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从'ー'从線香花火は甘口なようです

4 ◆znvwArexpA:2017/08/26(土) 22:23:46 ID:ZJZaYyds0


「ね、その"ちりぎく"ひとつ、ちょうだいな」

 その時僕は、なぜか一人で、実家の庭に立ち線香花火をしていた。
チャッカマンならひとりでつけられる、なんて言ってたくらいの年齢だったんだろう。普段なら家にいなさいと言われる、夜になるかならないくらいの、赤と青が混じった、紫色の空の時間。

从'ー'从「ね、ちょうだいな」

 大きなアサガオの柄をつけた、紫色の浴衣を着た、おかっぱで、髪の一部分を頭の横で結んだ女の子が、いつのまにかそこにいて、からころ下駄を鳴らして歩いてきた。
 今まで見たこともない子だし、入れた覚えがないのに突然いたから、僕は大声をあげそうになったけれど……、そこで思い出したんだ。


――線香花火をするときに、『ちりぎくひとぉつちょうだいな』、と言われたら、はいどうぞ、と分けてあげるんだよ。

 祖母――この時はまだまだ元気だった――の言葉だ。

――ここらへんの、こびとさんはねぇ、"ちりぎく"がだぁい好きなんだ。

――ちりぎく、ってなあに?

――それはねぇ……

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