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( ^ω^)文戟のブーンのようです[6ページ目]
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【このスレについて】
●このスレは何か
→ブーン系の品評会企画です。
作品による競い合いと、それによる作者同士の研鑽を目的としています。
●品評会はどう行うのか→>>2参照
●どうすれば参加できる?→>>3参照
●スレタイにある『文戟』って何?→>>4参照
【その他のルール、細則>>5】
【生徒名簿>>6】
【まとめ】
https://bungeki.jimdofree.com/
【過去スレ】
テストスレ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1531744456/
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https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1538666460/
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https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1541935201/
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完成しねえええええ
誰か助けてえええええええええええええ
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(´・ω・`) 投下宣言だけしとけば?
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ξ゚⊿゚)ξ「投下するわよー!駆け足!」
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ある、はい色の朝にそれは起きた、友だちは姿を見せなかった。秋の重い雨の日だった。
あぁ、きょうだ。この日だったんだ。
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( ><)秋時雨の朝のようです
.
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……午前9時。
やっと大人の寝る時間がきた。
大人だけじゃない、小学生も、中学生も、高校生も今は夢の中だ。
部屋に子供が出てくる。
君は、2種類の教科書を踏みつぶして仁王立ちだ、だってぼくの部屋だもん。
今日はなにするのかな……貯金箱を割ってもいいし、望遠きょうの位置を変えてもいい、ゴミ箱とかに。
カレンダーも、好きな日までめくっちゃおうか
君は、ベッドのわきのテーブルに山ほど置いてあるきょう竜図かんで、紙くずを作ろうと思った、でも……
(#<●><●>)「……じゃま!」
君と図かんのあいだにボクが立ちふさがってた。
ボク……?ボクはボクだ。どこにでもいるふつうのボク。
なんだよ。
この部屋はひとり部屋なんだ、ボクがいたら定員オーバーじゃんか。
もう夜なんだから、寝ればいいのに……
寝るのは楽しいよ。
夢はわくわくするし、だいすきな友だちもいる。
でもボクは、なぜかはわからないけど、とてもそんな気分じゃない。
ベッドから起き出して、もう片方のくつ下を探す。
君はうなだれるかげを踏みつけて窓に手をかけた。
おやすみ、さよなら、永遠にげんきでね。
( <●><●>)「……ついてくるなよな!」
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雲も、鳥も、飛行機も、星のひとつも見えやしないのに、あれは空で。
車も、人も、猫もいないのに、これは町だ。
だから、ぼくがちっとも眠くないのに、今が夜でもおかしくないよね。
( <●><●>)「〜♪」
重いくつ下も、もやもやのマクラも、君も部屋に置き去りにして、今夜はごきげん。
すべての家がカギをかけて、今はぼくひとりの時間なんだ。
なのに……
ついてきてしまったんだね、君は。
じゃまするわけでも、話しかけるわけでもなく、ひたすらぼくの時間を汚してる。
(#<●><●>)「ほっといてよ」
ぼくの通学路を、スピードを上げて、ぼくがかけぬける。
風はちっとも動かない。
ぼくの校庭が、まんかいの桜で、ぼくを迎える。
久しぶりだって?昨日通ったじゃん!へんな木!
待ち合わせの角、ブランコのある公園、校庭……なにも変わらない。いつも通りだ。
何もかもいつも通りだ。何も変わらないし、何も動かない。
ぼくだけだ、動いてるのは。
ぼくが行く、ぼくは行くぞ、春の町を行く。でも……
風がわからない。
走っても走っても、ぼくはもう風には戻れない。
流れて、くずれていく景色だけが、ぼくのスピードがどんどん上がっているんだと教えてくれる。
足元がくずれる、ぼくもくずれて、世界がとけて、そして、ついにはアスファルトがぼくを飲み込んだ。
(; <○><○>)「!」
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間に合わないのは悔しいが投下宣言させて頂く
未完成で終わらせたくはない
-
ぼくは、はい色のうずでまっぷたつになったり、まざったりしていた。
すごく静かだった。音が、なんにも聞こえない。
何もない。何も、ない……
……わかってる、わかってるさ。ほんとうは、わかってるんだ
もうぼくは、誰の手も届かないところにいる
そしてこの気分は変わらないまま、ぼくは明日も来週もすごすんだ
じつはこの時、ぼくは助けて欲しかったのかも知れない
きっとぼくは一生、こんな気分でいるんだろうな
もう誰もぼくを、助けることはできない
みんなほっといてよ、ぼくのことなんか
誰かぼくを──
(;<●><●>)「──助けて?」
耳をすませる。
声はたしかに、水の上から聞こえているみたいだ。
(;<●><●>)「……」
……どうしよう。
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支援支援
-
水面は、ものすごかった。
雨といなびかりが一面をうめつくして、空はまっくら。
町は水に飲みこまれ、はい色のだく流がドウドウとうなりあげている。
ぼくはまぶたをこじ開け、じっと目をこらした。
角の電柱から見える家の窓……君の声が聞こえる。
(; )「ワカッテマス君!ぽぽちゃん!」
君はぼくを見つけると、おもわず後ずさりした。
そうだよね、来れるわけがない。
ぼくはけんめいにしがみついてるけど、大きな波を何度もかぶり、今にも消えちゃいそうだ。
(; )「!」
君はついに、窓まで開いて手をのばした。
(; )「来ないでよ!」
波がうずをまいている。
風と雨つぶが、君を押しもどした。
(; )「ぼくは、これでいいんだ!」
ついにぼくは波にさらわれてしまった。
君が身を乗り出して手を伸ばす、けど届くわけない。
どんどん流されていく。
これで、もう会えない。きっと──ずっと───
(; )「イヤだ!」
窓を乗りこえて、君は、はい色のうずにとびこんだ。
-
( )
うずの下はすごく静かだった。音が、なんにも聞こえない。
何もない。何も、ない……
( )
君は、まちまちなはい色の中で、きらり、きらりと見えかくれしている。
足をうごかしてるけど、足ごたえは、感じない。
うーん、苦しい、息ができない……おもくてにぶい、足って、どう使うんだっけ……
( )
どうしよう、音の聞き方も、胸の動かし方もぜんぜんわかんない……
自分がどうなっているのかも、なにをしてるのかもわかんない……わかんないや。
(; <○><○>)「!」
とつぜん、君がおおきなかげに飲みこまれてしまった!
ぼくはびっくりして、身をちぢめた。
まつ毛のすきまからのぞくと、大きなかげが、伸びたり縮んだりしながら、ふわふわしているのが見える。
( )
……こわい。
やっぱダメだ……話しかけることすらできなかった。
期待した、ぼくがダメなんだ。
……期待?
……君は、助けてって言ってた。
まわりのかげが強くなり、はい色はまっぷたつにわかれて、白と黒だけになった。
ぼくは傘を、かたくかたく、にぎりしめた。
-
( )
(#<●><●>)「……やいっ」
手に傘を、足に力をもって、そいつに話しかけてやる。
(;<●><●>)「おうい!」
気がついてないとか、わかんないわけじゃないみたいだ。
そいつは、のびちぢみしながら、あたりを油みたいにただよっている。
負けるもんかとにらんだけど、まっ黒色のそいつは、いつまでたってもまっ黒色のままだった。
( ;<●><●>)「聞いてんのかっ!」
( )
( ;<●><●>)「イジワルするな!」
( )
(; )「じゃまするなってば……」
( ) 。゜
-
゜
( ゚) ゜
まっ黒色が何かこぼした……気がする。
遠くて、よく見えないけど……
。
。
( 。゚) 。
──やっぱり何かこぼしてる。
なんだろう?ここからじゃわかんないや。
もっと近くにいかないと……
゜ 。
( ) ゜ 。゚
こぼれたそれが、アワみたいに白くまいあがって、これって、まるで……
( <●><●>)「どうしたの?」
( ゚) 。
( <●><●>)「だいじょうぶ?」
( ) ゜
( <●><●>)
( )
( ) 「……友だちが」
( ) 「……友だちがいなくなっちゃう」
( <●><●>)
-
( 。) ゚
( <●><●>)
。
( ) 。
( <●><●>)「……あのさ」
( <●><●>)「……探すの手伝おうか?」
傘を開いて、さし出した。
ぼくは待った。
( ��) 。
( <●><●>)
( ) ゜
( )
( ) 「……」
まっ黒色が伸びてくる。
そして、その子が、傘のかげにふれたとたん……!
(;<●><●>)「わわっ」
とたんに!色を取りもどした!
すごい、びっくりした。
あったかい日の色のかみの毛と、金のひとみの子。
どうやらぼくは、コウモリ傘をふねにして、その子とまっ黒平らな水面に浮かんでたっぽい。
ぎゅっと柄をつかんで、あたりをみわたす。
黒い水平せんと、白い夜空がどこまでもひらけているだけで、水にさわってみると、それはあったかくも、冷たくもなかった。
動いてるのも、あったかいのも、ぼくとその子だけ。
ふたりだけだ。
(*‘ω‘ *)
それでも、その子はぼくに、声をかけてくれなかった。
よろしくね、とかそんなの、期待してたわけじゃないけどさ。
-
( <●><●>) ぱしゃぱしゃ
(* ω *)
( <●><●>) ざぷざぷ
(* ω‘ *)
( <●><●>) ぱしゃぱしゃ
(* ω *)
( <●><●>) ざぷざぷ
(* ω *)
水をかいても、傘はその場でくるくるまわるだけで、ちっとも前に進まない。
いちめん波がぜんぜんなくて、ぬれたアスファルトみたいに、のぺーっと広がってる。
( <●><●>)「きみも、手伝ってよ」
(* ω *)
(* ω‘ *)「……」
(* ω *)「やだ」
( <●><●>)「えぇー?」
その子は、ずーっと、ひざを抱えてちぢこまってた。
かみの毛のすきまから、ときどきひとみをのぞかせては、金色をくもらせてる。
-
(* ω *)「……ょ」
( <●><●>)「なに?」
(* ω‘ *)「……」
( <●><●>)「ほら、へいきだよ」 じゃぶじゃぶ
水をたたいて見せたけど……
( <●><●>)「ね?」
(* ω *)「……」
( <●><●>)「どう?」
(* ω *)
(#<●><●>)「もう!」
(#<●><●>)つ「だまってたら、わかんないだろ!」
つ⊂(*‘ω‘ ;*)「やだよ!」
(#<●><●>)つ⊂「はやくやって!」
(#<●><●>)つ⊂「探すんだろ!」
⊂(*ω ;*)),「やだってば!」
その子の手をつかんで、水に近づけてやった。
だってしょうがないじゃん。
手をひっこめようと、その子はがんばっていたけど、ついに、右の手の、ひとさしゆびの、ツメの先っちょが、水面にふれて──
( <○><○>)そ「わ!」
-
そこからつーっと、水が空に、まっすぐまっすぐのぼって──
(;<●><●>)「ねぇ!あれ!あれ!」
(* ω *)「……ほっとけよ」
──もっともっと──高く、高く──
(;<●><●>)「すごいぞ!ねぇ見なよ!」
(* ω *)「きょうみないし」
──そして────
( *<●><●>)「いいなー」
(*‘ω‘#*)「……」
────はじけた!ヒマワリみたいに、わーっとひらいて、そのしずくの1滴1滴が、白い夜空に色をしたたらせて、そして──そしたら───たちまち、消えちゃって……
(*‘ω‘#*)「よくない!ぜんぜんよくない!」
(*‘ω‘#*)「ぜんぶなくなっちゃえよ!」
とつぜん、あちこちでしぶきが登った。
にぎりこぶしみたいに、波の山がいくつももりあがって、乱ぼうに空をたたいている。
波はついでに、ぼくを持ち上げて、波底へ放りこんで……今にも、沈む!ってところで底から、別な波がとびだして、傘に体当たりしてきた。
(*‘ω‘#*)「やらなくていい!」
(;<●><●>)「はぁ?」
(*‘ω‘#*)「あんなの、無くていい!」
(;<●><●>)「なにかってな事いってんだよ、お前!」
うねりをきように走って、ぼくを追い抜いたのは、麦わらもようのスイカ達だ。
びっくりした海ヘビが、クリーム色のとぐろをほどいて、波の中へ逃げてく。
つられるように、波が立って、白く歯を見せて、ぼくにせまってくる!
-
(;<●><●>)「すごい楽しそうなのに!」
(*‘ω‘#*)「楽しそうじゃない!」
(#<●><●>)「そう!」
(*‘ω‘#*)「ない!」
(#<●><●>)「楽しみじゃん!」
(*‘ω‘#*)「楽しみじゃない!」
(;<●><●>)「だって、スターマインだよ?スターマインを見れるのに」
(*‘ω‘#*)「見たくない!」
(#<●><●>)「このーっ!」
カシャッ!カシャッ!と空がまたたく、涼しい風がほっぺをなでた。
はっと、耳をすます。
空から、セミの雨が降ってきた!
足も羽もまきちらして、ジワジワとせまってくる。
それは泣いても、わめいても止められない。
でもぼくにはとどかない。手を伸ばしてもとどかない。
ガラスのカモメが、チリチリと鳴いて、セミをうばいあっている。
(;<●><●>)「そうだ、ぼくは……見たいんだ!」
(*‘ω‘;*)「!」
(*‘ω‘;*)「いや……見たくない!」
( <●><●>)「ぼくは見たかったんだ」
(*‘ω‘#*)「見たくない!」
( <●><●>)「楽しみで……ずっと見たくて……」
(* ω #*)「でも、見れなかったんだ!」
( <●><●>)
(* ω‘#*)「……わからずや!」
なんだこいつ!
-
傘の上で、おたがいを閉じこめるようにぐるぐるまわって、ぼくはにらみあった。
このけんかは止まりそうにない!
(*‘ω‘#*)「ぼくはもう2度と、見れないんだ」
( <●><●>)「なんで?」
(*‘ω‘#*)「ばーか!」
(#<●><●>)「ばっ……!!」
(*‘ω‘#*)「……」
(#<●><●>)「……」
(;<―><―>)「……また、来年、行けばいいじゃん」
(*‘ω‘#*)「行けるわけないじゃん」
(#<●><●>)「だから、な・ん・で!」
(*‘ω‘ *)「この町はなくなるんだ」
( <●><●>)「なくならないよ!」
(*‘ω‘ *)「ワカッテマスも、いなくなる」
( <●><●>)「いなくならないよ」
(*‘ω‘ *)「ぽぽちゃんもいなくなる」
( <●><●>)「ならないって!」
(*‘ω‘ *)「今日はこなかったじゃん」
(;<●><●>)「それはぼくが悪いんだ、そうだ!あやまらないと……」
(*‘ω‘ *)「2人はあきらめたんだ、3週間会えなかっただけで」
(; )「その3週間は会えなかったんじゃない!無視したんだ!」
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(*‘ω‘ *)「来年になったら、そしたら、もっと、ずーっと会えないよ」
(;<●><●>)「決まったわけじゃないじゃん、もしかしたら!」
(*‘ω‘ *)「……」
(;<●><●>)「……」
(*‘ω‘ *)「もうやめなよ」
(;<―><―>)「……」
(*‘ω‘ *)「ほんとうは、いなくなるのは、ぼくらの方なんだ」
(;<―><―>)「……」
(*‘ω‘ *)「これからも、ずっと」
(; <―><―>)「……」
(; )「……」
(; )「……それでも」
(*‘ω‘ *)
(; )「……それでもぼくは、ふたりと、友だちでいたい……」
(* ω‘ *)「ぼく」
(*-ω- *)「サヨナラを言うのは、もうやだ」
( <―><―>)「……」
(*-ω- *)「……」
(;<ー><ー>)「……ようし、わかったぞ。じゃあこうしよう。ぼくは、きみと友だちになるぞ、それで、ずっといっしょだ」
( <●><●>)「そして、2人で2人に会いに行こう」
(*-ω- *)「……」
( <●><●>)「だめ?」
(*-ω- *)「……」
(*-ω- *)「やくそくだよ」
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ぼくたちがけんかをやめると、あたりはほんとうにほんとうに、しずかになった。
夕立は小雨になって、かなかな、かなかなと落ちていて、それだけだ。
どこまでも広がっていたはずの海は、薬品とシーツと、不けんこうなため息ガスにさえぎられ、何も見えない。
見上げれば白い白い空が、トンネルみたいに世界をおおっていた。
( <●><●>) ぱしゃぱしゃ
(*‘ω‘ *) じゃぶじゃぶ
( <●><●>)「怒ってるかな……」
(*‘ω‘ *)「怒ってなくても、あやまる」
( <●><●>)「許してくれるかな……」
(*‘ω‘ *)「あやまらないと、ぼくがゆるせない」
( <●><●>)「たしかに」
(*‘ω‘ *)「でしょ?」
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ *) じゃぶじゃぶ
( <●><●>) ぱしゃぱしゃ
(*‘ω‘ *) じゃぶじゃぶ
( <●><●>)「……」
( <●><●>)「どうやって、あやまろう……」
(*‘ω‘ *)「くれぐれも泣かないでね、うんざりする」
(; )「……」
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人生って、ほんとうにガッカリすることばかりだけど、今回のはその中で、いちばんざんねんな事件だった。
(*‘ω‘ *)「お母さんがOKしたのは、ラッキーと言えばラッキーだし、悲しいと言えば悲しいかもね」
あのさみしい毎日に、何を期待をしていたのかもわからないけど、もっとましなことをすれば良かった。
(*‘ω‘ *)「今年はとても月が暗かったんだ」
だってふたりの求めるものは、ぼくにはもうない。
(*‘ω‘ *)「でも来年は、きもちよく光ってるはず」
このチャンスがもう2度と、訪れないなんて。
(*‘ω‘#*)「ねぇ、聞いてる?」
(;<―><―>)「しらないよ……」
こうかいの真っ最中なんだぞ。
(*‘ω‘#*)「それはいいから」
その子は、傘の下を見ていた。
たしかに底で何か、しずんでいる。
思い出のように、ひらめいては消えるそこは……
(;<○><○>)「すげー……」
……星の海だ。傘の先にまんてんの、星の海だ。
おおぜいの星達が、ぼくらの足元の、何千、何万光年も下で、コロコロまわっている。
赤いランプをチカチカさせる火星、ヘッドライトで闇を裂く金星、3色に点めつする木星のえい星。
深いところでは、頭のわるいガス惑星と、おこりっぽいこう星が衝突して、銀のけむりをまきあげていた。
月がぼくらの後ろをついてくる。
かに、しし、おとめ、おおぐま、うみへび……
ぼくらは、みなみじゅうじ座をなぞって進んだ。
こと、てんびん、さそり、いて、へびつかい……
はくちょう座の、くちばしの先をかすめる。
おひつじ、やぎ、みずがめ、うお、そして……
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( <●><●>)「……ペルセウス座」
ペルセウス座は、北東の浅せに、打ちよせられている。
三きゃく伸しゅく止めねじを、しっかり固定して、ピントをしぼると、ぼくらはいよいよふたりを探しはじめ。
すぐ後ろで、天の川がちゃぷちゃぷしてる。
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ *)「……」
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ *)「……つれないね」
( <●><●>)「コツが、コツがあるんだよ、あのね──」
(*‘ω‘ ;*)「あ!針つけるの忘れてた!」
(;<●><●>)「えぇ……」
──
──
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ *)「……」
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ *)「……つれないね」
( <●><●>)「……エサを、変えてみたら?」
(*‘ω‘ *)「エサ?」
( <●><●>)「そう、エサ。それがね──」
Σ(*‘ω‘ ;*)「わ!」
(*‘ω‘ ;*)「か、かかった!」
(;<●><●>)「落ち着いて、ゆっく──」
(*‘ω‘ *)「切れちゃった」
( <●><●>)「……」
-
──
──
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ *)「……」
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ ;*)「……か、かかった!でっかいぞ!」
( <●><●>)「がんば」
(*>ω< ;*)「まずい、まずいよ!ウーッ!」
釣りざおをめいっぱい引くと、傘の下を、大きなかげがよこぎってった。
(*‘ω‘ ;*)「な……なにあれ?」
(;<●><●>)「わかんない……けどでっかかった」
かげは、うずを引いて泳ぎまわり、夜空をかきみだしている。
(*‘ω‘ ;*)「サメかな?」
(;<●><●>)「いや……」
いっしゅん、海面がふくらんだけど、たじろいで、引っ込んでった。
海中に戻ったそいつは長い尾で、アンドロメダ座をバーンとたたくと、いちげきで星くずに変えてしまった。
(*‘ω‘ ;*)「じゃあクジラだ!」
(;<●><●>)「あれは……」
海面が、またぐーっと盛り上がる……けど、まだ少しためらっているらしい。
ついでにはじかれたポラリスが、傘船のへりにぶつかって止まった。
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(;<●><●>)「モササウルスだ!」
釣りざおを引き上げる。
あたりだ!
おおきな恐竜は、三日月形の尾ひれをひるがえすと、流せん型の体を水面に叩きつけた。
ぼくらはしがみつくのがやっとだ。
ふり落とされないよう、ぎゅっと柄をにぎり直したけど、銀のつり針を飲んだのは、恐竜じゃなかったらしい。
エモノはとなりに落ちていた。
銀色のかみの毛に、銀のひとみ。星くずをしたたらせているのは……
(;><)「ありがと、たすかったよ」
(*‘ω‘ *)「ねぇ!なんで食べられてたの!?」
(;><)「友だちを探してたんだ……」
(*‘ω‘ *)「へぇ〜、ぼくといっしょだね」
( <●><●>)「……見つかった?」
( ____)「……」
星くずをしたたらせて、君はゆっくりと首を横にふった。
(*‘ω‘ *)「それも、ぼくといっしょだね」
( ><)「そうなんだ、さみしいね」
( <●><●>)「うん」
(*‘ω‘ *)「君は?」
( ____)「……」
-
(*‘ω‘ *)「じゃ、いっしょに探そうよ」
( )「……」
( ><)「よろしくおねがいします」
(*‘ω‘ *)「なんだそれ!」
深海から流れ星がわきでては、白い空に消えてく。
けど、誰も願いをかけたりしないみたいだ。
( ><)「君の友だちはどんな子?」
(*‘ω‘ *)「げんきで、明るくてすごい!いっぱい遊びにいって……」
( <●><●>)「れいせいで、しっかりもので、星が好きで……」
(*‘ω‘ *)「で、おみまいに色々もらった!」
( <●><●>)「お母さんにお願いして、望遠きょうも買ってもらったんだ」
(*‘ω‘ *)「ぜったい、お礼いわなきゃ!」
( <●><●>)「だからぼく、星見るの好きだなぁ」
( <●><●>)「君のは?」(*‘ω‘ *)
( ><)「う〜ん……」
-
( ><)「ひとみしりで、おっちょこちょいで……」
( <●><●>) (*‘ω‘ *)
( ><)「体弱いし、お母さん怖いし、ぜんぶうまくできないし」
( <●><●>) (*‘ω‘ *)
( ><)「いじけたり」
( ><)「しっとしたり……」
( ><)「それに、来年また──」
遠くで、モササウルスが月をまっぷたつにして跳ねた。
月は、ゆらゆらと波に合わせて、くっついたり、離れたりしてる。
それを見て君は、眠たそうに笑っていた。
( ><)「ボク、恐竜好きなんだ……」
( ><)「いん石とかさ、化石とかさ、君といろんな話をしたなぁ……」
( <●><●>)「また話せるよ」
( ><)
( ><)「ボクもいつか、そういう人になりたいや」
(*‘ω‘ *)「なれるよ」
( ><)
-
ボクはうとうとと、話し続けた。
( ___)「君たちと笑うことが楽しかったんだ」
( ___)「いつか君たちが来ない朝が来たら、悲しいなって」
( )「これで自分は一生幸せにはなれないなんて、そんな自分でいたいと思っていた気がする」
( ) ( )
( )「ぼくの、この町の残りが、君たちくらい気持ちの良い時間だといいな」
海の底が抜けて、ゆっくりと町の光が近づいてくる。
足元には、小さな君の部屋の明かり。
白い空のすきまから、太陽の弱々しいけはいを感じる。
-
きっと、雨の日だ。
はい色の、重い雨の日だ。
そんな朝が、たまらなく待ち遠しくなった。
【了】
-
>>417
( <●><●>)「乙です」
-
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 終わりー!終わり!終わり!次の方どうぞ!
ξ゚⊿゚)ξ 支援、乙ありがと!
ξ゚⊿゚)ξ 銀ちゃん!私正座して待ってるわ!
ξ゚⊿゚)ξ 寝るぅ!
-
('A`) 絵本みたいで雰囲気はいいけど全くわからん
('A`) しかし、私は時々思うのです
('A`) 歌が音楽の一部に過ぎないように
('A`) 意味などというものは物語の一部に過ぎないのだと
-
(´・ω・`) 乙!
(´・ω・`) う〜ん、幻想的な作品が二つ続きましたなあ
(´・ω・`) 投下予告はしておくけど、多分しないだろう…
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('A`) 俺も半月後くらいに投下するかも知れない
('A`) 勿論、嘘だが
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さーあキケイ君は来るかなっと
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('A`) 今回は2(+1)作ですか
('A`) そろそろ僕も真面目に書かないとまずいかも知れませんね
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川 ゚ -゚) 投下乙だ 宣言分の人の投下も楽しみにしている
-
廃れてきたな
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四月には絶対に投下しよう。
三月は無理そうだ。
有言実行を目指して──
-
口だけマン大杉て草
-
(´・ω・`) 口だけなのは認めるけど、名無しの君にはあまり言われたくないなあ
(´・ω・`) まあそれはともかくとして、第11回(4月)には文戟をやってみようと思うんだ
(´・ω・`) ハイン君、デミタス君、ミセリ君、兄者君、アサピー君。
(´・ω・`) 君たちがまだスレに残っているなら、文戟を受けて欲しいな。早い者勝ちで
(´ -ω・`) 時間はたっぷりあるんだ、じっくりと考えて欲しい
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('A`) おい待てよ、名無しに絡むのは俺のキャラだろ?
('A`) 口先だけなのも俺の…
('A`) ……
('A`) これはアイデンティティーの危機なのでは?
-
(´・ω・`) アイデンティティが作品以外になっていいのかいドクオ君?
(´・ω・`) 自らを「口先だけ」と言っておいて何だけど、今回の僕はガチの投下宣言も文戟もやってないし
(´・ω・`) それより、銀ちゃんとスニフィ君はまだなのかしら
(´・ω・`) 正座のまま寝ているツン君が可哀想だ
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('A`) 正直待つ必要があるかは疑問です
('A`) 最終日が忙しいなら事前に投下するべきなのです
('A`) 書き上がって無いなら諦めるべきなのです
('A`) 投下宣言とは
('A`) 書き上がってしかも今投下できるけど
('A`) 誰かが投下しててスレが使えないから後で投下するという意味なのです
-
('A`) 完成してないようなやつをどうして待つ必要があるのか理解に苦しむ
('A`) まあ、狐娘は完成してるぽいので
('A`) 21日中は待つけどそれ以上待つ気は無いでござるよ
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(´・ω・`) 君より優しいからだと思うよ、待っていられるのは
(´・ω・`) それに今回は作品数も少ないし
(´・ω・`) 僕は自信満々にツイッターに「今回は文戟が三組あるよ〜」なんて書いちゃったから祈るような気持ちで投下を待っているんだけど…
(´・ω・`) 消すか
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(・∀ ・)「ショボン、かわいそうに……」
(・∀ ・)「まあいろいろといそがしーじきだからなー」
(・∀ ・)「しんせーかつのじゅんびとかでいそがしいんじゃね?」
(・∀ ・)「100せんにむけてかこのはなしよんでるヤツもいそう」
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('A`) ツイッター云々は知らんよ
('A`) だいたい優しさどうこうとか関係あるかって話
('A`) ルールってのは参加の合意であって
('A`) 容易く曲げられるものであってはならないわけ
-
イ从;゚ ー゚ノi、 たっだいま!!
イ从゚ ー゚ノi、 セーフ?セーフだよね!?
イ从゚ ー゚ノi、 タイトルは『SARADA』で!!
-
――――――人生は所詮、夢なのです。
いつの間にか始まり、いつの間にか終わる。
時間という大きな川の流れの中
できた泡が集まって形を成し、それらが出会い。
そして、弾けて消えていく。
あなたは、自分がそこにいると証明できますか?
あなたは自分が"泡沫の夢"ではないと、証明できますか?
少々、意地悪だったかもしれませんね。
でも、どうか許していただきたいのです。
私は時々、あなた達“泡”が羨ましくなることがあるのです。
永劫を持て余した私とは違い、終わりがある泡達。
孤独と夢幻にその身を捻じ曲げられて、色や形を持てない。
そんな私にとって、水面で陽の光を浴びてきらめくあなた達が、狂おしいほどに羨ましいのです。
゚ ゚
あなたは、私のそばに来てくれますか?
それとも終わりをくれますか?
-
キーン コーン カーン コーン
キーンコーンカーンコーン
ヽ( 'A`)> ノビー
( 'A`) 「ぐぅぅぅ……」
( 'A`) 「ああー…よく寝た」
( ^ω^) 「お。ようやく起きたかお」
( 'A`) 「ん?ああ、おはよう」
( ^ω^) 「おっおっお。それを言うなら『おそよう』だおw」
('A`) 「やっぱブーンみたいに、狙って明晰夢は見れ……」
('A`)そ 「!?」
僕の言葉を聞いて、一気に目が覚めたのだろう。ドクオは慌てて時計に目をやる。
先程までは14時だったはずなのにと狼狽える彼を見て、つい笑ってしまった。
-
('A`) 「終わった……」
( ^ω^) 「おっおっおっww」
( ^ω^) 「どんまいだお」
時は、今からだいたい『言の葉の庭』を見終わって一息つくくらい前に遡る。
五時間目の授業は日本史。非情に厳しい事で有名な、荒巻先生が担当している。
彼はずっと机に突っ伏して動かないドクオを見て、寝ているのではないかと疑いの目を向けた。
僕は思わず、反応できないほどお腹が痛いらしいと言ってフォローを入れた。
それが運の尽きってやつだった。
/ ,' 3 「ほう。ならば仕方ない」
/ ,' 3ニッコリ 「では、代わりにお前に答えてもらうとしよう」
結果として、その後の質問は全て僕が答える羽目になった。
今日は席順や日付などから考えて、当たるはずがない。
そう考えて、予習をサボっていた僕が、地獄を見ることになったのは言うまでもなかった。
-
/ ,' 3 「えーというわけであるからして……」
/ ,' 3 「さて…と、ここで問題」
/ ,' 3 「大塩平八郎の乱の平定を指揮した、古賀藩の家老は?」
/ ,' 3 「内藤。答えてみろ」
( ; ゚ω゚) 「え?あ?」
( ; ゚ω゚) (何ページ?何ページなんだお?!)
( ; ω )そ (……載って…ない……だと?)
/ ,' 3ニッコリ 「どうした?内藤?」
( ; ゚ω゚)(まずい)
まずい。本当にまずい。ここで僕が答えられなければ、荒巻先生は間違いなくドクオを指名する。
そこでドクオが起きていなければ、僕が嘘を吐いたのがばれてしまう。
そうなれば、職員室に呼び出され、大般若経のように長い先生の説教を喰らうことになる。
最悪、これまで頑張って来た僕の成績にも傷がつきかねない。
友達のためとは言え、そんなのはまっぴらごめんだ。
-
( ^ω^)/
/ ,' 3 「どうした?」
/ ,' 3 「まさか、トイレなどとは言うまいな?」
( ^ω^) 「先生。これ、まだ習ってないですおね?」
/ ,' 3 (……ほぅ。)
/ ,' 3 「だが、しっかり勉強しているならば、答えられるはずだ」
( ^ω^) 「…ヒントを」
( ^ω^) 「ヒントをお願いしますお」
/ ,' 3 (そうきたか)
/ ,' 3 (日本史にまるで興味のないこの学級において、こいつだけは真面目に授業を受けとるからなあ)
/ ,' 3 (おれも学生時代は、隣の席の杉浦によく助けられていたな)
/ ,' 3 (まったく……毒島め)
/ ,' 3 (…いい友達を持ったなあ)
きらりと光沢を放つメガネの奥で、荒巻先生が遠くを見るような、何かを懐かしむような目をした気がした。
やけに静かな教室。どうやら、全員がこのやりとりを固唾を飲んで見守っているらしい。
代わりにと、さらに難しい問題が来るのか、それとも他の生徒に振られるのか。
荒巻先生なら、どちらもあり得る。僕が見守る側でも、自分が当てられるのではと気が気でないだろう。
右斜め前の席の渡辺さんが、日付が自分の出席番号になるかどうか、指で計算しているのが見えた。
-
支援
-
/ ,' 3 「よし」
渡辺さんの肩がびくりと跳ねる。
大丈夫だ渡辺さん。あんまり自信は無いけど。
職人が厳選された素材で丁寧に拵えた…そんな泥船に乗った気分でいてくれ。
(;^ω^)ゴクリ
/ ,' 3 「ヒントか……そうだなあ」
/ ,' 3 「三河国田原藩の藩士でもあった画家『渡辺崋山』が描いた人物の一人だな」
( ^ω^) (………誰だ?)
/ ,' 3 「どうだ?」
( ^ω^) 「えーと…」
( ^ω^) (渡辺崋山……父ちゃんが前に絵を自慢してたような)
( ^ω^) (思い出せ……手書きの解説の中に、大塩平八郎がいたはず)
/ ,' 3 「あとは……名前に鷹がつくな」
( ; ゚ω゚)そ
( ; ゚ω゚) (あれだ!!)
( ^ω^) 「……鷹見泉石ですかお?」
-
/ ,' 3 「ほう」
荒巻先生が小さく目を見開く。あの表情は、どちらなのだろう。
よくぞ答えたの方なのか?
それとも的外れ過ぎて驚いたのか?
/ ,' 3 「正解だ」
( ^ω^)グッ
( ^ω^) (…よっしゃ!!)
/ ,' 3 「よく当てられたな」
/ ,' 3 「それでは続きといこう」
この後もこんなやりとりが続いた。
あまりの重圧感とタメの長さに、荒巻先生がみの〇んたに見えたくらいだ。
そんなことがあったことなど露知らずに、ドクオは慌てふためいている。
変に恩着せがましい感じになっても嫌だし、さっきのことは内緒にしておこう。
-
('A`) 「終わったのは今に始まったことじゃないし…呼び出されてないし」
('A`) 「いっか。セーフだよなセーフ」
('A`) 「あ、そういや…ブーン」
('A`) 「今日もゲーセン行くか?」
( ^ω^) 「あー…」
こう見えて、いや見た目通りか。ドクオはかなりゲームが強い。
こないだなんて、対戦相手の大人が顔を真っ赤にして文句を言いに来たくらいだ。
全く手も足も出せずに、見えない壁と地面の間でバウンドさせ続けられる敵キャラは、ちょっとかわいそうに思えた。
せっかく百円払ったのにあれでは、たしかに文句の一つも言いたくなるのかもしれない。
( ^ω^) 「ごめん。今日はちょっと用事があるんだお」
('A`) 「あー、マジか」
('A`) 「一人で行っても仕方ねえしな〜」
( ^ω^) 「ごめんお。また今度一緒に行こうお」
('A`) 「んじゃあ、また今度にすっか」
('A`) 「にしても、お前が用事だなんて珍しいな」
('A`)そ
(*'A`) 「まさか…彼女か!?」
(;^ω^) 「その短絡的な思考回路、父ちゃんと一緒だお」
('A`) 「なんだ。違うのか」
( ^ω^) 「家の手伝いみたいなもんだお」
('A`) 「なら仕方ねえな」
-
('A`) 「うし、帰るか〜」
( ^ω^) 「そうするかお」
教科書やら何やらたらふく食べて、ずっしりと重たくなったカバンを背負う。
今時、置き勉禁止だなんて、どうかしてるんじゃないだろうか。
校長の双肩にかかる重圧と僕らが背負ってる学生カバンの重さがトントンとは言わないけども。
もうちょっとその辺、配慮してくれてもいいんじゃないだろうか。
('A`) 「なあブーン」
( ^ω^) 「なんだお?」
('A`) 「あの噂知ってるか?」
( ^ω^) 「噂?」
('A`) 「ほら、VIP神社のどこかにある月の扉の中に入ると、中にノートがあるってやつ」
( ^ω^) 「ああ!あれかお」
('A`) 「おお、知ってるのか」
( ^ω^) 「モチのロンだお」
( ^ω^) 「ノートになんか書くとそれが本当になるってやつだおね」
('A`) 「そうそう」
( ^ω^) 「リスクもなしに願いが叶うとか、小学生が考えた噂でもあるまいしwww」
('A`) 「設定甘すぎww乙wwwwって感じだよな」
( ^ω^) 「ほんとだおwwww」
-
噂の存在はもちろん知っている。
僕は今日まさに、その噂を試しに行くつもりだったのだから。
家の手伝いなんて嘘っぱちなんだ。ごめんドクオ。
( ^ω^) 「でも、あれって書けた人がいないんだお?」
('A`) 「まあな」
('A`) 「なんでも、神様に選ばれた奴しか中に入れないんだろ?」
(*'A`) 「でも、だからこそ夢が膨らむよな!」
('A`) 「ブーンなら何を書くんだ?」
( ^ω^) 「うーん」
( ^ω^) 「ドクオなら、何を書くんだお?」
('A`) 「おれなら……やっぱ可愛いお姉ちゃんが欲しいかなあ」
(;'A`) 「いや、やっぱり妹…?」
(;'A`) 「隣のお姉さんも捨てがたい」
('A`) 「待てよ?ここは幼馴染でもいいのでは?」
('A`) 「だがしかしbutけどけれどyet……」
(;'A`)そ 「アニメのキャラを現実に存在させるってのもありなのでは!!?」
(;>'A`)> 「ダメだぁ!!!!おれには選べねえ!!!!」
( ^ω^) 「とりあえず、周りの視線が痛いから静かにしようね?」
(;>'A`)> 「ルカ子、マライヒ、クジャ、窈、什造、ジャイボに雷蔵!!」
(;>'A`)> 「ダメだぁ!!なぜか男の娘しか出てこねえ!!!!」
(;^ω^) 「ねえ、ねえってば?」
('A`) 「……おれは、どうしたら」
-
( ^ω^) 「ドクオ、ドクオ?」
( ^ω^) 「ねえ、周りを見てくれお」
('A`) 「あ……」
(*'A`)>テヘ 「なんかすみませんでした」
( ^ω^) 「勝手に自分の世界に迷い込むの…本当にやめてくれお」
(;'A`) 「なんかごめんな」
( ^ω^) 「もうなんか…うん」
( ^ω^) 「ドクオの発狂が日常の一部になってきて、あんまり動揺しなくなった自分がいるお」
(;'A`) 「ごめんて」
あまり動揺しなくなったとはいえ、ちょっとばかし恥ずかしい思いをしたのは事実だ。
仕返しをしても罰は当たらないだろう。そう思って、僕は足早に歩き始める。
('A`)そ
(;'A`)ノ 「ちょ!?ちょっ…待てよ!!」
-
すっかり暗くなって青味が出てきた空と、太陽に照らされ赤味が強くなった空。
風に流されて歪んだ飛行機雲の白がその真ん中を切り裂いた。
( ^ω^) (……ペプシのロゴみたいだお)
('A`) 「なんか、アクアフレッシュみたいだな」
( ^ω^) 「ああ、それもありだおね」
('A`) 「ブーンは何だと思ったんだ?」
( ^ω^) 「ペプシのロゴだお」
('A`) 「あー…」
夕日に照らされながら、二人で歩く。なんだか青春らしい構図だ。
僕がおじさんになった頃、ふとした瞬間に意外とこんな光景を思い出すのかもしれない。
('A`) 「ペプシといやあ」
('A`) 「……よくペプシマンの真似してたあの子、元気かな」
ドクオが何気なく放ったその一言に、僕はどきりとした。
極めて平静を装いながら、昔を懐かしむような顔をして答える。
( ^ω^) 「懐かしいおね」
( ^ω^) 「よく、お母さんの銀色のタイツを被って、走り回ってたおね」
('A`) 「ブーンでも逃げ切れないくらい脚早かったよな」
( ^ω^) 「銀色のタイツを被った子が、爆発的な加速で追っかけて来るのクッソ怖かったお」
('A`) 「だろうなwww」
-
('A`) 「…あれから連絡もないのか?」
( ^ω^) 「……うん、なんにも」
('A`) 「そっか」
('A`)そ 「あ、もうこんなとこか」
('A`)ノシ 「…」
( ^ω^)ノシ 「…」
「「バイぜ」」
いつもであればもう一つ前の路地で分かれるのだが、話しに夢中で気づかなかったらしい。
すっかり閑古鳥が鳴いている駄菓子屋の前で、ドクオと別れた。
( ^ω^) 「……さて」
「行くかお」
-
制服の中に着たパーカーのフードを深めに被る。
ここからVIP神社に行くには、商店街に出る必要がある。
道通りに行くと非常に遠回りすることになるので、僕は近道をすることにした。
閑静な住宅街を横切って、細くて入り組んだ獣道ならぬ猫道を歩く。
気配を殺しながら、狭い道を抜け、ブロック塀の上を行く様は、さながら忍者だ。
駐輪場屋根の上から飛び降りて、なんちゃって五接地転回法。
着地に失敗して、踝の辺りをちょっと擦り剥いた。
左足を引き摺りながら、大きなマンションの下の駐車場を通り抜け、商店街にたどり着いた。
( ^ω^) (……さて、ここからはもっと目立たないようにいかんとね)
夕暮れ時のVIP町商店街は、やや活気がある。
まばらな人ごみに紛れながら歩いている僕に、誰も気が付くことは無い。
あの日の家出の時とは違う、孤独が押し寄せる。
なんだかPVに出てくる人のような気分で歩いていると、家電屋の前の大型テレビからニュースが聞こえてきた。
<本日のニュースです………新たな犠牲者が出ています。
<昔話の眠り姫の様に、決して目覚めずに眠り続ける“眠り姫症候群”………。
( ^ω^) (………)
<今のところ死者は出ていません。
( ^ω^)ホッ
今のところ死者は出ていないという言葉に、ほっと胸をなでおろす。
けれど、急がなくてはそろそろ患者の体力などを考えると、限界が近いのは僕でもわかる。
-
ツンが眠り姫症候群になってから、今日でもう一ヵ月になる。
眠りが覚めた後のことを考えたら、すぐにでも行動を起こさなければならない状況だ。
( ^ω^) (……今日こそは)
ツンを助ける。
神社に着くころには、すっかり暗くなっていた。
地平線からほんの僅かに、太陽が見える。
親友を待つセリヌンティウスが、処刑台の上から見た光景もこんな感じだったのだろうか。
幸い今日は両親が出張で帰らない。
だから僕も自由に動き回ることができるって訳だ。
( ^ω^) (ここでいいかお)
本堂裏の死角で、予め用意していた私服に着替える。
学生カバンと制服は、持ってきていたリュックサックに突っ込んだ。
ちょっと服に着られている感は否めないが、これで成人してる感じは出るはずだ。
職質されることもない…んじゃないかな。
( ^ω^) 「さて……と」
-
(´・ω・`) 支援
-
皆は、こんな言葉を知っているだろうか?
( ^ω^) (……果報は寝て待てってね!)
リュックサックから出しておいた寝袋に包まる。
神社の本堂の裏、縁の下で眠るのなんて、世捨て人か蟻地獄くらいである。
どちらも神様の神聖なイメージから、かけ離れている感じがしてなんだか面白い。
そんなことを考えながら、スマホのアラームをセットした。
さて、話しは変わるが僕がここで眠ることにしたのには、当然、理由がある。
VIP神社にあるという月の扉が出現するのを待つためだ。
そして、ツンを。津島蓮を助けるためだ。
僕は一度、この月の扉の中に入ったことがある。
-
幼い頃、今思えばくだらない理由で、両親と喧嘩した僕は家出をした。
車はおろか自転車すら持たない幼児の移動範囲なんて限られている。
ちっぽけな矜持と無謀さから始まった闘いは、開始二時間であっけなく幕を閉じた。
どこに行っても家族の知り合いがいるのだ。逃げ切ることなど不可能だった。
どこにも行く当てがなく、途方に暮れた僕はこの神社に来た。
いつもは怖かった神社の本堂が、一人ぼっちの僕に寄り添ってくれているようで、やけに心強かったのを今も覚えている。
蟻地獄の巣に指を突っ込んだりしながら、風が暗闇に溶けていく音を聞いている内に、いつの間にか眠っていた。
不意に目を覚ますと視界を埋め尽くしたのは、黒、黒、黒。
極めて純度の高い、この世の色、音、香、全てをごちゃ混ぜにしたら産まれるような色。
静かで何にもない闇の前に、幼い勇気など何の意味もなさなかった。
ただ、この場から逃げ出したいとそう思った。
暖かい布団に包まって、心配して損したと笑う両親に囲まれて……。
そんな自身が捨てようとした空間に戻りたくなった。
戻れ戻れと思いながら、震えていた。
いつもはお祈りなんてしないのに、組んだ指が白くなるくらい力を込めて祈った。
-
しばらく祈ってから目を開けると周囲が少し明るくなっていた。
こんな時だけ、都合よく祈ったにもかかわらず、力を貸してくれるんだから、神様ってのはすごい。
僕ならムカついて、呪いの一つもくれてやりそうなもんだ。
厚い雲の切れ間から顔を出した月が、辺りを照らし出した。
少し明るくなった周囲の様子を見るために、縁の下から顔を出す。
僕や父ちゃんが両手を広げても足りないくらいの太さの御神木。
その根本にある洞の中で、何かが光っていた。
( ^ω^) (…なんだお?これ?)
恐る恐る近づいてみると、そこには光り輝く扉があった。
( ^ω^) (これで帰れる!)
そう思った。確信にも似た何かがあった。
どうしてかわからないが、足がふらふらと扉の方に向かっていく。
気が付けば僕は、ほとんど無意識の内にその扉を開けていた。
-
そこは無限に白が広がる不思議な世界だった。
( ^ω^) 「ここは…?」
白の中に入ると、背後で扉が閉まる音がした。
Σ(^ω^;)
慌てて扉があった方を振り返る。
そこにはただ白が広がっていた。
騙されたのだと思った。
これは神様の振りをした何かの罠で、僕はもうここから帰れないのだと絶望した。
いつだか借りた本を読んだ時に出てきたあのひよこは、きっと今の僕と同じ目をしている。
足から力が抜けて、その場にへたりこんだ。
( ;ω;)
-
諦観とはこのことを言うのだろう。
静かに、そしてとめどなく涙が流れた。
そうして、しばらく動けずにいると背後でパラパラと紙がめくれるような音がした。
先程までは、ただ白だけがあった空間に、木でできた机と青い表紙に三日月が描かれた分厚い本があった。
そっとページをめくってみる。
表紙を開いたところに、簡単な使い方が書かれているだけで、あとは空白のページが続いていた。
どうやら分厚くて丁寧な装丁のされたノートのようだ。
( ⊃ω;)
本物かどうかも怪しいノートという、細く頼りない蜘蛛の糸が目の前に垂らされている。
僕は覚悟を決めることにした。
どうせこの空間から抜け出せないのなら、このノートをフル活用してやろうと思った。
作文なんて大の苦手で、読書感想文に至っては目も当てられない。
そんな僕が、これまで生きてきた中で一番真剣に、ペンを武器に紙の空白と戦った。
-
話しの中身は、詳しく覚えていないが、自分がここから脱出した後の人生をひたすらに書き殴った。
擦れたインクで右手が真っ黒になった頃、話しを書き終えた僕は、疲れからかそのまま眠ってしまった。
( -ω-)zzZZZ
気が付くと、僕はいつもの見慣れた天井を見上げていた。
母ちゃんが、フライパンを鬼のように叩きながら、僕を起こしに来た時には、思わず感涙を流した。
( ;ω;) 「おおおおおお!!!!」
そんな僕を見て、母ちゃんはいつまで寝ぼけてんだいなんて、呆れていた。
怒られているのに、安堵の涙を流す息子を病院に連れて行くかどうか、当時の母は真剣に悩んだらしい。
その後、しばらくして僕は、この家出のことなんてすっかり忘れていた。
それが今回の問題に繋がった。
あの時僕が書いた物語が、現実の世界に影響を及ぼし始めたのだ。
眠り姫症候群の名前をニュースで聞いた時、僕は初めてそのことに気が付いた。
自分の人生に対する既視感への答えが出たのだ。
アレは全て、僕がノートに書いた内容が基になっている。
-
眠り姫症候群に罹った者は、決して目を覚まさない。
魂が夢に引っ張られてしまい、その体を抜け出してしまうからだ。
夢の中では、誰もが自由、そして誰もが理想の自分でいられる。
生半可な抵抗をすれば、夢はその姿を恐ろしい物へと変じ、一気に牙を剥く。
そうして精神を壊されるよりは、理想を夢想し、想像の世界で生きる方が楽なのだ。
自らこの狂った幸せから、抜け出すのは至難の業だ。
だから
今日こそ
.
-
目を覚ますと辺りは完全に、黒に染まっていた。
縁の下から顔を出して、じっと御神木の洞を見つめる。
( ^ω^) (…まだ来ない?)
だが、御神木には何の変化もない。
( ^ω^) 「なにか…会ったのかお?」
そう呟き、御神木に近づき洞の中を見る。
以前あったはずの扉に大きな亀裂が入っていた。
扉の光は非常に弱しく、今にも消えてしまいそうなほどだ。
(;;゚ω゚) 「な、なんで……!?」
思わず扉に縋り付く。
僕が触れた場所から、更に亀裂が広がっていく。
(;;゚ω゚) 「そ、そんな!?」
-
「バカ!!さっさと手を放しなさいよ!!!!」
背後から聞こえた声、咄嗟に手が止まる。
この少し鼻にかかるような声は……。
そんなはずがない。そんなはずがないんだ。
彼女は今、病室で眠り続けているはずなんだから。
「いつまでボーっとしてんのよ」
「…それとも、あたしの声も思い出せないって訳?」
(゚ω゚;;) 「ツンなのかお!!?」
思わず振り返った。
涙が出そうになって、グッと歯を食い縛る。
それでもこらえきれずに、涙で歪む視界を袖で拭う。
-
そこにいたのは
ξ ⊿ )ξ
銀色のタイツを被りし、少女。
( ^ω^)
(;;゚ω゚)そ 「え!?」
ξ ⊿ )ξ 「さあ、行くわよ!!」
( ^ω^) 「…え、ごめん。色々と待って」
ξ ⊿ )ξ+キラーン
( ⊃ω⊂) 「……マジかよ」
昔からそうだったが、この子はやけに変なタイミングでおちゃらけだす。
所謂シリアスキラーだということを完全に忘れていた。
-
ξ゚⊿゚)ξ 「マジのマジよ!」
( ^ω^) 「でも、どうしてここにいるんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ 「……その言葉を待ってたわ!!」
そう言ってツンが、なんかかっこいいポーズをとり始める。
やけに力強く、キレのあるあの動き……。
(;^ω^) (…まさか!?BLACK・RX!?)
ξ#゚⊿゚)ξ 「キャストオフ!!」
ξ#゚⊿゚)ξキャストオフ!!
物凄い勢いで、脱ぎ捨てたTシャツを投げつけられた。
視界が真っ白で、埋め尽くされる。
-
(;^ω^)ジタバタ (ああっ、くそっ!なんか甘い匂いがする)
( ゚ω゚ ) 「取れねー!!?」
パチーーーーン
(;^ω^) 「あっ!取れた」
( ^ω^) (なんかちょっと取れないで欲しかったと思ってる自分が嫌だお)
ちょっとしょんぼりしながら、ツンの方を見る。
そこには、銀色のタイツを被った最強のピン芸人がいた。
ξ# ⊿ )ξ 「空ッッッッッ前!!絶後のぉぉぉぉおおおお!!!!」
ξ# ⊿ )ξ 「超絶!!怒涛の女子高生ぃぃいいい!!!!!」
ξ# ⊿ )ξ 「VIP町を愛しいいいいい!!!!」
ξ# ⊿ )ξ 「VIP町の神に!!!!」ああああぁぁぁぁぁいされた女ああああ!!!!
( ^ω^) 「」
-
ξ# ⊿ )ξ 「……そう!!わぁぁああれこそはああああ!!!!」
ξ ⊿ )ξ 「サン!!!!シャイン!!!!」
ξ# ⊿ )ξググッ
ξ゚⊿゚)ξスポーン 「……津島!!!!」
( ^ω^)ブフゥ (なんでタイツとったんだお!?wwww)
ξ゚⊿゚)ξスゥ
ξ#゚⊿゚)ξ 「れええええええええええええん!!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「ジャースティ―ス!!!!!!!!」
ξ )ξクルリ 「ちなみに本体は今!!VIP病院で寝てます!!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「そこの貴方!!ファーストキスを奪うなら!!今がチャンスです!!!!」
ξ゚⊿゚)ξ 「部屋の番号は312、312号室です!!!!」
ξ゚⊿゚)ξ 「“さいふ”って覚えて下さああああい!!!!」
-
( ^ω^) 「タイム」
ξ゚⊿゚)ξ 「はい」
( ^ω^) 「てことは、君は夢の中のツンなのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ 「そうだお」
( ^ω^) 「え?君がいるってことは、ここは夢の中なのかお」
ξ゚⊿゚)ξ 「あの扉が近いから、かな?」
( ^ω^) 「なる」
ξ゚⊿゚)ξ 「ブーンにはその扉が壊れて見えるんでしょ?」
( ^ω^)コクリ
ξ゚⊿゚)ξ 「それは一度、自分の意思でこの扉に入ったからよ」
( ^ω^) 「一回しか入れないのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ 「そう。だけどあたしが開ければ、一緒に入れるわ」
( ^ω^) 「でも、危険だお?」
ドアノブだって壊れかけている。
触れたら最後、もう戻れなくなってしまいそうだ。
-
ξ゚⊿゚)ξ 「どうする?」
( ^ω^) 「行くお」
( ^ω^) 「これ以上は、待たせられない」
( ^ω^) 「眠り姫症候群の患者の夢がごっちゃになってきてるんだお」
( ^ω^) 「毎晩、僕の夢に出て来るパレードの規模が大きくなっているんだお」
ξ゚⊿゚)ξ 「もう、そこまできていたのね」
( ^ω^) 「これ以上大きくなったら僕には止められない」
( ^ω^) 「だから今行くお」
ξ゚⊿゚)ξ 「わかったわ」
ξ-⊿-)ξ 「集いし願いが、新たに輝く星となる」
ξ-⊿-)ξ 「光さす道となれ」
扉の亀裂が、みるみる内に消えていく。
-
( ^ω^) 「てか、なんでその口上知ってるんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ 「眠っている時に聞いたものは、全部覚えているのよ」
( ^ω^) 「睡眠学習ってことかお」
ξ゚⊿゚)ξ 「たぶんねメイビー」
( ^ω^)
( ^ω^) 「ってことは、お見舞いに言った時に、僕が言ったことも覚えてるのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ//⊿/)ξaイジイジ
ξ゚⊿゚)ξ 「さあ!行くわよ!!」
(;^ω^) 「え?ねえ今の何!?聞こえてたのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ 「ここから先は、数多の夢が渦をなす大魔境よ」
ξ゚⊿゚)ξ 「覚悟はいいかしら?」
( ^ω^) 「お!!」
ツンが扉を開けた途端、当たり一面に光が溢れ出した。
ξ゚⊿゚)ξ^ω^)
え?ちょ?…眩し過ぎひん?
.
-
僕は草原に寝転がっていた。
慌てて飛び起きて、辺りを見回す。
( ^ω^) 「ここが、夢の世界?」
ツンが隣にいた。
その横顔を眺めていると、真っ白な何かが飛び出した。
( ^ω^)そ
( ^ω^) 「クジラ雲!クジラ雲じゃないかお!!?」
ツンの目頭から飛び出したクジラ雲は、腹から生えた羚羊のような足をぴしゃりと叩いた。
ポンポンと跳ねた後、通常のクラウチングスタートよりも身体を深く沈める。
( ^ω^)ゾワ
早い。奴は恐らく飛んでもなく早い。そんな確信。
クジラ雲は号砲が鳴る少し前に、スタブロを蹴った。
ξ゚⊿゚)ξ 「あっ、フライング」
( ^ω^) 「雲だけに?」
ξ゚⊿゚)ξ 「ええ」
-
これでクジラ雲は、二回目のスタートで慎重になる。
二回目のフライングは、失格になってしまうからだ。
頑張れ。頑張れクジラ雲。
号砲が鳴った。先程のフライングの影響を微塵も感じさせない鋭いスタート。
クジラ雲は虹の橋を走り抜けると飛び上がって、ジャングルジムのタンジェントを喰い千切った。
ξ゚⊿゚)ξ 「…きれい」
彼はそのまま、力任せにドルフィンターンを決めると、親指を立てて瞬く間に消えていった。
……クジラなのに。
( ゚д゚ )b 「あいるびーばっく」
親指の先は潰れていて、鼻くそを丸めたような物がこびりついていた。
( ^ω^) 「なんか…どっかで見たことあるお?」
ξ゚⊿゚)ξ 「何だったかしらね」
考えている間に、時間は刻一刻、刻一刻と過ぎていく。
それはさておき、刻一刻って繰り返して使うと語感がどんぶらこに似てる。
あと麻雀感が凄い。あっ、三暗刻できてる。すごい。
-
( ^ω^)そ 「あ、あそこ!」
ξ゚⊿゚)ξ 「三角木馬に跨ったユニコーンが、冷蔵庫にバタンバタンされてるわ」
( ^ω^) 「あっちにいるのは!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「心くんね。大リーグボール養成ギブスでバッキバキに仕上がってるわ」
ξ゚⊿゚)ξ 「初めてまともに他人の夢を見たけど、なんかすごいわね」
(;^ω^) 「ここまでカオスなのは初めて見たお」
ξ゚⊿゚)ξ 「とりま、あのおっきい城に行ってみましょう」
( ^ω^) 「あっ、待つお!」
ととんと跳ねるようにして歩くツン。
その足元からハシビロコウが顔を出した。
ギョエエエと一鳴きしたかと思うとその姿が歪んで、中から色鮮やかな折り鶴が飛び出す。
( ^ω^) 「危ないから、勝手に行っちゃだめだお」
ξ;゚⊿゚)ξ 「今の危なかったのね」
( ^ω^) 「夢の中って、基本自由だから、何が起こるかわからないんだお」
ξ゚⊿゚)ξ 「お互い注意しながら行きましょ」
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遠くから、何か音楽が聞こえてきた。
アアァァァァアアイ アアァァァァイ オオォォゥゥウウイィィィ
ξ゚⊿゚)ξ 「……何、あれ」
( ^ω^) 「やっけに色鮮やかだお?」
アアァァァァアアイ アアァァァァイ オオォォゥゥウウイィィィ
スマホで撮影して画面を拡大する。
(;^ω^) 「こ、これは!!?」
(;^ω^) 「僕の夢によく出てくるパレードだお!!」
ξ゚⊿゚)ξそ 「ブーン!見て!?」
( ^ω^) 「なんだお!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「この口の動き」
( ^ω^)ジー
ξ゚⊿゚)ξ 「だーごない?だーごないだーごない こーよい」
(;^ω^) 「なんでDragon Nightなんだお!?」
( ^ω^) 「もっとスターライトパレードとか炎と森のカーニバルとか……!!」
(;^ω^) 「パレード感がある曲一杯あるお!!!?」
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ξ゚⊿゚)ξ 「あいつら、あのでっかい城に向かってるみたいね」
( ^ω^) 「あいつら、眠り姫症候群の患者たちだお」
( ^ω^) 「君の本体が、パレードの真ん中にいた」
ξ゚⊿゚)ξ 「アレが先に城に着いたらまずいんじゃない?」
( ^ω^) 「…そうだなあ」
( ^ω^) 「ちょっと近道するお」
言うが早いか、ブーンはコンパスを広げて、地面にめり込む。
目の前をスワイプした。肋骨から俄かにチタンの香り。
たんたんとたんたんたんとたん。
目の前に広がるは、大きなお猪口。あれって何口径あるんだろう。
鬼瓦の視線が誘う眠りの果ては、友情の焼け残り。
まるで石油タンカーとキツツキなんだ。
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見て。あれなるは紋白蝶の羽ばたきによって生まれた未亡人。
落下傘に縋り付く、うどん粉の哀れなことよ。
水底に沈んだ水黽は、砂糖菓子にも似た占いの結果にポストモダニズムを感じる。
あたかも新幹線のエウロパに含まれたラジウムの一大革命。
ラヴィオリと位階の狭間で揺蕩う清涼感溢れる人工弁だ。
てやんでいてやんでい匂いも汚れもこれ一本トイレマジックリンスプレー!!!!
( ^ω^)ハッ!?
( ^ω^) 「呑まれるところだったお」
ξ゚⊿゚)ξ 「危なかったわね」
( ^ω^) 「段々、白に近づくにつれて、夢の浸食が強くなってきたお」
ξ゚⊿゚)ξ 「傷をなめ合ってバタフライしましょうね」
( ^ω^) 「ツン?」
ξ゚⊿゚)ξ!?
ξ゚⊿゚)ξ 「…大丈夫。ぎりぎり一杯ホームランだわ」
(;^ω^) 「もー」
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支援&投下準備完了
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( ^ω^) 「あれ、そういえば…城通り過ぎてるお?」
ξ-⊿-)ξ 「もーしっかりしなさいよ」
(;^ω^) 「ごめんごめん」
再び、刺身定食をチューニングする。
運。味噌より醤油がうまい。テッテレー。
段々、城が近づいて来た。
その白さは正に円卓の騎士がシチューを作るのにふさわしい。
これを見れば、かのドエトフスキーも諸手を挙げて大喜びするだろう。
万歳!万歳!!
見てくれ、この冷蔵庫の艶やかさとハローマックの強かさを兼ね備えた有田焼の文鎮を!!
ああ、キリンの縞に含まれたラジウムの高速道路は己が信念のエキサイティングにも等しい。
わかるだろう。性の揺らぎとフォークロアの更新は止まらない。
ゲレンデが溶けるほど恋したい。幸せをつかみたい。
止まれ!止まれよ!!お代官様。I 罠B wiθ U此処に居て。
愛があれば大丈夫なんだから。
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( ;゚ω゚ )ガバス 「広瀬香美は小林幸子じゃねえって言ってんだろ!!」
ξ;-⊿゚)ξ 「サラミに内包されたチャットルームの悲観論者ってわけね」
( ^ω^)そ 「あたしがコートニーじゃない!!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「…don't U θink?」
ξ゚⊿゚)ξ^ω^)〜♪ 「「寿司食いねぇ〜♪寿司食いね〜♪」」
ξ-⊿-)ξ 「ねぇぇえええーーーーええぇぇぇえええーーーz____ええぇぇぇ」
( ^ω^) 「ええーーーーーぅううえええぇぇぇぇええええーーーー」
ξ゚⊿゚)ξ 「うぉぉぉおおおおーーーーおおぉぉ……おおおぅ」
(#-ω-) 「うぉううぉういぇーーーーーーぁはああんいぇーーいぇぇぇええ」
ξ゚⊿゚)c彡☆))ω^) パーン
( ^ω^) 「…ありがとうお」
( ^ω^) 「ちょっとばかりやられてたお」
ξ゚⊿゚)ξ 「てやんでい」
( ^ω^) 「どうにか城には着けたお」
ξ゚⊿゚)ξ 「着い たわね」
ξ-⊿-)ξフルフル
ξ゚⊿゚)ξ 「まずは、あの門を開けないとね」
( ^ω^) 任せてくれお「」
ξ゚⊿゚)ξ 「え?なんて?」
( ^ω^) 「任せてくれお」
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( ^ω^) 「えーっと…ここに爪楊枝を当てがって」
(^ω^ ) 「ライター取ってくれお」
ξ゚⊿゚)ξ 「ファブリーズでもいい?」
( ^ω^) 「大丈夫だお」
爪楊枝を二、三揺するとガンガンギギーンと音がして、扉は爆発四散。
そこから出るわ出るわ。隼、山猫、狼、ゴリラにライオン。
ξ;゚⊿゚)ξ 「なによこれ!?千手観音!!?」
バンバン溢れる七草、初茸、キュウリに冬瓜。
火曜はイオンに行かなくちゃとばかりに、物凄い勢いで跳び出して来る。
ξ;゚⊿゚)ξ 「ブーン!止めて!!」
( ^ω^) 「あああああああああ!!!!!くぁwせdrftgふじこlp」
獣達に押し流されて、変わっていく私をあなたは時々、遠くで叱ってる。
ツンが伸ばした手に、何とか掴まった。
ツンの左手に硬質ながらもツルりと丸みを帯びた何かが現れる。
投擲されたそれを鷹掴みにし、蓋を開ける。
ええい、ままよと飲み干した。
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ξ#゚⊿゚)ξ 「ファイト―!!!!」
(#^ω^) 「いっぱあああああつ!!!!!!」
(;´ω`) 「た、助かったお」
ξ;゚⊿゚)ξ 「さっきのアンタ、いいバルクだったわよ」
(;^ω^) 「お!」
ガシりと固い握手を交わした。
その時、すっかり萎びて平たくなった蒟蒻畑を震わせながら、城の正門から誰かが出てきた。
( ФωФ) 「ようやく来たか」
( ^ω^)そ 「お前は!!?」
思わず拳に力を込める。
ここまで強く握りしめても、僕の握力は47㎏。
卵は割れないし、林檎だって割れやしない。ダイヤモンドは砕けない。
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( ФωФ) 「そう急くでない」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ブーン…あれ」
( ^ω^) 「なん……え?ツインテール?」
ζФωФ)ζババーン
(;^ω^) 「お前!!何者なんだお!!?」
( ФωФ) 「……バレては仕方ない」
( ФωФ)ベリベリ
( Фc゚ー゚pФ)ベリベリベリ
( Фcζ(゚ー゚*ζpФ) 「ほっと」
べちゃり
ζ(゚ー゚*ζ 「久し振り♪」
ζ(゚ー゚*ζ 「もちろん覚えてるよね?ブーン」
( ^ω^) ?
(;^ω^)ズキ 「うぐぅう」
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( ^ω^)そ
( ^ω^) 「デレちゃん!!?デレちゃんなのかお!!?」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ま!!?まああぁぁぁぁぁあああ!!??」
ξ;゚⊿゚)ξ 「なんであんたがここに!?」
ζ(゚ー゚*ζ 「お姉ちゃんがブーンを独り占めしようとするから」
ζ(^ー^*ζ 「全部壊してやろうと思って」
ζ(゚ー゚*ζ 「ねえブーン?」
ζ(゚ー゚*ζ 「わたしね?ずっと我慢してたの」
ζ(゚ー゚*ζ 「あなたが私達を創ったのに、全然振り向いてくれないんだもの」
ζ( ー *ζ 「口を開けば、お姉ちゃんお姉ちゃんってさ」
ζ(゚ー゚*ζ 「お姉ちゃんは自分だけ納得して、勝手に夢の世界を壊そうとした」
ζ(゚ー゚*ζ 「だから私、全力で抵抗したの。ブーンのためなんだよ?えらいでしょ?」
ζ(゚ー゚*ζ 「そしたら、その時にお姉ちゃんとわたしに分裂しちゃったってわけ」
ζ(゚ー゚*ζ 「その時お姉ちゃんの力をほとんど貰ったんだ♪だから今、全部ぶっ壊してあげるからね。」
ζ(゚ー゚*ζ 「この終わらない夢の世界でわたしと生きよう?」
ζ(゚ー゚*ζ 「何でもありのふたりぼっちだよ」
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(;^ω^) 「こいつぁなかなかヘヴィいな」
ξ゚⊿゚)ξ 「……デレ」
ζ(゚ー゚*ζ 「和解の道なんてないよ?」
ξ゚⊿゚)ξ 「ほらあたし達元々一つの個体なわけじゃない?」
ξ゚⊿゚)ξ 「もう一回合体しなおして、二人でブーンと一緒になった方がお得よ?」
ζ(゚ー゚*ζ 「…やだもん」
ζ(>Д<#ζ 「わたしは独り占めするって決めたんだもん!!!!」
(^ω^) (どーしてこうなった)
( ^ω^)そ
(;^ω^) 「アレは!!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「米が集まっていくわ!!」
ξ;゚⊿゚)ξ^ω^)そ 「「でっかい骸骨になってく!!?」」
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巨大な骸骨を模したそれは、空にそびえる鉄の城も吃驚の大迫力。
何あれ、やばみ。
ζ(゚ー゚#ζ 「喰らいなさい!!一万二千七百三十キロ!!!!」
ζ(゚ー゚#ζ 「炭水化物の巨人よ!!!!」
(;^ω^) 「やばい!!逃げるお!!」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 「ははぁん。米の固さと重さで押しつぶそうって訳ね」
ξ゚⊿゚)ξ 「その程度……」
ツンがゆらりと構える。
ξ#゚⊿゚)ξ 「おかゆにしちゃえば無問題よ!!!!」
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.
べちゃちゃ
(;;^ω^) 「いや!!?はあ!!!!???」
(;;^ω^) 「普通にあっつううう!!!!!」
ξ゚⊿-)ξaテヘペロ
ξ#゚⊿゚)ξ^ω^) 「うぎゃあああああ!!!!」
全身に深い火傷を負った。
ほんと最悪。マジ痛いんですけど。
ζ(゚ー゚*ζ 「ほらほら逃げないと夢でも死ぬよ!?」
厚切りハムのような不安を携えし、モラルはその爆発的な質量を持って、膝小僧を蹂躙しろ。
人は誰も哀れな星瞬いては流れて行く。己が無力を知る昭和の玩具は最終電車を告げるブリキの心臓に終止符を打つ。
三角定規に誇りはいらない。故にその体は泥パックによってのみ形成され得る。
筆箱の奥底に飛び立つ準備はできたか?
砕けた羊羹を撒き散らせ。さながら誤審をする大根のしらたきに火をつけろ。
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ξ゚⊿゚)ξそ 「ブーン!!?」
( ^ω^) 「大丈夫だお!!」
顕微鏡で覗いた栗金団の膵臓を食べたい。君がギターで踊るしか能がないってバカなことを言っちゃあいけない。
テレビを消し忘れ孤独さえもド忘れで乾燥した時間に喉を傷めるのならば、せめて傘の内側はあなたを許してどうか見せて欲しい。
そんなことお地蔵さんだってわかってる。鶴が飛び立った後も野菜を炒める音は響いていたんだから!!
ζ(゚ー゚*ζ 「死んじゃえ!!!皆死んじゃえばいいんだ!!!!」
窓の向こう側から覗く未完の重曹はその真偽を語るに能わず。
その先の街路樹に並々ならぬ郷愁を覚えん。絶えず世間をプリンが更新していくのだから。
出世街道のUターンラッシュに付き合っている暇はない。
肝心なのは人参の本数でもヨットの数でもない。君がロンドンで折り紙を嗜むどうかにかかっているんだ。
(;^ω^) 「どうしたらいいんだお」
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