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CARGO!!
84
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:34:32 ID:Eo9hzRWw0
俺らの目の前では、メリーゴーランドがメルヘンな光と音楽をまき散らしながら回っている
♪
https://www.youtube.com/watch?v=tn6iL1JkCHQ
( ^ω^)ノシ「パパーーーーーー!!撮って撮ってーーーーーー!!!!!」
*(‘‘)*「だうあーーーーーー!!!!」
(´・ω・`)「はいはい」
ショボンはベンチから立ち上がり、木馬に乗ってはしゃぐデブとハインをカメラに収める
ハインはともかくデブの絵面がキツい。木馬ギッシギッシ言うとるやろ
( ∵)ノシ
無表情ではしゃがれるのもキモいんだけど。キャラが掴めねえあいつ
(´・ω・`)「ハインが気がかりか?」
('A`)「……」
(´・ω・`)「無言は肯定と受けとるぜ」
('A`)「……まぁな」
以`゚益゚以「クゥーン……」
ベンチの下で寝転んでいたイトーイが、鼻を鳴らして俺の顔を見上げた
軽く頭を撫でてやると、また顔を降ろしメリーゴーランドをぼんやりと眺める。手に着いた体液を軽く振り払った
85
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:36:34 ID:Eo9hzRWw0
(´・ω・`)「ほれ、除菌シート」
('A`)「悪い」
ショボンから受け取ったウェットシートで手を拭きとる。ここ数日で随分衛生観念のレベルが随分と上がった気がする
(´・ω・`)「よっこら……悩みがあるなら聞いてやってもいいぜ?」
('A`)「……」
(´・ω・`)「おいおい、そこは『上から口調が気に入らねえ』っつー所だろうが」
('A`)「……悩み、か」
(´・ω・`)「違うのか?」
どうだろう。『悩み』であることは間違いない
だが、こいつらに伝えるまでも無いような気がする。どうせ、期間限定の悩みだ
ならいっそ、別の質問をしよう
('A`)「……ハインが邪魔だと思ったことは?」
(´・ω・`)「は?無いけど?」
即答かよ
(´・ω・`)「そりゃ、手間は掛かるけどよ。ガキなんてそれが当然だしな」
('A`)「だが、今はこんな時代だ。子供抱えるリスクはデカいんじゃねえ?」
('A`)「それに……先日の襲撃や、感染で命を落とすかも……」
(´・ω・`)「……なんだ、お前」
('A`)「ん?」
(´・ω・`)「ずっとハインの心配してたのか」
86
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:37:43 ID:Eo9hzRWw0
('A゚)
ハインの、心配……?まさか、俺は俺の気分の問題で、面倒を見ているだけ……
(;'A`)「……」
気分?気分なら、ここ数日優れてねえじゃねえか
軋轢や胸糞悪さからは、確かに逃れられた。代わりに、別の靄が心を覆っている
(´・ω・`)「自分で気づいてないようなら言ってやるがよ。お前、結構ハインに気を使ってやってるぞ」
(;'A`)「……そんな事」
(´・ω・`)「素っ気ない態度取ってる割には、衛生に気を使ってるしブーンが無茶しやがった時もマジで怒った。それに……」
(´・ω・`)「出来るだけ早く生存者を見つけてやりたいって気持ちは、ここにいる誰よりも強く感じるしな」
(;'A`)「それはっ、ただお荷物を減らしたいだけで……」
(´・ω・`)「『情を掛けると、別れが辛い』」
(;'A゚)そ「っ……!!」
87
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:38:25 ID:Eo9hzRWw0
ハインを拾った夜。乾杯をした時の、ショボンの言葉
俺は、ハインを『仲間』とするのに賛同できなかった。何故か、いや、自分で否定を……
(´・ω・`)「お前、優しいからな。俺らが危ねえ事しようとしてる時に制止してくれる。そういう存在ってのは結構ありがてえモンだぜ」
(;'A`)「それはっ……俺に被害が出ないように……」
(´・ω・`)「じゃあハインは?別に生存者に会えずにくたばっても、お前には何の被害も損もねえぞ?」
(;'A`)「ああ!!その通りだ!!どこで死のうと俺の知ったことか!!」
(´・ω・`)「じゃあどうしてあの夜、ハインを食わなかった?」
(;'A゚)「」
こいつ、起きて……!!
88
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:39:16 ID:Eo9hzRWw0
(´・ω・`)「真剣にやべえと感じたら止めようと思ったんだがな、名前を呼ばれて躊躇ったじゃねえか」
(;'A゚)「……」
(´・ω・`)「……ふぅ、悪い。別に責めようってワケじゃねえ。この話はここで終いにしよう」
(;'A`)「ッ……どうして、気づいていながら黙ってた……?」
(´・ω・`)「別に?俺はただ」
(´・ω・`)「お前もハインが好きなんだから、二度とあんな事しねえだろうって思っただけだ」
(;'A`)「……」
(´・ω・`)「さって、俺は姫様のお食事の準備をしてくるぜ。撮影役は任せた」
ショボンはデジカメを俺に手渡すと、トラックへ向かって歩き出す
俺はその背を見送ることも出来ず、手の平に収まったそれに目線を落とした
89
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:40:53 ID:Eo9hzRWw0
以`゚益゚以「ドク……」
(; A )「一人に、してくれ……」
以`゚益゚以「……」
イトーイは素直に言う事を聞き、ショボンの後を追った
メリーゴーランドから放たれる光が視界を横切り、楽しげでありながら、どこかもの悲しさを感じるBGMが遠慮なく耳へとなだれ込む
(; A )「……」
クソ、失敗だった。心の靄は更に濃くなっていく
俺はもう、俺が何かわからない。ゾンビなのか、そうでないのか
始めて、無脳種が羨ましく思えた。食欲だけに従う、恐れ知らずの生きた屍
悩みも葛藤も、不安も恐怖も無い、無敵の存在。弾丸に穿かれようとも、失う物はないのだろう
始めて、有脳種である事を疎ましく思えた。感情を持ち、死して尚『死』に怯えるバケモノ
悩みも葛藤も、不安も恐怖も確かにここにある。俺を蝕み、苦しめている
生存者であるならば、ただ己の良心と正義に従って、ハインを受け入れられた
無能種であるならば、何も感じず腹に収めればいいだけだった
神に選ばれた、『特別』な存在。人間とゾンビを掛け合わせた、矛盾
(; A )「……」
そう思っていたが、どうやら違うらしい。この、胸に渦巻く靄は正に
(; A ) 『呪い』だ
.
90
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:42:03 ID:Eo9hzRWw0
その日から、俺はハインと出来るだけ関わらないようにした
*(‘‘)*「でっぶ」
( *^ω^)「おっほwwwww俺の事デブって呼んだお!!お前らがデブデブ言うから」
*(‘‘)*「ぱっぱ」
(´・ω・`)「完 全 勝 利」
( ^ω^)「信じて送り出した赤ん坊が他人の男をパパと呼ぶ事案」
('A`)「……」
( ^ω^)「ドクオ!!お前もブサイク呼ばわりされるお!!」
('A`)「いや……俺アニメのOPで走らなきゃならないから……」
( ^ω^)「何言ってんだお前」
('A`)「じゃ」ダッ!!
( ^ω^)「ついにお脳のお腐れが加速し始めたかお……」
(´・ω・`)「……思春期なんだよ。放っておいてやれ」
( ^ω^)「童貞だから致し方ないのかお……」
( ∵)「……」
*(‘‘)*「どっく……」
91
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:42:56 ID:Eo9hzRWw0
('A`)「……」
遊園地を離れ、展示品が根こそぎ奪われた美術館や
藻と魚の死骸で水槽が濁り切った水族館
アンプや捨てられた楽器が埃を被るライブハウス
色とりどりの花と雑草に、羽虫が不快な音を鳴らす植物園
廃墟の客は俺らを除けば、無脳種ばかりだった
灰色だ。どこまでも灰色しか広がっていない
('A`)「こんな、味気ねえものだったかなぁ」
ついこの間までは、『刺激』があった気がする
錆びで覆われた鉄管が血脈のようにうねる工業地帯も
無脳種になって延々と檻を歩き回る動物の園も
風が吹き抜ける音が暗いトンネルの中から不気味に響く地下鉄も
それが今では、酷く無機質に思える
('A`)「……」
ハインという生存者と出会ってから、いずれ手を離れる赤ん坊と旅をしてから
刺激的だった場所全てに、虚しさとやるせなさを感じる
『ああ、やっぱり世界は死んでいるんだ』
有脳種という立場から新しい目線で見てみると、改めてそう思う
『場所』自体に恐怖を感じないのは、恐らく俺がもう死んでいて、暗闇から集団で襲い来る天敵がいないから
代わりに、ただただ虚しさが沸き上がるのだろう
('A`)「……」
だからだろうか
92
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:43:29 ID:Eo9hzRWw0
(´・ω・`)「遂に……」
( ^ω^)「うん、到着したお」
*(‘‘)*「あー?」
( ∵)「……」
以`゚益゚以「キューン」
生存者の住処となっている『空港』を目の当たりにした時、とても眩しく見えたのは
.
93
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:45:42 ID:Eo9hzRWw0
(´・ω・`)「侵入口は地下鉄と道路からだな。だが、周りには無脳種の群れが集まっている」
物陰に身を潜ませながら、双眼鏡で辺りを確認する。見張り台と思われる場所には、スナイパーが立っていた
ハンターがいるという噂がこれで濃厚になった。生存者にとって、これ以上安全な場所はないだろう
ただし、周りには無脳種が群れをなして徘徊している。獣に囲まれている餌の籠にも見えたが
逆に言えば、あれだけの数に侵入されていないのは、セキュリティに細心の注意を払っているからだろう
( ^ω^)「怪しまれずにハインだけ預けるにはどうすればいいのだろうか?」
(´・ω・`)「テレビのナレーションみたいな喋り方のデブ」
( ^ω^)「デブをディスりたいだけか?デブだって生きてるんだぞ?」
('A`)「……」
近づくだけなら、まぁ大丈夫だろう。今、イトーイと喋らん奴が、道路に放置された車両の一つを修理してる
ガソリンも余剰分を流し込めば、空港に近づく程度の働きはしてくれる筈
だが気掛かりは幾つかあった。まず、『赤ん坊だけ』を預けることの怪しさだ
生存者であれば、そして家族であれば、知らない他人に子供を預けて安全圏から離れるなどしないだろう
俺が受け取る立場なら、当然訝しむ。罠を警戒するだろう
そして先日逃した『生存者』だ。理性と知性を持つ有脳種の存在を知らされていたら、警戒度は更に上がる
ハイン共々『ズドン』なんてことも十分ありうる。じゃあどうするか?
('A`)「……病気」
( ^ω^)「デブは病気じゃない」
('A`)「ちげーよ病人の振りして近寄ればいいんじゃねえのかって」
94
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:46:41 ID:Eo9hzRWw0
病人、それも末期の危篤状態の振りをして近づく
幸いにも、俺らの顔色は常に最悪だ。違和感はないだろう
ついでに手土産の一つや二つくれてやればいい。実益と、良心。この二つを攻める
(´・ω・`)「……悪くねえな。土産ならバンディット共から奪った武器と弾薬をやればいい」
( ^ω^)「ちょうど、マスクやら手袋やらあるしNE!!」
それでも賭けではあるだろうが、赤ん坊連れた病人にいきなりぶっ放すようなクズじゃない限りは大丈夫だろう
(´・ω・`)「よし、じゃあお前行けドクオ」
('A`)「えっ」
えっ俺?
(´・ω・`)「お前が一番病人っぽいわ。ガリだし」
( ^ω^)「うんお。デブは生活習慣病以外じゃ病気しないから」
(´・ω・`)「それに何人も一緒に行ったらまた怪しいしな。切羽詰まった状況をアピールしねーと」
( ^ω^)「喋らん奴とか絶対無理だお?イトーイにさせる?」
(´・ω・`)「殺処分待ったなし」
95
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:47:08 ID:Eo9hzRWw0
(;'A`)「お、俺……でも……」
*(‘‘)*「ううんぬ」
最後の別れが、俺でいいのだろうか。ハインを避けて過ごしてきた俺で
(´^ω^`)「それに……俺らだと、躊躇っちまいそうだ」
( ^ω^)「うん……」
(;'A`)「……」
二人は笑った。今にも泣きだしそうな顔で
ゾンビに涙は流せない。これが、精いっぱいの感情表現なんだろう
二人とも、手放したくないのだ。それでも俺が最初に言った『生存者に受け渡すまで』という期限を守ってくれた
楽しんでいるだけじゃなく、ちゃんとハインの今後も考えていたのだ。これが正解だと、最初から理解していたのだ
(;'A`)「わかった……」
俺が言い出したことだ。最後の責任は、俺が果たさなければならない
(´・ω・`)「危険な仕事だが、お前ならやれるさ」
( ^ω^)「なんかあったら、俺らが全員ぶっ殺しにいくから安心しろお」
('A`)「ダメだろ」
96
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 11:47:22 ID:7CnT/yQ.0
ケツ筋野郎?
97
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:48:45 ID:Eo9hzRWw0
以`゚益゚以「整備、できた……」
空港から十二分に離れた場所にトラックを止めていた
移動用の車両は問題なく動くらしい。喋らん奴がイトーイの体に付いたオイルをふき取っていた
( ^ω^)「手土産と、ハインの荷物っと」
ブーンはトランクに荷物を詰め込む
着々と、準備は進んでいく。誰一人文句を言うことなく、滞りなく
(´・ω・`)「よーしよし、いい天気だねー」
*(‘‘)*「おー」
('□`)「フー……」
( ^ω^)「一応持っとけ」
('□`)「……」
手渡された拳銃を、パーカーで隠した脇のホルスターに仕舞う
使う機会が無いことを祈ろう
('□`)「ゲホッ、ゴホッ」
咳をするのも、久しぶりだ。有脳種になってから病気とは縁がなく、やり方を忘れてやしないか心配だったが
体は覚えているものだ。生きていた頃の、健康を保持するための反射運動を
98
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:50:12 ID:Eo9hzRWw0
('□`)「……行くわ」
運転席に乗り込み、ドアを閉めた。助手席には、チャイルドシートがセットしてある
(´・ω・`)「……じゃあな、バイバイ」
( ^ω^)「元気で。飯たらふく食わせてもらえお」
以`゚益゚以「クゥーン……」
それぞれが、ハインに別れを告げる
( ∵)「……」
喋らん奴はハインの服に、どこかで手に入れたのであろうクローバーのブローチをつけてやった
これがあいつなりの、別れの挨拶なのだろう
それから、ショボンの手によってチャイルドシートへと乗せられる
*(*‘‘)*「おっ、お!!」
新しい景色を、環境を見るたびに、ハインはこうして笑う
これから別れだと、理解していないのだろう。ただの、俺との楽しいドライブだと
(´・ω・`)「気をつけてな」
('□`)「……ショボン」
(´・ω・`)「なんだ?」
('□`)「……」
99
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:50:42 ID:Eo9hzRWw0
今、こいつには言わねばならない。もしかすると、帰ってこれなくなるかもしれない
('□`)「……ありがとよ。信じてくれて」
(´・ω・`)「……」
(´^ω^`)「なんてこたぁねえよ。ダチだろ?」
('□`)「……」
やはり、俺は死んでから恵まれているらしい
('□`)「ああ、そうだな」
その一言で、幾らか救われた気がした
100
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:51:47 ID:Eo9hzRWw0
('□`)「そんじゃ……出発と」
*(‘‘)*「ぱつー」
ブレーキを踏み込みキーを回す。一度では掛からなかったので、二度、三度
随分ともったいぶったエンジンがため息のように動き出し、アクセルを踏んだ
ゆっくりと、揺れないように、慎重に
('□`)「……」
バックミラー越しに、あいつらが手を振っている
やがて曲がり角へと差し掛かり、その姿は見えなくなった
('□`)「……」
*(‘‘)*「ぶっぶ、ぶっぶ」
静かな、ドライブだ。いつもの騒がしさとは無縁の、エンジン音だけが響く車内
何となく伸ばした右手で、カーステレオの再生ボタンを押した
♪Alan Cumming - I shall be released
https://www.youtube.com/watch?v=ENkkx9GqFbU
('□`)「……」
*(‘‘)*「おうー♪おー♪」
('□`)「お気に召したか?そりゃ何よりだ」
101
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:53:02 ID:Eo9hzRWw0
音に寄って来た無脳種を避けながら、空港へ走る
追いかけてきたものもいたが、軽く加速をすれば諦めてくれた
('□`)「……」
道路の案内標識が、空港への道筋を示す。すでに目と鼻の先だ
国際線ターミナル。ここが一番近いだろう
('□`)「……」
*(‘‘)*「んー?」
('□`)「ご到着、だ」
ロビーへの玄関口。見張りの生存者の顔すらわかるほどの距離
その入り口を取り囲むかのように、車や椅子や机などのバリケードが設置されている
ここからは、車は入れそうにない。降りて入り口を探すにも、無脳種が辺りを徘徊している
( ,,^Д^)「こっちだ!!こっちへまわれ!!」
見張りが手を振り誘導をしたので、それに従う
( ,,^Д^)「この先に搬入口がある!!そこから入ってくれ!!」
('□`)「はいよ……」
右手にぐるりと回ると、それらしき下り坂が見えた
しばらく下ると、中型トラック一台がすっぽりと入れそうなほどのシャッター口。そこでは
(;'□`)「ッ」
その周辺でうろちょろしていた無脳種が、生存者によって『処理』されていた
手慣れている。銃も使わず、鈍器や刃物で、あっさりと殺している
今更、俺は虎の穴に入り込むだと認識した。正体がバレたら、そこに無脳種と共に放り出されるのは俺と……
102
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:54:35 ID:Eo9hzRWw0
*(‘‘)*「がう、あー」
(;'□`)「……大丈夫だ、任せろ」
右手でハインの腹を優しく叩く
安全が確認され、シャッターが開いた。パーカーのフードを目深に被り、少しでも身元がバレないようにする
徐行で、その中に入っていく。いよいよ、勝負の時だ
人数は、無脳種を処理していた二人に、シャッター内で待機していた三人の、計五人
それぞれが銃器を携帯している。銃口は、此方に向いていた
コンコン、と窓が叩かれる。パワーウィンドウを下げた
( ・∀・)「降りてくれ、身体検査をしたい」
(;'□`)「ゲホッ、その必要はない……」
( ・∀・)「何?」
(;'□`)「俺はすぐに……ゲホッ!!ゲホッ!!」
(;・∀・)「アンタ、大丈夫か……?」
口ぶりでは心配をしていたが、右手の拳銃がカチリとなったのは聞き逃さなかった
時間は掛けられない。強引に……ここでこそ強引にいかなければ
103
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:55:16 ID:Eo9hzRWw0
(;'□`)「俺は、俺はもう、長くない。この場所で病死しちまったら、アンタらにも迷惑が、ゴホ、掛かる」
(;'□`)「だ、だが、この子だけは……この子だけが、心残りだ……タダでとは言わない。トランクに、拾った武器がある。だから……」
『娘』を
(;'□`)「……」
*(‘‘)* 娘を
この期に及んで、俺は何を躊躇っている!?『娘』と言えばいいだけだ!!
それで終わる!!この苦しみも、靄も晴れる!!バケモノとしての旅を、続けられるだろうが!!
(;・∀・)「そ、その赤ん坊か?」
(;'□`)「……ああ」
(;'□`)「『娘』を、頼みたいんだ……」
動いていない心臓が、キュウと萎んだ気がした
104
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:56:00 ID:Eo9hzRWw0
从゚Xナ从「おい、確かにすげえ数の武器と弾薬が入ってる。ありがたいぜ」
(;・∀・)「待て。勝手に……」
(;'□`)「いいんだ……身勝手を言ってるのは此方だからな……」
顔面をピアスとメイクで彩ったパンク・ガールがトランクの荷物を持って行く
対価は支払った。後は連中の良心次第だ
(;'□`)「疑わしいなら、ゲホッ、その子の身体検査をしてくれ……」
(;・∀・)「……いいや、大丈夫だ。引き受けるよ」
(;'□`)「ありがとう……すまない……」
男は助手席側に回り込み、ドアを開けた
*(‘‘)*「うにゅ?」
(;・∀・)「……別れを済ませてくれ」
(;'□`)「ああ……」
*(‘‘)*「どっく」
(;'□`)「……」
105
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:56:50 ID:Eo9hzRWw0
(;'□`)「お前は神に愛された子だ。俺達が居なくなっても、強く元気に生きられる」
*(‘‘)*「……」
(;'□`)「たらふく食って、大きく育て。ゲラゲラ笑って、絶望を跳ね除けろ」
*(‘‘)*「ひっ……」
(;'□`)「誰かを想い、恋をしろ。お前は器量良しだ。男なんて引く手数多だろう」
*(‘ )*「ひっ、ひっ……ふえっ……」
(;'□`)「サヨナラだ、ハイン」
*(;;)*「びえええええーーーーーーーーーーー!!!!!」
.
106
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 11:57:30 ID:RfqGJOE.0
くっそおもしろい
仕事遅刻確定するほど
107
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:58:11 ID:Eo9hzRWw0
泣くな、頼む
(;・∀・)「よっ、しょ……っと。ハハ、元気だ、本当に……」
*(;;)*「びえっ、びえええええええええええええ!!!!!」
最後の最後に、抵抗をしないでくれ
(;・∀・)「確かに、受け取った」
*(;;)*「びゃあああああああああ!!!!!」
ここがお前のいるべき場所なんだ。俺らバケモノと一緒にいるべきじゃないんだ
(;・∀・)「な、なぁ、アンタもッ……そ、そうか……わかった……良き旅路を」
*(;;)*「あああああああああああああ!!!!どっく!!どっく!!」
忘れてくれ。俺も、忘れるからよ
(;・∀・)「出るぞ!!開けてくれ!!」
*(;;)*「どっく!!うううううううううう!!!!」
頼む、泣くな。俺の名を呼ぶな
108
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:59:10 ID:Eo9hzRWw0
(; □ )
……じゃあな、元気で
109
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 11:59:41 ID:Eo9hzRWw0
「びえええええええええ、びえっ、びええええええええええええええええ!!!!!!!」
搬入口から出て、空港から遠ざかっても
ハインの泣き声が、延々と耳の中で響いていた
110
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:01:46 ID:Eo9hzRWw0
―――――
―――
―
('A`)「……」
(´・ω・`)「……おかえり、どうだった?」
声を掛けられて、初めて俺は帰って来たのだと気づいた
助手席を見る。主を失ったチャイルドシートが味気なく乗っかっていた
左脇が重く感じて来たので、ホルスターと拳銃をそこに投げ入れる。使わなくて本当に良かった
終わった。『荷物』を、彼女の父親が望んだであろう本来あるべき居場所へと、受け渡した
('A`)「なんか良い奴っぽい男が、引き取ってくれたよ」
(´・ω・`)「イケメン?」
('A`)「めっちゃイケメンだった」
( ^ω^)「やっぱりイケメンは正義」
身元もわからない赤ん坊をすんなり受け取ってくれた
バンディットのような生存者もいれば、彼の様な誠実を貫く生存者もいるんだな
('A`)「……」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「……ま、一先ずお疲れさんだお」
('A`)「……うん、お疲れ」
111
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 12:04:06 ID:NRxJ5GS.0
今泣いてるわ
112
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:05:28 ID:Eo9hzRWw0
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「……」
('A`)「……」
誰も口を開かなかった。すぐさまこの場から離れようと提案する者もいなかった
( ∵)「……」
唯一、喋らん奴がテーブルと椅子を出し、湯を沸かし始める
人数分のマグカップにコーヒーの粉末を入れた
それぞれ、何も言わずに席に着いた。語る言葉が見つからないまま
喋らん奴は干し人肉をイトーイに差し出す。フンフンと鼻を鳴らしてから、咥えて受け取り前足で支えて食べ始めた
('A`)「……」
静かな、打ち上げだった。まるで長い長い夢から覚めた朝のように
ゾンビは夢を見ない。だがこの一週間は夢のようであった
生存者を食う俺らが、餌である赤ん坊と行動を共にして、楽しんだり苦しんだり、寂しがったり
身は軽くなったが、地に着ける足にフワフワと浮かぶ感覚がする
腹にぽっかりと穴が開いて、スカスカになった気分だ。俺も、恐らく、あいつらも
*(‘‘)* ハイン
お前は、ガッツリと持って行きやがったんだな
お前と出会ってから、俺達が抱いた『何か』を
113
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:07:23 ID:Eo9hzRWw0
(´・ω・`)「……あのさ」
マグカップに半分ほど残ったコーヒーがすっかり冷めきった頃、ショボンが口を開いた
(´・ω・`)「一応、数日様子を伺わねえか?」
(;^ω^)「……」
('A`)「……まだ未練があんのかよ」
もう、勘弁して欲しい。あんな思いはコリゴリだ
あの身を引き裂かれるような気持ちをもう一度蘇らせたくはない
('A`)「飲んだら、行くぞ。言ったよな?生存者に引き渡すまでと」
(;^ω^)「……ドクオ」
('A`)「くどいぞ。これ以上の干渉はしない。大体、様子なんてどうやって見るんだよ。『すいません、うちの子どうですか?』なんて訪問するのか?」
(;´・ω・`)「それは……」
「出来るよ」
声は、足下から聞こえた
('A`)「……出来るって、どうする気だよ」
以`゚益゚以「……」
('A`)「イトーイ」
114
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:08:13 ID:Eo9hzRWw0
以`゚益゚以「あのね、ボク、スクラップを使って盗聴器、作ったんだ」
(;´・ω・`)そ「盗聴……ッ」
以`゚益゚以「うん。それを、ビコーズに頼んで着けて貰った」
(;^ω^)「ビコーズって……」
( ∵)「……」
(;'A`)「こ、こいつか?」
以`゚益゚以「うん」
オイオイ名前あったのかよ。なんで犬が知ってて俺らが知らねーんだよ
待て待て、盗聴器?そんなもんどのタイミングで……あっ
(;'A`)「ハインの服に着けたクローバーのブローチか!!」
以`゚益゚以「そうだよ」
なんてこった用意周到過ぎる。本当にこいつお犬様か?有能なんてレベルじゃねーぞアフターケアまで考えて……
いや、例え盗聴だろうと干渉が過ぎる。もし問題があれば、こいつらは何をしでかすかわからない
(;'A`)「だ、ダメだダメだ!!放っておくのが一番なんだよ!!これ以上関わっても誰も得しない!!」
(;´・ω・`)「安心は出来るだろ!!憂いは残らない!!お前だって気になってる筈だ!!」
(;'A`)「ッ……いいか!!終わった!!終わったんだよ!!夢は醒めた!!バケモノに戻るべきなんだ!!」
(#´・ω・`)「お前ッ……!!」
(#^ω^)「うるせえお!!!!」ドンッ!!
(;'A`)そ「ッ!!」
(;´・ω・`)「ブーン……」
115
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:09:00 ID:Eo9hzRWw0
以´゚益゚以「キューン、キューン……」
(;^ω^)「あっ……ご、ごめんお……」
テーブルに叩きつけられた拳の音に、熱くなった頭が冷めていく
( ∵)「……」
喋らん奴……ビコーズだけが、静かにコーヒーを啜った
(;^ω^)「……ドクオの気持ちも、ショボンの気持ちもわかるお。でも、ここで言い争ってても平行線だお」
(;^ω^)「だから……一度確かめて見ても、いいじゃないかお?折角、安全圏から様子を伺える手段を、用意してもらったし……」
(;'A`)「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
クソ、結局……いや、ブーンの言う事も尤もだ。言い争っていても、ショボンは折れないだろう
これで納得するってんなら、時間を無為に消費せずに済むのだから
(;'A`)「……わかった」
(´・ω・`)「……」
(´-ω-`)「わがまま言って、悪い」
(;'A`)「……」
116
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:11:09 ID:Eo9hzRWw0
( ∵)「……」
マグカップの中身を飲み干したビコーズが立ち上がり、倉庫代わりの牽引車へ向かって歩き出す
持ち出したのは、捨てられた軍用車から拾ってきた無線機だ。ただのスクラップだと思っていたが、使えるようにしていたのか
蓄電器に繋ぎ、ダイアルを回して周波数を合わせる
( ^ω^)「離れていても使えるのかお?」
以`゚益゚以「たぶん」
特有のピーガー音を鳴らしながら、無線はじりじりとハインの居場所を探る
じれったい時間だった。いっそ、故障か不良で繋がらなければとも思った
この時、俺は『シュレディンガーの猫』を思い出していた
あれは確か、箱の中にいれた猫が一時間後生きているか死んでいるかは開けてみるまで分からないという思考実験だった筈だ
今、俺たちはその『箱』を開けようとしている。本当に、これでいいのか?
ショボンは確かめることで『安心できる』と言った。だがもし、向こうでのハインの立場が危ういものだったら?
不安を通り越して、『危機感』を覚えるだろう。じゃあ次に取る行動は?諦めて旅を続けてくれるか?
(;'A`)「……」
『開けてくれるな』。いっそのこと、わからないまま過ごすほうがいい
苦しんで死ぬかもしれないが、幸せに生きているかもしれない
じれったく曖昧な絶望と希望を、時間で風化させてしまえばいいじゃないか
(;'A`)「なぁ、やっぱり……」
『止めよう』。口から出た言葉を遮るかのように
無線機から、一発の銃声が響いた
.
117
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:12:05 ID:Eo9hzRWw0
('A゚)「」
≪……え……ガキ……こ……≫
待てよ、なぁ
≪誰……み……≫
『大丈夫』と言ったよな?『引き受ける』と、言ったよな?
≪……人……せ……やめ……≫
何を揉めてんだよ。そこは安全なんだろ?
ハインは、無事なんだろ?
118
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:14:06 ID:Eo9hzRWw0
(;´・ω・`)「なんっ……クソッ!!」
初めに動いたのは、ショボンだった。双眼鏡を手に、空港が見える場所まで駆けだした
呆然としていたブーンも後を追う。俺は動けずにいた
以#`゚益゚以「ウルル……」
イトーイは黒く染まった歯茎をむき出しに、無線機の向こう側へ威嚇をする
どうにもならないのだろう。ハインにつけたのは『盗聴器』だ。発信は出来ても受信は出来ない
ここでようやく、俺の足はゆっくりと動き出した。ショボンとブーンの元へと踏み出そうとしたが
( ∵)「っ」
ビコーズに肩を捕まれ、立ち止まった
('A゚)「なん……だよ……」
( ∵)「……」
無線機、いや、『スピーカー』を指さす
イトーイお手製といえども盗聴器の精度はそれほど良くなかったらしく、断片的な会話しか拾えなかったが
罵声と怒号の隙間に、微かだが、僅かだが、聞き覚えのある声が聞こえてきた
≪アア……ビァアアア……!!……≫
ハインの泣き声が
119
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:15:39 ID:Eo9hzRWw0
(;'A゚)「生き……」
生きている。『まだ』、生きている
別れてから一日も経っていないのに、ひどく懐かしく思える
( ∵)「……」
今度は力強く肩を抱かれ、ショボン達の場所へと連れていかれる
ビコーズの歩幅に俺の足は着いていかず、幾度か縺れながらもなんとかたどり着いた
(;´ ω `)「……」
(; ω )「……」
空港がデカい施設だと言えども、双眼鏡で内部の様子を詳しく伺えるワケが無い
にも関わらず、二人は全てを理解してしまったかのように呆然自失と立ち竦んでいた
猫の入った箱ではなく、『パンドラの箱』を開けてしまったかのように
肉眼でも、空港の異常は確認できた。これまでバラバラに動いていた無脳種が
まるでコミコンの開場を待つ参加者のように、一か所に集まり始めている
(;'A`)「貸せッ!!」
ブーンの手にぶら下がる双眼鏡を半ば強引に奪い取り、レンズを覘く
120
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:16:42 ID:Eo9hzRWw0
(;'A`)「何だってんだよ……!!」
音や臭い、無脳種を引き寄せる要因は様々だが、一番はやはり『餌』を視認した時
奴らは罠も障害物も、距離も高低差も関係なく一心不乱に突っ込んでいく
食欲のみに支配された、無脳種特有の機械的な習性。例え女子供であろうとも
(;'A゚)「ッ……!!」
『窓からロープでぶら下げられ、泣き叫ぶ赤ん坊』であろうとも、習性には抗えない
(;'A゚)「……」
まるで『生餌』だ。生きたまま針に掛けられた小魚のようだ
無脳種の手の届かない位置にいるものの、それも施設内にいる生存者の采配次第で上下が出来る
何のために、何の意味があって、わざわざ赤ん坊を……!!
これが、お前の『終わり』なのか。ハイン
(;´ ω `)「……間違っていた」
ショボンから、絞り出すような声が聞こえる
(;´ ω `)「俺たちがゾンビだから……ハインは生存者だから……そんな枠組みで、あいつの居場所を決めつけたのが……」
(#´ ω `)「まだ……半日も経っちゃいねえんだぞ……それを……この扱いか……!!」
(;'A`)「ショボン」
(#´ ω `)「クソがッ!!」
121
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:17:57 ID:Eo9hzRWw0
俺の呼びかけを無視して、ショボンは車へと駆け戻っていく
(;'A`)「待て!!」
その場にいた全員が後を追う。ショボンはわき目も振らず運転席へ乗り込んだ
エンジンを掛けようとした手を、掴んで止める
(;'A`)「何をするつもりだ!!」
(#´ ω `)「何を……?決まってんだろ、取り戻しに行く」
(;'A`)「ッ、ダメだ!!言っただろ!!生存者に引き渡せば終わりだと!!何があろうとも関わらねえと!!」
(#´ ω `)「そんなもん……」
ショボンの左手が伸び、俺の胸倉を掴み上げた
(#´゚ω゚`)「聞けるかァッ!!!!」
(;'A`)「ぐっ……」
(#´゚ω゚`)「見ただろうがお前も!!あれが人のやる事か!?赤ん坊をバケモノおびき寄せるためにぶら下げてんだぞ!!」
(; A )「っ……」
とにかく、頭を冷やしてもらうしかない。それで当初の約束を思い出して、諦めてもらう他ない
しょうがねえだろ。生存者にも事情があって、善意だけじゃ動ける状態じゃないんだって
それに、取り戻すっつったってどうするつもりなんだ?今しがた、ハインと一緒に大量の武器をくれてやった
空港は無脳種に対応した要塞になってるはずだ。それに、ハンターだっている。四人と一匹で、何が出来るんだってんだ
(; A )「……だったら」
『説得』を、理性的に、なだめ掛けるようにしなければ
122
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:19:16 ID:Eo9hzRWw0
(#'A`)「だったら何だってんだよ!!!!!」
だが、激情が俺の冷静さを全て塗りつぶした
(#'A`)「俺らだって人間を食った!!良い奴だろうと悪い奴だろうと構わず、時にはふざけながらぶち殺した!!」
(#'A`)「何が違うんだよ!!俺らと空港にいる連中は!!それを棚に上げて、今更ヒーロー気取りか!?」
(#´゚ω゚`)「だっ……」
(#´゚ω゚`)「だからって放って置けるかァ!!ああ、俺らはバケモンだ呪われた死体だ!!地獄がお似合いのクソ野郎どもだ!!」
ショボンは俺の剣幕に一瞬怯んだが、すぐさま怒号を返した
(#´゚ω゚`)「だがハインは違うだろ!!こんなクソみてーな世の中でクソみてーな俺らに拾われて、それでもキラキラ笑ってた!!」
(#´゚ω゚`)「幸せになるべき『人間』だろ!!あんな、あんな結末で良い筈がねえ!!」
(#'A`)「誰にもあいつの結末を決める権利はねえ!!それに取り戻してどうするんだ!!どうせ待つのは感染か死だけだ!!」
(#´゚ω゚`)「それでも今!!!!死ぬよりはよっぽどマシだッ!!!!!」
(#'A`)「このッ……!?」
殴ってでも止めようとした瞬間、ぐいいと襟首を引かれ道路を転がった
(#'A`)「……お前もかよ、ブーン」
(;^ω^)「……」
這いつくばりながら、投げ飛ばした主を見上げる
ブーンは神妙な顔を此方へ向けることなく言葉を紡いだ
123
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:20:33 ID:Eo9hzRWw0
(;^ω^)「約束……破って悪いけど、俺もショボンと同意見だお」
(#'A`)「……」
(;^ω^)「銃声が聞こえた時、なんか、自分の中じゃ結構冷静だったお。『ああ、殺されたのか』くらいの認識だった」
(;^ω^)「で、でも、あの場所で生きていて、助けを求めて泣いてるのを見てたら、それはただ自分を誤魔化していただけに過ぎないって気づいたお」
(;^ω^)「別れたくない。助けに行きたい。これが俺の、俺たちの正直な気持ちだお」
(#'A`)「……」
どいつも、こいつも……!!
(#'A`)「それは、俺を裏切ってでも成し遂げたい物事か?」
(;^ω^)「違うお!!」
(#'A`)「違わねえよ!!現に今、危険を犯してまで助けに向かおうとしてんじゃねえか!!」
(;^ω^)「気持ちは同じだから!!!!」
(;'A`)そ「ッ!?」
124
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:21:17 ID:Eo9hzRWw0
(;^ω^)「俺たちは知ってる!!お前が誰よりも仲間想いだってことは!!だからこうして、気持ちに背いてまで俺たちの身を案じてくれている!!」
(;^ω^)「俺も、ショボンも!!ちゃんとわかってる!!これが自分の我儘だってことくらい!!お前が正しいことくらい!!」
(; A )「……」
(;^ω^)「だから……俺たちだけで助けに向かうお。一日経って、帰って来なかったら、その時は……」
(; A )「言うなッ!!やめろ!!」
行かないでくれ
(´-ω-`)「……怒鳴って悪かった」
行かないでくれ!
( ^ω^)「帰ってくるつもりだけど、『元気で』」
行かないでくれッ!!
(; A )「い……行くなァッ!!」
(;^ω )「……」
(´-ω-`)「……出すぞ、乗れ。ブーン」
125
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:50:52 ID:Eo9hzRWw0
そうだ、タイヤをパンクさせてしまえ
そうだ、あいつらの両足を切って、頭が冷めたころに治してやれ
そうだ、フロントに張り付いてダダこねてしまえ
様々な方法が浮かんだが、身体は実行に移さなかった
ドアが閉まり、エンジンが唸り、空港に向かって走り出した時になっても
(; A )「……」
( ∵)「……」
以´゚益゚以「クゥーン、クゥーン……」
その場には、蹲る俺と、ビコーズと、イトーイが残った
(; A )「……馬鹿が。赤ん坊なんて、また拾えばいいじゃねーか」
誰に聞かせるでもなく、口から文句が零れ落ちる
(; ∀ )「お、俺たちは腐れ外道のゾンビだぞ?一匹の、小腹を満たす程度の餌に何を執着してんだか」
面白くもないのに、口角は勝手に上がった
(; ∀ )「は、はは、でも清々したぜ。身勝手でうるさい連中が消えたんだ。ガキみてえな正義心に目覚めた痛々しい奴らなんて、こっちから願い下げだ」
言葉とは裏腹に、アスファルトを強く引っ掻いた爪が剥がれた
(; ∀ )「な、なぁ?ビコーズ?お前もそうだろ?こ、これから静かになるけど、落ち着いた旅が出来るんだ。なぁ?」
同意を求めようと、無口な仲間に声を掛けた
126
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:51:29 ID:Eo9hzRWw0
( ∵)「いいや、全く」
(;'A`)「えっ……?」
127
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:52:33 ID:Eo9hzRWw0
次の瞬間、顔面に膝蹴りが飛んでくる
ブーンに投げ出された時よりも強く地面を転がった
(;'A゚)「……???」
そんな事より、これまで一度も喋らなかったこいつが口を開き
あろうことか暴力まで振るったことに衝撃を受けた
( ∵)「黙って聞いてりゃ……さっきからベラベラとどうでもいい詭弁を並べやがって」
胸倉を掴み、持ち上げられる
華奢な見た目からは考えられない力強さに、喉が詰まった
(#∵)「あいつらは本心に従った!!お前はどうだドクオ!!」
(;'A`)「何を……」
(#∵)「答えろ!!」
(; A )「……」
本心?さっき言ったばかりじゃねえか。なんでわざわざ、終わった問題を掘り起こしやがる
俺が間違っているかのように、責め立てんじゃねえよ
(# A )「今、更……何も口出ししなかった奴がっ……偉そうに説教するんじゃねえ……ッ!!」
(#∵)「ああ!!俺は何も口出ししなかったさ!!だから今!!ここで!!お前に言うべきことを言う!!」
(#'A )「じゃあ言ってやるよカカシ野郎が!!赤ん坊なんてくだらねえ!!俺の命をかけてまで救ってやる義理はねえ!!」
(#'A`)「俺たちはゾンビだ!!人間を食らい、死者を増やし、世界を終わらせる存在だ!!ハインを拾って、食わなかったこと自体間違ってたんだ!!」
(#'A`)「欲望のままに貪って過ごす俺たちに!!生存者の子供を育てるなんて出来るわけねえだろ!!」
128
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:54:20 ID:Eo9hzRWw0
(#∵)「なら何故今まで食わなかった!!自分でケリを着けられた筈だ!!」
(#'A`)「知ったことかよ!!ただの気まぐれだ!!」
(#∵)「別れ際にハインに掛けた言葉も気まぐれだったのか!?」
(;'A`)そ「ッ!!」
ビコーズがポケットからインカムを取り出し、眼前に突き付けた
そうか、『盗聴器』。こいつ、聞いて……
(#∵)「生存者!!ゾンビ!!世界!!俺たちの命!!ハインの身!!そんな建前なんざ聞いちゃいねえ!!」
(#∵)「『お前』だ!!お前がどうしたいか!!それが『本心』だ!!ゾンビらしく、自分勝手に、自己中心的に……」
(#∵)「『欲望』を曝け出してみろよ!!!!」
.
129
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:55:08 ID:Eo9hzRWw0
(;'A`)
(; A )「っ……」
130
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:56:45 ID:Eo9hzRWw0
【 *(‘‘)* 】
最初に見た時は、衝撃だったな。こんなに可愛い赤ん坊に出会ったことが無かった
連れてきた父親を、放って置かずにちゃんと埋葬してやればよかった
【 *(*‘‘)* 】
ハインの為に物資を集めたり、設備を増やしたり
普段の狩りや探索と違って、新鮮だった。ミルクから感染しやしないかヒヤヒヤしたが、何事もなかった
【 (´^□^`) 】
面倒はショボンに任せっきりだったな。ミルクからオツムやら、夜泣きまで見事にこなしていた
ベビーシッターで培ったと言っていたが、本当はもっと別の理由があったかもしれない。聞けずじまいだったが
【 ( ^ω^) 】
あいつが最初にやらかした時は、頭が真っ白になった。本当に人騒がせな奴だ
でもその後は、ちゃんと弁えて遊んでやっていた。ハインも、ずっと楽しそうに笑ってた
【 *(*‘‘)* 】
名前を呼ばれた夜、実は少し嬉しかった。あれが無かったら、俺は自分の弱さに負けて食ってしまったかもしれない
それからハインを避け続けたのは、これ以上関わると引き返せなくなると思ったから。生存者に、引き渡せなくなると思ったから
【 *(;;)* 】
ああ、手放した時は泣いていたな。赤ん坊ながら、別れを察したんだろう
あの時、心に抱いたのは『罪悪感』だったか?いや、違う。有脳種になってから忘れていた、人間の……
身を引き裂かれるような『愛おしさ』だ
.
131
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:57:38 ID:Eo9hzRWw0
( A )「……いたい」
本音を塗り固めていた、嘘と誤魔化しのメッキが剥がれていく
目頭に、じんわりと熱が広がった。瞳の奥から、何かが込み上げてきた
(;A;)「一緒に、いたい……!!!!」
押し込んでいた想いが、涙と共に溢れ出す
(;A;)「ハインと、ショボンとブーンと……お前らともずっと一緒に旅をしたい!!」
(;A;)「おっ、お、俺だって!!助けたいさ!!助けて抱きしめて、『ごめんな』って謝りたい!!」
(;A;)「でっ、でも!!こ、怖いんだよ!!死んじまうかもしれない、お前らを失うかもしれないって思ったら!!動けなかった!!」
( ∵)「……」
以`゚益゚以「……」
(;A;)「俺は空港の、生存者たちを見た!!バンディットや他の生存者たちとは違って、あっさりと無脳種を狩っていた!!」
(;A;)「そんな連中に……クソ、クソォ!!俺ぁ、タマ無しの臆病者だ!!赤ん坊見捨てて逃げちまった方がいいって、そう思っちまった!!」
( ∵)「……」
以`゚益゚以「……」
(;A;)「ううう〜〜〜〜!!!!クソ、チクショウ……!!!」
132
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:58:41 ID:Eo9hzRWw0
( ∵)「……ドクオ」
胸倉を掴んでいた両手が、今度は俺の両肩を掴む
涙で視界が滲むのも本当に久しぶりで、ビコーズの顔はぼんやりと歪んでいた
( ∵)「俺も、あいつらも、お前が逃げても隠れても、責めたりはしない。お前の『怖い』という感情を否定しない」
( ∵)「だから、『選べ』。後悔しない選択をしろ。お前は本心を打ち明けた」
(うA )「……グスッ」
( ∵)「どこで、何をするか。欲望のまま選べ。確かに世界は終わっていて、生存者もゾンビも俺達も全部クソだ」
( ∵)「それでも、いや、だからこそ、今の世界は『自由』だ。誰にも縛られず、誰にも裁かれない。さぁ……」
( A )「……」
( ∵)「どうする?」
『どうする』?決まってる。泣いて喚いて、本音ぶちまけて……
ここで退いたら、男が廃る
('A`)「……」
133
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 12:59:38 ID:Eo9hzRWw0
そうだ、俺は『有脳種』。欲望のままに人を殺し、喰らうバケモノ
人の理性と感情と知性、ゾンビのパワーと不老不死を併せ持つ、『この世界に適応した存在』だ
何を恐れることがある。空港にいるのは多少活きの良い『餌』だ。パンにビビる奴どこにいるんだ?
('A`)「……」
生存者を……バンディットを狩った時と同じだ。バケモノの怖さを見せびらかし、上から押しつぶすかのように殺しちまえ!!
奴らの巣を徹底的に叩き、燃やし!!屈辱と苦痛を存分に味わわせてやる!!
('A`)「往こう」
覚悟は出来た。ショボンやブーンと同じく、『身勝手』を突き通す覚悟が
( ∵)「そうこなくっちゃな」
以`゚益゚以「ワンワン!!」
ビコーズがトラックの運転席に、イトーイが隣に座る。俺も助手席に乗り込んだ
( ∵)「音楽をどうぞ、Mr.DJ」
('A`)「ああ……一ついいか?」
( ∵)「なんだよ」
('A`)「どうして今まで喋らなかった?」
( ∵)「ああ、アッハッハ。いや、なに、ウケ狙いだ」
(;'A`)「……」
( ∵)「アッハッハッハッハ!!行くぞ!!」
開いた口が塞がらないまま、ウォークマンの再生ボタンを押した
134
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:00:16 ID:Eo9hzRWw0
♪Nickelback - Burn It To The Ground
http://blog.livedoor.jp/saqauten/archives/cat_605074.html
.
135
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:02:06 ID:Eo9hzRWw0
トラックが道路上の車を撥ね飛ばし、車体がガクリと揺れた
『少々荒いドライブになるぞ』。ほんの数分前の運転手の言葉だが、少々所の話じゃない。舌噛みそう
(;'A`)「無脳種の数が減ってる……」
( ∵)「ショボンが連れて行ったんだろう。もしかしたら、到着したころには既に地獄絵図かもな」
二人の後を直ぐに追ったつもりだったが、茫然としていた時間が思ってた以上に長く、ニ十分近くが経過していた
切り替え遅ぇんだよ俺。そんなんだから童貞のまま死んだんだよ。あれ?可笑しいなまた涙が
(;'A`)「俺も傍目でしか見ていないが、結構な要塞に仕立て上げられていた。無脳種の集団だけで攻め落とすには時間が掛かるぞ」
( ∵)「なるほど……所で、その要塞は大型車が突っ込むことも想定して築かれた物なのかな?」
(;'A`)「えっ、いや、わからん……バリケードとかは車やら椅子やらで作られ……お前まさか」
( ∵)「折角だ、派手に行こうぜ」
ビコーズは鮮やかな手並みでシフトレバーを動かし、ギアを上げていく
(;'A゚)「ヒィッ」
以`゚益゚以「ムグ」
思わず隣のイトーイを抱きしめてしまうほど、前例のない猛スピードでトラックは走る
右側のサイドミラーが標識のポールによって吹っ飛び、フロントガラスにはゴミやら小石やらなんやらがビシビシとぶつかって皹を作る
( ∵)「ハハァ!!見えたぜ!!」
(;'A゚)「はぇ?」
バリケードで覆われた玄関口には、無脳種が殺到していた
時折、『パパパ』と連続したフルオートの銃声が複数聞こえた
136
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:03:01 ID:Eo9hzRWw0
( ,;^Д^)
俺を誘導した見張りを始めとした、生存者の応戦部隊が戦っているらしい
(;'A`)「ショボンとブーンは!?」
(;∵)「そんな事より伏せろォ!!」
咄嗟にイトーイに覆いかぶさり頭を下げる
瞬間、フロントガラスとシートの背もたれに風穴が複数開いた
(;'A`)「撃たれ……無事か!?」
(;∵)b「大丈夫だ!!致命傷で済んだ!!」
(;'A`)「なら良……くねぇなぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!死ぬ奴だなそれ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
(;∵)「胸に一発当たったくらいで有脳種が沈むか!!」
まるで戦艦ミズーリ乗務員のような頼もしさだ。でも紛らわしいんで致命傷とか言うのやめて欲しい
(#∵)「つっこむぞ!!つかまれッ!!」ウォンッ
(;'A`)「ッ!!」
無脳種の列をまとめて轢き殺し、バリケードに衝突する
ひと際大きく車体が跳ねた後、ゆっくりと左手に傾き横転した
(;'A゚)そ「オギャーーーーーーーーーーーーーース!!!!!!」
フロントからサイドまで窓ガラスは全て粉々
荷台の物資や水のタンク、牽引しているオンボロ車、まとめて全滅だろう
137
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:05:03 ID:Eo9hzRWw0
(;'A`)「痛った……くねえけど、無茶すんじゃねえよ!!」
以` 益 以「」
( ∵)「ぼんやりしてる暇はねえぞ!!このトラック吹っ飛ばす!!」
(;'A`)「ハァ!?何!?」
( ∵)「爆発させるっつってんだよ!!出るぞ!!」
以`゚益゚以そ「フゴッ」
(;'A`)「お、おう!!」
ビコーズはイトーイと一緒にフロントから、俺はドアを蹴破り、車内から飛び出す
後方からはなだれ込んだ無脳種のうめき声と足音、そして現在進行形で食われている生存者の叫び声が響いた
( ∵)「こんな事もあろうかと、イトーイと一緒にトラックを魔改造してて良かったぜ」
(;'A`)「どういう想定してんだよ……」
( ∵)「爆発オチを所望された時に一発ドカンとぶちかましてやろうと思ってな!!」
(;'A`)「え、ええ〜……」
( ∵)「さぁ走れ走……おっとォ!?」
ポップコーンの様に床が弾ける
二階へ繋がるエスカレーターから、無数の生存者がライフルを発砲しながら近づいて来ていた
( ∵)「こっちだ!!」
(;'A`)「ッ!!」
動きながらの射撃だ。命中精度が良いとは言えない
それでも流れ弾が頭に当たるだけでゲームオーバーだ。それに、受ける傷は少ないに越したことは無い
両手で頭を庇いながら低い姿勢で荷物預かり所の受付カウンターに身を隠した
138
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 13:06:08 ID:xx5fqGZI0
ずっと無言だった奴が急にこんな熱い奴になって戸惑うわ
139
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 13:06:09 ID:cAdFD4320
クッソ…おもしれえ…
今年はまた本気で優勝狙ってやがる…
上質なゾンビ映画の脚本みてぇだ
140
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:06:32 ID:Eo9hzRWw0
(;'A`)「ど、どうする?」
以`゚益゚以「キューン」
( ∵)「予定に変更は無い!!」
(;'A`)「い、いや、無脳種がこっちなだれ込んでくるから任せてもいいんじゃね?」
( ∵)「……」
(;'A`)「……」
以`゚益゚以「?」
( ∵)つ凸 スッ
(;'A`)「えっ何そのあからさまなボタン」
以`゚益゚以「起爆ボタンだよ」
(;'A`)「ご丁寧に説明どうも」
( ∵)「キラークイーン……」
(;'A`)「待て待て待て待てオイオイオイオイ」
( ∵)「第一のb以`>益<以∴「ヘブシッ」あっ」ポチッ
(;'A゚)「ピィ!!」
141
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:07:28 ID:Eo9hzRWw0
. -‐ニ ̄ニ‐- .
_/ \_
=二 ̄ / ',  ̄二= ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
 ̄7'' ―― ___ ―― 戈 ̄
――― 从,,i ; `. 、 .尢r、―――――― ンオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!
/\じ'jl|此ト=メ i;_,,爻,,i| 刈ゞメ
``‐ヾ:;!Iヅ 〃!iメト辷-" ^
.
142
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:08:22 ID:Eo9hzRWw0
(;'A゚)「」
以´゚益゚似そ「キャインキャイン!!」
( ∵)「……」
(´∵)「ひえ〜……木っ端微塵や……」
(;'A゚)「ばっ、ば……馬鹿かお前!!!!!!!!」
腹の底まで響く爆発音、背中をドンと殴られたような衝撃、カウンターを乗り越えて頬を舐める熱風
チラリと様子を確認してみると、トラックは炎上。無脳種だか生存者だかわからねえ肉片が、チリチリと焦げながら壁に張り付いている
心地よい景観を作り出していたであろう天窓は吹っ飛び、鉄骨がむき出しになった天井から、大人一人を余裕で下敷きに出来るような瓦礫が落ちた
それより今まで一番大人しかった奴が一番のイカレだった時の俺の気持ちわかる?ブーンでもまだ多少弁えるぞ
( ∵)「だってやりたかったんだもん!!」
『もん』じゃねえよ気持ち悪いな
( ∵)「いや大丈夫だってそんな気持ち悪い表情作ってで睨むなよ」
('A`)「睨んでねえし、表情を作ってもいない」
( ∵)「個性があって羨ましいな……おおっと、こいつはやべえ」
瓦礫は落ち続けている。身体が燃えようとも構わず侵入してきた無脳種が押しつぶされ、枯葉色の華を派手にぶちまけた
ロビーはもうダメだ。いずれ全て崩れ落ち、進退ままならぬ場所になるだろう
143
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:09:04 ID:Eo9hzRWw0
('A`)「敵……を、気にしてる場合じゃねえな」
( ∵)「俺は見てみたいぜ〜?トラックが爆発して天井から瓦礫が落ちて、それでも構わず突っ込んでくる無脳種をぶち殺す命知らずをよ」
('A`)「そんなイカレコミック・ヒーローみてーな生存者がいるわけが……」
<イイイイイイイイイイイイイイイイイハァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!
('A`)「!?」
( ∵)「!?」
_
(#゚∀゚)「死ね死ね死ね死ねクソゾンビ共がァァァ!!!!!!!」
いたよ。腰だめに構えたミニミをぶっ放すイカレ野郎が
(;'A`)「ど、どうする?生存者はあいつ一人っぽいけど」
( ∵)「弾ギレ……を待つ暇は無さそうだな。かと言って飛び出せばお前の顔面よりはマシな肉塊が出来上がるだけだ」
('A`)「お前の顔面を個性豊かにしてやろうか」
( ∵)「……おい、待て。イトーイは?」
('A`)「は?」
い……ない!!マジでいない!!どこいった?瓦礫に潰された!?ちゃんと待てが出来る子なのに!!
少なくともブーンよりは賢い子なのに!!!!
144
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:09:28 ID:Eo9hzRWw0
( ∵)「理由もなく勝手に離れる奴じゃねえ……どこに……!!」
(;'A`)「……いたぞ!!あそこだ!!」
カウンターから頭を出して見てみると、瓦礫を掻い潜りながら軽快に走る
以`゚益゚以「ハッハッハッ」
イトーイの姿。その行き先は
_
(#゚∀゚)「ハーーーーーーーーーーハハハハハ!!!!」
銃声と建物の崩壊音で耳がバカになってるバカ
145
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:10:18 ID:Eo9hzRWw0
_
(#゚∀゚)「ハハハハハハ!!!!」
以#`゚益゚以「グルォアッ!!!!!!」
_
(;゚∀゚)そ「ハぁ痛ッんんんんんんあああああああああああああ!!!!!!!??????」
真横から飛びつき、首筋を肉食獣の牙が食いちぎる
仰け反った銃口が放物線を描き、弾丸が崩れた天井から覗く空へと吸い込まれていった
( ∵)「ワォ」
('A`)「グロ注意」
<ひぎゃあああああああああああああああああ!!!!!ひっあ、ひいいいいいいいいいいい!!!!!
<あ……がっ、ゴポォ、き……
バカの結末なんて大抵こんなもんだろう
( ∵)「とにかくチャンスだ!!行くぞ!!」
('A`)「おっしゃ!!」
カウンターを跳び越え、一目散に空港の奥へと走り出す。その時
(;'A`)「ッ!!イトーイ!!」
(;∵)「チッ!!」ダッ!!
以`゚益゚以「ワン?」
口元をバカの血で染めたイトーイがいる位置の天井が
(;'A`)「逃げろォォォーーーーーー!!!!!」
大きく、崩れ落ちた
146
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:13:26 ID:Eo9hzRWw0
(;∵)「来いッ!!」グイッ
以`゚益゚以そ「ワン!?」
真っ先に駆け出したビコーズが、イトーイを抱きかかえ
(;'A゚)「」
その姿を、瓦礫の雪崩がかき消した
(;'A゚)「……嘘だろ」
余りにも呆気なく、目の前で仲間が死んだ。二人も
(;'A゚)「……ぎっ」
ガクリと崩れそうになった膝を、叩いて無理やり力を込める
今にも喚きだしそうな口は、奥歯を食いしばり飲み込んだ
まだ、礼も言ってなかったのに!!
(;'A゚)「……クソ」
(#'A゚)「クソォォォーーーーーーーーーーー!!!!!!」
だが、俺は覚悟をした。身勝手を突き通すために、何かを失う覚悟を
二人の犠牲に、足を止めるわけにはいかない。ロビーの崩壊はまだ進行している
進もう。ハインが待っているから―――――
147
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:14:19 ID:Eo9hzRWw0
―――――
―――
―
(;'A`)「迷った!!」デデドン!!
と、勇んで進んだのは良いが
来た事も無い空港じゃ土地勘もクソも無かった
今は国際線搭乗口付近。正面ロビーの地獄からは考えられないほど無脳種も生存者もいない
しかし、『いた』形跡は確かに残っていた。血、もしくは腐った体液を流して倒れる人型の肉がそれだ
(;'A`)「ええい、どうして空港ってのはこうクソ広いんだよ!!」
ハハ#ロ -ロ)ハ「フリーズ!!」
(#'A`)「うるせえクソビッチ!!口がお精子くせえんだよ!!」
女子トイレから飛び出してきたブロンド女が拳銃を向けて警告をしたが
そんなもん当然聞かず腹に蹴りをくれてやる
ハハ;ロ -ロ)ハ・'.。゜「ゲロッ!!」
手ごたえならぬ『足ごたえ』は十分だ。口からはゲロと血がニキビを潰した時の膿のように噴出し
背中からは血飛沫が舞った。真っ二つに折れた背骨が、肉と皮膚を貫通して飛び出したのだろう
(#'A`)「こいつは頂いていくぜ」
手を放れた拳銃を拾い、マガジンを抜き取り残り弾数を確認する。残り五発か
『SIG SAUER P220』。精度の良い拳銃だが、マガジン容量が少ないのが難点だ
(#'A`)「ねえよりマシか……」
いつものように背中側のベルトに差し込み先を目指す
こんな事なら拳銃置いて来なきゃよかった
148
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:15:02 ID:Eo9hzRWw0
辺りからは銃声や悲鳴が聞こえていたが、まともにかち合ったのはさっき殺した女が初だ
どれだけ遠くにいるのかわからないが、とにかく音が聴こえる方に向かえばいい
「ヴァアア……」ガンッ!!
「オオオオ……」ガンッ!!
('A`)「おっ」
二匹の無脳種が、スタッフ・ルームの扉を叩いているのを見つけた
奴らの行動原理は『食欲』。餌にしか興味を示さず動かない
('A`)「……」
足下を見渡してみるが、使えそうな物は落ちていない。拳銃は弾が勿体無い
('A`)「ハァーーーーーー……」
同胞を襲うようで少々……いや、やっぱ全然気もなんも引けねーわ
とにかく気にせず、頭を拳でぶち抜かせて頂いた。これだから無脳種は汚くて嫌なんだ
('A`)「……」
拳銃を引き抜き、左手でドアノブに触れる
一呼吸を置き、一気に開け放った
(#'A`)「ッ!!」
(メ;・∀・)「!!」
中には案の定『生存者』が。それも、血の臭いをプンプンとさせている
互いに拳銃を向け、一瞬の硬直。この男には見覚えがあった。ハインを受け取った優男だ
149
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:15:54 ID:Eo9hzRWw0
彼の傍らには
从 Xナ从
頭を撃ちぬかれたパンク・ガール
肩の『咬み傷』と、床と壁に付着した血しぶきを見るに、どうやらゾンビになる前に『ケリ』を着けたらしい
(メ;・∀・)「……君は、あの赤ん坊の?」
(#'A`)「ああ……」
男の拳銃を持つ腕にも、同様の咬み傷。最早長くは無い
手前の頭を撃ちぬかなかったのは、最後の一発を彼女に譲ったからだろう
(#'A`)「お前、言ったよな?『引き受ける』と。なら何故ハインをあんな目に遭わせた?」
(メ;・∀・)「っ……そうか、見ていたのか……だから彼らはッ……あんなに怒り狂って……」
(#'A゚)「ッ!!」
怒り狂っているのは、俺も同じだ
男の拳銃を蹴り飛ばし、自分が持つそれのグリップで頬を殴りつける
そして、胸倉を掴んで持ち上げた
(#'A゚)「その傷だと以て半日でお前は世界人口の大半を成す連中のお仲間になる」
(#'A゚)「頭をぶち抜いて殺すのは、今のお前にとっちゃ救いでしかねえ。だが、痛めつける事は出来る」
(メ; ∀ )「グッ……」
(#'A゚)「苦痛はお望みじゃないだろう?楽にして欲しければ、無駄口叩かずさっさと答えろ」
きっと、ここでの正しい質問は『ハインの居場所はどこだ?』だろう
だが、聞かずにはおけなかった。人間でありながら、悪魔の所業を行った
(#'A゚)「何故ハインをあんな目に遭わせた?」
生存者の腹の中って奴を
150
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:17:28 ID:Eo9hzRWw0
(メ;・∀ )「アレが……僕の本意だと思ってるのか……?」
(#'A゚)「じゃなきゃなんだ?無脳種の皆様にお披露目したくて、渋々あんな方法を取ったのか?」
(メ;・∀ )「違う……!!僕じゃない……!!」
ふと、靴に僅かな振動が起こった
(#'A゚)「……」
見ると、血の斑点がポツポツと出来上がっている
血の出どころは、咬まれた男の腕……ではなく、『太腿』から。脚を伝って滴り落ちていた
(#'A゚)「……撃たれたのか」
(メ;・∀ )「この場所は……既に終わってた……ハンターが現れてから……」
なるほど、無線から聞こえてきた銃声は『これ』か
(メ;・∀ )「確かにっ……彼らには武力があった……経験も……」
(メ;・∀ )「だが傲慢でもあった……空港を訪れた生存者も、病人や怪我人……彼らに取って『使えない』と判断を下された者は、受け入れを拒否された……」
(メ;・∀ )「常に見返りも……求められた……食料、水、酒に女……この城の、王……いや、暴君として……君臨していた……」
(メ;・∀ )「そんな彼らが……益にも得にもならないっ、赤ん坊を……受け入れるワケがなかった……良心が、残っていると信じていたが……」
(#'A゚)「……すると、てめぇはこう言いたいわけか?『僕は抵抗したがハンターがハインを窓からぶら下げた致し方なかったすまない許してくれ』と」
(メ;・∀ )「……」
(#'A゚)「……チッ」
151
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:23:22 ID:Eo9hzRWw0
例えどんな理由があろうと、ハインは危険に晒された
生存者に……目の前のこいつに対する怒りが収まる訳じゃない
俺は聖職者でもねえし、心が広い一般人でもねえ。自由で勝手な『ゾンビ』だ
(#'A`)「ハインの居場所は?」
(メ;・∀ )「展望フロア……廊下を右手に真っすぐ進み、突き当りをまた右……」
(メ;・∀ )「とはいえ、もう……遅いかもしれないが……」
(#'A`)「黙れ。俺は最後まで諦めない」
胸倉を突き放し、男に背を向ける。どうせ拳銃は弾ギレで、脚は使いもんになんねえ死にぞこないだ
そうだ、冥途の土産をくれてやろう。『彼ら』と言ったな。ハンターは『複数』いたって事だ
(#'A`)「……ミニミを担いだバカはハンターか?」
(メ;・∀ )「……ああ、そうだ」
(#'A`)「喜べ、奴は死んだ。バカに見合った、バカらしい死に方でな」
(メ;・∀ )「そりゃ……胸がすくような気持ちだ」
(#'A`)「……」
(メ;・∀ )「待ってくれ、キミは何者だ……?」
(#'A`)「……」
何度も何度も、殺す直前の生存者に聞かれた質問だ
俺はいつもこう答えた。『知ってどうする?』と
だが答えてやろう。ハインの為に脚を撃たれた、誠実な男の為に
(#'A`)「……『バケモン』だ。飛び切りのな」
振り返り、弾丸を一発頭にくれてやる
(メ ∀ )
('A`)「……礼だ。じゃあな『人間』」
152
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:24:20 ID:Eo9hzRWw0
―――――
―――
―
(;'A`)「……どうなってやがる」
展望フロアはもぬけの殻だった。いや、確かに『激戦』を想像させる痕跡は残っていた
床を覆う無脳種の死体。八つ裂きにされた『食い残し』
( 、 メ川「ア、カヒュッ……」
その中で、まだ息のある女が残っていた
(;'A`)「おい、赤ん坊は!?」
( 、 メ川「だ……れ……?」
瞳は明後日の方向を向いている。まともに見ることも叶わないのだろう
左の鎖骨から腹にかけて、身と皮膚を抉り取られていた。これでもまだ生きているのは、『感染』が進んでいる証拠だ
しかし、こうなってからそう時間が経っているようでは無さそうだ
(;'A`)「赤ん坊だ!!お前らが窓から吊り下げた赤ん坊!!無事なのか!?」
( 、 メ川「……つ、れ……った……バケ、もの……」
(;'A`)「ッ……!!」
ショボンとブーンはハインを回収したらしい。だが、この目で確かめるまで安心できない
(;'A`)「どこへ……どこへ向かった!?」
( 、 メ川「カヒュッ……ゲボッ、アアア……」
最後の溜息を吐き、口からどす黒い血を大量に吐き出した女は
無脳種特有のうめき声を鳴らし始めた。時間切れだ
153
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:25:12 ID:Eo9hzRWw0
<アアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーッス!!!!!!
(;'A゚)そ「ッ!!」
ショボンの声だ。無脳種をおびき寄せる、あの特有の叫び声!!
このエリアから更に奥から聞こえてきた。移動して……いや、恐らく『逃げている』!!
(;'A゚)「ショボン!!!!」
起き上がろうとした女の頭を踏みつぶし、声の元へとひた走る
頼む、間に合ってくれ。ビコーズやイトーイのような最後を見るのは、もう沢山だ
(;'A゚)「クソ……クソッ!!」
この期に及んで、自分の弱さが怨めしくて堪らない
俺があの時、怯えずにハインの救出に乗っておけば。ビコーズやイトーイに気を使わせず、同行させておけば!!
何にも変わっちゃいなかった。生前からの臆病さは死んでも治っちゃいなかった!!
(;'A゚)「ッ……!!」
(メ;´ ω・`)
(; ωメ)
――――見つけたッ!!!!
154
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:26:35 ID:Eo9hzRWw0
呼び寄せた無脳種の群れから、何かを庇うように蹲る二人の姿
(,#メ゚Д゚)「オラオラオラオラクソザコがァ!!」
(*;゚ー゚)「ギコ君、早く!!」
男女二人が、追いかけてくる無脳種の頭を的確に撃ち抜きながら階段を駆け上っている
(,#メ゚Д゚)「こいつはオマケだ」
男が腰のホルスターから、『卵』を抜き取り、ピンを抜いた
(;'A゚)「手榴……!!」
考えるより先に、腕が動いた。男が投球モーションに入ったのと、俺が駆け出し、拳銃を向けたのはほぼ同時
(#'A゚)「っっっっせるかァァァ!!!!!!!!!!」
残り少ない弾数を、構わず全部撃ち尽くす
(,;メ゚Д゚)そ「うおっ!?」
その内の一つが手すりに命中し、火花を散らした。驚いた男の手から手榴弾が零れ落ち
階段を一つ、二つと跳ね、床に転がった。二人の、すぐ傍に―――――
(;'A゚)「ッ……オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
引いてしまいそうになる脚に、更に力を込め加速する。無謀でも無茶でもここで前に出ねえと!!
こんな場面だが、俺は今まで観た映画のシーンを思い出していた
『キャプテン・アメリカ』や『キングスマン』。周りに遮蔽物がない場合、手榴弾の爆発をどう防ぐか。その答えが映し出されているからだ
155
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 13:26:57 ID:7CnT/yQ.0
ドクオは自分本位な考えだなー
156
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:27:40 ID:Eo9hzRWw0
(;'A゚)「ッッッラァ!!」
無脳種の一体にタックルをぶちかまし、そのまま手榴弾を覆い被さるように倒れ込む
爆破した際に八方へ飛び散る『破片』を、肉の盾で防ぐのだ
(;'A゚)「ッッッ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
歯をギュッと食いしばった。手榴弾の起爆は、ピンを抜いてから三秒だっけか五秒だっけか
クソ、『長ぇ』。たった数秒が、ここまで長くk
(; Aメ)そ「ガッ!!!!」
耳から脳内を貫くような、『ボン』という鈍い爆発音と共に、無脳種の腐った腸が汚泥の間欠泉のように噴出した
塞ぎ切れなかった細かな破片が、胸元から顔面までグサグサと突き刺さっていく
:(; Aメ):「カヒュ、ヒュウ……」
右側の視界が黒く染まっている。どうやら、『潰れちまった』らしい
157
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:28:23 ID:Eo9hzRWw0
(;^ωメ)「!!!!!」
(メ;´・ω・`)「!!!!!!」
や、やいのやいの、言うんじゃねえよ。耳も少々怪しいんだ
待ってろ、今そっちに行くからよ
:(#'Aメ):「 !!!!!」
無事な左側の視界も、左右に揺れている。脚は痙攣を起こしたかのように震えていた
二人を中心に集まってくる無脳種に、軽く押されるだけでぶっ倒れそうだ
:(#゚Aメ):「 !!!!!」
それでも前に、前に、前に!!
無脳種を掻き分け、肘で殴りつけ、二人の―――――
「おぎゃあああああああああ!!!おぎゃあああああああ!!!!」
;(;゚Aメ):「!!」
―――――三人の元へ
158
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:29:21 ID:Eo9hzRWw0
:(;'Aメ):「……!!」
後から後からやってくる無脳種に押し込まれるような形で
たった数メートル足らず先の『目的地』に、ようやく到達することが出来た
そこで、俺の足はガクリと崩れ落ち使い物にならなくなる
どうやら、ここが俺達の終着点らしい
(メ;´・ω・`)「ハ、ハハ……遅、かったじゃねえか……」
ショボン
(;^ωメ)「待ち……くたびれた、お……」
ブーン
*(;;)*「おぎゃあああああああああ!!!!おぎゃああああああああ!!!!」
そしてハイン
(メ;´・ω・`)「しくっ……じ、ちまった。怒りに任せて、無脳種を呼びッ……このザマだ……」
:(;'Aメ):「……」
俺達は、けたたましく泣き声を上げる奴らにとっての『ご馳走』を守るかのように肩を組んだ
四方八方から手が伸び、服を掴み、皮膚を削ぎ、肉を徐々に剥がされていく
ショボンは無脳種を『遠ざける』事も出来るが、この物量とハインの泣き声があっては、その手は意味を為さないようだ
159
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:29:58 ID:Eo9hzRWw0
(;^ωメ)「首謀者の……ハンターも、逃がしちまったお……ごめん……」
:(;'Aメ):「ア……」あやまるな
:(;'Aメ):「……」
クソが、声帯もやられてやがる。今際の際に言葉を交わすことも許してくれねえってのか。神様
これが罰ってんなら、甘んじて受け入れてやる。だが……
*(;;)*「びえっ、びええええええええええ!!!!」
この子だけは、この子を巻き込むのだけはやめてくれよ
:(;'Aメ):「……」
祈るだけ、無駄か。最後に、こうして出会えただけでも救いなのだろう
:(;'Aメ):「……」
(メ;´ ω・`)「……」
(; ωメ)「……」
オイオイお前ら、これから地獄に逝くってのに
:(;'∀メ):「……」
(メ;´ ω^`)「……」
(;^ωメ)「……」
笑ってんじゃねえよ。全く
160
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:30:32 ID:Eo9hzRWw0
:(;'∀メ):「……」
(メ;´ ω^`)「……」
(;^ωメ)「……」
.
161
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:31:25 ID:Eo9hzRWw0
(;'∀メ)「……」たのしかったぜ
(メ;´ ω^`)「俺もだ」
(;^ωメ)「俺も」
.
162
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:31:49 ID:Eo9hzRWw0
.
163
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:32:16 ID:Eo9hzRWw0
「グルルルルゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
.
164
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:33:13 ID:Eo9hzRWw0
「イーーーーーーーーーーーーーハァ!!!!!!!!ハレルヤァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
.
165
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:35:08 ID:Eo9hzRWw0
(;゚Aメ)そ「ッ!!」
地獄の番犬のような唸り声、オツムが焼き切れた悪魔のような高笑い
黙示録を思わせる弾丸の咆哮が俺達の頭上を通り過ぎ、イナゴの如く無脳種を食い荒らしていく
(;^ωメ)そ「なんだお!?誰だお!?」
(メ;´・ω・`)そ「誰の声だ今の!?」
(;゚Aメ)「……」
俺が、俺だけが聞いた声だった
「本日フライト予定の『F・U・C・K13号便 地獄行き』は、急な弾丸の嵐によりキャンセルですっと」
俺を奮い立たせ、愚直に仲間を助けに走り、死んだと思っていた男――――
「ワンワン!!グルルルル!!」
率先して窮地から道を切り開き、瓦礫に押しつぶされたと思っていた愛犬――――
( ∵)「ビコーズ・エアー。またのご搭乗をお待ちしています」
ビコーズと
以#`゚益゚以「あっち行け!!ウウーー!!」
イトーイの、姿が
166
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 13:37:29 ID:6zGwL1k.0
ビコーズイケメンすぎかよ………
167
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:37:36 ID:Eo9hzRWw0
(メ;´・ω・`)(;^ωメ)「「喋らん奴ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」
( ∵)「ビコーズな。チッ、しつけぇクソ共だな……こっちも弾ギレか」
銃口から煙を上げる『ミニミ』を手放したビコーズは、奥から新たに走り寄ってきた無脳種の群れの前に立つ
( ∵)「食い止める!!ハインをあやしてサッサと追い払えショボン!!」
(メ;´・ω・`)「お、おうよ!!でもお前どうやって……」
( ∵)「俺の能力は『戦闘向き』だ。心配すんな……」
ビコーズが両腕を振るうと、仕込み刃のように手首から『鋭利な白骨』が飛び出す
(#∵)「よっとオラァァァァアアアアアアアアアイ!!!!!!!!」
先頭の無脳種の大口に右手の『刃』を押し込み、気合いの入った雄たけびと共に横に薙ぐ
刃の軌道上にいた数体の無能種の首が容易く断ち切られ、砂の入ったボールのように鈍い音を立てながら転がった
切断面からは焦げた臭いと僅かな煙が上がり、それが『高熱』によるものだと物語っていた
以#`゚益゚以「グルルルルルル!!!!」
イトーイも無脳種に飛び掛かり、顔面の肉を噛み千切る
(メ;´・ω・`)「よ、よぉ〜しよしよし、いい子だから、いい子だから泣き止んでくれ……!!」
*(;;)*「びええええええ!!びえっ!!びえええええええええ!!!!」
後は、ハインが泣き止んでくれれば……
168
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:38:41 ID:Eo9hzRWw0
しかし、相手は赤ん坊だ。『はいそうですか』とすんなりと泣き止むわけがない
ましてや、ゾンビの集団に狙われている最中だ。大人だって泣き叫びたくなるほどの恐ろしさだろう
『泣き止んでくれ』なんて、酷な話だ。怖いものは怖いのだから
(;'Aメ)「……」
(;^ωメ)「ドクオ……?」
例えば、クローゼットの中にいる『ブギーマン』に怯える子供に、親は何をしてやれるか
『あれはただの暗闇だ』と諭すか?明かりをつけたまま眠ることを許可するか?
お袋は違った。今やもう顔も、飯の味も思い出せないが
今、この時、この場に限って、救いの手を差し伸べるように鮮明に記憶が蘇っていく
*(;;)*「びえええええええええええええええ!!!!!」
小難しいテクニックも、面倒も無かった。お袋はただ、幼い『想像力』という悪魔に苛まれる俺の頭にキスをして
(;'Aメ) 大丈夫
(;'∀メ) ママがついている
と、笑いかけてくれたんだ
それが、どれだけ安心したか。どれだけ、救われたか
169
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:39:45 ID:Eo9hzRWw0
(;^ωメ)「は……ハハ、こ、こんな時まで笑わせるなお」
(メ;´^ω^`)「ククッ、相変わらずブサイクなツラだ。笑うと特にひでぇ」
二人から、いつもの軽口が飛んでくる。罵倒の一つでも飛ばしたい所だが、今は甘んじて受け入れてやる
なぁハイン。お前も俺の顔を見てゲラゲラ笑ってただろう?忌々しい顔面だが、お前が喜んでくれるならブサイクも悪かねえ
(;'∀メ) 頼む
*(;;)*「びえええ!!びええええええええええ!!!!」
(;'∀メ) 笑ってくれ、笑ってくれ
*(;;)*「びえっ、び……」
(;'∀メ) 笑ってくれ!!!!!!!
.
170
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:40:36 ID:Eo9hzRWw0
*(;;)*「……」
*(;;)*「どっく」
(;'∀メ)「!!」
*(;;)*「どっく、ヘッ、イヘヘ、どっく、どっく!!」
(;'∀メ)
ああ、神様。アンタって奴ァ
*(*;;)*「どっく!!どっく!!えひっ、えひひ!!」
俺が産まれた瞬間から、とっくに『特別』を与えて下さってたんだな
171
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:41:17 ID:Eo9hzRWw0
「ススススススススーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッア!!!!!!!!!!!!!!」
無脳種を追い払う、ショボン独特の気持ち悪い叫びが
この日、最後の記憶となった―――――
172
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:41:43 ID:Eo9hzRWw0
.
173
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:43:09 ID:Eo9hzRWw0
―――――
―――
―
*(‘‘)*「だー」
新しい『住処』であるトラックに荷物を積み込む手を止め、チャイルドチェアから呼ぶ声に応える
('A`)「どうした?」
*(‘‘)*「あう」
たどたどしい手つきで指さす先には、蝶々が一匹フワフワと飛んでいた
『もっと近くで見たい』と暴れ出す前に、抱きかかえてやる
('A`)「今年も暑くなるぞぉ」
*(‘‘)*「うー?」
174
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:43:58 ID:Eo9hzRWw0
夏の始まりを知らせる蝶は、風に揺られて気ままに飛び
そのまま、『人の原型』を僅かに残した黒焦げの山に止まった
『あの日』くたばった無脳種の成れの果てだ。傷も完治しない内に運び出してガソリンブチ撒いて燃やしたやつ
放っておいたら腐って衛生的にヤバいからな。クッソ適当だが、これもまぁ火葬ってことで勘弁して欲しい
生存者に関しては、今更説明するまでも無いだろう?あんだけ派手に暴れ回って電源設備が無事だったのマジで奇跡。冷蔵庫パンパン
( ∵)「赤ん坊を誘拐する事案発生」
売店からかっぱらったDVDが入った箱を持ってきたビコーズが、冗談めかして話しかけてくる
今までは無口で何考えてるかわからない野郎だったが、この一か月で結構なお喋りだと思い知らされた
俺らが見てない所で、イトーイとは会話をしていたらしい。なんでお犬様とのコミュニケーションを優先してんだよ
( ∵)「今夜はポイント・ブレイクかバッド・ボーイズ2、どっちにする?」
('A`)「俺向きなのは?」
( ∵)「どっちが先かだ」
('A`)「ホット・ファズで」
( ∵)「最高のチョイスだ」
サイモン・ペグとニック・フロストのコンビはどの作品も最高だ
175
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:46:05 ID:Eo9hzRWw0
( ∵)「身体の調子は?」
('A`)「右目がちょいと不自由になっただけで、後は問題ねえよ」
( ∵)「お前の唾でその顔面がちょっとはマシになれば良かったのにな」
('A`)「ハイン言うたれ」
*(‘‘)*「め!!」
( ∵)「この仲良しさんめ」
この空港に一か月足止めされてたのは、主に治療とこの住処を用意するためだ
俺とショボン、ブーンの傷は……まぁ詳細は省くが端的に行ってヤバかった。俺とか顔面の右半分千切れかけてたし喉にも穴開いてた
それが唾つけただけで治るんだから有脳種って怖い。ただ、潰れた右目だけは再生できなかったので生存者の物を一つ失敬して癒着させた
若干見えづらくなったが、完全失明に比べりゃ御の字だ。これも唾着けて眼孔に押し込んだらちゃんと機能するって何なんだよこえーよ
('A`)「残りの荷物は?」
( ∵)「連中が持ってくる。積んだらいよいよ出発だな……っと、噂をすれば」
( ^ω^)「デブのご帰還じゃ!!道を開けろ!!」
(´・ω・`)「デブって歩くだけで邪魔だよな」
('A`)「止まってても邪魔」
( ^ω^)「常人の二倍の包容力あるんですぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜↑」
*(‘‘)*「ぱっぱ!!」
(*´^ω^`)「おお〜う!!おいでハインちゅあ〜〜〜〜ん!!パパがギュッとしてあげよう〜〜〜〜〜!!」
両手に抱えていたパンパンのボストンバッグを落として近づいてきたショボンに、ハインを手渡してやる
なんだかんだ言って一番懐かれてるんだから正直嫉妬してしまう。今度食事にウンコ入れよう
176
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:48:04 ID:Eo9hzRWw0
▼・ェ・▼「よいしょ」
('A`)「人間味よ」
トラックの最終チェックをしていたイトーイが、車両下から這い出てくる
姿が違うって?ちょうどダルメシアンの革で作ったコートが落ちてたもんだから、上手い事こう、な?
クルエラ・デ・ビルでもいたのかね?あんなガリガリのババア食っても不味そうだが
▼・ェ・▼「ガソリン満タン!!いつでも走れるよ!!」
( ∵)「ご苦労さん。さぁお嬢様方!!馬車に乗り込みな!!」
( ^ω^)「苦しゅうなくてよ」
( ∵)「お前の中のお嬢様感」
( ^ω^)「わっかんねーおそんなもん。謎のフリすんなお」
バッグを荷台に放り込み、簡単だが最終チェックをする
食料、水、オーディオにDVDの山。それと武器弾薬に、赤ちゃん用品
('A`)「荷物はこれで最後だな?」
着替えの入ったボストンバッグを置いて、確認を取る
(´・ω・`)「いいや、まだ残ってるぜ」
('A`)「あ?」
(´・ω・`)「一番大事なモンがな」
そう言って、ショボンは荷台に乗り込む。イトーイとビコーズもそれに続く
(´・ω・`)「さ、これで『全部』だ。運転よろしく頼むぜ。お姫様は特等席にどうぞ」
*(‘‘)*「うー!!」
('A`)「……」
177
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:48:49 ID:Eo9hzRWw0
なるほど
(´^ω^`)
( ^ω^)
( ∵)b
▼・ェ・▼
*(‘‘)*
『荷物』、か
.
178
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:50:31 ID:Eo9hzRWw0
( ^ω^)「行き先は?」
シートベルトを閉めながら、助手席のブーンが聞いてくる
そういや、次の目的地についてなんも話し合わなかったな。っつーことは、俺の裁量で決められるってワケだ
('A`)「さぁな?自由な旅だ。好き勝手やろうぜ」
( ^ω^)「おっお!!殺して、奪って、食らう!!」
('∀`)「ああ、お前が言った通り『今までと同じ』だ」
( ^ω^)「こいつぅ!!」
ゾンビに犬に、赤ん坊。ごった煮の『荷物』を積んで旅を続けよう
生存者にハンター、バンディット。それに無脳種まで敵に回っちまったが、上等だ
こちとら天下の有脳種。ゾンビのタフさに人間の知性
そして可愛い『お姫様』を抱えた、この世界に適応した最高のバケモノ――――
('∀`)「精々、楽しもうじゃねえか」
誰にも縛られず、誰にも裁かれない、自由でクソッタレな終末の世界を
.
179
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:50:59 ID:Eo9hzRWw0
(* ^ω^)「フフ……」
(*'A`)「フフッフ……」
(´・ω・`)「いやかっこつけてる所悪いんだけど早く出せよ」
( ∵)「すげー気持ち悪いわ」
▼・ェ・▼「キューン」
*(‘‘)*「へっ」
('A`)「……」
( ^ω^)「……」
('A`)「行くか……」
( ^ω^)「ヘコむわ……」
('A`)「腹は」
( ^ω^)「はいはいヘコまないヘコまない」
180
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:51:47 ID:Eo9hzRWw0
('A`)「さーて、そんじゃ……」
エンジンを掛け、アクセルをゆっくりと踏み
('A`)( ^ω^)(´・ω・`)「「「出発!!」」」▼・ェ・▼(∵ )
*(*‘‘)*「ぱつー!!」
ウォークマンの再生ボタンを押した―――――
.
181
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:52:38 ID:Eo9hzRWw0
♪
https://www.youtube.com/watch?v=4Ba_qTPA4Ds
.
182
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:53:36 ID:Eo9hzRWw0
CAST
♪
♪
('A`)
(ヽ )ヽ ドクオ
〜ノ ヽ
♪
('A`≡'A`)
/( )ヾ
< > ♪
♪
ノ
('A`)
( (7 ♪
< ヽ ピッ
183
:
◆rUCCxWiwxg
:2017/08/26(土) 13:54:01 ID:Eo9hzRWw0
♪ ♪
( ´^ω^) ))
(( ( つ ヽ、 ♪ ショボン
〉 とノ )))
(__ノ^(_)
♪
(( (^ω^` )
♪ / ⊂ ) )) ♪
((( ヽつ 〈
(_)^ヽ__) ♪
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