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β r ∴ i n L σ s t の よ ぅ τ゛す
1
:
◆VNhr99ZsyI
:2021/10/24(日) 00:00:31 ID:ViiJbL6I0
皆、おかしくなっていることに、誰もが皆、皆が気付いていない。
いずれは一人残らずそれぞれが、私のように何らかのきっかけで気付くのだろう。
けれど、そのパズルめいた幾何学的宿命を待っていられるほど、私は気が長いわけではなかった。
(*゚∀゚)「大丈夫、きっとまだ間に合う」
o川*゚ー゚)o「う、うん……」
リスク研究棟の三階廊下を、o川*゚ー゚)o の手を引き連れて走る。
反対の手で掴んでいるダンボール箱は、持ち手が無いために何度も落としそうになる。
辺りに職員の姿が見当たらないのは、今がちょうどお昼のためだった。
皆、食堂のある研究別館へと出向いていて、私たちは誰にも見つからずに逃げ出せる。
決して距離は変わらないのに、今は恐ろしく長く感じる廊下を突き進み、解析室の前で立ち止まる。
デスクの引き出しにある車のキーをここで手に入れなければ、この逃走は終わったも同然だ。
各部屋のドアの上面は曇りガラスになっていて、誰かが残っていれば部屋の外からでも分かる。
ぼやけた層の向こう側へ目を凝らすも、この部屋に人がいるような気配は感じない。
15
:
◆VNhr99ZsyI
:2021/10/24(日) 00:15:21 ID:ViiJbL6I0
偶然舞い戻った理性と言葉に、私はむしろ落ち着かず、キュートに話しかける。
声が聞こえて初めて私に気が付いたかのように、彼女はこちらへと視線を投げる。
(*゚∀゚)「拝鳴産のとうもろこしなんだけどさ」
o川*゚ー゚)o「……あの黄色いつぶつぶの、とうもろこし?」
なぜそんなことを聞いたの、といった様子で、キュートはきょとんとした顔をしていた。
彼女の口から不意に現れた懐かしい言葉に、私は驚きはっとする。
……ああ、あれは黄色だったのだ。
私を元気付けるその色は、すぐさまひまわりを想起させ、やがて私は辿り着く。
どうしてその花を特別に想っているのか、何故こんな簡単なことを忘れていたのだろう。
来年の誕生日は、その誕生花とともにありたい。
16
:
◆VNhr99ZsyI
:2021/10/24(日) 00:16:03 ID:ViiJbL6I0
(*゚∀゚)「……品種はなんていったっけ? たしか、スイート何とかってやつ」
o川*゚ー゚)o「聞くからに甘そうだね」
(*゚∀゚)「実際美味いらしい。私は食べたことないんだけどね」
笑いながら「食べなよ」と言い、キュートは再度フラフープを回し始める。
目に見えない輪は順調に回り、きっと粒子を打ち消している。
確かにこれで、汚染された粒子は消えてゆくのだろう。
けれど一度変性してしまった脳は、もう元には戻らない。
今はただ、眺めていたい。
一秒でも長くこの瞬間を、涙で曇った私の目に、一秒でも長く、この瞬間を。
The end (of my brain).
17
:
名無しさん
:2021/10/24(日) 03:27:28 ID:iMJxvmI60
乙、おもしろかった。
18
:
名無しさん
:2021/10/24(日) 15:26:53 ID:zQ73eoVI0
otsu
19
:
名無しさん
:2021/10/24(日) 23:17:56 ID:.1dbJfyA0
乙である
20
:
名無しさん
:2021/10/28(木) 23:09:10 ID:diPk35VU0
絵文字で星月夜とは考えたなあ
21
:
名無しさん
:2021/11/13(土) 18:44:44 ID:N/nEANbk0
穴抜けになってるような表現うまいな
乙
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