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( ^ω^)達はアインクラッドをいきるようです。

1 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 21:34:03 ID:Y.9qViVM0

どーも作者です。

こちらでは初めまして。

創作版から引っ越して、新しく作らせてもらいました。
最終回までもう少しの間、お付き合いいただければ幸いです。


この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に電撃文庫版の設定を順守しているつもりですが、
設定の拡大解釈やプログレッシブ・コミカライズでの設定、
まだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、
その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。


お世話になっているまとめ様

ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/


簡単な今までの話の流れ

・ゲームで死ぬとリアルでも死ぬVRの世界に囚われた。
・みんな精一杯生きてます。
・こっちの主人公はブーンなんです。


第二十四話

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1464354084/854

2 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 21:38:19 ID:Y.9qViVM0

年表と話の関係

2022年
11月「十八話 はじまりの日」
≪11月6日『ソードアートオンライン』サービス開始≫
「十九話 はじまりの日」
「二十話 はじまりの日」
2023年
01月
02月「五話 ここでも雨は冷たいから」
03月「十四話 双頭の鷹の旗の下で」
04月「九話 君への手紙」
05月「三話 それから」 
06月「四話 緑の手」
07月
08月
09月「十三話 ダイヤモンドだね」
10月
11月
12月「一話 ギルド「V.I.P.」へようこそ」
「二話 聖なる夜のキャロル」
2024年
01月「六話 数え歌がきこえる 前編 〜あんたがたどこさ〜」
   「七話 数え歌が聞こえる 後編 〜かごめかごめ〜」
02月「八話 それぞれのチカラ」
03月
04月「十話 迷走」
「十一話 疾走」
「十二話 錯走」
05月「十五話 表とウラと」
06月「十六話 思いと決意」
07月「十七話 君が嘘をついた」
08月「二十一話 旅路〜もう一つの戦い〜」
09月「二十二話 彼らはアインクラッドで生きているようです。」
10月「二十三話 crossing field 前編 - 命は美しい -」
   「二十四話 crossing field 後編 – way of life -」



.

3 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 21:40:36 ID:Y.9qViVM0
登場人物(二十三話終了時点 一部三行紹介付)

ギルド VIP

( ^ω^)
・ログイン時使用機器の効果で素早く動けるが、限界後に頭痛で動けなくなる
・考えていないようでちゃんと考えている。
・いつもにこにこムードメーカー。
※主人公

('A`)
・SAOのβテスト経験者で、知識が豊富。
・相手の死角をつく戦い方を得意とする。
・最近春が来て本人も周囲も戸惑っている。
※もう一人の主人公

(´・ω・`)
・ログイン時使用機器の効果で五感が鋭敏。(特に目)
・記憶能力と思考による頭脳労働担当。
・投擲武器での戦いが主軸である為、実はそれほど強くない。

ξ゚⊿゚)ξ
・欧米系ハーフの美少女ヒロイン
・表情は読めるが空気は読めない。
・どつき系ツンデレもどき。

川 ゚ -゚)
・大和撫子系正統派和風お嬢様。
・日舞・茶道・華道・薙刀等が師範レベル。
・「一途」「裏方」「ストーカー(対ショボン)」
  _
( ゚∀゚)
・正統派熱血純粋修三系男子
・涙は心の汗とか本気で言ったことがある。
・眉毛が無かったりずれたりするのはお約束。

.

4 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 21:41:55 ID:Y.9qViVM0

( ´_ゝ`)
・「おれはやればできるから」
・本当にできるけど滅多にやらない
・家族と仲間には紳士で真摯だが、それ以外には変態。

(´<_` )
・家族にも仲間にも他人にも誠実だが、時々ずれる。
・家族の中で一番まともだと思っている勘違いさん。
・結局は兄者達とバカなことをやっている時が一番楽しい。

ミ,,゚Д゚彡
・主君に仕える侍。
・自分では盲目的ではないと思っている。
・語尾の「だから」を個性だと思えるようになった。

( ´∀`)
・珍しいビーストテイマーであり、ビーグルと常に一緒に居る。
・自分の役目を冷静に判断し、ギルドを支えようとしている。
・語尾の「もな」はキャラ付け。

▼・ェ・▼
・「キャン」と「きゃん」の違い。
・性別は抱き上げた者だけが知る。
・実はかなりのレアモンスターで、攻撃技も防御技も回復技も持つ。

( ゚∋゚)
・過去の事件により喋れなく(音声を伝えることが出来なく)なる。
・「仲間」とは会話できるようになった。
・考えすぎが短所だと思い考えすぎてまた悩んでしまう。

( ・∀・)
・見た目チャラ男なイケメン実は人見知り。
・仲間と友達が出来たので次は彼女が欲しい。
・仲間内ではリアルの世界に戻りたい意識が一番薄いのを少し気にしている。


.

5 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 21:43:41 ID:Y.9qViVM0
元ギルドVIPメンバー

(,,゚Д゚)
・信じる者を守る騎士、の、つもり。
・「守る」ことにより実力以上の力を出せるタイプ。
・硬派な見た目で雰囲気だが、しぃには自分から声をかけている事実。

(*゚ー゚)
・目立ちはしないが密かに可愛いとかスタイル良いとか言われるタイプ。
・ギコに守られるだけなんて真っ平ご免だと自立する女を目指す。
・「適材適所だよね」と思える強かさも手に入れた。


ギルドVIP協力者

( ^Д^)
・見た目はDQNだが、実は真面目。
・中層プレイヤーでは中位から上位の強者。
・あんまりプギャーしてない。

( ´ー`)
・穏やかに見えるが頭の中では罵倒している。
・自分の実力で軽く出来る事しかやろうとしない。
・二人と行動を共にし、人と深く知り合うことで変わりつつある。

|  ^o^ |
・見た目も言動も真面目さん。
・顔は覚えてもらえるのに名前を覚えてもらえないことが悩み。
・書いてる人も時々忘れる。

(=゚ω゚)
・ゲーム内での行動は「妹を守る」「フサギコさんは恩人」「命は尊い」に集約。
・妹溺愛
・若干中二病

*(‘‘)*
・兄のフォローと「自分のやれること」に精一杯頑張る。
・道具屋をやりつつカフェが出来たらなと考えている。
・ブーンの店から安価で卸してもらい、低層プレイヤーを応援。

.

6 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 21:44:53 ID:Y.9qViVM0
ギルド N-S

(`・ω・´)
・リアルでの基本能力はショボンよりも少し上。
・だが自分の持ちえないものを持つショボンを支える道を選んでいる。
・大人になりたくないけどちゃんとした大人。

( ゚д゚ )
・面倒見の良いお兄さん。
・パワー系だけどじつは小手先技もうまい。
・「おれは年上に魅力を感じるだけで、熟女だけが好きなわけじゃない」

(´・_ゝ・`)
・美味しい珈琲を飲みたくてカフェ巡りが趣味という割とどうでもいい裏設定。
・剣技を使わずに曲刀での流れる様な連撃は全員が認める美しさ。
・「二次元ショタは至高。異論はしてもいいがおれはゆるがん!」

从 ゚∀从
・男装の麗人。純粋な美形。
・左側での戦闘を死ぬほど練習したのは、ドクオの左に立つため。
・一人部屋で「この恋は、この愛は、永遠」とか言っちゃって頬を染めて悶えてる。

<_プー゚)フ
・派手に両手剣を振り回すのが生きがい。
・振り回しつつ強くしてくれたシャキンとショボンは心の師匠。
・「くーぜんぜつごのー!!」とかは叫ばない。

(゚、゚トソン
・ギルドN-Sの良心となりつつある女性。
・周りが凄いので目立てないが、実は色々凄い大人の女性。
・眼鏡をかける事により保健室の先生感が増した女性。


.

7 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 21:46:40 ID:Y.9qViVM0

ギルド ANGLER

( ФωФ)
(-_-)
(‘_L’)
(・∀ ・)

ギルド不明(おそらく無所属)

ζ(゚ー゚*ζ
/ ゚、。 /

ミセ*゚ー゚)リ

( <●><●>)
( ><)
(*‘ω‘ *)


SAO本編キャラクター

キリト
・SAOの主人公

アスナ
・SAOのメインヒロイン

アルゴ
・アインクラッドの情報屋




とりあえずここまで。

8名無しさん:2017/10/24(火) 22:11:16 ID:GgSnpoKg0
スレ立て乙
今日は投下はなしかな

9名無しさん:2017/10/24(火) 22:24:20 ID:m0f0STsE0
これどこで連載してたのかと思ってたら創作板だったのか
これからはリアルタイムで追えるな

10名無しさん:2017/10/24(火) 22:27:28 ID:qgecv6gQ0
移行おつ

11 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:39:59 ID:Y.9qViVM0

35





ξ゚⊿゚)ξ「それがあんたの本当の武器なのね」

ζ(゚ー゚*ζ「あんまり可愛くないから嫌いなんですけどね」

デレが新たに実体化させたのは巨大な斧だった。

ζ(゚ー゚*ζ「棍と違って、パワーだけだし」

巨大な斧を軽々と片手で振り上げるデレ。

そして軽やかにツンの目の前に移動したかと思うと、
両手で斧を持って振り下ろした。

ξ゚⊿゚)ξ!

振り下ろされた斧が地面を抉る。

ζ(゚ー゚*ζ「避けちゃだめですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「避けるに決まってるでしょ」

ζ(゚ー゚*ζ「ですよねー。でも」

微笑みながら巨大斧を片手で持ち上げる。

ζ(゚ー゚*ζ「よけ続けられるかな?」

ツンを狙って斧が振り下ろされる。

ξ゚⊿゚)ξ「大きさだけなら弟者のより大きいか」

後方に跳んで避けるツン。

ζ(゚ー゚*ζ

.

12 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:41:30 ID:Y.9qViVM0

デレは笑みを消すことなく、
斧は大地を抉ることなく方向を変え、
空間を裂くようなうねりを生みながら横からツンを襲う。

ツンはそれをジャンプして躱しながら、
真下に斧の側面がきた瞬間にそれを踏みつけて前方に跳び、
デレの頭の上を回転しながら飛んだ。

ζ(゚ー゚*ζ「ちっ」

似合わない舌打ちをしながら斧を構えるデレ。

ふり返った時には既にツンは細剣を構えていた。

ζ(゚ー゚*ζ「やっぱりレイピア使いはちょこまかするのね。
短剣使いほどじゃないけど、うざいなぁ」

ξ゚⊿゚)ξ「両手斧を片手で振り回しても攻撃判定はでないわよ。
剣技ならともかく」

ζ(゚ー゚*ζ「攻撃判定は出なくてHPを削れなくても、」

デレの斧がツンを狙って右へ左へ横薙ぎに振り回される。

ζ(゚ー゚*ζ「『衝撃』は与えられるかなって思って」

しかしその全てを完璧に避けるツン。

ζ(゚ー゚*ζ「いるんだけど、
ホントにちょこまかと避けるなー」

だが縦横無尽に振り回される巨大斧は徐々にツンの集中力を摩耗し、
何度かギリギリで躱す場面も見られるようになる。

ξ゚⊿゚)ξ「ちっ」

口汚く舌打ちし、体勢を立て直すために後方に跳ぶツン。

ζ(゚ー゚*ζ

.

13 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:43:42 ID:Y.9qViVM0

そしてそれを狙っていたかのように、
デレは斧を両手で持つ。

ζ(゚ー゚*ζ「死ね」

そして水色に輝いた斧を横に振った。

ξ゚⊿゚)ξ!

両手斧の生み出した衝撃波がデレを中心に扇状に広がる。

それを見たツンは、
自分が着地するタイミングと衝撃波が通り過ぎるタイミングが
ほぼ同時であることを推測した。

ξ゚⊿゚)ξ「(デレ、予想よりも強いわね……)」

そして慌てることなく細剣を二回くるくると回して白く輝かせた。

ξ゚⊿゚)ξ「本当は先に理由を知りたかったんだけどね」

着地した瞬間ツンを襲う衝撃波。

細剣と衝撃波がぶつかり、火花のような光が迸る。

ζ(゚ー゚*ζ!

そして光がおさまった先にはツンが立っていた。

ζ(゚ー゚*ζ「……なんで、無傷なのよ」

その姿を見て思わず口にするデレ。

ξ゚⊿゚)ξ「無傷じゃないわよ。
耐久値ギリギリ。
この剣それなりにレアもので結構気に入ってるんだから。
兄者に直してもらわなきゃ」

手首を振るツン。

.

14 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:45:22 ID:Y.9qViVM0

すると今まで持っていた細剣が消え、
別の細剣が現れた。

ζ(゚ー゚*ζ「だって、
あの技は防御技無しで細剣で受け止める事なんて……。
余程大きなレベル差がなきゃ……。
レベル差!?レア!?」

ξ゚⊿゚)ξ「レアって言っても反則級じゃないわよ。
ちょっとドロップ率の低いアイテムは使っているけど、
一日頑張ればドロップできるし。
普通のレイピアより少しだけ硬くて、
更に10秒間だけ硬度を上げる武器特有スキルあがるだけ。
兄者の製作者補正で他の人が作るよりは多少良い数値化もだけど、
誤差範囲だろうし」

ζ(゚ー゚*ζ「そんなことで……」

ξ゚⊿゚)ξ「あとはこの服や防具は伊達じゃないってことと、
あの技は何度も弟者相手に練習してるって事かしらね」

ζ(゚ー゚*ζ!

ξ゚⊿゚)ξ「さて、どうする?
諦めてくれるならうれしいけど」

そう言いながら細剣を構えるツン。

新たに出した細剣は先程まで使っていた細剣よりもさらに武骨であり、
その形は細長い円錐状の槍の先端部に柄を付けたように見えた。

ζ(゚ー゚*ζ「諦めるわけないでしょ」

ξ゚⊿゚)ξ「でしょうね」

笑いながら闘気を漲らせて再び巨大斧を構えるデレ。

それに対するツンは静かに細剣を構えている。

.

15 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:48:57 ID:Y.9qViVM0

ζ(゚ー゚*ζ「次は外さない」

ξ゚⊿゚)ξ「いいわよ。来なさい」

ζ(゚ー゚#ζ!

ツンの言葉に一瞬怒りを露わにするが、
すぐに笑顔に戻るデレ。

ζ(゚ー゚*ζ「本当……嫌な女」

二人は数メートルの距離を間において構え合っていた。

ξ゚⊿゚)ξ「そう?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。本当に」

そして次の瞬間デレが跳躍する。

ξ゚⊿゚)ξ!

ζ(゚ー゚*ζ「嫌な女!」

助走も構えもせずに、
足首の動きだけで距離を詰めたデレ。
斧は赤く光り輝いており、
一連の動きが剣技であることが分かる。

そしてツンはその場から動けなかった。

ζ(゚ー゚*ζ「はっ!」

斧がツンの斜め左上から襲い掛かる。

ζ(゚ー゚*ζ!

誰かが見ていれば、ツンは死んだと思っただろう。

いや、ツンの事を知らない誰かが見ていたとしたら、
ツンは死んだと思っただろう。

.

16 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:51:32 ID:Y.9qViVM0

ξ゚⊿゚)ξ「で?」

しかし彼女は、無傷でそこに立っていた。

ξ゚⊿゚)ξ「この程度?」

更に言うのならば、その場から動いていなかった。

ζ(゚ー゚*ζ「う、うそ……」

二人の武器が接する点から火花が散る。

ζ(゚ー゚*ζ「な、なんで……」

剣技を発動した巨大両手斧の攻撃を、
片手で持たれた細剣が微動だにせず受け止めている。

ζ(゚ー゚*ζ「どうして……」

ξ゚⊿゚)ξ「……まずは現実を見なさい」

ζ(゚ー゚*ζ「!ちっ」

剣技発動の残っている時間を使って後ろに跳ぶデレ。

そして地に膝をついた状態で発動後の硬直を起こして動けずにいるが、
ツンはじっとその様を見つめるだけで追撃をしようとはしない。

ζ(゚ー゚*ζ「……何故、追撃しないの」

ξ゚⊿゚)ξ「……一瞬で終わりたいの?」

ζ(゚ー゚#ζ!

両手斧を握りしめて立ち上がるデレ。

ζ(゚ー゚#ζ「私を、憐れむな」

ξ゚⊿゚)ξ「別に憐れんでなんかないわよ」

ζ(゚ー゚#ζ「その目が憐れんでるっていうのよ!」

.

17 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:54:31 ID:Y.9qViVM0

両手斧でツンに襲い掛かるデレ。

しかし彼女の持った細剣に簡単に弾かれる。

ζ(゚ー゚#ζ「くっ!」

弾かれた両手斧を即座に持ち直し、
再び振り下ろすデレ。

しかしそれも即座に弾かれる。

ζ(゚ー゚#ζ「なんで!なんで!」

両手で持った巨大両手斧を何度も振り下ろすデレ。

しかしツンはその全てを細剣で軽く弾く。

避けるのでも、躱すのでもなく、
巨大両手斧の攻撃を軽く弾く。

ζ(゚ー゚;ζ「なんで!なんで!なんで!」

ツンは全ての攻撃を細剣で弾き、
その場を動いてもいない。

ζ(゚ー゚;ζ「どうしてよ!」

水色に輝いた両手斧が、
ツンの真上からまっすぐに振り下ろされる。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ツンは横にした細剣を頭上に掲げそれを受け止めた。

ζ(゚ー゚;ζ「なんで!なんでなの!?」

ξ゚⊿゚)ξ「レベルは私の方が上でしょうね。
けれど、普通の細剣使いならこんな戦い方はしないわよ」

ζ(゚ー゚;ζ「え?」

.

18 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:56:58 ID:Y.9qViVM0

ツンが軽く細剣を振ると、
デレが押し負けて後方に跳ぶ。

ξ゚⊿゚)ξ「私は、隣に立つために、
そして、殺さない為の構成をしたから」

ζ(゚ー゚;ζ「……なによ、それ」

膝をつき、技後硬直を起こしているデレ。

ξ゚⊿゚)ξ「……私は皆を率いることもできないし、
ここにいる責任を背負う覚悟なんて持てなかった」

ζ(゚ー゚;ζ「はあ?」

ξ゚⊿゚)ξ「自分の持つ知識を最大限に生かすために一人でも戦えるようになるなんて、
考えもしなかった。
自分の得意とする武器を持ち、
仲間を支えるために何を得れば一番いいかを考える事も出来なかった」

ζ(゚ー゚*ζ「なに言ってるのよ」

ξ゚⊿゚)ξ「自分が出来る事、得意なことを考えて、
苦しんで、痛みに耐えながら、
誰にもできないことを出来るようになろうだなんて、
想像もしなかった」

ζ(゚ー゚*ζ「だから何を」

ξ゚⊿゚)ξ「その時私は泣いているだけだった!」

ζ(゚ー゚*ζ!

ξ゚⊿゚)ξ「みんなが前を向いて歩み始めても、
私は自分の過ちを悔い、懺悔をし、
悲劇のヒロインの様に泣くことしかしていなかった」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

.

19 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:58:07 ID:Y.9qViVM0

ξ゚⊿゚)ξ「気付いた時には、
私がそこに居なくてもパーティーはまわるようになっていた。
そこにいるのは『私』じゃなくても良かった。
苦しかった。
悲しかった。
自分の愚かさに嫌気がさした。
だから、せめて、隣に立てるようなスキル構成を考えた。
もう、誰も殺さないで済む戦い方を考えた!」

ζ(゚ー゚*ζ「……何をしたのよ」

ξ゚⊿゚)ξ「スピード特化の隣に立てて、
且つ足りないパワーを補える」

ζ(゚ー゚;ζ「そ、そんなの無理でしょ!」

ξ゚⊿゚)ξ「出来たのよ。
散々皆に怒られたけどね。
武器屋と、防具屋と、道具屋。
薬によるドーピング。
そして最後に細工師の力を借りてね。
あと、おそらくは隠しパラメーター」

ζ(゚ー゚*ζ「なにそれ……」

ξ゚⊿゚)ξ「この世界は、
とても現実世界に沿っているのよ。
それでいて、もちろんゲームとしてのパラメーターが大きく作用する。
例えば同じ人が1キロの物を持って走るのと、
10キロの物を持って走るのでは、
移動速度は違うわよね。
そして、1キロの物しか持てない人が1キロの物を持った時と、
10キロの物を持てる人が1キロの物を持って走るとき、
その移動速度は違ってくる。
もちろんどのパラメーターにどれだけポイントを振っているかにもよるけど、
重いものを持てる人が軽い装備の時、
ある程度速度にも数値を振っていればそこそこ素早く動くことが出来るのよ」

ζ(゚ー゚*ζ「な、なにそれ!」

.

20 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 22:59:30 ID:Y.9qViVM0

ξ゚⊿゚)ξ「もちろん最初から分かっていたことじゃなく、
私がこのパラメーターを設定し、
実際に装備した結果からの考察だから間違っているかもだけどね。
けれど、私は今おそらくこの世界で瞬間最速を出すことが出来る彼を、
短い時間ならその背中を見失わないで追うことが出来る。
彼の持ちえないパワーを手にすることが出来ている。
だからきっと、この考察は間違ってない」

ζ(゚ー゚*ζ「なんで!あんたばっかりそんな!」

両手斧を強く握りしめて立ち上がるデレ。

ζ(゚ー゚*ζ「あんたばっかり!」

ξ゚⊿゚)ξ「何をそんなに私を憎むのか私には分からないけど、
そんなに憎いのなら渾身の一撃で私を殺しにきなさい」

ζ(゚ー゚#ζ「はあ!?」

ξ゚⊿゚)ξ「もちろん私はそれを打ち砕くけどね」

ζ(゚ー゚#ζ「……やってやるわよ」

デレが両手斧を剣の様に上段に構える。

ζ(゚ー゚#ζ「死ね!
『グレートインパクト』!!」

飛び上がり、ツンに向かってオレンジ色に輝く両手斧を振り下ろすデレ。

ツンは一歩踏み出し、
細剣の先を斧に合わせて差し出す。

二つの武器が重なった瞬間、
重なった個所から光が迸る。

ζ(゚ー゚*ζ「……え?」

ξ゚⊿゚)ξ「これで、終わり」

.

21 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:01:17 ID:Y.9qViVM0

ツンの目の前には、両手斧の柄だけを持って着地しているデレ。

柄を折られた斧は回転しながらデレの後方に飛び、
大地に刺さるとポリゴンに変わった。

ζ(゚ー゚*ζ「なん……で」

呆然と見つめる視線の先で、
手元に残った柄もポリゴンに変わる。

ζ(゚ー゚*ζ「なに……よ、これ……」

ξ゚⊿゚)ξ「私はもう、誰も殺したくない。
でも、みんなの横に立つのなら、
戦わないという選択肢はない。
だから私は、この戦い方を選んだの」

ζ(゚ー゚*ζ「戦い……方?」

ゆっくりと上を向き、ツンの顔を見る。

ξ゚⊿゚)ξ「相手の武器を破壊すれば、
もう攻撃されない。
攻撃されないのならば、私も攻撃しない」

デレの身体が揺れ、両膝を地に付けた。

ξ゚⊿゚)ξ「まだ他に武器が有るなら手にしても良いわ。
さっきの棍でも良い。
でも、全部私が破壊するからそのつもりでかかってきなさい」

細剣を構えるツン。

しかしデレは動こうとせず、
じっとツンの顔を見ている。

ξ゚⊿゚)ξ「……どうして、そこまで私を狙うの?」

その瞳にうっすらと涙が浮かんだのを見て、
ツンが困った顔で、けれど構えは解かずに、問いかけた。

.

22 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:02:53 ID:Y.9qViVM0

ζ(゚ー゚*ζ「…… …… ……」

小さく動く口。
おそらくは声に出していると思われるが、
小さすぎてツンに届いていない。

ξ゚⊿゚)ξ「ごめん、聞こえない」

ζ(゚ー゚*ζ「…… …… ……」

ξ゚⊿゚)ξ「……ん?何?」

ζ(゚ー゚*ζ「…… …… ……」

ξ゚⊿゚)ξ「いやだから聞こえないって」

ζ(゚ー゚*ζ「…… …… ……」

ξ゚⊿゚)ξ「ごめん、もうちょっと大きくして」

ζ(゚ー゚*ζ「…… …… ……」

ξ゚⊿゚)ξ「いや、だから」

ζ(゚ー゚#ζ「何であんたばっかりって言ってるの!
何で何度も言わせるのよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「聞こえなかったんだから仕方ないでしょ!」

ζ(゚ー゚#ζ「それくらいさっしなさいって言ってるの!」

ξ゚⊿゚)ξ「分かるわけないでしょ!」

ζ(;ー゚#ζ「なんで分からないのよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「……デレ」

ζ(;ー;#ζ「なんで!なんで!あんたは!
なんで!なん、で、……わた、し、は!」

.

23 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:03:57 ID:Y.9qViVM0

ぼろぼろと泣き出したデレ。

ξ゚⊿゚)ξ「デレ……」

ζ(;ー;*ζ「なんで…なんで……わたしは……」

両膝をついたまま両手で顔を覆って泣き出したデレ。

ツンは武器を横に置きながらしゃがみ、彼女を抱きしめる。

ξ゚⊿゚)ξ「違ってたらごめんね。
もしかしてだけど、わたしが、うらやましかったりした?」

ツンの腕の中でデレの身体が大きく震える。

ξ゚⊿゚)ξ「そっか。
……仲間に囲まれて、好きな服とか作ってて、
自由にものを言って、好きな人のそばにいる私が……。
……『女』である私が、うらやましくて、憎かった?」

ツンの言葉に更に大きくデレの身体が震えた。

そして顔を覆っていた手をゆっくりと外し、
自分を抱きしめている彼女の横顔を見た。

ζ(;ー゚*ζ「知ってたんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「最初はまぁもしかしたらそうかなって。
その後は、うちのギルドには見ただけで性別分かる変態がいるから」

ζ(;ー゚*ζ「…なんで?さいしょから?
ほとんどの人が、気付かないのに……」

ξ゚⊿゚)ξ「……だって、最初の帽子、被ってくれなかったから」

ζ(;ー;*ζ「……。
かぶれ、ないから。
凄く、可愛くて、大好きで、なのに、あれ、かぶれない」

.

24 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:04:59 ID:Y.9qViVM0

ξ゚⊿゚)ξ「……うん。ごめんね。
最初の頃は、可愛いのとかは、全部女性用で作ってたから。
かぶれなかったんだよね」

ζ(;ー;*ζ「かぶれないのは、分かってたの。
持った時に、分かったの。
でも、あれを、他の人がかぶっているところとか見たくなくて。
もしかしたら、いつか、かぶれるようになるかもって」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん」

ζ(;ー;*ζ「でも、やっぱり、いまでも、かぶれなくて。
ツンが作ってくれた服も可愛いいし、
その後作ってくれた、かぶれる帽子も、可愛くて、
好き、だけ、ど、やっ、ぱり、あれ、が、
かぶり、たく、て……。で、も、
いつ、ま、で、たっても、やっぱ、り……、
かぶれ……なく、て……」

ξ゚⊿゚)ξ「私の事が、憎くなっちゃった?」

ζ(;ー;*ζ

頷くデレ。

ツンは彼女を抱く力を強くした。

ζ(;ー;*ζ「ツ……ン……」

ξ゚⊿゚)ξ「そっか……」

ζ(;ー;*ζ「せっかくこの世界に来たのに……、
最初は女の子のでいられたのに……」

ξ゚⊿゚)ξ「……性別設定できたもんね」

ζ(;ー;*ζ「女に、なれるって。
ここでなら、体も女の子でいられるって。
だから、来たのに……。
……」

.

25 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:05:55 ID:Y.9qViVM0

ξ゚⊿゚)ξ「ログアウト出来なくなって、
デスゲームになって、
見た目を、性別を、元に戻された」

頷くデレ。

ξ゚⊿゚)ξ「そっか……」

ζ(;ー;*ζ「うん……」

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

.

26 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:06:52 ID:Y.9qViVM0

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ「?」

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(;ー;*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

.

27 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:07:51 ID:Y.9qViVM0

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚ー゚*ζ「……?」

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚ー゚*ζ「…… ツン?」

ξ゚⊿゚)ξ「なに?」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと……なんか、ないの?」

ξ゚⊿゚)ξ「なんか?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん」

ξ゚⊿゚)ξ「なんかって、なに?」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと、いや、その、ほら、さ」

ξ゚⊿゚)ξ「?」

ζ(゚ー゚*ζ「……えっと……」

ξ゚⊿゚)ξ「ん?」

.

28 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:09:13 ID:Y.9qViVM0

ζ(゚ー゚*ζ「……ツンって、そういうところあるよね」

ξ゚⊿゚)ξ「へ?」

ζ(゚ー゚*ζ「普段はバシバシ言いたいこと言うくせにさ」

ξ゚⊿゚)ξ「言ってないわよ」

ζ(゚ー゚*ζ「言った」

ξ゚⊿゚)ξ「言ってない」

ζ(゚ー゚*ζ「言いました」

ξ゚⊿゚)ξ「言ってない」

ζ(゚ー゚*ζ「言いましたー」

ξ゚⊿゚)ξ「いつよ」

ζ(゚ー゚*ζ「前に私がオレンジのスカート欲しいって言った時に」

ξ゚⊿゚)ξ「だってあんたにあの色は似合わないし」

ζ(゚ー゚*ζ「ひっどい!」

ξ゚⊿゚)ξ「オレンジ系にしたって、もっと可愛く淡い感じの色ならともかく、
あんな原色原色してたり蛍光系のオレンジは似合いません」

ζ(゚ー゚*ζ「私は好きな色なの!着たいの!」

ξ゚⊿゚)ξ「ならせめてジャケットとかボレロっぽい感じにして、
中は引き締めないとおかしくなるって言ったでしょ!」

ζ(゚ー゚*ζ「スカートが良いんです!
あの形のスカートが良いんです!」

ξ゚⊿゚)ξ「単品で見ると確かに可愛いけど、
あんたには似合わないって言ってるのよ!」

.

29 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:10:31 ID:Y.9qViVM0

ζ(゚ー゚*ζ「似合わないなんて分からないし―。」

ξ゚⊿゚)ξ「シミュレーション画像で見て一瞬言葉詰まらせたくせして」

ζ(゚ー゚*ζ「そ、それはさ」

ξ゚⊿゚)ξ「あれは反対です。
オーダーでも作りません。
何故ならばデレには似合わないから」

ζ(゚ー゚*ζ「ひっどい!」

ξ゚⊿゚)ξ「その代わりに作ったオレンジ系統のシフォンスカート気に入ってたじゃない」

ζ(゚ー゚*ζ「それはそれ、あれはあれですー」

ξ゚⊿゚)ξ「モララーにだってオレンジ色のアクセサリー作ってもらったんだから、
それで我慢しておきなさいよ」

ζ(゚ー゚*ζ「あれはあれ、これはこれですー」

ξ゚⊿゚)ξ「っていうか、一番好きなのオレンジなのに、
武器のデコはピンクなのは何でよ」

ζ(゚ー゚*ζ「好きなオレンジでモンスター叩くのとか嫌だし」

ξ゚⊿゚)ξ「うっわ!」

ζ(゚ー゚*ζ「なによー」

ξ゚⊿゚)ξ「いやべつに。
でも『うっわ!!』」

ζ(゚ー゚*ζ「むかつくー」

ξ゚⊿゚)ξ「『うっわ!』」

ζ(゚ー゚*ζ「ツンー?」

.

30 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:11:54 ID:Y.9qViVM0

ξ゚⊿゚)ξ「なに?デレ」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ξ゚⊿゚)ξ「なによ」

ζ(゚ー゚*ζ「……ごめんなさい」

ξ゚⊿゚)ξ「良いわよ別に」

ζ(゚ー゚*ζ「……良くないよ」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうね。良くないわね。でも、良いわよ」

ζ(゚ー゚*ζ「なにそれ」

ξ゚⊿゚)ξ「んー。私個人としては良いんだけど、
デレにとっては良くないんだろうなって事」

ζ(゚ー゚*ζ「なにそれ」

ξ゚⊿゚)ξ「デレがもうこのことで私を殺そうとしないなら、
私は死ななかったしケガもしなかったから、
別にいいやって思ってる」

ζ(゚ー゚*ζ「……そう、なんだ……」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、デレは違うでしょ?」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ「後悔してる。悔やんでる。
だから、簡単に『良いよ』って言えないだろうなって思う」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ「私としては、友達とちょっと喧嘩しちゃった感じで良いんだけどね」

ζ(゚ー゚*ζ「……派手なケンカだよ……」

.

31 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:12:57 ID:Y.9qViVM0

ξ゚⊿゚)ξ「大喧嘩ね」

ζ(゚ー゚*ζ「……うん」

ξ゚⊿゚)ξ「で、仲直りした。
雨降って地固まるってやつよ」

ζ(゚ー゚*ζ「ツン……」

ξ゚⊿゚)ξ「なに?」

ζ(゚ー゚*ζ「……大バカだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「え?また喧嘩売られてる?」

ζ(゚ー゚*ζ「売らない。
もう武器破壊されたくないし」

ξ゚⊿゚)ξ「ふっふっふ。それが賢明な判断よ」

ζ(゚ー゚*ζ「でも、ほんとう、大バカだよ」

ツンを強く抱きしめるデレ。

ξ゚⊿゚)ξ「デレ……」

ζ( ー *ζ「ごめん、本当にごめんなさい。
…… …… …… ありがとう」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん」

ζ( ー *ζ「ごめんなさい……
ごめんなさい……」

ξ゚⊿゚)ξ「一個だけ約束して。
また、来てよね。
今まで通り、友達価格で作ってあげるからさ。
そして、モララーからかって、お茶しに行こう」

.

32 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:13:57 ID:Y.9qViVM0

ζ( ー *ζ「うん……うん……」

ξ゚⊿゚)ξ「っていうか、明日来るようにね。
帽子、作るからさ」

ζ( ー *ζ「ありがとう……。
オレンジのスカートも作ってね」

ξ゚⊿゚)ξ「それは嫌だ」

ζ(゚ー゚*ζ「ダメかー。
今の流れなら作ってくれるかと思ったのに」

ξ゚⊿゚)ξ「ふっふっふ。流されないわよ」

ζ(゚ー゚*ζ「ちっ」

ゆっくりと身体を離す二人。

互いの手を握り、顔を見る。

ニッコリとほほ笑んだツンと、
少しだけぎこちなく笑ったデレ。

それを見たツンが、一度頬を膨らませた後にさっきよりもにっこりとほほ笑む。

そしてデレが、今度は泣きそうな顔で笑顔を見せた。

「そろそろ時間だぞー」

そんな二人に男が声をかけた。

ξ゚⊿゚)ξ「!もうそんな時間か!」

ζ(゚ー゚*;ζ「!」

驚いて横を向いたデレと、立ち上がって周囲を見るツン。

.

33 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:15:02 ID:Y.9qViVM0

ζ(゚ー゚*ζ「え?あ?」

( ^Д^)「ちーっす」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、ち、ちーっす」

( ^Д^)「お、結構ノリが良い」

片手をあげて手のひらを近づけたプギャー。
デレがその手のひらに自分の手のひらを近づけると、
プギャーは軽く叩いた。

ξ゚⊿゚)ξ「もう近いの?」

( ^Д^)「ああ。五メートルってところかな」

最初に使っていた物とも違う細剣を出し周囲を伺うツンに、
プギャーがのんきに答えた。

ζ(゚ー゚*ζ「え?え?」

ξ゚⊿゚)ξ「多分あんたのことも使い捨てにするつもりだったんでしょうね。
あいつら。
ほら、さっさと立って武器持って。
斧の予備が無いなら棍でもいいから」

ζ(゚ー゚*ζ「両手斧の予備はあるけど……」

立ち上がりながらウインドウを操作して武器を取り出すデレ。

そして周囲を伺う。

ζ(゚ー゚*ζ「でも……」

ξ゚⊿゚)ξ「ここは、ある一定の条件下で『出る』のよ。
アレが」

ζ(゚ー゚*ζ「え?で、出るって?」

.

34 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:16:20 ID:Y.9qViVM0

( ^Д^)「ある一定の時間決まった小人数だけがこの場にいると、
出没するモンスターが居るんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「え?」

( ^Д^)「このフロアが解放されてあんまり人が来なくなってから発見された状況だけどな」

ξ゚⊿゚)ξ「プギャー、あとどれくらい?
あと、あんた指揮出来る?」

( ^Д^)「あと3メートルってところだな。
出来るわけないだろ」

ζ(゚ー゚*ζ「ね、ねえ、ちょっと出るってなにが?」

ξ゚⊿゚)ξ「デレ、円形放射系範囲攻撃の準備して。
しょうがないからタイミングは私が執る」

ζ(゚ー゚*ζ「な、何?どういう事?」

戸惑いながらも武器をかまえるデレ。

ζ(゚ー゚*ζ「も、もうモーションに入っていいの?
あと技は水平に扇状にひろがるタイプで良いよね」

ξ゚⊿゚)ξ「『スクーレアトラオーネ』?」

ζ(゚ー゚*ζ「え?あ、う、うん」

ξ゚⊿゚)ξ「うん、技は上等よ!
硬直時間も最大15秒まで使っていいから威力最大でやってね。
あと確かあれはモーションも30秒まで待機大丈夫よね」

ζ(゚ー゚*;ζ「は、はい」

ξ゚⊿゚)ξ「プギャー?」

( ^Д^)「もうすぐだな。10秒くらいで分かるはずだ」

.

35 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:17:34 ID:Y.9qViVM0

ξ゚⊿゚)ξ「了解。デレ、もう少し待って。
ただ準備はするとして、
森を背に草原を見て構えた状態でいて」

言われた通りに動くデレ。

ツンとプギャーは技に巻き込まれない位置に移動する。

ζ(゚ー゚*ζ「ね、ねえ」

ξ゚⊿゚)ξ「技を出した後の硬直状態時は私とこいつで守るから安心して。
その後はこいつのスキルを使って出来るだけ敵が少ない道を使って脱出するからついてきて。
基本的には周囲に来る敵を一撃当てて怯ませて深追いは無し。
移動に重点を置いて、逃げるわよ」

ζ(゚ー゚#ζ「そうじゃなくて!だから何が出るのよ!?」

( ^Д^)「出るぞ」

三人の視線の先、2メートルほど離れた場所の地面が隆起する。

ζ(゚ー゚*ζ「え?」

直径1メートル、高さ30センチほどに隆起した地面。

ζ(゚ー゚*ζ「なにこれ」

一つ隆起したと思うと、
視界一面に次々と円錐が生まれる。

それは三人を中心にした半径二メートルほどの空間以外の地面で起こった。

ζ(゚ー゚*;ζ「え?え?」

ξ゚⊿゚)ξ「デレ準備!」

ζ(゚ー゚*ζ「う、うん!」

ξ゚⊿゚)ξ「今から相手するのは『フルミトープ』。
モグラアリって呼んでる蟻の形をしたモンスターよ」

ζ(゚ー゚*;ζ「はあ?」

.

36 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:19:09 ID:Y.9qViVM0

一番最初に出来上がった円錐の先端がはじけ、
中から新たな円錐が見えたと同時に円錐がはじけ、
中から人と同じ大きさの蟻が現れる。

ζ(゚ー゚*ζ!!

二足で立ち上がり、手に持った槍を構えて三人を見ている。

ζ(゚ー゚*ζ「ひっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「まだ撃たないで!
こいつは集団で出てくるの!」

デレは顔を引きつらせながら両手斧を持つ手に力を籠めるデレ。

ζ(゚ー゚*;ζ「集団!?」

デレの叫びと同時に全ての三角錐がはじけ、
中から巨大アリが現れた。

ζ(゚ー゚*ζ「     」

その光景に思わず呆けたデレ。

ツンの声が響く。

ξ゚⊿゚)ξ「今よ!」

ζ(゚ー゚*ζ「!は、はい!」

デレが赤く光った両手斧を左から右に一閃すると、
扇状に衝撃波が放たれた。

巨大アリ「「キーーーーーーーー!!!!!!!」

技後硬直しながら見つめるデレ。

ξ゚⊿゚)ξ「プギャー!」

.

37 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:20:52 ID:Y.9qViVM0

( ^Д^)「はいはい」

デレの手から斧がツンに奪われ、
その体をプギャーが横抱きにする。

ζ(゚ー゚**ζ「えっえっえっっっ!!!?」

いわゆるお姫さま抱っこと呼ばれるものである。

ξ゚⊿゚)ξ「行くわよ!」

巨大斧を服の装飾リボンで背中に固定すると走り出すツン。

( ^Д^)「右に少し修正!そっちの方が薄い!」

ξ゚⊿゚)ξ「了解!
とりゃあ!」

ζ(゚ー゚*ζ「えっちょっなにこれ!」

ξ゚⊿゚)ξ「硬直時間でも無駄にできないのよ!
硬直時間過ぎたらもう一回行くわよ!」

ζ(゚ー゚*ζ「は、話が違うでしょ!」

ξ゚⊿゚)ξ「言ったら嫌がるでしょ!」

ζ(゚ー゚*ζ「何でこんなことに!」

ξ゚⊿゚)ξ「ここを脱出したら教えてあげるわよ!」

喋りながらも少しずつ湧き出る敵を一撃で葬り続けるツン。

ζ(゚ー゚*ζ「なんなのー」

.

38 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:22:00 ID:Y.9qViVM0

( ^Д^)「(とりあえず一番悲しいのは、
男をお姫さま抱っこして走っているおれだよな。
……男、……なんだよな。
ツンより女らしいけど。
胸は詰め物かな)」

ξ゚⊿゚)ξ「プギャー!
こっちで良いの!?」

( ^Д^)「あ、ああ。
大丈夫。そっちが一番薄いし出口に向かってる」

ξ゚⊿゚)ξ「そう。わかった。
方向指示は任せたわよ。
あと、全部終わったら話があるから覚えておきなさい」

(;^Д^)「お、おう。
(ブーンとドクオに気を付けろって言われてたのに!
っていうかなんで分かるんだよ!)」

ξ゚⊿゚)ξ「女の勘よ!!
とりゃああああああああああ!!!!」

(;^Д^)「おれの心の声と会話をするなーーーー!!!!」

ツンが敵を倒しながら走る後ろを、
プギャーがデレを抱き上げたままついて走った。





.

39 ◆dKWWLKB7io:2017/10/24(火) 23:24:00 ID:Y.9qViVM0
以上、本日はここまでです。

こらからこちらで宜しくお願いします。

ではではまたー。

40名無しさん:2017/10/24(火) 23:49:33 ID:uMTFntx.0
待ってた乙!

41名無しさん:2017/10/25(水) 00:00:57 ID:uhpuqiwQ0
おつ

42名無しさん:2017/10/25(水) 10:13:38 ID:HDBldea.0
デレはネカマかー

43名無しさん:2017/10/25(水) 18:35:54 ID:kbpM2Ep20
男の娘と呼ぼう

44名無しさん:2017/10/25(水) 22:48:57 ID:jjFzhxfI0
いやーまってたまってた。おつ!!!

45 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:07:42 ID:/T2YtcK.0

36.





ヒッキーがドクオの喉に剣を突き立てようとした時、
茂みから飛び出した彼女は持っていた武器を力任せに投げた。

(;-_-)「おっと」

少しだけ慌てたように後方に跳びつつ飛んできた長柄の鎌を片手剣ではじく。

从;゚∀从「ドクオ!」

ドクオのそばに駆け寄るハイン。
肩を抱き、背後からその体を抱きしめる。

从;゚∀从「ドクオ!ドクオ!ドクオ!ドクオ!ドクオ!ドクオ!」

('A`;)「もちつけハイン」

从;゚∀从「良かった、良かった。
生きてる、生きてるよー。
ドクオー」

涙目で抱きつくハイン。
その彼女の頭を、ドクオは優しくなでる。

('A`;)「いいから落ち着け」

从;゚∀从「あ、ご、ごめん!
最後まで見ていろって言われてたのに出てきちゃって。
でも、でも」

('A`;)「怒ってないから落ち着けって。
出てきてくれなきゃ死んでた可能性があるから助かったよ。
ありがとう」

.

46 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:08:56 ID:/T2YtcK.0

从*゚∀从「あ、ご、ごめん抱きついちゃったりして。
あー。でも生きてる。良かった」

('A`;)「あーうん。ありがとう。
ところでおれの声聞こえてる?」

从*゚∀从「もちろん!」

('A`;)「聞こえてるけど伝わってないパターン?」

从*゚∀从「大丈夫!分かってる!」

('A`;)「えっとじゃあ、あそこで睨んでる人いるから離れてもらえるかな」

从 ゚∀从「……ちっ」

('A`;)「え?」

从 ゚∀从「とりあえずあいつを倒せばいいってことで」

立ち上がりヒッキーを見るハイン。

ヒッキーは苦虫を噛み潰したような渋い顔をしつつ二人を睨んでいた。

(#-_-)「男装の麗人でヤンデレとか盛り込みすぎだろ」

从 ゚∀从「?何を言ってる」

('A`;)「いや、別にハインはヤンデレではないと思うけど」

(-_-)「……どうでもいい。
殺すのが二人に増えただけだ」

表情を変えて二人を見るヒッキー。

从 ゚∀从「ふっ。私たち二人を相手に殺せるとか」

.

47 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:10:24 ID:/T2YtcK.0

(-_-)「君たちの武器は僕が預かっている。
予備は持っているだろうけど、
これに比べれば落ちるでしょ。
そんな武器で僕と戦えると思ってるの?」

从 ゚∀从「何言ってんだお前?」

手を振るハイン。
現れる長柄の鎌を持って構える。
その鎌はヒッキーに投げた鎌と同じように見える。

(-_-)「ふっ。だからそんな武器……で……えっ?」

从 ゚∀从「ドロップ品ならともかく、
私達の武器はほぼ全部兄者に作ってもらってるからな。
最低でも素材は二つ分用意して、
同等の武器を作ってもらうようにしてるんだ」

(;-_-)「な、なんだよそれ」

从 ゚∀从「それに、大体みんな予備の方に強力な奴を用意してるし」

(;-_-)「な、なんで!?」

从 ゚∀从「だって今使っている武器で倒せない相手が出た時に、
それより弱い武器に持ち替えたって勝てるわけないだろ?」

(-_-)!!

从 ゚∀从「だからそういう風にしてるんだ。
最低でも同等の武器を持つこと。
出来ればさらに強い武器を持っておくこと」

(;-_-)「そ、そんなのずるい!」

.

48 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:12:15 ID:/T2YtcK.0

从;゚∀从「いや、ずるいって言われても……。
ねえ。どっくん」

('A`;)「あー。まぁ普通は今持ってる武器が一番強いのが普通だからなぁ。
でもほら、うちはギルマスが特殊だから。
奥の手とか持ってないと不安になるタイプだし」

从;゚∀从「だなー」

('A`;)「それに武器落としの危険もあるけど、
武器破壊もされる可能性あるからさ」

(;-_-)「そんなことしてくる敵いないだろ!」

('A`;)「敵はなー。
モンスターは今のところ出てきてないか。
ボス戦では起きたって話は聞いたけど。
ただまあな、
うちにいるプレイヤーというかモンスターがそういうプレイスタイルだから、
自然と色々と対策を各人も考えているわけで」

从;゚∀从「……だなー」

(;-_-)「なんだよそれ!」

('A`;)「えっと……ごめん?」

(#-_-)「あやまるな!」

肩を上下させ、呼吸を荒くし、
全身で怒りを表しているヒッキー。

困惑した表情でドクオたち二人はそれを見ていたが、
ヒッキーはすぐに呼吸を落ち着かせた。

(-_-)「……まあいい。
いくら武器はちゃんとしていても、
部位欠損はまだ回復しない。
その足でどこまで戦えるか」

从 ゚∀从「『リペア』!」

.

49名無しさん:2017/10/25(水) 23:14:21 ID:TvxK6i.A0
これヒッキー涙目な展開か

50 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:14:26 ID:/T2YtcK.0

ドクオの身体にポリゴンの光が集まり、
部位欠損をしていた足が元に戻った。

(-_-)「……え?」

从 ゚∀从「『修復結晶(リペアクリスタル)』」

(-_-)「……は?」

('A`;)「あー。
まだ市場には出回っていないレアアイテムなんだ。
というか、知ってるやつの方が少ないだろうな。
情報屋DBにも載せてないし」

(#-_-)「ふ、ふ、ふ、ふ、ふ」

从 ゚∀从「え?笑ってる?」

(#-_-)「ふざけるなーーーー!!!!!」

('A`;)「ああうん。
おれも多分同じ立場だったらそう思うと思う」

(#-_-)「ころす!ころす!ころす!ころす!ころす!
ぜったいにころす!」

二人の武器を後方に放り投げ、
片手剣を構えるヒッキー。

ドクオの前に立とうとするハインを押さえるドクオ。

从 ゚∀从「どっくん?」

('A`)「大丈夫だ。
今度こそ、見ていてくれ」

从 ゚∀从「……わかった」

鎌をかまえつつ、それでも後ろに下がるハイン。

そしてドクオはやる気がなさそうに武器をかまえた。

.

51 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:15:58 ID:/T2YtcK.0

('A`)「ヒッキー、悪かったな」

(#-_-)「はぁ!?」

('A`)「甘く見ていたわけじゃない。
手加減をしていたわけじゃない。
けれど、戦い方は確かにおれの本来のスタイルではなかったかもしれない」

(#-_-)「知るかそんなこと!」

('A`)「ああ。そりゃそうだ。
でも言っておく。
いままでは、おれが成りたかったスタイル。
けど、今のおれにはまだ無理だった。
だから、これからは、おれのスタイルでお前と戦う」

(#-_-)「はっ!それなら勝てるとでもいうのかよ!」

('A`)「……ああ」

駆け出すドクオ。

(#-_-)「不意打ちのつもりか!」

ドクオの動きに合わせて片手剣を動かす。

そしてその時、ヒッキーの視界からドクオが消えた。

('A`)「勝つよ」

ヒッキーの身体に刺さるドクオの片手剣。

(-_-)「!?」

自分のHPが急激に減るのを視界の隅に確認しながらドクオの姿を追って足を動かすヒッキー。

そして剣を振り下ろすが既にその場にドクオはおらず、
逆に自分の武器を持つ手首が切り裂かれるのを見た。

.

52 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:17:20 ID:/T2YtcK.0

(-_-)「え?」

思わず漏れた一言。

腹が切り裂かれるのを感じながら、
地面に落ちる自分の武器と、
ポリゴンとなって消える右手を見た。

(-_-)「どういうこと……」

既にヒットポイントは赤くなっており、
あと二回胴体を切り裂かれれば自分は死ぬであろうことが分かるヒッキー。

恐怖に強張り動かなくなる身体。

何かが割れる様な音が聞こえると、
赤く染まった片手剣が自分の身体を切り裂くのが分かる。

(-_-)「や……だ……死にたく……ない……」

意識せず膝をついてしまった自分に驚きつつ、
無意識にドクオの姿を探すヒッキー。

そして目の前にいた彼に懇願するような顔で見つめた。

('A`)「今のは麻痺毒と睡眠毒の混合毒だ。
両方の耐性を最高まで上げてあっても、効く」

(-_-)「なんだよ……それ……。
ずるい……よ……」

地面に横たわるヒッキー。

死なないことに、
殺されないことに安心したのか、
表情は元に戻っている。

.

53 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:18:53 ID:/T2YtcK.0

('A`)「それはおれもそう思う。
ただこれ、対プレイヤーにしか効かないから、
ほぼPK専用なんだよ。
だからこれが世に出ることは無い」

(-_-)「……手も足も……でなかった」

('A`)「おれの持ち味は気配を消して死角からの攻撃だからな。
真正面から、しかも相手がおれに、
おれの動きに注目して武器を動かしてくれれば、
そこに生まれた死角と隙を読んで攻撃できる」

(-_-)「……なんだよそれ……」

('A`)「もちろんレベル差や能力差があれば通用しないけどな。
お前相手なら、勝てるよ。おれは」

(-_-)「……ひでぇな」

口元をゆがめる。

(-_-)「なあ、……ロマネスクを……」

最後まで言えず、眠りに落ちるヒッキー。

('A`)「……」

足元で倒れているヒッキーを見つめるドクオ。

从 ゚∀从「どっくん……」

('A`)「……ハイン。
そうだな……効果が切れる前に回廊を開いて、
向こうで待ってる風林火山の人達に渡さないと……」

ドクオの背中に抱きつくハイン。

('A`)「ハイン?」

.

54 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:21:35 ID:/T2YtcK.0

从 ゚∀从「無理しないで。
どっくん、プレイヤーを攻撃するの本当に嫌いなの、
私は知ってるから」

('A`)「……ハイン」

从 ゚∀从「どっくんは理性で感情を押し殺して無理するから、心配」

('A`)「大丈夫。
今日は最初から覚悟していたし。
でも、そうだな。
今日が無事に終わったら、
明日は気分転換に一緒に出掛けてもらえるかな?
ほら、この前言ってたカフェとか?
その……フラワーガーデン?とか?」

从 ゚∀从「…… …… ……    え?」

('A`)「あ、いや、その、嫌だったらいいんだけどその、
デキレバイッショニデカケタイナナンテオモッタリシタンダケドドウカナ」

从*゚∀从「い、い、行く!
行く!行く!
絶対行く!
シャキンとかに邪魔されたら殺してでも行く!
っていうか今から行こう!
さっさとこいつ牢獄に押し込んで!
ほらさっさと!」

('A`;)「いや殺すのはやめてほしいのと、
とりあえず全部終わるまでは各チームのフォローとかしないとだし」

从*゚∀从「初めてどっくんから狩り以外誘われたから!」

('A`)「あ、そうだっけ?」

从*゚∀从「どうしよう!服何着ればいいか分からないから!
ツンに新しいの作ってもらうから!」

.

55 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:22:41 ID:/T2YtcK.0

('A`)「狩りは最近よく行ってたからな」

从*゚∀从「緊張してるから!」

('A`)「ところでなんで口調がフサギコみたいになってんの?」

从*゚∀从「楽しみだから!」

('A`;)「ああ、うん。
ま、いいか。
とりあえず、回廊結晶使うから少し離れてて」

結晶を取り出しつつ少し離れるドクオ。

('A`)「おれも楽しみだし、
……緊張、してる」

ドクオの呟きは、浮かれているハインには聞こえなかった。





.

56 ◆dKWWLKB7io:2017/10/25(水) 23:27:49 ID:/T2YtcK.0
以上、引っ越し記念の連続投下でした。

乙や感想、ありがとうございます。

ではではまたー。

57名無しさん:2017/10/25(水) 23:59:53 ID:fAM7GCvo0
お疲れ様だから!
次も楽しみにしてるから!

58名無しさん:2017/10/26(木) 00:01:22 ID:WiWq7.oc0
寝る前に更新してみたら更に投下きてた!
面白かったよ!おつ!!

59名無しさん:2017/10/26(木) 01:10:59 ID:YTipdAhU0
こいつらマジですげぇ

60名無しさん:2017/10/26(木) 19:37:33 ID:E7A5LZ460
おつう

61 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:02:37 ID:nmMoCbVE0

37



(゚、゚トソン「残り通常5発!」

( ゚∋゚)『了解!もう一匹が再ポップするまでの間、
残り3発でキープしてくれ!
デミタス!ミルナと交代!
デミタスはHP回復優先!
襲撃者はクーが片付けているはずだが周囲の警戒は継続!
エクスト!おれとスイッチして重攻撃の準備!』

目の前の兵隊蟻のHPバーを確認したトソンが誰に向けてか分からない報告をすると、
クックルは仲間にしか聞こえない声で追加の指示を出し、
更に仲間達にも指示を出した。

(゚、゚トソン

(´・_ゝ・`)

( ゚д゚ )

三人は頷きもせず視線も交わさず身体を動かし、

<_プー゚)フ「うをおおおおおおりゃあああああああ!」

エクストは最後のHPバーを黄色に変えた巨大蜘蛛相手に両手剣を振り回していた。

( ゚∋゚)『エクスト!』

クックルがエクストの背後で彼の名を呼ぶ。

<_プー゚)フ

ちらりと後を気にしてから更に両手剣を振り回すエクスト。

そして硬直時間をほぼゼロにするまで鍛え上げた剣技を放つ。

.

62 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:04:18 ID:nmMoCbVE0

( ゚∋゚)『スイッチ!』

巨大蜘蛛がエクストの剣技で後退した瞬間に飛び出すクックル。

エクストはそのまま後ろに下がる。

( ゚∋゚)『おれの攻撃で赤に変える!』

流れるような棍さばきで巨大蜘蛛を攻撃するクックル。

巨大蜘蛛の攻撃はほぼすべてが棍によって向きを変えられ、
流されている。

攻撃を見極めることが出来ているのはもちろんだが、
レベルに余裕があるからこそできる戦い方だった。

( ゚∋゚)『そのタイミングでエクスト!ミルナ!重攻撃!とどめを刺そう!』

<_プー゚)フ!

( ゚д゚ )!?

(´・_ゝ・`)!?

(゚、゚トソン!?

クックルの言葉に思わず体を強張らせる三人。
エクストのみ不敵な笑みを浮かべて両手剣を頭上に掲げている。

( ゚д゚ )「お、おいエクスト」

<_プー゚)フ「ん?」

( ゚д゚ )「おれたち三人の最上級剣技で倒せ」

<_プー゚)フ「計算だと無理じゃね?
多分削り切れないだろ」

駆け寄り、小声で話しかけてきたデミタスの言葉に被せる様に小声で喋るエクスト。

63 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:05:44 ID:nmMoCbVE0

( ゚д゚ )「ならなんで笑ってられるんだ」

<_プー゚)フ「このギルドの戦闘で、
指揮者の言葉を信じないでどうすんだ?」

不思議そうに問いかけるエクスト。

( ゚д゚ )!

<_プー゚)フ「それに今は覚悟を決めたクックルが指揮者だ。
どんな結末が出るか楽しみだよな」

( ゚д゚ )「……ああ、そうだな」

ニヤリと笑ったエクストの横顔を見ながら、
ミルナが口元を忌々し気にゆがめた。

( ゚д゚ )「(こいつに教えられるとはな)」

苦笑と呼ぶにふさわしい表情で離れようと心配そうにこちらを見る二人に気付く。

再ポップした兵隊蟻と戦いながらこちらを気にするデミタスと、
周囲を警戒しつつ心配げなトソン。

ミルナは笑顔で二人に頷いた。






薙刀を下段に構え、周囲を警戒するクー。

その周囲を木々に隠れる様に襲撃者が走り回っている。

川 ゚ -゚)「(ふむ……)」

走り回る襲撃者の位置を、
視界に頼ることなく感覚で掴んでいるクーもただ者ではないのだが、
本人に自覚は無く襲撃者も甘く見ていた。

.

64 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:06:50 ID:nmMoCbVE0

川 ゚ -゚)「(予想よりかは手強いが、まあそれだけだな。
想定の範囲内だ)」

(襲撃者2)「(おれの位置が分からなくて棒立ちか。
これならあいつが来る前におれ一人で……。
い、いや、ダメだ。あの女はそこまで強くないが弱いわけじゃない。
念には念を入れて確実に勝たないと)」

時折木の陰に立ち止まりつつも走り回る襲撃者。

川 ゚ -゚)「(さて、そろそろ決着を付けにくるかな。
狙うとしたら背後、右に武器を持っているから左後方からくるか……。
ま、やることは変わらないか。
麻痺毒の効き目はまだ大丈夫だが、
早めに片付けて合流したいところだ)」

(襲撃者2)「(……よし)」

襲撃者が視界の片隅に仲間を確認し、片手剣を持つ手に力を込める。

(襲撃者2)「(あいつは、あいつらは、俺達を殺そうとはしない。
ならばこれで……いける!)」

(襲撃者2)「死ねー!」

クーの右斜め前から飛びかかる男。

川 ゚ -゚)「ふむ」

冗談から振り下ろされる片手剣を薙刀で薙ぐクー。

(襲撃者2)!

クーの薙刀は剣を払うと円を描いて男を攻撃し、
そのHPを三分の一程削る。

(襲撃者2)「(ここまで削られるのか!?)

.

65 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:07:56 ID:nmMoCbVE0

そしてクーは攻撃されて地面に落ちた男を見る事も無く、
薙刀を回しながら振り返り、
後ろから攻撃してきた男の片手剣を下から上に払った。

(襲撃者3)「!!」

しっかりと握っていたはずの剣が、
自分の武器が宙に舞うのを思わず視線で追う男。

その隙を見逃すほどクーは愚かでもなく、
男はその体に薙刀の攻撃を3回受けて崩れ落ちる。

(襲撃者3)「!」

視界の隅に浮かぶ自分の名前とHPバー。
赤に変わったそれと、麻痺を意味するアイコンを見ると同時に、
男は意識を手放した。

(襲撃者2)「!ちくしょう!」

既に振り返って自分を見ているクーに対して立ち上がって剣を振り上げた男。

そして自分に対して薙刀が振るわれた瞬間勝利を確信した。

(襲撃者2)「……え?」

だがその勝利の確信は次の瞬間に打ち砕かれる。

クーの薙刀は男の身体ではなく剣をはじき上げ、
そして左側の樹に刃先を突き立てた。

(襲撃者4)「ぐぇっ!」

刃先には今まで見えていなかった男がいた。

腹に刃を突き立てられた男は悲鳴を上げてクーを睨む。

だがすぐさま薙刀を引き抜いたクーは舞うように回転し、
薙刀の刃先で二人の男を二回ずつ切り裂いた。

.

66 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:09:32 ID:nmMoCbVE0

襷で括っていた袖と、
動きを邪魔しない程度に広がっている袴が、
ふわりと揺れつつ元の状態に収まる時には、
二人の男はすでに地面に横たわっていた。

(襲撃者2)「な……ぜ……」

川 ゚ -゚)「おや。まだ意識があるのか。
抵抗を一番あげているところを見ると、
君がこの隊のリーダーということで良いか?」

(襲撃者2)「な……ぜ……」

川 ゚ -゚)「……ふむ。
まず、おそらく薙刀ではこの森の中での戦闘は不利と思っていたと思うがどうだ?
薙刀は長柄物ではあるが、
武術としては日本家屋の中でも戦える武術だ。
周囲に樹があろうが、
この程度では動きを阻害されることは無い。
あと襲ってくる者の数だが、
もともと何人いても倒すつもりでいるから何人いようと関係ない。
それに私は薙刀の届く範囲にいる者を見逃すような教育は受けていないのでな。
そこに人がいるならば、私に敵意があるのならば、私には分かるんだよ」

袂に手を入れるクー。

出したその左手は、
緑色に濡れた針をつまんでいた。

川 ゚ -゚)「悪いが、眠ってもらう。
……と、もう寝ているか。
最後のあがきだったか」

針を袂に戻す。

川 ゚ -゚)「ま、木に隠れていた男を見つけられたのはこれのおかげなんだがな。
そこまで教えてやる必要はないだろう」

そのまま左手で髪に隠れたピアスにふれる。

.

67 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:21:58 ID:nmMoCbVE0

川 ゚ -゚)「まったく、もう少し小さくしてくれないと困ると言ったのにこんなに大きくするとは、
モララーの腕もまだまだだな」

決して大きくない紫色の小さな花を指先で撫でる。

川 ゚ -゚)「とはいえこれのおかげで対して高くない私の『看破』スキルが最高値になっているわけだから、
プラスマイナスで少し文句を言う程度で済ましてやろう」

そして倒れている男たちを見回す。

川 ゚ -゚)「ツンと違って私一人では一人を運ぶのも無理だな。
皆を呼んでこよう」

そう呟くと、
クックル達の戦っているであろうスペースに向かって歩き始めた。







クックルの放った一撃が巨大蜘蛛のHPバーを赤に変えた。

( ゚∋゚)『スイッチ!!!』

後退りし動きを止めた巨大蜘蛛に向かって両手剣を振り下ろすエクスト。

<_プー゚#)フ「とりゃああああああああああ!!!!」

深紅に光らせた真っ赤な両手剣は攻撃と同時に赤い光をまき散らす。

( ゚∋゚)『ミルナ!』

(#゚д゚ )「ふんっ!」

.

68 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:23:06 ID:nmMoCbVE0

緑色に光る斧の五連撃。

上、下、右、左、と流れる様に斧が蜘蛛を裂き、
最後に大きく中心を切り裂いた。

<_プー゚)フ「クックル!」
( ゚д゚ )「クックル!」

同時に聞こえた二人の声に背中を押されて棍を突き出すクックル。

実際の太さを3倍ほど太くした光を纏った棍は、
巨大蜘蛛の胴体を大きく抉った。

(´・_ゝ・`)!

(゚、゚トソン!

<_プー゚)フ!

( ゚д゚ )!

四人の視線の先で巨大蜘蛛のHPバーの光が消えていくが、
最後の一つが残る。

<_プー゚;)フ「ちっ」

(;゚д゚ )「くっ」

(;´・_ゝ・`)「おいおい」

(゚、゚;トソン「クックルさん!」

硬直している身体を無理矢理動かそうとするエクストとミルナ。
駆け出すデミタス。
蟻を葬ったトソンが思わず声をかける。

( ゚∋゚)

巨大蜘蛛の前で無防備に立ち尽くすクックル。

.

69 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:24:53 ID:nmMoCbVE0

巨大蜘蛛がその体に攻撃をしようと両手を振り上げる。

( ゚∋゚)『大丈夫』

クックルがニヤリと笑った瞬間、
巨大蜘蛛の体の中心を、
頭から胴体の先までを、
青い光が走った。

<_プー゚)フ「へ?」

( ゚д゚ )「は?」

(´・_ゝ・`)「……ああ」

(゚、゚トソン「……そういう事ですか」

六人の目の前でポリゴンと化す巨大蜘蛛。

五人の視線は降り注ぐポリゴンを払っている六人目に注がれる。

( ゚∋゚)『ナイスタイミング』

<_プー゚)フ「弟者!?」
( ゚д゚ )「弟者!」
(´・_ゝ・`)「弟者」
(゚、゚トソン「弟者さん」

(´<_` )「美味しいところ総取りいただきました」

事もなげに笑顔を見せる弟者。

( ゚∋゚)『兄者は?』

(´<_` )「え、ああ……」

川 ゚ -゚)「早く行け。回廊結晶は持ってるな?」

横の樹の影から出てきたクーが声をかける。

.

70 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:27:48 ID:nmMoCbVE0

(゚、゚トソン「クーさん!良かった……」

(´<_` )「クー。……ああ」

( ゚∋゚)『こちらはもう大丈夫だ』

(´<_` )「……すまん」

逡巡したのちに踵を返す弟者。

川 ゚ -゚)「弟者、」

(´<_` )「ん?」

川 ゚ -゚)「ちゃんと回廊結晶を使わせろよ」

ふり返った弟者に真剣な顔で告げるクー。

(´<_` )「ああ、分かってる」

そしてすぐに前に向き直し、やってきた道に向かって走り出す弟者。

<_プー゚)フ「え?何?」

( ゚д゚ )「あー」

(´・_ゝ・`)「まあ」

(゚、゚トソン「えっと……」

<_プー゚)フ「え?おれ以外みんな分かってるの?」

( ゚д゚ )「あー」

(´・_ゝ・`)「まあ」

(゚、゚トソン「えっと……」

<_プー゚)フ「ひっでー!教えてくれよー!」

.

71 ◆dKWWLKB7io:2017/10/26(木) 23:30:33 ID:nmMoCbVE0

川 ゚ -゚)「あとで教えてやるからこっちを片付けるの手伝ってくれ。
倒れている奴らを黒鉄宮にぶっこむ」

既に弛緩している空気を感じて眉間に皺を刻むク。

しかし自分の指示で男四人がぞろぞろとクーが出てきた茂みに向かって歩き出すのを見て、
皺を消して口元を緩めた。

そして四人に続こうとするトソンを呼び止める。

川 ゚ -゚)「トソンは良い。
こういうのは男の仕事だからな」

(゚、゚トソン「え?ああ……はい」

ニッコリとほほ笑んだトソンを見て、
クーは一つ終わったことを感じながら、
この場にいない仲間たちの事を思いながら空を見た。






.

72名無しさん:2017/10/26(木) 23:40:35 ID:nmMoCbVE0
引っ越し記念の連続投下は昨日だけじゃなかった!

ということで本日の投下を終了します。

おつや感想、本当にありがとうございます。

またよろしくお願いします。

ではではまたー。

73名無しさん:2017/10/26(木) 23:53:54 ID:W45NDZIk0
おつおつ!

74名無しさん:2017/10/26(木) 23:56:46 ID:ZXbGxkuIO
おつ!
向こうのスレの埋めは閑話の投下でもあるのかな?

75名無しさん:2017/10/26(木) 23:57:11 ID:3nz9T.sgO
お疲れ様でした!

76名無しさん:2017/10/27(金) 21:46:24 ID:loyvFCiA0


77 ◆IdIQLHp8Vc:2017/10/27(金) 23:48:16 ID:Mjkaa9AM0

38.




(;´ー`)「ブーン!」

|; ^o^ |「ブーンさん!」

散乱する片手剣。
宙を舞うポリゴンの欠片。
その中で倒れているブーンに駆け寄る二人。

(;´ー`)「おい!ブーン!」

|; ^o^ |「だ、大丈夫ですか!?」

( -“ω-)

(;´ー`)「練習の時よりひどいだーよ」

|; ^o^ |「しっかりしてください!ブーンさん!」

ブーンを抱き上げて上半身を起こすシラネーヨ。
ブームはその正面に回り、ブーンの頬を軽く叩いた。

|; ^o^ |「ブーンさん!ブーンさん!」

(;´ー`)「HPバーも残ってるし、
もちろん消えていないから死んでいないことは分かるだーよ」

|; ^o^ |「でも、ただ眠っているだけのようにも見えません」

(;´ー`)「そんなことは分かってるだーよ!」

|  ^o^ |「!こ、これをもう一度」

腰のポーチからクリスタルを取り出すブーム。
そしてタップする。

.

78 ◆IdIQLHp8Vc:2017/10/27(金) 23:49:21 ID:Mjkaa9AM0

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』

ツンのホログラフが現れて叫んだ。

( “=ω-)「  」

|; ^o^ |「!反応が少し!」

(;´ー`)「あれのどこをそこまで好きなんだーよ」

|; ^o^ |「それは謎ですがもう一度!」

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』

( “=ω-)「……」

|  ^o^ |「変わりはないですね」

( ´ー`)「連打してみるだーよ」

|  ^o^ |「え?」

( ´ー`)「『そこまでよぶーん』辺りで止めていっぱい呼ばせるだーよ」

|  ^o^ |「はぁ……」

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』

( ´ー`)「そうじゃないだーよ」

|  ^o^ |「え?」

.

79 ◆IdIQLHp8Vc:2017/10/27(金) 23:50:36 ID:Mjkaa9AM0

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わり
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこま
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!

|  ^o^ |「お!」

( ´ー`)「ふっふっふ。だーよ。

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!

( ´ー`)「どうだーよ」

( -ω-)「……」

|  ^o^ |「反応はありませんが、表情は穏やかになったような……」

(;´ー`)「これで穏やかになるとかどうなってるだーよ」

.

80 ◆IdIQLHp8Vc:2017/10/27(金) 23:52:02 ID:Mjkaa9AM0

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!

軽快にタップするシラネーヨ。

( ´ー`)「ちょっと面白くなってきただーよ」

◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わり
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこま
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこま
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこま
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー

( ´ー`)「ひゃっひゃっひゃ。
高木さんを止めるツンだーよ」

|; ^o^ |「ねーよ……!あっ」

.

81 ◆IdIQLHp8Vc:2017/10/27(金) 23:53:30 ID:Mjkaa9AM0

シラネーヨの頭に振り下ろされる棍。

(  ー )   ´  `   「!!!」

ξ#゚⊿゚)ξ「何をあんたは遊んでるのよ」

右手に細剣を持ったまま、左手で持った棍でシラネーヨを叩いたツン。

(;´ー`)「攻撃したらオレンジになるぞ……って、なってない」

ξ#゚⊿゚)ξ「武器じゃないもので殴ったところでHPは減らないし、
HPが減らなければれば攻撃したことにもならないでしょ。
あんたの頭に衝撃を与えただけよ」

(;´ー`)「それが一番問題だーよ」

ξ゚⊿゚)ξ「って、ブーン!?
ブーム!説明して!」

武器を放り出してブーンの正面に駆け寄るツン。

突き飛ばされたブームが尻餅をついた身体を起き上がらせながら口を開いた。

|  ^o^ |「ブーンさんが
『エンジェルホライズン』を使用して予定通り蟷螂は倒せましたが、
その後倒れたままこの状態です」

ξ゚⊿゚)ξ「技の時間は?」

後でデレがプギャーに「なに?エンジェルホライズンって。ださっ」
と笑いながら言っているのが聞こえるがとりあえず無視してブームに問いかけるツン。

|  ^o^ |「練習と同じです」

ξ゚⊿゚)ξ「……そう……。
やっぱり短くなってるのね。
まったく。無茶するんだから」

そう言いながらブーンの耳元に顔を寄せる。

.

82 ◆IdIQLHp8Vc:2017/10/27(金) 23:55:34 ID:Mjkaa9AM0

ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン、起きて」

囁くツン。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、ブーン、起きて」

柔らかく、甘く囁く。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ。ブーン」

(*-ω-)

目を閉じたまま頬を染めるブーン。
何故か他の男三人も頬を染めている。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ。ブーン?」

(*-ω-)

ξ゚⊿゚)ξ「起きて」

(*-ω-)

ブーンの右耳を、左手で優しくつまむツン。
そして更に唇を耳元に寄せる。

吐息は既に当たり、
唇ですら触れそうな距離。

ξ#゚⊿゚)ξ「お、き、て」

(*-ω-*)

ξ#゚⊿゚)ξ「おきろーーーーー!!!!!」

そして叫んだ。






.

83 ◆IdIQLHp8Vc:2017/10/27(金) 23:57:48 ID:Mjkaa9AM0

( ^ω^)「おっおっおー。
酷いお。
まだ耳がキンキンするお」

力の入らない体を樹に預けて地面に座るブーン。
それを囲むようにツン達4人が立っていた。

ξ゚⊿゚)ξ「さっさと起きないあんたが悪い。
私が来たくらいから起きてたでしょ?」

( ^ω^)「おー。
何の事だかわからないおー。
無事でよかったお。ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「まったく……。
ブーンもね。
ブーム、シラネーヨ、ありがとう」

( ´ー`)「役割をこなしただけだーよ」

|  ^o^ |「そういう事なんです」

ξ゚⊿゚)ξ「それでもよ」

( ^ω^)「プギャーもありがとうだお」

( ^Д^)「ま、おれは撤退の手伝いだけだからな」

( ^ω^)「いくら弱くても、あの数を相手するのは大変だったはずだお」

( ^Д^)「あー。まあ……な」

頭を掻きながらチラリと離れた場所に立ちこちらを伺うデレを見た。

( ^ω^)「デレさんもありがとうだお」

ζ(゚ー゚*ζ「え?あ、いや、私は……その……」

ξ゚⊿゚)ξ「デレの範囲攻撃でかなり楽だったからね」

.

84 ◆IdIQLHp8Vc:2017/10/28(土) 00:00:31 ID:yBcYKiZs0

( ^Д^)「抱いて走るのは大変だったけどな」

|  ^o^ |「……抱いて?走る?」

( ´ー`)「大人の階段をのぼっただーよ?」

( ^Д^)「その『抱く』じゃねーよぼけ!
っていうかおれはここに来る前に大人だアホ!」

ξ゚⊿゚)ξ「なに大声でセクハラ発言してるのよこのバカ共は」

( ^ω^)「おっおっおー」

ξ゚⊿゚)ξ「さて、とりあえず一回クーと合流したいけど……」

( ^ω^)「もう行けるお」

座るブーンを見るツン。
その視線を受けて立ち上がろうとするブーン。
しかしツンが頭を人差し指でつつくと、
バランスを崩してまた座ってしまった。

ξ゚⊿゚)ξ「その状態で行けるわけないでしょ」

(;^ω^)「おーー」

ξ゚⊿゚)ξ「プギャー、悪いけど合流場所まで付き合って。
もしまだ戦闘中なら参戦したいから宜しく」

( ^Д^)「ああ」

ξ゚⊿゚)ξ「ブームとシラネーヨもまだ疲れてるでしょ。
ここに居て休んでいて」

( ´ー`)「その言葉に甘えるだーよ」

|  ^o^ |「ありがとうございます。
モンスターがポップした際はブーンさんは守ります」

ξ゚⊿゚)ξ「ああ。それはデレに任せるから大丈夫よ。
デレ、ここに居て三人の護衛宜しく」

.


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