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(´・ω・`)ぼくらの「825」のようです
1
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 02:10:13 ID:SqT1CRpo0
紅白作品です
82
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:15:53 ID:SqT1CRpo0
8月4日
左足を見つけた。
もちろんだ。
流石なオレらが未たからにはもう全心してくれ。
これはもともとオレらがはじめたことだからな。
よろしく頼むぞ、みんな。
.
83
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:16:46 ID:SqT1CRpo0
――8月4日
(´<_` )
( ´_ゝ%)「この足はオマエの足だな、弟者」
(´<_` )「兄者、日記にはなんて書いてあるんだい?」
( ´_ゝ%)「んっ?いま、流石な兄が書いた日記を読みたいと言ったのか?
その青と緑の目からカンドウとソンケイのナミダを流すジュンビはできたかい?
できたならば、いいだろう!これより読み聞かせをはじめる!」
(´<_` )「ぜんぶ兄弟の名前語で書いてくれたなら、
兄者なんかにおねがいしないで書いたり読んだりできるというのに」
( ´_ゝ%)「しかし兄弟の名前は日記に書けないって書いてあったぞ」
( ´_ゝ%)「オレの名前語になってしまうな?」
(´<_` )「どんな風に?」
.
84
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:17:32 ID:SqT1CRpo0
( ´_ゝ%)「兄兄者兄者兄者者、兄者!」
(´<_` )「ふふっ。いらない」
( ´_ゝ%)「ははっ!そうか!」
(´<_` )「なんと言ったんだ?」
( ´_ゝ%)「『流石だよな、オマエの兄!』」
(´<_` )「絶対にいらない」
( ´_ゝ%)「ははっ!照れ屋さんめ!」
( ´_ゝ%)「この中指と薬指と胸は妹者、腕と親指と人差し指と首と腹は姉者か」
( ´_ゝ%)「右手の小指もオマエだな」
(´<_` )「よくわかるな、兄者」
( ´_ゝ%)「わかるさ。なんせ兄弟だからな。わからないのか?弟者、オマエは?」
(´<_` )「わからないさ。なんせ兄弟だからな。だれがだれだっておんなじだよ」
.
85
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:18:12 ID:SqT1CRpo0
――8月5日
(*^ω^)「姉者ーおようふく持ってきたおー!」ドサッ
∬ ´_ゝ`)「まあ!ワタシのために、こんなにたくさん?」
(*^ω^)「好きなだけえらんでよ!これとかどうかお?」
∬ ´_ゝ`)「そうね。ワタシ、これがいいわ。ブーンがえらんでくれたんだもの」
(*^ω^)「姉者がそれがいいって言うなら、それがいいお!」
(*^ω^)「おっ?これボウシもついてるお!キレイだお!
でも姉者のお顔がかくれちゃうお……」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。せっかくだから帽子もいただくわ」
( ^ω^)「ほかにはどれがいいお?」
∬ ´_ゝ`)「ううん。これだけでいいわ」
( ^ω^)「ひとつだけでいいのかお?」
∬ ´_ゝ`)「ひとつだけで充分よ。ありがとう、ブーンはやさしい子ね」
.
86
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:18:56 ID:SqT1CRpo0
8月5日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうは指をいっぱい見つけたお!
ママのおへやから■■のおようふくを持ってきたお。
どれがいいのかわかんなくって、両手いっぱい持ってきたお。
■■はまっくろいワンピースを「これがいい」って言ったお。
■■がいいって言うなら、ボクも「それがいい」って言ったお。
ほんとはね、なんだっていいんだお。きっとなんだって似合うお!
あとからママたちがきて、カミナリをおとされたお。
いたくていたくて、ナミダがポロポロでてきたお。ちょっとしたらとまったお。
ママが「ソウギヨウのおようふくがない」って言ってたお。
ヒミツの中のヒミツの場所にかくしたから、■■もおようふくもぜったいに見つからないお。
ママ、ちょっとだけかしてください。あとでぜったいに返しますから。
ボクのトモダチへ。
やった。トモダチがいっきに4人も!
左手さんがいっぱいだお。
.
87
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:19:52 ID:SqT1CRpo0
――8月6日
(´・ω・`)「妹者のお兄さんってたのもしい人だね」
l从*•∀•ノ!リ人「えへへっ。おっきい兄さんはねー、たのもしくっておもしろくって!
ちっこい兄さんはー、しっかり者でいつもみんなのお世話してくれて!
姉さんはー、強くってキレイでやさしいのじゃ!」
(*´・ω・`)「大スキなんだね」
l从*•∀•ノ!リ人「大大大大大スキなのじゃ!」
('A`)「オマエのでっかい方の兄さん、かっこつけてるけど字まちがってるぞ」
('A`)「『未た』は『来た』、『全心」は『安心』だろ」
(´・ω・`)「ドクオだって人のこと言えないじゃん。字へたっぴだから書かないくせに」
('A`)「ぶつぞ」
(;´・ω・`)「やめてよね」
.
88
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:20:35 ID:SqT1CRpo0
l从•∀•ノ!リ人「ワタシも日記書きたいのじゃ!」
('A`)「自分の名前しか書けないんだろ?自分の名前語でもつかうのか?」
l从*•∀•ノ!リ人「名前語……名前語!名前語!」
(*´・ω・`)「それはいい考えだね!」
(;'A`)「いいもんか!ああもう忘れろ忘れろ」
l从•д•ノ!リ人「ドクオ、おねがいなのじゃ!」
(´・ω・`)「ボクからもこのとおり!晩ごはんのおかずいっこあげるから!」
('A`)「はあ。しょうがないな、一言だけだぞ?」
(*´・ω・`)「そうこなくっちゃ!」
l从*•∀•ノ!リ人「わーい!がんばるのじゃー!」
('A`)「一言だけだからな。どの言葉にするんだ?」
l从`•∀•ノ!リ人「それならもう決めてあるのじゃ!」
.
89
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:21:23 ID:SqT1CRpo0
8月6日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
ツボの中から腕のはんぶんを見つけた。
もうひとりが「ニノウデだからくっつけられる」ってくっつけたよ。
でもなんだかさみしそう。はやく先っぽを見つけてあげなくっちゃ!
それとね、じつはいま■■とヒミツのトックン中なんだ。
ヒミツの中のヒミツのトックンだから、みんなにはヒミツだよ!
いつか見せられる日まで、楽しみにしておいてね!
ボクのトモダチへ。
おようふく?まっくろいボロボロのドレスをきてなかった?
前に■■が兄弟みんなでパーティーをしたときのドレスだよ。
.
90
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:22:11 ID:SqT1CRpo0
8月7日
会おう。
日付は8月10日。
時間は6時。
場所はここの入り口。
侍ってるぞ。
.
91
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:23:00 ID:SqT1CRpo0
――8月8日
(*^ω^)「ずんちゃっちゃーずんちゃっちゃー♪」
∬ ´_ゝ`)「ブーン、重くない?」
(*^ω^)「クマさんのぬいぐるみみたいに軽いお!」
(*^ω^)「体がなおったら、またボクとおどってくれるかお?」
∬ ´_ゝ`)「よろこんで。ブーンがそれがいいなら、ワタシもそれがいいわ」
(*^ω^)「やった!ずんちゃっちゃーずんちゃっちゃー♪」
∬ ´_ゝ`)「ふふ。楽しいね、ブーン?」
(*^ω^)「ごきげんのおどりだお!」
∬ ´_ゝ`)「ごきげんのおどりだね。よっぽどごきげんなことがあったのね?」
(*^ω^)「これからあるんだお!えっとねー、ほら、日記のここのとこ!」
(*^ω^)「8月10日、6時!みんなに会えるんだお!」
.
92
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:23:53 ID:SqT1CRpo0
(*^ω^)「ヤクソクとか、マチアワセとか、はじめてのことばっかりでドキドキしてるお」
∬ ´_ゝ`)「ほんとね、すっごくドキドキ聞こえる。ブーンはすごいね」
(*^ω^)「ドキドキってすごいことかお?」
∬ ´_ゝ`)「ええ。こんなにすばらしい音ってないわ」
(*^ω^)「ねぇ、姉者?ボクはまだお外に出られないからできないけど、姉者は知ってるかお?」
(*^ω^)「ヤクソクとかマチアワセって、どうしたらいいんだお?」
∬ ´_ゝ`)「待ち合わせの相手を見つけてあげるのよ」
(*^ω^)「わかった!みんなを見つけてあげるお!」
∬ ´_ゝ`)「もし約束の時間になっても相手が見つからなかったら、
ずっとそこで待っていてあげるか、キミから迎えにいってあげてね」
(*^ω^)「うん、わかったお!」
.
93
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:24:50 ID:SqT1CRpo0
8月8日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
会いたいお!
でもボクはまだお外にでられないないお……。
だから、ここからみんなを見つけたら、おっきな声で歌うお!
「らーらららー」って歌が聞こえたら、それがボクだと思ってお!
.
94
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:25:49 ID:SqT1CRpo0
――8月9日
(´*・ω・`)「どうしよう、ドクオ!みんなに会えちゃうよ!」
('A`)「いくっきゃないだろ」
l从*•∀•ノ!リ人「会うっきゃないのじゃ!」
(;´・ω・`)「あっでも、先生が知らない人に会ったらだめだって」
('A`)「でたな、ヨウカイいい子ちゃんめ」
(;´・ω・`)「なんだって!」
l从•д•ノ!リ人「ショボンはおっきい兄さんたちに会いたくないのじゃ?」
(;´・ω・`)「そりゃあ会いたいよ!だってトモダチだもん!あっ……」
『トモダチじゃなくっちゃトモダチには会えないよ』
『オマエはいい子か?それともトモダチか?』
(;´・ω・`)「……うっ、会う!会うよ!トモダチのがいいもんね!」
l从*•∀•ノ!リ人「うん!ショボンはトモダチなのじゃ!」
.
95
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:26:39 ID:SqT1CRpo0
('∀`)ノ「けけけ。ショボン」
(;´・ω・`)ノ「な、に?」
(;´・ω・`)人('∀`) パシンッ
('∀`)「ようこそのハイタッチ」
(;´・ω・`)「えっ?えっ?」
ヾl从*•д•ノ!リ人「あー!ワタシもやるー!ワタシもやるのじゃー!」
('∀`)「なんでだよwwwあーはいはい」
('∀`)人l从•∀•*ノ!リ人 ペチッ
l从*•∀•ノ!リ人「ようこそのハイタッチ?」
('∀`)「よくやったのハイタッチ」
ヾl从*•∀•ノ!リ人「ショボンも!ショボンも!」
(*´・ω・`)ノ「うん!」
(*´・ω・`)人l从•∀•*ノ!リ人 ペチッ
(*´・ω・`)「なんのハイタッチ?」
l从*•∀•ノ!リ人「えっとね、大スキのハイタッチ!」
.
96
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:27:20 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「もしもみんなに会ったらどうする?」
('A`)「決まってるだろ、約束するんだよ」
('A`)「またいつか会おう、って」
(´・ω・`)「またいつかの日に会えたら?」
('A`)「また約束するんだよ」
(´・ω・`)「いいね、それ」
('A`)「……なあオマエさ、これはもしものはなしなんだけど、もしもだよ?」
('A`)「もしも、先生がわるい人だったらどうする?」
(´・ω・`)「えっ……どうしてそんなこと聞くのかな?」
(;'A`)「いや、もしものはなしだよ!わかるか?ウソんこのはなしってこと!」
(´・ω・`)「どうするって、そんなの……」
(´・ω・`)「こらしめるに決まってるじゃないか!」
.
97
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:28:06 ID:SqT1CRpo0
8月9日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
会おう会おう!こんなのってまるで夢みたい!
知らない人と会っちゃだめって先生は言ってたけど、ボクたちトモダチだもんね!
もしも会えたら、ヤクソクしようね!
「またいつか会おう」って!ぜったいだよ!
.
98
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:28:46 ID:SqT1CRpo0
8月10日
どうしてこなかったんだ?
.
99
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:29:23 ID:SqT1CRpo0
――8月11日
l从•∀•ノ!リ人「のじゃ?」
(´・ω・`)「おはよう、妹者」
l从*•∀•ノ!リ人「ショボン!」
(´・ω・`)「へへっ。きちゃった」
l从*•∀•ノ!リ人「3日ってあっというまなのじゃ」
l从*•∀•ノ!リ人「ちょっとまぶたを閉じたら、みんなとすぐ会えるのじゃ」
(´・ω・`)「それがまだ2日なんだよ」
(´・ω・`)「10日にみんなで会う約束してるって言ったね?」
(´・ω・`)「でもね、ずーっとまってたって、だーれもこなくってね」
.
100
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:30:17 ID:SqT1CRpo0
(#'A`)「一言わるぐちを言ってやらないと気がおさまらない。
このままでは世にもおぞましいことをしてしまいそうだ!」
(´・ω・`)「ドクオがずっとこんなかんじなんだよ。10日の日記を見てから、もっと怒っちゃって」
(´・ω・`)「みんなと会うの楽しみにしてたからね」
l从•∀•ノ!リ人「世にもおぞましいことって?」
(´・ω・`)「なんだろう?ゴミ置き場にとじこめられること?」
l从•д•ノ!リ人「ひとりだけオヤツぬきにされること?」
(´・ω・`)「棒でたたかれたり、紐でぐるぐるにされたり、石をなげられること?」
l从•д•ノ!リ人「おっきい兄さんとのイタズラがバレて、ちっこい兄さんにセッキョウされること?」
(;´・ω・`)「ひゃ〜!」
l从;•д•ノ!リ人「ひゃ〜!」
('A`)「それは、こっちの、セリフだ、と」キュッキュッ
.
101
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:30:48 ID:SqT1CRpo0
8月11日
それはこっちのセリフだ。
(;´・ω・`)「よしなよ。きょうはボクらの日じゃないでしょ」
('A`)「よさなくない!」
(;´・ω・`)「『これは気にしないで』って書かなくっちゃ」
(´・ω・`)「えっ」
.
102
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:31:22 ID:SqT1CRpo0
8月11日
それはこっちのセリフだ。
どういう
(´・ω・`)「『どういう』
8月11日
それはこっちのセリフだ。
どういうことだ?
(´・ω・`)「『ことだ?』」
.
103
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:32:00 ID:SqT1CRpo0
(;´・ω・`)「ドクオー!!ドクオドクオドクオ!!」
('A`)「な、んだよ急に。怒ったのかよ?」
(;´・ω・`)「いいから見て!!すごいよ!魔法だよ!
日記からね、文字がね!うかんできたんだ!」
('A`)「なに言ってんだよ」
8月11日
それはこっちのセリフだ。
どういうことだ?
だれかいるのかお?
('A`)「なんだこれ……」
.
104
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:32:43 ID:SqT1CRpo0
8月11日
それはこっちのセリフだ。
どういうことだ?
だれかいるのかお?
日記に文字が浮かんできた。
これはただごとじゃないぞ。
みんなかお?いるのかお?
みんなそこにいるの?でも見えないや。
ときに落ちつけ。
このままではだれがだれだかわからないな。
まずはオレの自巳紹介からはじめようじゃあないか。
みんな、流石なオレに読いてくれ。いいな?
オレは兄者……流石兄者だ。よろしく頼む。
.
105
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:33:38 ID:SqT1CRpo0
おっおー!ボクは内藤
↑まって!知らない人にはほんとの名前じゃなくっていいんだよ!
えっ。
わかったお。ボクはブーンだお!
そ、そうだぞブーン!ほんとの名前じゃなくっていいんだぞ!
(;´・ω・`)「書く前に書かれちゃったけど。もしかして流石兄者ってほんとの名前なのかな」
l从•∀•ノ!リ人「おっきい兄さんのほんとの名前じゃよ!ワタシ、流石妹者っていうのじゃ!」
(;´・ω・`)「あちゃー……だまっておいてあげようね」
('A`)「また字まちがってるんだよなあ」
ドクオ「この方が見やすいかな。オレはドクオ。こっちはトモダチのショボン」
ショボン「↑またかってにショボンって言った!」
ショボン「はじめまして!あれ?はじめまして、はちょっとちがうかな?」
ショボン「でもこうやって文字でおはなしするのははじめましてだよ!すごいや!」
.
106
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:34:41 ID:SqT1CRpo0
兄者「きのうはどうしたんだ?」
ドクオ「↑ソイツはカガミにむかって言うんだな」
ショボン「きのうボクらちゃんと時間どおりいったよ。
6時に。オバケヤシキの入り口に。まっくらになるまで待ってたんだから」
ブーン「オバケヤシキ?」
ショボン「だってここときたら、ハイキョでまっくろ!
オバケだってにげちゃうくらいのオバケヤシキだよ!」
兄者「カガミの中のオレも流石だったぞ」
ドクオ「ほんとにカガミにむかって言ってきたのか?あきれた!」
兄者「きのうはオレも狐児院の入り口にいたぞ。
日ごとに赤くなっていく夕ぐれを見てた」
ブーン「ボク、マドからおうちの入り口を見てたお。ひとっこひとり見つからなかったけど」
ショボン「みんなここにいた、ってこと?」
ドクオ「なあ。これって、もしかして」
ショボン「きっとボクもキミとおんなじこと考えてる」
ブーン「おっ?なになに?なんだお?」
兄者「どうやらオレらは別世界にいるようだな」
.
107
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/25(金) 03:37:37 ID:SqT1CRpo0
すみませんねむけにかてませんでした
つづきはまた夜に
108
:
名無しさん
:2017/08/25(金) 05:25:59 ID:myPnPVIQ0
待ってる
109
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:37:35 ID:OaVkALts0
ドクオ「パラレルワールドってやつだ」
ブーン「パラレルワールド」
ショボン「パラレルワールド」
ドクオ「オレたちは絶対に会えないくらい遠い遠いとこにいる、ってことだよ」
ブーン「会えないのかお?ほんとのほんとに?
ボク、トモダチに会えるならなんだってするお!」
ショボン「なーんだ、がっかり。一回でいいからみんなに会いたかったな」
ドクオ「こうしてはなしてるだけで、キセキみたいなもんなんだよ」
.
110
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:38:31 ID:OaVkALts0
兄者「みんな、オレのはなしを聞いてくれ。ずっと気になってた」
兄者「ブーンのところにいるのはオレの姉、
ドクオとショボンのところにいるのはオレの妹だと思う」
兄者「オレのところにいるのはオレの弟だ」
ショボン「3人ともベツジンってこと?どおりではなしがすれちがうと思った!」
ドクオ「どういうことだ?集めてるのはひとりの体だろう?」
ショボン「どうしたら■■と兄弟をまた会わせてあげられるかな?」
ブーン「おっ?おっ?どういうことだお?」
兄者「まあ侍て。くわしい自巳紹介は自分の番になったらすることにしよう」
ドクオ「↑あちこち漢字まちがってる」
兄者「えっ」
.
111
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:39:19 ID:OaVkALts0
――8月12日
(´・ω・`)「空が真っ赤だね」
('A`)「きのうよりずっと赤いな」
(´・ω・`)「赤い。あしたになるごとに、どんどん赤くなってる気がするよ」
l从?∀?ノ!リ人「お部屋が真っ赤っかじゃ!もえてるみたいなのじゃ」
('A`)「もえるわけないだろ」
('A`)「そろそろ戻った戻った。
オレは体さがし、ショボンは日記、オマエは文字の練習だ。返事は?」
(´・ω・`)「はーい」
l从?∀?ノ!リ人「はーい!レンシュウはまかせるのじゃ!」
('A`)「あー……オレのマネっこからはじめような」
('A`)「まずペンを持つ!」
l从?∀?ノ!リ人「持つ!」
(;´・ω・`)「キミたちってまるで、ナイフを持つようにペンを持つね」
.
112
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:39:56 ID:OaVkALts0
('A`)「紙に書く!」
l从?∀?ノ!リ人「書く!」
('A`) 妹者
l从?∀?ノ!リ人 〆¥〒
l从`?∀?ノ!リ人「じょうずに書けたのじゃ!」
('A`)「なんてこった。オマエこれ、口でペンくわえて書いたときと変わらないぞ」
(´・ω・`)「ジコショウカイってなに書けばいいの?」
('A`)「なんだっていいんだよ。オレたちのことなら」
l从?∀?ノ!リ人「ドクオ!つぎこそじょうずに書けたのじゃ!どうじゃ?」
(´・ω・`)「ねぇドクオ、ジコショウカイってこれでいいのかな?」
l从?∀?ノ!リ人「ドクオ、ドクオ!」
(´・ω・`)「ねぇドクオったら」
(;'A`)「だあああ!うっとうしい!」
.
113
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:42:00 ID:OaVkALts0
妹者の目が文字化けしてるので
>>111
>>112
を投下しなおします
114
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:44:10 ID:OaVkALts0
――8月12日
(´・ω・`)「空が真っ赤だね」
('A`)「きのうよりずっと赤いな」
(´・ω・`)「赤い。あしたになるごとに、どんどん赤くなってる気がするよ」
l从•∀•ノ!リ人「お部屋が真っ赤っかじゃ!もえてるみたいなのじゃ」
('A`)「もえるわけないだろ」
('A`)「そろそろ戻った戻った。
オレは体さがし、ショボンは日記、オマエは文字の練習だ。返事は?」
(´・ω・`)「はーい」
l从•∀•ノ!リ人「はーい!レンシュウはまかせるのじゃ!」
('A`)「あー……オレのマネっこからはじめような」
('A`)「まずペンを持つ!」
l从•∀•ノ!リ人「持つ!」
(;´・ω・`)「キミたちってまるで、ナイフを持つようにペンを持つね」
.
115
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:44:52 ID:OaVkALts0
('A`)「紙に書く!」
l从•∀•ノ!リ人「書く!」
('A`) 妹者
l从•∀•ノ!リ人 〆¥〒
l从`•∀•ノ!リ人「じょうずに書けたのじゃ!」
('A`)「なんてこった。オマエこれ、口でペンくわえて書いたときと変わらないぞ」
(´・ω・`)「ジコショウカイってなに書けばいいの?」
('A`)「なんだっていいんだよ。オレたちのことなら」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオ!つぎこそじょうずに書けたのじゃ!どうじゃ?」
(´・ω・`)「ねぇドクオ、ジコショウカイってこれでいいのかな?」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオ、ドクオ!」
(´・ω・`)「ねぇドクオったら」
(;'A`)「だあああ!うっとうしい!」
.
116
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:45:45 ID:OaVkALts0
8月12日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
日づけのトナリに書いてる人の名前をつけてみたよ。
これドクオの案なんだ!
自巳紹介いき←まちがえた
自己紹介いきます。
ボクらの世界は先生にガスマスクをつけるように言われるような、そんな世界です。
なんだかここのとこ、おかしなことが起きてるみたい。
先生はなんにもおしえてくれないけど、ボクらは知ってるんだ。
「ガイコツ病」って言うんだって。ドクオが教えてくれた。
ボクらは「いい子の住処」って園にすんでいてね、
そこのゴミ置き場にもガイコツがいっぱいやってきたんだ!
園のみんなも何人かつれていかれちゃったみたい。
もともと園のみんなはいっぱいやってきて、いっぱいいなくなって、ってことだらけだったけど、
ゴミ置き場のガイコツはどんどんふえていくんだ。
やっぱりドクオの言ったとおり。
ガスマスクなんて意味なかったね。
.
117
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:46:30 ID:OaVkALts0
ブーン「ガイコツ病ってなんだお?」
ショボン「ガイコツいうしろいカタマリが、どこからともなくやってくるんだよ」
兄者「人間が病気でなるんじゃなくってか?」
ショボン「えっ?ガイコツってボクらがなるってこと?」
ドクオ「ガイコツがやってきて、人間をどっか遠いとこへつれていっちゃうんだよ」
ショボン「そうそう。でもこわがらなくって大丈夫だよ」
ショボン「ガイコツってオバケじゃないからね!だって足があるんだもん!」
兄者「しかし狐児院か
ドクオ「↑孤児院な」
兄者「孤児院か。どうやらオレらとオマエらは、同じ遠命のもとに生ま
ドクオ「↑運命な」
兄者「世界一流石なオレの弟みたいなことを言うヤツだな」
ドクオ「弟さんもタイヘンだな」
兄者「ほめ言葉か?オレの兄弟はみんな最高なのさ。なんせオレの兄弟だからな」
.
118
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:47:50 ID:OaVkALts0
――8月13日
(´<_` )「これは読める。ヤジルシというやつだろう?どうだ!」
( ´_ゝ%)「流石だな、弟者」
(´<_` )「兄者の言葉にむけられてるが、なんと書いてあるんだ?」
『ドクオ「↑あちこち漢字まちがってる」』
( ´_ゝ%)「オレが世界一流石でかしこくって強くってかっこよくって流石だと書いてあるんだよ」
(´<_` )「ウソをついてるな?」
( ´_ゝ%)「えっ」
(´<_` )「いつもナマケ者の兄者がかっこいい?
そんなこと、世界が逆さまになったってあるもんか」
(´<_` )「どうせ『兄者は流石だ』と書いてあるんだろう?」
( ´_ゝ%)「ははっ!バレちゃあしょうがないな!」
(´<_` )「おみとおしだぞ」
( ´_ゝ%)「ははははは。そのとおりだよ。そのとおりだ」
.
119
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:48:56 ID:OaVkALts0
(´<_` )「ではこれはなんと書いてあるんだ?」
( ´_ゝ%)「おお。なんでもこの兄に聞くといい」
『兄者「世界一流石なオレの弟みたいなことを言うヤツだな」』
(´<_` )「オレの名前の一文字がはいってるが、どうせロクなことじゃないんだろう」
( ´_ゝ%)「おっと!何故バレてしまうんだ?オレの弟は口うるさいと書いたんだ」
(´<_` )「そんなことだろうと思ったさ。どうせこちらも悪口なんだろう?」
『兄者「ほめ言葉か?オレの兄弟はみんな最高なのさ。なんせオレの兄弟だからな」』
( ´_ゝ%)「ははは!よくわかったな!」
(´<_` )「いまいましいヤツめ。
オレの体のなにもかもがもとに戻ったら、兄弟ケンカだからな…………」
( ´_ゝ%)「楽しみにしてるよ」
(´<_` )「……なにか言ったか?」
.
120
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:50:27 ID:OaVkALts0
8月13日 兄者
オレらの世界でもおかしなものがはやってる。
「ゾンビ病」と「人形病」というやつだ。
いや「ゾンビ病」はなくなったんだったかな?
いっしょにすんでた他の子供たちはみんな逃げてしまったよ。
いま孤児院に残ってるのはオレと兄弟とおじさんだけだ。
おじさんは狐児院をつくったおじさんだ。
たしか「杉浦ロマネスク」といったか。
いや侍て、本当の名前は言ったらいけないんだよな?
見てしまったな?
……オマエらはなにも見なかった、そうだろう?
「はい」とうなずくんだ。
.
121
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:51:16 ID:OaVkALts0
ブーン「ゾンビ病ってなんだお?」
兄者「人間が少しずつ少しずつくさっていく病気だよ」
ショボン「じゃあ、人形病って?」
兄者「人間が少しずつ少しずつ人形になっていく病気さ」
ドクオ「ちょっと待てよ。それじゃあ、■■は」
兄者「だから言ったろう?兄弟のためにありがとう、と」
兄者「おい、オマエら?なぜいきなり静かになるんだ?」
兄者「さみしいじゃないか。相手がオレだからってキンチョウすることはないんだぞ?」
兄者「おーい?」
.
122
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:52:17 ID:OaVkALts0
――8月14日
( ^ω^)「姉者は人間なのかお?」
∬ ´_ゝ`)「ええ。人間だったわ。驚かせちゃったかしら」
(*^ω^)「じゃあ、じゃあ!ボクとおそろいだおね!じつはボクも人間なんだお!」
∬ ´_ゝ`)「ふふ。そうね、おそろいね」
(*^ω^)「おそろいだお!体がそろったら、もっとおそろいになるお!」
∬ ´_ゝ`)「ブーンはすごいね」
(*^ω^)「ブーンすごいお?ママにはよく、イラナイ子って言われるお?」
∬ ´_ゝ`)「ブーンのステキなところが見えてるワタシはとっても幸福ね。
キミをいらないだなんて……残念だけど、彼女たちは重要な幸福を逃してるわ」
∬ ´_ゝ`)「兄弟に会ったら、胸を張って自慢したいくらいよ。
ワタシの大切なトモダチ、ってね!」
(*^ω^)「おー!姉者もボクの大切なトモダチだお!」
.
123
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:53:17 ID:OaVkALts0
8月14日 ブーン
ごきげんよう、これを読んでいるキミへ!
ボクは……よくわかんないお。
パパママボクとみんなで、このおうちで仲よくくらしてるお。
パパはパパはいつもおしごとでいないけど、おはようって言ったり、
ごはんくれたり、おやすみって言ったりしてくれるお!
ときどき痛いこともするけど、やさしくって大スキだお!
ママたちはボクがなにかするといつも怒るんだお。
大スキだけど、ちょっぴりこわいお。大スキだけどね。
.
124
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:54:23 ID:OaVkALts0
ドクオ「ブーンの世界はとっても平和な世界なんだな」
兄者「きっとオレらの世界ともっとも遠くはなれているのかもしれないな」
ショボン「ブーンにはパパとママがいるんだね」
ブーン「ドクオとショボンにはいないのかお?」
ショボン「パパとママがいないかわりに先生がいるよ」
ブーン「先生?」
ドクオ「父さんと母さんのかわりにオレたちの親をしてるってこと」
兄者「オレにも父者と母者はいないな。だが、兄弟がいるぞ」
ブーン「ボクにも■■がいるお!だからさみしくないお!」
ブーン「それにいまは、ドクオもショボンも兄者もいるお!」
兄者「そうだな」
ドクオ「ああ」
ショボン「いつか会いたいね」
ブーン「いつか会おう!ヤクソクだお!」
.
125
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:55:14 ID:OaVkALts0
8月15日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
夕ぐれになったからいつもの待ち合わせ場所にいったら、ドクオがいなかった。
とうとうドクオにも置いてかれたんだ!って思った。
泣いちゃいそうになったけど、メモを見つけた。
「探しものをしてくるから、きょうはいけない」って。
ドクオがいないとうまく見つけられないや。
なんにも見つけられなかった。
.
126
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:56:24 ID:OaVkALts0
兄者「やれやれ。とうとうドクオまでかくれんぼはじめたのか?」
ブーン「おっ!かくれんぼお?ボクが見つけるお!」
ショボン「ううん。探しものって言ってたから、たぶん先生のお部屋にいったんだと思う」
兄者「まさかその先生とやらにオレらのことを教えてないだろうな?」
ショボン「それはないんじゃないかな。
ドクオったら先生と、あんまり相性よくないみたいだから」
ショボン「先生のお部屋には、ご本とシンブンがあるからね。
ドクオはここで文字を覚えて、ボクに教えてくれたんだよ」
ブーン「シンブン?」
ショボン「過去の人が書いた、世界の日記ってことだよ」
.
127
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:57:29 ID:OaVkALts0
ショボン「ブーンは文字がじょうずだね、パパとママに文字を教えてもらったの?」
ブーン「パパだお!いつでもお外にでられるように、って!」
ショボン「ブーンは体が弱いんだっけ?はやくでられるといいね」
兄者「うつくしい家放愛だな。まあオレらの兄弟愛も負けてはいないがな!」
ショボン「兄者は兄弟たちに文字を教えてあげないの?」
兄者「えっ」
ショボン「■■は自分と兄弟の名前しか読み書きできないって言ってたよ」
ブーン「■■もおんなじこと言ってたお!」
兄者「なぜだ?いらないだろう、なんせ読み書きできる者がいつもそばにいるのだから」
ショボン「なるほど。それもそうだね」
ブーン「だおね!」
.
128
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:58:31 ID:OaVkALts0
――8月15日
(´・ω・`)「見つからないねー」
l从•∀•ノ!リ人「見つからないのじゃー」
(´・ω・`)「いつもならドクオが『きょうはここ探すぞ!』ってつれてってくれるのに」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオ、どこいっちゃったのじゃ?」
(´・ω・`)「きっといまごろ園のゴミ置き場だよ」
l从•∀•ノ!リ人「ゴミおきば」
(´・ω・`)「うーん、なんて言えばいいかな、クマのぬいぐるみとか、
むかし大切だった宝物とか、あとはガイコツだとか、
みんなのいらないものが集まってくるとこ、ってこと……かな?」
(´・ω・`)「まいにちいろんなものが捨てられるんだ。山になっちゃうくらいに。
とっても臭くって汚くって、そりゃあもう、たまらないんだよ」
l从•д•ノ!リ人「タイヘン!ドクオをおたすけするのじゃ!」
(´・ω・`)「へっちゃらだよ、ドクオはいつもそう。
いい子のオキテをやぶって、ゴミ置き場に閉じこめられるんだ」
l从•∀•ノ!リ人「いい子のオキテ?」
(´・ω・`)「先生のいうとおりにしなくてはいけません、ってこと」
.
129
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 03:59:08 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「はいってはいけないところにはいってはいけません。
でてはいけないところにはでてはいけません」
(´・ω・`)「お外にでるときはガスマスクをつけなくてはいけません。
知らない人についていってはいけません。
顔を見られてはいけません。名前を知られてはいけません」
(´・ω・`)「ごはんを食べるときは両手をあわせて『いただきます』しなくてはいけません。
ごはんを食べるときに手をつかって食べてはいけません。
こぼしても、のこしても、はいてもいけません」
(´・ω・`)「トビラはしずかに開け閉めしなくてはいけません。
トビラを開け閉めするときは右手しかつかってはいけません」
(´・ω・`)「夕ぐれどきはみんなでおひるねしなくてはいけません。
ねむるときは片目を開けなくてはいけません」
(´・ω・`)「わるい人はこらしめなくてはいけません。
先生のいうとおりにしなくてはいけません」
(´・ω・`)「まだまだいっぱいあるよ。きのうまたひとつふえたんだ」
.
130
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:00:02 ID:OaVkALts0
l从•∀•ノ!リ人「すごいすごい!そんなに長いのぜんぶ覚えてるのじゃ?」
(*´・ω・`)「へへっ。まいにち朝と昼と夜5回みんなで読むからね」
l从•д•ノ!リ人「いい子ってタイヘンなのじゃ。ワタシも覚えられるかな」
(;´・ω・`)「覚えてくれなくっちゃ困る!
覚えられないわるい子は、みーんないなくなっちゃったんだから!」
l从•∀•ノ!リ人「さみしかった?」
(´・ω・`)「えっ?どういう意味?」
(´・ω・`)「ボクはさみしかったのかな?よくわかんないや。
みんなボクが自己紹介するとなんでか逃げちゃって、トモダチいたことないんだ」
(´・ω・`)「いっぱいやってきて、いっぱいいなくなって、いつもボクとドクオだけがのこるんだ」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオとショボンは兄弟なのじゃね」
l从•∀•ノ!リ人「ワタシもいつか、いい子になれるかな?」
(;´・ω・`)「妹者はとっくにいい子だよ!」
l从*•∀•ノ!リ人「ほんとなのじゃ?いい子のオキテ知らなくっても?」
(;´・ω・`)「そういえばそうだね。でもいい子だよ。これはぜったい!なんでかな?」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオは?ドクオはいい子?」
(´・ω・`)「もっちろん、いい子だよ!ときどきわるい子の顔をするけどね」
.
131
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:00:47 ID:OaVkALts0
――8月16日
(´<_` )
( ´_ゝ%)「痛みはないか?」
(´<_` )「とっくにね」
( ´_ゝ%)「そうか!それはよかった!」
( ´_ゝ%)「ようやく胴体が完成したな。残るは片腕と両足か」
(´<_` )「兄者の針と糸さばきはザツすぎて、いまにも縫い目がほどけてしまいそうだ」
( ´_ゝ%)「ワガママ言うんじゃありません」
(´<_` )「机の上に座るのはよくないぞ。椅子に下ろしてくれ」
( ´_ゝ%)「さんざん机の上にいたくせに。そんなこと姉者も妹者も気にしないぞ」
(´<_` )「置かれるのと座るのとじゃ話がちがうのだ」
( ´_ゝ%)「先に言っておくぞ。また落としたらごめん」
(´<_` )「先に言っておくぞ。また割れたらごめん」
.
132
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:01:36 ID:OaVkALts0
「―――!」
( ´_ゝ%)「んっ?」
(´<_` )「んっ?」
( ´_ゝ%)「おじさんの声か?」
(´<_` )「おじさんって話すのか?」
( ´_ゝ%)「いや、オレが声を聞いたのは会ったときだけだが」
(´<_` )「なんにも聞こえないぞ」
( ´_ゝ%)「ふふん、きっとオレの流石っぷりに、ヨウセイさんが耳元で愛をささやいたんだな」
(´<_` )「かわいそうに」
( ´_ゝ%)「ヨウセイさんのことを言ってるのか?
そういうときは『かわいそう』ではなく、『かわいい』と言うんだ」
(´<_` )「かわいそうに」
( ´_ゝ%)「んー?弟者ー?」
.
133
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:02:36 ID:OaVkALts0
ヒタヒタ
(´<_` )「んっ?」
( ФωФ)
(´<_` )「!」
( ´_ゝ%)「おっと、おじさんはいまやって来たようだ。
やっぱりさっきの声は気のせ、いやヨウセイさんだな」
(´<_` )「気のせいって言った」
( ´_ゝ%)「気のせいじゃないか?」
( ФωФ)
(ФωФ )
ヒタヒタ
(´<_` )「いってしまった…………」
( ´_ゝ%)「よし書けたぞ。流石なオレの弟よ、そう待ちわびた顔をするな。
流石な兄の日記が読みたくって仕方ないんだろう?」
(´<_` )「……えっ?なに?聞いてなかった、もう一回」
( ´_ゝ%)「よし書けたぞ。流石なオレの弟よ、そう待ちわびた顔をするな。
流石な兄の日記が読みたくって仕方ないんだろう?、と言ったんだ」
(´<_` )「うわあ」
.
134
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:03:45 ID:OaVkALts0
8月16日 兄者
臀部を見つけた。
どうやらオレはかくれんぼのオニも流石にこなしてしまうようだ。
自分の才熊がこわい。
これでやっと胴体が完成だ。あとは片腕と、両足と、小指か。
1日に見つけられる体の数が決まっているのがユウウツだな。
いっそ一度にすべてを隠してくれたなら、眠らず探すことができるのに。
.
135
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:04:49 ID:OaVkALts0
ブーン「兄者はクマさんこわいお?」
ショボン「たぶんだけどね、才能、じゃないかな?」
兄者「いまなにか聞こえた気がする」
ショボン「ボクもいまなにか聞こえた気がする」
ブーン「ボクもだお。だれかさんの声がしたお」
兄者「オマエらもか。てっきりヨウセイさんのささやきかと思ったが、どうやらちがうらしい」
ブーン「兄者の世界にはヨウセイさんがいるんだお?」
ショボン「おはなしできるなんてすごいや!」
兄者「お、おお!流石だろう、オレ!」
ブーン「流石だお!」
ショボン「流石流石ー!」
ブーン「でもボクらにも聞こえたのはなんだったんだお?」
.
136
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:05:35 ID:OaVkALts0
ショボン「だれかさんの声が聞こえるだなんて、
やっぱりここってクウカンがゆがんでるのかな?」
兄者「どういうことだ?」
ショボン「わかんない。ドクオが言ってたんだ」
兄者「そのドクオはまたきてないのか?」
ショボン「そうなんだよ。探しものしてからおかしいんだ。
なんかずっとむずかしい顔しちゃってさ」
ブーン「おなか痛いのかお?」
ショボン「だったらいいんだけど。いまごろおなかをすかせてるだろうね」
ブーン「ボクもおなかへってきたお。ふたりともごはん食べたお?」
.
137
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:06:25 ID:OaVkALts0
兄者「ごはん?食べてないが……前はみんながおいてったおかし食べてたな」
ショボン「ずっとおかしだけってこと?」
兄者「ああ」
ブーン「いいなー」
ショボン「いいなー」
ブーン「ずっとおかしだけだと、怒られないお?」
兄者「怒られてたさ。弟にな。自分はなんにも食べないくせに」
( ´_ゝ%)「なあ?弟者」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「……弟者?」
.
138
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:07:42 ID:OaVkALts0
8月17日 ブーン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
右足と左手を見つけたお!
おっきなオナベでグツグツされて、
あやうくママやみんなに食べられちゃうところだったお!
あぶないあぶない!
「暑くない?痛くない?」ってボクは言ったお。
■■は「暑くない。痛くない」って言ったお。
でもボクの手は「あったかい」って。
オナベよりボクの手があったかいってことかお?
ためしにオナベをさわってみた。やっぱり、あつくなくないお!
.
139
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:08:40 ID:OaVkALts0
――8月17日
(*^ω^)「いまから右足をくっつけるから、姉者はお歌を歌ってよ!」
∬ ´_ゝ`)「ふふ。いいわよ」
∬ ´_ゝ`)「〜♪」ザッ
∬ ´_ゝ∀ ノ!リ人 ザザッ
( ^ω^)「えっ?」
( A )「ーーーー」ザザッ
(´ ω `)「ーー!」ザッ
( ^ω^)「!」
( _ゝ%)+「ーーーー、ーーーー。ーーーー、ーーーー!」ザザッ
( <_ ) ザザザ
.
140
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:09:42 ID:OaVkALts0
( ^ω^)「みんな……?」
l从 ∀ ノ!リ人
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ
∬ ´_ゝ`)「〜♪」
∬ ´_ゝ`)「キレイにくっついてるわ。ありがとう、ブーン」
( ^ω^)
∬ ´_ゝ`)「ブーン?」
( ^ω^)「おっ?みんな?みんなは?」キョロキョロ
∬ ´_ゝ`)「日記の中にいるわよ」
.
141
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:10:35 ID:OaVkALts0
ブーン「みんなー!!」
ブーン「みんなー!!」
兄者「呼んだか?」
ショボン「どうしたの、ブーン?」
ドクオ「よっ。ただいま」
ブーン「ドクオ!おかえり!」
ブーン「いま!いっしゅん!見えたんだお!みんな!」
ブーン「■■の右足をくっつけてね、それでお顔を上げたら!
知らない女の子がいて!■■が■■じゃなくなってたんだお!」
ブーン「まわりを見たら、みんないたんだお!みんな!みんな!
■■の兄弟も!ドクオもショボンも!兄者はふたりもいた!」
.
142
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:11:50 ID:OaVkALts0
ショボン「兄者はふたりいるの?」
兄者「もうひとりは兄弟だ。かっこいい方がオレで、流石な方がオレの弟だぞ」
ブーン「みんなお顔がなかったんだお……」
ブーン「かたっぽは机にすわってもうかたっぽにはなしかけてて、
もうかたっぽは椅子にすわってたお!かたっぽの目がガンタイで隠れてた!」
兄者「ほんとに見えていたというのか?椅子にすわってたのが兄弟だ」
ブーン「ショボンはちっちゃくって、マドのお外を見てた?」
ショボン「これからおっきくなるんだよ!!でもピンポンだよ。
また赤くなってるーって空を見てたんだ」
ブーン「ドクオはひょろひょろで、床でねっころがって日記開いてたお?」
ドクオ「ひょろひょろ言うな。ねっころがってたけど。なんでわかった?」
ブーン「見えたんだお!いっしゅんだけど!絶対に見えたんだお!」
ショボン「だれもうたがってなんかいないよ!いいないいな、ボクも見たいな」
兄者「ロマンだな」
ドクオ「やっぱり空間がゆがんでいってやがる」
ドクオ「夕ぐれはどんどんまっかになっていくし、時間だって昼と夜の間で止まってる」
兄者「それもロマンだな」
.
143
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:12:43 ID:OaVkALts0
――8月18日
(´・ω・`)「見つからないね」
('A`)「ああ」
(´・ω・`)「むずかしいこと考えてるときのお顔だね」
('A`)「い、いや別に……そう、アイツの体の部位がさ、
呼んだら返事してくれりゃ楽なのにな、って思ってさ」
('A`)「おーい、おーい!いないならいないって言えー!」
(´・ω・`)「おーい!妹者ー!」
<ナンジャー?
(´・ω・`)「あっ……ごめーん!妹者の体の部位の方ー!」
<ワカッタノジャー!
('A`)「あそこはもう見たっけ?」
(´・ω・`)「見てないと思う」
('A`)「よし、ついてこいショボン!」
(;´・ω・`)「なんですぐ走るのー!」
ドタドタ
.
144
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:14:32 ID:OaVkALts0
l从•∀•ノ!リ人 キュッキュッ
「〆¥〒」
l从•д•ノ!リ人 キュッキュッ
「〆¥〒」
l从*•∀•ノ!リ人「!」
l从*•∀•ノ!リ人「ドクオー!ショボンー!」
ドタドタ
(;'A`)「はあはあ、ど、した?」
l从*•∀•ノ!リ人「見て!いままでの中でイッチバンじょうずに書けたのじゃ!」
(ノA`)「オマエ……毎回それ言ってるじゃん……」
l从*•∀•ノ!リ人「マイカイじょうずになってるのじゃ!」
('A`)「ハイハイソウネ。もう一個の練習は?」
l从*•∀•ノ!リ人「これじゃ!」
.
145
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:15:52 ID:OaVkALts0
('A`)「……こっちはまあまあだな」
l从*•∀•ノ!リ人「やった!」
( ) ザザザッ
(;'A`)「うわっ」ガタッ
l从•∀•ノ!リ人「のじゃ?」
ドタドタ
(;´・ω・`)「もうー!ひとりぼっち怖いのしってるくせにー!ドクオここにきてるー?」
l从•∀•ノ!リ人「いるのじゃー」
(´・ω・`)「ありゃりゃ。尻もちなんかついてどうしたの?」
l从•∀•ノ!リ人「どうしたのじゃ?」
(;'A`)「そこでだれかがこっちを見てた気がして……」
(;´・ω・`)「ほんとに?まさか……わるい人?」
(;'A`)「いやなんでもない。気のせいだ、気のせい気のせい」
(´・ω・`)「おかしなドクオ。そうだ妹者、さっきボクらを呼んでなかった?」
l从*•∀•ノ!リ人「ショボンもこれ見て見て!」
.
146
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:17:11 ID:OaVkALts0
8月18日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうはかなしいお知らせをしなくっちゃいけない。
まずはひとつめ、なんにも見つからなかった。
そしてふたつめ、■■がひとりで持てなくなっちゃった。
だっこしていこうとしたんだけど、■■の体ってばボクとおんなじくらいあるんだ。
おっきくって重くって、フラフラヨロヨロしてあぶないからだめだって。
お部屋でおるすばんさせちゃってごめんね。
ドクオが「だれかに見られてる気がする」って言ってびっくりしたよ。
そう思ってたのはボクだけだと思ってたから。
人間の目ってなんにも言わないのに、どうしてあんなにおしゃべりなんだろうね。
あとね、ドクオがみんなにだいじなおはなしがあるんだって。
.
147
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:17:59 ID:OaVkALts0
ドクオ「みんなそろってるか?」
ブーン「おはなしって?」
ショボン「じつはボクもまだ聞いてないんだ」
兄者「なんでもはなしてみろ。全て愛け止めるぞ」
ドクオ「↑漢字まちがってる」
兄者「えっ」
ドクオ「落ち着いて聞いてくれ」
ドクオ「気になることがあったから、ちょっとむかしのことについて探したんだよ」
ドクオ「それでわかったんだけどさ……」
ドクオ「『杉浦ロマネスク』は殺人鬼の名前なんだ」
ショボン「殺人鬼」
ドクオ「とってもわるい人ってことだよ、ショボン」
.
148
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:18:43 ID:OaVkALts0
ドクオ「先生の部屋にあったむかしの本に、
『たくさんの人にわるいことした』って書いてあったんだ」
ドクオ「くわしく調べる前に見つかったから、まだわかんないことだらけだけど……」
兄者「それは別世界の杉浦ロマネスクの話のだろう?」
兄者「オレらの世界の杉浦ロマネスクはそんなんじゃないぞ」
ドクオ「……そうだよな。そうかもしれないな。ただなんとなく、気になってさ」
兄者「ブーンの世界に杉浦ロマネスクはいるか?」
ブーン「見たことも聞いたこともないお。よく似た名前の人ならいるけど」
兄者「ふむ。ドクオとショボンのハイキョにはオマエらしかいないのか?」
ドクオ「ガイコツがいたよ」
兄者「それってもしかしてオマエらの世界の杉浦ロマネスクじゃないのか?」
ショボン「そんなはずないよ」
.
149
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:19:25 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「そんなはずない」
(´・ω・`)「だって……ボクのほんとの名前が杉浦ロマネスクなんだから」
('A`)「ショボンだよ、オマエは」
(´・ω・`)「杉浦ロマネスクなんだよ」
('A`)「オレと妹者にはただのショボンだよ」
(´・ω・`)「ねぇ、怖いよ。いつかボクはこの世界で会った兄者たちをいじめるの?」
('A`)「バカなこと言うなよ。できるもんか、オマエみたいな弱虫で泣き虫な、ただのいい子に」
.
150
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:20:12 ID:OaVkALts0
8月19日 兄者
流石なオレが見つけたぜ。これでようやく両足そろった。
兄弟は歩きたいと言ったが、まあときに落ちつけ、小指を見つけてからだ。
オマエらなにかかんちがいしてないか?
おじさんは殺人鬼じゃない、救世主だ。
オレらの世界の杉浦ロマネスクは、ずっとオレらと孤児院に住んでる。
フシギな男でな、気まぐれにあわられては、オレら兄弟4人をじっと見つめるんだ。
なんにも言わずに、なんにもせずに、ただじっと。
オレが兄弟を見るような目で。
なにかして欲しいとか、なにかが言いたいとか、そんなんじゃないと思う。
しばらくしたら「異常なし」と言わんばかりにいってしまうから。
正直なにを考えてるのかわからない男ではあったよ。
でももう何年もそんな関係だったから、安心してたんだ。
まさか兄弟の体を隠されるとは思わなかった。
.
151
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:20:55 ID:OaVkALts0
ドクオ「ちょっとまて。
■■たちの体にかくれんぼさせたのは、杉浦ロマネスクだったってことか?」
兄者「そうだが?」
ドクオ「そうだが?じゃないだろ。いますぐそこから逃げるんだよ!」
兄者「えっ。それはなぜ?」
ドクオ「人形とはいえ、オマエの兄弟の体をバラバラにしちゃうようなヤツだぞ!」
兄者「やっぱりオマエなにかかんちがいしてるな」
兄者「たしかに兄弟の体を隠されたせいで、
ぜんぶ見つけるまでここから出られなくなってはしまったが」
兄者「兄弟の体をバラバラにしたのは、オレだよ」
.
152
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:21:49 ID:OaVkALts0
兄者「姉と妹と弟はゾンビ病にかかっていてな」
兄者「体の先っぽからまっくろになって、つめたくなって、くさっていった。
父者も母者も先生もなんにもいないオレらは、
ただただ兄弟の命までくさるのを待つしかなかった」
兄者「これでおしまいだと思った。だから兄弟で最期のパーティーを開いた。
そこにやってきたのが、杉浦ロマネスクだ」
兄者「杉浦ロマネスクは指を持っていた。人形の小指だ。すべては一本の指からはじまった。
世界でイチバンの「宝物」だと言ってたが、少しだけけずってオレの兄弟に分けてくれた」
兄者「あれは人形病カンジャの指だったんだろう、兄弟はみんな人形病になった」
兄者「これで体がくさることはなくなったが、
すでにあちこちがくさってぐずぐずで、ずるりと落ちてしまっていてな。
幸い頭はみんな生きていたが、兄弟たちの生きてる部分を切ってつなぎ合わせたら、
ひとり分の体しかできなかったんだ」
兄者「それがいま、オレの目の前にいる■■だよ」
兄者「おい?だからなぜいきなり静かになる?」
兄者「続めない字があるのか?オレがおしえてやろうじゃあないか!」
兄者「おーい、おーい?」
.
153
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:22:56 ID:OaVkALts0
8月20日 ブーン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
■■が立ってるお!歩いてるお!トナリにいるお!
ボクがいつもフツウにやってたことが、こんなにうれしいなんて!
「いつものお礼に」って■■はおどり方を教えてくれたお!
むかしパパが見せてくれた、モノガタリの主人公になったみたいだった!
でもむずかしくって、じょうずにできなくって。
そしたら■■はボクの手をぎゅってして、くるくるって回って、
「ずんちゃっちゃーずんちゃっちゃー♪」って、いつもみたいにしてくれた!
「レイギとか、サホウより、楽しい方がいい」って■■は笑ってた。
■■が「それがいい」って言うなら、ボクも「それがいい」って思ったお。
体はぜんぶそろったって思ったけど、まだなにか足りないみたいだお。
いまのまんまでも、ボクとおそろいでステキなのに。
でも足りない「小指」を見つけたなら、きっともっとステキになるお!
.
154
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:23:47 ID:OaVkALts0
――8月20日
(*^ω^)ノシ「パパ、オシゴトいってらっしゃいお」
パタンッ
ヒラッ
(*^ω^)「おっ?なんだお?パパからボクへのお手紙かお?」ペラッ
(*^ω^)「おーん、むずかしい字ばっかりだおー。ヨコ、ヨコ、タテ、タテ……病院?」
(*^ω^)「あとでパパに読んでもらおうっと!」
コンコン
カタッ
(*^ω^)「もう大丈夫だお。でておいでよ!」
∬ ´_ゝ`)「驚いたわ。いきなり現れるんですもの。いまの人がブーンのパパ?」
(*^ω^)「そうだお!かっこいいんだおー!」
.
155
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:24:27 ID:OaVkALts0
(*^ω^)「パパがね、25日にオヒッコシだから、
大切なものをカバンにつめこんでおきなさい、って!」
(*^ω^)「だから姉者がはいるでっかいカバンをパパにおねがいしたお!」
∬ ´_ゝ`)「ブーンったら。またそんなこと言って」
(;^ω^)「うう、でもだめって言われたお」
(*^ω^)「ほんとはね、このおうち丸ごとはいるカバンが欲しかったんだお」
(*^ω^)「そうすればドクオとショボンと兄者と、姉者の兄弟もみんなずっといっしょだお!」
∬ ´_ゝ`)「そうだね、ずっとみんないっしょがいいね」
(*^ω^)「うん!ボク、こんなに楽しいの生まれてはじめてだお!」
.
156
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:25:17 ID:OaVkALts0
(;^ω^)「オヒッコシしたくないおー。
もしもオヒッコシしたら、みんなとどれくらい会えなくなっちゃうんだおね?」
∬ ´_ゝ`)「きっとまた、いつか会えるわ」
(*^ω^)「いつかっていつだお?」
∬ ´_ゝ`)「いつかは未来よ」
(*^ω^)「ずっとずっと先のことかお?」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。ブーン次第ね」
( ) ザザッ
(*^ω^)「おっ?」
(´・ω・`)「 ?」
(*^ω^)「ショボン?」
(´・ω・`)「 ?」
( ) ザザザザザザザッ
(*^ω^)「あっ!待って!」
.
157
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:25:57 ID:OaVkALts0
ショボン「ねぇ!いま!」
ブーン「見えた見えた!」
ドクオ「さわぐなさわぐな。どうどう」
兄者「そんなにいいものが見えたのか?」
ブーン「とびっきりいいものがね!」
ドクオ「イッシュンだけブーンにはショボンの、
ショボンにはブーンのことが見えたんだとさ」
兄者「なんと」
ショボン「うん!ヒミツの中のヒミツの場所にいたの、ブーンでしょ!」
.
158
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:26:40 ID:OaVkALts0
ブーン「なんでわかったんだお?」
ショボン「わかるとも!だってキミったら、まさしくブーンってかんじだった!
なんてあかるい笑顔をしてるんだい!」
ブーン「まっさきにボクの名前をよぶもんだから、声が聞こえたのかと思ったお!」
ショボン「えっ?ブーンにはボクが言ったことが聞こえたの?」
ブーン「聞こえないけどわかったお!」
ドクオ「へぇ。どうやって?」
ブーン「お口の動きでわかるんだお!
ボクのおうちには、お口がきけない子もいっぱいいるから」
兄者「すごい特技じゃないか。いつかオレにもやり方教えてくれ」
ブーン「もちろんいいお!」
.
159
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:27:45 ID:OaVkALts0
8月21日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
まずはドクオからの伝言だよ。
「きょうほど■■の兄弟たちに会いたいって思ったことはない!」
きょうはみんなで探検ごっこをしたよ!
ドクオと■■はどっちがタイチョウやるかでケンカしてたんだけど、
ドクオがイケメンタイチョウで、■■がグレイトタイチョウで決まったみたい。
■■、ずっと走ってた!
ドクオ、おいかけてた!
ボク、おいてかれた!泣いた!
さいごはドクオも「だれかアイツとめてくれ」って言ってた。
■■は「まだまだー!」って、ボクとドクオの手ひっぱってった。
はしゃぎすぎてつかれちゃったのかな?いまはもうぐっすりだよ。
すっごく楽しかったけど、体は見つけられなかった。
小指さんはかくれんぼがおじょうずみたい。
160
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:28:52 ID:OaVkALts0
――8月21日
l从-∀-ノ!リ人 スヤスヤ
(´・ω・`)「それってどういうこと?」
('A`)「ここ、はじめは精神病院で、そのあとは孤児院になって、それから廃墟になったんだよ」
('A`)「兄者は孤児院にいるって言ってた」
('A`)「あのあと調べてびっくりしたよ。あの孤児院を作った人の名前、なんだと思う?」
(´・ω・`)「まさか!」
('A`)「そのまさかさ」
(´・ω・`)「杉浦ロマネスク……」
(´・ω・`)「もしかして、ボクたち……別世界にいるんじゃなくって……」
('A`)「ああ」
('A`)「過去と、現在と、未来にいるんだ」
.
161
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:29:59 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「ブーンはパパとママたちとおうちにいる、って言ってた」
(´・ω・`)「いつかここにはブーンのおうちができるんだね」
('A`)「兄者のいる世界が過去、オレたちは現在、ブーンは未来にいるってことか」
(´・ω・`)「未来」
('A`)「未来だ」
(´・ω・`)「ゾンビ病も、人形病も、ガイコツ病も知らない世界」
('A`)「いつかそんな未来がくるんだ。オレたちが守ってやらなくっちゃな」
(*´・ω・`)「こうしちゃいられないよ!はやくみんなに伝えなくっちゃ!」
('A`)「あーショボン、まだはなしの続きがあるんだ」
(´・ω・`)「あれ、でも、まって」
(´・ω・`)「じゃあ、妹者は……過去の人、ってこと?」
('A`)「……それがはなしの続きだよ。妹者が眠るまで待ってたんだ」
(;´・ω・`)「じゃあ、じゃあ!」
(;´・ω・`)「妹者はいつか……自分の時間に帰っちゃうってこと……?」
.
162
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:30:34 ID:OaVkALts0
ドクオ「よっ」
ブーン「おいすー!」
兄者「侍たせたな」
ドクオ「↑間違ってる」
兄者「特たせたな」
ドクオ「↑待たせたな」
兄者「待たせたな」
ドクオ「よし」
兄者「オレの弟かよ」
ブーン「ショボンは?」
ドクオ「……それより。オマエらにはなしておかなきゃいけないことがある」
ドクオ「じつはこの世界は――」
.
163
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:31:40 ID:OaVkALts0
――8月22日
( ´_ゝ%)「聞いたか弟者?もうすぐ人形病がなくなるらしい。
代わりに生まれたのがガイコツ病で、そのあとは平和な世界になるんだと」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「ははっ。覚えてるか?むかし、兄弟4人で虫をつかまえたな。
あの日もきょうみたいに、燃えるようなあつい日だった」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「ほう?セミ?それはまた、オレのように流石なイタズラを思いつくヤツもいたもんだな」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「名前までオレとそっくりとは!
こいつは見た目もそっくりにちがいないぞ。オマエじゃないのか?」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「ははははは!そう怒るな怒るな。
オマエら兄弟との思い出は、ひとつ残らずちゃんと覚えてるさ」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「ああ。窓からはいってきたひぐらしがひっくり返っていたよ。もうすぐ夏が終わるんだな」
(-<_` )「……兄、者?」
.
164
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:32:47 ID:OaVkALts0
(´<_` )「オレはどれくらい寝てたんだ?」
( ´_ゝ%)(3日だ、弟者。気がくるってしまうぞ)
( ´_ゝ%)「30分だ、弟者。目がくさってしまうぞ」
(´<_` )「ガラスの目がくさるものか。また眠ってる時間が増えてしまったな」
( ´_ゝ%)「どうだか。オマエのその青い目は、
空より澄み海より深いうつくしい青は、もともとオレのものだからな。
兄弟のだれかがかまってやらないと、いともたやすくイジけてしまうぞ」
(´<_` )「だからいらないと言ったのに」
( ´_ゝ%)「そうはいかない。兄弟を落として片目にヒビをつくったツミビトはどこのだれだ?
……この流石兄者さ!」
( ´_ゝ%)「それに、いまその目は姉者や妹者とつながってるんだろう?」
(´<_` )「ああ。ぜんぶではないけど、おたがいが見てるものが見える。
いま兄者のことも見てるかもな」
.
165
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:33:31 ID:OaVkALts0
(´<_` )「姉者や妹者はちゃんと楽しくやってるよ。ふたりのことは見えないけど、
兄弟ふたりに向けられる笑顔がうらやましいくらいにあたたかい」
( ´,_ゝ%) フッ
(´<_` )「なに」
( ´,_ゝ%)「あたたかい笑顔だ」
(´<_` )「兄弟がうらやましいよ」
( ´_ゝ%)「そうか!流石なオレがうらやましいか!」
(´<_` )「ああ、もういい」
(´<_` )「そういえばむかしのユメを見たよ。兄者はきっと、覚えていないだろうな」
(´<_` )「兄弟4人で食料の虫をつかまえにいったときのことだ。
どこかのバカときたら、つかまえたひぐらしをオレの背中からいれたあげく」
.
166
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:34:13 ID:OaVkALts0
(´<_` )「おい兄者?聞いてるのか?」
( ´_ゝ%)「ふ、ふふ。なんでもないさ」
(´<_` )「笑いごとじゃないぞ!そら見たことか!やっぱり忘れてるじゃ…………」
(-<_- ) カクッ
(-<_- )
( ´_ゝ%)「とうとう起きている時間のが短くなったか。
そのまま本物のお人形さんにでもなるつもりか?」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「病気ごときに負けるとは流石じゃないぞ、弟者。
それにくらべてこのオレ、もう数年も寝ていない!」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「素晴らしいだろう?ナミダがでるだろう?
少しはオレを見ならって起きていたらどうだ?」
(´<_` ) パチッ
(´<_` )「……えっ?なに?聞いてなかった」
,
167
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:35:08 ID:OaVkALts0
8月22日 兄者
見つからない。
まだオレが知らない場所があるっていうのか?
.
168
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:35:55 ID:OaVkALts0
ブーン「ヒミツの中のヒミツの場所は?」
兄者「ヒミツの……なんと?」
ショボン「ヒミツの中のヒミツの場所だよ!」
兄者「んー?ハアクした」
ドクオ「ぜったいわかってない。床の下だよ」
兄者「床の下だと?」
ドクオ「そうか。オマエの時間の世界だと、まだ床に穴あいてないのか」
兄者「いやあったぞ、なかったが」
(´・ω・`)「えっ?それってどっち?」
.
169
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:36:45 ID:OaVkALts0
ブーン「『それってどっち?』」
ショボン「えっ?」
兄者「いまの声はなんだ?」
ドクオ「まさかショボンの声がみんなに聞こえたのか」
( ^ω^)「ごきげんよう、ごきげんよう、聞こえますかお?」
ショボン「あはは!これはブーンの声だね!」
ドクオ「わっかりやすいな」
兄者「つまり……」
( ´_ゝ%)「この声も聞こえてるということだな!よく聞くがいい!」
.
170
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:38:21 ID:OaVkALts0
ショボン「兄者もなんか言ってごらんよ!」
ブーン「聞きたいお!」
ドクオ「ほらはなせ、やれはなせ」
(´<_` )「聞こえなくなったようだ」
( ´_ゝ%)+「ふっ……いいさ、今日はこのへんにしておいてやろう……」
兄者「さて、そろそろはなしをもとに戻そう」
ショボン「えー」
ブーン「おーん」
ドクオ「いるって感じたり、姿が見えたり、声が聞こえたり……、
少しずつオマエらが近くなってる気がするな」
兄者「ああ。正直なにが起きてるのかはわからないが、これだけはわかる」
兄者「兄弟の体がもとにもどったら、きっとオレらは会える!」
.
171
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:39:25 ID:OaVkALts0
8月23日 ブーン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
目を覚ましたらまっくろいカゲがいてびっくりしたお。
どれくらいびっくりしたかというと、思わずおっきな声をあげちゃうくらい!
びっくりしておっきな声をあげたら、カゲたちもボクの声にびっくりした!
怖くってしばらくおふとんに隠れて見たら、
カゲも椅子にいるもうひとりのカゲを守りながら隠れてこっち見てて。
わかったんだお。
あれは別の時間にいる兄者たちだって。うれしくって追いかけたお!
声だって聞こえたお!
でもザザザッて音がおっきくって、なに言ってるのかまではわかんないお。
お空が真っ赤になって時計がなったら、ドクオとショボンもきた!
ふたりがはいってきて、うれしくってとびついたら、ふたりはおっきな声をだしてにげだした!
びっくりさせちゃってごめんって思ったお。
口でおはなしできないから、日記でおはなししながら、みんなで探しものをしたお。
■■の小指は、見つからなかった。
.
172
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:40:29 ID:OaVkALts0
ブーン「なんだがまるで、みんなまっくろこげみたいだお!」
ドクオ「よせよ、エンギでもない」
ショボン「兄者はいつもおかしな体勢してない?」
兄者「素直にかっこいいと言っていいぞ」
ショボン「みんな、ひとつ、いいかな?」
ショボン「あのさ、そんなにいそがなくってもいいんじゃないかな?」
兄者「なんだって?」
ショボン「えっとね、いそいで小指を探さなくってもいいんじゃないかな、って」
ショボン「だってそうすれば、もっとみんなといっしょに」
ドクオ「ショボンだめだ。オレたちはいそいで探すんだ」
兄者「ドクオの言うとおりだ。いそがなきゃいけない」
ブーン「うん。いそがなくっちゃだお」
ショボン「ちぇっ。ちょっと言ってみただけだよ」
.
173
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:41:17 ID:OaVkALts0
コンコン
カタッ
∬ ´_ゝ`)「ブーン?眠れないの?」
(*^ω^)「きょうはずっと起きて姉者とおはなしする日なんだお」
∬ ´_ゝ`)「まあ、そんなステキな日とはしらなかったわ。いらっしゃい」
(*^ω^)「ヒミツの中のヒミツの場所でねっころがるなんてはじめてだお」
∬ ´_ゝ`)「床の下に宝箱を作るなんて、とっても冴えたやり方だわ」
(*^ω^)「ここでかくれんぼしたなら、100年だって見つからないお!」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。ほんとだね」
.
174
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:42:22 ID:OaVkALts0
(;^ω^)「姉者、姉者。姉者は体がなおったら、自分の時間にいっちゃうってほんとかお?」
∬ ´_ゝ`)「そしたら悲しまないでいてくれる?」
(*^ω^)「姉者がそれがいいって言うなら、それがいいお!」
∬ ´_ゝ`)「……ねぇ、ブーン。ワガママ言っていい?」
(*^ω^)「いいお!」
∬ ´_ゝ`)「ワタシね、ブーンには自分の見たいものを見て、
自分の聞きたいものを聞いて、自分の生きたいように生きて欲しいな」
(*^ω^)「おっ?」
∬ ´_ゝ`)「キミがほんとにやりたいことって、なにかしら?」
(*^ω-)「ボクが、やりたい……こと?」
∬ ´_ゝ`)「ブーン?そろそろ寝ましょ?」
(*うω^)「ねてないお!ねてないお!こんなのへっちゃらだお!
きょうは姉者と朝になるまで、ずっとおはなししてるんだお!」
.
175
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:43:37 ID:OaVkALts0
( -ω-) スヤスヤ
∬ ´_ゝ`)「〜♪」
( -ω-)
∬ ´_ゝ`)
∬ ´_ゝ`)「おやすみなさいね、ブーン」
( -ω-)
∬ -_ゝ-)
ドタドタ
ガラガラ
.
176
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:44:44 ID:OaVkALts0
( -ω-)(外がにぎやかだお……パーティーかお……?)
( -ω-)(いいな、パーティー……みんなで音楽に合わせて、ずんちゃっちゃー……おどって……)
( -ω-)(でも……もう、ねむくって……目が…………)
( -ω-)
「はやく毛利先生を呼んで!」
「最近ウワサになってる奇病の患者さんですって」
「感染した患者さんが多すぎて、普通の病院だけじゃ対応しきれないらしいわ」
「とうとう精神科の病院にまで……」
「まだ詳しいこと分かってないんでしょ?」
「なんでも『ゾンビ病』って呼ばれてるらしいわよ」
.
177
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:45:39 ID:OaVkALts0
――8月24日
('A`)「空が真っ赤だ」
(´・ω・`)「これまで見てきたどの赤より赤いね」
('A`)「オマエの顔も真っ赤だぞ」
(´・ω・`)「ドクオの顔こそ」
('A`)「きっとアイツの顔も真っ赤にちがいないぞ」
(;´・ω・`)「もう。名前で呼んであげなよね、
せっかく妹者っていうステキな名前があるんだから!」
('A`)「一回くらいわな」
('A`)「名前といえばさ。なんでオマエの名前が『杉浦ロマネスク』だと思う?」
(;´・ω・`)「イジワルなことを言うね。そんなの、ボクが聞きたいよ」
('A`)「名前ってさ、たくさん人を助けた医者とか、警官とか、科学者とか、
有名な『えらい人』の名前をもらってつけるんだって」
('A`)「これがどういう意味かわかるか?」
(´・ω・`)「ううん」
.
178
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:46:48 ID:OaVkALts0
('A`)「杉浦ロマネスクは『えらい人』だったってこと!」
('A`)「先生が持ってた本に書いてあったんだ!
杉浦ロマネスクはさ、たしかに人形病を世界にひろめたよ。
すべてが一本の指からはじまった。
みんなは人形病になって、ちょっとずつ動かなくなっていった」
(´・ω・`)、
('A`)「でもな、ショボン」
('A`)「ゾンビ病だった人が人形病になって、助かったって人もいるんだよ。
痛いのも苦しいのもなくなって、大切な人たちといっしょにいられて、
幸せだって人たちが!」
('A`)「妹者たちみたいに」
(´・ω・`)「……!」
.
179
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:47:40 ID:OaVkALts0
('A`)「大人たちはヒミツにしてたけど、オレは知ったんだ!
兄者の言ったとおりだよ!
杉浦ロマネスクは殺人鬼であり、救世主でもあったんだ!」
('A`)「オマエは殺人鬼なんかじゃない!救世主になれるんだよ!」
(´・ω・`)「救世主」
('∀`)「みんなを救うヒーローってことさ!」
(´・ω・`)「どうすればなれるの?」
('A`)「それは……」
('A`)(先生の部屋……新聞の記事……8月25日……
杉浦ロマネスク……孤児院……放火……全焼……)
(´・ω・`)「ドクオ?」
('A`) ハッ
('A`)「……そら部屋についたぞ。話はまたあとだ、あと」
.
180
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:48:33 ID:OaVkALts0
ガチャッ
(´・ω・`)「やあ、おは」
ヾ(*^ω^)ノシ「ドクオー!ショボンー!」タタタッ
ヾl从*•∀•ノ!リ人ノシ「ドクオー!ショボンー!」タタタッ
(;´>ω<`)「わわっ!?」
('A`)「おっと」ヒョイッ
(ノ ω )ノ 「おんっ」ズシャッ
l从ノ д ノ!リ人ノ「ふぎゃっ」ズシャッ
( ´_ゝ%)「おいおい、ブーン?言っただろう?見えるし聞こえるけど、さわれないと」
( ×ω×)「おっおー……」
(;´・ω・`)「えっ?ごめん?えっ?えっ!?」
l从×д×ノ!リ人「ドクオはなんでよけたのじゃー……」
('A`)「あー。つい」
.
181
:
◆zfMiV6C5M2
:2017/08/26(土) 04:49:22 ID:OaVkALts0
∬ ´_ゝ`)「妹者、ブーン、大丈夫?ケガは?」
(*^ω^)「おっおー!へっちゃらだお!」
l从*•∀•ノ!リ人「へっちゃらおじゃー!」
(*´・ω・`)「あっ……ああ!わああ!ブーン、兄者、みんな……!!」
(*^ω^)「ショボン!やっと会えたお!」
( ´_ゝ%)「会いたかったろう?このオレに」
(*ノ´・ω・`)ノ「みんなー!!」タタタッ
( ´_ゝ%)「いま説明するが、オレらは別の時間の世界にいるから、見たり聞いたりはできるが」
(ノ´ ω `)ノ ズシャッ
( ´_ゝ%)「さわれないぞ。おっと、これは失礼。おそかったかな?」
('∀`)「けけけ。なんだこりゃあ」グーパーグーパー
( ´_ゝ%)「ドクオー?なぜオレの顔面の中で手グーパーするんだドクオー?」
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