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('、`*川魔女の指先のようです

295名無しさん:2018/01/08(月) 07:54:57 ID:WgoVE2mI0
本当に、いい日だ――

(,, Д )

――胸に感じた口付けのように優しい衝撃を通じて、そこに込められた様々な感情を一瞬で理解し、ギコの命はそこで終わりを告げた。
最後に彼が抱いた感情は、感謝だった。


______________________∧,、___
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V`´ ̄ ̄

老いた魔女の人差し指は震えていた。
だがそれは、老いから来るものではなかった。
人を殺めた罪悪感故でもない。

( 、 *川

己の人生を支える重要な半身を失った痛みと、離別による心の痛みが体に現れているのだ。
この日が来ることは分かっていたはずだ。
彼に死をもたらすのが自らの務めであると理解し、認識し、納得していた。
それでも、魔女は心を痛めていた。

彼との間に芽生えた関係は、決して一言で片づけられるものではない。
最後に笑顔を浮かべた彼の顔が、脳裏に焼き付いて離れない。
何度も人を殺してきた。
この手で、この指で。

この忌々しい指で、命を奪い続けてきたのだ。

魔女の指先で撫でたものは、その命を奪いとられてしまうのだ。
例えそれがどんなに愛おしい者であっても、魔女の指は無慈悲に命を奪う。
彼女のライフルが狙う先にあるのは、死の宣告を受けた人間だけ。
だからこれは、何も特別なことではないのだ。

感情的になる必要はない。
感傷に浸る必要もない。
罪悪感など芽生えさせる必要も。
悲しむ必要も、ないのだ。

――魔女は顔をその手で覆った。

十一月のその日、魔女と呼ばれた老女の指を涙が濡らしたことを知る者は、誰もいなかった。



296名無しさん:2018/01/08(月) 07:59:19 ID:WgoVE2mI0
これにてお終いとなります

支援ありがとうございました

質問や感想などあれば幸いです

297名無しさん:2018/01/08(月) 12:34:12 ID:04vo6rVM0
最高だった。
本当に最高だった!
完結乙!

298名無しさん:2018/01/08(月) 12:51:46 ID:h03dZOQg0
乙乙

299名無しさん:2018/01/08(月) 13:30:17 ID:i2CBC5LU0
おつおつ
やっぱブーン系はいいね

300名無しさん:2018/01/08(月) 20:36:35 ID:2T5vmDVc0
終盤読んでる途中で序章思い出してラストはこうなっちまうのかって思ってたけど、予想を裏切られた
いいエンドだ

301名無しさん:2018/01/10(水) 12:45:47 ID:f09G7tHs0

夢中になって最後まで読んだ

302名無しさん:2018/01/13(土) 09:41:06 ID:1BE.43qc0
乙乙

久しぶりに夢中になってしまった。
ありがとう


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