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( ・∀・)カリスマ美容師と地縛霊のようです川д川
100
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:58:23 ID:dpCq/qMw0
(;*゚ー゚)(結局どこに行くのか教えてもらえなかった……)
(*゚ー゚)(高級店は……多分ないかな。ギコくん、そういうのに詳しくないし)
(*゚ー゚)(そもそもご飯屋さんだったらあんなにもったいぶらないよね……遊園地とか水族館?)
(*゚ー゚)(だったら普段着でも大丈夫かな。写真も撮るだろうから、ちょっと華やかなアクセサリーもつけよう)
(*゚ー゚)(……あ、このネックレス……前にギコくんが買ってくれたやつだ)
(*゚ー゚)(……これ着けていったら、ギコくん気付いてくれるかなぁ)
101
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:59:24 ID:dpCq/qMw0
(;*゚ー゚)「えっと……ここって……」
(,,゚Д゚)「拝鳴山! 初心者向けの山だから、しぃでも登れるよ」
(,,^Д^)「ほら、前に外デートもしたいねって話したじゃん。嬉しいだろ?」
(;*゚ー゚)「それは覚えてるけど、まさか登山なんて……私体力ないし、それに今日ヒー……」
(,,^Д^)「いいからいいから、早く行こうぜ! 日が暮れちゃうよ」
(;*゚ー゚)「あ、待って! ギコくん!」
(*゚ー゚)(……『嬉しいだろ?』って)
(*゚ー゚)(登山、元々ギコくんの趣味じゃない)
(*゚ー゚)(私のためみたいな顔して、自分の趣味を押し付けないでよ……)
102
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:59:50 ID:dpCq/qMw0
(,,゚Д゚)「いやー、すっかり秋だなぁ」
(;*゚ー゚)「そうだね……」
(;*゚ー゚)(足、さっきからずっと痛い……絶対ヒールのせいだ……)
(;*゚ー゚)「ギ、ギコくん、待って」
(,,゚Д゚)「え、どうかした?」
(;*゚ー゚)「ちょっと足が痛くて……休憩させてほしいな」
(,,゚Д゚)「えー? しぃは体力ないなぁ」
(,,゚Д゚)「まぁ、『女の子』なら仕方ないか」
(# ゚ー゚)「っ……」
103
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:00:17 ID:dpCq/qMw0
(# ゚ー゚)(私ヒール履いてるのよ? こんな靴で歩けるわけないって、見てわからないの?)
(# ゚ー゚)(ギコくんっていつもそう。可愛い可愛いって口ばっかり、細かいところなんてひとつも見てないくせに)
(,,゚Д゚)「しぃ? どうしたの?」
(# ゚ー゚)「なんでもない」
(,,゚Д゚)「いや、顔つきすごいし……明らかになんかあるじゃん。何? 俺何かした?」
(# ゚ー゚)「……、……もう歩きたくない。帰りたい」
(;,,゚Д゚)「は? なんで怒ってんの?」
104
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:01:32 ID:dpCq/qMw0
(# ゚ー゚)「そんなに山が好きなら、ギコくん一人で登りなよ。私は帰る」
(;,,゚Д゚)「いやいや、待ってよ。何が気にくわないの? 意味わかんないんだけど」
(*゚ー゚)「わかんないならいいよ。それと、しばらく連絡しないで。一人で色々考えたいの」
(;,,゚Д゚)「は? なあ、今日のしぃおかしいよ。どうしたんだよ」
(*゚ー゚)「今日はありがとう。じゃあね、ギコくん」
105
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:02:27 ID:dpCq/qMw0
【美容室 Moral】
ξ; ゚⊿゚)ξ「……で、別れちゃったの!?」
(;*゚ー゚)「別れたわけじゃないよ! その、冷却期間っていうか……」
ξ; ゚⊿゚)ξ「いやいや、それ彼氏くん絶対フラれたと思うって!」
(;*゚ー゚)「え? どうして? ちゃんと『一人で考えたい』って言ったし、普通わかるでしょ?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「いや……普通って言われても……」
「あの、すみません」
ξ ゚⊿゚)ξ「あ、すみません、もう閉店で……」
(;*゚ー゚)「……!!」
106
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:02:52 ID:dpCq/qMw0
(;*゚ー゚)「ギコくん!? なんで!?」
(;,,゚Д゚)「だってしぃ、LINEの返事くれないじゃん! 電話も出てくれないし……」
ξ; ゚⊿゚)ξ「へっ? えっ? この人が!?」
ξ; ゚⊿゚)ξ(ちょっと待ってよ……もしかしてこれ、修羅場ってやつじゃない……?)
ξ; ゚⊿゚)ξ(やだ〜〜!! 面倒臭い! 逃げたい!)
107
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:03:16 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「お客様、申し訳ありません。本日は営業を終了しておりまして……」
ξ* ゚⊿゚)ξ「モラ、いや店長! ちょうどいいところに!」
ξ* ゚⊿゚)ξ「この人しぃちゃんの彼氏で、積もる話があるみたいなんです」
ξ* ゚⊿゚)ξ「あとは掃除だけだし、しぃちゃんにはもう上がってもらったほうが……」
( ・∀・)「なら、ここで話すといいよ。他のお客様もいないからね」
ξ; ゚⊿゚)ξ(あぁ〜〜! 藪蛇〜〜!)
108
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:03:43 ID:dpCq/qMw0
(*゚ー゚)「……話すことなんて、何も……」
(,,゚Д゚)「俺、やっとわかったんだ。しぃが怒ってた理由」
(*゚ー゚)「え?」
(,,゚Д゚)「気付けなくてごめん……俺鈍いからわからなくて」
(*゚ー゚)「ギコくん……」
(,,゚Д゚)「しぃ、あのときさ――――」
(,,゚Д゚)「――――生理だったんだろ?」
109
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:04:28 ID:dpCq/qMw0
(*゚ー゚)「…………は?」
(,,^Д^)「友達に話したら『あの日じゃね?』って言われてさ、なるほどなーと思って。生理とかよくわかんないけど、痛かったりで大変なんだろ?」
(,,^Д^)「でも俺に当たるのはやめてくれよー。まぁ女の子は感情的っていうもんな、仕方ないか!」
ξ ゚⊿゚)ξ「……うわ……」
( ・∀・)「……」
(* ー )「……いい」
(,,゚Д゚)「へ?」
(*;ー;)「もう、いい」
110
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:05:20 ID:dpCq/qMw0
(;,,゚Д゚)「し、しぃ? なんで泣いて……」
(*;ー;)「……っ」
(;,,゚Д゚)「あっ!? しぃ、待てよ!」
( ・∀・)「君は行かなくていい。ツンくん! しぃくんを頼んだよ!」
ξ; ゚⊿゚)ξ「わかった!」
(;,,゚Д゚)「え、いや、でも俺、しぃを追いかけないと……」
( ・∀・)「いいからいいから」
( ・∀・)「男同士で話すっていうのも、悪くないと思うよ?」
111
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:05:47 ID:dpCq/qMw0
ξ; ゚⊿゚)ξ「しぃちゃん!」
(*;ー;)「ツンちゃん……」
ξ; ゚⊿゚)ξ「もう、探したわよ……しぃちゃんって足早いのね、びっくりしちゃった」
(*;ー;)「昔陸上やってたの。こんなに早く見つけるなんて、ツンちゃんも足早いんだね」
ξ; ゚⊿゚)ξ(私は文字通り飛んできたからね……)
112
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:06:49 ID:dpCq/qMw0
ξ ゚⊿゚)ξ「……ねえ、あれはちょっと彼氏くんが可哀想よ。『もういい』じゃ何もわからないじゃない」
(*ぅー;)「でもギコくんだってひどくない? 店長もいる前で勝手に生理呼ばわりして、その上ヒス扱いよ?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「いや、まぁ……あれはデリカシーなさすぎてひいたけど……」
ξ ゚⊿゚)ξ「でも、文句があるなら言葉で伝えなきゃ。彼氏くん悪い人じゃなさそうだし、ちゃんと聞いてくれるわよ」
(*゚ー゚)「どうしていちいち言わなきゃいけないの? 普通に考えたらわかることじゃない」
ξ ゚⊿゚)ξ「『普通』『普通』って……しぃちゃん、今までずっとそうしてきたの? 彼氏くんにも友達にも、ずっと?」
ξ ゚⊿゚)ξ「なるほど、ストレス溜まるわけだわ。ていうかそれなら、しぃちゃんも悪い」
113
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:07:52 ID:dpCq/qMw0
(*゚ー゚)「……え?」
ξ ゚⊿゚)ξ「自分の普通を他人に押し付けて、それが違ったら不貞腐れるのはただのわがままよ」
(# ゚ー゚)「私、わがまま言ったりしてないよ。普通に常識的なことを……」
ξ ゚⊿゚)ξ「ほら出た『普通』。しぃちゃんの普通なんて誰もわかんないよ、エスパーじゃないもの」
ξ ゚⊿゚)ξ「勝手に期待して、勝手に落胆して、それはわがままでしょ」
(# ゚ー゚)「そんなのっ……」
『えー、しぃってそういう子なんだ。なんか想像と違うわ』
(;*゚ー゚)「……あ……」
(;*゚ー゚)(周りに色々押し付けられて、それを嫌だと思ってたのに)
(;*゚ー゚)(私も、周りに同じことをしてたの……?)
114
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:12:57 ID:dpCq/qMw0
(* ー )「……ツンちゃん。私の話、聞いてくれる? くだらないことなんだけど」
ξ ゚⊿゚)ξ「うん。いいよ」
(* ー )「……私、女子力高いとか、女の子らしいとか、ずっと言われてきたの」
ξ ゚⊿゚)ξ「うん」
(* ー )「最初は嬉しかったけど……女の子だからって、色々押し付けられるようになって」
(* ー )「料理が下手なことに驚かれたりとか……少しでも怒ったら、見た目と違うって引かれたりとか」
(* ー )「それが、すごく苦しくて」
ξ ゚⊿゚)ξ「……うん」
115
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:13:21 ID:dpCq/qMw0
失望されるのが嫌だった。
相手が落胆した瞬間の、私を見る目がどうしようもなく怖かったから。
相手の希望に添えるように、一生懸命『女の子』を演じてきた。
(*;ー;)「嫌われるのが怖かったの」
(*;ー;)「だから言いたいことがあっても、言わずに我慢してた」
(*;ー;)「でも、それってさ、逃げてただけだよね」
(*;ー;)「自分ばっかり守って、周りと向き合わなかったってことだよね……」
116
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:13:43 ID:dpCq/qMw0
(*;ー;)「うー……うぐ、うぅ……」
ξ -⊿-)ξ「大丈夫よ、しぃちゃん」 ギュッ
ξ -⊿-)ξ「きっと分かり合えるから。一緒に戻って、ちゃんと話そう?」
(*;ー;)「うん……」 ギュッ
ξ -⊿-)ξ(しぃちゃんの気持ち、私はわかる)
ξ -⊿-)ξ(……しぃちゃんが今感じてる怖さも、わかる)
117
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:14:24 ID:dpCq/qMw0
『はあ? 誰に向かって意見してんの?』
『テメーは黙って従ってればいいんだよ!』
ξ ⊿ )ξ(……自分の気持ちを伝えるのって、すごく勇気がいるし、怖いから)
ξ ⊿ )ξ(……だから私は、できなかった)
.
118
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:14:51 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「さて、ギコくんとやら」
(;,,゚Д゚)「あ、はい」
( ・∀・)「しぃくんから僕のことを聞いてるかい?」
(,,゚Д゚)「店長のモララーさんですよね? 『ちょっと変わってるけど天才肌の人』って聞いてます」
( ・∀・)+ 「流石しぃくん、これ以上ないほど正解だ。なにせ僕は天才だからね!」
(;,,゚Д゚)(『ちょっと変わってる』の部分には触れないんだ……)
119
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:15:40 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「とまぁ、アイスブレイクはこの辺にして」
( ・∀・)「ギコくんはしぃくんのどこが好きなんだい?」
(*,,゚Д゚)「え? そりゃやっぱりふわふわして女の子らしいところですね。弁当も作ってくれるし、俺の家に来たときは掃除もしてくれるんですよ」
( ・∀・)「へえ、そうなんだ」
( ・∀・)「君、しぃくんの内面には全然興味がないんだね」
(,,゚Д゚)「……え?」
120
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:17:23 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「だってそうだろう? 見た目やしてもらったことばかりで、内面のことなんてひとつも挙げてないじゃないか」
(;,,゚Д゚)「いや、ちゃんと中身も好きですよ!」
( ・∀・)「具体的には?」
(;,,゚Д゚)「それは……えっと……」
( ・∀・)「では質問を変えよう。しぃくんは君のために色々してくれたそうだけど、君は彼女に何か提供したかい?」
(,,゚Д゚)「ああ、それなら色々してあげましたよ」
(,,゚Д゚)「洒落た飯屋にも連れて行ったし、登山にも連れて行ったし」
121
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:19:04 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「それ、しぃくんは喜んでいた?」
(,,゚Д゚)「へ?」
( ・∀・)「僕の知る限り、しぃくんがお洒落な店や登山に行きたがってるところなんて見たことがないんだよ」
( ・∀・)「君、彼女に喜んでもらおうと考えて計画したことはあるかい?」
( ・∀・)「『彼女をエスコートできる良い彼氏』を演じたいだけなら、それに彼女を巻き込むのは良くない」
( ・∀・)「しぃくんは好き勝手に動かせる人形じゃないし、君を飾るアクセサリーでもないんだから」
122
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:19:32 ID:dpCq/qMw0
(;,,゚Д゚)「いや、俺はそんなこと」
( ・∀・)「そうそう。先週しぃくんが出勤したとき、歩き方がどうもおかしくてね」
( ・∀・)「尋ねてみたら『ヒールで山登りしたから足を痛めた』と言われたよ」
( ・∀・)「君、しぃくんがヒールを履いていることに気付いていたかい? ひょっとして足を痛めてることにも気付かなかった?」
(;,,゚Д゚)「……」
(;*゚ー゚)『ちょっと足が痛くて……休憩させてほしいな』
(;,,゚Д゚)(俺、足を見ようともしなかった)
(;,,゚Д゚)(体力がないせいだって決めつけて、歩かせようとした)
123
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:20:16 ID:dpCq/qMw0
(;,,゚Д゚)「俺、しぃに謝らなきゃ」
( ・∀・)「そうか。ならちょうどいいね」
(,,゚Д゚)「え?……あ……」
(;*゚ー゚)「……ギコくん……」
(;,,゚Д゚)「しぃ、あの……」
(;*゚ー゚)「えっと……」
(;,,>Д<)「「ごめん!!」」(>ー<*;)
124
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:20:50 ID:dpCq/qMw0
(;,,>Д<)「俺しぃのこと考えてなかった! 自分の好みとか考えを押し付けてばっかりだった!」
(;*>ー<)「私、自分から何も言わないくせに文句ばっかりだった! 察してほしいって甘えてた!」
(;,,゚Д゚)「……え?」
(;*゚ー゚)「えっと……?」
(*,,゚Д゚)「……ぷ。ははっ」
(*゚ー゚)「ふふっ……」
125
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:21:36 ID:dpCq/qMw0
(,,゚Д゚)「俺たち、もっと話し合わないといけなかったんだろうな」
(*゚ー゚)「そうだね。でも今からでも遅くないよ」
(,,゚Д゚)「じゃあ……改めてよろしくな、しぃ」
(*゚ー゚)「うん。よろしくね、ギコくん」
126
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:22:05 ID:dpCq/qMw0
(,,゚Д゚)「あ、そういえばそのネックレス」
(*゚ー゚)「?」
(,,゚Д゚)「なつかしいな。前に俺がプレゼントしたやつだっけ」
(*゚ー゚)「……」
(;,,゚Д゚)「え、あれ? そうだよな? 違うやつだった?」
(*゚ー゚)「ううん、合ってるよ」
(*^ー^)「気付いてくれて嬉しい。ありがとう」
127
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:23:28 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)+ 「やれやれ、一件落着だね。流石僕」
ξ ゚⊿゚)ξ「はぁ、疲れた……まったく、人の恋路に首突っ込むもんじゃないわね……」
( ・∀・)「ツンくんもご苦労だったね。超過分は残業代につけておくよ。それとビールもね」
ξ* ゚⊿゚)ξ「人助けは気持ちがいいわ!!」
( ・∀・)「その清々しいくらいの現金さ、わかりやすくて僕は好きだよ」
128
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:24:21 ID:dpCq/qMw0
〜〜翌日〜〜
(,,゚Д゚)「モララーさん! 昨日はありがとうございました!」
(,,゚Д゚)「それで、折り入ってお願いがあります!」
(,,゚Д゚)「俺を弟子にしてください!!」
( ・∀・)「うーん。それはまた、なぜ?」
(,,゚Д゚)「俺、モララーさんに惚れました!!」
( ・∀・)「おいおい、君にはしぃくんがいるだろう」
(,,゚Д゚)「いや、そういうんじゃないです! 同じ男として惚れたって意味です!」
( ・∀・)「ジョークだよジョーク。君、頭固いね。あとちょっとうるさい」
129
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:24:46 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「急に弟子と言われてもね……」
(,,゚Д゚)「お願いします!」
( ・∀・)「……弟子というのはつまり、ここのバイトになりたいということでいいかな?」
(,,゚Д゚)「はい! 色々学ばせてください!」
( ・∀・)+ 「ようこそ、美容室Moralへ」
(*,,゚Д゚)「ありがとうございます!!」
ξ; ゚⊿゚)ξ「ねえちょっと、あれほっといていいの……?」
(;*゚ー゚)「う、うーん……まぁ、人手が増えるのはありがたいし……」
130
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:25:32 ID:dpCq/qMw0
ζ(゚ー゚*ζ「〜♪」
ζ(゚ー゚*ζ「……あら、もうこんな時間」
ζ(゚ー゚*ζ「二週間ぶりの美容院ね。ふふっ」
ζ(゚ー゚*ζ「今日はスペシャルトリートメントもしてもらおうかしら」
ζ(^ー^*ζ「ああ、楽しみ。早く行きたいわ」
.
131
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:25:57 ID:dpCq/qMw0
第3話 終わり
.
132
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:26:20 ID:dpCq/qMw0
投下は以上になります
ありがとうございました
133
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:59:25 ID:7eLuZryU0
乙!これからも期待してる
134
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 23:38:18 ID:2Q2yjhKs0
乙!
しぃを追いかけたところで地味にツンが幽霊なの忘れてたw
今後も楽しみ
135
:
名無しさん
:2020/09/15(火) 02:32:07 ID:dJqRfdP20
乙です
これはいいギコしぃ!
あと髪だけでなく肌にも気を配るモララーさん、マジプロフェッショナル
136
:
名無しさん
:2020/09/15(火) 06:44:53 ID:/C/ErELo0
乙、今回も面白い!
137
:
名無しさん
:2020/09/15(火) 11:27:36 ID:.8mXXnyY0
乙です
138
:
名無しさん
:2020/09/16(水) 19:39:44 ID:2RWefcI.0
乙です 伝えたいテーマが心に響き、自分の毒父と毒母を想起させました
もっとも、ギコ・しぃは大丈夫でしょうけど 反省できてますし、二人とも最初の取り分けから優しい部分が見えますから
ただ、服装の件は、ギコにムカついた
しぃがヒールじゃなくても、新品の靴とか履いてたら、普通に歩くだけでも靴擦れのリスクがあるのになあ
まあ、当日はっきり拒否しない、しぃにも問題はちょこっとあるけど
139
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:15:46 ID:kvXHtHqA0
乙ありがとうございます
キャラについて色々考えてもらうのって嬉しいですね
第4話投下します
140
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:16:09 ID:kvXHtHqA0
从'ー'从『みんなぁ〜、こんにちはぁ〜』
从'ー'从『ナベナベちゃんねるを見に来てくれてありがとぉ』
从'ー'从『今日は上手な髪の巻き方を紹介するよぉ〜』
从'ー'从『じゃあ早速、コテを利き手で持ってねぇ〜』
ノハ;゚⊿゚)「ぬぐぐぐ……」
ノハ;゚⊿゚)「髪をしっかり挟んで……内側に……内側にぃぃ……ッ!」
141
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:16:42 ID:kvXHtHqA0
ノハ;゚⊿゚)(しぃちゃんに教えてもらった美容系Youtuber、わかりやすいけど……)
ノハ;゚⊿゚)(実際に手が動くかは別問題なのよね〜〜!)
从'ー'从『コテを抜くときは引っ張らずに、スッと下ろしてねぇ〜』
ノハ#゚⊿゚)「ほりゃあっ!」
ξ ゚⊿゚)ξ クルンッ
ξ* ゚⊿゚)ξ「!! できた!」
142
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:17:22 ID:kvXHtHqA0
ξ* ゚⊿゚)ξ「ちょっとこれうまくできたんじゃない!? 今までで一番綺麗なんだけど!」
从'ー'从『みんな、できたかな〜? 次はいろんなアレンジを紹介するからね〜』
从'ー'从『以上、ナベナベちゃんねるのナベちゃんでしたぁ』
ξ* ゚⊿゚)ξ「ナベちゃんありがとう……!!」
ξ* ゚⊿゚)ξ(チャンネル登録しとこ) ポチッ
143
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:17:45 ID:kvXHtHqA0
ξ* ゚⊿゚)ξ(そうだ、せっかくだからモララーに見せびらかしちゃお)
ξ* ゚⊿゚)ξ「ねえモララー! ちょっと見て!」 ガチャッ
( ・∀・)「おや」
ξ;*゚⊿゚)ξそ「ほぎゃっ!?」
( ・∀・)「申し訳ないが後にしてくれるかい? 着替え中なんだ」
ξ;//⊿//)ξ「あわわわ!!」 バタンッ
144
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:18:34 ID:kvXHtHqA0
ξ;*゚⊿゚)ξ(び、びっくりした……)
ξ;*゚⊿゚)ξ(テンション上がっててノックするの忘れてたわ)
ξ;*゚⊿゚)ξ(あいつ普段パンイチでうろうろしたりしないし、下着姿見たの初めて……)
ξ;*゚⊿゚)ξ(……意外に筋肉あったなぁ……)
ξ;*゚⊿゚)ξ(ななな、何考えてるのよ! 私ってば!)
145
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:19:10 ID:kvXHtHqA0
ξ# ゚⊿゚)ξ(ていうか! すっかり忘れてたけど、私はあいつを呪い殺すためにここにいるのよ!)
ξ# ゚⊿゚)ξ(パンツの一枚や二枚見たくらいで怯んでる場合じゃないわ!)
( ・∀・)「いやはやお待たせ。まったく、共同生活とはいえノックはしてもらわないと困るよ」
( ・∀・)「おや? ツンくん、その髪、自分で巻いたのかい? うまいじゃないか」
ξ* ゚⊿゚)ξ「あっ……そ、そうでしょ? ふふん!」
146
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:19:31 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)「それで、僕に何か用事でもあったのかい?」
ξ; ゚⊿゚)ξそ「はっ!」
ξ;*゚⊿゚)ξ「こ、殺してやるっ!!」
( ・∀・)「えっ」
147
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:19:52 ID:kvXHtHqA0
第4話「カルテ:出連デレ様」
.
148
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:20:19 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは、ツンちゃん」
ξ ゚⊿゚)ξ「出連様、お待ちしてました。ご案内します」
ξ ゚⊿゚)ξ「お客様ご来店でーす」 \イラッシャイマセー/
(*゚ー゚)「あ、出連様! いらっしゃいませ!」
ζ(゚ー゚*ζ「しぃちゃん、こんにちは。今日の服素敵ね、とても似合ってるわ」
(*^ー^)「ありがとうございます!」
149
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:20:49 ID:kvXHtHqA0
(,,゚Д゚)「なぁ、しぃ。あの人誰?」
(*゚ー゚)「出連デレさん。月2でうちに来てくれてるの」
(;,,゚Д゚)「月2!? すげえ……」
(*゚ー゚)「超お得意様だから、失礼のないようにね」
(;,,゚Д゚)「お、おう……緊張するなぁ……」
150
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:21:13 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)「出連様、いらっしゃいませ。本日もよろしくお願いします」
ζ(゚ー゚*ζ「モララーちゃん、今日もよろしくね。あなたに切ってもらうのが楽しみなの」
( ・∀・)「それはそれは。出連様にご満足いただけるよう、このモララー全力を尽くします」
(;,,゚Д゚)「お、お待たせしました。紅茶で……」
(;,,゚Д゚)「うわっ!」 ガシャッ
ζ(゚ー゚*;ζ「きゃっ!」
151
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:21:42 ID:kvXHtHqA0
(;,,゚Д゚)「あ、ああ! すみません!」
( ・∀・)「大丈夫かい? 奥にモップがあるから、すぐに片付けて」
( ・∀・)「出連様、うちのスタッフが申し訳ありません。お怪我はございませんか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、大丈夫よ。服も汚れてないし」
ζ(゚ー゚*ζ「あの子、新人さんよね? あまり怒らないであげてね」
( ・∀・)「お気遣いありがとうございます」
152
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:22:19 ID:kvXHtHqA0
(;,,゚Д゚)「で、出連様、大変申し訳ありませんでした!」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫よ、失敗くらい誰にでもあるわ」
ζ(゚ー゚*ζ「あなたにも怪我がなくてよかった。慣れるまで大変だろうけど、お仕事頑張ってね」
(*,,゚Д゚)「は……はい……」
153
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:22:57 ID:kvXHtHqA0
(*,,゚Д゚)「出連さん、めっちゃかっこいいっすね……」
ξ* ゚⊿゚)ξ「わかる。キリッとしてるし余裕あるし、デキる女って感じ」
(*,,゚Д゚)「結婚とかしてるんすかね?」
ξ ゚⊿゚)ξ「してないみたいよ。前にモララーと独身トークしてたから」
(,,゚Д゚)「へぇー、意外っすね。モテそうなのに」
(;,,゚Д゚)「……ていうかツンさん、なんで店長のこと呼び捨てなんすか? それやめたほうがいいっすよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「やべ」
154
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:23:52 ID:kvXHtHqA0
ξ ゚⊿゚)ξ「では、カラー剤塗っていきますね」
ζ(゚ー゚*ζ「最近はずっとツンちゃんがカラー担当ね。いつもありがとう」
ξ* ゚⊿゚)ξ「いえ、そんな。私も出連様の施術楽しみなんです」
ζ(^ー^*ζ「そんな風に言ってもらえるなんて嬉しいわ」
ξ ゚⊿゚)ξ「今日もリタッチ(※)じゃなくてフルカラーですね」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。秋らしい色にしたくて」
ξ ゚⊿゚)ξ「出連様、いつもフルカラーを選ばれてますよね」
ζ(゚ー゚*ζ「私、気分屋だからコロコロ変えちゃうの。モララーちゃんには面倒かけちゃってるわ」
※リタッチ…髪の根本だけ染めること
155
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:24:39 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、そのファイル分厚いでしょう。それ、私のカルテなの」
ξ; ゚⊿゚)ξ「えっ、これ全部ですか!?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。モララーちゃん、私が持ってきた見本の写真なんかも取ってくれてるから」
ξ ゚⊿゚)ξ「あ、本当だ……使ったカラー剤も全部書かれてる……」
ξ ゚⊿゚)ξ「……あれ? 昔はフルカラーじゃなくてリタッチが多かったんですね」
ξ ゚⊿゚)ξ「しかもフルカラーのときも全部ブラウン……」
156
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:25:19 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、それはね。その頃私、婚活してたから」
ξ; ゚⊿゚)ξ「こ、婚活!?……ですか? 出連様が?」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、どうして? 嘘じゃないわよ?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「いや、その……出連様、そういうのに興味があるように見えなかったから……」
ζ(゚ー゚*ζ「今は、ね」
ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、ツンちゃん。昔話に付き合ってくれる?」
157
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:25:49 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「私、典型的な仕事人間でね。友達が結婚していく中、ずっと仕事に打ち込んでたの」
ζ(゚ー゚*ζ「ふと気が付いたら三十も過ぎてて、周りを見れば二人目を産んでる子もいた」
ζ(゚ー゚*ζ「親からも『良い人いないのか』って言われるようになってね」
ξ; ゚⊿゚)ξ「でも出連さん、モテそうなのに……」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、よく言われるけどそうでもないのよ。社会人になるとなかなか出会いもないしね」
ζ(゚ー゚*ζ「その頃かな……インターネットを見ていたら、婚活パーティーの広告が出てきたの」
158
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:26:27 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*;ζ『は、初めまして。出連デレと申します』
( ^Д^)『あ、はい。初めまして、プギャーです』
( ^Д^)『出連さんはおいくつですか?』
ζ(゚ー゚*;ζ(えっ? いきなり年齢の話……?)
ζ(゚ー゚*ζ『今年で35になります』
( ^Д^)『あー、35かぁ』
ζ(゚ー゚*ζ『……』
159
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:27:21 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「年齢制限は27〜37歳になってたんだけど、私が一番上だったみたい」
ζ(゚ー゚*ζ「歳を言ったらみんな逃げて、若い子のほうに行っちゃった」
ζ(゚ー゚*ζ「『子供がほしいのでアラフォーはちょっと』なんて言ってきた人もいたわ」
ξ; ゚⊿゚)ξ「ひどい」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、しかもね。男性はみんな私より年上だったの」
ξ# ゚⊿゚)ξ「はぁ!? じゃあそいつ、自分の年齢を棚に上げたってことですか!?」
ζ(゚ー゚*ζ「いいのよ、もう昔のことだから」
160
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:28:01 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「他のパーティーにも行ったし、結婚相談所にも登録したわ。でもどこだって同じだった」
ζ(゚ー゚*ζ「初対面の人とぎこちなくお喋りして、お互いに値踏みして、その繰り返し」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがたいことに、私を選んでくれた人もいたけれど……」
ζ(゚ー゚*ζ「なんにも心が動かないの。相手の好きなところを見つけようと頑張ったけど、無理だったわ」
ξ; ゚⊿゚)ξ「それが普通じゃないですか? 恋愛って、好きになろうと頑張るものじゃないですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そうね……でも、私がしていたのは『婚活』だから」
ζ(゚ー゚*ζ「きっと私が煮え切らないから、腹が立ったんでしょうね。相談所の人に言われたの」
ζ(゚ー゚*ζ「『あなた結婚する気ある?』『恋だとか好きだとかうだうだ言う年齢でもないでしょう』って」
161
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:28:41 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「すごく落ち込んだわ。自分が否定された気分だった」
ζ(゚ー゚*ζ「でも結婚してないのは事実だし、婚活をしていて結果が出せないのも事実」
ζ(゚ー゚*ζ「だから何も言い返せなくて、そのまま相談所を出た」
ζ(゚ー゚*ζ「ただ、その日は美容院を予約していたの」
ξ ゚⊿゚)ξ「え、それって」
ζ(^ー^*ζ「そう、ここの美容院よ。私ってば結構古株なんだから」
162
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:29:08 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)『本日はカラーをご希望でよろしかったですか?』
ζ(゚ー゚*ζ『……ええ』
( ・∀・)『出連様、もしかして御気分が優れませんか? 顔色も良くないようですが……』
ζ(゚ー゚*;ζ『えっ? い、いえ、大丈夫よ』
( ・∀・)『でしたらいいのですが……何かあれば遠慮なく仰ってください』
( ・∀・)『ちなみに、カラーのご希望はございますか?』
ζ(゚ー゚*;ζ『あっ……ごめんなさい、何も考えてなかった……』
( ・∀・)『構いませんよ。カタログがありますので、参考にされてください』
163
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:29:44 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ(あ……この髪色いいなぁ)
ζ(゚ー゚*ζ(……でもちょっと派手よね。もうアラフォーだもの、年甲斐もないって笑われちゃうわ)
ζ(゚ー゚*ζ(婚活でも、あまり明るい色は男ウケ悪いって言われてるし……)
ζ(゚ー゚*ζ(無難にブラウンがいいわよね。うん、そうよ。いつも通りがいいわ)
( ・∀・)『この髪色、素敵ですよね。こちらになさいますか?』
ζ(゚ー゚*;ζ『っ!』
164
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:30:14 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)『先程からずっとこのページを眺めていらっしゃるので、ご希望なのかと』
ζ(゚ー゚*;ζ『い、いいの。きっと似合わないもの。いつも通り暗めのブラウンで……』
( ・∀・)『出連様』
( ・∀・)『私たち美容師は、お客様にとって最善のスタイルを提案しています』
( ・∀・)『最善の基準とは、なんだと思いますか?』
ζ(゚ー゚*ζ『……? 似合うか、似合わないか……?』
( ・∀・)『それも勿論ありますが、それだけではありません』
( ・∀・)『少なくとも私は、お客様が最も輝けるスタイルを最善としています』
165
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:30:52 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)『似合う似合わないも、勿論要素のひとつではあります』
( ・∀・)『ですがそれより大切なのは、お客様が輝けるか。ご自身を好きになっていただけるかです』
( ・∀・)『似合う髪型を伝えるだけならご家族やお友達にもできます。私はそこで終わりたくない』
( ・∀・)『出連様が笑顔になれないなら、似合うだの似合わないだの、そんなものは全てしょうもないことです』
ζ(゚ー゚*ζ『…………』
166
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:31:57 ID:kvXHtHqA0
ζ( ー *ζ『……ふふっ、しょうもないだなんて。モララーちゃん、意外に口が悪いのね』
( ・∀・)『申し訳ありません、つい熱が入ってしまいました』
ζ( ー *ζ『ねえ、モララーちゃん』
ζ( ー *ζ『似合うかわからないけど……周りに笑われるかもしれないし、きっと男ウケも悪いだろうけど……』
ζ(^ー^。*ζ『この髪色で、お願いできる?』
( ・∀・)『お任せください。最高の仕上がりにしてみせます』
167
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:33:33 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「でね、そのまま相談所に戻って退会手続きをしたの」
ξ; ゚⊿゚)ξ「おぉ……」
ζ(^ー^*ζ「相談員の人、すごくびっくりしてたわ」
ζ(^ー^*ζ「そりゃそうよね。さっきまで陰気な顔してた女が、派手な金髪になって戻ってきたんだもの」
168
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:34:00 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「よく考えてみたらね、彼氏だとか結婚だとか、そこまで興味なかったの」
ζ(゚ー゚*ζ「ただ周りがそうしていたり、家族にせっつかれたりしたから、そうしなきゃいけないんだって思い込んでただけ」
ζ(゚ー゚*ζ「『既婚者』ってステータスが欲しかった。そんな考えじゃ、うまくいかなくて当然よね」
ξ ゚⊿゚)ξ「……私、婚活したことないし……そういうのよくわからないけど……」
ξ ゚⊿゚)ξ「私、今の出連様がすごく好きです」
ξ ゚⊿゚)ξ「昔の出連様のことは知らないけど、きっと無理して結婚するより、今のほうが輝いてると思います」
ζ(^ー^*ζ「ありがとう、ツンちゃん」
169
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:34:25 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「それにね、私、恋愛よりも楽しいこと見つけちゃったから」
ξ* ゚⊿゚)ξ「え、何ですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ。おしごと」
ξ* ゚⊿゚)ξ「お仕事ですか? 仕事に生きるってかっこいいですね」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、違うの。そっちじゃなくて」
ζ(゚ー゚*ζ「『推し事』よ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
ξ ゚⊿゚)ξ「……はい?」
170
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:34:48 ID:kvXHtHqA0
ξ ゚⊿゚)ξ「えっと、それはアイドルの追っかけ的な……?」
ζ(゚ー゚*ζ「アイドルじゃなくて、ツンちゃんもよく知ってる人よ。ほら、あそこにいる」
( ・∀・)+ 「イッツァマジック!」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
ξ ゚⊿゚)ξ「えっ」
ζ(゚ー゚*ζ「推せるわ〜」
ξ; ゚⊿゚)ξ「え、えええ……」
ζ(゚ー゚*ζ「モララーちゃんしか勝たん」
ξ; ゚⊿゚)ξ「やだ! オタク構文使う出連様なんてやだ!」
171
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:35:25 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「私、ここに来るのがすごく楽しみなの」
ζ(゚ー゚*ζ「仕事で嫌なことがあっても『でも来週美容院行けるし』で乗り切れちゃうくらいにね」
ζ(゚ー゚*ζ「推しに会えるし、髪も綺麗にしてもらえるし、いいこと尽くめよ」
ξ; ゚⊿゚)ξ「う、うーん……」
ξ; ゚⊿゚)ξ(私にはちょっと理解できない世界だわ……)
ξ ゚⊿゚)ξ(……でも、出連さんが幸せなら、それ以上に大事なことなんてないわよね)
( ・∀・)+ 「今日の施術も完璧だ。流石僕、天才の中の天才」
ξ ゚⊿゚)ξ(うーん、やっぱり理解できない)
172
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:36:26 ID:kvXHtHqA0
ξ ゚⊿゚)ξ(それにしても、結婚かぁ……)
ξ ゚⊿゚)ξ(……そういうの、人間だった頃は憧れてたなぁ)
ξ ゚⊿゚)ξ(幽霊の今じゃ結婚も何もないけど、もしも生まれ変わったら……)
( ・∀・)「ツンくん、そろそろ休憩だよ」
ξ;* ゚⊿゚)ξ「あ、あんたとなんか絶対に嫌だからねっ!」
( ・∀・)「は?」
173
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:36:56 ID:kvXHtHqA0
第4話 終わり
.
174
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:37:24 ID:kvXHtHqA0
投下は以上です
ありがとうございました
175
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:38:18 ID:fbbEpNkg0
乙
176
:
名無しさん
:2020/09/19(土) 00:54:36 ID:Ez6MpXfY0
乙乙
突然のオタク構文に笑ってしまった
毎話考えさせられるしギャグは面白い 好きだなぁ
177
:
名無しさん
:2020/09/19(土) 02:57:50 ID:dXpLNWQs0
乙
いくつになっても輝いている人って憧れるなあ
店長の自画自賛で毎度笑う
178
:
名無しさん
:2020/09/19(土) 09:27:18 ID:5Li6Vw960
とりあえず乙
これからも期待
179
:
名無しさん
:2020/09/19(土) 15:13:17 ID:cVPFgU7Q0
デレ輝いてるなー
キャラがどんどん深堀されてきて続きが待ち遠しい!
180
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:46:21 ID:FEmaBN8A0
乙ありがとうございます
いただいた感想何度も読み返してます、嬉しいです
第5話投下します
181
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:46:49 ID:FEmaBN8A0
『お前は俺がいないと何もできないんだからさ、黙って言うこと聞いてればいいんだよ』
『……』
『何その態度? 何か不満あんの?』
『……ううん。何も、ない』
ξ -⊿゚)ξ「…………」 パチッ
ξ -⊿゚)ξ「幽霊でも、夢見たりするのね」
182
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:47:11 ID:FEmaBN8A0
第5話『スタッフ:恨宮貞子』
.
183
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:48:23 ID:FEmaBN8A0
ξ ぅ⊿゚)ξ「おはよ」
( ・∀・)「やあ、おはよう。ちょうど朝食ができたところだよ」
( ・∀・)「しかし不思議だね。幽霊が睡眠や食事をとるなんて」
ξ ゚⊿゚)ξ「それは私も驚いてる」
184
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:49:05 ID:FEmaBN8A0
ξ* ゚⊿゚)ξ「うまっ! フレンチトーストうまっ!」
( ・∀・)「前日から卵液に漬け込んでおくとしっとり感が増すんだ。朝は焼くだけで済むから、時短になるよ」
ξ* ゚⊿゚)ξ「おかわり!!」
( ・∀・)「そうやって喜んでもらえると作り甲斐があるね」
( ・∀・)「じゃあ、僕は先に行って開店準備をするから。ツンくんはゆっくり食べて来るといい」
ξ ゚〜゚)ξ「ふぁーい」
185
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:49:26 ID:FEmaBN8A0
【美容室 Moral】
(*゚ー゚)「ツンちゃん、おはよう!」
ξ ゚⊿゚)ξ「おはよー。しぃちゃん、これこの前借りたCD」
(*゚ー゚)「あ! どうだった?」
ξ* ゚⊿゚)ξ「めっっちゃよかったぁ〜! ちょっとハマりそう!」
(*゚ー゚)「でしょ!? 今度ギコくんとライブ行くから、ツンちゃんも一緒に行こうよ!」
ξ* ゚⊿゚)ξ「行く行く!」
186
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:49:56 ID:FEmaBN8A0
仕事にも慣れてきたし、周りともうまくやれてる。
正直、前みたいに誰彼構わず恨む気持ちなんて、もうあまりなかった。
このまま穏やかに過ごせていけたらいいとすら思ってた。
『何? 俺に逆らうの?』
『お前、その顔でよく表歩けるよな。隣にいる俺の身にもなれよ』
それでも忘れられない人間が、一人だけいた。
どうしようもなく憎くて、恨めしい人間が。
187
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:50:19 ID:FEmaBN8A0
「あのー」
ξ ゚⊿゚)ξ「あ、すみません。いらっしゃいま……せ……」
「予約してるんだけど」
( ゚∀゚)「15時から、長岡ジョルジュって名前で」
ξ ⊿ )ξ「……っ」
188
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:50:40 ID:FEmaBN8A0
『貞子は本当暗いなぁ』
( ゚∀゚)『お前みたいな根暗と付き合ってやってる俺に感謝しろよ?』
川д川『……うん。ありがとう、ジョルジュくん……』
長岡ジョルジュ。
私が自殺したきっかけになった男。
.
189
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:51:03 ID:FEmaBN8A0
ξ ⊿ )ξ(……どうして)
ξ ⊿ )ξ(どうして、今更)
( ゚∀゚)「ていうかおねーさん可愛いね。バイト?)
ξ ⊿ )ξ「……ご案内します」
ξ ⊿ )ξ「一名様ご来店でーす」 \イラッシャイマセー/
( ゚∀゚)「なんだよー、シカトかよ」
190
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:51:29 ID:FEmaBN8A0
(,,゚Д゚)「なんだよあいつ、態度でかいなぁ」
(*゚ー゚)「ギコくん、お客様の悪口はダメよ」
(;,,゚Д゚)「いや、だってさ、あの態度はないだろ……あんな客初めて見た」
(*゚ー゚)「最近ここのお店、雑誌に載ったらしいの。色んなお客様が来るわよ」
(,,゚Д゚)「有名税ってやつかぁ……確かに今日、ヤバいくらい忙しいもんな」
(*゚ー゚)「店長なんて朝からずっと休憩取ってないわよ。ほら、私たちも頑張らなきゃ!」
(,,゚Д゚)「お、おう。そうだな!」
191
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:52:37 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「いらっしゃいませ、長岡様。本日担当させていただくモララーです」
( ゚∀゚)「あー、あんたがモララー? 雑誌で見たよ。髪切るのうまいんでしょ?」
( ・∀・)「ありがたいことに、そう評価いただいています」
( ゚∀゚)「とりあえずカラーして、ちゃちゃっと切っちゃって」
( ・∀・)「かしこまりました。ツンくん、カラーを頼むよ」
ξ ⊿ )ξ「……ええ」
192
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:53:06 ID:FEmaBN8A0
( ゚∀゚)「お、さっきのおねーさん。おねーさんみたいな美人に染めてもらえるなんて嬉しいなぁ」
ξ ⊿ )ξ「…………」
( ゚∀゚)「ねえねえ、おねーさん彼氏とかいるの?」
ξ ⊿ )ξ「そういうことにはお答えできません」
( ゚∀゚)「ふーん。じゃあいないってことにしてさ、仕事終わったら遊ぼうよ」
ξ ⊿ )ξ「すみません。無理です」
( ゚∀゚)「えー、冷たっ。そんなこと言わないでさぁ」
193
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:53:28 ID:FEmaBN8A0
ξ ⊿ )ξ「……」 ペタペタ
( ゚∀゚)「おねーさんあんまし喋んないね。クールビューティーって言われない?」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ゚∀゚)「俺が前に付き合ってた女もすっげえ根暗でさー。いつの間にかいなくなってて、名前も忘れちゃったけど」
( ゚∀゚)「あいつもおねーさんみたいに美人ならよかったのになぁ」
ξ ⊿ )ξ「……」
194
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:54:01 ID:FEmaBN8A0
( ゚∀゚)『おい、酒ねえぞ』
川д川『え? もうないよ……ジョルジュくんが昨日全部飲んじゃったじゃない』
(# ゚∀゚)『はぁ!? 切らしてるってわかってんなら買っとけよ! 気利かねーなぁ!』
川;д川『ひっ! ご、ごめんなさい……』
(# ゚∀゚)『さっさと買って来いよ。5分で戻らなかったらぶん殴るからな』
川;д川『か、買ってくる! 買うから……もう殴らないで……』
195
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:54:24 ID:FEmaBN8A0
( ゚∀゚)『なぁ貞子、ちょっと金貸して』
川д川『またパチンコ? ダメだよ、今月の家賃がまだ……』
(# ゚∀゚)『っせえなぁ!』
川;д川『ぎゃっ!』
(# ゚∀゚)『お前貯金あるんだから、家賃なんかそこから払えばいいだろうが』
川#)д;川『う……ぁ……』
196
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:55:04 ID:FEmaBN8A0
川#)д;川『……もう、無理』
( ゚∀゚)『は? 何?』
川;д;川『ジョルジュくん、全然好きって言ってくれなくなった。ご飯作っても食べてくれないし、帰りも遅いし』
( ゚∀゚)『……』
川д;川『もう無理、私無理。ジョルジュくんについていけない』
川д;川『……死にたい……』
( ゚∀゚)『……はぁ』
( ゚∀゚)『別にいいよ。死ねば?』
197
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:55:41 ID:FEmaBN8A0
その言葉で、張り詰めていた糸がぷつんと切れた。
すべてがどうでもよくなって、あっさり自分の命を手放した。
恋が報われなかった悲しみと、ジョルジュくんへの恨みを抱いて。
そして私は、どういうわけか幽霊と呼ばれる存在になった。
悲しみは癒えていた。ただ憎しみだけが残っていた。
だから私は、何もかもを恨むことにした。
いつか長岡ジョルジュに出会ったら殺してやろうと決めていた。
なのに。
198
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:56:06 ID:FEmaBN8A0
ξ ⊿ )ξ(なんで今更、生きてた頃の思い出が出てくるのよ)
ξ ⊿ )ξ(なんで足が震えてるのよ)
ξ ⊿ )ξ(あんなに恨んでたのに、殺してやろうって決めてたのに)
ξ ⊿ )ξ(……まだこいつが、怖いなんて……)
( ゚∀゚)「ねえ、おねーさんってば」 サワッ
ξ; ⊿ )ξ「ひっ……!!」
199
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:56:29 ID:FEmaBN8A0
ξ; ⊿ )ξ「……っ!」
(; ゚∀゚)「あ、ちょっとおねーさん! まだカラー途中だよ!?」
(#,,゚Д゚)「お客様。ここからは私が対応いたします」
( ゚∀゚)「はぁ? なんだよお前……」
(#,,゚Д゚)「……」
(; ゚∀゚)「あー……はいはい、わかりました」
200
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:56:51 ID:FEmaBN8A0
【美容室 Moral スタッフルーム】
ξ; ⊿ )ξ「う"ぇっ、うぅ……」
(;*゚ー゚)「ツンちゃん、大丈夫?」
ξ ⊿ )ξ「しぃちゃん……」
(;*゚ー゚)「あの人の接客、ギコくんがしてくれるって。あとはもうカットだけだから、帰るまでここにいていいよ」
ξ ⊿ )ξ「……ごめん」
(*゚ー゚)「ツンちゃんは悪くないよ! 気にしないで、しばらく休んで!」
ξ ⊿ )ξ「……うん」
201
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:57:32 ID:FEmaBN8A0
ξ ⊿ )ξ(何やってるのよ、私)
ξ ⊿ )ξ(今日お客さん多くて、ただでさえ人手が足りないのに)
ξ ⊿ )ξ(あれほど呪うとか殺すとか息巻いてたのに、触られただけでこの有り様なんて……)
ξ ⊿ )ξ(……かっこ悪い)
ξ ⊿ )ξ(私は結局、あの時から何も……)
ξ ;⊿;)ξ(……悔しい……)
202
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:58:11 ID:FEmaBN8A0
(;,,゚Д゚)「店長、長岡様のカラー終わりました」
( ・∀・)「ありがとう。すぐに向かうよ」
( ・∀・)「長岡様のカラーはツンくんに任せたはずだけど、ギコくんと交代したのかい?」
(;,,゚Д゚)「……あの、それが……」
ζ(゚、゚*ζ「ツンちゃん、あの客に触られたの」
203
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:58:50 ID:FEmaBN8A0
(;,,゚Д゚)「で、出連様、見てたんですか?」
ζ(゚、゚*ζ「ええ」
( ・∀・)「……触られた?」
ζ(゚、゚*ζ「腕のあたりをね。その前にも、しつこくツンちゃんに迫ってたみたい」
( ・∀・)「……そうでしたか。ありがとうございます」
204
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:59:18 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「長岡様、お待たせしました。ただいまからカットに入らせていただきます」
( ゚∀゚)「おっせーなぁ、雑誌全部読んじまったよ」
( ・∀・)「申し訳ございません」
( ゚∀゚)「それとさー、あんたのとこの店員、接客態度なってないよな。カラーの途中でどっか行っちゃったんだけど」
( ・∀・)「……大変失礼いたしました」
( ゚∀゚)「まぁ美人だから許すけど、ちゃんと教育しといてくれよー」
( ・∀・)「……」
205
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:59:50 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「長岡様、こちらでいかがでしょうか」
(* ゚∀゚)「おー、いいじゃん! あんたやっぱりうまいんだなー」
( ・∀・)「ありがとうございます。出口はあちらになりますので」
( ゚∀゚)「はいはい。料金はいくらだっけ?」
( ・∀・)「お代は結構です」
( ゚∀゚)「は?」
( ・∀・)「ですから、お代はいただきません」
( ゚∀゚)「いや、あんた何言ってんの? 意味わかんねえよ」
( ・∀・)「お前は客じゃないから二度と来るなって意味だよ」
206
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:00:38 ID:FEmaBN8A0
( ゚∀゚)「……は?」
( ・∀・)「今日以降、二度とお前の施術はしない。スタッフとの接触も許さない」
(# ゚∀゚)「てめ、客にそんな舐めた態度……」
( ・∀・)「だからお前は客じゃない。うちのスタッフにセクハラしておいて、ただで済むと思ってたのか?」
(# ゚∀゚)「セクハラぁ? ちょっと触っただけだろうが!」
( ・∀・)「これ以上はお客様の迷惑になる。さっさと帰れ」
(# ゚∀゚)「待てやコラ!」
207
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:01:35 ID:FEmaBN8A0
(#,,゚Д゚)「店長、手伝います」
(# ゚∀゚)「な……」
ζ(゚、゚*ζ「…………」
(*゚ -゚)「……」
(; ゚∀゚)「は……? なんだよこいつら……意味わかんね……」
(# ゚∀゚)「……っ、こんなところ二度と来るか、バーカ! さっさと潰れろ!」
( ・∀・)「それは結構。来ても追い返すから、そのつもりでいてくれ」
208
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:01:58 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「ギコくん、どうもありがとう」
(*,,゚Д゚)「お役に立てて光栄っす!」
( ・∀・)「出連様、不愉快な思いをさせてしまい申し訳ありません」
ζ(゚ー゚*ζ「とんでもないわ。ツンちゃんのケア、ちゃんとしてあげてね」
( ・∀・)「もちろんです」
( ・∀・)「しぃくん、ツンくんはどこに?」
(*゚ー゚)「スタッフルームで休んでます」
( ・∀・)「わかった。ありがとう」
209
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:03:16 ID:FEmaBN8A0
【美容室 Moral スタッフルーム】
「ツンくん、入るよ」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ・∀・)「紅茶を淹れたんだ。一緒に飲もう」
( ・∀・)「紅茶にはリラックス作用があって、精神を落ち着かせてくれるんだよ」
( ・∀・)「さあどうぞ、味は保証するよ。なんたって僕が淹れた紅茶だからね」
ξ ⊿ )ξ「……どうして、私が紅茶好きって」
( ・∀・)「初めて店に来たとき紅茶を頼んだじゃないか。お客様の嗜好を覚えるなんて朝飯前さ」
ξ ⊿ )ξ「……」
ξ ⊿ )ξ(……ジョルジュくんは)
ξ ⊿ )ξ(……私の好きなものなんて、ひとつも覚えてくれなかったな)
210
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:04:25 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「さっきは、怖い思いをさせたね。すまなかった」
ξ ⊿ )ξ「なんであんたが謝るのよ」
( ・∀・)「僕の監督不行き届きだ。もっと早く気付いて対処すべきだった」
ξ ⊿ )ξ「仕方ないわよ。今日バカみたいに忙しかったもの」
( ・∀・)「それでもスタッフを……君を守れなかったのは事実だよ」
( -∀-)「申し訳ない、ツンくん。僕は店長失格だ」
ξ ⊿ )ξ「……謝らないでよ」
ξ ⊿ )ξ「あんたは何も、悪くないんだから」
ξ ;⊿;)ξ「いつもみたいに僕天才とか言って、笑ってなさいよ」
211
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:04:46 ID:FEmaBN8A0
ξ ;⊿;)ξ「……私、何もできなかった」
ξ ;⊿;)ξ「嫌だったのに、言い返すとか、全然できなかった」
( -∀-)「僕たちは客商売だからね。毅然と対応したくても、なかなか難しいものだよ」
( -∀-)「……言い訳がましく聞こえたら申し訳ないが、僕もすぐにでも追い出したかったんだ」
( -∀-)「だけどオーダーの途中だったし、座席で口論にでもなれば他のお客様に迷惑がかかる」
( -∀-)「あんな方法しか思いつかなかった。僕もまだ未熟者だ」
ξ ぅ⊿;)ξ「……」
212
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:05:29 ID:FEmaBN8A0
ξ ゚⊿゚)ξ「……あいつが追い出されてるとき、こっそり見てたの」
ξ ゚⊿゚)ξ「色々言ってくれて、すっきりしたわ。……ありがとう」
( ・∀・)「……」
ξ;*゚⊿゚)ξ「ま、真顔で見つめてこないでよ。あんたがヘラヘラしてないと逆に気持ち悪いんだけど」
( ・∀・)「それはつまり、僕の笑顔が見たいということかな?」
ξ;*゚⊿゚)ξ「なんでそうなるのよっ! どういう思考回路してんのあんた!」
( ・∀・)「ははは。僕の笑顔は万物を魅了するからね」
( ・∀・)「ありがとう、ツンくん」
213
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:06:26 ID:FEmaBN8A0
ξ ゚⊿゚)ξ「あいつ……あの客さ……自分の元カノの話とか、してきて」
ξ ⊿ )ξ「……元カノのこと、根暗だとかブスだとか、散々言ってて」
( ・∀・)「ふむ」
ξ ⊿ )ξ「……その元カノって女、信じられないわよね、あんな男と付き合うなんて。男を見る目がなさすぎよ」
( ・∀・)「まぁ、付き合ってから本性を表わす人間もいるからね」
( ・∀・)「それに『元カノ』ってことはもう別れてるんだろう? よかったじゃないか」
( ・∀・)「その女性もきっと今頃、別の場所で楽しく過ごしてるよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……別の場所……」
ξ ゚ー゚)ξ「……そうね。きっとそうだわ」
214
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:06:49 ID:FEmaBN8A0
【モララー宅】
ξ* ゚⊿゚)ξ「酒盛りよ〜〜!」
( ・∀・)「君は毎日が酒盛りだけどね」
ξ ゚⊿゚)ξ「クソ客に当たったときは酒、これ接客業の掟」
( ・∀・)「お客様を排泄物呼ばわりするのはいただけないが、まぁ今日はノーコメントとしておくよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「あんたも飲むでしょ? 何にする?」
( ・∀・)「それじゃあ、ビールをもらおうかな」
ξ ゚⊿゚)ξ「はいよー」
ξ ゚⊿゚)ξ「……あっ」 ゴトンッ
215
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:07:31 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「大丈夫かい?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「ごめん」
( ・∀・)「開ける前でよかった。しっかり持たないと危ないよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……うん、気を付ける」
216
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:07:55 ID:FEmaBN8A0
ξ ゚⊿゚)ξ(私、しっかり持ってたのに)
ξ ゚⊿゚)ξ(まるですり抜けるみたいに落ちていった)
ξ ゚⊿゚)ξ(それに、見間違いかもしれないけど)
ξ; ゚⊿゚)ξ(……私の手、一瞬、透けてた……?)
.
217
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:08:20 ID:FEmaBN8A0
第5話 終わり
.
218
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:09:19 ID:FEmaBN8A0
投下は以上です、ありがとうございました
多分次回が最終話になります
あともう少しお付き合いください
219
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:37:49 ID:zGkFeX/I0
乙乙
220
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 00:35:34 ID:D3AzzE/.0
新しいの来てる!そして次が最後か悲しくなるなー
とりあえず乙
221
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 01:11:51 ID:0fyHT7oc0
乙です
ジョルジュがなかなか見ない酷さだった
ツンはよっぽどここが気に入ったんだね
222
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 01:30:50 ID:7mPPG6Lo0
乙です
職場のみんなが頼もしくてよかった
ツンちゃんよく耐えたなあ
やり返したいのに動けなかった辛さが……泣きそう
223
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 04:31:29 ID:nEKLfsXM0
乙!
224
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 07:43:34 ID:2im/P/jw0
お疲れ様です
みんな素敵だなあ 現実でも、こういう性格の人が多ければいいのに
225
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:38:56 ID:ycEbBpzE0
乙ありがとうございます
お陰様で今日まで書いてこれました
最終話投下します
226
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:39:16 ID:ycEbBpzE0
(*゚ー゚)「ツンちゃん、大丈夫?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「う、うん……」
( ・∀・)「どうしたんだい? 随分大きい音がしたけど」
(*゚ー゚)「あ、店長……ツンちゃんがちょっとドライヤー落としちゃって」
( ・∀・)「そうか。お客様がいなくてよかった」
(*゚ー゚)「ツンちゃん、最近よく物落とすよね。疲れてるんじゃない?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「大丈夫。ごめんね、しぃちゃん」
227
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:40:07 ID:ycEbBpzE0
ξ; ゚⊿゚)ξ(どうしよう……どんどんひどくなってる)
ξ; ゚⊿゚)ξ(気を抜いたら手が透けるし、手袋を着けても手袋ごと落ちちゃう)
ξ; ゚⊿゚)ξ(今はまだ手しか透けないけど、きっとそのうち……)
ξ; ゚⊿゚)ξ(……どうしてこんな、急に……)
ξ; ⊿ )ξ(……ううん、理由はわかってる)
228
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:40:49 ID:ycEbBpzE0
ξ; ⊿ )ξ(あいつが……ジョルジュのことが、もう憎くなくなったから)
ξ; ⊿ )ξ(私はあいつを恨んで幽霊になったんだもの。その恨みがなくなれば、この世にいる意味もない)
ξ; ⊿ )ξ(……だけど……)
( ・∀・)「ツンくん、申し訳ないが鬱田様に紅茶をお出ししてくれるかい? 少し手が離せなくてね」
ξ ⊿ )ξ「……わかった」
229
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:41:25 ID:ycEbBpzE0
(;'A`)「あぁ〜〜、来週のことなのに緊張する……何話せばいいのか全然わからないし……」
( ・∀・)「自分から話すよりも、相手の話を聞くことを意識してみるのはいかがでしょう?」
('A`)「なるほど、聞き役に徹するってやつですね」
ξ ⊿ )ξ「お待たせしました、紅茶で……」 スルッ
ξ; ゚⊿゚)ξ「……あっ!!」 ガチャンッ
(;'A`)「うわっち!」
230
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:41:50 ID:ycEbBpzE0
ξ; ゚⊿゚)ξ「す、すみません!」
( ・∀・)「申し訳ありません、鬱田様。こちらのタオルをお使いください」
('A`)「あ、いや、全然大丈夫ですよ。ちょっと手にかかっただけなんで」
( ・∀・)「ですが、袖に少し……本当に申し訳ありません、クリーニング代は弁償いたします」
('A`)「いや、あの、本当大丈夫です。柄物だから全然目立たないし……それに、モララーさんたちにはお世話になってますから」
ξ; ゚⊿゚)ξ「……」
( ・∀・)「……ツンくん、片付けを」
ξ; ⊿ )ξ「……はい」
231
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:42:19 ID:ycEbBpzE0
【美容室Moral スタッフルーム】
( ・∀・)「なぜ呼び出されたのかは、自分でもわかっていると思うけど」
ξ ⊿ )ξ「……ごめん」
( ・∀・)「それを言う相手は僕じゃない。いいかい、ツンくん」
( ・∀・)「ドライヤーを落とそうが、カラー剤をぶちまけようが、それは構わない。備品はまた買えばいいからね」
( ・∀・)「だけどお客様に迷惑をかけるなら話は別だ」
( ・∀・)「疲れているなら休みを出すし、悩みがあるなら聞く。僕も協力するから改善していこう」
ξ ⊿ )ξ「……無理よ」
( ・∀・)「なんだって?」
ξ ⊿ )ξ「休んだって治らない。聞いてもらっても、意味ない」
232
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:42:53 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「ということは、ミスを連発するほどの悩みを抱えてはいるんだね?」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ・∀・)「言うか言わないかは君の自由だけど、少しは信用してくれてもいいんじゃないかい?」
( ・∀・)「……それとも、僕やこの店自体が嫌になってしまったのかな」
ξ ⊿ )ξ「違うっ!!」
( ・∀・)「……」
233
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:43:18 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ(私のこと全然怖がらないし、店に来いだとか言われるし)
ξ ⊿ )ξ(バカみたいな値段吹っ掛けられて、働かされて、最初はムカついたわよ)
ξ ⊿ )ξ(ジョルジュを見つけるまでの暇潰しに、呪い殺してやろうと思った)
ξ ⊿ )ξ(……だけど)
234
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:44:24 ID:ycEbBpzE0
(*'A`)『ツンさん、俺今度、素直さんやクラスのみんなと遊びに行くことになったんです』
(*'A`)『このあと服も買いに行こうと思ってるんです。俺、やっと服屋の店員さんと話せるようになったんですよ』
(*゚ー゚)『ツンちゃん、前行ってたライブのチケット取れたよ!』
(*,,゚Д゚)『しぃが頑張って取ってくれたんすよ。運転俺がするんで、みんなで行きましょう』
ζ(゚ー゚*ζ『ねえねえツンちゃん、今日のモララーちゃんの服すごく似合ってると思わない? 推せるわ〜』
ζ(^ー^*ζ『いつも話を聞いてくれてありがとう。私ね、ツンちゃんが来てくれて、この店がもっと好きになったのよ』
235
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:45:02 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『申し訳ないね、残業に付き合ってもらって』
( ・∀・)『最近はお客様が増えたから忙しくてね。こういった事務作業は後回しになりがちなんだ』
( ・∀・)『ははは、そうだね。そりゃあ疲れるけど、たくさんのお客さんに求められるなんて喜ばしいことじゃないか』
( ・∀・)『むしろこの程度で済んで僥倖だと思っているよ。なんたって僕は、全人類に求められてもおかしくない天才だからね』
( ・∀・)『さて、できた。随分早く終わったよ』
( ・∀・)『ツンくんのおかげだね。ありがとう』
236
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:45:31 ID:ycEbBpzE0
ξ ;⊿;)ξ「嫌になんか、なってない」
ξ ;⊿;)ξ「この店も、お客さんも、みんなも、大好きだもん」
ξ ;⊿;)ξ「髪も綺麗に巻けるようになったし、化粧も上手くなったもん」
ξ ;⊿;)ξ「私、ずっとここにいたい」
ξ ;⊿;)ξ「……消えたく、ない……」
237
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:46:28 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「……ツンくん」
( ・∀・)「……その手は……」
ξ ;⊿;)ξ「……」
ξ ;⊿;)ξ(もう、ダメなのね、きっと)
ξ ;⊿;)ξ(手袋も着けられなくなった。手首から先が、もう何の感覚もない……)
238
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:46:53 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「まだ、髪には触れるかな」
ξ ;⊿;)ξ「……え?」
( ・∀・)「最初に会ったとき以来、ずっと切ってなかったと思ってね」
( ・∀・)「久し振りに切らせてくれるかい? 今回は無料で構わないから」
239
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:47:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「では、前を失礼」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
( ・∀・)「髪質も随分変わったね。指通りが格段に良くなった」
ξ ゚⊿゚)ξ「……あんたの家、高そうなヘアケアグッズばっかりじゃない。あれを使い続けたらそりゃ変わるわよ」
( ・∀・)「道具よりも、それを使う人間の心構えだよ」
( ・∀・)「入浴前にしっかりブラッシングして、ドライヤーで丁寧に乾かして、トリートメントでケアしたのは君自身だ」
( ・∀・)「面倒臭がりながらでも続けたことが結果に現れてる。君が頑張ったから、今の髪があるんだよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
240
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:47:45 ID:ycEbBpzE0
ξ ゚⊿゚)ξ「あんたって変人だしキモいしウザいけど、美に対する真摯さだけはすごいと思うわ」
( ・∀・)+ 「光栄だね。もっと褒めてくれてもいいんだよ?」
ξ ゚⊿゚)ξ「そういうところがキモいって言ってんのよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「でもまあ、美容師が天職って感じの人間よね、あんた」
( ・∀・)「この道を選んだのはなんとなくだったんだけどね。運命というものはわからないものだよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「ふーん……」
241
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:48:15 ID:ycEbBpzE0
ξ ゚⊿゚)ξ「……ねえ。美容師って、いつも客の話を聞く立場よね」
( ・∀・)「うん? まあ、基本的には聞き役に回ることが多いね」
ξ ゚⊿゚)ξ「だったらさ、今日はあんたの話を聞かせてよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「どうして美容師になったの? なんとなくで目指す前から、美容が好きだったの?」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「そうだね。たまには自分の話もいいかな」
242
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:49:12 ID:ycEbBpzE0
最終話『店長:森谷モララー』
.
243
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:49:41 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「ツンくんは、僕のことを美しいと思うかい?」
ξ ゚⊿゚)ξ「だからそういうところが……ああもうわかったわかった、はいはいあんたは美しい」
( ・∀・)「そうだろう。なんたって美しく作ってもらったからね」
ξ ゚⊿゚)ξ「……は?」
( ・∀・)「整形だよ」
( ・∀・)「十八歳のとき、僕は高校を卒業してすぐに美容外科に駆け込んだ」
( ・∀・)「自分の顔が、大嫌いだったからね」
244
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:50:41 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『こちらでいかがでしょうか』
从*'ー'从『そういう、こういう髪型にしてほしかったの〜! ありがとうございますぅ!』
( ・∀・)『気に入っていただけて何よりです。またのご来店をお待ちしてます』
( ・∀・)『……はぁ』
『仕事中に溜息なんかつくんじゃない。お客様に見られたらどうすんの?』
( ・∀・)『別にいいじゃないですか。お客さんもいないし、今店にいるのは僕ら二人だけでしょ』
『はー、本当可愛くないね、お前って』
('、`*川『ったく、これだから今時のガキは』
( ・∀・)『ガキ扱いするのやめてください、伊藤先輩』
245
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:51:12 ID:ycEbBpzE0
整形したあと、美容関連の職業に就こうと決めた。
だけどそれは『自分のように悩んでいる人達を救いたい』なんて綺麗な動機じゃない。
整形するにあたって集めた膨大な知識が、自分の武器だと思ったから。ただそれだけ。
医者になれるほど頭が良いわけではない。
美容部員は男だと厳しいかもしれない。
美容師を目指したのは、ただの消去法だった。
専門学校で二年間学んで、僕は美容師になった。
246
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:51:39 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『あんたって腕はいいんだけどねー、情熱が足りないんだよね』
( ・∀・)『なんですか情熱って。美容師なんだから、テクニックがあれば十分でしょ』
('、`*川『ダメダメそんなんじゃ。あんたね、相手は生身の人間よ? 情熱を持って対応しないでどうすんの』
('、`*川『ただ切るだけなら誰でもできるの。お客様一人一人に向き合って、幸せを提供するのが美容師ってもんよ』
( ・∀・)『……はぁ』
伊藤先輩は数年前から店で働いていて、入れ替わりの激しいこの世界ではそれなりの古株だった。
だけどそれを差し引いても、彼女は周りのスタッフにもお客様にも気に入られていた。
247
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:52:10 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『美芹様、いかがでしょうか?』
ミセ*゚ヮ゚)リ『今回もめっちゃ可愛いですっ!!』
ミセ*^ヮ^)リ『伊藤さんに担当してもらったら、もう他の人指名できないですよ〜!』
('、`*川『うふふ、そうでしょう』
+('、`*川『なんせ私は天才ですからね』
( ・∀・)『……その私天才って言うの、ナルシストすぎて引くからやめたほうがいいですよ』
('、`*川『お黙り、このクソガキ』
248
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:52:51 ID:ycEbBpzE0
伊藤先輩は腕が良かった。
だからたくさん指名されているし、周りのスタッフにも一目置かれているんだろうと思っていた。
( ・∀・)『なんですか? それ』
('、`*川『美芹様のカルテ。今までの施術の記録とか、持ってきていただいたスクラップを挟んでるの』
( ・∀・)『……この趣味とか好きな食べ物とか、メモする意味あるんですか? 施術に関係ないじゃないですか』
('、`*川『関係ないからって切り捨てていったら何も残らないでしょうが。こういうのはね、しっかり覚えておかなきゃいけないの』
('、`*川『私達は人間を相手にしてるのに、相手のことを知らずにいてどうすんのよ』
249
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:53:24 ID:ycEbBpzE0
お客様のどんな些細なプロフィールも覚えていた。毎日遅くまでカットの練習をしていた。
天才を自称する代わりに、妥協や手抜きは絶対にしなかった。
だからみんな彼女のことが好きだったんだ。
('、`*川『私、来月で辞めるから。あとよろしく』
( ・∀・)『…………は?』
そんな人が辞めるなんて、考えもしなかった。
250
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:53:51 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『伊藤先輩、なんで』
('、`*川『実はもう伊藤じゃないんだよねー。盛岡先輩です』
( ・∀・)『誰……ですか、盛岡って……』
('、`*川『そりゃ旦那の苗字でしょうよ。今日の送別会、あんたもくるよね?』
送別会では惜しむ声ばかり聞こえてきた。
花束を渡す係が堪え切れずに泣いて、彼女は笑いながらその背中を擦っていた。
僕は泣かなかった。笑顔で見送ることもできなかった。
誰かが「ドッキリでした!」なんて言い出さないかと思っていた。
当然そんなこと、あるはずもなかったけど。
251
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:54:24 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『モララー、このあと暇? 暇よね?』
( ・∀・)『なんですか』
('、`*川『もう一杯だけ付き合ってよ。奢るからさ』
( ・∀・)『まだ飲むんですか? 別にいいですけど……』
彼女はどこかに電話をかけて、それから二人で別の店に移動した。
どこにでもあるような居酒屋のチェーン店。
完全に解凍できてないシャリシャリの枝豆を食べていると、一人の男性が現れた。
('、`*川『これ、私の旦那。盛岡デミタスくん』
(´・_ゝ・`)『初めまして。こんばんは』
( ・∀・)『……はぁ。どうも』
252
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:54:58 ID:ycEbBpzE0
冴えない男。それが第一印象だった。
すっかり酔っぱらった彼女をなだめては、背中をバシバシと叩かれて苦笑いをしている。
見た目通りの人間だな、と思った。
( ・∀・)(服も安っぽいし時代遅れだ)
( ・∀・)(髪の毛だけはきちんとしてるな。伊藤先輩がしてあげてるんだろう)
( ・∀・)(……顔だって、僕のほうがずっと美形じゃないか)
( ・∀・)(……どうして)
( ・∀・)(どうしてこんな奴が、伊藤先輩と……)
253
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:55:23 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『はーっ、楽しかったぁ!』
( ・∀・)『ごちそうさまでした』
('、`*川『はっはっは、くるしゅうない』
(;´・_ゝ・`)『支払いしたの僕なんだけどなぁ……』
('、`*川『あ、私トイレ。ちょっとそこで駄弁ってて』
(; ・∀・)『は? ちょ、伊藤先輩……』
('、`*川『あー漏れる! 行ってきます!』
254
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:55:45 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『彼女、気を遣ってくれたみたいだね』
( ・∀・)『……あの人に限ってそれはないでしょう。トイレに行きたかっただけですよ』
(´・_ゝ・`)『いや、気遣いだよ。僕が前々から君と話したいって言ってたから』
( ・∀・)『……僕と?』
(´・_ゝ・`)『うん。君のことはペニサスからいつも聞いてたんだ』
(´・_ゝ・`)『クソ生意気なクソガキがいて、腕はいいのに情熱が足りない奴なんだって』
(´・_ゝ・`)『……だけどそんな後輩の世話をするのが、楽しくて仕方ないって』
( ・∀・)『……』
255
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:56:23 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『彼女、本当に君に感謝してたよ。メキメキ実力をつけるから自分も負けられないって言ってた』
(´・_ゝ・`)『君のことも、美容師って仕事も、本当に好きなんだと思った』
(´・_ゝ・`)『なのに……僕の転勤が決まったとき、彼女からプロポーズしてくれた』
(´・_ゝ・`)『髪はどこでも切れるからいいんだって、辞める決意をしてくれた』
( ・∀・)『……』
(´・_ゝ・`)『だから僕は、何があっても彼女から離れないって決めたんだ』
256
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:56:53 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『モララーくん。僕はね、ずっと君にお礼が言いたかったんだ』
(´・_ゝ・`)『君のおかげで、ペニサスは毎日楽しそうだった』
(´・_ゝ・`)『正直ちょっと悔しかったよ。僕じゃあんな顔させられなかったからね』
(´・_ゝ・`)『でも……ペニサスの幸せは僕の幸せだ。生き生きしている彼女を見ていたら、僕も元気をもらえた』
(´・_ゝ・`)『だから君にはすごく感謝してるんだ。本当にありがとう』
( ∀ )『…………』
257
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:57:13 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『おまたせー。何話してたの?』
(´・_ゝ・`)『ペニサスが漏らさずに済んだかなって心配してたんだよ』
('、`*川『このデリカシー皆無男が! 天誅!』
(;´・_ゝ・`)『いだっ! 自分から漏らすとか言ってたくせに……あだだっ、叩かないでってば!』
258
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:57:33 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『……いと……』
( ・∀・)『……盛岡先輩』
('、`*川『あぁん? 何?』
( ・∀・)『ご結婚、おめでとうございます』
('、`*川『……』
('ー`*川『ありがと。あんたも仕事がんばりなよ、モララー』
259
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:58:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「僕はね、自分自身に絶望したよ」
( ・∀・)「外見にコンプレックスを感じて整形までしたのに、そんな自分が外見で他人を見下していた」
( ・∀・)「デミタスさんは僕なんかよりもずっと素敵な人だったのにね」
( ・∀・)「顔を美しくしても、心は昔のままだったんだ。……僕は本当に、自分が恥ずかしかった」
ξ ゚⊿゚)ξ「……その人は」
ξ ゚⊿゚)ξ「ペニサスさんは、今も美容師をしているの?」
( ・∀・)「さあ。もう何年も前のことだし、連絡先もわからないからね。確かめようがないよ」
( ・∀・)「でも美容師であろうがなかろうが、どこかで誰かを幸せにしていると思うよ。あの人はそういう人だから」
( ・∀・)「あの人は僕の目標なんだ。昔も、今も、これから先もずっと」
260
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:59:17 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「さて、完成だ。お気に召していただけたかな?」
ξ ゚⊿゚)ξ「……すごく気に入ったわ。とても綺麗」
( ・∀・)「それはよかった。その言葉を聞くことが、美容師の一番の喜びだよ」
( ・∀・)「またいつでも切りに来るといい。社員割引で安くできるから」
ξ ⊿ )ξ「来れるかなんて、わからないわよ」
261
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:59:38 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ「それに、もしも来れたとしても……きっと姿形は変わってるし、私だなんてわかるはずないわ」
( ・∀・)「僕は美容師だよ? 一度触れた髪は絶対に忘れない」
( ・∀・)「ましてやツンくんの髪質はとんでもないタワシっぷりだったからね。間違えるはずがないさ」
ξ ⊿ )ξ「ぶっ飛ばすわよ」
( ・∀・)「ははは」
262
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:00:26 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ「モララー」
( ・∀・)「なんだい?」
ξ ;⊿;)ξ「……ありがとう」
( ・∀・)「どういたしまして」
ξ ;⊿;)ξ「また来るわ。きっと来るから」
( ・∀・)「ああ。いつでもおいで」
ξ ;ー;)ξ「 」
( -∀-)「……」
( ・∀・)「……待ってるよ」
263
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:01:36 ID:ycEbBpzE0
.
264
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:02:05 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「もしもし、ギコくん? 無事に産まれたかい?」
( ・∀・)「そうか、それはよかった。……うん、一旦泣き止もうか。何言ってるか全然わからないから」
( ・∀・)「落ち着いたらお祝いに行くよ。しぃくんにもよろしく伝えておいて」
( ・∀・)「本当におめでとう、ギコくん。これからもお幸せに」
( ・∀・)「……さて、何を贈れば喜んでもらえるかな……」
ガチャッ
l从・∀・ノ!リ人「こんにちはなのじゃー!」
∬;´_ゝ`)「コラ! 勝手に入っていかないの!」
( ・∀・)「いらっしゃいませ」
265
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:02:40 ID:ycEbBpzE0
∬;´_ゝ`)「すみません、もう閉まってるかと思ったんですけど……この子がどうしてもって」
l从・∀・ノ!リ人「ここがいいのじゃ! ここで切るのじゃー!」
( ・∀・)「構いませんよ。一応まだ営業時間内ですし、他のお客様もいませんから」
( ・∀・)「お飲み物は何になさいますか? コーヒー、紅茶、オレンジジュースがございます」
∬´_ゝ`)「あ……じゃあ、紅茶で……」
l从*・∀・ノ!リ人「妹者はオレンジジュースがいいのじゃ!」
( ・∀・)「かしこまりました。少々お待ちを」
266
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:03:23 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「おまたせしました、紅茶とオレンジジュースでございます」
( ・∀・)「キャンディもおつけしているので、よろしければお召し上がりください」
l从*・∀・ノ!リ人「飴ちゃん! わーい!」
∬*´_ゝ`)「あ、この紅茶おいしい……」
( ・∀・)「ではお客様、ケープをかけますので、前を失礼いたします」
∬´_ゝ`)「妹者、あまり動いちゃダメよ。良い子にね」
l从・∀・ノ!リ人「はーい」
267
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:03:52 ID:ycEbBpzE0
∬´_ゝ`)「あの……こちらのお店は、お兄さんがお一人で?」
( ・∀・)「ええ。元は別の店で店長をしていたんですが、数年前に独立しまして……今はここに店を構えているんです」
∬´_ゝ`)「独立ですか。すごいですね」
( ・∀・)「一人でぼちぼちとやっている店ですが、ありがたいことにインターネットで口コミもいただいておりまして」
( ・∀・)「お客様も本日は口コミを見てお越しくださったのですか?」
∬´_ゝ`)「あ、いえ、それが……さっき前を通りかかったとき、この子が『ここに行きたい』って言い出して……」
∬´_ゝ`)「そろそろ髪を切ろうと思っていたのでちょうどよかったんですけど、急に言われてびっくりしちゃいました」
l从・∀・ノ!リ人「ピンときたのじゃ! お兄さんならきっと、妹者をもっと可愛くしてくれるのじゃ!」
( ・∀・)「それはそれは。お任せください、今よりもさらに魅力的にしてみせますよ」
268
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:05:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「では、少し髪に触れますね」
( ・∀・)「……おや、これは……」
∬;´_ゝ`)「ああ、びっくりしたでしょ? この子すごい癖毛なんです」
∬;´_ゝ`)「どこの美容院でも苦戦しちゃうんですよね……ゴワゴワチリチリの剛毛で」
l从#・∀・ノ!リ人「幼稚園の子たち、妹者のことタワシって呼ぶのじゃ! しつれーなのじゃ!」
∬´_ゝ`)「この髪の毛、なんとかなりますかね……?」
( ・∀・)「大丈夫ですよ。お任せください」
( ・∀・)「なにせ以前、同じ髪に触ったことがありますから」
269
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:05:55 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)カリスマ美容師と地縛霊のようです川д川 完
.
270
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:08:36 ID:ycEbBpzE0
以上で投下は終了になります
お付き合いいただきありがとうございました
長編の投下は久し振りでしたが、沢山の方に乙をいただけて嬉しかったです
またお会いできたら何卒よろしくお願いします
271
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:14:50 ID:EOPgy87g0
乙
272
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:37:06 ID:uvZoDu7Y0
乙!良い話だった!
273
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:38:54 ID:LUXkedUs0
乙です
最高でした
274
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 22:27:43 ID:zJsYQR0U0
乙です
面白かった
275
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 22:56:06 ID:ichhwo0M0
乙!お疲れさま!
276
:
名無しさん
:2020/10/10(土) 22:04:17 ID:FYyxHoGY0
完結、お疲れ様でした!
素敵なお話でした!
ありがとうございました!
277
:
名無しさん
:2020/10/11(日) 23:11:21 ID:i2UH0MHE0
いいお話でした
乙
278
:
名無しさん
:2020/10/13(火) 01:03:36 ID:yTxFivMo0
お疲れさまでした!
モララーの経緯が意外で、説得力があってよかったです!
素敵なお話をありがとうございました!
279
:
名無しさん
:2020/10/13(火) 12:15:52 ID:9vPqJRgc0
乙です
280
:
名無しさん
:2021/03/13(土) 23:56:25 ID:6CiI4qB.0
乙でした!!
楽しかったです!
281
:
名無しさん
:2021/12/13(月) 19:30:59 ID:33LWnaAI0
一気読みしました
面白かった、乙!!
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