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終わる世界を旅するようです
1
:
◆1d/TyX49hk
:2017/08/26(土) 23:56:26 ID:1crbb7mo0
「あれはなぁに?」
ぼくは思わず大声をあげた。
指をさした先、数十日ぶりに晴れた空を、巨大な魚が悠々と泳いでいた。
ぷかり、ぷかり。
長さ数百ゼスタはあろうかという白い体躯に、大きな鰭。肉眼で確認できるほど大きな眼球は、夜を映したかのような、黒曜の瞳。
ぼくは子供ゆえの好奇心をもって、その魚を見上げた。
『……鯨』
「くじら?」
ぽつり、言葉が落ちる。それにぼくは首をかしげて、声の主を見た。
同じく隣に座って空を見ていた青年(名前はとっくに失くしてしまったので、暫定的に青年、と呼んでいる)はぼくを見て笑った。
それが少し、子供心に馬鹿にされているような気がして、ぼくは思わず頰を膨らませた。
青年はごめんね、と再び笑ってぼくを撫でる。
17
:
◆1d/TyX49hk
:2017/09/01(金) 03:20:15 ID:O1AdCc3.0
堅いパンと蒸したジャガイモ。
鳥肉の欠片が浮かぶ塩味のスープ。それから茹でたキャベツの千切りが少し。
ヒッキーたちが提供した食事はお世辞にも豪華とは言い難いが、それでも兄者の空きっ腹には酷く贅沢なものに思えた。
( ´_ゝ`)「いや悪い。すっかりご馳走になった」
(#゚;;-゚)「足りないわ」
( ´_ゝ`)「だまらっしゃい」
(-_-)「すみません、僕たちに与えられる配給からだと、これが限界なんです」
( ´_ゝ`)「(子供の配給を平らげてしまった)」
(#゚;;-゚)「大変ね。おかわり」
( ´_ゝ`)「ぎゃーん」
自己嫌悪に陥る間もなく、隣の馬鹿娘に内心目を剥いた。とりあえず、テーブルの下のでぃの足を踏みつけておいたが、思いっきり脇腹を抓り返された。この野郎。
そんな様子を見て、ヒッキーはくすくす笑った。
( ´_ゝ`)「…ごほん。しかし配給制なのか、ここ。大きい街だから、もっと自由に流通がきいてるのかと」
(-_-)「あぁ、いえ。この街ではきちんと買い物は出来ますし、お金さえあれば娯楽も可能です。よく大人が言っていますが、この街はとても豊かだから」
( ´_ゝ`)「?ならなんで」
(-_-)「僕は人間ではありません。本なのです」
18
:
◆1d/TyX49hk
:2017/09/01(金) 03:29:34 ID:O1AdCc3.0
( ´_ゝ`)「…なんて?」
(-_-)「兄者さんは、旅をしているんですよね」
( ´_ゝ`)「…あぁ」
(-_-)「なら、僕よりもっと分かっているはずです。世界は、もう、死にかけているのだから」
( ´_ゝ`)「……」
この世界は、とある流行り病によって死につつある。
名前はない。元より、付けたところで名付け親が死んでしまえば名が失くなってしまうのだから。
或る日突然あらわれたその病は、瞬く間に世界中に広がり、世界の全てを変えてしまった。
動物にも、植物にも罹りはしない。人だけに罹る病。
老若男女問わず、その病に罹ったものはみな透けて、溶けて、いつの日か存在自体が消えてしまう。そう、他人の記憶からすらも。
ーーーそんな、病だ。
(-_-)「兄者さんは、この世界に意味があると思いますか?どうせ、死んで忘れ去られていくだけの世界に、意味があると思いますか?」
( ´_ゝ`)「……」
19
:
名無しさん
:2017/09/03(日) 15:20:27 ID:tbJrIe2Q0
最悪紅白関係ないような時期になってもいいから待つぞ
20
:
名無しさん
:2017/09/13(水) 09:16:53 ID:sjzzIEaA0
何これすごくいい
兄者でぃの組み合わせ珍しくて新鮮だしヒッキーのこと含め気になる部分が多くて惹かれる
他の書き込み少ないのが勿体無いな
紅白後でもなんでも続き待ってるよ
21
:
名無しさん
:2025/05/10(土) 22:38:13 ID:cT4ab8bg0
乙乙
うわー!こういう冒険物の雰囲気大好き!!
最初の文に惹かれたし街とヒッキー達の謎も気になるし、続き書いてほしい!!待ってます!!!
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