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( ^ω^)週刊少年エターナルのようです
391
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:55:12 ID:DEDM7Lxs0
( ´・ω・) ……
( ´・ω・) え。 え?
、、 、
( ´・ω・) じゃあ、エ、何。 まだゴキブリ飼ってんの??
(#゚;;-゚) !?!?!?
o川;‐ ‐)o
っц
( `・ω・) か、飼ってるんだな…
( `^ω^) マ…まあ!
( `^ω^) ワレワレが犬や猫を愛でるのと、に、似たようなものか! …ウン!
.
392
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:55:45 ID:DEDM7Lxs0
(#゚;;-゚) ち゛か゛う゛ううううう・・・
( ´・ω・) 先生も、大の猫好きでしたっけ
( ´^ω^) あれだ、猫が3匹だか4匹だかいましたよね
(#゚;;-゚) ちびとももとはなとまるはごきぶりじゃないですうううう・・・
( `・ω・) か…飼ってるものが何かはさておいて
( `・ω・) 学校にまで散歩させにくるのは、まずいですな
o川;‐ ‐)o 勝手についてきただけなんですぅー…
っц
o川;‐ ‐)o
っц”
.
393
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:56:22 ID:DEDM7Lxs0
( `・ω・) で、そのゴキブリは?
( ´・ω・) 逃げ出した1匹だけは、もう始末しましたが…
( ´・ω・) ……なあ、逃げたのは1匹だけなんだよな?
o川;゚-゚)o 知らないよ…
o川;゚-゚)o 勝手についてきただけだもん…
( `・ω・) て、コトは…
、 、 、 、 、 、、、 、 、、 、 、
( `・ω・) まだ校内にいるかもしれない ってことです…か
(#;;;ュ゚) !!?!?
( ´・ω・) 一応、ブラックキャップとか買っときましょうか
、 、
( ´・ω・) 繁殖されただけで、授業に支障が出る
(#;;;ュ;) !!!!!!
.
394
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:56:43 ID:62yAO1P60
でぃ可愛いな
395
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:56:44 ID:DEDM7Lxs0
(#゚;;-゚) お先シツレーしますっ!!
\ダッ!/
( `・ω・) え、先生…?
( ´・ω・) 残務はいいんですか
≡(#゚;;-゚) 残務はうちの可愛い可愛いチビとモモとハナとマルがいる我が家でしますうう
( ´・ω・) あ、ああ…そう…お疲れさん…
\バタン!/
( ´・ω・) …
( `・ω・) …
o川;‐ ‐)o …
.
396
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:57:22 ID:DEDM7Lxs0
o川;゚-゚)o …私も、帰るわ
( ´・ω・) え? 大丈夫なのか?
( ´・ω・) いろいろ残ってンじゃねーの
o川;゚-゚)o あのネ
o川;゚-゚)o 犬とか猫と、ワケが違うとはいえ、
o川;゚-゚)o 私だってね、可愛い可愛いペットが殺されたワケなんだからね
( ´・ω・) そ、それは…
( ´・ω・) …
( ;´^ω^) おう、お疲れさん!
o川;‐ ‐)o ぺこり
.
397
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:57:46 ID:DEDM7Lxs0
\スタスタスタ…/
\バタン…/
( ´・ω・) …
( `・ω・) …
( `・ω・) ゴキブリ…ですかァ
( ´・ω・) やめろッつったんだけどな…
( `・ω・) でも、海外じゃあ、珍しいのが高値で取引されてると聞きますぞ
( ´・ω・) あーーー
( ´^ω^) あいつが好きなの、チャバネとかですわ
( `・ω・) ワレワレがよく見る?
( ´・ω・) そうそう
.
398
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:58:27 ID:DEDM7Lxs0
( `・ω・) そ、それはそれは…
( `・ω・) …
( ;`^ω^) が、学校に連れてこない分には、ワタシは構いませんが、ネ…
( ´・ω・) あいつなあ…
っц”
( ´・ω・) 高校の頃、けっこうモテてんすよ
( `^ω^) 可憐ですからな
( ´・ω・) ただ、片っ端からフラれてましてね
( ´・ω・) 原因はお察しの通り
( ;`^ω^) ははは
( ´・ω・) …なんで、ゴキブリ女になったんだろ
( `・ω・) 人それぞれ ッてやつですかねえ
( ´・ω・) さあ…
.
399
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:58:48 ID:DEDM7Lxs0
____ |
|ο゚)ハハ | んソ |
|ヮ゚)゚ー゚,|. ヽ|〃 |
|-゚ ^゚)o'| ...(,,:) |
`ー――' i!丁匚匚匚匚匚匚匚i! r-―=i
i| |// // // //!|_| ||/.| |
_______,r――、 i| |三三三三三三三|_| ||/.|/ .|
|[ ̄i ̄]||_|ェェェュ!|ェェェュ!|ェェェュ|_|. \| /.|
` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ \,|
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ./| \
/_____/.i」 r―-、 \
|_j |_j iミャ__,,) \
.
400
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:59:16 ID:DEDM7Lxs0
〜17時52分〜
\みゃ〜/
\みゃ〜/
(#゚;;-゚) うおおおおおおおおおおおよしよしよしよし可愛い可愛いむすめたち
(#゚;;-゚) ここがいいのかここがいいのかよおしゴロゴロゴロ
\みゃ〜/
\みゃ〜/
(#゚;;-゚) …
(#´;;ァ`) …
.
401
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 00:59:39 ID:62yAO1P60
かっわいい
402
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:00:03 ID:DEDM7Lxs0
\みゃ〜/
\みゃ〜/
(#゚;;-゚) …?
∧∧
(-゚ο゚)っ’
¨
(#゚;;-゚) おおどうした可愛い可愛いハナ
(#゚;;-゚) その可愛い可愛いおクチでくわえたものはなんぎええええええええええ
∧∧
(-゚ο゚)
¨ \ワキワキ…/
≡≡≡(#;;;ュ;) びえええええええええええええええええん
∧∧
(-゚ワ゚) !
¨
∧∧
≡≡≡(-゚ワ゚)
¨
.
403
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:00:27 ID:DEDM7Lxs0
\みゃ〜!/
\びえええええええええええん/
.
404
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:00:52 ID:DEDM7Lxs0
>>2-99
( ・∀・)探偵モララーの事件譚のようです(第1回)
>>106-176
●><●>)><)漫才グランプリで優勝するようです(第1回)
>>182-286
(,,゚Д゚)脱獄するようです(第1回)
>>292-403
o川*゚ー゚)oキュートはゴキブリ女のようです(第1回)
405
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:01:51 ID:62yAO1P60
連日乙
面白かったので是非続けてほしいです
406
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:04:28 ID:DEDM7Lxs0
まさか初っ端からリアタイ支援つくとはありがとう…完結するかわからない作品群なのに…
モララーか漫才、先第2回投下するならどっちだろう
もーちょい未投下タイトル投げてからにはしたいけど
407
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:06:41 ID:62yAO1P60
好みはモララーだけど書きたいもの好きに書いたらいいと思う
何でもありがたく読ませてもらう
408
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 13:49:25 ID:hvvT5QiE0
乙でした! 授業風景がありありと浮かんできてキュートがちょっとだけ不憫
だいたい本人のせいだけども授業って難しいね
今のところ読んでて一番好きなのはモララー
次点で脱獄なのでモララーの更新来たら嬉しいけど
やりたい作品どんどん投下しちゃえばいいと思う
409
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:03:20 ID:eWKLIOgo0
モララーと漫才両方読みたいけど順番は気にしない
410
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:12:23 ID:YX86E8KQ0
→向日葵
.
411
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:12:48 ID:YX86E8KQ0
西洋的といって、過言ではない。
町はずれ、草木が生い茂る空間だった。
( ・∀・) こういう者ですが
ξ゚-゚)ξ
八王子にこんな屋敷が建っているのは、
地元に住む人間なら、誰もが知っていることだった。
大きさからして、近辺の景観とあまりにも不釣り合いで、
まして絵に描いたような廃墟なのだから、いやでも、目に留まる。
( ・∀・) いえ、別に逮捕しにきたワケじゃ
( ・∀・) ちょっと、お話を伺いにきただけで
.
412
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:13:34 ID:YX86E8KQ0
淀んだブロンドは、色むらが酷い。
昔はたいそうな美少女だったそうだけど、
これじゃあ、ただの精神病患者だ。 杖まで突いている。
肌も荒れている。
地は雪のような白さなのだろうけど、
いまでは、雪原というよりは、干ばつした砂漠のようだ。
ただ、青と緑のオッドアイは、きれいだった。
ξ゚-゚)ξ
( ・∀・) 杉浦、という男はご存じですか?
写真を取り出した。
戦後、回復へと向かう日本に現れたドロボウだった。
黒のジャケットの下には、やや濁った黒のベストと赤いネクタイが見える。
モノクルをかけているのが特徴的だ。
ナイスミドルな見てくれだが、当時は二十代だったらしい。
.
413
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:14:07 ID:YX86E8KQ0
ξ゚-゚)ξ
( ・∀・) 通称、怪盗ロマネスク
( ・∀・) 昭和に現れた、泥棒です
( ・∀・) この男について、何かご存じでしたら…
ξ゚-゚)ξ
女性は、ぴくりとも反応しない。
なるほど、これは根気がいる仕事になるな、と思った。
.
414
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:14:31 ID:YX86E8KQ0
◆
( ´メω) 邪魔するぜ
(;'A`) !
捜査一課に、警視が直接乗り込んできた。
なんのアポもなしにやってきたため、
のん気に事務作業をしていた課長は、思わず跳ね上がった。
( ´メω) おうドクオ
( ´メω) 今、ちィーっと、いいか
(;'A`) えっと、なんでしょうか
警察の、いわゆるおエラいさんは、堅物そうなおじさんが多くを占める。
そんななか異彩を放っていたのが、警視だった。
寡黙なのと、ガタイがいいのと、何より目のキズが、威圧感を放っている。
.
415
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:14:55 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) 前に言ってた件
( ´メω) お宮入りした、八王子少女殺人事件のことでよ
(;'A`) ハイ!
警視を証明するバッジが、チャンピオンベルトのように映える。
警視はそのまま、近くの、空いている椅子に座った。
ドスリ、と音がした。
( ´メω) 特捜室の連中が、やりやがった
(;'A`) と……と、おっしゃいますと
課長は依然立ったまま、
警視の一言一句にあわせて、相槌を細かく刻む。
.
416
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:15:23 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) お手柄だぜ
( ´メω) 怪盗ロマネスク様が、一枚噛んでやがる可能性を掴んだ
(;'A`) …?
( 'A`) えッ? ロマネスク?
'_
( ・∀・) 、
そこらで、同じく事務作業をしていた俺もカオをあげた。
平成生まれのゆとりでなければ、嫌でも反応するワードだ。
昭和の終わりごろに現れた、義賊のような男だった。
当時勢力を伸ばそうとしていた財閥を、
片っ端からつぶしていった怪盗だ。
( ´メω) そう
( ´メω) ロマネスクだ
.
417
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:16:13 ID:YX86E8KQ0
デビューは鮮烈だったそうだ。
1981年の7月、ある財閥宛てに手紙が届いた。
ロマネスク様式で施された、華やかな手紙だった。
そんなシュールな一枚が、いわゆる予告状だったわけだ。
( 'A`) ……なんと言いますか
(;'A`) ず、ずいぶんとヒョンなところで名前が出ましたな…
標的にされた財閥は、鼻で笑うだけだった。
一応の警戒体制こそ敷いたものの、それだけで、警察に通報すらしなかった。
結果が、大敗だった。
密輸取引のデータがすっぴかれ、たちまちその財閥は敗走を見せた。
当時発展していた、テレビをはじめとした各メディアは、
こぞって彼を報道した。
一部では、華のあるシュールなそれを 「ロマネスクの予告状」 と称したりもした。
.
418
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:17:01 ID:YX86E8KQ0
二回戦目は、その後わずが二週間後に訪れた。
これまた財閥に、ロマネスク柄の予告状が届いた。
財閥はこれをもみ消そうとしたが、
当時、メディアに密告することでもらえるカネは、桁が違った。
そのあぶく銭に目がくらんだひとりの密告者によって、世間はわいた。
( ´メω) まさかの、ふたつのお宮の鉢合わせときた
( ´メω) とんだ贅沢なお見合いだぜ
ロマネスクの予告状、再び。
そんな報道が、毎日のように舞い込む。
そしていつしか、その怪盗本人のことを 「ロマネスク」 と呼ぶようになっていた。
(;'A`) しッかし
(;'A`) 警視、それで我々はなにをしたら…
( ´メω) 適当なやつをひとり、貸してくれや
.
419
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:17:32 ID:YX86E8KQ0
'_
( 'A`) 、 …へ
課長が、素っ頓狂な声をあげる。
この時俺はまだ、のん気なツラぶら下げて、キーボードを叩いていた。
( ´メω) 人手不足なんだよ
( ´メω) ロマネスクの足掛かりを掴んだまではよかったんだがな
( ´メω) ちょうど他のお宮も、進展の兆しが見えたと来たもんだ
( ´メω) エラくなったもんだぜ
( ´メω) あのロマネスクが足跡残したッてのによ
(;'A`) お察しします!ハイ!
警視は、ロマネスク全盛期当時、
現役の刑事として、多くの功績を残した。
ロマネスク担当刑事といえば、警視を指す人も多かった。
もとより優秀な刑事だったらしいが、
その功績がトリガーとなって、彼がチャンピオンベルトを授かることになったそうだ。
.
420
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:18:15 ID:YX86E8KQ0
そのため、警視のロマネスクに対する、
執着にも似た思いは、人一倍強いと聞く。
そんなロマネスクは、結局のところ逮捕できず、時が過ぎた。
平成に差し掛かる前になりを潜め、
そのまま伝説として、警察の資料室に収まる運びとなったのだ。
( ´メω) 俺も、陰ながらではあるがサポートする
( ´メω) てなワケで、だ
'_
( ・∀・) 、
警視が立ち上がっては、
ドスド、スと音を立てて、俺の背後までやってきた。
その時から、嫌な予感というものは感じていた。
まさかな、どうして、といった疑念こそ強かったものの、
嫌な予感というものは、なかなかどうして当たるもので、
.
421
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:18:37 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) こいつでいいや
( ´メω) 借りるぜ、課長サン
( ・∀・)
( ・∀・) e?
怪盗ロマネスク事件。
八王子少女殺人事件。
ふたつの迷宮。
俺は、その迷宮が重ねる出口を、追うことになってしまった。
.
422
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:19:00 ID:YX86E8KQ0
.
423
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:19:23 ID:YX86E8KQ0
◆
ζ(゚ワ゚*ζ お姉さま!
ζ(゚ワ゚*ζ お父さまからのお手紙が届きましたわ!
ξ;゚Д゚)ξ ええっ!?
午後三時、ティータイム前に、私はその報せを聞いた。
お昼の掃除の頃から、イヤに機嫌がいいな、とは思っていたけど。
紅茶と、バターの香りが強いクッキーと。
午後三時に、お庭でデレといただくティータイムが、日々の何よりの楽しみだ。
その、至福の時間、デレはさらに、幸福を運んできた。
.
424
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:19:59 ID:YX86E8KQ0
ξ;゚-゚)ξ み、見せなさい!
ζ(゚ー゚*ζ ででーーん!
ロマネスク柄の便箋に、それは入っていた。
几帳面で、しかし一文字一文字に温かみが感じられる文字だった。
月並みな表現だけど、ほんとうに温かいのだ。
お母様が亡くなって以来、お父様の海外出張は多くなった。
それに比例して、お父様からの手紙も増えた。
寂しさは強まったはずなのに、どうしてか嬉しくもあった。
私たち姉妹の、何よりの楽しみが、それだったのだから。
お父様の手紙は、私たち家族をひとつにする、唯一のきずなだった。
ξ;゚⊿゚)ξっ あーーーーっ!
ζ(゚ワ゚*ζ ヒヒッ
デレが、手紙を天井に掲げる。
椅子に立ちあがるものだから、私が手を伸ばしても、届かない。
.
425
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:20:22 ID:YX86E8KQ0
ξ;゚⊿゚)ξ 椅子の上に立つのはお行儀が悪いわ!
ζ(゚ー゚*ζ はーい
言うと、存外あっさり、デレは椅子から降りた。
私を宥めつかせるように、手紙を広げる。
ξ*゚ο゚)ξ !
ζ(゚ワ゚*ζ 読みましょう!
淹れたばかりの紅茶も、この時は記憶から消えていた。
いつもなら、冷める前に飲みましょう、なんて急かすデレも、
お父様の手紙を前にすると、すっかり形無しなのだ。
春になったね。 今年も帰れなくてすまない。
そんな、お決まりの言葉から、お父様の手紙はつづられていた。
.
426
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:21:01 ID:YX86E8KQ0
お父様は、どうやらパリにいるみたいだ。
凱旋門を背景に、ダンディに佇むお父様が写っている。
フランスでの生活を中心に、
パスポートを見せるまで日本人と信じられなかったこと、
パーティが毎週あって、着ていく服に悩まされること。
そんな、お父様が味わったさまざまな話が、
ウィットに富んだジョークを交えて展開されている。
ξ;゚-゚)ξ フランスって、キッスが挨拶なの!?
ζ(゚ー゚*ζ あらお姉さま、そんなことも存じなくて?
このお屋敷から出ることのない私たちは、
お父様の、それも海外の生活事情を聞くことで、
外の世界というものを知り、そして思い募らせるのだ。
屋根が統一された、景色がきれいな町があったり。
海に塩の塊が浮かんでいて、人が浮かびながら本を読めたり。
.
427
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:21:35 ID:YX86E8KQ0
ξ#゚-゚)ξ ばッ…
ξ#゚-゚)ξ 知っているわ、モチロン!
本から飛び出した世界、
お父様は、そんな世界を、縦横無尽に駆け巡っているのだ。
ζ(゚ワ゚*ζ お姉さまって、殿方とキッスをなさったことは??
ξ#゚ο゚)ξ アナタもないでしょーーが!
言葉の合間合間に、私たちを気遣う一言があったり。
私たちを、本の世界へといざなう気の利いたフレーズが挟まれる。
だから、私たちは、お父様の手紙に夢中になるのだ。
ただ、近況を報告したり、私たちを慰めるだけの手紙ではない。
いっそ、物語として、便箋の活字を辿らされてしまうのだ。
.
428
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:21:56 ID:YX86E8KQ0
'_
ζ(゚-゚*ζ 、
ζ(゚ワ゚*ζ 珍しい。 三枚目があるわ
ξ゚ο゚)ξ ほんとうね
お父様は、長い手紙というのを好まない。
どんなに楽しい物語も、いつもなら便箋二枚で終わるのに、だ。
封筒から、三枚目の便箋を広げる。
字体、文体こそ変わらないのに、どこか雰囲気が変わった文面が、あった。
ζ(゚ワ゚*ζ …
ζ(゚-゚*ζ ??
堅苦しいようすで、
それまでの物語とはまるで関係のなさそうな話が続いていた。
ワンフレーズごとに反応を示していた私たちも、
三枚目を読む時は、すっかり静かになっていた。
.
429
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:22:25 ID:YX86E8KQ0
古い友人から、一報が入ってね。
なんでも、家をなくして、放浪の日々を続けているらしい。
この手紙が届いて、次か、その次の日くらいには、うちに来るだろう。
親戚か、新しい家族だと思って、受け入れてやってほしい。
悪い人では、ないはずだ。
ξ゚ο゚)ξ 古い友人?
ζ(゚、゚*ζ なにか、あったのかしら
ξ゚ο゚)ξ さあ…?
その三枚目に、写真が張り付いていた。
元気のなさそうな顔だ。
年齢まではわからないけど、人当たりのよさそうな男性だった。
.
430
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:22:54 ID:YX86E8KQ0
ξ゚ο゚)ξ …
ζ(゚、゚*ζ …
突如訪れたイレギュラーに、私たちは押し黙ってしまった。
不安だったり、異変を感じ取ったわけではない。
ただ、手紙がいつもと少し違うだけで、私たちはキョトンとしてしまったのだ。
ξ゚ο゚)ξ …
ζ(゚、゚*ζ …
ξ゚ワ゚)ξ ま!
ζ(゚ワ゚*ζ そんなことはいいでしょう!
.
431
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:23:14 ID:YX86E8KQ0
明日か、あさってか、
とにかく数日経てば、この家に誰かがくる。
前例のない、イレギュラーだった。
ξ*゚ワ゚)ξ 見てごらんなさい!
ξ*゚ワ゚)ξ 凱旋門を下から撮っているわ!
ζ(゚ワ゚*ζ こっちは海だわ!
この家は、基本的には私たち姉妹しか住んでいない。
お手伝いさんも、数年前に解雇された。
私たちは、毎日のスケジュールを細かく刻み、
料理から掃除、庭の水やりに至るまでを、姉妹で分担している。
もう二十歳も近くなったということで、お父様が、それを言いつけたのだ。
.
432
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:23:43 ID:YX86E8KQ0
ζ(゚、゚*ζ お姉さま、これはなに?
ξ゚ο゚)ξ ………
お金は、お父様から振り込まれるものを使っている。
食糧も、お父様が手配してくださった配達のかたを頼りにしている。
そんななか、家事で自立するという生活を、私たちは確立させていた。
日々の日課は、掃除と庭の手入れだ。
ξ゚ο゚)ξ …
ξ゚ワ゚)ξ あ!こっちの写真を見て!
ζ(゚、゚#ζ お姉さまッ
ζ(゚、゚#ζ 質問されたら答えるのがマナーでしってよ!
この、定められた生活サイクルに加わる、殿方。
不安がないと言えばそれは嘘になるわけで、
幸せなこの生活を続けられるのか、それだけが気がかりだった。
.
433
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:24:04 ID:YX86E8KQ0
ξ;゚⊿゚)ξ そこは心情を汲み取るのが英国淑女なのよ!
ζ(゚、゚#ζ 素直にわからないというのも英国淑女じゃないのかしら!
傍らに置かれたままの紅茶は、すっかりぬるくなっていた。
飲むことも忘れて、私たちは、お父様の手紙について語らっていた。
.
434
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:24:33 ID:YX86E8KQ0
◆
( ´メω) 八王子少女殺人事件だがな
( ;・∀・) はい、はい
( ´メω) 八王子のある富豪の娘が、殺された
警視が持ってきた資料を、簡単な解説を交えられながら読み解く。
なんでも上層部の人間しか持ち出せない資料らしく、
警視がじきじきに、この、ヒラの俺に説明することになっていた。
空気が、重苦しい。
資料くらい自分で読むから、帰ってくれ。
( ´メω) 娘はふたりいて、それはもう仲のいい姉妹だった
( ´メω) 最初、犯行は、その姉妹によるものか、と思われた
.
435
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:25:13 ID:YX86E8KQ0
当時の写真が写っている。
雪原のような肌、濁ったゴールドの髪、そしてオッドアイ。
フランス人形と言われても信じられる、神秘的な美少女だ。
見た目はこのうえない少女だが、
被害者は、十七歳で亡くなっている。
スタイルこそいいが、十七と聞くと、どこか発育が悪いような気もした。
( ;・∀・) …じゃ、ないんすか?
( ´メω) 不可解な点が、ふたつあった
資料のページが、次に送られる。
やはり細かい文字が、びっしりと詰められている。
( ´メω) ひとつが、何者かが住んでいた形跡が見られたのさ
( ´メω) 男のそれと思われる髪なんかがあってだな
( ・∀・) そんなの、DNA鑑定でイッパツじゃないですか!
( ´メω) 当時は、まだそいつは発展途上だったッてな
.
436
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:25:36 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) そりゃそっか…
( ・∀・) で、もっこは? なんですか?
( ´メω) ここからは、ちィーーっとややこしい話になる
警視は一息ついて、コーヒーを啜った。
これはマジなやつだ。
警視なんてどエラいVIPのお方には、一刻もはやくお帰り願いたく思った。
( ´メω) 死亡推定時刻は、夜中
( ´メω) ガイシャは、背中を強く押されて、池の岩に頭をぶつけた
( ´メω) そのまま出血を伴い、池に沈んだ
( ´メω) そこからは、一瞬だった。
.
437
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:26:03 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) 出血…
( ´メω) 血を流してる時に冷水に浸かると、もう、災難でよ
資料に添付されている、見取り図を見る。
広い庭のやや奥のほうに、広めの池がある。
池は岩で造られた人工的なもので、
被害者は、池に突き落とされる時に頭を打ったそうだった。
当時の検死結果では、それが決定打だったとも考えられている。
( ´メω) この時、かろうじて息はあったとしよう
( ´メω) だがな
( ´メω) 成人にも満たない女性が、そこで池に浸かっちまったんだ
( ´メω) どう足掻いても、死ぬ
.
438
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:26:25 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) 助けは、なかったんですか
( ・∀・) 一瞬浸かっただけなら、あるいは、があり得ます
( ´メω) 時刻は夜中で、ましてお屋敷は姉妹と第三者以外、いない
人物相関図にも、書かれてある。
なるほど確かに、当時、ここには三人しかいなかった。
そして、状況を考えるに、うち犯人がひとり。
考えられるのは、第三者か、残された少女。
( ´メω) そして、第三者はその時、家にいなかった
( ・∀・) ……
( ´メω) アネさんのほうにも、アリバイがあった
( ・∀・) e?
.
439
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:26:52 ID:YX86E8KQ0
視線が、資料から警視の目にゆく。
大きな傷跡と、その奥から窺える訝しげな瞳がおっかない。
( ´メω) アネさんは、家に、いたことにはいたんだ
( ´メω) しかし、アネさんはアネさんで、身動きがとれなかった
( ・∀・) …インスリンですか?
資料に、嫌に目につくように書かれていた。
この歳にしては珍しく、少女は、糖尿病を発患っていた。
( ´メω) 厳密にいえば、1型糖尿病ってェーーやつよ
( ´メω) 当時は、小児糖尿病なんて言われてたな
ご丁寧に、事件概要とは別に、その糖尿病の資料が添付されていた。
全部を読み解こうとは思わないが、
いくつかの気になるワードは目についた。
.
440
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:27:53 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) こいつは、未だに原因不明とされているが
( ´メω) ひとつ言えるのは、患者は常に、インスリンを打たねーとダメでよ
( ・∀・) 十七歳の女性がですか
( ´メω) そういう病気なのさ、1型糖尿病ッてのは
資料にも書かれていた。
通常、糖尿病というものは、生活習慣がもとで患うものだ。
しかし、ごくまれに、原因不明の糖尿病を患うことがある。
それが、1型糖尿病の一番の特徴だそうだ。
( ・∀・) …
( ´メω) 話は、こッからだ
( ´メω) 事件当夜、インスリンは、なかった
( ・∀・) !
( ´メω) アネさんの方は、動けなかった。
( ´メω) とてもじゃねえが、インスリンなしでできる犯行じゃあなかったそうだ
.
441
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:28:15 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) …切らしてたんですかね?
( ´メω) だろうな
警視の視線が天井を仰ぐ。
見たくないものを見てしまったような顔をする。
( ・∀・) 女性のほうはわかりました
( ・∀・) で…
( ・∀・) その、第三者のアリバイ、というのは、なんですか?
( ´メω) アリバイ…ッてーーのは、違うかもしらねえな
( ・∀・) へ?
.
442
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:28:46 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) 第三者の男が、現場に住み込んでいたのは間違いない
( ´メω) しかし、事件当日に限り、その痕跡が存在していなかった
( ・∀・) どういうことでしょうか
( ´メω) 次のページだ
警視のごつい指が、資料をめくる。
ずいぶんと分厚いファイルだ、まだ終わりが見えない。
比較的有名な事件なんだ。
現在に至るまで、何人もの刑事が、解明に挑んだのだろう。
その轍が、このファイルにつづられている。
( ´メω) 前日の洗濯物が干されていたり
( ´メω) そんな痕跡は、見られたさ。
( ´メω) ところがどっこい
( ´メω) 当日の、やれ食事やら、入浴やら、そんな痕跡が認められなかった
( ´メω) 男の洗い物はなかったし、洗濯カゴにも、男の衣類はなかった
.
443
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:29:36 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) …
ずいぶんとアバウトなアリバイだな、と思った。
しかし、事件当日に限った痕跡の隠滅なんて、どうにも解せない。
どうせ隠滅するなら、片っ端からもみ消せばいいだろうに。
( ´メω) ここが、初動捜査で真っ先に挙がったポイントだった
( ´メω) そして、そいつは…
警視が、ファイルを無理やり閉じた。
大きな青いファイルが、どすんと音をあげた。
( ´メω) 最後の最後まで、わかることがなかった
( ´メω) こッから先は白紙だぜ。
( ・∀・) え…
( ´メω) 見たけりゃ、見るかい?
( ・∀・) ……遠慮しときます
.
444
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:30:11 ID:YX86E8KQ0
警視がコーヒーに手を出した。
喉を鳴らして、一気に飲み干した。
( ´メω) そんなお宮を、調べてほしいわけだが
( ´メω) 何か、質問はあるか
( ・∀・) …質問ですか
( ´メω) 俺に答えられる範囲なら、答えるぜ
俺もコーヒーを飲む。
確か、ホットで淹れたはずなのに、いま飲んだそれはアイスになっていた。
( ・∀・) ……
( ・∀・) そうですねえ
( ´メω) マ、俺のほうから質問したいこともあるンだがな
( ´メω) じゃあいったい、犯人は誰だったんだ………とか
.
445
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:31:08 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) だったら、違うことをお聞きします
( ´メω) なんでい
( ・∀・) 前までこの事件を担当していた人たちは、どこに?
ファイルがこんなに分厚くなっているのは、
過去に、何人もの刑事たちが携わってきたからだ。
後ろの方は、真っ白らしいけど。
だというのに、なぜか、今こいつを扱おうとしているのは、俺だけなのだ。
いっそ、警視がここに立っているのが不思議なくらいである。
( ´メω) みんな諦めちまったのさ
( ´メω) マスコミに嗅ぎつかれねえよう、こいつを倉庫に送り出そうとしてな
警視が、ファイルをこつこつと叩く。
確かにこのファイルは、さっさと忘れるほうが健康的かもしれない。
.
446
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:31:29 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) じゃあ
( ・∀・) 今回、こいつを調査するのって…
( ´メω) アンタだけだ。
( ;・∀・) ………げぇ
俺は、コーヒーをふたクチで飲み干した。
警視がフッと息を漏らす。
( ´メω) 出世のいいチャンスじゃねえか
( ;・∀・) ……俺、一生窓際でもいいかもしんない…
てっきり、怒られるか大笑いされるか、なんて思ったが、
警視は意外にも、その返しを読んでいたかのような顔をした。
.
447
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:32:25 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) だいたい、掘り起こされる理由って、アレでしょ
、 、 、 、 、 、 、 、、 、 、、 、、
( ・∀・) その第三者がロマネスクだった…かもしれない、って
警視がうなずく。
八王子少女殺人事件は、過去のものになっていた。
ところが、平成になった今もロマネスクを追っていた刑事が、
彼の空白の期間を、八王子少女殺人事件の時期と
照合したことで、事態が一転した。
その刑事はしかし、それ以上足を踏み入れるのを、やめたそうだ。
最初にそう聞いた時は、わけがわからず、目を丸くしてしまった。
( ・∀・) ロマネスクが犯人だとわかったら、この上ない解決ですよ
( ・∀・) どォーーして、連中はこいつを追わねえンですか
、 、 、 、、 、、 、 、 、、
( ´メω) 相手がロマネスクだからだよ
.
448
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:33:04 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) ??
( ´メω) ………そうか
( ´メω) 最近の若いやつは、知らねえのか
( ´メω) ロマネスクは一度、警察ともやりあった怪盗だ
( ・∀・) は?
( ´メω) ロマネスクの尻尾を掴んだ、ちょうどその日の夜だったぜぃ
( ´メω) 奴から、脅迫状が届いた
、 、 、
( ´メω) 予告状じゃねえ。 ……脅迫状だ。
.
449
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:34:53 ID:YX86E8KQ0
面白い冗談を言ってみせたような声で言って、警視は目を細めた。
警察といえば、自分も含まれているはずなのに、警視は、楽しそうに言った。
( ・∀・) …あいつ、脅迫状とか出してたンすね
( ´メω) 内容は、単純だった
( ´メω) 自分を捕らえようものなら、警察の汚点をすべて公開させる、と
( ・∀・) ただのコケオドシじゃないっすか
( ´メω) 警察の弱みを、証拠資料と一緒に送りつけてきたんだぜ
( ´メω) この上ない、上等なユスリだ
笑いながら、警視が続けた。
あご髭をさすって、ユカイな様子で。
( ´メω) 奴は、ほんとうに、警察のあらゆる弱みを握っていた
( ´メω) 暴かれた瞬間、この国が終わッちまいかねないほどの……あらゆる、弱み
( ´メω) で、上長の判断で、その時は、ロマネスクを逃がしたワケだ
.
450
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:35:14 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) ………おかげで、ロマネスクに、更にひとつの弱みをやったワケだがな
( ・∀・) まんまと負けてるわけですからね
平成のこの時代、犯人に脅されて逮捕を渋るなんて、
マスコミに知られてしまえば、警察の権威は地に落ちるだろう。
なんて情けない話なのか。
( ´メω) で、今。
( ´メω) 警察で、まともにロマネスクのことを探ろうとする奴ァ、いねえって話なんだ
( ´メω) 前任の刑事も、あわてて別の事件に逃げちまったよ
( ・∀・) ……なるほど
.
451
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:35:35 ID:YX86E8KQ0
◆
チャイムが鳴った。
お料理の材料が届く時間帯ではない。
'_
ξ゚-゚)ξ 、
もう二十時を回っている。
デレは入浴中で、応対できるのは自分しかいない。
突然の来訪者に、私は少しすくんでしまった。
お屋敷が大きいだけあって、よくセールスの人が来るのだけど、
彼らを応対して、楽しかった記憶がないのだ。
ξ゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ ………。。。
.
452
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:36:12 ID:YX86E8KQ0
でも、出ないわけには、いかない。
なぜなら、お父様のお友だちかもしれないのだ。
ξ;゚ο゚)ξ 写真…写真…
ξ;゚ο゚)ξ ………
チャイムを聞いて、すぐに、お父様がくださった写真を見た。
元気のなさそうな殿方だ。
二階のバルコニーからそっと覗いて、顔だけは確認しないといけない。
ほどなくして、もう一度、チャイムが鳴った。
いつもなら一緒に着いてきてくれるデレが、いない。
写真を慎重に持って、音を立てないように、二階に向かう。
階段がきしむ音すら、この時はうるさく感じられた。
.
453
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:36:37 ID:YX86E8KQ0
ξ;゚-゚)ξ
息を、止める。
ゆっくり、ガラスの扉を開いて、バルコニーに出る。
夜風が髪を揺らし、からだの火照りを冷ます。
風の音も、脈打つ心臓の音も、うるさく感じられた。
ξ;゚Д゚)ξ
無意識のうちに振り返った。
いつもならそこに、デレがいるのだ。
大丈夫だよ、と言いたげな顔色を見て、私は、安堵するのだ。
でも、デレはいま、お風呂でリラックスしている。
レディーの入浴は、神聖でなければならない。
今、引き返して、デレに助けを求めることもできたけど。
私は、踏み出しそうになったその一歩を、すッと引いた。
.
454
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:36:58 ID:YX86E8KQ0
赤ちゃんのように床を這って、芝生を這って、柵まで向かう。
膝を、手のひらをくすぐる感触が、不気味に思えた。
あと一歩。 もう一歩。
ゆっくり進んで、柵から玄関口を見下ろす。
(”;;´ω`)
泥や油で汚れた顔に、ところどころ傷が目立つジャケットを着ている。
そのからだは揺らめいていて、強い風が吹けば、倒れそうな風体だった。
ξ;゚-゚)ξ
すぐに、写真と見比べた。
元気のなさそうな殿方だ。
力なく笑っている、特徴的な口角。
二階からだとハッキリ見えないけど、どこか、似ている。
.
455
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:37:39 ID:YX86E8KQ0
(´ω`;;”)
殿方は、時折、周囲を見渡す。
その動きのひとつひとつが、ゆっくりで。
顔以上に、元気のなさがうかがえる。
ξ;゚-゚)ξ
静かに、こっそり、息を吸う。
どうやら、危ない人でも、セールスや勧誘の人でもなさそうだ。
お父様のご友人か、物乞いの殿方か。
その判断は、この位置からだと、つかなかった。
(´ω`;;”)
(”;;´ω`)
のっそりと、玄関に視線を戻す。
呼吸が浅い。
半目で、大声を出そうともしない。
怖い人では、ない。
それは、わかった。
.
456
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:38:06 ID:YX86E8KQ0
ξ;゚ο゚)ξ
私はそのまま、じっと、殿方を見つめる。
殿方は、ただただ、呆然と立ち尽くすばかりだ。
声をかけようか。
玄関を出て、応対しようか。
あれこれ思考はめぐるけど、
ひとりでそれを行動に移そうとは、思えなかった。
(”;;´ω`)
ξ;゚-゚)ξ ッ
殿方は、ゆっくりと手を伸ばし、もう一度チャイムを鳴らした。
どくんと胸が跳ねて、一瞬、めまいがした。
.
457
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:38:27 ID:YX86E8KQ0
(”;;´ω`)
殿方の視線は揺らがない。
じっと、玄関から誰か出てくるのを、待っている。
ξ;゚-゚)ξ
出なきゃ。
怖い、という気持ちより、そんな気持ちが、強まってきた。
怖い人では、なさそうなんだ。
柵の門は、カギで閉まっている、襲われることはない。
(”;;´ω`)
でも。 デレがいない。
もう一度振り返ってみたけど、やっぱり、デレはいない。
今頃、お花を浮かべたお風呂を楽しんでいるに違いない。
.
458
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:39:04 ID:YX86E8KQ0
やっぱり、お引き取り願おう、
そう思ったタイミングで、殿方は倒れた。
ξ;゚ο゚)ξ !
そこからは、早かった。
無意識のうちに立ち上がっていた。
そして、自制を振り切って、私は門まで駆けつけていた。
.
459
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:39:31 ID:YX86E8KQ0
(”;;´ω`)
ξ;゚ο゚)ξ もし? もし?
門を飛び出して、殿方の肩をゆする。
とても、軽かった。
殿方のからだは、とても、軽かった。
ξ;゚ο゚)ξ 風邪をひきますわよ!
ξ;゚ο゚)ξ 殿方! もし!
どこか、悪臭もする。
肌は荒れているし、ふけも見受けられる。
(”;;´ω`)
ξ;゚-゚)ξ 風邪を…ッ!
ξ;゚Д゚)ξ ひき…ますわよ…ッ!
.
460
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:39:52 ID:YX86E8KQ0
私は、そのまま殿方を、引きずった。
私のような細腕でも、全力を出せば引きずれるほど、殿方は、軽かった。
石畳のひとつひとつを超えて、少しずつ、玄関まで運び込む。
ジャケットの裾が、汗かなにかで湿っていたけど、
それすら気にならなくなるほどに、私は夢中で、彼を引っ張った。
(”;;´ω`)
(”;;´ω`) う…
ξ;゚ワ゚)ξ !
半分を越えたあたりで、殿方が、ようやく反応を示した。
それを見て、私も、その場にぺたりと座り込んだ。
全身から汗が噴き出す。
めまいがして、頭がずきっとした。
.
461
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:40:22 ID:YX86E8KQ0
ξ;´ワ`)ξ ふう…
(”;;´ω`) …
(”;;´ω`) う………、……?
殿方は、まるであくびでもするかのような唸り声をあげた。
そうして、のっそり、上体を起こした。
(”;;´ω`) う…あ…
(”;;´ω`) ………あれ…?
ξ;´ワ゚)ξ お目覚めはいかが?
(”;;´ω`) んゥ
(”;;´ω`) ………きみは?
.
462
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:40:55 ID:YX86E8KQ0
よかった。
この殿方は、ちゃんと日本語を話せる人だったみたいだ。
ξ;´ο゚)ξ あら。
ξ;´ο゚)ξ 名乗らない人に、レディーは名を明かさなくってよ
(”;;´ω`) ご…ごめんなさい…
(”;;´ω`) ………なんだったかなァ…
ξ;´-゚)ξ ?
殿方は、ジャケットの内ポケットに手を入れた。
しばらくの間、もそもそしたかと思うと、紙切れを取り出した。
(”;;´ω`) ああ…
(”;;´ω`) ナイトウ…
ξ;´ο゚)ξ ないとう?
.
463
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:41:20 ID:YX86E8KQ0
(”;;´ω`) 僕は…ナイトウですお…
ξ;´ο゚)ξ ないとう…ナイトウ様ね?
ξ;´ワ゚)ξ 私は、鷺宮レイですわ
(”;;´ω`) よかった……鷺宮さんだった…
(”;;´ω`) むう。。。
ξ;´-゚)ξ あ
私の名前を聞くと、安心したのか、
殿方は、ゆったりとその場で横になろうとした。
ξ;´-゚)ξ
ξ;´ο゚)ξ お外で横になるのはよろしくなくってよ!
(”;;´ω`) ぐ…!?
.
464
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:41:58 ID:YX86E8KQ0
私は、自分のフェードアウトしつつあった体に鞭を打ち、
ガバッと立ち上がって、殿方の手を取った。
虚をつかれた殿方は、思わず変な声を出す。
お屋敷まで、あと半分なのだ。
ここまできたのだから、頑張って、歩かないといけないのだ。
ξ;゚ο゚)ξ ほら! 立ってくださいまし!
(”;;´ω`) 立つ…歩くから…
ぐい、ぐいと腕を引っ張ると、
物臭そうな振る舞いで、殿方は、ゆらりと立ち上がった。
やはり、強い風でも吹けば倒れそうな、芯の細さだった。
ξ;゚ワ゚)ξ お話は、お屋敷でお聞きしますわ!
ξ;゚ワ゚)ξ ほら、あと少しですわよ!
(”;;´ω`) ウ……ぐうう…!
.
465
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:42:18 ID:YX86E8KQ0
.
466
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:42:43 ID:YX86E8KQ0
ζ(゚、゚*ζ お姉さまーー?
ζ(゚、゚*ζ ……お姉さま?
玄関口で、私と殿方は、線が切れたように倒れこんだ。
ちょうどその頃、お風呂から上がったデレが、こちらまでやってきていた。
バスローブを着込んでいる。
香りからして、今日は、ガーベラを浮かべていたに違いない。
ξ;´-゚)ξ ふーー…
(”;;´ω`) ………ぐぬう
ζ(゚、゚*ζ おねッ !!!
.
467
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:43:07 ID:YX86E8KQ0
デレは、ようやくナイトウ様にも気がついたようだった。
ζ(゚ー゚';ζ おおッ お
ζ(゚ー゚';ζ おねーーさま??? その殿方は??
さっと、身を引いた。
私も、デレも、男性という存在とはかけ離れた生活を送ってきた。
男性は、いわば、檻に入っていないライオンのようなものなのだ。
ξ;゚-゚)ξ ……
(”;;´ω`) ぼ …僕は……えっと。。。
殿方はもう一度、あの紙切れに目をやる。
そして、うなずきながら、ナイトウです、と言った。
.
468
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:43:43 ID:YX86E8KQ0
ζ(゚ー゚';ζ お姉さま
ζ(゚ー゚';ζ まさか、キッスの話を、真に受けたので??
ζ(゚ー゚';ζ ほんとうに…殿方を連れてこなくても…その…
ξ;゚Д゚)ξ 違うわ!?
ナイトウ様の言葉を無視して、デレはうろたえ続けた。
すっかり疲れ切っているはずなのに、
私は思わず立ち上がって、潔白を、訴えた。
(”;;´ω`) ………あのう
ξ;゚ー゚)ξ ッていうか…
ξ;゚ー゚)ξ まさか、デレ貴女………殿方が怖くって??
ζ(゚ワ゚';ζ わわわ、私は、殿方とキッスや抱擁を交わしたことがありますのよ??
ξ;゚ο゚)ξ それ、お父様のことでしょう!
(”;;´ω`) ………。。。
.
469
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:44:07 ID:YX86E8KQ0
このままではラチが明かないと思い、
私は怯えるデレを尻目に、殿方を、そのままリビングへと案内した。
おぼつかない足取りで、殿方は、私についてきた。
この時、握っていた写真は、汗でふやけていた。
(”;;´ω`) わあ…
(”;;´ω`) ………ステキな家ですお…。
ζ(゚Д゚';ζ おおおお父さまに言いつけますわ!
ζ(゚Д゚';ζ お姉さまの破廉恥! ………ゼッタイにッ!
ξ;゚Д゚)ξ 違いましてよ!
(”;;´ω`) はうう…
.
470
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:44:31 ID:YX86E8KQ0
私は、握りしめていた写真を、デレにつきつけた。
元気のなさそうな殿方だ。
ζ(゚Д゚';ζ
ζ(゚-゚';ζ ……
ξ;゚-゚)ξ …
ξ;゚-゚)ξ そういえば、まだ
ξ;゚-゚)ξ 聞いていませんでしたわ、ナイトウ様
(”;;´ω`) …?
ソファーの手前で、ナイトウ様は正座している。
そして、うつむき気味だった顔をあげた。
.
471
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:44:56 ID:YX86E8KQ0
ξ;゚ο゚)ξ えっと…
ξ;゚ο゚)ξ 貴方が、お父様のご公達で??
(”;;´ω`) きんだち…?
ξ;゚-゚)ξ この…
お父様の便箋を、写真と一緒に見せる。
やはりゆらりとした挙動で、ナイトウ様はそれらを見た。
ξ;゚ο゚)ξ お父様が仰っているご友人が…貴方ですの?
(”;;´ω`) …………
(”;;´ω^) ……ッ!
.
472
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:45:24 ID:YX86E8KQ0
ずっと半目がちだった殿方の目が、開かれた。
(”;;´ω^) その通りですお…!
(”;;´ω^) ……手紙なんて出してくれていたんだ…!
ζ(゚ο゚';ζ ………
ζ(゚ワ゚*ζ !
ζ(゚ワ゚*ζ じゃッ じゃあ、貴方が?
(”;;´ω^) ナイトウ…ですお
ζ(゚ワ゚*ζ わあ……ようこそいらっしゃいまし!
.
473
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:45:55 ID:YX86E8KQ0
ξ゚ο゚)ξ あら、デレ、相手にだけ名乗らせるのが英国淑女でして?
ζ(゚、゚*ζ 今から名乗るところでしたの!
デレが、ぺこりと頭を下げる。
つられて、ナイトウ様も、かしこまったお辞儀を返した。
ζ(‐、‐*ζ 鷺宮てるみと申しますわ
(”;;´ω`) ナイトウと申しますお…
(”;;´ω`) ところで……でれ、というのは…?
ξ゚ワ゚)ξ この子は、ムカシっから、お父様にデレデレなのですわ
ξ゚ワ゚)ξ それで、会食の時なんかは、もっぱらデレ、なんて…
.
474
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:46:20 ID:YX86E8KQ0
、 、
ζ(゚、゚#ζ お姉さまはツンツンしてるから、つんなのですわ!
ξ#゚-゚)ξ べ!
ξ#゚-゚)ξ …ッつに、ツンツンしてなんかいないわ!
(”;;´ω`) あ、はは
ζ(゚ー゚*ζ というわけで、ナイトウ様
(”;;´ω`) ん
ζ(^ー^*ζ いち早く、お風呂に入ってくださいませんこと?
.
475
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:47:13 ID:YX86E8KQ0
ξ゚ο゚)ξ
(”;;´ω`)
言われて、殿方から漂う異臭に気がついた。
そして、手ににじんでいた脂にも、意識がいった。
ξ゚ο゚)ξ
ξ;゚-゚)ξ …
(”;;´ω`) す、すみませんお……ごめんなさいお…
ξ;゚Д゚)ξ デレ! デリカシーがないわ!
ζ(゚ワ゚*ζ にひひっ
.
476
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:47:40 ID:YX86E8KQ0
◆
( ・∀・) 妹は、殺された
( ・∀・) それは、間違いんですね?
( ´メω) ん…
あらかた調査を終えて、一週間。
事件の概要を頭に叩き込んで、俺は警視と食事にきていた。
警視のスケジュールなんて知らないが、
どうしてか、警視はよく、俺のために時間をつくってくれる。
ありがた迷惑にも近い感情が、胸で渦を巻いている。
( ´メω) 何を言うかと思えば
( ・∀・) まず、今回の、ふたつのお宮
( ・∀・) その迷宮たるゆえんを、自分なりにまとめてみたんですよ
( ´メω) ほーーう
.
477
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:48:07 ID:YX86E8KQ0
警視と食事、といっても、高級料亭なんかではない。
警視が昔から世話になっているという、屋台のおでん屋だ。
平成のこの時代にも、まだこんな屋台があることに、感動すら覚える。
好物と称する大根を食べながら、警視は耳を傾ける。
声色こそ変わらないが、きっと、興味深く思ってくれたのだろう。
( ・∀・) ひとつ目、根本的なところで
( ・∀・) そもそも、事件が事件として成り立っているのか…
( ・∀・) といったところ
俺は、自分の大根に、からしをいっぱい塗る。
今回のタスクを任されて以来、もっぱら、辛いものしか受け付けなくなっていた。
おかげで、毎朝、尻が火を噴くようになっている。
( ´メω) なるほどなァ
.
478
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:48:41 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) もしかすると、ガイシャは、事故死だったかもしれない
( ´メω) 背中を押されてンのにか
( ・∀・) その情報自体が、間違っている可能性もあります
( ・∀・) …というより、今ある情報が正しい確証はない
( ´メω) 続けな
おでんに合わせるのは熱燗だ。
春、まだ風に涼しさが残る季節の、夜。
冷酒を飲む季節では、ない。
( ・∀・) たとえば、DNA鑑定の技術は、当時にはなかった
( ´メω) おう
.
479
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:49:07 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) DNAを筆頭に、あらゆる科学が、現代より劣っている
( ・∀・) 過去の事件を紐解くワレワレにとって、
( ・∀・) 唯一の武器が、その文明の利器なんですよ
( ´メω) …
警視とある程度話してわかったのが、
警視は決して、慢心しない男である、ということだ。
俺がこんなことを言っても、一笑に付さない。
物知り顔でなにを、なんてことは言わないのである。
( ´メω) 言うがな、ボウズ
それが、心強かった。
.
480
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:50:27 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) その現代の利器は、モノがあってはじめて成り立つ
( ´メω) 当時の指紋採取なんて、現代の利器を使っても、できねえぜ
( ・∀・) それに三日間悩まされました
( ´メω) へえ
からし塗れの大根をかじった。
辛い。
からだを焼き尽くす刺激に、目が覚める。
常に辛いものを食べていないと、頭が回らないのだ。
( ・∀・) 調べていて気づいたのですが、
( ・∀・) その、現場の鷺宮邸………まだ、そのままで残ってるんですよね?
( ´メω) そのまま、かは定かじゃねえが
.
481
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:50:48 ID:YX86E8KQ0
事件が有名になって以来、鷺宮邸は、生きた廃墟として有名になった。
というのも、それまで煌びやかだった風体が、
手入れされなくなったことにより、荒れていったのだ。
雑草は放置され、蜘蛛の巣や鳥のフンが、そのままにされている。
加え、ウワサによると、残された姉は廃人になったそうなのだ。
( ・∀・) だったら、いくらでも手の打ちようがある
( ´メω) てェーーと
( ・∀・) まず、現場の脱出ルートの確認です
( ・∀・) この手の事件は、外部犯のしわざ、というのが一番カンタンですから
模型をつくったり、シミュレーターを動かすまでもない。
その場に立って、辺りを見渡し、歩けばいい。
.
482
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:51:14 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) そんなもの
( ´メω) 当時、既に、さんざん調べられている
( ・∀・) たとえば、池の底に、外へとつながっている穴があれば?
( ´メω) ン…
肛門を犠牲に生み出したアイディアを、並べていく。
( ・∀・) たとえば、小型の酸素ボンベを使って逃げ出したとして
( ・∀・) 当時の常識からしたら、そんな近未来的なもの、想定すらしない
( ・∀・) けどですよ
( ・∀・) いまの視点から見たら、小型のボンベというのは、夢ではない
( ・∀・) それを当時に置き換えることができる
.
483
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:51:40 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) 当時考えられもしなかったようなそれを、
( ・∀・) 似たような形で再現し、逃げ出した…なんて説が、浮かぶんです
( ´メω) ……
警視が、腑に落ちないような顔をする。
( ´メω) あれだ…ただの例えなんだよな
( ・∀・) まあ
( ´メω) あまりにも非現実的すぎやしねえか
( ・∀・) 当時の視点だと、そうなるんです
( ´メω) ナニが言いてえ
.
484
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:52:08 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) 俺は、視点を、変えました
( ・∀・) 未解決の事件…としてではなく、
、 、 、、 、 、 、 、、 、 、、 、、 、 、
( ・∀・) ロマネスクが犯人であるという前提
( ´メω) …!
警視が、ぐい飲みに伸ばす手を止めた。
ぴたり、と止まった。
( ・∀・) これが、現代の視点から見る、強み
( ・∀・) 現代の利器ってやつですよ
( ´メω) ………。
.
485
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:52:29 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) 俺は、八王子事件を、ただ捜査するんじゃない
( ・∀・) ロマネスクとの関連性を、調べるんです
( ・∀・) だったら……そういったアプローチが、可能になる
( ´メω)
ぐい飲みを、口に運ぶ。
飲んで、大根をかじって、もう一杯。
警視はその間、ひと言も発しなかった。
( ´メω)
( ´メω) …
( ・∀・) アレですよ
、 、、 、、 、、 、、 、
( ・∀・) 今のボンベの話は、ロマネスクのファイルからパクりました
( ´メω) なるほどな……合点がいったぜ
.
486
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:52:59 ID:YX86E8KQ0
( ・∀・) そこで
( ・∀・) 八王子事件を迷宮に仕立て上げている、そのトリック…
( ・∀・) ロマネスクの過去のファイルを漁れば、何かしらのヒントがある
( ・∀・) そう思い、残りの四日を過ごしました
( ´メω) へえ。
面白くなさそうな顔をする。
ロマネスクのファイルと言えば、その大半で、警視が関わっている。
警視は、ロマネスクのライバルだったのだ。
自分の過去も洗われる感覚を受けて、
いい気分でいられる人は、そういないだろう。
( ・∀・) …まだ進展ゼロっすけど
.
487
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:53:24 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) 気に入った
( ´メω) 適当に選んだにしちゃあ、上出来なタマじゃねえか
( ・∀・) 恐縮っす
先週まで、ただの窓際の雑用係だったし。
朝一でみんなにコーヒーを配るのが日課だったし。
( ´メω) しかし、だボウズ
( ´メω) こいつは、ファイルを漁ってわかるヤマじゃ、ねえ
( ・∀・) まずは、地取りにいきますよ
( ´メω) 地取りィ?
( ・∀・) 住所は、控えましたから
( ・∀・) 鷺宮邸に、直接行って……まずは、偵察します
.
488
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:54:04 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) まあ、…。
( ・∀・) ア…すんません、からしとシラタキください
四日目、ロマネスクの資料ぜんぶに、目を通そうとした。
しかし、八王子のそれの比にならない量に、尻が痛んだ。
( ・∀・) …
( ・∀・) そッすね
( ・∀・) 迷宮入りのゆえんとして、他にも思いつきましたよ
( ´メω) なんでい
( ・∀・) 誰かが、嘘をついているんです
( ´メω) 誰かッてえのは
( ・∀・) 誰かっすよ………捜査に携わった、誰か
.
489
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:54:28 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) 身内を疑うか
( ・∀・) だって、仕方ないでしょ
( ・∀・) ある意味、一番、いッちばん簡単な、解決っすから
一応、捜査班の名前も、メモに並べてある。
そこに警視の名前がなかったのが、少し残念だった。
( ´メω) いいだろう、ボウズ
( ・∀・) あとですネ、
( ´メω) これ以上は聞かねえ
( ・∀・) えっ
.
490
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 23:54:48 ID:YX86E8KQ0
( ´メω) さっそく、地取りに行ってくれや
( ´メω) 空論並べたって、そいつァただの、絵に描いたモチだ
( ´メω) サポートは、する
( ´メω) 上官としての命令だ、ヤマはきちっとこなせ
( ・∀・) …!
シラタキに、からしをもっちゃりと盛る。
そして、口の中に放り込んだ。
.
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