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( ^ω^)ブーンで学ぶ世界史 「近世西洋史のようです」
118
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 16:54:23 ID:eyEhocic0
さて、このように見てみると、新大陸が「発見」されたことにより、
今まで接点のなかった「新大陸」と「旧大陸」の間で、大きな交易が始まったとみなすことができる。
┏━━━━━━┓
┃ 西ヨーロッパ ┃
┐ ┗━━━━━━┛
/ \
/ \
/ \
銀 / \ 銃器
/ \
/ \
/ \
/ ┘
┏━━━━━━┓ ┏━━━━━━┓
┃ アメリカ大陸 .┃←────────────────┃ アフリカ大陸 .┃
┗━━━━━━┛ 黒人奴隷 ┗━━━━━━┛
アフリカ大陸から新大陸へは『黒人奴隷』が輸出され、
新大陸からヨーロッパへは、まずおびただしい量の『銀』が、そして時代が下ると『砂糖』や『コーヒー』が輸出された。
そしてヨーロッパからアフリカ大陸へはというと……
なんと、実は『銃器』が輸出されていたのであった。
119
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 16:55:28 ID:eyEhocic0
でも、なぜ銃がアフリカに輸出されたのだろうか?
ここからは、あるアフリカ大陸の一日を見てみることにしよう。
・・・・・
・・・
・
120
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 16:56:43 ID:eyEhocic0
______
| 銃1挺 奴隷ト .|
| 交換シマス .|
┏━┏━ |______|
| ̄ ̄ ̄ ̄| ||
|____| ||
∧曰
(*゚ー゚)')
/つ┏━
〜( ノ
し'J ((( ))) ∧_∧ ∩_∩
∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ (∀` ) ( ) ( )
( )( ) ( ) ( ∧_∧( ) ∧_∧
( ∧_∧( ) ∧_∧ ( )∩_∩ ( )
( )∩_∩ ( ) ( )( )( )
121
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 16:57:54 ID:eyEhocic0
∧_∧
(*´Д`) ,-っ
/⌒ヽ/ / _)
/ \\//
/ /.\/ ‐=≡ ∧ ∧
/ ∧_二つ ‐=≡ (*´∀`) ハァハァ
/ / ‐=≡_____/ /_
/ \ ‐=≡ / .__ ゛ \ .∩
/ /~\ \ ‐=≡ / / / /\ \//
/ / > ) ‐=≡ ⊂_/ / / .\_/
/ ノ / / ‐=≡ / /
/ / . / ./ ‐=≡ | _|__
/ ./ ( ヽ、 ‐=≡ \__ \ ウワーキモイヨー
( _) \__つ ‐=≡ / / / ((( )))
. ̄ ``) ‐=≡ // / -=≡(Д`; )
`)⌒`) ‐=≡ / | / -=≡ / つ┏━
;;;⌒`) ‐=≡ / /レ -=≡ 人 Y
;;⌒`)⌒`)‐=≡ (  ̄) -=≡ し'(_)
122
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 16:59:16 ID:eyEhocic0
/ /i/ヾ/ \iヽ/\i /\
./ / / ヽ ヾ ヽ
| | | | | |i ミシミシ
\ \ ヽ / / / ∧ ∧
ヽ ヽ, ヽ_/ / / / ヽ_ / ヽ
/ / `、⌒ヾ⌒ヽ/ ヽ
/ / \ / u (.....ノ(....ノ / ヽ
l:::::::::. ____ | u .:(....ノノ
|:::::::::: | | / ̄ ̄ヽ ::::::::::::::/`ヽ
|::::::::::::::::: | | (___..ノ u::::::::::::::::::::(....ノノ
ヽ:::::::::::::::::::/ ̄ ̄ ̄\ ヽ u ::::::::::::::::::::::::::::ノ
123
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:00:13 ID:eyEhocic0
Λ_Λ
(´Д`*)
/ ⌒)
/ / .// \__
/ ///\_ _ )
/// // _/
((( ))) oo⊂⊂)_) | | (
(´Д` ,,) o∞° | |\\
━┓と つoo∞° | | \\
Y 人 / ノ > `ヽ
(_ノ J (_/ (__/
124
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:01:34 ID:eyEhocic0
_ ∧_∧
/ jjjj _ /( ´Д` )つ
/ タ {!!! _ ヽ、 l | ⊂_ヽ、
( ̄) ,/ ノ ~ `、 \/ /__ノ | .\\ Λ_Λ
|| ∧_`、 `ヽ. ∧_∧ , ‐'`/ /∧_∧| | \ ( ´Д`)
ヽ \( ´Д`..\ `ヽ( ´Д` )" .ノ/ / ( ´Д / .//⌒つ > ⌒ヽ
\ ∧_∧.._ヽ. ``Y" r 'ノ/ /_ ∧_∧ ∧_∧ / へ \..Д
( ´Д` )( ..) .. `、 ⊂二ノ\(´Д`;)( ´Д` ) / / .. ∩
/ .. ヽ ̄ `、.` -‐´;`ー イ ∩_ )_ ( / \ (⌒. ∧_∧ ..| |
| .∧__(_) ∧_∧ ∧_∧ ∧) Λ .∧_∧\_/ ./( ´Д` )//
| | ( ´Д` )_( ´Д` )_( ´Д` )( ´Д`.. ) .( ´Д` )/ / ∧_∧_∧∧_∧ /つ
| | (/ ヽ / ヽ、 (_) _\ │ ( ´Д` )Д`( ´Д` ) / /
..∧_/| | | | \ | ∧_∧| | ⌒ヽ ∧_∧.| |∧ (⌒) _\ /丿 ⌒ /
( ´Д` | | ヽヽ ∧_∧ | ( ´Д` ) |. y .( ´Д` )| | ) / , ..//.. ヽ //
ヽ | |∧_∧ヽ( ´Д.∧_∧ (___) . / / /⌒ヽ ( ( ∬( \ノ i ノ/ ∧_∧
/ | ( ´Д` )∪ .( ´Д` ) . /⊂__//⌒/⌒/ / |__⊂===⊃_ / ( ´Д` )
| | (_/ ヽ | |_/ (⌒\___/ / | |_|_/ / | ..ヽ....:::::::ノ \∧_∧ / ヽ _
ヽ ヽ | ヽ、\| | .~\ . ノ .ノ. ⊂__/ |\ ~~~~~ \Д`) || ∧__(_)
(_)__| |ヽ、二⌒) ̄ ̄ ̄ ̄ \...\. ..| | |___/\| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||( ´Д` )
|\ .| ヽ\..|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||.\|| ̄/ / ( . ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \───⌒ ヽ| .|.
| (⌒)、__ .|| ̄ ̄ ∧_∧ ̄ || .. ||.(_(_ /... ̄ ̄ ̄|| \__\\/\__ノ
. //\ \i ⌒ヾ( ´Д` ) . ||.. || \/||∧_∧ ∧_∧ ∧_∧\_ ∧_∧
| |∧_∧  ̄ ̄ ̄| | i\\ ∧_∧ /∧_∧ | ""( ´Д`)(´Д` ) ( ´Д`)" ( ´Д` )
 ̄ ̄ ̄( ´Д`) ノ / \_( ´Д`) ( ´Д` )| ∧_∧ ____ノ⌒ヽ / ヽ
-∧_∧\___ ∧_∧ ( ̄) \\ /⌒)(⌒\ (二二(´Д` ) ____ / .| | |
..( ´Д` )\____(⌒( ´Д`)../ / \\ ̄  ̄\ (二二二_ノ───\ (⌒\|__./ ./
/ ⌒\ \ .../⌒ ̄ ⌒ヽ\ \_.∧_∧U、 .∧_∧..∩____. |,.\ . ~\_____ノ|
| .\ \ \ / /し /| |::::::\ \(´Д` )::::゙( ´Д` ):::| |::::∧_∧:\ / \ \│
| |\ v' ))../ く_| |::::::∧_∧ /つ ヽ:/⌒ ヽl. l:::( ´Д` ..):::::\ | ,. i \______\ (⌒)
| /⌒ー'∥(∵(_ __ ヽ ( ´Д` )| | /| | ..| |\ (  ̄ ̄'' - 、| /.| |\||____||~//
| / イ || .. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\\. ̄.| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ ∧_∧ . | | | || ||/∧_∧
| . / | || .\\ | | _./⌒.i ( ´Д`) / .  ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄( ´Д`)
\_/ (__つ し'(ノ __/⌒ | |ー--イ .i...  ̄_||___|| /__ つ
((( )))
∧曰 ∧曰 ( ´∀`)
(*゚ー゚)(*^ー^) ━┓と´ ノつ┏━
( | ̄ ̄| ) 人 Y
| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (__(__)
125
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:03:00 ID:eyEhocic0
____
____|_ __|
______ ______ ______ .|(´Д`)⌒`つ| ・ )
|(´Д`)⌒`つ||(´Д`)⌒`つ||(´Д`)⌒`つ| |(´Д`)⌒`つ|と )
|(´Д`)⌒`つ||(´Д`)⌒`つ||(´Д`)⌒`つ| |(´Д`)⌒`つ| 人
|(´Д`)⌒`つ||(´Д`)⌒`つ||(´Д`)⌒`つ|  ̄ ̄ ̄ ̄(_ )__)
 ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
126
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:04:49 ID:eyEhocic0
f .,;:;:;:.:.:.:.: : : : : : : :.:.:.:.:.:.;:''
,|| :;:;:;:;.:.:.:.: : : : : : : :.:.:.:.:.:.:;
_ ,. '゙ ||ヽ、 ..;:;:;:;: : :.:.:.: : : : : :.:.:.:.:.:.; ''
7~"''==≧,ヽ」_;:;:;:;:.:.:.:.: : : : :.:.:.:.:.:.:.:.;:;
,' T: : ,ィ:.:.:: : :.:.:.: :.:.:.:.:.;: '
/ l/ ,!: : : ::.:.:.:.; :.:;:;:;''
i l l : : : :.:.:.:;:;:;:;: '
~!'' ー-= ..,,,_ λ ,/: : : :.:.:.;:;:;:''..
_lf `"''‐゙y:.:.:.:.: : :;;;;;:::''
ォ≦,,_ !l` 、 ,'.. .,,:: :;;;;::'''"
! ~"''==≧;;_ ,,_ l:.:. :;;:'''"
l ~"'''=ォ"''' テ'';;;:''",.
ゝ 7 ,.ク ,,:;;:''
`l''‐- .,,_ !-ッ/,,;;:::'''
ヘ ~"'' ‐- ,,レ゙,/;;''
\ /y';:''
〈`''ー- .. ,,,_,ンン
リ゙ォッ.‐ッ'゙ ,才゙
/'//ィ''゙
/</'゙
/'゙
/'゙
/'゙
゙´
127
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:07:01 ID:eyEhocic0
………ということで、いかがだっただろうか。
アフリカ大陸では、銃器を利用して黒人同士が争うことによって奴隷を生産していたのであった。
┏━━━━━━┓
┃ 西ヨーロッパ ┃
┐ ┗━━━━━━┛
/ \
/ \
/ \
銀 / \ 銃器
/ \
/ \
/ \
/ ┘
┏━━━━━━┓ ┏━━━━━━┓
┃ アメリカ大陸 .┃←────────────────┃ アフリカ大陸 .┃
┗━━━━━━┛ 黒人奴隷 ┗━━━━━━┛
そしてこれにより、大西洋を挟んだ三角形の交易網が完成することになる。
それまでの地中海を経由したアジアとの貿易(
>>17
を参照)から、
大西洋を介した三角貿易が新たに発達し始めるのであった。
この交易網の変化のことを、『商業革命』と呼んでいる。
128
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:08:29 ID:eyEhocic0
また、これで銀を入手できる西ヨーロッパ世界が大儲けしたかというと、実はそうではない。
┏━━━━━━┓ 銀 ┏━━━━━━┓ 穀物・木材 ┏━━━━━━┓
┃ 中国・インド .┃←───── ┃ 西ヨーロッパ ┃←──────────┃ 東ヨーロッパ ┃
┗━━━━━━┛ ┐┗━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛
/ \
/ \
/ \
銀 / \ 銃器
/ \
/ \
/ \
/ ┘
┏━━━━━━┓ ┏━━━━━━┓
┃ アメリカ大陸 .┃←────────────────┃ アフリカ大陸 .┃
┗━━━━━━┛ 黒人奴隷 ┗━━━━━━┛
東ヨーロッパでは、生活必需品である小麦の生産が盛んとなり、
商業の中心地となった西ヨーロッパへの輸出が拡大する。(※右上部分です)
129
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:10:05 ID:eyEhocic0
また、引き続きアジアとの貿易は維持されていたことから、
香辛料と引き換えに、銀はアジアへと流出していくことになる。
(※ヨーロッパからアジアに輸出する品物がほとんど無い。つまり貿易赤字)
\ ヽ | / /
\ ヽ | / /
\ ヽ | / /
. \ ヽ | / /
\ ヽ / /
‐、、 \ ∧∧ / _,,-''
`-、、 /明\ アイヤー マタデバンアルヨ _,,-''
`-、、 ( `ハ´ ) _,,-''
` ( ̄\ / \
( ̄ ̄ `i |ξ)
──────( ̄ ̄ |/| | ────────‐
( ̄ ̄ | | |
( ̄ ノ /  ̄ ゙‐-、
_,,-'' ̄ ̄ / ___ `-、、_ `-、、
_,,-'' / /  ̄`-、、 \、 `-、、
,'´\ / / | | /`i
! \ _,,-┐ / | |r‐-、、 / !
゙、 `ー--<´ / / | |゙、 >-一'′ ,'
y' `ヽ/ / | |ヽ '´ イ
この結果、当時の中国に存在した『明』では銀が大量に溢れることになり、
ついには銀が貨幣として流通し始めることになるが………
これはまた別の機会にお話ししましょう。
130
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:12:09 ID:eyEhocic0
ともあれ、西ヨーロッパにおける”商業の中心地”となれば、
その国の繁栄は約束されたようなものである。
♪ コ シ ョ ウ デ マ タ ー リ ハ ニ ャ ニ ャ ニ ャ ー ン ♪
|._∧ . ∧ ∧ . ∧ ∧ ∧ ∧
|::∀ ) (ヽ*^ワ)') (ヽ*^ワ)') (ヽ*^ワ)')
|:: ) ヽ ノ ヽ ノ ヽ ノ
|:| | . 〜( ,つ . 〜( ,つ. 〜( ,つ
|:;)_) ⌒Y⌒ し" ⌒Y⌒ し" ⌒Y⌒ し"
さて、スペインとポルトガルは、大航海時代を経て”商業の中心地”になれたのだが………?
そこに勝負を挑む勢力が一つ―――
******************************************************************************************************************
131
:
◆ImMEukpfHw
:2020/05/23(土) 17:15:02 ID:eyEhocic0
以上、今日はここまでです。
次回は少し場所を変えて、ヨーロッパでの争いについて解説予定です。
これで書き溜めが尽きてしまったので来週の投下は難しいかな……
間に合えばまた来週ということで、引き続きよろしくおながいします。
132
:
名無しさん
:2020/05/23(土) 17:17:17 ID:tgPuAWYQ0
otsu
133
:
名無しさん
:2020/05/23(土) 18:35:46 ID:WbkCrngE0
乙でした!
134
:
名無しさん
:2020/05/24(日) 16:30:51 ID:Xk7gChFw0
おつ
135
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 22:58:42 ID:Bo5fOTQM0
Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・)< 受験生の皆さん、お疲れ様なんだからな!
_φ___⊂)__ \_________________
/旦/三/ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
|愛媛みかん|/
約2年ぶりで申し訳ない。
136
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 22:59:32 ID:Bo5fOTQM0
●欧州リーグ ペナントレース開幕!
OWATA WORLD TIME
000000 Ox00 1-1
__________
|。 。|
| SUPER |
| |
| OWATA BROS. |
|。 。|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Ω 1 PLAYER OWATA
2 PLAYER OWATA
/ ̄\ TOP- 000000
/ ┏( ^o^)┓
/ ┃┃\ 彡ミ彡ミ彡ミ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『イタリア戦争』という戦争がある。
15世紀末に始まったこの戦争は、
その名前のとおり、イタリアが大活躍する輝かしい戦争―――
137
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:00:09 ID:Bo5fOTQM0
………ではない。
OWATA WORLD TIME
000000 0x00 1-1
§
§
§
§
| | .§ | |
| | | | |§| | | | | |
____§_____
|。 。|
| SUPER |
| | アッーーー!!
/ | OWATA BROS. |
/ |。 ◎ ◎ ◎◎ 。|
/ ▼◎▼ ▼◎ ▼◎▼ ▼◎ミ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
イタリアを主戦場にして争われた、『フランス』と『神聖ローマ帝国』の戦争であった。
この戦争は、断続的に50年以上も続くことになるが、
近世の開幕戦と言っても過言ではない、重要な戦争なのである。
138
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:00:43 ID:Bo5fOTQM0
だが、なぜイタリアを戦場にした争いがこれほど長く続いたのか?
また、ここまで長く続いた戦争は、ヨーロッパの諸勢力にどのような影響を与えたのか?
ここからは、ルネサンス華やかなりしイタリアを蹂躙した争いから、近世を概観していきましょう。
┏(;^o^)┛ 「ちょっとwwwこの雑な扱いは何なんですかwwwwww」
渡辺さんの呪いだよ。
139
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:01:10 ID:Bo5fOTQM0
さて、中世が終わったばかりのヨーロッパ情勢は、いつも通り複雑怪奇な状況であった。
いったんここで諸勢力を整理しておこう。
∧,,∧
フランス王国 ……ミ,,゚Д゚彡 フサギコ
他国に戦争を吹っかけては敗北しまくるクソザコナメクジ。
中世のように謙虚に振舞っていればよかったものを……
神聖ローマ帝国(ハプスブルク家) ……('A`) ドクオ
神聖でもローマでも帝国でも無くなっているクソザコナメクジ。
戦争は他国に任せておけ、というのが家訓。
イングランド王国 ……ξ ゚⊿゚)ξ ツンデレ
百年戦争の結果、大陸から叩き出されたクソザコナメクジ。超内弁慶。
ほんとブリカスはぐうの音も出ないほどの畜生だな。
140
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:01:59 ID:Bo5fOTQM0
15世紀後半、『百年戦争』に勝利したフランスの『ヴァロワ朝』は、
イングランドを大陸から叩き出し、ついにフランス全土を統一することに成功した。
,,-、く~~ヽ、 っ ヽ, /~~ (
( __ノ ヽ-, | ) /´
_/ | _ ,ノ ヽ `) ~|
\___ノ )`´ | __ ,) レ〜、
,-´、_ ´つ /~~~´
,,-〜ξ#゚⊿゚)ξノ /
´〜〜〜〜、_ノ ,〜-´
、-、 ,,-ノ
|~~~~`ツ
`ヽ,
~ヽ (゚A゚#)
) ∧,,∧
,,、,,-、 | ミ,,^Д^彡
| `‐- 、, ノ ,--,
/ ~`〜〜´ \(^o^)/) ヽ
/ ,〜、__ _〜´ `丶 ヽ `ヽ
∧∧ | `-´ _、 `| `|, \
/(゚ワ゚*) ∧∧ .,__,-´ ( ! \(^o^)\ ~~~`ヽ,,_
`/ (゚Д゚,,) / 、二, `ヽ_,,  ̄く |
/, ( _ 、‐、 ο ´i | `-、(^o^)~_\ i
~ `´ヽ, /´ ~ `´ ) ,,_| `i ヽ, `´ ヽ
|__,,-‐‐-、,, ,,-‐` `´ ) ,-! )
,,-‐、 ~ i~~`-‐フi_/
_,,/ ` ‐-´i_ - ‐ ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐ ´`‐`―´~ヽ,っ `\_ )
∧,,∧
ミ,,^Д^彡 「フランスを統一したワイ、ぐう有能すぎや! 重装騎兵弱すぎィ!」
∧,,_,,
ミ(;;)д;ミ 「うちの王様、全然謙虚じゃなくなっちゃったデチ……」
↑フランス諸侯(=国内の貴族的なやつら)
141
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:02:31 ID:Bo5fOTQM0
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「やっぱ辛気臭いイングランドばっかり相手してたらアカンな。
最後に一か所だけ拠点を残してやったが、もう完全にアウトオブ眼中や」
∧,,∧
ミ,,^Д^彡 「せや、このままいっちょイタリアにも遠征してみるやで〜」
∧,,_,,
ミ(;;)д・ミ o0(なんか口調も変わってるデチ…… 関西弁か何か?)
国内の統一を果たしたフランスは謙虚さを失い、対外的な拡大路線を取るようなる。
まず手始めに、南イタリアに存在した『ナポリ王国』の王位を主張して、
イタリアに侵入したのであった。
142
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:03:39 ID:Bo5fOTQM0
一方、イタリアはというと……
(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)
(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^) < ヴェネツィアジェノヴァミラノピサウアウアー
(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)
±
/=ヽ
\(^o^)/ < ぼくは ろーまきょうこう です
ξ ^p^)ξ < わたしが(ナポリの)町長です
(;'A`) 「こいつら全くまとまる気配がない……」
当時のイタリアは、都市国家が乱立する状況でまとまりがなく、
全体として『神聖ローマ帝国』の影響下に置かれている地域であった。
詳細はここら辺ですね。
ttp://ansokuwww.blog50.fc2.com/blog-entry-631.html
143
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:04:18 ID:Bo5fOTQM0
また、当の神聖ローマ帝国は………
('A`) 「おっすおっす、ハプスブルク家です。新しく神聖ローマ皇帝になりました」
('A`) 「とりあえず、ローマ教皇に戴冠の儀式をやってもらわないといかんのだが………」
(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)
(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^) < ディーフェンスwwwwディーフェンスwwwww
(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)
(;'A`) 「ローマに行けないんだけど………どうしよう」
ご存じの通り、神聖でもなければローマでもなく、帝国ですらないような状況であった。
(※これがびっくり、この神聖ローマ帝国という国は、ローマではなくドイツに存在したんです)
時の皇帝は、とりあえずエライことを世の中に示すため、
即位に当たってはローマ教皇に帝冠を授かろうとし、何かとイタリアに関わらなければならなかったのである。
144
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:04:56 ID:Bo5fOTQM0
そんな感じで諸勢力が錯綜するなか、
イタリアの支配権を巡って、フランスと神聖ローマ帝国の両者が激突する。
∧,,∧
ミ,,^Д^彡 「ということで…… イタリア初めてンゴwwwwwwよろしくニキー!!!!wwwwwwww」
(゚A゚) 「ちょい待てや! なに人様の裏庭に手ぇ出してんだ!! 」
┏(;^o^)┓ 「いや裏庭じゃなくて私の家なんですが……… アッーーーー!!」
145
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:05:23 ID:Bo5fOTQM0
∧∧ ∧,,∧ ◎ ◎
ξ ゚⊿゚)ξ (,,゚Д゚) ミ,,^Д^彡 ◎ ◎ (゚A゚#)
◎ ◎
イングランド スペイン フランス イタリア ド イ ツ
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ イ タ リ ア 戦 争 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
こうして始まった戦争が『イタリア戦争』であった。
146
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:05:59 ID:Bo5fOTQM0
さて、イタリア戦争は途中で休戦と合従連衡を繰り返しながら、しばらくダラダラと続いていくが……
-=≡∧,,∧ミヽ (__/ シュッ _
.(#)⌒ミ#゚Д゚彡ノリ (_ // ミ
`ミ と_,彡' ´ 三二==── ((;^o^) (A`#)//
〜ミ _) '' ( )O
(_/´ >\
∧,,∧
ミ#゚Д゚彡 「あのさぁ… ハプカス何度もしつこいで!
イタリアはワイのもんや言うとるやろ!」
(#'A`) 「それはこっちのセリフだっつーの! いい加減あきらめろよ!」
147
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:06:37 ID:Bo5fOTQM0
(#'A`) 「ここまで面倒ごとになるとは………かくなる上は仕方あるまい………」
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「お、なんやなんや」
クワッ
(#゚A゚) 「幸いなるオーストリアよ、結婚せよ!!」
……ドクオが!?
148
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:07:13 ID:Bo5fOTQM0
フュージョン! ハッ!
∧∧
(,,゚Д゚) ('A`)
\ ☆
| ☆
(⌒ ⌒ヽ /
\ (´⌒ ⌒ ⌒ヾ /
('⌒ ; ⌒ ::⌒ )
(´ ) ::: ) /
☆─ (´⌒;: ::⌒`) :; )
(⌒:: :: ::⌒ )
/ ( ゝ ヾ 丶 ソ ─
149
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:07:51 ID:Bo5fOTQM0
∧∧
(,,'A`) 「スペイン国王カルロス1世、神聖ローマ皇帝カール5世、ナポリ王カルロ4世、オーストリア大公カール1世………」
∧∧
(,,'∀`) 「み〜〜〜〜んな同じ人間!! 君らを神聖ローマ皇帝の名のもとに支配する男だよ〜〜〜〜〜ん!!!」
『カール5世』(ドイツ語)
または『カルロス1世』(スペイン語)
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「は?」
150
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:08:33 ID:Bo5fOTQM0
∧∧ ∧,,∧ ◎ ◎ ∧∧
ξ -⊿-)ξ (#'A`) ミ゚Д゚#彡 ◎ ◎ ('A`#)
◎ ◎
イングランド スペイン フランス イタリア ド イ ツ
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ イ タ リ ア 戦 争 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
∧∧
(,,'∀`) 「この広大なキリスト教世界を…… 我らが皇帝家、ハプスブルクのもとに統一するんだよーん!」
イタリア戦争の最中に『カール5世』が登場する。
彼は父親がハプスブルク家、母親がスペイン王家出身だったことから、
なんと、神聖ローマ皇帝とスペイン国王(+その他もろもろ)を兼ねることになるのであった。
151
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:09:33 ID:Bo5fOTQM0
こんななりだが、この『カール5世』は近世ヨーロッパを語る上でメチャメチャ重要な人物である。
,ヘ. ,:ヘ.
/: : \__/:: !
/ \
/ / \ 丶
│ \__/ .|
| \/ |
\ /
/ヾ|::::::::::::::::::::::::::::::::::|/\
,-‐、⌒ヽ/ヾ\i::::, . -‐ー'一-., ._i///⌒)ー-、
/`ー、/`,-'-、ヾ_ . : ´ :: : :: : : : / ヽ// 、 ´(__/ヽ.
(`ー-' メ、__, //: : :: : : : : :: :.:{ ∧メ X (__/ .i
(`ー-'、{ |,'ヽ: : :: : : : : : :/ { : ', } _,_,(__//
.`ー'、___,./ ゝ: :: : : : :/ /し':: :: !'` __(__/
{ /: :: : : :: : ::`'ヽ/ : : : : : : |`^'
.ヘ |: : : : : :/し、 : : : : : : : : : : ,'
:V: : : : イ (_ : : : : :,-一'V
.\: : : :`‐-、/: : : :/ /
` : _: : _: : : : _:_`.,- '
´ ̄ ̄
当時のハプスブルク家は、
・スペイン
・南北アメリカ大陸
・現在のオランダ・ベルギーにあたる地域(=ネーデルラント)
・フランス最東部
・南イタリア(=シチリア王国・ナポリ王国)
・オーストリア
・チェコ
・ハンガリーやスロベニアの一部
といったように、とんでもなく広大な範囲を支配下に置いており、
ヨーロッパにおける最強国にのし上がりつつあった。
152
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:10:11 ID:Bo5fOTQM0
∧∧
(,,'∀`) 「だって俺は『自分を信じている』もの。
自分を信じて「夢」を追い続けていれば…… カトリック帝国の夢は必ず叶う!」
∧∧
(,,'∀`) 「そのためには結婚親戚縁組、なんだってやってやる!
戦争だって構やしないさ、戦費は新大陸からいくらでも調達できるもんな!」
元はと言えば、「ローマ皇帝」とはキリスト教世界を統一し、外敵から守護できるような強大な権力のことを指していた。
このため、カール5世は本当にキリスト教世界を統一しようと考えていた節がある。
153
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:11:12 ID:Bo5fOTQM0
,,-、く~~ヽ、 っ ヽ, /~~ (
( __ノ ヽ-, | ) /´
_/ | _ ,ノ ヽ `) ~|
\___ノ )`´ | __ ,) レ〜、
,-´、_ ´つ /~~~´
,,-〜ξ;゚⊿゚)ξノ /
´〜〜〜〜、_ノ ,〜-´
、-、 ,,-ノ
|~~~~`ツ
`ヽ, ∧∧
~ヽ ('∀`,,)
) ∧,,∧
,,、,,-、 | ミ#゚Д゚彡
| `‐- 、, ノ ,--,
/ ~`〜〜´ \(^o^)/) ヽ
/ ,〜、__ _〜´ `丶 ヽ `ヽ
∧∧ | `-´ _、 `| `|, \
/(*゚ワ゚) ∧∧ .,__,-´ ( ! \(^o^)\ ~~~`ヽ,,_
`/ (,,'∀`) / 、二, `ヽ_,,  ̄く |
/, ( _ 、‐、 ο ´i | `-、(^o^)~_\ i
~ `´ヽ, /´ ~ `´ ) ,,_| `i ヽ, `´ ヽ
|__,,-‐‐-、,, ,,-‐` `´ ) ,-! )
,,-‐、 ~ i~~`-‐フi_/
_,,/ ` ‐-´i_ - ‐ ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐ ´`‐`―´~ヽ,っ `\_ )
こうしてカール5世の登場により、
ヨーロッパ全体に影響を及ぼす強大な国―――『覇権国家』が登場するかに思われた。
154
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:11:55 ID:Bo5fOTQM0
だが………
∧,,∧
ミ;゚Д゚彡 「大正義気取りの神聖ローマ帝国め、金で仲間を増やして八百長か?」
∧∧
(,,'∀`) 「効いてるw効いてるw」
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「だが、そんなんで負けるようなフランスじゃないで! うちらの主砲見せたる!」
∧,,∧
ミ#゚Д゚彡 「バッター、ちびフサ―――」
155
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:12:26 ID:Bo5fOTQM0
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「………にかわりまして、スイス人傭兵がお送りいたします」
∧_,,
(#゚;;-゚)
lニlニlニlニ∪ニOニlニlニlニlニlニlニlニlフ
∧_,, 〜;; ;; ノ
(#゚;;-゚) (/"'J
lニlニlニlニ∪ニOニlニlニlニlニlニlニlニlフ
∧_,, 〜;; ;; ノ
(#゚;;-゚) (/"'J
lニlニlニlニ∪ニOニlニlニlニlニlニlニlニlフ
〜;; ;; ノ
(/"'J
『スイス人傭兵』
ハプスブルク家の勢力拡大に対し、当然それを阻止しようとする勢力も登場する。
イタリア戦争の当事者であったフランス国王『フランソワ1世』は、
軍事力として優れていたスイスの傭兵を大量に雇ってカール5世に対抗し………
156
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:12:53 ID:Bo5fOTQM0
∧,,∧
ミ#゚Д゚彡 「さらに助っ人外人! オスマン大先生、そろそろ来て〜」
(ヽ /⌒ ̄二⊃
/ \ .ィハヘヽ / /( 殺伐とした欧州にイスラムの"侵略者"が!
(/^\ \ _ ('、`*川 ( __\
\_ ̄⌒ \ \\\ヽ
 ̄ ̄| / ̄\ \ヽ ヽヽ
___/ / \)ヽ ヽ ヽ
( _ ) \))~
\ ヽ ̄ ̄\ ヽ
\ ヽ \ ヽ
ヽ ) \ \
ヽ ( \ ヽ
`し. \ \
ヽ )
ヽ (
`し
『オスマン帝国』
∧,,∧
ミ,,^Д^彡 「やきうはチームプレーが大切やで!」
さらにはカール5世の根拠地であるオーストリアの背後を脅かすべく、『オスマン帝国』とも同盟を結んだのであった。
これにより、イスラム教国家であったオスマン帝国は、ヨーロッパ諸国の外交関係に引き込まれるようになり、
これ以降、ヨーロッパ諸国の一員としての側面も見せるようになる。
157
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:13:28 ID:Bo5fOTQM0
また、神聖ローマ帝国の内部においてもカール5世への抵抗勢力は存在していた。
∧∧
(,,'∀`) 「この程度で諦めろだって?? いやあぁだよバアァカ!!
そっちがその気なら、こちらも主砲を出すしかないよなぁ……」
∧∧
(,,'∀`) 「バッター、ちびギ―――」
< 待つデチ!!
∧∧
(,,'A`) 「………あぁん?」
158
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:14:11 ID:Bo5fOTQM0
∧,,∧
(;>Д<) 「皇帝の横暴に異議ありデチ! 」
↑ドイツ諸侯(=国内の貴族的なやつら)
∧,,∧
(;・Д・) 「買えば天国に行ける『免罪符』なんて嘘っぱちデチ!
チビタンから毟り取ろうとしてるのは知ってるデチよ!」
∧∧
(#'A`) 「なんだァ? てめェ……」
突然の反乱…… ドクオ、キレた!!
159
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:14:33 ID:Bo5fOTQM0
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:| +
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
. | `-=ニ=- ' .:::::::| +
\ `ニニ´ .:::::/ +
/ヽ、ニ__ ーーノ゙\_
.|. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| トン
_(,,) (,,)_
.. /. |.. 『95か条の論題』 ..| \
/ .|________ | \
ルターさん …… ダディクール
さて、当時のヨーロッパでは、『マルティン=ルター』が発端となった宗教改革により、
それまでのキリスト教(ローマ=カトリック)とは異なる宗派が現れていた。
160
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:15:09 ID:Bo5fOTQM0
┌─┐
|異|
|議│
│あ│
│り.│
∧,,∧ │!│ ∧,,∧ ∧,,∧ ∧,,∧
(・Д・,,)├─┘ (・Д・#) (>Д<,,) (・∀・;)
O┬O )/ O┬O ) O┬O )/ O┬O )/
◎┴し-◎ ◎┴し-◎◎┴し-◎◎┴し-◎
彼らはカトリック教会の権威を否定し、のちに皇帝に対しても「抗議」したことから、
『プロテスタント』(=抗議する人々)と呼ばれることになる。
16世紀前半、神聖ローマ帝国はカトリックとルター派の対立に伴う各種反乱に悩まされていたのであった。
161
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:15:36 ID:Bo5fOTQM0
∧∧ ∧,,∧ ◎ ◎ ∧∧ ∧,,∧
ξ ゚⊿゚)ξ (#'A`) ミ゚Д゚#彡 ◎ ◎ (#'A`> と(Д・#,,)
◎ ◎
イングランド スペイン フランス イタリア ド イ ツ
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ イ タ リ ア 戦 争 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「こいつら反乱起こされとるwwwムエンゴwwwww」
∧∧
(;'A`) 「どうすりゃいいんだ・・・」
本拠地、ドイツで発生した諸侯の反乱
長引くイタリアをめぐる戦争、援軍イギリスも勢いを見せず惨敗だった
ヨーロッパに渦巻く宗教改革の嵐、どこからか聞こえる「カトリックくたばれ」の声
無言で逃げ出し始める傭兵達の中、皇帝カール5世は独り修道院で泣いていた
162
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:16:05 ID:Bo5fOTQM0
\ r'´ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`、::. ___
l} 、:: \ヘ,___,_ ______/::.__| .|________
|l \:: | | |、:.. |[], _ .|:[ニ]:::::
|l'-,、イ\: | | ∧∧ |::.. ヘ ̄ ̄,/:::(__)::
|l ´ヽ,ノ: | | ( 'A`) .,l、:::  ̄ ̄::::::::::::::::
|l | :| | |,r'",´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ、l:::::
|l.,\\| :| | ,' :::::... ..::ll:::: そうだ
|l | :| | | :::::::... . .:::|l:::: これは夢なんだ
|l__,,| :| | | ::::.... ..:::|l:::: ぼくは今、夢を見ているんだ
|l ̄`~~| :| | | |l:::: 目が覚めたとき、
|l | :| | | |l:::: ぼくはまだ12歳
|l | :| | | ''"´ |l:::: 起きたらラジオ体操に行って、
|l \\[]:| | | |l:::: 朝ご飯を食べて、涼しい午前中にスイカを食べながら宿題して、
|l ィ'´~ヽ | | ``' |l:::: 午後から友達とプールにいっておもいっきり遊ぶんだ・・・
|l-''´ヽ,/:: | | ''"´ |l::::
|l /:: | \,'´____..:::::::::::::::_`l__,イ::::
長期化したイタリア戦争は、傭兵に頼っていた各国の財政を直撃
翌日、戦地で荒れ果てたイタリアが発見され、スペインとフランスは静かに破産を宣言した
163
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:16:26 ID:Bo5fOTQM0
16世紀半ば、相次ぐ戦争によってさすがのハプスブルク家も資金が尽き、
これらの戦争を継続することが難しくなっていた。
|
|
|
| 「むきー、皇帝なんだぞ…… 偉いんだぞ……」
| ∧∧
| (ぅA`)
/ ̄ ( ヘヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/
そして、内憂外患により心労が重なったカール5世はついに隠居を決意する。
164
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:17:17 ID:Bo5fOTQM0
うにょーん
∧∧
(゚Д゚,,人'A`)
プチッ
∧∧
(゚Д゚,,)o。 三 。o('A`)
.
165
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:17:45 ID:Bo5fOTQM0
結局のところ、インターネッツなどない16世紀の通信技術では、
ヨーロッパを統べる巨大な帝国を維持することは不可能であった。
∧∧
(,,゚Д゚) ('A`)
『フェリペ2世』 『フェルディナント1世』
∧∧
(,,゚Д゚) 「引き続き日の沈まない国、スペインだゴルァ」
(;'A`) 「引き続き、神聖ローマ皇帝をやっていくぞ……」
このためカール5世の隠居後、広大な帝国はそれぞれのハプスブルク家に継承され、
ふたたびスペインと神聖ローマ帝国(オーストリア)に分割されることになる。
166
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:18:21 ID:Bo5fOTQM0
さて、カール5世の退位と前後して、
ルター派との争いは『アウクスブルクの宗教和議』により、
イタリア戦争は『カトー=カンブレジ条約』により、それぞれ終結することになった。
テメェ… キャッキャッ
∧∧ ∧,,∧ ◎ ◎ ∧,,∧
ξ ゚⊿゚)ξ (;゚Д゚) ミ゚Д゚#彡 ◎ ◎ (#'A`) (∀< ,,)
◎ ◎
イングランド スペイン フランス イタリア ド イ ツ
終結したと言っても、いずれも中途半端に終わったものである。
このためドイツ国内には皇帝への抵抗勢力が残存することになり、
神聖ローマ帝国は引き続き不安定な状況が継続する。
167
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:19:10 ID:Bo5fOTQM0
また、ハプスブルク家とフランスの対立も結局解決することはなく、
今後200年近くにわたり、何度も戦火を交えることになる。
(;'A`) 「ちくしょう……」
__,冖__ ,、 __冖__ / //
`,-. -、'ヽ' └ァ --'、 〔/ /――----、..,
ヽ_'_ノ)_ノ `r=_ノ / ヽ.
__,冖__ ,、 ,へ ,ィ i
`,-. -、'ヽ' く <´ 7_// / \ io +
ヽ_'_ノ)_ノ \> / / ∧ | ゚
n 「 | /。゚ / | |・ °+
ll || .,ヘ / /―‐| /
. n. n. n ヽ二ノ__ { ノ
|! |! |! _| ゙っ  ̄フ ‐´
o o o (,・_,゙> /
カトリックを中核にローマ皇帝として君臨する――そんなカール5世の夢は潰えることになったのであった。
******************************************************************************************************************
168
:
◆ImMEukpfHw
:2022/01/16(日) 23:21:35 ID:Bo5fOTQM0
長らく放置していましたがゆるゆると再開していきたいところです。
次回は16世紀後半にかけて、ヨーロッパ各国の宗教対立を説明する感じですね。
予定は未定ですが、また後日お会いしましょう。
169
:
名無しさん
:2022/01/16(日) 23:43:30 ID:T/ikzMKs0
おお!!!
170
:
名無しさん
:2022/01/17(月) 13:31:11 ID:CRwv51eU0
お帰り。面白かった
171
:
名無しさん
:2022/01/17(月) 22:30:08 ID:ddsiwL2.0
乙
のんびり続けとくれ
172
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:09:50 ID:dYnUdEjk0
さあ今回の投下も始まりました。思ったよりも投下間隔が短いようですが?
\
 ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∩_∩ ∧_∧
( ´∀`) (^∀^ )
●Yゝ ヽ ●Yゝ ヽ
___ノ∥.| / 丿 _ ノ∥ | / ノ
|実況|\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|解説|\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_____∧______________
/
>>1
のやる気が出ている証拠でしょう。
このまま完結まで進めることができるのか、今後に期待ですね。
173
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:10:30 ID:dYnUdEjk0
●申し訳ないがやきうと宗教の話はNG
さて、カール5世の没後のヨーロッパ世界はどうなったのだろうか。
発 者 同 . 。_ ____ 争
生 同 .じ . /´ | (ゝ___) い
.し 士 .レ .__/'r-┴<ゝi,,ノ ro、 は、
.な で .ベ ∠ゝ (ゝ.//` ./`| }⌒j
.い し .ル } ⌒ /`ヽ、_∠l,ノ ・ヽ´
.! ! か の / ´..:.} >、、___, .r、 ソ、`\
/ ..:.:.} / |∨ ` ̄
/ ..:.:./ | 丶
/ _、 ..:.:.:.{ .{.:.:. \
{ ..:Y .ゝ、 {.:.:.:.:. ヽ
|、 ..:/ 丿 .:〉 >.- ⌒ . ヽ
/ {. ..:./ ソ ..:./ .( ..:.:.:` ..:}
./..:.:}.:.:./ ヘ、 ..:./ .\ ..:.:r_,ノ、.:.:}
./..:.:/|.:/ {.:./ X.:.:}.} X X
/..:.:/ .}.:| }:/ .Y丶ヽ Y.:Y
. __/.:/ { } 《.〈、 _,,__>.:》丶 Y.:\
/.:.:.:.:.::/ !.:.:ゝ ゝ.:. ̄ヾ ´:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾゝ \.: ̄>
実はドイツだけに限らず、ヨーロッパ各地でカトリックとプロテスタントによる争い――『宗教戦争』が勃発することになる。
今回は、16世紀後半にかけての各国の動向を中心に確認していこう。
174
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:10:58 ID:dYnUdEjk0
①ドイツ・北欧(ルター派)
さて、
>>166
のとおり、ドイツにおける宗教対立は、
『アウクスブルクの宗教和議』によっていったん収まることになった。
(;'A`) 「ちくしょう、ちくしょおおーーーーっ!!」
∧,,∧
(,,・Д・) 「えっ、今日からルター派を信じてもいいんデチか?」
しかし、この宗教和議は中途半端な妥協の産物であったので、
引き続き神聖ローマ帝国内では、カトリックとプロテスタントの対立が続くことになる。
175
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:11:32 ID:dYnUdEjk0
アウクスブルクの宗教和議では『領邦教会制』が認められたことにより、
「その土地の領主が、その領土における宗教を選ぶ」ことができるようになった。
∧,,∧
(,,・∀・) 「もしかして、ルター派諸侯は許された……ってコト!?」
_
( ゚∀゚) 「ついでにオレもルター派を信じちゃおうかな!」
ζ(゚ー゚*ζ 「あ! わたしもルター派を信じます!」
これにより、中世以来続いていた「カトリックの教会組織を通じた支配」は崩壊したので、
ハプスブルク家に反感を抱く諸侯の間にルター派は歓迎されることになる。
176
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:12:24 ID:dYnUdEjk0
♪キョウコウ ナンテ クソクラエ!!!
♪ムショク コウテイ イッテヨチ!! _
(* ゚∀゚)
∧ ∧ ∧ ∧ / つ ♪イーヤー ヤダヤダ
( ,,>∀) ( ,,・∀) (( (,,(__,, ヽ ))
(( (_@__つ )) (( (_@__つ )) し' .し'
オレ
(#゚A゚) o0(こいつら、皇帝のことを一体なんだと思ってやがるんだ……!)
ルター派の諸侯は徒党を組んで皇帝に対抗し、
対する皇帝側も、カトリックの諸侯を組織して帝国の秩序を維持しようとした。
また、第三極としてカルヴァン派(⇒後述)の諸侯も登場したことにより、
神聖ローマ帝国内はますますカオスな状況に陥ってしまった。
177
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:12:48 ID:dYnUdEjk0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
|
____.____ | いらない
| | | | 国王顧問官を
| | ∧_∧ | | 窓から
| |( ´∀`)つ ミ | 投げ捨てろ
| |/ ⊃ ノ | |
 ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄ | ∧_∧
(´Д` )
⊂ ⊂ )
⊂ ⊂ ,ノo
これらの結果、ドイツにおける宗教対立はまたしても顕在化することになり、
17世紀に入ると大爆発を引き起こすことになる。
これについてはまた章を改めて説明することにしよう。
178
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:13:09 ID:dYnUdEjk0
さて、「その土地の領主が、その領土における宗教を選ぶ」という思想は、
神聖ローマ帝国の枠を飛び越え、広く受け入れられるようになっていった。
_ _
( ゚∀゚ ) 「え、オレは誰かって? オレだよ! プロイセンだよ!」
ζ(゚ー゚*ζ 「わたしはデンマークとかスウェーデンとか、北欧のあのあたりの配役です」
例えば、北ドイツに隣接する『プロイセン公国』や、
デンマーク・ノルウェー・スウェーデンといった北欧諸国にもルター派は受け入れられ、
それぞれの国で国教として扱われるようになった。
179
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:13:31 ID:dYnUdEjk0
この『プロイセン公国』、皆さんは覚えているだろうか?
_ _ ∩
( ゚∀゚ )ノ ))) ドイツのッッ!
( 二つ
ノ 彡ヽ
(_ノ ⌒゙J
⊂ヽ
((( (_ _ )、 開拓力はァーー!
γ ⊂ノ, 彡
し'⌒ヽJ
_ _ ∩
( ゚∀゚ )/ 世界一ィィィーーーー!
⊂ ノ
(つ ノ
彡(ノ
プロイセンは、中世盛期において、神聖ローマ帝国(=ドイツ)の枠から飛び出して
『東方植民』したドイツ人が征服した、バルト海沿岸の地域である。
このためプロイセンは、神聖ローマ帝国外の地域ではあるがドイツ人が多い地域となっていた。
180
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:13:57 ID:dYnUdEjk0
だが、プロイセン公国の周囲には、『リトアニア=ポーランド王国』が強国として君臨していた。
_,,..,,,,_ ビダァァァン!!
/ ;' 3 ヽヾヽ ビダァァァン!!!
〃 i ,l ビダァァァン!!!
‘ ,_,,..((,,_ 〃ゝ U j! _ )))_ ∴ ,“ ビダァァァン!!!
,J∵/ ;' 3 `ヽーっ ) ソノ'" ヽ从/; ’
) : l ⊃ ⌒_つ,..ェ‐'´ ⊂ j! ゞ・,‥¨
.¨ ・`'ー---‐'''''"  ̄゛'''''‐---ー '¨・:‘ .
『ポーランド』
.,,..,,,,_
/ 。゚ 3 「ドイツがあああああああ!!!1ドイツが儂のことをいじめるんじゃああああああああああああ!!!」
_
(;゚Д゚) 「なんだこいつ…… つ、つよいッ! うわああぁぁぁ、助けてくれーーーッ!!」
こんな状況であったので、プロイセン(ルター派)はポーランド(カトリック)の臣下として16世紀を過ごすことになる。
181
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:14:22 ID:dYnUdEjk0
そんな中、プロイセンは神聖ローマ帝国内の
『ブランデンブルク辺境伯領』と合体することに活路を見出すことになった。
_ _ ∩ .∩_ _
( ゚∀゚ )ノ ))) ((( ヽ( ゚∀゚ ) おっ!
( 二つ と二 )
ノ 彡ヽ ノミ ヽ
(_ノ ⌒゙J し⌒ヽ_)
⊂ヽ ノ⊃
((( (_ _ )、 ( _ _) ))) ぱい!
γ ⊂ノ, 彡 ミ,ヽ⊃ γ
し'⌒ヽJ し'⌒ヽJ
_ _ ∩ ∩ _ _
( ゚∀゚ )/ ヽ( ゚∀゚ )
⊂ ノ ヽ ⊃ シンクロ-----! !
(つ ノ ヽ と)
彡(ノ ヽ)ミ
これは、どちらも『ホーエンツォレルン家』が君主となっていたことから、
親族のよしみで合同したものであった。
弱小勢力であったプロイセンは、ここから徐々に力をつけていくことになる。
182
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:14:48 ID:dYnUdEjk0
続いて、北欧地域の状況についても解説しておこう。
もともと北欧地域は、中世以来デンマークを中心に『カルマル同盟』という連合を組んでいた地域である。
ζ(゚ー゚*ζ
『カルマル同盟』
↓
ζ(゚ー゚*ζ ζ(゚ー゚*ζ
『デンマーク』 『スウェーデン』
しかし、この同盟も16世紀になると仲違いし、
それぞれデンマーク(+ノルウェー)と、スウェーデン(+フィンランド)に分裂してしまった。
このため、16世紀以降しばらくの間、両者は北欧の覇権を巡って争うことになる。
183
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:15:23 ID:dYnUdEjk0
かくして、ドイツとその近隣では主要なプレーヤーが登場したことになる。
ζ(゚ー゚*ζ
,,-、く~~ヽ、 っ ヽ, /~~ (
( __ノ ヽ-, | ζ(゚ー゚*ζ
_/ | _ ,ノ ヽ `) ~|
\___ノ )`´ | __ ,) レ〜、 _
,-´、_ ´つ /~~~´ (;゚Д゚)
,,-〜〜` ,,ノ / ∧,,∧ _,,..,,,,_
´〜〜〜〜、_ノ ,〜-´ (,,>∀<) /。゚ 3 `ヽーっ
、-、 ,,-ノ l ⊃ ⌒_つ
|~~~~`ツ `'ー---‐'''''"
`ヽ,
~ヽ (゚A゚#)
)
,,、,,-、 |
| `‐- 、, ノ ,--,
/ ~`〜〜´ __ ) ヽ
/ ,〜、__ _〜´ `丶 ヽ `ヽ
/ | `-´ _、 `| `|, \
/ ,__,-´ ( ! \ \ ~~~`ヽ,,_
`/ / 、二, `ヽ_,,  ̄く |
/, ( _ 、‐、 ο ´i | `-、 ,~_\ i
~ `´ヽ, /´ ~ `´ ) ,,_| `i ヽ, `´ ヽ
|__,,-‐‐-、,, ,,-‐` `´ ) ,-! )
,,-‐、 ~ i~~`-‐フi_/
_,,/ ` ‐-´i_ - ‐ ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐ ´`‐`―´~ヽ,っ `\_ )
皇帝ハプスブルク家が支配する『オーストリア』と、
ホーエンツォレルン家が支配する新興ルター派『プロイセン』。
また、ルター派の広まった『デンマーク』と『スウェーデン』。
そして、カトリックの大国であった『ポーランド』。
彼らは17世紀の”大爆発”をいかにして乗り越えるのか? 他の役者が出そろうまで今しばらくお待ちいただきたい。
184
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:15:58 ID:dYnUdEjk0
②イタリア・スペイン(ローマ=カトリック)
さて、宗教改革を”された側”のカトリックはどのような動きを見せたのだろうか。
O
o
||/\ マードヲアケーマショ ルルール♪
/ 米 \
/|米米米|\ ヨーンデミマショウ ルターサン♪
|米田米| ±
冊|米米米| /=ヽ
 ̄|| ̄ ̄|| ̄L ┗(^o^ )┓┗(^o^ )┓┗(^o^ )┓┗(^o^ )┓┗(^o^ )┓
|| || L ┏┗三 ┏┗三 ┏┗三 ┏┗三 ┏┗三
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もちろんカトリックも、ルター派やそれ以外のプロテスタントに対して無策であった訳ではない。
宗教改革のそもそもの発端は、『免罪符』を売りさばく既存のカトリック教会に対する不満が高じたものであり、
こうした腐敗に対して、カトリック側も様々な形で「反省」することになる。
185
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:16:23 ID:dYnUdEjk0
例えば、16世紀半ば(≒カール5世の晩年)において、
カトリック陣営は『トリエント公会議』を開催している。
O
o
||/\
/ 米 \ アカルイカオーノ コウテイサン♪
/|米米米|\
|米田米|o^ )┓ ニコニコカオダス ユカイナキゾ-ク-♪
冊|米米米| ┗ミ
 ̄|| ̄ ̄|| ̄L
|| || L
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『トリエント公会議』
この公会議では、『免罪符』の販売を禁止するなど、
カトリック側においても一定程度の改革が進められることになった。
186
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:16:47 ID:dYnUdEjk0
つまり、トリエント公会議はカトリック版の”宗教改革”ともいえる存在であった。
このようなカトリック内部における改革運動のことを『対抗宗教改革』と呼んでいる。
/ /── ┌─┐ ┌─┐
/ / / │─│ │─│
\/ / │ │ │ │
/ ───- ────── │--┘ └─┤
∠_ヽ │ │ │ │ │
│ ヽ │ ̄  ̄ │ │
/ │ \ │ │ │
│ │___ │ ∨
/\___/ヽ
(.`ヽ(`> 、 /'''''' ''''''::::::\ <ただ信仰によってのみ救いは得られる。
`'<`ゝr'フ\ + |(●), 、(●)、.:| +
⊂コ二Lフ^´ ノ, /⌒) | ,,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
⊂l二L7_ / -ゝ-')´ + | `-=ニ=- ' .:::::::| +
◎ \_ 、__,.イ\ + \ `ニニ´ .:::/ +
◎ (T__ノ Tヽ , -r'⌒! ̄ `":::7ヽ.`- 、 ./|
||/\ ヽ¬. / ノ`ー-、ヘ<ー1´| ヽ | :::::::::::::ト、 \ ( ./ヽ
/ 米◎ ◎ \l__,./ i l.ヽ! | .| ::::::::::::::l ヽ `7ー.、‐'´ |\-、
/|米◎米\
|米田◎| ティウンティウンティウン
冊|◎米米|◎
 ̄|| ̄◎|| ̄L
||◎ || L
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そして、トリエント公会議の結果、カトリックとプロテスタントとは完全に袂を分かつことになった。
187
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:17:17 ID:dYnUdEjk0
だが、イタリア半島の活躍もここまでである。
┏(;^o^)┛ 「だからwwwこの雑な扱いは何なんですかwwwwww」
∧∧
(,,゚Д゚) 「おめーの出番、ねぇーから!!wwww火曜日のサザエさんとか古すぎるwwwwww」
『イタリア戦争』で壊滅的な打撃を受けたイタリア半島においては、
これ以降19世紀に至るまで、世界史的に意義のある動きを見せることは無かった。
16世紀になると、華やかな『ルネサンス』はイタリアでは衰退していたのである。
188
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:18:20 ID:dYnUdEjk0
結局のところ、『大航海時代』を迎えたヨーロッパ世界では、
”商業の中心地”が地中海から大西洋地域移動してしまったことが非常に大きい。(
>>127
参照)
┏━━━━━━┓
┃ 西ヨーロッパ ┃
┐ ┗━━━━━━┛
/ \
/ \
/ \
銀 / \ 銃器
/ \
/ \
/ \
/ ┘
┏━━━━━━┓ ┏━━━━━━┓
┃ アメリカ大陸 .┃←────────────────┃ アフリカ大陸 .┃
┗━━━━━━┛ 黒人奴隷 ┗━━━━━━┛
この結果、イタリア半島は長らく停滞に苦しむ一方、
大航海時代を制した『スペイン』が、今後のカトリック勢力を牽引することになるのであった。
189
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:19:16 ID:dYnUdEjk0
さて、スペインの状況についておさらいしておこう。
『カール5世』の引退後、スペインはその息子『フェリペ2世』に継承されている。
∧∧
(,,'A`)
『カール5世』
↓
∧∧
(,,゚Д゚) ('A`)
『フェリペ2世』 『フェルディナント1世』
しかし、フェリペ2世の”帝国”は分割されたとはいえ、
・スペイン
・南北アメリカ大陸
・現在のオランダ・ベルギーにあたる地域(=ネーデルラント)
・フランス最東部
・南イタリア(=シチリア王国・ナポリ王国)
といった広大な地域を抱えており、名実ともに、対抗宗教改革を推し進めるカトリックの盟主であった。
190
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:19:37 ID:dYnUdEjk0
∧∧
(,,゚Д゚) 「ということで、”日の沈まない帝国”スペインだゴルァ。
南米から無限に銀を輸入できるから、俺は常勝無敗の無敵艦隊ってわけ」
∧∧
(,,-Д-) 「だが、帝国は広いゆえにカトリック以外の異端を信じる民も多い……
これを何とかするのが、カトリックの盟主としての責務なんだよな」
∧∧
(;゚Д゚) 「……ほら、スペインってしばらく前までイスラム教国に支配されてたし?
そこらへんにまだ残党とかいるんだよね(言いがかり)」
191
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:20:20 ID:dYnUdEjk0
∧∧
(,,゚Д゚) 「ということで、異端の民をカトリックに改心させねばなるまい! これがスペインの宗教裁判だ!」
ジャーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!
.
192
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:20:45 ID:dYnUdEjk0
| まさかのときのスペイン宗教裁判!
└──v────v─────v────
∧ ∧ _丿⌒|_ o=oヽ
(゚ー゚*) (,,゚Д゚) (゚ー゚∪
ノヽ~ノヽ ノヽ~ノヽ ノヽ~ノ゛ヽ,
ん † ) ん † ) ん † )
丿 八 ゝ 丿 八 ゝ 丿 八 ゝ
U〜U U〜U U〜U
∧∧
(,,゚Д゚) 「我らの武器は、突然の登場(中略)教皇への狂信、そして赤い服!」
∧∧
(,,^Д^) 「増大する異端の信仰を一掃する、それが我々イエズス会の使命だ!」
カール5世の時代に組織された『イエズス会』は、
スペイン出身の『イグナティウス=ロヨラ』に率いられ、プロテスタントに対する闘争を推進した。
この結果、プロテスタントが広まりつつあった一部の地域(ポーランドなど)を奪還し、
再びカトリックに引き戻すことに成功している。
193
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:21:15 ID:dYnUdEjk0
また、スペインの活動領域は、
>>102
以降に記載しているとおり、
『大航海時代』を経て地球規模に拡大していた。
∧∧
(,,゚Д゚) 「スペインの植民地はまだまだキリスト教化されてない地域も多い……」
∧∧
(,,-Д-) 「カトリックの盟主としては、彼らも導いてあげる必要があると痛感しております」
()()
彡 と 「ほな、また……。」
このため、イエズス会はスペインの交易網を通じてヨーロッパ外への布教に注力し、
この結果、アメリカやアジアといった地域においてもローマ=カトリックが広まることになった。
194
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:21:40 ID:dYnUdEjk0
, -- 、
/~`丶/ ` 、 ヽ
/ / ̄`ヽ、 `ヽ、 ヽ /
. ヽ , --─‐'" ̄`ヽ、 `ヽ、 ヽ、 ヽ /
ヽ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、 `ヽ、 \ ', /
\ l:::::/゙ヽ,:::::/'''`ヽ、::::::::::`ヽ、 \ \ ', /
\ l:::/ ,':::::l )::::::::::::::::`ヽ、\ ヽ | / <なんでこのAA逆さなん?
`ヽ |::l ,ノ-‐-ヽ_ ,/::::/ ̄`ヽ::::::`ヽヽ ', | /
l,,::',(========) ,/:::/ ヽ、:::::::l | | | /
. | ヽヽ`ー'´`ー'´// ',:::::::l | | | /
| ヽ二),ノ (´_/ |::::r'⌒ヽ |ノ
| \ (´  ̄) |::::| r、. \
| ', { |::::} ) ) ヽヽ
,l __ ', ', ,. -‐-、 |:::::l' ( | |ヽ
/::::)i, --`ヽl ', ∠=== |:::::ヽ `ー' ,ノ:::::',
. /::::::| <・ ),/ ) ヽヽ.<・ )ノ / |:::::::::`ー'´:::::::::::|
',:::::::|`ー─' / ヽ `ー‐'´ 〃 |::::::::::::::::::::::::::::::::|
〉:::::|゙==" ゙===" |:::::::::::::::::::::::::::::::::|
/:::::::::| |:::::::::::::::::::::::::::::::::|
|::::::::::::| |:::::::::::::::::::::::::::::::/
ヽ:::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::|
',::::::::| /:::::::::::::::::::::::::::::/
\::::`ー──────────'::::::::::::::::::::::::::/
\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
\_____________/
ヽ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そして、極東においては『フランシスコ=ザビエル』の活動が有名である。
ご存じのとおり、ザビエルは戦国時代の日本を訪れてカトリックの布教を進めたのであった。
195
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:22:20 ID:dYnUdEjk0
さて、フェリペ2世が君臨する全盛期を迎えたスペインには、二つのイベントが発生している。
∧∧
(,,゚Д゚) 「読者の皆さんに良いニュースと悪いニュースがあります」
∧∧
(,,゚Д゚) 「一つ目は良いニュース。このスペインが………更に強化されることになる」
∧∧
(;゚Д゚) 「いったい、どのように強化されるかというと……」
シィィィ!!!! >
.
196
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:22:49 ID:dYnUdEjk0
シィィィ!!
シィチャンノ デバンガ ナイヨウ!!!
゜。゜ ゜。゜
(;; 〃(ヽ∧∧ /) ミ ;;)
(,, (( と(゙OT*)O⌒`⊃ ,, )
イラッ
∧∧
(#゚Д゚)
197
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:23:25 ID:dYnUdEjk0
∧∧
(*To゙) カワイイ カワイイ シィチャンヲ ムシスルナンテ ヒドイヨウ!!!!
∧∧
(*T0゚) セカイノ ボウエキヲ ギュウジル シィチャンナンダヨ!!!! コショウヲ ワケテアゲテルンダヨ!!!!??
∧∧
(*>O<) シィチャンヲ ムシスルノハ ギャクサツチューナンダヨーーー!!!
∧∧
(#゚Д゚) 「……えー、球審のスペインです(半ギレ)」
∧∧
(#゚Д゚) 「ポルトガル選手を世界から退場と致します」
198
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:24:07 ID:dYnUdEjk0
アフォシィトカ 2chノ クロレキシダロ!!!
∧∧ シィィィ!!!
(#゚Д゚) ) )ヽ)ヽ ´ ・
と つ-‐,);;p゚);・゜´;。・゜
ゝ r‐‐'と と,,)´
(_,/ と,,.,. )〜
彡 し'
∧∧
(#゚Д゚) 「おめーの出番もねぇーから!!」
λ∧
(;;)T;o゙) キョウモゲンキニ・・・グスッ・・・シィシィ・・・シィ・・・
16世紀後半。
当時のポルトガルは、東南アジアとの胡椒貿易がうまくいかず徐々に衰退し始めていた。
これに加え、当時の国王がアフリカで戦死したことにより、王家が断絶してしまったのである。
この隙を狙い、フェリペ2世はポルトガル国王としても即位したのであった。
199
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:24:31 ID:dYnUdEjk0
これが、フェリペ2世によるポルトガル併合である。
,ヘ. ,:ヘ.
/: : \__/:: !
/ \
/ ○ ○ 丶
│ __ |
| │ │ |
\ /  ̄ ̄ \ /
/ヾ|::::::::::::::::::::::::::::::::::|/\
,-‐、⌒ヽ/ヾ\i::::, . -‐ー'一-., ._i///⌒)ー-、
/`ー、/`,-'-、ヾ_ . : ´ :: : :: : : : / ヽ// 、 ´(__/ヽ.
(`ー-' メ、__, //: : :: : : : : :: :.:{ ∧メ X (__/ .i
(`ー-'、{ |,'ヽ: : :: : : : : : :/ { : ', } _,_,(__//
.`ー'、___,./ ゝ: :: : : : :/ /し':: :: !'` __(__/
{ /: :: : : :: : ::`'ヽ/ : : : : : : |`^'
.ヘ |: : : : : :/し、 : : : : : : : : : : ,'
:V: : : : イ (_ : : : : :,-一'V
.\: : : :`‐-、/: : : :/ /
` : _: : _: : : : _:_`.,- '
´ ̄ ̄
そして、スペインの植民地とポルトガルの交易網を入手したフェリペ2世は、
まさに”日の沈まない帝国”の支配者となったのであった。
このままスペインがヨーロッパ最強国家に復権する………かと思われたが。
200
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:25:01 ID:dYnUdEjk0
∧∧
(,,゚Д゚) 「そして、もう一つの悪いニュースなんだが………」
∧∧
(;-Д-) ・・・
♪スンスンスーン
∧_∧
( ・∀・)
( )
人 Y
し (_)
『ネーデルラント』
∧∧
(;゚Д゚) 「俺の領土でプロテスタントが広まりつつある」
201
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:25:28 ID:dYnUdEjk0
∧_∧
(; ・∀・) 「………って漏れかYO!」
当時、スペインの領土であった『ネーデルラント』では、
プロテスタントの一つである『カルヴァン派』が広まりつつあった。
スペインの凋落は、ネーデルラントの反乱から始まることになる。
202
:
◆ImMEukpfHw
:2022/05/28(土) 17:27:08 ID:dYnUdEjk0
ということで今回はここまで。
次回は「カルヴァン派」の説明からやっていきましょう。
書き溜め状況からいうと、来週あたり投下できると良いなあと思っているところ。
203
:
名無しさん
:2022/05/28(土) 19:00:53 ID:xVGxRfFc0
わーーーーーーーーー!
204
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:51:05 ID:lhQWfnk.0
ミョー ミョー
∧ ∧
(,,゚Д゚) 今週もやっていきましょう
〜( )
|||
(__)_)
.
205
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:51:42 ID:lhQWfnk.0
③スイス・ネーデルラント・フランス(カルヴァン派)
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:| +
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
. | `-=ニ=- ' .:::::::| +
\ `ニニ´ .:::::/ +
/ヽ、ニ__ ーーノ゙\_
.|. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| トン
_(,,) (,,)_
.. /. |.. 『95か条の論題』 ..| \
/ .|________ | \
さて、今まで『プロテスタント』と呼んできた宗教改革の派閥には、
実はルター派以外の派閥が存在する。
206
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:52:19 ID:lhQWfnk.0
それが、『スイス』で広まり始めた『カルヴァン派』と呼ばれる派閥であった。
フムフム・・・
∧_,,,
(#゚;;-゚)
(つl⌒ll´l
〜(;; ;; ;;)
∧_,,
(#゙;;-゙) 「免罪符ヲカッテも……ネ申サマニ救ワレルカ ワカラなインダネ……」
↑スイス
フェリペ2世によるポルトガル併合に先立つこと半世紀ほど前。
スイスの『ジュネーヴ』に登場した『カルヴァン』は、
ルターの改革路線とはやや異なった形で、ローマ=カトリックの批判を繰り広げていた。
207
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:53:05 ID:lhQWfnk.0
∧_,,
(#゙;;-゙) 「誰ガ救ワレルカ スデニ決マッテルんダヨ……」 カミサマハ スゴイネ
∧_,,
(#゚;;-゚) 「ダカラ……… 神サマカラ与エラレタ イマノ仕事ヲ ガンバルシカナインダヨ」
その思想は、ざっくり以下のようなものである。
・神に救われる人間はすでに決まって(=予定されて)おり、人間ごときが何をしようと全く関係が無い。
・なので、免罪符を買っても(善行を積んでも)救われる訳ではない。
・逆に、神に救われることが決まっている人間ならば、神から与えられている使命(天職)を誠実に全うしていることになる。
・ゆえに、罪を犯さず天職に励む人間は、神に救われることを確信することができるのである。
これは神の絶対性を強調する思想であり、『予定説』と呼ばれるものである。
208
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:53:34 ID:lhQWfnk.0
しかし、この『予定説』は、意外なところで信者を獲得することになる。
セイショヲ ヨムンダカラナ
〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・∀・)
`ヽ_っ⌒/⌒c
⌒ ⌒
∧_∧
(; ・∀・) 「……えっ! これからは商売に全力投球してもいいのか?」
209
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:53:56 ID:lhQWfnk.0
∧_∧
(* -∀-) 「清く正しく儲けることは、その日一日、悪いことをしなかった”結果”ということだ……」
∧_∧
(* ・∀・) 「今まであくどい商売しやがってと馬鹿にされてきたけど、
儲かったってことは、漏れがネ申に救われてるって証拠だYO!」
↑商売人役です。
何しろ、予定説の教えでは、
神から与えられた使命(天職)を全うすることにより、「神に救われていること」を確信できるのである。
210
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:54:28 ID:lhQWfnk.0
つまり、商工業で稼いでいた都市の住民にとって、
稼いだ結果の蓄財は、「神に救われた証拠」になったのであった。
∧_∧
(* ・∀・) 「今日も元気だ仕事がヤバい!」 タイヘンダケド ガンバルゾ
∧,,∧
ミ;・∀・ミ 「ついでにフサタンもカルヴァン派を信じちゃうデチよ!」
( ^ω^) 「おっおっ! 久々に登場のブーンだお! 僕もカルヴァン派を信じるお!」
それまでのローマ=カトリックでは後ろめたいものとされていた「お金儲け」が、肯定された瞬間である。
この結果、『カルヴァン派』は西ヨーロッパの商工業者の間で爆発的に広まることになった。
211
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:55:14 ID:lhQWfnk.0
なお、カルヴァン派は、広まった各地でそれぞれの呼び名(蔑称)が与えられている。
,,-、く~~ヽ、 っ ヽ, /~~ (
( __ノ ヽ-, | ) /´
_/ | _ ,ノ ヽ `) ~|
\___ノ )( ^ω^)| __ ,) レ〜、
,-´、_ ´つ /~~~´
,,-〜〜` ,,ノ /
´〜〜〜〜、_ノ ,〜-´∧_∧
、-、 ,,-ノ (・∀- )
|~~~~`ツ
`ヽ,
~ヽ
) ∧_,,,
,,、,,-、 | (゚-;;゚#)
| `‐- 、, ノ ∧,,∧ ,--,
/ ~`〜〜´ ミ;>∀<ミ __ ) ヽ
/ ,〜、__ _〜´ `丶 ヽ `ヽ
/ | `-´ _、 `| `|, \
/ ∧∧ ,__,-´ ( ! \ \ ~~~`ヽ,,_
`/ (#゚Д゚) ./ 、二, `ヽ_,,  ̄く |
/, ( _ 、‐、 ο ´i | `-、 ,~_\ i
~ `´ヽ, /´ ~ `´ ) ,,_| `i ヽ, `´ ヽ
|__,,-‐‐-、,, ,,-‐` `´ ) ,-! )
,,-‐、 ~ i~~`-‐フi_/
_,,/ ` ‐-´i_ - ‐ ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐ ´`‐`―´~ヽ,っ `\_ )
フランスでは『ユグノー』、
ネーデルラント(現在のオランダ・ベルギー)では『ゴイセン』(乞食党)
スコットランドでは『プレスビテリアン』(長老派)
イングランドでは『ピューリタン』(清教徒)
などなど……
これらの呼び名は、今後の近世ヨーロッパを理解するうえで重要なため、なるべく覚えておいていただきたい。
212
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:55:41 ID:lhQWfnk.0
さて、ネーデルラントの話に戻ろう。
カ・イ・カ・ン
∧_∧
(* -∀-) 「働けど働けどわが暮らし楽にならざり…… 救済される確信を得るなり」
突然登場したように見えるネーデルラントだが、実は中世以来、経済活動が活発な地域であった。
213
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:56:09 ID:lhQWfnk.0
ネーデルラントは、中世では『フランドル地方』と呼ばれていた地域である。
∧_∧
( ・∀・) 「毛織物はいらんかねー。フランドル特製、丈夫な毛織物だよー」
∧_∧
( ・∀・ )彡 「うちの毛織物は、イングランド直輸入の羊毛を使った高級品なんだからな!」
Σm9っ つ
人 Y
し (_)
この地域では毛織物産業が発達していたことに加え、
北海・バルト海を結ぶ交易路の一部に組み込まれていたことから、
『ブリュージュ』や『アントウェルペン』といった都市を中心に、経済的な繁栄を謳歌していた。
これらの都市には、遠く北ドイツから『ハンザ同盟』の商人が訪れるなど、
ヨーロッパ最先端の商業地域だったのである。
214
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:56:35 ID:lhQWfnk.0
こんな背景があったからこそ、
ネーデルラントでは『カルヴァン派』がじわじわと受け入れられていったのであった。
∧_∧
(; ・∀・) 「でもな、最近ちょっと困ったことがあってね」
∧_∧ ∧∧
(; -∀-) 「この前までうちの君主だったやつ…… (,,'∀`) ←こんなやつなんだけど」
∧_∧
(; ・∀・) 「慎ましく生きているだけなのにアレコレ口出ししてきて面倒ったらありゃしない」
だが……
215
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:56:59 ID:lhQWfnk.0
……困ったことに、ネーデルラントは『ハプスブルク家』の領土だったのである。
∧_∧
(; ・∀・) 「カトリックで世界を統一するとか言っちゃって、困っちゃうよなあ。スペインの宗教裁判じゃないんだから」
.
216
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:57:31 ID:lhQWfnk.0
ジャーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!
| まさかのときのスペイン宗教裁判!
└──v────v─────v────
∧ ∧ _丿⌒|_ o=oヽ
(゚ー゚*) (,,゚Д゚) (゚ー゚∪
ノヽ~ノヽ ノヽ~ノヽ ノヽ~ノ゛ヽ,
ん † ) ん † ) ん † )
丿 八 ゝ 丿 八 ゝ 丿 八 ゝ
U〜U U〜U U〜U
217
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:57:51 ID:lhQWfnk.0
∧∧
(,,゚Д゚) 「我らの武器は3つ! 突然の登場、恐怖、教皇への狂信、赤い服……」
∧∧
(,,゚Д゚) 「そして税金の取り立てだ」
∧_∧
(; ・Д・) ポカーン
218
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:58:20 ID:lhQWfnk.0
∧∧
(,,-Д-) 「ネーデルラントは我がスペイン=ハプスブルク家の領土だが、異端の教えが広まるなど言語道断」
∧∧
(#゚Д゚) 「枢機卿! 罪状を読み上げろ!」
/o=o
∪,,゚Д゚) 「おみゃーさんは邪教を信じたで 好かんわ」
∧∧
(,,゚Д゚) 「………さて、申し開きはあるか?」
∧_∧
(; ・∀・) 「いやいや申し開きもクソも無いでしょ」
219
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:58:48 ID:lhQWfnk.0
∧_∧
(; ・∀・) 「というか教会が税金取る訳の分からん制度をやめろ」
∧∧
(,,^Д^) 「HA!! HAHAHA!!!(悪魔的笑い)」
⊂ヽ∧∧⊂
`(^Д^,,)ノ HAHAHAHA!!!(悪魔的動作)
/ /
( ⌒l
ヽ) ∪
∧∧
(,,゚Д゚) 「税金の取り立てだけでは手ぬるいと見える」
220
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:59:12 ID:lhQWfnk.0
∧∧
(#゚Д゚) 「まどろっこしいことはやめだ! 被告を火あぶりの刑に処す」
∧_∧
(; ・Д・) 「……えっ」
スペインのフェリペ2世にはカトリックの盟主であるとの自負があり、
自身の領土でプロテスタントが広まることは、とうてい許容できるものではなかった。
また、経済的な先進地域であったネーデルラントは、スペインにとって「金づる」でもあったので、
カルヴァン派への締め付けは強くなるばかりであった。
221
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 22:59:32 ID:lhQWfnk.0
いやいや待て待て!!
そこはクッションの刑じゃねーのかよ!
|∧_∧| (( ) ) (( ) ) ((⌒ )
__(:・∀・)___ (( ) ) (( ⌒ ) (( ) )
| ⊂l.=====.l⊃ | ノ火.,、 ノ人., 、 ノ人.,、
 ̄ ̄|.|=====| ̄ ̄ γノ)::) γノ)::) γノ)::)
|(_)_) ゝ人ノ ゝ火ノ ゝ人ノ
| | ||∧∧ ||∧∧ || ボォオ
| | ∧ (,,゚Д゚) (゚Д゚,,) ∧∧
| | ( ,,゚Д) U) ( ∽ ノ (Д゚,,)
~~~~~~~~ | U ( ,,゚) (゚,, ) と ノ
.u-u | | | | u-u
u-u u-u'
222
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:00:03 ID:lhQWfnk.0
16世紀半ば、スペインから派遣された総督がカルヴァン派を厳しく弾圧したことから、
ネーデルラント内の貴族層が反発して、『ゴイセン』(乞食党)という集団を結成。
∧_∧
(# ・∀・) 「もう我慢ならん! いい加減勝手に税金を取るのをやめろ! カルヴァン派も認めろ!」
∧∧ ディアボリック・デスバースト
(#゚Д゚) 「うるさい黙れ! 異端は滅ぼすのみ! 死魔殺炎烈光ッ! 」
彼らが中心となって、激しい反スペイン運動が勃発することになる。
これが、長く続くことになる『八十年戦争』(=オランダ独立戦争)の始まりであった。
223
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:00:39 ID:lhQWfnk.0
さて、こうして始まった”日の沈まない帝国”スペインと、”ヨーロッパ最先端の商業地域”ネーデルラントの戦争は、
双方に大きな影響を与えることになる。
_
/ ‘)⊃
( ( ̄
∧_∧ \\
_ (#・∀・) ヽヽ
\\( 0┬0 _ノ |
〜 |└──彡┘ ノ
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜 〜〜〜〜
最初は海賊のような形で抵抗を始めたネーデルラントは、
『オラニエ公ウィレム1世』が中心となり反スペイン戦争を継続していた。
224
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:01:29 ID:lhQWfnk.0
| | |
| | |_____
| | | ̄ ̄ ̄ /|
| | | / /|
| /\ | /|/|/| ヤヴァイ、アントウェルペンがやられた!
| / / |// / /|
| / / |_|/|/|/|/| 逃げるぞ!急げ!
| / / |文|/ // /
|/ /. _.| ̄|/|/|/ Λ_Λ
/|\/ / / |/ / (___)
/| / / /ヽ /〔 蘭 〕〕つ
| | ̄| | |ヽ/l `/二二ヽ
| | |/| |__|/ Λ_Λ / /(_)
| |/| |/ (; ・∀・) (_) Λ_Λ
| | |/ // / ^ ̄]゚ (` )
| |/ ゚/ ̄ ̄_ヽ ⊂〔〔 蘭 〕
| / /_ノ(_) ┌|___|
|/ (__) (_ノ ヽ ヽ
/
しかし、戦場となった南部ネーデルラントがスペインに屈し、途中で脱落することになる。
このため残ったネーデルラント北部の地域は『ユトレヒト同盟』を組み、
引き続きスペインに抵抗を続けることになる。
225
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:02:21 ID:lhQWfnk.0
また、『アントウェルペン』を中心とする南部地域は、
カルヴァン派が逃げ出したことで経済的に没落してしまう。
このため、ネーデルラントの中心地は北部の『アムステルダム』に移ることになった。
この支配からの! 卒業!!
┏ ━ゝヽ''人∧━∧从━〆A!゚━━┓。
╋┓“〓┃ < ゝ\',冫。’ 、 ' 〃Ν ; ゛△│´'´,.ゝ'┃. ●┃ ┃┃
┃┃_.━┛ヤ━━━━━━━∧_∧━━━━━━━━━━ ━┛ ・ ・
∇ ┠─Σ┼ ○( ・∀・ )○ 冫 そ',´; ┨'゚,。
.。冫▽ < ゝ、 ,ノ 乙 ≧ ▽
。 ┃ Σ (⌒ゞ ,l, 、'’ │ て く
┠─ム┼ ゝ,,ノ ノゝ. 、,,’.┼ ァ Ζ┨ ミo'’`
。、゚`。、 i/ レ' o。了 、'’ × 个o
○ ┃ `、,~´+√ ▽ ',!ヽ.◇ o┃
┗〆━┷ Z,.' /┷━''o ヾo┷+\━┛,゛;
1581年 『オランダ独立』
そして、これら北部ネーデルラントは、ついにフェリペ2世の支配権を否定し、
事実上の独立を達成することになる。
これが、『ネーデルラント連邦共和国』の登場の瞬間である。
また、この地域は「ホラント州」を中心としていたため、日本ではこれが訛って通称『オランダ』として伝わることになった。
226
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:02:51 ID:lhQWfnk.0
また、オランダが事実上の独立を達成したとはいえ、
スペインとの戦争が終結した訳ではない。
スペインはオランダに打撃を与えるべく、経済的に封鎖するなど締め付けを強めていったのである。
シィィ・・ ギコクン ヒドイヨウ・・・・
::〜γ⌒"`λ∧::
::⊂_,.-U(;;)T;o゙)つ::
そして、ここで問題になるのが『香辛料』である。
当時、東南アジアにおける香辛料貿易は『ポルトガル』が掌握していたが、
>>198
の通り、ポルトガルはスペインに併合されてしまっていた。
227
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:03:14 ID:lhQWfnk.0
つまり、スペイン・ポルトガルの交易網から排除されることになったオランダは、
香辛料を入手することができなくなってしまったのである。
シィチャンノ マターリランド・・・
コショウデ マターリ ハニャニャニャン・・・
λ∧
(;;)T;o゙) _
/| ̄∪ ̄ ̄|\ \
 ̄|____|_| ̄
(( (( (/ U
ニヤニヤ
∧_∧
( ・∀・) 「あーあー、胡椒が手に入らなくなって困ったなー(棒)」
しかし、スペイン本国はともかく、没落しつつあったポルトガルは脆弱であったことから………
228
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:03:39 ID:lhQWfnk.0
♪ コ シ ョ ウ デ マ タ ー リ ハ ニ ャ ニ ャ ニ ャ ー ン ♪
ヌゥッ
|._∧ . ∧ ∧ . ∧ ∧ ∧ ∧
|::∀ ) (ヽ*^ワ)') (ヽ*^ワ)') (ヽ*^ワ)')
|:: ) ヽ ノ ヽ ノ ヽ ノ
|:| | . 〜( ,つ . 〜( ,つ. 〜( ,つ
|:;)_) ⌒Y⌒ し" ⌒Y⌒ し" ⌒Y⌒ し"
オランダは、ポルトガルに支配されていた東南アジアとの香辛料貿易に目をつけることになる。
この試みの顛末については、また別の章にて説明することにしよう。
229
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:04:07 ID:lhQWfnk.0
さて、このように『オランダ』は事実上独立を達成したわけだが、
・国王がおらず、各州の州議会が権力を持っている
・カトリックやルター派でもなく、カルヴァン派が中心である
といったように、非常に中途半端でユニークな”地域”として、ヨーロッパ情勢に登場することになった。
いらない国王顧問官を窓から投げ捨てろ! >
∧_∧
( ・∀・) 「……お、なんかやってるな」
そんな宙ぶらりんな状況の中、ドイツでは大爆発が発生することになり……
こちらの顛末も、次回以降に説明するものとしたい。
230
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:04:43 ID:lhQWfnk.0
ここまでネーデルラントの話が継続してきたが、
『カルヴァン派』の説明の中で、もう一つ重要な地域がある。
∧,,∧
∩#゚Д゚彡 ∧,,∧
ミ,,ミ ミつ \,,,ミil>Д<ミ
ミ ,,,,,,つ ⊂,,,,,,,,,,,⊃⊃
(/
そう、『フランス』だ。
231
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:05:06 ID:lhQWfnk.0
話は遡り、『カール5世』の頃の話である。
フランスでは『ヴァロワ朝』の『フランソワ1世』が国王であった。
∧∧
ヽ('A`*)ノ はぷほー!
( )
くω\
∧,,∧
ミ;゜Д゜彡 「んほーーー!!」
この頃のフランスは、カール5世との間で『イタリア戦争』を争っていたが、
のちに『カトー=カンブレジ条約』で敗北し、イタリアにおける権益を失うことになる。
232
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:05:36 ID:lhQWfnk.0
だが、カール5世がルター派諸侯の反乱に苦しめられているのを尻目に、
フランソワ1世はうまく国内のプロテスタントを”処理”しており、16世紀前半には目立った宗教戦争は発生していない。
∧∧ ∧,,∧
(#'A`> と(Д・#,,)
∧,,∧
ミ;゚Д゚彡 「な、なんであんなんに負けとるんや
国内の異端すら満足に根絶できない甘ちゃんやぞ……」
∧,,∧
ミ;-Д-彡 「ルター派なんぞ火あぶりにしとけばええんやで
炎上投手よりも燃えやすい可燃性素材なんやからな」
それどころか、『ガリカニスム』と呼ばれるカトリック版の”国教会”と呼べるような思想が広まっており、
フランス国王が教会を支配する程にまでカトリックが優勢な状況であった。
233
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:06:06 ID:lhQWfnk.0
しかし、『イタリア戦争』での敗北以降、フランス国内で『カルヴァン派』が広まり始めると、
徐々に風向きが変わってくる。
∧∧ ∧,,∧
(#'A`> と(Д・#,,)
∧,,∧
ミ*^Д^彡 「おっ!今日もハプカスが宗教対立しとるやんけ!」
234
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:06:38 ID:lhQWfnk.0
∧∧ ∧,,∧
(#'A`> と(Д・#,,)
∧,,∧ ミ ギャハッハッ ズレてる!ズレてる!
o/⌒ミ*^Д^彡つ
と_)__つノ ☆ バンバン
235
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:07:03 ID:lhQWfnk.0
∧∧ ∧,,∧
(;゚Д゚) (#'A`) (∀・#,,)
つ∧,,∧ ミ ズレてる!ズレて………ッ!?
o/⌒ミ*^Д^彡つ
と_)__つノ ☆ バンバン
,,∧
д・ミつ∧,,∧
o/⌒ミ゜Д゜ 彡つ
と_)__つノ
∧,,∧
ミ#・д・ミつ∧,,∧
o/⌒ミ ゚д゚ 彡つ
と_)__つノ
236
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:07:28 ID:lhQWfnk.0
フランスにおいては、商工業者にとどまらず、
国内で有力な貴族層にも『ユグノー』と呼ばれるカルヴァン派が受け入れられていった。
∧,,∧
ミ;^Д^彡 「ファーーwwwwwww国内で異端が広まっとるゥーーーーー!!wwww」
∧,,∧
ミ#・∀・ミ 「ヴァロワ家はイッテヨチ!!」
これは、当時のフランス王家(ヴァロワ朝)が
>>140
のように中央集権化を進めようとしていたことから、
強権的な国王に対する反感が強まっていたためであった。
237
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:07:49 ID:lhQWfnk.0
このためフランスにおける宗教戦争は、単なる宗教対立の枠組みを超え、
有力貴族をも巻き込んだ王位をめぐる権力争いに発展することになる。
ユグノーキック!!
∧,,∧
('ミ,,>Д<ミ') ∧,,∧ ヴァロヷッ
ミ ,,,`つ#)゙Д゚彡・∵.
し'´゙ どど,,,
ミ ミ
(/`J
(*'A`) 「フラカスざまぁwwwwwww」
16世紀後半、こうしてフランスで発生した内戦が『ユグノー戦争』であった。
238
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:08:21 ID:lhQWfnk.0
さて、このユグノー戦争も一進一退を繰り返しながらダラダラと継続することになる。
そんな中、お互い譲歩することで平和を模索するような動きが見られたものの………
∧,,∧
ミ;・д・ミ 「えっ、今日からカルヴァン派を信じてもいいんデチか?」
.
239
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:08:43 ID:lhQWfnk.0
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「ああ… 今日はユグノーとカトリックの融和のお祝いだ」
∧,,∧
ミ;・д・ミ 「じゃ、じゃあ……全員カレーライス食っていいんデチか……?」
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「遠慮するな、今までの分食え…… おかわりもいいぞ!」
∧,,∧
ミ,,;д;ミ 「うめ うめ うめ……」
240
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:09:41 ID:lhQWfnk.0
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡
(ミ ミ)
〜ミ ミ
し´J
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 ・ ・ ・
(ミ と)
〜ミ ミ
し´J
241
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:10:31 ID:lhQWfnk.0
∧,,∧ チャキッ
ミ,,゚Д゚彡
(_ つi===c=-
〜ミ ミ
し´J
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「ただ今より、サン・バルテルミの虐殺を開始する!」
242
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:11:14 ID:lhQWfnk.0
・・・・・
・・・
・
⊂⊃
∧,, ,,,@
ミ゚д。>ミっ,,,ミっ
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 「まさか死ぬとはな……
莫迦が背伸びして異端開いて悦に入っているからこうなるんだ」
ユグノー戦争中に発生した『サン・バルテルミの虐殺』では、
フランスの国中でユグノーが虐殺されるなど、宗教対立が収まる気配は全く見えなかった。
243
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:11:35 ID:lhQWfnk.0
弾圧されたユグノーはさらに過激になり、
「悪い君主には抵抗しても良い」(暴君放伐論)と主張して、よりいっそう対立を激化させた。
∧,,∧ ∧,,_,, ∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 ミ(;;)д・ミ ミ・д・#ミ
ヴァロワ朝『アンリ3世』 ギーズ公『アンリ』 ブルボン家『アンリ』
そして、最終的には国王アンリ3世(ヴァロワ朝)のほか、
大貴族のアンリその1、大貴族のアンリその2(ブルボン家)が王位をめぐって争うことになった。
244
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:12:08 ID:lhQWfnk.0
だが、国王『アンリ3世』や大貴族のアンリその1は相次いで暗殺され、
カルヴァン派であったブルボン家のアンリが国王となることになる。
∧,,∧ キャッキャッ♪
ミ,,>∀<ミ フサタンガ 国王デチヨ♪
(ミ ミ)
ミ ミ
∪ ∪
ブルボン朝『アンリ4世』
事ここに至り、もはや宗教戦争の収拾がつかなくなったことから、
宗教対立よりも公共の平和や国家の安寧を重視する一派(ポリティーク派)が登場する。
こうして『アンリ4世』はカトリックに改宗したうえで、
プロテスタントの信仰の自由や市民権を認める『ナントの勅令』を発布し、
ようやくユグノー戦争は終結することになった。
245
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:12:50 ID:lhQWfnk.0
∧,,∧
ミ,,>∀<ミ 「フサタンの信仰が許されたデチ!」
∧,,∧
ミ;-Д-彡 「ユグノーと争っても何の得にもならんわ
しゃーない、切り替えていく……」
『ナントの勅令』は、カトリックとプロテスタントの間の妥協の産物ではあったものの、
その後しばらくの間、フランス国内では平和が維持されることになる。
246
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:13:27 ID:lhQWfnk.0
そして、プロテスタントは商工業に秀でていたことから、
内戦が終結したことも相まって、17世紀のフランスでは経済成長が進むことになる。
イラッ ピギャァァァアアアア!!!
∧,,∧ カトリックニ イジメラレタデチィィィィ!!!! ヒドイデチィィィィィ!!!!!
ミ#゚Д゚彡
ミ,,cっ,,ミ uД∪ミ''つ⌒X⌒X.
ミ,,,,,つ,,ミ ∨''∨∪ 乂__乂
とは言え、
・ブルボン家と大貴族
・カトリックとプロテスタント
・国外に広がるハプスブルク家の包囲網
といったフランスを取り巻く対立軸はそのままであり、
これらが17世紀のブルボン家に残された宿題事項であった。
これらの宿題事項の顛末については、また次回以降に解説するものとしたい。
247
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/04(土) 23:15:36 ID:lhQWfnk.0
今週はここでおしまいです。
いったん書き溜めが尽きたので来週は厳しいかな……
今月中には何とか投下したい所なので、ゆるゆるとお待ちください。
248
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:33:58 ID:S2zhF0GA0
_
/ jjjj _
/ タ {!!! _ ヽ、
,/ ノ ~ `、 \ 平日だけどやっていきますおー!
`、 `ヽ. _,,..,,,,_ ,‐'` ノ
\ / ,' 3 `ヽ .ノ/ /⌒ヽ
三 ヽ.l lr ' ⊂二二二(;^ω^)二⊃
三 |::::::::::>-―'' ̄ ̄ ヽ | /
三 三 ゝ_(__,,-―''、_,ゝ ( ヽノ
三 三 / / \ \_/| ノ>ノ
/_( ̄(_ _/ k _/ 三 レレ
三 |/
249
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:34:53 ID:S2zhF0GA0
④ポーランド・ロシア
_,,..,,,,_ ビダァァァン!!
/ ;' 3 ヽヾヽ ビダァァァン!!!
〃 i ,l ビダァァァン!!!
‘ ,_,,..((,,_ 〃ゝ U j! _ )))_ ∴ ,“ ビダァァァン!!! ∧ ∧ ♪
,J∵/ ;' 3 `ヽーっ ) ソノ'" ヽ从/; ’ (・∀ ・)
) : l ⊃ ⌒_つ,..ェ‐'´ ⊂ j! ゞ・,‥¨ ♪ v( v) )) ♪
.¨ ・`'ー---‐'''''"  ̄゛'''''‐---ー '¨・:‘ . < <
『ポーランド』 『モスクワ大公国』
さて、いったん宗教改革の続く西ヨーロッパから離れて、東ヨーロッパ方面を眺めてみよう。
250
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:35:44 ID:S2zhF0GA0
東ヨーロッパには、
>>180
で触れたとおり、
カトリックの大国として『リトアニア=ポーランド王国』が君臨していた。
.,,..,,,,_
/ 。゚ 3 「ククク…… ワシが東欧の覇者なんじゃ………ドイツには好きにはさせんぞ」
ttps://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/e/e6/Europa_1600_en_kairyou.JPG
この時のポーランドは、現代の我々が想像する「ポーランド」ではない。
リトアニアやベラルーシ、ウクライナの大部分をも含む、広大な領域を支配する超巨大国家であった。
251
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:36:46 ID:S2zhF0GA0
そしてその周縁部には、
_
(;゚∀゚) まだまだ弱小な『プロイセン公国』 (ルター派)
(;'A`) 国内の宗教対立に忙殺される『オーストリア=ハプスブルク家』 (ローマ=カトリック)
('、`*川 最盛期を迎えつつあった『オスマン帝国』 (イスラム教)
(・∀ ・) ツァーリ(皇帝)を自称する『モスクワ大公国』 (ギリシア正教)
といった、様々な勢力が割拠していたのである。
252
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:37:55 ID:S2zhF0GA0
だが、その後ポーランドでは『ヤゲウォ朝』という王朝が断絶し、
国王権力が弱まった結果、国王が選挙で選ばれる時代が始まることになる。
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ
_,,..,,,,_ ,,,,_ _,,..,,,,_
./ ⊃`ヽーっ /,'3 `っ / , `ヽーっ
l ⌒_つ `‐‐‐'´ _,,..,,,,_ l ,3 ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''" _,,,,,... / ,' 3 `_,,..,,,_----‐'''''"
ヽーっ ⊂⌒ ε ', ヽ / ,' 3 `ヽーっ
⌒_つ ⊂_⌒ ⊂ |,,,|_ ⊃ ⌒_つ
‐'''''_,,..,,,,_ "'''''‐---ー/,'3 `っ-‐'''''"
./ , ∪,,`ヽ,,,,, `‐‐‐'´
l ,3 ./ ,' 3 `ヽーっ
`'ー---l ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''"
この時代のポーランドは、貴族層が中心となった議会(=『身分制議会』)が非常に強力であり、
事実上の「共和国」と言えるほどの状況となっていた。
貴族にとっては”自由”であった一方、国王にとっては不自由な国家だったのである。
253
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:38:19 ID:S2zhF0GA0
こんな環境では、緊急時に重要なことをを決められる訳がない。
こうしてポーランドは、「有事に際して統一の取れた対策を打てない」という弱点を抱え込むことになる。
(\
\\
(\\
\\\
(\\\\
(\\\\\
\\ |||
( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | ⊂⊃
 ̄ ̄( ̄ ̄//// ̄\ _,,..,,,,_
 ̄(//// ̄\ / ,' 3 ヽ
".;": (/(/// ̄i l
".;": (/(/ ヽ U j
.;".;": ..;".;;: (/ ヽ ノ \ .;".;": ..;.;".;
.;".;": .. ; )ノ \\ .;".;": ..;.;".
.;".;" .;".; \\
ゴ オ ォ ォ …… ! ! \\ ;": ..;.;".;":
.;".;": _.;.;__ \\ ド カ ァ ン !
.;".;": ..;.;".; ζ /_.;_/| .;".;"_ \\ .;".;.;".;":
.;".;": ..;.;".;": ;:'.;| ΓΓ | |;":从へ_/| \\.;".;"_.;__..:
从へ从へへ从 ; ζ | Γ从 | |;:.. |从Γ | | \\ ∠___/|
( ⌒( ⌒ ) ζ | 从Γ | |.:;. |从Γζ.;"._ \\|ΓΓΓ| |
( ⌒ ⌒ ⌒ ); | ΓΓ | |.;;::|ΓΓ | | ( 从へ;: |从ΓΓ| |
Σ( ⌒( ⌒ ) ζ ( ( ) )⌒ ) ( 从へ从)_.;;:.;|Γ从Γ| |
( (( ( ⌒ )) ) 从 Σ( ⌒( 从へ从) ∠___/|
Σ (( ( ⌒ )) ) )(( ⌒ ( 从へ从) .;".;:;|ΓΓΓ| |
(( ⌒ ( ( ) )⌒ );:; .;".;": ..;.;".;":|从ΓΓ| |
しかし、それでもポーランドは強力な騎兵部隊(※フサリアでググれ)を抱えており、
17世紀前半までは東欧地域の強国であった。
次回以降、我々はポーランドの転落の歴史を眺めることになる。
254
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:38:39 ID:S2zhF0GA0
この一方、徐々に力をつけ始めるのが、
今のロシアに位置する『モスクワ大公国』であった。
,,,,,,,,,,,,,
[,|,,,,,,,,,,|]
(・∀ ・) < VIPでやんなよって?
ノ( )ヽ
< >
,,,,,,,,,,,,,
[,|,,,,,,,,,,|]
ヽ(・∀ ・)ノ < うるさいバーカ!
(( ノ( )ヽ ))
< >
こいつ相変わらずうぜえな。
255
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:39:35 ID:S2zhF0GA0
話はさかのぼり1453年。
(・∀ ・) 「ありゃー ビザンツとうとう死んじゃったのか……」
ツァーリ
(・∀ ・) 「そしたら代わりにボクが皇帝になってあげるよ!」
(・∀ ・) 「ロシアの時代がいまはじまる!!」
首都コンスタンティノープルが陥落し『ビザンツ帝国』が滅亡した後、
モスクワ大公であった『イヴァン3世』が「ツァーリ」(=皇帝)の称号を使用し始めることになる。
256
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:40:06 ID:S2zhF0GA0
その後16世紀になると登場するのが、『イヴァン4世』であった。
,,,,,,,,,,,,,
[,|,,,,,,,,,,|]
(・∀ ・) < ロシア中の貴族はオレが血祭にする!
ノ(θ )ヽ
/ ̄ ̄Ⅰ ̄ ̄\
|二二二二二二二|
| |
パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ
パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧. ∧_∧ ∧_∧
( )】 . ( )】 ( )】 【( ) 【( ) 【( )
/ /┘ . / /┘. / /┘ └\ \ └\ \ └\ \
ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ
彼は”雷帝”と言われるほど苛烈な性格の持ち主であったが、
この時期に貴族層を弾圧し、中央集権的な国内体制を構築することに成功している。
257
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:40:33 ID:S2zhF0GA0
またモスクワ大公国は、イヴァン4世の時期に対外的な膨張を始めることになる。
,,,,,,,,,,,,, 遊牧民狩りだーー!
[,|,,,,,,,,,,|]
(( ヽ(#・ ∀)ノ))
.‐ ― =;;⌒`)⌒゙)ヾノ( )ヽ彡''
‐ ― =;;⌒゙)⌒`)´⌒ミ三三彡
かつてロシアを苦しめた遊牧民の国々(=『キプチャク=ハン国』の残党)をターゲットに、
『コサック』が中心となって東方への遠征をおこなった。
この時に征服した国が『シビル=ハン国』であったことから、ロシア東部の地域は『シベリア』と呼ばれることになる。
258
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:40:53 ID:S2zhF0GA0
,,,,,,,,,,,,,
[,|,,,,,,,,,,|]
(・∀ ・) < いやー、シベリア開拓って本当にいいもんですねー
ノ( )ヽ
< >
,,,,,,,,,,,,,
[,|,,,,,,,,,,|]
ヽ(・∀ ・)ノ < ロシアの明るい未来に超特急!!
(( ノ( )ヽ ))
< >
こうしてイヴァン4世のもと、強大化を続けていたモスクワ大公国であったが……
259
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:41:32 ID:S2zhF0GA0
イヴァン4世の死後、しばらくするとツァーリ一族の血統が断絶してしまい、政情不安が巻き起こってしまう。
バチュン `・,・,
`,゙`・;`'.
(( ノ( ヽ ))
< >
偽ツァーリが相次いで登場したり、さらにはポーランドが侵略してくるなど、
ロシアは大混乱に陥ってしまったのであった。
260
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:41:55 ID:S2zhF0GA0
こんな混乱の中、『ミハイル=ロマノフ』が議会に推されてツァーリに即位したことで、
ようやく混乱が収拾されることになった。
。 。 。
|∨∨|
(・∀ ・) < ひどい目にあったけど、引き続きボクがツァーリなんだぜい
ノ( )ヽ
/ <
。 。 。
|∨∨|
ヽ(・∀ ・)ノ < これが本当のまたんき王…… なんちゃって
(( ノ( )ヽ ))
< >
17世紀初頭、こうして成立したのが『ロマノフ朝』である。
261
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:42:22 ID:S2zhF0GA0
。 。 。
_,,..,,,,_ |∨∨| ビクッ
./ ;' 3 `ヽーっ プッ Σ(・∀ ・;)
l ⊃ ⌒_つ =3 ノ( )ヽ
`'ー---‐'''''" / /
『ロマノフ朝』は、イヴァン4世没後の混乱を収拾した結果ではあるものの、
・大国ポーランドと敵対している
・西ヨーロッパと比較して色々立ち遅れている
・そもそも内陸国で貿易しづらい
といったモスクワ大公国の弱点は、この時点では全く解決されていない。
これを解決するためには、もう少し時間がかかりそうなふいんきである。
262
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:42:47 ID:S2zhF0GA0
●ソヴィエトロシアではあなたが羊を食べるが、イングランド王国では羊があなたを食う!
⑤イングランド(イギリス国教会)
閑話休題。
賢明な読者ならもうお気づきと思うが、
ここまで西ヨーロッパの某国にほとんど言及していなかったりする。
lXlノソヘ /⌒ヽ オウフ
ξ#゚⊿゚) (; ゚ω゚)
oc ) 从 / つつ
| つ (#:. 〈
U´ W \_)ノ
そう、『イングランド王国』である。
263
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:43:18 ID:S2zhF0GA0
イングランドという国は、世界史的には「強大」なイメージが付きまとうが、
16世紀のこの時期においては、西ヨーロッパにおける弱小勢力と言ってもよいレベルであった。
,r'~
,_ }
, _r' r' ≦
` },r' {
_r,_ {、
,.、,r-, ,-、__ :=" {´
__},.r‐',_,r' `'フ' ノ,__
.,} /,r'~!' r'´ "r゛' r'i
"´ ヽ, ' ̄`ー-、 !、 _r‐´ `
. =' r‐' r' ゝ_ _,ノ´
='ニ7 ,r' `'´~
. rニ、 ,、, ,__r´ /{
,.r‐'~'~'z-、 ム、} }  ̄'-、 ,r―'´ ,r' `
,.z'‐-、,> { ,/ `i ,r= |__
_≧ " { '^'〜-ゥ | }、 ,、_,}
ヽ、 r‐'´" r'ワ { { }ニ ,r'∥,-
_,.r`‐ } ´~ }ャ ヽ、 ,'} r、´ヽ |
,.-、r゛ | 、-、 ノ } {゛ 'ヽ=ヽ}r=
≦ r´ ,-=, `´ } 回 L_.,}ヽ
三_ _,.r―‐--' ~ ノ ) _,._ rム -=r
 ̄ ‐'´ 'ー'´ヽ、 ,r――‐-' }_r'
`'i_ } /
,、,.-'、ニ=- ξ#゚⊿゚)ξ ,、r-' / ∧_∧
,.r' ='、 ,.r' (・∀・ )
r‐'´_r-、__r‐'ヽr-、r==、_ _ r-' _,.-‐´
~`'´ ' `´ `'´~ i´~
,、__ ,./
~ 。 { ( ,rー‐'´
゚ r―--―、 _ { `'ー‐´
≧ `´ `'ー'
'ー-、_ ∧,,∧
。!ー, ミ,,゚Д゚彡
'っ
だが、この島国が200年も経つと世界の覇権を握ることになる。
今回は、その前段に至るまでの経緯を解説することにしたい。
264
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:43:52 ID:S2zhF0GA0
まず、中世末期のイングランドの状況からおさらいしておこう。
ξ ^ω^)ξ うはwwwwww俺がイングランド国王のツーンだおwwwwwwwwwwww
ξ ^ω^)ξ もう貧弱国王には任せられんなwwwwwwwwwwwうはおkkkkkwwwwwwwwww
───────── ― - --
─── /⌒ヽ, コロスコロスコロスコロスコロス
 ̄ ̄ / ,ヘ ヽlXlソヘ コロスコロスコロス ̄ ̄ ̄ , ” ' ‐ ,
 ̄ ̄ i .i \ ξ#゚⊿゚)ヽ, ___,, __ _ ,, - _―" ’. ' ・, ’・ ,
── ヽ勿 ヽ,__ j i~"" _ ― _: i ∴”_ ∵, ξ#)^ω) ぐはwwwwwやめwwwwwwwwww
______ ヽ,, / / __,,, -- "" ─ "ー ・, ; ; - 、・ r=-,/⌒ ~ヽ~,
─────── ヽノ ノ,イ ─── ― - i y ノ' ノi j |
─────── / /,. ヽ, ── i,,___ノ //
______ 丿 ノ ヽ,__,ノ ___ _ _ _ ,' ゝi
j i / y ノ
_____ 巛i~ ____ _ / /~/
i < /
─────── _ _ ヽ, \
// | | 巛 / ヽ_ )
──── // | | ===┐ i (~_ノ
// | | | | ノ /
~ ~ | | ノ /
===┘ (~ ソ
~ ̄
15世紀後半のイングランドでは、フランスとの戦争である『百年戦争』に敗北した結果、
国内の諸侯の対立が激化し、『薔薇戦争』という内戦が勃発していた。
265
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:44:12 ID:S2zhF0GA0
そして、この『薔薇戦争』の結果、イングランド国内では大貴族が没落し、
国王に盾突くような勢力がいなくなってしまったのであった。
( ;ω;) 「おーーんおんおん……ツンに怒られたおーーー」
ξ#゚⊿゚)ξ 「イングランドの国王はあたしだっつってんだろ! 次にあたしに逆らったら皆殺しにするからね」
このような環境で登場したのが、『ヘンリ7世』が開いた『テューダー朝』であった。
266
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:44:33 ID:S2zhF0GA0
この『テューダー朝』は、国王の権力が非常に強い王朝としてスタートしている。
─────┐
lXlノソヘ | <判決、罰金1億ペリカ!!
ξ#゚⊿゚) |
,丿~, ~ヽ│
 ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| |
|. A_A. |
| ( ´ⅴ`) |
| ノ~, iO)、 | /⌒ヽ
| | ̄ ̄|~. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| (ω^ ;,)
∧|_∧ | ┌─┬┴⊂ )
( `) | │ │ │ | │
┏━┳┓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄| │ │ (__)__,)
┃ ┃┗┓ | | │ │ ̄ ̄ ̄| ̄~i
┗━╋━┛ | | │ │ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄|
┏┻┓_ │, │ │ │ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
例えば、ヘンリ7世は『星室庁』と呼ばれる国王直属の裁判所を整備し、
大貴族の犯罪を処罰することまでできたのである。
--------------------------
俺様用しおり
∧_∧
( ´∀`)< ここまで中世西洋史の復習
--------------------------
267
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:45:13 ID:S2zhF0GA0
このように、16世紀初めのイングランドでは大きな社会的変化が生じており、
単なる「宗教改革」の枠組みだけでは説明することができない。
ξ ゚⊿゚)ξ イングランド国王
(パーティーメンバーがいません) イングランド大貴族
8(^ω^)8 教会・修道院
(;^ω^) ジェントリ
(⌒─⌒) ヨ ー マ ン
((´^ω^)) 独立自営農民
そして、その変化にあたってはいくつかの勢力が錯綜することから、
まずは登場人物の整理から行っていこう。
268
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:45:43 ID:S2zhF0GA0
国王・大貴族に次いで重要な勢力は、
イングランド中に存在していた『教会』や『修道院』であった。
‐=≡ 8(^ω^)8 バビロンバビロン
‐=≡ ノ ノ\
‐=≡ ┏┘│
┗
16世紀初頭、まだ『マルティン=ルター』が登場していない時期であるから、
彼らは当然に『ローマ=カトリック』を信奉する集団であった。
269
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:46:04 ID:S2zhF0GA0
そして、彼らはローマ=カトリックの教会や修道院なので、
中世以来の伝統として、独自の税金である『十分の一税』を徴収していた。
我作物十分之一受領
8( ^ω^)8 _____
┌ーヽ ノ─ー /:;:;r::::r:;:;:r;;;/l
││ l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l/
┛┗  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
。o(修道院が勝手に税金取ってるのがウザいわね……)
ξ#゚⊿゚)ξ
V ノ>
) )
┗┗
この状況は、税金を横取りされているイングランド国王にとっては当然面白くない。
権力が強まりつつある国王にとって、教会や修道院は目障りな存在となりつつあったのである。
270
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:46:29 ID:S2zhF0GA0
この一方、由緒正しい大貴族の没落に伴って、中小の地主層が徐々に勢力を拡大していた。
へ( ^ω^)ヘ <荒ぶる鷹のポーズ!
ヽ ノへ
/ ┗
┗
(;^ω^) 「仕えていた大貴族が全滅しちゃったお…… とりあえず自分の力で生きていくお!!」
彼らは『ジェントリ』と呼ばれ、
大貴族亡き後のイングランドの中核を占める階級として成長を続けていく。
(※ちなみに、生き残った貴族層と『ジェントリ』(地主層)を合わせて、『ジェントルマン』と呼んでいる)
271
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:47:03 ID:S2zhF0GA0
ヨ ー マ ン
最後に、『独立自営農民』である。
ゥ,、 ゥ,、
(⌒─⌒)
((;^ω^)) _ っっ
/ つ=O==|__) っっ
しー-J
ゥ,、
(⌒─⌒) スレ
((´^ω^)) 「新時代でスwwwww農民やってまスwwwwww」
彼らは、中世末期に『封建制』が崩壊する中で、徐々に力をつけていった農民層である。
16世紀になると、彼らはジェントリより下位の階級でありながらも農村を支えていたのであった。
272
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:47:25 ID:S2zhF0GA0
(⌒─⌒) ゥ,、
ξ#゚⊿゚)ξ 8(^ω^)8 (^ω^;) ((^ω^`)) ゥ,、
さて、こうして始まった近世のイングランドであったが……
273
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:48:19 ID:S2zhF0GA0
そんな中、1517年に『マルティン=ルター』が登場し、宗教改革が始まることになる。
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:| +
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
. | `-=ニ=- ' .:::::::| +
\ `ニニ´ .:::::/ +
/ヽ、ニ__ ーーノ゙\_
.|. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| トン
_(,,) (,,)_
.. /. |.. 『95か条の論題』 ..| \
/ .|________ | \
ξ ゚⊿゚)ξ 「……ふーん」
274
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:49:04 ID:S2zhF0GA0
< ただ信仰によってのみ救いは得られる!
< 聖書を良く読め! ”教会が救済をもたらすわけではない!”
ξ ゚⊿゚)ξ ・・・・・
|
\ __ /
_ (m) _ピコーン
|ミ|
ξ ゚∀゚)ξ 「 ひ ら め い た 」
275
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:49:59 ID:S2zhF0GA0
ξ ゚⊿゚)ξ 「……そう、そうよ。なんでイングランドの教会がローマ教皇の指示を受けなきゃいけないの?」
ξ ‐⊿‐)ξ 「ルターのおっさん様様ね。大事なことに気が付かされたわ」
ξ ゚⊿゚)ξ 「イングランドで一番偉いのは、国王であるこのあたし」
276
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:50:45 ID:S2zhF0GA0
ξ ゚⊿゚)ξ 「……そういえば、あたしの嫁がなかなか男子を産まないのよね」
ξ ゚∀゚)ξ 「だから、この嫁とは離婚するわ! ”あたしがそうしたいから”!」
……AAの性別が乱れる!
277
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:52:23 ID:S2zhF0GA0
ルターの改革が始まってしばらくした頃、
イングランド国王の『ヘンリ8世』は、政略結婚していた王妃と離婚をするために暗躍していた。
しかし、いちど教会に認められた結婚を覆すなど至難の業である。
特に、ヘンリ8世の結婚を仲介したローマ教皇は、この動きに対して激おこであった。
±
/=ヽ
┏(;^o^)┓ 「ヘ、ヘンリーちゃん! 勝手に離婚なんてしないで! 破門しますよ!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「破門破門って、うるさいですね……」
278
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:52:55 ID:S2zhF0GA0
±
/=ヽ
\(;^o^)/ 「あ、あぁ〜ッ!」
◎
◎ ◎
◎
◎ ◎ ◎ ◎ ティウンティウン
◎
◎ ◎
◎
ξ#゚⊿゚)ξ 「はい、今日で国王至上法の発布は終わり。お疲れさまでした」
何とかして王妃と離婚したい。
そんなヘンリ8世は、ついには国王がイングランドの教会の最高統治者であることを宣言する法律――『国王至上法』を作り上げ、
これを否定する聖職者を処刑する権限を手に入れたのであった。
279
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:53:26 ID:S2zhF0GA0
この結果、イングランド国内の教会に対するローマ教皇の影響力は排除され……
ξ#゚⊿゚)ξ 「まーた嫁が跡継ぎを産まないわね……」
ξ ゚∀゚)ξ 「あたしはあたしがやりたいようにするわ! また離婚よ!」
8(;^ω^)8 o0(国王教会嫌悪…… 仮反対、我処刑命尽……)
イングランドの教会が、ヘンリ8世の離婚を認めることになった。
このためヘンリ8世はその後も離婚と再婚を繰り返し、生涯で6人の王妃を持つことになる。
280
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:54:17 ID:S2zhF0GA0
こうして始まったのが、イングランドにおける宗教改革なのである。
lXlノソヘ
ξ ゚⊿゚)
( ∽
| |
し`J
『イギリス国教会』
つまり、イングランドの宗教改革は、
神学的な論争は1ミリも関係なく、全く政治的な理由によって始められたものであった。
そしてこれは、
>>178
でも触れたとおり、
「その土地の領主が、その領土における宗教を選ぶ」思想の典型的な事例である。
281
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:55:06 ID:S2zhF0GA0
さて、ヘンリ8世のやりたい放題はさらに続くことになる。
8(;^ω^)8 「嗚、嗚呼〜ッ!」
◎
◎ ◎
◎
◎ ◎ ◎ ◎ ティウンティウン
◎
◎ ◎
◎
ξ#゚⊿゚)ξ 「はい、今日の財産没収は終わり。お疲れさまでした」
例えば目障りな修道院を解散させ、その財産を没収するなどしている。
さらに、
>>269
のように修道院が徴収していた『十分の一税』は、
国王のもとに納められるようになったことから、イングランドの財政状況は一気に強化されることになった。
282
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:55:37 ID:S2zhF0GA0
さらに……
8(;^ω^)8 英国王唯一最高首長、之誤! 羅馬教皇偉大! 英国王格下!
ξ#゚⊿゚)ξ 「はい死刑」
_/⌒_/8(゚ε。)8_
筋金入りのカトリック信者であった『トマス=モア』という思想家が、
王妃との離婚に反対したことから、彼を処刑していたりする。
283
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:56:18 ID:S2zhF0GA0
こうしてヘンリ8世の横暴が続く一方、
実は、そのおこぼれに預かっていた人々もいた。
/⌒ヽ
\ ⊂[(_ ^ω^) < その修道院! 買収を申し込む!
\/ (⌒マ´
(⌒ヽrヘJつ
> _)、
し' \_) ヽヾ\
丶
⑩ (
⌒Y⌒
そう、中小の地主層である『ジェントリ』である。
ヘンリ8世が没収した修道院の領地は、ジェントリに対して払い下げられていったのだ。
284
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:57:03 ID:S2zhF0GA0
そして、大量の土地を得たジェントリは何をしていたかというと……
( ^ω^) 「おっおっ、うちの王様は太っ腹だお! これで僕の所領も増えたお!」
( ^ω^) 「そしてこのワタクシはビジネスマン! 今日も稼ぎになる事業を手掛けていくお!」
( ^ω゚) 「と、いうことで………」
今日もヒツジを育てるお!
/⌒ヽ
( ^ω^)
/,,二つ,,二つ ,,,,,,∠Y"´゙ァッ
( ヽノ ヾ,;' ゝ‘,,ェ)
ノ>ノ ;' 、,,,,,,, ;; ,,:'
三 レレ |_j l_j |_j゙l_j
285
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:57:30 ID:S2zhF0GA0
中世のイングランドでは、
>>213
で触れたとおり、
『毛織物産業』が発達していた『フランドル地方』に羊毛を供給するため、
農村でのヒツジの飼育が広まっていた。
ヾ>;;::;;;'ァ:::::::::::::::::::::::::::::....、
゙;‘/ ’))::;::::;:::;::::::;:::;::::;:::;:::::';
,,,,,,∠Y"´゙ァッ (エ_,ノ:::;;;::::;;::::;:::::;:::;:::::;;::::;;::';
ヾ,;' ゝ‘,,ェ) ヾ:;::;:;:;:;;;:::;:;:;:;;;::;::;;;;:;;:;;::;::;'
;' 、,,,,,,, ;; ,,:' ゙、::i::::,'゙'''''''''ヾ;:' ;;'';;''';'
|_j l_j |_j゙l_j 'L|_j |_j |_j
そして中世末期にもなると、羊毛を生産するだけでなく、
徐々に自前で毛織物を製造するようになっていったのである。
286
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:58:15 ID:S2zhF0GA0
しかし、このようにイングランドでも毛織物産業が勃興してくると、
原料となる羊毛を大量に生産する必要が出てきた。
(⌒─⌒)
((´^ω^)) ノノノ
/ つ___ ザック
し'⌒∪ ̄M ザック
(;^ω^) 「うーん、農民に耕させてもあんまり儲からねぇお……」
この結果、中世以来引き継がれてきた『三圃制』の農法に対し、
ヒツジを飼育した方が儲かるという事態になってしまい………
287
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:59:15 ID:S2zhF0GA0
,;"´"´"´ ⌒ヽ
,;"´"´"´⌒ヽ ( ,, ..6ΦェΦ)
( ,, ..6ΦェΦ) ,;"´"´"´ ⌒ヽ . ( _ ._ . _~_ _..ノ
( _ ._ . _~_ _..ノ ( ,, ..6ΦェΦ) ... ..U~U~~U~U~
U~U~~U~U~ .. ( _ ._ . _~_ _..ノ " ""''. "'..'""""''"" "'' ''""
"".''"."''""".."''"""''"" ''". U~U~~U~U~ "...""''"" "" " """"''" "" "
.. "" ''"" ""''"" """''""."''""'' " """
┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳
┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃
┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃
╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋┻╋
(⌒─⌒) ゥ,、....
((゙゚'ω゚'))
/ つと)
しー-J
ついには農民を追い出して、農地を牧場に変える動きが活発になってしまう。
これを、『第一次囲い込み』(エンクロージャー)という。
288
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/16(木) 23:59:45 ID:S2zhF0GA0
これはとどのつまり…… ヒツジの命は農民よりも重いということ……!
ムシャムシャ
,,,,,,∠Y"´゙ァッ
ヾ,;' ゝ‘,,ェ)─⌒)
;' 、,,,,,,, ;; ,,:'((´゚'ω゙゚') ゥ,、....
|_j l_j |_j゙l_j / つと)
しー-J
(;゚ω゚) 「……羊が人を食べてるお!!!」
『第一次囲い込み』の結果、『ジェントリ』や『独立自営農民』の上位層は大きく成長したものの、
独立自営農民の大多数は農地を奪われて、農村を追い出されることになった。
289
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:00:30 ID:D0qvMhGU0
人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人
Σ て
Σ びっくりするほどユートピア! て人__人_
Σ びっくりするほどユートピア! て
⌒Y⌒Y⌒Y) て
Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
_______
|__ ヽ(^ω^ )ノ
|\_〃´ ̄ ̄ ヽ..ヘ( )ミ
| |\,.-〜´ ̄ ̄ ω > (ω^ )ノ
\|∫\ _,. - 、_,. - 、 \ ( ヘ)
\ \______ _\<
\ || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
\||_______ |
( ^ω^) 「ま、こっちの方が儲かるから仕方ねぇお!」
..,,.,─⌒)
((゙゚'ω゚')) ゥ,、...ゥ,、....
こんな状況を、『トマス=モア』(
>>282
で処刑された思想家)は、
その著書『ユートピア』の中で「羊が人を食べている」と表現して批判したのであった。
290
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:01:27 ID:D0qvMhGU0
さて、イングランドにおける宗教改革の話に戻ろう。
こうして『ヘンリ8世』が始めた『イギリス国教会』であったが、
神学的な”改革”は全くなかったことから、この後しばらくの間迷走を続けることになる。
ξ ゚⊿゚)ξ 「……え、カトリックと教義が同じだって?」
ξ ゚⊿゚)ξ 「仕方ないわね、ちょっと宗教改革っぽいことをしようかしら」
291
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:02:01 ID:D0qvMhGU0
カトリック イギリス国教会 プロテスタント
┝━━━━━━━┿━━━━━━━┥
lXlノソヘn
ξ ゚⊿゚)ノ イマココ!!
と |
| |
U^U
『エドワード6世』
例えば、イギリス国教会の教義や儀式は、成立当初は形式的にカトリックとほとんど変わりがなかった。
これを解決するために、ヘンリ8世の次の国王『エドワード6世』はカルヴァン派の教義を一部で取り入れ、
『一般祈祷書』と呼ばれる礼拝手順を定めている。
292
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:02:47 ID:D0qvMhGU0
この一方、イングランド国内にはカトリックに戻ろうとする勢力も未だ存在しており、
国王が変わるたびに信仰が揺れ動くことになった。
カトリック イギリス国教会 プロテスタント
┝━━━━━━━┿━━━━━━━┥
lXlノソヘn
ξ;゚⊿゚)ノ チョットモトニ
と | モドソウカシラ
| |
U^U
『メアリ1世』
エドワード6世の後に女王となった『メアリ1世』は、
晩年にスペインの『フェリペ2世』と結婚するなど、敬虔なカトリック信者であった。
この結果、16世紀中ごろ(=カール5世引退のころ)、一時的にイングランドにはカトリックが復活することになる。
293
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:03:24 ID:D0qvMhGU0
このカクテルはあたしのおごりよ
lXlノソヘ
ξ ゚⊿゚)ξ シュッ
(つ と彡 /
/ ./
/ ./
/// /
/ 旦 /
/ /
:/⌒ヽ:
:(;゙゚'ω゚'): ピクピク
:/ つとl:
:しー-J : .__
(__()、;.o:。
゚*・:.。
また、『メアリ1世』は徹底的にプロテスタントを弾圧し、多数の”異端”を処刑した。
このため彼女は、後世においてもブラッディ・メアリー(血まみれメアリ)と呼ばれることになる。
294
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:03:56 ID:D0qvMhGU0
さて、女王『メアリ1世』の死後に登場するのが『エリザベス1世』であった。
カトリック イギリス国教会 プロテスタント
┝━━━━━━━┿━━━━━━━┥
lXlノソヘn
ξ ゚⊿゚)ノ マタ 改革スルワヨ!!
と |
| |
U^U
『エリザベス1世』
16世紀半ばに登場した彼女は非常に長生きで、
この後17世紀に至るまで、イングランドにはエリザベス1世が君臨することになる。
295
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:04:45 ID:D0qvMhGU0
そしてこの間、ふたたび国教会派が巻き返すことになる。
ξ ゚⊿゚)ξ 「カトリックとかプロテスタントとか、そんなのにこだわるから揉め事が起こるのよ」
ξ ^⊿^)ξ 「都合のいい所だけつまみ食いすれば良いでしょ。あたしのためのイギリス国教会なんだから!」
エリザベス1世は、即位後すぐに『統一法』を発布して、
エドワード6世の時に策定した『一般祈祷書』の使用を義務付けたのであった。
296
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:05:48 ID:D0qvMhGU0
だが、『エリザベス1世』はなぜイギリス国教会に回帰したのか?
,,-、く~~ヽ、 っ ヽ, /~~ (
( __ノ ヽ-, | ) /´
_/ | _ ,ノ ヽ `) ~|
\___ノ )(;^ω^)| __ ,) レ〜、
,-´、_ ´つ /~~~´
,,-〜ξ ゚⊿゚)ξ /
´〜〜〜〜、_ノ ,〜-´∧_∧
、-、 ,,-ノ (・∀- )
|~~~~`ツ
`ヽ,
~ヽ ∧,,∧
) ミ゚Д゚#彡
,,、,,-、 |
| `‐- 、, ノ ∧,,∧ ,--,
/ ~`〜〜´ ミ;>∀<ミ __ ) ヽ
/ ,〜、__ _〜´ `丶 ヽ `ヽ
/ | `-´ _、 `| `|, \
/ ∧∧ ,__,-´ ( ! \ \ ~~~`ヽ,,_
`/ (#゚Д゚) ./ 、二, `ヽ_,,  ̄く |
/, ( _ 、‐、 ο ´i | `-、 ,~_\ i
~ `´ヽ, /´ ~ `´ ) ,,_| `i ヽ, `´ ヽ
|__,,-‐‐-、,, ,,-‐` `´ ) ,-! )
,,-‐、 ~ i~~`-‐フi_/
_,,/ ` ‐-´i_ - ‐ ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐ ´`‐`―´~ヽ,っ `\_ )
これを理解するためには、16世紀後半のヨーロッパ情勢を復習する必要がある。
297
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:06:28 ID:D0qvMhGU0
まず大前提として、
>>263
で触れたとおり、
当時のイングランドは西ヨーロッパの弱小勢力であった。
∧,,∧ ∧∧
,,ミ;゚Д゚彡 (゚Д゚#)
とミ ツつ (^ー ヽ /
ミ ミ `7´ У
U''''ヽ) 〈_/、_l
当時の大国と言えば、『フェリペ2世』率いるスペイン(=ハプスブルク家)か、
『ユグノー戦争』に突入しつつあったフランスの2国であり、
双方イングランドとは比べ物にならないほど強大だったのである。
298
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:06:55 ID:D0qvMhGU0
そして、先代の『メアリ1世』はカトリックの信者であり、
スペインの『フェリペ2世』と結婚していたことを思い出してほしい。
∧∧
(#゚Д゚) 「なっ!何をするだァー!」
∧∧
(#゚Д゚) 「カトリックの教えに背くなどゆるせん! このフェリペが成敗してくれる!!」
ξ ゚⊿゚)ξ 「チッ、面倒なことになったわね……」
カトリックの盟主であったスペインは、当然『エリザベス1世』の宗教政策に反発し、
大国スペインと弱小イングランドは敵対するようになっていった。
299
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:07:30 ID:D0qvMhGU0
そして……
ξ ‐⊿‐)ξ 「まともにやりあってもキツイわね。搦め手を使っていきましょ」
ξ ゚⊿゚)ξ 「イングランド外交の鉄則その1! まずは敵の敵を支援する!」
・・・・・
・・・
・
∧_∧
(; ・∀・) 「………って漏れかYO!」
まず、イングランドはスペインから独立しようとしていたネーデルラントを支援し、
スペインの内憂を最大限煽ることにしたのであった。
(※ついでにユグノーも支援してフランスに嫌がらせしている)
300
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:08:41 ID:D0qvMhGU0
これに続き……
ξ ゚⊿゚)ξ 「イングランド外交の鉄則その2! 敵の補給路を寸断する!」
ξ ゚⊿゚)ξ 「ということで海賊部隊、出撃せよ!」
ヘ/ニヽ
<フ≦三|
(メ●ω^) 「あいあいさー!」
301
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:09:28 ID:D0qvMhGU0
/∧∧ 貿易船を狙うのは卑怯だぞ!!
/ ∩(#゚Д゚)
/ \/ ⊃))
/\ \ // ∧∧
\ \ \⊂(゚Д゚;)
\ \ \⊂ \ ∩∧∧∩アプププ
''"""~~""'''"~"''''"~~"'''"~"''''"~"''''"~~"''''"~"'''''"~~"''''''"~"'''"
エリザベス1世は、民間の船舶……というか海賊をけしかけて、
新大陸とスペイン間の貿易船を襲撃したのであった。
302
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:10:00 ID:D0qvMhGU0
こんな状況であったので、スペインにとってはウザいことこの上ない状況である。
ξ ^⊿^)ξ 「オーッホッホッホッ!! 島国からチクチク攻撃されるのはいかがかしら?www」
∧∧
(# Д) 「ゆ、ゆるさん! ロンドンを焼野原にしてくれる!!」
この時、カトリックを信仰していたスコットランドの元女王が処刑されたこともあって、
『フェリペ2世』はイングランドの討伐軍を組織するが……
303
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:10:24 ID:D0qvMhGU0
∧∧
(,,゚Д゚) 「オスマン帝国も沈めた最強の艦隊が出撃するぞ!」
∧∧
(,,^Д^) 「Vやねん!スペイン王国! 強すぎてたまりません! 勝った、勝った!ばく進Vロード!」
↓
/j^i ち〜ん(笑)
./ ;!
/ /__,,..
/ `(_t_,__〕
/ '(_t_,__〕
/ {_i_,__〕
/ ノ {_i__〉
/ _,..-'"
/ /
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アルマダ
強国スペインの海軍――通称『無敵艦隊』は、
折からの暴風雨もあって、半数以上が沈没する歴史的V逸を喫することになってしまった。
304
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:10:58 ID:D0qvMhGU0
∧∧
(#゚Д゚) (⊿^#ξ
カトリック イギリス国教会 プロテスタント
┝━━━━━━━┿━━━━━━━┥
このように、エリザベス1世はカトリックを信じるスペインと対峙するために、
イギリス国教会を強制して、国内を固める必要があったのである。
305
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:11:27 ID:D0qvMhGU0
ただし、イギリス国教会を強制すれば国内は盤石という訳でもなかったりする。
..,,.,─⌒) ゥ,、....
((゙゚'ω゚'))
/ つと)
しー-J
まず、
>>288
で触れたとおり『第一次囲い込み』が進展していたことから、
イングランド国内には農村を追い出された元農民がウヨウヨしていた。
306
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:12:29 ID:D0qvMhGU0
、Х
〈`
/\
//.:::.:.::〉
〉へ::.:/ヌ/〉
/'个y´ ̄Lム、
|:.'.;| [] . :::.ヒ!
_ |;'.:.| . : : : :ロ.::|
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┌个┐| | .:_|___. |_.' |.::.:..:.[]::.:.::.:|
| .:|...:|/:/...:.:|..: : : : : :.:`L..r─┬i .//| |.: :.: :.:.:.:.:..::|
\ | └┴┬i::::|==========|: : ://__. rr┴' | |.:.::.[]:.:: : : :|
:::...>、 |[]..::[]. 〈〈::::|::::::[]::::.:.:[]..r、]: :.[_[;;::::.} ]:]:: : | | :.:: ::..::.::.:::.|. ┌::、 /〉
‐く.:〈 ,、 |. : : : :.: :\:|:::::::::::::::::::::/. : : : : :〉〉 //:: : :| | : :.::.::.:::..::.:|-┘:::L、r‐//┐ ,、
.: ::L└i _ .||_ | : : : : : :、 〉〉/〉::::::;;:::〈 : : : : :〈〈 rく〈:.;:..::..::.::_|:::/Tl::::;二/ム、| || _r─
::.: :└i:| //\| ::::ト、__ : : :||_'//、п∥::.:l| : : : : 〉〉 | :.|::|..::./rへ/レYL;/:>┘/ト┘.//::::.`L「|-┘/:::トyィ
工エ::「 /〈. ::〈|-、_/::::::..\r':.|.::[,/T>.:/ロ〃乢.: :: :〈〈  ̄└─匚|__| :| |:L:冂_| :|┐ .::::::ir==| |.:::.「.:[]:}il|{´
: :∠7ヘlコ:::|:.:..|-i_::_r√ソ\>へ:| :|:ln| :]:|:П叮  ̄ 。l;_|_|ー|__!」====l|_<>‐┴─|i|l|
: :|ェ| .:::::|:.:.|:::..|::::.|\.::::》: :::L;:.::r| .L/∟ロ⊥! rュ ´ ' ルヘ:
そして、このような貧困な元農民は、従来であれば『修道院』で世話をしていたものだが、
イングランドの修道院は『ヘンリ8世』がすべて解散させていたのである。
つまり、イングランドでは貧民を保護するセーフティーネットが崩壊していたのであった。
307
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:12:59 ID:D0qvMhGU0
このためエリザベス1世の治世において、『救貧法』という法律が制定されている。
ξ ゚⊿゚)ξ 「浮浪者を放っておくと治安が悪化するわね……」
ξ ゚⊿゚)ξ 「とりあえず、働けるやつは強制的に働かせておきましょう。サボる奴が悪いのよ」
ゥ,、...
..,,.,─⌒)
((;´゚ω゚)) 。・゚・⌒)
/ o━ヽニニフ))
しー-J
これは、働けない貧民に対して金銭を支給する一方で、
働ける失業者には強制的に労働させる法律であった。
308
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:13:23 ID:D0qvMhGU0
そして……
(⌒⌒⌒)::) .(⌒⌒⌒)::) ____
| |:::| /⌒| |:::| | 100円 |
|____|__(^ω^|____|;;;|  ̄~||~ ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄|
|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::::|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(;^ω^) 「え!? 労働しているほど救われるキリスト教ってあるんですかお!?」
実は16世紀後半になると、
イングランドやスコットランドでも『カルヴァン派』が広まりつつあったのである。
309
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:14:06 ID:D0qvMhGU0
( ^ω^) 「カルヴァンの教えは素晴らしいお! 事業で儲けたのは救われている証拠だお!」
( ^ω^) 「こんな素晴らしい教えがあるにも関わらず……」
ξ ^⊿^)ξ 「イギリス国教会はあたしのためのもの! 好きに解釈させてもらうわよ!」
( `ω´) 「うちの女王は何なんだお! キリスト教を何だと思ってんだお!?」
ご存じのとおり、『カルヴァン派』は商工業者に人気のプロテスタントである。
このためイングランドにおいては、ビジネスを手掛ける『ジェントリ』や、
『独立自営農民』の上層部を中心に信者が増加していった。
310
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:14:37 ID:D0qvMhGU0
( `ω´) 「イングランドの宗教改革は! もっと純粋に! 徹底的にやるべきだお!」
そして、イングランドで増加した『カルヴァン派』は、
イギリス国教会の中途半端さに反発し、より”ピュア”にやっていこうと主張するようになった。
この結果、イングランドのカルヴァン派は『ピューリタン』(清教徒)と呼ばれるようになっていく。
311
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:15:08 ID:D0qvMhGU0
こうしてイングランド国内では、
∧∧
(;゚Д゚) ξ#゚⊿゚)ξ (`ω´#)
カトリック イギリス国教会 プロテスタント
┝━━━━━━━┿━━━━━━━┥
・外国勢力に近しく、国教会を恨んでいる『ローマ=カトリック』
・イギリス国教会の改革が不十分だと叫ぶ『ピューリタン』
・それらの中道を進み、国内の安定を求める『イギリス国教会』
の3勢力がうごめくことになった。
『エリザベス1世』の治世は華やかなイメージで語られることが多いが、
国内には失業者も溢れており、また宗教対立の芽が育ちつつあったのである。
312
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:15:39 ID:D0qvMhGU0
そして17世紀初頭、ついにエリザベス1世はこの世を去ることになる。
彼女は後継者を指名しないまま死んだので、『テューダー朝』はここに断絶することになった。
「力が欲しいか……」
(;゚ω゚) 「な、なんだお!?」
そして、残されたイングランドには………しばらくして、革命の嵐が吹き荒れることになる。
313
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:16:09 ID:D0qvMhGU0
●16世紀の終わりに
ξ#゚⊿゚)ξ (`ω´ ) ζ(゚ー゚*ζ
∧_∧ _ (・∀ ・)
(・∀・ ) (;゚∀゚)
.,,..,,,,_
/ ,' 3
∧,,∧
ミ,,゚Д゚彡 ('A`;)
λ∧ ∧∧ \(^o^)/ (^、^*川
(;;)T;o゙) (゚Д゚#)
さて、ここまで宗教改革を中心に16世紀のヨーロッパを概観してきた。
1517年に『マルティン=ルター』が始めた神学的な論争は、
ヨーロッパ諸国に大きな混乱をもたらしたのである。
314
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:16:50 ID:D0qvMhGU0
では、宗教改革に振り回された16世紀が終わるとどうなるのだろうか?
∧_∧
( ・∀・) 「16世紀が終わるとどうなる?」
( ^ω^) 「知らんのか」
( ^ω^) 「17世紀が始まるお」
∧_∧
(; ・∀・) 「いやそうじゃなくて……」
315
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:17:17 ID:D0qvMhGU0
* ∧ ∧ +
+ (,,^Д^)
⊂ T ⊃ +
〜| |
し`J
混乱した16世紀が終わると、実はさらに混乱した『危機の17世紀』が訪れる。
17世紀に入ると地球環境が寒冷化したことから、
農業が不振となり、人口も減少し、経済的に不況となっていったのであった。
316
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:17:50 ID:D0qvMhGU0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
|
____.____ | いらない
| | | | 国王顧問官を
| | ∧_∧ | | 窓から
| |( ´∀`)つ ミ | 投げ捨てろ
| |/ ⊃ ノ | |
 ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄ | ∧_∧
(´Д` )
⊂ ⊂ )
⊂ ⊂ ,ノo
こうした危機的な状況を、17世紀のヨーロッパ諸国はどのように乗り越えたのか?
また、追い詰められた民衆はどのようにこの先生きのこっていったのか?
これについては、また次回以降お話していくものとしたい。
317
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:18:49 ID:D0qvMhGU0
∧ ∧ ニュ
(,,^Д^)
__〃`ヽ 〈_
γ´⌒´--ヾvーヽ⌒ヽ
/⌒ ィ `i´ ); `ヽ
/ ノ^ 、___.T___人 |
! ,,,ノ爻\_ _人 ノr;^ > )
( <_ \ヘ、,, __,+、__rノ/ /
ヽ_ \ )ゝ、__,+、_ア〃 /
ヽ、___ ヽ.=┬─┬〈 ソ、
〈J .〉、| |, |ヽ-´
/"" | |: |
レ :|: | リ
/ ノ|__| |
| ,, ソ ヽ )
.,ゝ ) イ ヽ ノ
y `レl 〈´ リ
/ ノ | |
l / l;; |
〉 〈 〉 |
/ ::| (_ヽ \、
(。mnノ `ヽnm
つ づ く
---------------
制作・著作 VIP
318
:
◆ImMEukpfHw
:2022/06/17(金) 00:19:34 ID:D0qvMhGU0
ということで足掛け2年くらいかかりましたが、ここでいったん一区切りです。
異様に長くなっちゃったので、途中から「ギコとドクオで近世西洋史 中編」って感じでしたね。。。
しばらく忙しくなりそうなので、次回以降はまたごゆるりとお待ちください。
319
:
名無しさん
:2022/06/17(金) 09:41:34 ID:wqW8ZmII0
乙乙乙
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