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( ^ω^)ゴーストライターは踊るようです

51名無しさん:2019/01/10(木) 12:08:19 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

ξ ゚⊿゚)ξ「ここならゆっくり話せるでしょ」

(; ^ω^)「ちょっと待て……これは……」

本だ。
見渡す限りの本。
六畳ほどの小さな部屋にいくつもの本棚があり、そのどれもがぎっしりと中身を蓄えている。

簡素な机と椅子、床には薄手のラグ。
そこにも本が幾重にも積み重ねられて、紙の隙間から付箋が飛び出しているものすらあった。

(; ^ω^)「どういうことなんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「父親の形見よ」

(; ^ω^)「そうじゃない! これが、こんな本の山が警察に見つかったら!」

ξ ゚⊿゚)ξ「殺されるわね」

52名無しさん:2019/01/10(木) 12:08:47 ID:b4UbdVBU0

『地下』の人間は娯楽を禁ずる。

それは『地下』への行き来が禁止されたときにできたルール。
娯楽を独り占めしたかったのか、知恵をつけて反逆されることを防ぐためか。恐らく両方だろう。

いずれにせよそのルールはこの世界で最も重い罪とされている。
その等級の罪を犯した人間には裁判も弁護も許されない。
すなわち死刑となるしかない。

(; ^ω^)「……君は、身の危険を冒してまで本を守るつもりか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ええ」

(; ^ω^)「それは父親への愛か?」

ξ ゚⊿゚)ξ「それもあるけど、そうじゃない理由もある」

ξ ゚⊿゚)ξ「あたしは本が好きなの。没収なんかされたくない。ここにあるものは全部、あたしのものよ」

53名無しさん:2019/01/10(木) 12:09:24 ID:b4UbdVBU0

床に散らばった本を一つ手に取る。
シェイクスピアの『マクベス』だ。

ξ ゚⊿゚)ξ「ずっと昔のことよ。ここがまだ『地下』なんて呼ばれていなくて、普通に人が暮らしていた頃」

ξ ゚⊿゚)ξ「あたしの家は代々図書館を運営してた。親から子へ、そのまた子へ譲り受けてね」

ξ ゚⊿゚)ξ「だけど、あの法律が決まって、すべてが変わった」

ツンは僕の手から『マクベス』を奪った。
色褪せた表紙を指でなぞりながら、言葉を続ける。

54名無しさん:2019/01/10(木) 12:09:50 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「警察が来たとき、貴重な本はほとんど没収されて、そうでない本は焚書された」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも流石に、この隠し部屋には気付かなかったみたい」

(; ^ω^)「……君の先祖は、どうして『上層階』に行けなかったんだ」

ξ ゚ー゚)ξ「簡単な話よ。あたしのご先祖様が、全く物語を作れない人だったから」

( ^ω^)「……」

ξ ゚ー゚)ξ「読む才能はあっても、書く才能はなかったのね」

55名無しさん:2019/01/10(木) 12:10:14 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「……人生というのは、歩き回る影にすぎない。へたな役者。阿呆が語る物語」

( ^ω^)「!」

ξ ゚⊿゚)ξ「大声で怒るけれど、その実、何も意味することはない

ツンは本を開いてすらいない。
表紙に手を置いたまま朗々と、『マクベス』の一節を読み上げている。

( ^ω^)「全部覚えているのか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「たったこれだけの本しかないのよ? 覚えられるわ」

56名無しさん:2019/01/10(木) 12:10:48 ID:b4UbdVBU0

至るところに本が敷き詰められた、まさしく本のための小部屋。
広さも、置いてある本の数も、僕の屋敷がはるかに勝る。

僕の屋敷に置かれている本は、すべて父が選んだものだ。
父好みのジャンル、父好みの文体。どれも似たり寄ったりなもの。
物心着く頃には飽きてしまった。
けれど、ここの本は。

(; ^ω^)「……ジャンルに偏りがない」

ξ ゚⊿゚)ξ「元図書館だもの。幅広く揃えて当たり前でしょ」

(; ^ω^)「漫画まである」

ξ ゚⊿゚)ξ「それは横山光輝の『三国志』。名作よ」

57名無しさん:2019/01/10(木) 12:11:24 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「……で、どうする? あたしを警察に突き出す? この部屋のことを教える?」

( ^ω^)「そんなことはしない」

なぜそんなメリットのないことを必要があるのか。
こんな特大で、極上の御馳走を目の前に出されて。

( ^ω^)「僕はこの場所を誰にも教えない。その代わり、君は僕のことを誰にも教えない」

ξ ゚ー゚)ξ「ヒフティ・ヒフティってわけね。よろしく、ブーン」

58名無しさん:2019/01/10(木) 12:11:50 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

この『地下』はまったくの無法地帯というわけではなく、驚くことに自治じみたものもあるらしい。
もちろん生活水準は低いし、犯罪率は高い。宝石でも身に着けて路地裏に入ったら、瞬時に盗られてしまうだろうが。

ツンと一緒に街を見て回った。
一番栄えている場所だと説明されたそこでは、男が野菜を売っていたり、母親が子供をあやしていたり。
悪鬼蔓延る街のモデルとしては、あまりにも不釣り合いだった。

(; ^ω^)「食べ物が地べたで売られてる……」

ξ ゚〜゚)ξ「細かいことを気にするんじゃないわよ」

(; ^ω^)「衛生面が……砂利が……」

ξ# ゚⊿゚)ξ「ぐちぐちうっさいわね! 黙って食べなさい!」

(; ^ω^)「もががが!!」

59名無しさん:2019/01/10(木) 12:12:25 ID:b4UbdVBU0

(; ^ω^)「何しやがんだお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「あ、また『お』って言った」

(; ^ω^)「うっ……」

ξ ゚⊿゚)ξ「おいしいでしょ?」

( ^ω^)「……おいしい」

ξ ゚ー゚)ξ「お坊ちゃまのお口に合ってよかったわ」

(; ^ω^)「坊ちゃま扱いすんじゃねーお!」

『地下』の林檎は地上のものより痩せていたし、歯ごたえがありすぎる。
なのに何故か、今まで食べたどれよりも甘く感じた。

60名無しさん:2019/01/10(木) 12:12:58 ID:b4UbdVBU0

街を散策したあとはツンの部屋で本を読むのが、僕らのお決まりになった。
六畳の部屋のあちこちには本棚が置かれていて、動ける範囲はかなり狭い。

僕らは背中を預けるようにして本を読む。
実際にはぴったりとくっつけるわけではなく、ほんの少し離れてはいるけれど。

数センチ向こうから伝わってくる、ツンの熱や息遣い。
家の外から聞こえる雑音と、ページを捲る音と、ツンが笑みをこぼす音。

( ^ω^)(……文字で綴るなら、『やさしい空間』というところかな)

幼い日の、だだっ広い部屋で本を読んでいた頃を思い出す。
父に強制され、一人で膨大な書物に囲まれていた。

一人が二人に増えただけ。
たったそれだけのはずだ。

61名無しさん:2019/01/10(木) 12:13:19 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「あぁ、やっぱり何度読んでも泣けるわ」

( ^ω^)「そんなに?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん。ちょうど今、敵国が滅んだところで」

(; ^ω^)「え!? 滅ぶ!?」

ξ ゚⊿゚)ξ「あ」

(; ^ω^)「おま、おまっ、お前! なんで言うんだお! 馬鹿かお前!」

ξ; ゚⊿゚)ξ「ご、ごめん……」

(# ^ω^)「読もうと思ったのに、楽しみ半減じゃねーかお! この馬鹿! アホ! トンマ! 貧乳!」

ξ# ゚⊿゚)ξ「は? 今なんつった?」

( ^ω^)(やべ)

62名無しさん:2019/01/10(木) 12:13:43 ID:b4UbdVBU0

ξ# ゚⊿゚)ξ「手塚作品は『ブラック・ジャック』でしょ!」

(# ^ω^)「『火の鳥』だっつってんだろ!」

ξ# ゚⊿゚)ξ「あの一話一話に詰め込まれたストーリーの素晴らしさこそ至高なのに」

(# ^ω^)「作中の随所に散りばめられた哲学と宗教観こそ至高だお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……まぁ、『火の鳥』の鳳凰編は最高だけど」

( ^ω^)「……『ブラック・ジャック』の、お決まりだけど飽きないストーリーも、凄いと思うけど」

ξ ゚⊿゚)ξ「なかなか話がわかるじゃない。あ、そうだ、『鉄腕アトム』もあるのよ。読む?」

(* ^ω^)「読むお!」

63名無しさん:2019/01/10(木) 12:14:06 ID:b4UbdVBU0

父は小説以外のものを低俗と見なしていた。
だから僕は漫画を読むことを許されなかったし、いつの間にか自分も父と同じ考えを持つようにすらなっていた。

初めて見る漫画は、どれも面白かった。
工夫を凝らされたコマ割り、小説に引けを取らないほど練られたストーリー、視覚に直接訴えかけてくるキャラクターの表情。
ツンに勧められるままに、貪るように読んだ。

ξ ゚⊿゚)ξ「楽しんでるのは結構だけど、自分の執筆は大丈夫なの?」

(; ^ω^)「うっ……それは、今書いてる最中で……」

ξ ゚⊿゚)ξ「まったく……そんなんじゃ賞なんて夢のまた夢よ」

64名無しさん:2019/01/10(木) 12:14:34 ID:b4UbdVBU0

僕は駆け出しの小説家で、賞を取って有名になることを目標に頑張っている。
ツンにはそう説明した。ネタ作りのために『地下』に来たことも。

嘘を吐く時のコツは、嘘の中に真実を混ぜることだ。
駆け出しの小説家ということ以外、僕は嘘を吐いていない。

ξ ゚⊿゚)ξ「出来上がったら読ませてね」

(; ^ω^)「酷評されそうだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「それもまた経験よ」

誰もが知る名作家となった僕には、批評や批判などほとんど届かない。
面白くない、つまらない、そういう意見も当然あるのだろうが。
それらは大勢の称賛や賛同の前に掻き消されてしまう。

65名無しさん:2019/01/10(木) 12:15:10 ID:b4UbdVBU0

( ^ω^)(……ツンの言うことにも、一理あるかもしれない)

( ^ω^)(素人にあれこれ言われるのは腹が立つけど……四の五の言ってる場合でもない、か)

( ^ω^)(次に来る時に、持って来よう)

書きかけのものを他人に見せることも、アドバイスを求めることも、初めてだった。
天才と言う名を欲しいままにしてきた僕が、素人の小娘に意見されるなんて。

( ^ω^)(……ツンは、僕の作る話を面白いと思うんだろうか)

どういうわけか、屈辱感よりも高揚感を強く感じていた。
読者の反応を気にするなんて、生まれて初めてだった。

66名無しさん:2019/01/10(木) 12:15:48 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

ζ(゚ー゚*ζ「ホライゾン先生、キャラクターの書き方が変わりましたねぇ」

新しい秘書は、金髪の女だ。
服装や化粧はやや派手だが、整った顔立ちによく似合っているし、仕事に支障がなければ別にいい。

秘書は今、原稿の最終チェックをしている。
チェックといっても校正だが、ストーリーやキャラクターはしっかりと頭に入っているらしい。

( ^ω^)「どの辺りがそう思う?」

ζ(゚、゚*ζ「んー、なんか前はキャラが没個性っていうか、人っぽくない感じがしたんですけどぉ」

(; ^ω^)「君は……なんというか、歯に衣を着せない女だな」

ζ(゚、゚*ζ「あら、ごめんなさい」

67名無しさん:2019/01/10(木) 12:16:08 ID:b4UbdVBU0

以前の僕なら、間違いなくこの秘書に怒鳴り散らしていただろう。。
この僕になんて口の利き方だと憤慨し、解雇通知を叩き付けていたと思う。

ツンと数々の口論を繰り広げてた今では、この程度の失礼など気にならない。
そうだ。彼女は物言いも、ツンに似ている。

ζ(゚ー゚*ζ「でも、最近のキャラクターはいきいきしてます」

( ^ω^)「……そうか?」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。私はこの作品、とっても好きですよぉ。なんていうか、優しくて!」

68名無しさん:2019/01/10(木) 12:16:33 ID:b4UbdVBU0

終わりかけた世界で、男と女が図書館で生活する話。
食料が尽き、二人は背中合わせに最期の本を読む。
いつものように笑い合い、じゃれ合い、少しだけ喧嘩をして、眠るように穏やかに死ぬ。

毒にも薬にもならない話だ。
起承転結を意識していた以前の僕なら、絶対に書かないような。

( ^ω^)「この後は出かける。君も適当に帰ってもらっていい」

ζ(゚ー゚*ζ「はぁい。ホライゾン先生、最近よく遊びに行かれますねぇ」

( ^ω^)「遊びじゃない。取材だ」

そう。僕は取材に行っている。
尤も、今日のメインはそれではないけれど。

69名無しさん:2019/01/10(木) 12:17:19 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

ξ ゚⊿゚)ξ「薄っぺらい」


書きかけのそれを読み終えたあと、ツンは開口一番そう言い放った。
彼女のことだから手放しに褒めたりはしないだろうと思っていたが、
ここまでキッパリと言われてしまうと、怒りも湧いてこない。

(; ^ω^)「世界観が? 文章が?」

ξ ゚⊿゚)ξ「それはむしろオッケー。むしろ、巧いと思う」

ξ ゚⊿゚)ξ「私が言ってるのは、キャラクターの話」

秘書に言われたことと、全く真逆のことを言われてしまった。
彼女とは違う作品を見せたということはあるだろうが、同じ作者の作品でそこまで評価が変わるものだろうか。

70名無しさん:2019/01/10(木) 12:17:40 ID:b4UbdVBU0

ツンは原稿用紙をぺらぺらと捲ったあと、ある一点に目を留めて僕に渡してきた。
どこを指しているのだろうと目を配らせる僕に、指で示す。

その指が思っていたよりも近くから伸びていたことに気付いて、驚いて左を見る。
僕のすぐそばに座り込んだツンが、同じように原稿用紙を覗き込んでいた。

(*; ^ω^)(いや、近すぎるだろう。なんだこの距離感)

ξ ゚⊿゚)ξ「ブーン、見てる?」

(; ^ω^)「あ、おう、見てるお」

ξ ゚⊿゚)ξ「ここ、主人公がヒロインを味方に引き入れるところ」

71名無しさん:2019/01/10(木) 12:18:01 ID:b4UbdVBU0

妹を喪った主人公は、彼女が組織の秘密を知ったがために殺されてしまったのだと知る。
それは裏世界に身を置く主人公ですら避けるほどの、巨悪の組織。
その組織と渡り合うため、主人公は同じ裏世界の住民を味方に引き込む。

ξ ゚⊿゚)ξ「このヒロインは、借金を返すために体を売っているのよね?」

( ^ω^)「そうだよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「好きでもない男に抱かれる日々を続けて、ヒロインの心は荒んでいる」

ξ ゚⊿゚)ξ「なのに、会って間もない主人公の説得一つで変われるものかしら?」

(; ^ω^)「……」

72名無しさん:2019/01/10(木) 12:18:33 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「しかも、何よこの台詞。『君はもっと自分を大切にすべきだ』」

ξ ゚⊿゚)ξ「こんな安っぽい台詞に心を動かされる女なんていないわ」

(; ^ω^)「……」

安っぽい。
いつか父にも言われた言葉だ。
初めて出版した本を渡した時、つまらなさそうに言われたのを覚えている。

翌日父の部屋を覗くと、本はゴミ箱の中だった。


( ^ω^)「……昔からそうなんだ」

( ^ω^)「僕の引き出しは、極端に少ない」

( ^ω^)「……想像して書くということが、どうしてもできない」

73名無しさん:2019/01/10(木) 12:19:17 ID:b4UbdVBU0

キャラクターの心情だけではない。
物語のテーマも、状況の描写も。

自分が経験したことなら、それを思い出して書ける。
そうでないものになると、途端に筆が止まってしまう。

( ^ω^)「小説の書き方が、わからないんだ」

「お前の文章には生気がない」。
いつか父から言われた言葉。

本を読むことを強制された。
読み続けていれば、それを血肉にできると言われた。
けれど、どんなに読んでも、自分のものにすることはできなかった。

74名無しさん:2019/01/10(木) 12:19:44 ID:b4UbdVBU0

( ^ω^)「僕には才能がない」

( ^ω^)「……ずっと前から、わかっていたことだ」

『内藤』というブランドがなければ、僕はこの『地下』の住民になっていただろう。
誰もが内藤ブーンの息子として僕を扱い、褒め称え、僕もそれに甘んじてきた。
甘んじることでしか、生きられなかったから。

( ^ω^)「ヒロインの気持ちが、わからないんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

75名無しさん:2019/01/10(木) 12:20:10 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「ヒロインは、主人公に言葉をかけられて、嬉しかったと思う」

( ^ω^)「……?」

ξ ゚⊿゚)ξ「人生を諦めていても、心のどこかでは救いを求めていたんじゃないかしら」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも荒んだ心では、そう簡単に人を信じられない」

ξ ゚⊿゚)ξ「だから主人公の言葉を拒絶して、逃げる」

( ^ω^)「!……」

76名無しさん:2019/01/10(木) 12:21:09 ID:b4UbdVBU0

( ^ω^)「ヒロインが危機に陥って、それを主人公が助けるのは?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ベタね。でも、いいと思うわ」

ξ ゚⊿゚)ξ「すぐに全幅の信頼を置くんじゃなくて、少しずつ心を許していくほうがいいわね」

( ^ω^)「すぐにデレたらつまらないってやつか」

ξ ゚⊿゚)ξ「まぁ、そういうこと。説得されたり一回助けられたくらいで信用できるほど、人は単純じゃないでしょ」

ξ ゚⊿゚)ξ「あとは……そうね、ヒロインが置かれた状況を詳細に書いて、悲惨さを出してみるのはどう?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……例えば、身体を売ってるとき、手酷くされたあまり気絶して、その隙に逃げられる」

ξ ゚⊿゚)ξ「その経験から、ヒロインは事前にお金を貰うことを覚えた、とかね」

( ^ω^)「……ツン?」

77名無しさん:2019/01/10(木) 12:21:34 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「事前に言われてなかった道具を使われる。歯が抜けるほど殴られる。煙草を押し付けられる」

(; ^ω^)「ツン、もしかして」

ξ ゚⊿゚)ξ「想像で書けないんでしょ? だったら、経験を書けばいい」

(; ^ω^)「そんな、君の傷を抉るような」

ξ ゚ー゚)ξ「いいのよ。それでこの世に面白い本が増えるなら。使ってちょうだい」

ツンが男に犯されていた日のことを思い出す。
今まで聞いたどんな叫びよりも悲痛で、痛々しい悲鳴。
痛みを受けてない自分の身が凍り付いて、息ができなくなるほどの。

あれほどの痛みを、傷を、どうして他人に委ねられる?

78名無しさん:2019/01/10(木) 12:22:02 ID:b4UbdVBU0

(; ^ω^)「どうして僕の小説にそこまで……?」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんただって、他人のあたしに救急セットをくれたじゃない」

(; ^ω^)「それとこれとは全然違う!」

ξ ゚⊿゚)ξ「何よ、あたしがいいって言ってるんだからいいじゃない」

ξ ゚⊿゚)ξ「あたしは、その小説の続きが読みたいの」

(; ^ω^)「……」

ξ ゚ー゚)ξ「面白いものを書いてね、ブーン」

79名無しさん:2019/01/10(木) 12:22:29 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

ζ(゚ヮ゚*ζ「ホライゾン先生! この前の小説、大好評ですよぉ!」

ζ(゚ヮ゚*ζ「ニュースにもなってますよぉ。『内藤ホライゾン初のクライムアクション、重版決定』!」

( ^ω^)「そうか、よかった」

ニュースでは、先週のサイン会の様子が映されていた。
僕のサイン本を抱えた女の子が、嬉しそうな顔でインタビューに応じている。
あの子のことは覚えている。確か遠くの街から、わざわざ何時間もかけて来た子だ。

( ^ω^)(この数週間、取材やイベントに追われて『地下』に行けなかった)

( ^ω^)(早くツンに会って、これを渡さないと)

80名無しさん:2019/01/10(木) 12:22:50 ID:b4UbdVBU0

無事に賞を取れて、発売することになった。
『地下』にテレビや新聞はないから、そう言えばツンは信じるだろう。

嘘を吐き続けていることは、正直後ろめたい。
いつか本当のことを言わないといけないとも思っている。
けれど、二の足を踏んでいた。

( ^ω^)(……ツンは、僕が内藤ホライゾンだと知ったら、どう思うんだろう)

内藤ブーンを知っているなら、その息子である内藤ホライゾンを知っている可能性もある。
もしも、僕の本を読んでいたら?

何より、自分が今までツンを欺いていたことがバレてしまったら。
そのことを知った時のツンの顔を見るのが、怖かった。

81名無しさん:2019/01/10(木) 12:23:33 ID:b4UbdVBU0

( ^ω^)(……何故僕は、ツンに知られることが怖いんだ?)

( ^ω^)(ツンに嫌われてしまうことを恐れているのか?)

( ^ω^)(『地下』の女だぞ? 別に嫌われようが構わないだろう)

( ^ω^)(この『上層階』にはもっといい女がいる。金さえ出せばいくらでも囲える)

( ^ω^)(あんな、すぐに口答えしてくる、乱暴で、貧乳の女)

( ^ω^)(落ちたものも平気で食うし、ネタバレはするし)

( ^ω^)(……小説の趣味はぴったり合うし、意外に気遣いができるし)

( ^ω^)(……笑った顔は、まぁまぁだけど)

82名無しさん:2019/01/10(木) 12:24:04 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

ひったくりに狙われないよう、本は鞄に入れ、体の前に抱えた。
エレベーターを降りた後、すっかり慣れ親しんだ道を歩く。

ツンはいつもの場所にいなかった。
ならば家にいるのだろうと、そのまま通り過ぎようとした時。
声が聞こえた。

(; ^ω^)(……?)

くぐもった、小さな声だった。
普段なら気にも留めないような。

けれど、妙に胸騒ぎがした。


(; ^ω^)(まさか)

83名無しさん:2019/01/10(木) 12:24:30 ID:b4UbdVBU0

違ってくれと願いながら、声が聞こえたほうに歩いた。
鼓動が加速するのに合わせて歩幅も大きく、早くなる。
自分が走っていることに気付いたのは、足を止めた時だ。

納屋のような簡素な建物。
ほんの僅かに開いた隙間から、さっきと同じ声が漏れている。
その声に被せるようにして男の声が聞こえて、僕は反射的に扉を開けていた。

(; ^ω^)「ツン!」

ξ ;⊿;)ξ「あ……!」

84名無しさん:2019/01/10(木) 12:25:12 ID:b4UbdVBU0

固い石が剥き出しになった床の上に、ツンが仰向けに倒れていた。
必死で抵抗したのだろうか、裸の上半身には至るところに傷がついている。

その脇に二人、男が立っていた。
一人はツンの腕を拘束し、もう一人がスカートを脱がそうとしている。

(# ^ω^)「……っ」

ツンの胸につけられたキスマークを見た瞬間、目の奥がちりつく感覚がした。

ξ ;⊿;)ξ「ぶ、ブーン……なんで……」

( ´_ゝ`)「なんだ? こいつ」

<ヽ`∀´>「お、バッグなんて持ってるニダよ。金が入ってそうニダ」

ξ ;⊿;)ξ「やめて! お金なら返すから! もうやめてよ!」

85名無しさん:2019/01/10(木) 12:25:58 ID:b4UbdVBU0

ツンを抑える四本の腕は、どれも太く力強い。
小説を書いたり読んだりすることしか取り柄のない僕に、到底勝ち目はないだろう。

逃げるべきだ。今すぐ逃げ出して、『上層階』に帰るべきだ。
わかっているのに。

(# ^ω^)「ツンを離せ!」

(# ´_ゝ`)「うるっせえなぁ!」

(;  ω )「がっ……」

86名無しさん:2019/01/10(木) 12:26:42 ID:b4UbdVBU0

ツンの服を脱がそうとしていた男が、一瞬で距離を詰めてきた。
早い。そう思う暇もなく、僕の頬が弾けた。
実際には弾けたわけではなく、男に拳で殴り飛ばされたのだと知ったのは、吹っ飛ばされたあとだ。

ツンが悲鳴を上げた。
ヒステリックな声で、僕の名前を呼んでいる。
倒れた僕からは、ツンがどんな顔をしているのかはわからない。

(* ´_ゝ`)「やっぱりこいつ、結構金持ってるぜ!」

<*ヽ`∀´>「ラッキーニダ! 全部いただくニダ!」

ξ ;⊿;)ξ「離せ! 離してよ! ブーン! ブーン、大丈夫!?」

(;  ω )「うぁ……」

87名無しさん:2019/01/10(木) 12:27:20 ID:b4UbdVBU0

口を開けた瞬間、ねちゃり、と粘着質な感触がした。
恐る恐る舌でなぞる。錆び付いた味だ。

(;  ω )(殴られると、こんな風になるのか……)

場違いにもそんなことを思った。
物心ついた頃から、父にも殴られたことなどない。
まさかこんな場所で体験するとは思わなかったが。

( ´_ゝ`)「……ん? なんだこれ」

<*ヽ`∀´>「金目の物ニダ?」

( ´_ゝ`)「いや、なんか四角い箱みたいな……」

(;  ω )「! それは……」

88名無しさん:2019/01/10(木) 12:27:40 ID:b4UbdVBU0

それを取り出した男が、驚愕の声を上げた。
何事かと目を丸くする、ツンともう一人の男。

(; ´_ゝ`)「おい、これもしかして、本じゃないか!?」

<;ヽ`∀´>「は!? 本!?」

(#  ω )「返せ!」

飛び掛かられたことに驚いた素振りも見せず、男は僕の腹を蹴った。
何か苦いものが胃からせり上がって、耐えきれずに口から飛び出していく。
地面に胃液を擦り付けながら、本を捲る男を見上げる。

89名無しさん:2019/01/10(木) 12:28:21 ID:b4UbdVBU0

<;ヽ`∀´>「まずいニダよ……こんなの見つかったら銃殺刑ニダ」

(; ´_ゝ`)「あ、ああ……だが、闇市で売れるかもしれない……これも貰っておいたほうが……」

(# ゚ω )「その本から手を離せ!」

<;ヽ`∀´>「うぉっ!?」

あらん限りの大声を上げた。その声に驚いたのか、男の力が緩んだのが遠目でもわかった。
逃げ出したツンが駆け寄ってくる。
僕の服にしがみついて、嗚咽を漏らしている。

90名無しさん:2019/01/10(木) 12:28:42 ID:b4UbdVBU0

(# ゚ω )「それは、その本は……ツンのための本だ……お前らになんか渡さない……!」

(; ´_ゝ`)「な、なんだこいつ……イカれてんのか?」

<;ヽ`∀´>「おい、もう行くニダ」

(; ´_ゝ`)「あ、ああ」

男達が慌ただしく走り去っていく。
手に僕の財布を握りしめているのが見えたが、どうでもよかった。

91名無しさん:2019/01/10(木) 12:30:26 ID:b4UbdVBU0

ξ ;⊿;)ξ「ブーン……バカ、あんた……何してんのよ……」

(;  ω )「自分でも、そう思う」

ξ ;⊿;)ξ「こんな怪我してまで、なんであたしを助けたの!?」

(;  ω )「うるさい! 勝手に身体が動いたんだお!」

あのか細い声がツンのものだとわかった時。泣いているツンを見た時。キスマークを見た時。
反射的に身体が動いていた。
こうなることも、知っていたはずなのに。

ξ ぅ⊿;)ξ「……歩ける?」

(; ^ω^)「な、なんとか……」

ツンに支えられるように、小屋を出た。
手当をするからと言われ、頷く。目的地は聞くまでもなくわかった。

92名無しさん:2019/01/10(木) 12:32:30 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「染みるだろうけど、じっとしてよね」

(; ^ω^)「いっ……!」

ξ# ゚⊿゚)ξ「じっとしなさいってば!」

(; ^ω^)「無茶言うなお」

消毒液を丸ごとぶっかけられて、身じろがないわけがない。
もしや始終こんながさつに手当されるのか、という不安はすぐに解消された。
ツンは消毒液をぶっかける以外は、丁寧な手つきで手当てを進めていく。

最後に巻かれた包帯が切り離される。
いつだったか、僕が渡した救急セットの残りだ。捨てずに取っておいたのだろう。

93名無しさん:2019/01/10(木) 12:34:16 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「……あいつら、最初は一人だけで来て……お金を払って、そこまではよかったんだけど」

ξ ゚⊿゚)ξ「あの小屋の中に入ったら、もう一人が隠れてたの」

(; ^ω^)「二人がかりで襲おうとしたのか」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん……ブーンが来てくれなかったら、きっと危なかった」

ξ ゚⊿゚)ξ「ありがとう、助けてくれて」

(*; ^ω^)「あ、いや……結果的に勝てなかったし、別に……」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも……ブーンの財布、盗られちゃった」

僕は元々、『地下』に来る時は小銭しか持ち歩かないようにしている。
慣れてきたとはいえいつ襲われるかわからないし、個人情報を知られないためだ。
だから財布を盗られたことはどうでもいいし、痛くも痒くもなかった。

94名無しさん:2019/01/10(木) 12:34:49 ID:b4UbdVBU0

( ^ω^)「それよりも、本が無事でよかった」

ξ ゚⊿゚)ξ「あいつら、驚いてたわよね。何の本なの?」

( ^ω^)「僕の本だ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……え?」

( ^ω^)「この前の小説が、賞を取ったんだ。出版されることになった」

ツンは大きな目を瞬かせて、本と僕を交互に見遣る。
この本も、特別に用意させたものだ。
本来の『内藤ホライゾン』という著者名が入っていてはまずい。この一冊だけ『ブーン』と名前を変えさせた。

95名無しさん:2019/01/10(木) 12:36:00 ID:b4UbdVBU0

ξ* ゚⊿゚)ξ「うそ、入賞したの? 本当に?」

(; ^ω^)「嘘を吐いてどうするんだよ」

嘘を吐いてどうする、なんて、僕には言う権利のない言葉だ。
心の中で自嘲する。
そんな僕の内心など知る由もないツンは、頬を紅潮させていた。

ξ* ゚⊿゚)ξ「すごい、新書だ……染みも汚れも一つもない、綺麗な本……」

ξ* ゚⊿゚)ξ「ブーン、すごいわ。おめでとう!」

(*; ^ω^)「あ、ありがとう……」

心臓の裏が、底が、むず痒くなる感覚がした。
羞恥や緊張と似ている。けれど、全く違う。

96名無しさん:2019/01/10(木) 12:37:15 ID:b4UbdVBU0

ツンは頬を緩ませて、本の表紙をなぞっている。
開いてしまうことが惜しいとでも言うように、ほんの少しページの隙間に指を入れて、また抜いてを繰り返す。

( ^ω^)(……ここまで喜んでくれた人が、他にいただろうか)

父も、母も、秘書も、ここまで喜んでくれたことがあっただろうか。
初めて受賞した時や初めて本を出版した時、周りはどんな反応だったか。
……いや、自分がどう思っていたかすら、思い出せない。

少なくとも、自分を含めた誰よりも、今目の前にいるツンが喜んでいる。

97名無しさん:2019/01/10(木) 12:38:11 ID:b4UbdVBU0

もしも、これからもずっと、ツンに読んでもらえたら。


( ^ω^)「ツン、一緒に『上層階』へ来ないか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「え?」

思わず。うっかり。我知らず。心ともなく。つい。我にもなく。無意識に。
様々な言葉が脳裏を駆け巡る。
本当に、思考を介さず、その言葉が口から飛び出ていた。

ξ ゚⊿゚)ξ「……どういう意味?」

(; ^ω^)「……あ……その……」

ξ ゚⊿゚)ξ「もしかして、あたしに同情してるの?」

98名無しさん:2019/01/10(木) 12:39:27 ID:b4UbdVBU0

ξ ゚⊿゚)ξ「新品の本一つで喜べる女が、そんなに哀れに見えた?」

(; ^ω^)「違う!」

ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあ、どうして急にそんなことを言うの?」

(; ^ω^)「……わからない」

ξ ゚⊿゚)ξ「わからないって何よ」

(; ^ω^)「わからないんだ。勝手に口から出てきた」

ξ ゚⊿゚)ξ「はぁ?」

ツンが眉根を寄せる。そうするのも無理はない。
あまりに突拍子すぎて、立場が逆だったら僕だってそうするだろう。

99名無しさん:2019/01/10(木) 12:40:17 ID:b4UbdVBU0

( ^ω^)「……わからないけど、きっと本心だ」

( ^ω^)「僕は、ツンを連れて行きたいんだと思う」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

(; ^ω^)「それに、ここは危ない。いつまたさっきみたいに、危ない目に遭うか……」

ξ ⊿ )ξ「そんなこと、わかってるわよ」

顔が伏せられて、ツンの青い目が見えなくなる。
明確に言葉にはされなくても、それが拒絶だということはわかった。

ξ ⊿ )ξ「前にも言ったでしょ? ここは……ここにある本は、父の形見なの」

(; ^ω^)「……」

100名無しさん:2019/01/10(木) 12:41:25 ID:b4UbdVBU0

この数週間で、部屋にある本をほぼ全て読んだ。
経年劣化はしていたものの、どれもが丁寧に手入れされたものだった。

自分が読めなくなるから、という理由だけではないはずだ。
先祖から受け継いだ父親の形見を、大切にしたいと思っているのだろう。

(; ^ω^)「お父さんだって、ツンが幸せになることを望んでいるはずだ」

ξ ⊿ )ξ「あんたに何がわかるのよ」

(; ^ω^)「少なくとも、こんな危ない生活をさせたいと思ってるはずがない!」

(; ^ω^)「君はこの部屋と本に囚われているだけだ!」

ξ# ⊿ )ξ「知ったような口利かないで! 何不自由なく生活してるあんたに、何がわかるのよ!」

(# ^ω^)「なんとでも言えお! 僕は譲らない!」

ξ# ⊿ )ξ「うるさい! 帰れ!」

(; ^ω^)「っ!」

101名無しさん:2019/01/10(木) 12:41:52 ID:b4UbdVBU0

顔を目掛けて何かが投げられた。
反射的に前に掲げた腕に当たったあと、鈍い音を立てて地面に落ちる。

先程までツンが愛おしそうに撫でていた、僕とツンの手で作り上げた本だった。

ξ; ゚⊿゚)ξ「……あぁ……」

本を投げた体勢のまま、ツンは目を見開いて固まっている。
きっと本を投げつけられた僕よりも、本を投げてしまったツンのほうが、ショックは大きい。

オキシドールの香りが漂う部屋で、無言で立ち尽くす。
ややあって項垂れたツンが、帰って、と小さく声を漏らした。

戸惑っている内に、同じ言葉がもう一度投げかけられる。
混乱した頭で、今日は従うべきなのだろうと思い、踵を返す。

後ろ手で閉めたドアの向こうから、嗚咽が聞こえてきた。

102名無しさん:2019/01/10(木) 12:44:26 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

ζ(゚、゚*ζ「ホライゾン先生、お茶をどうぞ」

( ^ω^)「……ああ」

秘書が少し身を屈めて、僕の目の前にグラスを置いた。
視線の先に豊満な胸がある。
ツンのものとは、だいぶ違う。

ζ(゚、゚*ζ「最近、あまり取材に行かれませんねぇ」

( ^ω^)「ああ。もう終わったんだ」

取材は終わった。
もう行く必要も、その資格もない。
元より許されない行為だった。そろそろ潮時だったんだ。

103名無しさん:2019/01/10(木) 12:45:32 ID:b4UbdVBU0

ζ(゚、゚*ζ「もしかして、スランプだったりしますぅ?」

( ^ω^)「……スランプ? 僕が?」

ζ(゚、゚*ζ「なんか難しい顔してますし……ホライゾン先生だって人間ですもの。スランプくらいありますよねぇ」

そんな甘い世界じゃないと言いかけて、やめた。
スランプ。そうなのかもしれない。
現に僕はあの日から、一行も書けてない。

( ^ω^)「……誰かのために勝手に身体が動くのは、どうしてだと思う?」

ζ(゚、゚*ζ「え?」

( ^ω^)「無性に顔が浮かぶ、会話の内容を思い出す、一緒に食べたものを見る度に、その時のことを思い出す」

( ^ω^)「……少し会ってないだけで、喉に何か引っかかったような感覚になる」

( ^ω^)「これは、なんだと思う?」

104名無しさん:2019/01/10(木) 12:47:21 ID:b4UbdVBU0

飴色のアップルティーを眺めていると、あの日に食べた林檎を思い出した。
地面に並べられた林檎。それを二つ買って、一つを僕に差し出すツン。
まごついている僕の口に林檎を押し当て、存外美味しいことに驚く僕を見て、ツンが歯を見せて笑う。

ζ(゚ー゚;*ζ「やだ、先生、それ本気で言ってるんですかぁ?」

( ^ω^)「……? 本気で、とは?」

ζ(゚ー゚;*ζ「だって、どう考えてもそんなの、恋以外にないでしょう?」

105名無しさん:2019/01/10(木) 12:47:42 ID:b4UbdVBU0

( ^ω^)(……ああ)

( ^ω^)(ああ、そうだったのか)


この感情を、人は恋と呼ぶのか。


( ^ω^)「出かけてくる」

ζ(゚ー゚;*ζ「えっ、ホライゾン先生!?」

106名無しさん:2019/01/10(木) 12:48:34 ID:b4UbdVBU0

恋愛感情など、性欲の詩的表現だと思っていた。
今までもこれからも、ずっと知らずに生きていくものだと。

( ^ω^)(ツンに会って、話がしたい)

名前を呟くだけで、柔らかそうな金髪や、ぽってりした唇がすぐに脳裏に浮かんだ。
青い吊り目を緩ませて笑う顔も。
少し力を入れたら折れてしまそうなほど、細い手足も。

( ^ω^)(好きだ)

( ^ω^)(僕はきっと、ツンが好きだ)

107名無しさん:2019/01/10(木) 12:48:59 ID:b4UbdVBU0

呼びつけた車に飛び乗った。
手短に行き先を告げると、運転手が慌ててアクセルを踏み込む。
バックミラーに映った自分の表情は、今までに見たことがないほど切羽詰まっていた。

ツンに告白しよう。
そしてもう一度、一緒に上に来てほしいと言おう。

どうか僕と結婚してくれないかと。

108名無しさん:2019/01/10(木) 12:49:23 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

エレベーターから出た瞬間、やけに乾燥しているなと思った。
それになんとなく、いつもと雰囲気が違う。

妙なざわつき。
浮足立っているような、警戒しているような。

(; ^ω^)(……?)

ツンはどこにいるのだろう。
いつもの場所だろうか。それとも家にいるのだろうか。

視線を上げて、僕はざわつきの理由に気付いた。

109名無しさん:2019/01/10(木) 12:49:56 ID:b4UbdVBU0

少し離れた場所で、他の建物より少しだけ背の高い建物が、その頭を揺らしていた。
夏の暑い日に、遠くに見えるビルが揺らぐような。

(; ゚ω゚)「――――!」

それが何か気付いた瞬間、僕は駆けだしていた。

建物の下から炎がうねるように巻き上げている。
燃えている。


ツンの家が、炎に包まれている。

110名無しさん:2019/01/10(木) 12:50:27 ID:b4UbdVBU0

全速力で走っているのに、いつもよりやけに遠く感じた。
もどかしい。上手く走れない足が恨めしい。

すれ違う誰もが、口を開けて僕の目指す方向を見ている。

(; ゚ω゚)(頼む、家にいないでくれ、違う場所にいてくれ!)

いつもの場所にツンはいなかった。

どこか買い物に行ってくれていたら。
無事に避難できていたら。

祈りながら走り続けた。

111名無しさん:2019/01/10(木) 12:50:49 ID:b4UbdVBU0

 ・・・・・

(; ゚ω゚)「はぁっ、はぁ、はぁ……っ」

燃えている。
ツンの父親の形見が。

少し濁った匂い。
本に積もった埃。
柔らかく差し込む日差し。
ツンがページを捲る音。
暖かい空間。
笑い声。


僕とツンの思い出が燃えていく。

112名無しさん:2019/01/10(木) 12:51:13 ID:b4UbdVBU0

鈍い音を立てて、建物のほんの一部が崩れた。
その欠片すら炎に包まれて消えていく。

炎はツンの家全体を舐めるように燃え盛っている。
よく見れば家の前で、制服を着た人間が何人か集まっていた。
キャンプファイヤーのような何かに、しきりに何かを放り込んでいる。
あれは、ツンの部屋にあった本だ。

(-_-)「おい……そこのお前、近付くんじゃない」

(; ゚ω゚)「この家の持ち主はどこだお!」

(;-_-)「っ!?」

113名無しさん:2019/01/10(木) 12:51:37 ID:b4UbdVBU0

(´<_` #)「貴様、何を……」

(;-_-)「待て! この人は内藤ホライゾン先生だ!」

(´<_` ;)「なっ……内藤ホライゾンって、あの!? 嘘でしょう!?」

(; ゚ω゚)「ツンはどこだお! どこにいるんだお!?」

(;-_-)「……ここを根城にしていた小娘なら、もうすぐ広場で銃殺刑に……」

(; ゚ω゚)「……っ!」

(´<_` ;)「ホライゾン先生! 危険です!」

(;-_-)「誰か止めろ! 追え!」

114名無しさん:2019/01/10(木) 12:51:58 ID:b4UbdVBU0

静止する警官を押しのけて走る。
追いかけられる気配もあったが、いくつか道を曲がっている内に撒けたようだ。

『地下』の道は複雑だ。
それでもツンと一緒に歩いた道は、全部覚えている。

陳腐な物語のように、情熱的にツンの名前を叫びながら走ることはしなかった。
運動不足の身体がそれを許してくれない。

(; ゚ω゚)「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

まだ間に合うかもしれない。
僕が銃とツンの間に割り込めば、警官もそう簡単に撃てやしないはずだ。

( ;ω;)「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」

お願いだから、間に合ってくれ。

115名無しさん:2019/01/10(木) 12:52:19 ID:b4UbdVBU0

初めてツンと出会った場所を駆け抜けて、広場に出た。
買い物客で賑わっているはずのそこには、普段の活気など欠片もない。

『地下』の住人の代わりに、上質な制服に身を包んだ警官達が立っている。
等間隔に並び、全員が同じ方向を向き、同じ黒塗りの銃器を脇に抱えている。
そして、視線の先には。

( ;ω;)「ツン!」

ξ ゚⊿゚)ξ

煤けた壁を背に、ツンが立っていた。
ぼんやりと生気のない目で、偽物の空を見上げている。
抵抗の意思がないと判断されたのか、手足が縛られている様子はなかった。

116名無しさん:2019/01/10(木) 12:52:51 ID:b4UbdVBU0

僕の声を聞いたツンが、首だけを動かしてこちらを向いた。
視線がかち合った瞬間、諦観の色をたたえていた青い瞳が、柔らかく緩む。


ξ ^ー^)ξ


本を勧められた僕が、読み終えたあと「面白かった」と告げた時と、全く同じ笑顔だった。

117名無しさん:2019/01/10(木) 12:53:15 ID:b4UbdVBU0

( ;ω;)「ツ――――」
  _
( ゚∀゚)「撃て!」

僕の叫びを掻き消すように、警官の一人が声を荒げた。
間髪入れずに、鼓膜を突き破るような破砕音が断続的に鳴り響く。


まずツンの右肩から、水風船が割れたかのように赤い霧が散った。
たたらを踏んで仰け反ったツンを的に、霰のように銃弾が降り注ぐ。

腕、腹、胸、至るところから赤い飛沫が飛ぶ。まるで花火のように。
脚を穿たれたツンは最早一歩踏み出すこともできず、かといって倒れることも許されず、弾丸に晒され続けた。

118名無しさん:2019/01/10(木) 12:53:46 ID:b4UbdVBU0

ツンの喉が大きく仰け反って、その顔を僕の視界から消す。
顔の位置からひときわ大きく、赤が散るのが見えた。

休むことなく撃たれる全身が、衝撃でその度に跳ねる。

上下、左右、様々な方向に向きを変える。
全身を赤く染めた何かが、ぐにゃぐにゃと形を変えていく。
不自然で、不格好で、滑稽な動き。


まるで、踊っているかのようだった。

119名無しさん:2019/01/10(木) 12:54:15 ID:b4UbdVBU0

(  ω )「――――――」

ようやく発砲音が鳴り止み、小さな体が解放される。
人間だったものにしては、あまりに小さな音を立てて落ちた。

警官は特に後始末もせず、銃を肩に掛けなおして、僕の横を通り過ぎていく。
何人かが怪訝そうに僕の顔を覗き込んできた。

先程の警官と同じように、僕が内藤ホライゾンだと気付いたのだろう。
全員が驚愕の表情を浮かべたが、その場で連れて行かれるようなことはなかった。
けれどもう、どうでもいいことだ。

120名無しさん:2019/01/10(木) 12:54:45 ID:b4UbdVBU0

ξ   )ξ「――――ごほ"っ」

(; ゚ω゚)「!!」

静寂を破ったのは、仰向けの状態で放置されていたツンだった。
濁った声を上げて、痙攣のように体を震わせている。


(; ゚ω゚)(生きてる!)

(; ゚ω゚)(『上層階』に連れて行って治療をすれば、まだ間に合うかも!)

(; ゚ω゚)「ツン!」

121名無しさん:2019/01/10(木) 12:55:11 ID:b4UbdVBU0

それが安易な考えだと思い知らされたのは、ツンの顔を覗き込んだ時だった。

ξ   )ξ

(; ゚ω゚)「……あ……」


小説でよく見る『潰れたトマト』という表現は、これ以上ないほど的確だったのだと知った。

皮は剥がれ裏返り、先程まで守っていた中身を露わにしていた
骨格標本で見るような筋線維は、ツンが薄い呼吸をする度に小さく上下に動き、その度に血を滲ませる。
かろうじて原型を残した口から、ばらばらに折れた歯が見えた。時折、ひゅう、と聞こえてくる呼吸音。

122名無しさん:2019/01/10(木) 12:55:37 ID:b4UbdVBU0

(;  ω )「お"ぇ……っ」

たまらず嘔吐してしまった。
殴られたり蹴られたりしたわけでもないのにせり上がってきた胃液を、ツンの横に吐き出す。
ツンの血の臭いと僕の吐瀉物の臭いが混ざり、さらに吐き気を駆り立ててくる。

ξ   )ξ「お"、ぁ……ぶぅ、ん"」

(; ゚ω゚)「しゃ、喋るな! 今病院に連れていく!」

(;  ω )「大丈夫、助かる……絶対助かるお……」

123名無しさん:2019/01/10(木) 12:56:01 ID:b4UbdVBU0

とんでもない嘘だ。
医学の知識のない僕が見たって手遅れだとわかる。

『地下』に救急車なんてものはないだろう。救急道具すら満足にないのに、そもそも病院があるのかどうか。
引きずってエレベーターに乗せたとしても、きっと途中でツンは力尽きる。

(; ゚ω゚)「誰かいないかお!? 助けてくれ! ツンが死んでしまう!」

叫んだところで誰も来るわけがない。わかっていた。
せいぜい追いはぎめいた輩が、ツンの持ち物やツンそのものを目当てに寄ってくるくらいだろう。

( ;ω;)「誰か!! 誰かぁ!」

それでも僕は叫ぶしかなかった。

124名無しさん:2019/01/10(木) 12:56:27 ID:b4UbdVBU0

ξ   )ξ「い"ぃ、の……も、いい"……」

( ;ω;)「いいわけないお! 諦めるな! 絶対助けるから!」

ξ   )ξ「ぶ、ん……ぎい"……で……」

その時、僕はツンが何かを抱えていることに気付いた。
服の中に隠していたのか。
薄っぺらく、防弾効果など全くなさそうなそれは、ツンの血でべったりと汚れていた。

最後の力を振り絞るかのように、ツンがゆっくり腕を開く。
まるで抱えたものを、僕に見せようとするかのように。

何を悠長なことを、と怒鳴ろうとした。
けれどツンの抱えたそれが何かを知って、僕の口は全く違う言葉を紡ぐ。

125名無しさん:2019/01/10(木) 12:56:49 ID:b4UbdVBU0

(  ω )「……どうしてそれを、君が」

赤く染まったそれの元の色を、僕は知っている。
スカイブルーだ。空に想いを馳せて、注文した色。

タイトルは無残に穴だらけになっていたが、著者名の部分は銃弾を免れていた。
エンボス加工した文字が、僕の目に飛び込んでくる。



『著者:内藤ホライゾン』

126名無しさん:2019/01/10(木) 12:57:37 ID:b4UbdVBU0

僕が一番最初に出版した本。
自信満々に刷ったものの全く売れず、父にも「つまらない」と捨てられ、メディアにも取り上げらることもない、忘れられた小説。
まだ僕が、自分の未来や小説に、希望を抱いていた頃の遺物。

(  ω )「……知ってたのかお? 僕が、内藤ホライゾンだってこと」

ξ   )ξ「ぶんしょ、くせ、かわ"ら"ない……たいげんどめ"、ひゆ"……おな"じ……」

僕の原稿を読んだ時、ツンはすぐに気付いたんだろう。
ブーンという偽名を名乗り、ちゃちなプライドを隠そうとする惨めな僕の正体を。

それでも、黙っていてくれた。
知らないふりをしてくれていた。

127名無しさん:2019/01/10(木) 12:58:11 ID:b4UbdVBU0

ξ   )ξ「これ"、ね……あたし"、の……ぃちば、すき"な……ほん"……」

ツンの手が、本から滑り落ちた。
血を失い色をなくしたそれは、氷のように冷たい。

命が消えていく。
そう考えて、ぞっとした。

(;  ω )「駄目だ、駄目だおツン、死ぬな! 死んじゃ駄目だ!」

ξ   )ξ「……ごめ……ね……」

( ;ω;)「謝るなお! 頼むから、生きてくれお! 僕は……

( ;ω;)「僕は……君のことを……」

ツンが小さく僕の名を呼ぶ。
僕の声量に比べたら、蚊が羽音ほどの小さな声だ。
なのにどうしてか僕は押し負けて、ツンの言葉を待った。

128名無しさん:2019/01/10(木) 12:58:36 ID:b4UbdVBU0

ξ   )ξ「ぶぅ"ん、そうぞ、で、かけ"ない"……って……い"って"た……」

( ;ω;)「……うん」

ξ   )ξ「だった"ら、……けいけ……す"れば、い"い"……」


喜怒哀楽も、美味しい食事も、楽しい場所も、燃えるような恋も、血を噴き出すような憎悪も。
確かに経験すれば、僕は書けるようになるだろう。
だけど、その全てを体験するまでに、何度心を砕けばいい?


ξ   )ξ「ね"ぇ"……ぶぅ、ん"」

ξ   )ξ「これ"から、ぁ"……あな"た、は……な"にが、か"ける……?」


あと何度、こんな身を裂かれるような思いをすればいい?

129名無しさん:2019/01/10(木) 12:59:07 ID:b4UbdVBU0

(  ω )「人を、愛すること」

ξ   )ξ

(  ω )「……その人を、喪うこと」

ξ ー )ξ


ξ ー )ξ「ぁた"し……ぶぅ"んの、なかで……い"き"られる……?」

(  ω )「……そうだよ、ツン。君は、僕の……」

ξ ー )ξ

(  ω )「……ツン……あぁ……あ……――――」


そうして僕は、『声にならない叫び』を知った。

130名無しさん:2019/01/10(木) 12:59:40 ID:b4UbdVBU0

*****


『内藤ホライゾンについて/美府書房』より抜粋


(中略)
内藤ホライゾンは数年間、執筆をとりやめていた時期がある。
その後表舞台に舞い戻ってきた彼の作品は、雰囲気を大きく変えていた。

以前にも増した濃密な情景描写もさることながら、読者を最も唸らせたのは心理描写。
揺れ動く感情の機微から狂気、恐慌、あらゆる人間の心情を緻密に表した文章は、再び大衆の心を掴んだ。


またそれ以来、彼の作品にはいくつかの共通点を持つ女性が書かれるようになり
批評家やファンの間では、女性のモデルが一体誰なのかという議論がしばしば行われる。

また、主人公とその女性の恋が実る話は、一つもない。

131名無しさん:2019/01/10(木) 13:00:07 ID:b4UbdVBU0



読了。



.

132名無しさん:2019/01/10(木) 13:00:37 ID:b4UbdVBU0
投下は以上です。
支援とても嬉しいです。ありがとうございました!

133名無しさん:2019/01/10(木) 13:08:52 ID:pNjwXiM60


134名無しさん:2019/01/10(木) 13:13:41 ID:2phszFlY0
乙 ツン…。

135名無しさん:2019/01/10(木) 13:47:58 ID:iwg0iqew0


136名無しさん:2019/01/10(木) 15:07:32 ID:UTcTv/hY0
心が揺さぶられた
素晴らしい作品をありがとう

137名無しさん:2019/01/10(木) 15:43:19 ID:Kp9Zy6z60
めっちゃ面白かった
ハッピーエンドに期待しながら読んだけど
タイトルそういうことなのか

138名無しさん:2019/01/11(金) 00:35:48 ID:K0Q65Bus0
乙!!
色々考えさせられる素晴らしい作品

139名無しさん:2019/01/11(金) 04:16:31 ID:qtz7DXxc0


140名無しさん:2019/01/11(金) 18:17:52 ID:Cz5zktqc0
あぁ
なんだろう

無情?

141名無しさん:2019/01/13(日) 01:19:43 ID:O8.lQbR60

素晴らしかった
ありがとう

142名無しさん:2019/01/13(日) 02:02:56 ID:ZjdA.2Pg0
乙…………

143名無しさん:2019/01/13(日) 19:46:54 ID:7nzrCyIA0

いい話…というか切ないが美しい話だった

144名無しさん:2019/01/14(月) 10:07:40 ID:Uel/1YVQ0

ラストがすごくいい

145名無しさん:2019/01/17(木) 03:10:15 ID:cb8MCINE0
すげぇ良かった

146名無しさん:2019/01/22(火) 12:42:24 ID:7tV7ag4A0
引き込まれた...いい文書だった
過去作はないのかな

147名無しさん:2019/01/24(木) 20:18:03 ID:VMyWOlMI0
>>146
ありがとうございます!
参加表明スレにも書きましたが「( ^ω^)天使はライブハウスにいるようですζ(゚ー゚*ζ」「ミセ*゚ー゚)リ確かに恋だった ようです(゚、゚トソン」が過去作です。
もしよければ読んでもらえると嬉しいです。

148名無しさん:2019/01/25(金) 15:02:00 ID:w6XJIKac0
おつ

149名無しさん:2019/01/25(金) 16:48:43 ID:rYMijTko0
>>147
わざわざありがとうございます!休日に読みます!!

150名無しさん:2019/02/02(土) 18:20:36 ID:j.qY/0Ts0
すごい面白かった、天使はライブハウスと同じ人と知って驚きを隠せない


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