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lw´‐ _‐ノv思い出のサンライズ のようです

1 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:01:45 ID:34wH2zmw0







 ねえ、知ってる?

 美味しいパン屋さんができたんだって、この草咲に。








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2 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:02:33 ID:34wH2zmw0





  lw´‐ _‐ノv思い出のサンライズ のようです





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3 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:03:13 ID:34wH2zmw0

 *

 ああ、ここも違う。
 赤い鳥居の前で、少女――素直秋は肩を落とす。


 lw´‐ _‐ノv 「ここも赤鳥居、と」


 右手に握った端末に表示された地図の、新井田神社に大きくバツ印を記して。
 シューは石段に力なく腰を下ろした。

 制服が砂だらけになるな、と頭の端に浮かんだが
 首を振って心配を振り払う。

 汚れたら洗えばいい。
 母に怒られたら、謝ればいい。

 それよりも、だ。
 一向に見つからない目的地はどうやって探せばいいのだろう。


 lw´‐ _‐ノv 「あー、疲れたなぁ」

 
 街を一望できる石段で、遠くの海を睨みながら
 シューは困り果てていた。

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4 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:03:48 ID:34wH2zmw0

 *




 たまには米以外を食べたい。

 自分らしくない、そんな罰当たりなことを思いついてしまったあの時から、
 この苦難は始まったのだった。




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5 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:04:34 ID:34wH2zmw0

 *

  
 o川*゚ー゚)o 「知ってる?」


 末の妹はいつものように、ノックもせずに部屋に飛び込んできたけれど、
 今さらそんなことで動じる私ではない。


 lw´‐ _‐ノv 「コシヒカリの原産地? それはね、新潟かと思いきや……」

 lw´‐ _‐ノv 「なんと」

 o川*゚ー゚)o 「福井なんでしょう? もうミミタコだよそれ」


 熱心に教育してきた甲斐があったなあ。
 何かご褒美をあげなくては、とポケットをまさぐると、親しみ深い感触が指先に触れる。 


 lw´‐ _‐ノv 「偉いね君は。シールをあげよう」

 o川*゚ー゚)o 「いらんわ」

 o川*゚ー゚)o 「え、服にくっついてカピカピになったお米をシールにしてるの?」

 lw´‐ _‐ノv 「素直家春のご飯祭り♪」

 o川*゚ー゚)o 「ひくわー……」

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6 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:04:58 ID:34wH2zmw0

 失敬な。
 形の綺麗なご飯粒を厳選し、丁寧に乾燥させた逸品を
 「ひくわ」の三文字で一蹴した妹を睨みつける。


 lw´‐ _‐ノv 「で、何の話?」

 o川*゚ー゚)o 「なんかねぇ、美味しいパン屋さんが出来たんだって」

 lw´‐ _‐ノv 「米粉なら付き合う」

 o川*゚ー゚)o 「原材料まではわかんない」


 米粉パンのもっちりと優しい食感。
 小麦粉とは違った芳醇な香りと、確かな弾力に思いを馳せる。

 そう、あれはまるで――。


 o川*゚ー゚)o 「ま、いいや。ヒーちゃんと行くから」


 瞳を閉じて、米粉パンを描き出した私に呆れたように 
 ばいばい、と素っ気なく言い残し、妹は部屋を出て行った。

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7 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:05:57 ID:34wH2zmw0


 私の住む草咲市は、それほど大きな街ではない。
 
 ただ生活する分にはさほど不便な思いはしないが、
 イベントに参加するには電車に揺られて隣の都市まで繰り出さなくてはいけないし、
 都会の流行はワンシーズン遅れて流行り出す、そんな田舎町。


 「新しいパン屋が出来る」

 それは、平和で退屈な草咲を色めき立たせる、格好のニュースだった。


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8 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:06:32 ID:34wH2zmw0

 私より少し短めのスカートを翻し、クラスメイトの椎名しぃがこちらに駆けよってくる。
 彼女が動くと少し遅れて、花の香りが広がる。

 (*゚ー゚) 「聞いた?」

 lw´‐ _‐ノv 「新品種、文之助のことなら聞いた。楽しみ」

 (*゚ー゚) 「え、逆に何?」

 lw´‐ _‐ノv 「冷めても美味しい上品な粒感を誇る米、文ノ助だが?」

 (*゚ー゚) 「あ、それはもういい」

 lw´‐ _‐ノv 「秋にお取り寄せする予定だけど、一口どう?」

 (*゚ー゚) 「興味なくはない、かも」

 すらりと長い美脚の持ち主であっても、やはり米は食べるのだ。
 妹たちと比べて短足気味な私を「パンを食べないからだ」と笑った父を思い出す。

 lw´‐ _‐ノv 「君のそういうところ、好きだよ」

 (*゚ー゚) 「ありがと、でね、違うのよ」

 (*゚ー゚) 「サンライズのこと、聞いた?」

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9 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:07:42 ID:34wH2zmw0

 lw´‐ _‐ノv 「サンライズ?」

 lw´‐ _‐ノv 「そんなお米ができるのかぁ」

 (*゚ー゚) 「シューちゃんの知らないお米を私ごときが知ってると思う?」

 lw´‐ _‐ノv 「いやいや、布教の甲斐があったなぁって、嬉しいよ」

 lw´‐ _‐ノv 「ご褒美にシールをあげよう」

 ポケットに手を突っ込み、お手製の「シール」を探し出そうとするも、

 (*゚ー゚) 「いらない」

 柔らかくも鋭い声に遮られ、ポケットの中の探索を取りやめた。


 (*゚ー゚) 「パン屋さんが来るんだって。サンライズって名前の」

 lw´‐ _‐ノv 「米粉パン専門店?」

 (*゚ー゚) 「違うと思う、だってね、サンライズってメ」

 ( ´∀`) 「はーい皆席につくモナー」

 ガラリと教室の扉が開いて、担当教師がのんびりとした声を張り上げる。
 野兎の群れが散り散りと逃げ惑うように一斉に生徒たちは席へと戻っていく。


 サンライズ。
 
 魅力的な響きの名前を前にして、私の想像は広がっていく。
 そんな名前の米があるとしたら、一体どんな味なのだろうか、と。

.

10 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:08:07 ID:34wH2zmw0


 一人、帰路を辿りながらも、私は上の空だった。

 サンライズという温かみのある名前なら、やはり甘みは強いのだろう。
 粘り気はどうだろう。歯ごたえはもっちりしているのかな。

 甘くて香ばしい香りは、まるで焼きたてのパンのようで。

 
 ……焼きたてのパンのようで?


 脳内にパンという響きがこだまして、夢のような連想が途切れ、足を止める。

 周囲の様子をうかがうと、どこからか甘い香りが漂っていることに気が付いた。
 気づかぬうちに影響していたのだ。
 濃密なこの香りが、私の夢のコメの想像に。

 周囲には、匂いの元となりそうな店舗は見当たらない。

 大通りの一本裏の道で、私は香りを辿り始める。
 あたりを見渡し、小道を覗いて、より強く濃く深く匂う場所へ。
 罠に誘い込まれる小動物のように。食虫植物に飛び込む羽虫のように。

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11 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:08:44 ID:34wH2zmw0

 熟れた果実のようなぽってりとした夕日が、地の果てに沈みかける頃。
 夕焼けに溶けるような橙色の一台のキッチンカーが、不意に目の前に現れた。

 (´・_ゝ・`) 

 町中に広がる香りの中心地で、一人の男がぼんやりと立っていた。

 (´・_ゝ・`) 「……おや、君は」

 (´・_ゝ・`) 「とりあえず、食べる?」

 そういって差し出してきたのは、色とりどりの紙に包まれた、丸く輝くメロンパンだった。
 朝方の太陽のように、黄金色に輝くそのパンは、それは強く強く私を惹きつける。

 lw´‐ _‐ノv 「いただきます」

 包み紙の模様になど目もくれず、一心不乱にかぶりつく。
 ひとたび齧れば、口いっぱいに黄金色の小麦畑が広がる。
 大地が語りかけ、太陽が歌い、雨が踊る。

 炊き立てのご飯で握ったおにぎりを食べたときの感動と、よく似ていた。

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12 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:09:15 ID:34wH2zmw0

 あたたかな残り香と、皺の入った包み紙を残して、メロンパンは体内へと消えゆく。

 無我夢中でパンを食べてしまった罪悪感と、欲望の満たされた幸福感がせめぎあい、
 とても。とても。

 lw´‐ _‐ノv 「……悔しい」

 lw´‐ _‐ノv 「でも、美味しかった。ご馳走様」

 (´・_ゝ・`) 「それは良かった。300円です」

 lw´‐ _‐ノv 「え?」

 (´・_ゝ・`) 「ん?」

 lw´‐ _‐ノv 「……売り物だったの?」

 (´・_ゝ・`) 「そうだよ」

 男は困ったように眉を下げ、首を傾げる。

 (´・_ゝ・`) 「……何だと思って受け取ったの?」

 lw´‐ _‐ノv 「メロンパンの精霊が、正直者に金のメロンパンを恵んでくれたのかと」

 (´・_ゝ・`) 「メロンパンの精霊……?」

 男の眉間の皺が更に深まる。

.

13 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:09:41 ID:34wH2zmw0

 lw´‐ _‐ノv 「そう。美味しかったです、また会いましょう」

 (´・_ゝ・`) 「いやいや、ダメだよ、お金払ってよ」

 lw´‐ _‐ノv 「ここ、何のお店?」

 (´・_ゝ・`) 「移動メロンパン屋、サンライズだよ。ほら、そこに看板」

 男の指の先には、「サンライズ」と書かれた立て看板と、「メロンパン300円」の文字。

 lw´‐ _‐ノv 「ぐぬぅ……」

 lw´‐ _‐ノv 「すみません精霊さん、お金持ってないんです」

 lw´‐ _‐ノv 「売り物だって、知らなかったから」

 (´・_ゝ・`) 「でもさ、食べちゃったんでしょ?」

 (´・_ゝ・`) 「お金払わなきゃ、食い逃げなんだよねぇ」

 lw´‐ _‐ノv 「ぐぬぅ」

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14 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:10:32 ID:34wH2zmw0

 鞄をひっくり返しても、財布の姿はどこにもない。
 ポケットをあらため、制服のあちこちを叩いても、十円玉ひとつ出てきはしない。

 体を捻って、必死で小銭を探す私に向かって男は呟いた。

 (´・_ゝ・`) 「お金ないならさ、身体で払ってよ」

 lw´‐ _‐ノv 「……は?」

 (´・_ゝ・`) 「カラダで、払ってよ」

 表情ひとつ変えずにキモチワルイことを繰り返す男を前に総毛立つ。

 lw´‐ _‐ノv 「おまわりさーん」

 声を張り上げる私に被せるように、男も声を上げる。

 (´・_ゝ・`) 「食い逃げ犯人はここですよー」

 lw´‐ _‐ノv 「わかった、わかったってば」
 
 覚悟を決める。
 男はゆっくりとこちらに近づき、手を伸ばし――
 

私が握りしめていた、メロンパンの包み紙を引き抜いた。

.

15 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:11:08 ID:34wH2zmw0

 強く握りしめていたため、皺くちゃになったその紙を、男はゆっくりと広げていく。
 しわを一つ一つ、ゆっくりと伸ばしながら、男は静かに語りだした。

 (´・_ゝ・`) 「あのね、僕は今、この人を探しているんだよ」
 
 lw´‐ _‐ノv 「人を、探す?」


 ん、と頷いて男が差し出した包み紙には、幻想的なイラストが描かれていた。



 https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208807/118_comh7o.jpg



 lw´‐ _‐ノv 「女の人、と」

 lw´‐ _‐ノv 「……竜?」


.

16 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:11:37 ID:34wH2zmw0


 それは不思議な絵だった。
 桜舞い散る神社で、大きな竜と女性が寄り添って立つ、

 そう、それはまるで――



 lw´‐ _‐ノv 「結婚写真……?」

 (´・_ゝ・`) 「僕は、この絵をその人の手に届けないといけないんだ」

 lw´‐ _‐ノv 「……うーん?」

 lw´‐ _‐ノv 「メロンパン屋のおっさんが、どうして、人探ししてるの?」

 lw´‐ _‐ノv 「なんで、返さないといけない絵をいっぱい刷って、包装紙にしてるの?」

 (´・_ゝ・`) 「手元に届けるためさ」

 lw´‐ _‐ノv 「よくわからん」

 (´・_ゝ・`) 「わかんなくていいよ」

 (´・_ゝ・`) 「とにかく、この街に住むその人を探し出してくれたら、さっきのメロンパンはタダにしてあげるよ」

 仕方がない。
 食い逃げ犯になってしまえば、指名手配され、退学、逮捕。
 牢屋で臭い飯を食べる羽目になってしまう。

 あたたかな握り飯を頬張る生活を手放すわけにはいかない。
 
 lw´‐ _‐ノv 「わかった」

 (´・_ゝ・`) 「そこに写る、女の人に渡してくれ」

 (´・_ゝ・`) 「この街に暮らしているはずなんだ」

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17 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:13:53 ID:34wH2zmw0

 *

 果たして。
 
 この労働は、たった300円の未払いに見合うものだろうか。
 切らした息を整えるために座り込んで、私は思考を巡らせる。

 しっかりと握りしめていたせいか、手汗で湿った包み紙をもう一度眺める。

 石造りの鳥居の前で寄り添う、着飾った二人。
 白無垢に綿帽子姿の女性と、袴姿の大きな竜。背後には満開の桜並木。

 これだけの情報をもとに、ここに描かれる女性を探し出さねばならない。

 lw´‐ _‐ノv 「……神社は全部回ったはずなんだけど」


 美しい桜の境内で有名な新井田神社は、最後の希望だった。

 石造りの鳥居のある神社もあった。けれどその背後には、桜の木は無かった。
 最後の望みをかけて訪れた、草咲の高台にある新井田神社は、鳥居が石造りではなかった。

 完全にお手上げである。

.

18 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:14:37 ID:34wH2zmw0

 そもそも、この女性は存在しているのだろうか?
 古い写真ならまだしも、ヒントとなるのは一枚の絵だけ。しかも、あまりにも非現実的な。
 竜と婚姻を結ぶ女性なんて、まるで。

 lw´‐ _‐ノv 「……神隠しみたいだなぁ」

 lw´‐ _‐ノv 「ん?」

 lw´‐ _‐ノv 「かみ、かくし?」


 立ち上がり、お尻の砂をはたき落とすことも忘れ、階段を駆け下りる。
 小さな段をひとつひとつ踏みしめるのももどかしく、
 ローファーで小石を蹴り飛ばし、一段飛ばしで転がり落ちるように。


 店主の男は言った。 
 この女性を探してほしい、と。


 探すべきは、同じ鳥居のある神社ではない。


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19 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:15:12 ID:34wH2zmw0

 長い階段を降りきると、近くのバス停に赤いバスが停まっていた。
 行先も確認せずに飛び乗ってから、路線図を確かめる。

 目的の停留所の名前を見つけ、私は安心して椅子に座った。 
 息を整えつつ、鞄から端末を取り出しインターネットに接続する。

 lw´‐ _‐ノv 「草咲市 神隠しっと」

 検索結果の一番初めには、

 ★草咲最強心霊スポット★絶対に訪れてはいけない場所10選!!!

 lw´‐ _‐ノv 「うさんくさっ」

 地元で育つ学生なら誰でも聞いたことのある心霊スポットの名前が並んでいる。
 美府峠、旧板トンネル、ほらいぞん沼――そう、肝試しの定番の場所ばかり。


 「次は〜、草咲図書館前〜」

 けだるげな運転手の声が耳に届き、端末から顔を上げる。

 草咲図書館。
 この街で起きた神隠しの歴史を探しに行こう。

.

20 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:15:57 ID:34wH2zmw0


 (゚、゚トソン 「草咲で起きた、神隠し事件、ですか?」

 lw´‐ _‐ノv 「昔の新聞から、探してみたいんです」

 (゚、゚トソン 「それは構いませんけども、いつ頃の事件でしょうか」

 いつのことか。
 問われてしばらく、声に詰まる。

 lw´‐ _‐ノv 「い、いつごろ?」

 (゚、゚トソン 「ええ、何かヒントがないことには。大体何年前のことでしょうか」

 lw´‐ _‐ノv 「わ、わかりません」

 (゚、゚トソン 「……ええと」

 親指と、人差し指。彼女の細い二本の指が、眉間を往復する。 
 司書の女性の困惑が、こちらにも伝わってくる。
 
.

21 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:16:21 ID:34wH2zmw0

 (゚、゚トソン 「例えば、被害者の年齢や性別とか」

 lw´‐ _‐ノv 「おんなのひと、で……歳は、ええっと……」

 言い淀む私を見て、司書の女性は首を傾げる。
 二本の指がまた眉間に向かい、くるくると円を描き、そして止まった。

 (゚、゚トソン 「ふむ、そうですね」

 (゚、゚トソン 「探している資料とは少し違うかもしれませんが」

 飾り気のない白くて長い指先で、レシートのような紙を差し出される。

 (゚、゚トソン 「草咲歴史ものがたり、という読み物に、古い伝説が記されているかもしれません」

 (゚、゚トソン 「過去の新聞を検索したい場合は、いつでもお声がけください」

 (゚、゚トソン 「お力になれず申し訳ありません」

 小さな白い紙に示された書棚は、児童書コーナーの隅にあった。
 
.

22 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:16:50 ID:34wH2zmw0

 「夜遅く、尿意を催したわたしは縁側を小走りで厠へと向かう。
  月明りが突如何かに遮られ、辺りは暗闇に包まれる。むくむくと山が盛り上がってきた。」 

 少女の目線で語られる、おにぎり山の誕生秘話や、美府峠に現れる母子の亡霊物語。
 ほらいぞん沼干拓の歴史と、行き場を失った沼の主である竜の物語――。


 lw´‐ _‐ノv 「さっきの胡散臭いサイトと似たようなラインナップだなぁ」


 神社の鳥居を探しても、同じ場所は見つからない。
 神隠しの事例を探そうにも、時代も被害者の名前も分からない。

 そもそも。
 こんな非現実的なイラストの登場人物を探し出すなど、到底無理な話である。
 
 おそらく店主は、300円ぽっきりすら払えない可憐な女子高生に腹を立て、
 無茶苦茶な無理難題を吹っかけて追い払ったのだろう。

 lw´‐ _‐ノv 「よし、決めた」
 
 lw´‐ _‐ノv 「キュートの部屋の貯金箱から300円もらって返そう」


.

23 ◆k.X.E/inD.:2020/05/06(水) 23:17:38 ID:34wH2zmw0

 単純明快な解決法だ。
 食い逃げ犯の罪から逃れるために、訳の分からない人探しをする羽目になったのだ。

 お金を払えば、無理難題から逃げられる。

 lw´‐ _‐ノv 「こーんな難しいの、無理なんだい!」

 lw´‐ _‐ノvフフッ

 どうしてあの時、お金を借りてくるという発想に至らなかったのだろう。

 きっと私は魅せられていたのだ。
 夕暮れの魔力と、辺り一面に広がっていた濃密な甘い香りに。
 黄金色のメロンパンに。

 そして、不思議で幻想的な、この包み紙に。


 https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208807/118_comh7o.jpg






【続く】

24 ◆S/V.fhvKrE:2020/05/07(木) 00:25:41 ID:0pP5dIEE0
【投下期間終了のお知らせ】

主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。

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となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)

25名無しさん:2020/05/07(木) 02:22:23 ID:iWoUqKxU0
続くのか
楽しみです

26名無しさん:2020/05/07(木) 18:57:19 ID:1QHSgOC.0
期間後に続きやる感じ?それとも遅刻上等?

27名無しさん:2020/05/09(土) 01:40:06 ID:fXLkqBb20
いいね、ぜひ続いてくれー!

28名無しさん:2020/05/16(土) 20:29:20 ID:UIFDBHFU0
めっちゃ続き読みたい……!続いてくれー!


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