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193名無しさん:2021/04/14(水) 22:19:41 ID:KZ3vL1s60



そして、気づいた。



男を狂人と片付け、警察が来るまで時間を稼ぐ。
これは、ありふれた手続だ。
辺尼が直接手を下さなくとも、全てが自動的に行われていく。
自動で、彼は居なくなる。
彼女は助けられる。

そう思えば、彼女が経験してきた事柄の殆どは、自動だった。
ただそれに気付いていなかっただけ。
辺尼には、何故自身が男に馬乗りにされているか、皆目検討もついていなかった。
理由を考えることすらしなかった。

なんという残酷。
これが自動操縦の結果だ。
己の為すこと全て、当然己が把握しているつもりだった。

それは間違いだ。
多くのことを見落としてしまった。だからこうして男に襲われ、男の目を覗いている。
襲われるのは彼女でなくてもよかったのだろう。しかしこれが偶然だとしても、畢竟、偶然ではないのだ。


つまり水路は、やはりとうに絶たれていた。
男の目の奥には、何もなかった。
残っていたのは、色もなく、光もない、ただ無限に広がる砂漠だった。
同じく、彼女の中にも何も残されていなかった。





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