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余命一ヶ月の大魔王様
93
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:02:57 ID:YYGpB8GA0
田舎にいって自然の保護活動を支援したり
都心で自然の再生や緑地活動でもできればいいな、と
軽い気持ちでいたのだが、実際に任されたのは廃棄物処理関係業務だった。
許可証の発行はもちろん、不法投棄の業者の取り締まりも主に扱い
事前防止としてのヒアリングに県内部をぐるぐる巡ることも多かった。
制度自体が不明瞭なこともあり、調整会議がほとんど毎週開かれ、
土地の権力者と結託したヤクザみたいな連中に怒鳴り込まれたりもした。
94
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:03:55 ID:YYGpB8GA0
疲労の原因は外部だけじゃない。
中にいる人間たちだって歪んでいる。
今日、改めて中に入り、見渡せば
濁った目をした半笑いの顔ばかり。
正視しなければ面倒事を避けられる。
余裕を見せれば周りを安心させられる。
だからこその半笑いだ。
95
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:04:49 ID:YYGpB8GA0
その気持ち自体は、実は僕にもよくわかる。
僕だってきっと同じ顔をしていたのだろう。
この灰色の庁舎の中にて業務するうえで、
それが一番効率の良いスタイルだから。
僕は仕事で倒れたわけじゃない。
でも倒れた先輩はすでに何人も見てきた。
奉仕の精神などという幻想はとっくの昔に破れていた。
96
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:05:24 ID:YYGpB8GA0
せめて緑の近くがいいと、願った僕に与えられたのは
ゴミを捨てる権利の付与と剥奪、再交付に監視取り締まり。
実感はなく、すべては書類のうえで行われる。
時間の流れで揺らぐ日光くらいしか、感じられる自然はない。
そうして気がつけば五年も経っていた。
椅子に座り続け、腹には無駄に贅肉が溜った。
それ以外に何も得られたものはない。
考えれば考えるほど、本当に、何もない。
97
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:06:07 ID:YYGpB8GA0
車は庁舎脇の駐車場に止めてあった。
エンジンは稼働している。クーラーが効いているのだ。
車内ではトソンがうつろな目をしていた。
(-@∀@)「おい、起きろ」
(-、-トソン「んー、まだ朝には早いはず」
(-@∀@)「昼過ぎだっつの、起きろ。降りるぞ」
(-、-トソン「ふぇ?」
鍵を開け、トソンをつまみ出すと、強引に腕を引いて高架下を歩き進めた。
98
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:07:00 ID:YYGpB8GA0
(゚、゚トソン「どこにいくんですかー?」
(-@∀@)「駅」
(゚、゚トソン「遠出?」
(-@∀@)「ん、そのまま帰りたくなくて」
行き先は首都だ。
二十分もあれば到着できる。
99
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:07:36 ID:YYGpB8GA0
入庁して間もない頃は、仕事で嫌なことがあるたびに
週末電車で首都に降り、夜通し遊び歩いたりもした。
体力が衰えて、ついでに金のありがたみがわかるにつれて
目的のない、無駄な遠出は次第にしなくなっていった。
(゚、゚トソン「……」
(^、^トソン
(-@∀@)「なんだよ、声も出さずに笑いやがって」
(^、^トソン「いやあ、だって」
100
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:08:15 ID:YYGpB8GA0
(^、^トソン「遊びに行くなら一人でいいじゃないですか」
(^、^トソン「それをわざわざ私を起こして連れて行くなんて、いやあ」
(-@∀@)「……」
(-@∀@) =3
(^、^トソン ?
(#@∀@)「ガソリンがもったいないからに決まってんだろーがバーカ!!!」
...(゚、゚;トソ>⊂(#@∀@)「もっとキビキビ歩けコラ」
「痛い痛い、それは痛い」
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
101
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:09:01 ID:YYGpB8GA0
7月8日
N国軍、南に隣接したK国へ侵攻開始。
大延坪島周辺にて大規模な戦闘が発生する。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
102
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:11:14 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ー゚)リ「おにーさーん」
首都の繁華な駅前で、甲高い声に呼び止められた。
制服姿の女の子が明るい笑顔で僕を見ていた。
(-@∀@)「僕ですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「そです。ちょっとお時間ありません?」
(-@∀@)「……何の用でしょう」
ミセ*゚ー゚)リ「えっとお、お見かけしたときビビッときちゃったんですけど」
喋りながら女子は片手で素早くスマートフォンを操作した。
ミセ*゚ー゚)リ「こういうの興味ありません?」
103
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:11:46 ID:YYGpB8GA0
見せてくれた画面には、30分、1時間、2時間以上、それに対する価格の羅列。
オプション欄には手つなぎ、腕組み、写真撮影、マッサージ、カラオケ・漫画喫茶などが続く。
(-@∀@)「マッサージとかどこでするんですかww」
ミセ*゚ー゚)リ「え? どこでしょー、お客さん次第ですよそこは」
(-@∀@)「へえ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、興味出ちゃった感じですか? そう捉えてだいじょぶですか?」
104
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:12:49 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「…………」
(゚、゚トソン「良さそうじゃないですか、セッk」
(-@∀@)「あ゛あ゛ーーーーー!! こんなところで言うなバカ!」
ミセ;゚ー゚)リ !?
ミセ;゚ー゚)リ「あ、お連れさんいた感じ、っすか? すいませ」
(-@∀@)「あー、気にすることないよ」
105
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:13:49 ID:YYGpB8GA0
(@∀@-)「な?」
(゚、゚トソン「はいはい」
ミセ*゚ー゚)リ ???
(゚、゚トソン「別に興味ないですし」
(゚、゚トソン「わたし適当に散策して部屋戻ってるんで」
(-@∀@)「鍵要る?」
(゚、゚トソン「いやいいですよ。頃合い見計らいます」
(^、^トソン「だから気にせず、楽しんで」
106
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:14:23 ID:YYGpB8GA0
心底嬉しそうな顔でトソンは遠ざかっていった。
思い通り、とでも言いたげな様子が癪だったけど
今は気にしないこととする。
(-@∀@)「前払い?」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、はい! そうですね〜」
財布から万札をいくらか、数も碌に数えずに渡した。
ミセ;゚ー゚)リ「へ? こんなにですか!?」
107
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:14:59 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「大丈夫、金ならある」
(-@∀@)「さっきパチンコで50万稼いだから」
ミセ;゚ー゚)リ「マジで!!?」
(-@∀@)「叫ぶのやめて」
ミセ;゚ー゚)リ「あう……」
ミセ;゚ー゚)リ「でもこのお金、オプション全載せしてやっとなんですけど」
108
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:16:08 ID:YYGpB8GA0
ミセ;゚ー゚)リ「ぶっちゃけ疲れるというか、もうちょっと絞りたいなあ〜なんて」
(-@∀@)「一カ所でいいよ」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ」
(-@∀@)「良い部屋取るから」
ミセ*゚ー゚)リ「あ〜〜〜……」
109
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:16:38 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ー゚)リ「あのでも、制服っぽいままだとまずいですかね」
(-@∀@)「買うよ、服」
ミセ*゚ー゚)リ「マジで!!?」
(-@∀@)「やめてって」
彼女は名前をミセリと名乗った。
好きな映画からつけた名だという。
110
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:17:15 ID:YYGpB8GA0
服飾のことは僕にはさっぱりわからないので全ての判断を彼女に任せた。
ホテルの料金だとか、JKビジネスのオプション料金だとかよりも
はるかに多い金額が湯水のごとく支払われていく。
恐怖を感じ、最終的には途中で止めさせた。
ミセ*゚ー゚)リ「これでも十分だよ、ありがとっ」
やたらに波打つ薄手のブラウスに、花弁のような短いスカート。
金の掛かる服の価値は、僕にはわからないけれど
腕を組んでみたら、びっくりするくらい優しい触感を味わった。
軍資金はすでに半分になっていた。
111
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:17:58 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「マジかよ……」
ミセ*^ー^)リ 〜♪
駅から延びる大通りの喧噪から離れ、路地をいくつか折れ曲がった。
スマートフォンで検索すれば情報は洪水のように押し寄せてくる。
料金単価を気にする必要もなく、むしろ普通よりも高めの場所を選んだ。
長めに時間を設定して、渡されたカードキーを頼りに部屋に入る。
何の変哲もない一室は、淡いオレンジの光に満ちていた。
112
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:18:38 ID:YYGpB8GA0
ミセ*^ー^)リ「よっしゃー! 補導されなかった!」
甲高い声を上げながらミセリはダブルベッドに横から飛び込んだ。
翻ったシーツに早速皺が刻まれていく。
(-@∀@)「……靴くらい脱ぎなよ」
ミセ*゚ー゚)リ「え〜、いいよこのままで。面倒だもん」
ミセ*^ー^)リ「おにーさん溜ってたんでしょ? 焦らさない方がいいよ」
113
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:19:10 ID:YYGpB8GA0
ミセリは僕を招き入れるように両腕を広げた。薄目の奥で瞳が光る。
つり上がった薄い唇の透き間から、尖った歯先の並ぶのが見えた。
(-@∀@)
(-@∀@)「それじゃ、遠慮なく」
片膝をベッドの端に載せ、力を込めてもう一方の膝も載せる。
座高の分だけ影が生まれ、ミセリの全身を覆い尽くした。
ミセリは目を見開かせた。
上気した頬に赤みが差している。
114
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:20:09 ID:YYGpB8GA0
初めてではないのだろう。
冷めた感想を喉の奥に仕舞い
彼女の細く小さな左肩に手をかけた。
ミセ*゚ー゚)リ 〜♪
小刻みな鼻歌を彼女は弾ませる。
艶の乗った唇に舌がちらりと顔を見せた。
彼女は笑っている。
何の含みもなく衒いもなく
僕に相対するその顔目がけて
僕は思い切り平手を張った。
115
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:20:46 ID:YYGpB8GA0
鼻歌は唐突に途切れる。
僕が無理矢理横に向かせた頬が
先ほどまでとは別の意味で赤みを帯びていく。
'つ д )リ「……え?」
困惑に揺らいだ瞳で彼女は僕を見つめ返した。
歪んだ口に無理に笑みを浮かべる彼女の
漸進的な変化を僕はじっくり観察した。
116
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:21:21 ID:YYGpB8GA0
ミセ;゚ー゚)リ「な、なに? どうかした? 何かその、嫌だったり?」
(-@∀@)「うん」
ミセ;゚ー゚)リ「えと、どこかな? ごめん、ちょっとよくわからなくt」
舌の先っぽが歯先に見えたとき、僕はまた彼女を叩いた。
今度は彼女も素早く身をひいて、頬を狙ったのに鼻を掠めて終わってしまった。
117
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:22:18 ID:YYGpB8GA0
ミセ;゚д゚)リ「ちょ、なんなの!?」
ミセリがベッドの上に立とうとしたので
僕はその骨張った腕を強く握った。
ミセ;゚д゚)リ「ひっ」
また甲高い声が聞こえてきそうだった。
だから力強く腕を引き、倒れた彼女の上に乗った。
118
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:22:58 ID:YYGpB8GA0
叫ぶこともできたはずだが
彼女は喘ぐだけでいてくれた。
(-@∀@)「君さあ」
あんまり脅すつもりもないので、なるべく普通の声色にした。
もっともそんな器用な真似ができるわけじゃない。
なおさら怖がらせてしまったなら申し訳ない。
別にどうこうなるわけじゃないが。
(-@∀@)「なんで僕に声をかけたの?」
119
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:23:30 ID:YYGpB8GA0
ミセ;゚ー゚)リ「え? えっと、その……」
(-@∀@)「僕が一人で歩いていたから?」
(-@∀@)「お金くれそうな人だと思った?」
ミセ;゚ー゚)リ「いや、違いますよ。そんなことないですよ」
シーツに乗り上げた僕の腕の間で
彼女は必死の様子で首を左右に振った。
浴びた水を振り払う子犬のそれに良く似ていた。
120
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:24:06 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「それとも僕が」
(-@∀@)「寂しそうに見えた?」
ミセ;゚ー゚)リ「あ……」
ミセ*゚ー゚)リ「それ! そうですよ!」
ミセ*^ー^)リ「おにーさんが寂しそうで、だからあたし、癒してあげようと思っ」
121
:
名無しさん
:2017/09/14(木) 22:24:09 ID:OCS9yWMo0
わー
122
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:24:55 ID:YYGpB8GA0
また叩いてやった。
これでも優しくしているつもりだ。
悲鳴だってさっきほどは出てないじゃないか。
それなのに大きな音がでるものだから全く嫌になる。
'つ д )リ「なん……で……?」
(-@∀@)「腹立つからだよ」
(-@∀@)「他にはないね」
123
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:25:31 ID:YYGpB8GA0
'つ д )リ「……放っておけばよかった?」
(-@∀@)ゞ「それもそうだけど、大雑把すぎる」
(-@∀@)「そもそも僕、女嫌いなんだよね」
(-@∀@)「だから、別に君が悪いとかじゃないよ」
'つ д )リ「……」
124
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:26:07 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「ちょうどむしゃくしゃしてたときに君が来たんだ」
(-@∀@)「こりゃ発散するのにちょうどいいなって」
(-@∀@)「現にここまで来てくれたし」
ミセ )リ
(-@∀@)「ていうかさ、僕のこと寂しそうとか言ってたけど」
(-@∀@)「本当に寂しいのって君だよね?」
125
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:26:42 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ )リ
(-@∀@)「料金表とか、何あれ、自作?」
(-@∀@)「制服もなんか本物っぽいし、田舎臭えの」
(-@∀@)「学校帰りに特急乗って援交ごっこっすか」
(-@∀@)「楽しいことしてんなあって」
(-@∀@)「違う?」
126
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:27:24 ID:YYGpB8GA0
ミセ* )リ
(-@∀@)「違わないよね?」
(-@∀@)「……なんか言えよ」
ミセ* )リ
(-@∀@)「言えって」
(-@∀@)「聞こえねえのk」
127
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:27:58 ID:YYGpB8GA0
ミセ* ー )リ
(-@∀@) ?
微笑んでいるのが見えたのは
僕が三度腕を振った瞬間のことだ。
見間違いかと思った。
錯覚とか、幻覚とか。
でも、再び身を起こした彼女の口元には
全く変わらない笑みが出来上がっていた。
128
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:28:41 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ー゚)リ「同じじゃん」
(-@∀@)「……は? なにが」
ミセ*゚ー゚)リ「あたしとおにーさん」
(-@∀@)「……」
(-@∀@)「バカかお前?」
ミセ*゚ー゚)リ「寂しいんでしょ?」
129
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:29:22 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「腹立つって言ったの聞こえなかった?」
ミセ*゚ー゚)リ「違うとは言われてないよ」
(-@∀@)「話の流れでわかるだろ?」
ミセ*゚ー゚)リ「むしろ話の流れで確信したよ」
(-@∀@)「……わけわかんねえんだけど」
130
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:30:05 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ー゚)リ「ふうん、そっか」
ミセ*^ー^)リ「……バカだね、おにーさん♪」
(#@∀@)
四度目の平手は彼女の頬を抉った。
今までよりも遥かに力を込めた。
柔らかい頬の下で筋繊維のやぶけるのを感じた。
131
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:30:42 ID:YYGpB8GA0
上体を起こした彼女の唇から血がしたたり落ちた。
しわくちゃになったシーツの上に紅い斑が描かれていく。
彼女はなおも笑っていた。
ミセ*゚ー゚)リ「殴ることしかできないの?」
(#@∀@)「うっせーな!!!」
飛びかかる僕を、彼女は今度も避けなかった。
平手を拳に変え、彼女の脇に打ち下ろした。
132
:
名無しさん
:2017/09/14(木) 22:31:22 ID:OCS9yWMo0
盛り上がって来たな
133
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:31:39 ID:YYGpB8GA0
振動が伝わってくる。
マットレスが軋み、嫌な音を立てる。
ミセ*゚ー゚)リ「襲いなよ」
(#@∀@)「は?」
ミセ*゚ー゚)リ「あたしまだ無傷なんだけど」
(#@∀@)「なに、まだ殴られたりねーの? 被虐体質なんじゃねえのお前」
134
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:32:38 ID:YYGpB8GA0
ミセ*^ー^)リ「あたし、暴力平気だもの」
ミセ*゚ー゚)リ「こういうお客さん、たまにいるけど、痛いだけじゃんこんなの」
ミセ*^ー^)リ「ていうか小学生でも、園児でも、キレたら殴るよね」
(#@∀@)
ミセ*゚ー゚)リ「おにーさん、大人なんでしょ?」
ミセ*゚ー゚)リ「なのに小学生以下のことしかできないの?」
135
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:33:10 ID:YYGpB8GA0
(#@∀@)「この――」
ミセ*゚ー゚)リ「それでもいいなら、殺せば?」
(#@∀@)「やろ……」
(-@∀@)「は?」
ミセ*゚ー゚)リ「別にいいよ、殺されても」
ミセ*゚ー゚)リ「まあ、おにーさんは捕まるだろうけど」
136
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:33:44 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「……」
ミセ*゚ー゚)リ「あたしは死ぬだろうけど」
ミセ*゚ー゚)リ「別にいいし」
ミセ*゚ー゚)リ「ていうか殺してくれるならむしろ嬉しい」
(-@∀@)「……わけが」
ミセ*゚ー゚)リ「わからない? 本当に?」
137
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:34:25 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「……」
ミセ*゚ー゚)リ「おにーさんのそういうとこ、結構好きかも」
(;@∀@)
ミセ*^ー^)リ「食べちゃいたい」
何かを言おうと思った口が、彼女の口にふさがれた。
薄いと思っていたそれは思いの外厚みがあって
隙間から這い出てくる舌は蛇のように、僕をこじ開けようとしてきた。
138
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:35:10 ID:YYGpB8GA0
力が入らなかった。
彼女に促されるまま横に寝ると
彼女の両腕と両脚が僕を羽交い締めにした。
目を開けていると、彼女の顔が目に入った。
彼女は目を閉じていなかった。
弧を描いた眦が真っ直ぐ僕を見つめていた。
139
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:35:50 ID:YYGpB8GA0
彼女はなおも笑っている。
僕には理解できなかった。
理解したいとも思わなかった。
アメーバに侵食されるプランクトンのように
彼女は僕の指の股の間に細い指をねじ込む。
細いにも関わらずそれらの全ては針金のようで、
僕の拳はすでに体を成さず、解け、反らされた。
140
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:38:13 ID:YYGpB8GA0
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
7月8日
N国軍部隊、非武装地帯を突破、京畿湾北西部に侵攻する。
アジア各地のA国軍基地より戦闘機編隊が続々と投入される。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
141
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:39:00 ID:YYGpB8GA0
部屋の扉脇に提げられていた電話から、フロントに連絡を取ることが出来た。
(-@∀@)「オプションであればなんですが」
と、及び腰に訊いてみたら、本当に用意してくれた。
金を払っただけのことはある。
ものの数分で扉が開かれ、ホテルマンがワゴンを運んできた。
まるでスイートルームの朝食でも運んできたような調子だが
載っているのは真っ赤な麻縄の一巻きだ。
142
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:39:50 ID:YYGpB8GA0
僕が縄を受け取ると、ホテルマンは一礼して、颯爽と出ていった。
縄は柔らかかった。既製品のそれを一度湯通しでもしたのだろう。
色鮮やかな様は新鮮な血液に似ていて、白のシーツに良く映えた。
ミセ*゚ー゚)リ「ほえー」
バッグに仕舞ってあった制服を再び羽織ったミセリが
呆けた声を出しながら、僕の手元を見つめていた。
(-@∀@)「初めてか?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。本当にいるんだ、こういう人、って感じ」
143
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:40:21 ID:YYGpB8GA0
相変わらず蕩けそうな声を出す。
初めのうちは苛立ってばかりいたのだが
僕もどうやら慣れてしまったらしい。
拳をつくる癖もいつしか薄れていた。
ミセ*゚ー゚)リ「どうすればいい?」
(-@∀@)「待てよ。慌てると怪我するからさ」
144
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:41:09 ID:YYGpB8GA0
痛めつけることは目的じゃない。
だから、縄は二つに折り、中央を縛る。
圧力を散らせれば、傷が残ることもなくなる。
(-@∀@)「腕を出して」
ミセ*゚ー゚)リ 〜♪
つ つ
145
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:41:42 ID:YYGpB8GA0
手首には血管が集まっている。きつく縛れば大人でも死ぬ。
だから力を込めてはいけないし、締め付けない工夫が要る。
縄を手首に巻いた後、余った縄を内側に入れ、空隙を作る。
一度縄の形が定まってしまえば、余計に締まることもない。
(-@∀@)「体育座りして」
ミセ*゚ー゚)リ「足?」
(-@∀@)「そのとおり」
146
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:42:17 ID:YYGpB8GA0
こちらも基本は手首と同じだ。
締め付けすぎないように、縄の形を固定する。
(-@∀@)「痛かったり痺れたりしたら言ってくれ。すぐ解く」
ミセ*゚ー゚)リ「やさし〜」
(-@∀@)「バカ、死んだら困るんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……それを優しいって言ってんじゃん」
147
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:43:30 ID:YYGpB8GA0
無事に足が縛り終わると、ミセリは膝を揺すってみせた。
ミセ*゚ー゚)リ「なんか、頑張ったら解けそう」
(-@∀@)「……人にやったの、久しぶりだしな」
ミセ*゚ー゚)リ「え、まさか最近は自分に?」
(#@∀@)「ちげーよバカ!」
ミセ*゚ー゚)リ「照れんなってww」
148
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:44:17 ID:YYGpB8GA0
無駄口を叩けるということは、余計な痛みはないのだろう。
そうとわかると思いの外ホッとする。
(-@∀@)「さて……一応縛り終わったけど」
ミセ*゚ー゚)リ「え? これだけ?」
(-@∀@)「これしか知らん」
ミセ*゚д゚)リ「はあ? なにそれ詐欺じゃん」
149
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:44:53 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚д゚)リ「あれやってよ、なんか身体中にぐるぐる巻くやつ」
(-@∀@)「……亀甲?」
ミセ*゚ー゚)リ「それそれ。ググればやり方くらいあるでしょ」
(;@∀@)「しんどそうだなあ」
ミセ*゚ー゚)リ「あたし連れ込んだことチクるよ?」
(-@∀@)「酷くない、それ?」
ミセ*゚ー゚)リ「はやく、はやく」
150
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:45:58 ID:YYGpB8GA0
縛られたままばたつくミセリの足を抑え、縄を手に身を乗り出した。
ベッドに向かい合う彼女はやっぱり期待に目を輝かせている。
調子が狂う。
僕は楽しみたいわけじゃない。
知っていることを試してみただけだ。
僕の記憶にあるこの行為は、確かに享楽を伴っていたけれど
僕にとって好ましいものでは決してなかったはずだった。
151
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:47:07 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「あー、そっか」
ミセリの首もとで縄を結びながら、思わず声に出した。
(-@∀@)「訴えられたらお前のスマホ見せればいいのか」
ミセ*゚ー゚)リ「は、警察来る前に消すし」
(-@∀@)「鞄の中だろ? 今のうちに盗めばいい」
ミセ*゚ー゚)リ「ふうん、酷いね」
152
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:47:43 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「で、警察が来たら携帯を見せて」
ミセ*゚ー゚)リ「縛られているあたしを訴えるの?」
(-@∀@)「あー」
ミセ*^ー^)リ「ていうか縛る前に言えってww」
(-@∀@)「……うるせえ」
153
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:48:21 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ー゚)リ「殴る?」
(-@∀@)「しない」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがと」
胸の谷間に下がる縄を腹に沿わせて降ろしていく。
その際、ところどころに八の字の結び目をつくる。
スカートはたくし上げ、縄は股の間を背面へと通す。
締め付けすぎないように気を配りながら臀部を引き上げ
反り気味の腰を過ぎ、背中を回り、うなじの後ろにある輪を潜る。
154
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:49:29 ID:YYGpB8GA0
無事に一周できたので、ほっと一息。
下地はできた。これから亀甲をつくっていく。
背面に伸ばした方の二重縄を上に広げ、両の肩の後ろから前に回す。
胸もとにある八の字結びと腹にあるそれとの合間にある空隙に
二つの先端を折り込み、引く。これでまずは菱形ができあがる。
再び背面に向かった縄を交差させ、菱形の下部に同じように通す。
ひとつめの六角形は、綺麗に平行を保っていた。うまくいってくれたようだ。
あとは同じ事の繰り返しだ。二本の縄を駆使して亀甲を作り上げていく。
中央筋を外れて腰を回し、縄と縄同士を繋げても案外と様になる。
155
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:50:21 ID:YYGpB8GA0
縄は十分に用意されていた。
思いつくまま、気の向くまま、縄は彼女を這っていく。
ミセ*゚ー゚)リ「あ」
笑みではない口の形で彼女は吐息を漏した。
身を捩っているつもりだろうが、それはもう叶わない。
彼女の両腕は既に縄の中に収まっている。
腕が動かなくなれば、人間らしい動きは八割方制される。
横たわるしかなくなった彼女は、騒がしかった口を噤んで
潤んだ瞳で僕の手先を見つめていた。
156
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:50:58 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「できたよ」
額に浮いた汗を拭いながら、僕は告げた。
震え混じりの声になった。
ミセ*゚ー゚)リ「……動けないね」
(-@∀@)「だろうね」
ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、撮ってよ」
157
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:51:47 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「え? お前を?」
ミセ*゚ー゚)リ「当たり前でしょ。あたしのスマホでね」
(;@∀@)「はあ、変わってるなあ」
彼女の昂揚した頬だろうと、黒々輝く瞳だろうと、顔認証に差し支えはなかった。
無事にシャッターを切り終わると、彼女は嬉しげに呻いてみせた。
歪んだ唇を形作る頬を僕は抓んで軽く捻った。
声は途切れた。
小気味よい。
158
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:52:24 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「やっぱり服、邪魔かな」
ミセ*゚ー゚)リ「着ろって言ったのおにーさんじゃん」
(-@∀@)「そうだけどさ、やっぱりどうやっても皺になっちゃうし」
ミセ*゚ー゚)リ「別に気にしなくていいよ。コケたって言えばなんとかなる」
(-@∀@)「ならねーよ。どんなコケ方だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「コケた拍子にぐるぐる巻きにされましたーってね」
159
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:53:06 ID:YYGpB8GA0
馬乗りになって彼女を見下ろした。
縄に持ち上げられた乳房に掌を重ねると
低く響くような、速めの鼓動が伝わってきた。
(-@∀@)「この制服で明日も学校に行くの?」
ミセ*゚ー゚)リ「ううん、明日は休む。明後日はたぶん行く」
160
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:53:42 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「……やっぱり汚さない方がいい?」
ミセ*゚ー゚)リ「いいよいいよ、コケたって言えば」
(-@∀@)「万能かよ」
ミセ*゚ー゚)リ「いつもなんとかなってるからね」
ミセ*^ー^)リ「誰もあたしを見ていないし」
161
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:54:39 ID:YYGpB8GA0
(-@∀@)「……」
(-@∀@)「いい加減、その笑い方やめろよ」
ミセ*゚ー゚)リ ?
(-@∀@)「笑える要素がどこにもないだろ」
(-@∀@)「気味が悪い」
162
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:55:09 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ー゚)リ「ふうん」
(-@∀@)「……」
ミセ*゚ー゚)リ「……じゃあ、止めてみせてよ」
ミセ*^ー^)リ「ほら、はやk――」
開いた口に指を詰めると、唾液が回って端から零れた。
裏側から爪を立てると、彼女はようやく悲鳴を上げた。
見開かれた瞳の色の濁るのが、僕の心を落ち着かせる。
163
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:55:48 ID:YYGpB8GA0
彼女の鼻面を潰しながら、片手をその胸もとにぶつける。
ボタンを引きちぎると、色の白い膨らみが見えた。
指を三つ食い込ませ、谷間に影が刻まれる。
弛んだ吐息が僕の脳天を掠めていった。
覆う布の形も色もわからぬまま
気の向くままにそれをどかした。
黒々とした乳輪は彼女の眼を思わせた。
爪を立てると悲鳴が一段高くなる。
指の腹で押し潰した乳頭をつまみ、
僕はそれを口に含んだ。
164
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:56:26 ID:YYGpB8GA0
それを彼女の瞳と思った。
白い乳房は眼球で、内側を巡る乳腺は血走りだ。
甘ったるい声が耳に入る。
享楽のつもりはない。
勘違いも甚だしい。
どうせその目は笑っているのだろう。
笑えばいいと思っているんだ。
そうすれば、世界を掌握した気になれるから。
165
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:57:01 ID:YYGpB8GA0
捻り潰した乳房の真ん中で
上の歯と下の歯を勢いよく合わせた。
彼女の胴体が跳ね上がる。
危うくベッドの下に落ちそうになった。
罵倒が聞こえた。
何もかもを忘れた、低くドスの効いた声。
166
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:57:31 ID:YYGpB8GA0
上体を起こした彼女は僕を睨んでいた。
藻掻いて叫んで唸っている。
めくれ上がった唇から覗いた醜い白い歯並びに
僕はしばらくの間見惚れていた。
(-@∀@)「いい顔だ」
ベルトの留め金を外すと、僕は再び彼女に跨がった。
逆らわない彼女の下腹部で、縄の隙間から下着をずらした。
167
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:58:20 ID:YYGpB8GA0
彼女の吐息が止まった。
鼓動がする。
激しいそれは僕のらしい。
何も感じていないつもりでいたが
それはどうも、無理だったようで
苛立ちとか自嘲とか、綯い交ぜになった胸中に基づき
僕は彼女の秘部を挿した。
168
:
第二話
:2017/09/14(木) 22:59:28 ID:YYGpB8GA0
●
●
●
ミセ*゚ー゚)リ「なにこれなにこれ!? めっちゃすっごかったんだけど!!?」
(;@∀@)「ああ……そうですか……そりゃよかったっす」
169
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:00:06 ID:YYGpB8GA0
何回だったかはわからない。
どこかしらの中途から、僕は力尽きていて
彼女の方から逆に身を寄せてくる始末だった。
僕より10は下だろうに
楽しむことにかけて彼女は僕より遥かに上にいた。
(;@H@)「うぇ……」
170
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:00:37 ID:YYGpB8GA0
ミセ;゚ー゚)リ「え? なに、どしたの?」
(;@H@)「ごめ、ちょっと、トイレ……」
バスルームの脇にある小さな扉をこじ開けて
佇む便器の中に向かって込み上げてくるものを吐き出した。
碌に何も食べていなかったのだけど
どこから溜ったのか、黄色染みたものがこぼれ落ちた。
171
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:01:11 ID:YYGpB8GA0
ミセ;゚ー゚)リ「だいじょぶ? え、病気?」
(;@∀@)「ちがっ、なんでもねーよ! 寝てr」
(;@H@)「うぐっ」
饐えた匂いが僕の身体をむしばんでいった。
足はすっかり動くことを拒否していた。
最悪宿泊も出来るコースを選んでおいて正解だった。
172
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:01:52 ID:YYGpB8GA0
(;@∀@)「……お前もう帰っていいぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「……だって縄が」
(;@∀@)「もう緩んでるよ」
ミセ*゚ー゚)リ「え、あ、ほんとだ」
ベッドの上で跳ねる音が数回したかと思ったら
弾むような足取りで、ミセリは僕の側へときた。
服は元の、というか途中で買ったあの高価なものに変わっていた。
173
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:02:24 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ー゚)リ「なになに? セックスすると吐いちゃうの?」
(;@∀@)「だからちげーって! 帰れよもう」
ミセ*゚ー゚)リ「えー、せっかく楽しみがわかってきたのに」
(;@∀@)「元気すぎない?」
ミセ*゚ー゚)リ「それだけが取り柄だったりして」
174
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:03:05 ID:YYGpB8GA0
ミセリは僕の横に屈んだ。
いつの間にかその手にはスマートフォンが二つあった。
ミセ*゚ー゚)リ□「はい、こっち向いて」
(;@∀@)「こんどは何……あれ、それ僕の」
ミセ*゚ー゚)リ「入れた入れたww」
僕のスマートフォンの上で彼女が指を滑らせて
再び見せてくれた画面には、IDが書かれていた。
175
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:03:41 ID:YYGpB8GA0
ミセ*゚ー゚)リ「SNSのID、全部これだから。適当に探してね」
(-@∀@)「……別にもう会うこともない」
ミセ*゚ー゚)リ「お、これがおにーさんのアカウントか」
(;@∀@)「ちょおおおおおお!!?」
ミセ*゚ー゚)リ「だいじょぶ、連絡くるまで話しかけないから」
176
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:04:16 ID:YYGpB8GA0
ミセ*^ー^)リ「監視はするけど」
(;@∀@)「……なんでだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「楽しかったから」
(;@∀@)「……はあ」
じゃあね、と一言残して、ミセリは部屋を出ていった。
一人残された僕は未だに吐瀉物の香りに包まれている。
這いつくばって、どうにかそれらを水に流すと
足はやっと動くようになっていた。
177
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:04:57 ID:YYGpB8GA0
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
7月8日
六時間にわたる戦闘の後、K国軍撤退。
京畿湾北西部に上陸したN国軍は同地域に軍事拠点を確立する。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
178
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:05:48 ID:YYGpB8GA0
☆
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン「あいつ、ぜってー車のこと忘れてるよな」
(゚、゚トソン「ていうか私のこともだな」
ε=(゚、゚トソン
旦(-、-トソン「そんなに楽しいことなんですかね」
179
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:06:20 ID:YYGpB8GA0
夜も更けてきた。
喫茶店の中に人は疎らだ。
夕方過ぎまでアパートの入り口を監視していたトソンだったが
近隣住民の目を気にして、やや離れたこの喫茶店へとやってきていた。
何杯目かわからない緑茶を啜り、窓の外を眺める。
朝日向の姿が見えないか、期待していたのももう数時間前だ。
どのみち彼が来たら、トソンには気配でわかる。
何も感じない今はただひたすら待つほかない。
180
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:06:57 ID:YYGpB8GA0
(゚、゚トソン「もうじき日付が回る……」
(゚、゚トソン「布団で寝たい……」
(゚、゚トソン「いっそこじあけて、無理矢理、いや、でも」
独り言を呟くのも大分手慣れてきた頃合いだ。
賑わっていた時間帯ならいざ知らず、
白鬚のマスターを含め、誰もトソンに気をかけない。
181
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:07:27 ID:YYGpB8GA0
眠気を誘うジャズが響く店内に、ベルの音がひとつ。
( )「まだ開いてるかな」
( ´W`)「注文するならね」
( )「もちろん」
口ぶりからして常連なのだろう。
マスターと軽快に話し始めたその人は
カウンターの上に大柄な身体を載せた。
どさりという音がまさしく聞こえてきた。
182
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:07:59 ID:YYGpB8GA0
(゚、゚トソン「……」
遅い時間にやってきた客を、何の気なしにトソンは見ていた。
( ´W`)「久しぶりに君を見たよ。前は毎日のように来ていたのに」
( )「こっちに用がなくなったからな。ただ、未だにここの味が恋しくなるよ」
( ´W`)「世辞を言うのはよしなさい」
183
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:08:32 ID:YYGpB8GA0
( )「本当さ。でなければいくら近くに来たといってこんな時間に寄ったりしない」
( ´W`)「それもそうか。ありがとう。で、注文は」
( )「メロン・ソーダで」
( ´W`)「……変わらないな、君は」
(゚、゚トソン(……甘党?)
184
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:09:16 ID:YYGpB8GA0
マスターが奥へ引っ込むと
客の男はカウンターに肘をつき、
両の手で頬を鷲掴みにした。
どうもそれが男の癖らしかった。
(゚、゚トソン(女子かよ……)
横顔だけでも、指に盛り上がる頬の肉付きがよくわかった。
185
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:09:52 ID:YYGpB8GA0
( ´W`)「お待遠様」
炭酸の元気に跳ねるメロンソーダを男は引き寄せた。
すぐには飲もうとしなかった。
( )「本当はあのときも、仕事じゃなかったんだ」
( )「僕は独断で動いていた。自分の直感を信じて」
( )「結局、上に嫌われて全ておじゃんだ」
186
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:10:29 ID:YYGpB8GA0
( ´W`)「よくあることだよ。気にするな」
( )「そいつは難しいよ。やっぱりイライラする」
( ´W`)「それもまた、よくあることさ」
二人の間では共通認識があるらしいが
傍聞きのトソンには内容は掴みきれない。
187
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:11:49 ID:YYGpB8GA0
( )「全くやりきれないな。こんな姿、部下には見せられんよ」
( ´W`)「ここにいるときはリラックス、ってことかい」
( )「そうだね。きっと」
( ´W`)「……ふん」
マスターの白鬚の片端が上がった。
隙間から小さく、くすんだ歯の並ぶのが見えた。
( ´W`)「松本さん、だったら嘘を言うのもやめな」
188
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:12:25 ID:YYGpB8GA0
( ´W`)「目を見ればわかるよ」
( ´W`)「あんたまだ、さらさら諦めてないんだろ」
マスターの問い掛けに、男は鼻を鳴らした。
そのままメロン・ソーダを一気に煽る。
(´・ω・`)「……ナイショで頼むよ」
頬杖がなくなったために、顔はトソンからもよく見えた。
(゚、゚トソン「うっわ、すっげえ汚い魂」
呟いたその言葉は、都合良く、0時の鐘に掻き消された。
189
:
第二話
:2017/09/14(木) 23:13:40 ID:YYGpB8GA0
第二話 緊縛
終
190
:
名無しさん
:2017/09/14(木) 23:16:05 ID:OCS9yWMo0
乙
なけなしのダウナーってこわいなぁと思いました
続き待ってる
191
:
名無しさん
:2017/09/14(木) 23:17:30 ID:5A5eAORc0
乙
展開がまったく読めないわ
192
:
名無しさん
:2017/09/15(金) 20:32:40 ID:YHYk/x8.0
そういやアサピーの国は戦争に巻き込まれてるA国K国ではないのかな
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