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( ^ω^)|ムシヨ|ニクヨ、と──のようです

225 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:14:29 ID:5H281t8g0

(*^ω^)「いつもとおんなじ、いい一日だお!」

(..'∀`)「だな。 オマエさんのアタマが、いろんな色でにぎやかなのもな?」

(;^ω^)「おーん、蝶の花びらってすぐアタマに引っかかっちゃうんだおー」

(..'∀`)「ドジめ。 屋根がないところに座ってるからだ。
     ここにいるかぎり、オマエさんには雨のように花びらが降ってくるだろうよ」

(..'A-)「たまにはいつもと違うところで待ってみるってのは?
    いつもと違うもんが降ってくるかもしれねーぜ? どうだ?」

( ^ω^)「でもボク、いつもとおんなじのが好きなんだお」

( ^ω^)「ボクらの秘密基地の屋根のてっぺんはね、
       ここはね、お空にいっちばん近いところだから」

(..'A`)「よくもまあ、来るか分からんもんをずっと待ってられるな。 ゴリッパなもんよ」

(*^ω^)「ドクオだって、むかしっから日記つけてるお? ゴリッパなもんだお!」

(..'∀`)「けけけ。 オレの書いたウラミツラミがゴリッパってか」

(..'A`)「よいしょ、っと。 そろそろ戻ってモララーサマーに叱られてくるとしますか」

( ^ω^)「やっぱりイタズラしたんだおね」

(..'A`)「ブーン、オマエさんもカネの音がする時間には下りてこいよな?」

( ^ω^)「おん!」

.

226 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:15:55 ID:5H281t8g0

ヒラヒラ
ヒラヒラ

( ^ω^)

( ^ω^)(今日もぼくらの教会は、中も外も蝶のお花でいっぱいだお)

( ^ω^)(いつ見てもキレイだお。 こういうの、先生なんて呼んでたっけ)

ヒラヒラ
ヒラヒラ

( ^ω^)(あっちの雲、猫に似てるお。そっちの雲は犬。
       こっちの雲は……なんでもない雲だお)

( ^ω^)(あ、お空の高いところまで蝶の花びらが。
       お花じゃない蝶っていう生き物も、あんな風に飛ぶのかな)

ヒラヒラ
ヒラヒラ

( ^ω^)(おー)

( ^ω^)(お空、真っ赤になっちゃったお)

ビキッ

( ^ω^)「?」

( ^ω^)(よく、わからなかった)

( ^ω^)(なにが起こったんだお?)

( ^ω^)(お空に、ヒビが?)

ビキビキッ...

( ^ω^)「!」

バリィンッ‼︎

.

227 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:18:16 ID:5H281t8g0

( ^ω^)(お空が、割れて)

( ^ω^)(なにかが。 おっきな、なにかか)

( ^ω^)(上から、ぼくに。 おっこちて)

( ^ω^)

( ^ω^)「…………あっ」





ドチャッ‼︎










ボクらの秘密基地に、おっきな肉細工がふってきた。

.

228 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:19:37 ID:5H281t8g0

「────」

(  ω )

(  ω )「…………?」

(  ω )(真っ赤だお……)

(  ω )(ボク、なにしてたんだっけ……お日さまの中にいるんだっけ……)

「────!!」

(  ω )「ごぼっ」

(  ω )(あれ……)

(  ω )(どうして……息が……)

「────ン!!」

(  ω )「ごぼごぼっ」

(  ω )(息が……できない……)

(  ω )(ボク……肉の中……?)

(  ω )(苦しい……でも……なんだか、ここは……)

(  ω )「こぽっ……」

(  ω )

(    )っ「ブーン!! 手をとれ!!」

.

229 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:20:49 ID:5H281t8g0

(  ω )(誰かさんの……手が……)

(  ω )(ウロコの生えた手……ドクオの手だ……)

(  ω )っ

ガシッ‼︎
グチグチ...

(; ω )「ぷはっ」

ゴーンゴーン

(;..'A`)「ブーン……!! 生きてるか……!?」

(; ω )「けほけほっ……あ、り、が…………」

(;.. A )「くそぉ……どうなってんだよ、なんなんだよ……これはっ……」

(;.. A )「!」

ゴーンゴーン

(;.. A )(ははっ……。 わけわかんね……)

(;.. A )(なんで……空に穴が……)

(;.. A )(体に力が……入らね……んだ……)

(;.. A )(……んで……めのまえ、……しろく…………)

ゴーンゴーン

(  ω ) ドサッ

(.. A ) ドサッ

ゴーンゴーン

.

230 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:21:55 ID:5H281t8g0

( ―ω―)

ドクン
ドクン

「〜♪」

ドクン
ドクン

( ―ω―)(あ)

( ―ω―)(またいつもの夢だお)

( ―ω―)(誰かさんのムネの中の音と、誰かさんの歌だけが聞こえてくる)

「〜♪」

ドクン
ドクン

( ―ω―)(あったかいお、きもちいいお)

( ―ω―)(ここはとてもいい。ずっとここにいたいな)

(    ) ユラッ

「〜♪」

(    )っ

( ―ω―)(誰かさんがボクのアタマをなでてる)

(    )っ「起きて」

( ―ω―)(そうだ、もう起きなくっちゃ)

( ―ω―)(サヨウナラ、だお。知らない誰かさん)

( ―ω―)(また明日、会いに……るお……)

「〜♪」

ドクンドクン
ドクンッ

.

231 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:22:54 ID:5H281t8g0

( ―ω―)

リィン

( ^ω―)「……おっ?」

(´・ω・`)「やあやあ、お寝坊さん」

( ^ω^)

(´・ω・`)「ずいぶんと長い夢を見てたみたいだね?」

( ^ω^)「ショボン?」

ガバッ

(´・ω・`)「ちょっと! いきなり起きないでくれる? 枝が刺さったらどうしてくれるのさ!」

( ^ω^)「おん?ごめんお?」

(´・ω・`)「まったくもう。 ブーン、君ってば、
     頭から木の枝が生えてる自覚が足りないんじゃない?」

( ^ω^)「ご、ごめんお」

(´・ω・`)「そんなに謝らないでよ。 強く言えなくなっちゃうじゃない」

( ^ω^)「これショボンのベッドだおね?」

(´・ω・`)「そう。 かわいい空猫、ショボンくんの寝るところだよ」

( ^ω^)「どうしてボク、ここで寝てるんだお?」

(´・ω・`)「ここ、看護部屋だったんだよ。 ずいぶんとむかしのお話し。
     君はもう、覚えてないかもしれないね」

( ^ω^)「かんご?」

(´・ω・`)「教会の子供達が病にかかったり、傷が出来たりなんかしたら、
     この部屋に運んで治してあげる部屋だったってこと!」

(´・ω・`)「今じゃあまるで使ってないから、すっかり僕達兄弟の部屋だけどね」

( ^ω^)「おお。 おじゃましてますお」

(´・ω・`)「はい。 おじゃまされてます」

.

232 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:24:21 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)「それで? 詳しくお話ししてくれるんだろうね?」

( ^ω^)「?」

(´・ω・`)「ブーンとドクオったら、秘密基地で気を失ってたんだよ。
     それも血まみれで!」

( ^ω^)「あっ」

(;^ω^)「そうだお、ショボン! イチダイジだお!」

(;^ω^)「ボク、秘密基地のてっぺんにのぼったんだお! いつもとおんなじみたいに!

       待っていて、そしたらいきなり、お空にヒビが入っちゃってバリーン!!って!」

ヽ(;^ω^)ノ「お空にこーんなおっきい穴があいてね、ううん、こーーーんくらいおっきかった!
         そこからおっきなお肉がおっこちてきてね! ボクの上からグチャアってなって!
         ボク、お肉の中にいたんだお! すっごく苦しくて、すっごくあったかかった!」

(;^ω^)っ「そこにドクオの声がして、手がのびてきて、こうやって手を引っぱって助けてくれて!」

(´・ω・`)「驚いたな」

(´・ω・`)「まるでドクオとおんなじこと言うんだね、てっきりいつものドクオの嘘だと思ったのに」

(;^ω^)「はっ! ドクオ! ドクオはどこ?」

(´・ω・`)「ちょっとは落ち着きなよ、上手に深呼吸できるかな?
     息を大きく吸ってー大きく吐いてー、吸ってー吐いてー」

(;^ω^)「すーっ、はーっ、すーっ、はーっ」

(´・ω・`)「よくできました」

(´・ω・`)「安心していいよ。 ブーンもドクオも傷ひとつない、ってワカッテマスが言ってたよ」

(´・ω・`)「お空に穴なんて開いてないし、お肉も見つからなかった、ってモララーが言ってたよ」

(;^ω^)「ほっ。よかったお」

.

233 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:25:34 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)「こんなこと、二度とごめんだからね?」

(*^ω^)「心配してくれてありがとうお、ショボン!」

(´・ω・`)「そんなんじゃないんだけど」

(´・ω・`)「君達にもしものことがあったなら、僕がママに
    『一生に一度のお願い』をしなくっちゃいけないんだから」

(*^ω^)「一生に一度しかないのを使ってくれるんだお?」

(´・ω・`)「……うるさいなぁ。そんなことより、ワカッテマスとモララーにお礼を言いなよね?」

(*^ω^)「おん!」

(´・ω・`)「ドクオとツンにもお礼を言ってあげなね。
    『ブーンが目を覚ますまでここにいる!』だなんてね、
     そりゃあもう、やかましいったらなかったんだから!」

(*^ω^)「おん!……おん?」

(´・ω・`)「もうすっかり真夜中だから、二人には部屋に戻ってもらったけどね」

(´・ω・`)「君もこのまま眠っておしまいよ。 すぐにシャキン兄さんも戻ってくるだろうから」

( ^ω^)「ボクも秘密基地に戻らなくっちゃ」

(´・ω・`)「それはやめといた方がいいんじゃないかな?」

(´・ω・`)「お空に穴なんて開いてないし、お肉だって見つからなかったけど、
     秘密基地は血まみれだったもの!」

(;^ω^)「ほら! ほら! やっぱり夢じゃなかった!」

(´・ω・`)「こんなのいつもと違うよね」

(´・ω・`)「とにかく分かってるのは、ブーンは嘘つきなんかじゃないってことと、
     あそこではしらばく寝られたもんじゃないってことだけかな」

( ^ω^)「ツンとドクオは?」

.

234 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:26:35 ID:5H281t8g0

ガチャッ

(`・ω・´)「ははっ! ようやく目を覚ましたな、この寝坊助さんめ!」

( ^ω^)「あっ、シャキン!」

(`・ω・´)「いやあだれもかれも無事でよかった! これにてめでたしめでたしだ!
     またいつもどおり、ごきげんな日々を続けよう!」

【 (`・ω・´) シャキン 】
【 おしゃべりする太陽色の犬 】

(´・ω・`)「おかえり、兄さん」

(`・ω・´)「ただいま、弟よ!」

( ^ω^)「シャキン、ツンとドクオは?」

(`・ω・´)「ツンは鳳蜘蛛のお部屋に、ドクオは斑蜂のお部屋にいるぞ!」

( ^ω^)「あげはぐも」

ξ゚⊿゚)ξ
( ・∀・)( ´_ゝ|★)(☆|<_` )

( ^ω^)「まだらばち」

(..'A`)
( <◯><◯>)( ><)(*‘ω‘ *)

.

235 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:27:40 ID:5H281t8g0

(`・ω・´)「そしてブーン!」

( ^ω^)「そしてボク!」

(`・ω・´)「君はシャキンとショボン兄弟の部屋にいると、つまりはそういうわけだ!」

(`・ω・´)「わん!」

(´・ω・`)「にゃあ」

( ^ω^)「こんなのってはじめてだお。 なにからなにまで、いつもとちがうお」

(`・ω・´)「子供はなんにも心配しなくていいんだ。
     あったかい毛布にくるまって、安心して眠っていいんだぞ」

(`・ω・´)「もしまたこわーい肉の塊が降って来たならば、
     俺がこの鋭い牙で、むしゃむしゃとぜーんぶ食べてやろう!」

(*^ω^)「シャキン、つよい!」

(`・ω・´)「はっはっはっ! ツンとドクオも今ごろ楽しくやってるんじゃないかな?
     俺達も負けてられないぞ、こんなときこそ楽しんだもん勝ちなのさ!」

(´・ω・`)「今ごろ『ちいさなママ』から、寝る前のお話しを聞かされてるんじゃない?」

(`・ω・´)「おっ? ママが子供達に聞かせてたお話しだな?」

( ^ω^)「?」

(`・ω・´)「ブーン、君も久しぶりに聞いてったらどうだ?」

(´・ω・`)「ねぇ、どっちがいい?」

( ^ω^)「どっち?」

(`・ω・´)「醜い魔女と戦った美しい怪物の物語か」

(´・ω・`)「醜い怪物と戦った美しい魔女の物語か」

.

236 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:28:49 ID:5H281t8g0



( ・∀・)「眠れないんだね?」

( ・∀・)「この鳳蜘蛛のちいさなママ、モララーがお話しを聞かせてあげようじゃないか!
       みんなが大好きなお話しさ。 何度でも聞きたいお話しさ」

( ・∀・)「みにくい怪物と戦ったうつくしい魔女の物語さ。
       自分の命とひきかえに世界を救った魔女の物語さ」

( ・∀・)「みんなに幸せを分け与えた、魔女の名前は『シィ』」



( <◯><◯>)「お話しの時間ですよ」

( <◯><◯>)「さて。 明かりを消して、口と目を閉じなさい。
       そして斑蜂のちいさなママ、このワカッテマスの声に耳をかたむけなさい」

( <◯><◯>)「これはみにくい魔女と戦ったうつくしい怪物の物語。
       これは自分の命とひきかえに世界を救った怪物の物語」

( <◯><◯>)「みんなに幸せを分け与えた、怪物の名前は『シィ』」



.

237 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:29:59 ID:5H281t8g0

(`-ω-´) スウスウ

(´-ω-`) スヤスヤ

( ^ω^)

( ^ω^)(目が覚めちゃったお)

( ^ω^)(ボクらの秘密基地、どうなってるんだろう?
       血まみれだったってショボンが言ってたけど)

( ^ω^)

( ^ω^)(ちいさなママとのヤクソク……『夜はお部屋の外に出たらいけません』)

( ^ω^)(もうちょっとで朝になるけど、どこまでが夜なんだお?)

( ^ω^)(でもちょっとだけ、ちょっと見にいくだけなら
       もしママが帰ってきたとしても、許してくれるかな)

( ^ω^)(それにきっと、ドクオとツンだって)

カチャッ...
パタン...

( ^ω^) ペタペタ

( ^ω^)(夜の教会を歩くのって、生まれてはじめてだお)

( ^ω^)(ずっとここにいるのに、なんだか知らないところみたい)

( ^ω^) ペタペタ

( ^ω^)(ボクらの秘密基地、中まで真っ赤だお)

( ^ω^)(お肉はないのに、まるでお肉の中にいるみたいだお)

( ^ω^)

( ^ω^)(あれ? 蝶のお花が一個もなくなってるお?)

( ^ω^)(あんなにいっぱい、お部屋を埋めちゃうくらい咲いてたのに)

( ^ω^)(お肉まみれになっちゃったから切っちゃったのかな)

.

238 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:31:04 ID:5H281t8g0

(   )

( ^ω^)(おっ?)

( ^ω^)(誰かがお部屋のまんなかで丸くなってる)

(   )

( ^ω^)「ツン?」

( ^ω^)「ドクオ?」

(*  )

( ^ω^)「おっ?」

(*- -)

( ^ω^)

(*゚ー゚)

(*゚ー゚)「だれ」

( ^ω^)「ママ?」

(*゚ー゚)「まま?」

( ^ω^)「おん? ボクとキミ、知ってる言葉が違うみたい」

( ^ω^)「ひょっとして、お外の世界からきたんだお?」

(*゚ー゚)「わからない」

<あっ。 いたいた。

<おーい、ブーン!

(..'A`)「やっぱり来てると思ったぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「体は? もう大丈夫なの?」

(*^ω^)「ドクオ、ツン! やっぱり来てた!」

.

239 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:31:58 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)

ξ;゚⊿゚)ξ「ひっ!?」

(;..'A`)「おいおい、どうなってんだ?」

( ^ω^)「ボクもついさっき、ここにいるのを見つけたんだお」

(*゚ー゚)

( ^ω^)「もしかして、あのお肉の中にキミもいたのかお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「そんな、まさか」

(*゚ー゚)「あなた、だれ?」

(..'A`)「オマエさんこそ誰だ?」

(*゚ー゚)「わたし。わたし、だれ?」

ξ゚⊿゚)ξ「なんていうお名前なの?」

(*゚ー゚)「わからない」

( ^ω^)「お家はどこだお?」

(*゚ー゚)「わからない」

(..'A`)「なんにも分からないんだな」

( ^ω^)「ドクオにはこの子の言ってることが分かるのかお?」

(..'A`)「分かるもなにも、ちゃんとしゃべってるだろ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ワタシたちには、なにかの鳴き声みたいに聞こえるわ」

(*゚ー゚)「わたしの声が?」

(..'A`)「どうやらこの子にオマエさんたちの言葉は分かるけど、
    オマエさんたちにこの子の言葉は分からないみたいだな」

(*゚ー゚)「どうしてかしら」

.

240 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:33:19 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「なんて言ってるんだお?」

(..'A`)「困ってるみたいだぜ」

ξ;゚⊿゚)ξ「そりゃそうよ、なんにも分からないんだもの」

( ^ω^)「ボクたちでなにかしてあげられないかお?」

(..'A`)「ツン、さっきっからどうしたんだ?」

(..'A`)(シッポが下がりっぱなしになってる)

ξ;゚⊿゚)ξ「なっなんでもないわ! ただ、」

(*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ「ただ、この子があんまりにも先生にそっくりだったから、つい」

(..'A`)「似てるかぁ?」

(*゚ー゚)「?」

( ^ω^)「まずボクたちのこと教えてあげるお!」

(*^ω^)「ボク、ブーンっていうんだお! これからずっと、よろしくだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「ツンよ。 なんでも頼ってちょうだいね?」

(..'A`)「ドクオだ。 まあ、よろしくな」

(*゚ー゚)「よろしく」

(..'A`)「よろしく、だってよ」

(*^ω^)「これでひとつ分からないことがなくなったお!」

ξ゚⊿゚)ξ「アナタの名前は……あっでも、なんにも分からないのよね?」

(..'A`)「こうしたらいいんじゃねーか?
    オレたちでオレたちが呼ぶ名前をつけてやるんだよ」

(*^ω^)「人に名前をつけるなんて、ボクはじめてだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「みんなでイッショウケンメイ考えましょ。
    この子のほんとの名前とおんなじくらい、ステキな名前を!」

.

241 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:34:22 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)「名前なんていらないわ」

ξ゚⊿゚)ξノ「デレ!」

(*゚ー゚)「どうして」

(..'A`)ノ「ミセリ」

(*゚ー゚)「わたしなんかのために、あなたたちは」

(*^ω^)ノ「『シィ』!」

(*゚ー゚)「!」

ξ;゚⊿゚)ξ「アンタ、バカなのかしら?」

(..'A`)「その名前はさすがに……」

( ^ω^)「あれ? どうしたんだお?」

(。*゚ー゚) ポロッ

(;^ω^)「泣かないで、泣かないでお」

ξ;゚⊿゚)ξ「よしよし。 ゆっくり息して」

(..'A`)「そんなに嫌だったのか?」

(。*゚ー゚) ポロポロ

(。*゚ー゚)「分からないわ。 ひとりでにでてくる」

(..'A`)「『分からない』?」

(。*゚ー゚)「でもわたし、この名前と、サヨウナラしたくない」

(..'A`)「これがいいってことか?」

(*゚ー゚)「わたしは『シィ』、『シィ』になる」

(..'A`)「『シィ』になっちまった」

ξ;゚⊿゚)ξ「『ちいさなママ』がなんて言うかしら?」

.

242 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:35:14 ID:5H281t8g0

(..'A`)「きっとワカッテマスに杖でひっぱたかれちまうだろうよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「そのあとモララーにオシオキ部屋に閉じ込められちゃうわ」

(..-"A-)「うーん」

ξ;-"⊿-)ξ「ううー」

(..'A`)「それもこれもブーンのせいだ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「そうよそうよ!」

(..'A`)「オレは知らないぜ? 知るもんかよっ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「しらんぷりしちゃうんだからねっ」

(*^ω^)「『シィ』っていうのはね、世界を救ったエイユウの名前なんだお!」

(*゚ー゚)「えいゆう?」

(*^ω^)「はじめてキミを見たとき、『ママみたいだ』って思ったんだお!」

ξ;゚⊿゚)ξ「そう、かしら?」

(*^ω^)「でもボクたちはね、ママのこと覚えてないんだ。
       ボクたちよりちょっぴりお兄さんな三人は、ちょっぴりだけ覚えてるみたいだけど」

(*^ω^)「『ブーン』って名前しか持ってなかったんだお」

.

243 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:36:44 ID:5H281t8g0

(*^ω^)「ボクね、ママの名前も知らないんだお。
       でもママとおんなじくらい思ってる、エイユウの名前は知ってるんだお」

(*^ω^)「だから、キミは『シィ』なんだお!」

(*゚ー゚)「シィ」

(*- -)「この世界のどんな名前よりも、素敵な名前だわ」

(..'A`)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

( ^ω^) クルッ

(..'A`)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「?」

( ^ω^)「ボクはたったいま、ひとりで名前をつけたお!」

( ^ω^)「だから大丈夫だお、ツンとドクオは関係ないんだお!
       ちいさなママにはちゃんとそう言うお!」

(..'A`)「……ちぇっ。 そんな水くさいこと言うなよ」

ξ゚ー゚)ξ「しかられましょ、三人一緒にね」

(*^ω^)「ふたりとも!」

.

244 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:38:03 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「気持ちのいい朝だおー!」

(..'A`)「これなら部屋の外に出ても大丈夫だな」

ξ゚⊿゚)ξっ「立てるかしら?」

(*゚ー゚)「?」

ξ゚⊿゚)ξっ「どうしたの、手をとって。 起こしてあげるわ」

(*゚ー゚)「!」

(*゚ー゚)っ

ξ゚⊿゚)ξ∞(゚ー゚*) グイッ

ξ゚⊿゚)ξ「ワタシが先を歩くわ。 ついてらっしゃい、シィ」ダッ

(*゚ー゚)「!」ダッ

(..'A`)「オレはいっちゃん後ろから見ててやんよ」ダッ

( ^ω^)「シィ、教えてあげるお! ボクたちのいる教会のこと!」ダッ

(*゚ー゚)「ええ。 教えて」

バタバタ
バタバタ

( ^ω^)「はやくはやく! こっちにおいでお!」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタに見せたいもの、いっぱいあるんだから!」

(..'∀`)「けけけ。 ぼうっとしてると置いてかれちまうぞ」

(*゚ー゚)「置いてかれるのはもう嫌」

バタバタ
バタバタ

( ^ω^)「見てごらんよ! これがボクらの教会だお!」

(*゚ー゚)「こんなの見たことないわ」

ξ゚⊿゚)ξ「なかなかすごいもんでしょ? おっきな木とお家がまざってひとつになってるのよ」

(..'A`)「さっきまでいたのは教会のてっぺん。 オレたちの秘密基地だぜ」

.

245 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:39:00 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)「御伽噺の絵本みたいなところ」

( ^ω^)「ボクたちみんな、ここでなかよく暮らしてるんだお!」

(*゚ー゚) ピタッ

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」

(*゚ー゚)「いけないわ」

ξ゚⊿゚)ξ「はやくこっちにおいでなさいな」

(*゚ー゚)「足元に、蝶々が」

( ^ω^)「ドクオ、なんて?」

(..'A`)「足もとに蝶がいっぱいいるから進めないんだとよ」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなこと言ってたら、この教会のどこにもいけないわ」

(..'A`)「踏んづけたって足が汚れたりしないぜ。
    これは蝶々って生き物じゃない、ただの花だ」

(*゚ー゚)「花?」

(..'A`)「ほら、これ」

ヒラヒラ

(..'A`)「先生が言ってたぜ、この花びらって蝶の羽みたいなんだろ?」

ξ゚⊿゚)ξ「あっちこっちにふわりと舞って、いつもあっちこっちに蝶が飛んでるみたいでしょ?」

( ^ω^)「ボクたちは『蝶の花』って呼んでるお!」

(*゚ー゚)「こんなにたくさん」

.

246 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:39:55 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「花びらは踏んだり触ったり、ちょっとしたことで
    すぐに落っこちるけど、すぐまた花びらをつけるのよ」

(..'A`)「何度だって咲くから、気にしなくっていいぜ」

( ^ω^)「このでっかい木の周りになら、どこにだって咲いてるんだお!」

(*゚ー゚)「そんな花、見たことも聞いたこともないわ」

(..'A`)「考えてみりゃあ、ちょっと教会から出たところには
    咲いてなかったから、外の世界にない花なのかもな」

ξ;゚⊿゚)ξ「ほんとは子供は教会から出たらダメなんだから。
      このことはここだけのヒミツにしてよね?」

(*゚ー゚)「約束する」

ξ゚⊿゚)ξ「一歩、足を出してごらんなさい」

(*゚ー゚) チョン

フワッ

ξ゚⊿゚)ξ「ほら。 アナタが通ったあと蝶の花びらが舞いあがるの。
    ……ステキだと思わない?」

(*゚ー゚)「素敵だと思う」

(..'A`)「ステキだとよ」

ξ*゚⊿゚)ξ「ふふふ!」

.

247 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:40:50 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「さあさ、お待ちかね!」

(*゚ー゚)

( ^ω^)「このトビラの向こうが、みんなで『ママ』にお祈りするところだお」

( ^ω^)「今なら二人の『ちいさなママ』も、みんなも、ここでお祈りしてるお」

(*゚ー゚)

( ^ω^)「キミがこの教会にきたってこと、みんなにも教えてあげなくっちゃ」

(*゚ー゚)

( ^ω^)「ボクが『いち、にの、さん』でトビラを開けるお」

( ^ω^)「そしたらキミは、みんなの前でおじぎをして、
       にっこり笑って、ジブンの名前をいうんだお」

( ^ω^)「いいね?」

(*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫かしら? その子ったら……」

(..'A`)「たしかに心配だ。 そいつの顔ときたら……」

( ^ω^)「いち」

ξ゚⊿゚)ξ「『先生』にそっくりなんだもの」

(..'A`)「ぐちゃぐちゃに黒く塗りつぶされてるんだもんな」

( ^ω^)「にの」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ? ぐちゃぐちゃに?」

(..'A`)「はあ? 誰が『先生』に似てるって?」

( ^ω^)「さん!」

ガチャッ

.

248 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:42:52 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)

「ひっ……」

(*-  -) ペコリ

「きゃああああああああああああああああああああああ!!!」

ザワザワ
ザワザワ

(;´_ゝ|★)「なんだ、あれ……」(☆|<_`;)

从; ゚∀从「バケモノだ!!!」

川;⁂々゚)「逃げなくっちゃ! 食べられちゃう!」

ザワザワ
ザワザワ

(*゚ー゚) ニコッ

ザワザワ
ザワザワ

(;-_-)「ママ、ママ! どうかお助けを!」

o川*;ー;)o「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいひどいことしないでください」

( <◯><◯>)「なんとみにくい生き物でしょう……」

ザワザワ
ザワザワ

(*゚ー゚)「はじめまして、『シィ』よ」

.

249 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:43:45 ID:5H281t8g0

ザワザワ
ザワザワ

( ^ω^)「?」

( ^ω^)「どうしてみんな、逃げるんだお?」

( ^ω^)「どうして、泣いてるんだお? 怖がってるんだお?」

( ^ω^)「こんなにキレイな子なのに!」

ザワザワ
ザワザワ

( <◯><◯>)「子供達、落ち着きなさい。とにかくここへ、ワタシのもとへ!」

「聞きたまえ! いっこくもはやく、この部屋から出るんだ!」(・∀・ )

( <◯><◯>)「おだまりなさい、モララー。 メイレイはワタシが出します」

( ・∀・)「ワカッテマス、なにを言ってるんだい?
       このオレについてくれば間違いはないのさ!」

ザワザワ
ザワザワ

(☆|<_ ;)「うぶっ……、げほ、げほっ……」

(`・ω・´)「誰か手を貸してくれ! オトジャが吐いた!」

(☆|<_`;)「はあ、はあ……げほっ……」

(*゚ー゚)っ「手をとって。 起こしてあげる」

(;´_ゝ|★)「オレの弟に触るな! どこかにいってしまえ!」

(*゚ー゚)

.

250 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:45:01 ID:5H281t8g0

バシッ

(*゚ー゚)「っ」

( <◯><◯>)「さがりなさい。 みにくい魔女め」

(*゚ー゚)「痛いわ」

( <◯><◯>)「それとも、もっと杖でぶたれるのがお望みですか」

(*゚ー゚)「やめて」

( <◯><◯>)「何を言ってるのか、さっぱり分かりませんね」

(*゚ー゚)「……そう」

( ・∀・)「動かないでくれたまえ。 これからキミをオシオキ部屋に閉じこめる」

( ・∀・)「許しておくれ、みにくい怪物よ」

(*゚ー゚)

(;^ω^)「やめてお!!」

(*゚ー゚)「!」

( <◯><◯>)「ブーン少年、なんのつもりですか?」

( ・∀・)「どきたまえ、枝の生えた少年」

(;^ω^)「シィはいけないことなんてしないお! お願いだからお話しを聞いてお!」

ξ;゚⊿゚)ξ「そうよそうよ! この子のどこがバケモノだっていうのよ!」

(;..'A`)「なにしたっていうんだよ、ただアイサツしただけじゃねーか」

(*゚ー゚)「約束するわ」

( <◯><◯>)「言葉すら忘れた生き物なのに?」

(*゚ー゚)「子供達にひどいことなんて絶対にしないわ」

(..'A`)「オレには分かるぜ! ヤクソクするって言ってる。
    子供達にひどいことなんかゼッタイにしないって!」

.

251 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:46:12 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)

( ^ω^)「お願いだお!」

ザワザワ
ザワザワ

「あ……ああ……あ……」
「だれかこの子を助けて! さっきっからずっと震えてるの! 話しかけてもなんにも言わないの!」
「しょ、しょうがない、よ、あんなにおっかないものを、み、見たんだ……」

ザワザワ
ザワザワ

ξ;゚⊿゚)ξ「ワタシからもお願い!」

ザワザワ
ザワザワ

「こわいよ……こわいよ……」
「ここにママがいてくれれば……」
「っく……ひっく……うえぇ……」

ザワザワ
ザワザワ

(..'A`)「……お願いだ」

ザワザワ
ザワザワ

「怪物だよ、怪物がきたよ」
「きっとあれが魔女なんだ」
「もうおしまいだぁ……」

ザワザワ
ザワザワ

(*゚ー゚)「ああ。 知ってるわ、この冷たさ」

(*゚ー゚)「まるで外の世界と同じ」

ザワザワ
ザワザワ

.

252 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:47:00 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)「ブーンの枝は鹿みたい」

(..'A`)「ブーンのエダは『シカ』だとよ」

( ^ω^)「シカ?」

(*゚ー゚)「ドクオの肌は蜥蜴」

(..'A`)「オレのハダはトカゲ?」

(*゚ー゚)「ツンの尻尾は狐と狸と狼」

(..'A`)「ツンのシッポはキツネとタヌキとオオカミ」

ξ゚⊿゚)ξ「それってよろこんでいいの?」

(*゚ー゚)「どうかしら。 私はかわいいと思う」

(..'A`)「かわいい、とよ」

ξ*゚⊿゚)ξ「あら、そう?」パタパタ

(*^ω^)「ツンがシッポふってる! うれしいってことだおね?」

ξ;*゚⊿゚)ξ「言わなくっていいのよ! そういうことは!」

(*゚ー゚)「本当にかわいい。 こんな子供達がいるなんて」

リィンッ

(´・ω・`)「にゃあ」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、ショボンちゃん」

.

253 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:48:08 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)「三人共モララーのオシオキ部屋に行ってきたんでしょ?
     知らない子をママの教会に入れた罰として!」

(´・ω・`)「ふふんっ、どうだった? 久しぶりのオシオキの感想は?」

(;^ω^)「おーん……」

ξ;゚⊿゚)ξ「思い出したくないわ……」

(..'A`)「やなヤツめ」

(*゚ー゚)「ごめんなさい。 わたしのせいで」

(..'A`)「シィが謝ることじゃないだろ」

(´・ω・`) ビクッ

(*゚ー゚)

(´・ω・`) ササッ

( ^ω^)「ショボン? なんでボクのうしろに隠れるんだお?」

(´・ω・`)「隠れてなんかないやい」

ξ゚⊿゚)ξ「隠れてるじゃない」

(..'A`)「隠れてる隠れてる」

(*゚ー゚)

(´・ω・`)「君達にはこの子がどう見える?」

(*^ω^)「桃色の女の子だお! まるでママみたい!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ワ、ワタシには先生に見えたわよ? 目を覚ました先生にそっくりの子!」

(..'A`)「オレには顔がぐちゃぐちゃに塗りつぶされた子供だぜ。 白と黒の、色がない子供」

(´・ω・`)「僕には別の形に見えるんだ。
     手がうじゃうじゃある、ううん、手しかないおっかない化物だよ」

(´・ω・`)「他の子らもみんな、違う形をこの子に見てる」

(*゚ー゚)

.

254 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:49:02 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)「ねぇ、これってどういうことなの?
     君はいったい誰? どれが本当なの?」

(*゚ー゚)「わからない」

(..'A`)「コイツ迷子なんだよ、なーんも分かんないんだ」

(´・ω・`)「外の世界からきたって本当?」

(*゚ー゚)「それは本当」

(..'A`)「思い出したのか? しかも『外の世界からきた』って?」

(´・ω・`)「へぇ……」

(´・ω・`)「その子にはしばらくこの秘密基地の中にいてもらうよ。
     これはちいさなママが話し合って決めたことだ」

(*^ω^)「やったぁ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「ワタシたち一緒にいられるわね」

(*゚ー゚)「ここにいていいの」

(..'A`)「よかったじゃねーか」

(´・ω・`)「ブーン、ツン、ドクオ。
     君達は夜になったら一人ずつ、鳳蜘蛛と斑蜂と僕達の部屋で寝てよね」

(;..'A`)「おえぇっ」

ξ゚⊿゚)ξ「どうして?」

.

255 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:51:06 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)「簡単な理由だよ。 僕達は君達のことを信じてる、
     でもまだ、その子のことは信じちゃあいないんだ」

(*゚ー゚)

(´・ω・`)「誰かを信じるのってすっごく時間がいることなんだよ。
     夜は秘密基地から出られないようにするけど、悪く思わないでよね?」

ξ゚⊿゚)ξ「ひとりぼっちにするだなんて……」

(*゚ー゚)「慣れてるわ」

ξ゚⊿゚)ξ「そうよね。ひとりぼっちは怖いもんね」

( ^ω^)「どうしたらみんな、シィのこと信じてくれるんだお?」

(´・ω・`)「シィねぇ」

(..'A`)「いい名前だろ? まるでエイユウみたいで」

(´・ω・`)「猫ちゃんにだって分からないことはあるさ」

(*゚ー゚)

(´・ω・`) ビクッ

(´・ω・`)「ゆ、夕暮れどきになったら迎えを寄越すよ」

(..'A`)「失礼なヤツだな、いちいちビビりやがってさ」

(´・ω・`)「しょうがないだろ、体が勝手に動いちゃうんだから!」

(*゚ー゚)「それは仕方がない」

(´・ω・`)「それじゃあ、またね。来るなって言われても来るから」

リィンッ

.

256 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:52:03 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「よいしょ、っと」

( ^ω^)「いいおー! のぼっておいでおー!」

(..'A`)「いつもこうやって、三人で秘密基地の屋根の上にのぼるんだ」

(*゚ー゚)「高すぎるわ」

ξ゚⊿゚)ξ「いいのかしら? 秘密基地から出ちゃって」

(..'∀`)「けけけ。 秘密基地からは一歩も出てないぜ、秘密基地の中からは出たけどな」

ξ゚⊿゚)ξ「んまあ! わるいお顔だこと!」

(*゚ー゚)「落ちたらひとたまりもない」

(..'A`)「大丈夫大丈夫。 ブーンなんてよくここから落っこちるんだぜ」

(*゚ー゚)「あたなたち、変わってる」

( ^ω^)「シィのことは落っことしたりしないお!」

( ^ω^)っ「さあほら、つかまってお!」

(*゚ー゚)

(*゚ー゚)∞(^ω^ )

ギュッ
グイッ

(*゚ー゚)「ありがとう」

( ^ω^)「どういたしまして!」

(..'A`)「ブーン、もしかしてオマエさんも?」

( ^ω^)「分かんないけど、なんとなく分かったんだお!」

.

257 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:53:03 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ「いい景色だと思わない?」

( ^ω^)「この秘密基地からは、教会がよく見えるんだお!」

(..'A`)「さっきっからずっと、なにを見て……」

( ・∀・)

(..'A`)「って、ありゃあ鳳蜘蛛じゃねーか! あんなもん、見ちゃいけません!」

(*゚ー゚)「あの子は」

(..'A`)「モララーだ」

ξ゚⊿゚)ξ「鳳蜘蛛の『ちいさいママ』よ」

(*゚ー゚)「ちいさなママ?」

(..'A`)「ママが分からないのか?」

( ^ω^)「ママっていうのは、ボクたちを守ったり育てたり、
       名前を呼んでくれる人のことを言うんだお!」

(*゚ー゚)「あなたたち、やっぱり変わってるわ」

(*゚ー゚)「自分と同じくらいの子を『ママ』と呼ぶだなんて」

(..'A`)「変わってる? それってどういう?」

ξ゚⊿゚)ξ「真っ黒い服の子供達はみんな鳳蜘蛛なのよ」

( ^ω^)「そんでもって、真っ白い服の子たちはみんな斑蜂だお!」

(..'A`)「鳳蜘蛛はいつもこの時間、ブタイってやつの練習してるんだ」

⊂( ^ω^)⊃「こんな風に踊ったり歌ったりするんだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「完成したら一回だけ見せてもらえるのよ、それがブタイっていうものなんですって」

(..'A`)「ああいうのはよく分からねーが、まあ、なかなかうまいもんだよな」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ。 ムネをはって言えるわ、『楽しみにしていて』ってね!」

(*゚ー゚)「そう」

.

258 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:54:12 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「あっ! モララーたちの練習が終わったみたいだお!」

(..'A`)「いまにワカッテマスたちと戦いをはじめるだろうぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「もうそんな時間になるのね」

ξ゚⊿゚)ξノシ「それじゃあ、いってくるわ」

( ^ω^)ノシ「ばいぶー」

(..'A`)ノ「ういー」

(*゚ー゚)「ツン、どこにいったの」

( ^ω^)「おん? もしかしてツンのことかお?」

(..'A`)「ツンなら先生のところだぜ、教会のちょうどあそこらへんだ」

(*゚ー゚)「先生」

(..'A`)「先生っていうのは、ワカッテマスとモララーとおんなじ、
    はじめにママのところにきた三人の子供のうちの一人だよ」

(*^ω^)「すっごく優しい子なんだお! いっつも本を読んでいて、
       いろんなこと知ってて、いろんなこと教えてくれるんだお!」

(..'A`)「そういう人のこと『先生』って呼ぶんだとさ」

(*^ω^)「だからみんな先生って呼んでるんだお!」

(*゚ー゚)「賢い子なのね」

( ^ω^)「シィにも会わせてあげたいけど、まだ会わせてあげられないおね」

(*゚ー゚)「わたしが余所者だから」

(..'A`)「違う違う。 先生はずっと眠ってるんだ」

.

259 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:55:08 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「きっとよっぽどいい夢を見てるんだお」

(*゚ー゚)「病気?」

(..'A`)「シャキンが言うには、眠ってるだけなんだと」

( ^ω^)「ツンがいつも蝶のお花いーっぱい持ってってあげてるんだお!
       だから先生の入ってる箱はいつもキレイなお花でいーっぱい!」

( ^ω^)「秘密基地のお外にでられたら、先生にも会いにいってあげてお?」

(*゚ー゚)「会えたらいいわね」

(..'A`)「すぐ外にでられるだろうし、すぐ会えるだろうに」

(*゚ー゚)「思い出したことがある」

(*゚ー゚)「わたし、なくしものを探しにここへ来た」

(..'A`)「『思い出した』? 『なくしものを探しにきた』?」

( ^ω^)「なくしものって、ひょっとして、お肉のカタマリ?」

(*゚ー゚)「いいえ」

(..'A`)「違うそうだ」

( ^ω^)「なんだろう? とっておきの蝶の花びら? それとも、お気に入りのオモチャ?」

(*゚ー゚)「なくしたものは、命」

(*゚ー゚)「わたしの大切な、命よ」

(..'A`)「なんじゃそりゃあ?」

( ^ω^)「なになに? どんなものだって見つけてみせるお!」

(..'A`)「こう言ってる、なくしたものは『イノチ』だって」

.

260 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:56:17 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「イノチ?」

( ^ω^) スッ

(..'A`)「あっ、おい」

( ^ω^)

(*゚ー゚) トクントクン

( ^ω^)「シィのイノチ、ちゃんとここにある……」

グイッ

( ^ω^)「おっ?」

(..'A`)っ「バカブーンめ! いきなりシィの体に耳くっつけるやつがあるか」

(;^ω^)「ごめんお」

(..'A`)「わるかったな。 おどろかせて」

(*゚ー゚)「平気よ」

ピシッ...

( ^ω^)「シィ? お顔どうしたんだお?」

(..'A`)「どうした?」

( ^ω^)「ほっぺたの横んところ。 キズがついてるんだお」

(*゚ー゚)

(..'A`)「オレには顔がぐちゃぐちゃに塗りつぶされて見えるからなぁ」

( ^ω^)「どっかいたいかお?」

(*゚ー゚)「痛くない」

(..'A`)「『いたくない』って。 ブーンにしか見えないキズなのかもな?」

.

261 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 18:58:37 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「おお? それならよかった、お?」

(*゚ー゚)「なくしたものは、わたしなんかの命よりも、大切なもの」

(*゚ー゚)「それは自分の『命』そのものといってもいいんじゃないかしら」

(..'A`)「『なくしものは自分のイノチより大切なもの。
     だから自分のイノチそのもの』……なんだとさ」

(*^ω^)「どんなイノチだおね?
       きっとすっごく、シアワセなカタチしてるんだろうな」

(..'A`)「明日から探しはじめようぜ、ツンも巻きこんじゃってさ」
(*゚ー゚)「どうして、あなたたちが」

(..'A`)「おっとシィ、オマエさんはルスバンだぜ。
    しばらく秘密基地から出られねーって、ショボンが言ってただろ?」

(*゚ー゚)「どうして、そこまで」

(*^ω^)ノ「がんばるおー! えいえいおー!」

(..'A`)「はりきりすぎてまた落っこちるなよ?」

(*^ω^)ノ「大丈夫だ、おうっ?」グラッ

(..'A`)「あっ」

(*゚ー゚)っ「だめ」

( ^ω^)(おちる)

ヒュルルルルルル...










グチャッ

「……あーあ。だから言ったのに」

.

262 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:00:06 ID:5H281t8g0

ξ*゚⊿゚)ξ「先生、お待たせ! 蝶のお花かざり終わったわ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「やっぱり先生はキレイね、絵の中から出てきたみたい」

(    )「…………」

ξ*゚⊿゚)ξ「ねぇ、先生! あのね、おどろかないで聞いてね?」

ξ*゚⊿゚)ξ「なんとなんと! お外の世界から女の子がやってきたのよ!」

(    )「…………」

ξ*゚⊿゚)ξ「こんなのってはじめてだわ。 なんだかドキドキしちゃう!」

ξ*゚⊿゚)ξ「ふふふっ。いつか先生がワタシに言ってくれた、
    『兄弟ができたみたい』ってきっと、こんな気持ちなのね?」

(    )「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっぴり変わってる子なのよ、お人形さんみたいな不思議な子」

ξ゚⊿゚)ξ「ワタシには見た目は先生そっくりに見えて、
    声はおっかない鳴き声みたいに聞こえるの」

(    )「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「みんなには違うカタチに見えるみたい」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしてかしら? 先生だったら分かるのかしら?」

(    )「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ、レモナ先生?」

|゚ノ ─∀─)

【 |゚ノ ^∀^) レモナ 】
【 ???の少年?少女? 】

.

263 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:01:46 ID:5H281t8g0

(..'A`) カキカキ

(*゚ー゚)「なにしてるの」

(..'A`)「日記」カキカキ

( ^ω^)「これがドクオのいつものお決まりなんだお」

(*゚ー゚)「知らない文字」

(..'∀`)「けけけ。 これはオレが作った、オレにしか読めない字だぜ」

( ^ω^)「名づけて『ドクドク文字』だお!」

(*゚ー゚)「どくどくもじ」

(..'A`)「おかしな名前つけるなっつーの」

(..'A`)「ここじゃあママと先生しか文字を読めなかったんだよ」

(..'A`)「レモナ先生め、オレに字を教えてくれるって言ったのに、
    グースカピーヒャラ眠っちまいやがってさ、ケッ!」

ξ゚⊿゚)ξ「つまり先生にはやく目を覚まして欲しいってことね?」

(..'A`)「いや、あー、うん」

ξ゚ー゚)ξ「スナオじゃないんだからっ」

( ^ω^)「日記帳いっぱいだもんね、それでいくつめくらいだお?」

.

264 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:02:42 ID:5H281t8g0

(..'A`)「さてね? さっぱり数えてないんだわ」

( ^ω^)「今日はなんて書いたんだお?」

(..'A`)「聞きたいか?」

(..'A`)「『ブーンがまーた秘密基地のてっぺんから落っこちた。
    じつにどんくさいヤツである。 おかげさまで、ナクシモノ探しが明日からになった。
    もういちど言う。 ブーンとはじつに、どんくさいヤツなのである』ってな」

(;^ω^)「おーん!」

(..'∀`)「ウソだって。 シィがきたことだ」

(*゚ー゚)「わたし」

( ^ω^)「なんて書いたんだお?」

(..'A`)「知りたければドクドク文字を覚えることじゃ」

( ^ω^)「やっぱりドクドク文字だ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「ふふふ。 きっとこれからの日記には、シィがいっぱい増えていくのね!」

(*゚ー゚)「わたしを書いても楽しくないと思うけど」

(..'A`)「おっと! そいつはオレが決めることだぜ?」

ξ*゚ー゚)ξ「ドクオが思わず日記に書きたくなっちゃうような、
     楽しい思い出いっぱい作りましょうね? シィ!」

(*゚ー゚)「わたしでいいのかしら」

.

265 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:03:50 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)「ここでも夕焼け空は赤いのね」

(..'A`)「へぇ。 外の世界でも夕やけは赤いんだな」

コンコン

ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、どなた?」

ガチャッ

(   |★)(☆   )

ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあ!」

( ´_ゝ|★)人(☆|<_` )

(..'A`)「なんだなんだ?」

( ^ω^)「あー!アニジャとオトジャだ!」

( ´_ゝ|★) クルクル

(☆|<_` ) クルクル

( ─ゝ|★) ペコリ

(☆|< ─ ) ペコリ

(..'A`)「うっへぇ。 ほんとにきやがった」

(*^ω^)「いらっしゃいお! 珍しいお客さんだおね?」

( ´_ゝ|★)「こんばんは、枝の生えた少年」

(☆|<_` )「おむかえにあがりました」

(..'A`)「ええい、いちいちポーズをきめるんじゃあない!」

(*^ω^)「ボクのことを?」

ξ゚⊿゚)ξ「アニジャとオトジャがブーンをむかえにきたってことは、
    今日ブーンがお世話になるところは……」

( ´_ゝ|★)「そのとおり、オレら」

(☆|<_` )「鳳蜘蛛(あげはぐも)です」

.

266 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:04:43 ID:5H281t8g0

\( ´_ゝ|★)「さあ、いきましょう」

(☆|<_` )/「ちいさなママ、モララーさまがおまちです」

( ^ω^)「おー! いきましょー!」

ξ゚⊿゚)ξ「いってらっしゃい」

(..'A`)「ブーン、また明日な」

(*゚ー゚)「さようなら」

( ^ω^)「いってきますお!」

パタンッ

(..'A`)「なんでツンはいつもあの双子にびっくりしてるんだ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「だってトビラを開けたらいきなりへんてこなお面があるんですもの!」

ξ;- ⊿-)ξ「アニジャとオトジャは苦手じゃないけど、
     あのお面はいつまでたっても得意になれないわ」

(*゚ー゚)「あれは道化師の仮面」

(*゚ー゚)「ひとつの仮面を真ん中で切って、はんぶんこしてる」

ξ゚⊿゚)ξ「シィ、なんて?」

(..'A`)「ありゃあ『ドウケシのカメン』?だと。
   『ひとつのカメンをまんなかでちょん切って、はんぶんこしてる』とさ」

ξ*゚⊿゚)ξ「シィはとってもものしりなのね?」

(*゚ー゚)「そんなことない。 わたしなんて」

(..'A`)「そういうときは『ありがとう』でいいんだぜ」

(*゚ー゚)「……ありがとう」

.

267 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:05:43 ID:5H281t8g0

( ´_ゝ|★)「つきました」

(☆|<_` )「どうぞ、中へ」

( ^ω^)「おん!」

( ^ω^)(なんだろう? トビラの向こうから楽しそうな音が聞こえるお?)

ガチャッ...

( ^ω^)「!」

( ・∀・)「待っていたよ、枝の生えた少年!」

ズンチャッチャー
ズンチャッチャー

(*^ω^)「わあ!」

( ・∀・)「さあさあ! よってらっしゃい、みてらっしゃい!」

( ・∀・)「これはキミのためのブタイ! オレたちは小宵、
       キミのために歌い、キミのために踊り、キミのために演じる!」

o川*゚ー゚)o「〜♪」

川 ⁂々゚)「〜♪」

(*^ω^)「このお歌は……」

( ・∀・)「大切なオレたちのおきゃくさま!
       そんなすみっこにいないで、どうぞブタイノまんなかへ!」

.

268 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:06:43 ID:5H281t8g0

( ´_ゝ|★)「オドリコたちのまんなかを歩いて、」

(☆|<_` )「ちいさなママのところへいってください」

(*^ω^)「おん!」

ズンチャッチャー
ズンチャッチャー

( ´_ゝ|★)「お部屋のかざりつけはカンペキ」

(☆|<_` )「小道具のできばえもカンペキ」

( ´_ゝ|★)「ちいさなママの指揮も、」

(☆|<_` )「肌の溶けた少女と触手の生えた少女の歌も、」

( ´_ゝ|★)「みんなの踊りも、ハナレワザもカンペキ」

(☆|<_` )「オレらのゴショウタイもカンペキ」

( ´_ゝ|★)人(☆|<_` )「さすがだよな、オレら」

ズンチャッチャー
ズンチャッチャー

(*^ω^)「おお!」

( ・∀・)「トクトウセキへようこそ! 鳳蜘蛛のブタイは楽しんでいるかな?」

(*^ω^)「あのね、あのね! ボクの動きに合わせて、まわりの子が動いてくれてるんだお!」

(*^ω^)「ボクまでブタイのひとつになったみたいで楽しいお!」

( ・∀・)「いつでもオレについてきたまえ! ただしくカンペキな歌い方と踊り方を教えよう!」

( ・∀・)「さあ、フィナーレだ!」

.

269 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:08:54 ID:5H281t8g0

ジャンッ♪

( ・∀・)「ウタヒメとオドリコたちに拍手を!」

(*^ω^) パチパチ

( ・∀・)「今日もオレの鳳蜘蛛のブタイは素晴らしい!
       そうは思わないかい、アニジャ、オトジャ?」

( ´_ゝ|★)「そのとおりです」

(☆|<_` )「ちいさなママ」

(*^ω^)「すごいすごい! みんなおじょうずだお!」

( ・∀・)「レンシュウのタマモノというやつさ!
       いつママが帰ってきても、楽しませてあげられるように」

( ・∀・)「もうオレらを置きざりにしたいだなんて思わないはずさ!」

(*^ω^)「今日ってなんかのお祝いなんだお?」

( ・∀・)「そう、これはお祝いさ! キミがここへきてくれたお祝い!」

(*^ω^)「ボク?」

( ・∀・)「もっと知ってもらいたいのさ!
       枝の生えた少年に、尻尾の生えた少女に、鱗の生えた少年に、キミたちに!」

( ・∀・)「オレたち鳳蜘蛛のことを!」

.

270 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:09:50 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「鳳蜘蛛のことなら知ってるお! ちいさなママはモララーだお!
       そんでもって、アニジャとオトジャがちいさなママのお手伝いしてるお!」

( ・∀・)「そんなもんかい?」

( ^ω^)「みんなでおんなじ黒いお洋服を着てるお! 鳳蜘蛛しか着られないって言ってたお!」

( ・∀・)「もっと!」

( ^ω^)「いつも歌ったり踊ったりしてるお! あとおっきい玉にのったり、火をふいたり、
       棒につかまったり、すごいんだお! ときどきボクたちに見せてくれるお!」

( ・∀・)「もっと! もっと!」

( ^ω^)「キュートとクルウは歌がじょうずなんだお!」

o川*゚ー゚)o「きゃー! キューちゃんかわいいってほめられちゃった!」

川*⁂ 々゚)「クルウちゃん、おじょうず? うれしい、うれしい!」

( ^ω^)「アニジャとオトジャはハナレワザするのがじょうずなんだお!」

( ´_ゝ|★)「空中ブランコは」ブラン

(☆|<_` )「おてのもの」ブラン

( ^ω^)「鳳蜘蛛はみんなみんな、歌ったり踊ったりするのがじょうずなんだお!」

( ・∀・)「ではなぜ、教会の子供達が『鳳蜘蛛』と『斑蜂』の二つに分かれたか覚えてるかい?」

( ^ω^)「えっとね、えっと、忘れちゃったお。
       ボクはママを待つってはじめに決めちゃったから」

.

271 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:11:14 ID:5H281t8g0

( ・∀・)「聞きたまえ! 枝の生えた少年よ、そして鳳蜘蛛の子供達よ!
       これはオレたちの物語! オレたちの御伽噺!」

( ・∀・)「オレたちにはママがいた。
       きっととっても優しくて、きっととってもうつくしいママ!」

( ・∀・)「けれどもある日、なんにも言わずにいなくなってしまった。
       教会のトビラにひとつだけカギをかけて、どこかにいってしまった」

( ・∀・)「子供にはママがいなくっちゃダメなのさ、ママがそう言ってたのさ」

( ・∀・)「だからこのオレ、『モララー』」

【 ( ・∀・) 】

( ・∀・)「『ワカッテマス』」

【 ( <◯><◯>) 】

( ・∀・)「『レモナ』」

【 |゚ノ ^∀^) 】

( ・∀・)「三人で新しいママになろうとしたのさ」

( ・∀・)「なんせははじめにこの教会へつれてこられた三人の子供!
       他の子らよりは少しばかり大きいけれど、
       まだまだママよりは小さい『ちいさなママ』だ」

( ・∀・)「やがて教会の子供達がおんなじ夢を見るようになった頃、ヒゲキが起きてしまった。
       そう、レモナが夢を見たまま目を覚まさなくなったのさ!」

【 |゚ノ ─∀─) 】

( ・∀・)「三人だった『ちいさなママ』が二人になってしまった。
       そしてモララーとワカッテマスはごらんのとおり、まるで合わないったら合わないのさ」

( ・∀・)「大きな声では言えないけれど、オレはだね……
      『ワカッテマス』は『ワカラズヤデス』に名前を変えた方がいいと思ってる!」

( ・∀・)「キミたちもそう思うだろう、アニジャ、オトジャ?」

( ´_ゝ|★)「おっしゃるとおりです」

(☆|<_` )「ちいさなママ、モララーさま」

.

272 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:12:38 ID:5H281t8g0

( ・∀・)「モララーは『新たなママとなり、みんなを新しいカタチへ導きながら、本当のママの帰りを待つ』。
       ワカッテマスは『ママの代理人として、ママが作ったオキテを守りながら、本当のママの帰りを待つ』」

( ・∀・)「こうしてモララーは『鳳蜘蛛(あげはぐも)に、
       ワカッテマスは『斑蜂(まだらばち)』に分かれたというわけさ!」

( ・∀・)「お分かり? 枝の生えた少年?」

( ^ω^)「ブーンだお!」

( ・∀・)「ブーンだね、覚えたよ」

( ・∀・)「子供にはママがいなくっちゃダメなのさ。
       なのにキミにはまだママがいない、それどころかあんな……」

( ・∀・)「とにかくオレらは心配してるのさ」

( ^ω^)「おん? ありがとうだお?」

川 ⁂々゚)「ちいさなママ! エダのはえた少年、まだ?まだ?」

o川*゚ー゚)o「エダくんのお顔を見てよ、ちいさなママ!
      あれは『はやくキューちゃんとあそびたいな〜』ってお顔だよ!」

( ・∀・)「そろそろ眠る前のお話しをする時間じゃないかい?」

川 ⁂々゚)「えー!」

o川*゚ー゚)o「ちいさなママ、このとおり! おねがーい!」

川 ⁂々゚)「がーい!」

( ´_ゝ|★)「おねがーい」(☆|<_` )

( ・∀・)「アニジャ、オトジャ、キミたちまで」

( ・∀・)「やれやれ。 ほんのすこしだけだよ、ブ、ブン? ……枝の生えた少年に教えてあげたまえ」

.

273 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:13:45 ID:5H281t8g0

o川*゚ー゚)o「やったぁ!」

川 ⁂々゚)「キューちゃんとクルちゃんが、おうたおしえたげる!」

( ^ω^)「それって夢の中の誰かさんが歌ってたお歌だお?」

川 ⁂々゚)「うんうんうん! ママのおうた!」

( ^ω^)「ママ?」

川 ⁂々゚)「うたってるの、きっとママ! だからママのおうた!」

o川*゚ー゚)o「がんばって覚えてレンシュウしたんだもんねー?」

川 ⁂々゚)「ねー!」

o川*゚ー゚)o「〜♪」

川 ⁂々゚)「〜♪」

o川*゚ー゚)o「ほらほら、少年も! さんはいっ」

( ^ω^)「……、〜♪」

川 ⁂々゚)「エダくん、へたっぴ!」

o川*゚ー゚)o「もっとキューちゃんたちのお歌を聞いてベンキョウしなさい!」

(;^ω^)「おーん……」

グイッ

( ´_ゝ|★)「枝の生えた少年」(☆|<_` )

( ^ω^)「おっ、アニジャにオトジャ!」

( ´_ゝ|★)「ちょっとこの箱に入ってくれませんか」

(☆|<_` )「新しいハナレワザのレンシュウです」

.

274 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:22:41 ID:5H281t8g0
( ^ω^)「これでいいのかお? どんなハナレワザなんだお?」

( ´_ゝ|★)「いまからこの二つのツルギをオレらで」

(☆|<_` )「『いっせーの!』でキミの箱に刺します」

( ^ω^)「おっ?」

( ´_ゝ|★)「けれどもキミは」

(☆|<_` )「キズひとつないはずです」

( ´_ゝ|★)「オレたちがツルギをぬいて」

(☆|<_` )「少年がゲンキに箱からでたら」

\( ´_ゝ|★)「ダイセイコウ!」(☆|<_` )/

(*^ω^)「そんなんできるのかお?」

( ´_ゝ|★)「字はなんにも読めませんが」

(☆|<_` )「ママの本に絵がありました」

(*^ω^)「なんだかすごそう!」

( ´_ゝ|★)「では」

(☆|<_` )「いきます」

(*^ω^)「おん!」

( ´_ゝ|★)「いっせーのっ」(☆|<_` )

ザシュッ
ザシュッ










ドロ...

「「しまった。 こんなはずじゃなかったのに」」
.

275 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:23:42 ID:5H281t8g0

ドクン
ドクン

( ─ω─)

ドクン
ドクン

「〜♪」

( ─ω─)(またおんなじ夢の中だお)

( ―ω―)(誰かさんのムネの中の音と、誰かさんの歌だけが聞こえてくる)

ドクン
ドクン

(* ー )っ

( ─ω─)(だれかさんの手が、ボクのアタマを……)

( ─ω─)

( ─ω─)(?)

( ─ω^)(おっ? おおお?)

( ^ω^)(いつもとちがうお。 夢の中で目が開けられ……)

(*゚ー゚)

( ^ω^)(シィ?)

(*^ー^) ニコッ

( ^ω^)

(*゚ー゚)『大丈夫なのです』

( ^ω^)(だれ?)

.

276 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:24:39 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)『ブーンくんのお花、きっと咲きます!』

( ^ω^)「…………」

(*゚ー゚)『綺麗なお水をあげてくださいね、温かい光をあげてくださいね。
    いっぱい声をかけて、いっぱい笑って。 それから、それから……』

( ^ω^)「…………」

( ^ω^)(声がでないお)

(*゚ー゚)『きっととっても綺麗なのです! どんなお花が咲いたかあとで教えてくださ……

(    )っ

(    )っ「起きて」

ドサッ

o川*>ー<)o「おっきろー!」

川 ⁂々゚)「あーさー!」

(;^ω^)「ぐえっ!?」

川 ⁂々゚)「おはよ! エダくん、おはよ!」

o川*゚ー゚)o「キューちゃんに起こしてもらえるなんて、エダくんってばじつに運がいいぞ!」

(;^ω^)「おはようだお、キュート、クルウ」

(;^ω^)「夢のことについて……うぐぐっ、
       それよりベッドの上からどいて欲しいお」

o川*゚Д゚)o「ひっどーい! クルちゃんのこと太ってるって言ったー!」

.

277 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:25:41 ID:5H281t8g0

川; ⁂々゚)「クルッ!? ふ、ふとってないもん!」ニョロニョロ

(;^ω^)「ぐえっ! ニョロニョロでクビしめるのやめておー!
       クルちゃんじゃなくって、ふたりともだおー!」

o川*゚Д゚)o「キューちゃんのことも太ってるって言ったー!」

o川*>Д<)o「あーん! キューちゃんキズついちゃったー!」ドロドロ

川 ⁂々゚)「あー! なかしたー!」

(;^ω^)「泣かないでおー、ぬれちゃうおー」

( ´_ゝ|★)「また肌の溶けてる少女がウソ泣きしてるぞ、オトジャ」

(☆|<_` )「また肌の溶けてる少女がウソ泣きしてるね、アニジャ」

(;^ω^)「アニジャ、オトジャ! お願いだお、キュートとクルウを」

( ´_ゝ|★)「それより枝の生えた少年!」

(☆|<_` )「昨日の夜はすみませんでした!」

ドサッ

(;^ω^)「おおん! さらに重いっ!」

o川*゚ー゚)o「そういえば、聞いて聞いて! キューちゃんね、夢の中でママに会ったの!」

( ・∀・)「おはよう、諸君!」

( ´_ゝ|★)「おはようございます、」

(☆|<_` )「ちいさなママ」

( ・∀・)「準備ができたら子供達の集会にいこうじゃないか。
       まだ目を覚ましていない子には、アニジャとオトジャがくすぐりの刑だ!」

\( ´_ゝ|★)/「起きてない子」

\(☆|<_` )/「だーれだっ?」

o川*゚ー゚)o「きゃー!」

川⁂ 々゚)「じゅんびー、じゅんびー♪」

.

278 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:26:37 ID:5H281t8g0

( ・∀・)「枝の生えた少年」

( ^ω^)「ブーンだお!」

( ・∀・)「そうだったね、ブーン」

( ^ω^)「ねぇねぇ、ボクのアタマのお花、咲いてるかお?」

( ・∀・)「いつもとおんなじさ」

( ^ω^)、「そっかぁ」

( ・∀・)「ブーン、キミはどうする? 集会のあと一緒にレンシュウするかい?
       それともいつもどおり、秘密基地のてっぺんにのぼるのかい?」

( ^ω^)「ううん。 やくそくしたんだお、シィのなくしものを見つけたげるって!」

( ・∀・)「シィ、シィ、ああ、あの子! オレたちに怒ってたかい?」

( ^ω^)「ううん。 ただ、秘密基地のお外に出たがってるお。
       シィはただ、なくしものを探しにきただけなんだお!」

( ・∀・)「……そろそろ集会時間だ。 ついておいで、アニジャ、オトジャ」

( ´_ゝ|★)「ちいさなママの」

(☆|<_` )「おおせのままに」

.

279 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:27:41 ID:5H281t8g0

バタバタ
バタバタ

(*^ω^)「ドクオはやく! 秘密基地でシィが待ってるお!」

(..'A`)「やいブーン、昨日の夜の鳳蜘蛛どうだったよ?」

(*^ω^)「おん! はじめにジャーンってして、おつぎはラララーってして、
       おしまいにグサーってしたお!」

(..'A`)「ぐ……?」

( ^ω^)「ドクオは……シャキンとショボンのお部屋だおね?」

(..'∀`)「あらやだ、分かっちゃう? もうサイッアクだったぜ!」

(..-A`)「起きたらこっちのホホをショボンに、こっちのホホはシャキンに
    ニクキュウでプニプニプニプニ押されてるんだもんよォ」

(*^ω^)「おっおっ! だからほっぺたに二人のおててのあとがついてるんだおね?」

(..'A`)「それを言ってくれるな」

( ^ω^)「それからね、いつもとおんなじじゃない夢を見たんだお」

(..'A`)「ブーンもか」

( ^ω^)「ドクオも?」

(..'A`)「知らない女の子が出てきてさ、オレのアタマをなでてさ、
    やさしく笑って、そんで言うんだよ、『大丈夫』だって」

( ^ω^)「みんなもおんなじ夢を見たかな?」

(..'A`)「かもな。 ありゃあ誰だったんだ?」

( ^ω^)「わかんないお」

(..'A`)「ほれ、秘密基地についたぜ」

.

280 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:28:38 ID:5H281t8g0

(*^ω^)「シィ! ただいまだお!」

(..'A`)「おはようさん、シィ」

(*゚ー゚)「ブーン、ドクオ」

(..'A`)「うぉっ。 なにしてんだ?」

( ^ω^)「蝶の花びらを床にならべてるんだお?」

(*゚ー゚)「これはアゲハチョウ、これはゴマダラチョウ、
    これはスコルスフキーモルフォチョウ」

(..'A`)「『あげはちょう、ごまだらちょう、なんとかもるふぉ……』
     もるふぉなんだって? いったいなんの話してるんだ?」

( ^ω^)「蝶の花びらに名前をつけてたんだおね」

(*゚ー゚)「ツンは?」

(..'A`)「ツンならすぐに来るだろうぜ。 ウワサをすれば、ほら」

ξ゚⊿゚)ξ「シィ、おまたせ! ごはん持ってきたわよ」

(*゚ー゚)「これはなに」

(..'A`)「なにって、ごはんだぜ」

( ^ω^)「ひょっとしてお外の世界じゃごはん食べないのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ごはんが二日に一回じゃあ多いのかもしれないわ」

(*゚ー゚)「二日に一回だけ……」

(..'A`)「食べ方が分からないのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「こうするのよ、お皿に入った蝶の花びらをね、フォークでさしてね」

ξ゚⊿゚)ξ「はい、あーん」

.

281 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:29:29 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)「いらないわ」

(..'A`)「いらないみたいだぜ」

( ^ω^)「やっぱりごはん食べないんだおね」

ξ゚⊿゚)ξ「ザンネンだわ。 食べるとあまくっておいしくって、
    あったかい気持ちになって、しあわせになるのよ」

(*^ω^) ジー...

ξ゚⊿゚)ξ「はい、あーん」

(*^ω^) パクッ!

ξ゚⊿゚)ξ「ごはん欲しくなったらいつでも言いなさいよね?
    ワタシを頼ってくれていいんだから!」

(*゚ー゚)「頼りにはしてるわ」

( ^ω^)「よーし! シィのイノチを探しにいくおー!」

ξ゚⊿゚)ξ「イノチってどんなカタチ?」

( ^ω^)「しあわせなカタチだお!」

(..'A`)「しあわせってどんなカタチだ?」

( ^ω^)「うーん……」

ξ゚⊿゚)ξ「うーん……」

(..'A`)「うーん……」

( ^ω^)「ママのカタチだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「蝶のお花のカタチかしら?」

(..'A`)「カタチなんてあるのか?」

(*゚ー゚)「ごめんなさい。 分からなくて」

(..'A`)「いいってことよ」

.

282 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:30:29 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「イノチについて、覚えてることはないかしら?
    なんだっていいのよ、ちいさいとか、あったかいとか」

(*゚ー゚)「命」

( ^ω^)「がんばって思い出してお!」

(*- -)「わたしの、命」

ピシッ

( ^ω^)「あ、いまシィの手にキズが」

ξ゚⊿゚)ξ「どこどこ?」

( ^ω^)「やっぱりボクにしか見えてないんだおね」

(*゚ー゚)「……壊れてた」

(..'A`)「『こわれてた』?」

(*゚ー゚)「いえ、傷がついてた、かも」

(..'A`)「『キズがついてた』?」

(*゚ー゚)「欠片を持ってる。持ってたはず、なのに」

(..'A`)「イノチのカケラを持ってたのに、なくしちまったのか」

(*゚ー゚)「なくしてないわ、分からなくなったの」

(..'A`)「『なくしたんじゃなくて、わからなくなった』? なんじゃそりゃあ?」

ξ゚⊿゚)ξ「シィはここにきたとき、なんにも持ってなかったはずよ」

( ^ω^)「とにかくこわれてるものや、キズついてるものを持ってくればいいんだおね?」

ξ゚⊿゚)ξ「シィと一緒に落っこちてきたなら、
    ワタシたちが教会で見たことないものを探せばいいのよね?」

(*゚ー゚)「ここにあると分かったから、ここにやってきたの」

(*゚ー゚)「ずっと昔から、ここにあったはず」

.

283 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:31:38 ID:5H281t8g0

(..'A`)「『ここにあるってわかったから、ここにやってきた』」

(..'A`)「『ずっとむかしから、ここにあったはず』だって?」

( ^ω^)「それなら話ははやいお!」

ξ゚⊿゚)ξ「見つけたら持ってきて、すぐさまシィに見せてあげましょ!」

(..'A`)「いっさいがっさい覚えちゃあいないのに、どれがなくしものか見てわかるのか?」

(*゚ー゚)「分かる。 絶対に」

(..'A`)「『ぜったいわかる』ね、頼もしいことで」

( ^ω^)「ゼッタイ見つけてみせるお!」

ξ゚⊿゚)ξ「夕ぐれになったら秘密基地に帰ってこなくっちゃね」

(..'A`)「そうだな。 猫や蜘蛛や蜂なんかの、おむかえがくる前によ」

( ^ω^)ノ「よーし、やるおー! えいえいおー!」

ξ゚⊿゚)ξノ「おー!」

(..'A`)ノ「おー」

(*゚ー゚)

( ^ω^) ジ-...

ξ゚⊿゚)ξ ジ-...

(..'A`) ジー...

(*゚ー゚)「なに」

(..'A`)ノ「『おー』だ、シィ、『おー』」

(*゚ー゚)ノ「こう?」

(*^ω^) パァァ

ξ*゚⊿゚)ξ パァァ

(..'A`)「よし」

.

284 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:33:19 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「まずどこから探すお?」

ξ゚⊿゚)ξ「教会の中!」

(..'A`)「教会の外!」

(*゚ー゚)「どっち?」

(..'A`)「やっぱりこういうのは、いつもと違うところにあるもんだろ?」

( ^ω^)「さてはお外に出たいだけだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「いけないわ、教会のお外だなんて。 ちいさなママが知ったらなんて言うかしら?」

( ^ω^)「えっとね、モララーにオシオキ部屋に閉じこめられて、
       ワカッテマスに杖でこっぴどくひっぱたかれるお!」

(*゚ー゚)「あなたたちに迷惑はかけない。 わたし一人でいくわ」

(..'A`)「いんや、そっと出かけてみようぜ。 ゼッタイにバレやしないって」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなこと言って! 前は教会からちょこっと出ただけでバレちゃったじゃない。
    シャキンはおハナがいいんだから!」

(`・ω・´)「あおーん!」

( ^ω^)「あっ! シャキン!」

(`・ω・´)「はっはっは! 今のは『そのとおり!』の『あおーん』だ!」

(*゚ー゚)「しゃべる犬」

(`・ω・´)+「好奇心旺盛なのはいいことだが、
      教会の番犬として、子供達が危険な外に行くのを見逃すわけにはいかない!」

ξ゚⊿゚)ξっ「シャキンくん!」ナデナデ

(..'A`)っ「シャキンだ」ナデナデ

(`・ω・´)「んんんっ? いいぞ、存分にもふもふしていいぞ!
     肉球だってぷにぷにしていいんだぞ!」

.

285 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:34:16 ID:5H281t8g0

モフモフ
プニプニ

(`・ω・´)「……満足したかい、少年少女? おほんっ、それじゃあ改めて」

(`・ω・´)+「教会の番犬として、子供達が危険な外に行くのを見逃すわけにはいかない!」

(..'A`)「ちぇっ」

ξ゚⊿゚)ξ「仕方ないわよ。 教会の中から探しましょ」

(`・ω・´)「落とし物でも探してるのかい?」

( ^ω^)「ナクシモノをさがしてるんだお! シィのイノチだお!」

(`・ω・´)「はっはっはっ! イノチか、それはいい! 絶対に見つけてあげなくっちゃいけないね!」

(*゚ー゚)「教会の外にはわたしがいくわ」

(..'A`)「外の世界にはシィがいく、ってさ」

ξ゚⊿゚)ξ「ねぇシャキン、ワタシたちがお外に出られないなら、
    シィをお外に出してあげてもいいでしょ? ねっ?」

(`・ω・´)「むっ」

( ^ω^)「ひとりぼっちになったらダメだお!」

(`・ω・´)「むむむっ」

(*゚ー゚)「駄目と言われてもいくわ」

(..'A`)「どうしてもいきたいそうだ」

(`・ω・´)「君達の想いは受け取った! いいだろう、俺が彼女と一緒にいこう!」

ξ゚⊿゚)ξ「シャキンちゃんが?」

( ^ω^)「ほんとに?」

(..'A`)「いいのか?」

(`・ω・´)「太陽犬に二言はないさ! それにだ、止めても君達勝手に外に行くだろう?」

.

286 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:35:06 ID:5H281t8g0

(..'A`)「うん」

(`・ω・´)「ならいっそ外に行って満足してもらおう、ってなわけだ!
     子供達が大きくなるのを見届けるのが、俺達兄弟とママの契約だからね!」

(..'A`)「さっすがシャキン! 話が分かるねぇ」

(`・ω・´)「なにより俺は鼻がよく利くからな! 探しもの、いや、
     ナクシモノなんておちゃのこさいさいだ! あっはっはっ!」

(*゚ー゚)「あなたはわたしが怖くないの」

(..'A`)「ほんとだ。 シャキンはシィを見てもなんともないんだな」

ξ゚⊿゚)ξ「どんなふうに見えてるの?」

(`・ω・´)「花の集合体さ!」

(*゚ー゚)

(`・ω・´)「ああ、花っていうのは綺麗だけどおっかないね、なんせ俺は花粉症なもんでね!」

( ^ω^)「キレイだお?」

(`・ω・´)「あははっ! 見る人が見たら綺麗かもしれないね!
     顔も体もない肉の塊を埋め尽くすように、花がひしめきあって咲いてるぞ!」

(*゚ー゚)「ちっとも綺麗じゃないわ」

(`・ω・´)「そうと決まったら出かけよう! 言葉の壁なんてなんのそのだ!
     戻るまで教会を頼んだぞ、ママの子供達!」

ξ゚⊿゚)ξ「まかせてちょうだい!」

(..'A`)「外の世界なんてうらやましいぜ。 しっかりやってこいよ?」

( ^ω^)「お外の世界から帰ってきたら、いっぱいお話し聞かせてお!」

(*゚ー゚)「わかった」

.

287 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:35:53 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「ガラクタ置き場にきてみたはいいものの」

(..'A`)「こりゃあガラクタの山だな」

( ^ω^)「おーい! シィのイノチやーい! どこだおー?」

ガサガサッ

(..'A`)「アイツいつのまにかガラクタ山のてっぺんにのぼってら」

ξ;゚⊿゚)ξノシ「あぶないわブーンー! くずれちゃったらどうするのー!」

(..'A`)「こないだここで穴だらけになったの、すっかり忘れてるんだろうなぁ」

( ^ω^)ノシ「大丈夫だおー!」

タタタタタッ

(#><)「こらー! いっこも大丈夫じゃないんです!
      いますぐおりてきやがれコンチクショウなんです!」

(..'A`)「でたっ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ビロード!」

(#><)「ガラクタ置き場はタチイリキンシなんです!
      このことはワカッテマスくんにゴホウコクさせてもらうんです!」

(..'A`)「でもポッポものぼってるぜ」

.

288 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:36:45 ID:5H281t8g0

(*‘ω‘ *)「ぽっ!」

( ^ω^)「おっ! てっぺんにようこそ、ポッポちゃん!」

(;><)「ポッポちゃんんん!? 異端児のマネしたらだめなんです!
      ホコリタカキ斑蜂はそんなハシタナイことしないんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

( ^ω^)「よくわかんないって顔してるお」

(#><)「おのれ異端児め! よくもポッポちゃんにわるいことさせましたね!
      異端児め! 異端児め異端児め異端児め!」

(☆|<_` ) タタタタタッ

ギュッ

(;><)「はっ!! しまったんです!」

(☆|<_` )「ビロード、シケイ!」

ゴーンゴーン
ゴーンゴーン

(;><)「あああああああああああああああ!!」

( ´_ゝ|★)「教会のカネが鳴ったぞ!」

(☆|<_` )「戦いおしまいの時間だ!」

( ´_ゝ|★)「今日はオレら『鳳蜘蛛』の勝ちだな」

(☆|<_` )「モララーさまがゴホウビをくださるぞ」

(;><)「どうしよう、どうしよう、どうしよう! ワカッテマスくんにしかられるんです!」

(*‘ω‘ *;)「ぽう……」

.

289 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:37:28 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「今日はなにして戦ってたんだお?」

( ´_ゝ|★)「怪物ごっこです」(☆|<_` )

( ><)「魔女ごっこなんです!」

( ´_ゝ|★)「ひとりが怪物役で、あとは子供役」

( ><)「魔女役!」

(☆|<_` )「聖なる水の入った小さなビンを持って」

( ´_ゝ|★)「子供役のみんなを追いかけます」

(☆|<_` )「怪物役に抱きつかれて、」

( ><)「魔女役!」

( ´_ゝ|★)「ムネに小さなビンをくっつけられて、」

(☆|<_` )「『◯◯◯(名前)、シケイ!』と言われたら、」

( ´_ゝ|★)「次はその子供が怪物役です」

( ><)「魔女役!」

\( ´_ゝ|★)「教会のカネが鳴ったらはじまり、」

(☆|<_` )/「教会のカネが鳴ったらおしまい」

.

290 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:38:11 ID:5H281t8g0

( ´_ゝ|★)「終わったときに怪物役だったビロードがいる」

( ><)「魔女役!」

(☆|<_` )「斑蜂が今日は負け、というわけです」

(#><)「ええい、うっとうしい! しゃべるたんびに踊るんじゃあないんです!
      これだから鳳蜘蛛は! 鳳蜘蛛は!!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽー!」クルクル

(*^ω^)「楽しそうな遊びだお!」

(#><)「戦いなんです!!」

(..'A`)「オマエさんたち、いつもいろんな戦いしてるよな」

( ><)「斑蜂のがママのこと分かってるって、ショウメイするんです!」

( ´_ゝ|★)「キミたちは」

(☆|<_` )「なにをしてるのですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「シィのイノチを探してるの」

( ´_ゝ|★)「魔女のシィ?」(☆|<_` )

( ><)「怪物のシィ?」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽぃ?」

( ^ω^)「ボクたちの『シィ』だお!」

.

291 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:42:46 ID:5H281t8g0

スタスタ
スタスタ

(`・ω・´)「やあやあ、久しぶりの外だ! 天気も清々しい!
     イノチを探すついでに、楽しくお散歩といこうじゃないか!」

(*゚ー゚)「お散歩、嬉しい? しっぽ振ってる」

(`・ω・´)「この秘密のお散歩、ショボンにはヒミツにしといてくれよ?
     あれは外の世界に憧れていてね、兄ちゃんばかりずるいずるいとむくれるだろうから」

(*゚ー゚)「色のついた犬や猫が外の世界にいたら殺されてしまうわ」

(`・ω・´)「ははっ! 表情も言葉もさっぱり分からないな!」

(`・ω・´)「さては太陽色の犬は初めてかい? 外の世界じゃ犬や猫は白がほとんどだと聞くからね!
     色のついた犬は話すことができるんだ。 まさに今、こんな風に!」

(*゚ー゚)「初めてじゃない。 数十年ぶりよ」

(`・ω・´)「おっと! いきなり牙をむいて噛みつきやしないから安心していいぞ!
     ごらんのとおり、俺は無口でおとなしい犬なんだ! はっはっはっ!」

(*゚ー゚)「生き残りはきっと、あなたたちだけ」

(`・ω・´)「君の名前はシィ、だったね? 君のイノチはどんな形をしてるんだろうね?」

(*゚ー゚)「わからない」

(`・ω・´)「ブーン達から話は聞いたよ! なくしものはイノチで、
    『壊れてるもの、傷ついてるもの、そして大切なもの』だと」

(`・ω・´)「それを見つけるためにこの教会にやって来たんだと。
     せして自分に関する記憶をなくしてしまったんだと」

(*゚ー゚)「そう」

.

292 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:44:05 ID:5H281t8g0

(`・ω・´)「外の世界から人が来たのは初めてのことだ。
     こんな日がくるだなんて、本当に、本当に、いまだ夢のようさ!」

(`・ω・´)「焦らなくていいんだぞ? ゆっくりとゆっくりと思い出せばいいんだ!
     なんせ時間はたっぷりあるんだからね! はっはっはっ!」

(*゚ー゚)「そうだといいけれど」

スタスタ
スタスタ

(*゚ー゚) ピタッ

(`・ω・´)「どうしたんだい?」

(*゚ー゚)「蝶の花がなくなった」

(`・ω・´)「気付いたかい? 教会の敷地から出ると、蝶の花がとんとなくなるんだ」

(`・ω・´)「ここからは生えてる植物も変わって、森が一気に険しくなる。
     朝だと言うのにこの暗さと寒さだ。目印なんてないから鼻がきかなけりゃあ迷子にだってなる」

(`・ω・´)「子供達に知られたくないという気持ち、君なら分かってくれるかい?」

(*゚ー゚)

(`・ω・´)「おっかないかい? 引き返すかい?」

(*゚ー゚)「 怖くないわ」

(`・ω・´)「行くんだね」

.

293 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:45:48 ID:5H281t8g0

スタスタ
スタスタ

(`・ω・´)「そろそろかな。前方にご注意を」

(*゚ー゚)「?」

スタスタ
トンッ

(*゚ー゚)「?」

(`・ω・´)「中の世界はここまでだ」

(*゚ー゚)「どうして」

(`・ω・´)「いま何かにぶつかっただろう?
     それは教会を囲むようにして広がっている、見えない壁だ。
     壁の向こう側に見えてる景色が本当なのかも、もう分からない」

(*゚ー゚)「違うわ」

(`・ω・´)「俺達はずっと、もうずっと、この中の世界から出てないんだ」

(*゚ー゚)「壁の向こう側の景色はこんなんじゃない」

(`・ω・´)「なぜ話したかって? 望まない形で知られてしまうくらいなら、
     望んだ形で教えてしまった方がいいと思ったからさ!」

(*゚ー゚)「草も花も生えない場所になってしまった」

(`・ω・´)「子供達に知られたくないという気持ち、君なら分かってくれるかい」

(*゚ー゚)

.

294 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:46:51 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ カキカキ

(*゚ー゚) ジー

ξ゚⊿゚)ξ「できた! いい、シィ? この絵を見て」

(*゚ー゚)「ええ」

ξ゚⊿゚)ξ「まずは鳳蜘蛛ね」

【 ( ・∀・) 】

ξ゚⊿゚)ξ「モララーはアタマからツノが生えてる子よ。
    まるで絵本の中から出てきたみたいでしょう?
    ブーンのエダとはまた違うカタチをしてるわね」

(*゚ー゚)「山羊」

【 ( ´_ゝ|★)(☆|<_` ) 】

ξ゚⊿゚)ξ「アニジャとオトジャは体のはんぶんが青色と緑色になってる子。
    色が違う方には仮面をつけたり洋服や手袋で隠したりなんかして、
    あんまり見えないようにしてるみたい。 大切だからなんですって」

(*゚ー゚)「アニジャ、オトジャ」

【 o川*゚ー゚)o 】

ξ゚⊿゚)ξ「キュートは体のあちこちがドロドロにとけてる子。
    泣きマネにゴヨウジン! ワタシみたいにすぐ引っかからないでよね?
    とけて落ちたものはしばらくもしたらウソみたいに消えちゃうみたい」

(*゚ー゚)「キュート」

【 川 ⁂々゚) 】

ξ゚⊿゚)ξ「クルウはかたっぽの目からニョロニョロが生えてる子。
    いつもは短いけどほんとは長いんですって。
    かまって欲しくてよくクビつかんでくるから、気をつけてちょうだいね」

(*゚ー゚)「クルウ」

.

295 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:47:43 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「そして斑蜂」

【 ( <◯><◯>) 】

ξ゚⊿゚)ξ「ワカッテマスは体のあっちこっちに目がある子。
    ワタシたちとおんなじところにある、お顔の二つの目は見えてないんですって。
    だからいつも杖を持ってるのよ。でもそれ以外の目は見えてるみたいだから、
    体のあっちこっちにある目と、目の下にある目は見えてるんじゃないからしら?」

(*゚ー゚)「ワカッテマス」

【 ( ><) 】

ξ゚⊿゚)ξ「ビロードは口が耳まである子。
    いつもはそんなことないんだけど、おっきな声を出すときだけおっきく口が開くの。
    教会のどこにいたって聞こえるようなおっきい声が出せるのは、この子だけね」

(*゚ー゚)「ビロード」

【 (*‘ω‘ *) 】

ξ゚⊿゚)ξ「チンポッポは足が虫の足になってる子。
    はねる力がすごくって、ちょっと見てない間にあっちこっち
    ぴょんぴょんいっちゃうから、なんだかほっとけないわ」

(*゚ー゚)「チンポッポ」

【 从 ゚∀从 】

ξ゚⊿゚)ξ「ハインリッヒはアタマから虫の羽が生えてる子。
    怒ってるときに羽を広げたりはばたいたりするの、おっかいないからやめて欲しいわ。
    お空は飛べないけどちょっぴり浮くことができるみたい」

(*゚ー゚)「ハインリッヒ」

【 (-_-) 】

ξ゚⊿゚)ξ「ヒッキーはウデがよっつある子。
    恥ずかしがり屋でいつもウデでお顔を隠してるの。 体は見えてるんだけどね。
    アタマの中がてんやわんやなときは、ウデがこんがらがっちゃうみたいだわ」

(*゚ー゚)「ヒッキー」

ξ゚⊿゚)ξ「次の子は……」

.

296 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:48:44 ID:5H281t8g0

(..'A`)「なにしてるんだ?」

ξ゚⊿゚)ξ「シィにワタシたちのことを教えてあげてるのよ」

( ^ω^)「この絵ツンがかいたんだお? おじょうずだお!」

ξ*゚⊿゚)ξ「ほめてもなんにも出ないわよ?」パタパタ

(*゚ー゚)「しっぽ振ってる」

(..'A`)「しっかし今日は見つからなかったな、シィのイノチ」

ξ゚⊿゚)ξ「シィとシャキンもザンネンだったわね、せっかく外の世界までいったのに」

(*^ω^)「お外はどんなところだった?」

(*゚ー゚)「なんにもなかったわ」

(*^ω^)「楽しかった? 広かった? 好きなものはあった?」

(*゚ー゚)「いいものなんてひとつもなかったわ」

(..'A`)「マジかよ」

ξ゚⊿゚)ξ「なんて?」

(..'A`)「外の世界にはいいものなんてひとっつもなかった、とさ」

ガチャ‼︎
バタンッ!!

( ><)「ブーン少年! 時間なんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ひゃっ!?」

( ^ω^)「おっ?」

(..'A`)「なーんだ、ただのビロードとポッポか」

.

297 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:49:31 ID:5H281t8g0

ξ;゚⊿゚)ξ「お部屋に入るときはトビラをコンコンしてから開けなさいよね!」

(;><)「ああっ! ゴアイサツを忘れてたんです! このままじゃあワカッテマスくんに
     『斑蜂にあるまじきオギョウギの悪さ』ってしかられちゃうんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

( ><)「こんばんは、ごきげんよう、おじゃまします!
      そして見つけたんです、ブーン少年!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

( ^ω^)「今日はボクが斑蜂なんだおね?」

( ><)「これからテメェサマをちいさなママ、
      ワカッテマスくんのところに連れていくんです!」

( ^ω^)「おっ」

( ><)「ちいさなママのケッテージコーなんです!
      テメェサマの返事は聞いてないんです!」シュルシュル

(;^ω^)「おっ? おっ? おっ?」

( ><)「ポッポちゃん、お願いします!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽー!」ヒョイッ

(;^ω^)「おわー! さらわれるー!」

(..'A`)「うわあ、あれオレもやられたわ」

ξ゚⊿゚)ξ「ワタシもやられたわ」

(..'A`)「ビロードに手と足をしばられて、ポッポにかつがれていくやつな」

ξ゚⊿゚)ξ「ポッポったらちっちゃいのにこの教会イチバンのチカラもちよね」

(*゚ー゚)「おかしな子達」

.

298 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:50:27 ID:5H281t8g0

( ><)「いいですか、ポッポちゃん?
      ロウカはこうやって、右側を歩くんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

( ><)「ロウカの右側はボクたちが、左側はいまいましい
      キャツらが歩く、そう決まってるんです」

(*‘ω‘ *)「ぽぽぽ?」

( ><)「決まってるったら決まってるんですよ、
      ママのダイリニンであるワカッテマスくんがそう言ってたんです」

( ><)「ママの言うことはゼッタイなんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽー?」

ガチャ‼︎

( ><)「ちいさなママ! ただいまなんです!」

(*‘ω‘ *) コンコン

(*‘ω‘ *)「ぽぽいまー!」

( <◯><◯>)「おかえりなさい、ワタシのかわいい子供達」

( <◯><◯>)「そして」

コツンッ

(;><)「あうっ」

( <◯><◯>)「ビロードくん、あれほど言ったでしょう?」

コツンッ

( <◯><◯>)「お部屋に入るときはトビラをノックしなさいと」

コツンッ

( <◯><◯>)「斑蜂にあるまじきオギョウギの悪さですよ」

(;><)「あばばばば! ごめんなさい! ワカッテマスくん!
      もうしないんです! 杖でオデコつっつかないで欲しいんです!」

( <◯><◯>)「よろしい」

.

299 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:51:30 ID:5H281t8g0

(*‘ω‘ *)「ぽー!」

( <◯><◯>)「ビロードくん、ポッポちゃん、ありがとうございます。
        ブーン少年をここまでご案内してくれて」

(;^ω^)「おーん」

( <◯><◯>)「おやおや。 ナワでしばられてユカにころがっている、
       いまのアナタまるで絵本で見たイモムシみたいですね?」

(;^ω^)「はやくほどいて欲しいおー」

( <◯><◯>)「ワタシまだ怒ってるんですよ。
       かってに怪物の名前を、『シィ』の名前を使ったこと!」

( <◯><◯>)「しばらくそのまま地べたをはってなさい」

(;^ω^)「おーん、おーん」

( <◯><◯>)「お待たせ、斑蜂のかわいい子供達」

( ><)

(*‘ω‘ *)

从 ゚∀从

(-_-)

( <◯><◯>)「ビロードくん、灯りを消しなさい」

( ><)「はい、ワカッテマスくん!」

( <◯><◯>)「ポッポちゃんはロウソクに火を」

(*‘ω‘ *)「ぽい!」

( <◯><◯>)「ハインリッヒくん、ワタシのイスを部屋のまんなかに」

从 ゚∀从「まかせてくださいよ、ワカッテマスくん!」

.

300 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:52:41 ID:5H281t8g0

( <◯><◯>)「子供達、ワタシの声が聞こえるように集まりなさい。
       そのまま地べたに座りなさい」

(*^ω^)「なんだかわくわくしてきたお! なにがはじまるんだお?」

( <◯><◯>)「さあ、ちいさなママの本を開いて」

ペラ..,

( <◯><◯>)「ヒッキーくん、ブーン少年のナワをほどいて、一緒に本を見せてあげなさい」

(-_-)「ひゃいっ!? あっ、ちいさなま、ままま、まま」ブツブツ

( ^ω^)「なんの本だお?」

(-_-)「ちいさなママの本、だ。 なんでボクが見せてあげなくっちゃいけないんだっ」ブツブツ

( ^ω^)「絵だけの本なんだおね」

(-_-)「ちちいさなママ、でも、字はかけない、から」ブツブツ

( ^ω^)「絵だけでもわかるお!」

(-_-)「も、だまって、だまれよ。 ボクまでちいさなママに、しかられる、だろ」ブツブツ

( <◯><◯>)「ママに祈りを捧げましょう。 ワタシたちの物語を語りつぎましょう。
        忘れてしまわないように、何度も何度も、くりかえしましょう」

( <◯><◯>)「そうすればママが帰ってきたとき、きっと喜んでくださるはずだから。
        これだけが、ママの名前もお顔も知らないワタシたち
        教会の子供に残された、ママとのさいごのつながりなのだから」

( <◯><◯>)「さて、昨日はどこまで読みましたか?」

( ><)ノ「はい! じゅういちぺーじ、までなんです! ワカッテマスくん!」

( <◯><◯>)「ははぁ、今日は十二ページですか。 ワタシが大ッキライな十二ページですか」

(;><)「なんかごめんなさいなんです!!」

( <◯><◯>)「はあ? なんでアナタが謝るんです? 意味が分からない……」

.

301 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:53:30 ID:5H281t8g0

( <◯><◯>)「十二ページ目、ママがいなくなった日。
       トビラの向こうにいったまま、ママは帰ってきませんでした」

从 ゚∀从

( ^ω^)

( <◯><◯>)「それからです。 教会の子供達がみんな、おんなじ夢を見るようになったのは」

从 ゚∀从 ウツラウツラ

( ^ω^)

( <◯><◯>)「それからです。 レモナが眠ったまま、
       いいえ、夢を見たまま目を覚まさなくなったのは」

从う∀从 ゴシゴシ

( ^ω^)

( <◯><◯>)「それからです。 教会中に蝶のお花が咲きはじめたのは」

从 -∀从 フラフラ

( ^ω^)っ「寝たらだめだお、ハインくん」ユサユサ

( <◯><◯>)「それからです。ひもじいのが、くるしいのが、
       死ぬほどいたいのが、ワタシたちからなくなったのは」

从 -∀从 グラッ

(;^ω^)「あ,あぶなっ」

ガチャンッ
メラメラ

.

302 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:54:33 ID:5H281t8g0

从; ゚∀从「はっ!!」

(;^ω^)「あちあちっ」

(#><)「ハインくん!! なんてことしてくれやがるんですか!?
      ワカッテマスくんがお話ししてるでしょうが!!」

从; ゚∀从「まーたやっちまった! わるい、ワカッテマスくん!!」

( <◯><◯>)「アナタへのオシオキはあとです。 それより火を」

(;^ω^)「あついお! 火が、火が!」

( <◯><◯>)「ポッポちゃん、たおれたロウソクを起しなさい。
       ワタシは燃えてるブーン少年を消します」

( <◯><◯>)「ビロードくん、刃物を」

( ><)「はい、ワカッテマスくん!」

(;^ω^)「あちちっ」

( <◯><◯>)「燃えてるのはカタですか、ならクビにしましょうね」

ザシュッ
ジュウ...










「いけないいけない、言い忘れてましたね。 ちょっと痛いですよ」

.

303 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:55:55 ID:5H281t8g0

ドクン
ドクン

( ─ω─)

ドクン
ドクン

(*゚ー゚)

( ^ω^)(また知らない子だお)

(*゚ー゚)『どうしたのですか?』

( ^ω^)(どうして、ボクの手の上に蝶のお花が?)

( ^ω^)(ちょっぴり動いてるお。 これはお花じゃない蝶だお?)

( ^ω^)『これ。 蝶々が』

( ^ω^)(どうなってるんだお?)

( ^ω^)(ボクの体が、口が、ひとりでに動く)

(*゚ー゚)『この子すごく弱ってるのです……』

( ^ω^)『ボクの指にとまったせいだお。 このまま死んじゃうのかな』

(*゚ー゚)『大丈夫なのです。 手を貸してください』

( ^ω^)(だれかさんの手が、ボクの手をつつむようににぎる)

( ^ω^)(とってもあったかいお)

フワッ

( ^ω^)(あっ。 蝶が)

ヒラヒラ

( ^ω^)(元気になった? お空に飛んでいくお!)

(*゚ー゚)『いってらっしゃい、元気でね』

( ^ω^)(キミはだれなんだろう? シィによく似てるけど)

.

304 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:56:57 ID:5H281t8g0

(    )っ

(    )っ「起きて」

トントン

( ^ω―)「おっ……」

(-_-)「あ、朝なんだけどっ!?」

( ^ω^)「おはようだお、ヒッキー」

(-_-)「ああやだやだ、人を起こすのキンチョウする。 わるいことしか起きない。
    ずっとウデの中にひきこもりたい。 ……ああでも、夢の中の女の子はキレイだったなぁ」ブツブツ

( ^ω^)「ヒッキーもおんなじ夢を見たんだおね」

从 ゚∀从「はよ起きろや。 掃除のジャマだぜ、ブーン」

( ^ω^)「おはようだお、ハイン。ボクのアタマのエダ、お花咲いてるかお?」

从 ゚∀从「あ゛あん? いつもとおんなじだっつーの」

( <◯><◯>)「ヒッキーくん、ハインリッヒくん。 忘れ物、わかってます?」

コツンッ

(;-_-)「ひゃいっ!? あ、あ、あ!
    『おはようございます』!『おはようございます』ううう!!」

从; ゚∀从「忘れてたァ!! ブーンくんおはよう!
      昨日はわるかった!ごめん!このとおりだ!」

( <◯><◯>)「よろしい」

( ^ω^)「おはようだお。 気にしないでお」

.

305 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:57:55 ID:5H281t8g0

( <◯><◯>)「おはようございます、ブーン少年。 ワタシからもごめんなさいを
       させてください、火を消すとき言い忘れた言葉がありましたね」

( ^ω^)「びっくりしたけど大丈夫だお、ワカッテマス」

(#><)「『ワカッテマスくん』なんです! 『くん』をつけやがれなんです!」

( <◯><◯>) ジー

( ;><)「……あっ!! 『おはようございます』なんです!!」

(*ぅω‘ *)「ぽう……」

( <◯><◯>)「集会にいく前に、ひとつお話しを」

( <◯><◯>)「今日は『箱の日』です。
       鳳蜘蛛との戦いが終わったあと、夕ぐれまでには集会のお部屋にいること」

( <◯><◯>)「斑蜂の子供達ならば、遅れることも、忘れることもしません。
       鳳蜘蛛とはちがうんです。 ……いいですね?」

( ><)「はい!」

(*‘ω‘ *)「ぽい!」

( <◯><◯>)「ブーン少年、秘密基地にいるアレはどうですか?」

( ^ω^)「シィだお!」

( <◯><◯>)「それは世界を救った怪物の名前です」

( <◯><◯>)「で? どうなんです?」

( ^ω^)「秘密基地のお外に出たがってるお、
       なくしものを探したいって言ってるお」

( <◯><◯>)「それはだめです」

( <◯><◯>)「ワタシはちいさなママ、この教会の子供達を守らなくてはいけませんから」

.

306 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:58:46 ID:5H281t8g0

(..'A`)「今日の夢のこと覚えてるか?」

( ^ω^)「もちろんだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「教会の子供達みんながウワサしてるわ」

(*゚ー゚)「どんな夢?」

(..'A`)「それがさ……」

『どうしたのですか?』
『大丈夫なのです。手を貸してください』
『いってらっしゃい、元気でね』

(..'A`)「そんな夢だ」

(*゚ー゚)「!」

(..'A`)「見たことない子だったよな?」

( ^ω^)「知らない子だお」

ξ*゚⊿゚)ξ「ひょっとして、あの子がワタシたちのママ?」

(..'A`)「だったらいいな」

(*゚ー゚)「っ」

ピシッ

( ^ω^)(またシィの体にヒビがひとつ増えたお)

ヒラヒラ

( ^ω^)「えっ?」

( ^ω^)(シィのキズから蝶々が出てきた?)

( ^ω^)(あの蝶々、すけてるお?)

.

307 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 19:59:40 ID:5H281t8g0

ヒラヒラ

( ^ω^)(どこに飛んでいくんだお?)

( ^ω^)

( ^ω^)(あれ)

( ^ω^)(またお空にヒビが?)

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、なにしてるの?」

(;^ω^)「ツン、ツン! お空が、お空に! 見えるかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ええっと、いつもどおりの青い空だけど?」

(..'A`)「そうだシィ、外の世界の字は分かるか?」

ξ゚⊿゚)ξ「これって……シャキンとショボンの部屋にあったママの本じゃない!
    ドクオ、アンタまさかくすねてきたんじゃないでしょうね?」

(..'∀`)「はてさて、なんのことやら?」

( ^ω^)「これってなんの本だお?」

(*゚ー゚)「若さと美しさに関する本ばかり」

(..'A`)「オレたちが帰ってくるまで、これでも読んでたらどうだ?」

(*゚ー゚)「これには興味ないわ」

(..'A`)「そうか、読まないか」

(*゚ー゚)「ドクオが作った文字の勉強と、ツンの描いた絵で教会の勉強してる」

(..'A`)「『オレが作った文字のベンキョウと、
    ツンのかいた絵で教会のベンキョウしてる』だとさ」

ξ゚⊿゚)ξ「ワタシたちはなくしものを、シィはベンキョウを、一緒にがんばりましょうね」

.

308 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:00:35 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「おーい!なくしものー!」

ξ゚⊿゚)ξ「呼んででてくるわけないでしょっ」

ブランッ

( ´_ゝ|★)「なにを」

(☆|<_` )「してるんですか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ぴぎゃあ!!」ブワッ

( ´_ゝ|★)b「シィーッ」

d(☆|<_` )「シィーッ」

ξ;゚ぺ)ξ「もごっ」

( ´_ゝ|★)「魔女かくしのまっさいちゅうです」

(☆|<_` )「おしずかに、おしずかに」

ξ;゚⊿゚)ξ「ぷはっ! だっていきなりサカサマで目の前にあらわれるんですもの!」ブワワッ

(..'A`)(シッポすっげぇふくらんでるな)

ξ;゚⊿゚)ξ「ああ、木のエダにぶら下がってたのね? びっくりさせるんじゃないわよっ」

( ^ω^)「魔女かくし?」

( ´_ゝ|★)「ひとりが怪物役で、あとは魔女役」

(☆|<_` )「怪物が蝶の花の花びらを」

( ´_ゝ|★)「九つむしり終わったら、」

(☆|<_` )「教会のあちこちにかくれている」

( ´_ゝ|★)「魔女を見つけて、ジュモンをとなえて」

( ´_ゝ|★)「つかまえます」(☆|<_` )

.

309 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:02:01 ID:5H281t8g0

( ´_ゝ|★)「教会のカネが鳴ったらはじまり、」

(☆|<_` )「教会のカネが鳴ったらおしまい」

( ´_ゝ|★)「ぜんぶを見つけたら怪物役がいる組が、」

(☆|<_` )「見つけられなかったら魔女役がいる組が、」

( ´_ゝ|★)「今日の勝ちです」(☆|<_` )

(*^ω^)「ボクたちもやりたいおー!」

ξ゚⊿゚)ξ「いつも楽しそうな戦いしてるわよね」

( ´_ゝ|★)「鳳蜘蛛はいつでも」

(☆|<_` )「少年少女を待ってます」

(..'A`)「ちなみに今日の怪物は?」

( ´_ゝ|★)「アタマからハネの生えた少年」

(☆|<_` )「すっごくおっかないんです」

( ´_ゝ|★)「ずっとはばたき音が聞こえます」

(☆|<_` )「ずっと怒ってる声が聞こえます」

     从# ゚∀从「オラオラァ!出てこいやー!!」ブブブブブ

ξ;゚⊿゚)ξ「やっぱり楽しそうじゃないわ」

( ´_ゝ|★)「キミたちは」

(☆|<_` )「なにしてるんですか?」

( ^ω^)「シィのイノチを探してるんだお!」

.

310 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:02:43 ID:5H281t8g0

( ´_ゝ|★) ビクッ

(☆|<_` ) ビクッ

ξ゚⊿゚)ξ「教会の中でこわれたものや、キズついてるものを見なかった?」

( ^ω^)「ガラクタ山もかたっぱしから見たんだけど、見つからなかったんだお」

(..'A`)「オマエさんたちも探すの手伝ってくれねーか?」

( ´_ゝ|★)「イヤだ」

(☆|<_` )「ムリだ」

(..'A`)「モララーサマにしかられるってか?」

( ´_ゝ|★)「違う」

ξ゚⊿゚)ξ「ワタシたちが鳳蜘蛛じゃないから?」

(☆|<_` )「違う」

( ^ω^)「じゃあ、なんで?」

( ´_ゝ|★)

(☆|<_` )

( ´_ゝ|★)「オレらにはあの子が死体に見えるんです」

(☆|<_` )「『むごたらしくされた兄弟の死体』に」

.

311 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:03:40 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ カキカキ

ξ゚⊿゚)ξ「ここはおしまい、っと」

( ^ω^)「これ教会だお?」

ξ゚⊿゚)ξ「教会の地図よ。 探したところは
    こうやって赤色でぐちゃぐちゃに塗っていくの」

ξ゚⊿゚)ξ「教会がぜんぶぐちゃぐちゃになったころには、
    シィのイノチが見つかってるってわけ!」

(*^ω^)「おー! アッタマいいおー!」

ξ*゚⊿゚)ξ「べつに? そんなことないんじゃない?」パタパタ

(*゚ー゚)「ツンの絵はかわいい。絵本みたい」

(..'A`) カキカキ

ξ゚⊿゚)ξ「あら? 今日の日記はイチダンと長いのね?」

(..'A`)「これは日記じゃないぜ。
    アニジャの言ってたことが気になってさ、シィのカタチについてまとめたんだ」

(*゚ー゚)「わたしの?」

( ^ω^)「読んで聞かせてお!」

(..'A`)「いいぜ、待ってろ。 シィは人によって見えるカタチがちがうだろ?」

(..'A`)「ブーンには『桃色のキレイな女の子』、ツンには『目を覚ましたレモナ先生』、
    そんでもって、オレには『顔がぐちゃぐちゃに塗りつぶされた子』」

(..'A`)「シャキンには『花のシューゴータイ』、ショボンには『手のシューゴータイ』」

(..'A`)「アニジャには『むごたらしいオトジャの死体』、オトジャには『むごたらしいアニジャの死体』、
    キュートには『膿がつまったデキモノのカタマリ』、クルウには『燃えて溶けて剥けて焦げてる生物』」

(..'A`)「ビロードには『全身が刃物でできたカタマリ』、ポッポには『頭だけがおぞましい木の実になってる子』、
    ヒッキーには『全身ところせましと目がひしめいてる人』、それから……」




.

312 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:04:50 ID:5H281t8g0

(..'A`)「……とまあ、こんなところだ」

ξ;゚⊿゚)ξ「こんなふうに見えてたなんて」

(..'A`)「だからみんな、あんなに泣いて逃げたんだろうよ」

( ^ω^)「モララーやワカッテマスは?」

(..'A`)「教えてくれなかったんだ、まったくケチンボだぜ」

(*゚ー゚)「子供達に怖がられてもしょうがないわね」

(..'A`)「やっぱり見る人の『こわいもの』に見えるのか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「それだとおかしいわ。
     レモナ先生を怖いだなんて、いっぺんも思ったことないもの!」

( ^ω^)「ツンのこわいものって?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ワタシは……いろいろあるけど、イチバンは……、
     レモナ先生がこのまま目を覚まさなかったらどうしよう、って」

(..'A`)「やっぱり先生のことか」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンとドクオのこわいものはなに?」

( ^ω^)「よく分からないんだお。 でもシィはこわくないお」

(..'A`)「オレは自分がこわいもんはっきりと分かるぜ、でもシィとは違うカタチなんだよな」

( ^ω^)「おーん……」

ξ- ⊿-)ξ「むう……」

(..'A`)「うーん……」

(*゚ー゚)「わたしはなに?」

(..'A`)「オマエさんはオマエさんだろ」

.

313 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:05:50 ID:5H281t8g0

リィン

(´・ω・`)「やあ」

( ^ω^)ノ「いらっしゃいだお、ショボン」ナデナデ

ξ゚⊿゚)ξノ「ショボンちゃん、今日ももふもふね」ナデナデ

(´-ω-`) ゴロゴロ

(..'A`)ノ スッ

(´・ω・`) ササッ

(..'∀`)「よけるなよ。 どうしたってんだ?」

(´・ω・`)「今日が『箱の日』だってこと、忘れてるんじゃないかと思ってさ」

(*゚ー゚)「はこのひ?」

(´・ω・`) ビクッ

(´・ω( ^ω^) ササッ

( ^ω^)「ショボン? ボクのうしろになにかあったお?」

(´・ω・`)「べつにっ」

(..'A`)「シィは箱の日も知らないのか」

ξ゚⊿゚)ξ「よくある日よ。 ほら、シィも手をだして」

(*゚ー゚)「?」

スッ

ξ゚⊿゚)ξ「そうじゃなくって、もっと祈るみたいに」

(*゚ー゚)「?」

スッ

ξ゚⊿゚)ξ「よしよし。 そのまんま動いたらだめだからね?」

.

314 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:06:52 ID:5H281t8g0

ジャラッ
ジャラジャラ

ξ゚⊿゚)ξ「こうやって祈ったまんま、手ごと体をクサリでグルグルまくのよ」

( ^ω^)「それからおたがいがおたがいを、ちいさな箱の中にしまっちゃうんだお!」

(..'A`)「とは言っても、子供達は箱みたいなちいさな部屋なんだがな。
    はじめの子供達は……ワカッテマスは檻の中、モララーは箱の中、
    レモナ先生は鞄の中に、それぞれママに入れられてたんだぜ」

( ^ω^)「このまま夜になるまで待つんだお」

(*゚ー゚)「いったい何のために」

(..'A`)「ママがそう言ったんだから、なんかしら意味があるんだろ」

(´・ω・`)「それじゃあ、いっておいで子供達」

(*゚ー゚)「どこにいくの」

(..'A`)「子供は全員集合なんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「シィはここで待っててね」

( ^ω^)「いってくるおー!」

(*゚ー゚) ポツン...

(*゚ー゚)「わたし、このままなの」

(´・ω・`)「にゃあ」

(*゚ー゚)「そらいろのねこ」

(´・ω・`)「この教会の居心地はどう? なんてね、
     鎖で縛られて閉じ込められてる子に言うことじゃないよね」

(*゚ー゚)「誘拐された子供の気分よ」

(´・ω・`)「『箱の日』にはママが外の世界におでかけするんだ。
     ママがいなくなる前のお話しだよ」

(*゚ー゚)「子供達が外に逃げないようにしてたのかしら」

.

315 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:07:45 ID:5H281t8g0

(´・ω・`) 「ここはいいところだよ。 なんもかんも、ここから見える景色だって、蝶のお花だって、
     子供達の笑った顔だって、なんだって、初めてみたいに輝いて見えるんだ。
     いいところだよ。気まぐれな猫だってずっといたくなっちゃうような、そんなところだよ」

(*゚ー゚)「ここはなにかがおかしい」

(´・ω・`)「太陽色の犬と空色の猫のお話しは知ってる?」

(*゚ー゚)「知ってるわ、悪魔の使いね」

(´・ω・`)「うーん」

(*゚ー゚)「悪魔に一つだけ願いごとを叶えてもらう代わりに、
    自分の一生を悪魔に捧げる……そんな契約をするんでしょう」

(´・ω・`)「さっぱり分からないや」

(*゚ー゚)「残念だわ」

(´・ω・`)「ちぇっ。 外の世界がどんなところか聞きたかったのに」

(*゚ー゚)「いいところではないわよ」

(´・ω・`)「行ってみたいな、一度でいいから。
     外の世界の人ってどんなかんじなんだろう」

リィンッ

(´・ω・`)「実はね、色の違う獣は魔法が使えるんだ。
     たった一度だけだけど」

(*゚ー゚)「知ってるわ」

(´・ω・`)「シャキン……僕の兄の太陽色の犬ね。
     この教会は兄さんの願いで閉じた、小さな世界なんだよ」

(*゚ー゚)「そう」

.

316 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:08:44 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)「だから子供達をこの教会から出すわけにはいかないんだ。
     たとえ教会の外に出られたって、小さな世界の外には出られない」

(´・ω・`)「そんなことなら、知らないままのが幸せだと思わない?」

(*゚ー゚)「なんにも言えない」

(´・ω・`)「勘違いしないでよね?」

(´・ω・`)「兄さんがそんなこと自分からお願いするわけないでしょ。
     ママが兄さんに命令したんだ。 一生に一度のお願いで、この世界を閉じるように」

(*゚ー゚)「ひどい」

(´・ω・`)「僕はやだよ、絶対にお断りだ。
     絶対に。 兄さんとおんなじにはならない」

(´・ω・`)「だって一生に一度のお願いだよ?
     お願いごとだって、昔から決めてあるんだから!」

(*゚ー゚)「でも悪魔に触らないと魔法を使えない」

(´・ω・`)「でもママがいないと、お願いができないんだ」

(*゚ー゚)「契約がなくなってないなら、
    そう遠くはないところで生きてるんじゃないかしら」

(´・ω・`)「なんで君にこんな話したと思う?」

(*゚ー゚)「分からない」

(´・ω・`)「ふふふ。一緒に悪い子になってくれないかなって思ってさ」

(*゚ー゚)「わたしが?」

.

317 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:09:42 ID:5H281t8g0

リィン

(´・ω・`)「僕の首輪に鈴がついてるように、兄さんの首輪には鍵がついてる。
     君にはその鍵をなんにもなかったかのようにお借りしてきて欲しいんだ」

(*゚ー゚)「どこの鍵」

(´・ω・`)「どこの鍵かって聞いてる?
     あれは子供達がいつもお祈りしてる扉の、ママが最後に出ていった扉の鍵だ」

(*゚ー゚)「どこへつながってるの」

(´・ω・`)「あとは詳しいことは分からないんだよね。兄さんはいつだって優しいけれど、
    ママのことも鍵のことも外の世界のことも、なんにも教えてくれないんだ」

(´・ω・`)「いくらなんでも過保護すぎると思わない?
     歳が離れてるからってさ、もうこんなに大きくなったのに!」

(*゚ー゚)「色のある獣は長寿だものね」

(´・ω・`)「扉の向こうで君のナクシモノも見つかるかもしれないよ?」

(*゚ー゚)「!」

(´・ω・`)「どうする? 悪い子になれば、どこにだっていけるよ?」

(*゚ー゚)「やるわ」

(´・ω・`)「それってどっちなのかな?」

(´・ω・`)「分かんないけど、考えておいてね。
     かわいくて頼もしい仲間がいること忘れないでね」

(*゚ー゚)「あなたと話せたらよかったのに」

(´・ω・`)「そろそろ戻らなくっちゃ。 またね、期待してるよ」

リィンッ

.

318 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:10:24 ID:5H281t8g0

ドクン
ドクン

( ─ω─)

ドクン
ドクン

(*゚ー゚)

( ^ω^)(また、あの子の夢)

( ^ω^)(なにしてるんだろう? お水をあちこちにまいてる?)

( ^ω^)(ここには見たことないお花がいっぱいあるお)

(*゚ー゚)『〜♪』

( ^ω^)(!)

( ^ω^)(この歌っていつもの夢で聞いてた?)

( ^ω^)『ごきげんだおね』

(*゚ー゚)『見てください、蛹が』

( ^ω^)(?)

( ^ω^)(周りのお花とは違う。 この草だけお花がなくて、器に入ってるお)

( ^ω^)っ スッ

( ^ω^)っ(また体が、ひとりでに)

(*゚ー゚)『あのう、その手は?』

.

319 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:11:27 ID:5H281t8g0

( ^ω^)っ『ボクとキミが育ててる草に虫がついてたから。
       取っちゃおうと思って』

(*゚ー゚)『お花のことを考えてくれたんですね。
    ブーンくんは優しいのですね』

( ^ω^)『そんなんじゃないお』

(*゚ー゚)『ふふふ。 でももう少しだけ、このままにしてあげていいですか?』

( ^ω^)『キミがそう言うなら』

(*゚ー゚)『きっともうすぐ、立派な蝶々になるのです』

( ^ω^)『蝶々。好き?』

(*^ー^)『はいっ、大好きですよ」

( ^ω^)『キミの好きなものなら壊さないお』

(*^ー^)『ありがとうございます』

(*゚ー゚)『この蝶々の名前、なんていうんでしょう?
    お花のことならちょっとは分かるんですけど、虫さんのことはからっきしで』

( ^ω^)『名前を知れたら嬉しいお?』

(*゚ー゚)『嬉しいです』

(*゚ー゚)『 ブーンくんの鉢植えを羽化に選んだんですもの、お目が高い子なのです!
    ああでも、出てくるまで知らないままでいるのも、楽しみですね?』

( ^ω^)『わざわざ待たなくても』

(*゚ー゚)「この子が蝶々になる頃には、この鉢植えの蕾もきっと咲くのです』

( ^ω^)「キミの力ならいますぐにでも……

(    )っ「起きて」

( ^ω^) パチッ

( ^ω^)(やっぱりシィには似てないお)

.

320 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:13:22 ID:5H281t8g0

( ^ω^)ノ「よーし、はじめるおー!」

ξ゚⊿゚)ξノ「おー!」

(..'A`)ノ「おう!」

(*゚ー゚)ノ「おー」




( ^ω^)「持ってきたお! これは?」

(*゚ー゚)「違う」

ξ゚⊿゚)ξ「これでしょ?」

(*゚ー゚)「違う」

(..'A`)「これだろ」

(*゚ー゚)「違う」




(..'A`)「これでぜんぶだぜ。 今日も見つからなかったか」

(*゚ー゚)、

( ^ω^)「元気だしてお! 明日はきっと見つかるお!」

ξ゚⊿゚)ξ「今日はここと、ここ、探した、っと」カキカキ

( ^ω^)「おお! 教会の地図がはんぶんくらい真っ赤に!」

(..'∀`)「まるで燃えてるみたいだな」

.

321 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:14:04 ID:5H281t8g0

o川*>ー<)o「くやしいよう、くやしいよう!
       斑蜂に負けちゃったよう!」ドロドロ

川⁂ 々゚)「むむむっ。 あしたは、かつ! クルちゃん、かつ!」

ξ゚⊿゚)ξ「キュート、クルウ! いいところに!」

川⁂ 々゚)「シッポの少女!」

o川*゚ー゚)o「キューちゃんに会いにきたんだね?
      困っちゃうなー、キューちゃんかわいいからなー?」

ξ゚⊿゚)ξ「お願いよ。 シィのイノチを探すの、手伝ってくれない?」

o川*゚ー゚)o「!」

川⁂ 々゚)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「ひょっとしたら、誰かが持ってるものがそうなんじゃないかと思って」

o川;*゚ー゚)o「キューちゃん、しーらない!
       ちいさなママにしかられちゃうもーん!」スタスタ

川⁂ 々゚)「……? クルちゃん、わかんなーいっ」スタスタ

ξ゚⊿゚)ξ「あっ……」

.

322 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:14:47 ID:5H281t8g0

ガッ

( ^ω^)「おっ?」

ベシャ

( <◯><◯>)「おやおや、おやおや?」

(;^ω^)「あうっ。 鼻から血が」

( <◯><◯>)っ「さあ、手を。 お怪我はありませんか?」

( ^ω^)っ「ありがとうだお、ワカッテマス」

( <◯><◯>)「どうやらアナタ、ワタシの杖につまずいてしまったようですね。
       決して、決してわざとではないんですよ、恨まないでくださいね」

( <◯><◯>)「家の中を走り回ると危ないですよ。
       なにかにつまずいて転んでしまうかもしれませんから」

( <◯><◯>)「こんな風に、ね?」

( ^ω^)「うん、わかったお!」

.

323 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:15:27 ID:5H281t8g0

(-_-)「ボクは木……ボクは石……、ひひひ……これなら見つからない見つからない……」ブツブツ

( ^ω^)「ヒッキー! 」

(;-_-)「ひぇっ。 ななっ、なん、なんでぇ?
    ボクの怪物かくしはカンペキだったはず……」

从# ゚∀从「どこがだっつーの! いつもみたいに手で顔かくしてるだけだろうが!」

( ^ω^)「ハイン!」

从 ゚∀从「あん?」

(;-_-)「ひぇっ、ひえぇ……」

( ^ω^)「お願いがあるんだお! 一緒にシィのイノチを探してお!」

从 ゚∀从「そんなことしてたら鳳蜘蛛のヤローに負けちまうだろ!」

(-_-)「ボ、ボクたち、いま、鳳蜘蛛と怪物かくしで戦ってる、から……」ブツブツ

( ^ω^)「おーん……」

.

324 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:16:32 ID:5H281t8g0

(..'A`)「よっ。ほっ」コロコロ

( ・∀・)「なかなか大玉に乗るのがうまくなってきたじゃないか!
       そうは思わないかいかね、アニジャ、オトジャ?」

( ´_ゝ|★)「そのとおりです、」

(☆|<_` )「ちいさなママ」

(..'A`)「そりゃどうも。 ここんとこ三日に一回やらされてるからな、
    いやでもじょうずになっちまうぜ」コロコロ

( ´_ゝ|★)「お次はその上で」ポイポイ

(☆|<_` )「お手玉をどうぞ」ポイポイ

(;..'A`)「できるかっ」

( ・∀・)「どうだい? このまま鳳蜘蛛の子供に!」

(..'A`)「そんなことよりシィを秘密基地の外に!」

( ・∀・)「オレの鳳蜘蛛の素晴らしいブタイに参加を!」

(..'A`)「いやいやシィのイノチ探しに参加を!」

( ´_ゝ|★)「またやってるよ、オトジャ」

(☆|<_` )「なかよしだよな、アニジャ」

.

325 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:17:24 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、ドクオー、見つかったー?」

( ^ω^)「見つかりすぎだおー!」

(..'A`)「いっぱいありすぎて、こりゃあ運びきれないぜ」

( ^ω^)「でも、やらなくっちゃ!」

ξ゚⊿゚)ξ「ひとつずつシィのところまで持ってってあげましょ」

(;..'A`)「くっそぉ、こいつはしんどいぞぉ」

从 ゚∀从「オイ!」

(..'A`)「なんだよ? 見世物じゃねーぞ?」

从 ゚∀从「ハッハァ! テメェらが弱っちぃから助けにきてやったんだよ!」

(-_-)「う゛、あ……ボ、ボクはハインくんに、おどされて……き、きただけ……」ブツブツ

从 ゚∀从「うるせえ! たまにはそのムダに多い手、顔かくす以外に使えや!」

ξ*゚⊿゚)ξ「お手伝いしてくれるの?」

(*^ω^)「ありがとうお!」

(..'∀`)「オイオイどういうことだ? こんなんいつもと違うぜ」

.

326 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:18:07 ID:5H281t8g0

リィン

(´・ω・`)「やあ」

(..'A`)「出たな」

(´・ω・`)「オバケみたいな言い方やめてもらえる?
     それよりシィ、また外の世界のお話し聞かせてよ」

(..'A`)「昨日も聞かせてもらっただろ。 なんだっけ、星の話」

(´・ω・`)「『星座』」

(´・ω・`)「ちょっとくらい覚えたらどう? 外の世界にはいきたがるくせに!」

(..'A`)「聞くのと覚えるのは別もんだろ? それにオレはいけないことがしたいだけ」

(*゚ー゚)「なんの話する? 動物? 植物? 音楽?」

(..'A`)「なんの話が聞きたいんだ?」

(´・ω・`)「外の世界の人間はどんなことして遊ぶの?」

(*゚ー゚)「遊園地、映画館、動物園」

(..'A`)「遊び方の名前だけ言われても分かんねーって」

(´・ω・`)「ドクオだけずるいんだ。 どうしてキミにだけ言葉が分かるの?」

(*゚ー゚)「どうして?」

(..'A`)「そんなんオレのが聞きたいぜ」

.

327 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:19:00 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「今日こそボクのエダのお花咲いてるかお?」

(..'A`)「いんや、いつもとおんなじだな」

( ^ω^)、「そっかぁ」

「今日もあの子が夢に出てきたよ!」
「まるでママみたいだね」
「あの子がママだったならいいな」

ξ゚⊿゚)ξ「みんな夢のあの子のウワサしてるわね」

( ^ω^)「どうしてシィだけおんなじ夢を見ないんだろう」

(;;*゚ー゚)「聞かせて。 夢の話」

(..'A`)「今日の夢はあの子がオレに蝶の本を見せてくれた。
    オレは蝶にもひとつひとつ種類の名前があったって知るんだ」

(..'A`)「そんでもって、蝶が好きって言ったあの子のために、
    オレはイッショウケンメイ蝶の名前を覚えるんだ」

(;;*゚ー゚)

ピシッ
ヒラヒラ

( ^ω^)(夢のお話しを聞くたんび、シィの体のヒビが多くなっていくお)

( ^ω^)(はがれ落ちたカケラは蝶になって、どっかに飛んでいく)

( ^ω^)(これがボクにしか見えないシィのカタチなんだお)

ビキィ...

( ^ω^)(そしてシィの体のヒビが増えるたんび、お空のヒビも大きくなっていく)

( ^ω^)(お空が割れちゃったら、またお肉のカタマリがふってくるんだお?)

.

328 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:19:46 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ カキカキ

ξ゚⊿゚)ξ「もうすぐ教会の地図が真っ赤になっちゃうわ」

( ^ω^)「探せるところも減ってきちゃったお」

(..'A`)「やっぱりだれかさんが持ってるもんなのかねぇ?」

(;;*゚ー゚)「わたしが外に出られれば」

コンコン
ガチャッ

o川*゚ー゚)o「みんなー! 鳳蜘蛛のニンキモノ、キュートちゃんがきたよー!」

川⁂ 々゚)「クルウちゃんもいまーす!」

(;;*゚ー゚)

o川;*゚ー゚)o ビクッ

川;⁂ 々゚)「キューちゃん、クルちゃんこわい」

o川;*- -)o「ふたりで手つないで、目をつむってれば大丈夫!」ギュッ

川;⁂ 々-) ギュッ

.

329 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:20:35 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「落ち着いて。どうしたの?」

(..'A`)「オマエさんたちが秘密基地にくるなんて珍しいこった」

o川*- -)oっ「……これ!!」ズイッ

川⁂ 々-)っ「これぇ!」ズイッ

ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

o川*- -)oっ「キューちゃんとクルちゃんのタカラモノ!」

川⁂ 々-)っ「ボロボロのおにんぎょうさんと、ボロボロのぬいぐるみ!」

o川*- -)oっ「キズついてるもの探してるって聞いたから……」

(*^ω^)「!」

ξ*゚⊿゚)ξ「!」

(..'A`)「!」

(*゚ー゚)っ「ありがとう」

チョンッ

o川*- -)oっ「ツンちゃんの手って、すっごくあったかいね?」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ? ちがうわ、いまの手はワタシじゃないわ」

(..'A`)「待てよ? ひょっとしたら……」

.

330 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:21:24 ID:5H281t8g0

(;;*゚ー゚)「できた」

ξ゚⊿゚)ξ「うんうん、じょうずにかけてるわ!」

( ^ω^)「ボクもドクドク文字教えてもらいたいお!」

(..'A`)「よかろう」

( ^ω^)「これでドクオがこれまで書いた日記読めるようになるおね!」

(..'A`)「よくない」

(;;*゚ー゚)「ここにあるのでぜんぶじゃないの」

(..'A`)「いんや、もっとあるぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「いっぱいすぎて秘密基地の床の下に置いてあるの」

( ^ω^)「ここだお。 よいしょ、っと!」

ゴトッ

(;;*゚ー゚)「!」

(;;*゚ー゚)「こんなにたくさん。 いったいいつから」

(..'A`)「『いつから日記を書いてるか』って?
    そんなんむかしからだよ、ずっとむかしから」

(;;*゚ー゚)「あなたたち、いくつなの」

(..'A`)「んん? そりゃあ、ひとりだろ」

.

331 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:22:09 ID:5H281t8g0

コンコン

( ^ω^)「おっ?」

ξ゚⊿゚)ξ「ワタシにまかせて! はーい、いま開けるわー」

ガチャッ

ξ;゚⊿゚)ξ「びゃあっ!!」ブワッ

(..'A`)「アニジャとオトジャが来たな?」

(==_ゝ|★)人(☆|<_==)

(==_ゝ|★)「おじゃま」

(☆|<_==)「します」

( ^ω^)「どうしちゃったんだお?」

(..'A`)「なんで目かくしなんかしてんだ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「びっくりしたぁ……」

(==_ゝ|★)「ふたりで手をつないでいれば」

(☆|<_==)「目かくしで歩くのもなんのその!」

\(==_ゝ|★)人(☆|<_==)/

ξ゚⊿゚)ξ「ひょっとして、目かくししたまんまここまできたの?」

(..'A`)「なにしにきたんだよ? また夜にはならないぜ?」

.

332 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:23:05 ID:5H281t8g0

(==_ゝ|★)「肌の溶けた少女と」

(☆|<_==)「触手の生えた少女から聞きました」

(==_ゝ|★)「目かくししたまんま」

(☆|<_==)「『シィ』に触れば」

(==_ゝ|★)「ほんとの『シィ』に会えると」(☆|<_==)

(*^ω^)「!」

ξ*゚⊿゚)ξ「!」

(==_ゝ|★)「シィがオレらのことを」

(☆|<_==)「許してくれればですが」

(==_ゝ|★) ペコリ

(☆|<_==) ペコリ

(==_ゝ|★)「怖がってごめんなさい」(☆|<_==)

ξ*゚⊿゚)ξ「ですって! ねぇシィ? どうかしら?」

(;;*゚ー゚)「わたしでいいの」

(..'A`)「オマエさんがいいに決まってるだろ」

.

333 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:24:08 ID:5H281t8g0

リィンッ

(´・ω・`)「なぁにこれぇ?」

(`・ω・´)「はっはっはっ! いやはや驚いた驚いた! まさかこんなことになるなんてね!」

(;;*゚ー゚)「静かにして。 起きちゃう」

(..'A`)b「シィーッ」

( ─ω─) スヤスヤ

ξ- ⊿-)ξ スウスウ

川⁂ 々=)〜 スヤスヤニョロニョロ

o川*=ー=)o「むにゃ……キューちゃんかわいい……キューちゃんかわいい……
      キューちゃんかわいい……むにゃむにゃ」スウスウ

(;=_=)「う゛ううっ……きゅーちゃん……かわいい……?」スウスウ

从=皿从 ギリギリスヤスヤ

(´・ω・`)「ボクたちよりハインの歯ぎしりどうにかしたら?
     それとあちこちニョロニョロしてるクルウの触手も」

(`・ω・´)「うんうん、いいねいいね、青春だね! みんなで秘密基地でお昼寝かい?」

(´・ω・`)「ちょっと呑気すぎじゃない? そろそろイノチ探索の
     お手伝いが必要かなー、って来てみたらこれだよ!」

(´・ω・`)「よくもこんな真っ赤な部屋でくっついて寝られるよね。
     まるで肉の中で寝てるみたい」

(..'A`)「目かくししないとシィといられないけど、
    目かくししてると眠くなっちまうんだとさ」

(´・ω・`)「なにそれ? みんなおこちゃまなんだから!」

(´・ω・`)「シィ、キミ。 嫌なら嫌って言いなよね?」

(;;*゚ー゚)「嫌じゃないわ」

.

334 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:24:54 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)「ここんところ教会の子供達の間じゃあ、
     キミが『ママ』ならよかったのにって、もっぱらの噂だよ?」

(..'A`)「そういやブーンとツンのヤツも言ってたな。 オレはまあ、シィに任せるけどよ」

(´・ω・`)「そんなの嫌だよね?」

(;;*゚ー゚)「子供達はかわいい。でもわたしにはなんにも出来ない。
      ママにはなれない」

(..'A`)「『みんなのことはかわいいけど、ママにはなれない』ってさ」

(´・ω・`)「そらみたことか! 兄さんもそう思うでしょ?」

(`・ω・´)「いや、名案だ!」

(´・ω・`)「えっ?」

(`・ω・´)「うんうん、そうだ、それがいい!」

(´・ω・`)「えっ? えっ?」

(`・ω・´)「どうだろうか、シィ?イノチを探すのはもうやめにして、
     このままここにいてくれないか?」

(;´・ω・`)「だめだめ! イノチを探すの諦めるだなんて、とんでもないよ!」

(;;*゚ー゚)「命をなくしてしまうくらいなら、わたしは何者にもならない」

(..'A`)「……はあ。こじれちまった」

.

335 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:26:58 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ カキカキ

ξ゚⊿゚)ξ「教会の地図、ぜんぶ真っ赤になっちゃったわね」

(..'A`)「シィは?」

( ^ω^)「屋根の上にいるお!」

ξ゚⊿゚)ξ「真っ赤な教会を見て悲しそうなお顔してたわ」

(..'A`)「これ以上どこ探したらいいんだか」

( ^ω^)「シィのヒビ、もう体ぜんぶに広がってるんだお」

( ^ω^)「お空のヒビだって、まるで、シィが落っこちてきた日みたいだお」

(..'A`)「どうにかなる前にはやく見つけてやりたいもんだな」

ξ゚⊿゚)ξ「……見つかって欲しいけど、ちょっとだけ、見つかって欲しくないわね」

( ^ω^)「どうしてだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「もしもそれを見つけたなら、シィ、お外の世界に帰っちゃう気がして」

( ^ω^)「えっ」

(..'A`)「あー……」

( ^ω^)「そんなの、考えても、なかったお」

.

336 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 20:27:18 ID:5H281t8g0
いったん休憩します

337 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:04:50 ID:5H281t8g0
再開します

338 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:05:26 ID:5H281t8g0

ξ*゚⊿゚)ξ「遅くなってごめんなさい! レモナ先生、聞いて聞いて!」

|゚ノ ―∀―)

ξ*゚⊿゚)ξ「ここのところ、いつもとちがうことばっかり起きるの!
     まるで長い夢を見てるみたいだわ!」

|゚ノ ―∀―)

ξ*゚⊿゚)ξ「鳳蜘蛛の子も斑蜂の子も、みんなシィのイノチを探すお手伝いしてくれた、ってお話しはしたわよね?
     みんなキズついたタカラモノを持って、シィに会いにきてくれたのよ」

|゚ノ ―∀―)

ξ*゚⊿゚)ξ「目をつむってシィに触ると、シィのほんとのカタチが分かる、ってお話しもしたわね?
     子供達みんなシィのお話しを聞くのが大好きみたい。 目かくしして秘密基地に集まるのよ」

|゚ノ ―∀―)

ξ゚⊿゚)ξ「ママってこんなかんじなのかな?」

|゚ノ ―∀―)

ξ゚⊿゚)ξ「でもね、どうしてかしら」

ξ゚⊿゚)ξ「教会の地図がぜんぶ真っ赤になって、子供達みんなのタカラモノも調べたのに、
    シィのイノチはどこにも見つからないの」

|゚ノ ―∀―)

ξ゚⊿゚)ξ「せめてシィが秘密基地から出られたらいいのに。
    レモナ先生に会ったらなにか思い出すかもしれないのに」

|゚ノ ―∀―)

ξ゚⊿゚)ξ「ちいさなママったら、まだ出たらいけないって言うのよ。
    ほんっとに分からずやなんだから!」

コツンッ

( <◯><◯>)「誰が分からずやですって?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ぴゃっ!?」

.

339 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:06:17 ID:5H281t8g0

( ・∀・)「キズつくじゃないか」

ξ;゚⊿゚)ξ「なんでここに!?」

( <◯><◯>)「ただお友達に会いにきただけですよ、いけませんか?」

( ・∀・)「オレたち二人は仲がよくないのさ、でもオレたち三人は仲よしなのさ」

ξ;゚⊿゚)ξ

ξ;゚⊿゚)ξ「お、お願い! シィをここに連れてきてもいい?
     せめてレモナ先生に会わせてあげたいのよ!」

( ・∀・)「シッポの生えた少女、言っただろう?
       レモナとは仲よしなのさ、どうして危ないことを許せるんだい?」

ξ;゚⊿゚)ξ「いまここに、ちいさなママがいるから! それなら安心でしょう?」

( <◯><◯>)「ワタシたちはちいさなママですよ、まだ子供なんですよ。
        あんなおぞましい魔女相手に、なにができるとでも?」

ξ゚⊿゚)ξっ「シィは魔女でも怪物でもないわ! いいから、こっちに来て!」

ガシッ

( <◯><◯>)「離しなさい。 ぶちますよ」

( ・∀・)「どこにいくつもりだい?」

ξ゚⊿゚)ξっ「目をつむって触れば、ほんとのシィが分かるんだから!」

グイグイ

.

340 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:07:30 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「ただいま!」

( ^ω^)「おかえり、お?」

( <◯><◯>)

( ・∀・)

(..'A`)「げげげっ。 なんてもん持って帰ってきたんだ」

( <◯><◯>)「好きできたわけではありません」

( ・∀・)「キミたちの秘密基地もだいぶもとどおりになってきたね」

(;;*゚ー゚)「いらっしゃい」

( ・∀・) ビクッ

( <◯><◯>) ビクッ

(*゚ー゚)「怖がらないで」

ξ゚⊿゚)ξ「目をつむって、手をのばして。 シィのお顔をさわって」

( ・∀・)

( ―∀―)っ

( ―∀―)っ(゚ー゚*;;) スッ

( ―∀―)っ

( ―∀―)っ(……なんだ)

( ・∀・)っ(オレたちとおんなじ人じゃないか)

(;;*゚ー゚)

( ・∀・)「すまなかったね、ごめんなさいを言わせておくれ」

(;;*゚ー゚)「分かってくれたならそれでいい」

( <◯><◯>)「正気ですか?」

.

341 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:08:33 ID:5H281t8g0

( ^ω^)っ

(..'A`)っ

ξ゚⊿゚)ξっ

( <◯><◯>)「なにするんです」

( ^ω^)「怖くないように、ボクたちが目かくししてあげるお!」

(..'A`)「オマエさん体に目いっぱいあるから、
    他の人よりよっぽど怖かったんじゃねーか?」

ξ゚⊿゚)ξ「ほらほら、手をのばして」

( <◯><◯>)「バカバカしい」

(;;*゚ー゚)「おいで」

( <◯><◯>)

( ^ω^)っ

(..'A`)っ

ξ゚⊿゚)ξっ

( <◯><◯>)(ワタシは手のひらにだって、目があるんですけどねぇ)

( <―><―>)(いまだけはつぶっておいてあげましょうか)

( <―><―>)っ

( <―><―>)っ(゚ー゚*;;) スッ

( <―><―>)(目がふたつ、鼻がひとつ、口がひとつ、あったかい手がふたつ)

( <―><―>)(ワタシたちと違って、なんにも変わったところのない、つまらない人)

( <―><―>)(これまでワタシが見ていた、たくさんの絵本の魔女がまざりあったおぞましいカタチと違う)

(;;*゚ー゚)

( <―><―>)「……ああアナタ、ワタシよりも背が高かったんですねぇ」

.

342 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:09:13 ID:5H281t8g0

( <◯><◯>)「『怪物ではないシィ』が秘密基地から出ることを許します」

(*^ω^)「やったぁ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「わあ!」

( <◯><◯>)「ただし、ワタシたち『ちいさなママ』が一緒にいるときだけです」

(..'A`)「ケチんぼ!」

( <◯><◯>)「だまらっしゃい」

( ・∀・)「すまないね、もう少しだけ待っておくれ」

(;;*゚ー゚)「かまわないわ」

( ・∀・)「だれかを信じるのも、こわいものに勝つのも、
       どうしたって時間がかかるんだ」

( ^ω^)「おう?」

ξ*゚⊿゚)ξ「ともかくレモナ先生のところにいきましょ!」

.

343 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:10:29 ID:5H281t8g0

コンコン
ガチャッ

ξ*゚⊿゚)ξ「せんせえ、せんせえ! シィを連れてきたわ!」

|゚ノ ─∀─)

(;;*゚ー゚)「なぜ棺桶の中にいるの」

(*^ω^)「ブーンもいるお!」

(..'A`)「よっ、センセ」

( <◯><◯>)「おじゃましますよ」

( ・∀・)「やあやあ、ごきげんよう、レモナ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「おほんっ。 紹介するわね、レモナ先生デス!」

(;;*゚ー゚)「この子がレモナ」

ξ*゚⊿゚)ξ「不思議だわ。 先生が二人いるだなんて」

(;;*゚ー゚)「この子に見えてたのね」

(..'A`)「おう。ツンにはオマエさんがレモナ先生に見えてるんだぜ」

( ^ω^)「どう? なにか思い出したかお?」

(;;*゚ー゚)「いいえ。なにも」

(..'A`)「なんにもか」

|゚ノ ─∀─)

(;;*゚ー゚) ギュッ

(;;*゚ー゚)「よかった。 手、あたたかい。 生きてる」

(..'A`)「『手があたたかい』だって? そりゃあまあ、眠ってるだけだからな」

「〜♪」

.

344 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:11:23 ID:5H281t8g0

(;;*゚ー゚)「この歌は?」

ξ;゚⊿゚)ξ「先生にさわってはいけないわ!」

グイッ

(;;*゚ー゚)「なぜ」

ξ;゚⊿゚)ξ「どうしてか分からないけど、先生に触れてるとね、
     どこからか夢で聞いた歌が聞こえてきて、触ってる人まで眠っ……ちゃ……」

「〜♪」

(* ー ) フラッ

ξ ⊿ )ξ フラッ

ξ ⊿ )ξ(どうして、ワタシ、先生にさわってない、のに)

ξ ⊿ )ξ(ああ、レモナ先生に触ってるシィに触ってる、から)

( ^ω^)「シィ? ツン?」

(..'A`)「どうしたってんだ?」

コツンッ

( <◯><◯>)「さがりなさい」

( ・∀・)「ふたりはシャキンさんを呼んできたまえ!」

(;^ω^)「でも!」

( ・∀・)「ここはちいさなママに任せて、さあいくんだ!」

(;..'A`)「くっそぅ! いくぞ、ブーン!」

(;^ω^)「おん!」

.

345 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:12:28 ID:5H281t8g0

ドクン
ドクン

ξ-⊿-)ξ

ドクン
ドクン

「〜♪」

(*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ(またあの子の夢だわ)

(*^ー^) ニコッ

ξ゚⊿゚)ξ(でもこの夢は見たことがある)

(*゚ー゚)『大丈夫なのです』

ξ゚⊿゚)ξ(おんなじ夢を見るのははじめてだわ)

(*゚ー゚)『ツンちゃんのお花、きっと咲きます!』

ξ゚⊿゚)ξ

(*゚ー゚)『綺麗なお水をあげてくださいね、温かい光をあげてくださいね。
    いっぱい声をかけて、いっぱい笑って。それから、それから……』

ξ゚⊿゚)ξ(やっぱり声がでないわ)

(*゚ー゚)『きっととっても綺麗なのです!どんなお花が咲いたかあとで教えてくださ……

(    )っ

ξ゚⊿゚)ξ

|゚ノ ^∀^)っ「起きて」

.

346 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:13:41 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ「せん、せ……?」

|゚ノ ^∀^)「起きてください、ツンちゃん。こんなところにいてはいけませんよ」

ξ*;⊿;)ξ「せんせえ!!」

ギュッ!!

ξ*;⊿;)ξ「せんせえ、せんせえ! せん、せっ……せんせい、先生だ……レモナせんせえ……!」

|゚ノ ^∀^)「はい、レモナ先生ですよ。 ほらほら泣かないの」

ξ*;⊿;)ξ「だって、せんせえ、ずっと! ワダジ、ずっと! ずっどぉ……!」

|゚ノ ^∀^)「そうですよね、ボクは夢の中でしか、
       ツンちゃんは夢の外でしか、会えませんでしたもんね」

|゚ノ ^∀^)「ぜんぶ聞こえてましたよ、お話ししてくれたことぜんぶ」

|゚ノ ^∀^)「ずっと待っていてくれたんですよね? 待たせてしまってごめんなさいね」

ξ*;⊿;)ξ「う゛、うう……」

ξ*;⊿;)ξ(言いたいこと、いっぱいあるのに)

ξ*;⊿;)ξ(もしも先生に会ったらこう言おうって、ああ言おうって)

ξ*;⊿;)ξ(何度も何度も、レンシュウしたのに、だのに)

|゚ノ ^∀^)ノ「よしよし」

ξ*;⊿;)ξ「う゛わ゛あ゛あああああああああああああああん!!」

.

347 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:14:43 ID:5H281t8g0

タタタタタッ

(;;*゚ー゚)「ツン!」

|゚ノ ^∀^)「よしよし。 泣かないで」

ξ*;⊿;)ξ「うえぇ……っく、ひっく……」

(;;*゚ー゚)「ツンをいじめないで」

|゚ノ ^∀^)「あら、はじめまして。 アナタがシィちゃん、いいえ、シィさんですね?」

ξ*;⊿;)ξ「あっ、シィ! よかった、会えた!」

(;;*゚ー゚)「よくない。 泣いてる」

|゚ノ ^∀^)「あれあれ? ひょっとして、勘違いされてるかな?」

ξ*ぅ⊿;)ξ「シィ! 大丈夫よ、この人がレモナ先生よ!」

|゚ノ ^∀^)「ボクはレモナ。 モララーやワカッテマスと一緒に、はじめにママに連れてこられた子供です。
       先生だなんてたいそうなものじゃないんですけどね、いつからかそう呼ばれてます」

|゚ノ ^∀^)「よろしくお願いしますね?」

(;;*゚ー゚)「この子、足が」

|゚ノ ^∀^)「ああ、この足かな? これは生まれつきですよ、
       長いこと夢の中にいたせいじゃありません」

【 |゚ノ ^∀^) レモナ 】
【 足が無数の蔓になっている少年?少女? 】

|゚ノ ^∀^)「ボクたちみたいな変わったカタチの人、
       外の世界じゃあんまり見ないでしょう? びっくりさせちゃいましたね」

(;;*゚ー゚)「見ないわ。 異形で生まれた子供はみんな、
     大人になる殺されてしまうの」

(;;*゚ー゚)「『化物』と呼ばれて」

|゚ノ ^∀^)「……?」

.

348 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:15:51 ID:5H281t8g0

ξ*゚⊿゚)ξ「先生! 一緒に帰りましょう?」

|゚ノ ^∀^)

ξ*゚⊿゚)ξ「みんな先生が目を覚ますの待ってるわ!」

|゚ノ ^∀^)「……ごめんね? それはできません」

ξ;゚⊿゚)ξ「そんな! どうして?」

|゚ノ ^∀^)「ボクにはね、まだここでやらなくてはいけないことがあるんです」

ξ゚⊿゚)ξ「ここって、ここは……」

ξ゚⊿゚)ξ(夢で見た暗いメイロの中だわ!)

ξ゚⊿゚)ξ(右からも左からも、上からも下からも。
    あっちこっちから太い木が伸びてきていて、ほんのちょっと先も見えない)

ズズズ...

(;;*゚ー゚)「!」

ξ;゚⊿゚)ξ「なに!? なにかが木から出てくる!」

( <―><―>)

( ―∀―)

ξ;゚⊿゚)ξ「モララー? ワカッテマス?」

|゚ノ ^∀^)「アナタたちを心配して、ここまできたんでしょうね」

ξ;゚⊿゚)ξ「眠ってるの? おかしなカタチの袋に閉じこめられてるわ」

|゚ノ ^∀^)「これは蝶のサナギです」

(;;*゚ー゚)「蝶の蛹……」パキッ

.

349 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:16:55 ID:5H281t8g0

|゚ノ ^∀^)「キミたちもさっきこうして夢の中に入ってきたんですよ」

|゚ノ ^∀^)「眠ってる子供達はみんな、夢の中で半透明の蛹になります」

( <―><―>)

( ―∀―)

|゚ノ ^∀^)「二人には申し訳ないな。 『ちいさなママ』とはいえ
      まだまだ子供なのにね、夢の外の世界のことをまかせっぱなしで」

「〜♪」

ξ゚⊿゚)ξ「あっ! これ!」

|゚ノ ^∀^)「優しい声でしょう?」

(;;*゚ー゚)「この歌声は……」パキッ

|゚ノ ^∀^)「この子守歌を聞いてると、みんなここで眠ったままになってしまうんです。
       だれかが起こして夢の外に帰してあげなくてはね」

(    )っ『起きて』

https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208803/112_hlxrqp.jpg

ξ゚⊿゚)ξ「……あれは先生だったのね」

|゚ノ ^∀^)「ママがいなくなって、教会の子供達が
      おんなじ夢を見るようになって、すぐのことでしたね」

|゚ノ ^∀^)「ボクがここにいること、何度も伝えようとして、
      でも出来なくて……ツンちゃんたちには心配かけてしまいましたね」

ξ゚⊿゚)ξ「いったいなにが起きてるの?」

.

350 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:17:49 ID:5H281t8g0

|゚ノ ^∀^)「それはボクにも分かりません」

|゚ノ ^∀^)「分かってるのは……ママがトビラの向こうにいってから、
       なにもかも変わってしまったということだけ」

ξ゚⊿゚)ξ「先生はずっとここにいるの? こんなところで、ひとりぼっちで」

|゚ノ ^∀^)「ツンちゃん、ボクはひとりぼっちなんかじゃありませんよ。
       夜になれば子供達が眠って、ここに来てくれますからね」

ξ゚⊿゚)ξ「でも」

|゚ノ ^∀^)「ときどきね、お話ししたりもするんですよ?
       目を覚ましたときに子供達がそのこと忘れてしまうのが残念ですけど」

|゚ノ ^∀^)「でもいいんですよ、ボクがちゃんと覚えてるから」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、でも」

|゚ノ ^∀^)「それにね? これは本当にときどきですけど、
       あの子とお話しすることもあるんですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「あの子?」

|゚ノ ^∀^)「この森のまんなかに、もうひとりだれかがいるんです。
       いまだに顔も名前も知らない子なんですけどね」

ξ゚⊿゚)ξ「もしかして、その子がコモリウタを……」

|゚ノ ^∀^)「かもしれませんね。 あの子は泣いて謝るばっかりで、それ以外はなんにも」

|゚ノ ^∀^)「さてツンちゃん、アナタはもうあのお姉さんとお帰りなさい」

.

351 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:18:52 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「まだここにいたい」

|゚ノ ^∀^)「いけません。 モララーとワカッテマスは、
       もうしばらくしたらボクが起こしておきますから」

ξ゚⊿゚)ξ「……はーい」

|゚ノ ^∀^)「ありがとうね? 会いにきてくれて嬉しかったですよ、ほんとに」

ξ゚⊿゚)ξ「!」

ξ゚⊿゚)ξ「待っててね、レモナ先生! きっと、
    ううん、ゼッタイ! どうにかしてみせるわ!」

ξ゚⊿゚)ξ「シィ、シィ! いったん帰りましょ!」

「〜♪」

(;;* ー )

ξ゚⊿゚)ξ「シィ? どうしたの?」

「〜♪」

(;;*;ー;) ポロポロ

ξ゚⊿゚)ξ「泣いてるの?」

「〜♪」

|゚ノ ^∀^)「いってらっしゃい、ボクの子供達」

|゚ノ ^∀^)「……なんてね。 ボクだってまだまだ、子供なのにね」

|゚ノ ^∀^)っ「さあ、起きて」

.

352 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:19:46 ID:5H281t8g0

ξ- ⊿゚)ξ「ん……」

(。;;*゚ー゚)「…………」

(*^ω^)「ツン! シィ! 目を覚ましたんだおね!」

(;..'A`)「ったく、ヒヤアセかいたぜ……シィ? どうした?」

(;;*ぅー゚)「なんでもない」

ξ゚⊿゚)ξ「ここはどこ?」

リィンッ

(´・ω・`)「まったくもう! キミたちといると、ほんっと飽きないよね!」

(..'∀`)「だろぉ?」

(´・ω・`)「褒めてないんだけど?」

(..'A`)「分かってるんだけど?」

( ^ω^)「ここはシャキンとショボンのお部屋だお!」

(..'A`)「二人が眠っちまったあと、シャキンとショボンを呼んだんだ。
    んでもって、戻ってきたらなんかモララーとワカッテマスまで寝てやがってさ」

(..'A`)「どうにかこうにかオマエさんたち四人をここに運んで、
    シャキンはいつもの見回りに出かけて、いまにいたるってわけだ」

.

353 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:20:34 ID:5H281t8g0

( <―><―>) スウ...

( ―∀―) クークー

(;;*゚ー゚)「モララーとワカッテマス。 どうなるか分からないのに、
     わたしたちのあとを追ってきてくれたのね」

(´・ω・`)「運ぶのは他の子供達に手伝ってもらったんだよ。
     ボクとシャキン兄さんじゃあ、どうしたって運べやしないからね」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう、みんな」

( ^ω^)「ツンとシィが起きたって、シャキンに教えてくるお!」

ξ;゚⊿゚)ξ「待って!」

ξ;゚⊿゚)ξ「大切なお話しがあるの! ワタシたち、夢でレモナ先生に会ったの!」

( ^ω^)「先生に?」

(..'A`)「くわしく聞かせてくれ」

ξ;゚⊿゚)ξ「えっとね、えっと!」

(;;*゚ー゚)「落ち着いて。 わたしも一緒に話す」

.

354 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:21:18 ID:5H281t8g0

(..'A`)「あの手はレモナ先生だったのか」

( ^ω^)「先生、元気だったお?」

ξ゚ー゚)ξ「いつもどおりだったわ。 みんなに心配かけてごめんなさい、ですって」

ξ゚⊿゚)ξ「なんにも変わってなくて、ワタシの覚えてる先生のまんまで、ほんとによかった」

(;;*゚ー゚)「怖かったのね、ツン」

(..'A`)「……ああ、いつもとおんなじでよかったな」

ξ゚⊿゚)ξ「どうにかしてママがいったトビラの向こうにいかなくっちゃ!」

( ^ω^)「トビラの向こうにママがいるんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「分かんない!」

(..'A`)「でもカギかかってるんだろ、どうやっていくんだ?」

ξ゚⊿゚)ξ「分かんない! でもいかなくっちゃ!」

( ^ω^)「いますぐいくお! シャキンが戻ってくる前に!
       モララーとワカッテマスが起きる前に!」

(..'A`)「シィのイノチも見つかってないのに、トビラのカギも探さないといけないのか」

(;;*゚ー゚)「そうよ、鍵だわ」

.

355 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:22:12 ID:5H281t8g0

(..'A`)「なにか分かったのか?」

(;;*゚ー゚)「鍵の場所を知っている、かわいくて頼もしい仲間がいるの」

(..'A`)「『鍵の場所を知ってる』? 『かわいくて頼もしい?』
    ……なんだかやな予感がするぜ」

リィンッ

(´・ω・`)「ふふんっ。待ってましたぁ!」

(;..'A`)「うへぇ。やっぱりやな予感だった」

(;;*゚ー゚)「どんなに悪くても汚くてもかまわない」

(´・ω・`)「さあ良い子のみんな、悪い子になる準備はいいかい?」

(*^ω^)ノ「はーい!」

ξ;゚⊿゚)ξノ「は、はいっ」

(;;*゚ー゚)「よくないみたい」

(..'A`)「いい子のお返事しやがって」

(´・ω・`)「おほんっ、大変結構! じゃあまずは、シャキン兄さんに
     あどけなく『ごめんなさぁい』する練習しようか?」

.

356 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:23:42 ID:5H281t8g0

バタンッ‼︎

(´・ω・`)「ねっ? なかなかいい作戦だったでしょ?」

(..'A`)「オマエさんにしてはなかなかなんじゃないか?」

(´・ω・`)「どうして素直に褒められないかな?」

(..'A`)「へーへー、ショボンが手伝ってくれたらカンペキだったな」

(´・ω・`)「猫にだってできないことはあるよ」

(;;*゚ー゚)「信じられないわ。 いつもこんなことしてるの」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの、シィ? なにかびっくりしてるみたい」

(´・ω・`)「そんなにびっくりすることかな?」

(´・ω・`)「手と足を切ってお仕置き部屋に閉じ込めるだなんて、
     ママが僕や子供達によくやってたことじゃないか!」

(´・ω・`)「それにシャキン兄さんなら大丈夫だよ、知ってるでしょ?」

(´・ω・`)「この教会の子供達と僕達の傷や病は、
     時間があれば絶対に治るようになってるんだから」

(;;*゚ー゚)「だからブーンがバラバラになっても、グチャグチャになっても治ってたのね」

(´・ω・`)「しばらくもしたら兄さんもキレイさっぱり元どおりさ」

( ^ω^)「シャキンはおハナがいいんだお。 追いつかれる前に、はやくいこうお!」

(´・ω・`)「こうでもしなくっちゃ、兄さんは鍵をくれたりしないもん。
     きっとあの扉の鍵を開けたら、世界が終わるとでも思ってるんだろうよ」

.

357 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:24:43 ID:5H281t8g0

(;;*゚ー゚)

( ^ω^)

( ^ω^)(シィも、お空も、いまにも割れちゃいそうだお)

ヒラヒラ

( ^ω^)「おっ」

(..'A`)「ブーン? なに見てるんだ?」

( ^ω^)「シィのヒビからでてきた蝶々が」

(..'A`)「オマエさんにだけ見えるやつか?」

( ^ω^)「蝶々がボクたちとおんなじところに向かってるんだお」

ヒラヒラ

( ^ω^)「あっ」

(´・ω・`)「ママの扉についた!」

( ^ω^)「トビラの向こう側にいっちゃったお」

(..'A`)「それってつまり、どういうことだ?」

(;;*゚ー゚)「ツン、鍵を」

ξ;゚⊿゚)ξ「開けるわ! せーのっ」

ガチャリッ
ギィ...

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ξ;゚⊿゚)ξ「えっ……?」

.

358 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:25:33 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「お外へのトビラじゃないのかお?」

(´・ω・`)「下におりられるみたい」

(;;*゚ー゚)「地下室ね」

(..'A`)「『チカシツ』? ママの部屋か?」

(´・ω・`)「中はまっくらだ。だれか灯りを持ってきて」

(..'A`)「たまには自分で持ってこいや」

(´・ω・`)「このかわいい肉球に言ってるの?」

( ^ω^)「持ってきたおー!」

トントン
トントン

( ^ω^)「ねぇ、知ってるお?」

(;;*゚ー゚)「なに」

( ^ω^)「ママのお部屋では息をしたらいけないんだって」

ξ゚⊿゚)ξ「どうして?」

( ^ω^)「『セイイキ』だから」

(..'A`)「だれがそんなこと言ったんだ?」

( ^ω^)「うんとね、ワカッテマス!」

(´・ω・`)「そういえば兄さんがワカッテマスにそんなこと言ってた気がする」

ξ゚⊿゚)ξ「知らなかったわ」

.

359 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:26:25 ID:5H281t8g0

トントン
トントン

(´・ω・`)「階段はここでおしまい」

(..'A`)「ここがママの部屋か?」

( ^H^)「むぐっ」

(;;*゚ー゚)「なにしてるの」

(..'A`)「シィの言うとおりだ。 なにしてるんだ?」

( ^H^)「息していいのかお?」

(´・ω・`)「あたりまえ!」

ξ゚H゚)ξ「えっ」

ξ゚⊿゚)ξ プハッ

ξ゚⊿゚)ξ「そうよそうよ、いいに決まってるでしょっ」

(;;*゚ー゚)「きっと子供達をここに入れないための嘘だったのね」

(´・ω・`)「ママはどこかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「よく分からないものばっかりね、これはなにに使うのかしら?」

(;;*゚ー゚)「知らなくていい。 美容と拷問の道具ばかり」

(..'A`)「本がこんなにたくさん。 ああくそっ、文字が読めたらな」ペラッ

( ^ω^) ペラッ

(;;*゚ー゚) ペラッ

(;;*゚ー゚)(?)

(;;*゚ー゚)(本の間に何か挟まってる。どうやら手紙みたいだけど)

(;;*゚ー゚) ペラッ

.

360 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:26:56 ID:5H281t8g0

「親愛なる友人へ

ずっと留守みたいだったから手紙を書いたよ。
紙じゃあ貴女の顔を見られないのが残念だ。
貴女はとても美しい人だからねぇ。

実は聞きたい事があるのさ。
これは極秘中の極秘なんだけれども。

会って話がしたいんだ。
扉の鍵を開けてくれないか?
どうせ中にいるんだろう」

.

361 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:27:43 ID:5H281t8g0

「親愛なる友人へ

私からの手紙が届いてないのかな?
極秘事項だが事は一刻を争うもんでね。

黄色の犬と青色の猫を見なかったかい?
数日前、阿呆がうちの施設から盗んだらしくてね。

やんなっちまうよ。
もうすぐ二匹を始末する予定だったってのに。
それが正義の味方である私の仕事だからね。

なぁ。
もしも見つけたら捕まえといてくれ。
代わりにぶっ殺してくれても構わない。

犬と猫に何を言われても、耳を貸してはいけないよ。
色のある獣は人を惑わす、悪魔だからね。

返事を待ってる」

.

362 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:28:43 ID:5H281t8g0

「親愛なる友人へ

扉の鍵を開けてくれなかったね?
ならせめて、手紙の返事くらい寄越したらどうだい?

まいったな。今日お役人さんがうちに来たよ。
街で異形の子供らが次々に攫われてるらしい。

貴女も気を付けた方がいい。
とっくに大人だとはいえ、下半身が百足の異形なのだから。

それに……。
貴女は神様になんて祈りやしないんだろう?
いずれ役人もこの教会を見つけるだろうよ。

お国の役人より先に、色のある獣を見つけなくては。
誰かに悪用されてしまう前に。

もしも見かけたらすぐに連絡するように」

.

363 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:29:22 ID:5H281t8g0

「親愛なる──

なぁ。
そろそろ返事をくれてもいいんじゃないかな?

それとも疚しいもんでも隠してるのかい。
例えば【色のある獣】だとか、【異形の子供】だとか」

.

364 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:30:22 ID:5H281t8g0

「親愛なる友人へ

昨日の手紙は冗談さ!
怒らないでくれるよね?

心配で心配で堪らないんだよ。
美しい貴女が誑かされてやしないかってね。
色のある獣……あの悪魔に。
悪魔と契約した者は悪魔になってしまうんだ。

知ってるだろう?
過去、色のある獣の願いを使ってただの人間達が起こした、事件の数々を。

誰かの願いで大量の人間が洗脳されて死亡した。
誰かの願いでとある種族の生き物が絶滅した。
誰かの願いで異形を持った子供が生まれるようになった。
誰かの願いで蘇生と破壊を持った双子が生まれた。
(読みきれないほど書いてある)

じゃあね。
明日こそは返事くれるよね?」

.

365 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:30:47 ID:5H281t8g0



「貴様こそが悪魔だ!!!」



.

366 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:31:19 ID:5H281t8g0



「████!!(文字が汚くて読めない)
ふざけるな!!この████!!(文字が汚くて読めない)」



.

367 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:32:44 ID:5H281t8g0

「親愛なるクソアマへ

貴様がした事を知ってるぞ
やってくれたな、盗っ人め

ただちに私達の病院に【蘇生の欠片】を返せ
【色のある獣】を返せ
【異形の子供】を返せ

醜い百足の化物め!
貴様なんぞが友人であるものか!

とんだ笑い話だ!
化物が人間の美しさについて勉強してるだなんて!

色の獣に永遠の若さでも望むつもりか?
そんなにも醜い姿のままで!」

.

368 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:33:56 ID:5H281t8g0

「親愛なる親友へ

まずは昨日の事を謝らせてください。
素敵な御手紙ありがとうございます。

ようやく返事をくれましたね。
美しい貴女とお話し出来て嬉しいです。
本当に、本当に。

ねぇ、貴女。
御手紙に書いてあった願い事は。
あれを本当に願う気ですか?

どうかお願いです。
貴女が醜い【異形の子供達】を連れて、外界から隔離された空間を作るのは止めません。
どうかその場所に【蘇生の欠片】を持っていくのはやめてください。

破壊の欠片と同じ分だけ、蘇生の欠片が必要なんです。
どちらかひとつ足りないだけで、欠片はもう片方の力に勝ってしまいます。

世界の均衡はたやすく崩れてしまいます。
どうかどうか、お願いです。

もしも、貴女が【蘇生の欠片】を持ち出して、
世界が【破壊の欠片】の力に満ちてしまったならば、
この世界は、」

(;;*゚ー゚)  ペラッ

ξ゚⊿゚)ξ「シィはなにを読んでるの?」

(;;*゚ー゚) 「なんでもないわ」

( ^ω^)「みんなー!こっちこっちー!」

(´・ω・`)「部屋の奥にもうひとつ扉があるんだ」

.

369 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:35:18 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「カギかかってる?」

(´・ω・`)「ドクオ、扉を開けてよ」

(..'A`)「自分でやりなさい」

(´・ω・`)「むっ」

(#´・ω・`)「フーッ、フーッ」ガチャガチャ

ξ;゚⊿゚)ξ「ああっ! ワタシが開けるわ!」

ガチャッ
ギィ...

( ^ω^)「わあ……」

ξ゚⊿゚)ξ「ここ、見たことあるわ」

(;;*゚ー゚)「レモナの夢の中で見た場所」

(..'A`)「ああ。 夢で見た、緑のメイロだ」

ドクン
ドクン

ξ゚⊿゚)ξ「この音はいったいどこから?」

(´・ω・`)「まるで木のイノチの音みたい」

「〜♪」

(;;*゚ー゚)「ああ、この歌声……」

ξ゚⊿゚)ξ「まちがいないわ、コモリウタ!」

( ^ω^)「いつも夢で聞いてる歌だお!」

ξ゚⊿゚)ξ「レモナ先生が言ってたわ!
    この木のまんなかに、コモリウタを歌ってる子がいるのよ!」

(..'A`)「コモリウタ?」

.

370 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:36:10 ID:5H281t8g0

ξ゚⊿゚)ξ「その子の歌をとめれば、先生が目を覚ますにちがいないわ!」

(;;*゚ー゚)「あの歌は、あの声は」

(..'A`)「シィ? どうした?」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」

(..'A`)「様子がおかしいんだ」

( ^ω^)「よーし、まんなかを目指していくおー!」

(..'A`)「しかしこれは、ひどいメイロだぜ?」

(´・ω・`)「待って待って、くれぐれもはぐれないでよね?
     迷子になった君達を探すのは僕なんだから!」

( ^ω^)「みんなでいれば大丈夫だお!」

(´・ω・`)「みんなで迷子になるなんて、最悪の中の最悪だ!」

(;;*゚ー゚) パキッ

ヒラヒラ

( ^ω^)(シィのキズから蝶々が!)

( ^ω^)「みんな! ボクについてきてお!」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」

( ^ω^)「蝶々だお!」

(..'A`)「ブーンにだけ見える蝶々か!」

( ^ω^)「追いかけなくっちゃ! 見うしなっちゃうお!」

(´・ω・`)「どういうこと? 説明してくれる?」

.

371 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:37:02 ID:5H281t8g0

タッタッタッタッタッ

( ^ω^)「蝶々がいったところに!」

タッタッタッタッタッ

( ^ω^)「蝶々が消えるところに!」

タッタッタッタッタッ

( ^ω^)「きっと、そこに、シィのイノチが!」

ヒラヒラ
フワッ

( ^ω^) ピタッ

( ^ω^)(蝶々が消えたお)

( ^ω^)(ううん。 あの中に入っていったんだお)

( ^ω^)(あの、光っててすけてる、へんてこなカタチをした、木の中に)

ドクン
ドクン

(*^ω^)「キラキラしてキレイだお!」

(..'A`)「あれがこの木のまんなかか?」

ξ゚⊿゚)ξ「レモナ先生が言ってた蝶のサナギみたいだわ」

(´・ω・`)「知らなかったや、教会の下にこんなところがあっただなんて」

(..'A`)「なんだあれ?」

( ^ω^)「おっ?」

(´・ω・`)「!」

(;;*゚ー゚)「!」

.

372 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:38:21 ID:5H281t8g0

( ^ω^)(光ってる木の、蝶のサナギの、まんなかに、なにかが)

( ^ω^)(小さく丸まった、まるで人みたいな、カタチをした、なにかが)

ドクン
ドクン

(    )「〜♪」

( ^ω^)(あれは)

(*- -)「〜♪」

( ^ω^)「シィ?」

(;;*゚ー゚)

(..'A`)「シィが、ふたり?」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしてサナギの中のシィがコモリウタを?」

(*- -)「〜♪」

( ^ω^)「おーい、おはようだおー! 起きておー!」

ξ゚⊿゚)ξ「起きなさーい! もうひとりのシィー!」

(..'A`)「だめだこりゃあ。 たたいてもゆすっても、サナギの中までは届かないぜ」

(´・ω・`)っ「もうこの蝶の蛹を破るしか……」

(;;* ー ) バッ

(..'A`)「なんだなんだ?」

ξ゚⊿゚)ξ「いきなりどうしたの?」

( ^ω^)「シィ?」

( ^ω^)(こんなシィ、はじめてだお)

.

373 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:39:22 ID:5H281t8g0

(;;* ー ) ブチブチッ

( ^ω^)(夢中でサナギを壊してる)

( ^ω^)(自分の手がよごれることも、キズつくことも考えてない)

( ^ω^)(ボクたちがいるってことすら、忘れちゃったみたいだ)

(;;* ー ) ブツンッ

( ^ω^)(見えた)

( ^ω^)(サナギの中から、もうひとりのシィが)

(;;* ー ) ズルッ...

(*- -)「〜♪」

(..'A`)「眠りながら歌ってるのか……」

ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ、ひょっとして。 シィのイノチって、ひょっとして!」

( ^ω^)「あっ!」

(;;*゚ー゚)っ パキパキ

( ^ω^)(シィのヒビが体ぜんぶに広がっていく)

(;;*゚ー゚)っ パラパラ

( ^ω^)(肌がこなごなになって、はがれ落ちていく)

ヒラヒラ
ヒラヒラ

( ^ω^)(なにが起きてるんだお?)

( ^ω^)(シィからはがれたカケラが、蝶のカタチになって、
       つぎつぎと、もうひとりのシィの体に入っていく)

( ^ω^)「おう……?」

(;..'A`)「げほげほっ! うわっ、なんだこれ!」

.

374 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:40:20 ID:5H281t8g0

ヒラヒラ
ヒラヒラ

( ^ω^)「なんでボクたちの口から蝶が出てきたんだお?」

(;..'A`)「知るもんかよ、いつのまにオレとブーンの体の中に入ったんだ」

( ^ω^)「もうひとりのシィの方に飛んでいくお!」

ヒラヒラ
ヒラヒラ

(;;* ー )

(*- -)「〜♪」

ξ;゚⊿゚)ξ「シィ!」

(´・ω・`)「危ない! 離れて!」

( ^ω^)(たくさんの桃色の蝶にかこまれて、まるでサナギみたいで)

( ^ω^)(ああどうしよう! ふたりのシィが見えなくなっていく!)

ヒラヒラ
ヒラヒラ

(*- -)「〜♪」

(;;*;;ー;;)「ああ」

(;;*;;ー;;)「思い出したわ」

(;;*;;ー;;)「ぜんぶ」

.

375 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:40:57 ID:5H281t8g0










パリンッ...










.

376 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:42:47 ID:5H281t8g0

     「むかしむかしあるところで、二人の少女が手をつないで生まれました」
     「二人の少女は他の人とはちょっぴり変わってるところがありました」

(あの日もあなたは笑っていた)

(無理やり連れて来られて、体を縛られながら、涙をこらえながら、唇を震わせながら)

(その声は恐怖と慈愛に満ちていた)

(*^ー^) ニコッ

     「一人はただそこにいるだけで、周りに癒しと蘇生の力をふりまきました。
      一人はただそこにいるだけで、周りに腐りと破壊の力をふりまきました」

     「蘇生の力を持つ少女は『魔女』と呼ばれました。 蘇生の力を持つ少女は『怪物』と呼ばれました」

(* ー )『大丈夫、なのですっ……』

     「けれども、大丈夫です。 二人でいれば、大丈夫です」
     「二人でいれば、お互いの力をかき消すことができるのです。
      二人でいれば、二人はなんでもない少女でいられるのです」

(* ー )『███のお花……きっと咲きます……!』

     「『幸せを分け合いましょう、みんなで幸せになりましょう』と、蘇生の少女は言いました」
     「自分の力を困ってる誰かのために使うことをいといませんでした。
      世界中のだれもかれもが、蘇生の少女のことを知りました」

(* ー )『綺麗なお水をあげてくださいね、温かい光をあげてくださいね。
     いっ、いっぱい声をかけて、いっぱい笑って……。それから、それから……』

     「人々は蘇生の少女の草花を育て、傷や病を治し、命の時を遅くさせる力を欲しがり、やがて争うようになりました」
     「あるとき人々は気付きました。 みんなが幸せになる方法を。 そうです、争う必要なんてなかったのです」

(*;ー;)『きっと、とっても、綺麗なのです……! どんなお花が咲いたか、あとで教えてくださ……

     「『幸せを分け合いましょう!』『みんなで幸せになりましょう!』」
     「『幸せを分け合いましょう!』『みんなで幸せになりましょう!』」

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

(* ー )『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああああああああ!!』

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

     「『幸せを分け合いましょう!』『みんなで幸せになりましょう!』」
     「『幸せを分け合いましょう!』『みんなで幸せになりましょう!』」

377 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:43:49 ID:5H281t8g0

     「人々は幸福を何十にも何百にも細かく切り刻んで、みんなで分け合いました」
     「そのときです。幸福のひとつひとつが、美しい蝶の羽に形を変えました」

     「まるで神話のようだと、人々は腹を抱えて笑いました」

(    )((シィ))

(    )((シィ、シィ、シィ))

(    )((花は蕾のまま枯れたわ、蝶は蛹のまま死んだわ))

(    )((あなたが、いないから))

     「こうしてみんな、幸せになりましたとさ」
     「めでたしめでたし」

(    )(そうよ、私は)

(    )(世界中に散りばめられてしまった、貴女の欠片を探していたんだわ)

(    )(そして……やってはいけないことをしたんだわ)

(    )(シィの欠片の最後のひとつが捕らえられている、この教会の空間に入るために。
       ここは誰かの願いで守られていた場所だから、願いに守られた人しか入れなかったから)

(    )(私が貴女ならば中に入れるから。
       あのとき私の破壊と正反対の蘇生を持つ、シィの欠片を自分の体にまとったんだわ)

(    )(あのとき……)

.

378 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:44:37 ID:5H281t8g0

ギュッ...
ドロッ

(    )((お互いの力を拒絶して、私の体が溶けていく))

ドロドロ

(  ;;)((からっぽの肉の塊になっていく))

ドロドロ

(;;;;)((貴女の欠片だけは綺麗ね。蝶の羽の形をしてるの))

ビキッ
ビキビキッ...

バリィンッ‼︎

( ^ω^)((お空が、割れて))

( ^ω^)((なにかが。 おっきな、なにかか))

( ^ω^)((上から、ぼくに。 おっこちて))

( ^ω^)

( ^ω^)『…………あっ』

ドチャッ‼︎

.

379 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:45:34 ID:5H281t8g0

((自分の形をなくしても))

(*゚ー゚)『なまえなんていらないわ』

ξ゚⊿゚)ξノ『デレ!」

(*゚ー゚)『どうして』

((名前をなくしても、記憶をなくしても))

(..'A`)ノ『ミセリ』

(*゚ー゚)『わたしなんかのために、あなたたちは』

((世界をなくしてもいいわ))

(*^ω^)ノ『シィ!』

(。*゚ー゚) ポロッ

((私にはシィ、貴女が残ればそれでいいの))

(;^ω^)『泣かないで、泣かないでお』

(。*゚ー゚) ポロポロ

((からっぽの中に、貴女がいてくれれば))

((シィ))

(;;*;;ー;;)(……だめね)パラパラ

(;;*;;-゚)(貴女が命をかけて守ってくれた『私』のことまで忘れちゃうだなんて)パラパラ

(;;゚;;-゚)(私は)パラパラ

(#゚;;-゚)(私の本当の名前は)

.

380 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:46:31 ID:5H281t8g0

(*- -)

(*゚ー゚) スッ

(#゚;;-゚)

(*゚ー゚)「ディ、ちゃん?」

(#゚;;-゚)

(。#゚;;-゚)「あっ……」

ポロッ

(。#゚;;-゚)「ああ、あ……」

ポロポロ

(*゚ー゚)「大丈夫、ですか……? 泣いてるのですか……?」

(。# ;;- )「シィ!シィ、シィ! シィ……!!」

ギュッ!!

(。# ;;- )「うっ……ううう……!」

(*゚ー゚)「よしよし。 ディちゃん、大丈夫ですよ」

(。# ;;- )「う゛っ、うううううう……」

(。# ;;- )(貴女はいつもそうね。 なんにも変わってないわ。 なんにも、なにひとつ)

(*゚ー゚)「ディちゃん、よかった……、また会えたんですね……」

(。# ;;- )(私ね、世界中を旅したのよ。 貴女の欠片を探して。 もう一度、会いたくて)

(。# ;;- )(ぜんぶ集めるのに、100年かかってしまったけれど)

(*゚ー゚)「ごめんなさいね、私、弱虫だから。 また、助けてくれたんですよね?」

(*^ー^)「ありがとう、ディちゃん」

(。# ;;- )「あああっ……あ゛ああああああっ……っ、……あああああ……」

.

381 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:47:57 ID:5H281t8g0

ヒラヒラ
ヒラヒラ

( ^ω^)「おっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「見て! 蝶が消えていくわ!」

(..'A`)「あそこにいるのは……」

(。#゚;;-゚)

(*゚ー゚)

(#ぅ;;-゚)「シィ、どこも足りないところはない?
     貴女はぜんぶ揃ってる? 傷ひとつない?」

(*゚ー゚)「うんっ。 ディちゃんが頑張ってくれたおかげなのです!」

(*゚ー゚)「ディちゃんこそ、お耳が。 それに、傷だらけなのです。
    まさか欠片を外の世界に? 探しにいかなくっちゃ!」

(#゚;;-゚)「どこにもいかないで。 貴女は何も心配しなくていいの」

(*^ω^)「シィだ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「シィー!!」

(..'A`)「おーい、シィー!」

(´・ω・`)「ああ、待ってっ」

バタバタ
バタバタ

(#゚;;-゚)「!」

(*゚ー゚)「?」

.

382 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:48:59 ID:5H281t8g0

(*^ω^)「こっちがボクたちのシィだおね?」

ξ*゚⊿゚)ξ「ようやく会えたわ!」

(..'∀`)「それがほんとのシィのカタチか」

(#゚;;-゚)「どう、して、私だって?」

(*^ω^)「分かんないけど、分かるんだお!」

ξ*゚⊿゚)ξ「分からないわけないでしょ、あんなに一緒だったんだから!」

(..'∀`)「オマエさん、こんな声してたのかぁ」

(#゚;;-゚)「……どうして」

(*゚ー゚)「まあ。 かわいい子供達ですね」

(*^ω^)「ブーンだお! はじめまして、イノチ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「はじめまして、シィのイノチ! ワタシはツンよ!」

(..'A`)「いやシィのイノチにも名前はあるだろ。
    ああ、オレの名前はドクオだぜ」

(´・ω・`)「僕はショボン。 よろしくね、イノチさん」

(*゚ー゚)「イノチ?」

(#゚;;-゚)「聞かないで。 あとで話すわ」

(*゚ー゚)「?」

.

383 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:49:57 ID:5H281t8g0

(#゚;;-゚)「紹介するわ、こっちが本当のシィ」

(*゚ー゚)「はじめまして、『シィ』っていいます。
    えへへ、みんなと仲よくできたら嬉しいのです」

(#゚;;-゚)「本当の私は『ディ』よ」

(*^ω^)「よろしくだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「シィがディ?」

(..'A`)「ややこしいな」

(#゚;;-゚)「きっと私が体にまとっていたシィの欠片を
     シィに返したから、本当の私の形が見えるようになったんだわ」

( ^ω^)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「?」

(..'A`)「オレたちの口からシィの蝶が出てきたのは?」

(#゚;;-゚)「私が形をなくして中の世界に来たとき、
     ブーンとドクオを潰してしまったでしょう」

(#゚;;-゚)「きっとそのとき、シィの欠片を飲み込んでしまったのね」

( ^ω^)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「?」

(..'A`)「あー……」

(´・ω・`)「なるほどなるほど、分かった分かった」

.

384 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:50:50 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)(結局、ママなんてどこにもいなかったな)

(*^ω^)「はやいとこみんなのとこに戻ろうお!」

(..'∀`)「けけけ。 ちいさなママどものびっくりした顔が目に浮かぶぜ」

(´・ω・`)(……まっ、これはこれでいっか)

ξ゚⊿゚)ξ「ディとシィは、ずっとこの教会にいるわよね?」

(#゚;;-゚)

ξ゚⊿゚)ξ「いなくなったりなんか、しないわよね?」

(#゚;;-゚)

トクン...
トクン...

( ^ω^)「あれ?」

(..'A`)「どうした?」

( ^ω^)「木のイノチの音が小さくなってるお」

ξ゚⊿゚)ξ「言われてみれば。 いまにも消えちゃいそう」

(..'A`)「いったいぜんたい、なんの音なんだ?」

(*゚ー゚)「!」

(*゚ー゚)「ディちゃん、あの子は?」

(#゚;;-゚)「誰」

(*゚ー゚)「私が目を覚ましたということは、あの子は……」

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎

( ^ω^)「おうっ?」

(;..'A`)「なんだこれ? 地面がゆれてるぞ!」

.

385 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:52:09 ID:5H281t8g0

グラグラッ

(;*゚ー゚)「っ」

(#゚;;-゚)「シィ、大丈夫?」

(;*゚ー゚)「大丈夫ですよ。 私より子供達を先に」

ξ;゚⊿゚)ξ「きゃっ!?」

(#゚;;-゚)っ「ツン、手をとって」

ξ;゚⊿゚)ξ「だ、大丈夫! ゆれてるのとまったみたい!」

(..'A`)「なんだったんだ?」

( ^ω^)「地面がグラグラするなんて、こんなのはじめてだお」

(` ω ´)「子供達!」

( ^ω^)「おっ?」

(;´・ω・`)「ひっ」

(`・ω・´)「なんてことをしたんだ!」

(..'A`)「シャキンだ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ごめんなさぁい!!」

(`・ω・´) グチャ...

(;´・ω・`)「に、兄さん、まだ手足がちゃんとくっついてないよ、そんな無理に」

(`・ω・´)「ショボン、お兄ちゃんに言うことは?」

(;´・ω・`)

(;´ ω `)「……ごめんなさい」

.

386 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:53:16 ID:5H281t8g0

(`・ω・´)「あとでゆっくり話そう」

(;*゚ー゚)「ひどい怪我……、ちょっと見せてください」

(`・ω・´)「君は、ママの」

(*゚ー゚)っ フワッ

(*゚ー゚)「よっぽどひどいめに遭ったのですね。 これでもう大丈夫ですよ」

(`・ω・´)「……すまない」

(#゚;;-゚)「シャキン、そういうときは『ありがとう』よ」

(`・ω・´)「……そうだね、ありがとう」

(*^ω^)「シィ、すごいお! キズを治しちゃったお!」

(*゚ー゚)「私、ちょっとだけ傷や病を治せるんです。
     だからなにかあったら言って欲しいです!」

(#゚;;-゚)「『ちょっとだけ』じゃないわ」

(;*゚ー゚)「ちょっとですよう。 ディちゃんのことだけは治せないのですもの」

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎
ガタガタッ‼︎

(`・ω・´)「まずいぞ! 今にも天井が崩れそうだ!」

(;*゚ー゚)「わ、わっ! はやく地下室から出なくっちゃ!」

(#゚;;-゚)「子供達、先にいって。 誰も置き去りにしない」

(;^ω^)「おん!」

ξ;゚⊿゚)ξ「はいっ」

(;..'A`)「お、おう」

.

387 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:54:09 ID:5H281t8g0

タッタッタッタッタッ

(`・ω・´)「こっちだ! みんな頑張れ! もうすぐ外だ!」

バタンッ‼︎

(*^ω^)「ついたお! これでもう、だいじょう……」

( ^ω^)「ぶ……?」

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎

(..'A`)「大丈夫なもんかよ……」

ξ゚⊿゚)ξ「ね、ねぇ、分からないの。 どうしてかしら?」

ξ゚⊿゚)ξ「どうして、お空が、割れてるの?」

(´・ω・`)「……僕が地下室にママを探しにいこうなんて言ったせいだ。
     バカみたい、結局ママはいなかったのに」

(#゚;;-゚)「私のせいね。 私が外の世界から無理やりここに来たから」

(;*゚ー゚)「それは違うのです! 私が目を覚ましたからなのです!」

(`・ω・´)「君達はなんにも悪くないさ! ただ、ママが約束を守っただけだ!」

(´・ω・`)「……兄さん?」

ガラガラッ‼︎

(`・ω・´)「気をつけろ! 床が崩れるぞ!」

(;´・ω・`)「わわ、わっ!」

.

388 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:55:15 ID:5H281t8g0

ガラガラッ‼︎

(;*゚ー゚)「あっ」

(#゚;;-゚)っ「シィ!」

グイッ

(;*゚ー゚)「ありがとう、助かったのです」

(#゚;;-゚)「貴女が無事ならそれでいい」

(;*゚ー゚)「床に大きな穴が空いちゃったのです」

(#゚;;-゚)「危うく地下室に逆戻りするところだったわね」

(`・ω・´)「なんてこった! ショボンだけ穴の向こうにいるぞ!」

( ^ω^)ノシ「ショボーン! 聞こえるかおー!」

(..'A`)ノシ「大事ないかー?」

(´・ω・`)ノシ「聞こえるよー! こんなんへっちゃらだよー!」

(`・ω・´)「こっちに来れそうかー?」

(´・ω・`)「ちょっと別の部屋を回れば戻れそうー! すぐいくから待っててー!」

タッタッタッタッタッ

ξ;゚⊿゚)ξ「でも、でも! 空が割れたからって、それがなんだっていうの?」

( ^ω^)「そうだおね。 わるいことなんか、起きないおね?」

(.. A ) フラッ

(#゚;;-゚)っ「だめ」

(.. A ) ドサッ

( ^ω^)

( ^ω^)「ドクオ?」

(;.. A )「はあ、はあ……」

.

389 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:56:15 ID:5H281t8g0

( ^ω^)「どうしたんだお? どっかいたいのかお?」

(;.. A )「ははっ……なんか、チカラ入んねー……、ど、なってんだ……?」

(;^ω^)「ドクオ、その手、どうしたんだお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「どうして、右手が干からびて……?」

(#゚;;-゚)「……老いてる」

(;*゚ー゚)「!」

(;.. A )「う、う……」

(;*゚ー゚)っ「お願い、戻って!!」フワッ

(;..'A`)「!」

ξ;゚⊿゚)ξ「よ、よかった……」

(;..'A`)「も、戻った! オレ、どうなってた?」

(;^ω^)「手が細くなって枯れてたお!
      それがどんどん、体に広がっていったお!」

(`・ω・´)「事情が変わったぞ! はやく地下室に戻るんだ!
     あそこにはママがいる、少しはしのげる!」

( ^ω^)「ママが?」

(..'A`)「チカシツに?」

タッタッタッタッタッ

(´・ω・`)「ただいま」

(`・ω・´)「おかえり」

(#゚;;-゚)「子供達が教会に残ってるわ。 置いていくつもりなの」

.

390 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:57:12 ID:5H281t8g0

(*゚ー゚)「そんな、助け、にっ」

(* ー ) フラッ

(#゚;;-゚)っ ガシッ

(#゚;;-゚)「シィ、怪我は」

(;*゚ー゚)「ごめんなさい、まだ体がいうことをきかなくて」

(#゚;;-゚)「無理しないで」

(`・ω・´)「長いこと眠ってたせいだろうね、
     まだ満足には体を動かせないだろうさ」

ξ゚⊿゚)ξ「!」

ξ゚⊿゚)ξ ダッ

( ^ω^)「ツン!? 待ってお!」ダッ

(;..'A`)「バカふたりっ! どこいくんだ!?」ダッ

(´・ω・`)「ああもう! 僕が連れ戻してくる!」

(`・ω・´)「待つんだショボン! お前は地下室にいきなさい!」

(#´・ω・`)「子供扱いしないでくれる!? 僕だってみんなよりお兄さんなんだから!」

(`・ω・´)「ショボン!! 君にしかできないんだ!!」

(´・ω・`)「……?」

(`・ω・´)「ショボン、ママは地下室にいる。」

(`・ω・´)「君はずっと一緒にいただろう、あの部屋に入った瞬間から、
     出ていく瞬間まで、ずっと一緒に」

(´・ω・`)「……えっ?」

トクン...
トクン...

.

391 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:58:22 ID:5H281t8g0

(    )っ「起きて」

( ・∀・) パチッ

( <◯><◯>)  パチッ

( ・∀・)「ワカッテマス、起きてるかい? この天井はどこだろうね?」

( <◯><◯>)「はあぁ……話しかけないでください。
       シャキンさんとショボンくんの部屋ですね」

( ・∀・) ムクッ

( ・∀・)「枝の生えた少年と、鱗の生えた少年と、尻尾の生えた少女は?」

( <◯><◯>)「ブーン少年とドクオ少年とツン少女です。
       いい加減に子供達の名前を覚えなさい」

( ・∀・)「覚えようとしても覚えられないのさ。
      そういうキミこそ、子供達のカタチを覚えてあげたまえよ」

( <◯><◯>)「ザンネンながら、ワタシもどうしたって
       覚えられないんですよ。 不思議なことに」

( ・∀・)「まあ、焦ることはないさ。 これだけやって
       覚えられないなら、きっとそこだけ成長するのがおそいんだろうよ」

( <◯><◯>) ベシッ

( ・∀・)「いま杖でぶったかい?」

( <◯><◯>)「いいえ。 蹴ったんです」

( ・∀・) ベシッ

( <◯><◯>)「いたいですよ、仕返しなんてサイテイです」

( ・∀・)「あはははは! 一回は一回というやつさ!
       これでウラミッコなしにしようじゃないか!」

( <◯><◯>) ムクッ

( <◯><◯>)「アナタと話していてもつまらない。
       はやくあのイタズラっ子たちを探しましょう」

.

392 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 21:59:23 ID:5H281t8g0

ザワザワ
ザワザワ

( ・∀・)「やややっ? なにやらお庭がさわがしいぞ?」

( <◯><◯>)「いったいなにを見上げてるんでしょうか」

「見て見て! あんなのはじめて見た!」
「ちいさなママに知らせなくっちゃ!」
「あっ! あそこにちいさなママがいるよ!」

( ・∀・)「やあやあ! みんなで集まってなにしてるんだい?」

ビキビキ

o川*゚ー゚)o「ねーねー! ちいさなママー!」

( ・∀・)「なんだい?」

ビキィッ

o川*゚ー゚)o「どうしてお空にヒビが入ってるの?」

( ・∀・)



バリィンッ‼︎



(*><)「お空が割れたんです! キレイですね、ポッポちゃん!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽー!」

.

393 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:00:32 ID:5H281t8g0

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎

(;><)「ぎゃあっ!?」

⊂(*‘ω‘ *) グイッ

(;><)「あ、ありがとうなんです! ポッポちゃん!」

( <◯><◯>)「訳がわかりませんね。
       空が割れたかと思えば、お次は大地がゆれるだなんて!」

(;-_-)「ひぃひぃー! お、お、お、お助けをー!」

川⁂ 々゚)「おー、おー、ゆれるー?」

( ・∀・)「みんな教会の中に入りたまえ!」

「全員、そのまま動かないでください!」(<◯><◯> )

( ・∀・)「同時に話さないでくれたまえ!」

( <◯><◯>)「それはこちらのセリフです」

从; ゚∀从「ママ! ママ! 助けてくれ!!」

( <◯><◯>)「ハインリッヒ少年、その手はどうしたんです?」

从; ゚∀从「さわっても、つねっても、なんにもかんじねーんだ!」

( ・∀・)「枯れてる……?」

从; ∀从「ママ、ママ! オレの手……ゴホゴホッ、ひっ、息がっ……」

(;<◯><◯>)「ハインリッヒ少年! 許しませんよ、しっかりしなさい!」

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎

(;・∀・)「ああっ! また地面が!」

(;´_ゝ|★)「オトジャ、無事か?」

(☆|<_`;)「アニジャ、大丈夫か?」

.

394 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:01:22 ID:5H281t8g0

(;<◯><◯>)「シャキンさんを呼んできなさい!」

「羽の生えた少年を運ぶんだ!」(・∀・;)

(;<◯><◯>)「…………」

(;・∀・)「…………」

(;<◯><◯>)「いっそワタシとアナタは仲がいいのかもしれませんね」

(;・∀・)「おもしろい! キミでもつまらないジョーダンを言うんだね」

( <◯><◯>)「ええ!」

( ・∀・)「よし!」

( <◯><◯>)「全員! ふたりのちいさなママに注目しなさい!」

( ・∀・)「動けない子には動ける子が手を貸してあげたまえ!」

( <◯><◯>)「ちいさなママ、手を貸してください」

( ・∀・)「一緒に乗り越えるんだ、ちいさなママ!」

.

395 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:02:14 ID:5H281t8g0

タッタッタッタッタッ

(;^ω^)「みんなー! こっちだおー!」

(;..'A`)「ママのトビラの向こう側にいくぞー! あそこにはママがいるんだー!」

( ・∀・)「聞いたかい? みんなオレについてきたまえ!」

( <◯><◯>)「ワタシはイチバンうしろから。
       ビロード、ハインリッヒ少年に肩をかしなさい」

(;><)「はあ、はあ……わ、かっ、……くん……」

( <◯><◯>)「ビロード?」

(   ) ドサッ

( <◯><◯>)「ビロード、起きなさい!」

(  _ゝ|★) ドサッ

(☆|<_  ) ドサッ

(;・∀・)「アニジャ、オトジャ! ああなんてことだ!」

ドサッ
ドサッ

( ^ω^)「子供達がみんな、倒れていくお……」

(..'A`)「ああ……」

.

396 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:03:27 ID:5H281t8g0

ズル...ズル...

|゚ノ ;^∀^)「はあ、はあ……」

ズル...ズル...

|゚ノ ; ∀ )「ああ、これは、困ったな……」

|゚ノ;  ∀ )(目を覚ましたのはいいものの、体ってこんなにも重いものだったかな)

|゚ノ ; ∀ )(地べたをはっていくのもままならない)

ガチャッ‼︎

ξ;゚⊿゚)ξ「レモナ先生!」

|゚ノ; ^∀^)「ツンちゃん……? おはようございます、
        すみませんね、だらしないかっこうで……」

ξ;゚⊿゚)ξっ「やっぱり体が動かないのね? むかえにきたわ!」

|゚ノ ^∀^)「……いけませんよ、アナタだけでも逃げてください」

ξ;゚⊿゚)ξ っ「手をかすわ。 よいしょっ、と」

ズシッ

|゚ノ ^∀^)「重いでしょう? ツンちゃんの体でボクを支えるのはムリです」

ξ; ⊿ )ξ「う゛うっ……むりじゃ、ないっ」

.

397 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:04:12 ID:5H281t8g0

ズリ...ズリ...

|゚ノ ^∀^)「ボクを置いてってください。 大丈夫ですよ、
       きっといい方法をひらめいてみせますから」

ξ; ⊿ )ξ「おいて……か、ないぃ……」

ズリ...ズリ...

|゚ノ ^∀^)「……ツン、先生のいうことをききなさい。
       怒りますよ? ボク、怒ったら怖いですよ?」

ξ; ⊿ )ξ「こわく、ないっ……!」

ズリ...ズリ...

|゚ノ ^∀^)「……お願いですから、ツンちゃん」

ξ; ⊿ )ξ「ほら、もうすぐ、部屋の、外にっ」

ガクンッ

ξ; ⊿ )ξ ドサッ

ξ; ⊿ )ξ「?」

ξ; ⊿ )ξ(やめてよ)

ξ; ⊿ )ξ(なんでこんなときに、ワタシの足)

ξ; ⊿ )ξ(なんにも感じないの)

.

398 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:05:07 ID:5H281t8g0

トクン...
トクン...

(´・ω・`)「ここってさっきディがシィの蛹を見つけた場所だよね?」

(´・ω・`)「兄さん、僕にウソついたの? ママなんてどこにもいなかったじゃないか」

(`・ω・´)「初めて教会に来た日のことを覚えてるかい?」

(´・ω・`)「ううん。まだ小さすぎたから」

(`・ω・´)「ママの本当の名前は? 本当の姿は?」

(´・ω・`)「ううん。話しかけても返してくれなくて、
     まともに話したことすらなかったから」

(`・ω・´)「俺がママにした一生に一度のお願いは?」

(´・ω・`)「……『この小さな世界を自分達以外の
     誰も入ってこられないように閉じて欲しい』?」

(`・ω・´)「そうだ。 ママが俺にお願いするように命じたのはそれだ」

(`・ω・´)「だが兄ちゃんはな、せめてもの抵抗をしてしまったんだ。
     俺の一生をかけた願い事なのに、本当にしたい願い事を
     できないだなんて、そんなのは不公平だと思ったんだ」

(´・ω・`)「なんてお願いしたの?」

(`・ω・´)「『この小さな世界を自分達以外の
     誰も入ってこられないように閉じて欲しい、
     ……シィの欠片が再び揃う日まで』」

(´・ω・`)「!」

(`・ω・´)「ママはそりゃあもう怖かったんだろうさ。
     手に入れたはずの『永遠』を手放さないといけない」

(`・ω・´)「だからママは、シィの欠片を呑み込んでしまったんだ。
     他の誰にも奪われてしまわないように」

.

399 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:06:52 ID:5H281t8g0

(`・ω・´)「本来なら体が耐えきれずに死んでしまうはずだった、でもママは生きていた。
     少女が死なさないようにとしたのか、ママがお願いしたのかは分からない」

(`・ω・´)「とにかく蘇生の少女が子守歌でママを眠りにつかせたからだ」

(`・ω・´)「蘇生の少女はママの腹の中で歌い続けた。
     そして、中の世界の時間はそのまま止まってしまった」

トクン...
トクン...

(´・ω・`)「にい、さん」

(`・ω・´)

(´・ω・`) 「初めて教会に来た日のことを覚えてる?」

(`・ω・´)「覚えているぞ! シャキンとショボンとママの三人だったな!
     やがてモララーとワカッテマスとレモナをさらってきた」

(`・ω・´)「子供達が少しずつ増えていって、シィの欠片を見つけてきて、
     俺の願い事で世界を閉じたんだ」

(`・ω・´)「いまからもう、100年くらい前のことだね」

(´・ω・`)「ママの本当の名前は? 本当の姿は?」

(`・ω・´)「名前は知らないが、本当の姿なら知ってるぞ!」

(`・ω・´)「ママは醜い醜いと嫌っていたな。 ほんのりと
     緑色の暗い光を放つ、大きな大きな百足の悪魔だった」

(´・ω・`)「!!」

トクン...
トクン...

(´・ω・`)(地下室のイノチの音は……)

(´・ω・`)(ディが破ったシィの蛹は……)

.

400 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:07:45 ID:5H281t8g0

(`・ω・´)「……ショボン」

(`・ω・´)「音が止まってしまう前に、願い事をしなさい。
     君には一生に一度のお願いがまだ残ってる」

(*´・ω・`)「!」

(*´・ω・`)「ついにこの日がきたんだね!
     僕、お願い事はとっくの昔にもう決めてあるんだ!」

(`・ω・´)「ショボン、兄ちゃんの一生に一度のお願いを聞いてくれないかい」

(´・ω・`)「なに言ってるの、兄さん? 兄さんらしくないよ?」

(`・ω・´)「もう一度、中の世界を閉じてくれないか」

(´・ω・`)「はっ……?」

(`・ω・´)「お願いだ」

(´・ω・`)「……やだ」

(`・ω・´)「ショボン! 聞いてくれ!」

ガラガラッ‼︎

(`・ω・´)「くっ! ガレキがっ」

(´ ω `)「やだやだやだ! 絶対やだ!!」

(`・ω・´)「待つんだショボン! 話を聞いてくれ!!」

トクン...
トク...ン...

.

401 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:08:33 ID:5H281t8g0

ズリ...ズリ...

(;^ω^)「よいしょ、よいしょ! ハインー、寝たらダメだおー!」

从 ∀从「ひっ……はっ……」

(;^ω^)「おーん、どんどん枯れていってる、おー」

(;-_-)「ば、バチが、あたったんだ……ボクたちが、わるいこだから……
     シィのこと、バケモノだって、こわがったから……」

(;..'A`)「怖いもんは怖いだろ、オマエさんは怖くても
     仲よしになりたいって思ったんだろ? いまでも怖いのか?」

( _ ) 「こ、こわい……よ、こわいけど、でも……
      シィのこと、キライじゃ……な……、…………」フラッ

( _ ) ガクッ

(;..'A`)「おいヒッキー!? くっそー!
     動けるのはオレとブーンとモララーとワカッテマスだけかよ!」

(  ω ) ドサッ

(..'A`)

(..'A`)「……ブーン?」

(  ω )

(..'A`)「ウソだろ、やめてくれ」

.

402 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:09:37 ID:5H281t8g0

ズリ...ズリ...

(;・∀・)「アニジャ、オトジャ、もう少しの、シンボウ、だ!」

(  _ゝ|★)「モララーさま……オレら……」

(☆|<_  )「どう、なっちゃうのかな……」

(;・∀・)「あはははは! このモララーにまかせたまえ!
       なんにも、なんにも心配は、いらないさぁ!」

(  _ゝ|★)「モラ、さま、が……」

(☆|<_  )「そ、いうなら、だい、じょ……」

(;・∀・)「あは! あははは、ははは! あはははは、は、ははははは!」

(  _ゝ|★) ガクッ

(☆|<_  ) ガクッ

( ;∀;)「あは、は……いやだ、……はは、はははっ……
       ああどうしよう、いやだぁ……」フラッ

(  ∀ ) ドサッ



ズリ...ズリ...

( <◯><◯>)

(。><)「うっ、うっ……もうおしまいなんです……」

( <◯><◯>)「だまらっしゃい」

(* ω *)「ワカッテマスくん……たすけてっぽ……」

( <◯><◯>)「ナキゴトなんて聞きたくありません。
       助かることだけ考えてなさい」

(;><)「ママが、いてくれれば、いいのに……」

(* ω *)「ママ……ママ……」フラッ

( <◯><◯>)「……そうですね」

.

403 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:10:44 ID:5H281t8g0

(   ) ガクッ

(* ω *) ガクッ

( <◯><◯>)「こら。 目を開けなさい、許しませんよ。 かってに、
       許さない……許さない……、ワタシの……こどもたち……」フラッ

( < >< >) ドサッ

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎
ガラガラッ‼︎

(;..'A`)「くそっ、くそくそっ! 道がふさがっちまった!
     これじゃあもう、どこにもいけやしねー!!」

(  ω )「うっ……」

(;..'A`)「バカブーンめ……まるで絵本に出てきたロージンみたいだぜ……?」

(  ω )

(;..'A`)「オレたちまで……たおれて、どうすんだよ……」

(  ω )「マ……マ……」

(;..'A`)「ママなんて……いないんだ……、
     もう、……帰ってこないんだよ……ママなんて……!」

(.. A )「ママなんて……」

(.. A )「ママ……」

(.. A ) ドサッ

.

404 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:11:20 ID:5H281t8g0

(  ω )

(.. A )

(  ∀ )

( < >< >)

(  _ゝ|★)(☆|<_  )

(   )

(* ω  *)

o川* ー )o

川 ⁂々 )

从  ∀从

( _ )

.

405 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:12:18 ID:5H281t8g0

フワッ





(    )っ「……起きて!」





.

406 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:13:10 ID:5H281t8g0

( ^ω^) ハッ

(    )っ「もう大丈夫ですよ、よく頑張りましたね」

(    )「あとのことは任せて」

( ^ω^)「……ママ?」

(*゚ー゚)っ

(#゚;;-゚)

( ^ω^)「……シィ? ディ?」

(;..'∀`)「ははっ……マジかよ……」

(*゚ー゚)っ「私の蘇生の力でみんなを元に戻します! ほんの少しなら保つはずです」

(..'A`)「でもよ、教会があちこちくずれて、道がふさがっちまったんだ」

(#゚;;-゚)「私の破壊の力でみんなの道を開けるわ。 いまのうちに地下室へいこう」

川*⁂ 々゚)「……ママ? ママだ」

o川*゚ー゚)o「ふたりのママだ!」

.

407 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:14:20 ID:5H281t8g0

(#゚;;-゚)「みんなついてきて。 誰も置き去りにはしない」

( <◯><◯>)「お待ちなさい」

( ・∀・)「何者だい?」

(*゚ー゚)

( ・∀・)「キミ、夢の中の?」

(#゚;;-゚)「説明してる時間はないわ」

( <◯><◯>)っ「信用できません。 こっちへ来なさい」

ガシッ
グイッ

(#゚;;-゚)「離して」

( <◯><◯>)「!」

( <◯><◯>)(この傷だらけの手には覚えがあります)

( <◯><◯>)(あたたかくて、つまらない手)

( <◯><◯>)「『シィ』なのですね」

(*゚ー゚)「はい! そうなのですっ」

(#゚;;-゚)「ええ、そう」

.

408 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:15:31 ID:5H281t8g0

ズリ...ズリ...

|゚ノ ;^∀^)「ツンちゃん、起きて。 起きてください、お願いだから」

ξ ⊿ )ξ

|゚ノ ;^∀^)「ああ、そんな……わるい夢だと言って……」

ξ ⊿ )ξ

|゚ノ  ∀ )「どうか、ママ……みんなを、子供達を……どうか……」

|゚ノ  ∀ ) ガクッ

|゚ノ  ∀ )

|゚ノ  ∀ )

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎

(  ∀ )っ「起きたまえ!」

( < >< >)っ「起きなさい!」

|゚ノ ^∀^)「!」

( ・∀・)

( <◯><◯>)

|゚ノ ^∀^)「ああ……」

( ・∀・)「ごきげんよう、レモナ! ずいぶんと長いお昼寝だったじゃないか!」

( <◯><◯>)「さんっざん人のこと起こしておいて、自分だけ眠りほうけるだなんてなさけない!」

|゚ノ ;∀^) ポロッ

|゚ノ ぅ∀^)「えへへ……なつかしいなぁ、変わってないなぁ……」

(;^ω^)「よかったお! 間に合ったお!」

.

409 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:16:12 ID:5H281t8g0

(;..'A`)「シィ! こっちこっち! レモナとツンを頼む!」

(*゚ー゚)っ フワッ

(*゚ー゚)「さあ、起きて」

ξ;゚⊿゚)ξ「ぷはっ!!」

( ^ω^)「ツン!」

(..'A`)「よっ、ツン」

ξ;゚⊿゚)ξ「先生は?」

|゚ノ ^∀^)「おかげさまで。 ありがとうございますね、イノチのオンジンです」

ξ*゚⊿゚)ξ「よかった……」

ξ゚⊿゚)ξ「それにしても、ふたりとも? どうしてここに?」

( ^ω^)「ツンがこっちに走っていったのを思い出して、
       シィとモララーとワカッテマスを連れてきたんだお!」

(..'A`)「あの二人ならレモナ先生を運ぶなんてちょちょいのちょいだ」

ξ*゚⊿゚)ξ「ありがと。イノチのオンジンだわ!」

(..'A`)「いまディと子供達がチカシツに向かってる。 オレたちも一緒にいこうぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「ディだけで大丈夫なの?」

( ^ω^)「大丈夫だお! みんなつよい!」

.

410 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:17:07 ID:5H281t8g0

(#゚;;-゚)「ワタシが前を歩いてガレキを壊すわ」

( ´_ゝ|★)「オレら兄弟は」

(☆|<_` )「ディさまの」

( ´_ゝ|★)「お手伝いを」(☆|<_` )

o川*゚ー゚)o「だぁれも迷子にならないように、キューちゃんの
      溶けた肌をメジルシにたらして歩くねっ」ドロドロ

川⁂ 々゚)「ちっちゃい子! クルウ、いっぱいもってく!」ニョロニョロ

(-_-)「う、動けない子は、ボクの手で、で、
   連れていくけど、も、モンク言わないでよ……」ブツブツ

( ><)「ポッポちゃんはヒッキーくんと一緒に、動けない子をお願いするんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽー!」

从 ゚∀从「オレはイッチャン後ろで飛んで、だれひとり
     はぐれないように見てるぜ!」ブブブブブッ

( ><)「後ろでなにかがあったときは、ボクの声で
      すぐイチバン前に知らせられるようにするんです!」

(#゚;;-゚)「みんな、こわい?」

( ´_ゝ|★)「こわいけど、」

(☆|<_` )「へっちゃら!」

o川*゚ー゚)o「こわくても、がんばるもん!」

川⁂ 々゚)「こわいのこわいの、とんでけー!」

(#゚;;-゚)「いい子ね」

.

411 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:18:43 ID:5H281t8g0

タッタッタッタッタッ

(`・ω・´)「はあ、はあ、ショボン! 隠れてないで出ておいで!」

(´・ω・`)「やだ」

(`・ω・´)「なんだって? もっと大きな声で言ってくれ! さっぱり聞こえないんだ!」

(´・ω・`)「やだ」

(´・ω・`)「聞いてくれ! 君が外の世界に憧れてることは知ってる! 」

(´・ω・`)「外の世界にいきたいわけじゃない。
     兄さんったら、なんにも分かってないんだから」

(`・ω・´)「俺達兄弟は長寿だ! もしも世界が開いたら、外の世界にいけるだろう!
     きっとたくさんの楽しいことと、それよりたくさんの悲しいことがあるだろう!」

(´・ω・`)「外の世界の人はどんなカタチをしてるの? 外の世界の人はどんなことをして遊ぶの?」

(`・ω・´)「でも教会の子供達は、子供達はみんなここまでだ! 全てが元に戻ってしまう!」

(´・ω・`)「外の世界では、猫が人になるっておかしいことかな?」

(`・ω・´)「幸福だった100年の年月が、子供達を追ってくるんだ!こうしてる今にも、みんな老いて死んでしまう!」

リィンッ

(´・ω・`)

(`・ω・´)「ショボン、見つけたぞ! ああ逃げないでくれ、
     話し合いをしよう! 言いたいことがあるなら聞こう!」

(´・ω・`)「この鈴……大っ嫌い」

(`・ω・´)「うん」

(´・ω・`)

(´・ω・`)「ねぇ、兄さん。ボクね、人になりたい」

.

412 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:19:40 ID:5H281t8g0

(`・ω・´)「うん」

(´・ω・`)「みんなと怪物ごっこがしたい。魔女かくしもしたい」

(´・ω・`)「簡単に扉だって開けたい、瓶だって自分で閉めたい、フォークでごはんを食べたい」

(´・ω・`)「みんなと肩を並べて歩きたい、小さい子を抱っこしてあげたい」

(`・ω・´)「うん」

(´・ω・`)「みんなみたいに優れた形してなくていい。普通の形の人だってかまわない」

(´・ω・`)「……ダメかな?」

(`・ω・´)

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎

(`・ω・´)「ショボン、ごめんな」

(´・ω・`)

(`・ω・´)「そうだよな、みんなと一緒がよかったんだよな。
     兄ちゃんなんにも知らなかったよ。 ……悪い兄ちゃんだったな」

(´・ω・`)「……別に」

(`・ω・´)「教会のことだって、ママのことだって、なんにも教えようとしなかった。
     なんにも知らない子供のまんま、幸せでいて欲しかったんだ」

(`・ω・´)「教会の子供達とおんなじように」

(´・ω・`)

(`・ω・´)「いいぞ、ママとの契約はもうおしまい。ショボンの好きにしていいんだ。
     兄ちゃんはその選択を尊重する。 どんな未来になったって、俺達兄弟はいつもとおんなじだ」

(`・ω・´)「なっ?」

(´・ω・`)

(´・ω・`)「……ありがと。そんな風に言って欲しかったんだ」

.

413 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:20:38 ID:5H281t8g0

(#゚;;-゚)「シィ!」

(*゚ー゚)「ディちゃん!」

(#゚;;-゚)「無事でよかった」

(*゚ー゚)「みんな地下室まで戻ってこれたのです。
    ここならまだあの子のお願いの力が効いてるはずです」

(#゚;;-゚)「長くは保たないわ」

(*゚ー゚)「そのときは、私が」

(#゚;;-゚)「やめて」

(*゚ー゚)「ごめんなさいね? そうですよね、
    これからのことを考えないと、ですっ」

(#゚;;-゚)「これからのこと」

(*゚ー゚)「ディちゃんはどんなディちゃんになりたいですか?」

(#゚;;-゚)「……なれるかしら」

(#゚;;-゚)「怪物にも魔女にも英雄にもなれなかった私が、
     誰かになれるかしら」

(*゚ー゚)「ふふふっ。 もうなってるじゃないですか!」

(#゚;;-゚)「……うん」

.

414 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:23:19 ID:5H281t8g0

|゚ノ ^∀^)「全員みんなそろってますか?」

ξ゚⊿゚)ξ「どうかしら……、分からないわ……」

( ^ω^)ノ「ブーン!」

(..'A`)「いきなりどうした?」

( ^ω^)ノ「自分の名前を叫ぼう!なんだお!いつもみたいに!」

ξ゚⊿゚)ξ「そうよね、そうだわ!」

ξ゚⊿゚)ξノ「ツンー!」

(..'A`)ノ「ドクオ!」

|゚ノ ^∀^)「ふふふ、素晴らしいひらめきですね?」

( ・∀・)「さあさ子供達、おっきな声で自分の名前を叫ぼうじゃないか!」

( <◯><◯>)「ええ、ええ。 やりましょう、いつもどおりに」

( <◯><◯>)ノ「ワカッテマス!」

( ><)ノ「ビロード!」

(*‘ω‘ *)ノ「ちんぽっぽー!」

(-_-)ノ「ヒッキー!!」

从 ゚∀从ノ「ハインリッヒ!」

( ・∀・)ノ「モララー!」

\( ´_ゝ|★)「アニジャ!」

(☆|<_` )/「オトジャ!」

o川*゚ー゚)oノ「キュートちゃん!」

川 ⁂々゚)ノ「クルウー!」

|゚ノ ^∀^)ノ「レモナ!」

(#゚;;-゚)ノ「ディ」

(*゚ー゚)ノ「シィ!」

.

415 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:24:38 ID:5H281t8g0

トクン...
トクン...

(´・ω・`)「ママ、ひさしぶり」

(´・ω・`)「ショボンだよ、知らないだろうけど」

「ブーン!」

(´・ω・`)(!)

(´・ω・`)(遠くからみんなの名前が聞こえてくる)

「ツンー!」
「ドクオ!」

(´・ω・`)「さようなら」

「ワカッテマス!」
「ビロード!」
「ちんぽっぽー!」

(´・ω・`)「さようなら」

「ヒッキー!!」
「ハインリッヒ!」

(´・ω・`)「さようなら、ママ」

「モララー!」
「アニジャ!」
「オトジャ!」

(´・ω・`)「さようなら、世界」

.

416 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:25:39 ID:5H281t8g0

「キュートちゃん!」
「クルウー!」

(´・ω・`)

「レモナ!」
「ディ」
「シィ!」

ゴゴゴゴゴゴ...‼︎

(´-ω-`)(たとえば人の形になれたって、みんながいなくなっちゃうなら、
     いったいだれと怪物ごっこすればいいの、だれと魔女かくしすればいいの)

(´-ω-`)「ママ、ママ。 僕の一生に一度のお願いです」

(´-ω-`)「なにもかもいつもどおりに戻してください。
     もう一度、僕達の世界を閉じてください」

(´-ω-`)「今度は、永遠に」

(´・ω・`)「……でも次はもうちょっと広い方がいいな、なんてね」

トクン...
トッ...

......
......

「おやすみ、ママ」
.

417 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:27:03 ID:5H281t8g0

ブワッ

(*^ω^)「おお! 蝶の花びらが飛んでるお!」

ξ*゚⊿゚)ξ「それもこんなにいっぱい! こんなのはじめてだわ!」

(;..'A`)「どういうことだ? 枯れてた蝶の花が、
     崩れてた教会が、もとどおりになっていくぞ!」

(#゚;;-゚)「ここにいたら建物の修復に巻き込まれる」

( ・∀・)「任せてくれたまえ! 子供達は俺についてくるんだ!」

( <◯><◯>)「私は後ろからみんながはぐれないよう見てます」

|゚ノ ^∀^)「僕はまんなかにいますね、なにかあったらモララーとワカッテマスに知らせます」

|゚ノ ぅ∀^) グイッ

ξ゚⊿゚)ξ「レモナ先生、どうしたの?」

|゚ノ ^∀^)「なんでしょうね、ちょっぴり、寂しくなっちゃっただけですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「?」

(#゚;;-゚)「シィ、私達もいきましょう」

(* ー )「……いってしまったのですね」

(#゚;;-゚)「どうしたの」

(*;ー;) ポロポロ

(#゚;;-゚)「貴女が泣いてると私も悲しい」

(*ぅー;)「ごめんね、なんでもないのです。 すぐ泣き止みます、すぐ泣き止みますからね」

.

418 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:27:43 ID:5H281t8g0

ヒラヒラ
ヒラヒラ

(*^ω^)「おっおー!」

ξ*゚⊿゚)ξ「すごいわ! どこもかしこも、もとどおりよ!」

(..'∀`)「もとどおりどころか、キレイになってねーか?」

ξ゚⊿゚)ξ「あら? ブーン、そのアタマ!」

(*^ω^)「おっ?」

(..'A`)「花だ! オマエさん、エダに花が咲いてるぜ!」

(*^ω^)「ほんとに!?」

(..'∀`)「おめでとさん。 二つだけだけど、ゴリッパなもんだぜ」

ξ*゚⊿゚)ξ「おめでとう! もっとよく見せなさいよ!」

(*^ω^)「どんなお花が咲いてるお?」

ξ*゚⊿゚)ξ「えっとね、桃色と緑色のかわいいお花だわ!」

.

419 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:28:24 ID:5H281t8g0

( <◯><◯>)「アナタばっかり仕切らないでください」

( ・∀・)「こうしようじゃないか! 次の戦いで勝った方が偉いと!」

|゚ノ ^∀^)「まあまあ。 ケンカしないで、モララー、ワカッテマス」

( <◯><◯>)「止めないでください」

( ・∀・)「レモナの言うことはごもっともさ。 オレにイチャモンつけるのやめたまえ!」

|゚ノ ^∀^)「ああそうだ、夢の中でも何度か聞いたんですけどね、気になってたことがあって」

|゚ノ ^∀^)「どうして子供達の洋服が白と黒で分かれてるんでしょうか?」

( <◯><◯>)

( ・∀・)

|゚ノ ^∀^)「クラスで分けるのかな? だとしたら、ときどき
      クラス替えしてみるのもいいんじゃないかな、って」

( <◯><◯>)「…………」

( ・∀・)「…………」

|゚ノ ^∀^)「あ、あれあれ? なに? まずかったでしょうか?」

.

420 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:29:16 ID:5H281t8g0

(´・ω・`)

(`・ω・´)「ごらんよ、英雄! これが君の守った世界だ! あれが君の守った子供達だ!」

(´・ω・`)「よしてよ、英雄だなんて。僕はただのかわいい猫ちゃんだよ」

(`・ω・´)「君はショボンだ! そして俺の弟!」

(`・ω・´)「いいことを思いついたぞ、レモナに頼み込んで君の勇気を物語にしてもらおう!
     寝る前のお話しは必要だからね、いもしない魔女と怪物の物語の代わりに! うんうん、それがいい!」

(`・ω・´)「小さな世界を救った猫のお話し!」

(*´・ω・`)「なにそれ? ふふふっ、悪くないかもね?」

(`・ω・´)「新しい遊びも必要だ! 外の世界の本にあった、『鬼ごっこ』や『かくれ鬼』なんてどうだろう?
     あれはルールがシンプルでいいぞ、今度は俺達も一緒にやろう! きっと楽しいに違いないぞ!」

川*⁂ 々゚)「あたらしいあそびのおはなし!?」

o川*゚ー゚)o「とうとうショボンちゃんも一緒に遊んでくれるんだ!」

(;´・ω・`)「えっ、いや、僕は」

从 ゚∀从「ハッハァ、待ってたぜ! ギッタンギッタンにしてやる!」

(-_-)「ショ、ショボン、なら、……ボク、勝てる、かも……?」

(´・ω・`)

(*´・ω・`)「いいよ、遊んであげる! 言っとくけど、僕は強いよ!」

.

421 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:31:52 ID:5H281t8g0

(#゚;;-゚)「綺麗な場所でしょう」

(*゚ー゚)「はい、とても。 こういうのって、楽園っていうのでしょうか」

(#゚;;-゚)っ「シィ、手をとって。 私が先を歩くわ」

(#゚;;-゚)∞(゚ー゚*) ギュッ

(#゚;;-゚)「教えてあげる。 私達のいる教会のこと」

(*゚ー゚)「ついていくよ、ディちゃん」

(#゚;;-゚)「みんなの前でおじぎをして、にっこり笑うの」

(#゚;;-゚)「いいわね?」

(*゚ー゚)「はいっ」



(#゚;;-゚)

(*゚ー゚)

「ママ」
「ママだ」
「ママ!」

(#- ;; -) ペコリ

(*-  -) ペコリ

「おかえり、ママ!」
「ママおかえり! みんな待ってたよ!」
「100年ずっと、アナタを待ってたよ!」

(#゚;;-゚) ニコッ

(*゚ー゚) ニコッ



「「ただいま」」





.

422 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:32:26 ID:5H281t8g0










( ^ω^)|ムシヨニクヨ、と夢を見る百年|のようです 終










.

423 ◆EINyjQHjEo:2020/09/20(日) 22:34:49 ID:5H281t8g0
‪一周目は何も知らない子供のまま。‬
‪二周目で何も知らない子供のままではいられない。‬



お借りした絵→ No.18、No.22、No.112
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208782/18_evv8ua.png
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208781/22_jpvbtc.png
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208803/112_hlxrqp.jpg

424名無しさん:2020/09/21(月) 07:28:18 ID:CrfzQq8M0
改めて一気読みしたよ!乙!
ただ美容と拷問ってどゆこと?ママの趣味?

425名無しさん:2020/09/21(月) 07:32:30 ID:yTwS1HEs0

でぃの言葉のおかげで、謎が解けていって面白かった

426名無しさん:2020/09/21(月) 18:26:53 ID:1hSHYtyk0
改めて面白かった!
素敵な作品をありがとう!


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