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('A`)俺が俺であるために、のようです

206名無しさん:2018/10/12(金) 20:29:37 ID:o8SSo2ZY0
>>205
激しく乙
のんびりでいいからクオリティの高い作品を期待してるぜ

207作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/10/12(金) 21:00:20 ID:rzSfZr7c0
温かいお言葉ありがとうございます
ご期待に添えますよう、頑張りますので、
今後ともよろしくお願い致します

208作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:09:19 ID:/IJpy7420
第九話【変化】

今回の哨戒任務も無事に終わり、俺たちはキャンプに戻った。
それから数日経っても戦争は膠着状態。大きな変化も起こらず、ただローテーションされた任務に明け暮れていた。
新しい一日が始まり、昨日と同じことをして終わる。それでもいつ散発的な戦闘が始まるか分からないという緊張感は漂っていた。
今日も、遅めの昼食にツンを除いた小隊全員で入る。どこか気の抜けた雰囲気が漂っていた。

209作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:09:47 ID:/IJpy7420
  _
( ゚∀゚)「退屈で死にそうだぜ」

( ФωФ)「何を言うか 安穏とした日々の幸せを忘れた訳じゃなかろう」
  _
( ゚∀゚)「そりゃそうなんだけどよぉ なんつうか、刺激が足りないんだよな」

(#゚;;-゚)「足りないのは、頭の中身でしょ」
  _
(#゚∀゚)「なんだとぉ!?」

最近は話題が尽きると大抵この流れになる。いつもの面子のいつものやり取りだ。

210作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:10:18 ID:/IJpy7420
('A`)「まぁ、毎日同じことの繰り返しで辟易する気持ちは分かるよ」
  _
( ゚∀゚)「だよなぁ どっか綺麗なビーチにでも行ってよ 綺麗な姉ちゃんとランデブーしたいぜ」

(#゚;;-゚)「ジョルジュはそればっかだね」
  _
( ゚∀゚)「生き甲斐だからな! 楽しみがなければ人間、生きていけねぇよ なぁ、内藤」

( ^ω^)「おっ、僕かお」
  _
( ゚∀゚)「お前以外に誰がいんだよ いいよな、お前は 毎日、隊長様とお楽しみか?」

( ^ω^)「僕はツンと一緒に居れればそれだけいいんだお あんまり求めすぎても、お互いに疲れるお」

( ФωФ)「良い心がけであるな ジョルジュも見習うべきだぞ」
  _
(;゚∀゚)「うっ、痛いところ突いてきやがる」

(#゚;;-゚)「内藤って、大人なんだねぇ」

(*^ω^)「おっおっおっ 照れるお」

('A`)「そういうの、なんて言うんだったか プラトニックラブだっけ」

川 ゚ -゚)「ドクオからそんな言葉が出るのは意外だな」
  _
( ゚∀゚)「確かに珍しいな お前からこういう話に入って来るなんて なんかあったのか?」

この数日間、同じように恋愛の話だとか、今までの経験人数がどうだとかの話には何度かなったが、
俺はその類の話題には乗らないようにしていた。自分自身の経験が乏しく、良く分からないからだ。
だが、全員の話がある程度出尽くしたので、暇潰しには必要だろうと話に乗ることにした。それだけだった。

211作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:10:48 ID:/IJpy7420
('A`)「いや、昔読んだ本に書いてあっただけさ それを思い出したんだよ」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ つまんねぇ奴だな」

ジョルジュも敢えて深くは追及してこない。
話を広げるだけなら、俺の恋愛遍歴や今の状況をからかえば良いだけだが、その辺りは配慮してくれていた。

(#゚;;-゚)「ねぇ、プラトニックラブってどういう意味なの?」

( ФωФ)「肉体的では無く、精神的な恋愛ということだな 成人するまでは純潔であるべき、とかいう話もあるようだが」
  _
( ゚∀゚)「……それの何が楽しいのかねぇ」

( ^ω^)「でも、僕は幸せだお」
  _
( ゚∀゚)「あぁ、そういう意味じゃねぇんだ ただ、俺には分かんねぇ世界だな、と思ってさ わりぃな」

少しの沈黙が流れる。
ジョルジュは女好きだが、部隊員の誰かに手を出すわけでもなく、いつもからかい半分の軽口で済ませていた。
そんなジョルジュの悲しげな横顔に誰も声を掛けられずにいる。
飄々とした態度を崩さない、この男の過去に一体何があったのか。それは、ベッドの上でしか語られないのかもしれない。

212作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:11:21 ID:/IJpy7420
ξ゚⊿゚)ξ「良かった、皆まだここに居てくれたのね 新しい仕事が入ったわ 食器を片付けたら、作戦室に来て頂戴」

部隊長用の自室で食事を取っていただろうツンが、こちらに向かって歩いてくる。
そんな彼女から発せられた内容は、俺たちの退屈で淀み切った心を洗い流すには充分な内容だった。

ξ゚⊿゚)ξ「これからの流れを説明するわ」

部隊員全員が食堂と同じ建物内にある作戦室に入り、備え付けられた椅子に座ると、目の前の大きなスクリーンに画像が映し出された。

ξ゚⊿゚)ξ「最近、この801国と既女国の国境線沿いに、既女国の兵士が出没していることは知っているわね」

聴いている全員が頷く。

ξ゚⊿゚)ξ「それは私たちの目を国境線沿いに向ける為の作戦だと判断されたわ これを見て頂戴」

スクリーンには既女国とその周辺国が描かれた地図が映し出されている。
そしてツンが手元に置いたノートパソコンのキーボードを数回叩くと、既女国の地図が大きく表示された。

213作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:12:23 ID:/IJpy7420
ξ゚⊿゚)ξ「基本的なことだけど、既女国を中心にすると、南に今私たちが居る801国、西に育児国、北に既男国が有るわ
その中でも、この既男国寄りにある既女山に、ある施設が存在することが連合軍偵察部隊の活躍で判明したの」

('A`)(ある施設……?)

作戦室にざわつきが生まれる。そこに何があるのか。予想するのは難しいことじゃなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「核の発射施設よ」
  _
(;゚∀゚)「おいおい、マジかよ」

( ^ω^)「ふざけてるお……」

( ФωФ)「まぁ、当然だな」

ξ゚⊿゚)ξ「連合軍は既女国に対して、降伏勧告を出しているわ また、それに合わせた話し合いの場を設けるという話にもなっているの
それを既女国側は、自国の損害状況確認や軍の再編成、自国内の反発を抑えるので時間が無いなど、色々な理由を付けて先延ばしにしているわ
タチが悪いことに、既女国は話し合う姿勢を見せているということなの でも、これは明らかな時間稼ぎだわ」

214作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:12:47 ID:/IJpy7420
川 ゚ -゚)「つまり、まだ既女国側は核の発射体制に入れていないということだな」

ξ゚⊿゚)ξ「その通りよ 撃ち出すことが出来る核弾頭が有るかは現在調査中だけど、肝心の発射施設には無いらしいわ
そこで、連合軍の秘密部隊が核の製造施設、或いは輸送部隊を強襲
私たちは、万が一施設に核が運び込まれていた場合を想定して、核の発射施設を制圧するわ」

(#゚;;-゚)「連合軍の部隊が動くなら、私たちが出る必要は無いんじゃない?」

215作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:13:13 ID:/IJpy7420
ξ゚⊿゚)ξ「この任務は極秘任務よ 現状、既女国側が話し合いの姿勢を見せている以上、表立って攻撃を仕掛ければ他国からの非難を受けるわ
そうなると、既女国は事実を隠蔽し、世界に対して悲劇の被害者を気取るでしょう
そうならないように連合軍の秘密部隊と私たちの二面攻撃を仕掛けて一気に制圧することにしたのよ それだけ私たちが評価されてるってことね」

('A`)「その発射施設を制圧するのは分かったが、俺たちだけでやるのか?敵の数と施設の構造は分かってるのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうよ 核の発射施設の人員は殆ど非戦闘員だと目算は立っているわ 戦闘部隊員は施設防衛用に居ても百名ちょっとってところね
ただでさえ、軍に壊滅的な打撃を受けている現状、国境防衛以外に人員を多くは割けないわ
それに、施設の設計図を手に入れたと報告が来てるから、潜入の目途は立つ予定よ」

( ФωФ)「……」

視界の隅でロマネスクが反応したのを感じたが、彼は何も言わなかった。

216作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:13:39 ID:/IJpy7420
ξ゚⊿゚)ξ「他に質問は無いわね 育児国、既男国とは交渉して、既男国からの潜入許可を得ているわ
私たちは、これから輸送ヘリとトラックを併用して既男国に入国 その後、既女国の核発射施設へ潜入するわ
表にマニー工業の医療トラックが来ているので、検診を受けた者から準備を始めること 以上、解散」

ツンがノートパソコンからケーブルを外し、スクリーンの表示が消える。それを合図に、部隊員たちが席を立ち、移動を始めた。

ツンを先頭に、それぞれが廊下を出て外への移動を始めている。隣には、いつの間にかロマネスクが立っていた。

217作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:14:04 ID:/IJpy7420
( ФωФ)「どうにもおかしいと思わんか」

('A`)「何がだ?」

( ФωФ)「この任務自体はまだ分かる 事は一刻を争うからな だが、核の発射施設の設計図 これは明らかにおかしい」

('A`)「内通者でも居るんだろう」

( ФωФ)「そこなのだ 何故、このタイミングなのか 我輩はどうにも腑に落ちない」

( ^ω^)「単に、自国が存続の危機にまで追い詰められてるからじゃないかお」

川 ゚ -゚)「亡命や身柄の安全と引き換えに情報を売ったと考えるのが自然じゃないか」

後ろから歩いてきた内藤とクールが、会話に加わる。

( ФωФ)「それならそれで良いのだが……」

ロマネスクが考えていることも分かるが、作戦の裏取りや情報の裏取りをするのは俺たちの役目ではない。
元はと言えば、この戦争の成り立ちからしておかしいのだ。

218作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:14:26 ID:/IJpy7420
既女国は国土こそ広いとは言えないものの、石油が多く取れることから石油大国とまで言われ、経済基盤は安定している国だった。
しかし、隣国である801国の一部の人間はそれを妬み、既女国内に密入国などを繰り返しては石油を盗む始末。

それを国家会談などで咎められはするものの、具体的に罰せられることの無い801国に腹を立てた既女国が暴走した形の戦争だ。
いつの間に、整えたのか強力な戦車部隊に装備の整った歩兵部隊、練度こそ高くないが統率の取れた人員。
如何にメイトリクスのような戦場慣れのした部隊長が教育や指揮を執ったとしても異常だと言わざるを得ない。

219作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:14:50 ID:/IJpy7420
ましてや、核兵器だ。一から開発しようと思えば、製造施設、実験施設、発射施設、これら全てを揃えなくてはならない。
たかだか、隣国を支配下に置くだけなら必要のない施設だし、かかるコストも馬鹿にならないだろう。
つまり、奴らは最初から全世界を相手取った侵略戦争を企てていたことになるし、抑止力を持つことで国家としての力も誇示しようというのだ。

そんな国からの情報提供者。施設が施設なだけに、どこかの国から拉致されて核製造を手伝わされていたのだろう。
核製造のノウハウをどこかで得ていたのなら、世界各国が気付かないスピードで実用段階にまで製造出来たのも頷ける。

そして、既女国の主力部隊が壊滅し施設の人員が手薄になったところで、こちらに接触してきた。

220作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:15:13 ID:/IJpy7420
こういうことなら筋は通る。仮に、これが連合軍に攻撃を仕掛けさせる口実だったとしても、俺たちなら存在自体を無くせる。
どこにも属していない部隊のテロ活動。核施設について嗅ぎ付けたハイエナ共の、馬鹿げた行動で国家としては済むのだ。

これ以上、俺たちが考えることでは無かった。

221作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:15:35 ID:/IJpy7420
建物から外に出ると、マニー工業の医療トラックが二台止まっていて、部隊員たちが列を作っていた。
一人当たりの検査時間はそれほど長くなく、すぐに自分の番が来る。

「鬱田ドクオさん お入りください」

('A`)「失礼します」

「では、そこに横になってください」

医療トラックの中には大きな寝台が一つと、それを囲むように様々な機材が置かれていた。
電子音を定期的に鳴らしている、それらの機材は医者のような風貌をした男の手元にあるパソコンに接続されている。

222作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:16:07 ID:/IJpy7420
「それでは、左手を含む全身の検診を始めます 最近の調子は如何ですか」

('A`)「まぁ、特には問題無いです」

いつものお決まりの文句から始まり、こちらもそのように返す。
実際、左手の調子は悪くないし、使えば使うほど全身に馴染むような気がしていた。
それからも問答は続き、傍らに立っている助手らしき男が身体にシールのようなものを貼っていく。
その中には複雑な回路をした電子部品が埋め込まれており、これで全身の不具合と左手との適合率を確認するのだ。

223作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:16:31 ID:/IJpy7420

「以前と比べて適合率が上がっていますね 良い傾向です」

左手を使い空を跳んだ、前回の戦闘を思い出す。
この左手は出力が高く、爆発的な力を発揮することが可能だが、その分出力調整が大味で力の調整が難しい。
それを理想通りに行ったことで、適合率が上がったのだろうと予想出来た。

「それでは、今回のデータは全て取れましたので お疲れ様でした」

('A`)「ありがとうございます」

俺は寝台から身を起こし、医療トラックから出ると、移動に備え自室に戻った。

燻ぶった火種が、消えてしまわないように心がけながら。

224作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/06(火) 17:16:54 ID:/IJpy7420
今回の投下は以上です
ありがとうございました

225名無しさん:2018/11/06(火) 18:32:25 ID:DhVxS7xg0
おつ!

226名無しさん:2018/11/07(水) 07:16:22 ID:MzEFZakY0
一月近く投下が空いてたから逃亡したのかと思ってたw
投下が空いてた期間に他の現行読んでたから、各キャラの性格がごっちゃになってしまった…

227作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/08(木) 14:05:09 ID:UP1EdnWo0
仕事忙しいのと書きたいもの書いてたら長くなって、
筆が進みにくくなってしまった
読んでくれてありがとう
あんまり待たせないよう気をつけます

228名無しさん:2018/11/08(木) 17:17:10 ID:isqALFNE0
デレってツンの子供だけどブーンの子供じゃないんだよな

229作者 ◆ZSs5PfPP4E:2018/11/08(木) 20:53:18 ID:W0vfvOFs0
内容に触れられると読まれてるって感じして嬉しいです

その辺りも早く触れたいんですけど、過去編書くの楽しくて…

もう暫くお待ちくださいorz


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