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('A`)ドブロク!のようです
2
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:10:25 ID:XGoSnstM0
次は『女帝』高岡ハインリッヒ。四天王唯一の女だ。
派手な銀髪のアシメの女見たら逃げろ。そいつだ。
杉浦が男の不良仕切ってるとすれば、高岡は女子生徒を束ねてる。
レディースの頭張ってて、女瞳鎖(メドゥーサ)って特攻服着た女見た事あんだろ?そいつらのボスだ。
だから、女ナンパする時は気を付けろ。ドブロクの生徒だったら酷い目に遭うぞ。
んで『総統』東条フォックス。白狐っていうチームの頭だ。
『族喰い』とも呼ばれててよ。ここら一体の族を新顔だった白狐の連中が潰して回って、そいつら傘下にしちまった。
しかも理由が、「俺らの走るのに邪魔だったから」だってよ。イカれてるよな。
白狐のロゴ入ったライダース来た奴らが来たら黙って道を譲れ。
最後は『暴君』猫村ギコ。こいつが間違いなくドブロク最強だ。
暴君って言っても、力でドブロクの連中を従えて圧制してる訳じゃない。
強いんだよ。とにかく。規格外に。現実で人殴って数メートル吹き飛ばす奴見た事あるか?
それでついたあだ名が『暴力』の『君』だ。常に女腕に引っ付かせてる男見たら眼を合わせるな。
3
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:11:26 ID:XGoSnstM0
こいつら以外にもヤベェ連中がゴロゴロいるのがドブロクだ。
まぁ簡単に言えば、ドブロクに関わるな。だ。
あン?なんで「したらば高校」なのにドブロクなのかって?
そりゃあな……。
4
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:12:16 ID:XGoSnstM0
('A`)ドブロク!のようです
.
5
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:13:03 ID:XGoSnstM0
既に俺の心は折れそうだった。
塀には夥しい落書きとペイントが施され、何も書かれていない部分を探す方が難しい。
その上には有刺鉄線が乱雑に巻かれた防犯フェンスは、さながら刑務所をイメージさせた。
『入学式』の看板は早々に蹴り折られたようで、道に装飾されていたであろう造花をまき散らしていた。
横を通り過ぎていく生徒たちは、一様に鋭い眼光を放っており、数分前は「目が合った」という理由で二人が胸座を掴み合った後、校舎の奥に消えて行った。
何故、俺はこんな場所に立っているのだろう。と、校門前に立ってから17回目の自問に入る。
「逃げずに戦う」そう決めた。だけど、それは物理的な意味ではない。
喧嘩なんて生まれてこの方、口喧嘩しかしたことはない。それも数えるほどだ。
平和主義というより日和見主義と言ってもいいほど、争いからは無縁だった。
('A`)「生きてけるかなぁ……。ここで」
まず、今日という日を。
もしかしたら入学式の初日で病院送りになり、そのまま出席日数が足りずに自主退学。
ありえない。とは言えない。
この高校では。
俺はもう一度校門の横に据付けられた校名を見た。
『したらば総合高等学校』
スプレーで白く汚れたプレートを見て、生唾を飲み込んだ。
今日から、ここで、俺の高校生活が始まる。
6
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:14:16 ID:XGoSnstM0
Ep.1「KNOCK BACK!!」
.
7
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:17:01 ID:XGoSnstM0
1.
乱闘でも起こるのではないか。と予想していたが、良い意味で裏切られた。
入学式は恙無く終了し、割り振られたクラスの一角で、俺は安堵の息を漏らした。
ホームルームが終われば、今日は帰宅できる。
クラスメートたちは出身の中学などを言い合ってはいるが、俺に話しかけてくる奴は誰もいない。
彼らの興味は自分と似た様な雰囲気を持つ者に限定されていた。
そうだ。こうやって目立たず、貝のように生きて行こう。こんな高校でも、自分で勉強し、大学に入るのだ。
そう、心に決めた瞬間だった。
悪魔の声が、聞こえた。
( ・3・)「うっつだくーん」
声が掛かって来た方を振り向いた俺は、自分の目が信じられなかった。
嘘だ。
なんで、こいつが、ここにいる。
8
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:17:34 ID:XGoSnstM0
( ・3・)「あるぇ?無視ぃ?ひどくね?せっかくおな中の友達に会えたのにー」
声が、うまく出ない。
急激に喉が渇いていく。
( ・3・)「もしかして忘れちゃったぁ?2年振りだしなぁ」
喉を通る空気が痛い。粘度の高い唾液が分泌され、額に脂汗が浮かぶ。
( ・3・)「んじゃ、こうやったら思い出せるぅ?」
(#・3・)「ウラァ!」
怒声と共に俺の腹部に鈍い痛みが走った。
(;'A`)「カヒュッ!」
腹に拳がめり込んでいた。
何度も味わった感覚。息を吐けるが、吸い込むことができないこの感覚。
9
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:18:15 ID:XGoSnstM0
( ・3・)「思い出してくれたかなぁ?田中だよ。田中ぼるじょあ」
(;'A`)「な…なんで……」
( ・3・)「なんでって。俺もした高に入ったからに決まってんじゃん。相変わらず察し悪いねぇ」
ニタニタと俺を見下ろす、あの厭な笑い方。
またか。またこうなるのか。
絶望感と悔しさと、自分への苛立たしさがグチャグチャに頭の中でミキサーにかけられ、目尻に涙が溜まる。
( ・3・)「あるぇ?泣いちゃった?ごめんね?あんま強くやったつもりなかったんだけど。久しぶりだから?」
俺の顔を覗きながら、さも愉快そうに言う。
忘れた日は、一日だってない。忘れようとしなかった時は、一秒だってない。
どうしたらいいのか、何を考えたらいいのかすら分からなかった。
そんな時、別の声が田中の後ろから聞こえた。
10
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:18:58 ID:XGoSnstM0
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「おい」
( ・3・)「ん?」
途端、田中が横に倒れ込んだ。
殴り倒された。と分かったのは、数秒経ってからだった。
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ダッセェ真似してんじゃねェよ」
(#・3・)「は?なにするわけ?」
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぐだぐだムカつくんだよ。ヤんならヤってやるぞ」
(;・3・)「……ッチ」
田中を殴った男は、凶悪な形相で睨みつける。
完全に、圧倒していた。空気で格の違いを見せつけらたのか。不良特有のセンサーだったのか。田中は舌打ちをし、自分の席に戻って行った。
11
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:20:38 ID:XGoSnstM0
(;'A`)「あ……あの、ありがと、ございました」
なんとか、絞り出すように感謝を告げる。
俺の心には一抹の希望の火が灯っていた。
イジメを許さず、弱きを助け強きを挫く。それを実践できるヒーローが現れたように感じた。
この人がいれば、なんとかやっていけるかもしれない。と。
しかし
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「うるせぇ。お前もムカつくんだよ。ウジウジしやがって」
返って来た答えは、拒絶だった。
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ここはな、お前みてェなモヤシが来るようなとこじゃねェんだよ」
(;'A`)「エ…アノ…ソノ…」
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「拳一本で男張れンのかてめェ。それができねェなら面見せンじゃねェ」
12
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 06:21:06 ID:XGoSnstM0
昔から、人の顔色を見てきた俺には分かった。
心底、本気の侮蔑。
気付けば、クラスの全員が俺たちに注目していた。
どこからか「いいぞー!増井ー!」と野次が飛ぶ。それに「うるせぇ!」と返す目の前の男。
もう一度、俺を睨みつけた後、増井と呼ばれた男は自分の席に戻って行った。
タイミングを見計らったように、担任の教師が入ってくる。
俺は、ほとんど先生の話を聞けなかった。
最低の再開。そして、俺の居場所なんてないという現実。
また地獄が始まるのかという絶望で、視界は歪んでいった。
13
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 08:02:39 ID:uZ63LYLQ0
支援
14
:
名無しさん
:2019/06/06(木) 15:59:41 ID:isNUAMrQ0
好き
15
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 05:15:43 ID:Civ3R7zo0
2.
どんなに望んでいなくても、日は登り、『明日』を強制始動させる。
目が覚めてからも、暫くは布団から起き上がる気になれなかった。
憂鬱な気分と裏腹に、微睡むことはなく、脳は完全に覚醒していた。
また、地獄の日々が始まる。それを思うとどうしても起き上がる気になれなかった。
眠くもないのに寝返りをうつ。まるで嫌な考えから逃げ惑って右往左往するかのように。
それでも、俺は戦わなければいけなかった。
忘れてはいない。忘れるはずもない。逃げっ放しの人生で、初めて自分で決めたこと。
それだけからは、逃げる訳にはいかなかった。
重い足取りで布団を抜け出して、制服の襟詰に袖を通す。
鞄を持つと、階下に降りて行った。朝餉のいい匂いが、鼻孔をくすぐる。
一階の店舗スペースに入ると、調理場から声をかけられた。
16
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 05:16:37 ID:Civ3R7zo0
('、`*川「お、ドックンおはよー」
('A`)「おはようございます。朝の手伝い出来なくてすみません。おばさん」
('、`*川「いいのよー。まだ来たばっかで身体が疲れてんのよ。あとおばさんはやめろっつってンだろ」
(;'A`)「ぺ…ペニサスさん」
('、`*川「よろしい」
調理場に立つ女性。伊藤ペニサスさんに朝の挨拶をしながら、朝食が置かれたカウンターに腰を落ち着ける。
ペニサスさんが、味噌汁と山盛りのご飯を渡してくれた。
('A`)「いただきま…いや、朝こんなに食べられないですよペニサスさん」
('、`*川「あ?朝はしっかり食べなきゃダメっつってンだろ」
(;'A`)「ハ…ハイ。イタダキマス」
('、`*川「はい。召し上がれ」
もそもそと食事を始めた俺を、カウンターに肘を乗せたペニサスさんが覗いてくる。
17
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 05:17:07 ID:Civ3R7zo0
('、`*川「どう?美味しい?」
('A`)「はい。相変わらず美味しいです」
('、`*川「でしょでしょ。で、どうだった?した高は」
鮭の身をほぐしていた俺の箸が止まる。
('A`)「…すごかったです。色々と」
('、`*川「まぁねぇ…。ガラの悪い奴らが多いから。ドックンみたいな子はほとんどいないでしょ」
('A`)「そう…ですね。圧倒されましたよ」
('、`*川「でもま、見た目ほど悪い子はいないよ」
ペニサスさんは優しい目をしながら言う。
18
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 05:17:34 ID:Civ3R7zo0
('、`*川「喧嘩と面子立たせることしか頭にない連中だけどねー。いじめとか恰好悪いと思うことはしないよ」
('A`)「格好悪い…ですか?」
('、`*川「そ。あいつらにとって格好悪いと思うこと。男下げることって言ったらいいのかな」
('A`)「男を…下げる?」
俺には、理解出来ない思考だった。
増井くんが言っていた事が、脳裏に過ぎった。
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「拳一本で男張れンのかてめェ。それができねェなら面見せンじゃねェ」
男を上げるとか、下げるとか。
喧嘩が強いからって、何が偉いのか。
19
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 05:18:12 ID:Civ3R7zo0
('、`*川「喧嘩が強いのが何が偉いのか?って?」
(;'A`)「えっ」
('、`*川「そうよねー。普通。意味ないもんね。社会に出たら」
ペニサスさんはケラケラと笑いながら、調理場から出てくると、俺の横に座った。
('、`*川「でも、それがあいつらにとっては大事なことなんだよ。きっと」
('A`)「大事な、こと」
('、`*川「そ。刹那的でも、精一杯恰好つけて生きることがさ」
('A`)「…ごちそうさまでした」
('、`*川「はい。お粗末さま」
鞄を持って、立ち上がる。
20
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 05:20:18 ID:Civ3R7zo0
('A`)「いってきます」
('、`*川「いってらっしゃい。気を付けてね」
('A`)「はい」
引き戸を開けて、店の外に出る。
大事なこと。俺にとっての大事なことは、もう、逃げないこと。
そう誓った。何があっても、逃げずに戦うこと。
彼らのことは理解できない。でも、俺にも大事なものがある。
『伊藤食堂』
看板を一度振り返り、俺は最悪の高校へ歩みを進めた。
21
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 12:04:27 ID:oFF4bxNU0
おもろそうですやん
22
:
名無しさん
:2019/06/08(土) 07:03:50 ID:WZK4dWe.0
良いね
すき
23
:
名無しさん
:2019/06/08(土) 07:25:54 ID:423dfJJc0
おつおつ
24
:
名無しさん
:2019/06/08(土) 12:28:20 ID:H5Ix7VRcO
期待
25
:
名無しさん
:2019/06/08(土) 15:38:54 ID:qN6BJC7g0
おtu
26
:
名無しさん
:2019/06/08(土) 22:52:15 ID:10vLtBwQ0
ブーン系でヤンキーものって珍しいよな
期待
27
:
名無しさん
:2019/06/09(日) 15:13:06 ID:8uO5iJ6U0
おつ!
言われてみればヤンキーものって見ないな
期待!
28
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:51:25 ID:JvcG/9do0
3.
改めて見れば、酷い有様だ。
塀どころか、校舎の壁にまでスプレーアートが施されており、窓ガラスはほとんど割れている。
('A`)「どうやって描いたんだろうなぁあれ」
三階の壁に大きく描かれたどこぞのバンドのロゴマークらしきものを見ながら、ふとした疑問を呟いた。
校舎裏の片隅で、一人でペニサスさんが作ってくれたお弁当を食べながら教科書を捲る。
案の定、授業を碌に聞いている者はほとんどおらず、先生も淡々と教科書の説明をするだけの簡易なものだ。
大抵のものは机に突っ伏して寝るか、教室の隅で談笑しており、ノートを取っているのは俺だけだった。
騒がれるよりは、マシと言う程度の内容。およそ、それで大学に進学できるとは思えない。
だが、足りない分は自分で補えばいい。元から、この高校の授業に期待はしていなかった。
お弁当を食べ終えて、今日は帰りに書店に寄って参考書でも見て行こう。
そう決めた時だった。
29
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:52:02 ID:JvcG/9do0
( ・3・)「おっ、居た居た。うっつだくーん」
( ^Д^)「マジで鬱田じゃん。ウケるwwwww」
(・∀ ・)「相変わらずキッモwwwwww」
田中を先頭に、三人組がこちらに歩を進めて来た。
この二人も、した高に来ていたのか。
また、喉がひりひりと焼けつくように痛み出す。
脂汗が額から滲む。
( ・3・)「あー、お前らやめろよー。また鬱田くんビビちゃってんじゃーん」
(・∀ ・)「だってお前wwwww鬱田ってお前wwwww」
( ^Д^)「なんでツボってんだよwwwww」
30
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:52:32 ID:JvcG/9do0
('A`)「な、何か……よ、用……ですか?」
目を合わせる事が出来ず、俺は下を向きながら、なんとか声をひり出しながら答える。
( ^Д^)「あ?なに?用がなけりゃ話かけんなってか?」
(・∀ ・)「お前いつからそんな偉くなったわけ?舐めてんの?」
('A`)「い、いや……そんなこと……」
( ・3・)「やめとけってー。いやほら、昨日はなんか茶々入ってあんま話せなかったじゃん?おな中の親交を深めよーと思ってさー。
んで、こいつらも連れて来たわけ」
('A`)「は……はぁ」
(・∀ ・)「は……はぁ。だってよwwwww鬱田だわこれwwwwww」
( ^Д^)「だからなんでツボってんだお前wwwww」
31
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:53:20 ID:JvcG/9do0
ゲラゲラと笑う田中の後ろの二人。斎藤またんきと新指ぷぎゃー。
中学時代から、この三人はよくつるんでいた。
田中が居た時点で、この結果は予想していた。
予想はしていたが、当たって欲しくなかった。最悪の再来。
( ・3・)「つーわけでさ、とりあえずパン買ってきてくんね?」
('A`)「は……え?」
( ^Д^)「え?じゃねぇよハゲ」
俺の顔の横すれすれを、新指の蹴りが通り過ぎ、校舎の壁に鈍い音を響かせる。
( ・3・)「いやー、昼飯買うのうっかり忘れててさー。頼むよ鬱田くん」
32
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:53:51 ID:JvcG/9do0
(・∀ ・)「俺カレーパンとカツサンドな。飲み物はリプトンのミルクティーでヨロー」
( ^Д^)「俺やきそばパンとジャムパン。それとコーヒー牛乳な」
(・∀ ・)「やきそばパンwwwwww定番wwwwww」
( ^Д^)「ばっかお前wwwwこういう時はやきそばパンだろwwwwww」
( ・3・)「んじゃー俺はコロッケパンとチョココロネね。あとレモンティーよろしくー!」
('A`)「え……あの…お金…あんま持ってきてなくて……」
( ・3・)「大丈夫大丈夫。買ってきてくれたらちゃんと払うからさー」
(・∀ ・)「いーからとっとと買ってこいよ。売り切れちまうだろーが!」
33
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:54:19 ID:JvcG/9do0
斎藤が拳を振り上げる。
('A`)「ひっ!」
(・∀ ・)「ビビったwwwwビビったwwwwwウケるwwwww」
( ^Д^)「お前さっきから笑いすぎwwwwww」
俺は、その場から逃げるように購買に向かった。
どうせ、買ってきたところで、料金は払われないだろう。
わかってる。そんなことは。わかってるが。
打たれるのは…怖い。蹴られるのは嫌だ。
冗談と言われながら首を絞められるのは、苦しい。
心も、身体も。
逃げないと決めた。戦うと決めた。
だから、耐えよう。耐えなきゃいけない。また逃げ出すことはもう出来ない。
34
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:54:56 ID:JvcG/9do0
購買でパンを買い終え、元来た道を戻る。
ギリギリ、売れ切れる前に買えてよかった。
参考書代は、なくなってしまったけれど。
勉強の方法は、参考書だけではない。別の方法を考えよう。
食堂の手伝いをすれば、お小遣いも貰える。
少し、耐えるだけだ。少しだけ。
パンの入った袋を胸に抱いて、小走りで校舎の中を駆ける。
校舎練を繋げる渡り廊下に差し掛かったところで、横目に人だかりが見えた。
と思った瞬間だった。
(,, Д )「ゴラァ!!!!」
35
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:55:16 ID:JvcG/9do0
一瞬だった。
怒号が聞こえたと思ったら、渡り廊下の腰ほどの高さのフェンスを悠々と越え、『人が降って来た』。
俺は、避けることも、身を守ることも出来ず、その落ちて来た人に押しつぶされた。
そもそも、上から人が落ちてくる。なんて想定して日々の生活を送っていない。
ましてや、しっかり屋根のある外廊下では尚更だ。
(,;゚Д゚)「あ……やっべ」
(*゚ー゚)「ギコ、とばしすぎ」
その人間を投げ飛ばしたであろう男は、押しつぶされた俺を見ると些か焦った顔をする。
横には、小柄な少女が腕にしがみついている。
俺の腹部の皮膚は、布越しだというのに先ほど購入したパンが残念な事になっていることを脳に伝えてくる。
36
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 20:55:40 ID:JvcG/9do0
('A`)(よくあんな状態で投げ技なんて出来るなー)
どうやら、受け止めきれない現実を回避するため、俺の脳は目下の疑問を考えることを選んだらしい。
(,,゚Д゚)「オラッ、どけコラ!」
(*゚ー゚)「ちれー!ちれー!」
人だかりは、男女に促され霧散していく。
男女はこちらに歩いてくると、男の方が俺の上に乗っている人物を蹴り退かした。
(,,゚Д゚)「わりぃ。大丈夫か?」
(*゚ー゚)「かー?」
これが、このしたらば高校の四天王の一角。
『暴君』との出会いだった。
37
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 21:10:23 ID:jvTQrm160
みてるぞ
38
:
名無しさん
:2019/06/11(火) 21:45:49 ID:NxFZJFu.O
期待。
それでメカ沢の出番はいつなんだい?
39
:
名無しさん
:2019/06/12(水) 02:01:14 ID:skbUtEvU0
読みやすくてすき
40
:
名無しさん
:2019/06/13(木) 15:33:49 ID:M82.gjmw0
>>38
ゴリラと四天王と宇宙人もだ
41
:
名無しさん
:2019/06/13(木) 19:59:43 ID:aXErK8OE0
>>38
>>40
特に似てるわけでもオマージュしてるわけでもないのに他の作品を引き合い出すのはよろしくないぞ
とにかく期待
42
:
名無しさん
:2019/06/14(金) 20:18:07 ID:plRdy7woO
>>41
ごめん。質の悪い冗談だった
43
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:07:57 ID:M37yEgAg0
4.
(,,゚Д-)人「ほんっとーに、申し訳ない」
俺の腋を持って起き上げてくれた男は、潰れたパンを見ると、心底申し訳なさそうに謝ってきた。
先ほどから平謝りする男は、俺よりも頭二つ分ほど背の高い偉丈夫で、襟詰の下のTシャツの膨らみ具合が、体躯の良さを主張していた。
短髪の髪を後ろに逆立たせ、刈り上げられた両サイドには、曲線が交差するようなラインが入っていた。
こんな男が、自分に謝っている。その状況が呑み込めず、俺はどうしたらいいのか分からなかった。
('A`)「エット……アノ、ソノ……ダ、ダイジョブ……デスカラ」
自分でも嘆かわしいほど、ぼそぼそとか細い声で伝えようとする。
弁償しろ。なんて言える訳がない。
どれだけ申し訳なさそうにしていても、言えばどうせ逆ギレしてくるに決まっている。
しどろもどろになりながら、この場を収める方法と、パンを買えなかった理由を考えようと頭の中がグチャグチャになる。
44
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:08:55 ID:M37yEgAg0
(,,゚Д゚)「大丈夫ってこたーねぇだろ。こっちの喧嘩に巻き込んじまった上に昼食まで台無しにしちまって」
(*゚ー゚)「このかいしょうなしー」
(,;゚Д゚)「お前そういうのどこから覚えてくるんだ。いや、ちゃんと弁償するよ」
('A`)「えっ」
(,,゚Д゚)「えっ」
あり得ない言葉が聞こえた。
憚らず言えば、こんな不良然とした男が、自ら弁償するなんてことは、あり得ないと思っていた。
45
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:09:18 ID:M37yEgAg0
('A`)「い、良いんですか?」
(,,゚Д゚)「いや、良いも何も当然だろうが。こっちが全面的に悪いんだから」
(*゚ー゚)「しょあくのこんげん」
(,,゚Д゚)「難しい言葉知ってんのなー。使いどころ多分違うけど」
先ほどから男の腕に縋り付いたした高の制服を着た少女は、少し舌足らずな口調で茶々を入れる。
ショートカットの少女は、俺の方をあまり見ようとしない。
見た目が悪い自覚はあるが、少しだけショックだった。
46
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:09:44 ID:M37yEgAg0
(,,゚Д゚)「ああ、そうだそうだ。俺は猫村ギコ。こっちの引っ付いてるのは捨野しぃだ。両方とも二年だ」
(*゚ー゚)「うっすうっす」
猫村先輩に半分隠れるように、捨野先輩は片手を上げる。
(,,゚Д゚)「わりぃな。こいつ男苦手でよ。で、お前さんは?多分一年だろ?」
('A`)「あ……、えっと、はい。鬱田ドクオ……です」
(,,゚Д゚)「ドクオな。おし。購買行くぞ。さっさと行かねーとなんもなくなっちまうぞ」
(*゚ー゚)「いくぞ、モヤシ」
('A`)「あ、は、はい」
47
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:10:23 ID:M37yEgAg0
ずかずか、という表現がここまで似合う人を見た事がないほど堂々と、猫村先輩は購買に向かって歩を進めた。
俺は、それにおずおずと付いていく。
『鬱田』ではなく、『ドクオ』と呼ばれた事が、ほんの少しだけ、嬉しかった。
(,,゚Д゚)「おばちゃーん、パンまだあるー?」
購買に着くなり、大声でレジに向かい声をかける。
|゚ノ ^∀^)「あらー、ギコちゃん。相変わらずラブラブねぇ」
(*゚ー゚)「らぶらぶかっぽー」
(,,゚Д゚)「そういうんじゃねぇっての。で、なんか残ってる?」
|゚ノ ^∀^)「うーん、もう大概売れちゃったわねぇ」
(,;゚Д゚)「げ」
48
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:10:50 ID:M37yEgAg0
購買のおばさんが、売れ残っているパンを何個か見繕ってくる。
コッペパン、マヨコーン、それに菓子パンが数種類。売れ残り面子のレギュラーメンバーだ。
(,;゚Д゚)「あー、ドクオ、これで大丈夫か?」
('A`)「えっと……頼まれたのが……」
(,;゚Д゚)「頼まれた?パシられてたのかよ。まぁポイっちゃポイがよ。なんかの罰ゲームか?」
(*゚ー゚)「ギコ、あのパンぜんぶモヤシがたべるとおもってたのか?」
(,,゚Д゚)「いや、痩せの大食いって言うじゃん」
(*゚ー゚)「ははは、このたわけめ」
(,,゚Д゚)「まぁ、そういうことなら、俺も一緒に謝ってやっからよ。適当に買ってこうぜ」
49
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:11:12 ID:M37yEgAg0
猫村先輩は数種類のパンを適当に選ぶと、レジにそれを持って行き手早く会計を済ませた。
数種類のパンが入った紙袋を俺に押し付けると、顎で俺を促す。
(,,゚Д゚)「で、場所どこよ」
('A`)「あ…、普通科練の校舎裏です」
それを聞くと、猫村先輩は「さっさと行くか」とぶっきら棒に言い放ち、購買を出ていった。
捨野先輩は猫村先輩の腕にしがみついて離れる様子はない。
少々歩きにくそうだが、慣れた様子で歩いていく。
俺はと言うと、二人にとぼとぼと付いていく。複雑な心境だ。
相手の過失とはいえ、先輩達が俺の事を気にかけてくれたことと、これから田中達にされるであろう仕打ちと。
今日この場は先輩の顔を立てて場が収まったとしても、明日以降、どうなるかは分かったものではない。
そんな考えが頭の中をぐるぐると巡る。
気が付けば、既に目的地は目と鼻の先まで迫っていた。
曲がり角から、下卑た笑い声が聞こえてくる。
俺は小走りにパンを抱えて校舎裏に顔を出した。
三人は、火の点いた煙草を手に持ちながら談笑していた。
50
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:11:41 ID:M37yEgAg0
(・∀ ・)「おっ、きたきた。おせーよ!」
( ^Д^)「パン買うのにどんだけ掛かってんだよ使えねーな」
( ・3・)「おっそいよー鬱田くん……ん?後ろの人誰?」
俺のことを視認した三人は口々に文句を告げる。
しかし、俺の後ろに佇む猫村先輩を見ると、訝し気な目をこちらに向けた。
(,,゚Д゚)「わりぃわりぃ。ちょっと事故があってよ。俺は二年の猫村だ」
(*゚ー゚)「すてのしぃだー。ひれふせこうはいどもー」
(,,゚Д゚)「よせっての」
51
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:12:12 ID:M37yEgAg0
(;・3・)「ね、猫村先輩ッスか。チッス。田中ぼるじょあッス」
(;・∀ ・)「あ、斎藤またんきッス!うっす!」
(;^Д^)「新指プギャーっていいます!オナシャス!」
三人は煙草を揉み消して、急いで立ち上がると頭を下げた。
(;・∀ ・)「お、おい、猫村って」
(;^Д^)「『暴君』か?やべぇ初めて見た」
挨拶を終えた後、田中の後ろでひそひそと斎藤と新指が何事か囁き合っている。
心なしか、三人とも少し焦ったような顔をしていた。
52
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:12:36 ID:M37yEgAg0
(;'A`)「あ…あの…パン、買ってきました。指定されたの、買えなかったんですけど……」
(#・∀ ・)「はぁ!?」
(#^Д^)「パシりもまともにできねーのかよお前!」
おずおずと差し出した紙袋を乱暴に奪い取ると、怒声が飛ぶ。
(,,゚Д゚)「事故があったつったろーが。取り合えず代替えは買ってきたからよ。勘弁してくれや」
(*゚ー゚)「かったパンがギコのばかぢからでつぶれてしまったのだー!ゆるせー!」
(;^Д^)「あ、うっす!すんません!」
(;・∀ ・)「わざわざあざっした!」
(;・3・)「鬱田くん。ご苦労様。先輩らもあざっす」
53
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:13:04 ID:M37yEgAg0
先輩が口を開くと、三人はペコペコと頭を下げだした。
いくら先輩と言えども、余りにも過剰な反応に、俺は不思議に眉を顰めた。
先ほど聞こえた暴君という言葉といい、この猫村という人は、そんなに有名な人なのだろうか。
(,,゚Д゚)「おう。迷惑かけちまったな」
(*゚ー゚)「かけちまったな!」
(;・3・)「あ、全然大丈夫ッス!」
(;・∀ ・)「事故ならしゃーないッスよ!」
(,,゚Д゚)「そうか。悪いな。俺もちょっと一服させてもらうからよ」
そう言うと元は恐らく花壇だったであろう煉瓦の残骸に腰を下ろすと、煙草を取り出した。
54
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:13:43 ID:M37yEgAg0
(*゚ー゚)「ギコー、たばこくさいー」
(,,゚Д゚)「嫌なら離れてろっつってるだろうよ」
(*゚ー゚)「そっちのほうがいやじゃぼけー」
(;^Д^)「あ、あの猫村先輩……」
(;・∀ ・)「お、俺ら教室で食うんで、これで失礼します」
空に向かって煙を吐き出す先輩に対して、二人がおずおずと話し掛ける。
(,,゚Д゚)「ん?あ、そう。パン、悪かったな」
(;・3・)「いや、全然ッス!失礼します!」
55
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:14:06 ID:M37yEgAg0
田中がそう言うと、三人は足早に校舎の方へ消えて行った。
角を曲がるとき、俺の事を斎藤が睨みつけてきた。嫌な予想は、どうやら的中したようだ。
明日の事を考えると憂鬱になる。ため息を吐きながら、散らばった教科書を片付け始めた。
(,,゚Д゚)「お前いじめられてんの?」
('A`)「え?」
煙草の煙を吐き出しながら、唐突に先輩は俺に問いかけて来た。
(,,゚Д゚)「どう見たって連中のダチって感じじゃねぇだろ。あいつらのお前に対する扱いもそうだし」
('A`)「そう……ですね。友達では、ないです」
(*゚ー゚)「いじめられっこかモヤシ」
('A`)「あはは、そうですね」
(,,゚Д゚)「何笑ってんだ。悔しくねぇのか」
56
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:14:29 ID:M37yEgAg0
猫村先輩は厳しい目をしながら俺の目を見据えた。
今日初めて会った人に関わらず、俺は何故だか、思いの丈を話したくなった。
これほど、俺をまっすぐ見据える人は、今まで居なかったから。
威圧するでもない、同情でもない。ただただ、まっすぐな目。
('A`)「悔しくない……わけないじゃないですか。でも、俺は猫村先輩みたいに強くないですし」
(*゚ー゚)「このへたれめ」
('A`)「でも、逃げないです。決めたんです」
(,,゚Д゚)「逃げない?」
('A`)「耐えきってみせます。どんなにいじめられても。そう約束したんです」
(,,゚Д゚)「ふーん。そうかい。まぁ耐え忍ぶってのも一つの戦い方かもなぁ。でもよ」
猫村先輩は一口煙草を吸い、煙を吐き出す。
57
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:15:01 ID:M37yEgAg0
(,,゚Д゚)「あいつらの言う通りにしてたら、逃げてるのと変わんなくねぇ?」
('A`)「!!」
言葉が、俺の心臓を貫いた。
聞きたくなかった言葉。自分を騙し騙し欺いていた核心。
(,,゚Д゚)「過去にお前に何があったのかは知らねぇし、誰と約束したのかもわからねぇがよ。
そいつに言えるのか?今自分は前見て逃げずに戦ってますって」
('A`)「……」
頭を何度も殴られたように、眩暈がした。
だって、仕方ないじゃないか。俺は弱くて、哀れで、救いようがなくて。
(,,゚Д゚)「自分に言い訳して、逃げ道探してるうちは、戦ってるって言わねぇよ」
(*゚ー゚)「それはなー、ちがうぞー。わかんないけどちがうぞー」
58
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:15:30 ID:M37yEgAg0
俺の内面を見透かすように、先輩は目を細める。
俺は、自分が、情けなくて、悔しくて、不憫で、恥ずかしくて。
('A`)「じゃあ…」
(;A;)「じゃあ、どうしろって言うんですか!?お、俺は強くない!戦えない!誰も助けてくれない!
助けてくれた人も居なくなった!耐えるしかないじゃないですか!」
感情が、噴出した。
ボロボロと涙が零れる。鼻水が鼻孔を塞いで息が荒くなる。
嗚咽を交じらせながら、当たり散らす。
(,,゚Д゚)「……」
59
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:15:58 ID:M37yEgAg0
猫村先輩は、煙草を地面で揉み消すと、立ち上がり踵を返した。
(,,゚Д゚)「強ぇーってのはな、腕っ節がある奴でも肝が据わった奴でもねぇぞ。ドクオ」
校舎に向かって歩を進めながら、俺を一度振り返った。
(,,゚Д゚)「強くなろうとする意志を持った奴が一等強ぇーんだ」
(*゚ー゚)「おー。かっこういいぞギコ」
(,,゚Д゚)「茶化すんじゃねぇよ。まぁ、一回考えてみな」
(*゚ー゚)「じゃあなー!モヤシー!」
俺は、二人の背中をただ泣きながら見送った。
先輩達の影が見えなくなると、膝から崩れ落ち、泣いた。
60
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 19:43:40 ID:lqagR2wg0
面白い!
支援
61
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 21:19:49 ID:/sp.Gzkk0
しぃたんかわいい
支援
62
:
名無しさん
:2019/06/15(土) 22:41:57 ID:DsZxsgD60
四天王紹介見た感じでもギコはカッコイイやつだと思ってた!かっけぇッス
63
:
名無しさん
:2019/06/16(日) 22:54:24 ID:xDSLjcrU0
男苦手って昔何かされたのかな
いかがしいこととか
64
:
名無しさん
:2019/06/16(日) 23:53:54 ID:0v8KQikA0
4.5
(= д ) 「ねぇ!兄ちゃん!」
…………
(= д )「俺は兄ちゃんみたいに強くないんだよ!」
('A`)「俺は猫村先輩みたいに強くないですから」
…………
(= д )「兄ちゃん……助けてよ……」
(;A;)「誰も助けてくれない!」
…………
(= д ) 「……兄ちゃん」
65
:
名無しさん
:2019/06/16(日) 23:54:25 ID:0v8KQikA0
咥えた煙草が、不満気に煙を立ち上らせる。
殆ど吸うことなく先端に溜まった灰が、ぽとりと落ちた。
物思いに耽っている間に、意外なほど時間は経過していたらしい。
(*゚ー゚)「なーギコー」
縋り付いたしぃが、腕を揺する。
何かを言いたげに、しぃはギコを見上げた。
(,,゚Д゚)「ん……どうした?またクイズか?」
(*゚ー゚)「くいずはしないぞ」
(,,゚Д゚)「ンじゃ、どうした?」
66
:
名無しさん
:2019/06/16(日) 23:54:46 ID:0v8KQikA0
灰皿に煙草を押し付けて、胸に落ちた灰を払いながら、ギコはしぃに向き直った。
(*゚ー゚)「あいつ、なんかトラににてるな」
ギコは自分でも、動揺したことに気が付いた。
しぃは、いつも通りの屈託のない眼差しをギコに向ける。
彼女には、他意や上辺というものは存在しない。常に本音だ。
なんとか瞳がぶれないよう、ギコは必至で努めた。
(,,゚Д゚)「……似てねぇよ」
ただ、それだけ呟いた。
67
:
名無しさん
:2019/06/16(日) 23:55:51 ID:0v8KQikA0
今日中に1話を終わらそうと思っていましたが、もろもろの事情で書き溜め分が消えた為、本日はここまで。
申し訳ない
68
:
名無しさん
:2019/06/17(月) 04:07:20 ID:VuogrdmQ0
乙
69
:
名無しさん
:2019/06/17(月) 08:58:50 ID:.OvRe.ho0
乙
ギコかっけえ
70
:
名無しさん
:2019/06/17(月) 09:24:51 ID:XSsgzma60
お疲れ様です。続きが気になるので、
また余裕があるときに続きを
書いて欲しいです!
71
:
名無しさん
:2019/06/17(月) 20:28:16 ID:b4BUKqX60
どんな方向に進んでいくんだろう
とても楽しみなので待ってます
72
:
名無しさん
:2019/06/17(月) 21:48:42 ID:QdpnVE1I0
otudesu
73
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:20:19 ID:bIIOR07U0
5.
布団に寝そべり、天井を眺めていた。
木目を漠然と眺めながら、今日の事を振り返る。
本当は、気付いていた。見て見ぬふりをしていただけだ。
あの頃から俺は、何も変わっていないのか。
そう思うと、また目頭が熱くなった。
自分の不甲斐なさに嫌気が差して、全てを投げ出したくなる。
これでは、堂々巡りだ。
やっぱり俺は、何も変わっていないのか。
('A`)(強くなろうとする意志……。それってなんなんだろう)
猫村先輩に言われた言葉が、頭にこびりついて離れない。
俺は、強くなろうとしていたんじゃなかったのか?
戦おうと。逃げないで向き合おうと。
それは、強くなろうとする意志じゃないのか?
だって、俺は喧嘩なんかしたことない。
あいつらと対峙しただけで、腿が痺れてくる。足が震えて立つことすらやっとだ。
そんな奴が、いくらかかって行ったところで、返り討ちになるだけだ。
74
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:20:49 ID:bIIOR07U0
('A`)(多分、そういう事じゃないんだろうな)
あの人の言ったことは、理解できていない。
が、不思議と腑に落ちた感覚があった。
蟠りなく、胸に落ちてくるような。
その正体が、未だに分からずにいる。
戦うって、何なんだろう。
あの人は、俺の意見を否定することはなかった。
耐えることも、また戦いだと。
だが、言いなりになるのは違う。と言う。
逃げ道を探すのは戦いではない。と。
75
:
切るとこミスった!!!
:2019/06/19(水) 07:21:42 ID:bIIOR07U0
('A`)(多分、そういう事じゃないんだろうな)
あの人の言ったことは、理解できていない。
が、不思議と腑に落ちた感覚があった。
蟠りなく、胸に落ちてくるような。
その正体が、未だに分からずにいる。
戦うって、何なんだろう。
あの人は、俺の意見を否定することはなかった。
耐えることも、また戦いだと。
だが、言いなりになるのは違う。と言う。
逃げ道を探すのは戦いではない。と。
('A`)(わっかんないよ……。俺なんかには。強い人の気持ちは)
逆に、弱い奴の考えも、強い人には理解できないのだろう。
寝返りを打って、なんとか胸中に渦巻く劣等感と自己嫌悪を振り払おうとした。
76
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:22:09 ID:bIIOR07U0
気付けば、窓から太陽の光が差し込んでいる。
知らないうちに、眠ってしまったようだ。
制服に袖を通しながら、昨日の斎藤の目を思い出した。
('A`)「嫌……だなぁ」
ポツリと漏れた本音。
俺は三日目で既に、弱音を吐いたことで更に自己嫌悪を積もらせた。
一階に下りれば、昨日と同じく朝餉の匂いが漂ってくる。
食欲は、一向に湧かなかった。
睨みを利かせるペニサスさんに根負けし、出された料理をなんとか胃に納めることには成功した。
笑って俺にお弁当を差し出すペニサスさんを見て、あの人を思い出しチクリと胸が痛んだ。
足取りは昨日よりもなお重い。
靴底に鉛でも入れられたように、一歩進むごとに俺の精神はすり減っていった。
それでも、歩を止めれば、嫌でも目的地には辿り着いてしまう。
入学式と同じように、俺は校門前で立ち止まり、『したらば総合高等学校』と書かれたプレートを見ていた。
77
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:22:30 ID:bIIOR07U0
('A`)「生きていかなきゃな。ここで」
恐い。嫌だ。今すぐに後ろを向いて走ってここから去りたい。
無理矢理押し込んだ朝食がせり上がってきそうになる。
なんとか深呼吸をしながら、吐き気を押し戻し、重々しい一歩を踏み出した。
約束、したから。
昨日と同じように、授業は生徒を気にせず機械的に進んでいく。
俺は嫌な考えを振り払おうと、一心不乱にノートにペンを走らせた。
願わくば、この時間がずっと続けばいい。
そんな願いは、到底叶うはずもなく、午前の授業の終わり告げるチャイムが鳴り響いた。
急いで鞄に教科書を詰め込んで、購買へ向かう人たちに紛れて教室を後にする。
昨日と同じ場所では食べれない。教室という手もあるが、田中たちに連れ出されるのが落ちだ。
体躯倉庫や、トイレなども覗いてみるが、既に固定の連中の溜まり場になっていて、自分のいるスペースはなかった。
いっそ、こうして逃げ回って、休み時間ギリギリで教室に戻ればなんとかなるのではないか?
この学校は様々な学科が存在する総合高校だ。敷地はかなり広い。
そこから一人を見つけ出すのは難しいだろう。そう思った矢先。肩を叩かれた。
びくり。と自分でも驚くほどに肩を震わせた。
78
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:23:07 ID:bIIOR07U0
(,,゚Д゚)「うわっ、びっくりした」
(*゚ー゚)「びっくりー」
('A`)「ね……猫村先輩?」
(*゚ー゚)「わたしもいるぞモヤシー」
(;'A`)「す、すいません捨野先輩」
二人だったことに胸を撫で下ろした。
心臓は二人にまで聞こえそうな程激しく鼓動を早めている。
(,,゚Д゚)「よー、今日はパシられてねぇのか?」
('A`)「え、ええ。今日は捕まらないように、その、逃げ回ってるんで」
79
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:23:32 ID:bIIOR07U0
(*゚ー゚)「にげないんじゃないのかー」
('A`)「ッ!!」
捨野先輩は、悪びれもせず、そう言った。
ズキリ、と胸が痛む。
(,,゚Д゚)「悪い。こいつ、言っていいこと悪いことの区別つかねぇんだ。悪気はねぇ」
(*゚ー゚)「なんかだめだったのかー?」
('A`)「……いえ、仰る通りですから」
(*゚ー゚)「ほらー」
猫村先輩は一つため息を漏らすと、俺の背中を叩いた。
本人は軽くやってるつもりなのだろうが、衝撃が俺の薄い胸板までも震わせる。
80
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:23:55 ID:bIIOR07U0
(,,゚Д゚)「オラ、飯食うぞ飯。食ってねぇんだろ?」
('A`)「え?あ、はい。まだ、ですけど。いいんですか?」
(*゚ー゚)「いいぞー。きょうはなー。サンドイッチをつくった!」
(,,゚Д゚)「そうだな。美味そうだった」
(*゚ー゚)「わたしたちはなー、いつもおくじょうでたべるんだ!とくべつにモヤシもきょかしてやる!」
('A`)「えっと、その、ありがとう、ございます」
(,,゚Д゚)「構わねーよ。さっさと行こうぜ。昼休み終わっちまうぞ」
初めて足を踏み入れた屋上は、如何にもこの学校らしい状況だった。
脚の折れ曲がった机や椅子が乱雑に積み上げられ、バリケードのように屋上の一角を塞いでいる。
入口を振り返れば校舎や塀と同じように色とりどりのスプレーで落書きが施されており、威圧感をいや増していた。
81
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:24:20 ID:bIIOR07U0
(,,゚Д゚)「えらどっこいせーっと」
(*゚ー゚)「おやじくさい」
(,,゚Д゚)「ほっとけ」
二人は屋上の一角に座ると、持っていた弁同箱替わりの保存パックを開く。
俺も、それに習うように少し離れて腰を下ろした。
(,,゚Д゚)「いや、なんでちょっと遠いんだよ」
(*゚ー゚)「ぎこがたばこくさいから」
(,,゚Д゚)「え?まじ?ちょっと傷ついた」
('A`)「ち、違いますよ。お邪魔しちゃ、その、悪いですし」
(,,゚Д゚)「そーいうんじゃねーっての。どいつもこいつも」
(*゚ー゚)「こっちこいモヤシー」
82
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:24:55 ID:bIIOR07U0
手招きされ、おずおずと二人の近くに座り直す。
(,,゚Д゚)「なに?手作り弁当?母ちゃんの?」
('A`)「いや、母ちゃんのじゃないですけど、今お世話になってるおばさんの」
('、`*川『おばさんはやめろっつってんだろシバくぞコラ』
一瞬何かの幻聴が聞こえた気がしたが、俺はペニサスさんに作って貰ったお弁当を広げる。
(*゚ー゚)「おー!すごい!いろがいっぱい!」
(,,゚Д゚)「こりゃすげぇな。大したもんだ」
俺のお弁当を見た二人は感嘆の声を上げる。
俺が褒められたわけではないのだが、嬉しかった。
83
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:25:32 ID:bIIOR07U0
('A`)「あの、お世話になってる人、料理人なので……」
(,,゚Д゚)「ほー。通りで。プロの味かー。その卵焼き貰っていいか?」
(*゚ー゚)「ギコはサンドイッチたべろ」
(,,゚Д゚)「食うよ。でもそっちのも美味そうじゃん」
('A`)「あ、どうぞ。……あんま食欲ないので」
(,,゚Д゚)「しっかり食わねぇとでっかくなれねぇぞ。まぁ、いただきます」
(*゚ー゚)「そんなんだからモヤシなんだー。ギコー。はんぶんちょーだい」
(,,゚Д゚)「うまッ!えっ、うまっ!ほれ、食ってみろしぃ」
(*゚ー゚)「んー!うまいぞー!」
卵焼きを一口食べると、二人は膝を打って称賛してくれた。
84
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:26:03 ID:bIIOR07U0
('A`)「ははは、作った人も喜びますよ」
(,,゚Д゚)「こんなうめぇもん毎日食えるなんて贅沢な奴だな」
(*゚ー゚)「だなー!ほれモヤシ!おまえもサンドイッチくえ!」
そういうと捨野先輩は俺の口にタマゴサンドを押し付けてきた。
('A`)「え、あ、いや、あの」
(*゚ー゚)「くえ!」
(,,゚Д゚)「こいつが自分からやるなんて珍しい。気に入られたな」
('A`)「えぇ!?」
ここまで強行されると、受け取らざるを得ない。
押し付けられたサンドイッチを手に取って、「いただきます」と呟いて口に運ぶ。
些か胡椒が効き過ぎているが、美味しい。
人からこうして食べ物を貰うのは、何年振りだろうか。
そもそも、こうして人と昼食を共に食べるのすら、遠い昔に感じられた。
85
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:26:47 ID:bIIOR07U0
(*゚ー゚)「どうだ!」
('A`)「美味しい……です」
また、泣きそうになった。
(,,゚Д゚)「……」
(*゚ー゚)「ギコもくえ!」
(,,゚Д゚)「おう。いただきます」
猫村先輩はほとんど一口で手に持ったタマゴサンドを頬張る。
(*゚ー゚)「どうだ!」
(,,゚Д゚)「おう。うめぇぞ……いやお前胡椒入れ過ぎだ」
(*゚ー゚)「おおいほうがうまい!」
86
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:27:32 ID:bIIOR07U0
(,;゚Д゚)「いや美味いけどよ、節度を知ろうよ。今粒ごと噛んじゃったぞ」
(*゚ー゚)「あたりだな!」
(,,゚Д゚)「そっかー当たりだったかー。やったぜ」
(*゚ー゚)「おめでとう!けいひんはサンドイッチです!」
('A`)「……クッ……フフ……」
(,,゚Д゚)「お、面白かったか」
気付けば、笑みが零れていた。
87
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:28:02 ID:bIIOR07U0
('A`)「あっ、す、すいません」
(,,゚Д゚)「別に謝ることじゃねぇだろ。え?それとも馬鹿にしてたのか?」
(*゚ー゚)「やんのかこらー!」
('A`)「ち、違いますよ!」
(,,゚Д゚)「だろ?じゃあ別にいい。笑えるときに笑った方が得だぜ」
猫村先輩はサンドイッチを頬張りながらあっけらかんとして言う。
この人なりに、俺に気を遣って緊張を解そうとしてくれていたのだろう。
俺は、昨日から気になっていた疑問が頭に浮かんだ。
88
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:28:35 ID:bIIOR07U0
('A`)「あの、猫村先輩」
(,,゚Д゚)「あー。ギコさんでいいギコさんで。なんか苗字で呼ばれるの擽ってぇ」
(*゚ー゚)「わたしのことはしぃさまとよべー」
(,,゚Д゚)「しぃさんでいい」
(*゚ー゚)「おのれー」
('A`)「あ、は、はい。ギコさん」
(,,゚Д゚)「なんだよ」
('A`)「なんで、俺なんかのこと助けてくれるんですか?」
89
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:28:56 ID:bIIOR07U0
(,,゚Д゚)「助けた覚えねぇよ?」
('A`)「だって、こうやって、一緒に食事してくれて、昨日だって」
(,,゚Д゚)「昨日は連中が勝手に逃げただけだろ。今日は、なんとなくだ」
('A`)「なんとなく……ですか」
ギコさんは手に着いたパンクズを払うと、煙草を取り出し火を点けた。
(,,゚Д゚)「なんとなく。じゃ駄目か?生憎と、なんだ?自己分析?っつーの?そんなん一々考えてねぇよ」
('A`)「そう、ですか。もう一つ、いいですか?」
(,,゚Д゚)「あン?」
('A`)「強くなる意志って、なんなんですか?」
90
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:29:32 ID:bIIOR07U0
昨夜、布団の中で延々と考え続けた疑問。
答えは出ないのに、ずっと頭の中にあり続けるその言葉。
思い切って、俺は訊いた。
(,,゚Д゚)「そりゃ人それぞれだ」
('A`)「人、それぞれ?」
(,,゚Д゚)「なんつーんだろうな。強くなろうって一口で言ってもよ、色々あるじゃん?
格闘技の世界でとか、勉強でとか。まぁ勉強の方は俺はからっきしだけどよ。
そういう意地の張りどころっつーか、譲れないとこ。それにどこまで意地になれるか」
('A`)「は、はぁ」
(,,゚Д゚)「俺もあんま口で説明すんの得意じゃねぇんだけどよ。
これだけは誰にも負けたくねぇってヤツ。
それを持ってる奴は強ぇ。諦めねぇ」
('A`)「意地になれるもの……ですか」
91
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:30:15 ID:bIIOR07U0
(,,゚Д゚)「まぁ、要は負けず嫌いだな。負けっつーのは自分が認めちまったら負けなのよ。
負けを認めなけりゃ、負けてねぇ」
('A`)「……」
(,,゚Д゚)「だからいくらでも、強くなれる。自分に負けねぇ限りな」
煙草の煙を空に向かって吐き出して、ギコさんは笑った。
(,,゚Д゚)「お前にもあんだろ?譲れねぇもん」
('A`)「……あり、ます」
(,,゚Д゚)「だったらそれに意地になれ。それができりゃ、お前はドブロクの中でも生きていける」
('A`)「ドブロク?ってなんです?」
92
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:30:37 ID:bIIOR07U0
(,,゚Д゚)「あんだ知らねぇのか?ここの生徒の別名だよ。
『ドブ底のロクデナシ共』。略してドブロクだ」
(*゚ー゚)「ろくでなしぶるーす」
(,,゚Д゚)「お前店の漫画また勝手に持ち出したな」
(*゚ー゚)「しまったーげろっちまったー」
('∀`)「フッ……ハハハハ」
久しぶりに、腹の底から笑えた気がした。
考えてみれば、意地になったことなんて、今まであっただろうか。
絶対に負けたくないものが、あっただろうか。
いつも、何かから逃げて来た。
常に、自分から諦めて負けを認めていた。
少し、少しだけ勇気を出してみよう。
この人みたいに、俺はなりたい。
そう、心から思えたのだから。
(*゚ー゚)「なにわらってんだこらー」
93
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:31:45 ID:bIIOR07U0
今朝の更新はここまでです。
次回で1話終了です。
仕事終わって余力あったら1話終わらせます。
94
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 07:46:48 ID:N29yvaOE0
超期待支援
話自体は面白いのにしぃの存在感が圧倒的すぎる
萌えるわこれは
95
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 10:18:03 ID:Bgkt7ldQO
ギコとしぃの距離感が絶妙
96
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 11:24:03 ID:hNaxUCw.0
くっそええなぁ
97
:
名無しさん
:2019/06/19(水) 23:17:42 ID:ErFCR1Mc0
キリングジョーク?
98
:
名無しさん
:2019/06/20(木) 11:43:43 ID:hnPrMcZE0
小料理屋『武運』だろこの作風は
99
:
名無しさん
:2019/06/20(木) 12:20:27 ID:kbHNjiR20
作者当てやめろって
100
:
名無しさん
:2019/06/20(木) 15:23:35 ID:JTuiS85c0
めっちゃ面白くて一気に読んじまった
楽しみにしてる
101
:
名無しさん
:2019/06/22(土) 06:11:45 ID:RXnJAsYI0
6.
口の中に血の味が広がる。
鉄臭さと塩辛さが否が応にも意識を覚醒させる。
身体中に走る痛みに身悶えて、地べたを這いずる。
それでも、俺は立ち上がろうと、腕を支えに両の足に力を込めた。
(#)A`)「グ……ウウ……」
骨が軋む。腿から何かがプチプチと切れる音が聞こえる。
呼吸は荒く、息を吸う毎に肺は焼けるようだ。
そんなことお構いなしに、踏ん張った。
しっかりと足の裏で地面を感じ、身体を起こす。
視界に写る世界は既に歪みながら回転を始めている。
薄ぼんやりと、昔夏休みに観たウルトラマンのオープニングを思い出した。
場違いな思考に、笑いが込み上げてくる。
なんだ、まだやれそうじゃないか。口の端が自然と持ち上がる。
俺は、意外としぶといようだ。
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