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(´・_ゝ・`)ペアリングのようです(゚、゚トソン
1
:
名無しさん
:2018/01/02(火) 16:02:26 ID:Q.JOBvVs0
彼は、私の主人。
彼は、私の事を名前で呼ぶ。
彼は、大の甘党。
.
71
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 16:53:25 ID:Z1FMOz0U0
(゚、゚トソン「あーーーー…なんくるないさぁ…」
食欲の秋、
読書の秋。
でも秋の夜長には、やっぱりお酒が1番だと思うんですよ。
どの芋も主張をし過ぎず、しかし遠慮もせず。
本日も良いペアリングでした。
.
72
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 16:56:02 ID:Z1FMOz0U0
本日分は以上になります。
禁酒中の方も、お酒が得意でない方も、
読みながらお酒を楽しんでる気になれたら、と思います。
ありがとうございました。
73
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 17:06:59 ID:PFY8gdsQ0
乙
スイートポテト食べたくなった
74
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 17:24:42 ID:A4cRqocQ0
乙
スイートポテトとか長いこと食べてないな
75
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 20:36:43 ID:RpbZdeeU0
乙
トソンの独り言ずっと楽しそうだな
76
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 21:01:39 ID:zzTKCb.c0
甘味と酒っていう相反するものを交互に描写するのいいな
77
:
名無しさん
:2018/01/04(木) 17:32:57 ID:gv6aY6w20
タイトルそっちの意味か
乙
78
:
名無しさん
:2018/01/05(金) 00:55:47 ID:yS5wqgEM0
甘いものと酒って合うよなー
大福と日本酒とか食う人いるよね
79
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:14:12 ID:gveljbA60
彼はよく、サプライズのような事をする。
彼のその一つ一つが、私には宝物のようだった。
.
80
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:14:54 ID:gveljbA60
グラグラ、グツグツ、ふつふつ。
大きなお鍋の中で、沸騰したお湯が騒ぎ立てている。
急かされるようにグラグラと動く『それら』を見て、思わず笑みが零れた。
(゚、゚トソン「ふっふっふ…」
(゚、゚トソン「栗ご飯…渋皮煮…栗とサツマイモのコロッケ…」
(゚、゚トソン「ふっふっふ…」
(゚、゚トソン「ふーっふっふっふ!」
笑いが止まらない。
無理もない。
秋の味覚、栗が大きなお鍋いっぱいにあるのだ。
団栗ではなく、栗。
小さい頃、栗が食べたいとせがんだら、団栗があるでしょと言われてずっと団栗を食べていた事がある。
黒歴史だ。
栗。本物の栗。何にして食べようか。どの酒と飲もうか。
ああ、ああ、涎が。
81
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:15:34 ID:gveljbA60
(´・_ゝ・`)「何してるの?」
突然後ろからかけられた声に驚く。もうそんな時間か。
栗を煮ることに集中していたら、時間がだいぶ経っていた。
キッチンに主人が来るのは珍しい。
私を探してここまで来たのだろうか。
いや、私というより『私の作るおやつ』か。
(゚、゚トソン「主人。突然現れないでください、驚きましたよ」
(´・_ゝ・`)「嘘でしょ?眉ひとつ動かさなかったじゃない」
(゚、゚トソン「顔にはあまり出ませんが私は繊細ですので、小さな音にも心を痛めてしまうのですよ。騒がしいのとかマジ勘弁です」
(´・_ゝ・`)「僕、君が夜中にキッチンでお酒飲んで騒いでるの知ってるよ」
(゚、゚トソン「嫌ですね主人。それ、夢ですよ」
82
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:16:31 ID:gveljbA60
4.栗と団栗は似て非なる(味)
.
83
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:17:35 ID:gveljbA60
(´・_ゝ・`)デミタス。主人。塩と砂糖を遠目からでも見分けられる。
(゚、゚トソン トソン。使用人。酒と水を遠目からでも見分けられる。
.
84
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:18:44 ID:gveljbA60
ストン。
包丁で栗を切る。
茶色い渋皮の中は綺麗な黄色だ。
(´・_ゝ・`)「わぁ、すごいね!美味しそうだ」
(゚、゚トソン「ええ、こんなに綺麗なんて、びっくり〜ですね」
(´・_ゝ・`)「え?」
(゚、゚トソン「え?」
(´・_ゝ・`)「これ、何作るの?」
(゚、゚トソン「そうですね、まだ決まってないんですよ。びっくり〜ですが」
(´・_ゝ・`)「え?」
(゚、゚トソン「え?」
85
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:20:01 ID:gveljbA60
ちょっと今はこの栗の素晴らしさに夢中で主人に構っていられない。
ほくほくとお芋のように美味しそうな栗達。
どう活かしてあげようか。
私は可愛らしい所もある人間なので、『期間限定』に弱い。
栗だなんて『秋』にしか楽しめない物を、嫌いにはなれない。
けれど自分ではなかなか買ったりはしない。栗を買うならワンカップを買う。そんな私も嫌いではない。
そんな、甘く切ない関係である栗がこんなにたくさん、美味しそうな状態で目の前にあるのだ。
興奮などせずにいられるだろうか。いや、いられない。
主人の目など気にせず栗達に微笑みかける。
(゚、゚トソン「貴方達を何にしてあげましょうかねえ」
86
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:20:47 ID:gveljbA60
(´・_ゝ・`)「あっ、僕モンブランが食べたいな」
(゚、゚トソン「………えっ」
(´・_ゝ・`)「モンブラン」
(゚、゚トソン「………えっ?」
(´・_ゝ・`)「モンブラン」
(゚、゚トソン「山ですか」
(´・_ゝ・`)「ケーキの方」
速攻で決まった。
ええ、ええ。この栗は主人への贈り物ですから。主人に決定権がありますよ、ええ。
さらば栗ご飯。あなたに使う分は、大量のマロンペーストに生まれ変わるのだ。
87
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:22:06 ID:gveljbA60
(トソン)「……モンブランですね、わかりました……」
(;´・_ゝ・`)「そ、そんな顔しなくても…ていうか何がどうなってるのその顔…」
(トソン)「顔なんてただの飾りです…金持ちにはわからんのですよ…」
(´・_ゝ・`)「余った栗は好きに使っていいからさ」
(゚、゚トソン「今初めて主人が輝いて見えます、ああっ、眩しい…後光が…」
(´・_ゝ・`)「きみ、結構図太いよね」
(゚、゚トソン「よく言われます。なんでしたっけ、モンブラン。よしきた、たくさん余らせよ」
(´・_ゝ・`)「きみ、大物になるよ」
(゚、゚トソン「何を仰います。もうなってますよ」
88
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:23:29 ID:gveljbA60
リビングで待機していてくれと主人を送り出す。
キッチンは私の城であり、今から戦場と化するのだ。
危ないから、というか邪魔なので。
(゚、゚トソン「まず栗クリーム作りますよ、栗クリーム」
(゚、゚トソン「栗たちを潰して漉します」
(゚、゚トソン『た、助けてくり〜やめてくり〜(裏声)』
(゚、゚トソン「ふっ、大丈夫ですよ。あとの方々は潰したりしません」
(゚、゚トソン『な、なんだって〜命の恩人だ〜(裏声)』
(゚、゚トソン「あとの方々は栗ご飯にしますからね!」
(゚、゚トソン『ええ〜びっくり〜!(裏声)』
(゚、゚トソン「漉した栗と牛乳、砂糖を鍋で煮込んで〜」
グツグツという音すら、美味しそうに聞こえる。
今日の私は素面でもハイテンションだ。
89
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:24:23 ID:gveljbA60
ロ ⊂(゚、゚トソン「じゃん!ラム!羊じゃない方です」
ロ ⊂(゚、゚トソン「有るのと無いのじゃ大違いです、これ大事」
ロ ⊂(゚、゚トソン「これも入れます。飲みません、我慢します」
"ロ(゚、゚トソン
ロ(゚、゚トソン
ロ⊂(゚、゚トソン「我慢します」
トポポ。
ラムダークが良い匂いを振りまいて鍋の中へ入っていく。
アルコールを飛ばさなきゃいけないなんて。
ああ、悲しい。けど美味しい。美味しくなる為には仕方がない。
90
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:26:08 ID:gveljbA60
(゚、゚トソン「栗クリームは冷蔵庫で冷やして固めます」
作業工程が多いものほど、慌ただしくせず落ち着いて行動する。
私はテンションが上がりすぎるとあまり良くいった試しがないから。
(゚、゚トソン「その間にメレンゲを作ります」
(゚、゚トソン「それではチームメレンゲの皆さんに登場してもらいましょう!卵白さん、グラニューさん、アーモンプーさんです」
(゚、゚トソン「数回に分けて混ぜます。とにかく混ぜます。ひたすら混ぜます」
カシャカシャカシャカシャ
(゚、゚トソン「全ての料理に言えることですが、特にメレンゲを初めて作った人は何を思いながらひたすらに卵白を混ぜていたのでしょうね」
カシャカシャカシャカシャ
(゚、゚トソン「『メレンゲが出来る』という事実を知らなければ、卵白をひたすら混ぜ続けるこんな行為、やってられませんよ」
カシャカシャカシャカシャ
(゚、゚トソン「ふぅさっくり。これを丸ーい感じに絞って焼きます」
シボリシボリ
91
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:27:29 ID:gveljbA60
(゚、゚トソン「良かった、有りました」
このキッチンには、魔法の引き出しがある。
といっても食器棚を含め収納スペースはたくさんあって、まだ全部を確認出来てはいないけれど。
お菓子を作るのに必要な器具やら何やらは、大きな引き出しの中にきちんと保管されていた。
まぁ、主人は手作りの菓子が無いと萎れて消えてしまうだろうから、私が来るまで勤めていた人が買い揃えたのだろう。
今回もモンブランを作るのに必要不可欠なモンブラン口金を、魔法の引き出しから発掘した。
(゚、゚トソン「……私が来る前は誰が作っていたんでしょうかね」
(゚、゚トソン「……まぁいいか。モンブラン搾りましょう」
92
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:28:26 ID:gveljbA60
綺麗な薄黄色。
真ん中に一つ大きな栗を乗せたそれを持ってリビングのドアを開ける。
目があった主人の顔はパァっと光が射したように明るくなった。
糖分を見ると喜ぶ、パブロフの主人。
まぁ私はアルコールを見ると喜ぶのであまり人のことは言えない。
(゚、゚トソン「主人、モンブラン出来ましたよ」
(*´・_ゝ・`)「わぁすごいね、お店で売ってるやつみたいだ」
(゚、゚トソン「ありがとうございます」
(´・_ゝ・`)「前から思ってたんだけどさ」
(゚、゚トソン「はい」
(´・_ゝ・`)「トソンくん、料理の腕すごいけどシェフとかだったの?」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「いえ。料理を作る機会が、わりと多かっただけですよ」
(´・_ゝ・`)「そうなんだねぇ、他の家事も上手だから、前職も使用人みたいな感じなのかと思ったよ」
93
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:29:35 ID:gveljbA60
栗に負けないくらいホクホクとした顔の主人は、話しながらもあまり私に集中してない様子だった。
目はモンブランしか見えていない。
(゚、゚トソン「…使用人という呼び方ではなかったですね…」
(´・_ゝ・`)「え?」
主人がモンブランから私へと視線を移した。
こほん。
(゚、゚トソン『おかえりなさいませぇ、ご主人様ァ(裏声)』
(´・_ゝ・`)
(゚、゚トソン「ここに来る前の前…?だったか、メイドさんしてましたよ…主人、どうしました鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」
(´・_ゝ・`)「………今の声どこから出して…びっくりした…」
(゚、゚トソン「そこですか驚くの」
(´・_ゝ・`)「………えっ、待って…前のとこでは普通に『ご主人様』って呼んでたの」
(゚、゚トソン「そこですか突っ込むの」
94
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:30:48 ID:gveljbA60
『メイドをやっていた』というところは気にしないのか。
そもそも主人は『そういうメイド』を知っているのだろうか。
(゚、゚トソン「…まぁ、とりあえずどうぞ召し上がってください」
(´・_ゝ・`)「はい、いただきます」
待ってましたと言わんばかりにフォークを握り、モンブランを小さく切る。
柔らかいクリームの中のメレンゲが、ホロリと崩れた。
(*´・_ゝ・`)「やぁ、美味しいなぁ。クリームがちょうどいい甘さだ」
(゚、゚トソン「……」
主人はそれ以上、私のことについて聞いてこなかった。
モンブランを楽しみたいが為に他の情報を排除したのかもしれないが、
むやみやたらと過去にベタベタ触れてこないところが有り難かった。
95
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:32:12 ID:gveljbA60
主人は黙々とモンブランを食べている。
まるで山登りをしてるかのように真剣な顔で。(少し緩んでいるが)
(*´・_ゝ・`)
何故甘味を求めるか。そこに甘味があるからだ。
アッサムをストレートで淹れる。甘い香り。
淹れてすぐに主人が飲もうとするも、紅茶の攻撃を食らったようで
あちと小さい悲鳴を上げて、ふぅふぅと息を送っていた。
(´・_ゝ・`)「ふぅ…ごちそうさまでした」
(゚、゚トソン「お粗末様でした」
(´・_ゝ・`)「あ、そうだトソンくん」
(゚、゚トソン「はい?」
(´・_ゝ・`)「これ、どうぞ」
表紙が存外しっかりとした、一冊の本を手渡される。
少しばかり厚い。表紙の絵は暖かみがあって、好きだ。
96
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:32:54 ID:gveljbA60
(゚、゚トソン「これは?」
(´・_ゝ・`)「この前言ってた僕の小説。出来上がったからさ」
(゚、゚トソン「え」
(´・_ゝ・`)「あれ、あげるって約束だったでしょ」
先日までの主人の仕事であった『小説』だ。
私が好きなファンタジー物を書いたと言っていた。
出来たら読ませて欲しいと私は言った。
ーーー丸々貰えるとは思っていなかったけれど。
(゚、゚トソン「あ。そう、でしたね」
97
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:33:35 ID:gveljbA60
(´・_ゝ・`)「どうしたの?」
(゚、゚トソン「…いえ、人から何かを頂くのは、…久しぶりでしたので少し驚きました」
(´・_ゝ・`)「ああ、サプライズだったかな」
主人は、静かに小さく笑った。
思いのほか優しい笑顔で、私もつられてしまう。
(´・_ゝ・`)「びっくりーした?」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「はい。びっくりーしました」
特に凄い事をしたわけでも言ったわけでもないのに、本を抱えた胸が何故だか暖かくなった。
98
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:34:07 ID:gveljbA60
(゚、゚トソン「ふっふっふ…」
(゚、゚トソン「ふっふっふふっふっふ」
(゚、゚トソン「仕事終わりーましーた!」
(゚、゚トソン「明日は栗ご飯ですし、今日はプレゼントも貰いました!」
(゚、゚トソン「盆と正月が一緒に来たかのような!!素晴らしさ!!」
(゚、゚トソン「これで酒飲まなきゃおかしいって事で飲みますよ」
業務が終わればナイトフィーバー。
特に今日はいつもよりハイテンションでお送りしております。
99
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:34:54 ID:gveljbA60
(゚、゚トソン「今日の主役はこの方、そうですマロン様です」
(゚、゚トソン「メロンにメロメロ、マロンにはマロマロ」
(゚、゚トソン「主人のおやつの残り、モンブランがおつまみです」
冷蔵庫を開ける。
主人に作ったものよりは少し雑なモンブラン。
それでも高貴なオーラを放っている。モンブランは偉大なのだ。
(゚、゚トソン「よいしょっと」
このキッチンには魔法の引き出しがあり、そして秘密の扉もある。
床下収納だ。
扉を開けるたびに心が弾む。床の下は私の秘密基地。
そう、私がキッチンを任されてから、床下はお酒の保管庫その1になっている。
(゚、゚トソン「ブランデー様、今日は貴方に決めた!」
(゚、゚トソン「モンブランブランデー」
(゚、゚トソン「ブランブランですね」
100
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:35:35 ID:gveljbA60
トクトクトク。
お酒を注ぐ音が好きだ。
もちろん注ぐだけじゃ済まないけれど。
(゚、゚トソン「なんて美しい、透き通った琥珀色…」
うっとりしてしまう。
自分のお金じゃ買えないような、手の届かないお酒様。
もちろん主人のお金で買ったのだけれど。
(゚、゚トソン「しかぁし!」
(゚、゚トソン「今日はそれだけでは終わりません」
そのままブランデーを楽しもうとしていた自分を叱咤し、再度栗と対面する。
101
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:36:27 ID:gveljbA60
(゚、゚トソン「この栗達を大量の砂糖と水で煮ます」
(゚、゚トソン「そのまま漬けます」
(゚、゚トソン「明日も漬けます」
(゚、゚トソン「明後日も漬けます」
(゚、゚トソン「ブランデー様を入れ」
(゚、゚トソン「マロングラッセの完成です」
(゚、゚トソン「こちらに3日漬けておいたマロングラッセが」
(゚、゚トソン「ありません。現実は3分クッキングのように準備よくないのです」
(゚、゚トソン「しかし3日後が楽しみになるという特典があります、やったね」
102
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:37:41 ID:gveljbA60
砂糖に漬けられた栗達を見つめる。
よしよし、美味しくなるのですよ。
(゚、゚トソン「……主人に差し上げたら喜びますかね」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「少しだけ分けてあげましょう」
素敵なサプライズの、お返しに。
どんな顔をするだろう。甘いものだから喜ぶだろうとは思う。
(゚、゚トソン「楽しみ一つ増えました」
やったね。
103
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:38:32 ID:gveljbA60
ではではお待ちかねの時間です。
(゚、゚トソン「あらっ、ファンタジー小説読みながらモンブランを口にする私…女子力高すぎ…?」
(゚、゚トソン「しかもブランデーをペアリングに…大人力高すぎ…?」
(゚、゚トソン「トソン…恐ろしい子…」
(゚、゚トソン「いただきます」
さくり。
ぱくり。
こくり。
104
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:39:18 ID:gveljbA60
ーーー何故人は酒を飲むのか。
(゚、゚トソン「そこに酒があるからです」
果たして、この最高のモンブランと最強のブランデーを楽しみながら
主人の小説を読めるのだろうか。
兎にも角にも、本日も良いペアリングでした。
.
105
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 15:40:43 ID:gveljbA60
本日の投下は以上になります。
ありがとうございました。
106
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 16:50:04 ID:LeZEjueI0
トソン酒飲んでなくても飲んでてもテンション変わらなそう
乙
107
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 16:54:39 ID:nzotz.VE0
乙です
お腹空いてきたなぁ
108
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 17:46:54 ID:kgqZwM4o0
尾も白い
109
:
名無しさん
:2018/01/12(金) 23:18:29 ID:pUJGgBd20
>塩と砂糖を遠目からでも見分けられる
ヴラマンクかよ
110
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 08:28:41 ID:3MpLMIHI0
おつ
描写がすごく丁寧でいいんだけど中の人も料理するの好き?
111
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:17:18 ID:nifymwV20
彼は案外、イベント事が好き。
.
112
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:18:14 ID:nifymwV20
(´・_ゝ・`) デミタス。30歳は超してる。和菓子も洋菓子も好き。
(゚、゚トソン トソン。20歳は超してるはず。和酒も洋酒も大好き。
.
113
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:18:57 ID:Cv0KIyqg0
(´・_ゝ・`)「トソンくん、トソンくん。トリックオアトリート」
いい歳をした大人が、真顔で何か言ってきた。
彼には分からなかったのかもしれないが、私は今風呂掃除中だ。
この屋敷は風呂まで大きくて広い。
そして2つある。主人用と使用人用。
何を隠そう私はこの屋敷に住み込みで働いている。
初めのうちは銭湯ばりに広い風呂にはしゃぎこそしたが、そのうち掃除の大変さの方が優ってきた。
風呂掃除はもしかしたら1番嫌いな業務かもしれない。
そんな嫌いな業務を片付けようと必死になっている私に、彼はまたあの呪文を口にした。
(´・_ゝ・`)「トソンくん、トリックオアトリート」
(゚、゚トソン「主人、シャラップ、ハウス」
114
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:19:33 ID:Cv0KIyqg0
5.ハロウィンはパリピのコスプレ大会
.
115
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:20:15 ID:Cv0KIyqg0
(´・_ゝ・`)「酷いなきみは。雇い主を犬扱いして」
(゚、゚トソン「主人こそ酷いですよ、トリトリ言うから焼き鳥とビールいきたくなったじゃないですか」
(´・_ゝ・`)「きみ、ハロウィンを知らないのかい」
私の発言に、『そんな馬鹿な』とでも言いたそうに主人が大袈裟なリアクションをした。
そんな人間いるのか、と小声で言ったのを聞き逃さなかった。そんなにハロウィンが好きなのだろうか。
(゚、゚トソン「知ってますよ。あのパリピ族がコスプレしながら騒ぎ立てるクソみたいな風習でしょう」
都会がこぞって変な格好をすることを許し、ゴミに溢れかえる。
ハロウィン前後の都内は、禁酒という言葉の次に嫌いなものだった。
(´・_ゝ・`)「きみ、ハロウィンに何か恨みでもあるの?」
(゚、゚トソン「無いですけど、イベント事ではしゃぐ奴らが憎いだけです」
(´・_ゝ・`)「怖いよ」
116
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:21:08 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「イベントって必ずノルマが付いて回るんですよね…本当めんどくさくて仕方なかった…」
(´・_ゝ・`)「ノルマ?」
(゚、゚トソン「いえ、こちらの話です」
(´・_ゝ・`)「ハロウィン良いじゃないか。お菓子を合法的に貰えるんだから」
(゚、゚トソン「主人はいついかなるときもお菓子を貰ってるじゃないですか」
合法だろうと何だろうと3時になればおやつをせびる人間が何を言うのだろうか。
そもそもハロウィンは子供がお菓子を貰うのではなかったか。
そんな事を言えば、主人は少し不貞腐れたような顔をした。なるほど、精神は子供に近いかもしれない。
(´・_ゝ・`)「まぁ仮装は僕もよくわからないけど」
(゚、゚トソン「主人、仮装いらないじゃないですか。そのままで充分、スイーツゾンビ役出来ますよ」
(´・_ゝ・`)「アルコールゾンビに言われたくないなぁ」
117
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:22:00 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「で、主人。あの呪文を言うためだけに私の掃除を邪魔したのですか?」
そもそも脱衣所で何故こんな会話をしなければならないのだと、非難の目を向ければ主人は全く気にしていない面持ちで。
(´・_ゝ・`)「いやいや、今日はハロウィンぽいものが食べたいなって言おうと思ってね」
間の抜けた事を言うのだ。
この人はおやつにかける情熱だけで動いている気がする。
この屋敷で働いて早3ヶ月程だが、主人がおやつ以外の用事で自ら自室を出ることは基本無い。トイレくらい。それも部屋出て数歩の距離。
ご飯やらお風呂やらはこちらの用意が終わって、伝えに行って、そこでやっと出てくる。
『仕事』をしていなければ、ひきこもりと何ら変わりはない。
(゚、゚トソン「ハロウィンぽいもの…そういえば先日頂いた南瓜がまだ残ってますね。それを使いましょう」
(*´・_ゝ・`)「南瓜!南瓜のお菓子美味しいよね。やぁ、楽しみだ」
(゚、゚トソン(甘ければかぼちゃの煮物でも喜ぶんじゃなかろうか)
118
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:22:49 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「さて、何を作りましょうかね」
出来たら呼ぶので、と主人を部屋に返し風呂掃除を再開した。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。ブラシで泡を立てながら汚れを落とす。
風呂掃除はどこに行っても好きじゃない。
頭の中で、南瓜をどうしてやろうか考える。
(゚、゚トソン「煮物…煮物…だめだ、煮物が頭から離れない」
無理もない。南瓜の煮物は私の好物の一つ。甘く煮た南瓜も、酒に合う。
(゚、゚トソン「そういえば最近日本酒さんとお会いしてないな…」
(゚、゚トソン「会いたい…会いたくて震える…」
(゚、゚トソン「いえ、アル中とかじゃないんで」
(゚、゚トソン「あっ、和菓子作ってないし、和菓子にしよう」
ーーーハロウィンは西洋文化だよーーー
そんなツッコミが聞こえた気がしたが、シャワーで泡とともに流して聞こえないフリをした。
119
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:23:27 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「南瓜良し。はくりっきーとかたくっりー良し。餡子も良し」
(゚、゚トソン「そして今日はゲストをお呼びしました、クリームチーズさんです」
(゚、゚トソン「チーズ入ってても和菓子は和菓子。私が和菓子と言えば和菓子」
掃除を無事に終え、時間も丁度良いのでキッチンに来た。
こんなに広いにもかかわらず、使うのが私だけなのでもはやホームのような居心地の良さ。
まぁホームとかいうもの、あまりよくわからないけれど。
今までどんな人間が使っていたかはわからないが、丁寧かつ几帳面な人だったのではないだろうか。
器具や機器、食器。新しいものではないにしても、汚れも錆れも殆ど無く使い勝手の良いように管理されている。
誰が。
その誰かは、どこへ。
(゚、゚トソン「……まぁ考えても仕方ありませんね」
(゚、゚トソン「きんつば作りますよ」
120
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:24:07 ID:Cv0KIyqg0
とん。たん。南瓜を切る。
ある程度料理に使ってはいたものの、結構な量が残っていたので主人の『ハロウィンぽいもの』というリクエストはちょうど良かった。
食材はなるべく無駄にしたくない。
(゚、゚トソン「これで頂いていた食材は使い切りましたね。美味しかったし有難かったです」
(゚、゚トソン「南瓜を蒸します。」
(゚、゚トソン「そしてマッシュしマッシュ」
(゚、゚トソン「芋栗南瓜は蒸しマッシュしてなんぼです」
スイートポテトを作る時と同様に蒸して潰す。
橙色が綺麗だ。
121
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:25:04 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「砂糖入れて混ぜ捏ね。餡子用とクリチ用に分けます」
(゚、゚トソン『僕クリチ!君の名は?(裏声)』
(゚、゚トソン『私餡子!(裏声)』
(゚、゚トソン『僕たち今からどうなるんだろう…あっ、餡子さん!(裏声)』
(゚、゚トソン「お前たちはマッシュされた南瓜の中に埋められるんだよぉ〜ひっひっひ」
(゚、゚トソン「……ハロウィンぽく魔女みたいな感じでやってみましたが何か違いますね」
四角く形成し、ひとまず置いておく。
122
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:25:48 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「薄力粉と片栗粉を水で混ぜましょうね」
和菓子は奥が深いけれど、作ってみると案外簡単なものもあって助かる。
お菓子づくりは苦ではないけど、私は他にもやらなくてはいけないことがあるので、パパッと作れるものは大変有難いのだ。
(゚、゚トソン「皮の完成です」
(゚、゚トソン「包んで焼きます」
一面一面、焦げないように注意をして焼く。
おこげは美味しいけど、ただの焦げは味も匂いも台無しにしてしまう。
(゚、゚トソン「……餃子食べたいな。羽がついたパリッパリの…明日の夜ご飯にしよう」
(゚、゚トソン「できました、きんつばです」
白い皮からうっすら覗く橙色が、食欲を引き立てる。
食欲の秋。
123
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:26:40 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「……そういえば、この南瓜くれた人…」
宅配便の差出人を思い出す。大きなダンボールいっぱいの秋の味覚を送ってくれた人。
(゚、゚トソン「蛯沢さん…でしたっけ。お礼とかしなくていいのかな」
主人とどんな関係かわからなかった為口出しをしていなかったが、ここ最近の主人のおやつは、『蛯沢氏』からの頂き物で賄われていた。
おやつだけでは無く、普段の食事にも。
これだけ貢献してくれた人に、お礼をしないわけにはと、ふと思ったのだ。
(゚、゚トソン「……あとで主人に聞きますか」
124
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:27:23 ID:Cv0KIyqg0
コンコン。
主人の部屋のドアをノックする。『仕事』に集中しているだろうから、ノックの音だけじゃきっと気が付かない。
返事がないもののドアを開け、声をかけた。
(゚、゚トソン「主人、主人。失礼。おやつ出来ましたよ」
(´・_ゝ・`)「ああ、はぁい」
机に向かっていた主人が伸びながらこちらを見る。
(゚、゚トソン「ちょこっとだけ早いですけどね」
部屋の掛け時計に目をやる。
14時45分。
3時のおやつ、にはまだ早い。
けれど出来たての方が美味しいので、早めに呼びに来てしまった。
(´・_ゝ・`)「ちょうど今ひと段落ついたところなんだ。よし、リビングへ行こう」
125
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:28:26 ID:Cv0KIyqg0
階段を降り、リビングへ向かう。
ちらりと主人を見ると頰がカラフルになっていた。
ハロウィンの仮装でもしようとしたのだろうか…いや流石に違うだろう。
(゚、゚トソン「今回は絵本でしたっけ」
(´・_ゝ・`)「そう。これがまぁ、奥深いんだ」
彼の今の『仕事』は絵本作家だ。
彼は料理以外のことは大体出来ると言っていたが本当にそのようで、色んな『仕事』をしている。
(゚、゚トソン「主人、絵も描けるんですね」
(´・_ゝ・`)「この間トソンくんにあげた小説、あれの表紙僕が描いたんだ」
(゚、゚トソン「えっ、あの表紙の絵、私好きでした」
彼が書いた小説を貰って読んでみたが、案外面白くて、私のお気に入りの一冊となった。
物語を作るのが上手なのだろう。頭も良いから、私のような馬鹿な人間でもわかりやすくスラスラ読める文章だった。
絵本も面白そうだと思う。
126
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:30:08 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「主人、絵の具使いました?」
(´・_ゝ・`)「よくわかったね!」
(゚、゚トソン「失礼」
ウェットティッシュをポケットから取り出して、主人の彩り豊かな頰を拭った。
ありがとう、気が付かなかったよと主人は少し照れ臭そうにしていた。
(゚、゚トソン「何か描けるだけ凄いと思いますよ。私は昔から何か描いてると誰かが悲鳴を上げる怪奇現象が起こるので、描ききったことはないです」
私自身、真面目に描いているのだが。
(´・_ゝ・`)「えっ何それ怖い…今度何か描いてみてよ」
(゚、゚トソン「ええ…仕方ないですね…覚えてたら、ですね」
(´・_ゝ・`)「僕が忘れないから大丈夫」
(゚、゚トソン「…そうですか」
127
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:31:08 ID:Cv0KIyqg0
(*´・_ゝ・`)「わぁ、なにこれ美味しそう」
(゚、゚トソン「きんつばです。こちらが餡子、こちらがクリームチーズ入りです」
主人の目が輝く。おやつを前にすると、本当に嬉しそうにする。
餡子とクリームチーズを別々に差し出すと、どちらから食べようか悩み出した。
どちらにしようかなを何度かやって、やっと決まったのかクリームチーズの方にフォークを刺す。
(*´・_ゝ・`)「ハロウィンぽいもので和菓子を出すところがトソンくんらしいな」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「私らしい、ですか」
お茶を淹れようとしていた手が、
楽しそうに言われた主人の言葉に、一瞬止まってしまった。
(´・_ゝ・`)「一筋縄じゃいかない感じが、ね。いただきまーす」
128
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:32:50 ID:Cv0KIyqg0
てっきり『洋菓子じゃないのか』とツッコミが入るかと思えば、特に気にせず食らいつく主人。
本当に甘いものなら何でも良いのではなかろうか。
(*´・_ゝ・`)「ああ、美味しいね。クリームチーズと南瓜、よく合ってる」
(゚、゚トソン「……そうでしょう、コロッケにしても美味しいですよ。今、お茶淹れますね」
濃い緑茶を淹れた。
お茶の苦味が南瓜のまろやかさで和らぐだろう。
(゚、゚トソン「そういえば主人、この南瓜をくださった方にお礼をしなくて宜しいのですか」
(´・_ゝ・`)「…ああ、彼女には僕からお礼の手紙を書いておいたから大丈夫だよ」
129
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:35:56 ID:7jcG7j9A0
彼女。
『蛯沢氏』は女性だったのか。
まぁ『野菜もしっかり食べて』と送ってくる辺り、女性ぽいとは思っていたけれど。
女性、女性。
(゚、゚トソン「……元カノとかですか」
(´・_ゝ・`)
誰だ、今の間抜けかつアホっぽく恐ろしいほど愚かな質問をしたのは。
私だ。私か。馬鹿か。馬鹿だ。
先程まで嬉しそうに楽しそうにきんつばを食べていた主人が止まった。
ぱちくりと見たことのない珍しい顔で私を見ている。
(゚、゚トソン「いえ、すみません、違うんです、すみませ」
(*´・_ゝ・`)「っはははははははは!」
(゚、゚トソン「えっ」
えっ。やだ怖い。
動きが止まった主人が、弾けたように笑い出した。
ここまで笑っている主人を初めて見る。…今日は主人の見たことのない表情をよく見る日だ。
130
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:36:33 ID:7jcG7j9A0
(*´・_ゝ・`)「は、はは…いや、すまないね。ああ、あはは。ちょっと面白かった、ごめん、ふう」
主人は一通り笑ったあと、息を整えお茶を流し込んだ。
まだ少し笑いを引きずっているようだった。
(´・_ゝ・`)「ふ、ふ。…彼女はね、結婚していて、お子さんも君と同じくらいじゃなかったかな。」
(´・_ゝ・`)「僕よりいくつも歳上で、僕が小さい頃からお世話になっていた人なんだよ」
(´・_ゝ・`)「元カノ、元カノか、ふふ…元カノに間違えられだと知ったら、でぃさんも笑うだろうなぁ」
結婚。お子さん。歳上。小さい頃。
色々なキーワードが出てきて少し混乱する。
けれど、私が一番気になったのは。
131
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:37:12 ID:7jcG7j9A0
(゚、゚トソン「…お世話?」
(´・_ゝ・`)「そうだよ」
(´・_ゝ・`)「…でぃさんはね、うちの使用人だったんだ」
主人の静かな声が、頭に響いた。
132
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:38:25 ID:7jcG7j9A0
****
(゚、゚トソン「きょーうーもー、おつかれーさまでーしたトソーン」
バサっとエプロンを脱ぎ捨てる。
業務服を脱ぐということ。業務が終わったということ。
業務が終わったということ、私のフリーダムタイムが始まったということ。
酒。酒が飲める。疲れた体に、酒を。
(゚、゚トソン「…なんだか、モヤモヤしますなぁ…」
フリーダムになった私が酒で騒がない理由はただ一つだった。
『蛯沢でぃ氏』
(゚、゚トソン「使用人だったんですね、ここの…」
133
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:39:34 ID:7jcG7j9A0
そう、だった のだ。
主人は「でぃさんはうちの使用人だったんだよ」と言った後、何も気にすることなくきんつばを平らげ、部屋へ戻っていった。
夕食の時も、風呂が出来たことを伝えに行った時も、業務終了を挨拶しに行った時も。
『蛯沢でぃ氏』についての事は、全く何も触れなかった。
意図的かどうかはわからない。私からもそれ以上は聞けない。
ただ、主人の小さい頃からお世話するくらい長く勤めていた人が、この屋敷にいた。
(゚、゚トソン「なのに今は何故1人も居ないんでしょうね」
134
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:40:35 ID:7jcG7j9A0
思えばおかしな話だ。
こんなに大きくて広い屋敷に、主人ただ1人が暮らしている。
他の家族は?使用人は?何故、どうして。
(゚、゚トソン「………」
(゚、゚トソン「ああもうめんどくさ!!!」
(゚、゚トソン「考えたってわからないことを考え続ける意味はありません!
忘れましょう!いつか分かるかもしれないし、わからなければそれはそれ!」
(゚、゚トソン「酒だ酒酒酒!!!酒の時間よトソン!!」
私の脳味噌は、蟹味噌くらいしかないのだと、自分で自覚している。
135
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:41:39 ID:7jcG7j9A0
(゚、゚トソン「きんつばさん。これをちょっとオーブンでブンします」
主人に作ったきんつばの余りを冷蔵庫から取り出す。
オーブンに閉じ込め、ブン。
(゚、゚トソン「温かさが蘇りました、おかえり!」
(゚、゚トソン「そしてそして今日は東北の日本酒いっちゃいましょう!」
(゚、゚トソン「青森!へいへい!」
トクトクトク、いい音を立てて日本酒をお猪口に注ぐ。
お酒を注ぐ音はどんなヒーリングミュージックより、癒される。
(゚、゚トソン「お酒様、お酒の神様。黄金色のお菓子でございます」
(゚、゚トソン『ふぇっふぇっふぇ、お主も悪よのうトソン…(少し悪い裏声)』
136
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:43:32 ID:7jcG7j9A0
(゚、゚トソン「いただきまーす!」
(゚、゚トソン「ぁあー…日本酒が染み渡る…」
少し辛口の日本酒と、南瓜の甘みが丁度良い。
クリームチーズのまろやかさとも相性が良い。
餡子と日本酒は出身が同じだけあって、良い。
(゚、゚トソン「お菓子をあげたのに、面倒な悪戯をされたような気分だ全く」
(゚、゚トソン「飲んで忘れまーす!」
お酒は良いときにも悪いときにも飲める。
喜びを受け止め、悪い事を受け流してくれる。
だから好き。
137
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:44:30 ID:7jcG7j9A0
モヤモヤとした気持ちごと日本酒を飲み込む。
(゚、゚トソン「南瓜が美味しく食べられるなら、ハロウィンも悪くないですね」
それはハロウィンというよりは冬至か、と思いながら
今日のペアリングも良くてどうでも良くなった。
.
138
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:46:48 ID:7jcG7j9A0
本日の投下は以上になります。
ありがとうございました。
>>110
料理もお菓子も作ります、ただトソンの説明は物凄くザックリにしてます。
139
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 19:32:06 ID:azuMR0x.0
今回の独り言、オーブンでブンがツボだった 乙
140
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 19:46:52 ID:QJy6roek0
微妙に不穏な雰囲気がある気もするけど飯テロの前には無意味
乙
141
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 20:22:57 ID:AkG6WNbA0
謎よりお酒なトソンさん可愛い
乙
142
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 23:29:46 ID:uzWSitu20
陸奥男山!陸奥八仙!
143
:
名無しさん
:2018/01/21(日) 22:46:49 ID:4LQlbvCE0
菓子テロ酒テロ良いなぁ
144
:
名無しさん
:2018/01/27(土) 01:18:15 ID:uEhtVq/s0
フルーティーな日本酒はまんまだけどフルーツと合う、甘味ならゼリーにぴったり。
ただふつうの餡子とか生菓子とかと合うとなると…生酛造りのまったりしたやつかな?常温で飲むようなやつ。
145
:
名無しさん
:2018/02/01(木) 23:25:30 ID:MDgoqnPk0
酒が飲みたいなぁ
菓子も食べたい
146
:
名無しさん
:2018/02/15(木) 21:36:41 ID:BxDjxyQ.0
チョコレートの話とか出てこないかなぁウイスキーと合わせて
147
:
名無しさん
:2018/02/17(土) 23:33:18 ID:0OQG9UHY0
乙です!
続きがすごく気になる…
楽しみにしてます
148
:
名無しさん
:2018/03/08(木) 22:47:34 ID:JHda6p2E0
今更ながら読んだが乙
腹減るし酒飲みたくなって仕方ないなこれ
149
:
名無しさん
:2018/03/23(金) 16:31:06 ID:1kq32u.Q0
来ないかなあ
150
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:55:20 ID:6QXsCUSg0
彼は得意なものが多い。
彼の苦手なものも、実は多い。
.
151
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:56:14 ID:6QXsCUSg0
風が冷たく、日も沈むのが早い。
季節が秋から冬へゆるゆると変わろうとしていた。
庭掃除は終わった。風呂掃除も終わった。買い出しも済んでいる。
今は休憩中だ。
(゚、゚トソン「庭の木々が紅葉してきてますね」
リビングから見える窓の外の景色も、だいぶ変わってきた。
あっという間に1年が終わろうとしている。あと一月で終わりだなんて、驚きしかない。
去年の今頃は、こんな豪邸で「夜ご飯は何にしよう」だなんて悩むことになるとは思いもしなかった。
そもそも、こんなに平和な毎日を過ごせるだなんてこれっぽっちも思っていなかったのだ。
(-、-トソン「…随分、日和ましたね私も」
(´・_ゝ・`)「トソンくん、トソンくん」
152
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:57:17 ID:6QXsCUSg0
頬杖をついてお茶を飲むという少々お行儀の悪い私に、間の抜けた声がかけられた。
そちらを見やれば、主人がこれまた間の抜けた顔して突っ立っている。
(゚、゚トソン「なんです、主人。私は今感傷に浸っているのですが」
(´・_ゝ・`)「そう、悪かったね…?」
(゚、゚トソン「仕方ないですね、許しましょう」
(´・_ゝ・`)「ええ……」
(゚、゚トソン「何か用があったのでは?」
少し不満そうな主人。
「使用人とは…」とテツガクのようなことを呟いていたが、私の問いにパッと表情を変えた。
(´・_ゝ・`)「あっ、そうそう。今日のおやつ、何?」
(゚、゚トソン「まだ考えてなかったです。何か召し上がりたいものはありますか」
(´・_ゝ・`)「まだ決まってないなら良かった。あのさ、チーズケーキが食べたいんだ」
153
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:58:09 ID:6QXsCUSg0
6.外国アニメのチーズはやたら美味しそうに見える
.
154
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:58:51 ID:6QXsCUSg0
(´・_ゝ・`)デミタス。主人。手先は割と器用。
(゚、゚トソン トソン。使用人。酒に関する事だと殊更器用。
.
155
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:59:47 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「ああ、チーズは良いですよね。チーかまチータラクリチの味噌漬け」
私の呟きに、主人のアイデンティティである下がり眉がピクリと歪む。
(´・_ゝ・`)「チーズケーキだってばー」
私も負けじと眉を真ん中に寄せてみせた。
(゚、゚トソン「はぁ、主人。チーズケーキと言いましても、スフレ、レア、ベイクド、たくさん種類があるんですよ。
一言チーズケーキが食べたいとだけ言われましてもね」
わかってませんね、と大袈裟にジェスチャーしてみれば主人は少しだけ悩んで。
(´・_ゝ・`)「どれも捨てがたいけど、今は硬いやつが食べたいなぁ」
(゚、゚トソン「ベイクドチーズケーキですか。良いですね、主人のお好きなコーヒーにも合いますが、元がチーズだけあってお酒に合うんですよ」
(´・_ゝ・`)「君と会話してると大体お酒の話に行きつくよね」
(゚、゚トソン「それは主人、お酒からアルコールを抜いたらただのジュースになるように、私からお酒を取ったらただの抜け殻になりますから」
(´・_ゝ・`)「……君、休憩中にさ、お酒飲んでないよね?」
(゚、゚トソン「嫌ですね主人。私は仕事中は水しか飲みませんよ」
(´・_ゝ・`)「本当に?」
(゚、゚トソン「嫌ですね主人。度数20以下は水です、私の中では」
156
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:00:41 ID:6QXsCUSg0
(´・_ゝ・`)「……」
私が手にしている湯呑みをチラリと窺う主人。
そんなに真面目にとらえないでほしい。これはただの煎茶です。
(゚、゚トソン「冗談ですってば」
(´・_ゝ・`)「トソンくんならあり得そうだから恐ろしいよ…」
小さく長い溜息を私にチクチク刺してくる。主人は姑のようなネチネチさがある。
そんなに心配しなくとも、私はお酒に関しては誠実だというのに。
(゚、゚トソン「お酒を楽しむのは仕事が終わってから、というのが私のポリシーですから」
(´・_ゝ・`)「ポリシー」
(゚、゚トソン「そうですよ。仕事で飲む酒は、色々違いますので」
(´・_ゝ・`)「…お酒を飲む仕事…」
自分で言った後に『しまった』と思った。少し話しすぎた。
主人は私の言葉を反芻し、少し考えるような顔をした。
何か、言われてしまうだろうか。
157
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:01:26 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「…トソンくんには天職だね!」
(゚、゚トソン「…」
(-、-トソン「……そうでもなかったですよ」
不味いものを口にしたような、嫌な気持ちになる。
ふう、と溜め息をひとつ。
──思っていたようなことを言われなくて良かった。
(゚、゚トソン「アレです、お高いお寿司屋さんで大好きな寿司ネタを食べられて嬉しい、でも席がお手洗いのすぐ隣で切ない、っていう微妙な気持ちになるのです」
(´・_ゝ・`)「なるほど…なるほど…?」
心底わかっていない目で主人が見てくる。その顔が少し間抜けで、ちょこっとだけ気持ちが浮上した。
(゚、゚トソン「じゃあ、チーズケーキ作りますからリビングでお待ちください」
(´・_ゝ・`)「うん、よろしくね」
158
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:02:51 ID:6QXsCUSg0
キッチンにて仁王立ち。今から闘い、本気モードだ。
(゚、゚トソン「デデデーン、トソンサンクッキングのお時間です」
(゚、゚トソン「主人はベイクドチーズケーキをご所望でしたね」
(゚、゚トソン「そんな時には」
⊿⊂(゚、゚トソン「クリ〜ムチ〜ズ〜」
(゚、゚トソン「基本的にクリームチーズがあれば大体のチーズケーキが作れます」
(゚、゚トソン「クリームチーズ様は本当に偉大です。私はクリームチーズ教です」
(゚、゚トソン「いぶりがっこに乗せて日本酒と飲むも良し、クラッカーに乗せてジャムと一緒に白ワインと飲むも良し、白味噌と混ぜてまた日本酒にいくも良し…」
ジュルリ
(゚、゚トソン「…」
〃(゚、゚トソン「はっ!」
(゚、゚トソン「びっくりした夢の酒王国に行っていた…現実に帰ってきてしまったただいま…」
(゚、゚トソン「明日またクリームチーズ買ってきて絶対おつまみ牧場と化そ…」
159
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:03:35 ID:6QXsCUSg0
ロ⊂(゚、゚トソン「さて、ビスケットを用意します」
ロ⊂(゚、゚トソン「ポケットを叩くとビスケットが増える歌があるじゃないですか」
ロ⊂(゚、゚トソン「私は幼い頃ずっと『ビスケットを叩くと』と歌っていました」
ロ⊂(゚、゚トソン「ビスケット叩けばビスケット増えるのは当たり前ですよね」
ロ⊂ (゚、゚トソン
ゴシャッ
☆|||(゚、゚トソン「えーい」
ゴシャッゴシャッゴシャッ
(゚、゚トソン「ビスケットを袋に入れて粉々に叩き潰します」
(゚、゚トソン「ミキサーした方が早いですがストレス発散になるので私は叩き潰します」
160
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:04:28 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「いつの間にか溶かしておいたバターさんとビスケッ粉を組んず解れつにします」
(゚、゚トソン『あっ…バターさん…すごく熱い…!(裏声)』
(゚、゚トソン『ボロボロ粉々になったビスケットさんを受け止めてあげるよ…さぁおいで…(少し違う裏声)』
(゚、゚トソン『バターさんなら…私を優しく包み込んでくれる…!(裏声)』
(゚、゚トソン『ビスケットさん…!!(気色悪めな裏声)』
(゚、゚トソン「型に敷き詰めます」ギュッギュッ
(゚、゚トソン「下の部分無い方が良いと言う人もいますが私は有り派です」
161
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:05:31 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「主役のクリームチーズ様を!」
(゚、゚トソン「砂糖と!」
(゚、゚トソン「ひたすらに混ぜます!」
(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼ
(゚、゚トソン「小麦粉を入れ!」
(゚、゚トソン「ひたすらに混ぜます!」
(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼマゼ
(゚、゚トソン「卵を入れ!」
(゚、゚トソン「そう!ひたすらに混ぜます!」
(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼ
(゚、゚トソン「…筋肉痛って労災出るんですかね」
(゚、゚トソン「秘密のアレを入れて」
(゚、゚トソン「クリームチーズをクリーム状にするという発狂しそうな状態にしたら」
(゚、゚トソン「型に流し入れて…」
(゚、゚トソン「湯煎状態で焼きます」
(゚、゚トソン「冷ましたら完成となります」
(゚、゚トソン「…焼けるまで待ちますかね」
162
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:06:48 ID:6QXsCUSg0
オーブンの前でぼうっとする。焼けるまでの待ち時間は、嫌いではなかった。
生地が膨らむ。途中から良い匂いがしてくる。早く焼けないかなと、待ち遠しくなる。
小さい頃もそうだったな。一度待ちきれなくてオーブンを開けてしまった時は怒られた。
ふと、先程までの主人との会話を思い出す。
主人はわかった上であの感じなのだろうか。
ここで勤めることになった際、主人は私が以前まで何をしていたかを一切聞かなかった。
履歴書さえも出していない。
こんな立派なお屋敷で働かせるのに、何の情報も問わないのはどうなのかと思うが、私的にはとても助かった。
(゚、゚トソン「…もし」
もし、私のことがバレたら。
(゚、゚トソン「ここでは、働けなくなるんですかね」
チーーン
(゚、゚トソン「…おや、焼けましたか」
先のことはわからない。
今はただ、美味しく出来上がったチーズケーキを主人に出すだけだ。
163
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:08:02 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「主人、おまたせしました」
(*´・_ゝ・`)「ああー、良い匂いだね」
チーズケーキを持って颯爽とリビングに入る。
嬉しそうな顔の主人が迎える。様式美。
主人の目が早く早くと訴えている。
待てをしたら噛みつかれそうな勢いだ。少し引く。
(゚、゚トソン「紅茶か悩みましたが、コーヒー淹れますね」
(*´・_ゝ・`)「ありがとう!いただきます!」
お皿をテーブルに置いた瞬間に主人は素早い動きを見せた。
普段部屋に引きこもっているとは思えない速さだ。
まだ柔らかいチーズ生地にフォークが刺さる。
ストンと一口分に切り分けられたそれは、主人の口へ。
164
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:09:12 ID:6QXsCUSg0
(*´・_ゝ・`)「美味しい…ほんのりラム酒の味がするね」
(゚、゚トソン「少しだけ入れました。ラム酒に漬けたレーズン入れても美味しいですよ」
(*´・_ゝ・`)「いいね。それにしても出来立てのチーズケーキ、美味しいな。ふんわりしてる」
(゚、゚トソン「本当は一日冷やして置いた方がもっとキュッとして美味しいんですけどね」
早急に召し上がりたいとのことだったので、出来立てを出した。
出来立てというのは大体美味しい。
(´・_ゝ・`)「いやー、チーズの模型見てたらさ、チーズケーキ食べたくなっちゃって」
チーズの模型。そんな物を目にする機会があるものなのか。
あるのである。主人の『仕事』は奥が深い(らしい)
(゚、゚トソン「今回のお仕事に必要なものなんですか?」
(´・_ゝ・`)「いや、前回絵本を作った時に色々資料として取り寄せてたものなんだ。絵本作家の仕事は無事終わったから片付けててね」
(゚、゚トソン「はぁ」
そういえばつい先日、主人は絵本作家の仕事を終えたばかりだった。
私がここに勤めてから、様々な仕事をする主人を見ている。
165
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:10:18 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「主人は本当に、得意なものばかりですね」
(´・_ゝ・`)「え?」
何気ない私の言葉に、主人は一瞬驚いたような顔をした。
(゚、゚トソン「色んなことできるでしょう。食べものも好き嫌いありませんし」
(´・_ゝ・`)「あー…そうだねぇ…」
お菓子作り(というか料理全般出来ないらしいが)を除けばチートだと思う。
料理も、残された食材は今のところ何もなかった。
綺麗に平らげる主人の食べ方は、作り手としては気持ちのいいものだった。
(´・_ゝ・`)「…僕、昔は苦手なものばかりだったんだよ」
(゚、゚トソン「え?」
主人の言葉に、今度は私が驚く。
(´・_ゝ・`)「人参は本当に嫌いで出る度残していたし…今は食べられるようになったけどね。…それに、信じられないかもしれないけど、僕昔は甘いもの苦手だったからね」
166
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:11:09 ID:6QXsCUSg0
アマイモノニガテ?
甘いもの苦手?
誰が?主人が。主人が?
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「……宇宙人に攫われて嗜好が変わったとかですか…?」
(´・_ゝ・`)「ははは、違う違う」
今はスイーツモンスターとなってしまっているのに。
何があったというのだろう。
(´・_ゝ・`)「──色々あって、食べれるようになって。好きになったんだ」
──人参を?
──甘いものを?
文脈から察するにそのどちらかだろうに、主人があまりにも寂しそうな、何かを懐かしむような目で言うから、何の話か一瞬わからなくなってしまった。
そして、その色々が何なのか、聞くことは出来なかった。
****
167
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:11:12 ID:KVrzDwjU0
支援
こんな時間に飯テロつら
168
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:12:35 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「今日はなんだか色んな話をした気がしますね」
就業時間は終わり。私は今から自由の身である。
キッチンに椅子を持ってきて一人、だらりと座る。
モヤッとすることはある。主人にではない、気になっている事を聞けない自分にだ。
主人が言わない事を聞く事で、自分も何か聞かれてしまう事が怖くて、何も聞けないままだ。
(゚、゚トソン「それを見越した上であんな気になる言い方してるんだとしたら、あの下がり眉引きちぎりたいですね…」
(゚、゚トソン「おっといけないいけない、自由時間とはいえ口が滑りましたね」
(゚、゚トソン「気を!!」
(゚、゚トソン「取り直して!!!」
(゚、゚トソン「お酒タイムだぞ〜!!!」
チーズケーキを作った時点でもう飲むものを決めていた。
用意周到、おまけに美人な自分を褒め倒したい。
169
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:13:38 ID:6QXsCUSg0
片手にはお皿に乗ったチーズケーキ。
もう片方の手には白ワイン。
(゚、゚トソン「あら、優雅なマダムみたいですね?」
(゚、゚トソン「しかもこの気怠げな感じ…銀座のママ感ありますね?」
(゚、゚トソン『いらっしゃい…あら、また来たのね人生の迷子ちゃん(優雅な裏声)』
(゚、゚トソン「ママ…もう、主人がよくわからないよう」
(゚、゚トソン『あらあら、困ったちゃんなのね…(優美な裏声)』
(゚、゚トソン「えーんママ〜〜」
(゚、゚トソン「……ト○ガリだこれ。もしくはス○夫」
(゚、゚トソン「そんな馬鹿なことしてる場合じゃない!今は酒!酒タイムだ!」
(゚、゚トソン「いただきます!!」
170
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:13:39 ID:KVrzDwjU0
読んでるだけでチーズケーキ焼いてる匂い漂ってくるわぁ
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