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ハハ ロ -ロ)ハさよならハローさんのようです

1 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:47:30 ID:C.1DobWY0
ラノブンピック参加作品

2 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:47:55 ID:C.1DobWY0
-0-

ハハ ロ -ロ)「オーマイガッ」

ハローさんは狼狽えていた。そりゃそうだ。
何故なら、自分以外のすべてが空に吸われていくからだ。

3 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:48:15 ID:C.1DobWY0





ハハ ロ -ロ)ハさよならハローさんのようです

4 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:48:36 ID:C.1DobWY0
-1-

それは突然のことだった。
登校中、ふと何気なく触った電信柱が、
ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、と音を立てて空へと舞い上がったからだ。

ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

ハローさんは狼狽えた。
しかし、理由も分からないのでただ学校への道のりを歩くしかなかった。

5 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:48:58 ID:C.1DobWY0
-2-

道中、すれ違う自転車を駆る女子高生と目が合った。
その瞬間、その自転車ごと女子高生が、
ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、と音を立てて空へと舞い上がったからだ。

ノパ⊿゚)「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

空へと遠ざかっていく女子高生の叫び声。

ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

ハローさんは狼狽えた。
しかし、理由も分からないのでただ学校への道のりを歩くしかなかった。

6 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:49:19 ID:C.1DobWY0
-3-

ハローさんは教室に入った。
クラス中のみんながハローさんに朝の挨拶をする。

ξ゚⊿゚)ξ「ハローさん、ハロー」

('A`)「ハローさん、ハロー」

(´・ω・`)「ハローさん、ハロー」

川 ゚ -゚)「ハローさん、ハロー」

しかし、ハローさんが挨拶を返そうとしたその瞬間。
クラスのみんなが、座っている椅子ごと、机ごと、浮かび上がり始めたのだ。

7 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:49:41 ID:C.1DobWY0
ξ゚⊿゚)ξ「あ〜〜〜〜〜」

('A`)「あ〜〜〜〜〜」

(´・ω・`)「あ〜〜〜〜〜」

川 ゚ -゚)「あ〜〜〜〜〜」

机の上に置いていたトッポの中身がばらける。
机の引き出しに入れていた教科書が零れる。
しかし、それらは床に落ちることなく、机や椅子や、クラスメイトと共に
ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、と音を立てて、
鈍色の天井を突き破って空へと舞い上がっていく。

ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

ハローさんは狼狽えた。
しかし、理由も分からないのでただその場に呆然と立ち尽くすしかなかった。

8 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:50:05 ID:C.1DobWY0
-4-

ハローさんは、誰もいなくなった教室でひたすらに待っていた。
机も椅子もなくなってしまったので、晴天の見える教室の真ん中に一人で立っていた。

授業の為にやってきた先生も、みんな例外なく、
ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、と音を立てて空へと吸い込まれていった。

その度に、ハローさんはただ狼狽えるしかなかった。

やがて下校時刻となり、チャイムの音が校舎中に鳴り響いた。
ハローさんは帰るしかなかった。教室を出て、階段を降り、校門へと向かった。

9 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:50:32 ID:C.1DobWY0
校門を出たところで、ハローさんは振り返って校舎を見た。
校舎は、震えていた。

おぉ、校舎よ。
誰もいなくなったことが寂しいのか。
校舎は震えていた。地響きがした。雷鳴がとどろいた。ハローさんはおへそを隠した。

そして、ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、と音を立てて、
校舎は少しずつ、少しずつ空へと昇っていった。
目線の先には、校舎があった場所に巨大な穴の開いた校庭しかなかった。

ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

ハローさんは狼狽えた。
しかし、理由も分からないのでただお家に帰るしかなかった。

10 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:50:59 ID:C.1DobWY0
-5-

ハローさんが歩けば、
ハローさんが近付けば、
ハローさんが目線を合わせれば、

道が、
信号が、看板が、
買い物袋を提げた主婦が、
疲れた顔をしたサラリーマンが、
膝の破れたスキニーパンツを履いた金髪マッシュのいけ好かないYoutuberもどきみたいなDQNが、

ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、と音を立てて空へと吸い込まれていった。

11 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:51:27 ID:C.1DobWY0
ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

その度にハローさんは狼狽えた。
しかし、理由も分からないのでただ歩くことしかできなかった。

やがて、ハローさんは河川敷にやってきた。
ここはハローさんにとって思い出の場所だ。
どんな思い出かは、ハローさんの心の中にあるので君は知る由もない。

ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、と音がする。

12 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:52:01 ID:C.1DobWY0
ハローさんの周囲にあるすべてが、
情状酌量の余地も、容赦もなく、
無断で、無言で、理不尽に、
空へと吸い込まれていく。

散歩中の犬と飼い主が、
行き先を示す標識が、
バラバラの書類が、
野に咲く花達が、
忘れ物の鞄が、

黄昏と夜に、曖昧な境界線を残した空へと吸い込まれていく。

13 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:52:22 ID:C.1DobWY0
ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

ハローさんの肩が震えている。
ハローさんの背中が震えている。
ハローさんの全身が震えている。

おぉ、ハローさんよ。
みんながいなくなって、寂しくて震えているのか。

この世界に、たった一人だけ取り残されることへの恐怖で、
いずれ来るであろう世界に満ち溢れる静寂を想像した戦慄で、
胸中から身体を覆う肌へと伝染し外へと染み出でる慟哭なのか。

ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

ハローさんは泣いていた。

14 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:52:42 ID:C.1DobWY0
-6-

尚も世界は、ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、と空へ吸い込まれていく。

今や辺りは真っ暗闇だ。
雲も、星も、太陽も、宇宙も、空へと吸い込まれていった。

何もかもなくなり、世界とも呼べなくなった場所には、
一筋のスポットライトに照らされたハローさんだけがいた。

音のない静寂。
独りぼっちの孤独。
痛む頭痛と危ない危険。

これには流石のハローさんも気が狂ってしまいそうだった。

15 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:53:03 ID:C.1DobWY0
これには流石のハローさんも気が狂ってしまいそうだった。

ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

それでもハローさんは狼狽えるしかなかった。
理不尽に終わってしまう世界に、狼狽える以外の術などなかった。

「さよならハローさん」

ふと、どこからか声がした。

聞こえた方向へとハローさんが顔を向ければ、
今までハローさんの目の前で空へと吸い込まれていった沢山の人たちが、
虚無から現れ、ハローさんを囲んでいた。

そして、彼らは、彼女らは、みんな口々にハローさんへの別れの言葉を闇に放った。

16 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:53:25 ID:C.1DobWY0
( ^ω^)「さよならハローさん」
ξ゚⊿゚)ξ「さよならハローさん」
('A`)「さよならハローさん」
川 ゚ -゚)「さよならハローさん」
ζ(゚ー゚*ζ「さよならハローさん」
(´・ω・`)「さよならハローさん」
( ´∀`)「さよならハローさん」
( ・∀・)「さよならハローさん」
/ ,' 3「さよならハローさん」
( ゚д゚ )「さよならハローさん」
从 ゚∀从「さよならハローさん」
ミセ*゚ー゚)リ「さよならハローさん」
(゚、゚トソン「さよならハローさん」
( ゚∋゚) 「さよならハローさん」
\(^o^)/「さよならハローさん」
ノパ⊿゚)「さよならハローさん」
<_プー゚)フ「さよならハローさん」
(’e’)「さよならハローさん」
(‘_L’)「さよならハローさん」
爪'ー`)「さよならハローさん」
(  ・ω・)「さよならハローさん」

17 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:53:52 ID:C.1DobWY0
内藤ホライゾンが、ツンが、ドクオが、素直クールが、デレが、ショボンが、モナーが、モララーが、荒巻スカルチノフが、コッチミルナが、ハインリッヒ高岡が、ミセリが、トソンが、クックルが、人生オワタが、素直ヒートが、エクスト=プラズマンが、セントジョーンズが、フィレンクトが、フォックスが、佐々木カラマロス大佐が、

虚無に敷き詰められた膨大なる漆黒へと、
ハローさんを中心として波紋のように広がる、さよならハローさんの合唱。
それを告げた者から、やはり空へと吸い込まれていく。

それはハローさんも一緒だった。

18 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:54:20 ID:C.1DobWY0
この場にいる誰もが、ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーん、という音を聞いた。

ハローさんの身体が、宙に浮かぶ。
ハローさんが空へと吸い込まれていく。
ハローさんは一人じゃなくなる。

19 ◆NqJ/Phe1aU:2020/04/29(水) 08:55:54 ID:C.1DobWY0
ハハ ロ -ロ)ハ「オーマイガッ」

ハローさんは笑った。
これで私も「さよなら」が出来るのだ。
この世界から「さよなら」したみんなと同じように。

ハローさんは、最後に、君の方へと振り返って、手を振った。


https://f.easyuploader.app/eu-prd/upload/20200318142246_537843617234594f756c.png





20名無しさん:2020/04/29(水) 10:11:54 ID:t/LCVCMs0
好き

21名無しさん:2020/04/29(水) 15:13:57 ID:qMpMqpwM0
詩みたいだった


22 ◆S/V.fhvKrE:2020/05/07(木) 00:07:59 ID:7GOicOfo0
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