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戦わなければ生き残れないようです
88
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 00:25:52 ID:eGpvnoW60
( ^V^)「もう大丈夫だ」
十数分かけてゆっくりと移動し、男はやっとデレを解放した。
ζ(゚ー゚;ζ「えーっと」
( ^V^)「礼は言わなくていい。人として当然だから」
街灯の下で男を見る。
上下の黒いジャージに黒ニット帽をかぶっている。
鼻は高く顔立ちはなかなか整っている。
(;^V^)「あっごめん。胸を触ってしまっていたのは本当に申し訳ない」
両手を合わせて謝る。どうやら凝視するデレが睨んでいるように見えたのだろう。
ζ(゚ー゚*ζ「いいわ。どっかの自販機で飲み物買ってくれたら許してあげる」
最寄りの自販機でホットココアを買って男は手渡す。
ζ(゚ー゚*ζ「うーん口の中がさっぱりする。であの話は本当なの?」
( ^V^)「ああ。鬱田ドクオって聞き覚えはあるかい?」
ζ(゚ー゚;ζ「あっ、数年前に森の中で大量の死体に囲まれてたっていう…」
大学時代の暇な時期の朝にニュースで流れ、その後連日して特集が組まれていたのを思い出す。
確かやたら幸薄そうでネガティブそうな顔だった。
ζ(゚ー゚*ζ「でも確か捕まって死刑が確定したんじゃ…」
( ^V^)「奴は異常な悪食なんだ。バレないように独房のコンクリートを少しづつ齧って脱獄したらしい」
ζ(゚ー゚*ζ「でもいくらなんでもナイフで脅すあなたもちょっと異常よ」
(;^V^)「ナイフ?」
( ^V^)「喉に当ててたものならこれさ」
懐からタロットカードを出してはにかむ。
( ^V^)「試しに二枚引いてみたら運命の正位置─幸運、救いあり…死神の正位置─思わぬ失敗、死が出た」
( ^V^)「内心ヒヤヒヤしたが君を助けられてよかった」
( ^V^)「学校や仕事もあるだろうから厳しいだろうが、しばらくは家にいた方がいい」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう。家はもうすぐだから」
男も自販機で飲み物を飲み、帰って行った。
89
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 00:26:12 ID:eGpvnoW60
翌日。
ギコは早朝から戦っていた。
ブーンの馬鹿はどうせ朝はグースカ寝ているだろうから、朝早くなら邪魔が入らないと踏んだのだ。
(,,゚Д゚)「こい豚野郎。串刺しにして電柱に飾ってやる」
( ´)Д(`) 「ンな挑発に乗るかよ針金ボディくん。チャンコアタックをくらえ!」
この戦いはお互いにイライラしていたのでよく進んだ。
ギコは突然現れた乱入者に、追い詰めた契約者をかっさわれた事が尾を引いていた。
更に前日にはブーンと更に増えた馬鹿によってせっかくの戦いに水を差された事も。
あの無能刑事も契約者だったのには驚愕した。
魔術師の雑魚をさっさと捕まえろと思った。
戦車の契約者、ブーは先日自分より遥かに体格の劣るチビに負けた事にイラだっていた。
自分が覚えている限りたった二発の攻撃で意識を失った。
しかもトドメを刺さず近場のバス停のベンチに寝かせたようだ。
余計屈辱的だ。
こんなとこで寝てんじゃねえよブー太郎、とヤンキー風の男に唾を吐かれて起こされた。
一瞬で状況を把握してカッとなり、男を全力ではったおし牛丼屋で牛丼を何倍も食べた。
ブーは本名やそれをもじった渾名で呼ばれるのを一番嫌った。
昔読んだ漫画で豚やデブ呼ばわりされても寛大な態度で許す悪役に感銘を受け、豚やデブ呼ばわりされても寛容にするようにした。
だがその漫画がゲーム化した時、その悪役が豚呼ばわりされブチ切れて主人公と戦闘に発展した時は子供心に困惑した。
(,,゚Д゚)「ハァッ!」
セオリー通り距離を取って剣を飛ばす。
(,,゚Д゚)「串刺しになりやがれ!!」
(#´)Д(`) 「フンッ!」
男が力を入れると剣の切っ先が折れて跳ね返された。
( ´)Д(`) 「俺の体は重戦車の如く!おもちゃの剣なんぞ効かんわぁ!」
距離を詰めて頭を叩きに来る。
咄嗟にサイドステップで避けて走り出す。
(,,゚Д゚)「アルカナは戦車か。パワー馬鹿なわけだな」
(,,゚Д゚)「俺の唯一の優しさで忠告しとくが迂闊にバラさない方がいいな。特色から対策を立てられる」
( ´)Д(`) 「関係ねえな!対策を立てようが俺の相手は全て負けるんだからな!」
90
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 00:26:33 ID:eGpvnoW60
(,,゚Д゚)「死ぬのはてめぇだ!」
ブーは中学卒業後、そこそこ高名な相撲部屋に入った。
兄弟子どもは偉そうにしたが、ブーは持ち前のパワーで全て捻じ伏せて立場を速攻逆転させた。
師匠は究極の実力主義だったので、兄弟子達に暴力を振るったのは容認した。
自分より雲の上の大物力士にすら粗を探し出して批判するような師匠だったので
師匠のいうことをよく聞いたブーは元々性格が歪んでいたのもあってすぐ染まった。
ちゃんこ鍋が思い通りの味でないとすぐ担当の者を殴りつけて作り直させた。
だが弟弟子達には優しく、特に中学卒業後すぐに入った者の面倒はよく見た。
三年経って技もかなり覚えてきたある日、
酒に酔った師匠が部屋で一番細身の弟弟子をリンチするように命じた。
まず師匠が日本酒の瓶で後頭部を殴り昏倒させた。
絶対的な師匠と可愛い愛弟子、どちらかを選ぶか苦悩した結果
弟子に軽く、しかしよく音が響くように張り手を一発だけした。
その後師匠は弟子を押し入れに放置するように命じたが
買い出しに行っていた弟子が通報、自体はすぐ明るみに出た。
細身の弟子は死んだ。
記者会見などで師匠はあいつはヤクをやりすぎて死んだんだ、未成年のくせに酒をイッキしまくyったから死んだんだ
挙句の果てにブーを始めとした兄弟子たちが勝手にやった事だなどとしどろもどろな言い訳をした。
部屋は一旦解散し、師匠は解雇され当時の弟子達も全員やめさせられた。
頭もよくなく力しか取り柄のないブーは仕事が見つからなかった。
半グレの若者たちを力で引きつれ、カツアゲまがいの事をして生計を立てた。
よく目立つ体格のブーはよくマークされよく捕まった。
精神は常に荒れて自暴自棄だったが、ヤクには絶対に逃げないし売人などはやらなかった。
ヤクに神経を冒されて事件を起こし射殺された父親の件もあるが
力士を目指していた頃の情熱を裏切るような気がしたからだ。
ある日留置所で寝ていると、自分の部屋の元に戦車のカードが落ちてきた。
カードを手に取って誘いの声が頭に響くと靴の裏に隠し、大人しくしてさっさと釈放された。
そして真っ先に、人生をやり直したいという願いを書いた。
ブーにはもう一度力士への道を歩き直したいという気はなかった。
よくよく考えたら相撲など地味で馬鹿にされがちなスポーツだと思ってしまったのだ。
人生を子供の頃からやり直し、飯を馬鹿食いするのを控え
テニスやサッカーなどの華やかなスポーツを目指したいと思うようになった。
自分には優れた運動神経が備わってると信じていた。
スポーツをバリバリこなし推薦で大学に入るのもいい。
願いが叶ったら前世、つまり今の記憶を保ったままにしてもらおうと思った。
同じ過ちを繰り返さない為に。
人生というのは無限の分かれ道だ。
分かれ道の手前に戻る為に、もう少しだけ忌々しいこの体と相撲の技に働いてもらう。
91
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 00:26:53 ID:eGpvnoW60
(,,゚Д゚)「くらえ!」
怒涛の突き出しをすり抜け、ブーの腹にクリーンヒットのパンチを撃ち込む。
だが跳ね返される。
( ´)Д(`) 「剣すらアレなんだから拳など効かんわ。俺の体は拳法殺し!」
唖然としていると往復で何度も張り手を食らう。
( ´)Д(`) 「サウザンドラッシュ!!」
怒涛の勢いの突き出しを食らい、こらえきれず派手に吹っ飛んだ。
ブーは反対方向に走り出す。
(,,;゚Д゚)「逃げたのか?」
ドドドドドドド
けたたましい音が鳴ったと思うと、すごい勢いでブーが走り寄ってくる。
腰が抜けたままのギコは、その超特急に死を見た。
(,,;゚Д゚)「うおおおおおおおお!!!!!!」
恐怖にかられ、持ちうる限り全ての剣を射出した。
今のギコは勝つことより死の回避に憑かれていた。
全て真っ二つに折られ虚しく弾かれた。
必殺の突撃中は防御も格段に上がるのか。まさに攻防一体の重戦車。
ギコは脳裏にある人の姿を浮かべ、迫りくる死を見据えた。
「運命湾曲!」
ギコの前に魔法陣が浮かんだかと思うと、ブーの体が軌道を大きく逸れる。
(;´)Д(`) 「うおおおおおおお!!」
勢いづいた肉体は建物を悉く破壊し彼方へ消えていく。
( ^V^)「立てるか?」
頭を剃った優男がギコに手を差し伸べる。
(,;,゚Д゚)「なんだお前は!?」
( ^V^)「僕は契約者の全てを運命を見据える。隙間空間の更に隙間もな」
空間の僅かな歪みに指を捻じ込み、力いっぱい割る。
割れた鏡のように空間がパラパラと崩れ落ちる。
( ^V^)「君の運命を見定めたい」
92
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 12:12:44 ID:eGpvnoW60
第九話
93
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 12:13:08 ID:eGpvnoW60
(,,゚Д゚)「上がれ。俺の家じゃないがな」
ギコは謎の男に支えられ、勤務先の喫茶店に来た。
開店までは2時間もある。
店長は朝が弱そうだからまかり間違って早く来たりしないだろう。
(,,゚Д゚)「殺すかわりに一杯だけ奢ってやる。味は期待するな」
( ^V^)「エメラルドマウンテン」
(,,゚Д゚)「コンビニかどっかで買って飲んでろ」
( ^V^)「キリマンジャロ」
男は適当に言っただけだがギコはようやく挽き始めた。
(,,゚Д゚)「で、何のつもりだ」
( ^V^)「何のつもりだ、とは?」
(,,゚Д゚)「何故死なせなかった。あの程度の奴にやられるなら俺に生きる価値はない」
( ^V^)「契約者といえど人だ。僕は人が死ぬなんて見過ごせない」
(,,゚Д゚)「甘いな。次に隙間空間で会ったら潰す。一杯飲んだら帰れ」
(;^V^)「ギリマンジャロって酸っぱい味じゃん。これ苦酸っぱいんだけど」
(,,゚Д゚)「古い豆だったのかもしれんな。失礼した、じゃあ帰れ」
(;^V^)「まだ一口しか飲んでないぞ。それに君は死ぬ」
(,,゚Д゚)「どういう事だ」
コーヒーをどかし、テーブルの上でタロットカードをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせる。
そしてカードをまとめてトントンと揃えてからトップをドローした。
玉座に乗った王冠の男が逆さに釣られている。
( ^V^)「正義の逆位置。冤罪、不道徳、正義感なし、不公正」
(,,゚Д゚)「正義か。俺に一番遠いものの一つだな」
( ^V^)「あと一つ。一方的な恋」
(,,;゚Д゚)「よせ」
( ^V^)「初めて見た時からあんたは何か重いものを背負ってる顔だと思った。まさかその為に…?」
(,,#゚Д゚)「よせぇ!!」
94
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 12:13:29 ID:eGpvnoW60
ギコは怒りにまかせてテーブルをひっくり返す。コーヒーがこぼれる。
( ^V^)「あーあ、まだ飲んでなかったのに。また今度淹れてくれよな、カフェイン抜きで」
(,,゚Д゚)「俺に難しい事を強いるな。掃除は俺がやる」
男は店のドアに手をかける。
(,,゚Д゚)「待て、どうせお前俺に付き纏うだろ。お似合いの奴を紹介してやる」
ギコはスマホを手に取る。
( ^V^)「その前に、二人きりだけで話したい事が…」
95
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 12:13:51 ID:eGpvnoW60
(#^ω^)「いきなり急に呼び出してなんだお」
(,,゚Д゚)「モーニングセット奢ってやるんだ。ありがたいだろ」
ゆで卵とトーストと水を三人前差し出す。
( ^V^)「新速誠一だ。よろしく。」
(;^ω^)「あ、どうも」
(・∀ ・)「よろしくお願いします」
( ^V^)「あんたが戦いをかき回しているという愚者か。握手だけでわかった」
(;^ω^)「アンタも契約者!?」身構える。
( ^V^)「まぁ待って。僕も君らと同じ側なんだが」
(*^ω^)「戦いを止める側かお!!」
(,,゚Д゚)「俺を一緒にするな」目を逸らす。
( ^V^)つ「あんたにはこれをやる」
ブーンに「wands」と書かれた小さなカードを手渡す。
木の棒を持った男の絵が描かれている。
(;^ω^)「これは?」
( ^V^)「小アルカナのカードだ。電化製品でいうと拡張パーツ」
( ^V^)「あんたの戦い何度か陰で見させてもらったが、ろくな武器がなくて苦労しているらしいな」
( ^V^)「人を傷つけうる武器は好ましくないが、嬲り殺されるよりは抵抗してほしい」
チラリとまたんきを見やる。
( ^V^)「あんたも凄惨な死の運命が待ちうけている。もっと心を開いてくれないと詳しくは見えないが…
怒りによって始まり、怒りによって破滅するようだ」
(・∀ ・)「あなたは一体何者なんですか?」
( ^V^)「占い好きの僧侶さ」 ニット帽を外す。
(・∀ ・)「確かに私の契約者の人生は怒りから始まりました。こんな馬鹿げたバトルを仕組んだ誰かへの義憤でね」
( ^V^)「正義感が強いんだな」
嘘だな、という言葉を飲み込む。
96
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 12:14:19 ID:eGpvnoW60
そろそろ署に向かわないといけないので失礼します、とまたんきは水だけ飲み干して席を立つ。
( ^V^)「最後に、ここの全員が知っておかないといけない事がある」
( ^V^)「先日、巨星が堕ちた」
(;^ω^)「?」
(,,゚Д゚)「星のアルカナのあの小娘か」
( ^V^)「そうだ。あんたらは知ってるなら戦った事があるんだな」
( ^V^)「タロットの世界では星、月、太陽、審判、世界の5枚のカードは特に強大とされた」
( ^V^)「契約者の戦いでも五強と言い切って差支えないほど別格の力だ。
そんな強い契約者ですらやられたんだ。油断はしない事だ」
(,,゚Д゚)「俺は誰が相手でも生き残ってみせる」
( ^V^)「ちなみに星を破ったのも同じく五強の審判だ。
何か得体の知れない秘密がありそうだ、気を付けようみんな」
( ^V^)「それからあんたとあんたは色んな顔を持っているようだな。まるでカメレオンだ」
97
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 12:14:40 ID:eGpvnoW60
それから度々、ギコとブーンの前に頻繁に契約者が現れるようになった。
いいところで戦いを邪魔しおじゃんにするブーンに恨みを持つ者もいた。
(>)「いい加減死にな」
ξ゚⊿゚)ξ「情けない。あんたそれでも契約者なの?」
ギコの獲物を横取りした仮面の男。
ドリルのような髪型の細身の女騎士。
(,,゚Д゚)「うおおおおおおおお!!」
ギコは契約者に邂逅する度、迷いをかき消すように剣を振るった。
その度にブーンか誠一が駆けつけて隙間空間を閉じるいたちごっこだった。
一度だけ、ギコが隙間空間を壊すように懇願した事があった。
六本の腕を持った厳つい契約者との戦いの場だった。
(三)
何かを隠すような鉄仮面を被り、迫りくるものをなぎ倒していく狂暴な戦士。
六本の腕による斬撃をスレスレで避けながら、ギコは剣の投擲で仮面を叩き割る。
(,,゚Д゚)「フン。女か…」
(*゚∀゚)
(,,;゚Д゚)「!?」
動揺の色が目に広がる。
(,,;゚Д゚)「しぃ…?」
(;^ω^)つ「あっぶないお!」
女から繰り出される剣撃を突き飛ばして一緒に避けるブーン。
(;^ω^)「何やってるお!死ぬ気かお!」
(,,;゚Д゚)「あ…あ…」
剣を持つ手が震える。マトモに戦えないようだ。
(*゚∀゚)「おやあんたは見舞いの坊や。そんなにしぃを想ってくれてるんだねぇ」
女が初めて喋った。
(*゚∀゚)「でもあんたの助けはいらないよ。アタシがしぃの仇を取るんだ。」
(,,゚Д゚)「…つーさん。どういう事ですか?」
98
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/04(月) 12:15:00 ID:eGpvnoW60
(*゚∀゚)「女帝のカードと契約して、ドゥルガー女神の力を借りたんだ。
復讐の女神と言えばネメシスだけど、憎い敵を斬殺する力の強いインドの荒神の方が好みなんだよ」
(*゚∀゚)「あんた何かしらないかい?」
(,,;゚Д゚)「…」
(*゚∀゚)「アタシはしぃをあんな目に遭わせた奴を殺す為だけに契約に全てを捧げたんだ
アンタもしぃが大事なら一緒に探しておくれよ犯人を」
(,,Д)「…だ」
(*゚∀゚)「なんだって?」
(,,;゚Д゚)「しぃを…しぃさんをあんなにしたのは…俺なんだ」
(,,;゚Д゚)「だが俺はしぃさんを必ず蘇らせてみせる!だから」
バシュッ
必死に訴えかけるギコの胸を、三対の剣が紙のように引き裂いた。
自慢の騎士のアーマーもパックリと裂ける。
(,,Д)「…」
(#゚∀゚)「アンタかぁ!アンタが真犯人だったのかぁ!!」
(#゚∀゚)「よくもいけしゃあしゃあと見舞いになんてこれたもんだな!!」
(*゚∀゚)「来い!ドゥン!!」
ミ ゚Д゚彡「アオーン」
つーが名を呼ぶと、燃える鬣のライオンが現れた。
(#゚∀゚)「邪魔する奴諸共死んじまえ!!!!!」
獣の背に乗ると、剣を構えて突進してくる。
( ^V^)「運命反転!!」
ライオンの体だけが魔法陣をすり抜けて進行方向を反転させる。。
そしてつーに勢い余って激突する。
(;゚∀゚)「うわあー!」
女帝が派手に吹っ飛んでいる間に、誠一が隙間空間のコアを叩き割った。
99
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:34:07 ID:hE07bY420
第十話
100
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:34:27 ID:hE07bY420
(,,-Д-)「ううっ」
(;^V^)「しっかりしろ!」(;^ω^)「しっかりしろお!」
隙間空間を出て治癒されてもギコの傷は深かった。
それ以上に何か精神的ダメージがギコの命を急速に諦めさせている。
(,,;-Д-)「放っておいてくれ…!」
二人を振り切るいつもの力も出せないほど衰弱していた。
(;^V^)「一体あの女との間に何があった?」
(;^ω^)「そうだお!いくら相手が強いからって一方的にやられるなんてギコらしくないお!」
二人の肩をすり抜けてギコが倒れる。
(,,;Д・)「なぁぁぁーあ!!あああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
力いっぱい、自分が倒れかかったコンクリートを叩く。血が出る。
101
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:34:51 ID:hE07bY420
男は昼の間はどこかの廃工場や廃墟に隠れている。
どこかから失敬してきた、首の折れた鶏に羽根ごとかぶりつく。
味付けも何も、火すらいらない。男は腹を下した事がない。
獲物の内蔵を食らうのが一番好きだった。誰かが一生懸命に体の内で守ってるものは特別な感じがした。
男の口は食事の時だけ大きく空いて牙が生える。
未処理の肉も骨もそれで食えるので苦戦はない。
この前は空から、チョコチップいっぱいのパンが落ちてきた。
何でも好き嫌いなく食べる自分への褒美かもしれない。
だが加工品は命を食ってる気がしない。だから好きじゃない。
この前のネコもだが、少し腹を食わせてもらっただけで何故動かなくなるのだろう。
元気出せよと食いかけのパンを口に押し込んでも不機嫌だったので頭を踏み潰した。
('A`)「死にてぇ」
ネコに嫌われた事を思い出したので猛烈に死にたくなって自分の首を絞めた。
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208807/120_qlmgi1.png
102
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:35:45 ID:hE07bY420
(,,゚Д゚)「俺に治療は必要ない」
そう意地になるギコを、二人は無理矢理ふんじばって病院に連れてきた。
ブーンが検査などでよく世話になっているいつものところだ。
( ^V^)「治療代は僕達二人で出す。だから気にするな。保険証は持っているか?」
(,,゚Д゚)「ない」
(;^ω^)「僕達二人…」
( ^V^)「何か?」
(;^ω^)「ないですお…」
保険証なしでは通常の三倍だ。いくらかかるのだろうと頭を悩ませた。
(,,゚Д゚)「丁度いい、お前俺の願いを知りたがってたな。ついてこい」
ギコは受付と2、3言交わすとエレベーターに入った。
4階の404号室についた。
404.虚無の数字か。
誠一は何か背中にうすら寒いものが這い上がってくるのを感じた。
ギコが割れ物に触れるようにドアを開ける。
瓶には何も生けてなく、生活感の全くない部屋だった。
中央で可愛らしい女性が安らかに眠っている。
(*-ー-)
( ^ω^)「…お前の彼女かお?」
(,,゚Д゚)「そうなる予定だ」
(,,゚Д゚)「俺の命も最後になるかもしれん。話しておこう」
(;^ω^)「軽々しく死ぬなんて言うなお!」
(,,゚Д゚)「死ぬとは言ってない」
(#^ω^)「同じだお!!」 ギコの胸倉を掴む。
(,,゚Д゚)「あの人はこの女、しぃをこうした奴への復讐自体を願いにしている。恐らくな」
(,,゚Д゚)「ただでさえ強いのに、更に犯人である俺への特効を持ってるはずだ。タイマンでは俺に勝ち目はない」
(,,-Д-)「あの人はしぃのたった一人の姉なんだ」
103
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:36:05 ID:hE07bY420
親から感心を持たれていなかったギコは、美府大付属高校へ入学させられた。
偏差値50台の高校だった。適当に過ごして適当に大学に行って適当に就職できればそれでよかった。
親はギコに関心がなかった。金で不自由はさせなかったがネグレクトと同じだ。
結局中学までと同じで不良コミュニティに属する事になった。
付属校のくせに崩壊寸前のクラスばかりだった。
数日おきに担任が変わるのも珍しくなかった。
そんな中新しく担任になった教師は、女のくせにやたら芯が強かった。
夏服のワイシャツを目立たせる大きな胸もギコの好みだった。
体的にも体臭的にも女女していたのにキリッと毅然としていてそこらの男より男らしかったのがよかった。
ギコの不良仲間にも平然と立ち向かった。
(*゚ー゚)「ベロニカくんこの問題を」
(´・ゝ・`)「あったま悪いから答えられませ〜んww」
(=゚ω゚)ノ「先生が抱っこして黒板まで運んでくださーい!w」
(*゚ー゚)「はいはい、授業聞いてなかったのね」
(*゚ー゚)「使える頭があるのに使わないと本当の馬鹿になるわよ」
(,,゚Д゚)「…馬鹿じゃねえの」
そう言いつつ内心は徐々に惹かれていった。
ギコは勉強はそこそこえきたし授業態度も割とちゃんとしていた。
それでいて腕っぷしも強いのでコミュニティ内では尊敬されていたし逆らうものもいなかった。
ある日の休日、偶然街角でしぃ先生が絡まれてるのを見かけた。
数人がかりで囲み、胸などを触ったりしてからかっているようだった。
咄嗟に頭に血が上ったギコは、先生を除く全員を殴り倒した。
特に胸を触っていたものは頭を足で踏みつけ血が出るまで蹴っ飛ばした。
騒ぎになる前に急いで先生の手を引っ張って逃げた。
(*;゚ー゚)つ「ちょっと!いくらなんでもやりすぎよ!」
と(,,゚Д゚)「言ってもわからねえ奴にはああするしかねぇんだよ。ほら駅だ」
(,,゚Д゚)ノシ「家がどこか知らんがさっさと逃げちまえ」
その日の夜、ギコはコミュニティの№2から学校の屋上へ呼び出しを受けた。
ギコが殴った雑魚どもの中に、舎弟のかわいい弟がいたらしい。
窓ガラスを割り、不良たちは荒々しく職員室から鍵を奪った。
ギコが屋上につくと、舎弟達に加えて顔を真っ赤にした巨漢が先生の腕を鷲掴みにして立っていた。
104
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:36:27 ID:hE07bY420
(゜皿゜メ)「おいコラお前か。うちの弟の弟に血ぃ流させたんは」
体格的には軽くギコの二倍だ。だが一人ならなんとかなるだろう。
(゜皿゜メ)「やれや」
「へい」
大男が先生を乱暴に投げ捨てると、十数人の舎弟達がこぞって蟻のようにたかる。
(´・ゝ・`)「へへっ、一口頼むよ」
ギコにいつも媚びていた舎弟は先生の口に汚いものを捻じ込もうとする。
(*;゚ー゚)「な…なによこれ!」
(,,#゚Д゚)「てめぇら!」
カッとなって止めようと近づくと、巨漢に腹パンを食らう。
今日はロクに食っていないので泡立った胃液がとめどなく出る。
(=゚ω゚)ノ「なんだよまさか生娘かいセーンセ」
(*;ー;)「そ、そうよ、悪い!?」
先生の顔がカァッと真っ赤になる。暴露がよほど恥ずかしかったのだろう。
(,,゚Д゚)「先生…恥じることなんて何も…」
(゜皿゜メ)「黙れや」
ゴツゴツした手で首を捕まれる。
(゜皿゜メ)「こんな女の為に友情を捨てたんかおまんは?え?」
首を掴む手が食い込み、足が宙を浮く。
(゜皿゜メ)「もうええわ、濡れてなくても入れちまえ。慣らしたらでいいからワシに回せや」
いつも調子乗りのキンタマみたいな顔の男が先生のパンツをナイフで切り、イチモツを近づける。
(*;ー;)「嫌・・・やめて…お願い…」
(,,゚Д゚)「うごおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
潰れた喉で声にならない叫びを上げた時、風が吹いて手に何かが触れる。
(=;゚ω゚)ノ「な、なんだ?」
キンタマ男が挿入を中断し空を見上げる。
105
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:36:47 ID:hE07bY420
荒れ狂う嵐が学校を包む。
細身の剣が不良達を貫き、肉を骨を削る。
断末魔は嵐にかき消される。
校舎のガラスが割れる。
気が付けば血が足についていた。
巨漢の手首だけ喉に張り付いていた。
(,,;゚Д゚)「助かった…のか?」
とっさに屑肉の嵐の中から先生を探す。
女特有のほっそりした足首とパンプスが落ちている。
(,,;Д;)「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
後の事はギコはよく覚えていなかった。
いつの間にか手元にあった月のアルカナのカードを見た。
指を噛み切って血文字で願いを書いた。
休み明けで誰か人が来る前に逃げた。ひたすら逃げた。
106
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:37:09 ID:hE07bY420
(,,-Д-)「以上だ」
(;^ω^)「まさか例の学校内の死亡事件がギコの仕業だったとは…」
(,,゚Д゚)「何か文句があるか」
(;^ω^)「人を殺したのはダメだけどそれで人が助かったわけだし…」
(,,゚Д゚)「そうだ。俺は契約者になる前にすでに人を殺している」
(,,゚Д゚)「だから契約者どもを倒していっても人殺しの経歴に大差はない」
( ^ω^)「…僕は…」
(,,゚Д゚)「どうした?蔑むか見下すか?」
( ;ω;)「僕も大事な人が汚されそうならそうするかもしれないお!!」
(,,;゚Д゚)「…ッ」
面食らう。
バカで正義感の塊で曲がった事は許さなそうなブーンからそんな言葉が出るとは思わなかった。
( ;ω;)「僕にはまだわからないお…ギコがこれ以上罪を増やさないように止めるのが正しいのか…」
( ^V^)「…戦いを止める事は間違いではない」
( ^V^)「既に脱落した者はどうしようもないが、まだ生きている契約者を守ることにはなる」
(,,゚Д゚)「…俺が戦いをやめればしぃは多分死ぬしかない」
(,,゚Д゚)「願いは半分しか叶ってないんだ、肉体は綺麗に再生されていたが魂が戻っていないんだろう」
(,,゚Д゚)「あの日から今まで、彼女の意識が戻ったためしはない」
(,,゚Д゚)「俺が戦いを拒めば剣の呪いが俺を内側から引き裂くだろう」
(,,゚Д゚)「だからマラソン選手のように、息が切れても苦しくても戦い続けるしかない」
(;^ω^)「そんな…」
(;^V^)「戦いを続けても止めても地獄か…」
拳を額に当てて誠一は悩む。
(,,゚Д゚)「俺は戦いを降りる気はない。もう俺に関わるな」
( ^V^)「まぁ待て。せっかくだから今度は僕の番だ」
深呼吸すると自分の生い立ちを語った。
107
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:37:29 ID:hE07bY420
誠一は仏教系の学校に進学し、卒業するとすぐさま僧侶の道を歩んだ。
ごく普通の無宗教な彼がその道に至ったのは、従兄弟の存在が大きい。
小さい頃からよく遊んでくれたりゲームをくれたりした従兄弟。
その従兄弟が、誠一の中学卒業間際に自殺した。
誠一は一週に一度は考えた。
自分にできる事はないだろうかと。
そして従兄弟のような人を出さないために、仏の道に行く事を決意した。
世界一普及している宗教はあまり好きではなかった。
信じれば救われるというが、それはつまり人生に毎日訪れる半分を宗教に捧げて信じ続けるということだ。
誠一は人に何かを強いる事のできる人間ではなかった。
誠一は傲慢のようなものを感じて「救う」という言葉をあまり使わなかった。
仏門に入ってから最初に助ける人間は決めていた。
小学生の頃にやたらイタズラをしてくるクラスメイトがいた。
誠一も度が過ぎて怒り、殴り合いの喧嘩に発展した。
ビコーズという奴だった。
雨降って地固まるというが、まだ小学生だけあって殴り合いの後は仲良くなった。
お互いの家に遊びに行くほど仲良くなった。
中学年の頃に家の都合で引っ越しが決まった。
実は父の起業失敗で逃げるような夜逃げに近いものだったのは後年知った。
突然すぎて、お別れ会などもできなかった。
元々人付き合いが好きではない誠一は、転校先で友達もあまり作らず一人で遊んだ。
今で言うナード臭のする、でも見た目はかっこいい従兄弟が死んで完全に遊び友達はいなくなった
仏教の学部がある学校の卒業見込みが出て、場違いな時期に小学校の同窓会があった。
これから人の悩みを幸せに変えて助ける道へ行くのだ、コミュニケーションを取るのも悪くないと思った。
誠一は大人しくて目立たないが悪い事をするタイプではなかったので、小学校以来のクラスメイト達も好意的に迎えてくれた。
同窓会でビコーズの事を聞いてみた。
受験失敗して引きこもったとか自殺したとか噂が流れていた。
誠一は決意した。噂が流れるのは信憑性があるからだ。まず彼を助けよう、と。
108
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:37:49 ID:hE07bY420
だがまず学校卒業後にある僧侶の修行を終わらせて一人前になって会う事が恩返しになると思った。
今思えば、今すぐこの町に帰ってきて会って話を聞けばよかったのだろうかと後悔する。
誠一は人一倍努力をした。平均で三年かかる修行を半年で終わらせた。
そしてこの町に戻ってきてビコーズを探した。
実家の自分の部屋に引きこもっていた。
ビコーズの両親は快く迎えてくれ、無理矢理ビコーズを玄関外に連れ出した。
目はうつろで頬はこけていた。
まず十数年ぶりの再会の記念に食事を奢った。
たれがバチバチと跳ねる、大根おろしの乗った鉄板カツだった。
坊さんが肉食っていいの?
修行僧時代はね。卒業できたら普段は肉も食うよ
( ∵)「そうかぁ。…の晩餐としては十分かな」
( ^V^)「ははは。今はまだ昼だぜ」
小学校の頃のやんちゃっぽさは影を潜め、穏やかな口調になっていた。
( ∵)つ「これやるよ。僕の宝物」
( ^V^)「タロット一枚?これじゃ占いもできないぜ」
食事を終えて、小学校の頃よく帰りに遊んだ公園まで散歩した。
小学校は跡形もなく廃校になっていたが公園は割と綺麗に残っていた。
( ∵)「そのカードの裏に願いを書いてみな。叶うぜ」
( ^V^)「風変りの七夕だな」
鞄からペンを取り出し「世界が平和になりますように」と書いた。
( ∵)「書いたか?」
イライラするように急かす。
( ^V^)「書いたかいた」
( ∵)「じゃあ最後の晩餐の消化時間だ」
木枯らしも何も吹かない静寂の公園があった。
ベンチに座る誠一を殴りつける。
109
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:38:13 ID:hE07bY420
(;^V^)「何するんだいきなり?」
( ∵)「小学校の頃のケリをつけようぜ。僕はあの頃から前に進んでいないんだ」
顔面を殴りつけてくるのを片手で受け止め押し返す。
(;^V^)「俺達はいくつだよ?暴力なんて柄じゃないって!」
小学校の頃と同じ、握り拳を武器にして殴ったり叩いたりを繰り返すビコーズ。
( ∵)「君の夢は僕が奪う!!」
何かを投球するような動きをすると、空中から唐突に塔が逆さを向いて現れた。
細身の塔の外側に螺旋階段があり、ネットで見たアンブルワワ・テンプルのようだった。
その塔の先端が誠一に落ちてくる。
(;^V^)「うわぁぁぁぁぁ!」
死にたくないと、せめてもの抵抗に塔の前に両手をかざす。
それが最初にして最後になるであろう、必殺の運命反転の発現であった。
手の前に魔法陣が現れ、人を押し潰すには十分なミニチュア塔を飲み込む。
そして一瞬だけ静寂が訪れ、相対する側から虫を押し潰すような音が鳴った。
ビコーズは塔の尖りに腹を刺され、支えのない逆さ塔に体の大半を押し潰された。
(∵)「やったな…」
半分だけ塔の外に出た顔が誠一を見る。
(;^V^)「うわぁぁぁ」
これは夢だ。四つん這いになって必死に走りさる。
やがて元の木枯らしがビュウビュウうるさい公園にいた。
鞄がベンチに置いてあった。
ビコーズは横にいなかった。
110
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:38:34 ID:hE07bY420
(,,゚Д゚)「…」
( ^ω^)「じゃあ、あなたが戦っているのは…」
( ^V^)「あいつの犠牲を無駄にしない為だ」
爪'ー`)「無駄に重い話垂れ流しやがって。気がメイルシュトローム」
部屋の外の壁にもたれかかっていたフォックスが入ってくる。
ギコがフォックスの胸倉を掴む。
(,,゚Д゚)「貴様が審判か。情にほださせてだまし討ちとはやるもんだな」
( ^V^)「待て。彼は─」
爪'ー`)y‐「法王だ」
ギコの手を払いのけ、スーツの襟を正す。
爪'ー`)y‐「俺の能力、雇ってくれたら教えてやるよ」
(;^ω^)「病院内は喫煙…」
爪'ー`)y‐「火はつけてねえよ。咥えてるだけでもかっこいいだろ?」
爪'ー`)y‐「しかし病院で不幸自慢大会とか湿っぽさの極みだな。明るい話はないのかよ?」
(,,゚Д゚)「星がやられたという、契約者にとっての吉報なら」
爪'ー`)y‐「そっか、ヒーちゃんやられちゃったか」
(,,゚Д゚)「貴様悲しくないのか?」
爪'ー`)y‐「別に。契約者になった以上戦いで散る事もあるでしょ」
爪'ー`)y‐「傭兵時代は隣の奴の顔面が吹っ飛んだりザクロになるのなんて日常ちゃめしごとだったしな」
爪'ー`)y‐「俺は自分の為に戦ってる。ヒーちゃんを見初めたのも将来いいケツの女になると思って─」
バキッ
爪'ー`)y‐「何よ。モテモテな俺に嫉妬したの?」
(,,゚Д゚)「別に。戦いに適当なお前に腹が立った」
爪'ー`)「そういやあんた。塔の奴は死んだのか?」
( ^V^)「どこから話を聞いていたんだ?」
111
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:39:31 ID:hE07bY420
爪'ー`)「割と最初から。お前ら仲良くヨタヨタ歩いてたのを見てな」
( ^V^)「あいつは死んだはずだ。自ら刺さった塔に押しつぶされた、助かるはずがない」
爪'ー‘)「死を確認したか?カードは抜いたか?」
( ^V^)「いや、気が動転して逃げ出した…最期は見てない」
フォックスは肩をすくめてかぶりを振った。
爪'ー‘)「厄介な奴に渡ったもんだねぇ」
(;^ω^)「どういう事だお?」
爪'ー‘)「今朝、すごいかわいい女の子と戦ってきたんだよ」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208812/132_syxud2.png
爪'ー‘)「銃を撃っても体を砂のようにバラバラにして避けやがる」
爪;'ー‘)「いつの間にか目の前に砂を集めて現れて、桜を固めて刀を作って斬ってきやがる」
爪'ー‘)「ある意味ヒー君の瞬間移動より軌道が読めない分厄介かもな」
爪'ー‘)「まぁいくらバラバラになろうが俺のエンドオブザワールドなら一網打尽だろうがな」
爪'ー‘)「でもかわいい女の子だから殺さずどうにかモノにしたいと悩んでたとこだ。胸は控えめなのが惜しいがな」
(;^ω^)「…」
爪'ー‘)「そこにいきなりピサみたいなブッサイクな塔がおっかぶさったんだ」
爪'ー‘)「どっかで一度見たような陰キャみたいな面の奴が塔を凄い勢いで蹴りまくった」
爪'ー‘)「バラバラに砕けた塔から出てきた女の子はぐったりしてた。奴はそれを食った、性的な意味じゃなくてな」
爪'ー‘)「ちょっとキレた俺はエンドオブザワールドをぶちかましたが新たに塔を盾にされて逃げられちまったい」
爪'ー‘)「つまりあんたがお友達を処理してやらなかったから俺の大事な女の子が死んだわけよ」
(;^V^)「恐らく人を平然と食える能力…脱獄犯のドクオだな」
爪'ー‘)「奴が塔だと思い込んでいたが単に契約者を食ってアルカナを手に入れてただけだったんだな」
爪'ー‘)「あんた責任を取って成敗してくれよ」
爪'ー‘)「俺はやだよ。勝負ってのは一瞬でカタをつけるのがベストだ、汗臭い男とつんぐほぐれつなんて趣味じゃない」
フォックスは言うだけ言って帰って行った。
(,,゚Д゚)「もう俺にはかかわるな、ここにも来るな。話があるなら隙間空間で殺しながら聞いてやる」
112
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 16:39:53 ID:hE07bY420
全員解散した後、ブーンは花を持って病室に帰ってきていた。
( ^ω^人)
ブーンは花を花瓶に差して祈った。彼女の意識が戻るように。
そうすればギコは戦わなくてよくなる。
契約を解除する方法は今のところないが
契約者達を説得してお互い戦わないようにすればいい。
戦いをしなければ契約に殺されるというのなら、自分が戦っていくらでも自害してやる。
小一時間ほど祈り、ブーンは食事をしに帰った。
夜。
(*゚∀゚)「これは…あの男か!!」
花を忌々しげに握り潰して捨て、つーは妹の上に跨った。
113
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 20:09:42 ID:hE07bY420
第11話
114
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 20:11:08 ID:hE07bY420
翌日。
ギコは一応の母校に侵入しようとしていた。
そこでまさかの奇襲を受ける。
気配を感じてとっさに大きい顎を避ける
('W`)「があ」
(,,;゚Д゚)「隙間空間かッ!」
力を入れると手から剣が出る。
やはり隙間空間のようだ。
('A`)「どうやら最低限の学習能力はあるようだな」
あのキザ男の話では、塔を自在に召喚する能力を得ているはずだ。
校庭のような広い場にいるのは危険だ。
(,,゚Д゚)「冥土の土産だ」
持っている剣を投げつける。
('A`)「いるか」
ピサの斜塔を出し、盾にする。
剣はあっさり砕けた。
(,,゚Д゚)「ハァッ!」
一階の壁にもう一本剣を出し、柄に捕まる。
剣を起点にし、筋力だけで二階窓に張り付きぶち割って教室に侵入する。
見た限り、大きめの塔しか出せないようだ。
ならば密室や屋内にいれば動きを封じられるだろう。
それにしても誠一はどこに行ったのだろう。
一緒に敷地内に侵入したはずだが、隙間空間に出る時は座標がバラけるときもあるのか?
('A`)「逃げるなー」
ドクオが玄関に入ってくるのが見える。
こちらに向かってくるのは明確だろう。
剣のトラップを廊下に仕掛けておく。
空中の剣に気付かず上がってくればグサッ、だ。
( ^V^)「よっ。僕を刺すのはやめてくれよ」
(,,゚Д゚)「お前今までどこにいた」
115
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 20:11:28 ID:hE07bY420
( ^V^)「トイレに転送されてしまっていた。遠巻きに様子を見させてもらっていたよ」
(,,゚Д゚)「最初に奴と遭遇した時はロクな言葉を喋れないようだったが」
(;^V^)「運命の力で見たが、奴の元々持っていたアルカナは悪魔のようだ」
(,,゚Д゚)「不吉なアルカナだ」
カツカツカツと、奴が階段を登ってくる音が聞こえる。
(;^V^)「悪魔のアルカナは、食うという原始的な力で食べた者の力を直接取り込むようだ」
( ^V^)「恐らくビコーズも、脳ごと食われて知性を吸収されたのかも」
(,,゚Д゚)「3…2…」
('A`)「よっ」
(,,;゚Д゚)「いっ!?」
奴は二階に上がってくるなり、巨大な塔を召喚した。
ガシッとバケモノじみた握力で、塔を掴み指の取っ手を作る。
(,,;゚Д゚)「馬鹿か奴は。この中で突っ込んでくるつもりか」
嫌な想像通り、そのまま真っ直ぐ突っ込んでくる。
呆気に取られてワンテンポ遅れて罠の剣を射出するが、むなしく柄ごと砕け散る。
逃げ場がない。
(;^V^)「こっちだ!」
誠一に手を引かれ、侵入してきた教室に入る。
廊下の突き当たりの壁が砕ける音が響く。
('A`)「無駄な努力をするな。味あわせてくれよ、血の味を」
塔を振り回す。教室の天井、黒板が砕け散る。
とっさに二人は伏せるが、瓦礫が頭上に落ちてくる。
フォックスが言っていたような塔に閉じ込める技は使えないようだが、どっちにしても詰みだ。
次の一振りで全てが決まる。
('A`)「じゃあな」
(;^V^)「空間湾曲!」
魔法陣が塔の軌道を狂わせる。
隣の教室を跡形もなくする。
だがすぐにこちらに塔を振りなおしてきた。
116
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 20:11:51 ID:hE07bY420
( ´∀`)「この学校を荒らすのは誰だモナ!」
('A`)「お゛っ」
ドクオの体勢が崩れ、塔が明後日の方向に飛んで地面を抉る。
('A`)「誰だ貴様」
( ´∀`)「無礼者に名乗る名はない!」
どこからか男と同じ顔の人間が複数現れ、ドクオに抱きつく。
('A`)「うおおおおおおおおお」
複数の男に押され、二階から落ちていく。
(,,゚Д゚)「あんたはモナー先生か」
ギコはほっと一息つく。
(,,゚Д゚)「まさかあんたが契約者とは」
( ´∀`)「君は誰モナ?うちの生徒?」
(,,゚Д゚)「元生徒だ」
( ^V^)「隙間空間の隙間は暴いた。じき戻れる」
( ´∀`)「よかったら話を聞かせて欲しいモナ」
(,,゚Д゚)「いいだろう」
117
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 20:12:13 ID:hE07bY420
授業があらかた終わった後にモナーは具合が悪いと早退し、自宅で二人と落ち合った。
(;´∀`)「あーあ、明日ほかの先生方からの視線がきっと痛いモナ」
(,,゚Д゚)「話を聞きたいと言ったのはアンタだ」
( ´∀`)「まぁ確かにそうモナね」
買ってきたペットボトルの茶を三本置く。
(;^V^)「すいません、僕まで」
( ´∀`)「いいんですよ。君はいい人そうだし」
( ´∀`)「さて、聞きたいのは君達の願いモナ」
(,,゚Д゚)「なんでそんな事を聞く」
( ^V^)「彼は大事な人を助けるために。僕は戦いを止める為に」
(,,;゚Д゚)(オイ!)
( ^V^)(もしかしたら僕達の味方になってくれるかもしれない。正直に言った方がいい)
(,,;゚Д゚)「ぬぅ」
確かに、わざわざ敵である契約者を家に誘い入れるくらいだ。
こいつやブーンのようなお人好しでも驚かない。
( ´∀`)「君は合格、ギコ君だっけ?君は失格」
(,,;゚Д゚)「は?」
( ´∀`)「君は大事な人の為に、人を殺していいと思うモナ?」
( ´∀`)「倫理的にもそうだけど、そうまでして助けてもらってその人が喜ぶとでも?」
ああ、始まった。
(,,゚Д゚)「教師柄か?分かり切った説教する為に生きてるのか」
( ´∀`)「分かり切った事?考えを改める気があるモナ?」
モナーの目が期待で輝く。
(,,゚Д゚)「ないね」
(,,゚Д゚)「俺が人として間違ってる事は自覚してる。だがそれでも」
(,,゚Д゚)「生きていて欲しい人間がいる。何を犠牲にしても生きていてほしいと思うのも人間なんじゃないか」
118
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 20:12:35 ID:hE07bY420
(,,゚Д゚)「あんたにも奥さんがいたよな。奥さんが危機になったら守りたくならないのか」
( ´∀`)「妻は一月ほど前に死んだモナ」
テーブルの写真に指をやる。
|゚ノ ^∀^)
(,,゚Д゚)「俺が学校をやめた丁度くらいか。知らなくて当然だな」
(,,゚Д゚)「で、奥さんを生き返らせる為に契約者に?」
( ´∀`)「いや、僕は妻を忘れたいんだモナ」
(;^V^)「…?」
( ´∀`)「僕と妻は仲が悪かったわけじゃない、むしろ真逆でベタベタだったモナ」
( ´∀`)「知ってるかな。愛っていうのは呪いと同じものなんだモナ」
( ´∀`)「まだ若い君にはわからないと思うけど」
(,,゚Д゚)「…」
( ´∀`)「愛が深ければ深いほど、その人が消えた時にしっぺ返しを食らうんだモナ」
( ´∀`)「いっそ出会わなければよかったとすら思う」
( ´∀`)「そしてその後の人生にも影響を及ぼす」
( ´∀`)「呪いに変わった愛はやがて愛する人の姿を取って深海に引きずり込む」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208803/112_hlxrqp.jpg
( ´∀`)「僕の願いがくだらないのもわかってるモナ。頭打って記憶喪失でもしてろって話だモナな」
( ´∀`)「でもそんな僕の願いよりも更にアレな願いの人がいたなら僕が倒して願いに近づく」
( ´∀`)「僕が崇高だと思った願いの人になら喜んで倒されて糧となろうモナ」
( ´∀`)「そっちの君は見込みがあるモナ。でもその前にアレな願いの人達を掃除するのが先モナ」
(,,゚Д゚)「要するに主観の選民思想。くだらん、次に会う時までに命を捨てる覚悟をしておけ」
肩に脱いだコートをかけ、玄関に向かう。
( ´∀`)「あ、ギターいるかモナ?弦切れてるけど直せば使えるモナよ」
(,,;゚Д゚)「唐突になんだ。いらねえよ」
そういえばあの馬鹿は珍しく介入してこなかったな、と思う。
119
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/05(火) 20:13:05 ID:hE07bY420
同日。
ブーンはいつもの探偵業の途中で契約者に襲われた。
(;^ω^)「ギコ!なんで…」
(,,゚Д゚)「お前は邪魔なんだよ。死ね」
サーベルを振りかぶる。
(;^ω^)「しぃさんの事を離してくれたのは心を開いてくれたのかと…」
(,,゚Д゚)「なんだっけ、それ」
サーベルを突き出して更に蹴り上げる。
(;^ω^)「グッ!美府病院に入院中のしぃさんの為に戦ってるんだろぉ?」
(,,゚Д゚)「些細な事じゃあないか」
(;^ω^)「なッ!?」
(,,゚Д゚)「嘘だったんだよ。あんな奴本当はどうでもいいから」
(;^ω^)「馬鹿な…」
強化されたサーベルで頭を叩く。血すら出ない。石頭だ。
(;^ω^)「うおー痛いおー!やめるお!」
(,,゚Д゚)「馬鹿はお前だ。契約者は常に孤独だ。自分以外は信用するな」
チャキッ
(;^ω^)「本気かお…」
ブーンに拳銃を向ける。
あれ、ギコは拳銃なんて持っていたか?と疑問が浮かぶ。
まぁこんな性格だから本気で殺す用に隠しておいた線もある。
剣もいつもみたいに何本も出さないで一本だけでこんな戦えるとは。
ギコの隠された実力にブーンは驚いた。
(,,゚Д゚)「死ね」
銃弾を胸に当てる。
ブーンは倒れる。
(,,゚Д゚)「ククク…」
120
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:15:44 ID:ooLGbWQg0
第12話
121
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:16:06 ID:ooLGbWQg0
数日後。
今日は世間的に休日だからか、契約者の数がばかに多かった。
愚者ブーン。
謎の契約者ツン。
女帝つー。
皇帝モナー。
法王フォックス。
戦車ブー。
運命誠一。
節制デミタス。
月のギコ。
謎の契約者、ミルナ。
他更に不明契約者4名。
今日は異様だった。隙間空間が町全体に広がっているかのように広い。
122
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:16:27 ID:ooLGbWQg0
(,,;゚Д゚)「くそ!あれが見つからないうちに戦いとはなッ!」
(;^V^)「今回のこの広さでは隙間探しが大変そうだな…」
ギコに近づけさせまいと、誠一は標準武器の爆弾タロットを生成しひたすら投げていた。
だがほぼ全てつーの六撃の刃で切り裂かれていた。
しかしそれでもギコとの交戦は避けさせたかった。
つーの願いでギコへの特効が備わっているとすれば、下手をすれば死ぬ。
( ´∀`)「行け!家臣達!」
モナーが現れて多数の人型をつーに向かわせる。
( ´∀`)「美しいお嬢さん。君の願いを聞こう」
(*゚∀゚)「ランプの魔神かよてめー!!復讐それあるのみだ!!」
( ´∀`)「君も相応しくないモナな!覚悟するモナ!」
無尽蔵に兵士を呼び出しつーに向かわせる。
つーは一閃し数体を一気に消し去る。
エクストリームわんこそば。永久に戦いが終わらなそうだった。
(#^ω^)「ギコぉぉぉぉぉ!!」
太い棒を持ったブーンがギコに殴りかかる。
(,,;゚Д゚)「ッ!?」
モナーと誠一に守られていたギコは、この戦いで初めての回避をした。
(,,#゚Д゚)「なんのつもりだ!ついに戦う気になったか!」
(#^ω^)ニア 「ふざけるなお!昨日僕を襲ったのはそっちだお!!」
(#^ω^)「嘘の話で同情させてやっちまう気だったのかお!!」
(;^V^)「昨日…何の話だい?」
(,,;゚Д゚)「さぁ…」
自衛の為に双剣を出す。
(*^ω^)「あれ!?モナー先生おひさっすお!」
(*´∀`)「ブーン君か。元気してたモナ?」
(;^ω^)「いやあ実は仕事やめちゃって…」
(;^V^)「先生先生!女帝が迫ってきてますので!」
123
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:16:48 ID:ooLGbWQg0
(#´)Д(`) 「畜生!今日こそ奴はいないのか!!」
ブーは今日こそロマネスクを倒す為にいきり立っていた。
ξ゚⊿゚)ξ「ハァッ!」
ブーの背後からレイピアで斬りかかるツン。
(;´)Д(`) 「ぐああ!!」
慌てて筋肉を締めてキズを閉じる。
(;´)Д(`) 「なんだ貴様!」
ξ>⊿<)ξ「きゃっ!」
張り手をくらい吹っ飛ぶ。
(#´)Д(`) 「女といえど俺に牙を剥いた事を後悔…」
(;´)Д(`) 「うおっ」
古物の刀が横切る。
(´・_ゝ・`)「女子をいじめるのは感心せんな」
( ´)Д(`) 「アホか!契約者バトルに男も女も関係あるかい!」
爪'ー`)y‐「さてさて契約者がいっぱいだぁ。誰から声かけようか」
ビルの屋上でフォックスは屋上から戦いを見ていた。
爪'ー`)y‐「誰だ!」
咄嗟に背後を振り返る。レオタードのエロい女が浮いている。
ミセ*゚ー゚)リ「きゃーこの人銃なんて持ってるわ。こわぁい」
爪*'ー`)y‐「おっなになに迷い込んだレイヤーの子?よかったら俺と─」
( ФωФ)「そうだな。お手隙なら吾輩と手合わせ願いたいのだがな」
胴着に格闘用グローブを身につけたロマネスクが音もなく立っていた。
爪'ー`)y‐「なんだよーこの子お前の彼女?冷めるようなことすんなよなー」
爪'ー`)y‐「ま、いいけど」
フォックスは軍服の幾つもあるポケットから玩具のようなものを取り出す。ガトリングに変わった。
124
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:17:12 ID:ooLGbWQg0
(*゚∀゚)「誰だァ?てめェら…」
終わりのない戦いに誰かが銃撃で水を差した。
女帝の力を得たつーの脇腹から薄く血がにじんでいる。
( ゚д゚ )「制裁銃剣パニッシュオブデス」
男は十字架型の銃を持っている。
( ゚д゚ )「復讐の為に戦うなど愚の骨頂。清浄なる世界には不要ですね」
重そうな十字架のトリガーを引く。
(*゚∀゚)「二度も通じるかぁ!」
剣で光弾を弾く。
( ゚д゚ )「いいですか皆さん。この機会に契約者の皆さんを浄化してあげましょう」
川 ゚ -゚)( ゚∀゚) 川・_ゝ・`)从`゚∀从「了解。清浄なる世界の為に」
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三人は一斉に拳銃を構える。
一人は胸のポケットからガラケーを取り出す。
(*^ω^)「お…」
割と大きい胸に目が行く。
ピピピ、と何かダイヤルを撃つ。
携帯を閉じて右手で空にかざす。
( ゚∀゚)「変身!」
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(;^ω^)「え?マジ?ファイ…」
( ゚∀゚)「んなわけねーだろアホ!」
一瞬で間合いを詰め、膝蹴りをかます。
(*^ω^)「ボフッ!」
痛いが、突進と膝蹴りのアクションで胸が大きく断続的に揺れたのを見てブーンは少し満足した。
( ゚∀゚)「こいつ本当に契約者か?覇気がねーんだよ覇気が」
曲げたガラケーから光線を撃ち出す。
(;^ω^)「あち!あち!バーストモード!」
125
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:18:26 ID:ooLGbWQg0
(#゚∀゚)「あぁん!?バストだぁ?胸ばっか見てんじゃねーよマヌケ!」
光線銃を食らい倒れたブーンを追撃でゲシゲシする。
(*^ω^)「つ、次はパンツのサービスかお…」
(#゚∀゚)「ああ、てんめぇ!皆こいつからやっちまおう!」
他の三人が拳銃をブーンに向ける。
(;^ω^)「あわ!あわわわ!」
慌てて立ち上がり必死で避ける。
足跡を銃撃が追う。
リーダー格らしき男はつーと交戦している。
十字架銃から光のブレードを伸ばし、それだけで六本の剣と渡り合っている。
(;^V^)「ギコ君!今のうちに離れよう!」
(,,;゚Д゚)「しかし俺はしぃの為に…」
(;^V^)「その為にも一旦引くんだ!今あの女と戦えば負ける!」
从`゚∀从「おっと逃がさねぇ」
ブーンに銃撃を放っていた一人が、脅威の跳躍で二人の前に立ちはだかる。
高い背と脚からのハイキックで吹き飛ぶギコ。
从`゚∀从「あんたマジで逃げる気?何の為に契約者になったの?」
从`゚∀从「戦いを楽しめないならさ、くすぶってないで本気で消えちまえよ」
(,,゚Д゚)「上等だ」
双剣を構えて誠一に目配せをする。
(;^V^)「ギコ!!」
(,,゚Д゚)「戦わなければ俺に生きる資格はない。まずこいつを倒して力をつける」
剣を一本飛ばす。身を逸らした男の右足に刺さる。
すかさず刺さった剣を抜いてギコにたたきつける。
双剣で受けるが、力負けしてギリギリと押されかける。
(;^V^)「いくら契約者の治癒能力があるとはいえ躊躇なく刺されて引き抜くなんて…」
从`゚∀从「俺は生まれた時から血に飢えたベルセルクなのさ」
从`゚∀从「それに不死身なんだよね。センセイのおかげで」
126
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:18:46 ID:ooLGbWQg0
爪;'ー`)y‐「やるじゃないなかなか」
ガトリングの放射を紙一重で避け、何度も肉薄してくるロマネスク。
繰り出される拳を避けるフォックスもなかなかのものだった。
爪;'ー`)y‐「なんとな〜く思い出したがお前アレだろ?殺人拳法の当代ってやつ」
( ФωФ)「よく知っているな。そういうお主は伝説の傭兵だったか?」
爪;'ー`)y‐「海外暮らしが長いと噂くらい聞くさ。色んな闇大会荒らし回ってたそうじゃない」
( ФωФ)「お主の師匠と名乗る傭兵と大会で当たったぞ。隠し銃を撃ってきたので返して目を潰してやったが」
爪;'ー`)y‐「はぁ?俺は独学だからそんな弱いフカシ師匠いないよ」
爪'ー`)y‐「それにさっきまで撃ちまくってたのに返してこないのよ一度も?」
( ФωФ)「吾輩があれを使うのは格闘大会で撃ってくる阿呆にだけだ。これはルール無用だろう」
爪'ー`)y‐「そうかい。命取りにならなきゃいいがなッ!」
アーミーナイフを構えてじりじりと様子を見る。
( ФωФ)「ここまで心を熱くさせてくれる男は契約者で初めてだ。肝心な時に奴がいなくてミセリの餌に困ってたからな」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。闘気おいしいおいしい!」
爪'ー`)y‐「そうかい、そりゃよかったな…あッ!」
爪;'ー`)y‐「悪いが一旦休戦だ。会わなきゃならない奴ができた」
素早くビルを飛び降りると、撃ち終わったランチャーを軸に着地する。
ξ;゚⊿゚)ξ「駄目だ…こんなアルカナじゃ…勝ち残れない」
(´・_ゝ・`)「ハァッ!」
( ´)Д(`) 「オラァ!」
お互いの一閃と張り手をかわしつつ、一瞬の隙を伺う二人。
(´・_ゝ・`)「ちょっと御免!」
ツンを抱え走り出す。
127
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:20:02 ID:ooLGbWQg0
(;^V^)「不死身…?どういう事だ」
从`゚∀从「センセイ筆頭に俺達5人は全員審判アルカナだ。ヒントをやるよ」
双剣を打ち砕き、ギコの鎧に切れ目を入れたハイン余裕そうに説明する。
( ^V^)「同一のアルカナを複数人で共有だと…?どういう」
爪'ー`)y‐「いい事教えてくれたな。どけ」
ランチャーでハインを殴り飛ばし、渦中に向かう。
(;´∀`)「よくわからんがくらえモナ!!」
十数体の兵士をつー達に差し向けて特攻させる。
( ゚д゚ )「!!」
ミルナが超高速で動き、一瞬で兵士を全て斬り砕く。
川 ;゚ -゚)「なに!?」
ブーンを狙うクーの腕を引っ張るフォックス。
爪'ー`)y‐「よう。あんたも審判か」
川 ゚ -゚)「そうだ。腐った世界に裁きを与える清浄なる使いだ」
爪'ー`)y‐「実の妹を殺したのかい?」
川 ゚ -゚)「ああ、あんたはヒートの。どうしてそう思う?」
爪'ー`)y‐「姉って事は否定しないって事はマジか」
爪'ー`)y‐「あのおっさんがいきなり高速移動始めたのがその証拠でいいと思うんだがな」
爪'ー`)y‐「で、ヒートにトドメ刺したのはあんた?」
川 ゚ -゚)「審判に個人の区別はない。みんなでトドメを刺した」
爪'ー`)y‐「そうかい。もういいぜ」
クーの背中をポンと押して、戦場に戻れという意思を伝えた。
128
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:20:22 ID:ooLGbWQg0
川 ;゚ -゚)「デミタス!?」
川・_ゝ・`)「今度は私の番。交代ね」
痩せた女の子が走り去っていく。
その先にはデミタス。
(´・_ゝ・`)「妹よ!」
川・_ゝ・`)「やっぱりお兄ちゃん!」
(´・_ゝ・`)「なんでここに?」
川・_ゝ・`)「関係ないでしょ!それより何よあの女!」
(´;・_ゝ・`)「え?」
川#・_ゝ・`)「お兄ちゃんの家になんか幼女がいたでしょ!」
(´・_ゝ・`)「えっと…それは」
川;_ゝ;`)「私を捨てるのね!!確かにお母さんについていって家を出てったのは悪かったけど!!」
激情のままにトリガーを引く。
(´;・_ゝ・`)「あの…誤解されるからやめてくれ…」
古刀で銃撃をはじきながら弁解する。
(´・_ゝ・`)「あの子はたまたま拾っただけで…」
川;_ゝ;`)「拉致!?誘拐!?やっぱり私より若いあの子の方がいいんじゃない!!」
(´・_ゝ・`)「いやしかしお前も」高校生でまだ十分若…」
( ФωФ)「フッ、こっちも面白そうではないか。ミセリ、お前の仲間がいるぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「魔の力だからって一緒にしないでよ!」
フォックスを追って街中の戦場に降り立ったロマネスク。
早速いかつい出で立ちのつーと交戦していた。
ロマネスクの闘気にあてられつーもやる気になっていた。
審判の相手はドゥンを召喚してまかせる事にした。
129
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:20:42 ID:ooLGbWQg0
爪'ー`)y‐「ごちゃごちゃしすぎなんだよ、今回はな」
戦場から少し離れた場所からフォックスは全武器を展開した。
( ゚д゚ )「またアレですか!」
( ゚д゚ )「皆さんあれの準備を!」
ミニオン達を呼び寄せるミルナ。
( ゚д゚ )川 ゚ -゚)( ゚∀゚) 川・_ゝ・`)从`゚∀从「流星群!!!!!」
爪'ー`)y‐「エンドオブザワールド!!」
(#´)Д(`) 「待てやこら!逃げんじゃねぇ!」
間が悪くデミタスを追ってきたブーが到着する。
戦場の中心の上空でで新星爆発が開幕する。
周囲のビルが爆発に飲み込まれて消えていく。
(;^ω^)「うわぁーっ!!」
(,,;゚Д゚)「うぉぉーっ!」
(*;゚∀゚)「うわ」
ミ ゚Д゚彡「がお!」
(;´∀`)「ぐわー」
( ;´)Д(`) 「なんだー!?」
( ФωФ)「金剛!!」
(;^V^)「うわっ」
ξ>⊿<)ξ「キャーッ!」
(´・_ゝ・`)「危ない!」
各々の大半が爆風であちらこちらに吹き飛ばされた。
審判達は不動のままだ。
爪'ー`)y‐「ふぅ」
フォックスは満足げに去っていった。
爪'ー`)y‐「あとは高みの見物といきますか。隙間空間ぶっ壊れるまで」
130
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:21:02 ID:ooLGbWQg0
吹き飛ばされた者はビル一個分程度の距離を飛ばされていた。
ブーンとギコは運悪く同じ位置に飛ばされていた。
また喧嘩が始まる。
つーはドゥンが身を挺して守った。
毛皮をはじめ全身ボロボロだが契約者と同じく、戦いの度に回復する。
モナーはいつもより大量の兵士を呼び出し壁を作った。
ブーは全身黒焦げだ。
いてぇ熱いと喚いている。
ロマネスクは奥義「金剛」で全身の筋肉繊維を極限まで収縮させ硬化し身を守った。
誠一はブーン達と別の場所に吹き飛んでいた。
(;^V^)「く…無茶をする…」
(,,゚Д゚)「よう」
( ^V^)「無事だったか!」
(,,゚Д゚)「ああ。おかげさまで全くの無傷だ」
(´・_ゝ・`)「無事か?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ありがとう…でも着物と刀が…」
(´・_ゝ・`)「気にするな」
デミタスはツンを抱いてかばった。着物と抜き身の刀がボロボロになった。
( ゚д゚ )「どうやら五人で星を共有したせいで流星群も全員揃わないと威力を発揮しないようですね」
从`゚∀从「まぁー俺ら5人揃えば無敵っすぐべばぁ」
ハインの長身が、ハンマーで叩かれた緊迫のようにぐしゃりと潰れた。
('A`)「ハッハァー」
像の脚を思わせる、空洞のない塔でドクオが踏み潰したのだ。
( ;゚д゚ )「いかん!ハイン君の死体の回収をッ!」
131
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:21:23 ID:ooLGbWQg0
(#^ω^)「有耶無耶になっても僕が許さないお!」
(,,;゚Д゚)「だからなんの事だ!」
(;^ω^)「昨日僕を襲ったろうお!」
(,,゚Д゚)「ああ世界には三人のそっくりさんがいるというからな!他人の空似を押し付けるな!」
小アルカナによって手に入れた棍棒を振り回すブーン。
(#^ω^)「銃出せお銃!本気で来いお!」
(,,;゚Д゚)「銃なんて持ってない!」
怒りを顕現したブーンは妙に強い。力のままに棍棒を振り回す。
剣を出して防御する度に折られる。
とてもあの魔術師に一方的にやられていた男とは思えない。
(,,;゚Д゚)「だいたい昨日俺は高校に忍び込んで皇帝のモナーと出会った!それで回数は使い切った!」
(;^ω^)「回数?」
(,,゚Д゚)「説明してやったのを忘れたか?隙間空間に潜れるのは一日一回だ」
(,,゚Д゚)「昨日お前はどこで引きずりこまれた?」
(;^ω^)「駅前だお」
(,,゚Д゚)「高校と駅は全く正反対だ。それにな」
(,,゚Д゚)「まぁいい。モナーの野郎に聞いてみろ」
(;^ω^)「確かに昨日僕は先生とあってないお」
(,,゚Д゚)「ここでやりあってもいいが無実の罪で撲殺されても癪だ」
ギコは交戦をやめ歩き出す。
( ^ω^)「どこへ?」
(,,゚Д゚)「誠一を探す。あいつが一番しっかりしてるからいい証言をしてくれるだろう」
132
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:21:44 ID:ooLGbWQg0
(#´)Д(`) 「やっと見つけたぜこの野郎今度こそ勝負だ!」
ボロボロのデミタスに目もくれずロマネスクに挑む。
( ФωФ)「やれやれ。さっきのアレでボロボロではないか。それじゃ鍛錬にならんのだよ」
( ´)Д(`) 「関係ねぇ!この数日間色んなとこに武者修行に行って人を殴りまくった!!」
( ´)Д(`) 「サウザンドラッシュ!!」
怒涛の突き出しを全て正拳突きで受ける。
( ^Д^)「ヒャッハァァァァ―!!」
プギャーが大型トラックで突っ込んでくる。
(;´∀`)「なんだモナあれは!?」
(;'A`)「ヒャハハハハァッ!?」
審判の四人と死体を巡って遊んでいたドクオは思いっきり跳ね飛ばされる。
(#´∀`)「契約者相手とはいえ人を轢くのは許さんモナ!!」
即座に兵士達を生成し突撃する。
( ^Д^)9m「無駄だ。ありったけの魔法で強化してあんだよ!!」
善戦むなしく兵士と一緒に吹き飛ばされる。
( ФωФ)「フン。あいつめ…少し面白い事をするな」
( ´)Д(`) 「てめぇはどいてろ」手で制す。
( ФωФ)「いいのか?無理するな」
( ´)Д(`) 「以前の俺とは違うって事を見せつけてビビらせてやる」
全身を戦車と化しトラックに突っ込む。
(#´)Д(`) 「ぐおおおおおおお!!」
(#^Д^)「無駄なことを!」
ブーの体は魔法強化されたトラックをギリギリで止めていた。
133
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:22:04 ID:ooLGbWQg0
(;^V^)「ぐ…はっ」誠一が力なく倒れる。
(,,゚Д゚)「フン」
冷酷なギコはサーベルを誠一のみぞおちに貫通するほど刺し、抜いた。
(;^ω^)「ギコが二人!?」
(,,;゚Д゚)「馬鹿か。剣が違うだろうが」
(,,゚Д゚)「消耗しあってくれてありがとよアホども」
ギコの体が仮面男の姿に戻る。
(>)「そろそろ己を偽る意味もないだろうな」
更に仮面を外す。
(・∀ ・)「キヒヒ」
(;^ω^)「またんきさん…!?」
((;^ω^))「戦いを本格的に止める為にしばらく準備をしていたんじゃ…?」
(・∀ ・)「ああ終わらせてやるよ。俺が最終勝利者になってな」
超強化された渾身の弾丸を放つ。
(,,;゚Д゚)「ブーン!!」
( ^ω^)つ「ぬ、うぅぅぅん!!」
棍棒をバットのようにして銃弾を撃ち返した。またんきの頬をかする。
(・∀ ・)「やるようになったじゃねぇか」
( ^ω^)「…だましたのかお」
(・∀ ・)「騙されるお前らが馬鹿なんだよ。ありがたいねぇ」
拳銃を倒れる誠一に向ける。
(,,;゚Д゚)「ンな場合じゃない。誠一ッ!」
剣を飛ばしながら疾走するギコ。
ひゅーん。
ドクオが吹っ飛んでくる。
('A`)「あひゃひゃひゃあがががが!」
134
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:22:25 ID:ooLGbWQg0
(;^V^)「ギ…コ…うらやま」
頭が暴走したドクオが放った塔にすり潰されて誠一の人生は終わった。
運よくすり潰されなかった腕が一本出ている。
(;・∀ ・)「ヒューあぶねぇあぶねぇ」
(・∀ ・)「生きてるお前らが羨ましくて恨めしいってよ!ヒャハハw」
おどけてお化けのポーズをとる。
('A`)「う・・・がぁ」
着地後しばらく踊っていたが。やがて昏倒してひどいいびきをかき始めた。
卑怯者が塔が消えたあとのミンチからカードを回収する。
(,,゚Д゚)「待て!」
(・∀ ・)「やる気か?お前ら手負い俺万全」
(#^ω^)「許さんお!」
(・∀ ・)「まぁ二人がかりでも勝つ自信あるけどさ」
(・∀ ・)「お互い疲れたっしょ?策を練るのも頭使うんだよね」
(,,゚Д゚)「正面切って戦うのは苦手か」
(・∀ ・)「安い挑発には乗らねぇよ。このクソチンピラ」
(・∀ ・)「労せずして勝つのが真の勝者よ」
(・∀ ・)「契約者一人死んでくれたからね。隙間空間から出られるよ」
またんきは高笑いしながら去っていく。
135
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:22:46 ID:ooLGbWQg0
(#´)Д(`) 「ぬぬぬぬぬぬ…!」
( ФωФ)「やるなぁ」
(#^Д^)「さっさと轢かれてつぶれろよ!」
「フリーズ!」
( ^Д^)「」
( ;´)Д(`) 「ッ!」
嫌な予感を感じ、ブーはとっさに転がってトラックから離れる。
トラックは動かない。
全力でアクセルを踏んでいたはずのプギャーと共に硬直している。
( ´_>`)「フン」
突如現れた鼻の高い男が死神の鎌を手にトラックに向かう。
まるで包丁で豆腐を切るかのような容易さだ。
運転席を覗いて全て細切れにされた。
( ´_>`)「どうだい兄者」
(´く_` )「上々だ弟者。俺のフリーズと支援もよかったろう?」
同じく鼻の高い男が現れ、ハイタッチをする。
(;´)Д(`) 「なんなんだてめぇらー!」
威嚇してみるが、体の震えと怯えは隠せない。
( ´_>`)「ああ。僕に切り刻まれるのを運よく逃れた豚君か」
(´く_` )「待て弟者。直観の力は意外と馬鹿にできないものだ」
( ´_>`)「じゃあ敬意を表しよう」
( ´_>`)「僕たちは流石兄弟」
(´く_` )「神に代わって世界を征服する男達だ!」
弟者が巨大な鎌を投げて空を切る。隙間空間も崩壊していく。
136
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:23:07 ID:ooLGbWQg0
(;^ω^)「…」
(,,゚Д゚)「…」
またんきが逃げ、二人は呆然としていた。
(;^ω^)「そ、そうだ!他の契約者を見てくるお!」
(,,゚Д゚)「どうするつもりだ」
(;^ω^)「この吊り橋効果なら戦いを止める説得ができるかもしれんお!!」
(,,゚Д゚)「無駄な事だ。この程度で諦めるなら契約なんぞハナから」
( ;ω;)「誠一くんの死を…無駄にしたくないお…!」
(,,゚Д゚)「勝手にしろ」
ギコは離れていくブーンを見送り、剣をドクオの首筋に当てる。
(,,゚Д゚)「こいつは人間じゃない。モンスターめ」
剣を振りかぶる。腕が震える。
(;ω;)「みんな聞いてくれお!」
ツン達がいる広間へ駆けていく。
( ;ω;)「こんな戦いなんの意味も・・・うわっ」
瓦礫に足を取られる。
ツンに覆いかぶさる形になってしまう。
ξ;゚⊿゚)ξ「ぐえっ」
その瞬間隙間空間から弾き出される。
審判、ロマネスク、ブーはさっさと立ち去って行ったようだ。
モナーは呑気に寝ている。
(;^ω^)「いてて…」
ζ(゚ー゚*ζ「どいてほしいんだけど…」
(;^ω^)「あれ?」
137
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:23:29 ID:ooLGbWQg0
(;^ω^)「僕はツンさんに乗っかってしまった気がするんですがお…」
ζ(゚ー゚*ζ「それが私の契約者時の姿だからよ」
(;^ω^)「く、詳しく話を聞かせてもらえるかお?」
(,,゚Д゚)「知り合いが契約者か。ますます戦いを止めなくちゃいけなくなったようだな」
(;^ω^)「待てお!誠一くんの死が悲しくないのかお!」
(,,゚Д゚)「一緒に悲しかったねって言い合えば満足か?」
感情のない目でブーンを見る。
(,,゚Д゚)「あれはお前の未来だ。どうでもいい他人を助けるために命を削って破滅した」
(,,゚Д゚)「次に会う時はその女共々殺してやる。首でも洗いっこしてるんだな」
フン、と威圧的な鼻息を出して去っていく。
(;^ω^)「なんてやつだお…!」
(;´∀`)「ううん…」
( ^ω^)「モナー先生!無事ですかお!?」
( ´∀`)「君は誰だ…僕は…?」
ζ(゚ー゚;ζ「まさかあの時の衝撃で記憶が…!?」
その後、ギコは真っ直ぐマンションに帰り自分の腕を切り刻んだ。
(,,;Д;)「畜生…!!すまん誠一…すまん!!」
この痛みで刻み付ける。無念を。怒りを。
138
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 00:23:50 ID:ooLGbWQg0
川 ;゚ -゚)「うーん、うーん、」
契約者達に見つからないようにドクオの体を必死に運ぶ。
あの時、目つきの険しい男は昏睡しているこの男を殺そうとしていた。
この男はニュースで取りざたされている脱獄犯というのはセンセイから聞いた。
審判は他の契約者を悉く倒し願いで清浄な世界を作るのも知っている。
しかしトラックに跳ねられ今は無邪気に寝ているこの顔を見ていると殺せない。
契約者の気配がないところまで来た時、男が目を覚ました。
('A`)「うう…」
川 ;゚ -゚)「大丈夫か?もし何かしてみろ、警察を呼ぶからな」
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「私は一応命の恩人だ。襲わないでいてくれると助かるんだが」
('A`)「あなたが私を…?ありがとう」
川 ;゚ -゚)「え…」
('A`)「教えてください。ここはどこであなたは誰で私は…?」
139
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:09:03 ID:ooLGbWQg0
第13話
140
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:09:28 ID:ooLGbWQg0
とりあえず缶の栄養ドリンクを出す。
( ´∀`)「これはどうも、ありがとうございますお」
(;^ω^)「おっ。僕の口調が移ってるお」
大乱闘が起こった日。
戦いが終わってまだ昼過ぎだったので
最寄りのファミレスで三人で食事を取り、ブーンのアパートに戻った。
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫?家賃払えてる?」
(;^ω^)「まぁなんとか多分大丈夫お」
ζ(゚ー゚*ζ「それにしてもなんで客に出すのがモンスター〇ナジーなのよ」
(;^ω^)「い、いや記憶なくしてるんなら元気になってもらおうと思って…」
ζ(゚ー゚*ζ「どうせ他の飲み物切れてただけでしょ」
慣れた手付きで冷蔵庫を物色する。
ζ(゚ー゚*ζ「はい買い出し決定!」
ブーンの手を取りアパートの外に出る。
大人しい顔してやる事は活発だ。
高校でも大学でもやりたさで言い寄る男がしつこすぎると殴っていたくらいだ。
契約者時のツンの姿は内面が表面化したものかもしれない。
(;^ω^)「おおおっ!待て待てお!」
(;^ω^)「先生を置いていく気かお!」
ζ(゚ー゚*ζ「別に大人だし。大人しく留守番してもらいましょうよ」
(;^ω^)「彼も契約者だお。一人にさせとくと危ないお」
部屋に戻り、普段は持ち歩かないポーチを取る。
( ´∀`)「僕も行っていいんですか?」
( ^ω^)「もちろんだお!」
ζ(゚ー゚*ζ「チッ…サッセヨバカ」
( ^ω^)「え?」
ζ(゚ー゚*ζ「なんでもない!行きましょう!」
141
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:09:48 ID:ooLGbWQg0
川;゚ -゚)「大丈夫か?」
('A`)「うん、だいじょぶ」
あの後急にドクオに頭痛が出て、支えて歩きながら近くのビジネスホテルに入った。
言葉遣いが急に稚拙になった気がする。
記憶喪失の影響だろうか。
川 ゚ -゚)「食えるか?」
デリバリーのピザを手で持って食べさせてやる。
('A`)「おいしいね」
ニコニコしながら食べる。
テレビをつけて適当なニュースやドラマを見る。
('A`)「んー」
つまらなそうだ。
川 ;゚ -゚)「これはどうだ」
スマホで児童向け動画を開いて見せる。
('A`)「キャッキャッ」
川 ゚ -゚)「よかった」
突然、動画が中断され着信表示が出る。
('A`)「?」
センセイからだった。
電話を切るアイコンをタップし、また動画を見せる。
('A`)「…」
動画が途切れたためか、退屈してもう寝ていた。
川 ゚ -゚)「ねんねんころりよ…」
体を横にして寝るドクオを手で軽く叩いてうろ覚えの子守唄を歌う。
川 ゚ -゚)「…昔は母もやってくれていたな」
子供時代を思い出す。後から生まれたヒートにはもっと長い期間やってやっていた。
142
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:11:23 ID:ooLGbWQg0
ニュースやセンセイのプロファイルによると、ドクオはろくな教育を受けていなかったようだ。
もしかするとドクオは子供時代に精神をリセットし人生をやり直そうとしているのかもしれない。
('A`)「うーん」
寝言を言いながら、クーの胸に顔をうずめる。
川 ゚ -゚)「よしよし」
受け入れてドクオを抱きしめる。
こいつの母はどんなものだったのだろう。
自分が子供の頃母は詳しくはどんな感じだったか覚えていない。
子供の頃の淡くて強固な思い出がボロボロに朽ちて生まれるのが大人なのかもしれない。
子供は20年経たないと破れない殻なのだ。
143
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:11:45 ID:ooLGbWQg0
ζ(゚ー゚*ζ「冷食やレトルトはダメよ!料理は手作りじゃないと」
(;^ω^)「手厳しいお」
ζ(゚ー゚*ζ「ブーン君ロクに料理した事ないもんね。まず火が通りやすい薄い肉で練習しよっか」
焼肉用の豚肉のパックをいくつかカートに入れる。
( ´∀`)「お酒買っていいお?」
ζ(゚ー゚*ζ「安いやつな」
安い缶を何本か放り込む。
(;^ω^)「なんか先生には妙に態度変わってないかお?」
ζ(゚ー゚#ζ「べつに!?」
( ^ω^)「沢ヒップ乙」
その後いくつか野菜も入れ、デレが会計を済ませた。
144
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:12:06 ID:ooLGbWQg0
その後ブーンの要望でバスに乗り、街中のショッピングモールのジュエリーショップに来た。
ζ(゚ー゚*ζ「どうしたのこんなところに?」
( ^ω^)「いいからいいから」
( ´∀`)「こういうとこ初めて来たお」
先生は華やかな宝石に目を奪われている。
ζ(゚ー゚*ζ「迂闊に触んなよ」
だが先生には奥さんがいたはずだ。
結婚指輪などは買ってあげなかったのだろうか?
ζ(゚ー゚*ζ「これ綺麗ね」
デレはシンプルな輪に小さなダイヤが乗っている指輪を見つめていた。
(*^ω^)「僕もそう思うお」
曲がったデザインの指輪は不吉な感じがしてブーンも好きじゃなかった。
真っ直ぐな輪を描く指輪なら自分を誠実にしてくれる気がした。
( ^ω^)「税込み20万かお…すいませんこれ二つくださいお」
(*‘ω‘ *)「ありがとうございます。ペアリングですか?」
( ^ω^)「そうですおね。刻印は後からできますかお?」
(*‘ω‘ *)「はい、大丈夫ですよ」
ブーンはポーチの封筒からお金を出して即金で支払った。
(*‘ω‘ *)「ご確認致しました。ありがとうございます」
( ^ω^)つ「指出してお」
ζ(゚ー゚;ζ「え…どういうつもり?」
有無を言わさず左手の薬指をはめる。
(:^ω^)「これは婚約指輪だお。いずれもっといいの買ってあげるお」
( ^ω^)「君には平穏に暮らしてほしかったけど…契約者になってたなら仕方ないお」
( ^ω^)「僕が君を死んでも守るお」
145
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:12:26 ID:ooLGbWQg0
( ^ω^)「もし他に誰か好きな人がいたとしても関係ないお。それが僕の願いだお」
ζ(ー*ζ「イルワケナイジャナイ…」
( ^ω^)「これまでずっと付き合ってるか曖昧だったけどようやく言えるお」
( ^ω^)「刻印は戦いが終わってから入れようお」
ζ(;ー;*ζ「馬鹿。死亡フラグみたいな事言わないでよ」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208784/32_nngnmr.jpg
(*‘ω‘ *人)「おめでとうございます」
( ´∀`人)「おめでとうです」
店員がカウンターから躍り出て、モナーと一緒に拍手をした。
146
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:12:46 ID:ooLGbWQg0
(,,゚Д゚)「なんだ。戦いの予約か」
血が滴る腕で、鳴ったスマホを取る。
(;^ω^)『違うお。モナー先生が…』
かくかくしかじか。
(,,゚Д゚)「で?モナーに指輪渡すところまでじっくり見せつけたのか。残酷だな」
(,,;-Д-)「なんでお前は個人的なことまで馬鹿正直に話すんだ。だから契約者にも騙される」
(,,゚Д゚)「何しようが勝手だが、夜の営み報告をいちいち電話しようとしてくるなよ?」
(;^ω^)『そっそんな事しないお!それに僕らはプラトニックな…』
( ^ω^)『ん?残酷ってどういう事だお?』
かくかくしかじか。
(;^ω^)『えっ!先生の奥さんが…』
(,,゚Д゚)「声がでかいんだよ。聞かれてないだろうな?」
(;^ω^)『コンビニのトイレの個室で電話してるから大丈夫だお』
(,,゚Д゚)「それはそれで迷惑な奴だ」
(,,゚Д゚)「いいか?モナーには余計な事を話すな」
(,,゚Д゚)「奴の願いは妻を忘れる事だったらしい。幸か不幸かその願いは叶っている」
(,,゚Д゚)「カードと契約をした以上戦う道しかないが今はそっとしておいてやれ」
(;^ω^)『そうかもしれないお』
(,,゚Д゚)「俺は明日丸々一日用事がある。かけてくるなよ」
(,,゚Д゚)「もし契約者が現れたらモナーと二人で相手してやれ。お前にできるのはそれくらいだろ」
電話を一方的に切る。
一方的に電話してきたのだからこっちが一方的に切るのは当然の権利だ。
(,,゚Д゚)「ああそうだ」
ギコは店長に明日も休みたい旨を伝えた。
割と好きに休めるのと店長が優しいのがあの店のいいところだ。
147
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 13:13:59 ID:ooLGbWQg0
感動の告白をしてから三人でバスで帰った。
それからブーンは買い忘れたものがあるといい近場のコンビニのトイレで電話をかけた。
( ´∀`)「ほう。僕もその戦い合う契約者って奴なんですか」
缶のチューハイを煽りながらモナーは話を聞く。
つまみはブーンの野菜炒めだ。
(;^ω^)「そうだお。でも先生はその願いが叶ってしまっているんだお」
(;^ω^)「僕もよくわからないけど自分の体を治したいとかで…」
デレにはギコとの電話後、SNSで先生の事情を伝えておいた。
他人の携帯を覗き見る人間性ではないからバレないだろう。
( ´∀`)「そうでしたか。なんにせよ健康でいられるのはいい頃ですね」
(;^ω^)「で…よかったら僕と一緒に戦いを止めて欲しいんですお」
( ´∀`)「いいですよ」
(;^ω^)「即答!?」
( ´∀`)「お二人には色々お世話になってますから」
( ^ω^)「今の時点でも死んでしまった契約者がたくさんいるお。これ以上増やしたくないお」
( ´∀`)「僕も誰かが傷付いたり死ぬのは嫌だから」
二人は握手を交わす。
148
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:31:38 ID:ooLGbWQg0
最終話
翌日。
( ´)Д(`) 「早々にてめぇに会えるとはなぁ?いやてめぇらか?」
( ´_>`)「豚がなんか喚いているね」
(´く_` )「失礼だぞ弟者。あの格好は多分お相撲さんだ、どすこいどすこい」
失礼な弟の頭をはたく兄。
( ´_>`)「ごめんなさい」
(#´)Д(`) 「漫才やってんじゃねえぞクソども!!昨日の借りを返してやる」
開幕で突っ込んで張り手をかます。
バチン。
( ´_>`)「いったい」
人形のようにふっとぶ。
(´く_` )「おとじゃー」
( ´)Д(`) 「昨日のあんなトラック、俺様が本気出せば一人でつぶせたんだよ!!」
弟者が召喚した禍々しい鎌に追撃の張り手が当たる。
手が鎌を貫通する。血は出ないが鋭い痛みを感じ手を下げる。
(;´)Д(`) 「いてて・・・少しはやるじゃねえか」
(´く_` )「大丈夫か弟者」
( ´_>`)「うん」
鎌の柄を使い立ち上がる弟者。
(´く_` )「アレを試してみるか」
( ´_>`)「わかった」
弟者は思いッきり死神の鎌を振りかぶると投げ捨てた。
弧を描いてぐるぐると回る。
( ´)Д(`) 「上等だぁこのホモカップル!」
ブーはこの兄弟の深い闇と絆を知らなかった。
149
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:39:24 ID:ooLGbWQg0
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208777/11_rauisa.jpg
兄弟が幼い頃に父者、母者が事故で死んだ。
だから両親の顔はあまり覚えていない。
両親の多額の保険金で暮らしには困らなかった。
姉者は何考えているかよく読めなく、弟者は内気。
兄者と妹者は明るくひょうきんに育った。
よく世界征服の組織ごっこをして遊んだ。
中学生でナイーブな多感な時期だった弟者は嫌がりつつ妹者が駄々をこねると付き合った。
姉者大学生、兄者高校生、妹者が小学生の頃だった。
ゴールデンウィークに姉者の運転で旅行に行く途中、正面衝突が起こった。
レディーファーストを主張し運転席と助手席に座っていた姉者と妹者は即死だった。
姉者の死に顔はやっぱり何を考えているかわからない顔だった。・
高速道路で衝突してきた飲酒運転の土砂運びのおっさんは車から出てきて姉者の死体を強姦しようとした。
兄者が必死に食い止め、そのうちパトカーがきた。
カラクリはわからないが加害者は免許剥奪と執行猶予がついただけだった。
弟者は裁判所帰りの男のあとを根気よくつけ、人気がまったくなくなったところで喉を掻き切ろうとした。
その更に後につけていた兄が薬液つきのハンカチを嗅がせて男を昏倒させた。
ドラム缶に人権弁護士と男を裸で抱き合わせ、コンクリートを詰めて小さな島の海に落とした。
やがてクルーザーを買い、ドラム缶が浮かびあがってこないか海を監視するようになった。
食料が底をつき、兄者と一緒に手を繋いで買い出しに行くのが一番楽しかった。
どれくらい年数が経っていたかわからないが、美府町に遊びに来てたまたま見た小さなリサイクルショップを衝動的に買い取った。
古物商の資格を持っている人を代理に立てた。
弟者は戦隊もののグッズは高値で買い取った。
買い取ったその日の終わりに首をもいで壊すのが好きだった。
ある日、買い取った古い戦隊ものの本を読みながらページを破っていた時だ。
一般人が悪の組織にさらわれて改造された女患部のページに死神と恋人のカードが挟んであった。
これも破ろうと手に取ると、頭の中に声が聞こえた。
事務所で寝ていた兄者を起こしカードを見せる。
お互いに笑いながら世界征服と二人で勝ち残る願いを書いた。
150
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:39:47 ID:ooLGbWQg0
川 ゚ -゚)つ「ちょっと出かけてくるから、じゃあこれ」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208779/15-2_c5resd.jpg
クーのビジネスホテル暮らしは続いていた。
ドクオには色々と知育ようの玩具を与えていた。
成長ぶりが目覚ましく、二日目には小学校入学程度の学力があった。
クーが用事があって出かける時に、ハートのついた便箋を渡した。
(*'A`)「これは…ラブレター?」
クーと一緒に見たドラマかアニメかなにかに出てきた。
おんなのこがおとこのこに好きって言う時に渡すものだ。
言葉でつたえればいいのにと思った。
ドキドキしながら開けると、クーオリジナルのさんすうの問題が入っていた。
(;'A`)「まぁべんきょうは楽しいけど…」
クーの「見たか」という勝ち誇った顔が見えるようだった。
スマホに喋りかけるクー。
川 ゚ -゚)「だから私はもう足を洗う」
『アホかお前!?センセイの恩を忘れたか!?』
川 ゚ -゚)「罪なきものを殺して何が清浄なる世界だ」
川 ゚ -゚)「ハイン。お前のアホ面はもう見飽きた。かけてくるな」
電話を切り、ハインの番号を着信拒否する。
川 ^-^)「帰ったぞ。勉強は捗っているか?」
(*'A`)「できた!」
半分間違っていた。それもまた微笑ましかった。
151
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:40:08 ID:ooLGbWQg0
( ;´)Д(`) 「畜生!」
ブーは焦っていた。
気味の悪い男の投げた鎌が何度も襲ってくる。
必死にかがんだり身をかわして避けているが、これでは攻撃に移れない。
(;´)Д(`) 「男は黙って!!」
肉体を硬化させ、タックルの姿勢で突撃する。
(´く_` )「フリーズ」
兄者が手をかざして呟くと、猛加速中の力士の体がピタッと止まる。
( ;´)Д(`) 「」
声も出せなかった。眼球だけがギロギロと動く。
弟者が戻ってくる鎌をキャッチする。
( ´_>`)「今回もつまらなかったね兄者」
歩いてブーに近づき、胸と腹を縦に切り裂く。
(´く_` )「ああ。こいつも俺達を阻むヒーローではなかった」
ブーは首を切り取られたが、血は出なかった。
152
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:40:30 ID:ooLGbWQg0
次の日。
(,,゚Д゚)「…」
ギコが詫びの言葉と一緒に喫茶に出勤すると異臭がした。
从リ ゚д゚ノリ
店長の左胸に穴が開いている。
(・∀ ・)「よう。遅かったじゃねえか」
爪'ー`)y‐「禁煙じゃないよな?勝手にやらせてもらってるぜ」
またんきの前には一杯のコーヒーが置かれている。
(,,゚Д゚)「誰がやった。いつ」
(・∀ ・)「臭いでわかんねぇ?俺が昨日の朝やった」
既に冷めている拳銃の銃口にフゥーと息をやる。
(,,゚Д゚)「何故ここがわかった。そこの男にも話してなかったはずだ」
(・∀ ・)「俺のツテさ。尋問して殺した親父からそこそこの金をもらってね」
(・∀ ・)「ついでに親父は顔も分からん兄貴の会社を乗っ取ってたからね」
(・∀ ・)「会社の顧問の探し屋に調べさせた」
(・∀ ・)「まぁーでもリアルで殺すとペナルティあるってマジだったのね」
(・∀ ・)「隠者のカードは確保したが親父が本来持ってた吊られた男のカードはどっか行っちゃった」
(,,゚Д゚)「この人は契約者ではない。関係ない人を巻き込むな」
爪'ー`)y‐「女性に危害を加えるのは俺の方針じゃなかったが雇い主様がね」
(,,゚Д゚)「男と組むとはな。趣旨替えか」
爪'ー`)y‐「こっちにも色々あんのよ」
(,,゚Д゚)「俺に化けて誠一をやるとはな」
手の甲にペンを刺して痛みを感じる。
(・∀ ・)「隠者の力だよ?親父より上手く使ってるだろ?」
(,,゚Д゚)「もうくだらん策のだまし討ちはしないのか?」
153
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:40:51 ID:ooLGbWQg0
(・∀ ・)「契約者も随分減ってきたことだしね、もうまだるっこしい真似しなくてもと思って」
(,,゚Д゚)「何が言いたい」
(・∀ ・)「あのブーンって奴いるだろ。これ以上茶々入れられる前に潰しとこうと思ってな」
(,,゚Д゚)「お前と手は組まん」
(・∀ ・)「あれれ?もしかして運命の奴殺されて怒ってるの?馬鹿だねぇ〜」
(・∀ ・)「お仲間意識持って戦いたいならゲームでもやってろよ」
(・∀ ・)「お前もあいつと同じじゃんか。契約者もどきのゴミがヨォ」
(,,゚Д゚)「俺は違う…願いを叶える為に」
爪'ー`)y‐「願いを叶える為にどうすんの?組むの?組まないの?」
フォックスが肩に手をかける。
(・∀ ・)「ククク、なかなかかわいいじゃねぇか」
またんきがスマホから眠っているしぃの写真を見せる。
(,,;゚Д゚)「まさかお前が情報を…!」
拳をフォックスが受け止める。
爪'ー`)y‐「さて、どうかねぇ」
(・∀ ・)「安心しろ。ブーンを始末したら忘れてやるよ」
154
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:41:11 ID:ooLGbWQg0
ギコから一人で来いとの呼び出しの電話を受け、隙間空間に吸い込まれたブーンは不意打ちを食らった。
(;^ω^)「うわっ」
(・∀ ・)「クククク」
次々と違う場所から弾丸が襲い来る。
(;^ω^)つ「どこにいるお!」
棍棒で弾丸が通ってきた場所をひたすら叩く。
(・∀ ・)「契約者もぐら叩きかい。狩られるもぐらはテメーだがな」
(,,゚Д゚)「…」
(;^ω^)「ギコ…!」
(,,゚Д゚)「悪く思うな」
(・∀ ・)「よそ見してんじゃねぇ!」
背後からキックを食らい吹き飛ぶ。
(;^ω^)「うぅ…」
(・∀ ・)「お前は邪魔なんだよ!」
爪'ー`)y‐「遅くなった」
(;^ω^)「フォックスさんまで…!」
(・∀ ・)「どこ行ってやがったヘボ傭兵」
爪'ー`)y‐「トイレに」
(・∀ ・)「まぁいいけどな。女に会いに行ってたんだろうどうせ」
爪'ー`)y‐「関係ないだろ」
(・∀ ・)「それもそうか」
(・∀ ・)「レーヴァテイン!!」
またんきが姿を現し、巨大化したサーベルでブーンを突く。
咄嗟に棍棒を盾にするが、勢いに弾かれて吹き飛ぶ。
(,,゚Д゚)「名前負けだな」
155
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:41:31 ID:ooLGbWQg0
(・∀ ・)「さて。軽口叩いてないでお前がやれよ」
(,,゚Д゚)「なに?」
(;^ω^)「うぐぐ」
蹲ったブーンを見る。
(・∀ ・)「ここまで御膳立てしてやったんだ。ガキじゃねえんだできるよなぁ?」
(,,;゚Д゚)「…」
剣を顕現し、ブーンを蹴飛ばし喉元に向ける。
(;^ω^)「ギコ…」
(,,;゚Д゚)「…」
(・∀ ・)「おやおやまさか友情タイムか?」
振りむいてまたんきに斬りかかる。
サーベルで受け止める。
(,,゚Д゚)「こいつを倒すのにお前の手は借りん!」
(・∀ ・)「言い訳ばっかしてんなよ。最初からできないくせにさぁ」
サーベルを巨大化させ弾き飛ばす。
(,,;゚Д゚)「ぐっ」
( ^ω^)「ギコ!」
ブーンが抱きついてくる。
(*^ω^)「ギコ僕は嬉しいお!やっとわかってくれたんだおね」
(,,;゚Д゚)「離せ!散々弱らせられた獲物を狩っても楽しくないだけだ」
(・∀ ・)「はいはい勝手に友情ごっこやってろ。お前が二人をやれよ」
爪'ー`)y‐「言われなくとも。一人だがな」
一瞬でリボルバーを取り出しまたんきの虚を突いて撃つ。
(#・∀ ・)「てめぇ!」
またんきも応戦して拳銃を腕に命中させる。
(#・∀ ・)「やっぱりそんな予感はしてたんだよ」
156
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:41:52 ID:ooLGbWQg0
爪;'ー`)y‐「ぐっ。契約者は騙し合い、お前が言ってたことだぜ」
爪'ー`)y‐「それに脅されてタダで契約させられてホイホイ従う馬鹿がいるか?」
柔道でまたんきを組み伏せ額に銃を密着させる。
爪'ー`)y‐「娑婆僧だろお前。全然怖くなかったぜ」
(,,゚Д゚)「よせ!」
(,,゚Д゚)「奴は俺がやる」
爪'ー`)y‐「わかった」
(;・∀ ・)「わ、わかってんのかてめえ?俺に楯突けば」
爪'ー`)y‐「そいつが雇ったチンピラは全員排除した。心置きなく戦え」
(#・∀ ・)「てんめ…」
怒りでサーベルを叩きつけて暴れるがフォックスは身軽に避ける。
爪'ー`)y‐「勘違いするな。女を人質に取るのは好きじゃないだけだ」
爪'ー`)y‐「女に会ってたっていうヘボ推理、ある意味当たってたな」
ブーンは棍棒を拾い立ち上がる。
( ^ω^)「僕は契約者の戦いを止めたい…でも」
( ^ω^)「あんたが殺してきた罪はきっと現実じゃ裁けないお」
(#^ω^)「だからあんただけは許せない!戦わなきゃいけないと思うお!」
と(,,゚Д゚)「お前には無理だ」
(;^ω^)「ギコ!でも僕は…」
(,,゚Д゚)「そいつが許せないから戦うんじゃない。契約者だから、願いに邪魔だから戦うんだ」
(・∀ ・)「てめぇにできんのか?おもしれぇ、タイマンだ」
(,,゚Д゚)「くらえ!」
剣を三本射出する。即座に透明化して避ける。
(・∀ ・)「忘れたか。俺には無敵の隠者がついてんだよ」
(・∀ ・)「それに運命がよく見える。お前ら三人の死もな!」
157
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:42:12 ID:ooLGbWQg0
お返しにと続け様に三発放つ。胸のアーマーで受ける。
(,,゚Д゚)「口だけならなんとでも言える」
(・∀ ・)「ぬかせ!」
(,,゚Д゚)「お前の親父と一緒だな」
(・∀ ・)「なに?」
(,,゚Д゚)「お前はあの時運命を取得した時に見えたんじゃないか?逃げずに戦い自分が俺にやられて死ぬ運命を」
(・∀ ・)「適当を…」
(,,゚Д゚)「勝利の運命が見えるくせにカメレオンみたいにコソコソ隠れて戦うのはお似合いだな」
(,,゚Д゚)「お前の親父も何度も透明化で不意打ちで襲い掛かっては逃げていたしな」
(,,゚Д゚)「汚い親父様が嫌いらしいが血は争えないってこった」
(#・∀ ・)「てめぇッ!」
透明化を解き現れる。
(#・∀ ・)つ「証明してやる!こんなもん使わなくても俺は勝つ!」
超強化された銃弾をストレートに撃ち込む。
(,,;゚Д゚)「うおおおおお!!」
双剣を構え銃弾を待ち構える。
一本目にひびが入る。
(,,;゚Д゚)「いちかばちか!!」
一瞬銃弾を弾き飛ばし、再び向かってくる銃弾を剣先でひたすら削っていく。
(,,;゚Д゚)「おらおらおらおらぁ!」
小さな銃弾はあっという間に削り落とされて鉄の鰹節になる。
(・∀ ・)「よくやったが集中しすぎなんだよ!!」
いつの間にか近づくまたんきが巨大剣レーヴァテインで袈裟斬りをする。
ギコの肩と胸の鎧が砕け散る。
後ろにステップをして残りの剣を全て射出する。
(,,゚Д゚)「よくやるのはここからだ!」
158
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:42:32 ID:ooLGbWQg0
(・∀ ・)「それも見えてんだよ!運命反転!」
またんきに向かう剣は魔法陣を通じて裏切り、ギコの体に刺さる。
(,,Д)「ぐほ」
四本の剣が両肩、胸に刺さり血を吐く。
(,,Д)「使ったな…」
(・∀ ・)「やっぱこの力ある限り俺は無敵だ。俺の勝ちだな」
剣を巨大化させてゆっくり近づく。
(;^ω^)「ギコ!!」
手で制する。
爪'ー`)y‐「これがあいつの戦いだ。見届けよう」
(・∀ ・)「死、ねぇ!」
倒れたままのギコの首が叩き潰される寸前。
(メ∀ ・)「え?」
右目に透明感のある剣が刺さった。
栓をなくした水が奔流するように、次々と無数の剣が突き刺さる。
(∀)「おごおおおおおおおおおおお」
数秒後、またんきは骨格と垂れ下がる内蔵のオブジェと化していた。
(∀)「ひきょ…」
ギコが立ち上がる。
(,,゚Д゚)「契約者バトルは騙し合いだろ?」
まるで納得したかのように、直立不動のボロキレは倒れる。
(,,-Д-)(誠一…やったよ)
(,,゚Д゚)「このカードはお前にやる。あんな野郎が愛用していたと思うと反吐がでるからな 」
ギコはブーンに正義のカードを手渡した。
爪'ー`)y‐「じゃあこのカードは俺の働きの報酬だ」
フォックスがのギコの手から隠者のカードを抜く。
159
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:42:53 ID:ooLGbWQg0
誠一がバトルに敗れ死ぬ数日前、ギコに話していた。
( ^V^)「剣の小アルカナを見つけるんだ。それで運命は変わるかもしれない」
(,,゚Д゚)「お前がブーンにやったものと同じものか」
( ^V^)「君の契約時の話を聞く限り、不良たちを襲ったのは剣のアルカナの力だろう」
( ^V^)「一時的に触れて力が使えるようになったんだろう」
( ^V^)「今剣を呼び出せる能力はその残滓だろう」
(,,゚Д゚)「目星はついてるのか?」
( ^V^)「君が通っていた学校の周辺にあるという事以外は」
そしてモナーと出会った日、学校探索をした。
モナーと話をした後、運命による探査をして校舎を探したが見つからなかった。
誠一の断末魔の叫びは、裏山だった。
ギコは一日かけてようやく剣の書かれたカードを手に入れ取り込んだ。
誠一は運命のアルカナの弱点を教えていた。
運命が全て透き通るように見えるわけではない事、
運命反転は強力だが一度の戦闘で一度しか使えない事を。
160
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:43:24 ID:ooLGbWQg0
翌日。
ギコは仕事もなく町に繰り出していた。
(´・_ゝ・`)「やあ」
(,,゚Д゚)「お前は…」
デミタス。
ブーンと仲良くしていたらしいがギコにはあまり面識がない
(´・_ゝ・`)「私の家の話を覗き聞きしていた時以来かな?」
(,,゚Д゚)「いや先日の大規模な戦い以来だろう。よくお互い生き残った」
(´・_ゝ・`)「君は剣使いだろう。どうせなら君と戦いたい」
(,,゚Д゚)「別に剣が本分じゃないがな。契約者バトルなら大歓迎だ」
(´・_ゝ・`)「ただその代わり頼み事をしたい」
(,,゚Д゚)「断る」
(´・_ゝ・`)「簡単な事さ。審判の女の子、デミタスを倒してほしい」
(,,゚Д゚)「何故だ?」
(´・_ゝ・`)「彼女は私のかつての妹だ。だが母に連れられて都会に行って変わってしまった」
(´・_ゝ・`)「今の私の妹に敵意を抱いている。襲うかもしれない」
(´;・_ゝ・`)「今の妹は手術後の休養中なんだ。強襲されて隙間空間に連れ去られたら…」
(,,゚Д゚)「確かに体が接してさえいれば一般人でも隙間空間に引き込めるはずだな」
ヤクの顧客の死体を隙間空間に隠したのを思い出す。遥か昔の事のようだ。
(,,゚Д゚)「大事なものは自分で守れ。これ以上背負ってられるか」
(´・_ゝ・`)「分かった。病院に向かうよ」
(,,-Д-)「ちょっと待ってろ。おあつらえ向きな暇人がいる。どこ病院だ」
ギコは電話をかける。
161
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:43:44 ID:ooLGbWQg0
二人は戦い始めた。
思い出の竹林が再現されている。
(,,゚Д゚)「終わりだ」
開幕で半透明剣を投射する。
剣のアルカナを得て、ギコは気力続く限り無限の幻影剣を出す事ができるようになった。
(´・_ゝ・`)「ほう」
刀で叩き折り、他は避ける。
(´・_ゝ・`)「だが脆いな。数で補おうとしているだけだ」
(,,゚Д゚)「ほざけ。いずれ倒れるのはお前だ」
(´・_ゝ・`)「三本の矢を知っているかい?」
(,,゚Д゚)「ああ」
手に実剣を持ち躍りかかる。
(´・_ゝ・`)「三本の矢を物理的に一本に纏める。今の君ならできるはずだ」
(,,゚Д゚)「意味が分からんな」
剣がはじかれる。
古くてぼろぼろの刀なのに力強い。
(´・_ゝ・`)「私は一本の刀に懸けて戦っている」
(´・_ゝ・`)「君のように力が底をつくまで数で戦っていてはいずれな」
(,,゚Д゚)「…」
ギコは運命を開眼する。頭が痛い。
割ともうすぐ決着の時はつく。
(´・_ゝ・`)「いくら数多くの剣を投げても当たらなければ意味はない」
(,,゚Д゚)「牽制の意味はあるだろう」
(,,゚Д゚)「こうか!」
幻影剣を多く出し、一本の実剣に重ね合わせる。
またんきの剣のように巨大化する。
(,,゚Д゚)「うおおおおおお!!」
疾走する。
162
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:44:14 ID:ooLGbWQg0
(´・_ゝ・`)「飲み込みが早いな。はやり決意のあるものは─」
刀で受ける。あっさり折れる。
切っ先が飛んでいく。
小さなタケノコに刺さりそうになるので思わず飛んで行って拳ではじいて地面に落とす。
(,,゚Д゚)「もう勝負はついた」
(´・_ゝ・`)「まださ。私の魂はまだ残っている。」
デミタスが折れた刀を手に走ってくる。
(,,゚Д゚)「諦めが悪いぞ」
デミタスの脚が宙に浮く。
剣のアルカナを得た事で緩和され、本来の月の力が発揮できる。
身動きの取れないデミタスを巨剣で奥深くまで引き裂く。
臓物はあまり出てこなかった。
(,,゚Д゚)「手を抜いたな?」
(´_ゝ`)「いや、本気だったさ」
(´_ゝ`)「ただ内蔵をいくつかなくしただけさ。契約者の治癒にも限度があるんだね」
(,,゚Д゚)「当たり前だ」
(´_ゝ`)「私の節制は私の戦い方とはあまりにも合わなかった」
(´_ゝ`)「ハズレというか他のアルカナのサブと組み合わせてこそだな」
(´_ゝ`)「妹は見事に私と同じ血になっていて拒絶反応もなかった」
(´_ゝ`)「私の願いは既に叶っていたんだ」
デミタスの喉に肉厚の剣が差し込まれた。
163
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:44:35 ID:ooLGbWQg0
(#^ω^)「ギコ!どこ行ってたお!」
( ´∀`)「初めまして」
(,,゚Д゚)「どうも」
(;^ω^)「この病院に来たらいきなり引き込まれて大変だったんだお!!」
(,,゚Д゚)「で、撃退したのか?」
(;^ω^)「モナーさんが倒しちゃったお」
( ´∀`)「ごめんなさい…」
(,,゚Д゚)「気にするな。契約者とはそういうものだ」
デミタスの言っていた部屋のドアを開ける。
(,,゚Д゚)「お兄ちゃんの友達だよ」
花束と菓子折りを手渡す。
('、`*川「ありがとー!初めまして!」
(,,゚Д゚)「調子はどうだ?」
('、`*川「だんだん体が楽になってきたよ!学校にも行けるようになるって!」
(,,゚Д゚)「そうか。よかったな」
('、`*川「そうだ!お兄ちゃんは?」
(,,゚Д゚)「…」
ギコは床に目を落とした。
164
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:45:03 ID:ooLGbWQg0
翌日。
( ゚д゚ )「勝手に出撃して勝手にやられるとは…」
从`゚∀从「仕方ねーっすよ。アイツ兄貴の事めっちゃ恨んでたし」
( ゚д゚ )「クー君は勝手にどこかいなくなりますし…」
( ゚д゚ )「君は大丈夫ですか?」
从`゚∀从「当たり前っすよ!恩を忘れてません!」
( ゚д゚ )「君を大学まで行かせて職まで斡旋したのはこの聖戦の為だったのかもしれない」
( ゚∀゚)(何が聖戦だよ馬鹿らしい)
( ゚д゚ )「この世界は腐りすぎている。人の命をいとも簡単に奪う疫病、崩壊する秩序」
( ゚∀゚)(まーた始まった。暴れられればそれでいいんだよ)
165
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:45:24 ID:ooLGbWQg0
(*;゚∀゚)「ぎ、やるじゃないか」
(,,゚Д゚)「うおおおおおおおおおおおおお!!」
いくつかの勝利を得て病院の見舞いに行く途中、待ち構えていたつーの殺意で戦闘に発展した。
力を経てある程度拮抗に近づいたとはいえ、つーの力は絶大だった。
迫りくる幻影剣を全て潰し、鬼神は暴れる。
爪;'ー`)y‐「お姉さん俺を傭兵として雇わな…アッー!」
(*;゚∀゚)「邪魔だ」
一蹴され吹き飛ぶフォックス。
戦況が変わったのは、切り刻まれギコが窮地に立った時だった。
突如全身のアーマーが毛皮に変わり、瞬足で腕を一本もっていく。
奇しくも今日は満月が明るく輝いていた。
力が強くても反応できない攻撃を受ければ意味はない。
ドゥンを呼び出すも、ものの数秒でボロ雑巾に変わり捨てられた。
幻影剣の力を爪に込めて引き裂く。
(#゚∀゚)「調子に乗るな!!」
残り三本の腕を雑に振るう。
一本が腹を切りギコは正気に戻った。
(,,゚Д゚)「ハッ…つーさん!?」
(*゚∀゚)「どうやら罪を受け入れて大人しく死ぬ気はないようだな…」
(#゚∀゚)「そうでなきゃしぃも浮かばれない!!」
ボロボロのドゥンを酷使し、渾身の突撃体制に入る。
(,,;゚Д゚)「しぃはまだ死んでない!!オレが生き返らせる!!」
(;^ω^)「運命反転を使えお!!ギコが死んじゃうお!!」
(,,゚Д゚)「黙れ!!」
狼毛の残る顔で叫ぶ。
またんきを倒して得た銃を握る。
(,,;゚Д゚)「超強化幻影弾!!」
正義のアルカナの力と、幻影剣の力を上乗せして引き金を引く。
166
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:45:48 ID:ooLGbWQg0
(*゚∀゚)「たかが銃で何ができるって─!」
つーは余裕げに胸で受ける。
心臓を狙って銃が執拗に回転し、肉と脂肪が引き裂かれる。
(*;゚∀゚)「!?」
とっさに両腕で左胸を庇う。乗っていたドゥンからどさりと落ちる。
両手がズタボロに使い物にならなくなってようやく弾丸と相殺できた。
(,,;゚Д゚)「手荒で済まないが降参してくれ。俺はあんたを殺したくない」
(*;゚∀゚)「アンタ、あたしが両腕でガードするのを予測して…?」
運命の力だった。
(*゚∀゚)「ククク…とことんコケにしてくれるね」
のそのそとボロボロの体で近づく。
(,,;゚Д゚)「来ないでくれ!」
(*゚∀゚)「ククク、なめんじゃねぇよ」
つーは素早い動きでギコの握った剣を自分の喉に当てる。
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208787/99_emdrbf.png
喉から左胸にかけて切っ先を引く。
喋るたびにゴボゴボという音と泡が混じる。
(*゚∀゚)「復讐対象にボロ負けして情けを受けた時点で復讐は失敗なんだよ」
(,,;゚Д゚)「あんた…しぃはどうする!?」
(*゚∀゚)「まだしぃを救えると思ってるのかい?おめでたいねぇ」
ドゥンが駆け寄りつーを貪り食う。
(,,#゚Д゚)「貴様!やめろ!」
(*∀)「ククク…戦意を投げ捨てた主人を食い滅ぼしにきたのさ」
(*∀)「アタシの呪いを受けな・・・次はあんたが乗る番だ」
(*∀)「地獄でまた憎しみの…殺し合いを…」
火虎が女帝の誇りを失ったものを食いつくして消えた後、狼男は赤ん坊のように寝転がって泣き叫んだ。
(,,;Д;)「 」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588211389/133_lfbz4z.png
167
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:46:08 ID:ooLGbWQg0
(;^ω^)「ここかお!」
ブーンはつーの末路を見やり、ギコを気遣って別の隙間空間に来ていた。
審判達が契約者を襲っている。
(;^ω^)「すまん、借りるお!」
ブーンはこっそり持ってきていた女帝を握る。手に汗がつく。
ミ ゚Д゚彡「がる」
(;^ω^)「力を貸してくれお!」
何も答えずドゥンは審判に突っ込む?
( ФωФ)「ライオンとは面白いな!」
ミルナを裏拳でふっとばしながら口笛を吹く。
光弾はミセリに吸収されていた。
( ФωФ)「一度会ったであるな。次はお前が相手か?」
拳を突き出す。ブーンは棍棒で防御する。
腕がビリビリと痺れる。
( ФωФ)「こいつらワンパターンでつまらなかったのである」
(;^ω^)「違うお!僕は戦いを止めに…」
突如超スピードでミルナがブーンを殴り飛ばす。
( ゚д゚ )「流星群!!」
(;^ω^)「しまっ…」
168
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:46:29 ID:ooLGbWQg0
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208786/91_mzmswv.png
クーは久々の戦いに来ていた。
ドクオがうっかり外に出てしまい、探しているうちに捕まったのだ。
( ^Д^)「へへへ。まだ残ってる契約者がいたか」
プギャーは無抵抗のドクオを殴っている。
( ^Д^)「最初見た時はビビったがよ。なんだこいつてんでよえーじゃねーか」
川 ゚ -゚)「やめろっ!」
開幕で銃を撃つ。
( ^Д^)「炎!」
弾丸がむなしく溶ける。
クーはプギャーからドクオを引き離す。
川 ゚ -゚)「彼は私が守る!」
( ^Д^)「ずいぶん契約者が減ったようだが、弱い奴を狩っていけばまだ俺の時代は来る」
川 ゚ -゚)「最低だな。弱い者いじめとは」
( ^Д^)「何言ってんだよ今更。そういうの好きが集まったのが契約者だろ?」
川 ゚ -゚)「私は違う!彼に会って変わった!汚い世界でもいい、彼と生きていきたい!」
('A`)「ありがとう、クー」
川*゚ -゚)「ドクオ…」
('A`)「俺の中で生きてくれ」
塔がクーの腹を潰す。
川 -)「え…」血を吐く。
('A`)「昔の妻並に好きになったぜ。その献身的態度」
('W`)「いただきます」
潰れた内蔵から食い始める。
(;^Д^)「ウワアアアアアアア!!」
逃げるプギャー。
169
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:46:49 ID:ooLGbWQg0
( ;゚д゚ )「あぐあああああああああああああ!!」
いきなり頭を押さえて呻き始める。
从`゚∀从「センセイ!?」
(,,゚Д゚)「今だ!疾風斬!」
( ;゚д゚ )「くそっ!」
とっさにハインを押し付けて盾にする。
从`;゚∀从「また俺かよぉぉぉぉ!」
幻影剣を全身にまとった体当たりを食らい爆死する。
(;^ω^)「ギコ」
(,,゚Д゚)「逃げ足が早いな。時間の無駄だ、帰るぞ」
( ФωФ)「…」
( ;゚д゚ )「ハァ…ハァ…」
(;゚∀゚)「急にどうしたんですか?センセイ」
( ゚д゚ )「急に星の力が使えなくなった…奪われた?」
( ゚∀゚)「誰に?」
( ゚д゚ )「この状況下だと悪魔の彼でしょうか…」
( ゚д゚ )「しかし誰が接触を?」
170
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:47:09 ID:ooLGbWQg0
(,,゚Д゚)「…」
(;^ω^)「ギコ…」
(,,゚Д゚)「最後にもう一度だけ言っておく。契約者をやめろ」
(;^ω^)「でも僕は・・・」
(,,゚Д゚)「俺は守るべき人の身内を手にかけた。もういよいよ戻れない」
(,,゚Д゚)「潰してきた者達の死でつぶされて俺はきっともう死人だ」
(,,゚Д゚)「だがお前は生きている。さっさと生者の道へ戻れ」
(;^ω^)「ギコだって生きてるお!」
(,,゚Д゚)「デミタスを見かけないだろう。やったのは俺だ」
(;^ω^)「ッ…!」
(,,゚Д゚)「いい奴だったよな。どうだ、もう俺に愛想が尽きたろう」
(,,゚Д゚)「まだ踏ん切りがつかんか。じゃあ俺の最大の秘密を教えてやる」
(,,゚Д゚)「俺はな、あんたの妹なんだよ」
(;^ω^)「は!?」
ブン子の生徒手帳を見せる。
(;^ω^)「これをどこで…!?」
(,,゚Д゚)「阿呆か。失踪した本人以外誰が持ってるっていうんだ」
(,,゚Д゚)「前にしぃ先生がレイプされかけて目覚めたって言ったな。俺も一緒にレイプされかけてたんだよ」
(,,゚Д゚)「その時点でもう俺は死んでたのかもな」
(,,゚Д゚)「俺は剣のアルカナに密かに願っていたらしい。剣は男らしさの象徴、だから男にしてくれと」
(,,゚Д゚)「そして月のアルカナには女の象徴をなくしてくれと」
(,,゚Д゚)「なんだその顔は。こんな土壇場で大嘘言ってどうする」
(,,゚Д゚)「とにもかくにもここから先は能力を凝縮された能力者同士の食い合いになる」
(,,゚Д゚)「明日までに考えておけ。命を粗末にするな」
衝撃を越えた衝撃を残して立ち去るギコの前に、ブーンは何も言えなかった。
171
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:47:29 ID:ooLGbWQg0
翌日。
(;^ω^)「あれ?モナー先生は?」
ζ(゚ー゚*ζ「気付かなかったの?昨日の夜からいなかったわよ」
ζ(゚ー゚*ζ「急に記憶が戻ってきたから出ていくって。世話になった、ありがとうって」
(;^ω^)「そうかお…ってえぇ!?」
電話をした。つながらなかった。
(;^ω^)「ちょっと行ってくらぁお!」
ζ(゚ー゚;ζ「どこに!?」
(;^ω^)「家とか先生が行きそうな場所だお!!」
( ^ω^)「先生の願いは、奥さんの事を忘れる事だったんだお!!」
(;^ω^)「記憶が戻ったらまた戦いを続けるかもしれないお!!」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと待って。ここ最近あなたが家を空けてたから話しておきたい事があるの」
(;^ω^)「なんだおこんな時に!?」
ζ(゚ー゚*ζ「あなたは死んでるのよ」
(;^ω^)「昨日のギコもそうだけどみんな突飛のない話しすぎだお!!」
ζ(;ー;*ζ「お願いだから聞いて!!」
(;^ω^)「お…」
172
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:48:10 ID:ooLGbWQg0
( ´∀`)
モナーは全てを思い出した。
昨日の夜、急に激痛と共に戻ってきた。
あの体に代わりに入ったものが悪事を働いている。
きっとまた人を食ったのだろう。
人を食うのは本来いけない事なのだとこの体が教えてくれた。
財布に入ったお金でコンビニのおにぎりをいくつか買う。
この体がお金の払い方も教えてくれる。
( ;゚д゚ )「…」
('A`)「…」
( ゚д゚ )「あなたが悪魔でしたね」
('A`)「そうだ」
( ゚д゚ )「昨日、黒髪の女性を食しましたか?」
('A`)「クーの事か。引き締まってて細身でだったがうまかったね」
川・_ゝ・`)「お前!」
('∀`)「お前らにとっちゃ、ただの女の子でしかなかったんだろうけどさ」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208779/14_fkwdqr.jpg
('∀`)「俺にとっては大事な先生で、しかも命までくれた恩人だぜ」
唇が血で濡れている。
(;゚∀゚)「どうします?まだハインの再生が…」
( ゚д゚ )「出会ってしまった以上、やるしかないでしょう」
( ´∀`)「お前ら下がってろ。こいつは俺のものだ」
('A`)「嘗ての俺のボディか。よく来た」
173
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:48:33 ID:ooLGbWQg0
ζ(゚ー゚*ζ「前の戦いであなたは死んだわ」
(;^ω^)「前ってなんなんだお?」
ζ(゚ー゚*ζ「前にあった契約者バトルの事よ」
(;^ω^)「前にもこんなことが…?」
ζ(゚ー゚*ζ「前の戦いでは私は最強のアルカナ、世界で始まったの」
(;^ω^)「世界…」
ζ(゚ー゚*ζ「文字通り世界を支配できる力。使い方によってはね」
ζ(゚ー゚*ζ「あなたは一般人だったけど巻き込まれて死んじゃった」
(;^ω^)「お…」
ζ(゚ー゚*ζ「私はあなたを蘇らせる願いを書いて世界と正式契約したわ」
ζ(゚ー゚*ζ「でも最後の戦いで審判と相討ちになって私も死んだ」
ζ(゚ー゚*ζ「私の願いと審判の男の願いは同時に叶えられたの」
(;^ω^)「審判の願い?」
ζ(゚ー゚*ζ「今回の戦いは前回と顔ぶれが違うけど私と審判は同じだったわね」
ζ(゚ー゚*ζ「恐らく最終勝利者特権で記憶保持ができるからまた選ばれた、いや自分から選んだ」
ζ(゚ー゚*ζ「前の世界は所謂ディストピア。清浄で退屈な世界ね」
ζ(゚ー゚*ζ「それで退屈じゃない世界みたいな願いにして、今の世界ができた」
ζ(゚ー゚*ζ「今度は自分で望んだ世界に絶望して、また清浄な世界を作り替えるつもりでしょう」
(;^ω^)「なんてこったお」
ζ(゚ー゚*ζ「まさかあなたが今度は契約者になるなんてね。」
ζ(゚ー゚*ζ「私は陰でブーン君を守ろうと思ったけど今回は回復しかできない女教皇だから大したことはできなかった」
(;^ω^)「なんてこったお…」
174
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:49:01 ID:ooLGbWQg0
戦いは熾烈を極めた。
あらゆる契約者を食ってきたドクオは隙間世界では醜いキメラと化していた。
体のところどころに犠牲者の顔が浮かんでいる。
( ´∀`)「終わりだ!」
モナーは皇帝の兵士達を最終突撃させて勝負を決めようとしていた。
兵士を派遣してチクチク切って翻弄してもあまり効果がない。
頸動脈を切ろうとしても、首に装甲を貼られて届かない。
('∀`)「死ね」
ドクオの腹に巨大な口が生成された。
突撃した兵士達をとてつもない吸引力で口に入れていく。
兵士達が咀嚼される。
(;´∀`)「グハッ」
体中から血が噴き出る。急激に力が抜けていく。
(;´∀`)「まさか…こんな力まで手に入れていたとは…」
ドクオの悪魔の力は契約者を食う事で能力を吸収する能力。
術者に似せてよく作られた兵士達も効果を受けるようだった。
('A`)「かつての俺の肉体を余さず食う事で、よくやく俺は完全になれる気がする」
('∀`)「ククク、ちなみに皇帝にはとっておきの能力があるんだがな」
(;´∀`)「知ってる」
錫杖のスイッチを入れる。
('A`)「なにッ!」
腹部が大爆発する。
('A`)「ぉぉぉ・・・」
('A`)
ドクオは沈黙して動かない
(;´∀`)「これでもう食えなくなったな」
(;´∀`)「本当はもっと生きていたかったがこれも自分の業か…相討ちできて上等かな」
うつ伏せのモナーの体から、最後の足掻きのように血がどっと噴き出る。
175
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:49:28 ID:ooLGbWQg0
戦いは熾烈を極めた。
あらゆる契約者を食ってきたドクオは隙間世界では醜いキメラと化していた。
体のところどころに犠牲者の顔が浮かんでいる。
( ´∀`)「終わりだ!」
モナーは皇帝の兵士達を最終突撃させて勝負を決めようとしていた。
兵士を派遣してチクチク切って翻弄してもあまり効果がない。
頸動脈を切ろうとしても、首に装甲を貼られて届かない。
('∀`)「死ね」
ドクオの腹に巨大な口が生成された。
突撃した兵士達をとてつもない吸引力で口に入れていく。
兵士達が咀嚼される。
(;´∀`)「グハッ」
体中から血が噴き出る。急激に力が抜けていく。
(;´∀`)「まさか…こんな力まで手に入れていたとは…」
ドクオの悪魔の力は契約者を食う事で能力を吸収する能力。
術者に似せてよく作られた兵士達も効果を受けるようだった。
('A`)「かつての俺の肉体を余さず食う事で、よくやく俺は完全になれる気がする」
('∀`)「ククク、ちなみに皇帝にはとっておきの能力があるんだがな」
(;´∀`)「知ってる」
錫杖のスイッチを入れる。
('A`)「なにッ!」
腹部が大爆発する。
('A`)「ぉぉぉ・・・」
('A`)
ドクオは沈黙して動かない
(;´∀`)「これでもう食えなくなったな」
(;´∀`)「本当はもっと生きていたかったがこれも自分の業か…相討ちできて上等かな」
うつ伏せのモナーの体から、最後の足掻きのように血がどっと噴き出る。
176
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:49:48 ID:ooLGbWQg0
(;^ω^)「ギコ!」
(,,;゚Д゚)「お前か。答えは出たのか」
( ^ω^)「僕の答えはこれだお!」
棍棒を召喚しギコに加勢し、流石兄弟に相対する。
弟者の鎌はたやすくギコのアーマーを無視した。
(,,;゚Д゚)「うっ」
(´く_` )「弟者の死神の鎌はあらゆる防御を貫通する」
( ´_>`)「ネタバレやめろ」
( ^ω^)つ「うおお!」
ブーンが棍棒で殴る。
弟者の体は鋼のように硬くなる。
それでもダメージは多少与えた。
兄者の「恋人」は、自分の持つサポート能力をパートナーに与える。
これも単体では役にたたないものだ。
ブーを撃破し手に入れた戦車の硬化を存分に発揮していた。
いくつかの攻防を繰り返し、しびれをきらした弟者が言う。
( ´_>`)「兄者。そろそろ決めよう」
(´く_` )「おう。あれを試してみるか」
兄者が弟者を肩車し、弟者が鎌を構える。
そして兄者が加速を始める。
(,,;゚Д゚)「まさか…戦車アルカナのアレか!」
(,,;゚Д゚)「ブーン、ドゥンを出せ。対抗するぞ」
( ^ω^)つ「おうお!」
ミ ゚Д゚彡「がう」
二人を乗せてドゥンも加速する。
(´く_` )「フリーズ!」
兄者の攻撃を受け、ドゥンが凍り付く。
( ´_>`)「おわったな」
177
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:50:09 ID:ooLGbWQg0
(,,゚Д゚)「お前がな」
(´く_` ;)「ぐあっ!」
無数の幻影剣に囲まれ貫かれる兄者。
咄嗟に戦車の硬化を自分に戻して致命傷を避ける。
(#^ω^)「うおおおおおおー!」
ドゥンの背中からジャンプしたブーンが、硬化の切れた弟者を棍棒で殴り落とす。
( ´_>`)「ぐっ」
(´く_` )「やられたな!だが弟者、弱点を補ってもう一度やれば…」
兄者の腹には死を告げる鎌が食い込んでいた。
(´く_` ;)「…えっ?」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208786/89_ru3cz8.jpg
( ´_>`)「ごめん、兄者。二人でやるからつなぎ目がほどけると思うんだ」
( ´_>`)「二人で勝てなくても力を二つに集約したらきっと─」
ああ、そうか。
(´く_` )(ごめんな、弟者)
首を落とされて心の中で兄者は自分の弱さを謝罪する。
(;^ω^)「な…」
(,,;゚Д゚)「正気か?」
( ´_>`)「さあ第二ラウンドだ」
カードを食べ終わった弟者は、二人に近づく。
( ФωФ)「旋」
不意打ちで二連続の空中回し蹴りを受け、弟者が吹っ飛ぶ。
( ´_>`)「なんだ…お前」
( ФωФ)「戦車をやったのはお主らか?やらせてもらうぞ」
178
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:50:41 ID:ooLGbWQg0
( ´_>`)「なんの事かわからないなぁ」
( ФωФ)「龍王波」
右足を瞬足で振り、弟者の顔面を捉える。
( ´_>`)「迂闊だったな」
右足に死神の鎌を当てる。
すかさず逆方向に回転し鎌を避け、もう一撃浴びせる。
( ´_>`)「なんでだ…僕の鎌は肉も骨もすり抜ける無敵の…」
( ФωФ)「当たらなければいいだけである。岩砕」
狼狽する弟者の顔面を肘で捉え、そのまま地に沈める。
( ´_>`)「馬鹿な…なんだお前」
( ФωФ)「二人分の力なのだろう?もっとやってみせろ」
( ´_>`)「言われなくとも」
鎌を大振りに投げ、ブーメラン戦法を使う。
( ФωФ)「武器をて手放したか。愚かな」
ひたすら来るロマネスクのインファイトを受ける。
( ´_>`)(今だ!)
帰ってくる鎌をロマネスクはしゃがんで避け、弟者の腕を貫通する。
( ´_>`)「な…なんでわかった」
( ФωФ)「音が大きすぎるのである」
( ФωФ)「さて案外つまらんな。武器頼りはこんなものか」
スッと一歩下がる。
( ´_>`)「僕は世界征服をするんだ…負けるわけがないんだ…」
戦車の硬化を発動する。
( ФωФ)「気空波」
弟者の胴に寸止めで拳を当て、硬化が解除される。
気空波は肉体を内側から侵す技だ。表面を鋼にしても仕方ない。
179
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:51:02 ID:ooLGbWQg0
( ФωФ)「虎威」
すかさず懐に入り弟者を垂直に投げ、胸を脚で突きあげる。
アバラがいくつも折れる音がした。
( ´>`)「…」
( ФωФ)「さて魔術師よ。強くなりたければお前がトドメをさせ」
(;^Д^)「え!?いいんですか!?」
( ФωФ)「ああ、その代わり吾輩を愉しませてくれよ」
( ^Д^)「ヒャッハー!」
生成した氷の剣で弟者の胸や喉をめった刺しにする。
カードを三枚奪い取る。
( ^Д^)「今日がテメェの最期だな!うおお、力がみなぎって…」
( ^Д^)ニア「行きやがれ!」
死神を模した使い魔が通り過ぎる。
一瞬しびれを感じ、鎌がかする。
( ФωФ)「ほう、遂に自分の真価が使い魔だと理解したか」
(*^Д^)「ああ、今ならわかるぜ…」
爽やかな顔のプギャーが近づいてくる。
ロマネスクが正拳突きを放つ。
弾かれる。戦車の力だ。
背後には音もなく死神の使い魔が鎌を振り落とす。
( ФωФ)「ぐっ」
背中を切られた。
筋線維がすこしやられた。
( ФωФ)「気空波」
拳を当てる。大量のコウモリが飛び去る。
180
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:51:23 ID:ooLGbWQg0
死神の体内からプギャーが出てきて、鎌を振る。
左腕をまともに切られる。動かせない。
風呂敷を広げ、プギャーが消える。
一瞬だけ巨大なゴーレムが現れ、腹パンチをかます。
金剛が間に合わない。まともにくらい、ゴーレムの自爆にも巻き込まれる。
頭から血を流し、フラフラの状態でロマネスクは笑う。
( ФωФ)「感謝するぞ。吾輩は 吾輩は 少し恐怖している」
( ^Д^)「ああ。テメェに泡を吹かせて今初めて契約者バトルで楽しいぜ」
プギャーがトドメとばかりに大鎌を解体し、大量の小さい鎌として飛ばす。
鎌の嵐でロマネスクの全身が切り裂かれる。
( ФωФ)「ふふふ…ふふ」
( ^Д^)「終わりだ!」
一瞬で大鎌に戻し、縦一閃で振るう。
( ФωФ)「邪斬」
曲げた腕で肘を露にし、肘突きで鎌の柄をへし折る。
(;^Д^)「な…死神の鎌だぜ。物理攻撃なんかじゃ壊れ…」
( ФωФ)「吾輩の分身である。虚ろな存在ならこの世でないものを折るのも道理」
いつの間にかプギャーを四人のロマネスクが取り囲んでいる。
人のリミッターを越えた速度で、残像が発生しているのだ。
あっけにとられた一瞬で、背後のロマネスクが宙に浮き両足で抱きかかえる。
(*^Д^)「フリーズ!!」
魔術師と恋人のフリーズを合わせて背後の本物に放つ。
ロマネスクの勢いは止まらない。腰を挟んで背後に回転する。
速度を利用し地獄車をかます。何度も何度も。
勢い余って二人とも投げ飛ばされ、足の裏を合わせて地面に激突する。
頭から轟音とともに突っ込んだプギャーの首は贔屓目にも折れている。
とん、と着地するロマネスク。
( Д)
( ФωФ)「契約者のの耐久ならまだ頭かに息があるだろう。最後の力で魔法を撃ってくれ」
プギャーは今までにない特大の炎でロマネスクを包んだ。上げた指が魂が抜けたように落ちる。
181
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:51:44 ID:ooLGbWQg0
( ФωФ)「ふふふ、久々に血沸き肉躍ったわ」
歩き出そうとするがふらつく。
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫?」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208779/51_mn27s3.jpg
魔力と闘気を吸って急成長したミセリが自分の足で立つ。
いつの間にか四枚のカードを手に取っている。
( ФωФ)「抜け目ない奴だ。破廉恥な格好は卒業か?」
ミセ*゚ー゚)リ「とりあえずね。家に帰ろう?」
( ФωФ)「ああ」
二人は支え合って隙間空間から脱した。
182
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:52:05 ID:ooLGbWQg0
JUDGEMENT DAY
最後に残った契約者達が集まる。
( ^ω^)(,,゚Д゚)
( ゚д゚ )( ゚∀゚) 川・_ゝ・`)从`゚∀从
(,,゚Д゚)「あの女好きはくたばったか?」
( ^ω^)「さあお」
ギコは双剣を、ブーンは棍棒を手にしドゥンを召喚した。
(,,゚Д゚)「…契約したのかお前?」
( ^ω^)「ああお」
(,,゚Д゚)「悲しいような、期待してたような」
もはや多くのアルカナを得たブーン達には、ミニオンの拳銃は効果がほぼない。
ミルナの武器、パニッシュオブデスは未だに脅威とはなっていた。
ギコがミルナの相手をし、ブーンとドゥンがミニオンを蹴散らした。
(,,゚Д゚)「聞いた話なんだが。嫌気が差して消した世界をまた復活させるのか?」
( ゚д゚ )「人聞きが悪い。私は学んだのですよ。私は愚者と賢者の両方を経験したのです」
(,,゚Д゚)「勝手な話だな。世界は箱庭じゃないんだし住む人間はレ〇ブロックじゃないんだぞ」
( ゚д゚ )「利己的な契約者にしては道理を弁えていますね」
ミルナの光剣がギコを突く。ギコは幻影剣でガードする。
川 ;゚ -゚)「間に合ったか!」
川 ゚ -゚)「邪魔だ!」
信じられない膂力の蹴りでギコとブーンを場外へ蹴り飛ばす。
( ゚д゚ )「クー君。生きていたのですか」
川 ^-^)「ええ、勇者が悪魔を倒して吐き出されましたwご心配おかけしましたね」
183
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:52:25 ID:ooLGbWQg0
川 ゚ -゚)「そして心配のない世界に逝きな。監獄でダメなら地獄にな」
一瞬で全ての重武装を取り出し、間髪入れずにフルバーストする。
川 ゚ -゚)「エンドオブザワールド!!」
弾幕の塊がジョルジュとデミタスを消し飛ばす。
(#゚д゚ )「清浄な世界の邪魔を…するなァァァァ!!」
パニッシュメント。
不可避の玉を食らい、致命傷を負って擬態が解ける。
爪;'ー`)y‐「ぐはっ…」
(;^ω^)「フォックスさん!!」
从`;∀从「あああああああ!!」
(;゚д゚ )「な、なにをする!」
从`;∀从「あんたぁ知らねぇだろうが!!何度も何度も死ぬのはなぁ!」
从`;∀从「職の斡旋如きでここまで死を強いるんじゃねぇぇぇけ!!!!!」
(#゚д゚ )「うるさい!」
光剣で腹を刺す。
爪;'ー`)y‐「この期に及んで仲間割れかい。みっともないねぇ」
爪'ー`)y‐「やるよ!」
玩具がたくさん入った袋をブーンに投げつける。
ミルナに抱きつく。
(;゚д゚ )「何を!やめろ!」
爪'ー`)y‐「こっちこそ野郎とハグる趣味はねぇんだよ!」
最後の一息を吸い終えると、体中に巻いた手榴弾のうち一つのピンを抜く。
爪'ー`)「ヒーちゃん…」
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208812/129_p6ysd0.jpg
大爆発で二人は消し飛んだ。
184
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:52:55 ID:ooLGbWQg0
从`;∀从「死にたくねぇ!あひいいいいいいいいいい」
残るハインは腰が抜けてへこへこと逃げていく。
(,,゚Д゚)「疾風斬」
体に纏った幻影剣との突撃でハインも葬られる。
(,,゚Д゚)「さて」
( ^ω^)「ああお」
(,,゚Д゚)「俺には願いをまだ諦められない。戦ってくれ」
( ^ω^)「もちろんお」
ブーンの許諾を合図に、いがみあっていた二人の戦いが始まった。
(,,゚Д゚)「幻影剣ストーム!!」
無数の幻影剣をパニッシュオブデスで弾き、打ち砕くブーン。
だがドゥンにはあたり、少しづつダメージが蓄積していく。
(,,゚Д゚)「エクストリームソード!!」
幻影剣を飲んで強化された剣を振るう。
( ^ω^)「ミョルニル!!」
ブーンの棍棒がハンマーに変化し鍔競り合う。
(,,゚Д゚)「フン、また神話の名前か。お前実はまたんきの野郎じゃないのか?」
(;^ω^)「ただ名前借りただけだお」
力で勝るブーンは地面にハンマーを叩きつけ、大地震が起きる。
(,,;゚Д゚)「おっ」
( ^ω^)「エンドオブザワールド!!」
フォックスから譲り受けた武器を巨大化し一斉放射する。
法王の能力は、武器をミニチュア化し戦闘時に元のサイズに戻すものだった。
フォックスは元法曹の人間の為、現実世界で武器をおおっぴらに持っているのが嫌だったのだ。
185
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:53:17 ID:ooLGbWQg0
(,,#゚Д゚)「幻影界!!」
持てる力を使い、ありったけの幻影剣を飛ばす。
デミタスの節制の力で、消費する力は,節約される。
弾薬と剣が飛び交い地獄絵図になる。
ほぼ互角だったが、ギコは数発くらってしまった。
(#^ω^)「うおおおおお!!!!!」
(,,#゚Д゚)「ああああああああああああ!!!!!」
砂煙が消えないうちに二人は走り出す。
(,,゚Д゚)「ファイナルエクストリームソード!!」
出せる実剣と幻影剣を注ぎ込み濃縮し、惜しみない横薙ぎをする。
(#^ω^)「うおおおおおお!!」
十字架銃を腹に構え防御する。
一瞬で砕け散る。
一瞬が勝負の分かれ目だ。
とっさに十字架を持っていた手を添え両手にし
ミョルニルの渾身の力でギコの全てを砕いた。
(,,゚Д゚)「ああ…やられたな」
( ^ω^)「すまないお」
(,,゚Д゚)「泣くなよ?お互い悔いなく全てをぶつけただろうよ」
(,,゚Д゚)「最後にお前とやりあえてよかった」
(,,゚Д゚)「俺が妹だからって加減してないようでよかった」
(,,゚Д゚)「なぁ…俺はあんたの妹か?お前の友達か?」
(*^ω^)「どっちもだお!」
(,,-Д-)「そっか…お前の願い、叶えろよ」
川-ω-)
ギコ=ブン子は、いとしい人との幻影を夢みて目を閉じた。
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208784/37_nbmi9n.jpg
186
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:53:38 ID:ooLGbWQg0
( ^ω^)「来てくれたかお」
ξ゚⊿゚)ξ「終わったの?」
(;^ω^)「多分」
( ФωФ)「まだ吾輩がいるぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「!」
(#^ω^)「おおおおおおッ!」
( ФωФ)「待て。吾輩は戦う気などない」
(;^ω^)「え?」
( ФωФ)「吾輩はもうこの戦いでも最強だった。お主が万全でも勝つだろう」
( ФωФ)「神聖なる決闘を邪魔しようとするヒトクイの悪魔は吾輩が始末した」
残りのカードをすべてばら撒く。力のタロットも。
( ФωФ)「素晴らしい命の決闘を見せてもらった例だ」
ξ゚⊿゚)ξ「…貴方全く契約してないの?」
( ФωФ)「いや、一人だけ契約した」
ミセ*゚ー゚)リ「やっほ」
( ФωФ)「吾輩は今からこいつの世界に旅立ってもっと恐怖を探しに行く」
( ФωФ)「もう一人前だからできるな?」
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫だよ♪」
二人の姿が薄くなる。
( ФωФ)「恐怖とは人を克服で成長させてくれる」
( ФωФ)「ではさらばだ」
二人の姿は完全に消えた。
187
:
◆6OaoGiy1zI
:2020/05/06(水) 23:55:15 ID:ooLGbWQg0
( ^ω^)「最後に僕を殺して欲しいんだお、自殺はできないから」
ξ゚⊿゚)ξ「うん」
( ^ω^)「次の世界でも会おうお」
ξ゚⊿゚)ξ「うん」
ξ;⊿;)ξ
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208811/127_vsojec.jpg
ツンは抱擁してからブーンの頭を砕いた。
カードを回収しブーンの指輪を左薬指にはめた。
最後の世界との戦いはあっさりだった。
ツンは前の世界で使い手だったので攻略法は知っていた。
世界は概念の擬人化だった。
世界が時を止めてパンチで腹に風穴をあけてくるのを見越し
無数の剣を射出体制にして一瞬で穴だらけにした。
https://res.cloudinary.com/boonnovel2020/image/upload/v1588208775/39_qydtit.jpg
ツンは「契約者のいない正常な世界」の願いを書き、カードを隙間空間の空にばら撒いた。
現実世界も塗り替わっていく。
正常な世界なんて誰の基準の正常かはわからない。
ただ、また愛するものと出会うだろう。
完
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