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( ^ω^)達はアインクラッドをいきるようです。
85
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:02:08 ID:yBcYKiZs0
ζ(゚ー゚*ζ「え!?」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたならここに出てくる敵くらい簡単でしょ?
フォローはブームとシラネーヨにやらせればいいから。
二人もデレのサポートくらいなら大丈夫でしょ?」
( ´ー`)「それくらいなら大丈夫だーよ。ブームが」
| ^o^ |「もちろん私もやりますがシラネーヨも一緒にお願いします」
ζ(゚ー゚*ζ「え?ちょっと、え?私だよ?」
( ´ー`)「ツンがそう言ってるんだからしょうがないだーよ」
| ^o^ |「その通りです」
ζ(゚ー゚*ζ「はあ?」
( ^Д^)「デレ」
横に立ったプギャーがデレの肩をポンと叩く。
( ^Д^)「諦めろ。ここはそういうギルドだ」
ζ(゚Д゚*ζ「はあああああああ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、クーと合流したら連絡するから」
( ^ω^)「了解だおー」
ζ(゚Д゚*ζ「ちょ、ちょっとツン!?
私を信じるわけ!?
あんた達も!?」
慌てて叫ぶデレ。
しかしツンは表情を変えず、
それを確認した四人の男は苦笑しつつデレを見る。
.
86
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:03:18 ID:yBcYKiZs0
ξ゚⊿゚)ξ「私があんたを信じるの。
友達であるあんたをね、私は信じるの。
それだけよ。
あ、明日か明後日女子会やるだろうからあんたも参加よ。
拒否は認めないからね。
あと『天使の神速斬(エンジェルホライズン)』の名付け親は私だから、
覚えておきなさい」
ζ(゚Д゚*ζ「へ?」
ξ゚⊿゚)ξ「このエリアは貴方達が苦戦するような強い敵は出ないはずだけど、
一応気を付けるように。
じゃ、よろしく。
プギャー、行くわよ」
( ^Д^)「へーい」
視線でブーンと頷きあうと次のエリアに向かって駆けだすツン。
その後を追って走り出すプギャー。
呆然と立ち尽くすデレ
ζ(゚Д゚*ζ「はあ?」
( ^ω^)「デレさんデレさん」
ζ(゚Д゚*ζ「はあ」
( ^ω^)「考えたら負けだお。
感じるんだお」
ζ(゚Д゚*ζ「はあ?」
ニッコリとほほ笑むブーンと、
未だ呆然としているデレ。
そんな二人を見る二人の男は、
二者二様のため息をついた。
.
87
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:10:28 ID:yBcYKiZs0
短くても連続投下してみたかった。
後悔はしていない。
おつありがとうございます。
連続投下はどこまでいけるのか。
ではではまたー。
88
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 00:17:44 ID:Iw6Ik3bQ0
絶倫かよ乙
89
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 00:27:58 ID:G8P6xeFM0
おつ!面白かった
90
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 01:58:08 ID:BV57DLes0
いやはや乙!
91
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 10:59:52 ID:LEMiU4MM0
おつおつ
モララーが気になるZE
92
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:42:32 ID:5U9dKysU0
トリップ違うのはただのミス?
93
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:47:13 ID:0UtIvIcE0
前スレ埋められたな
94
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:59:21 ID:3NaFSOIA0
乙と誤字
>>3
修三 → 修造?
>>14
スキルあがるだけ → スキルがあるだけ
数値化も → 数値かも
>>71
皺を刻むク → 皺を刻むクー
95
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 22:59:53 ID:yBcYKiZs0
39.
それは、戦闘と呼べるものではなかった。
襲い来る鎌に対峙するその動きに無駄は全くなく、
躱し、
去なし、
時に受け止め、
流し、
弾き、
翻弄する。
速さと威力を自在に使い分けていても当たらなければ意味が無く、
その体を傷付けることが出来たのは一度だけ。
おそらくはそれも頭のカーソルの色を変えない為だけの理由で受けたのだと思われる。
それでも鎌は紙一重で襲えている。
ほんの少し横にすれば、
力を強くすれば、
ダメージを与えられるかもしれない。
あの一撃は、
本当に攻撃出来たのかもしれない。
そんな希望を抱いてしまい、
男は鎌をふるって襲い掛かる。
その『希望』すらも、
対峙している男の策略だと気付かずに。
いや、もう気付いているだろう。
だが、それを認めることは完全な敗北を意味するため、
気付いていないふりをして、
男は攻撃を繰り出す。
.
96
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:01:26 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。 /「ふんっ」
( ´_ゝ`)「おっとっと」
/ ゚、。 /「くっ」
( ´_ゝ`)「とりゃっ」
/ ゚、。 /「っ!」
( ´_ゝ`)「あらよっとっと」
ダイオードが振り下ろした鎌を兄者が鎚の柄で弾き、
浮いた鎌を鎚の頭で叩きダイオードの体勢を更に崩す。
そして動きの止まった身体をフェンシングの様なポーズをしつつ鎚で押すと、
ダイオードは尻餅をついて転んだ。
/ ゚、。 /「!?」
無防備な姿をさらしたダイオードが慌てて座ったまま鎌を構えるが、
追撃で鎚が振り下ろされることは無かった。
/ ゚、。 /「?」
( ´_ゝ`)「ダイオードちゃん良い表情だよー。
ハイこっち向いてー。
追撃への恐怖に慄いて良い表情だったよー」
その瞳に映るのは、
クリスタルを片手にこちらを見下ろす兄者。
/ ゚、。 /「!!」
立ち上がって鎌を振るダイオード。
( ´_ゝ`)「おっとっと。
あまり好きじゃなかったけど、
今となっては食べたいな。
ショボかフサに頼んでみるかな。
あー。でもショボはそういうジャンクフード食べたことあるのかな。
おぼっちゃんだし」
.
97
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:02:42 ID:yBcYKiZs0
しかしその鎌も兄者の持つクリスタルに触れることは出来なかった。
/ ゚、。 /「それ を よこせ」
( ´_ゝ`)「えー。折角録画したのにー」
/ ゚、。 #/「よこ せ」
( ´_ゝ`)「これだけ奪っても仕方ないだろ?」
ポーチから記録結晶を四つ取り出す兄者。
( ´_ゝ`)「尻餅ダイオード。
ずっこけダイオード。
頭に乗られたダイオード。
勝利を確信してドヤ顔した後やられたダイオード。
鎌が木に当たって手をしびれさせたダイオード」
/ ゚、。 #/「ふざ けるな!」
鎌が兄者のいる場所に襲い掛かるが、
既にその場所に兄者はいない。
( ´_ゝ`)「これは中にしまって、新しい結晶を出して」
ウインドウを出して記録結晶を入れ替える。
( ´_ゝ`)「もっと良い表情撮れるかな」
/ ゚、。 #/「きさ ま」
( ´_ゝ`)「おれを殺さないとこれ取り戻せないぞー?
んで、取り戻さないと、これは殺人者の記録として広めるぞー」
/ ゚、。 /「ふざ、けるな」
( ´_ゝ`)「お、なんか口調が変わった?
やっぱりキャラ付けだった?
それだと兄者つまらないー」
.
98
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:04:00 ID:yBcYKiZs0
空間を切り裂くような鋭い鎌の軌跡。
しかしそれのすらも兄者に当てることは叶わず、
勢い余って足元をふらつかせてしまう。
( ´_ゝ`)「お!これもいいねいいね。
表情と無様な恰好があってるよ!」
記録結晶を片手に兄者が笑う。
/ ゚、。 #/「ふ、ざ、け、る、な」
( ´_ゝ`)「ふざけなきゃ、
お前の相手なんかできるわけないだろうが。
/ ゚、。 /!
.
99
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:09:09 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「鍛冶屋はな、
可哀想な職業なんだよ。
鍛冶のレベルをあげなきゃまともな物なんか作れない。
良い材料を集めなきゃ、
ちゃんとしたものを作れない。
良い材料を集めるには、
金で買うか命を懸けて自分が取りに行かなきゃいけない。
材料と叩くハンマーも良いものを使うには、
レベルをあげなきゃいけない。
しかもだ、
どんなに自身のレベルを上げて、
良いハンマーを使って、
良い炉を用意して、
最高の材料を使っても、
失敗する時はある。
そしてどんなに良いモノを作っても、
材料や苦労を考えた適正価格でも、
プレイヤーは高いとか言いやがる。
でもな、おれは、おれ達はまだ良い。
仲間がいるから。
しかも反則級の仲間だ。
他の鍛冶仲間に比べれば、
甘いって言われても仕方ないくらいの環境だ。
だがな、
お前が殺した皆はな、
全部自分でやって、
最高を目指してきた人なんだ。
更に自身の知識を人に分け与えていたような人なんだよ。
それもこれも、
強い武器を、
強い防具を、
命を守り戦うための装備を作るために、
それをプレイヤーに渡すために命を懸けてきたような人なんだ」
.
100
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:14:46 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。 #/「関係、ない」
( ´_ゝ`)「ああ。
お前には関係ないだろうな。
でも、おれにとっても、
お前は関係ないんだよ。
だから、おれは、関係ないお前をどこまでも蹂躙する。
今ここで出来るだけ屈辱を味合わせ、
それを記録し、そして世に流す」
/ ゚、。 /!!
( ´_ゝ`)「お前は笑いものだな。
そして殺人鬼だ。
笑い者殺人鬼になるんだよ」
/ ゚、。#/「やめ ろ」
( ´_ゝ`)「ああ、でも、大丈夫だ。安心しろ。
これが世に広まるとき、
お前はこの世界にいないから」
無造作に振った兄者の鎚がダイオードの鼻先をかすめる。
/ ゚、。 /!
高い鼻の先端がほんの少しだけ当たりポリゴンに変わるが、
すぐに元に戻る。
/ ゚、。;/「 」
( ´_ゝ`)「お、良いね―その表情」
/ ゚、。;/「なん だ 今の は」
( ´_ゝ`)「ん?少しだけ本気出した。
ほら、おれってやればできる子だから」
記録結晶を宙に浮かべて鎚を振り回す兄者。
.
101
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:16:42 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。;/「ひっ ひっ」
鎚の先がダイオードの身体をほんの少しだけかすり、
削り取る。
( ´_ゝ`)「なに?ラマーズ法っちゃう?」
すぐに元に戻るポリゴンの身体を、
無造作に削り取る。
( ´_ゝ`)「お前が産み出すモノなんて何もないけどな」
鎚を肩に担ぎ、記録結晶を回収する。
( ´_ゝ`)「良い画が撮れた」
/ ゚、。;/「お、おまえ も、殺人者 に なる」
( ´_ゝ`)「いいさ。
ゲームの中だ。
ゲーム内のPKだ。
MMORPGじゃよくあることだ」
新しい記録結晶を出す兄者。
そして喋りながらも鎚を振り回す。
/ ゚、。;/「ひっ ひっ」
( ´_ゝ`)「うるさいぞ」
ダイオードの鎌を弾き、
無防備にさらけ出されたその体を削る。
/ ゚、。;/「な ん なん だ」
( ´_ゝ`)「ん?」
/ ゚、。;/「おま えは、 いったい」
( ´_ゝ`)「 つまらん」
/ ゚、。;/「?」
.
102
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:20:54 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「おれはギルドVIPのKei。
流石武具店の武器担当鍛冶師。
それ以上でも、それ以下でもない。
ま、VIPにいるのも今日までだけどな!」
/ ゚、。;/「!!」
宙を舞うダイオードの鎌。
鎚がダイオードの右手首から先を粉砕した。
/ ゚、。;/「なっ」
( ´_ゝ`)「この世界に、痛みは無い。
手が無くなろうが、
足が消えようが、
そこに痛みは存在しない。
与えられるのは衝撃のみ。
記憶から導き出される痛みを感じることはあっても、
経験以上の痛みはこの世界には存在しない。
だけど、恐怖は違う」
右手が無くなり呆然とするダイオードの右足甲を叩きつける鎚。
/ ゚、。;/「!」
( ´_ゝ`)「痛くはないだろ?」
ポリゴンと化した右足。
防具で固めてあった足を簡単に粉砕されたことに驚愕し、
ダイオードの思考が止まる。
( ´_ゝ`)「痛くは、無いよな」
容赦なく襲い掛かる鎚は左膝を叩く。
/ ゚、。;/「ガッ」
決して小さくはない衝撃がダイオードの左脚を襲う。
( ´_ゝ`)「ぬるぽはしてないぞ」
.
103
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:23:24 ID:yBcYKiZs0
ふらついたダイオードの視線の先でポリゴンと化す左膝。
そしてその先の、左脚のすねから先がボトリと落ちる。
/ ゚、。;;/「ギャっ」
尻餅をついて叫んだダイオードの唇をかすめる鎚。
( ´_ゝ`)「うるさい」
/ ゚、。;/「ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ」
尻餅をついた姿のまま、
唯一無事である左手を使って後退るダイオード。
/ ゚、。;/「た、たす 」
( ´_ゝ`)「ふむ」
/ ゚、。/「 !!」
ダイオードの左肩に与えられた強い衝撃。
そのまま転がるダイオード。
/ ゚、。;;/「も、も う 」
手首の無い右腕を使って上半身を持ち上げるダイオード。
そして左腕が肩のすぐ先から消えている事に気付く。
/;゚、。;/「たす けて 」
見上げた視線の先に、男の顔。
自分を見る、男の顔。
/;゚、。;/「あ あ あ……」
そしてダイオードは心で理解した。
自分が、死ぬという事を。
.
104
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:28:47 ID:yBcYKiZs0
無造作に鎚を肩に担いだ男の顔を見て、
初めて人の顔をしっかりとみて、
そして、わかった。
自分が、ここで死ぬということを。
/ ;、; /「たす け て
ゆるし て 」
もう記録結晶の事など頭から消えていた。
ただ、怖かった。
震える身体。
零れ落ちる涙。
懇願の言葉が自然と口から溢れる。
/ ;、。 /「おね がい しま す」
( ´_ゝ`)「ある意味あっぱれだな」
/ ;、。 /「 ? 」
( ´_ゝ`)「これだけの状況で、
助けてくれ、許してくれ、
って今の自分を生きながらせる要望だけで、
自分がしてきたことの懺悔が一つもない」
/ ;、。 /「!」
( ´_ゝ`)「お見事だよ」
.
105
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:30:04 ID:yBcYKiZs0
/ ;、。 /「そ、それ は」
( ´_ゝ`)「おれも、心置きなくとどめをさせる」
そう言いながら鎚を両手で持って高く上げる。
/;゚、。;/「あ あ あ
た すけ て
死に たくない」
( ´_ゝ`)「安心しろ、その無様な姿はいつまでもどこまでも広めてやるから」
執拗に体を削り取られた攻撃と、
四肢を粉砕した攻撃によって、
既にダイオードのHPは赤く変わっている。
/ ;、。 /「ゆる して
ごめ んな さい」
強い一撃を受けてしまえばHPバーが光を無くすことは、
ダイオード自身が分かっていた。
( ´_ゝ`)「……さよならだ」
だがそんな懇願は意味をなさず、
ダイオードの頭に向けて、
鎚が振り下ろされた。
.
106
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:32:12 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「っ!」
ダイオードの頭に当たるギリギリに、
横から飛んできた斧が鎚の柄に当たり、
その衝撃で鎚が飛ばされた。
(´<_` )「そこまでだ。兄者」
( ´_ゝ`)「……弟者」
息を整えつつ近寄る弟者。
投げた斧は兄者の足元に転がっており、
歩きながら腰に付けた投げ針を手にしている。
(´<_` )「必要ないみたいだけど、一応な」
恐怖で気を失ったダイオードを見下ろす弟者。
そして無造作に針を投げる。
(´<_` )「あとは黒鉄宮に送るだけだな」
ダイオードの頭の上に麻痺のアイコンが出たのを確認し、
兄者に顔を向けた。
(´<_` )「どうした兄者?
そんな顔して」
不思議そうに肩をすくめる。
(´<_` )「……何故、振り上げてるんだ」
鎚を振り上げている兄者。
倒れているダイオードを見ている。
.
107
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:33:57 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「目を、閉じていてくれ」
(´<_` )「いやだ」
( ´_ゝ`)「頼む。
おれが人を殺すところを、
お前に見られたくない」
(´<_` )「なら、殺さなければいい」
( ´_ゝ`)「…………」
(´<_` )「だろ?」
( ´_ゝ`)「目を、閉じてくれ。頼む」
(´<_` )「……伝言がある」
腰のポーチから記録結晶を取り出す弟者。
そして再生する。
.
108
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:37:25 ID:yBcYKiZs0
◇( ^ω^)「兄者、だめだおー。
そんなことしちゃダメなんだお。
絶対、絶対、駄目なんだお。
でも、信じてるお。
兄者はそんなこと出来ないって」
◇ξ゚⊿゚)ξ「止めときなさい。
あんたまで、背負うことは無いのよ。
しかも、そんな奴の」
◇川 ゚ -゚)「気持ちが分かるとは言えない。
言わない。
だが、そのあと兄者が苦しむのは分かる。
仲間として、友人として、見過ごすことは出来ない。
だから、言わせてもらう。
今すぐやめろ」
◇('A`)「あー。普通のMMOでも、
先輩はそういうことしなかったじゃないですか。
だから、やめた方が良いと思います。
絶対、あとで後悔すると思うんで」
◇川 ゚ -゚)「後でするのが後悔だな。
素直に『絶対後悔する』の方が良いと思う」
◇ξ゚⊿゚)ξ「こういう大事な時にあんたは」
◇('A`;)「……ごめんなさい」
◇(;^ω^)「おー」
◇(´・ω・`)「どうせギルドも抜けようとしてると思うけど、
抜けさせたりしないからね。
だから、胸張って会えるように、
また一緒にバカなこと出来るように、
変なことはしないように。
これはギルマス命令です」
◇ξ゚⊿゚)ξ「あんた、よくこの状況で話を進めるわね」
◇(´・ω・`)「あれ?撮り直しする?」
◇川 ゚ -゚)「流石だな」
◇('A`)「……兄者を止めるだけに」
◇(;^ω^)「ドクオ、それはちょっとどうかと」
◇ξ゚⊿゚)ξ「サイテー」
◇川 ゚ -゚)「フォローできんな。
するつもりもないが」
◇('A`;)「……ゴメンナサイ」
◇(´・ω・`)「とにかく、ダイオードはちゃんと黒鉄宮に送るように!
いいね!絶対だよ!」
◇( ^ω^)「無理矢理まとめたお」
◇ξ゚⊿゚)ξ「弟者!撮り直すわよ!」
◇川 ゚ -゚)「……それが順当だな」
◇('A`)「次は気を付けます」
◇(´・ω・`)「どうせまたこんな感じになると思うけど」
◇( ^ω^)「僕もそう思うお」
.
109
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:39:28 ID:yBcYKiZs0
(´<_` )「撮り直したの見る?」
( ´_ゝ`)「……いや、いい」
腕は振り上げたまま、
けれど少しだけ表情に笑みを浮かべ、
弟者にゆっくりと視線を向けた。
( ´_ゝ`)「……なあ、弟者」
(´<_` )「いつか会えた時、絶対怒られるぞ。
下手したら、毎晩夢の中に出てきて説教される」
( ´_ゝ`)「……夢の中で、会えるかな。
でも、あの人たちに説教されるのは、怖いな」
(´<_` )「だろ?」
( ´_ゝ`)「ああ」
(´<_` )「だから、やめとけ」
( ´_ゝ`)「……でも」
(´<_` )「おれも、こいつは殺したい」
( ´_ゝ`)「!」
(´<_` )「でも、それじゃこいつと同じだ」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「兄者。
おれと再会する前に、
グレンさん達と既に知り合ってただろ?
もしかしたら、パーティー組んでたりしただろ?」
( ´_ゝ`)「!…… …… ああ」
.
110
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:41:42 ID:yBcYKiZs0
(´<_` )「やっぱりな。
黙ってたのは、
おれを探しながらもゲームを楽しんでたって思われない為か?」
( ´_ゝ`)「……ごめん」
(´<_` )「いや、責めているわけじゃない。
当然と言えば、当然だ。
あの時一人でいるのは、
辛かったと思うから。
あと、ごめん。
グレンさん達が亡くなった時、
おれが落ち込みすぎて、
兄者はフォローしてくれていた。
兄者の方が、辛かっただろうに。
おれ、気付いていなかった」
( ´_ゝ`)「……気にするな」
(´<_` )「けれど、兄者はそれでちゃんと悲しんでないんじゃないか?」
( ´_ゝ`)「!」
(´<_` )「おれがぼろぼろに泣いていた時、
ずっとそばにいてくれていた」
( ´_ゝ`)「……弟者」
(´<_` )「おれだけが自分の感情のままに悲しんで、
泣いて、踏ん切りをつけていたけれど、
兄者はまだグレンさんが亡くなったことから」
( ´_ゝ`)「弟者!」
(´<_` )「!」
( ´_ゝ`)「あ、……わるい、だが、その先は……」
(´<_` )「……こちらこそ、ごめん。
おれのせいなのに、無神経だった」
.
111
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:44:45 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「違う!
弟者のせいじゃない!
おれが……おれが、結局……」
拳を握り、
弟者の視線から逃げる様に顔をそむける兄者。
(´<_` )「……一番悪いのは結局こいつで」
倒れているダイオードを見る弟者。
兄者もつられるように俯き加減にダイオードを見る。
(´<_` )「正直、殺したい。
それくらいには、憎い」
( ´_ゝ`)「……」
俯いたまま、視線を弟者に向ける兄者。
(´<_` )「それこそこいつが死んだら祝杯をあげたいくらいに。
殺されたのなら殺した奴に一番の防具をプレゼントしたいくらいに。
……けれど、兄者には殺してほしくない」
顔をあげる兄者。
その瞳を、弟者のまっすぐな瞳が射抜く。
(´<_` )「兄さんには、人殺しになってほしくない。
でもそれは、兄弟が人殺しになるのが嫌なだけじゃない。
兄さんがそんなことをするのなら、
そうしなければならなかった理由があるはずだから。
世間に後ろ指をさされても、
おれは胸をはれる。
父さんも、母さんも、
姉さんも、未花も、
きっと同じ気持ちだと思う。
でも、やっぱり、なってほしくない。
だって兄さんは、絶対に苦しむから。
例えどんな理由があったとしても、
人を殺したら兄さんは苦しむ。
それによって誰かの命が助かっても、
千人の命を助けたとしても、
一人の命を奪ったことに苦しむ。
だから、やめてほしいんだ」
.
112
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:47:07 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「…… ……悌悟」
(´<_` )「こんなやつの命を、兄さんが背負うことは無い。
こんなやつの命の為に、兄さんに苦しんでほしくない。
だから、やめてくれ」
( _ゝ )「…… …… 悌……悟」
ゆっくりと手を下ろす兄者。
手も開かれ、鎚が地面に落ち斧にぶつかる。
( _ゝ )「グレンさんの店、
持ち主消えた後のリセットでまた売りに出された後、
アルさん達とコル出し合って買い戻して、
今はアルさんが管理しているんだよな」
(´<_` )「?ああ。その通りだけど……まさか!?」
( _ゝ )「墓を、庭に作ったんだよな」
(´<_` )「……ああ」
( _ゝ )「こんど、一緒に、行ってくれるか?」
(´<_` )「ああ。一緒に行こう」
( _ゝ )「……頼む」
(´<_` )「それこそ夢で叱られるぞ。やっと来たって。
笑いながら、頭叩かれそうだ」
( _ゝ )「……ああ、そうだな」
(´<_` )「ああ。絶対だ」
( ´_ゝ`)「……。
会えたら、土下座して謝らなきゃだな」
顔を上げた兄者の顔は、
晴れ晴れと言うにはほど遠かったが、
それでも、まだ辛そうではあるが、
弟者に笑いかけていた。
.
113
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:57:48 ID:yBcYKiZs0
以上、連続投下……何日目だっけ。ま、いっか。
いつもおつをありがとうございます!
>>92
はい、完全なミスです。
やっちまいました。
混乱させていたら申し訳ありません。
>>94
誤字チェックありがとうございます!
本当、投下前に誰かに読んでもらいたい。
校正……。
修三は松岡さんのつもりだったので修造が正解です。
ありがとうございます。
スレ埋めありがとうございました。
見に行ったらちょうどラストが残っていたので思わず……。
これで閑話で埋める必要もなくなりちょっとほっこり。
さて連続投下はいつまで続くのか!
ではではまたー。
114
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 00:05:36 ID:MiiWNk7Q0
おっつおつ
115
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 00:13:33 ID:a9M0x7sY0
おつおつ
プロでも誤字はする
もはや必然だ
>>98
それのすらも → それすらも
>>100
味合わせ → 味わわせ
>>104
生きながらせる → 生きながらえさせる
116
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 01:03:43 ID:xkIxEa3k0
やべぇ縦読み探してしまった
117
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 01:43:01 ID:uxK6HErY0
おつ
ダイオードも何かあるのかと深読みしていたけど、本当にただただ救えない奴だったんだな。
縦読み探してしまうのわかる。
個人的な話にはなるけど、書く側の時は誤字指摘は早い方が訂正しやすいから助かる派だわ。
味あわせて〜って間違った使い方なのな、初めて知った。
118
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 02:55:05 ID:CxH.gzT60
ここまで来ると本当にモララーの安否が気になる
119
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 05:54:48 ID:8AReJZ8o0
安否ってか完全にタヒってたろ
120
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 06:03:52 ID:CxH.gzT60
それでも…!それでも…!
121
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 07:22:27 ID:d8QXMjic0
もう続き書かないのかと思ってた
最終回まで楽しみにまつ
122
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 11:29:07 ID:YlX6E.Ek0
俺もモララー一番好きだしVIPはどんでん返しが多いチームだからもしかしたらの希望が捨てられない
123
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 11:50:36 ID:nYb5tdpc0
乱戦が各地で片付いていくのはやっぱり盛り上がるな
同時に、最終回まで突っ走っていく感じもするので嬉しいけど寂しい
124
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 19:29:03 ID:VHBKwnpQ0
弟者がいてよかった……
乙
125
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:41:53 ID:cjU6OEj20
40.
砕かれた小瓶。
入っていた青い液体は黄色い液体に変わり宙を舞った。
(も)!!
片手剣の攻撃をシャキンの盾に受け止められた男がそれに気付く。
(も)「なんだと!」
(`・ω・´)「気付けなくても無理はない。
モラの作った偽装瓶を見抜けるのは、
ショボとドクオくらいだ」
液体を切ったシャキンの片手剣が男を切り裂く。
(も)「ちっ」
追撃を避けようと後ろに跳ぼうとした男が膝から崩れ落ち、
その場に座ってしまった。
(も)「!!?」
慌てて自身の状態を確認するが麻痺状態にはなっていない。
(`・ω・´)「遅い」
自分を切り裂く片手剣に防御しようとするが、
時折動かなくなる身体に立つことも出来ず、思うような防御も出来ない。
(も)「なっ」
攻撃しようとふるった片手剣は弾かれ、
更に身体を切り裂かれる。
.
126
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:43:03 ID:cjU6OEj20
(も)「!」
そしてHPバーが赤くなった瞬間に自身を襲う虚脱感。
身体に力が入らず、地面に倒れてしまった。
唯一動かせる視界を動かし、
自分を見下ろす男を見る。
(`・ω・´)「今おれが使っている麻痺毒はまだ発表されていない、
強力な毒だ。
HPバーが青や黄色の時は抵抗できるが、
赤くなると完全に麻痺状態になり、その後眠りに落ちる。
ついでに言うと、
使用者とのレベル差や抵抗値が低い状態だと、
青や黄色の状態でも麻痺の効果を打ち消すのにタイムラグが起きる事がある」
自身の負けを認め視線をシャキンから外す男。
そして眠りに落ちる前に見たのは、
ミセリと戦う仲間の姿だった。
(り)「短剣で俺に歯向かうとはな」
ミセ*゚ー゚)リ「そういうセリフは私の攻撃を完全に封じてからじゃないと笑われるよ」
男の放つ槍の攻撃をすべて避けきるミセリ。
逆にその隙をついて近寄り攻撃し、
そしてすぐに距離をとる。
(り)「……ちっ」
横目で見た先には片腕を失って倒れているフィレンクト。
(り)「しかしまさか、付き合ってた男をこんな簡単に倒すとはな」
ミセ*゚ー゚)リ「その程度で動揺させようなんて無駄だよ」
黄色く輝く短刀を構えてミセリが笑う。
.
127
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:44:13 ID:cjU6OEj20
(り)「……さっきまでとは大違いだな。
まあ、おれもあいつもそいつも騙された口だがよ。
怖い女だ」
ミセ*゚ー゚)リ「あら、褒めてくれてありがとう。
でも、シャキンはちゃんと本気で攻撃したわよ?」
(り)「はぁ?」
ミセ*゚ー゚)リ「だってそうしなきゃ疑わられただろうし。
でも、あの程度の私の本気でシャキンがやられるわけないから」
(り)「……ちっ」
ミセ*゚ー゚)リ「あんたは、さっきとは別人ね。
なに、戦闘になると正確変わるタイプ?」
(り)「はっ。人を二重人格みたいに言うなよ。
その方が、油断してくれて面白いからやってるだけだ」
ミセ*゚ー゚)リ「なにそれ」
(り)「あいつらとPKするときよ、
対象を囲んで俺がガタガタ震えてるとよ、
まぁどいつもこいつも俺に向かってくるんだわ。
気弱そうな俺に突撃すれば穴を作って逃げられるとでも思うんだろうな」
喉奥で空気を吸うように笑う男。
ミセ*゚ー゚)リ
(り)「その後俺に殺される奴の顔は絶妙なんだこれがまたよ。
呆然として、恐怖におびえ、怒りの混じった、絶望した表情がまた」
ミセ*゚ー゚)リ「あー。不愉快だから黙って」
.
128
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:45:55 ID:cjU6OEj20
(り)「なんだ。お前は殺したことないのか。
人を殺す度胸もねぇのに武器を俺に向けるなよカスが。
ま、おれも一人殺すまでは緊張したけどよ、
二人目以降は簡単だったな。
一人も二人も一緒だな」
ミセ*゚ー゚)リ「言ったよね。黙れって」
笑みを消して男を見るミセリ。
対して男は感情を出したミセリに笑顔を見せる。
そして自分達を見るシャキンにも意識を向けた。
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫よ」
(り)「?」
ミセ*゚ー゚)リ「シャキンには手出しさせないから。
それに、貴方がシャキンと戦うことは無いから」
(り)「……?」
ミセ*゚ー゚)リ「だって、あなたは私に倒されるんだから」
(り)「……なら、お前を殺してからそいつを殺すとするか」
男の目に怒りが宿り、恐ろしいほどの速さで槍を繰り出す。
ミセ*゚ー゚)リ「少しは出来るかな」
しかしミセリは短刀の腹で受け、
火花を散らしながら勢いを後方に流し、
そして重さを感じさせない動きで男の懐に移動した。
男の喉元に突き付けられた短刀の刃。
(り;)「なっ」
.
129
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:48:45 ID:cjU6OEj20
ミセ*゚ー゚)リ「でもね、集団で人を襲い、
奪い取ったアイテムとコルで装備を良くし、
安全な戦闘でモンスターを倒してレベリングしたあなたに」
男の喉が切り裂かれ、HPバーが大きく減る。
(り;)「ぐっ」
ミセリは男が槍を構え直す前に更に二回切りつけてから距離をとる。
ミセ*゚ー゚)リ「私達が負けるわけにはいかないの」
(り;)「この世界はレベルが全てだ!」
再度突き出される槍を軽々と躱して男の背後に移動するミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「そうよ。それは正解」
男の脇腹に突き立てられる短刀。
(り;)「がっ」
衝撃が男を襲う。
突き立てられた短刀がそのまま背中に向かって横に振り抜かれると、
ポリゴンがまるで血の様に宙を舞った。
(り;)「ぐっ!」
HPバーが黄色に変わり、膝をつく男。
ミセ*゚ー゚)リ「でもね、当然だけど、
戦闘経験が全く意味を成さないわけじゃないのよ」
ミセリの短刀が男の両肩が切り裂かれる。
(り;)「がはっ!」
ミセリが動きを止めた男の背中を蹴る。
.
130
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:54:20 ID:cjU6OEj20
(り;)「ごっ!」
スキルに体術を入れてあるミセリの蹴りは攻撃であり、
男のHPは削られて赤に変わった。
(り;)「ひっひっ」
地面を転がった男がミセリを見上げる。
ミセ*゚ー゚)リ「それに、レベルでもあなたは私に負けていると思うわよ?」
(り;)「た、助けて……」
ミセ*゚ー゚)リ「あなたは、
今までそうやって助けを求めた人を、
助けたの?」
(り;)「!」
自分に向けられた短刀に言葉を無くす男。
(り;)「み、みのがして……。
!
お、おまえは、人を殺すのか!殺せるのか!」
ミセ*゚ー゚)リ「……私が人を殺したことが無いって、
誰が言ったの?」
悲しげに笑いながら短刀を構えるミセリ。
短刀が赤く輝く。
(り;)!!
ミセ*゚ー゚)リ「一人殺すのも、二人殺すのも、一緒なのよね?」
(り;)「し、死にたく……!!
な……い……」
.
131
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:56:23 ID:cjU6OEj20
男の身体を黄色の輝く線が通ると、
男がその場に崩れ落ち意識を失った。
ミセリはそれを見届けた後、
一番初期の技でありほとんど技後硬直を起こさない剣技を空打ちした。
ミセ*゚ー゚)リ「……ありがとう」
そして視線を彼に向けた。
視線の先では、
残った片手で麻痺毒を付加した針を投げたフィレンクトが居た。
(‘_L’)「……予定通りですね」
苦しそうな表情をしたミセリに、
いつものような軽い口調で話しかけることが出来ないフィレンクト。
ミセ*゚ー゚)リ「はい」
ミセリもそれに口調を合わせて返事をする。
地面に倒れる男を見下ろすミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「……一人も二人も一緒とか、
そんなわけ、無いじゃない……」
呟いたミセリ。
その声が聞こえたかどうかは分からないが、
片腕の無いままのフィレンクトがミセリに近付いた。
(‘_L’)「ミセリさん」
ミセ*゚ー゚)リ「腕、大丈夫ですか?」
(‘_L’)「はい。ただの部位欠損ですし。
欠損部位が大きいから時間は長いですが……。
あと六十秒くらいです」
.
132
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:58:44 ID:cjU6OEj20
ミセ*゚ー゚)リ「思い切りが良くてびっくりしました。
自分でやっても部位欠損できるとは聞いてましたけど。
まさかあんなだとは。
しかも、その後叫んで二人の注意を引いてくれて」
(‘_L’)「何回か自分で練習しましたから」
ミセ*゚ー゚)リ「凄いですね……」
(‘_L’)「本当は貴女がそいつと戦うのも反対だったんですが」
ミセ*゚ー゚)リ「またそれを言う。
フィレンクトさんがダブルスパイしていたのは、
出来るだけ隠しておかないと。
フィレンクトさんが疑われていたのは知っていましたから、
本当は私が貴方の腕を切り落とすところを二人に見せておきたかったんですけど。
牢獄でそいつらがフィレンクトさんを恨む危険性を減らさないと」
(‘_L’)「私は覚悟していますが」
ミセ*゚ー゚)リ「ダメですよ。
もともとロマネスク達の動きをコントロールして、
出来るだけ人を殺させないようにしていたのはフィレンクトさんなんですから」
(‘_L’)「ですが、私だけでは完全に止めることは出来ませんでした。
二人が直接手を下すのは先延ばしに出来ましたが、
結局、VIPやN-Sの皆さんの、ミセリさんの協力が無ければ……」
ミセ*゚ー゚)リ「私達の思惑と、
フィレンクトさんがあの二人を人殺しにしたく無いという思いが合致しただけです」
(‘_L’)「私にとって、
ロマネスクとヒッキーが恩人であるというのは、
変わらない事実なので。
本当なら、
二人が間違った方向に進むのを止めなければいけなかったのに」
ミセ*゚ー゚)リ「……恐怖や苦しみや嫉妬は、
人を間違った方向に進めてしまいますから」
.
133
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:00:10 ID:qmlqk3ss0
悲しげに、少し強張った顔でほほ笑むミセリ。
フィレンクトもその微笑みに釣られて少しだけ微笑んだ。
その微笑みを受けてミセリは少しだけ強張りを緩めるが、
すぐに表情を引き締めて周囲を見回す。
ミセ*゚ー゚)リ「それで、シャキンは……?」
盾と片手剣を地面に置いたままうずくまっているシャキン。
ミセ*゚ー゚)リ「……なにしてるの?」
シャキンが腹を抱えてうずくまる。
(` ω ´)「ひっひっ……」
ミセ*゚ー゚)リ「!シャキン!?」
(‘_L’)「シャキンさん!?」
慌てて駆け寄ろうとする二人の前に映し出される映像
◇ミセ*゚ー゚)リ「私は、女だから」
(`;ω;´)「お、ん、な、だ、か、ら」
シャキンは腹を抱えて笑っていた。
ミセ*゚ー゚)リ「…… …… シャキン?」
134
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:01:45 ID:qmlqk3ss0
それはもう、声は出さずに引きつるように笑っていた。
◇ミセ*゚ー゚)リ「私は、女だから」
◇ミセ*゚ー゚)リ「私は、女だから」
◇ミセ*゚ー゚)リ「私は女だから」
(`;ω;´)「お、ん、な、だ、か、ら」
(`;ω;´)「お、ん、な、だ、か、ら」
泣きながら、腹を抱えて、笑っていた。
ミセ* ー )リ
(;‘_L’)「シャ、シャキンさん、それは」
(`;ω・´)「い、一応あとでショボに報告するようで記録してたんだけどよ、
ちゃんと撮れてるか確認したらちょうどこのシーンが再生されて。
リアルに聞いた時も噴き出すの抑えるために叫んだし」
(;‘_L’)「あ、ああ。あの時の叫びにはそんな意味が」
(`・ω;´)「フィレンクトは、よくあの時噴き出さなかったよな」
(*‘_L’)「あ、ま、まあ、私は、その」
ミセ* ー )リ「シャキン」
地を這うようなミセリの低い声。
(`・ω・´)「……って、あれ?」
ミセ* ー )リ「それをよこしなさい」
.
135
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:03:01 ID:qmlqk3ss0
ゆっくりとシャキンに近寄るミセリ
(`・ω・´)「あ、いや、ほら、ショボンに報告する時に」
ミセ* ー )リ「大丈夫」
右手に持った短刀が光を反射してきらめく。
ミセ* ー )リ「私が報告するから」
(`・ω・´)「み、ミセリ?」
慌てて立ち上がり、片手剣を持って盾を構えるシャキン。
(`・ω・´)「映像が無くてもおれが報告したら一緒だしさ」
ミセ* ー )リ「大丈夫よ」
ミセリがニヤリと笑う。
(;`・ω・´)「み、ミセリさん?」
ミセ* ー )リ「ちゃんと名誉の戦死をしたことにしてあげるから」
(;`・ω・´)「ひっ!」
ミセリの攻撃を受け止めるシャキンの盾。
刃の当たった場所から火花が散っている。
(;`・ω・´)「お、落ち着けミセリ!」
ミセ* ー )リ「大丈夫」
繰り出される攻撃を受け止め、弾く盾。
ミセ#゚ー゚)リ「私は冷静よ!
死ねシャキン!それを渡しなさい!」
.
136
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:04:08 ID:qmlqk3ss0
縦横無尽に四方八方から繰り出される攻撃。
(;`・ω・´)「そういう攻撃に特化した冷静さはいらないから!」
その全てを無効化するシャキンの盾と片手剣。
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクト!手を貸して!」
(`・ω・´)「フィレンクト!こいつを止めてくれ!」
(;‘_L’)「あー。わたし、腕が無いので」
ペナルティの時間が終了し、
フィレンクトの腕が元に戻る。
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクト!」
(;`・ω・´)「フィレンクト!」
(‘_L’)「……仕方ない二人ですねえ。
……私ではその笑顔は取り戻せなかったんですが……。
少しくらいなら意地悪しても良いですかね」
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクト!」
(;`・ω・´)「フィレンクト!まじで助けて」
フィレンクトが武器を手にする。
(‘_L’)「付き合いの深さからすればミセリさんの手助けをするところですが、
どうしましょうか」
ミセ*゚ー゚)リ「もちろん手助けよ!」
(;`・ω・´)「フィレンクトおおおおおおお!?」
シャキンの叫び声がエリアに響く中、
盾に当たる刃の音がしばらく続いた。
(;`;ω;´)「たすけてー!」
.
137
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:09:32 ID:qmlqk3ss0
どーも作者です。
おつと感想、誤字チェック、本当にありがとうございます。
何度見直しても抜ける……。
精進します。
さて、引っ越し記念の連続投下ですが、
ひとまずここで終了となります。
そして話も佳境に。
さあ残っているのは誰だ!
最後までよろしくお願いします。
ではではまたー。
138
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 00:21:16 ID:oK3nH/Zg0
乙!
>>127
正確変わる → 性格変わる
139
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 01:10:19 ID:2FU41suw0
乙
140
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 01:35:06 ID:7F8UU9KEO
おつ
フィレンクトはやっぱり隻腕になる運命なのねw
アインクラッドではすぐに戻っちゃうのが惜しいとこ
141
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 19:28:41 ID:l6cx7aA20
乙なり
142
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 21:56:15 ID:DKPqZwXQ0
乙です!
もうすぐ終わっちゃうんだな
143
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 22:09:31 ID:BwyhPCr.0
ANGLER編終わっても話は続くもんだと思ってたけど原作の時系列も考えるともう最終盤なのかな
144
:
名無しさん
:2017/10/31(火) 13:45:47 ID:TAuZJG2U0
後残ってるのはショボン、ジョルモラ、ヘリカル、動きのないギコしぃか
モララー…生きてるといいな
145
:
名無しさん
:2017/11/01(水) 21:09:15 ID:4Gl3YEMI0
あの描写で誰も死にませんでしたってストリーはさすがにないwww
146
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 00:46:42 ID:y1fP1.Es0
確かにご都合主義かもしれないけどさ
『モララー』は無理でも、茂羅某(仮名)は朝日が何とかしてくれると信じてるよ
147
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 00:51:35 ID:blOw27uw0
でもあれって死んだ瞬間に電気ビリビリじゃないん?
148
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 00:52:33 ID:blOw27uw0
いや、タイムラグあるか
確かクリスマスイベかなんかで数分以内なら蘇生できるアイテム有ったな
それでも現実側からは無理だけど
149
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 01:00:17 ID:y1fP1.Es0
22話の最後ら辺読んでみ
本編はともかく、少なくともこの作品の時系列の最終盤で脳みそ焼き切られたのは茅場だけだと信じたい
150
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 01:04:38 ID:y1fP1.Es0
21話だったスマソ
151
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 02:35:32 ID:p9Prhn1U0
この作品って結構シビアに命の描写してるのにギルメンは無事ってのはご都合だと思うけどなぁ
152
:
名無しさん
:2017/11/11(土) 08:31:53 ID:9mXQvU8o0
8話の時点でブーンがすげぇこと言っててびっくりしたわ
おつ
153
:
名無しさん
:2017/11/16(木) 23:20:24 ID:5a0I.DVoO
閑話読んでたらイーユウ君出てきてたわ
154
:
名無しさん
:2017/11/17(金) 21:58:40 ID:wJp2Q/x20
読み返すと伏線はりまくりで尊敬する
155
:
名無しさん
:2017/12/02(土) 20:34:45 ID:oMobV9pI0
saoのアプリ出てこの作品みたいに色々やってやるぜと意気込んでたけどやっぱやれること少ないわ
武器少ないしスキルガチャだしだったからなあ
156
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:13:04 ID:h6rr3Xoo0
たまにはこんな時間に投下もいいじゃない。
ということで投下開始します。
よろしくお願いします。
157
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:14:05 ID:h6rr3Xoo0
41.
ミセ*゚ー゚)リ「まったく……」
記録結晶を手に仁王立ちしているミセリ。
その視線の先にはうずくまってシャキンがいる。
(`・ω・´)「取られた―。
ちゃんと報告しなきゃなのにー」
ミセ*゚ー゚)リ「報告なら私がしますー」
(`・ω・´)「ちゃんとあのセリフ」
音もたてずにシャキンの背後に回り、
後ろから短刀を首元に当てるミセリ。
ミセ* ー )リ「セリフ?セリフって、なんのこと?」
(;`・ω・´)「あ、いえ、なんでもありません。はい」
ミセ* ー )リ「報告は私がする。
貴方は何も言わない。
よろしいかしら?」
(`・ω・´)「いえす!まむ!」
ミセ*゚ー゚)リ「……まったく」
短刀を鞘にしまうミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「そんなことより、行かなくて良いの?」
(`・ω・´)「んー。そうだなあ」
(‘_L’)「マタンキは、行動には難はありますがレベル上げやモンスター狩りには積極的で強いです」
.
158
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:14:58 ID:h6rr3Xoo0
少し離れた場所で二人を見ていたフィレンクトが近寄る。
(‘_L’)「正直、ショボンさんお一人では厳しいかと思いますが」
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクトさん」
(‘_L’)「全員の飛ばされる場所は把握しています。
行くのならば早めに動きましょう」
ミセ*゚ー゚)リ「シャキン!」
(`・ω・´)「んー」
(‘_L’)「シャキンさん?」
ミセ*゚ー゚)リ「……シャキン?」
胡坐をかいて腕を組み唸っているシャキンを見て怪訝そうな顔をするミセリとフィレンクト。
(`・ω・´)「ま、ゆっくり行こう」
ミセ*゚ー゚)リ「はあ?」
(‘_L’)「シャキンさん!?」
(`・ω・´)「だって、おれらまで参戦したらいくら何でも戦力過多だからな」
楽しそうに笑ったシャキンを見て、
ミセリとフィレンクトは困惑した表情を見せた。
.
159
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:16:08 ID:h6rr3Xoo0
右脚を切り裂かれたショボンが後方に跳ぶが、
本能のままマタンキが追撃する。
(;´・ω・`)「くっ」
(・∀ ・#)「ひゃはははははははっははははははは」
上段、下段、横薙ぎ、袈裟切りと、縦横無尽に攻撃されるショボン。
(;´・ω・`)「!……!」
体術で躱しつつチャクラムでも防御するが掠る刃と衝撃はHPを削っていく。
(・∀ ・#)「有名ギルドのギルマスさんがなさけないですよー」
(;´・ω・`)「ぼくはっ!」
ショボンの指を狙った攻撃が綺麗に決まり、
マタンキの片手剣がチャクラムを飛ばす。
(;´・ω・`)「!」
(・∀ ・#)「しねええええええええええええ!!!!!!!!!」
「ゴルァアアアアアアアアアア!」
ショボンの無防備になった右側に片手剣を振り下ろそうとしたマタンキの身体に横から体当たりする盾。
(・∀ ・#)「!!!!」
(;´・ω・`)「シールドバッシュ!?」
衝撃で飛ばされながらも体勢を立て直すマタンキ。
(,,゚Д゚)「ショボンはやらせないぞゴルァ!」
身体と同じような大きさの盾。
その盾を片手で持ち、
前面に押し出してマタンキに激突したのはギコだった。
.
160
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:17:33 ID:h6rr3Xoo0
(;´・ω・`)「ギコ!?」
(,,゚Д゚)「遅れた!」
勢いのままショボンとマタンキの間に陣取り盾を地面に立てるギコ。
そして技後硬直を起こす
(・∀ ・#)「あの程度の剣技で硬直起こしている奴があああああ!!!!
ころしてやるるるるるるるううううううう!!!!!」
黄色に変わったHPを気にすることもなく突撃するマタンキ。
ギコはまだ硬直している。
(;´・ω・`)「ぼくが!」
(,,゚Д゚)「大丈夫だゴルァ」
(;´・ω・`)「え?あっ」
この状態で口元に笑みさえ浮かべながら前に出ようとするショボンを制するギコ。
そして二人の目の前で花が舞う。
「させないっ!」
(・∀ ・;)「なっ」
ギコに辿り着く前に頭の上に振り下ろされた短剣。
片手剣でそれを弾いたマタンキの背中が切り裂かれる。
(・∀ ・)「!」
慌てて自分を攻撃する者に片手剣を振るマタンキ。
それは攻撃と言うより威嚇に近いものだが空振りに終わった。
(・∀ ・)!
.
161
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:18:50 ID:h6rr3Xoo0
地を這うように自分に駆け寄る少女。
(;´・ω・`)「しぃまで……」
(*゚ー゚)「ひきなさい!」
右手に持った短剣を逆手に持ち、
マタンキの足元からアッパーカットを狙う様に飛び上がるしぃ。
刃がマタンキの顎を狙う。
(・∀ ・#)「その程度で!」
マタンキは叫びながら短剣を打ち下ろそうと片手剣を振り下ろした。
(・∀ ・)「!」
しかし片手剣は素通りする。
その横を突き上げられたしぃの右手が、
そして体が錐揉みしながら跳びあがる。
(*゚ー゚)「はっ!」
そして左手に持たれた短剣がマタンキの身体を切り裂いた。
(・∀ ・;)「ぐっ」
呆然としたマタンキの顔をしぃの脚が蹴り上げる。
衝撃で地面を転がるマタンキ。
しぃは大きな弧を描くように後方宙返りをしながら空を舞い、
ギコの前に華麗に着地した。
技後硬直の解けたギコがしぃを守るように移動する。
(;´・ω・`)「しぃ、今のはエクストラスキルの『ジャグリング』?」
.
162
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:20:10 ID:h6rr3Xoo0
(*゚ー゚)「お久しぶりです。ショボンさん。
はい。短剣と体術で覚えられる『ソード・ジャグリング』です。
エクストラスキルといっても短剣の拡張スキルみたいな感じです。
もちろん検証に協力しますよ。
おそらくショボンさんが使ってる『ジャグリング』の劣化版ですが、
結構使えます」
(,,゚Д゚)「こんな場面でもまずそこを気にするのは流石だぞゴルァ」
(;´・ω・`)「あっ」
(,,゚Д゚)「久しぶりだなゴルァ」
(´・ω・`)「あ、うん。会うのは久しぶりだね。二人とも」
(*゚ー゚)「色々変わってなくて安心しました」
(,,゚Д゚)「本当に相変わらずだ」
(;´・ω・`)「あ、うん。
二人も元気そうでよかった。
って!なぜここに!」
(・∀ ・#)「おまえら、よくも俺をコケに」
しぃの蹴りで転がっていたマタンキが起き上がり、
剣を構えてこちらを睨んだ。
(*゚ー゚)「三対一で、まだ戦うつもり?」
(,,゚Д゚)「お前の負けだ!」
(・∀ ・#)「三対一だろうが十対一だろうが、
なかよしこよしで呑気に生き抜いてきたお前らに負けるわけがねぇんだよ!」
三人に向かって駆けだすマタンキ。
(,,゚Д゚)「ゴラァ!」
.
163
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:21:08 ID:h6rr3Xoo0
合わせて前に出るギコ。
しぃは下がり、ギコの後ろ、ショボンの前に移動する。
(・∀ ・#)「てめぇ程度の盾で!」
青く光るマタンキの片手剣。
(・∀ ・#)「はぁ!」
流れるような三連撃がギコを襲う。
(,,゚Д゚)「!」
そして下から上にすくい上げる様な最後の一撃が盾を跳ね上げた。
マタンキにの視界にはギコの全身が映る。
(・∀ ・#)「はっ」
今使用した剣技は硬直時間をほぼゼロにまでしていたため、
ほとんどタイムラグ無しに横薙ぎの四撃目を放とうとした。
(・∀ ・#)「しねぇ!」
(,,゚Д゚)「甘いぞゴルァ」
(・∀ ・#)「!」
振り下ろされる盾。
身体ではなく片手剣を狙ったその攻撃により、
マタンキの片手剣が砕け散った。
(・∀ ・#)「ちっ」
剣に盾が当たる前に手を離し後方に跳んでいたマタンキ。
ギコが向けた視線の先で、新たな剣を手にしている。
.
164
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:22:23 ID:h6rr3Xoo0
(・∀ ・)「けっ。これを使うことになるとはな」
(,,゚Д゚)「……」
(・∀ ・#)「これで終わりだ!」
もう一度駆け出すマタンキ。
(,,゚Д゚)「おれは全ての武器を覚えられるほど頭は良くないが、
それでもショボンがピックアップしてくれたものは必死で覚えたんだぞゴルァ」
(・∀ ・#)「何を言っている!」
マタンキの一撃がギコの盾を攻撃し、火花が散る。
(・∀ ・#)「死ねぇ!」
(,,゚Д゚)「ゴルアァァァアアアア!」
マタンキの剣から迸る赤い光が束になり、
盾の無い外側からギコを狙おうとした瞬間、
ギコの盾から出た青い光が透明な盾となりギコを守った。
(・∀ ・#)「あっ!?
フォールス・シールドだと!?」
(;´・ω・`)「フォールス・シールド!?
もうそこまで鍛えたの!?」
剣技『フォールス・シールド』
使用した盾の1〜10倍の強度と1〜10倍の大きさを持った光の盾を、
10〜40秒盾の前面に貼ることの出来る剣技。
変数は使用者の任意で設定できるが、
スキルレベルが低いと大きい数値は失敗する。
また、適用時間によって硬直時間が増大するため使用タイミングが難しい剣技の一つとされている。
(,,゚Д゚)「『SNAKE・SWORD』の特殊攻撃は効かないぞゴルァ」
(・∀ ・#)「レベルだけは上げてあるみてぇだな」
.
165
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:23:23 ID:h6rr3Xoo0
マタンキは攻撃を止めて横にステップを踏み、
(・∀ ・#)「でもそれは硬直時間も長いし、」
光の盾に向かって一歩無踏み出した。
(・∀ ・#)「攻撃やモンスターは反射しても、
プレイヤーは素通りなんだよな!」
光の盾をすり抜けたマタンキが、
盾を維持しつつ硬直しているギコに向かって剣を振り下ろす。
だがその剣は、
そこにいなかったしぃの短剣に弾かれた。
(*゚ー゚)「私が居ます」
ギコの肩を使って高く飛んだしぃが回転しながらマタンキの剣を弾く。
(・∀ ・#)「またてめぇか!」
バランスを崩したマタンキだったが、
今度は転倒することなく後方に跳び剣を構えた。
(・∀ ・)「ならおまえからやってやるよ!」
しかし視界の中にしぃはいない。
(*゚ー゚)「私はここです」
声のした方に剣を振ったマタンキ。
その背中に繰り出されるしぃの正拳突き。
(・∀ ・#;)「ガアッ」
前方に倒れながら回転し体勢を整え、
しゃがんだまま剣を構える。
.
166
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:24:46 ID:h6rr3Xoo0
マタンキは自分の減ったHPを確認し、
それが衝撃ではなく体術による攻撃であることを知った。
(・∀ ・#)「結構やるじゃねぇか」
(,,゚Д゚)「おれもいるぞゴルァ」
しぃの前に移動して盾を構えるギコ。
(*゚ー゚)「もう、やめましょう。
貴方の負けです」
(・∀ ・#)「一人で戦えないくせにでかい口を叩くな!」
地を這うような低い姿勢で駆け出す
(,,゚Д゚)「ゴラァ!」
盾で迎え撃つギコに向かって跳躍するマタンキ。
(,,゚Д゚)!
盾を上に向けるギコ。
(・∀ ・)
その盾を蹴り、更に跳躍するマタンキ。
(・∀ ・#)「まずはてめえだ!」
盾を蹴られたことによりバランスを崩したギコを見下ろし、
降下しながら剣を振り下ろそうとするマタンキ。
(*゚ー゚)「させない!」
それを予期し、
阻止するために既にしぃは跳躍していた。
マタンキに向かって振り下ろされる短剣。
.
167
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:25:48 ID:h6rr3Xoo0
(・∀ ・#)「わかってんだよ!」
だがマタンキもその行動を予想しており、
手袋を装着した左手で短剣を掴む。
(*゚ー゚)「!」
そして落下しながら右手に持った片手剣をしぃの首に振り下ろそうとした。
(・∀ ・#)!!!!!!
マタンキの右手首と右肩に突き刺さるナイフ。
(・∀ ・#)「ショボン!」
(*゚ー゚)
(,,゚Д゚)
しぃとギコが笑みを漏らすなか
マタンキは顔のナイフを抜きながら着地し離れた場所に跳躍する。
片手剣を構えながらショボンを睨むマタンキ。
(´・ω・`)
(・∀ ・#)「ショボンんんんんんんん!!!!!!!」
(´・ω・`)「もうやめよう、マタンキ」
(・∀ ・#)「ふざけるなアアアアアアアアアア!!!」
ショボンに向かって走り出そうと構えたマタンキの前に立ちふさがるギコ。
(・∀ ・#)「てめえエエエエエエエエエエエ!!!!!」
(,,゚Д゚)「もう終わりだゴルァ!」
(・∀ ・#)「けっきょくそうだよなアアアアアア!!!!!」
.
168
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:27:08 ID:h6rr3Xoo0
(´・ω・`)!
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
突然の叫ぶマタンキ。
それは今までの罵倒や軽口とはどこか違い、
三人は息をのみマタンキを見つめた。
(・∀ ・#)「けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだああああああああああああ!!!!」
(´・ω・`)「マタンキさん?」
(・∀ ・#)「けっきょくおまえは!
何を言おうが!
何を取り繕うが!
結局そうなんだよ!!!!!」
(,,゚Д゚)「何を言ってるんだゴルァ」
(*゚ー゚)「ショボンさん、この人は……」
(´・ω・`)「……僕にもよく……」
( ∀ #)「うをおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
(´・ω・`)!
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
駆け出したマタンキを見て構える三人。
.
169
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:28:32 ID:h6rr3Xoo0
しかしマタンキは三人とは別方向に向かって走っていった。
(,,゚Д゚)「あ」
(*゚ー゚)「あ、しょ、しょぼんさん!」
(´・ω・`)「……いや、追わなくていいよ。
きっとまた彼は僕を襲いに来るから、
その時に、もう一度」
(;*゚ー゚)「いやいやいやいやいや」
(;,,゚Д゚)「追うぞゴルァ」
駆け出すしぃとギコ。
(´・ω・`)「あっ、二人とも!」
二人を追ってショボンも走り出した。
ミセ*゚ー゚)リ「さっさと歩く!」
(`・ω・´)「大丈夫だって」
(‘_L’)「そのお二人も充分強いようですが、
何があるか分かりませんし」
(`・ω・´)「それはそうだけどよー。
おれの代わりに行ってるんだからちゃんと役目果たすって」
森の中の細長い道を歩く三人。
ミセ*゚ー゚)リ「何かあってからじゃ遅いんだからね」
.
170
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 09:29:42 ID:JlQcnU8Q0
おはよう支援
171
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:29:49 ID:h6rr3Xoo0
(`・ω・´)「んー。
ショボ一人だとやばいけど、
ギコしぃが一緒なら二人の為に絶対勝つだろうからなぁ。
レベルも能力も充分だろうし」
ミセ*゚ー゚)リ「多分そうだろうけど、
とにかく行くの!」
(`・ω・´)「うぃーー」
(;‘_L’)「本当にやる気ない感じですね」
三人はショボンとマタンキが戦っているエリアに向かって急いでいた。
ミセ*゚ー゚)リ「ほら!ちゃっちゃと歩く!」
(`・ω・´)「うぃーーー」
(;‘_L’)「はぁ……」
二人は急いでいた。
ミセ*゚ー゚)リ!
(`・ω・´)!
(‘_L’)?
立ち止まり大きく曲がって出口の見えていない道の先を見るミセリ。
ほぼ同時にシャキンも前方を見ると、横の森に向かって移動する。
(;‘_L’)「え?」
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクトさん、何か来ます。
おそらくプレイヤーですが、とりあえず隠れましょう。
渡してあるマントを使ってください」
(;‘_L’)「あ、は、はい」
.
172
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:31:01 ID:h6rr3Xoo0
マントを装備してミセリと共にシャキンの後を追う。
既にフードを被ったシャキンが茂みに隠れつつ手招きしていた。
ミセ*゚ー゚)リ「全くこういう時は素早いんだから」
シャキンと隣に隠れるミセリ。
フィレンクトもその横に並んでしゃがんだ。
(‘_L’)「しかしこのマントは凄いですね」
ミセ*゚ー゚)リ「作るのは大変らしいけど、
隠密行動には欠かせないモノですね」
(`・ω・´)「でも耐久値かなり低いんだよな」
ミセ*゚ー゚)リ「低層のリザードウルフの爪攻撃一発でポリゴンだからね」
(;‘_L’)「それは……」
ミセ*゚ー゚)リ「前に一回壊してツンに報告したら、
かなり本気で怒られたから気を付けてね二人とも」
(`・ω・´)「はーい」
(;‘_L’)「はい」
三人がフードを被り静かにすると、
その姿は周囲に溶け込んだ。
そして隠れる三人が監視する道を、
一人の男が駆け抜けていった。
(・∀ ・#)
マタンキは三人の目の前を走り抜けた後、
腰のポーチから結晶を出し何かを呟くとその場から消えた。
.
173
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:31:58 ID:h6rr3Xoo0
それを見たフィレンクトとミセリが立ち上がる。
フィレンクトは道に出てマタンキの消え去った場所を伺い、
ミセリはウインドウを出す。
(`・ω・´)「……おい、どうした?」
突然の二人の行動に声をかけるシャキン。
しかしそう言った彼も顎に手を添え何かを考えている。
(‘_L’)「今のがマタンキです」
(`・ω・´)「え?」
(‘_L’)「シャキンさんは会っていませんでしたか」
(`・ω・´)「え?あ、ああ。
そうか……今のが、マタンキ……」
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンは無事ね。
フレンドリストの色は変わってない。
一応メッセージは送ったけど。
?また何か来る?」
マタンキがやってきた方向。
自分達が向かっていた方向を見るミセリ。
するとすぐに二つの人影を視界にとらえた。
ミセ*゚ー゚)リ「……あれは」
ゆっくりと道に出るミセリ。
マタンキを追って走ってきたギコとしぃもフィレンクトとミセリを見て立ち止まった。
(,,゚Д゚)
(*゚ー゚)
.
174
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:32:55 ID:h6rr3Xoo0
二人を見て訝しげな顔をする二人に、
ミセリが笑顔を見せる。
ミセ*゚ー゚)リ「初めまして。
ギコさん。
しぃさん」
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
ミセ*゚ー゚)リ「と言ってもしぃさんとは何度か会ったこともあるけれど、
覚えてる?かな?」
(,,゚Д゚)「どこでおれ達の名前を」
盾を構えてしぃの前に立つギコ。
(*゚ー゚)「バーボンハウスの……お客さん?
そこの男性と一緒に来られてた」
ミセ*゚ー゚)リ「当たり。
お久しぶり」
(*゚ー゚)「あ、はい。
いつもありがとうございます。
って、じゃなくて!」
ミセ*゚ー゚)リ「私の名前はミセリ。
そこの男の人はフィレンクトさん」
(*゚ー゚)「え?あ!」
(‘_L’)「こんにちは」
(*゚ー゚)「え、あ、はい。
こんにちは。
あ、そうなんですね。
ミセミセさんとフィレフィレさんじゃなかったんだ」
.
175
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:33:57 ID:h6rr3Xoo0
ミセ;*゚ー゚)リ「違うわよ!
(;‘_L’)「違います!」
(*゚ー゚)「それは失礼しました」
(;,,゚Д゚)
呑気に会話する三人を見て呆れるギコ。
ミセ*゚ー゚)リ「マタンキなら転移結晶で飛んだからこれ以上この先に進んでも無駄よ」
しかしすぐにミセリの言葉で表情を引き締める。
(,,゚Д゚)「どういう事だゴルァ」
盾を構えたまま片手剣を握りなおしてミセリを見るギコ
ミセ*゚ー゚)リ「ん?言葉通りの意味だけど?
詳しいことはショボンが来てから話すわね」
その行動を笑顔で見ながらミセリは答えた。
(,,゚Д゚)「ショボンと知り合い?」
(*゚ー゚)「?」
(´・ω・`)「ミセリ!フィレンクトさん!」
ギコとしぃを追ってやってきたショボンが、
やっと合流した。
.
176
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:35:24 ID:h6rr3Xoo0
42.
鈍色に陽光を反射させ輝く槍を使い、
空間を貫くような鋭い突きが放たれる
男はそれをバックステップで避けながら両手剣を振り上げ、
鎗の柄に当てて軌道を逸らす。
そして振り上げたその勢いをそのまま生かして身体を一回転させ、
両手剣を横薙ぎに一閃した。
しかしそこに姿は無く、
剣が通り過ぎたその場に上から着地した男は鎗を地面に突き刺し土煙を作り出した。
両手剣の男は眉間に皺をよせながらさらにバックステップで後退する。
( ФωФ)「愉快愉快!」
_
( ゚∀゚)「何がゆかいだくそ野郎!」
( ФωФ)「言葉が汚いであるな」
_
( ゚∀゚)「うるさい!」
土煙の中から放たれる突きをすべて弾くジョルジュ。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
幅広の両手剣を団扇のように横に一閃すると風が巻き起こり土煙が晴れる。
しかしそこにロマネスクはいない。
ジョルジュはロマネスクのいた場所に向かって駆けだすと、
今まで自分のいた場所に、
空から鎗が突き刺さった。
.
177
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:36:19 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「良いのである良いのである」
_
( ゚∀゚)「けっ」
動きを止めているロマネスクを襲う衝撃波。
( ФωФ)「!これは!」
_
( ゚∀゚)「両手剣にだって放出系の技はあるんだよ!」
1秒の技後硬直を終えたジョルジュが駆け出す。
( ФωФ)「くっ」
両手剣を鎗の柄で受け止める。
_
( ゚∀゚)「技後硬直を起こしたふりをして、
おれが大技を放つところ狙うつもりか?」
( ФωФ)「流石に三回目は見破られるであるか」
_
( ゚∀゚)「う、る、せ、えー!」
腰を入れ、バットを振るように両手剣を振り切るジョルジュ。
(;ФωФ)「お、これはっ」
押し切られ後方に飛ばされるロマネスク。
いや自分で跳んでいた。
一瞬驚いたもののすぐに口元に笑みを浮かべ、
ジョルジュの力を利用して後方に跳び、
体勢を崩すこともなく改めてゆっくりと鎗を構えた。
( ФωФ)「はっはっは。愉快愉快」
_
( ゚∀゚)「けっ!」
ジョルジュも追撃はせず、
ゆっくりと両手剣を上にあげ、
上段の構えを少しだけ斜めにした構えをとる。
.
178
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:37:34 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「正直ここまで楽しめるとは思っていなかったのである」
_
( ゚∀゚)「……何故、殺す」
( ФωФ)「逆に聞こう。
この世界で生きる事に何の意味を持っているのである?」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
( ФωФ)「こんな偽りの世界で生きる事に、
何の意味を持っているのである?」
_
( ゚∀゚)「元の世界に生きて帰りたくねぇのかよ」
( ФωФ)「帰れると思っているのであるか?
おめでたい脳味噌であるな」
_
( ゚∀゚)「今だって!」
( ФωФ)「攻略組などと呼称し、
トップランナーなどと言って粋がっている者達が、
本当に攻略してくれると思っているのであるか?」
_
( ゚∀゚)「なっ」
( ФωФ)「断言できるのである。
あの者達がどんなに強くなろうとも、
何人いようとも、
このゲームはクリアできないのである」
_
( ゚∀゚)「っんで、そんなこと言えるんだよ」
( ФωФ)「茅場晶彦は、そんな程度の天才ではないのである」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
.
179
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 09:37:50 ID:JlQcnU8Q0
モララー…
180
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:38:45 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「天才ゆえの弱点、
『ゲーム』という制約がある以上確かにいつかはクリアできるであろう。
だが、このペースではクリアすることは出来ないのである」
_
( ゚∀゚)「どういうことだよ」
( ФωФ)「考えてみるのである。
このアインクラッドの世界、
百層からなるこの世界を作るのにどれだけの時間と費用が掛かっているか」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
( ФωФ)「通常のMMORPGとして、
この世界でどれだけの利益を産まなければならないか。
一層からフロアボスを倒していき百層のラスボスを倒すまでの、
グランドクエストが終わるまでの間にどれだけの利益を得なければならないのか」
_
( ゚∀゚)「……何言ってんだよ」
( ФωФ)「この閉じられた世界は天才茅場晶彦が作り出した虚像。
けれど実際に運営しているのは企業。
企業にとって、ゲームは金を産むための手段。
一つの世界でどれだけ利益を上げられるか。
一つの世界を、どれだけ長い間持たせることが出来るか」
_
( ゚∀゚)「!」
( ФωФ)「VRという技術の促進を目標として各方面から支援はされていても、
結局は民間企業の遊戯媒体なのである。
数年でクリアできるような甘い設定にはなっていないのであるよ」
_
( ゚∀゚)「……何年かかっても、クリアすればいい」
( ФωФ)「現実世界の身体にもタイムリミットはあるのである」
_
( ゚∀゚)「……」
( ФωФ)「表情を見る限り、それに関しては考えた事があるようであるな」
.
181
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:39:52 ID:h6rr3Xoo0
ロマネスクを睨みつつも何も言えないでいるジョルジュ。
ロマネスクは今までとは違いどこか寂し気な顔でジョルジュを見つめた。
( ФωФ)「もうすぐ二年。
現実世界の身体はもう悲鳴を上げているであろうな。
悲鳴で済んでいるうちに、本当にこの世界をクリアできると思っているのであるか?」
_
( ゚∀゚)「……出来る」
( ФωФ)「返答までに時間が空いたのが、
真の答えである」
_
( ゚∀゚)「出来るんだよ!」
ジョルジュが駆け出し距離を詰め、
両手剣を振り下ろした。
( ФωФ)「言葉で叶わなければ力尽くであるか?」
それを鎗の柄で受け止めるロマネスク。
( ФωФ)「短慮ではあるが、
嫌いではないのである!」
流さずに押し返し前に踏み込むロマネスク。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
ジョルジュはその動きに合わせて後方に跳ぶ。
今まで自分のいた場所にロマネスクの蹴りが一閃していた。
_
( ゚∀゚)「体術スキルか」
( ФωФ)「別に体術スキルはVIPの専売特許ではないであるからな。
しかしよく避けれたであるな」
_
( ゚∀゚)「何事も経験だからな!」
.
182
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:40:51 ID:h6rr3Xoo0
再び距離を詰め、左下から右上へのすくい上げるような攻撃。
ジャンプして躱そうとしたロマネスクがそれを取りやめて地面に突き刺した鎗で受け止めた。
_
( ゚∀゚)「……何故分かった」
( ФωФ)「やはり何か企んでいたのであるか。
経験則……ではなくカンである」
ジョルジュが狙っていたのは水平回転による3連撃。
出だしをすくい上げに見せる事により相手の隙を誘うやり方であったが、
ロマネスクはそれを受け止める事により防いでいた。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
両手剣を引き、
即座に突く。
しかしロマネスクはそれを危なげなく躱し、
逆に鎗で両手剣を跳ね上げた。
( ФωФ)「ふっ!」
そして気合を込めて鎗で横薙ぎに一閃。
( ФωФ)「!」
しかしそこにジョルジュの姿は無かった。
( ФωФ)「!!」
振り下ろされた両手剣を避けるために横に跳ぶロマネスク。
しかし腕の一部と足に攻撃を受け、
大地をゴロゴロと転がった。
( ФωФ)「……これは」
.
183
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:41:58 ID:h6rr3Xoo0
そのまま倒れるのではなく自身で転がって出来るだけ離れ、
しゃがんだ状態だがすぐさま体勢を整えたのは見事と言えよう。
そして両手剣を振り下ろした姿のままこちらを見ているジョルジュを睨む。
( ФωФ)「……なかなか、やるであるな」
そう言いながら立ち上がり、鎗を構える。
_
( ゚∀゚)「そうか?」
その動きに合わせて両手剣で正眼の構えをとるジョルジュ。
( ФωФ)「その構えでは吾輩の動きを見るのに剣が邪魔ではないのか?」
_
( ゚∀゚)「まだ、答えを聞いていなかった」
( ФωФ)「……。
?なんのであるか?」
_
( ゚∀゚)「何故、人を殺す」
( ФωФ)「……ふむ。
この先攻略組とやらが壊滅し、
クリアの希望が絶たれ、
絶望し、失意のままモンスターに殺され、
もしくはリアルで衰弱死するよりも、
ゲームを楽しみつつ吾輩たちに殺された方が良いと思うのである」
_
( ゚∀゚)「……」
( ФωФ)「今は絶好のタイミングなのである。
攻略組は叶わぬ夢を叶えようと意味のない努力をし、
中層や低層のプレイヤーは見果てぬ夢を見、
更にはこの虚無の世界を楽しんでいる愚かな今この時が!
幸せな死を与えられる絶好の機会なのである!」
.
184
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:43:36 ID:h6rr3Xoo0
高らかに、
朗らかに、
演説するロマネスク。
_
( ゚∀゚)「……それだけじゃねえだろ?」
( ФωФ)「ああ、もちろん幸せな死を与えてあげるのであるから対価はいただくのである」
そしてニヤリと笑った。
(*ФωФ)「吾輩を楽しませてほしいのである」
_
( ゚∀゚)「最初から、それだけ言えばいいんだよ!」
今までとは違う『速さ』でロマネスクとの距離を詰める。
( ФωФ)「!」
驚きつつも突き出された両手剣に合わせて鎗を突き出すロマネスク。
_
(#゚∀゚)「ちっ」
火花が似た閃光を散らして両手剣と鎗をぶつけ合う二人。
( ФωФ)「先ほどから思っていたであるが、予想よりも強いであるな」
_
(#゚∀゚)「なら降参して黒鉄宮に行け」
( ФωФ)「ふざけたことを言うであるな。
所詮レベルを上げたポイント振っただけの強さ。
同じようなレベルなら殺す覚悟のある者が勝つのである!」
ロマネスクの放つ鎗の突きがジョルジュを襲う。
それは目で追うのが困難な速度の突きであり、
しかもそれが十数回タイミングを変えて襲った。
( ФωФ)「どういうことである」
.
185
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:44:33 ID:h6rr3Xoo0
しかしジョルジュはそれを危なげなくすべてを避ける。
距離を取り、
今までよりも慎重にジョルジュを見るロマネスク。
_
( ゚∀゚)「なにが?」
両手剣を肩に担いだジョルジュがロマネスクの呟きに答えた。
( ФωФ)「吾輩の今の突きを全て躱すなど、
ありえないのである」
_
( ゚∀゚)「自信満々だな」
( ФωФ)「客観的事実である。
吾輩のレベル、槍スキルのレベル、鎗の武器としてのレア度、
どう考えても今のジョルジュがすべて避けるなどありえないのである」
_
( ゚∀゚)「はっ。そんなもんでっ!」
瞬く間に距離を詰めたジョルジュが両手剣をロマネスクの脚を狙って薙ぐ。
しかしそれは剣先がロマネスクの左脚をかすめる事しかできなかった。
_
( ゚∀゚)「実力を推測したところで『推測』でしかねぇってことだろ!」
( ФωФ)「!」
一撃離脱よろしく既に距離をとって両手剣を構えているジョルジュを睨むロマネスク。
( ФωФ)「推測は推測でしかない。
確かにそうであるな。
しかし、そうであったとしてもこれだけずれているとは……」
睨みつつも思考を働かせるロマネスク。
眉間に皺が寄る。
( ФωФ)「レベル、スキルレベル、武器、装備、
もともと高く評価していましたが、
それを更に上方に修正」
.
186
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:45:45 ID:h6rr3Xoo0
表情から感情を消して鎗を構えるロマネスク。
_
( ゚∀゚)「冷静な判断。真の能力開放ってところか?」
再び瞬く間に距離を詰めるジョルジュ。
同時に振り下ろされた両手剣を、
横にして両手で持った鎗でロマネスクが危なげなく受け止める。
だが勢いには押され、片膝を着いた。
( ФωФ)「くっ」
_
( ゚∀゚)「ちゃんと受け止められたのは褒めてやるよ」
ジョルジュも今度は離れず剣に力を込める。
(;ФωФ)「うっ」
ロマネスクの手が震える。
(;ФωФ)「し、しかし……」
支えるのに辛くなったロマネスクが、
ジョルジュを見ながら口元だけ笑った。
(;ФωФ)「これほど強いのであれば、
最初から吾輩とこうやって戦っていれば、
あの者が死ぬことは無かったのであるのにな」
それはジョルジュの気を散らすための一手だった。
しかしすぐにそれは失敗したことに気付く。
_
( ゚∀゚)「……」
.
187
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:47:16 ID:h6rr3Xoo0
ジョルジュは悲しげな表情を見せた後、
すぐに口元には笑みを浮かべた。
そして両手剣を押す力を更に強くする。
(;ФωФ)「!」
そしてロマネスクの思考に一つの可能性が生まれた。
(;ФωФ)「まさか……。
だが、……。
しかし……。
……でも、どうやって。
!いや、確か、前に一つそんな話を聞いた覚えが……」
ロマネスクの頭脳を走る可能性。
芽生えたそれは急激に育ち花が咲き実を結ぶ。
(;ФωФ)「だが、何故そんなことをする必要が?」
思考するために意識の外に外していたジョルジュの顔を、
再びしっかりと見据えるロマネスク。
(;ФωФ)「……ジョルジュ!?」
そして名を呼ぶが、
_
( ゚∀゚)「……」
ジョルジュは口を開かず、
ただ悲し気に口元を歪め笑みとも苦しみとも思える表情で、
両手剣に力を込めている。
(;ФωФ)「答えろジョルジュ!
あの者は!」
「正解!」
背後から声が聞こえたと思ったと同時に、
背中を切り裂かれたロマネスク。
.
188
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 09:47:40 ID:JlQcnU8Q0
きたきたきたきたーーー
189
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:49:05 ID:h6rr3Xoo0
(;ФωФ)「ぐっ」
両手剣の力が弱まった瞬間に横に跳ぶ。
地面を転がりながらも右手は鎗を手放さず、
更に起き上がりながら空いた左手でクリスタルを取り出しているのは見事と言えよう。
(;ФωФ)「ヒール!」
自分を攻撃した者達を見ながら叫ぶとクリスタルが砕け、
黄色く変わっていたHPバーが満タンになり緑に戻る。
それを視界の片隅で確認しつつ目の前の男達を見つめた。
一人は体の要所を金属の鎧で固めた両手剣の男。
そしてもう一人はそのまま渋谷や池袋に居てもおかしくないような姿の男。
(;ФωФ)「生きているだと」
( ・∀・)「正解!
ってさっき言ったのに」
(;ФωФ)「あの時消えたのは……」
( ・∀・)「?あれ?知らない?
一部では有名なあの事件。
圏内での死亡詐称事件」
(;ФωФ)「……。
聞いた覚えは……」
モララーがウインドウを操作すると背中にマントが現れる。
そしてそれを外し隣にいるジョルジュの前にふわりと投げた。
ジョルジュが黙って両手剣で一閃する。
切り裂かれたマントの上にHPバーに似たバーが浮かび、
緑から黄色に変わり、そして赤になって光が無くなるとマントは音を立ててポリゴンに変わった。
(;ФωФ)「……それがどうした?」
.
190
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:50:16 ID:h6rr3Xoo0
( ・∀・)「え?わからない?マジで?」
(;ФωФ)「……」
( ・∀・)「しょうがないなぁ」
やれやれと溜息を吐きながら腰のポーチからクリスタルを取り出す。
( ・∀・)「『転移結晶-!』」
結晶を片手に持ち掲げながら高らかに叫ぶモララー。
( ・∀・)「……あれ?似てなかった?」
(;ФωФ)「……マントがポリゴンとなって砕け散る瞬間に転移結晶を使って消え、
死んだように見せかけた?」
( ・∀・)「あ、うん」
(;ФωФ)「あの瞬間にそんなことが出来るわけがないのである!」
( ・∀・)「いや出来るし。
まぁジョルジュに身体隠してもらったり、
叫んでもらって転移の場所を言うのをかき消してもらったりしたけど。
で、似てなかった?」
(;ФωФ)「そんなことが……」
( ・∀・)「まぁクリスタルに慣れてないとタイミングとかずれてばれるかもだけどな。
でも、別の所で失敗したのに気付かなかったよな。あんた」
(;ФωФ)「なに?」
( ・∀・)「いや、横になった状態で攻撃を受けたからマントの耐久値バーが体の上に出てたじゃん。
HPバーは頭に出るからそこでばれたかなーと思って思わず呟いちゃったし。
でも気付かなかったよな」
( ФωФ)「!」
( ・∀・)「で、さっきの似てなかった?
けっこう自信あったんだけど。
あ、あんたの年だともしかして大山さん?」
.
191
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:51:36 ID:h6rr3Xoo0
(;ФωФ)「そんなことが……出来る訳……」
_
( ゚∀゚)「ショボンなら」
( ФωФ)「!?」
今まで黙って聞いていたジョルジュが口を開く。
_
( ゚∀゚)「ショボンなら、気付く」
( ФωФ)「なにを言って」
( ・∀・)「うん。気付く。あんな分かり易いミス。
シャキンとか兄者、クーにモナーも初見で気付くだろ。
で、似てなかった?」
_
( ゚∀゚)「言っただろ。
器が違うって」
( ФωФ)「!!」
_
( ゚∀゚)「おっさんが自分の事を凄い奴だと思っているのは分かる。
こんなギルドをやってるんだから、それなりに凄いとも思う。
でも、ショボンとは器が違う。
おっさんがショボンを取り込むとか、
夢物語も良いところだ」
ジョルジュの言葉に大きく目を開くロマネスク。
モララーは横でそんな二人を見ている。
_
( ゚∀゚)「もう終わりだ。
大人しく、黒鉄宮に行ってくれ」
( ФωФ)「……。
……。
…… ……そんなことは、出来ないのである」
ロマネスクが鎗を構える。
_
( ゚∀゚)「おっさん……」
.
192
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:52:52 ID:h6rr3Xoo0
( ・∀・)「はぁー。
年よりは意固地だね。
なぁ、なんでジョルジュがこんな回りくどいことを」
(#ФωФ)「うるさいのである!!」
モララーの言葉を遮るロマネスクの叫び。
(#ФωФ)「うるさいのである!
うるさいのである!
うるさいのである!
うるさいのである!
うるさいのであるうるさいのである!!!!!」
_
( ゚∀゚)「……おっさん?」
(#ФωФ)「あんな若造に負けるわけがないのである!
吾輩が死を持ってこの世界を支配するのである!」
( ・∀・)「うわ」
(#ФωФ)「ラフィンコフィンなどという邪魔な存在もなくなり!
これからは吾輩が死の恐怖をコントロールするのである!
レベルの高い者も低い者も吾輩を恐れて暮らすのである!!
そして戦いにおいて吾輩を楽しませるのである!!!」
怒りに任せて叫ぶロマネスク。
ジョルジュはそんロマネスクを見ながら黙って両手剣を構え、
モララーはジョルジュを見た後悲し気な表情をした後、
ロマネスクに視線を向けて構えた。
_
( ゚∀゚)「……茶番は終わりだ」
ロマネスクの目の前に移動したジョルジュが両手剣を振り下ろす。
.
193
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:54:27 ID:h6rr3Xoo0
(#ФωФ)「!」
かろうじて鎗で受け止める。
しかしその脇腹をモララーの爪が切り裂いた。
(#ФωФ)「!!」
モララーの攻撃を避けようとまずは両手剣の軌道を横に流そうとするが、
その隙に背中をモララーに切り裂かれ、
更に横に流すのに失敗した両手剣により足を切り裂かれた。
(#ФωФ)「ぐっ」
ロマネスクが二人から逃げるように移動する。
そして憎しみのこもった目で二人を見ながら鎗を構えた。
HPバーは既に黄色に変わっていた。
(#ФωФ)「許さん!許さんぞ!ジョルジュ!!」
( ・∀・)「許されないのはお前だ」
(#ФωФ)!
いつの間にか背後に立つモララーの爪がロマネスクの背中を大きく切り裂く。
(#ФωФ)「クソがっ!」
_
( ゚∀゚)「言葉遣いが汚いぞ」
振り向いたその先にモララーは既におらず、
逆に背後からジョルジュの両手剣が振り下ろされる。
(#ФωФ)「ちっ」
後を見ずに横に跳ぶロマネスク。
腕を切られるが部位欠損は起きなかった。
.
194
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:55:32 ID:h6rr3Xoo0
_
( ゚∀゚)「ダメか」
( ・∀・)「本当は狙ってやれるもんじゃないからな」
_
( ゚∀゚)「そうだよな」
( ・∀・)「おれは一回成功したけどな!」
_
( ゚∀゚)「……次の練習で必ず」
(#ФωФ)「貴様ら!!」
自分を見ながらも呑気に話す二人に怒鳴るロマネスク。
距離をとりつつ腰のポーチを探り回復結晶を取り出した。
( ・∀・)「おっ」
(#ФωФ)「ヒール!」
赤く変わっていたHPバーが完全回復し緑色に戻る。
(#ФωФ)「この屈辱は」
( ・∀・)「逃がさないよ?」
(#ФωФ)!?
エリアの出入り口に向かって後退っていたロマネスクの後方から声をかけられる。
(#ФωФ)「ちっ」
忌々し気に舌打ちすると同時に横に移動して二人をギリギリ視界に入れた。
(#ФωФ)「結局お前達も人殺し集団だ」
_
( ゚∀゚)「は?」
( ・∀・)「はあ?」
.
195
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:57:09 ID:h6rr3Xoo0
(#ФωФ)「確かに吾輩達は人を殺してきたがのである。
だが、だからといって吾輩たちを殺せば貴様たちは殺人者なのである」
_
( ゚∀゚)「……はぁ」
( ・∀・)「いや、殺さないし。
黒鉄宮の牢屋に入れるだけだし」
(#ФωФ)「吾輩は入らない!
あの牢屋はゲームの規定に反しシステムに断罪された場合以外、
無理矢理入れることなど不可能なのである!」
( ・∀・)「気を失わせれば入れられるぞ」
( ФωФ)「はっはっは。
それこそ不可能なのである。
吾輩達に麻痺と睡眠は効かないのである!」
勝ち誇ったように笑うロマネスク。
そして二人を睨む。
(#ФωФ)「だからお前達に出来るのは、
吾輩を逃がすか、殺すだけなのである」
( ・∀・)「一つ聞きたいんだけどさ」
ロマネスクの言葉に動揺することなく呑気に声をかけるモララー。
(#ФωФ)「……」
不愉快そうに自分を見たロマネスクの顔を見て言葉を続ける。
( ・∀・)「仲間のことは心配じゃないのか?」
( ФωФ)「仲間?」
_
( ゚∀゚)「……」
( ・∀・)「……ああ、あんたの仲間だ。
ヒッキーとか、マタンキとか」
.
196
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:58:13 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「はっはっは。
これはまた珍妙なことを言うであるな」
_
( ゚∀゚)「珍妙?」
( ФωФ)「替えのきく駒を仲間などと思ったことはないのである」
_
( ゚∀゚)「!」
( ・∀・)「!」
_
( ゚∀゚)「……」
( ・∀・)「……」
_
( ゚∀゚)「……」
( ・∀・)「……ジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「ああ。もういい。手間かけた」
( ・∀・)「……ん」
(*ФωФ)「はっはっは!
怒ったであるか?
仲間などという幻想に囚われた愚か者よ!」
笑いながら鎗を構えるロマネスク。
( ФωФ)「怒ったら、どうするのである?」
_
( ゚∀゚)「別に怒っちゃいない」
( ・∀・)「……ただ、」
_
( ゚∀゚)「呆れた」
( ・∀・)「呆れた」
同時にロマネスクに近付く二人。
.
197
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:00:07 ID:h6rr3Xoo0
(;ФωФ)「くっ」
振り下ろされる直前の両手剣を弾きながらモララーの爪を攻撃する。
_
( ゚∀゚)「おっ」
( ・∀・)「おや」
すぐさま距離をとる二人。
( ФωФ)「ふふふっ。
この程度で吾輩を殺すつもりだとは片腹痛いのである」
_
( ゚∀゚)「殺さねぇよ!」
胴体を狙った横薙ぎの一戦。
( ФωФ)「はっ!」
縦に地面に突き刺した鎗の柄で両手剣を受け止める。
( ФωФ)「そしてこう来るのは分かっているのである!」
鎗を離し、背中に隠し装着しておいた短剣を握りしめて振る。
( ФωФ)「え?」
しかしそこには誰もいない。
( ・∀・)「ざんねーん」
上空から声が聞こえるとほぼ同時に、
モララーの爪がロマネスクの後頭部から背中を通り尻までを切り裂いた。
(;ФωФ)「ぐおっ」
声を漏らしながら仰け反ったロマネスクの肩口を切り裂くジョルジュの両手剣。
(;ФωФ)「ぐっ」
.
198
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:02:11 ID:h6rr3Xoo0
ロマネスクのHPバーが黄色に変わり、
地面を転がって二人から距離を取る。
そして短剣を構えると同時に目の前にいるジョルジュに気付く。
_
( ゚∀゚)「大人しくしていてくれ」
水色に光る両手剣。
( ФωФ)
振り下ろされる瞬間、
ロマネスクの短剣がロマネスクの心臓を貫いた。
赤に変わるHPバー。
( ФωФ)「はっはっはっはっはっは!」
( ・∀・)「ヒール!」
振り下ろされた両手剣がロマネスクの身体を袈裟懸けに切り裂き、
そのHPバーを黄色にした。
( ФωФ)「はっはっはっは……は?え?」
( ・∀・)「させないよー」
呆然と立ち尽くしたロマネスクの身体を切り刻むモララーの爪。
言葉は軽いがその表情は冷たく、怒りをにじませていた。
(;ФωФ)「なっ何故!」
踊るようなステップでロマネスクを翻弄しながら切り刻み、
そのHPバーを赤に変えた。
(;ФωФ)「ちっ」
バックステップで距離を取ったモララー。
短剣を闇雲に振り回すロマネスクに向かって爪の付いていない左手を振った。
.
199
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:03:26 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「仕切り直しである!」
ロマネスクは腰のポーチに手を伸ばそうとするが、
動きを止めてそのまま崩れ落ちた。
(;ФωФ)「ま……ひ……だと……?
なぜ……」
横向きに倒れ、
自分を見下ろすモララーを見る。
( ・∀・)「まだ情報の出回っていない麻痺毒だよ。
うちの調薬師が作ったやつ。
あ、すでにイベントボスとかで使うやつがいるから」
(;ФωФ)「麻痺……。
てい……こう……」
( ・∀・)「今までの麻痺毒に対して完全抵抗できる状態で、
HPバーがグリーンなら100パー抵抗できる。
で、黄色で半々、赤で90パー侵されるって」
(;ФωФ)!
( ・∀・)「もうすぐ意識も失うから聞いとけ。
……悪いけど、ジョルジュにお前を殺させるような真似はさせない。
逃げられないならジョルジュの心に傷を残そうとか、
お前の考える事なんかお見通しなんだよ。
目が覚めたら黒鉄宮でこのゲームがクリアされるまで大人しくしてろ」
( ФωФ)「!……。
……。
……。
ふっ……ふっ……ふ……」
.
200
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:04:38 ID:h6rr3Xoo0
( ・∀・)「なにを笑ってるんだか。
……おい、なんでジョルジュがこんな回りくどいことをしたか分かるか?
最後まで、あんたを信じてたんだよ。
おれが死んだ瞬間に、
そのことに後悔して、
苦しんでくれるんじゃないかって、
期待したんだ。
それをあんたは……って、
もう寝てるか」
目を閉じて横たわるロマネスク。
頭の上に浮かぶアイコンには麻痺と睡眠のマークが付いている。
_
( ゚∀゚)「モララー」
( ・∀・)「ん?」
それを見下ろしていた二人だったが、
ジョルジュが口を開いた。
_
( ゚∀゚)「さんきゅ。」
( ・∀・)「……ん。きにすんな」
_
( ゚∀゚)「……おう。さんきゅ」
互いの顔を見ずに会話する二人。
少しの沈黙ののち、ジョルジュが回廊結晶を使った。
.
201
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 10:05:16 ID:./W1LyoA0
結局似てたのか似ていなかったのか・・・
202
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 10:05:17 ID:JlQcnU8Q0
笑ってるのがこわいな
まだ何か企んでるのか
203
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:06:09 ID:h6rr3Xoo0
43.
(アスナ)「……はい。ありがとうございます。
これで、フロアボスに挑めます」
夕闇の迫る転移門広場に集合した者達。
ウインドウを操作する攻略組トップギルド血盟騎士団の副団長、
閃光ことアスナ。
その後ろには所在なさげに立つ黒尽くしの装備を身に付けた、
ビーター或いはブラッキーと呼ばれるソロ剣士キリト。
その横には、頬にペイントした髭が特徴のトップ情報屋、
鼠のアルゴがにやにやと笑って立っている。
(´・ω・`)「よろしくお願いします」
(アスナ)「はい。後は私達が。
キリト君、このあと打ち合わせするから。
これなら明日朝一で向かえる」
(キリト)「分かった」
(アスナ)「アルゴさん、出来れば情報提供者の立場から参加してください」
(アルゴ)「……まあ、今回は仕方ないかナ。
本当なら……」
視線をアスナから移動するアルゴ。
アスナとキリトも一人を見る。
(´・ω・`)「僕は遠慮させていただきます」
(アルゴ)「そういうと思ったけどネ」
ニッコリと笑ったショボンに向けて疲れた笑顔を見せるアルゴとアスナ。
.
204
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:08:01 ID:h6rr3Xoo0
川 ゚ -゚)
(`・ω・´)
('A`)
( ´∀`)
爪'ー`)
ショボンの後ろにいる5人も疲れたような笑顔を見せた。
(´・ω・`)「そうだアルゴさん、マッシロの皆への連絡と情報収集ありがとうございました」
(アルゴ)「いや、問題なかったヨ。
ショボン達が調査から外れて戦闘に入った後は
そこの彼がメインで動いて遺跡の調査が出来たから、
やったのはサポート程度だシ。
けど、VIPとN-S以外にこんなギルドを使っていたとはネ」
(´・ω・`)「使っているとは人聞きの悪い。
協力関係なだけですよ」
(アルゴ)「ま、そういう事にしておいてあげるヨ」
(´・ω・`)「よろしくお願いします」
(アスナ)「それでショボンさん。
例の殺人ギルドは……」
(´・ω・`)「一人逃がしましたが、
それ以外は黒鉄宮に。
ギルドとしては壊滅できたと思います」
.
205
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:09:03 ID:h6rr3Xoo0
(アスナ)「そうですか……。
出来れば詳しい話を伺いたいので後日ホームの方へ伺わせて下さい」
(´・ω・`)「それではレポートにしてアルゴさん経由で」
(アスナ)「伺わせてください」
(´・ω・`)「あ、いえ、レポートを」
(アスナ)「伺わせてください」
(´・ω・`)「……ではまた後日こちらから」
(アスナ)「ボス戦が終わり次第、
宜しくお願いします」
(´・ω・`)「……はい。
連絡をお待ちしております」
(アスナ)「ありがとうございます」
川 ゚ -゚)「(ショボンが押し負けた!)」
('A`)「(これがトップギルドの副団長の実力か!?)」
キリト「(攻略組に引き込むつもりか?)」
(アルゴ)「(アーちゃん料理スキル鍛える為に通うつもりだネ)」
ニッコリとほほ笑んだアスナにぎこちない笑顔を見せるショボン。
(´・ω・`)「そ、それでは今日はこの辺で」
(キリト)「あ、一つ質問していいかな」
(アスナ)「キリト君?」
(アルゴ)「キー坊?珍しいネ。
こんな場でキー坊が発言するなんテ」
.
206
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:10:17 ID:h6rr3Xoo0
手を上げたキリト。
それに対して二人は驚いたようなことを言うが、
ショボンは普通にうなずいた。
(´・ω・`)「どうぞ。
答えられることなら良いんですが」
(キリト)「あー。いや、別に大したことじゃないんだけど。
むこうでヘリカルちゃんが抱きついている男の子は誰かなって思って」
(アスナ)「 キリト、君?」
(アルゴ)「あー。キー坊は可愛い子は見逃さないからネ。
に、してもヘリカルちゃんは若すぎないかナ?」
(;キリト)「ち、違う!そういうんじゃなくて。
さっき『お兄ちゃん』って言ってたみたいだから」
(アスナ)「え?
でも、ヘリカルちゃんのお兄さんは……」
(´・ω・`)「はい。
あそこにいるぃょぅ君はヘリカルちゃんのお兄さんです」
(アスナ)「!」
(キリト)「ヘリカルちゃんのお兄さんは二人いたんですね」
(´・ω・`)「いえ、一人ですよ」
(キリト)「!」
(アスナ)「え、え?
でも、その、亡くなったって」
(´・ω・`)「彼女、
『亡くなった』とか『死んだ』とか言いました?」
(キリト)「……え?」
.
207
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:11:24 ID:h6rr3Xoo0
(アスナ)「そういえば……直接的な言葉は……」
(´・ω・`)「ぃょぅ君が自分から志願して、
死んだように見せかけて黒子として動いてくれまして。
ヘリカルちゃんには寂しい思いをさせてしまいました。
彼女も彼の思いは理解したようですが、
いくらそう見せる為でも直接的な言葉は口にしたくなかったみたいです。
アルゴさんはご存知でしたよね?」
(アルゴ)「ん?ああ。
ぃょぅ君の『Hiyou』って名前は消されていなかったからネ。
生きてることは知ってたヨ。
ただ、彼が黒子だとか、
あの時助けてくれたのが彼だと知ったのは最近だけどネ」
アルゴがニヤニヤと笑いながら話に乗る。
(キリト)「アルゴ!?」
(アスナ)「アルゴさん!?」
(キリト)「知ってたのか!?
あと、助けられたって?」
(アルゴ)「ショボンが何か企んでそうだったから色々調べていたからネ。
なるほど、それで合流した時変な空気だったのカ」
腕を組み、納得したと意思表示をするかのようにうなずいているアルゴ。
だがその表情はニヤニヤと笑っている為、
色々と台無しだった。
.
208
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:12:24 ID:h6rr3Xoo0
(キリト)「アルゴ……」
(アスナ)「アルゴさん……」
それぞれの表情でアルゴを見る二人。
そしてほぼ同じタイミングで二人の視線がヘリカルとぃょぅに移った。
(キリト)「……ヘリカルちゃんが幸せなら良しということで」
(アスナ)「……そうね」
(´・ω・`)「ありがとうございます」
(アルゴ)「小さくても女は女優ってことだネ」
呟いたアルゴを睨むキリトとアスナだった。
攻略組の二人と情報屋が去った後、
メンバーは移動をした。
ギルドVIP
ギルドN-S
プギャー達3人
ギコとしぃ
ぃょぅとヘリカル
ミセリ
ギルドマッシロから調査に参加した者達
そして、デレとフィレンクト。
40名を超える人数が余裕を持って入れる広さがホームには無いため、
VIP牧場の敷地に簡単なテーブルとイスを置いて打ち上げの準備をしていた。
.
209
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:13:33 ID:h6rr3Xoo0
屋台バーボンハウスも3号機まで準備されている。
(´・ω・`)「みんないいかなー」
簡易踏み台に乗ったショボンが声をかけると全員が手を止めてそちらを見た。
(´・ω・`)「だいたい準備を終わったみたいだね。
マッシロのメンバーで遅くなる人もいるけど、
今回の作戦に参加した皆はそろったから連絡事項と一回目の完敗をしちゃいます」
顔を向けるだけでなく体全体をショボンに向けるメンバー達。
座らされていたブーンは立ち上がろうとしたのをツンとドクオに実力行使で止められ、
更に目線でショボンに頷かれて渋々と居心地悪そうに一人座っていた。
(´・ω・`)「今日は本当にお疲れさまでした。
反省しなければいけない点や、
無茶したメンバーもいましたが、
まずは全員今ここにいられることを喜びたいと思います」
何人かのメンバーが視線をそらし、
その者を何人かがじっと見つめる。
(´・ω・`)「あとでお説教タイムが待っている人もいますが、
まずは打ち上げを楽しみましょう!」
項垂れる数名と、
それ以外の笑顔のメンバー達。
(´・ω・`)「それではとりあえずグラスを持ってください」
全員が近くのテーブルからグラスを持ち、
ショボンを見る。
今度はブーンが立ち上がるのを二人は阻止しなかった。
.
210
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:14:29 ID:h6rr3Xoo0
(´・ω・`)「みんな持ったかな?
では、かんぱーい!」
「「「「「「かんぱーい!!!!!」」」」」
その日は夜遅くまでVIP牧場はライトアップされ、
メンバーは思い思い楽しんでいた。
情報屋によって今回の件の表に出せる内容が解禁・報告・広報され、
ギルドVIPの名が生産ギルド以外の形でさらに大きく広まるのは、
数日後のことだった。
第二十四話
終
.
211
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:17:05 ID:h6rr3Xoo0
以上、第二十四話でした!
長かった!長かった!長かった!!
って、この程度で長いとか言ったらダメなんですけど。
でもまぁ書きたいところはちゃんと書けたかなって感じです。
次はナンバリングか閑話か。
今回の話の後日談的なものか最終話に入っていくか。
伏線的な思わせぶりなところはほぼ回収してある予定ですが、
とりあえず一回読み直して次に入る予定です。
感想やおつ、
そして朝から支援、
ありがとうございます!!
ではではまたー。
.
212
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 10:32:31 ID:JlQcnU8Q0
乙
みんな無事でよかった
213
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 13:24:34 ID:vR7hzeG.0
乙!
この打ち上げの話を書いて欲しいなぁ…
214
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 13:59:52 ID:HD/gySe20
乙です\(^o^)/
あと誤字で完敗→乾杯ですよね。
番外編ではアスナがショボンの所にきた時を読んでみたいw
215
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 15:00:53 ID:.8xZZgu.0
モララー生きてたぁぁぁぁぁぁ!!!!
216
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 15:05:20 ID:aq.PMnt60
乙
いよいよ最終話が近いな……
217
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 22:17:33 ID:Bz4XLd2Q0
やっぱり生きてるのなwwつまんね
218
:
名無しさん
:2017/12/19(火) 09:00:20 ID:Yerl04vI0
十分予想可能な結末
個人的に大団円歓迎なんで、いいぞもっとやれ状態です
219
:
名無しさん
:2017/12/19(火) 17:13:22 ID:S8HFesx20
原作内容に即した展開だし壊れやすいのも言ってたしね
だいいちショボンが万が一でも誰か死なせる可能性は出来る限り消してるだろうし
ていうか現実がままならないんだからフィクションぐらい最高の結末を望みたい
220
:
名無しさん
:2017/12/19(火) 21:45:56 ID:XLUWE9L2O
乙
原作読破済み勢はモララー生きてるのはわかってた
早く続きが読みたい所だけど次は
閑話:説教タイム
が見たいです。
221
:
名無しさん
:2017/12/21(木) 21:36:43 ID:vq0c46a.0
まあ色々とこんな展開なのはわかってたけどなんか俺TUEEEEし過ぎ
222
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 10:26:35 ID:AWnLg/8I0
俺TUEEEEEはご都合主義の最強設定だろ
今回については原作と伏線、キャラ設定を上手く使ってたと思うぞ
これだけ伏線貼っておいてご都合主義と言われるとなんでもそうなるしな
原作やメディアミックスを知ってると色々と考えることが出来て面白かった乙
223
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 12:19:12 ID:el6T1h2E0
そもそも俺じゃないじゃん
224
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 17:45:17 ID:4H8JfrWo0
中層最強クラスで最前線行かないのが不思議だってのはずっと言われてるし、対人訓練積んでる描写もちゃんとあるからな。攻略組も手を焼くラフコフならともかくコソコソ後釜狙う少人数PK集団じゃ・・・
225
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 20:36:25 ID:2hAdBT5g0
多分叩いてるの同じ奴だろ粘着乙
226
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 23:31:39 ID:Z58E/9U.0
多分とか……
面白いからいいんだけどさ正直そろそろ一匹ぐらい逝ってくれないかなとは思うけどな
227
:
名無しさん
:2017/12/23(土) 02:37:10 ID:rku0nmfw0
正直原作キャラと絡ませるには強すぎない?とは思うな
ところどころ命を賭けてる攻略組に当たりが強いのもなんだかな
228
:
名無しさん
:2017/12/23(土) 02:56:49 ID:xTUIr5uw0
こまけぇこたぁ!いいんだよ!
229
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 00:45:46 ID:C4PpTVH60
それより原作キャラ出してるけどちゃんと許可取ってんの?そこが問題
230
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 10:00:22 ID:O7xxBK3M0
>>229
もはや懐かしいw
231
:
名無しさん
:2018/01/21(日) 23:52:04 ID:bKV/sM.o0
生きててよかった……
乙です
232
:
名無しさん
:2018/03/12(月) 14:52:07 ID:4Yqd1BhU0
引退って嘘や
233
:
名無しさん
:2018/03/15(木) 07:40:35 ID:S8JJCzmI0
これがこの小説のメインの話だったんだろうけど本家キャラと関わってくのが終始寒くて読むのキツかったわ
ご都合はまあショボン様ならもうなんでもいいかなって感じ
というのが叩かれるの覚悟の主観的な感想
またゆるいエピソードいくつかやってほしい
234
:
名無しさん
:2018/03/20(火) 12:58:35 ID:S7kXbE3o0
今まで楽しく読ませていただきました
お疲れ様です
235
:
名無しさん
:2018/03/20(火) 17:15:27 ID:z92LdbhQ0
引退ってそれどこ情報なの?
236
:
名無しさん
:2018/03/24(土) 21:26:57 ID:ZgvPTLj.0
まだー
237
:
名無しさん
:2018/03/31(土) 23:49:12 ID:ybJdRZSw0
「明日エイプリルフールネタで1話更新」に10000000ジンバブエドル
238
:
名無しさん
:2018/04/01(日) 07:43:32 ID:NpZ3lNB20
>>235
嘘や
って書いてるやん
見えへんのか?
239
:
名無しさん
:2018/04/01(日) 15:34:47 ID:zCXb5G3Y0
>>238
ネネネネットで方言wwwww
240
:
名無しさん
:2018/04/02(月) 11:04:24 ID:kO2cHtCI0
なんJを知らないらしい
241
:
名無しさん
:2018/04/08(日) 09:53:04 ID:4fbgJQmI0
そもそも
ワイはおんj民なんだよなあ
242
:
名無しさん
:2018/04/13(金) 01:18:35 ID:gUguWUrI0
やめて!わたしの為に争わないで!!
おんJ民にも伝わるように言い換えると
やめるんごぉおお!
わいの為に争うのはやめて…やめてクレメンス…
243
:
名無しさん
:2018/04/18(水) 20:11:36 ID:ybP8/3bY0
ずっと待ってるぞー
244
:
名無しさん
:2018/05/05(土) 07:43:26 ID:zew9k.tQ0
実質引退みたいなもんか
ずっと見てただけに寂しいなあ
イチロー
245
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:39:25 ID:ar1qzQbE0
誰もいない
投下するならいまのうち
|Д`)・・イマノウチ ♪
.
246
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:42:48 ID:ar1qzQbE0
第 J 話 閑話 そして少年は踵を返す。
あの日から、あの日までは、地獄だった。
ただ生きる事だけを、
ただただ連れてきてしまった妹を守る事だけを考えて、
ギリギリの中を、
生きた。
裏切られ、
妹以外誰も信用できなくなり、
自分達の力だけでは逃げ出すこともできない街に囚われ、
人におびえながら、
何とか確保できる食料を得るために、
木の下にいた。
あの日。
変わらない、絶望しかない毎日の続いたあの日。
僕達は、あの人達に会えた。
*(‘‘)*「お兄ちゃん、今日はどこに行く予定なんですか?」
(=゚ω゚)「今日はブーンさんとドクオさんと狩りに行ってくるよう」
.
247
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:44:10 ID:ar1qzQbE0
四人掛けのテーブルで、
妹の作ってくれた朝食を食べる。
(=゚ω゚)「ヘリカルはどうするんだよう」
*(‘‘)*「しぃさんが納品に来てくれて、
その後はしぃさんとギコさん、あとモララーさんと合流して狩りの予定なんですよ」
道具屋を任されているヘリカル。
この家は低層で中央からは少し外れた位置にあるけれど、
店舗と倉庫が付いて、ダイニングと個室が五つ付いた少し大きめの家だ。
もちろん自分が買ったわけじゃなくて、
ギルドVIPが買った建物を使わせてもらっている。
道具屋で売っている物もヘリカルの鑑定スキルが上がるまでは買取はしないで、
ブーンさんが道具屋で仕入れたアイテム、
兄者さんの作った武器、
弟者さんの作った防具、
クーさんの作った薬、
ツンさんの作った服、
モララーさんの作ったアクセサリー、
フサギコさんの作ったお菓子なんかを扱っている。
品のレベルは低層に合わせたものだけだけど、
質の良い物が揃っていると、
この先にあるレベル上げに向いた森に向かうプレイヤーの間では、
評判になっているみたいだ。
あと、よくわからないけど『偽装は完璧!』らしい。
ニヤリと笑った六人の笑顔が怖かったのは内緒。
*(‘‘)*「あと、ブーンさんにこの前許可をもらったので、
鑑定での買取を開始するんですよ!」
(=゚ω゚)「!大丈夫なのかよう」
*(‘‘)*「ちゃんとテストに合格したんですよ!
ブーンさんから太鼓判を貰ったのです!」
.
248
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:45:53 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)「でも心配だよう」
*(‘‘)*「これも貰ったんです!」
ヘリカルが胸を張りながら少し大きめのボードを出す。
そこには
『アインクラッド道具屋協会認定店』
と書かれており、その下には
『鑑定に問題があった場合は、協会もしくは下記道具屋まで連絡してください』
と記載があり、二人の人物の名前が記載されていた。
(=゚ω゚)「これは!」
*(‘‘)*「ブーンさんに特訓してもらって、
ちゃんと認定試験にも受かったんですよう!」
道具屋協会とはプレイヤーの道具屋が集まって作っているシステム外ギルドで、
道具屋同士で価格の調整や情報の共有をおこなっていると聞いていた。
ほとんどが中層、上の方の中層に店を構える人達の集まりで、
もしかするとこの店が一番低層かもしれない。
*(‘‘)*「ブーンさんの口利きでマイヤーさんにも推薦を貰えたんですよ!」
そう、驚いたのはその下にある二人の名前。
ロッペンマイヤーさんは眼鏡をかけた痩せた男の人で、
一見商売人には見えないが、おそらくはアインクラッドで一番の『商店』のオーナー。
ショボンさんが苦笑いを浮かべながら『あの人は凄い』って言っていたのを覚えている。
エギルさんは攻略組のトップを走りながら道具屋を営む男性で、
スキンヘッドで体が大きくてちょっと怖かったけど、
話してみるとすごくいい人で良くしてもらっている。
こちらはドクオさんが『道具屋やりながらなんで攻略組に居られるんだ』と不思議がっていた。
そして、エギルさんからは一つ依頼を受けていて、
ヘリカルはそのためのアイテムを常に身に付けていた。
.
249
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:47:32 ID:ar1qzQbE0
*(‘‘)*「マイヤーさんはもともとエギルさんの活動に協賛していて、
ここにも何回か視察に来ているんですよう」
『エギルさんの活動』
それは中層プレイヤーの育成・強化。
「攻略組は凄いと思うし、尊敬してるよ。
でもね、彼等がどんなにレベルを上げて強くなったとしても、
それを支えるためには生産組が必要なんだよ。
激レアのドロップ品ならともかく、
今は既にプレイヤーメイドの武器や防具の方がNPC売りや通常ドロップよりも高性能だ。
もちろん衣服やアクセサリー、POTなんかもね。
でも、生産組が生産したものは流通させなければ意味が無いし、
根本的に生産するためには素材が必要で、素材の流通が必要なんだ。
そして、攻略組以外にも流通した商品を買う者がいないと、
経済は滞る。
需要があるから供給するけど、
供給を継続するためにはそれ以上の需要が無いとだめなんだ。
だから『攻略組以外の生活に余裕があるプレイヤー』がいてくれないとまずい。
あとこの世界では生きたいと願う者が自分の力で生きる為には『強さ』が必要だからね、
低層から中層で戦っているプレイヤーに、
戦い方を教えたり有用なアイテムを安価で供給できるシステムはあった方が良いんだ。
低層プレイヤーへの戦い方の教授や中層プレイヤーのレベルの底上げは、
攻略組の層を厚くすることだけが目的じゃないんだよ」
ショボンさんから仕事としてエギルさんの活動の手伝いを依頼されたときに言われたことを思い出す。
そしてヘリカルのツインテールの結び目に目をやると、
リボンに隠れてアイテムが少しだけ見えた。
*(‘‘)*「マイヤーさんからレベル確認のアイテムも精度の高いモノを渡されたんですよ」
その視線を感じたのか、ヘリカルが答えた。
.
250
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:48:47 ID:ar1qzQbE0
『レベル鑑定アイテム』
レアアイテムだけど、
それほど有用でもないので重用はされていないアイテム。
付けている自分と比較して相手のレベルが上か下かを知るアイテム。
今までヘリカルが付けていたのは上か下かを知るだけだけど、
今付けているのはプラスマイナス5以上か以下かも知ることが出来るらしい。
それを使ってお客さんがレベル詐称をしていないかどうかを確認している。
ここではやっていない戦闘訓練はともかく、
アイテムを安価で販売したりするにはレベルを指標の一つにしているから。
*(‘‘)*「このリボンもマイヤーさんから頂いたんですよ。
時々やってきた時はいつもプレゼントしてくれて、
髪に結んでくれたりするんですよ」
あ、……うん。
要注意人物だった。
気を付けよう。
お店には常連さんもいる。
もう奥の森には用事が無いはずなのに、
わざわざうちの店に来てくれるお客さん。
中にはヘリカル目当ての危険な人もいるけれど、
ほとんどは良い人。
今の段階で奥の森に自力で挑戦できる人は、
それなりの意識を持っている人だからそれほど変な人は来ないはずと聞いていたけれど、
本当にそんな感じだった。
というか、ヘリカル目当ての人も良い人ではある。
店の隅に作られた休憩スペースの一部にローテーションで二人くらいいて、
ヘリカル目当ての本当にやばい人や、
たまにいる気性の荒い人なんかを抑えてくれたりする。
ヘリカルも仲良くなってお茶とか出している。
.
251
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:50:17 ID:ar1qzQbE0
だから心配は心配だけど、
この世界ではエリアからでなければほとんどの事はシステムが守ってくれるから、
まあ大丈夫だと思っている。
少し話がそれた。
それで、何が言いたいかというと、
あの人も、うちの常連さんだった。
と、いうことを、言いたかった。
(=゚ω゚)「(……あれは、イーユウさんだよう)」
隠密スキルと装備の実験もかねてギルドVIPの影をコソコソしている時に、
フラワーガーデンで女性と仲良さそうにしている『常連さん』を見つけた。
E(YoU)「ぃょぅ君っていうんだ!綴りだけ見ると僕の方が『いよう』だね」
『e-YOU』さん。
僕の『Hiyou』と比べると、
確かにそうかもなんてことを思って、
それから仲良くなった。
E(YoU)「攻略組は無理だけど、強くなりてぇな。
美味しいモノいっぱい食べられるくらい!
なあ、『バーボンハウス』って知ってるか?
コル貯めて時々行くんだけど、うまいんだあの店!」
少し大きな耳が特徴的な、気のいいお兄さん。
うちの店がVIPの人達と関わりがあるのは一応秘密だから、
愛想笑いしかできなかった。
E(YoU)「おれ、リアルで弟と妹がいるんだよ。
早く帰って会いたいなー」
.
252
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:53:28 ID:ar1qzQbE0
三日おきくらいにやってきて、買い物をしつつお菓子や食べ物をくれて、
休憩スペースでお茶をして去っていくお兄さん。
E(YoU)「彼女が出来たんだよ!今度連れてくるぜっ!」
そういえばそんなことを言っていたなと思いつつ、
意識をフサギコさん達に戻した。
イーユウさんを見たのは、
その現場を見てしまったのは、
それからひと月以上あとのことだった。
二人の歩く少し後方の森の中を、
僕も歩いた。
森でイーユウさんと女の人を見かけた時に、
隠蔽の訓練もかねて街までついて行ってみようと思ったからだった。
ヘリカルも会いたがっていたし、
街に付いたら声をかけてみようとも思っていた。
手を繋いだりはしていないけど、
距離感とか、
笑顔とか、
恋人みたいだった。
後でからかおうと思って、使い捨てじゃない記録結晶を作動させた。
二人は、凄く仲良さそうに歩いていた。
だから、理解できなかった。
.
253
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:54:29 ID:ar1qzQbE0
最初は目の前に三人の男が出てきた。
今でも、思う。
あの時僕はどうすればよかったのか。
どうすれば、あの人を助けられたのか。
三人の男が出てきた時か、
女の人を守るようにイーユウさんが前に出た時か、
その背後に更に人が出てきた時か、
男たちがイーユウさんに攻撃をしてきた時か。
僕はいつ、何をすればよかったのか。
女が、後ろからイーユウさんを攻撃したのを、
驚いたように振り返ったイーユウさんを、
男たちが攻撃するのを、
イーユウさんがポリゴンになって消え去るのを。
僕は見ていることしかできなかった。
.
254
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:55:27 ID:ar1qzQbE0
どうやって戻ったのか分からない。
渡されていた転移結晶が減っていたから、
多分それで逃げたのだとは思うけど、
減っていたのは一つじゃなかったから、
闇雲にいくつも使ったのかもしれない。
それでも最初にヘリカルの所に戻らなかったのは、
ヘリカルにそんなことを言えるわけがないこと以上に、
僕は縋りたかったんだと思う。
フサギコさんのいるはずのバーボンハウスに行ったとき、
既に店は閉店していて、
店にはフサギコさんとショボンさんがいた。
閉店していても店のドアを開けることが出来たのは
フサギコさんが僕とヘリカルをそういう設定にしてくれていたからだけど、
その時の僕はそんなことは何も考えずただドアを開けて、
転がり込んで、
フサギコさんの顔を見たとたん。
泣き出した。
次に覚えているのは、
僕から訳の分からない説明をちゃんと聞きだしてくれたショボンさんの怖い顔と、
僕を抱きしめてくれたフサギコさんの今にも泣きだしそうな表情。
二人の顔を見て、
僕は何故か安心して、
大泣きして、
意識を手放した。
.
255
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:56:28 ID:ar1qzQbE0
目を開けると、
着物姿のフサギコさんがいて、
奥ではフォーマルなコート姿のショボンさん。
それに青い軽鎧を装備したブーンさんと、
いつもの黒いコートを装備したドクオさんが話しているのが目に入った。
(=゚ω゚)「ここは……」
ミ,,゚Д゚彡「まだ寝てるといいから」
僕が目を開けた事に気付いたフサギコさんが覗き込んでくる。
僕は長椅子に横になっていて、
身体には布がかけられていた。
バーボンハウスには、他にも何人かいて静かに話をしているようだった。
(=゚ω゚)「……僕」
川 ゚ -゚)「ヘリカルちゃんの所にはしぃとギコに行ってもらっている。
君は奥の部屋で休むと良い」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず、休みなさい」
川 ゚ -゚)「後でギコはこっちに戻しておくから」
袴姿のクーさんと、
ゴスロリ姿のツンさん。
店の中に視線を走らせると、
ちぐはぐな姿のギルドVIPのメンバーだ。
知らない人は分からないと思うけれど、
VIPの影に付いたことがある僕は知っている。
それが、みんなの完全武装だということを
そして、何をしようとしているのかもうっすらと理解した。
(=゚ω゚)「……僕も、連れて行って欲しいょぅ」
.
256
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:57:32 ID:ar1qzQbE0
ミ,,゚Д゚彡!
川 ゚ -゚)!
ξ゚⊿゚)ξ!
思わずこぼれ出た言葉
怖くて怖くて仕方ないけど、
でもどこか夢の中のような、
現実的ではないような。
だからきっと、こんなことを言えたんだと思う。
(=゚ω゚)「イーユウさんの敵を討つなら、僕も行きたいんだょぅ」
僕はもっと、弱虫なのに。
ミ,,゚Д゚彡「……ぃょぅ君」
(´・ω・`)「相手を倒すつもりはないよ。
捕まえて、黒鉄宮の牢獄に送る」
(=゚ω゚)「……牢獄」
川 ゚ -゚)「本来ならシステムで違反されていることを行った者達が一定の期間入れられる牢獄だが、
今はPKを行った者達を永久に入れることが出来るようになっている。
君が見た者達を、そこに入れるつもりだ」
('A`)「記録結晶の映像があるから証拠もバッチリだしな」
(=゚ω゚)「あっ」
ミ,,゚Д゚彡「……あれが決め手だから」
(=゚ω゚)「練習用に、渡されていたから……」
ξ゚⊿゚)ξ「もういいから。休んでいなさい」
ツンさんが僕の頭を撫でる。
出そうになった涙を必死に我慢した。
.
257
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:58:34 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)「僕が……助けられなかったから」
( ^ω^)「悪いのはそいつらで、君は悪くないお」
(=゚ω゚)「見ていることしか、出来なかったから」
(´・ω・`)「それが正解だよ。
君まで被害にあっていたかもしれない」
(=゚ω゚)「僕が……弱いから」
ミ,,゚Д゚彡「強いとか弱いとかの問題じゃないから」
(=゚ω゚)「僕は、ちゃんと戦いたいんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡!
(´・ω・`)!
( ^ω^)!
(=゚ω゚)「逃げるのが最善の時があるのは分かっているょぅ。
でも、戦う道を選べる状態で逃げる事を選択するのと、
ただ逃げる事しかできないのは違うと思うんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡「ぃょぅ君……」
('A`)「分かった。
一緒に行こう」
(´・ω・‘)「ドクオ!?」
('A`)「男が腹くくったんだから連れてってやらなきゃダメだろ。
男として」
ξ゚⊿゚)ξ「男とか女とか関係ないわよ。
バカなこと言ってんじゃないの。
……でも、そうね……一緒に行きましょう」
.
258
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:59:41 ID:ar1qzQbE0
( ^ω^)「ツン!?」
ξ゚⊿゚)ξ「だって、絶対忘れる事なんてできないもの。
望むなら圏内から出ない生活を送る手助けをしてあげられるけど、
ヘリカルちゃんを守るためにもこの子はそれを望まないでしょ。
なら、乗り越えるチャンスは多い方が良いのよ」
川 ゚ -゚)「ツン……。
そうだな。
私とツンが無理はさせない。
ショボン、サブマスターとして承認する。
彼を連れて行こう」
( ^ω^)「ツン……クー……」
(´・ω・`)「ほんと、クーはサブマスターなのを都合よく使うよね」
川 ゚ -゚)「ふっ。
それくらいしかこの役職にうま味は無いからな」
(´・ω・`)「わかった。
ぃょぅ君、一緒に行こう。
でも、こちらの指示には従ってもらうよ」
(=゚ω゚)ノ「!はいだょぅ!」
勢い良く手を上げた僕を、
皆はそれぞれに複雑な顔で見ていた。
.
259
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:01:01 ID:ar1qzQbE0
向かった先は12層の森の中。
低層で、うまみも少ない今は人気のないエリア。
何故そこなのか、
何故あいつらがそこにいる事がわかったのか聞くと、
(´・ω・`)「……情報屋さんって、怖いよね」
と、ショボンさんが困ったように呟いたのでそれ以上は聞けなかった。
後でカップルの個人情報を集めている情報屋さんがいて、
そこからイーユウの彼女の情報を得たことを知った。
そんな情報集めてどうするのか不思議だったけど、
皆も聞いてほしくなさそうだったから聞かなかった。
そして目の前には、
あの女と男たちがいた。
あの光景を思い出し、恐怖で体が震えた。
すると、肩に手を回された。
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ」
左にいたツンさんが、
肩に手を回してくれた。
川 ゚ -゚)「ああ、大丈夫だ」
右にいるクーさんが、
僕の震えている手をやさしく握ってくれた。
(=゚ω゚)「……ありがとうだょぅ」
前を向きながら呟くと、
同じように前を向いている二人が優しく微笑んだ気がした。
.
260
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:02:15 ID:ar1qzQbE0
(´・ω・`)「……今の記録映像より、
貴方達はPKを行っているギルドとみなしました」
ショボンさんとドクオさん、
ブーンさんがあの人達の前で話をしているのを、
僕は横の茂みに隠れて見ていた。
(´・ω・`)「大人しく黒鉄宮の牢獄へ向かってください。
逃げるのならば、この映像を情報屋を通じて全プレイヤーに公開します」
(ヘイシャオ)「……ちっ」
(ショウロン)「だからあんな手使わないで普通にやっちまえばよかったんだ」
(ヘイシャオ)「ショウロン。
だってあいつが本当にプロテクトリングプラスをドロップしてたかどうかわからなかったし」
(ショウロン)「どうせ殺すんだからおなじだったろ」
(ヘイシャオ)「だって、私達はPKギルドじゃなくて、
お宝ハンター、だって言ってたじゃない。
殺してでも欲しいものは奪うけどさ。
だから本当に持っているか調べるために付き合ってるふりまでしたのに。
だいたいあいつがもっと早く私にプレゼントしてくれれば殺すことも無かったのよ」
イーユウさんの彼女が、
体験を担いだ鎧姿の男の人に寄り添う。
その後ろには男の人が5人と女の人が1人いる。
.
261
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:04:17 ID:ar1qzQbE0
(餃)「おいおい、どうすんだよ」
(焼)「逃げたら全プレイヤーに公開するってよ」
(餡)「やだー。
もう街を歩けなーい」
(津)「なら、まあ、やることは一つだな」
8人の男女がショボンさん達に武器を向けた。
(ショウロン)「ああ、殺るだけだ」
男がニヤリと笑ってショボンさんに向かって駆けだそうとする。
(=゚ω゚)「!」
思わず立ち上がったその時には、
男の喉元にブーンさんが片手剣の切っ先を当てていた。
( ^ω^)「ちょっとでも動いたら切るお」
.
262
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:05:25 ID:ar1qzQbE0
(ショウロン)「!」
(ヘイシャオ)「な、なんなのよ……」
川 ゚ -゚)「黙っていろ」
ξ゚⊿゚)ξ「ムカつくから」
(#ヘイシャオ)「!」
('A`)「お前達も動くなよ」
ミ,,゚Д゚彡「本気だから」
( ´∀`)「おいたはダメもなよ」
( ゚∋゚)))
( ´_ゝ`)「PKの何が楽しいやら」
(´<_` )「レアアイテムが欲しいねぇ」
_
( ゚∀゚)「……少しでも動いたら切る」
( ・∀・)「人殺ししてまで欲しいとか異常だな」
僕の隣にいたはずの二人と、
周囲に散らばって様子を伺っていた全員が現れ、
八人の急所に武器を当てていた。
(=゚ω゚)「!(……びっくりだょぅ)」
(ショウロン)「ふっ。お前達におれ達を殺すことが出来るのか?」
(´・ω・`)
ショボンさんが一番前の男に近寄り、
そして男の持つ剣先を、自分の腕を突き刺した。
.
263
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:06:39 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)!
(ショウロン)!
(ヘイシャオ)!
男の頭の上のカーソルがオレンジに変わり、
一つドットが点滅し始めたショボンさんのHPバー。
ショボンさんは男に武器を当てていたブーンさんに何か話すとすぐに次の男に向かった。
そして同じように相手の持つ武器で自分の身体を傷付けて全員のカーソルをオレンジに変えた。
(´・ω・`)「これで貴方達は全員オレンジです。
オレンジプレーヤーを攻撃しても僕達はオレンジプレーヤーになりません」
男たちの目の前でクリスタルを使ってHPを回復させたショボンさんが再び話し始める。
前にいる男と女以外はおびえた顔をしていた。
(´・ω・`)「ここにいるのは僕達と貴方達だけ。
何も証拠は残らない」
(;ヘイシャオ)「だ、だからなんだっていうのよ」
男の右目に突き刺さる針。
ショボンさんの投げた投擲武器だ。
(;ショウロン)!!
男のHPが2メモリ欠けた。
(´・ω・`)「僕は、僕の仲間たちが危険に晒される可能性を残すのは嫌いなんです。
このまま逃がして逆恨みされて狙われるくらいなら、殺します」
無表情に話すショボンさんを見て、
背筋が凍るような寒気を感じた。
「あの言葉は本気」
.
264
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:07:46 ID:ar1qzQbE0
優し気な女性の声がして、思わず声をあげそうになったけど、何とか抑えた。
ミセ*゚ー゚)リ「驚かせちゃった?ごめんごめん」
隣で僕を見て微笑む女の人。
黒尽くめで、映画で見たくノ一のような格好だ。
(=゚ω゚)「あ、あなたは」
ミセ*゚ー゚)リ「今日は頼まれて周囲の警戒してたんだけど、
あんなの見せたら誤解されちゃうじゃんね。
だからちょっとおせっかいをね……。
でも、見せたという事は君の事も信頼しているのかな」
(=゚ω゚)「え?あ?」
ミセ*゚ー゚)リ「確かにね、あの言葉はショボンの本気。
だから真実の重みがある。
ちょっと、怖いよね。
でも、それだけじゃない」
微笑みながら前を向いたその動きに釣られて、
僕もまた前を向いた。
(;ショウロン)「そ、そんな脅しに」
(´・ω・`)「……ドクオ」
('A`)「ん」
ドクオさんの片手剣が動き、
刃を当てていた男の腕を切り落とした。
(餃)「ひぃ!」
武器を持っていた腕を切り落とされ声を上げる男。
HPバーは一度で赤に変わる。
.
265
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:08:47 ID:ar1qzQbE0
(´・ω・`)「このメンバーのリーダーは僕です。
だから、人殺しの汚名は僕だけが背負えばいい」
そう言いながら大き目のナイフを飛ばす。
(餃)!!
額に刺さるナイフ。
さらにHPバーは光を無くし、残りが1ドットと点滅している1ドットになった。
(´・ω・`)「投擲だと少し落ちるか」
ショボンさんがナイフを片手に男に向かう。
(;餃)「や、やめてくれ!
俺は牢屋に入る!」
(´・ω・`)「おや」
残念そうに首をかしげるショボンさん。
(´・ω・`)「それでは……」
そしてその横の男を見る。
(焼)「お、俺もだ!」
(;餡)「わ、私も!」
前の二人以外が一斉に声を上げた。
それはそうだろう。
あんなことをされたら誰だって……。
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンは、殺さないよ」
僕の心の中を読んだのかのように、
隣から声が聞こえた。
.
266
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:09:45 ID:ar1qzQbE0
ミセ*゚ー゚)リ「最初に自分の身体を傷付けたのは、
あいつらをオレンジにするのともう一つ理由がある」
(=゚ω゚)「え?」
思わず横を向いた僕だったけど、
彼女は前を向いたままだった。
ミセ*゚ー゚)リ「あいつの頭の中には武器のデータが全部入ってる。
あとあの眼鏡。
レアアイテムで、
自分と比べて範囲内レベルなら、
相手のレベルが分かるみたい」
(=゚ω゚)「はぁ?」
ミセ*゚ー゚)リ「そして攻撃を受ける事によって自分のHPがどれだけ減ったかを見て、
相手の攻撃力を計算してる」
(=゚ω゚)「……」
ミセ*゚ー゚)リ「想定されるレベルとそれによる相手のHP、武器と防具の種類と能力とレア度、
そこからどれくらいの攻撃なら相手を殺さないで済むか算出しているのよ」
(=゚ω゚)「そんなことが」
ミセ*゚ー゚)リ「それがまた出来ちゃってるのよねー。
もちろんギルメンとか協力者に依頼してアイテムの真偽と、
自分の計算の答え合わせは続けているみたい。
……ほんと、努力する天才ってムカつくわよね。
あ、もちろん見えてない装備やアイテムによる底上げはあるだろうけど、
それは『殺さない』ことにはプラスに働くだけだから。
それに三回くらい攻撃してHPの減りを確認できれば、
その誤差も修正するでしょうね」
(=゚ω゚)「……凄いょぅ」
.
267
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:10:46 ID:ar1qzQbE0
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンは自分だけが凄いように見せて、
注目を出来るだけ『自分』に向けてるけど、
おそらく兄者辺りもできるんじゃないかな。
まぁショボンみたいにメンバー全員の攻撃力と防御力、
戦闘時のHPの管理なんて離れ業まではできないかもだけど」
(=゚ω゚)!
ミセ*゚ー゚)リ「あと、……ねえ、ぃょぅ君は自分の攻撃が相手のHPをどれだけ削るか分かる?」
(=゚ω゚)「そ、それは相手の防御力とかによって変わるから……」
ミセ*゚ー゚)リ「そうよね。
でも、あそこにいるメンバーはそれがある程度全員出来るのよ。
ショボンとは違ってドットをどれくらい削れそうかレベルの計算だけどね。
最初の一撃でどこまで相手の戦意を奪えるかは大事だし、
その一撃で相手を……なんてことが無いようにね。
対人戦もメンバー同士で練習してる。
ギコとしぃはそれがまだ出来ないから今日は連れてこなかったのかな」
(=゚ω゚)!
ミセ*゚ー゚)リ「あいつらはね、誰も殺したくないの。
そして本当なら傷付けたくもないって思ってる。
だから、まず自分の強さを見つめている。
そこから始めている。
助けることは出来なくても、
せめてもう誰も死ぬところを見たくないって思ってる。
その為に、ゲームの攻略とはまた違うところで、頑張ってる。
それは、知っていてあげてほしいかな」
(=゚ω゚)「……僕は、……僕と妹は、助けてもらったんだょぅ」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか」
(=゚ω゚)「だから……。
僕は……。
……僕も……」
ミセ*゚ー゚)リ「……そろそろ終わるかな」
.
268
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:11:52 ID:ar1qzQbE0
知らず知らずのうちに俯いていたけど、
その言葉で顔を上げて前を向いたら、
ショボンさんの後ろには回廊が開いていた。
(´・ω・`)「この先は黒鉄宮の牢獄です。
先には僕らの仲間が待機していますから、
進んでください」
(;ヘイシャオ)「な、なあ、あたしは行かなくていいよな?
女だしさ」
(;餡)「あ、ずるい!」
(;ヘイシャオ)「色仕掛けも出来ないブスは黙ってな!
ほ、ほら、あたしはほら、そんなブスより良い女だし!」
(;ショウロン)「ケッ。ビッチが」
男たちは大人しく……でもないけれど、
特に一番前にいた鎧の男はHPが赤くなって睨んでいるけれど、
両手も肘から先は切り落とされて無くなっているけれど、
それでも回廊に向かって歩いて、
中に入っていった。
女、特にイーユウさんを後ろから攻撃した女が喚いていた。
(;ヘイシャオ)「い、いっそのことわたしをあんたの女に」
川 ゚ -゚)「おばさん、黙って進みなさい」
(#ヘイシャオ)「はあ!?」
確かに一般的におばさんと呼ばれる年齢には見えないが、
クーさんやツンさんとは5歳以上は年上だろう。
(#ヘイシャオ)「誰がおばさんだって!」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたしかいないでしょ。
まったく変なこと言いだして眠れる獅子を起こさないでよ」
.
269
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 15:38:17 ID:aqO5PK.o0
支援
270
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 15:51:26 ID:ar1qzQbE0
NGワードが含まれている為書き込みできませんメッセージが出てしまったので、
一時中断します。
何がいけないんだろう。
271
:
◆GFmqWTR7WI
:2018/06/17(日) 15:53:35 ID:ar1qzQbE0
反対側からツンさんが話しかける。
ξ゚⊿゚)ξ「うちでも回廊結晶は簡単に手に入れてるわけじゃないの。
さっさと動いて。おばさん」
(#ヘイシャオ)「はぁ!?」
川 ゚ -゚)「しかし品が無い」
(#ヘイシャオ)「品!?品でこんな世界を生き残れると」
川 ゚ -゚)「それは生き方次第だ。
おばさんには出来ないことかもしれないが」
(#ヘイシャオ)「この小娘が。
あんたにはいい女の魅力ってもんが」
ξ゚⊿゚)ξ「その程度で『良い女』とか言われても、
笑うしかないっていうか笑いも苦笑いってやつしか出ないわよ」
(#ヘイシャオ)「はぁ!?その程度!?」
ツンさんが、西洋人形のような整った顔立ちで女の人を冷たく見つめている。
自分との違いに気付いた女の人がクーさんに目を向ける。
(#ヘイシャオ)「……ちっ。……!」
今風の雛人形と言えるだろうか。
涼やかなまなざしで女の人を見るクーさんに向かって何も言えないでいるおば、
……女の人。
女の人も別に不細工ではないと思うけど、
ツンさんやクーさんと比べるのは可哀想だ。
もちろんヘリカルとは雲泥の差。
月とスッポンの差があるけど。
.
272
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 15:54:41 ID:ar1qzQbE0
あ。できた?
え、あれがダメだったの?
とりあえず続き投下します。
273
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:55:46 ID:ar1qzQbE0
川 ゚ -゚)「さっさと歩くんだ。おばさん」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。おばさん」
(#ヘイシャオ)「チッ」
舌打ちしながら回廊に向かう女の人。
下品さではツンさんクーさんの言葉もやばいと思うし、
ヘリカルにはああなってほしくないなって思ったのは内緒だ。
そんなことを思っているうちに、VIP以外の全員が回廊に入った。
ミ,,゚Д゚彡
フサギコさんが心配そうにこちらを見ているのに気付いて、
恐る恐る茂みを出る。
皆が優しく、けれどどこか悲し気に微笑んでくれている。
ミ,,゚Д゚彡「ぃょぅ君……」
(=゚ω゚)「僕も、戦えるようになりたいんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡!
(=゚ω゚)「皆さんみたいには無理でも、
もう、誰かが死ぬところは見たくないんだょぅ。
それに、ヘリカルを守れるようになりたいんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡「ぃょぅ君……」
(=゚ω゚)「それに、きっとあの時の僕達のような人はまだどこかにいるんだょぅ。
だから、そういう人を見つけた時に手助けできるだけの力が欲しいんだょぅ」
.
274
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:56:37 ID:ar1qzQbE0
('A`)「ぃょぅ……」
( ^ω^)「ぃょぅ君……」
ミ,,゚Д゚彡「……」
皆の視線が僕からショボンさんに移る。
そして僕もショボンさんを見た。
(´・ω・`)「んー。
ドクオ、ブーン、ぃょぅ君の戦闘はどんな感じ?」
('A`)「安全マージン取ったフロアならソロでもまぁまぁいける」
( ^ω^)「タイミングの掴み方も走り方もうまいお」
(´・ω・`)「対人戦闘はまだだよね?」
( ^ω^)「おー。それはまだだおね」
('A`)「練習で手合わせするくらいか」
(´・ω・`)「じゃあ決闘はまだ?」
(=゚ω゚)「はいですょぅ」
('A`)「そりゃまあ、普通はなぁ」
(´・ω・`)「まずはそれが出来るかどうかだよね」
後押ししてくれたブーンさんとドクオさん。
フサギコさんは心配そうに見ているけど、
ショボンさんはとりあえずやってみようかと言ってくれた。
.
275
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:57:33 ID:ar1qzQbE0
結論から言うと、不合格だった。
僕は、人に刃を向けるのが怖い。
例え後で全快するとわかっていても、
自分の実力では相手をしてくれているVIPのメンバーが死ぬ事なんてないと分かっていても。
怖い。
僕が攻撃で誰かを傷付ける事が、
僕の攻撃で誰かが死ぬ可能性があることが、
怖い。
(´・ω・`)「うん。それが普通だと思うから気にしないで」
モナーさんとクックルさんが管理している農場の一角で、
僕はテストを受けた。
目の前にはショボンさんとドクオさん、そしてブーンさんがいる。
('A`)「ブーンとツン、クックルにモララーも最初はダメだったもんな」
(;^ω^)「おー。仕方ないお」
(´・ω・`)「フサも無理してたよ」
('A`)「そういやそうだったな。
それが今では……」
( ^ω^)「刀を装備し始めてから変わったおね」
(´・ω・`)「そういえばそうか」
('A`)「そういえば、確か最初に装備したのは……」
( ^ω^)「『村正』だおね」
(´・ω・`)「『妖刀』とかではないはずだけど」
.
276
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:58:30 ID:ar1qzQbE0
('A`)「レアだったやつだよな」
(´・ω・`)「クエストで一番レアな奴を引き当てちゃったんだよね」
( ^ω^)「おっお。そうだお。そうだお。
たしかあの時本当に欲しかったのは……」
('A`)「『壬走りの草履』」
(´・ω・`)「だったねー」
( ^ω^)「出るまで何回かやったおね」
('A`)「予備も含めて六回だな」
( ^ω^)「珍しく欲しいのが出なかったのは覚えてるお」
(´・ω・`)「……確か、その代わりにドロップしたアイテムでフサの刀系和装備が揃ったような」
('A`)「……そういえば」
( ^ω^)「だお……ね」
(=゚ω゚)「あのう……」
(;´・ω・`)「あ、ごめん」
VIPの皆さんが最初対人戦闘慣れしていなかったというのは正直びっくりしたけれど、
知り合う前の事を知れて少しうれしい。
でも、そんなことは今は関係ないと頭を振った。
(=゚ω゚)「でも、僕は……」
(´・ω・`)「正直対人戦闘に積極的に参加してほしくは無かったから、
ちょっとホッとしたかな」
(=゚ω゚)「え?」
( ^ω^)「でも、ぃょぅ君は戦えるようになりたいんだおね?」
.
277
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:59:23 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)「はいだょぅ!」
('A`)「んじゃ今まで通り隠密系で情報収集したり、
時々陰からおれ達のサポートに入ってもらう感じで良いんじゃないか?
無理に何かをしようとしなくても」
(´・ω・`)「かなぁ」
(=゚ω゚)「……」
( ^ω^)「納得いかないかお?」
(=゚ω゚)「……はいだょぅ」
('A`)「んー。とは言ってもなぁ」
(´・ω・`)「強くなるには地道に努力を続けるくらいしか……だしね」
('A`)「決闘とか対人戦の訓練も付き合うし」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな悠長なことを言ってられないかもよ」
(;^ω^)「おっ」
('A`)「おう」
(´・ω・`)「どうしたの?」
ミセ*゚ー゚)リ「うー。ショボンの目は反則だからともかくとして、
ドクオにも気付かれていたのは悔しいなぁ」
(;=゚ω゚)「びっくりしたょぅ」
いきなりショボンさんの隣に現れた女性。
さっきよりもビックリした。
ミセ*゚ー゚)リノノ
僕が驚いたのを見て、嬉しそうにこちらに手を振っている。
.
278
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:00:19 ID:ar1qzQbE0
ミセ*゚ー゚)リ「いいねぇその新鮮な感じ。
ブーンも驚きが少なくてつまらないし」
( ^ω^)「毎回毎回流石にそろそろ慣れたお」
ミセ*゚3゚)リ「ちぇー」
(´・ω・`)「で?悠長なことって?
メッセージじゃなく直接来るってことは至急対応が必要と考えたんでしょ?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん」
ショボンさんの問いかけに表情を引き締めて頷き、
そして僕を見た。
(=゚ω゚)?
ミセ*゚ー゚)リ「ぃょぅ君を使った作戦をヒッキーが立案した」
(´・ω・`)!
( ^ω^)!
('A`)!
(=゚ω゚)?
(´・ω・`)「どういうこと?」
ミセ*゚ー゚)リ「簡単なことよ。
VIPに関わりの深い人間で一番弱いのはぃょぅ君とヘリカルちゃん。
マッシロの子達はうまく隠せてるけど、
二人と知り合った時は後手にまわったからね」
('A`)「ああ。まぁな」
(;^ω^)「思わず一緒に来ちゃったんだおね」
(´・ω・`)「あの時はあれがベストだったと思うよ。
そのあとは隠れてやったりしたし、
マッシロにはフォックスがいるからそこら辺は打ち合わせできてるってだけで」
.
279
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:01:15 ID:ar1qzQbE0
ミセ*゚ー゚)リ「で、弱い二人を拉致して、
優位な状況であんた達を殺そうって算段。
とはいえ表向きヘリカルちゃんは店からほぼ出てないから、
狙われるのはぃょぅ君になる。
ショボンが危惧してた最悪パターンの中のまだ軽い方の一つね」
(´・ω・`)
( ^ω^)
('A`)
三人が僕を見た。
(=゚ω゚)「……ょぅ……」
('A`)「一人であいつらから逃げるだけの強さ……」
( ^ω^)「隠密系でスピード重視にしてはあるけど難しいおね」
(´・ω・`)「やっぱり事が済むまで圏内から出ない生活を」
(=゚ω゚)!
('A`)「完全にVIPに入ってホームで一緒に暮らすか」
(´・ω・`)「ここでモナーやクックルの手伝いをしてもらうってのも」
(=゚ω゚)「わがままなのは分かってるょぅ!」
(´・ω・`)!
('A`)!
( ^ω^)!
ミセ*゚ー゚)リ
(=゚ω゚)「わがままを言うのは分かっているょぅ。
でも、出来ればヘリカルはあそこに居させてあげたいんだょぅ。
常連さんとかできて、色々な人と知り合って、
笑顔が自然になってきたんだょぅ……」
.
280
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:02:04 ID:ar1qzQbE0
( ^ω^)「ぃょぅ君……」
(´・ω・`)「……」
('A`)「……」
(=゚ω゚)「だから…だから……」
ミセ*゚ー゚)リ「んー。
じゃあ一つ手が無いことも無いけど、
やってみる?」
( ^ω^)「お?」
('A`)「ん?」
(´・ω・`)「ミセリ?」
ミセ*゚ー゚)リ「ねえぃょぅ君」
僕に向かってにっこりとほほ笑み、
ミセ*゚ー゚)リ「一回死んでみる?」
と、言った。
.
281
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:03:13 ID:ar1qzQbE0
僕は、『e-YOU』として、死んだことになった。
イーユウさんはソロプレイヤーで、
ギルドもだけど決まったパーティーに所属することも無く、
一人で中層まで登ってきたプレイヤーだったそうだ。
実際にイーユウさんの知り合いとVIPや僕達との接点はほとんどなく、
騙るのは可能だという結論になった。
通常のプレイヤーならこんな情報は掴めなかったそうだけど、
彼女持ちのプレイヤーの情報はそれなりに調べられているらしい。
一部の情報屋さんって怖いなと本気で思った。
ヘリカルとは、一回会って話をした。
お腹に正拳突きをもらった。
圏内だから衝撃だけだったけど、
でもやっぱり体術スキルを覚えさせたのは失敗だと思ったあとに、
護身としてはいいのかなと改めた。
そしてその後、頑張ってと言ってもらえた。
僕の戦闘スタイルはドクオさんベースのブーンさん風味だったけど、
そこにミセリ師匠が加わった。
ミセ*゚ー゚)リ「忍者仲間だ」
ツンさんが作った黒装束とマント、
そして防具と武器を渡された時にミセリさんが呟いたのは忘れない。
その時、笑っていたのに、少しだけ悲しげに見えたのは、何故だろう。
.
282
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:04:02 ID:ar1qzQbE0
浮遊城アインクラッド。
第一層 はじまりの街。
初めてこのゲーム、『Sword Art Online』の世界にログインした人は、
設定をこなした後、このはじまりの街に立つ。
ゲームを始めた人にとっての、『始まりの場所』
そして、ゲームの中の死が本当の死と繋がったこのデスゲームの中で、
この街には『終わりを記す』物がある。
巨大な建造物。『黒鉄宮』。
その中にある、『生命の碑』。
それはこのデスゲームに囚われたプレイヤー全員の名前が刻まれた巨大な碑。
そしてゲーム内で死亡すると、名前に横線が引かれ、その原因が刻まれる。
ゲーム内の死。
それは現実世界でナーヴギアによって脳を焼かれ、死んでしまう事を意味する。
.
283
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:04:55 ID:ar1qzQbE0
そして、今日は、生命の碑の前で、ヘリカルが、泣き叫んでいた。
冷たい、黒い床に膝をつき、碑に向かって土下座をするかのような姿で。
涙が、床を濡らしている。
両手が、床を、自らの身体を、叩く。
それまで、ただ見守ることしかできなかった横に立つ和装の武装をしたフサギコさんが、
ヘリカルを横から抱きしめるように支えた。
「……ぼくはそばにいるから」
その泣き叫ぶ姿と、声は、同じように生命の碑を見に来た者の心を、重く、黒くする。
僕は少し遠めの柱の陰に隠れ、
ヘリカルを見守りつつ、
ヘリカルを見張る黒い影を監視している。
『 e-YOU 』
『floor 43 Player kill』
ヘリカルの視線の先の名前。
横線の引かれた、名前。
ヘリカルの泣き声が、黒鉄宮の中をいつまでも響いていた。
(=゚ω゚)「……ヘリカルは凄い女優さんになるんだょぅ」
.
284
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 16:05:25 ID:3QHABcto0
ずっと待ってた!支援
285
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:05:34 ID:ar1qzQbE0
ヘリカルを見張る黒い影が動き出す。
僕はその影を視界の中に入れ続けるために少しだけ身体を動かす。
影が外に出ようとするのを見て、
柱の影の中で身支度を整える。
そして少しだけ未練を残しつつ、ヘリカルに背中を向けた。
あとで、フサギコさんにメッセージ入れないと。
ヘリカルを、お願いしますって。
でも、今日はくっつきすぎだと思うから、注意もしなきゃ。
終
.
286
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:09:41 ID:ar1qzQbE0
以上、閑話、ぃょぅスポットの話でした!
そして2018初投下当いう事に衝撃。
そういえばこれ書いた後ナンバリング書いてて投下していなかった。
というオチ。
支援、ありがとうございます!
そして色々ありがとうございます!ww
ラストまで逃亡も卒業もしないつもりですが、
投下は少し遅くなるかもしれないので、
時折思い出していただけると嬉しいです。
次回はなるべく早いうちに……。
ではではまた!
.
287
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 16:32:24 ID:z7113FOM0
乙
VIPのやつら優秀すぎ
288
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 18:16:50 ID:5E8Ajowo0
乙です
289
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 18:26:06 ID:bBtls/zo0
乙!
いろいろとすっきりした
続きも待ってる!
290
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 21:56:24 ID:2vO5AciA0
おっつうおっつう
291
:
名無しさん
:2018/06/18(月) 00:42:24 ID:ael4Fc9s0
乙ー、楽しみにしてるよ
292
:
名無しさん
:2018/06/18(月) 07:21:48 ID:LmIssMXwO
乙。遅くてもなんでも書いてくれるだけで有り難い
293
:
名無しさん
:2018/06/18(月) 09:27:14 ID:HK.TTMNw0
乙、待ってたよ
294
:
名無しさん
:2018/06/19(火) 17:41:25 ID:DHlGhaa60
乙です。
VIPのみんな攻略組でも問題なさそうですよねw
295
:
名無しさん
:2018/06/19(火) 23:50:14 ID:kK1lpxRc0
乙でした。
前から気になってたんだけど、第8話でモナーが感じたブーンへの違和感ってなんだったんだろう
296
:
名無しさん
:2018/06/21(木) 17:30:47 ID:TWNOmTFo0
エンジェルホライズン絡みじゃないかなと勝手に推測
相手の動きが見える事なのか、代償で頭痛がする事なのかは不明だけども
まだこの頃は技として使い物にならないはずだから周りに隠してた、とか
297
:
名無しさん
:2018/06/21(木) 17:58:33 ID:C2U3dUeA0
まとめ一気に読み返した後に投下来てるとかw
待ってた甲斐が有った!
続きが楽しみ 乙でした
298
:
名無しさん
:2018/06/21(木) 18:07:06 ID:jT2W7MZg0
生きとったんかいわれぇ!
299
:
名無しさん
:2018/06/23(土) 08:55:05 ID:S.CRpzOYO
>>295
ショボンのラフコフとの繋がり調べてるブーンの行動がモナーにしたら怪しく見えたって事じゃないか
300
:
名無しさん
:2018/06/24(日) 21:33:59 ID:50GGbo7.0
ミセリの忍者仲間だって言葉が胸に来る…
乙でした
301
:
名無しさん
:2018/07/04(水) 09:12:18 ID:XEO0UAcI0
ミセリは一匹狼を貫いてたって事?
302
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:25:00 ID:bswVTS720
( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
第二十五話
語るなら未来を
.
303
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:27:19 ID:bswVTS720
ショボンの乾杯で始まった打ち上げ会は、
ショボンの完敗でもう一つの幕を開けた。
(,,゚Д゚)「……まじか」
(´・ω・`)「勝った方が驚かないでほしいなぁ」
VIPとNSの八割方のメンバーと、
その他希望者で始まった勝ち抜き戦。
第一戦はショボンVSギコだった。
ショボンの放つ投擲武器を盾で弾き、時には躱すことにより接近に成功したギコが、
片手剣の剣技でショボンに完勝したのだ。
VIPとNSのメンバーは特に驚いていないがその他の者達はざわついている。
(´・ω・`)「基本的に僕の投擲攻撃は盾持ちとは相性悪いしね」
(,,゚Д゚)「で、でも今まで一回も勝てなかったぞゴルァ」
(´・ω・`)「だって盾の使い方が甘かったし。
投擲をメインに想定している時点で、
盾持ちや防御重視との戦いは一番に考えてるよ」
(,,゚Д゚)「じ、じゃあ」
(´・ω・`)「今のギコは、それを超えている。
それだけだよ。
今の戦いを見る限り、僕相手のイメージトレーニングをいっぱいしたのかな。
でも僕の戦闘スタイルは特殊な方だから、
他でどう活用するかはまた工夫が必要だと思う。
それに、今の戦いで僕の経験値も上がったから、
次同じ戦い方したら僕が勝つよ?
だから、気を抜かないようにね」
(,,゚Д゚)「ご……ゴルァ」
(´・ω・`)「とはいっても今日は僕の完敗だね。
お疲れさま。
次の試合もがんばってね」
.
304
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:28:49 ID:bswVTS720
眉間に皺を寄せて少しうつむき加減で何かを呟いているギコの肩を、
苦笑いをしながら軽く叩くショボン。
(,,゚Д゚)!
それに反応して顔を上げた時には既に目の前にはいなかった。
慌てて振り向き、その背中に声をかける。
(,,゚Д゚)「ショボン!」
(´・ω・`)「ん?」
ふり返ったショボン。
その瞳を真っ正面から見るギコ。
(,,゚Д゚)「おれ、優勝するぞゴルァ」
(´・ω・`)「え?あ、うん。頑張って」
(,,゚Д゚)「優勝したら、もう一度おれとしぃをギルドに入れてくれ!」
(´・ω・`)「は?え?うん。良いけど……。
(あれ?もともと今回の作戦が済んだから戻ることになってたよね?
あの時そう話さなかったっけ?)」
(,,゚Д゚)「よし!頑張るぞゴルァ!」
(´・ω・`)「あ、うん、頑張って。
(これってフラグだよね?)」
思わず周りの仲間たちの顔を見たショボンに対し、
数名が苦笑いを浮かべ頷き、
しぃが眉間に皺を寄せて頭を抱えてしゃがみこみ、
クーが黙ってその背中を撫でた。
.
305
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:30:06 ID:bswVTS720
ミ,,゚Д゚彡「ご、ごめんだから」
(,, Д )「……ゴルァ」
(´・ω・`)「(負けちゃったけどどうするんだろ。
戻らないのかなぁ)」
次の試合でフサギコに完敗し、
ギコは真っ白になっていた。
.
306
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:31:15 ID:bswVTS720
( ´∀`)「まだやってるもな」
モナーが扉を開けると、つい一時間ほど前に見たのと同じ光景が目に飛び込んだ。
それは、男二人が正座して向かい合っている姿と、
一人の女がソファーに座り脚を組んでそれを見ているという状況。
(*‘ω‘ *)「モナーさん、どうにかしてくれっぽ」
( ><)
( <●><●>)
一歩中に入ってきたモナーにぽっぽが声をかけた。
戦闘用装備を全て解いて私服でソファーに身体を投げ出すその姿は、
普段からは感じられない妖艶さをもっていた。
( ´∀`)「二人ともしょうがないもなねぇ」
ここはVIP牧場に建てられているペントハウスのリビング。
外は騒がしいが、防音に優れたこの部屋は静かだった。
外に面したガラスもすべて透明から有色に変わっており、
外からは覗けないようになっている。
( <●><●>)「私も牢獄に入るのが正しい道だということはわかってます」
( ><)「そんなのわかんないんです!
絶対違うんです!」
( <●><●>)「いいえ、わかってます」
( ><)「わかんないんです!」
( <●><●>)「私は二人を命の危険に晒してしまいました。
VIPの方々に刃を向けました。
それは償わなくてはいけません」
.
307
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:32:33 ID:bswVTS720
( ><)「でも誰も傷付いてないんです!
生きてるんです!
だから良いんです!」
( <●><●>)「それではだめなことはわかってます」
( ><)「わかんないんです!」
(*‘ω‘ *)「ずっとこうだっぽ」
呆れたように顔を伏せてため息をつくぽっぽ。
( ´∀`)「ぽっぽちゃんはどう思うっぽ?」
モナーの問いにぽっぽが顔を上げ、
ワカッテマスとビロードはぽっぽを見た。
(*‘ω‘ *)「……。
ワカッテマスが、償いたいって気持ちは分かるっぽ」
( ><)!
( <●><●>)「!ならば」
(*‘ω‘ *)「でも、私達はそれを望んでないっぽ。
私やビロードは、ワカッテマスが牢獄に入る事なんて望んでないっぽよ」
( <●><●>)「……」
( ><)「そうなんです!
望んでないんです!
だから!」
(*‘ω‘ *)「でも、こんなことをしてしまって、
ワカッテマスが私達に合わせる顔が無いってのも、
理解できるっぽ」
( ><)「!」
.
308
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:33:51 ID:bswVTS720
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ *)「……」
三人の視線がゆっくりとモナーを見た。
眉間に皺を寄せるモナー。
そしてため息をついてから口を開く。
( ´∀`)「こんな膠着した状態に、ぴったりの人をお呼びしたもな」
( ><)「?」
( <●><●>)「?」
(*‘ω‘ *)「?」
( ´∀`)「さ、どうぞどうぞ」
扉の前から退く様に中に入ったモナー。
そしてその後ろから二人入ってきた。
ξ゚⊿゚)ξ「どういう意味よそれ」
('A`)「え?おれもエアクラッシャーなの?」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ?」
('A`)イエナンデモアリマセン
ツンとドクオである。
(*‘ω‘ *)「こ、こんばんわだっぽ」
立ち上がり頭を下げるぽっぽ。
( ><)「こ、こんばんわなんです!」
立ち上がろうとするが足がしびれていて転がるビロード。
.
309
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:35:03 ID:bswVTS720
( <●><●>)「お邪魔させていただいています」
ξ゚⊿゚)ξ「まったく。
説教が溜まってるのに」
('A`)「おれも何で呼ばれたのか分からない」
( ´∀`)「二人が本気を出せばすぐ終わるもな」
('A`)「え?戦闘?決闘すればいいの?」
(;><)「!」
(*‘ω‘ *;)「!?」
(;<●><●>)「な、何故そういう事に!?」
( ´∀`)「ちがうもなよ」
不思議そうにモナーを見る二人。
ぽっぽ達三人はホッとした顔でモナーを見た。
( ´∀`)「この三人とおしゃべりしてほしいもな」
ξ゚⊿゚)ξ「はい?」
('A`)「え?」
(*‘ω‘ *)「!?」
( ><)「!?」
( <●><●>)「!?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんで私なのよ」
('A`)「おれとおしゃべり?」
.
310
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:36:33 ID:bswVTS720
( ´∀`)「二人が適任だと思ったからもなよ」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ」
('A`)「はぁ」
にこにこと笑うモナー。
釈然としないといった表情をしているツンとドクオだったが、
すぐに一息ついて表情を戻した。
ξ゚⊿゚)ξ「ま、モナーの要請ならするけど」
('A`)「ん」
( ´∀`)「ありがとうもな。
さ、二人も正座を止めてちゃんと座るもな。
フサギコからお茶とお菓子を貰ってきているもなよ」
まだよろよろしているビロードがソファーに座るとぽっぽも座った。
( <●><●>)「……」
( ´∀`)「ワカッテマスも座るもな」
( <●><●>)「……はい」
立ち上がり、ぽっぽの横に座る。
三人の前の一人掛けにツンが座り、
その横の一人掛けにドクオが座った。
( ´∀`)「さて、めんどくさいからとりあえずモナーがわかっている事を話すもなよ」
ローテーブルに人数分の飲み物と多量の菓子を置いたモナーが二人掛けのソファーに腰かけて口を開く。
.
311
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:38:52 ID:bswVTS720
('A`)「(あれ?実はモナーちょっと不機嫌?素が出てる系?モナー様降臨?)」
ξ゚⊿゚)ξ「(『知っている事』じゃなくて『わかっている事』か。
この三人なにしたのよ一体)」
眉間に皺を寄せた二人だったが、
それに気付かないふりをしてモナーは口を開いた。
打ち上げに出ている屋台はマッシロの料理スキル班が担当しており、
そこそこのレベルに高レベルの食材と調味料のおかげでかなりの料理が揃っていた。
採算度外視で調理できることに、
プレイヤーは喜々として料理を続けている。
料理スキルは回数はもちろんのこと、
新レシピや使用する食材のランクでもレベルは上がりやすくなる。
ζ(゚ー゚*ζ「何で私はここにいるのかなぁ」
そんな調理人たちを見つつぼそりと呟いたデレ。
( ^Д^)「と言いつつちゃんと食べるものは食べてるわけで」
後ろからやってきたプギャーが、
デレの右手に持たれたホットドックのようなものを見つつ横に立つ。
ζ(゚ー゚*ζ「そりゃあねぇ。ただなわけだし。美味しいし」
それでも浮かない顔で反応する。
( ^Д^)「急に声かけて驚くかと思った」
ζ(゚ー゚*ζ「周囲の警戒くらいいつもしてるわよ。
ソロなんだから。
それにあんたも隠蔽使ってないでしょ?」
.
312
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:39:54 ID:bswVTS720
( ^Д^)「そりゃ、ここで使っても意味ないし」
右手に二つグラス持っているプギャーが右手を差し出す。
ζ(゚ー゚*ζ「ありがと」
一つを左手で受け取って口を付ける。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、美味しい」
( ^Д^)「リメの実とカラルの葉のジュースだと」
ζ(゚ー゚*ζ「へー。あれってこんな風な味なんだ」
( ^Д^)「知ってるのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「お使いクエストや採取クエストで何回かね」
ホットドックをかじりながら呟く。
( ^Д^)「へぇ……」
ζ(゚ー゚*ζ「なによ」
( ^Д^)「いや、そういったクエストもやってるんだなって思って」
ζ(゚ー゚*ζ「なによそれ」
( ^Д^)「そういう泥臭いクエストはやってないイメージ」
ζ(゚ー゚*ζ「なによそれ」
笑みを浮かべるデレ。
しかしその笑みは楽しそうではなかった。
ζ(゚ー゚*ζ「誰かに寄生でもしてるかって思ってた?」
攻撃的なデレの視線。
しかしプギャーは気にしない。
.
313
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:41:16 ID:bswVTS720
( ^Д^)「いや、討伐系しかやってないかと」
ζ(゚ー゚*ζ「……はい?」
( ^Д^)「強かったから」
ζ(゚ー゚*ζ「……はい?」
じっとプギャーを見るデレ。
プギャーは気にせず左手に持った串焼きにかぶりつく。
ζ(゚ー゚*ζ「バカ?」
( ^Д^)「誰がバカだおい!」
ζ(゚ー゚*ζ「あんたよあんた!」
( ^Д^)「バカっていう方がバカなんだぞおい!」
ζ(゚ー゚*ζ「小学生か!
っていうか討伐のクエストだけやってここまで来れるわけないでしょうが!」
( ^Д^)「いや、そこはほら、そこで」
ζ(゚ー゚*ζ「そこってどこよ!」
( ^Д^)「裏ワザ的なことでうまいこと」
ζ(゚ー゚*ζ「ホントにバカ!」
( ^Д^)「うるさい!」
ζ(゚ー゚*ζ「最初っから強いわけないでしょ!
生き抜くために頑張ったのよ!」
( ^Д^)「まー。そりゃそうか」
ζ(゚ー゚*ζ「まったく……」
.
314
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:42:45 ID:bswVTS720
カップに口を付けるデレ。
口からカップが離れるのを見てからプギャーが口を開いた。
( ^Д^)「なんでソロなんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「……うるさいわね」
( ^Д^)「いや、パーティーに誘われたりしなかったのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……うるさい」
( ^Д^)「それだけ可愛けりゃ声かけられただろ」
ζ(゚ー゚*ζ「な、ば、バカじゃないの!」
( ^Д^)「なんだよ褒めたのに」
ζ(゚ー゚*ζ「あんた!あたしが男だって知ってるでしょ!?」
( ^Д^)「知ってるけど?」
ζ(゚ー゚*ζ「 」
( ^Д^)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「 天然かよ」
( ^Д^)「おれが?天然?」
ζ(゚ー゚*ζ「ムカつく」
( ^Д^)「で、これからもソロなのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……そのつもりだけど?」
( ^Д^)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「なによ」
.
315
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:43:43 ID:bswVTS720
( ^Д^)「おれ達と組まないか?」
ζ(゚ー゚*ζ「はあ?」
( ^Д^)「いや、結構頑張ってるつもりだけど、なかなか次のフロアに三人で進むのがな。
クエストも討伐系は選ばざるを得ない状況だし」
ζ(゚ー゚*ζ「このギルドのメンバーと組めばいいじゃない」
( ^Д^)「それじゃあおれ達が甘えちまう。
出来れば対等な強さの仲間が欲しい」
ζ(゚ー゚*ζ「……わけわかんない」
( ^Д^)「どうだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「ほんとう、わけわかんない」
( ^Д^)「な、いいだろ?
ブームもネーヨもお前の強さは見て知ってるし」
ζ(゚ー゚*ζ「私は、ツンを殺そうとしたのよ」
( ^Д^)「で?」
ζ(゚ー゚*ζ「『で?』?」
( ^Д^)「いや、だから?」
ζ(゚ー゚*ζ「私は!本気で!ツンを殺そうとした!」
( ^Д^)「知ってる。見てたから」
ζ(゚ー゚*ζ「そんな私を何で誘うのよ!?
あ、そうか。監視?
監視のつもりか。
監視なんてしなくてももう来ないわよ!!」
.
316
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:44:50 ID:bswVTS720
( ^Д^)「お前はあいつらの事を分かってないなー」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ?」
( ^Д^)「おれ達が一緒にいて監視なんてしなくても、
アインクラッドで最強の情報屋と懇意にしているあいつらが、
中層をソロで動けるお前の動向を見張るくらいわけないだろ」
ζ(゚ー゚*ζ「うっ」
( ^Д^)「そしてなにより、ツンはもう気にしてない。
っていうかお前のことは友達扱いしてる。
ならおれ達がお前のしたことを気にする必要はない」
ζ(゚ー゚*ζ「……そこが根本的におかしいのよ」
( ^Д^)「ツンだからなぁ……。
そういうやつだと思っておかないと」
ζ(゚ー゚*ζ「なによそれ……」
( ^Д^)「もう来ないとか言ったらツンが怒るぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「……もう怒られた」
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー」
ζ(゚ー゚*ζ「マジむかつく」
( ^Д^)「ツンはそういうやつだし、
このギルドの奴らも似たり寄ったりの奴らだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「……さっき色々言われたから何となくわかる」
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー」
ζ(゚ー゚*#ζ「次にそれやったら斧の錆にする」
( ^Д^)「棍と斧の二刀流ってのも良いな。
おれ達のどこの位置の強化も頼める」
.
317
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:45:53 ID:bswVTS720
ζ(゚ー゚*ζ「勝手に話を進めるな」
( ^Д^)「とりあえず一回。お試しで?」
ζ(゚ー゚*ζ「……言い方がいやらしい」
( ^Д^)「かわいいとは思うけどタイプじゃないです。
もっと清楚な人が好きです。
斧を振り回す人はごめんなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。やっぱりムカつく」
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー」
ζ(゚ー゚*#ζ「よし分かった決闘だ」
巨大斧を取り出しつつウインドウの操作をするデレ。
( ^Д^)「おれが勝ったらパーティー参加だな」
同じように武器を出しながら目の前に現れたウインドウを操作するプギャー。
ζ(゚ー゚*#ζ「はっ。勝てると思ってるの?
だいたい『対等な強さ』ってのもムカついたのよね」
( ^Д^)「言うねぇ。
でも、おれの本気も見せてやるよ」
ζ(゚ー゚*#ζ「ほえ面かかせてあげるわよ」
武器をかまえて距離を取る二人。
いつの間にか周囲をギャラリーが囲み声援を送っている。
ζ(゚ー゚*ζ「格の違いを教えてあげる」
( ^Д^)「メンバーゲットだな」
二人の間に浮かんだ数字がカウントダウンを始めた。
.
318
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:46:58 ID:bswVTS720
ミセ*゚ー゚)リ「あの二人は何をしてるんだか」
ギャラリーの中で二人の決闘を見ているミセリ。
(=゚ω゚)ノ「師匠はどっちが勝つと思うんだょぅ?」
ミセリを挟んでぃょぅとヘリカルが居た。
ミセ*゚ー゚)リ「んー。レベルと基本的な強さならデレ一択だけど、
VIPめんつ相手に経験積んでる分対人戦での闘いの上手さはプギャーだろうから、
難しいところかな」
(=゚ω゚)ノ「なるほどだよう」
*(‘‘)*「明日のパジャマパーティーが楽しみなんですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、うん……そうね。
(ねえ、ヘリカルちゃんはデレが男だって知ってるの?)」
(=゚ω゚)ノ「(知ってるんだょぅ)」
ミセ*゚ー゚)リ「(……知ってるならいいか。
ん?ぃょぅは平気なの?)」
(=゚ω゚)ノ「(……気にしたら負けなんだょぅ)」
ミセ*゚ー゚)リ「(何の勝負なのよ)」
*(‘‘)*「二人ともどうかしたんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「いいえ。何でもないわよ」
(=゚ω゚)ノ「何でもないんだょぅ」
.
319
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:48:56 ID:bswVTS720
ミセ*゚ー゚)リ「ところでヘリカルちゃん」
*(‘‘)*「なんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「腕、放してくれない?
ぃょぅも袖つままないの」
*(‘‘)*「それは出来ないんです」
(=゚ω゚)ノ「放さないょぅ」
ミセリの左手を両手で組んでいるミセリと、
丈の長めなシャツの裾をそっとつまんでいるぃょぅ。
ミセ*゚ー゚)リ「……逃げないわよ」
*(‘‘)*「そう言っていつもいつの間にかいなくなっているのです」
(=゚ω゚)ノ「出会った時から神出鬼没なんだよう」
ミセ*゚ー゚)リ「うー。
でもほら両手が塞がってるとご飯も食べられないし」
*(‘‘)*「さっきいっぱい食べてもうお腹いっぱいなので大丈夫なのですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか……。
ぃょぅも手、放そうよ」
(=゚ω゚)ノ「約束したからダメなんだょぅ」
ミセ*゚ー゚)リ「誰と?」
(=゚ω゚)ノ「ショボンさんとドクオさんとブーンさんだょぅ」
*(‘‘)*「わたしはツンさんとクーさんから頼まれたのですよ」
ミセ;*゚ー゚)リ「あー。そっかぁー。
流石に今回は逃げられないかぁ」
.
320
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:50:00 ID:bswVTS720
盛大な溜息を吐くミセリ。
不思議そうな顔のぃょぅと、
笑顔のヘリカル。
*(‘‘)*「明日が楽しみなんですよ!」
ミセ;*゚ー゚)リ「ああ、うん。女子会ね」
*(*‘‘)*「パジャマパーティーなんですよ!」
嬉しそうなヘリカルを見て笑顔になるぃょぅ。
そんな二人を見て柔らかな笑みを浮かべるミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「よし、まだ食べてないものを食べに行こう!」
*(‘‘)*!
(=゚ω゚)ノ!
ミセ*゚ー゚)リ「二人とも、行くよ!」
*(‘‘)*「はい!」
(=゚ω゚)ノ「ハイですょぅ!」
自分の左腕に回していたヘリカルの腕に自分の腕を絡め、
裾をつまんでいたぃょぅの手を握るミセリ。
*(‘‘)*!
(=゚ω゚)ノ!
ミセ*゚ー゚)リ「ほらほら無くなる前に食べよう!」
ニッコリと笑ったミセリに、
ぃょぅとヘリカルも満面の笑みを返した。
.
321
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:52:46 ID:bswVTS720
それぞれに楽しんでいる仲間達から逃れる様にコソコソと移動する二人。
( ・∀・)「よし、大丈夫だ」
_
( ゚∀゚)「ツンがいない今のうちに……」
( ・∀・)「モナーに呼ばれて行ったから、当分は大丈夫なはず」
_
( ゚∀゚)「よし、まずは今日を乗り越えるぞ」
( ・∀・)「おう!」
(*゚ー゚)「ジョルジュさん、モララーさん、どうしたんですかー?」
周囲を伺いつつ人の輪から抜け出して出入口に向かおうとした二人。
その目の前に、しぃが居た。
_
( ゚∀゚)「え!?」
( ・∀・)「い!?」
(*゚ー゚)「こんなはしっこでどうしたんですか?」
小首をかしげてにっこりと微笑んだしぃ。
_
(;゚∀゚)「あ、いや、その」
(;・∀・)「気付かなかった。腕を上げたんだな」
(*゚ー゚)「努力しましたから」
会話しながらしぃは微笑み続ける。
その笑顔を見て二人はこめかみと背筋に冷たいものを感じた。
.
322
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:53:53 ID:bswVTS720
_
(;゚∀゚)「な、なあ、物は相談なんだけど」
(*゚ー゚)「ダメですよー」
_
(;゚∀゚)「話だけでも」
(*゚ー゚)「ツンさんに頼まれてるので」
_
(;゚∀゚)「ぐっ」
(;・∀・)「(ジョル、走るぞ)」
_
(;゚∀゚)「(おれのスピードじゃしぃを引き離せるか……)」
(;・∀・)「(一瞬距離を取って転移結晶でとぶんだ。フォローする)」
_
(;゚∀゚)「(……わかった)」
(*゚ー゚)「んー。無理だと思います」
少しだけ腰を落として走り出そうとしたふたりの手が掴まれた。
( ゚∋゚)「逃げるな二人とも」
<_プー゚)フ「確保――!!」
モララーの手をクックルが、
ジョルジュの手はエクストが掴んでいた。
( ・∀・)「クックル!」
_
( ゚∀゚)「エクスト!お前まで!」
<_プー゚)フ「はっはっはっはっは!!」
( ゚∋゚)「気付かれるかと思ったが、しぃに気を取られ過ぎてたな」
(*゚ー゚)「転移結晶没収しまーす」
.
323
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:55:43 ID:bswVTS720
( ・∀・)「あ!」
_
( ゚∀゚)「げっ」
さっきよりも二人に近寄っているしぃが、両手に転移結晶を持っていた。
(;・∀・)「どうやって!?」
_
( ゚∀゚)「まじか!?」
腰のポーチに掴まれていない手を突っ込む二人。
( ・∀・)「……あれ?」
_
( ゚∀゚)「あるぞ?」
二人の手に握られている転移結晶。
_
(;゚∀゚)「あっ!」(・∀・;)
だがその手を強く叩かれる二人。
そして地面に転がった転移結晶が回収される。
(゚、゚トソン「はい。回収完了です」
( ・∀・)「トソン!」
(*゚ー゚)「こんなのに騙されちゃだめですよ。二人とも」
(゚、゚トソン「逃げちゃだめですよ」
_
(;゚∀゚)「おれたち二人にどれだけ戦力注ぎ込んでるんだよ!」
(;゚∋゚)「いや別に戦闘じゃないし」
苦笑いを浮かべる四人と、
それを見ながら肩を落とす二人。
.
324
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:56:58 ID:bswVTS720
( ・∀・)「……諦めるか」
_
( ゚∀゚)「……短い命だった」
絶望したように呟いた二人に、
更に苦笑いを浮かべることしかできない四人。
( ゚∋゚)「まったく……」
<_プー゚)フ「ホントこいつら面白いなぁ」
( ・∀・)「お前もツンに説教されてみるか?」
<_プー゚)フ「遠慮しておく!」
_
( ゚∀゚)「……はぁ……」
(*゚ー゚)「そんな世界の終わりみたいな」
(゚、゚トソン「そんなに怖いんでしょうか?」
(*゚ー゚)「んー。そうですね。
怖いのもあると思いますけど、
自分を心配しているのも分かるから、
むずがゆくなるんだと思います。
それを超えて怖いってのもあると思いますけどね」
(゚、゚;トソン「あー。なるほど。
怖いのは確定なんですね。
二度も言うくらいには」
(*゚ー゚)「大事なことなので」
表情を引き締めてトソンを見るしぃ。
数瞬の間の後、噴き出す二人。
(゚、゚トソン「もう、ツンさんに怒られますよ」
.
325
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:57:57 ID:bswVTS720
(*゚ー゚)「それくらいで怒る人じゃないですよ」
(゚、゚トソン「そうですね。
どちらかというと私達には甘いですし」
(*゚ー゚)「ですよね」
クスクスと笑う二人を悲しげに見る三人。
エクストは不思議そうにそんな三人を見ている。
<_プー゚)フ「で、そのツンはどこいってんだ?」
(*゚ー゚)「モナーさんに頼まれてドクオさんとモナーハウスに」
<_プー゚)フ「モナーハウス?」
(*゚ー゚)「あ、この農場の管理と、
モナーさんとクックルさんが住んでいるあの建物の事です」
今いる場所が農場の外れなため、離れた場所に建っている4階建ての建物をしぃが指さした。
( ゚∋゚)「モナーハウス?」
(*゚ー゚)「あ、ずっとギコくんとそう呼んでたのをツンさんとクーさんに知られて、
そしたらいつのまにか皆さんもそう呼ぶように」
( ゚∋゚)「知らなかった。
でも言い得て妙な呼び方ではあるな」
(゚、゚トソン「そういえばまた改築したんですね」
( ゚∋゚)「ああ。倉庫を増築して、
泊まりに来るやつも増えたから客室を増やした」
( ・∀・)「農場と牧場、あとその横の森で三つの土地だから、
システム的にはまだ増やせる?」
.
326
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:58:59 ID:bswVTS720
( ゚∋゚)「ああ。まだ余裕はあるらしい。
もちろん増築には多量のコルが必要だけどな」
_
( ゚∀゚)「そういえば牧場の横の森も買ったんだよな?
あそこも買えることにビックリした」
( ゚∋゚)「ん?あ、ま、まあな」
(*゚ー゚)「え?牧場大きくするんですか?」
( ゚∋゚)「あ、ああ。そんな感じだ。
そう、牛と羊が増えて余裕が無くなってきたからショボンに相談したらポンッとな」
(゚、゚トソン「ポンッと……資金繰りが羨ましいですね」
_
( ゚∀゚)「そういえば、NSのギルドホームってどんな感じなんだ?
おれ行ったことない」
( ・∀・)「そういえば無いな」
( ゚∋゚)「ん。そういえば」
(゚、゚トソン「こちらの方が広いですし、
会議するにも都合が良いですしね」
<_プー゚)フ「ブーンとかショボンはよく来てるぞ」
(*゚ー゚)「え?」
( ゚∋゚)「え?」
( ・∀・)「え?」
_
( ゚∀゚)「……え?」
(゚、゚トソン「ジョルジュさんは他の皆さんが驚いているからって無理に驚かなくていいですよ?」
_
(;゚∀゚)「べ、別に無理に驚いてねーし」
.
327
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:01:37 ID:bswVTS720
(*゚ー゚)「トソンさんは結構Sですよね」
(゚、゚トソン「そうですか?」
( ゚∋゚)「というかこの二つのギルドの女性メンバーは全員」
頷く男性陣とクックルを冷たい目で見る女性二人。
(;゚∋゚)「……なんでもありません」
(゚、゚トソン「で、なぜそんなに驚いているんですか?」
( ・∀・)「あ、いや、ショボンはともかくブーンは意外だなと」
(゚、゚トソン「そうですか?」
(*゚ー゚)「あ、ポーションとか備品の納品とかですか?」
(゚、゚トソン「……いえ、そんなこともなく、普通にみえられてシャキンさんと話したりしていますけど」
<_プー゚)フ「ドクオも来るけど、ハインに見付かると連れて行かれるからな」
(;・∀・)「ああ」
(;゚∋゚)「ああ」
_
( ゚∀゚)「それは想像できる」
(*゚ー゚)「ですね」
(゚、゚トソン「ブーンさんが来るのはそんなに意外ですか?」
( ・∀・)「仲が良いのは知ってるけど、
ブーンも店にクエストに忙しいだろ?」
( ゚∋゚)「だからよく来るってのは驚いたな」
(゚、゚トソン「忙しさではショボンさんも」
.
328
:
名無しさん
:2018/09/24(月) 14:03:36 ID:GC2PDmV.0
支援
329
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:04:01 ID:bswVTS720
_
( ゚∀゚)「ショボンはショボンだから」
<_プー゚)フ「それで納得できるのもすげーな」
(*゚ー゚)「それはショボンさんだから」
(゚、゚トソン「答えになってないけど答えですね」
全員が顔を見合わせて小さく笑った。
(*゚ー゚)「そういえばハインさんはどちらに?
今はドクオさんと一緒じゃないんですよね?」
(゚、゚トソン「……先ほどまではドクオさんの横でニコニコしていたんですが……」
<_プー゚)フ「ドクオがモナーに連れて行かれた後は……」
口ごもって目を伏せる二人。
そんな二人を怪訝な顔で見る四人だった。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
農場と牧場は買った時点では別々であった為、
分けて運営をしていた。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
そしてモナーは牧場を、クックルは農場を管理していた。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
だがすぐにホームからの移動が面倒になり、
二人はそれぞれに牧場や農場で寝泊まりするようになった。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
.
330
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:05:04 ID:bswVTS720
しかしこの牧場と農場には管理用の小さな小屋と敷地面積に似合わない倉庫しか付いていなかったため、
二人が小屋に泊まるのをショボンは良い顔をしなかった。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
そして移動や深夜の管理が必要な場合もあることを知り、
牧場と農場を一つの敷地にしたうえで二人が済む建物を建てた。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
モナーとクックルは立派なものは必要ないと反対したが、
バーボンハウスで使用する食品はもちろん、
POT等の元になる薬草系の栽培や防具や衣服に使用する革や羊毛の生産もする
農場と牧場に金をかけるのは当然のことと説得され今に至っている。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
そして今回、牧場エリアの横にある森林も購入し一つの敷地としたわけだが、
実はこの購入には裏があり、
真の理由はモナーとクックル、そしてショボン、ブーン、ドクオしか知っていない。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
▼・ェ・▼「くーん」
そんな牧場と森林エリアの境目で、ハインはビーグルを胸に抱いて一人笑っていた。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
▼・ェ・▼「くーん」
因みにアインクラッドにおいて、
ティムされたモンスターはほとんどマスターのそばを離れない。
つまりビーグルはモナーのそばを通常ほとんど離れないのだが、
ホームに設定されているエリアでは比較的自由に動き回っている。
▼・ェ・▼「くーん」
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
.
331
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:06:11 ID:bswVTS720
先程からニヤニヤ笑っているだけのハインにさすがのビーグルも恐怖を覚え始めたころ、
やっとハインが口を開いた。
从 ゚∀从「なあビーグル」
▼・ェ・▼「きゃん!」
从 ゚∀从「あのな、どっくんがな」
▼・ェ・▼「きゃん」
从 ゚∀从「どっくんがな」
▼・ェ・▼「きゃん?」
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
▼・ェ・▼「……くーん」
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
▼・ェ・▼「きゃ、きゃん!」
从 ゚∀从「ん?どうした?
あ、そうか。話しの続きか。
そうか、ビーグルも聞きたいか。
うん。そう、どっくんがな」
▼・ェ・▼「きゃん!」
从 ゚∀从「二人で出かけようって言ってくれたんだ」
▼・ェ・▼「……きゃ?」
从 ゚∀从「どっくんがな、出かけようって誘ってくれたんだよ!」
▼・ェ・▼「……きゃぁ」
从 ゚∀从「あのどっくんだぞ!あのどっくんが!どっくんが、私と二人で……」
▼・ェ・;▼「……くー」
.
332
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:07:26 ID:bswVTS720
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
ビーグルを抱えたままうずくまるハイン。
そして小さく笑い続ける。
▼;・ェ・▼「くぅーん」
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
そしてそんな二人の前に、彼女はさっそうと飛び出してきた。
∩∩
ζ゚⊿゚)ζ
▼・ェ・▼「きゃん!」
从 ゚∀从「……へ?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
真っ白毛並みのウサギ型モンスター。
デン・ツーレ=ラビットである。
惚けていても中層のトッププレイヤーであるハイン。
即座に距離を取りビーグルを地面に置くと普段使いの長柄の鎌を手元に呼びだした。
从;゚∀从「モンスター!?ここはVIPの敷地のはず!」
通常安全圏にモンスターは現れない。
街の外れだがここは《街》であり《安全圏》であり、
ギルドVIPが購入し管理している土地のはず。
そこにほとんど攻撃力を持たないとはいえ『モンスター』が出現した。
その異常事態にハインが臨戦態勢となる。
从 ゚∀从「ビーグルは私の後ろへ!
いや、すぐにモナーの所に!……い?」
先程までとは別人のように表情を引き締めたハインの視線の先で、
ビーグルがデンツーレにとことこと近寄って行った。
.
333
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:08:32 ID:bswVTS720
▼・ェ・▼「きゃん」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん」
お辞儀をし合う二人。
そして互いの頬を擦り付けあう。
从 ゚∀从「……あれ?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
困惑して硬直するハインに向かい、
ビーグルとの挨拶を終えたデンツーレがハインを指さしてひと鳴きした。
从 ゚∀从「あれ?ビーグルと友達?え?でもここって安全圏で……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
少しイラついたように指さすデンツーレ。
そしてピョンピョンとジャンプしながらハインの周りを一周する。
その後ろをとことこと付いていくビーグル。
そして正面に戻ると、再びひと鳴きした。
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!!」
从 ゚∀从「えっと……何か言いたいことでも?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζ「とぅん!」
大きく頷くデンツーレ。
そしてもう一度ハインを指さした後、
片足だけ地面につけて一回転した。
長毛種であるデンツーレの毛がふわりと舞い、
それはまるでお気に入りのスカートを着て喜んでいる女の子のようであった。
.
334
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:09:41 ID:bswVTS720
从 ゚∀从「なんかスカートみたいだな」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
大きく頷いてハインを指さす。
从 ゚∀从「え?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「えっと……私にもスカートをはけって?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅとぅん!」
首を何度も立てにふる。
从 ゚∀从「え?いや、でもほらわたしはほら、ここではそういうキャラじゃないし、
リアルでもプライベートではそういった女の子女の子したのはあんまり……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅとぅとぅん!」
从 ゚∀从「い、いや、でも」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!!!」
从 ゚∀从「……どっくんもそういう方が良いかなぁ」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
我が意を得たりと言ったように大きく鳴くデンツーレ。
从 ゚∀从「いやでも……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅとぅん!」
再びふわりと舞うデンツーレ。
从 ゚∀从「確かに可愛いけど……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζ「とぅん!」
.
335
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:11:05 ID:bswVTS720
从 ゚∀从「そういうのはプライベートでは着なかったから……。
ちょっと恥ずかしいというか」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「どっくん……喜んでくれるかなぁ」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!!」
从 ゚∀从「うぅ……でも……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「そうは言っても恥ずかしいもんは恥ずかしいというか……。
それにほら、ここだといつ戦いになるか分からないし」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「そういえばツンがショートパンツでコートタイプでベルトでスカートがどうとか……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「いやでも……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
しゃがんだハインとその目の前で鳴き続けるデンツーレ。
▼・ェ・▼「くぅーん」
少し離れた場所でそんな二人を見守るビーグル。
その後ろに忍び寄る白い玉。
(U ^ω^)「おっおっおっお」
▼・ェ・▼「きゃん」
お辞儀をし、頬を擦り付ける二人。
そして並んで二人を見る。
.
336
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:12:08 ID:bswVTS720
▼・ェ・▼「……きゃん」
(U;^ω^)「……おー」
从 ゚∀从「いやでもやっぱり」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん」
从 ゚∀从「いや分かるよ、わかる。でもさ」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅとぅん!」
从 ゚∀从「そうなんだよな。でもさぁ」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「そうなんだよな。うん。わかる」
▼;・ェ・▼「くぅーん」
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)「おーん」
隣の一人と背後のワンワンオーの群れと共に二人を見守るビーグル。
二人の会話?は終わるように見えなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「ばっかじゃないの」
.
337
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:13:09 ID:bswVTS720
('A`)「ああ、ツン、言葉を選ぼうな」
( ´∀`)「もなもなー」
(; <●><●>)
(*‘ω‘ *;)
(; ><)「うぅ……」
モナーハウスの一室。
話しを聞き終えたツンが吐き捨てる様に口にした言葉に三人が唇をかむ。
ξ゚⊿゚)ξ「なによドクオ。あんただってそう思うでしょ」
('A`)「否定は出来ないけど、でもほらおれは多分……」
ξ゚⊿゚)ξ「……ああ。そういうこと」
モナーを見るドクオとツン。
その視線を受けてにっこりと微笑むモナー。
ξ゚⊿゚)ξ「(まったく……)……ドクオ」
('A`)「(それでおれも呼んだのか)……ん」
( ´∀`)「もなもなー」
ワカッテマスに視線を移すドクオ。
ツンとモナー、そしてビロードとぽっぽもワカッテマスを見た。
('A`)「なあワカッテマス、おれもベータテスターなんだ」
( <●><●>)!
( ><)!
(*‘ω‘ *)!
.
338
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:14:47 ID:bswVTS720
('A`)「で、だ、多分分類されるとしたら『ビーター』って呼ばれても仕方ない部類に入る。
βテスト時にそれなりにレベルも上げたし、
出来る限り上の層にも行った。
色々な敵と戦ったし、
効率のよい狩場とか狩りの仕方なんかも知っていた。
で、スタートダッシュでレベル上げをしたし、
取り辛くなりそうなアイテムや武器をさっさと確保したりもした」
( <●><●>)
('A`)「ま、友達と来たからその知識は共有したし、
ベータテスターでもないのにおれより凄いのが身近に二人も居たからまあそれなりだったけどな。
それでも『友達を守るために』その力を使っていた時点で仲間以外のプレイヤーに
白い目で見られても仕方ないかもしれない」
( <●><●>)「……ドクオさん」
('A`)「ある程度落ち着いてからは情報屋に情報を流したり、
協力なんかはしたけれど、
それでもあの頃は肩身が狭かったよな」
( <●><●>)「……はい」
('A`)「ワカッテマスは、どれくらいだったんだ?」
( <●><●>)「……それなりにはまっていたので、
よく来ていました。
一回だけ、フロアボス戦にも参加を……」
('A`)「そっか」
( <●><●>)「正式サービス開始の日を楽しみにしていて、
ベータテスター時の知り合いと広場で待ち合わせしたりして。
けれど茅場が現れてこんなことになり……」
('A`)「どうした?」
.
339
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:15:57 ID:bswVTS720
( <●><●>)「怖くなって、一人の知り合いと宿に籠りました。
それ以外の三人の知り合いは外に出て行って……」
('A`)「そっか」
( <●><●>)「でも、それじゃいけないと思って外に出てみて、
最初は先行で情報をくれていた三人からも連絡が途絶えて。
宿に籠っていた一人ともだんだんと疎遠になり……。
ソロで狩りをしていました」
堰を切った様に喋り出したワカッテマス。
その様をビロードとぽっぽは驚いたように、
ドクオとツンは無表情に、
そしてモナーは悲しげに見つめている。
( <●><●>)「ソロでしたし、
進むことよりも生きることを優先していたため無理はしませんでした。
情報を集め、人の戦いを覗き見し、知識を得てから戦いに挑みました。
それでも戦い方が身についていたのと、
もとになる知識はあった為か順調にレベルを上げることもでき、
スキルを鍛え、出来るだけ安全な狩場で生きる為に戦っていました。
フロアボス戦もいくつか終わり上の階層にも行けるようになり、
ベータテスターへの風当たりやビーターと言う言葉におびえながら、
生きてきました。
……二人に会ったのは、そんなときです。
一人でマウントベアと戦っていたぽっぽが危なくなった時、
颯爽とビロードが助けに入ったんです」
( ><)!
(*‘ω‘ *)!
( <●><●>)「でもすぐにビロードもHPバーが黄色くなり、
このまま見ていたら二人は……と思い横からベアを切りつけ、
ヘイトをこちらに向けて逃げろと叫びました。
でも二人は助太刀ありがとうと叫びながら戦線に参加して来て……。
正直その時点で私にとってマウントベアは格下だったので二人は邪魔だったんですが」
(;><)「あ……」
(*‘ω‘ *;)「っっぽ。血気盛んだったぽっぽ」
.
340
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:16:57 ID:bswVTS720
( <●><●>)「しかも自分のHPをポーションで回復することも無く闇雲に横から切りつけてきたりして。
ヘイト管理もまともにできないのかと衝撃でした」
(;><)「それはその……」
(*‘ω‘ *;)「ポーションが切れてたっぽ」
( <●><●>)「邪魔な動きをする二人に指示を出して動きをコントロールすることによって、
なんとか無事にマウントベアを倒すことが出来ました。
正直二人が居なかった方が早かったと思います」
( ><)「うぅ……」
(*‘ω‘ *;)「そ、そんな時もあるっぽ」
( <●><●>)「ですがその後、
マウントベアを倒したそのすぐ後、
たいした戦果も上げず横でちょこちょこと攻撃を加えて時間をかけただけだったのに、
ものすごい笑顔で私に抱きついたりハイタッチをしたりしている二人を見て」
(;><)「穴があったら入りたいです」
(*‘ω‘ *;)「ものすごくディスられているっぽ」
( <●><●>)「心が、あたたかくなりました」
( ><)!
(*‘ω‘ *)!
( <●><●>)「今まで仮のパーティで戦ったことはありましたが、
あの時ほどの思いは抱きませんでした。
心の底からの笑顔と、生き残っていることの嬉しさを、感じたような気がしたんです」
('A`)「そっか」
( <●><●>)「……はい」
笑顔を見せるドクオ。
.
341
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:17:54 ID:bswVTS720
('A`)「それで、二人とパーティーを組むように」
( <●><●>)「懐かれて、一緒に森を出て、食事をおごってもらい、連絡先を交換し、いつしか……」
('A`)「なるほど。
で、隠していたわけか。
本当のレベルも、ベータテスターだってことも」
( <●><●>)「……はい」
('A`)「ま、両方ともわざわざ人に言うようなことじゃないし」
( <●><●>)「…… …… はい」
('A`)「で、辛くなってきたところを、ロマネスク達につけ込まれた?」
( <●><●>)「……ロマネスクは、昔は、あんな奴じゃなかった」
('A`)「……そっか」
( <●><●>)「先ほども言いましたが、
二人をだましていた。
危険な目に合わせた。
皆さんにも、ご迷惑をおかけしました。
だから」
ξ゚⊿゚)ξ「だから、牢屋に入るって?
ばっかじゃないの」
('A`)「だーかーらー」
( ´∀`)「もなもなー」
( <●><●>)「ですが!」
ξ゚⊿゚)ξ「結局独りよがりの謝罪行為でしょ。
とりあえず土下座して許しを請うのと同じレベルじゃない」
(;<●><●>)「!」
.
342
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:18:55 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「まずビロードとぽっぽがどう思っているか、
どうしたいかを聞くのが先でしょ」
(;<●><●>)「そ、それは……。
……迷惑をかけたのにそんなことを聞けるような……」
ξ゚⊿゚)ξ「なら、その程度の関係だったって事よ?
もちろん今回の事に関しての心からの謝罪は必要だけど、
ベータテスターを黙ってたことやレベル差の事を黙ってた事を纏めて謝ろうってのはどうなのよ。
それは別問題じゃないの?」
( <●><●>)!
ξ゚⊿゚)ξ「それに、ビロードは知らないけどぽっぽは知ってたでしょ?」
( <●><●>)!
( ><)!
(*‘ω‘ *)「……知ってたというか、
多分そうだろうなって思ってたくらいっぽ」
( ><)「ぽっぽちゃん!?」
(*‘ω‘ *)「全く感付いていなかったビロードにこっちが驚きっぽ」
( ><)「うぅ……わかんないんです」
( <●><●>)「し、知ってたのですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「っていうか、うちのギルドではほぼ全員そう思ってた」
(;<●><●>)「え!?」
('A`)「ジョルとフサぐらいか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。気付いてなかったっていうか、
まったく気にしてなかったのは」
.
343
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:22:48 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「まずビロードとぽっぽがどう思っているか、
どうしたいかを聞くのが先でしょ」
(;<●><●>)「そ、それは……。
……迷惑をかけたのにそんなことを聞けるような……」
ξ゚⊿゚)ξ「なら、その程度の関係だったって事よ?
もちろん今回の事に関しての心からの謝罪は必要だけど、
ベータテスターを黙ってたことやレベル差の事を黙ってた事を纏めて謝ろうってのはどうなのよ。
それは別問題じゃないの?」
( <●><●>)!
ξ゚⊿゚)ξ「それに、ビロードは知らないけどぽっぽは知ってたでしょ?」
( <●><●>)!
( ><)!
(*‘ω‘ *)「……知ってたというか、
多分そうだろうなって思ってたくらいっぽ」
( ><)「ぽっぽちゃん!?」
(*‘ω‘ *)「全く感付いていなかったビロードにこっちが驚きっぽ」
( ><)「うぅ……わかんないんです」
( <●><●>)「し、知ってたのですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「っていうか、うちのギルドではほぼ全員そう思ってた」
(;<●><●>)「え!?」
('A`)「ジョルとフサぐらいか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。気付いてなかったっていうか、
まったく気にしてなかったのは」
.
344
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:24:02 ID:bswVTS720
( ´∀`)「あの二人はもともとそういうのを気にしないもな」
('A`)「おれも何回か話そうかと思ったけど、
何とかなってそうだったから……」
(*‘ω‘ *)「もともと知り合った頃にはベータテースターへの批判はそれなりに終息してたっぽ」
('A`)「『ビーターさん』がいたしな」
(*‘ω‘ *)「だっぽ」
( <●><●>)「で、ですが効率よくレベルを上げて」
ξ゚⊿゚)ξ「今はそんなに変わらないでしょ?」
( <●><●>)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「多分今はそんなに変わらないはずよ。
ま、あんたが一時期のうちの馬鹿とかそこの二人みたいに、
寝る間を惜しんで一人でレベル上げしてるとかならわからないけど」
ドクオが黙って飲み物を口にするのを見るツンとモナー。
(;<●><●>)「そ、そんなことは……」
ぽっぽを見るワカッテマス。
(*‘ω‘ *)「見るっぽ」
ウインドウを出し、可視状態にするぽっぽ。
ワカッテマスが覗き込む。
( <●><●>)「!た、確かに……。
もう三つしか変わらない……」
(*‘ω‘ *)「ビロードは私より高いはずだっぽ」
( <●><●>)「!」
.
345
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:25:06 ID:bswVTS720
( ><)!
ビロードを見るワカッテマス。
キョロキョロと周囲を見るビロードだったが、
ぽっぽとツンに顎と視線で促されてウインドウを出した。
( ><)「こ、こんな感じなんです」
ウインドウを覗き込むワカッテマス。
(;<●><●>)「……」
大きい目を更に見開いて固まるワカッテマス。
ξ゚⊿゚)ξ「レベルが全てではないけど、
それが今の現実よ」
( <●><●>)「な、何故!?」
ξ゚⊿゚)ξ「うちの気持ち悪いくらい頭の良いバカと、
ここにいるゲームバカが考え抜いた戦い方をしてきたからでしょ」
('A`)「どうもご紹介にあずかりましたがゲームバカです。
三人パーティーでレベル差が大きすぎるのは危険だから、
三人のレベルが並ぶように、かつ戦闘経験を積めるようにメニュー作った。
まぁ強さの違いを気にしていた二人から個別に相談されて、
夜にレベル上げだけの戦闘訓練したりしたし」
ξ゚⊿゚)ξ「認めてんじゃないわよ」
呆れたように呟きながらほんのりと笑顔を見せるツンと、
それを受けて表情筋を歪めつつもニヤリと笑ったドクオ。
モナーはそんな二人を見ながらニコニコとしている。
そして三人は、
そんな三人を少しだけ羨ましそうに見つめた。
.
346
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:27:05 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「とにかく、私はこれから何人も説教しなきゃいけないから忙しいの。
まずは三人で腹を割って話し合いなさい。
今日は泊まってっていいし、
お腹がすいたから下のリビングか外の屋台にでも食べに来なさい」
言外に『ちゃんと話し合うまでここから立ち去るな』と言ったツンの言葉と表情に神妙にうなずいた三人。
('A`)「お前らなら大丈夫だと思う。
外から見てて、良いチームだと思う」
その後に出て言ったドクオの言葉で互いの顔を見た三人。
( ´∀`)「なにが大事なのか見失わない方が良いもな」
そして最後にモナーが部屋を出ると、部屋の中の音が無くなった。
「……っ」
何かを話そうと息を吸ったような音が、
三人から聞こえた。
灯りの付いてないない建物。
小さな中庭の中央近くに、
剣が二本刺さっている。
その前で跪いている一人の男と、その後ろに立つ一人の男。
暗がりでは二人の顔に違いが見えないほど、
二人の顔は同じだった。
.
347
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:28:53 ID:bswVTS720
( ´_ゝ`)「……」
閉じていた目を開き、じっと二本の剣を見る兄者。
( ´_ゝ`)「一本は、『初めて打った一本』だよな。
もう一本はなんだ?」
(´<_` )「それも鍛冶場に飾ってあった。
おそらくは、『最高の一本』じゃないのかな」
( ´_ゝ`)「『初めて』と『今の最高』を鍛冶場に飾るとか。
らしいっていえばらしいが」
(´<_` )「素材持ち込みのオーダー品が『今までの最高品』だったときは
どうしてたんだろうな」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「想像したくない」(´<_` )
見事にそろった二人の声。
一瞬の沈黙の後二人の顔が笑いで歪んだ。
(´<_` )「グレンさんなら、
納期延ばしてそれを飾りながら一本打ちそうだな」
( ´_ゝ`)「それならまだ良いくらいだ」
悲しげな笑顔を見せる二人。
( ´_ゝ`)「……今まで来なくて、すまなかった。
あんなに世話になったのに、
来れたのは、一番最後になっちまった。
ずっと、考えたくなかった。
あんたが死んだことを、
もう会えないことに、
真正面から立ち向かうことが出来なかった」
.
348
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:30:18 ID:bswVTS720
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「一人でいたおれに、
弟者を探すことを諦めないことを、教えてくれた。
弟者を連れてきてしまった後悔にさいなまれて何もできなかったおれを、
ぶん殴ってくれた」
(´<_` )「!……兄者」
( ´_ゝ`)「おれも鍛冶をすることを決めた時に、
弟者を連れて行ったときに、
笑いながら、知っていることは何でも教えてくれた」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「……もう会えないなんて、考えたくなかった。
ここに来なければ、
黒鉄宮にいかなければ、
フレンドリストの色の違うあんたの名前を見なければ、
まだ会えるかもと自分をだますことが出来た。
だから、来なかった」
拳で地面を殴る兄者。
衝撃が土煙を産んだ。
( ´_ゝ`)「でも、それじゃ、駄目だった。
どこかで、ずっと、考えている自分がいた。
あんたのことを。
そして、死ぬかもしれないってことを。
ギルドの仲間が、鍛冶の仲間が、
そして、弟者が」
(´<_` )「!」
.
349
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:31:33 ID:bswVTS720
( ´_ゝ`)「怖かった。
ショボンやシャキンの注意を聞いて共に居れば普通の戦いで死ぬことは無いと思う。
無理をしなければ、モンスターやクエストで死ぬ事も無いと思う。
でも、人の悪意は、分からない。
どんなに強くなろうとも、
レベルを上げて強い武器と強固な防具を纏っても、
人からは逃れられない。
悪意からは、逃げられない。
……怖かった。
また、人からの悪意で傷付くのが」
(´<_` )「兄者……」
( ´_ゝ`)「おれは、もう、本気にならないって決めていた。
遊びならともかく、勉強やスポーツには、本気にならないって。
そうすれば、笑われることはあっても、
他人から悪意を向けられることが極端に減ったから。
だから、ここでもそうやって、いつか帰られる日までのらりくらりと過ごせばいいと思っていた。
でも、あんたの死で、知らないふりをしていた事に目を向けなければいけなくなった。
すぐそばにある死を。
人の悪意を。
……おれは、目を背けていた。
あんたの死から。
そして、現実から」
(´<_` )「……やっぱり、そうだったか」
( ´_ゝ`)「あの頃は、お前にも迷惑かけたな」
(´<_` )「いや、大丈夫だ。
『なんだ、弟の方か』
だったからな」
( ´_ゝ`)「……すまん」
(´<_` )「それよりも、
やっぱり本気を出していなかったんだな」
( ´_ゝ`)「……すまん」
.
350
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:32:38 ID:bswVTS720
(´<_` )「……気持ちは……今なら、分かる。
納得はできないが、しょうがないとも、思う。
母者や姉者が居てくれたからどうにかなってはいたが、
正直うっとうしかったのは覚えてる」
( ´_ゝ`)「…… ……すまん」
(´<_` )「ただ、言って欲しかったな。
本気を出していない兄者に勝てないのもきつかったけど、
勝った時の方が、勝ちを譲られた気がして、辛かった」
( ´_ゝ`)!
(´<_` )「ずっと目標で、
あこがれだった兄貴が突然バカばかりやり始めて、
真面目な話も出来ずにいて、
アホなことばっかりやってて、
変な本買ってきたり変な服着たりして、
バカな真似ばかりして、
ゲームばかりしてて、
アホなことばかり言っていて、
いつも飄々とバカなことを言いながらアホなことをしていて」
( ´_ゝ`)「……バカとアホを言い過ぎじゃない?」
(´<_` )「それでもおれがどんなに頑張っても負ける時は負けて。
正直ムカついた。」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「そして、ここに来て、色々あって、けど、いつの間にか楽しかった。
一緒にバカやって、時々あいつらも巻き込んで、
叱られて、笑って、真面目に戦って、そしてまた笑って。
……兄者、気付いているか?」
( ´_ゝ`)?
(´<_` )「時々おれのことを『悌悟』って呼ぶことがあるの」
.
351
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:33:46 ID:bswVTS720
( ´_ゝ`)「え?」
(´<_` )「気付いてないだろ。
鍛冶をやってるときとか二人だけの時、
本当に楽しそうにしている時に、
意識せずに言っている感じだからな」
( ´_ゝ`)「え?マジで?」
(´<_` )「マジで」
(;´_ゝ`)「あー。なんか恥ずかしいな」
(´<_` )「そうか?
おれは嬉しかった。
兄者が……克睦が、昔に戻ったみたいで。
好きなことを、精一杯、楽しんでやっていたあの頃みたいで」
( ´_ゝ`)「…… ……」
(´<_` )「もう、いいんじゃないか?
好きなことを、好きなように、全力でやってみても。
特にここは、ゲームの中なんだし」
( ´_ゝ`)「……そうかな」
(´<_` )「ああ。
フォローしてくれる仲間も、
説教してくる仲間も、
一緒にバカやる仲間もいるし」
( ´_ゝ`)「……ああ」
黙って二本の剣を見る二人。
数分もそうしていただろうか。
兄者が立ち上がった。
.
352
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:34:59 ID:bswVTS720
( ´_ゝ`)「グレンさん、また、来るよ。
今度は、おれが打った剣を持ってくる。
この剣よりも良い奴を、持ってくる。
あと、好きだったカザルの実のジュースも、持ってくる。
それに、アークの塩焼きと、メべの煮た奴も」
(´<_` )「みんなも呼んで、宴会でもするか?」
( ´_ゝ`)「それも良いかもな。
グレンさんはみんなで集まるのが好きだったし」
口元に笑みを浮かべる弟者と兄者。
二人は同じタイミングで剣に向かって頭を下げ、
そして上げた。
( ´_ゝ`)「じゃ、また」
(´<_` )「また来ます」
剣に背を向けて歩き出す兄者。
その動きに沿う様に剣に背を向け、兄者に続いて歩き出す弟者。
( ´_ゝ`)
中庭から直接外に出た二人だったが、
兄者が立ち止まり店を見上げている。
(´<_` )「どうした?」
( ´_ゝ`)「いや、……大丈夫だ。
なんでもない。
おれは、また、ここに来れた。
それを思っただけだ」
(´<_` )「……ん」
歩き出す兄者。
( ´_ゝ`)「さて、店に帰って剣でも打つか」
.
353
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:36:07 ID:bswVTS720
両手を上げて伸びをしながら歩く兄者。
そして手を下ろした時、その手を弟者に掴まれた。
( ´_ゝ`)「ん?どうした?」
(´<_` )「なにをバカのことを。牧場に行くに決まってるだろ」
( ´_ゝ`)「え?」
(´<_` )「『え?』?」
( ´_ゝ`)「いや、え?なんで?」
(´<_` )「打ち上げ」
( ´_ゝ`)「いや、今回は遠慮して」
(´<_` )「連れてかないとおれがツンに怒られる」
( ´_ゝ`)「……二人で逃げよう」
(´<_` )「バカなことを言ってないで行くぞ」
( ´_ゝ`)「やだやだやだ!」
(´<_` )「大人しく説教されろ!」
(;´_ゝ`)「むりむりむりむりむり」
(´<_` )「今ならジョルとモララーとショボンと合同説教だけど、
延ばすと一人で更に長くなるぞ!」
(;´_ゝ`)「うっ」
(´<_` )「おら!いくぞ!」
(;´_ゝ`)「ううぅ……」
腰の引けている兄者を引っ張って歩き出す弟者。
.
354
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:37:18 ID:bswVTS720
(;´_ゝ`)「やっぱり……」
(´<_` )「うるさい」
(;´_ゝ`)「弟者がいぢめる……」
(´<_` )「可愛く言うな。気持ち悪い」
(;´_ゝ`)「ううううう……」
(´<_` )「しっかり歩く!」
既に涙目の兄者と良い笑顔の弟者だった。
川 ゚ -゚)「フォックス」
爪'ー`)y‐「ん?おや、来島の姫。なにか御用ですか?」
人の輪から少し離れた場所で串焼きや焼き鳥を多量に持っているフォックスに声をかけたクーだったが、
その返しに眉をひそめた。
川 ゚ -゚)「その呼び方と喋り方はやめろと言ったはずだ」
爪'ー`)y-「誰も聞いてないからいいでしょう」
川 ゚ -゚)「そういう問題じゃない。
だいたい、それで言うならお前も『来島の若』だろうが」
爪'ー`)y-「いえいえ。『狐ヶ崎』は傍系。
切れ目を補う事はあっても、
飼い主である『来島』を狙うことなどありえませんからね。
孤独な狐は島の中でのみ生きられるんですよ」
川 ゚ -゚)「……まったく。
とにかく元に戻せ」
.
355
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:39:13 ID:bswVTS720
爪'ー`)y-「はいはい」
川#゚ -゚)「フォックス」
爪;'ー`)y-「いやこれは普通だから」
川 ゚ -゚)「ならば良い。
分かり辛いんだからしょうがない」
爪;'ー`)y-「理不尽極まりない」
クーの言葉に苦笑しながらも串に刺された肉を頬張るフォックス。
爪)'ー`()y‐「んへ、はんのようは?」
川 ゚ -゚)「とりあえず飲み込んでから喋れ。
……ブーンとドクオの調査はどうなってる?」
爪'ー`)y-「おまえさぁ、あの二人の調査とか気軽にできるわけないだろ?
どう考えてもおれより強いんだから」
川 ゚ -゚)「強さと調査は別物だろ?」
爪'ー`)y-「この世界じゃ同じ線上だボケ。
看破スキルとか気配察知とかシャレにならないんだぞあれ」
川 ゚ -゚)「で?どうなんだ?」
爪;'ー`)y-「……ホント人の話聞かないよな」
串を全て左手に持ち、右手を振ってウインドウをだした。
爪'ー`)y-「とりあえず頼まれてから今までの動向とデータ。
人と会ってた時はその相手。
近寄れないから会話の内容までは不明。
あと、ブーンの店によく来る客のリスト」
そしてデータを羊皮紙の巻物の形に実体化させる。
.
356
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:40:16 ID:bswVTS720
川 ゚ -゚)「うむ」
それを一つ一つ受け取りながら自身のスロットに収めていくクー。
爪'ー`)y-「で?」
川 ゚ -゚)「ん?」
爪'ー`)y-「なんでこの二人を調べてるんだ?
言っちゃ悪いがこいつらホントお人好しだぞ。
善人の調査とかほんとつまらないし。
仲間を裏切るとかできる奴らじゃないだろ?
まぁドクオの方は多少は悪いこともしそうだけど、
それこそ落ちてる金を拾うくらいだ」
川 ゚ -゚)「ふっ。そんなことは最初から思っていない。
あと、ドクオは女の子が水浴びしていたら普通に覗き位するぞ」
爪'ー`)y-「じゃあなんでだよ。
そういえばモンスターの生態調査で隠れてた時、
ミニスカ装備の女の子が触手系モンスターに囚われてたのを覗いてたな」
川 ゚ -゚)「……二人も、ショボンと同じだからだ」
爪'ー`)y-「ん?」
川 ゚ -゚)「ブーン、ドクオ、ショボンは自分の事よりも仲間の事を、
……私達の事を一番に考えてる。
もちろん三人の中でも自分よりも他の二人の事を先に考えている。
今までは分かり易い目に見える脅威があったから、
それに対抗するために同じ方向を見ていたが、
それも一部を除いて落ち着いた」
爪'ー`)y-「攻略組がラフコフを潰し、
今回アングラをお前たちが潰した。
で、ラフコフのトップがまだ監獄行きになってないし、
マタンキとかいうやつがまだ逃げてるのか」
.
357
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:41:21 ID:bswVTS720
川 ゚ -゚)「ああ。
でだ、大きな脅威が去った今、三人の目指す方向が、
見ている物が少しずれてしまう可能性がある。
もちろん仲間の為に行動するという姿勢は変わらないが、
自分自身をないがしろにする可能性は高い」
爪'ー`)y-「仲間の為……ねぇ」
川 ゚ -゚)「それでもブーンにはツンがいるしドクオにはハインが出来て、
未来の自分に隣にいる人を想像すれば少しは無茶もしないとは思うがな」
爪'ー`)y-「ショボンは?」
川 ゚ -゚)「仲間を増やしVIP以外にもNSやマッシロの事も背負わせたから、
自分に何かあった時にそのメンバーが大変になる事を考えれば、
そうそう自分自身を無下に扱うことも無くなるはずだ」
爪'ー`)y-「『ショボンには私が出来た』じゃないんだな」
川 ゚ -゚)
爪'ー`)y-
川 ゚ -゚)
爪'ー`)y-
川 ゚ -゚)
爪'ー`)y-
川 ゚ -゚)
爪'ー`)y-
川 ゚ -゚)
爪'ー`)y-
.
358
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:42:57 ID:bswVTS720
川 ゚ -゚)
爪;'ー`)y-
川 ゚ -゚)
爪;'ー`)y-
川 ゚ -゚)
爪;'ー`)y-
川 ゚ -゚)
爪;'ー`)y-
川 ゚ -゚)
爪;'ー`)y-「ごめんなさい」
ちょっとした軽口のつもりだったが、
黙って自分を見るクーの視線と圧力に屈して頭を下げたフォックス。
川 ゚ -゚)「そういう軽口を出来るくらいの余裕があるならこの後も頼むぞ」
爪'ー`)y-「へ?」
川 ゚ -゚)「引き続きドクオとブーン、シャキンの調査をしてくれ」
爪;'ー`)y-「増えてるし!
しかも『マシロのキサイ』かよ!」
川 ゚ -゚)「ましろのきさい?」
爪;'ー`)y-「シャキンの事だ!
弁護士でありながら調理師でカフェのオーナー!
マシロの後継者にならないための条件の為だけに司法試験に片手間で合格したアホ!
条件通りマシロの経営には関わってないという噂と、
実は経営戦略室のフィクサーと言う噂が流れている!」
川;゚ -゚)「どこのオレツエー小説だそれは」
.
359
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:44:22 ID:bswVTS720
爪'ー`)y-「まぁ最後のは噂だと思うけどな」
川 ゚ -゚)「だが事実である最初のだけでも二時間ドラマの主人公は出来そうだな」
爪'ー`)y-「『カフェ店長の事件簿。
珈琲の香りに誘われた殺人事件。
無実の罪を着せられたパンケーキ好きの常連を救ったのは弁護士店長!』
みたいな感じだな」
川 ゚ -゚)「それだけあほなことを考え付くなら余裕だな」
爪;'ー`)y-「いやちょっとまて!」
川 ゚ -゚)「そういえば結局ドクオはミニスカ女子のパンツは見れたのか?」
爪'ー`)y-「ああ、見れてた見れてた」
川 ゚ -゚)「まったくあの男は」
爪'ー`)y-「でかい花のモンスターで、
釣り上げられたミニスカ女子が短剣振り回して退治してた」
川 ゚ -゚)「……とりあえずハインには黙っておいてやろう」
爪'ー`)y-「おっ。優しい」
川 ゚ -゚)「さて、そろそろ時間だから戻らないとだな。
引き続き頼んだ」
爪'ー`)y-「ん」
片手を上げて立ち去るクー。
それを見送って串に刺した肉にかぶりつこうとしたフォックス。
爪;'ー`)y-「ああああああああああ」
しかしかぶりつく前にしゃがみ込んでしまった。
.
360
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:45:34 ID:bswVTS720
爪;'ー`)y-「断り切れなかった―!」
しかしすぐに立ち上がり、
肉にかぶりつく。
爪;'ー`)y-「(……狐は飼い主にはさからえないってことか)」
口を動かしながら心の中で呟くと、
視界の隅にランプがついていた。
流れる様にウインドウを出しメッセージを確認した。
爪'ー`)y-「(ブーンとシャキンにミルナとデミタス……か。
姫さんにも最初特にブーンを気にしてくれって言われてたし、
こりゃおれも行きますかね)」
ものすごい勢いで串に刺さった肉を口の中に入れているフォックス。
そしてすべてを食べ終わると、
残った数十本の櫛をしまいながら歩き始めた。
('A`)「なんかすごいディスられてた気がする」
ξ゚⊿゚)ξ「なに?」
('A`)「んー。いや、なんでもない」
先程まで試合や訓練が行われていた場所に集まっているVIPとNSのメンバー。
その周りには興味深げにそれを見る打ち上げの参加者たちが居た。
そして中央で仁王立ちするツンの横にはドクオが所在なさげに立ち、
その横には弟者がいる。
(´<_` )「四人か。思ったより少なかったな」
.
361
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:47:07 ID:bswVTS720
ツンの目の前には正座で項垂れている四人の男。
('A`)「ギコは別枠だからな」
ドクオが向けた視線の先では正座したギコがしぃに叱られていた。
(*゚ー゚)「どうして勝手なこと言うかなぁ」
(,,゚Д゚)「勝てると思ったんだぞゴルァ」
(*゚ー゚)「で、次でフサギコさんに負けたわけだけど」
(,,゚Д゚)「……ゴラァ」
(*゚ー゚)「ちゃんと最初に話し合ったでしょ!この件が終わったVIPに戻るって!」
(,,゚Д゚)「ゴルァ」
(*゚ー゚)「ちゃんと返事して!」
(,,゚Д゚)「……はい」
(*゚ー゚)「どうしてあんなこと言ったの」
(,,゚Д゚)「……全員に勝って華々しく復帰」
(*゚ー゚)「ギコくん?」
(,,゚Д゚)「……ゴルァ」
(*゚ー゚)「ぎーこーくーん?」
(,,゚Д゚)「はい。ごめんなさい」
(´<_`;)「順調に調教されてるな」
('A`;)「お手本がツン、クー、トソンだからな」
(゚、゚トソン「え?私もですか?」
.
362
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:48:56 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとトソン、私の事も否定しなさい」
(゚、゚トソン「いえいえ」
('A`)「いやいや」
(´<_` )「いやいや」
( ´_ゝ`)「いやいや」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたは黙って反省してなさい」
(*´_ゝ`)「はーい」
ツンから見て一番左側で正座をしている兄者が返事をしながら右手を上げる。
その横で正座しているモララーが呆れた顔をし、
その隣のジョルジュは笑っていた。
そして右端のショボンが声をかける。
(´・ω・`)「ツン、もうそろそろ」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたが一番質が悪いのよ!」
(´・ω・`)「えー」
ξ゚⊿゚)ξ「『えー』じゃない!
『死んでも良い』なんて思いながら戦うなって何度言ったら分かるの!」
(´・ω・`)「でも」
ξ#゚⊿゚)ξ「でもでもだって言ってるんじゃないわよ!
当分一人になるな!
店の外に出る時は誰かと一緒!
いや、クーと行動を共にすること!
クーがいけない時はフサ!頼んだわよ!」
ミ;,,゚Д゚彡「わ、わかったから!」
(´・ω・`)「えー」
.
363
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:50:55 ID:bswVTS720
ξ#゚⊿゚)ξ「『えー』もクソも無い!!
個人行動は禁止!
これは決定だからね!
破ったらマッシロにも依頼して常に護衛を三人付けるようにするから!」
(;´・ω・`)「横暴だ!」
ξ#゚⊿゚)ξ「VIPとNSとマッシロと所属してないけど仲間であり友達でもある、
ここにいる皆の総意よ!」
(;´・ω・`)「総意って全員に聞いてないでしょ!?」
ξ゚⊿゚)ξ「異論のある者は挙手!」
大声を出しながら一回だけ周りを見るツン。
ξ゚⊿゚)ξ「よし!いない!
ここにいないメンバーが万が一反対してもここにいる全員が賛成なら総意よ!」
(´・ω・`)「『総意』って意味わかってる?」
ξ゚⊿゚)ξ「うるさい。
決定は決定だから」
(;´・ω・`)「ぶー」
ξ゚⊿゚)ξ「次!」
びくっと身体をふるわせるジョルジュ。
ξ゚⊿゚)ξ「モララー!」
( ・∀・)「え!?次おれ!?」
あからさまにほっとした顔をしたジョルジュと、
涼しげな顔の兄者。
.
364
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:51:52 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「と見せかけて兄者!」
( ´_ゝ`)「へ?」
ξ゚⊿゚)ξ「本当は私が言うようなことじゃないけど、
言わせてもらうわよ」
一呼吸置くツン。
普段は見られないその行動に、
何人かが驚いた顔でツンの顔を見ている。
ξ゚⊿゚)ξ「本気を出す場所、間違えてんじゃないわよ」
( ´_ゝ`)!
兄者が目を見開き、自分を見下ろすツンの顔を見上げた。
ξ゚⊿゚)ξ「あんたのその手は、人を殺すための物なの?
違うわよね。
あんたの本気は、人の命を奪う為なの?
違うわよね。
それにあんた、その後ギルド抜けるつもりだったでしょう」
最後の言葉で兄者の眉間に皺が寄ったがそれを気にせずツンは続ける。
ξ゚⊿゚)ξ「ふざけるな」
ニヤリと笑ったツンを見て、驚く者と笑顔になる者。
ξ゚⊿゚)ξ「なに、あんたは私達の誰かが間違えてPKした時や、
自分の身や仲間を守るために最後の手段に出た者をギルドから追い出すつもりなの?」
( ´_ゝ`)「そんなわけがあるか!
だいたいそれは、今回のおれとは違うだろ!」
ξ゚⊿゚)ξ「一緒よ。
状況は違っても、
行動に至る経緯が違っても、
……後悔は同じ」
.
365
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:53:18 ID:bswVTS720
( ´_ゝ`)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「それにね。
ずっと、思い出すのよ。
人がポリゴンに変わる、その瞬間を。
人が消える、その瞬間を」
( ´_ゝ`)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「自分自身でしたことじゃなくても、
目の前で見てしまったら、
思い出す。
何度も何度も、
ずっと、思い出すの。
少なくとも、
今ここにいるやつらは、
そうなるような人達よ。
兄者もきっと、そうなるわ」
そこにいる全員が何も言わずツンの言葉に耳を傾けている。
中には顔を伏せている者、
必死に目をこする者もいる。
ξ゚⊿゚)ξ「……それでも私達は、笑う。
がんばって、がんばって、笑う。
忘れられなくても、眠れなくても、
隣にいる人と、笑う。
ここは、その為の場所」
じっと兄者を見るツン。
そんなツンを見る仲間達。
ξ゚⊿゚)ξ「でも、出来るだけそうしない為に、
そして、そんな人が少なくなればいいと思って私達は訓練してきた。
自分の力と相手の力を見極めるやり方を。
殺さない戦い方を。
本気で私達を殺そうとする相手を屈服させるやり方を。
今そこで正座してるうちのバカマスターと、
一応調査しとくとか言って今ここにいないバカマスターと、
隣にいるゲームバカと、
そして兄者、あんたも中心になって一緒に考えたでしょ」
.
366
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:54:29 ID:bswVTS720
( ´_ゝ`)「……ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「それなのに、あんたはあいつを殺そうとして、
しかもギルドから消えようとした。
……ふざけないでよ」
( ´_ゝ`)「……ツン……。
……すまなかった」
ξ゚⊿゚)ξ「謝るのは、私にじゃない。
私なんかより、兄者の事を心配した人がいる。
わかってるでしょ?」
( ´_ゝ`)「……ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「とはいってもせっかくあやまってくれたんだから」
笑みを浮かべながら軽く手を振るツン。
すると無骨なレイピアが右手に握られた。
(;´_ゝ`)「え?」
そしてそれは片手で持ち上げられると兄者の頭に振り落とされた。
(; _ゝ )「がふっ」
痛みや攻撃判定の無い衝撃だけとはいえその威力は兄者の許容を超え、
(´<_`;)「兄者――――!!!」
正座したまま横に倒れた。
ξ゚⊿゚)ξ「私はそれで許してあげる」
(; _ゝ )「は……い……」
ツンが再度手を振るとレイピアが消えた。
ξ゚⊿゚)ξ「さて、おつぎは……」
.
367
:
名無しさん
:2018/09/24(月) 14:55:21 ID:hujL.ql20
しえん
368
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:56:12 ID:bswVTS720
(;・∀・)!
_
(;゚∀゚)!
ξ゚⊿゚)ξ「……ジョルジュ」
_
(;゚∀゚)「は、はい!」
ξ゚⊿゚)ξ「気は晴れた?」
_
( ゚∀゚)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「私達がどんなに反対してもやらせてくれって言って対峙したんだから、
ちゃんとスッキリしたんでしょうね?」
_
( ゚∀゚)「……ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「もう、大丈夫なの?」
_
( ゚∀゚)「ああ、心配かけたな。
もう、問題ない」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。じゃ、よしにしてあげる」
_
( ゚∀゚)「え!?まじで!?」
ξ゚⊿゚)ξ「……なによ。
あんたも一発食らいたかった?」
手を振る仕草をしようしたツンに被せるようにジョルジュが叫ぶ。
_
( ゚∀゚)「何でもありません!ありがとうございます!」
ξ゚⊿゚)ξ「……まったく。
安心しなさい。
これから自分で深く落ち込むことになるから」
_
( ゚∀゚)「へ?」
ξ゚⊿゚)ξ「で、モララー」
.
369
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:57:47 ID:bswVTS720
(;・∀・)「はい!
ごめんなさい!
マントをダメにしてごめんなさい!
素材取ってくるので許してください!」
いきなり土下座をするモララー。
それを見たツンは呆れたように一息ついた。
ξ゚⊿゚)ξ「それは分かってたからいいわよ。
いや、良くはないから素材の作製はしてよね。
で、それよりも問題があるってことは、
マントの事を持ち出して話の流れを作ろうとしたあんたが一番分かってるって事よね」
ツンの言葉に、モララーの肩が土下座したまま一度大きく上下した。
ξ゚⊿゚)ξ「渡してある『身代わり人形』、出して」
再度大きく揺れるモララーの肩。
隣で正座するジョルジュが驚いた顔でモララーを見る。
ξ゚⊿゚)ξ「だ、し、て」
( )「……い、いえにおいてきちゃった」
ξ゚⊿゚)ξ「確認の為に今日の朝一回見せてもらったわよね。
そのあと出発して、今のここまであんたは帰る余裕は無かったはずだけど?」
( )「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「だ、し、て」
土下座した姿勢のまま顔だけ上げるモララー。
( ・∀・)「どうしても?」
ξ゚⊿゚)ξ「さっさとだせ」
.
370
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:59:08 ID:bswVTS720
( ・∀・)「……」
上半身を持ち上げて普通の星座に戻るモララー。
そして腰のポーチから黒い塊を出した。
それを見たVIPとNSのメンバーが息をのんだ。
_
( ゚∀゚)「……モララー、おまえ、それ……」
ξ゚⊿゚)ξ「やっぱりね」
ツンも腰のポーチに手をやり、
一つの人形を取り出した。
それはツンの戦闘服を模したゴスロリチックな黒い服を着ていたが、
それ以外は普通に『色』が付いている。
ξ゚⊿゚)ξ「即死効果を一度だけ無効化する『身代わり人形』が炭化している。
つまり、使われたって事よね」
( ・∀・)「……助かったよ」
ξ゚⊿゚)ξ「気付いたのはいつ?」
( ・∀・)「ロマネスクに一撃食らった時になんか違和感あるなーと思いつつ転移して、
戻る途中で見たらこの状態だった」
_
(;゚∀゚)「モララー!?」
ξ゚⊿゚)ξ「その状態で更にロマネスクと戦ったわけ?」
( ・∀・)「ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「自分を一度殺した即死効果を持つ武器を持つ相手と?」
( ・∀・)「ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「何の対策も取らずに?」
( ・∀・)「……ああ」
.
371
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:01:19 ID:bswVTS720
瞬間ツンの手に『レイピア』が握られ、
モララーの顔面を突いた。
システムにより顔に当たる寸前で切っ先は止まっているが、
衝撃波は顔面を襲う。
が、モララーは正座したまま耐えていた。
巻き起こった風が止んだ瞬間、更にツンの身体が動く。
ξ゚⊿゚)ξ「ふっ」
鋭い突きが再び顔面を狙い、その後すぐに肩と胸を突く。
レイピアが巻き起こす風が見守る仲間たちの間を吹き抜けた。
_
(;゚∀゚)「ちょっ!ツ、ツン!」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
巻き毛をなびかせ、レイピアを突き出した姿勢のまま動きを止める。
ξ゚⊿゚)ξ「……三発、ちゃんと避けれるじゃない」
_
( ゚∀゚)「え?」
胸を狙ったレイピアはモララーの身体に当たってはいなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「腕が落ちたわけじゃないなら良いわよ」
正座したまま上半身を捻っていたモララーは、
ツンがレイピアを引くと同時に体勢を戻す。
( ・∀・)「……ん」
ξ゚⊿゚)ξ「最初の一発を受けたのが、
作るのにレアアイテムをふんだんに使う人形を使ってしまったお詫びとか、
開発に死ぬほど苦労して、
今でも量産は出来ていないマントが破壊されたことへのお詫びとかなら別に良いわよ。
気にしてないから」
( ・∀・)「え?」
.
372
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:02:36 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「私の作る装備は、持っている人を守るためのものよ。
それがその役目を果たしただけ。
それについてとやかく言うつもりは無いわよ。
ま、マントはちょっと違うけど。
弟者の防具はもちろん、
あんたの作るアクセサリーだってそのための物でしょ?」
( ・∀・)「ああ。そうだ」
ξ゚⊿゚)ξ「なら、わかるでしょ?そういうことよ」
( ・∀・)「……うん」
ξ゚⊿゚)ξ「で、…… ……ほら」
ウインドウを操作してレイピアを片付けた後に人形を取り出し、
それをモララーに投げるツン。
モララーの目の前に現れたトレードウインドウには『身代わり人形』と書かれている。
( ・∀・)「……へ?」
ξ゚⊿゚)ξ「?代わりの人形よ。とりあえずそれで我慢しなさい」
( ・∀・)「え?でも『身代わり人形』って量産できないんじゃ……」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ?」
( ・∀・)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「『身代わり人形』の作製条件は、
『裁縫』スキルのカンストと、派生の『刺繍』『染色』『機織り』をそれぞれ500以上にすること。
あとは核に『骸骨王の魂』を入れて、
『霊布』と『雲綿』を使えばいいだけなんだから簡単よ」
( ・∀・)「いや、その三つのアイテムが全部レアアイテム」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
( ・∀・)「いや、その『なに言ってんのこいつ』って顔されても」
.
373
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:03:39 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「『霊布』も『雲綿』も、今はレアドロップだけじゃないわよ?
『機織り』が600超えたらほぼ100%で作れるようになったし。
材料は農場と牧場で生産してるし」
( ・∀・)「はぁ!?」
ξ゚⊿゚)ξ「あれ?言ってなかった?」
( ・∀・)「聞いてねーよ!
で、でも『骸骨王の魂』はレアドロップだし、
骸骨王も中層のイベントボスだし」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ。だからあれは持ち込みよ」
( ・∀・)「……へ?」
ツンの視線の先、
自分達を囲んでいるマッシロのメンバー達を見ると、
全員が慌てて腰のポーチから人形を取り出していた。
( ・∀・)「……うそん」
ξ゚⊿゚)ξ「中層と言っても下の方だし、
力押しで特殊攻撃が無いからパターンはめればそれほど強敵じゃないし」
('A`)「あー。おれかジョルジュあたり、ギコでもいいか。
そこら辺が一人一緒に行けば倒せるくらいには全員なってるな」
( ・∀・)「まじか!?」
('A`)「ああ。
それでおれも何個か『骸骨王の魂』ドロップして、
全部ツンに渡した」
( ・∀・)「で、でもあれのドロップ確率ってそんなに高くないだろ!?」
ξ゚⊿゚)ξ「フサの作った『ラッキーフォーチュンクッキー』で、
幸運値をバフっておくのよ。
そうすると六人中一人か二人はゲットできてるみたいよ」
( ・∀・)「……うそん」
.
374
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:05:36 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「ま、最初に作った時はかなりのレアアイテムだったから、
メンバーのは隠蔽もかねて見た目を似せて作って、
一見ただのマスコットアイテムみたいにしてあったからオンリーワンアイテムだったけどね。
でも、そろそろ情報を流してもいいかしら?」
そういってショボンの顔を見るが、
眉間に皺を寄せていた。
ξ゚⊿゚)ξ「まだダメなの?」
(´・ω・`)「んー。
とりあえず作れるのがツンだけってのがね。
他にも作れそうな人の覚えある?」
ξ゚⊿゚)ξ「……知ってるところで『裁縫』カンストが三人いるけど、
『刺繍』ともかく『染色』と『機織り』もってのはいないかも」
(´・ω・`)「効果が『即死効果の一回だけ無効』とはいえ、
今出回ってるのは最高で『即死効果を高い確率で無効』で、
ツン作る人形の劣化版みたいな能力だから、
流石にちょっとどこまで盛り上がるか分からないんだよね」
ξ゚⊿゚)ξ「『即死効果』か……。
今のところ武器は超レアレベルでしか見つかってないし、
モンスターもそれほど多くは無いわよね?」
川 ゚ -゚)「アンデッド系のフロアボスクラスと、
この前見付かった蜂系の上位種。
それ以外だとエリアボスやイベントボスに時々いるくらいか」
ξ゚⊿゚)ξ「あー。『デスビー』と『クイーンデスビー』がいたか」
(´・ω・`)「うん。上層になって出てきたし、
今までの流れからナイトとキングも出てきそうだから」
ξ゚⊿゚)ξ「……なおさら……」
.
375
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:06:45 ID:bswVTS720
(´・ω・`)「販売はしたいね。
今のところは劣化版でどうにかなってるみたいだけど、
この先その幸運が続くとは思えない。
でも、それを生産できる唯一のプレイヤーがそのことによって狙われるのは避けたい。
ツン、当分はそれだけ作る生活になるかもよ?」
ξ゚⊿゚)ξ「それは……いやかも」
( ゚∋゚)「ならば、どうする?」
(´・ω・`)「製作方法は製作者の情報を隠蔽することを対価に情報屋に売るとして、
問題は販売の方だよね。
とりあえず製作者の偽装は当然するとして、
販売自体は折角できたコネを利用するのが良いかなって思ってるけど」
(´<_` )「コネ?」
(´・ω・`)「アインクラッド一の情報屋と、
攻略組の中では話の通じる方の血盟騎士団」
川 ゚ -゚)「!大丈夫なのか?」
(´・ω・`)「ここにいるみんなに何かが起きる様なことはしないよ。
幸いなことに血盟騎士団の副団長が半分プライベートで来てくれることになってるし、
いろいろ話してみるよ」
ξ゚⊿゚)ξ「さっき言ったこと、忘れてないでしょうね」
(´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「ショボン」
(´・ω・`)「……善処します」
川 ゚ -゚)「わたしも同席しよう」
(´・ω・`)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「それがいいわね」
(´・ω・`)「え、いや」
.
376
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:07:47 ID:bswVTS720
ミ,,゚Д゚彡「料理の話の時はフサも一緒にするから」
川 ゚ -゚)「頼む」
(´・ω・`)「えー」
ξ゚⊿゚)ξ「信用さない行動をしてきたあんたが悪い」
(´・ω・`)「はい」
川 ゚ -゚)「しかし、そこを抑えたとしても販売をうち関係の店でしたら意味が無くないか?」
(´・ω・`)「そこでヘリカルちゃんが作ってくれたコネが輝く」
*(‘‘)*「ハイなんです!?」
(=゚ω゚)「ヘリカルに何をさせるんだよう!」
ミセ*゚ー゚)リ「はいはい二人とも落ち着いて」
自分の名が呼ばれて上ずった声を出すヘリカルと、
焦ったような声色でショボンに問いかけるぃょぅ。
(´・ω・`)「ヘリカルちゃんにしてもらうわけじゃないよ。
ヘリカルちゃんのおかげでコネが出来た、
ロッペンマイヤーさんの所で販売してもらえればと思ってる」
川 ゚ -゚)「……ああ。なるほど。
あそこのギルドは低層から最先端まで店舗や露店を出して手広くやってるからな。
血盟とも懇意にしてるようだし、
うちが卸して血盟経由で売らせれば、
カモフラージュとしては最高だな」
ミ;,,゚Д゚彡「なんとなくオーラが黒いから」
(;゚∋゚)「ふさ、思っても言わない方が良いこともある」
ξ゚⊿゚)ξ「で、話がいろいろそれたけど、モララー!」
( ・∀・)「はい!」
.
377
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:09:02 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「今回で皆の服の補修に入るから、
素材収集宜しく。もちろん、マントの素材もね」
( ・∀・)「うっ!
……はい」
ξ゚⊿゚)ξ「あと、隣で落ち込んでるのをどうにかして」
( ・∀・)「はい?」
_
( ゚∀゚)「……ごめん……モララー」
(;・∀・)「!」
_
( ゚∀゚)「おれの……おれのわがままのせいで……」
(;・∀・)「い、いや、これはおれが未熟なだけで」
_
( ;∀゚)「大事な仲間を死なせちまうところだったなんて」
(;・∀・)「ジョルジュ、落ち着け。
深呼吸しよう深呼吸」
_
( ;∀;)「ごめんモララー、ごめんモララー」
(;・∀・)「泣き出した!
人の話聞かない!
メンドクサイのキター!
おいツン!」
ξ゚⊿゚)ξ「泣き出すと長いのよねー」
川 ゚ -゚)「めんどくさいな」
('A`;)「(うわぁ……)」
(´・ω・`)「(二人とも人の事は言えないんじゃ……)」
じろっとドクオを見るツンと、ショボンを見るクー。
('A`;)「なんでもありません」
(;´・ω・`)「なんでもないです」
.
378
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:10:24 ID:bswVTS720
(;・∀・)「なんでもいいからこいつどうにかして!」
ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュが元に戻るまで一緒に居るのが、
今回のあんたの行動に対するペナルティよ!」
(;・∀・)「ひでぇ!」
_
( ;∀;)「モララーああああああああぁぁぁぁぁ」
(;・∀・)「うぜええええええぇぇぇぇぇぇ!」
泣きながらモララーに抱きつくジョルジュと、
涙でぐしょぐしょに濡れた顔から逃れようと必死のモララー。
その二名を除いてほのぼのとした空気が流れる中、
黙って立ち上がろうとした兄者にツンの蹴りが炸裂した。
( ´_ゝ`)「うー」
(´<_`;)「あれは兄者が悪い」
ξ゚⊿゚)ξ「素知らぬ顔して立ち上がろうとするからよ」
いまだ盛り上がる宴会。
その片隅に設置された木のテーブル席に彼らは座っていた。
( ´∀`)「見事に後頭部に決まってたもな」
('A`;)「攻撃無効の衝撃波でもぶっ飛ぶんだな」
(;゚∋゚)「流石ツンとしか言いようがない」
ξ*゚⊿゚)ξ「褒めても今度の服のデザインは変えないわよ」
.
379
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:11:23 ID:bswVTS720
( ゚∋゚)「褒めてないから変えてくれ。頼む」
ミ,,゚Д゚彡「ヒマワリだから」
(;゚∋゚)「許してくれ……」
川 ゚ -゚)「似合うと思うがな」
ξ゚⊿゚)ξ「ねー。ま、モチーフはモチーフよ。
出来てのお楽しみ」
(;゚∋゚)「許してくれ……」
頭を抱えたクックルを見てそこにいた7人が笑みを浮かべながらそれぞれに飲み物を口にする。
( ´_ゝ`)「……で、ブーンとシャキン達はどこいってんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「知らない。
とりあえず帰ってきたら問い詰めるつもりだけど」
ミ,,゚Д゚彡「フィレンクトと一緒にアジトに行くって言ってたから」
(´<_` )「それだけに、ここまで時間がかかるか?」
( ´∀`)「そういうこともなね」
川 ゚ –゚)「一応フォックスたちに後を追うよう依頼したが」
( ´_ゝ`)「ブーンだけならともかく、シャキンがいるなら撒かれるか見付けられないか」
( ゚∋゚)「しかし、いったい……」
('A`)「……無事に帰ってくるなら、何でもいいよ」
ぼそりと呟いたドクオに、全員が目を向けた。
('A`)「ブーンが敵に回るとか、
おれ達が危機に陥るようなことをシャキン達がするとか、
そんなことがあるわけない。
言わなくていいことは言ってないだけだろ。
だから、無事に戻ってくるならそれでいい」
.
380
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:12:27 ID:bswVTS720
そういってお茶をすするドクオ。
(´<_` )「……そうだな」
弟者の呟きは全員の思いと一緒だったのか、
全員が少しだけ笑みを見せた。
だがそんな中、一人ツンだけは一瞬だけドクオを鋭い視線で見ていた。
(‘_L’)「……やはりここにもいませんね」
大きな木の中にある隠れ家。
フィレンクトが開けた扉からシャキン、ブーン、デミタスが入り、
ミルナが扉に身体を半分だけ入れて外を見張っている。
(‘_L’)「私が思い当たるのはここで最後です。
やはりいくら彼でも共通の隠れ家には戻ってこないかと……」
(´・_ゝ・`)「ま、そうだろうな」
隣にいるシャキンを見るデミタス。
(‘_L’)「マタンキの居場所を見つけたい気持ちは分かりますが、
流石に今日はどこか自分だけの隠れ家に潜伏しているかと」
(`・ω・´)「……悪いな。付き合わせて」
(‘_L’)「それは別にいいのですが……」
( ^ω^)「シャキン、ちゃんと言った方が良いと思うお」
(`・ω・´)「ブーン」
( ^ω^)「本当にそうなのか僕も気になるお」
(`・ω・´)「……」
(‘_L’)「?」
.
381
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:13:25 ID:bswVTS720
(´・_ゝ・`)「シャキン、フィレフィレには協力してもらった方が良いだろ?」
(`・ω・´)「……」
(;‘_L’)「デミタスさん、フィレフィレはその……」
(`・ω・´)「そう、だな……」
( ^ω^)「フィレフィレさんは信用できるお」
(´・_ゝ・`)「ブーンの方が喋るな」
( ^ω^)「そんなことないお」
( ゚д゚ )「ツンに問い詰められてもか?」
(;^ω^)「……言わないお」
(´・_ゝ・`)「無理だな」
( ゚д゚ )「無理だな」
(;^ω^)「おー」
(´・_ゝ・`)「それに、ここに来ることをドクオには連絡入れてるんだろ?」
(;^ω^)「それは最初シャキンに声をかけられた時に、
本当は一緒に来たがってたから一応報告を入れてるだけだお」
(´・_ゝ・`)「なんだつまらん」
( ゚д゚ )「そっか。ブーン達に声かけた時にデミタスはフィレフィレに声をかけに行ってたか」
(´・_ゝ・`)「ブーンしかいなかったから、ドクオには声かけなかったのかと思った」
(;‘_L’)「色々と微笑ましい会話のような気がしますが、
とりあえず私の名前はですね」
(`・ω・´)「そう……だな。
フィレフィレ。聞いてもらえるか」
(;‘_L’)「あ、はい。聞くのは良いんですが私の名前をですね」
.
382
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:14:26 ID:bswVTS720
(`・ω・´)「ここ、今もう使えるのはフィレフィレとマタンキだけか?」
(;‘_L’)「え、あ、そう……ですね。
あとデレも入れますが」
(`・ω・´)「なら大丈夫か。
マタンキも来ないだろうしな」
(´・_ゝ・`)「少しは落ち着いたか?」
(`・ω・´)「ああ。すまなかった。
ミルナ、警戒はもういいからドアを閉めてこっちに来てくれ。
あと、外で見ている狐にも来るように言ってくれ」
( ゚д゚ )「ああ。
おい!フォックス!出て来い!」
爪'ー`)「……あー。やっぱり見付かってたか。
だからいやだって言ったのに」
ミルナが声をかけると茂みから出てくるフォックス。
黒いマントを外しながら寄ってきた。
( ゚д゚ )「……一人か?」
爪'ー`)「ああ。込み入った話になりそうな気がしたから他のは帰しておいた。
今頃宴会に合流してるだろ」
フォックスが喋りながらドアをくぐる。
(`・ω・´)「クーか?」
爪'ー`)「黙秘権を要求する」
(`・ω・´)「狐は姫には従うもんだ」
爪'ー`)「その姫を従えてるそっちの若様に関わってるんじゃないのか?
良いのか?聞いて」
.
383
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:15:34 ID:bswVTS720
(`・ω・´)「どちらにせよツンから話は流れるだろ」
チラリとブーンを見るシャキン。
(;^ω^)「僕はツンに言わないお?」
爪'ー`)「言葉の最後にクエスチョンマークが付いてるぞ」
(;^ω^)「おー」
ミルナが扉を閉めて部屋の中心に移動する。
5人は、その間にそれぞれ椅子に座っていた。
(`・ω・´)「さて……。っておいフォックス」
爪'ー`)y‐「ん?」
(`・ω・´)「なにさも当たり前のように料理をテーブルに並べてるんだ」
爪'ー`)y‐「あれ?食べない?」
(`・ω・´)「ちゃんと全員分あるのか?」
爪'ー`)y‐「そこはぬかりなく」
(`・ω・´)「ならよし」
テーブルの上に並べられる串焼きの数々と飲み物。
( ^ω^)「串焼きメインだお」
爪'ー`)y‐「ほかのもあるぞー」
追加して並べられるたこ焼きのようなものや焼きそばに見えるもの。
.
384
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:16:38 ID:bswVTS720
(*^ω^)「おっおっお」
( ゚д゚ )
爪'ー`)y‐「こっちみるな」
更に料理を出すフォックス。
爪'ー`)y‐「ちゃんと甘いものも持ってきた」
(*゚д゚ )
爪;'ー`)y-「だからこっちを見るな」
(´・_ゝ・`)「いただくぞー」
串焼きを手に取ったデミタス。
爪'ー`)y-「くえくえー」
それを皮切りにそれぞれに手を伸ばしはじめる。
爪'ー`)y-「ほれ、あんたも」
(‘_L’)「……いただきます」
さいごにフィレンクトが手を出し、
全員が少しずつ会話をしながら食事を楽しんだ。
.
385
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:17:41 ID:bswVTS720
(`・ω・´)「さてフィレフィレ……と、ついでにフォックス」
(‘_L’)「……はい」
( ゚д゚ )「(お、諦めた?)」
(´・_ゝ・`)「(諦めたか?)」
(;^ω^)「(フィレンクトさん……ごめんなさいだお)」
爪'ー`)y‐「おれはついでかい。
フィレン…フィレとの差が酷くないか?」
(;‘_L’)「不通にフィレンクトと呼んでいいんですよ!」
爪'ー`)y‐「いや、なんかそこの二人の視線が怖かった」
(´・_ゝ・`)
( ゚д゚ )
(`・ω・´)「もう一度、しっかりとマタンキの顔を見たかったんだ」
(‘_L’)「今の流れは無視ですか!?
で、マタンキの顔を……ですか?」
(`・ω・´)「……ああ」
(´・_ゝ・`)「(やるなフィレフィレ)」
( ゚д゚ )「(見込んだ通りだ)」
(;^ω^)「(二人ともフィレンクトさんをツッコミ役として育てるとか本気かお?)」
爪'ー`)y‐「(この御人もなかなかな人だな)」
.
386
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:18:50 ID:bswVTS720
(‘_L’)「何故ですか?
(言いたい!『一目惚れですか?』って言いたい!
でものこの空気が言わせない!
でも『フィレフィレ』って呼ばれてるしそれくらいいいのか!?
空気を読む自分が恨めしい!)」
(`・ω・´)「それはもちろん一目惚れとかそんな話じゃなくて」
(‘_L’)「誰もそんなこと思いませんよ!
(言われたー!
ボケて良かったのかー!)」
(´・_ゝ・`)「(感じる!空気を読んでボケない性格を!)」
( ゚д゚ )「(それこそこのメンバーに足りないツッコミの資質!)」
(;^ω^)「(絶対この二人変なこと考えてるお)」
(`・ω・´)「実は、前に会ったことが……、
いや、見たことがある気がしたんだ」
(‘_L’)「マタンキを?」
(`・ω・´)「ああ」
(‘_L’)「……で、それが?」
(`・ω・´)「今日マタンキがショボンと戦いながら叫んでいたことを、
ショボンが撮っておいた記録映像で確認した」
(‘_L’)「はい」
(`・ω・´)「……おれがあいつを見た覚えがある瞬間が、
あいつがああなっちまった原因に繋がっているかもしれない」
(‘_L’)「……はい?」
部屋の中に奇妙な沈黙が訪れた後、シャキンは更に話を続けた。
.
387
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:19:57 ID:bswVTS720
(;´∀`)「これはいったいどういう状態もな?」
ミ,,゚Д゚彡「……」
▼;・ェ・▼「くぅーん」
新しく購入した森林エリアにやってきたモナーとフサギコ。
理由はビーグルを呼びに来たのだが、
目の前に広がる状況に言葉を無くしていた。
ミ,,゚Д゚彡「モナー?」
(;´∀`)「ワ、ワールドクエストで彼らのいたエリアが火に包まれることが分かって、
その前にここに避難させたもな。
でもツンに知られると危険だったもなから、
ここに彼らがいるのを知ってるのはショボンとクックルとドクオだけで、
後は何人かのテイマー仲間だけもなけど……」
▼;・ェ・▼「……」
困り顔のビーグルをそっと抱き上げるモナー。
ミ;,,゚Д゚彡「……モナー?」
(;´∀`)「い、いや、モナーは何もしてないもなよ?」
.
388
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:20:48 ID:bswVTS720
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ 从∀゚ 从
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)(U;^ω^)
困惑気味なワンワンオーの群れの中心で、
ハインがデンツーレに人生相談をしているという謎の状況に、
なすすべもなく見守る事しかできない二人だった。
ミ;,,゚Д゚彡「……モナー?」
(;´∀`)「なにがどうしてこうなったもな?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ 从∀゚ 从「どうしたら良いと思う?」
第二十五話
終
.
389
:
名無しさん
:2018/09/24(月) 15:21:15 ID:Uclg6NLk0
おつ!
390
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 15:23:10 ID:bswVTS720
以上、第二十五話でした。
今回は前章のエピローグと、
最終章へのプロローグといった感じの回となりました。
最後の流れは一気に行って終わりまで走る形にしたいので、
その前に閑話を投下できればなと思っていますが、
とりあえず終わりが見えて完走できそうなので、
ちょっとだけホッとしていたり。
いつも支援、そして乙や感想ありがとうございます!
なかなか指が動かない時は感想や乙を読み返して活力にしています。
拙い話ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
それでは次回!今年中にもう一回投下出来たら嬉しいなぁ。
ではではまた。
.
391
:
名無しさん
:2018/09/24(月) 16:33:59 ID:rUJpSdGs0
おつ!!!このまま走り抜けてほしい
392
:
名無しさん
:2018/09/24(月) 17:54:31 ID:wT5RqQvI0
乙
ずっと待ってたぞ!
393
:
名無しさん
:2018/09/25(火) 12:02:39 ID:r2yzjxWI0
乙!完走を期待してるぜ!無理ないように頼むよー!!
394
:
名無しさん
:2018/09/30(日) 09:09:42 ID:vhIAmsWQ0
乙です。
体調には気をつけて頑張って下さい。
395
:
名無しさん
:2018/09/30(日) 18:01:06 ID:Ch1gXOqU0
野暮な質問かもだがギコとしぃが一旦ギルド抜けた理由ってちゃんと語られてたっけ
396
:
名無しさん
:2018/10/02(火) 08:12:02 ID:PzMFhiyw0
>>395
第十六話、思いと決意に書いてあるやつがそうじゃない?
397
:
名無しさん
:2018/10/02(火) 18:15:17 ID:7glWUaVs0
>>396
経緯を説明されてどうするかは自分で決めろと言われてる場面はあったけど、なぜ一旦抜けたのかがいまいち不明なままなんだよな
アングラー戦の登場の仕方から表向きはギルドと無関係になって裏で動く作戦だった線が濃厚だけど、関係性を知られているならむしろ狙われたりしないか?って思うし
関係ないけど作者何気に乃木坂好きなんだろうか
ガールズルールとか命は美しいとかサブタイトルにちょいちょい曲名を彷彿とさせる言葉が
398
:
名無しさん
:2018/10/15(月) 11:53:01 ID:htT8aTC60
前スレ読み直してたらデレが男だと気づいてる人が居たな
425 名も無きAAのようです sage 2017/01/24(火) 00:36:30 ID:deOtk6xUO
地味にブーン芸の方に修正入っててワロタwww
的外れっぽいから書いちゃうけどデレは男じゃないかと思ってる
399
:
名無しさん
:2018/10/24(水) 01:00:37 ID:YjtGF3.20
シャボンが覚えれてなくてシャキンが見覚えがあるって事はマタンキはあいつかな
400
:
名無しさん
:2018/10/24(水) 02:32:07 ID:i/czIQHw0
混ざってんぞ
401
:
名無しさん
:2019/01/19(土) 09:49:59 ID:VzkKQQdA0
まだかなー
402
:
名無しさん
:2019/01/26(土) 21:47:39 ID:5VW9dVqM0
今思ったんだけどSAOの世界ではスポーツとかあったのかなー
閑話でいいからなんか書いてほしいなー( ´∀`)
403
:
名無しさん
:2019/03/18(月) 19:11:28 ID:q46NeT.U0
もうすぐ更新かな・・・
404
:
名無しさん
:2019/04/13(土) 04:06:30 ID:Ut.VN2VM0
生きてるかー??
405
:
名無しさん
:2019/04/16(火) 13:36:03 ID:N5Zpyub20
ドクオ×ハインが気になって仕方ない
406
:
名無しさん
:2019/05/10(金) 23:00:24 ID:g9OnjJRw0
続きが気になり過ぎてもう3周しちゃったぜ?
407
:
◆dKWWLKB7io
:2019/05/12(日) 01:05:44 ID:/aKwXsjM0
令和だと……?
がんばって書いてます。
408
:
名無しさん
:2019/05/12(日) 21:48:52 ID:R7YgQE6I0
生存報告乙乙
409
:
名無しさん
:2019/07/29(月) 11:51:28 ID:RxTH4kJU0
ワクワク
410
:
名無しさん
:2019/08/21(水) 15:02:50 ID:hUegQM6o0
気になりすぎて胆嚢炎になって
胆嚢全摘出したじゃねーか!
411
:
名無しさん
:2019/08/21(水) 17:22:47 ID:MJaFrkQ.0
成仏しろよ
412
:
名無しさん
:2019/08/29(木) 12:15:35 ID:idwk0pKg0
うぉい!更新が来たのかと期待したじゃないか!
413
:
名無しさん
:2019/09/04(水) 00:45:43 ID:CKrGst..0
がんばって
いつでも、楽しみに待ってます
414
:
名無しさん
:2019/09/04(水) 13:32:24 ID:MlCBQc/c0
あげんなカス
415
:
名無しさん
:2019/10/09(水) 10:15:37 ID:hc8Bn6IE0
祝更新なし1周年
416
:
名無しさん
:2019/10/09(水) 13:57:09 ID:fxpjkDZY0
じゃあ乗っとるわ
それからブーンたちは全員元の世界に戻って平和に暮らしました
めでたしめでたし終わり
417
:
名無しさん
:2019/10/10(木) 01:59:51 ID:za6HmGLU0
あげ
418
:
名無しさん
:2019/12/31(火) 11:33:23 ID:i7G1gi160
今年1年お疲れ様でした。
来年も頑張って下さい。
419
:
名無しさん
:2020/01/13(月) 00:39:38 ID:TezDXjp.0
今更だがあけおめ
1よ、進捗報告はいいから生存報告だけでも聞けたら嬉しい
無論、無理は言わんが
420
:
名無しさん
:2020/01/22(水) 09:47:09 ID:Mwa5mvRI0
生存してないのに無理言うな!
421
:
名無しさん
:2020/04/28(火) 02:36:27 ID:S5gu2J2k0
コロナに負けるな!
422
:
名無しさん
:2020/05/31(日) 12:26:31 ID:huQEiYT60
あげとこ
423
:
名無しさん
:2020/06/16(火) 21:57:30 ID:fbtRvocg0
楽しみにしてるんだから!!
424
:
名無しさん
:2020/07/06(月) 23:22:59 ID:hAWp5aDE0
1年以上経ったか…
425
:
名無しさん
:2020/08/12(水) 00:55:51 ID:NmEHT4Uw0
おぅ、さっさと帰ってこいや。
ずっと待ってるぜ。
426
:
名無しさん
:2020/08/17(月) 12:37:47 ID:V91JpqX20
場違い感すごいけど
(る)ってジョルジュのpk詐欺の奴だよな
改心した感出してたけど結局同じようなことしてるんだな
427
:
名無しさん
:2020/08/18(火) 03:06:22 ID:OazBVV.60
当時の読者だいぶ減ってそう…
428
:
名無しさん
:2020/08/21(金) 00:08:07 ID:vfubs1bg0
ノ
429
:
名無しさん
:2020/10/11(日) 21:55:25 ID:5i2sZrPI0
もう2年以上経ってるのか…
430
:
名無しさん
:2020/10/25(日) 07:18:21 ID:FmXFxLO.0
未完で終わるにはもったいない面白さだったよな
めっちゃ残念
431
:
名無しさん
:2020/10/25(日) 22:15:37 ID:UbE2twto0
あらすじを描いても子細な文章に起こすのは大変なのはわかる、、、。だからこそ「ふと思い出しながら」待ってる。気楽に気長に断続的にね。
432
:
名無しさん
:2021/02/11(木) 17:09:17 ID:HE/IZVeE0
続き読みたすぎて灰になったので怨念残しておきますね
433
:
名無しさん
:2021/08/05(木) 01:14:41 ID:qjZrs5nY0
流石にもうこんやろなぁ。
ブーン系ってAAがいいんだよな。
某小説サイトには無い味があるんよな。
434
:
おぞん
:2021/09/26(日) 02:37:02 ID:uq1jNtcY0
かなり引き込まれた‥と言っても読み始めたの最近だけど‥ 続きが気になります
435
:
名無しさん
:2021/09/26(日) 14:21:47 ID:gYKvpSy60
少しくらい報告してや。
436
:
名無しさん
:2022/03/04(金) 19:26:53 ID:31rwh6xk0
引退したん?せめて一言くらいくれ
437
:
名無しさん
:2022/09/29(木) 10:51:42 ID:y8PE.oYU0
最初は面白かったんだけどなぁ…
突然ショボン達は全員名家の出身か何かしらの才に秀でており、「紀州のドン・ファン」みたいなあさりちゃんで才人によく使われるような異名といかにも「貧乏人が想像したやんごとなき方々の世界」みたいなバックボーンが出てから寒くなってしまった
438
:
名無しさん
:2022/11/02(水) 21:57:00 ID:/8G3lpiY0
まだかなー
439
:
名無しさん
:2023/03/26(日) 18:06:07 ID:e0EeHGGU0
まってる
440
:
名無しさん
:2024/03/24(日) 00:10:25 ID:5Je51gx20
忘れてないよ
覚えてるよ
441
:
名無しさん
:2024/03/24(日) 01:00:16 ID:CA2CXlpQ0
また読みてえな
442
:
名無しさん
:2024/04/15(月) 03:31:45 ID:fy/F/G7E0
コロナで逝ってしまわれたか…?
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