠キャって言いたいのか?」
(;TДT)「それにチープロ顔だしさ…あ、チーズプロテイン飲んでそうな顔のことね」
( l v l) 「マッチョスラングわかんないからやめろ」
24
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:27:43 ID:9Q1bW8tA0
このマッチョは僕のような幽霊は全く怖くないんだそうです。
イカしてる。そして、生きた人間がダメなんだと曰います。イカれてる。
( l v l) 「マッチョさんはどうして人間が嫌いなんですか?」
(;TДT)「僕は人間嫌いじゃないよ、人間が怖いんだよ」
( l v l) 「違いますか?それ」
(;TДT)「全然違うよ…僕は本当に本当に本当に本当に怖いんだ」
( l v l) 「◯シ"サファリパークかな?」
(;TДT)「本当に怖いから、人間が出たらすぐ逃げられるように脚も鍛えて100mは9秒ジャストで走れる…」
( l v l) 「然るべき大会に出た方が良い」
(;TДT)「人間に追い詰められた際、壁に穴を開けて逃げる為に鍛えたからリンゴも指で潰せる…」
( l v l) 「それだけの力があるのにコマンドが逃げる一択なの不憫」
25
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:28:16 ID:9Q1bW8tA0
生きた人間のくせに生きた人間が怖いだなんて、生き辛い人間です。
( l v l) 「何で怖いんですか?」
(;TДT)「……」
(;TДT)「人間だって、大した理由もなく幽霊を怖がったりするでしょう。そういうのと、一緒だよ」
( l v l) 「ふーーん」
難儀なマッチョさん。大した理由もなく、世の中のほとんどが敵だなんて。
( l v l) 「そんなに人間が怖くてよく生きてられますね」
(;TДT)「そうなんだよね、鍛えすぎちゃって皮膚が鋼みたいだから怪我はしないし病気もしない。針や包丁も刺さらないし縄も千切れるし毒も効かないから自シが出来ないんだ、寿命を待つしかないの」
( l v l) 「シぬ才能が無さすぎる」
(;TДT)「変に悪運が強いんだよね…」
僕は結構な時間を過ごしてきました。
幽霊たちは成仏の仕方を教えてくれない癖に、自身はサラッと成仏していくのです。僕を置いて。はっきり言って退屈な日々でした。
( l v l) 「でもまー、」
( l v l) 「マッチョさんいたら、しばらくは退屈しなくて済みそうデスね」
26
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:28:43 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「ていうか、生きてる人間を直に見ればショックシできるのでは?」
(;TДT)「……!!!!」
(;TДT)「…、…!……出来なかった時がめちゃくちゃ地獄だから試し辛い…!!」
( l v l) 「あはは!」
27
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:29:21 ID:9Q1bW8tA0
11.
( l v l) 「おはよう御座いますマッチョさん」
(;TДT)「おは、よ…」
いつの間に眠ったのでしょうか。気付いたら仰向けで寝転がっていました。
ガウンガウンガウンガウン、何かの音が聞こえます。
(;TДT)「なんの音だろう」
( l v l) 「さっきも、言いましたよそれ」
(;TДT)「え?さっき?さっきって……いつの話?」
(;TДT)「というか、何だっけ?」
ガウンゴウンガウンガウン、耳障りになってきました。
ガウンガウンゴウンゴウン。
はは、はははは、ははははは!!!
(;TДT)「誰」
わかりません、わかりません、何ですか?なんでしょう?
頭を抱えて身を掻きむしってもわかることが出来ないのです。
(;TДT)「あ、ああ」
そうして僕は、
28
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:29:51 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「おはよう御座いますマッチョさん」
(;TДT)「おは、よ…」
いつの間に眠ったのでしょうか。気付いたら仰向けで寝転がっていました。
ガウンガウンガウンガウン、何かの音が聞こえます。
(;TДT)「なんの音だろう」
( l v l) 「さっきも、言いましたよそれ」
(;TДT)「え?さっき?さっきって……いつの話?」
(;TДT)「というか、何だっけ?」
ガウンゴウンガウンガウン、耳障りになってきました。
ガウンガウンゴウンゴウン。
はは、はははは、ははははははら!!!
(;TДT)「誰」
わかりません、わかりません、何ですか?なんでしょう?何がどうして、どうですか。
頭を抱えて身を掻きむしってもわかることが出来ないのです。
(;TДT)「あ、あああ」
そうして僕は、
29
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:30:25 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「おはよー御座いますマッチョさん」
(;TДT)「おは、よ…」
いつの間に眠ったのでしょうか。気付いたら仰向けで寝転がっていました。
ガウンガウンガウンガウンガリ、何かの音が聞こえます。
(;TДT)「なんの音だろう?」
( l v l) 「さっきも、言いましたよそれ」
(;TДT)「え?さっき?さっきって……いつの話?」
(;TДT)「というか、何だっけ?」
ガウンゴウンガウンガウンガウン、耳障りになってきました。
ガウンガウンゴウンゴウンゴウン!
はは、はははは、ははははぁははら!!!
(;TДT)「誰」
わかりません、わかりません、何ですか?なんでしょう?何がどうして、どうですか?
頭を抱えて身を掻きむしって髪を引き抜いてもわかることが出来ないのです。
(;TДT)「あ、あああ、ああ」
そうして僕は、
30
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:30:52 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「飽きましたマッチョさん」
(;TДT)「なに、が…」
いつの間に眠ったのでしょうか。気付いたら仰向けで寝転がっていました。
( l v l) 「飽きたんです、何回ループすれば気が済むんです!?」
(;TДT)「ループ?何言って…」
( l v l) 「マッチョさん、屋根裏部屋にあった時計に電池入れましたね?もーあれ鬱陶しいから僕が電池抜いておいたのに!」
(;TДT)「あ、時計……?ああうん、なんかまだ使えそうだったから電池入れたんだけど」
( l v l) 「責任持って壊しておいてくださいね!」
(;TДT)「ええー…」
何もわかりません、わかることが出来ないのですが時計を壊しました。
高い高い笑い声が、聞こえたような気がしました。
31
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:31:21 ID:9Q1bW8tA0
12.
( l v l) 「マッチョさんって本当に怖がりませんね」
(;TДT)「人間だったら怖いんだけどね」
( l v l) 「あーああ!前の住人はもっと怖がってくれたのになーあ!!」
(;TДT)「よそはよそ!僕はマッソー!」
(;TДT)「隣のボディはゴツいもんだよ、ヨソと比べるのはおよしなさい、ムキッ」
( l v l) 「めっをムキッっていうやつ初めて見ました」
32
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:31:46 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「あ、もしかしてドッペルゲンガーなら怖いですか?」
(;TДT)「ん〜ドッペルゲンガーって怪異だから、どっちかというと僕自身の方が怖い…」
( l v l) 「自分を哀しいモンスターとでも思ってるんですか?」
(;TДT)+「あと僕のこの美しい筋肉を一朝一夕では真似できないだろうという自負があります」
( l v l) 「ヨソと比べるなって言ったくせに…」
33
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:32:17 ID:9Q1bW8tA0
13.
ここ数日雨が続いています。洗濯物が生乾きになることを除けば、僕はあまり雨が嫌いではありませんでした。
( l v l) 「ずっと雨ですねぇ」
(;TДT)「梅雨でもないのにねえ」
窓際でムネオくんがフラフラしています。やることがなくて退屈らしいです。
筋トレを勧めましたがすごい顔をされたので、もう二度と言わない予定です。
( l v l) 「あ」
(;TДT)「どうかした?」
( l v l) 「いえ、明日は晴れそうですよ」
(;TДT)「天気がわかるのかい?」
( l v l) 「いえ」
( l v l) 「お向かいのマンションで、おーおきなてるてる坊主が、ぶら下がっているから」
てるてる坊主。懐かしい。
(;TДT)「今もてるてる坊主作る人いるんだね」
( l v l) 「まぁ確かに、縄をかけるの、大変そうですよねぇ」
てるてる坊主に縄なんて必要だったっけ。
僕は不思議に思いながら、洗濯物を室内に干します。
それにしてもこの家からマンションってだいぶ離れてるのに、目が良いんだなムネオくん。
よっぽど大きなてるてる坊主だったのかな。
34
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:32:44 ID:9Q1bW8tA0
14.
( l v l) 「マッチョさん、インスタとかいうのやってないんですか?」
(;TДT)「やってると思う?」
( l v l) 「マッチョは自己顕示欲強いと思ってます、僕、偏見あるんで!」
(;TДT)「爽やかに差別してくるじゃない」
( l v l) 「やってたら映り込んで心霊写真みたいな感じでバズりたかったのに…」
(;TДT)「ムネオくんのが自己顕示欲強いじゃないか」
35
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:33:15 ID:9Q1bW8tA0
15.
(;TДT)「うわああああああああああ!!!!!」
( l v l) 「どうしたんですか」
(;TДT)「で、で、で、出た…」
( l v l) 「幽霊なら、はい。出てますが」
(;TДT)「違う、これ…見て」
( l v l) 「…足あとですね」
(;TДT)「そう!!足あと!おばけには足がないでしょ!??つまりこれは人間だ!!!人間がこの家に出たんだよ!怖いよ〜〜〜」
( l v l) 「警察呼んだら良いのでは?」
(;TДT)「おまわりさんも人間なんだよ〜〜〜怖いよ〜〜!」
( l v l) 「なんて不憫なマッチョさん」
36
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:33:39 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「良いですかマッチョさん、見ててください」
(;TДT)「?」
( l v l) スゥー
| /
| / | /
/ / ||
(ノ U
(;TДT)「ウワー!足だ!」
ド( l v l) ャ「そうです、幽霊も足を生やすくらいできるんです」
( l v l) 「まぁ代わりに腕が透けますケド」
(;TДT)「使用限度でもあるの?」
( l u l) 「まぁだからあの足跡も怪奇現象だと思いますヨ」
37
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:34:10 ID:9Q1bW8tA0
16.
俺はしがない空き巣だ。
先日の下見でとても良い物件を見つけた。
ボロボロもボロボロ、誰しもが近寄りたくないと感じるような一軒家。
廃屋かと思い調べればなんと、少し前から人が住んでいるらしい。
誰も近寄らないというのは美点で何かをした際、目撃する人間がいないということだ。
こんな家に住むくらいだから変人だろうし、荒れ果てているから何かナクなっても気付かないかもしれない。
なんて好条件。
それでも周囲に人がいないか、念入りに確認しながら庭先にお邪魔する。
ぞわりと鳥肌が立つ。
誰もいないはずだ、だというのに何かに見られているような嫌な感覚が襲ってくる。
思いの外手入れされている庭を、音がしないよう歩いて縁側に脚を踏み入れた。
ギッ
自分のものではない足音が聞こえ、心臓が止まりかけた。
家主はこの時間、いつも二階にいるはずだった。ずっと調べていたので確かだ。
しかしそんなことはどうでもいい、読みが外れることくらいある。そのあとどうカバーするか素早く動く、それが今まで捕まってこなかった秘訣だ。
ギッ ギッ ギッ
足音がすぐ近くまで来ている。
38
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:34:36 ID:9Q1bW8tA0
誰だ?家主か?見つかったらまずい、何処かに隠れよう何処かに──
和室に入り、押入れを見つけ身体をねじ込む。息を殺して動かないよう努める。
隙間からチラリと見えたのは少年の丸い頭だった。子どもがいたのか。
気付かれるな
気付かれるな
気付かれるな
気付かれるな
気付かれるな
気付かれるな
気付かれるな
息をコロせ
『コロすのお?』
「え、」
何かの声が『下』から聞こえた。
そちらに目を向ける前に、前が暗くなり『誰』かと目が合う。
『コロすのはマカせテえ』
声が腕が闇が下が前が指が喉を、
「何、何…やめっ!ぅあ"」
気づけば押し入れは開いていて、子供がこちらを見ていた。
「た、スけ……」
39
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:34:57 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「あー」
( l v l) 「ごめんね、家主がねぇ人間がコワイって人だから」
( l v l) 「ナカマになったら出てきてよ」
( l u l) 「ネ」
40
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:35:25 ID:9Q1bW8tA0
17.
( l v l) 「終末の日は何をしてると思います?」
(;TДT)「えー…考えたことないな…」
(;TДT)「多分、一日中笑ってる気がする」
( l v l) 「なるほど、悪霊の素質有りです」
41
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:35:55 ID:9Q1bW8tA0
18.
マッチョさんが引っ越してくる少し前のことでした。
僕はやることもないので2階で物理的にブラブラして遊んでいました。
ちょっと離れたところにマンションがあります。
ぼんやり眺めていると、とある階のベランダに人がいるのが目につきました。
洗濯物でも干すのでしょうか、それにしては手ぶらなのが気になります。
( l v l) 「あら」
その人は僕と目があったことに気が付いたのか、笑っていました。
見えているのか見えていないのかわからないので、手を振ったりはしませんでした。
笑いながらその人はベランダを乗り越え、そうしてこちらを見て笑ったまま──地面にその身を叩きつけるように飛び散りました。
(;TДT)「で、なんで今その話をしたの?」
( l v l) 「いやぁ、さっき廊下でその人とすれ違ったので」
( l v l) 「まぁ半分しかなかったですケド」
42
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:36:27 ID:9Q1bW8tA0
19.
縁側で空気椅子をしながら庭を見ます。
(;TДT)「昨日は何だっけ」
( l v l) 「鈴蘭です」
(;TДT)「一昨日は確か」
( l v l) 「スノードロップ」
(;TДT)「で、今日は」
( l v l) 「彼岸花」
(;TДT)「統一性がないね」
庭に狂ったように咲き乱れた花々を見ています。
彼岸花の赤が毒々しいです。
( l v l) 「でも庭の花が日替わりで狂い咲いてたら怖くないですか?」
(;TДT)「うーん……人間は綺麗な花が好きだから、写真撮りに集まってきたら怖いかも」
( l v l) 「あーマッチョさんが怖がらないからみるみる枯れてく」
(;TДT)「えー!ごめんねなんか!」
43
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:37:10 ID:9Q1bW8tA0
20.
(;TДT)「ああ、今日誕生日だ」
( l v l) 「そうなんですか?ケーキ食べますか?僕モンブランが良いですけどショートケーキでも妥協しますよ」
(;TДT)「ムネオくんは誕生日…覚えてないよね、そっか…」
(;TДT)「あっ、じゃあ命日をお祝いする?」
( l v l) 「名案って顔してますけどなかなか不謹慎レベル激高ですよ」
44
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:37:46 ID:9Q1bW8tA0
(;TДT)「ケーキ、プロテインで作ってみたよ。半分こにしようか」
( l v l) 「あっマッチョさんダメですよ、霊体と物を半分こするとその魂も半分霊体に取られちゃいますよ」
(;TДT)「ええー」
( l v l) 「僕の身体の半分がムキムキになったら気持ち悪いので気をつけてくださいね」
(;TДT)「僕の心配じゃないんだ…」
45
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:38:11 ID:9Q1bW8tA0
21.
この家はボロボロです。どこもかしこも、あっちもこっちも。
ムネオくんに言わせれば、そこが良いらしいですが。
(;TДT)「雨漏りしてるなって思ったら…大きい穴二つも空いてた」
天井からポタリぽたりと水が滴り落ちています。
ぽっかり空いた穴が二つ。その穴と穴の間から漏れているのが不思議でした。
(;TДT)「塞ぐかあ…」
( l v l) 「あ、マッチョさん待ってください」
(;TДT)「ん?」
( l v l) 「マッチョさん今、ズボン履いてますよね?」
(;TДT)「もちろんね」
流石に誰も近寄らない家といえど、僕は室内でも服を着ていました。僕の筋肉は安くないのです。
46
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:38:44 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「その足を入れてるとこを塞がれたら嫌じゃないです?」
(;TДT)「あー…二つ空いてるのは…」
( l v l) 「そういうことです」
だとすると塞ぐのは良策ではありません。
僕は応急処置としてお椀を持ってこようとして、ふと思いムネオくんに聞きました。
(;TДT)「……雨、だよね?」
落ちてくる水滴を指差しします。
( l v l)
( 0v0)
( l v l) 「塞ぎましょう、早急に」
穴と、穴の間の上に(下に?)板を打ち付けて塞ぎました。
ムネオくんのあの表情は、きっと多分忘れないと思います。
47
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:39:07 ID:9Q1bW8tA0
22.
穏やかな昼下がりのことでした。
屋根裏部屋から戻ってきたマッチョさんの様子が、何やらおかしいです。
(;TДT)「ウ、ウグ…」
( l v l) 「どうしたんですかマッチョさん……マッチョさん?」
変なポージングを決めているので、マッチョ特有の持病かと思いましたがどうやら違うみたいです。いつものゴリゴリな声ではなく、か細い声がマッチョさんの口から溢れ出てきました。
(;TДT)「ワたシは…マッチョじャなイ…人形のたまシい…」
よく見るとマッチョさんの洋服と板チョコのような腹筋の間に不気味な人形が挟まっています。変な図です。
そんなことより、僕は今までにない感情でいっぱいです。
( l v l) 「乗っ取れるんですか!???」
( l v l) 「マッチョさん、乗っ取れるんですか!???」
( l v l) 「言ってくださいよそういう面白そうなことは!!!!」
( l v l) 「順番的に僕が誰より権利あると思いません!??そういう順序守らない悪霊って本当良くないと思うなぁ僕!!!」
怒りです。怒りしかありません。僕だってロボットとか操縦してみたいです、マッチョの操縦なんて絶対面白いじゃないですか!?
だというのにポッと出の人形に先を越されるなんてあんまりじゃないですか!??乗っ取るって…乗っ取るなんて…正直その発想はなかった天才か!!
48
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:39:32 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「ねえ順番こにしましょうよ順番こ!!!僕も操縦したい!」
マッチョさんもとい人形を引っ張ります。僕は頑張れば触れる系の幽霊ですよ!
(;TДT)「ウ」
( l v l) 「なんです!?」
急にニンッチョさんが苦しみ始めました。そんなことしても僕は交代してくれるまで離しませんよ!
(;TДT)「コノ カラダ…イシキ…ツヨ…ケ、ケサレ……」
( l v l) 「ん?」
(;TДT)「ヴァぁああぁあぁ!!!!」
ジュワワワワワワ
( l v l) 「……」
マッチョさんの口から黒いモヤが出ていきました。
その拍子に人形が床に落ちて、そのまま粉々になりました。
(;TДT)「ん?なんだ?あれ?僕屋根裏部屋いなかった?」
( l v l) 「…」
僕は一つ学びました。
( l v l) 「僕はジョウブツがしたいのであってショウメツはしたくないです!!!」
49
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:40:14 ID:9Q1bW8tA0
23.
( l v l) 「マッチョさん」
( l v l) 「マッチョリチョ食べたことありますか」
(;TДT)「なに?」
( l v l) 「マッチョッチョですよ!」
(;TДT)「さっきと違うよ」
( l v l) 「お口の中が天国になるらしいじゃないですか!」
( l v l) 「まぁ僕は地獄にも天国にもいけてないんですけどね(笑)」
(;TДT)「不謹慎ジョークは言わなきゃいけないノルマでもあるの?」
( l v l) 「僕も食べたいマリオネッチョリ!」
(;TДT)「ネッチョリしたマリオ、本当に食べたいかい?」
(;TДT)「残念ながら僕、飲食は大体プロテインか胸肉、ブロッコリーくらいしか食べないんだ」
(;TДT)「プロテインの新味で出たら分けてあげるね」
( l v l) 「マッチョは粉状じゃなきゃ摂取できないんですか?」
50
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:40:45 ID:9Q1bW8tA0
(;TДT)「ていうか今更だけどムネオくん幽霊だからモノの飲み食い出来ないのでは?」
( l v l) 「失礼な!幽霊だってオソナエされてれば飲み食いできますよ!」
( l v l) 「前の住人たちが食べてる美味しそうなモノを、『オソナエだ!』と思うと飲み食いできました!」
(;TДT)「お供えじゃないじゃないか!」
( l v l) 「ちなみに僕たちが食べたり飲んだりしたモノは味が無くなるらしいですよ!」
(;TДT)「もうほぼ強奪だよそれ!」
51
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:41:20 ID:9Q1bW8tA0
24.
ピンポンパァンポォオオン♪
(;TДT)「……?」
『防災 サュナアマャ町 デス。オナマえをオヨビしマス。イトー います ダ様、ハグ るまおー様、オマ もカー様……』
町内放送のようです。それ自体流れるのはおかしくはありません。
ただ、町の名前と時間がおかしいのです。
(;TДT)「今、夜中の2時だよね…」
( l v l) 「そうですね」
(;TДT)「何この放送…」
( l v l) 「なんでしょう、ね」
ハウリングが不気味に響いています。
ノイズが耳にこびりついて不愉快でした。
『様……。イジョオ の方々が アす、◎△々∴%* 致します』
(;TДT)「……」
(;TДT)「肝心なところ聞き取れなかった」
ピンポォンパァアアンポォオオン♪
52
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:41:49 ID:9Q1bW8tA0
25.
(;TДT)「今日は風が強いね」
( l v l) 「え?」
(;TДT)「ほら、音がしてるし家も軋んでる」
( l v l) 「あーーーー」
( l v l) 「大きめの怪異が家を揺らしてるんですよこれ。音は鳴き声です」
(;TДT)「えっ……」
( l v l) 「流石のマッチョさんも大きいのは怖いですか?」
(;TДT)「どんな筋肉してるのか気になる…!ちょっと見てくるね!」
( l v l) 「興味の持ち方気持ち悪いですよ」
53
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:42:20 ID:9Q1bW8tA0
26.
ジデデデデ ジデデデデ ジデデデデ
備え付けの電話が鳴っています。
僕は電話は大の苦手です。大体は人間がかけてきますから。
でも、この家にある電話機は前の住人が置いて行ったという代物で、何より、電話線がめためたに切られているのです。
つまるところ、今かかってきている電話は生きてる人間からじゃ無いのです。
(;TДT)「はいっ、僕はマッチョです!」
『ぁあぅあ、カルメンが歩いてぬいぐるみしてることを、君さばいた、見られる泥にコわすゾ』
(;TДT)「そうなんですか?ちなみに貴方の筋肉はどのような状態ですか?僕の筋肉は今日も素晴らしいですよ、ほら、今聞こえましたか筋肉の音」
電話を気軽に取るなんて経験、今までしたことありませんでした。
とても新鮮な気分です。なるほど、誰かの声が聞こえて自分の声が向こうに行く。
電話とは中々に楽しいモノですね、長電話というものをしたくなる気持ちもわかります。
(;TДT)「それでですね!僕の上腕二頭筋の素晴らしいこと………あれっ、もしもーし?」
(;TДT)「なんか、ツーツーしか言わなくなっちゃったよ」
( l v l) 「切られてんですよそれ」
(;TДT)「えーっ?またかけてきてくれないかなぁ」
僕の願いも虚しく、2度とかかってくることはありませんでした。
54
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:43:06 ID:9Q1bW8tA0
27.
( l v l) 「人間嫌いのマッチョでもテレビは持ってるんですね?」
(;TДT)「マッチョ差別だ。マッチクチク言葉は良くないんだよ」
(;TДT)「テレビゲームは好きだから、テレビは必要なんだ」
(;TДT)「ただ、映るんだ…このテレビ…」
( l v l) 「霊的なものです?」
(;TДT)「いや人間が映る」
( l v l) 「普通そうですよ」
55
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:43:40 ID:9Q1bW8tA0
( l v l) 「テレビ見ても良いですかっ!」
(;TДT)「ええ〜…じゃあ僕離れて目を閉じておくよ…」
( l v l) 「……あ、懐かしいCM特集やってる」
( l v l) 「何でしたっけこれのCM」
( l v l) 「愛情一本!…違うな……あっ!」
( l v l) 「元気はつらつゥ!?だ!」
(;TДT)「ハツもモツも元気ない身でよくそんな声量出るね」
( l v l) 「マッチョ辛辣ゥ!」
56
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:44:04 ID:9Q1bW8tA0
28.
(;TДT)「ムネオくんって本当に生前のこととか覚えてないの?」
( l v l) 「無いですね、何故ですか?」
(;TДT)「成仏の方法がシ因とか生前に関することだったりしないのかなぁって」
( l v l)
(l v l )
( l v l) 「……」
( l v l) 「…つまり、なんです?僕が生前のこと思い出せない限りは成仏できないってんですか???」
(;TДT)「いや僕もシんだことないからわからないけど…もう長いこと浮遊霊してきたって言ってたし…何かしらのトリガーがいるのは定石だし…」
( l v l) 「哀しい過去がないとダメですか!??」
デキ( l v l) ラァッ「明日もう一度聞いてみてください!本当の哀しいストーリーをお聞かせしますよ!」
(;TДT)「いやフィクション聞かされても…」
57
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:44:32 ID:9Q1bW8tA0
29.
僕はしがないマッチョです。
この家に住み始めて、結構な日が経ちました。
人間と関わらずに済むこの家が、僕は大好きです。
ムネオくんと不思議な体験をしながらああでもないこうでもないと話すのも、中々に面白いのです。
(;TДT)「僕多分、こんなに楽しく過ごしてるの産まれて初めてかも」
( l v l) 「僕もまぁまぁ面白いですよ、シんで初めてかもしれません」
( l v l) 「……でも、たまに思います」
( l v l) 「僕は、いつになったら成仏できるんでしょう」
( l v l) 「何だかもうずっとこの世にいる気がしてきました」
( l v l) 「マッチョさんもいなくなったら僕はずっと1人このまま成仏出来ずにこの世にしがみついてるのかなと考えます」
58
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:44:54 ID:9Q1bW8tA0
ムネオくんはどれくらいこの世にいるのかわからないので、厳密にはショタではありませんが、この時ばかりは見た目相応の歳に感じました。
僕は生きている人間が怖いですが、彼はもしかしたら寂しいことが怖いのかもしれません。
(;TДT)「あ、じゃあさ!」
僕は妙案を思いつきました。脳筋では無いのです。
(;TДT)「ムネオくんと成仏の仕方を一緒に探せば良いんじゃないかな、僕がシんだら」
( l v l)
( l v l) 「それ、いいアイデアですよ」
(;TДT)「じゃあ、約束」
( l v l) 「……はい、約束」
見た目相応な笑顔を、初めて見たのでした。
59
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:45:23 ID:9Q1bW8tA0
30.
誰かが誰かと道を歩いている。
誰かは、言う。
「あっ、ねえ遠回りしない?」
「良いけど…どうして?」
「知らない?あそこの家の噂」
道のずっと先にある家らしきモノを指差します。
誰かは家と言いますが、誰かにはボロボロ過ぎて家には見えませんでした。
「知らない…なんかすっごい古い…空き家?」
「ううん、出るんだってあそこの家」
誰かが真顔でそう言うので、誰かは少し焦ったように笑いました。
「えーやだ、幽霊?」
誰かは怖い話があまり得意ではありませんでした。
誰かは、誰かに言います。
「違う違う…なんか筋肉がすごいおじさんが1人でずっとブツブツブツブツ言ってんだって」
「えー…怖」
「ね。遠回りしてこー」
60
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:45:56 ID:9Q1bW8tA0
マッ()ョ()ョタハ ナシのようです
〜(チもシもない)話のようです〜
「まぁ僕はシんでるんですけどね(笑)」
61
:
名無しさん
:2022/08/12(金) 23:46:59 ID:9Q1bW8tA0
(
)
i フッ
|_|
使用お題
狂い咲き
夕焼け
足あと
鏡
人形
ループ
工事現場
あの家の噂
約束
愛情
ドッペルゲンガー
スノードロップ
テレビ
お菓子
彼岸花
登場AAをすべて「テンプレその3」に限定する
半分こ
ありがとうございました
62
:
名無しさん
:2022/08/13(土) 00:25:59 ID:QRKdCwZ.0
おつ
かわいかった
63
:
名無しさん
:2022/08/13(土) 10:48:19 ID:/TZqPBpQ0
乙です
64
:
名無しさん
:2022/08/13(土) 17:36:46 ID:db1eT6E60
乙!めちゃくちゃ面白かった
2人のやり取りがもっと読みたい
65
:
名無しさん
:2022/08/13(土) 19:44:43 ID:oU6acKes0
乙
面白かった!!
命日をお祝いする?とマッチョ辛辣ゥ!が大好き
66
:
名無しさん
:2022/08/14(日) 02:46:01 ID:QSt8U0EA0
これいい、すごく好き!
67
:
名無しさん
:2022/08/16(火) 22:37:00 ID:tv5Pbdmw0
乙乙
腹筋が鍛えられました
68
:
名無しさん
:2022/08/20(土) 22:58:02 ID:2STxvMLg0
ちゃんとゾッとする話があったりして良い
69
:
名無しさん
:2022/08/21(日) 15:38:43 ID:R8Z1Lduw0
起こってることが恐ろしすぎるのにずっと明るくて好き
乙
70
:
名無しさん
:2022/08/27(土) 16:36:18 ID:LNEugDqg0
乙
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