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53名無しさん:2021/03/30(火) 11:14:35 ID:l0jDGPJo0
針は車に気付くそぶりは見せず、マンションから去っていった。
のち、手視が車から去った。
辺尼は針が帰宅するまでの間をどう過ごすか考えた。もちろん、他の捜査官の連絡を待つことである。
車種や位置も隙を見て変えなければならない。
思考を巡らせるも、今朝からの手視との会話が引っかかって離れなかった。

禁断症状のない幻覚剤。鎮静作用も、興奮作用も、ない。
なぜ、そんなものが流通する様になったのか。
利用者の多くは住所不定無職の若者たちだ。
明らかに、状況が数十年前とは違うのだ。まず当時は家を持たぬ若者など、滅多にいなかったろう。

...今は、家庭が地獄になる時代だ。
辺尼の父親は幼い時に蒸発し、母からは虐待を受けて育ってきた。
彼女が成長し自立してくると、それは軽減していった。というよりも、必要最低限以外は、家に帰らなくなった。
まともな繋がりなどあるはずがなかった。
彼女の周りにも薬物に溺れていく若者はいた。その多くは、
彼女と同様、あるいはもっと劣悪な家庭環境に身を置いていた。
いつしかその経験が正義感へと変わり、彼女を現在の職務へと進ませた。


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