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从 ゚∀从銀河鉄道車掌長の帰りを待つようです
158
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 15:37:41 ID:5RxNQgt.0
川 ゚ -゚)「ありがとう」
(゚、゚トソン「ありがとうございました」
二人の姿が見えなくなります。
琵琶湖も、湖面に浮かぶ夕焼けも、琵琶湖汽船ミシガンも、見えなくなりました。
わたしは親不孝者です。親より先に旅立つなど、お母さんとお父さんには申し訳ない事をしました。
ミセリをはじめ同僚の方々にも心配をしていただいたのに迷惑をかけてしまいました。
そしてフォックスさん。あの夜、電話が繋がらなくて彼はどう思ったでしょうか。
心配したでしょうか。怒ったでしょうか。悲しんだでしょうか。
心配していたら、怒っていたら、悲しんでいたら、わたしはそっと彼の隣に立ちたい。
でもそれはもう叶わないのです。
ずっと忘れていたくせに、と言われてしまうかもしれません。
でも、やはり会いたいです。フォックスさんに会いたいと思うのです。
159
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 16:29:11 ID:kSqC/Emg0
デルタがちゃんと捕まったかが気になる
それにしても作者博識だな
160
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 18:05:24 ID:3EMocCK60
非常に面白い!
でも
>>40
の最初の行でヒートがギコ君"彼氏"いないっぽいって言ってて笑った
161
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 19:40:32 ID:G/KtAGJU0
死ぬほど鬱になりつつここまで一気読みしてしまった
162
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 20:04:47 ID:QPKeOWFI0
読み進めるほど死にたくなるけど読むのを止められねぇ
163
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:34:44 ID:AxsdikKc0
>>160
ほんとっすわ…ホモォ…
164
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:35:24 ID:AxsdikKc0
5 銀河鉄道の夜
165
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:36:05 ID:AxsdikKc0
トソンが旅を終えてから三週間ほどが経った。その間、私とクーは二人きりだった。
新しく乗客として乗ってくる者はおらず、私たちも特に記憶を取り戻す事は出来なかった。
二人きりになると急に寂しく感じられた。銀河鉄道は機関車に四両も客車を連結しているのに乗客は今やたった二人だ。
私はクーと色んな話をした。記憶を少し取り戻した最初の街以来全く新しく思い出せた記憶はなかった。
その代わりクーに銀河鉄道に乗り込んでから出会った人たちの話をしてもらった。
もうクーは四ヶ月から五ヶ月はこの銀河鉄道に乗っているらしい。私も気がつけば一ヶ月以上は乗っている。
銀河鉄道の乗客はやはり何か強い思い残しがありながら死んでいった人ばかりだった。
これまでクーが見てきた数十人はそれぞれ何か思い残す事があった。
私が見届けたヒート、ドクオ、トソンの三人もそうだ。
ヒートは友人に裏切られて殺された。
ドクオは母親の急死に絶望して自殺した。
トソンは自分に片思いする客に逆上され殺された。
きっと私にも、クーにも、そういう過去があるはずなのだ。
166
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:37:13 ID:AxsdikKc0
クーが紡ぐ乗客たちの物語は、ある意味ではドラマだった。
ダブル不倫の末に殺された者、親から虐待を受けて死んだ者、大事故に巻き込まれて死んだ者。
この銀河鉄道の乗客はいずれにせよ死んでいる。その死に方は人それぞれである意味ではドラマチックでもある。
客車のボックスシートに二人で向かい合って話し、夜になると一緒に同じ寝台で眠った。
二人の時間は長かった。
从 ゚∀从「クーはすごいよね、私はこの一ヶ月で本当に自分を取り戻せるのかなっていよいよ不安になってきたのに」
川 ゚ -゚)「私はもう諦めに近いのかもね。 ここまで長い事自分を思い出せないのだから」
銀河鉄道はどこまでも走った。トソンの言っていた銀河の果てというのは本当に存在しないのではないだろうか。
乗客全員が自分の記憶を取り戻すまで銀河鉄道は走り続ける。街から街へ旅をし続ける。そんな気がした。
全員が旅立つその日まで、銀河鉄道は黙々と走り続けるのだ。
167
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:41:03 ID:AxsdikKc0
そしてどちらかが記憶を取り戻して旅を終えるという事は、どちらか一人を銀河鉄道に残すという事だった。
私は銀河鉄道にクーだけ残して旅立つのも、私だけ一人銀河鉄道に取り残されるのも、恐ろしかった。
川 ゚ -゚)「優しいね、ハインは」
その事を話すとクーは笑った。
川 ゚ -゚)「でもね」とクーは続ける。「いつかは旅立たなくてはいけない」
从 ゚∀从「それは分かってるけど」
川 ゚ -゚)「ここはずっといていい場所ではないんだよ。 私が言うのもあれだけど」
クーと離れたくない。
いつしかクーは私にとってそれほど大きい存在になっていた。
クーを残すのも、クーがいなくるのも、それは辛い事だ。
銀河鉄道にずっと乗っていていい訳じゃあない。ここは終末の楽園でもなんでもないのだ。
二人でいたい、記憶を取り戻したい。私の望みは相反していた。
168
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:41:54 ID:AxsdikKc0
銀河鉄道が到着したのはとても大きな駅だった。長いホームが横にもずらっと並んでいる。
階段を降りて改札口へ出ると人の多さに驚かされた。縦横無尽に人が行き交っている。
私鉄への乗り換えが幾つもある。一体どれほどの路線が集まるターミナル駅なのだろう。
階段を上がると駅前ロータリーに出る。やはり大きな駅だ。
バス・ターミナルには何台ものバスが連なり駅前には大きなビルが建ち並んでいる。
地上に上がったばかりなのにすぐに地下街への階段もある。
数十台が待つタクシーをよそにロータリーを歩いて駅前の通りに出た。
大きな商業ビルや雑居ビルが並んでいる。駅前ロータリーの外にまで色とりどりのバスが待機列を作っている。
横断歩道を渡っていた時だった。クーが立ち止まった。
片側一車線の通りにも雑居ビルが続いていた。
交通量はあまりないようで荷降ろしのトラックや据え付け前の観光バスが路上駐車をしていた。
トヨタ・ハリアーが路上駐車を避けるように車線をはみ出して走っていった。
169
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:42:45 ID:AxsdikKc0
どうしたの、と言おうとしたところで急な違和感に襲われた。
下半身だ。下半身が熱い。そして気がつくと私は駅前の通りではなくどこかのベッドの上に寝かされていた。
足が大きく開かれていた。身動きが出来なかった。開いた足を男が覗き込んでいた。
気持ち悪い、と思った。追い払おうとしたが身体は動かない。声も出ない。
男は顔を私の股間に埋めた。犯される、と咄嗟に思ったが違った。男は何か器具を持っていた。
真面目な顔で男はその器具を私の秘部に入れた。脂汗が出た。何かを入れられている。
違う。出されている、と思った。何を? 出されている。器具を使って何かを秘部から出している。
器具はよく見ると鋏だった。男は私の秘部から鋏で何かを切りながら搔き出していた。
男が私の秘部から出てきた何かを手に取る。鋏で切り搔き出した何かを手に取る。その何かが見えた。
それはばらばらの出来損ないの胎児だった。
川 - )「うぅっ!」
気がつくと隣でクーが吐いていた。横断歩道の真ん中で真っ青になりながらアスファルトに吐いていた。
そこはもうベッドではなく駅前の通りだった。私はべったりと汗をかいて立ちすくんでいた。
从 ゚∀从「…クー?」
170
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:43:36 ID:AxsdikKc0
慌ててクーに駆け寄った。クーは顔面蒼白だった。
彼女が吐瀉物を踏んでしまわないよう慎重に身体を起こした。
从 ゚∀从「大丈夫? どうしたの」
クーは首を振る。そして小さな声で「戻ろう」と言った。
从 ゚∀从「戻る? 銀河鉄道に?」
川 ゚ -゚)「うん、戻ろう。 横になりたい」
私はクーに手を貸してもと来た道を戻った。
クーがこのように体調を崩すのは初めて見た。
銀河鉄道にとんぼ返りして寝台にクーを寝かせて水を飲ませた。
十分ほど横になると、クーはもう大丈夫だからと起き上がり、出発合図を送り銀河鉄道を発車させた。
銀河鉄道は大きなターミナル駅を出て行く。車窓には暫くビル街が続いた。
それほど大きくはない都市の場合、駅を出るとすぐに長閑な風景が広がっている事が多い。
しかしここは本当に大きな都市であるらしくビル街が途切れてもずっと住宅街が続いていた。
171
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:44:19 ID:AxsdikKc0
クーが戻ってきてクロスシートに座った。
从 ゚∀从「もう大丈夫?」
川 ゚ -゚)「大丈夫、ごめんね」
从 ゚∀从「どうしたの、一体」
川 ゚ -゚)「ううん、よく分からない」
あのベッドの上で足を開かされて秘部から胎児を掻き出されたイメージについては切り出さなかった。
見てはいけないものを見たような気がした。それほどにおぞましく、悲しいイメージだった。
きっとクーも見たのだろうし、あれを見たからこそクーは嘔吐したのだと思う。
でも私はそれについてクーに問いかけるような事はしなかった。
ふと、車窓に顔を向けるクーの頬に何かが光るのに気がついた。
それは涙だった。クーは車窓を眺めながら涙を流していた。
音もなく、声もあげず、ただ静かに泣いていた。
从 ゚∀从「クー…泣いているの」
172
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:45:05 ID:AxsdikKc0
川 ゚ -゚)「あぁ、本当だ。 どうしてだろうね」
慌ててクーは涙を拭って笑った。それは弱々しいものだった。明らかな強がりだと分かった。
クーは強くしっかりした人に見えますが、きっと弱い一面もあります。
トソンが最後に残した言葉を思い出した。クーは今、何を思っているのだろう。
日が暮れ車窓には夜の街が映る。
平地に線を引き、海を埋め立て、山を切り開いて、それぞれの家が建っている。
一つ一つの家の灯りが幾つも集まって銀河が形成される。
銀河鉄道は夜を走る。終着駅もなく走り続ける。
翌日到着した駅はやや大きい駅だった。到着したホームの隣には私鉄の駅がある。
駅を出るとペデストリアンデッキに繋がっていた。駅前にはビルやマンションが建ち並ぶ。
振り返ると駅舎そのものは簡素な造りで駅ビルらしきものは見当たらなかった。
屋根のあるペデストリアンデッキをまっすぐ歩くと大きなビルに吸い込まれていく。
正面には入り口があってどうやら駅前型百貨店のようだった。ただその隣に通路が続いている。
覗いてみると券売機と改札口があり、ビルの中に駅があるらしかった。
从 ゚∀从「乗ってみようか」
173
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:45:49 ID:AxsdikKc0
改札口を通ると行き止まり式二面一線のホームがあった。
乗車ホームと降者ホームに分かれている。車止めの上にはシチズン製の時計があった。
屋根はドーム型になっていて妙に古めかしく趣がある。
待っていると二両編成二つを繋げた緑色の列車が入ってきた。
まず降者ホーム側のドアが開き降客が済んでから乗車ホーム側のドアが開いた。
発車まで数分あったものの車内はそれなりに混んでいて座席はすぐに埋まった。
たまには立って乗るのも面白いね、などと言いながら私とクーは窓際に立った。
列車は住宅地を走り、途中の交換駅で多くの乗客が降りた。
その駅からも多くの乗客が乗り込んでまた車内は混雑した。
列車は駅を出ると道路の中央に線路が敷かれている併用軌道を走り始めた。
トソンが記憶を取り戻した大津市の光景に似ていた。
併用軌道が終わり再び住宅地に入った。軒先が線路ぎりぎりにある。
家のすぐ裏手を線路が走っているし、線路からしか出入り出来ない門がある家もある。
ふと線路がカーブして住宅地を抜けた。視界が開けた。車窓いっぱいに海が飛び込んできた。
線路は海沿いを走っていた。青く晴れ渡った空と雄大な海。綺麗だ、ではなく、懐かしい、と思った。
174
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:47:17 ID:AxsdikKc0
懐かしい、あぁそうだ、懐かしいんだ。駅が見える。駅の先にある踏切にはカメラを持った観光客がたくさんいる。
スラムダンクに登場する聖地として有名な踏切で平日でもたくさんの観光客が列車との写真を撮ろうと待ち構えている。
最近では中国でもスラムダンクが放送されたらしく中国人観光客が多くなったと聞いた。
鎌倉高校前駅、鎌倉高校前踏切。ここは江ノ電だ。
私の住まいは神奈川県藤沢市にあった。新湘南バイパス藤沢インターチェンジの裏手にある。
裏手は小高い山でゴルフ場になっている。新湘南バイパスの往来が夜でも聞こえる場所だった。
住んでいたのは古びたアパートだった。2DKのアパートに母親と二人で暮らしていた。
父親ははじめからいなかった。母親曰く途中で出ていったそうだ。
最寄りの保育園を経て最寄りの小学校と中学校に通った。
高校も別に近くの高校で良かったのだけれど母親がせっかくある程度勉強が出来るのだからとより偏差値の高い公立高校を勧められた。
確かに成績は常に良かったし、当時は素行だってそれほど悪くはなかった。入試を難なくクリアしてその海沿いの高校に通い始めた。
神奈中バスで藤沢駅まで出て江ノ電で通学するというルートで、観光でしか乗った事のなかった江ノ電で通学出来るのは楽しかった。
腰越駅を出ると視界いっぱいに海が広がる。いつもその海を見るのが好きだった。
175
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:47:46 ID:AxsdikKc0
私は母親があまり好きではなかった。
私を育ててくれたのは他ならぬ母親だったにも関わらず、あまり家にいない母親があまり好きではなかったのだ。
母親は水商売をしていて、昼過ぎまで眠っていて、夕方になると出かけていった。帰ってくるのは朝だった。
私は朝起きると母親が起きないようにこっそり準備をして静かに家を出た。
夕食は母親が作り置きしたものを温め直して食べた。私はいつも一人だった。
母親はたまに家に男を連れ込む事があったし、男の家や男とホテルに泊まってくる事もあった。
私はその場面に出くわす事があったし、もっとひどい場面に出くわす事もあった。
母親はどうやら私の父親とは結婚すらしておらず、これからもする気はないようだった。
ただセックスをしたり泊まったりする関係の男は何人かいた。
176
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:48:16 ID:AxsdikKc0
私はいつも孤独だった。アパートばかりの場所で近所付き合いのようなものは存在しなかった。
母親の出身地は富山県で頼れる親戚なんてものもいなかった。
私はいつも一人で食事をして一人で時間を過ごし一人で眠り一人で起きて学校に行っていた。
それでも母親は曲がりなりにも私を育ててくれたのだ。それは感謝すべき事だと後々気づく事になる。
幼い頃の基準なんて単純なものだ。休みの日にどこかに連れて行ってもらった記憶もあまりない。
八景島シーパラダイスにも東京ディズニーランドにも連れて行ってもらった事がない。
運動会や授業参観には来てくれたがお母さんが若くて綺麗だと同級生に言われたのは途中までだ。
色んな言葉を覚えた同級生からは水商売の母親が来たぞ、と囃し立てられた。
私は水商売の娘と呼ばれるのが本当に嫌だった。母親には来てほしくないと思うようになった。
母親が水商売をしている事を恨んだ。水商売なんてしているから私はこんなに辛いのだと思った。
言うまでもなく母親が水商売をしていたのは自身の生活と私を育てるためだ。
でも私にそんな事は理解出来なかった。ただただ母親を恨んでいた。
177
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:49:07 ID:AxsdikKc0
高校は小学校中学校から少し離れた隣の市にある公立高校だったから、新しい人間関係を築く事が出来た。
これまでの小学校中学校の人間関係はいったんリセットされた。自分の母親が水商売をしていると知っている人は誰もいない。
まるでそれだけで新しい自分に生まれ変わった気分だった。女子の友達が出来たし男子からは羨望の眼差しを向けられる事になった。
私の身体は小学生から中学生にかけて成長して年齢とは似つかわしくないぐらいに大人びたものになっていた。
あの母親の遺伝である事は明確で、中学生当時私を蔑んでいた男子もすれ違いざまにセーラー服を押し上げる胸を盗み見ていた。
高校では私の母親の事情を知る者はいないので男子からはよく声をかけられた。いかに彼らが身体目当てだったかは視線で分かる。
しかし私はその男子からの好意、羨望の眼差しに対して満更ではなかった。不遇だった中学生までとは違うのだ。
男遊びは激しくなり学校の男子と何人そういう行為をしたか途中で数えなくなった。
カッコいい先輩でも私ならば手にする事が出来た。化粧の仕方は母親から技術を盗んでいた。
胸元が開けた服を着れば男子の視線は喋っている途中でも必ず胸元に落ちた。
178
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:49:32 ID:AxsdikKc0
そうしているうちに女子の友達は減っていたけれど逆に仲の良い女子の友達は確立していった。それだけでじゅうぶんだった。
その仲の良い友達の一人で、稼ぎやすいバイトをしている、と話し始めた子がいた。私は金欠気味で確かにお金が手っ取り早く欲しかった。
内容は簡潔に言えばごく簡単な援助交際のようなものだった。指定されたホテルに出向き、本番行為はなく例えば手や口だけでするというものだった。
その子曰く、管理しているのは他校の先輩OBで、とても優しく気の回る人で、客も承認制で乱暴な行為に及ぶものはいないとの事だった。
仲の良い友達の多数はさほど迷わず参加を表明した。私もとても軽い気持ちで参加した。
その簡単な援助交際を管理しているという他校の先輩OBにも会わせてもらったが身なりをきちっとした明るい人だった。
まぁ後々考えれば女の子に対価以上の行為や乱暴をしないようにと脅しをかけられるのも、後ろに暴力団がいたからだろう。
彼のような若い素人が一人で切り盛り出来るとは思えないしきっと売り上げを流していたのだろう。
見た目で女の子が萎縮してしまう暴力団員とは違ってソフトな物腰の若い彼は女の子の窓口となる事が出来る。
179
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:49:58 ID:AxsdikKc0
間接的ながら暴力団と関わる事となったとはいえ、私は全く後悔していなかった。本当に手っ取り早く稼げたのだ。
指定されたホテルに出向き、制服に着替えて手でしごくだけ。男が果てれば事務所に帰ってマージンを引いた売上金を受け取って終わり。
マージンは五割だった。それでも月に何度も仕事に入ればそれなりの収入になった。アルバイトなんてしなくていい、と思った。
管理していた他校の先輩OBは藤沢駅近くに事務所を構えていた。そこには私のような女の子が頻繁に出入りしていた。
高校生というだけでブランド力はすごかった。私服でホテルに出向き制服に着替えると男は喜んで興奮した。
男が私の制服姿で興奮して喘ぎながら私の手の中で射精する事は、気持ち悪いとは思わなかった。むしろ可愛いとすら思った。
こんな大の大人が、私で興奮して射精している、そう考えると楽しいとすら思うようになった。それは天職だよと仲間には笑われた。
殆どの女の子は気持ち悪いと感じていて、中にはずっと吐くのを堪えながらギリギリでやっていると笑いながら言う子もいた。
180
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:50:21 ID:AxsdikKc0
私は次第にもっと稼ぎたいと欲が出るようになった。口でするサービスに移った。
手でするサービスから料金は一気に跳ね上がり、マージンを差し引いてもすごい額になった。
更に口に出されたそれを飲み干せば追加料金ももらえる。性病リスクなどがあっても私にとって抵抗はなかった。
同じ高校の男子とそういう事をしても飲んで欲しいと言われればいつも飲んでいた。
それを話すと仲間内でいよいよ天職だよと褒められるようになった。私なんかゲロっちゃうと笑われた。
管理している他校の先輩OBからはそれなら本当に本番行為もしてみるかと訊かれた。
料金表を見せてもらうと恐ろしい額だった。高校生相手にセックス出来るならこれほどの額を払うのかと驚いた。
マージンを差し引いてもかなりの額が入る。これを月に何度も行うと、とんでもない額になる。
完全に私は麻痺していた。普通に働かなくても身体を使えば異常に稼げるという現実に麻痺していた。
お金が欲しかったし、もう普通にアルバイトで働くなんて考えられなかった。
181
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:51:24 ID:AxsdikKc0
遂に私は本番行為OKになった。最初はさすがに緊張したけれど、慣れればなんて事はなかった。
むしろ自分で動かなくても相手が勝手に動いてくれるので楽だった。
さすがに本番行為となれば制服は脱いでしまうのにそれでも男は興奮していた。
制服さえ脱いでしまえばただの女の裸なのに、現役高校生という肩書きはすごいと改めて感心した。
私の月の収入は恐ろしい額になりそれ相応の高いバッグを買うようになった。
母親はそのバッグなどを見ても私がどうやって稼いでいるかは問い質さなかった。
多分気づいていたのだろう。母親は水商売で稼ぎ、娘は援助交際で稼ぐ。
きっと、男が喘いで射精するのも気持ち悪いと思わないところなども、遺伝のもたらすところなのだろう。
仲間に天職と言われたのも、その遺伝によるものなのだ。
182
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:51:48 ID:AxsdikKc0
私は高校を卒業して大学に進学した。
大学もそれほど行きたいという気持ちはなかったものの母親が行くべきだと言った。
母親は大学どころか高校中退という学歴で、それに対して随分コンプレックスを持っていると話した事があった。
国公立なら学費を払えるから、と言われて私は国公立を目指した。そして見事に合格した。
いわゆるキャンパス・ライフは楽しかった。高校とは比べ物にならないほど開放的で面白かった。
それでも何のアルバイトをしているの、と新しく出来た友人に訊かれると適当にごまかすしかなかった。
高校を卒業すればあの仕事はもう出来ないと思っていた。
でも管理している他校の先輩OBは意外そうに言った。制服を来て学生証を見せればまだ数年は高校生という事で行けるよ、と。
どうやらそうやって高校卒業後も高校生と偽って働く女の子は多いらしい。清純そうな見た目の子も好まれるけれど派手なギャルっぽい子も好まれる。
ある程度髪を染めたりしていても今の高校生自体が派手で髪を染めているから偽る事が出来る、らしかった。
正直これほど稼ぎやすい仕事はないのでありがたく私は続ける事にした。
わざわざ学生証を見て学校に在籍しているか問い合わせる者などいない。
大学に通いながら帰りに高校生の格好をして援助交際をする日々が始まった。
個人の制服は事務所ロッカーに置いておけたし洗濯だって管理する他校の先輩OBがやってくれた。
183
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:52:29 ID:AxsdikKc0
全てが順調だった。国公立の大学に進学し、そこでも男子にちやほやされて、仕事も続けられて恐ろしい額を稼ぐ。
そんな私の生活の終焉は、大学一年目の冬だった。
その日の客はタカラさんといって、三回目の指名だった。
一回目、二回目と紳士的な態度で嫌な気持ちはなかった。
指定されたラブ・ホテルはフロントにいつも人がおらず、他の客に出くわす事もほぼないので目線を気にしなくていいところだった。
部屋に着きタカラさんに出迎えられ事務所に到着を告げる旨の連絡をした。
从 ゚∀从「よろしくお願いします」
( ,,^Д^)「よろしく」
手順としてはシャワーを浴びてから、制服に着替えて出て来る、というものだ。
いつも通りに制服の入った鞄を持ってシャワーに入った。
しかし突然ドアが開かれた。驚いて振り返るとタカラさんともう一人男がいた。
タカラさんに羽交い締めにされて男に目隠しをされ口に猿轡を詰め込まれた。
どちらかに担ぎ上げられ部屋を出るのが分かった。タカラさんがフロントクリア了解と言うのが分かった。
エレベーターで下る音がした。外に出たのが空気で分かった。何かの上に乗せられスライドドアが閉まる音がした。車だ。
車。拉致される。精一杯抵抗したが逆に殴られた。とにかく殴られた。気を失いそうになった。殺されるのかと思った。
あまりにも徹底して殴られるので抵抗が完全に出来なくなった。とにかく殺されたくはなかった。
目隠しと猿轡をされて手足を拘束されてそのまま私は車でどこかに運ばれた。
タカラさんを含め車内には男が三人乗っているのが会話で分かった。
一人が部屋に隠れていてもう一人が車で待機していたのだろう。
184
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:53:31 ID:AxsdikKc0
客は承認制で危ない事はないはずなのに、と私は思った。しかしもう遅い。
私は拉致された。
連れてこられたのはどこかの室内だった。他の物音はしない。
目隠しと猿轡をされ手足には拘束具が取り付けられたまま、私はベッドにうつ伏せに寝かされた。
身につけていた服も下着も脱がされ犯されると思ったが違った。背中を激痛が襲った。
从 ∀从「んっ!」
鋭利なもので背中を切られている感触だった。カッター・ナイフなどで線を描くように傷つけられている。
何をされているのか分からなかった。ただ激痛だけが背中を走った。
从 ∀从「んん〜っ!」
あまりの痛みに悶えた。悲鳴をあげようにも猿轡のせいで声は出ない。
暴れようにも手足は拘束具でがっちりと抑えられている。
カッター・ナイフや剃刀で肌を切られるような痛みとたわしで身体をこすられるような痛みは七時間ほど続いた。
あまりにも長い時間は永遠のようにも感じられた。
185
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:54:49 ID:AxsdikKc0
「よし」
タカラさんの声がした。
「はぁー大したもんだ」
「さすが職人芸っすねぇ」
二人の男が感嘆する。
「取ってやれ」
目隠しと猿轡を取り外されてみたのはどこかの見知らぬ部屋だった。
恐らくアパートの一室。タカラさんと二人の男が私を見下ろしていた。
タカラさんは満足そうに私の背中の写真を撮っていた。
( ,,^Д^)「いい出来だ」
从 ゚∀从「な…何を」
( ,,^Д^)「ん? 見せてやるよ」
携帯電話を見せられる。そこに映っていたのは私の背中に彫られた大きな翼の入れ墨だった。
186
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:56:48 ID:AxsdikKc0
从;゚∀从「え…うそ…」
(・∀ ・)「単色だとやっぱりはえーな」
ホ ゚ーン「えーでも綺麗なシンメトリーっすよ。 両翼!的な」
(・∀ ・)「なんで飛行機っぽくなってるんだよ」
私は絶望でいっぱいになった。これほどの入れ墨なんて、もう元には戻せない。
从;゚∀从「い、いやだ…」
( ,,^Д^)「もう彫っちまったもんはどうしようもねーよ」
タカラさんが笑う。
( ,,^Д^)「しっかしお前殴りすぎだろ、顔腫れてるじゃねーか」
(・∀ ・)「仕方ねーだろ、最初は徹底的にした方がいいんだよ。 女はバカだから身体で教え込まなきゃ分かんねーの」
ホ ゚ーン「わぁー斉藤さんマジ鬼畜っすねぇ」
( ,,^Д^)「まぁいいや、そろそろやろうぜ、お待ちかねだろ」
ホ ゚ーン「待ってました〜!」
187
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:57:33 ID:AxsdikKc0
彼らは順番に私を犯した。抵抗するとやはり殴られてすぐに私は抵抗をやめた。
抵抗しなければ彼らは自由に私を犯した。口を開かせて肉棒をねじ込み挿入すれば尻を叩きながら乱暴に突いた。
荒々しい行為は完全に性欲処理ためだけのものだった。性欲処理だけのためにセックスするのは初めてだった。
誰かが突いている間は、別の誰かがビデオ・カメラで撮影していた。写真も何枚も撮られた、もはや私に抵抗する気力はなかった。
せめて避妊してほしかったのに彼らはコンドームを着けずお構いなしに膣内に射精した。
( ,,^Д^)「おい、意識あるか」
全員が終わるとタカラさんが私の頬を叩いた。
( ,,^Д^)「風呂に入れ。 あとこれ飲んどけ」
渡された錠剤はアフターピルだった。それまであまりの乱暴ぶりだったため私は安堵してしまった。
( ,,^Д^)「あと逃げようなんて思うなよ、見張ってるからな」
本当に見張りをつけられ私はシャワーに向かった。
斉藤さんと呼ばれた男はしっかり私についてきて監視した。シャワーを浴び始めてもドアを開いて私の身体を見ていた。
(・∀ ・)「いやーやっぱいい身体してんなぁ」
私は答えずにシャワーを浴びた。秘部に指を入れて精液を搔き出した。
鏡に映る顔は殴られすぎてひどく腫れていた。
188
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:58:31 ID:AxsdikKc0
(・∀ ・)「やっべーまた勃ってきたわ」
そう言うと男は私に抱きついてきた。胸を揉みしだき、勃起した肉棒を尻にこすりつけた。
有無を言わさず男は挿入して私は壁に手をついたままそれを受け止めなければいけなかった。
( ,,^Д^)「おいおいお前何やってんだよ、見張りしろつったけど二回戦しろとは言ってねーよ」
ホ ゚ーン「ギャハハ、斉藤さん中学生っすか」
(・∀ ・)「うるせーよ」
私は風呂でも犯されて、ようやくシャワーを浴びて部屋に戻された。
男たちはソファーに座って何かを飲んでいた。
( ,,^Д^)「とりあえず座れよ」
促されるがまま私はベッドに座った。
( ,,^Д^)「まぁとりあえず言わなくても分かると思うけどさ、俺らお前を拉致したんだわ」
189
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 20:59:56 ID:AxsdikKc0
从;゚∀从「わ、私をどうするつもりですか」
( ,,^Д^)「まぁね、大人しく言う事を聞いていれば悪いようにはしないよ。 傷つけもしない」
从;゚∀从「家に帰して下さい」
( ,,^Д^)「はぁ?」
从;゚∀从「家に帰して下さい」
(・∀ ・)「ほら言ったじゃん、女ってバカだから感情論でしか物事考えらんないのよ。 呼ぼうぜ、やっぱり」
( ,,^Д^)「そうだな、仕方ない。 お前が選んだんだからな」
そう私に言うとタカラさんはどこかに電話した。三十分ほどで、五人の男が部屋にやって来た。
バスタオルを巻いた状態でベッドに座る私を見つけて男たちは笑った。
がっちりとした体形で獰猛そうな男ばかりだった。
(`∠´)「こいつっすか、すげぇいいじゃないっすか。 顔めっちゃ腫れてるけど」
ホ ゚ーン「戦犯斉藤さんで〜〜〜す」
(`∠´)「ひっでー美人が台無しだよ」
190
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:01:00 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「おい、好きにしていいぞ」
(`∠´)「えっマジなんすか?」
( ,,^Д^)「マジだよ。 中出してもいいから。 足りてないみたいだからさ」
(`∠´)「マジっすか! あざっす!」
五人は順番にシャワーを浴びて本当に順番に私を犯した。
獰猛そうな見た目通り荒々しく身体が壊れるかと思った。
一度出しただけでは飽き足らず再度体位を変えて行為に及んだ。
途中からタカラさんたち三人もまたセックスに参加した。
終わった者はソファーに座って飲み物を片手に乱交を見て楽しんでいた。
ずっとビデオ・カメラが回されていたし飲み物を片手に携帯電話でも写真を撮られた。
膣内にも顔にも髪にも射精されて自分と男たちの汗にまみれて私はどろどろになった。
何度も荒々しく突かれて何人もの相手をさせられて秘部は熱く痛んだ。
ようやく終わった時には心から安堵した。
(`∠´)「マジ最高っした」
( ,,^Д^)「また来いよ」
(`∠´)「マジっすか〜タカラさん一生ついていきますよ」
( ,,^Д^)「やっすいなーお前らよー」
満足して男たちは帰っていった。部屋には最初の三人が残った。
191
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:02:28 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「さぁ、もう一度さっきの話をしようか。 大人しく言う事を聞いていれば悪いようにはしないよ。 どうする?」
(・∀ ・)「別に毎日あいつら呼んだっていいしあいつらみたいな奴はいくらでもいるんだからな。 一日何十人相手させてやってもいいぜ」
私は力なく首を振った。もう喋る事すら辛い。
(・∀ ・)「それに今の動画や写真をばら撒いてもいいんだぜ? そうだな、TwitterでもYouTubeでも、そこらのエロサイトでもいいぜ」
ビデオ・カメラで撮影した動画を再生する。画面の中で私は挿入され尻を叩かれ身体をよじらせながら喘いでいた。
部屋中に私の喘ぎ声が響いた。見たくない、聞きたくない、と思った。あまりにも情けなかった。
(・∀ ・)「世に出た動画は一生消えないからな〜ずっと街であっあの乱交ビッチ女だって指さされるんだぜ」
从 ∀从「それは…いやです…」
( ,,^Д^)「そうだな、そうだよな、嫌だよな。 じゃあ言う事聞いてくれるな」
从 ゚∀从「何をすれば、いいんですか?」
( ,,^Д^)「まぁお前がやっていたような仕事だよ。 男の相手をしてもらう。 簡単だろう」
从 ゚∀从「男の相手…」
192
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:04:24 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「ほら、誓約書だ。 どうせ印鑑なんて持ってないだろうから、指印でいいわ」
紙とペンと朱肉を差し出された。内容はタカラさんに従い反抗しない、だとかそういうものだった。
ボールペンによる手書きで書かれたものだった。滅茶苦茶な内容だったけれどこれ以上反抗する気力はなかった。
指の精液をティッシュペーパーで拭いてペンで名前を書き、指印を押した。手渡すとタカラさんは満足そうにした。
( ,,^Д^)「そうそう、最初からそうすればいいんだ。 言う事を聞いていればいい」
(・∀ ・)「女は黙って言う事聞いてりゃいいんだよ、手間かけさせやがって」
( ,,^Д^)「あとは大学の休学届は保証人の捺印がいるから無理か、とりあえず母親に家出するって連絡しろ」
从;゚∀从「え?」
( ,,^Д^)「そりゃあそうだろう、いくら水商売やってるような母親でも娘が急に帰ってこなくなると不審に思うだろ」
从; ∀从「え、なんで」
( ,,^Д^)「なんで母親が水商売やってるか知ってるかって? お前の店の学生証を見せて高校生である事を証明するってシステムはセキュリティ的にダメだな。
どうせ卒業後の女を偽装高校生として働かせるのなら卒業した他の学生の学生証なりを入手して見せたりすればいいんだ。 そしたら源氏名も使える。
本名晒して援助交際なんてセキュリティ甘すぎる。 名前が分かればいくらでも調べられれるんだよ。 なぁ、ハインリッヒ。
藤沢市立辻堂保育園、藤沢市立明治小学校、藤沢市立明治中学校、神奈川県立鎌倉高校卒業、横浜国立大学在学のハインリッヒさん」
193
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:08:59 ID:AxsdikKc0
私は震えが止まらなかった。絶望的な気持ちになった。
(・∀ ・)「今の出身校と在学中の大学の門と壁にさっきの写真をプリントアウトして貼ってやってもいいんだぜ?
中学校の同級生に母親が水商売やっていたあの子は今は大学生なのに高校生の格好して援助交際やってますって教えてもいいんだぜ」
从 ∀从「いや…やめて…」
(・∀ ・)「嫌だよな? 嫌だよなぁ? 母親が水商売やってるのすら嫌だったもんなぁ、それが自分が援助交際なんだからなぁ?
あんな大乱交してる写真バラ撒かれたらお前の人生は終わりだぜ、あの母親ももうあそこには住めないぜ。
あの新湘南バイパスの藤沢インターから降りてきたところの脇にあるボロいアパートにいられなくなっちゃうな」
从 ∀从「いや…」
( ,,^Д^)「じゃあ連絡しないと。 家出します、探さないで下さい、私はお母さんの事が嫌いでした…と。
お前は昔から母親が好きじゃあないって言ってたらしいなぁ、家出するって言えばお母さんは納得しちゃうよなぁ。
本人が娘から好かれていないって気づいてたはずだからなぁ。 お前は今から最高に親不孝な娘になるんだよ。
でも迷惑はかけたくないだろ? そうだよな? じゃあ連絡しないとな」
194
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:10:24 ID:AxsdikKc0
私は取り上げられていた鞄から携帯電話を差し出されていた。
電話帳から母、とだけ事務的に書かれた番号を呼び出した。
涙が止まらなくなった。そうだ、私は親不孝者だったのだ。
唐突な暴力と、これからの絶望と、これまでの後悔で、私は涙が止まらなくなった。
(・∀ ・)「はぁ〜女ってすぐ泣くんだよな。 泣けばいいと思ってる。 泣けばなんとかなると思ってるんだ。 女はいつだって他力本願だ」
( ,,^Д^)「電話が無理ならメールでもいいぞ。 早くしろよ」
震える手でメールを打った。途中何度も打ち間違えて時間が経った。
じれったくなったタカラさんが画面を覗き込んだ。
( ,,^Д^)「そうそう、そして私はお母さんがずっと嫌いでした、って書くんだよ。 そうすれば母親も諦める」
从;゚∀从「そ、それは…」
( ,,^Д^)「書くんだよ、ほら。 実際嫌いだっただろ? 正直に書けばいいんだよ」
从;゚∀从「でも…」
( ,,^Д^)「書けよ」
195
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:11:25 ID:AxsdikKc0
髪の毛を掴まれて携帯電話を落としそうになった。書きます、書きます、と言って続きを打った。
母親の心を徹底的に打ち砕く内容だった。タカラさんは内容を確認して送信した。
送信は完了した。もう後戻りは出来ないのだと思った。
( ,,^Д^)「じゃあ、これから仲良くやろうな」
これが地獄の始まりだった。
タカラ曰く、ターゲットを探すべく身分を偽りあの援助交際を管理する他校先輩OBの客となっていたという。
そして家庭環境などを総合的に吟味して私が選ばれた。一番問題なく社会から切り離せるだろうと。
私はもう一度目隠しをされて別の場所に移送された。
そこはマンションだった。1LDKでリビングがあり、寝室があり、トイレがあり、風呂があった。
私には足輪を嵌められてリビングを基準としてロープが結ばれた。
ちょうど基準から一番遠くにある玄関には手が届かないようになっていた。
196
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:11:51 ID:AxsdikKc0
私は鞄などの荷物を奪われて新しく彼らが購入した服や下着を充てがわれた。
Tバックのような卑猥な下着から中学生ぐらいが身につけそうな子供っぽい下着もあった。
客のニーズに合わせるのだという。セクシー系が好きな客にはTバックを、ロリコン気味の客には子供っぽい下着を。
寝室のベッドにはローション、拘束具、猿轡、ローターが用意されていた。
まさにセックスのための部屋だと思った。
私は顔の腫れがなくなってから、毎日そこで客の相手をした。一日に多い時は六人も相手をした。
それでも同時に彼ら八人の相手をするよりはましだったし、休憩も与えられた。
一人当たり二時間が当てられている。客が来ると彼らは入れ替わりで部屋を去りどこかで時間を潰していた。
二時間の間に私は客とセックスをして、時間が余れば一緒にシャワーを浴びたりもう一度する事もあった。
当然ながら料金は全て彼らに持って行かれた。タカラ、斉藤、ポーンのいずれかが部屋には在中していた。
彼らはこの部屋に泊まる事も多く、その時には必ず私とセックスをした。彼らとセックスをして私の一日は終わった。
休憩時間などで私はタオルやシーツ、自分や彼らの服や下着などを洗濯した。
食事は出前ばかりで私は買い物にも行かせてもらえなかった。足輪は一度も外されなかった。
197
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:12:17 ID:AxsdikKc0
客はひっきりなしにやってきた。客観的に見れば繁盛していると言えた。
どういうルートで客集めをしているのか分からなかったけれど現役大学生または現役高校生として売り出しているようだった。
十九歳に中出し出来るなんて、と感嘆する客も入れば高校生にこんな事が出来るなんて、と喜ぶ客もいた。
フィニッシュはオプションで自由に選べるようになっていた。勿論膣内での射精が一番高価だった。
それ以外にも顔にかけたり口に出したり様々だった。でも多くの客が一番高価な膣内での射精を選んでいた。
いくらアフターピルを飲んでいるからといって不安でたまらなかった。こんなに毎日飲んでいたら効き目がなくなると思った。
吐き気を催す事も多くなったけれど吐いたら薬の効果がなくなる。余分には与えないと言われていたので必死に溢れる唾を飲み込んで耐えた。
数週間経つと少し慣れてきた自分がいた。人間はどのような環境でも慣れてしまうのだ、と驚いた。
携帯電話は取り上げられたままだったものの、休憩時間にはテレビを見る事が出来た。
彼らと共に食事をする事もあったし、共にテレビを見る時もあった。
彼らは常に暴力と恐怖心で私を支配する訳ではなく、時には優しく接した。
出前のメニューは大体選ばせてもらえたし、仕事に支障が出るかもと言うと好きな化粧品などをネット通販で購入してくれた。
198
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:12:42 ID:AxsdikKc0
マンションから一切出る事が許されなかった私だったけれど、洗濯物を干すためにベランダに出る事は出来た。
ベランダから見える風景はまるで知らない街で、スカイツリーや東京タワー、横浜ランドマークタワーなど分かりやすいものもなかった。
それでもある程度都会なのだし、それほど長距離移動していないようだったから、横浜か東京だろうと思った。
結構高いところだな、と思ったので洗濯物を干しながら階数を数えるとここは十一階だった。飛び降りたらまず死ぬだろう。
ここから飛び降りてしまうのが唯一逃げ出せる方法なのかな、と思ったけれど足輪にロープが繋がっているので宙ぶらりんになるだけだった。
もし逃げればお前のセックスをして精液を中出しされている写真や咥えている動画を流失させると繰り返された。
背中の入れ墨を鏡で見せられてこんな背中じゃあもう社会復帰も出来ないぞ、とも脅された。
海にもプールにも温泉にも入れない、会社の更衣室で着替える事も出来ないと延々と言われた。
社会的立場を奪われる、というのは未来に対する深い絶望を私に植え付けた。
もしこの環境から脱してもこの背中の入れ墨は一生消す事は出来ない。
私は背中に化け物を背負った。それは深い絶望だった。底なしの絶望だった。
199
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:13:06 ID:AxsdikKc0
客の性癖は様々で、制服のスカートをめくって子供っぽい下着が見えただけでひどく興奮して勃起していた者もいた。
そのような客の時には私は髪を高い位置で結んでハイソックスを履いて高校生であるように振る舞った。
本物の高校生に中出し出来るなんて、と譫言のように繰り返しながら制服に顔を埋めにおいを嗅ぎながら客は射精した。
客層もばらばらで、若い人もいれば中年もいた。ただ中年層が一番多かった。
中年の客は私にセックスを教え込んだ。中年の客曰く私のセックスはまだ若いのだという。
拉致される前もそれなりの数のセックスを経て自信はあった私は自分がまだ井の中の蛙だった事を知った。
同級生や先輩など同じ高校生を多く相手にして私は自信を持ってしまっていた。そんなものは青臭いセックスだと一蹴された。
中年の客は私にねっとりとしたフェラチオを教え込み、絡みつくようなセックスを教え込んだ。女は寝ているだけだと思ったら甘いと怒られた。
彼らもそれに気がついてお前順調に成長したな、と笑った。相変わらず彼らとのセックスはビデオ・カメラで撮影された。
200
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:13:51 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「お前は俺の見込み通りだったな、立派なセックス・マシーンになってきているよ」
从 ゚∀从「あんまり嬉しくありません」
(・∀ ・)「うるせーな、お前みたいな身体だけでセックスしか能がなくて他に何か特技や得意分野がないビッチは男を悦ばすしかねーんだよ」
ホ ゚ーン「斉藤さんマジ鬼畜っす〜」
タカラは体格が良くナイフのように細い目には威圧感がある。
斉藤は背が高く口が悪いものの人一倍性欲は強い。
ポーンは一番年下らしく使いっ走りをよく任せられている。
数ヶ月も共に過ごすとそれぐらいは見えてくるようになった。
そして恐らく二十代後半から三十代前半。定職には就いていないだろう。
私を使って荒稼ぎしたお金で豪遊しているようだった。
从 ゚∀从「仕事ってされてないですよね」
夕食に配達されたドミノ・ピザを食べながらそう訊いた事がある。
全員が揃っていたし、ピザにはバドワイザーだ、いやハイネケンっすよ、と斉藤とポーンが言い争っていた。
201
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:15:33 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「あぁ、そうだよ。 これでこんだけ稼げるんだから定職なんて就かないでしょ」
从 ゚∀从「でも後ろに暴力団とかいるんじゃないですか?」
( ,,^Д^)「あぁ、お前がいたあそことは違うよ。 ここは完全に俺らだけ。 だから絶対に目立たないように徹底してんだよ」
(・∀ ・)「さすがにバレたらトンズラしないとヤバいわな。 暴力団の下部組織のシマ荒らしてるようなもんだし」
ホ ゚ーン「さすがに斉藤さんも暴力団は怖いんすね」
(・∀ ・)「ったりめーだろ、無理だろ」
从 ゚∀从「あの藤沢のところはやっぱり暴力団が後ろにいたんですか」
( ,,^Д^)「当たり前だろ、あのガキは女子高生に怪しまれず接するための緩衝材だよ。 絶対に自分たちは姿を出さずにピンハネだけしていくのさ。
報酬五割って事で金に飢えてるアホな女子高生を飼ってる訳だ」
(・∀ ・)「お前みたいな金に目がくらんだ親不孝者のバカな女子高生がたくさんいたおかげで結構稼いでいたらしいな、あそこは」
202
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:16:22 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「まぁもっともお前が拉致られたってのが噂で広まったらしく大半は辞めちまったらしいけどな。
まぁ一度そういう道に踏み入れた人間はもう真人間には戻れないさ。
手コキだけしてお小遣い稼ぎしてた奴も自分は本番してないしセーフだって思っててももう汚い人間なのさ」
そうか、私は汚い人間なんだ。私は急にそれを悟った。
何百人という男の肉棒を咥えて精液を浴びて注ぎ込まれて私はすっかり汚い人間になってしまった。
シャワーをいくら浴びてもボディソープでいくら身体を洗っても私は汚い人間だ。
そう思うとどれだけ手を洗ってタオルで拭いても手に精液がついている気がした。私は汚い人間だ。
ヤバいっすよ、とポーンが言いながら部屋に入ってきたのはとある夜だった。
何だよ、とタカラが急かすとあいつ多分警察にも捜索願い出してますよ、と言って鞄から紙を見せた。
タカラが舌打ちをする。トイレから出てきた斉藤が何だよ、と紙を見てクソ、と毒づいた。
( ,,^Д^)「お前の母親は思っていたより娘思いだったな」
タカラが紙を私に見せた。失踪人探しのビラだった。私を探すビラだった。
探しています、と大きな文字で書かれ、高校卒業時の写真、名前、年齢、身長、行方不明時の服装、携帯電話はオフなどと書かれていた。
服装はグレーのタンクトップにデニムのショート・パンツ、白のレースガウンと私が最後に家を出た日に来ていたものが詳細に書かれていた。
母親はどうせ私の服なんて見ていないだろう、と思っていた。最後に見た服装をしっかりと覚えているなんて思わなかった。
203
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:17:26 ID:AxsdikKc0
ホ ゚ーン「藤沢の駅前で配られてました」
(・∀ ・)「あんまりにも帰ってこないから遂に動き出したって感じか」
( ,,^Д^)「携帯電話の電源は切ってあるし最後に電源を切ったあのアパートも俺たちの足がつかない場所だ。
こいつを一度も部屋から出していないし出前の対応もさせていない。 ベランダの洗濯もずっと見ている奴はいないだろう」
ホ ゚ーン「客は」
( ,,^Д^)「全員にはじめ誓約書を書かせてあるし自分もやましい事をしてるんだから自分からチクる奴はいねーだろ」
ホ ゚ーン「ここ藤沢からは遠いっすからね」
母親が私を心配している、そう思うと胸の奥が痛んだ。
あのメールへの反応が気になっていた。返信が来たかもしれないし着信があったかもしれない。
あの後すぐに携帯電話の電源は切られてしまって知る事は出来なかった。
それならそれでいい、面倒な足枷が外れたと安堵しただろうか。どうしたのだろうか、と心配しただろうか。
私はお母さんがずっと嫌いでした、という文面を見てこっちから願い下げだ、と携帯電話を放っただろうか。心を痛めただろうか。
それとも、泣いただろうか。今まで薄々感じていて、遂にはっきりと意思表示をされて涙したのではないだろうか。
そう考えると胸が張り裂けそうになる。いくら脅されたからといって、どうしてそんな文を送ってしまったのだろう。
( ,,^Д^)「暫く様子を見ろ」
ホ ゚ーン「了解っす」
204
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:19:16 ID:AxsdikKc0
ただ日に日に彼らの顔は険しくなっていった。
私を寝室に追いやって話をしていたが会話を盗み聞きする事は出来た。
失踪人探しのビラは掲示板や電柱にも貼られるようになったという。大学に貼られているのだそうだ。
偵察役を任されているポーンはそう報告した。二人は唸った。
( ,,^Д^)「やるしかねーか」
タカラが呟いた。
( ,,^Д^)「一度引き込めるかやってみよう。 ダメなら、分かるな」
斉藤が舌打ちをし、ポーンが息を漏らすのが分かった。
彼らのセックスはいつも以上に荒々しいものだった。やはり彼らとのセックスは性欲処理のために使われた。私は久しぶりに手足を拘束された。
ローターをずっと入れられたまま、乳首を洗濯鋏で挟まれたまま行為に及んだ。私が絶頂を迎えてもローターが引き抜かれる事はなかった。
私が絶頂に達していようが漏らしていようがお構いなしに私を犯した。斉藤は普段客受けが悪いといって抑えているのに私を殴って犯した。
髪の毛を引っ張られながら後ろから突かれてベルトで尻が真っ赤になるまで叩かれながら膣内に射精された。
終わってから私の秘部にローターを突っ込んだまま酒を飲んだ。ソファーで酒を飲みながらローターで延々と絶頂を迎えて悶える私を見物した。
( ,,^Д^)「なんでも上手くいくとは限らねーな」
205
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:20:49 ID:AxsdikKc0
ホ ゚ーン「まぁここまで好調すぎたんじゃいっすか」
( ,,^Д^)「まぁそうかもな」
いい加減飽きたのか私の喘ぎ声がうるさく感じたのかタカラがローターを引き抜いて拘束具を取った。
( ,,^Д^)「風呂入れ。 まだまだ明日からもある」
その日は珍しく休みだった。彼らは三人で出かけていった。
あいつらが後で来るから、今日はそれが仕事だ、とタカラに言われた。
そのあいつらというのが誰かは分からなかったし、何時に来るのかも分からなかった。
彼ら三人が全員で出かけてこの部屋で私一人になるのは初めてだった。
もしかして逃げ出せるのでは、と思った。部屋を色々と調べた。
電話はないし携帯電話も奪われている。どこを探しても外部と連絡を取れそうなものはない。
壁を強く叩き続けたり、ベランダから助けてと大声で叫び続ければ誰かが通報してくれるのではと思った。
窓際に寄って愕然とした。子供が誤って解錠しないよう売られているウインドロックが取り付けられロックに触れないようになった。用意周到だった。
壁を強く叩いても誰にも気づいてもらえず、彼らが帰ってきて傷ついた壁を見たら一体どんな仕打ちを受けるだろう。そう思うと怖かった。
彼らの私を人間とは思わないかのような暴力は私に絶大な恐怖心を植え付けている。そして私はそれに抗えない。
午後になって、玄関が開いた。彼らが帰ってきたのかと思えば違った。
あいつら、とタカラが呼んだ男たちで、誓約書を書かせるために私を犯した五人だった。
(`∠´)「久しぶりっすね、タカラさんから今日は好きにしていいって言われてるんで」
開口一番そう告げられた。休みなどではない、また立て続けの五人を相手しなければいけなかった。
206
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◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:22:00 ID:AxsdikKc0
そして今日は異様で、五人立て続けではなく、はじめから五人での乱交状態だった。
獰猛そうな男たちの性欲は相変わらず凄まじいものだった。次々から犯され穴という穴にねじ込まれた。
息をつく間もなく口には肉棒を突き込まれて吐きそうになると思い切り尻を叩かれた。
乳首にローターをセロハンテープで貼られて後ろの穴まで容赦なく挿入してきた。
まさに全身でセックスをしていた。五人を同時に相手させられ気がおかしくなりそうだった。
乳首に貼られたローターと繰り返し突き込まれる肉棒で私は絶頂を繰り返しベッドは汚れていった。
その時、玄関が開いた音がした。慌ただしく帰ってきたような音が聞こえた。そして寝室のドアが開かれた。
从 ゚∀从「えっ」
私が見たのは目隠しと猿轡をされた母親だった。
ζ( ー *ζ「んんっ!」
目隠しと猿轡を取られて母親が目を開いた。
五人の男に犯される私の姿が目に入った。
ζ(゚ー゚*;ζ「は、ハイン…!」
从;゚∀从「お、お母さん…」
見ないで、と思った。こんな汚れた私の汚れた姿を見られたくない、そう思った。
(`∠´)「タカラさん、やっぱ最高っすよ! こいつの吸い込みっぷりヤバいっすよ」
(・∀ ・)「おいおいおめーらなに後ろまで使ってんだよ、百年はえーわ」
207
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◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:23:25 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「お母さん、お探しの娘さんはこちらですか?」
母親は立ち尽くしていた。涙が流れていた。
私は目を背けたかったけれど感動の再会だろ、と男に頭を持ち上げさせられた。
( ,,^Д^)「娘さんにはこのように誓約書もいただいております」
母親に私の署名と指印のある手書きの誓約書が提示された。
( ,,^Д^)「という事でして合意な訳です。 娘さんは元気に暮らしているんですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「…ふざけないで」
母親はタカラを睨んだ。
ζ(゚ー゚*ζ「そんなものが有効だと思っているの? 警察に言うわ! 娘は返してもらう!」
( ,,^Д^)「お母さん」
208
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◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:25:53 ID:AxsdikKc0
ζ(゚ー゚*ζ「警察に通報するわ! ふざけないで、拉致監禁に強姦よ、お前たち全員刑務所行きだわ!」
( ,,^Д^)「お母さんってば」
ζ(゚ー゚*ζ「この子は私のたった一人の大切な娘なの、たった一人の、それをよくも」
( ,,^Д^)「お母さん、ちょっと」
ζ(゚ー゚*ζ「この人でなしでも! 娘を返してもらうわ、今すぐ警察に
母親が倒れる。タカラさんが殴った。
( ,,^Д^)「やっぱりダメか、やるぞ」
(・∀ ・)「仕方ねーな、本当に女って感情論でしかもの喋れねーわ」
ホ ゚ーン「そっすね」
寝室のドアが閉められる。
从;゚∀从「待って、お母さん、お母さん!」
(`∠´)「おいおい、俺たちはまだイッてないぜ」
209
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◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:26:31 ID:AxsdikKc0
男たちに手足を掴まれる。暴れると顔を殴られた。殴られても私は抵抗した。暴れた。
苛立った男に首を締められて失神しそうになった。拘束を取り付けられてなおも犯された。
お母さん。タオルを口に詰め込まれながらも私は叫んだ。お母さん。お母さん。お母さん。
行為が終わり拘束具を解かれると乳首に貼られたローターを剥がして汚れた身体のまま寝室のドアを開けた。
そこには母親も彼らもいなかった。どこに行ったの、と男たちに訊いても何も答えてくれなかった。
男たちは順番にシャワーを浴びると帰っていった。私は一人部屋のなかでうずくまった。
涙が止まらなかった。お母さん。私はどうしてこれほどに愚かなのだろう。
この子は私のたった一人の大切な娘なの、お母さんの言葉を反芻する。
私は親不孝者だ、どうしようもない、親不孝者だ。
210
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◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:27:34 ID:AxsdikKc0
深夜になって彼らは帰ってきた。お母さんは、と訊いても何も答えなかった。
しつこく訊くと斉藤にひどく殴られた。そして荒々しいセックスが始まった。
散々犯されて傷つけられた。彼らの乱暴なセックスは一度では終わらず夜明け近くまで続いた。
私は痛みに耐え続けた。膣と身体の痛みは張り裂けそうな胸の痛みよりはましだった。
私の身体はあまりにも乱暴に扱われて、傷だらけになっていた。
やりすぎたな、とタカラが呟いた。暫く仕事は休みになった。
母親について訊くと猿轡をされて寝室に半日以上放っておかれた。
彼らは熱心にニュース番組を見ていたが、やっぱり大丈夫そうだなと斉藤が漏らした。
211
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:28:29 ID:AxsdikKc0
半月ほどが経って、初めて私を外に連れ出すとタカラが言った。
普通の服に着替えさせられ、目隠しをされてパーカーのフードを深く被せられた。
拘束具はされなかったけれど両脇をがっちりと固められて部屋を出た。
( ,,^Д^)「よし、歩け。 そこで右だ」
マンションの監視カメラを意識して不自然にならないようタカラが指示した。
エレベーターで降りると車に乗せられた。拉致された時のように寝かされず、シートに座らされた。
( ,,^Д^)「よし、行くか」
運転手はタカラのようだった。
声の位置からして、助手席に斉藤、後部座席には私とポーンが座っていた。
ホ ゚ーン「普通に座らせておいても大丈夫っすかね」
(・∀ ・)「後部座席はスモークあるし大丈夫だろ。 一応変な気起こさないように見とけよ」
ホ ゚ーン「了解っす。 変な気起こさないよな、なっ!?」
ポーンが私の肩を叩く。私ははぁとだけ頷いた。
212
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:29:31 ID:AxsdikKc0
車は暫く発進と停車を繰り返したあと、止まらなくなった。会話から察するに高速道路に乗ったらしい。
ホ ゚ーン「やっぱり高樹町から三茶まで渋滞してんすね」
( ,,^Д^)「三茶は上り勾配だし交通量増えるから一気に混むんだよなぁ」
(・∀ ・)「まぁ東名入ったら渋滞ないみたいだしよ」
高樹町、三茶、東名、あまり位置関係は掴めなかった。東京から東名高速に入ろうとしている事だけは分かった。
一時間と少し走るとそろそろいいだろ、と目隠しを外された。久しぶりに部屋とベランダから以外の景色を見た。
車は高速道路を走っていて、トンネルを抜けると西湘バイパス、箱根ターンパイク、箱根新道と書かれた看板が現れた。
箱根新道と書かれた道路へ車は進み、信号のない急勾配の山道に入った。
( ,,^Д^)「いやぁいいねぇ、登りの加速が違うよ」
(・∀ ・)「2.0のターボだからな」
高級車らしく、車内はとても綺麗でセダンなのに広々としていてゆとりがある。高そうだと思った。
座っているシートも革張りのものだった。
(・∀ ・)「いいなぁ、下りは俺だからな」
ホ ゚ーン「えーじゃあ俺はいつっすか」
(・∀ ・)「お前は海老名からな」
ホ ゚ーン「そんな〜」
三人はいつもと違って上機嫌だった。
まるで新しい玩具を与えられて喜ぶ子供のようだった。
213
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:30:37 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「よし、休憩しようぜ」
道の駅箱根峠と書かれた駐車場に車を入れた。
勾配の途中に木造の建物があって随分と高低差がある事が分かる。
降りて車を見ると大型のセダンだった。車体は輝いて高級車に見える。
木造の建物の裏は展望デッキになっていて眼下に広がる湖とその奥にある山々が見えた。
ここが箱根峠ならばあの湖は芦ノ湖だろう。奥にある山々は箱根の山々だ。
ホ ゚ーン「天気いいっすね〜」
(・∀ ・)「帰りはMAZDAターンパイクで行こうぜ」
( ,,^Д^)「運転手に任せるよ」
彼らとこうして外出してのんびりと時間を過ごすのは初めてだった。
ずっと監禁されていたのだし、変な気分だった。どういうつもりなのだろう。
ただのドライブならば三人で行けばいいし、私を一人あの部屋に残してもウインドロックをすればどうせ助けも呼べない。
从 ゚∀从「あの、なんで私外に出してもらえたんですか」
車に乗り込んでから思い切って訊いた。
復路は運転手が斉藤で助手席にタカラが座り、後部座席は往路同様私とポーンだった。
214
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:32:42 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「まぁ気まぐれではあるよな、お前を外に連れていくのは色んなリスクがある」
でもなぁ、とタカラは笑った。
( ,,^Д^)「この車の事もあるし、記念に見せておこうと思ってな」
斉藤が車を発進させる。力強いトルクでぐんぐん加速していく。
从 ゚∀从「記念…」
( ,,^Д^)「あぁ、まあな」
車はもと来た道を戻り、途中から違う道路に入った。
斉藤は一時停止標識を無視して加速しつつ合流する。
ホ ゚ーン「斉藤さん一時停止違反で捕まったりするのマジでないっすよ」
(・∀ ・)「うるせーな分かってるよ」
( ,,^Д^)「椿ラインは意外とカーブがエグいから飛ばしすぎんなよ」
215
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:33:53 ID:AxsdikKc0
斉藤が言っていたMAZDAターンパイクの入り口を過ぎる。
道路は山の中を何度も曲がりくねくねと進む。交通量は往路の道路と比べると極端に少ない。
途中カーブの膨らんだスペースのところに車を停めた。
(・∀ ・)「ここらへんか」
( ,,^Д^)「明るいと全然分かんねーな」
ホ ゚ーン「あっでもあの石碑みたいなの見覚えありますよ。 ここで間違いないっす」
( ,,^Д^)「だとよ。 おい、ここらへんだ」
タカラが私に向かって言った。
从 ゚∀从「ここらへん…?」
( ,,^Д^)「あぁ、お前のお母さんが眠ってるの、ここらへんだ」
从;゚∀从「え…?」
216
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:35:16 ID:AxsdikKc0
意味が分からなかった。呆然としてしまった。
(・∀ ・)「まぁ手でも合わせとけや」
ホ ゚ーン「斉藤さんマージ鬼畜っすわ〜ぜってー地獄落ちるわ」
(・∀ ・)「るせーよお前を殺すぞ」
ホ ゚ーン「ひえーやっぱ殺した人が言うと説得力あるなぁ〜」
( ,,^Д^)「バカ、お前も含めて全員共犯だろ」
ホ ゚ーン「確かに〜」
最悪だ。最悪の結末だ。
殺された? 母親が? 殺された?
从;゚∀从「こ、殺したの…? お母さんを…?」
217
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:36:36 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「引き込められばと思ったんだけどありゃあ火に油だったな、失敗したわ」
失敗?
(・∀ ・)「ほんとバカな女ほどヒステリックになるんだよな、最期までうるさかったなぁあの年増」
最期まで?
ホ ゚ーン「そう言いつつもったいないしたまにはババアともヤッてみるって言い出したの斉藤さんっしょ〜マジで死姦始めたのはドン引きでしたよ」
死姦?
(・∀ ・)「意外とすぐならオナホールだと思えばイケるんだよ、新しい発見だわ。 人生日々勉強」
( ,,^Д^)「似合わねー事言うなよ。 しかし斉藤あれは本当にひいたぞ」
(・∀ ・)「仕方ねーだろ、俺だって生きてるうちにヤりたかった訳よ。 でもああして殺さなきゃいけなかったんだしさ」
从;゚∀从「お…お母さんは…」
218
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:38:26 ID:AxsdikKc0
( ,,^Д^)「あ? あそこらへんで眠っているよ。 でも深夜に土掘って死体埋めるのドラマみたいだったな」
(・∀ ・)「でも見つからなさそうな場所にうまい事埋めたしな。 大丈夫だろ、こんなところじゃ」
ホ ゚ーン「深夜だから一台も通んなかったっすけど昼間でも一台も通んないっすもんね。 しかも結構奥まで行ったし」
(・∀ ・)「おい、別れは済んだか? 今生の別れだぞ」
( ,,^Д^)「いや今生の別れってもう死んでるから」
ホ ゚ーン「斉藤さん凡ミス〜」
(・∀ ・)「っせーな」
斉藤が車を発進させる。石碑のあるカーブの膨らみが一気に遠ざかった。
( ,,^Д^)「あ、あとこの車な、トヨタ・クラウンアスリートって言うんだ」
从 ゚∀从「トヨタ・クラウンアスリート…」
(・∀ ・)「そう、トヨタ・クラウンアスリート。 女でもクラウンぐらい知ってるだろ」
219
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:39:57 ID:AxsdikKc0
ホ ゚ーン「本当はAudiとかベンツが良かったのに」
( ,,^Д^)「バカ、やっぱり国産車だろ」
ホ ゚ーン「オッサン趣味っすよ、MINIとかの方がカッコいいっすよ」
(・∀ ・)「そんなのはどうでもいいんだよ、お前のお母さんとの交渉が残念ながら決裂してまぁ眠ってもらってからな、お前の家に行ったんだよ。
本当はキャッシュ・カードの暗証番号が知りたかったんだけど死人に口なしって言うだろ。 家の鍵はあったからものの試しにな」
( ,,^Д^)「ほんと、ものの試しだな。 あんなボロアパートに金目のものなんて絶対ないって言ってたしな」
ホ ゚ーン「せめてあの女の貴金属どこかで転売すればなんとかって感じでしたもんねぇ」
(・∀ ・)「それがドンピシャだったんだ。 日光甚五郎煎餅の空き缶あったの覚えてるか? あの通帳とか印鑑入ってる空き缶だよ。
なんとその底に分厚い封筒があって、まさかと中身を見たら現ナマ四百万! たまげたね、マジでいい臨時収入になった」
( ,,^Д^)「おかげでこの夢のトヨタ・クラウンアスリートを中古とはいえ買えたんだよ、いつかはクラウン、ってな」
220
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:41:39 ID:AxsdikKc0
(・∀ ・)「しかもその封筒にはな、学費、とだけ書いてあったんだよ。 泣けるよな〜こんな親不孝者のバカ娘のために学費四百万!
まぁあんな水商売やりながら娘を大学まで行かせるんだからな、本当にお前は親不孝者のクズだよ」
ホ ゚ーン「かぁ〜斉藤さんマジ鬼畜っすわ〜どんな畜生でも斉藤さんには勝てねえ〜」
(・∀ ・)「うるせえお前も箱根に埋めるぞ」
ホ ゚ーン「ひぇ〜ご勘弁を〜」
私はもう言葉が出なかった。あぁそうか、お母さん車になっちゃったんだ。
当たり前の事を忘れていた。大学の学費を出してくれていたのは他でもないお母さんだ。
大学も、高校も、中学校も、小学校も、保育園も、学費は他ならないお母さんが出してくれた。
出勤前に夕食を作っておいてくれたのもお母さんだ。私をこれまで育ててくれたのはお母さんだ。
それなのに。
私はお母さんがずっと嫌いでした。
この子は私のたった一人の大切な娘なの。
私は取り返しのつかない事をした。
もうお母さんはいない。
謝る事も出来ない。
もう取り返しがつかない。
221
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:42:46 ID:AxsdikKc0
後は何があるのだろう?
私は急に不思議な気持ちになった。
もうお母さんがいないのに、これ以上どうするというのだろう?
乱交セックスを収めた動画や写真が世に出回るのが怖い?
背中に彫られた入れ墨のせいで社会的立場を失うのが怖い?
お母さんに感謝する事もなく謝る事も出来ずもう永遠に会えないというのに、それらが何になる?
これまでの恐怖心が一切消えた。それは生に対する執着心の消滅を意味していた。
トヨタ・クラウンアスリートはMAZDAターンパイクに入り下り坂を猛スピードで駆け抜けていた。
やりすぎだ、とタカラに窘めながらも斉藤は華麗なハンドルさばきでカーブを曲がりきった。
山間部を走る道路の前方に車は一台もなく斉藤はアクセルを踏み込みトヨタ・クラウンアスリートは一気に加速する。
カーブに差し掛かる。視界が一瞬開ける。谷の上だった。
私の行動はあっという間だった。彼らは全員油断していて私に注意を払っていなかった。
後部座席から身体を伸ばした私は長い右カーブでハンドルを掴み思い切り左に切った。
(・∀ ・)「バカ野…
声は途切れた。
222
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:43:57 ID:AxsdikKc0
世界が回転していた。
スピードを保ったまま右カーブに対して殆ど垂直に柵に突っ込んだトヨタ・クラウンアスリートはボンネットが潰れながらも跳ね上がった。
私の乗るトヨタ・クラウンアスリートは柵を容易に越えて回転しながら道路から落ちた。勢いを失わないままぐるぐる回って車体は落ちる。
眼下には山の斜面に木々が広がる。道路から随分と高さがある。トヨタ・クラウンアスリートが回る。世界が回る。私も回る。
きっとこの高さでは助からない。この凄惨な事故では助からない。回りながら私は冷静に考えていた。
まるで走馬灯のように二十年間の思い出が駆け巡る。いやこの場合は本当に走馬灯だ。
落下しながら回転を続けるトヨタ・クラウンアスリートのように私の人生が凄まじいスピードで駆け巡った。
どうしてこうなったのだろう。間もなく地面に到達する。トヨタ・クラウンアスリートは叩きつけられて大破する。私の身体は潰される。
幼少期。小学生。中学生に高校生。そして大学生。私のこれまでが現れては消える。目まぐるしく駆け巡る。
もっとこうしたかった、あれをやり残した、あの時ああしていれば、そういう後悔は尽きないしもう取り戻せない。
ただ今この選択だけは間違っていなかった、とだけ思った。世界が暗転した。トヨタ・クラウンアスリートが地面に叩きつけられる。
フロントガラスが粉々に砕けて車体は大きく湾曲し圧縮されて私の身体は潰される。衝撃と共に意識が飛
从 ;∀从「思い出したよ…全部…」
あの小田原城から見えたのは箱根の山々だった。お母さんが眠る箱根の山だ。
私は忘れていた。幸福にも全て忘れていた。そして残酷にも全て思い出した。
でもこれはどうしようもない、変えようのない現実であり過去なのだ。
私の過去。私の人生。私は思い出した。
223
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:46:05 ID:AxsdikKc0
从 ;∀从「クー」
私の身体が消え始めていた。江ノ電の車内で、私の身体が光の粒になって消えていく。
从 ;∀从「クー…クーを、一人にしてしまう」
私は泣いていた。取り戻した記憶の悲しみ。そしてクーを銀河鉄道に一人取り残すという悲しみ。
从 ;∀从「消えたくないよ…クーとずっといたかった…クーを一人にしたくなかった」
ううん、とクーは首を振る。
川 ゚ -゚)「それは違うよハイン、ハインは全部思い出したんだ。 自分を、記憶を取り戻した。 喜ぶべき事だよ」
从 ;∀从「でも、でもクーは」
川 ゚ -゚)「うん、私は銀河鉄道で一人になる。 でも記憶を取り戻せない私には、仕方のない事なんだ」
私はクーの手を握った。感触はもう半分ほどしかなかった。
224
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:47:32 ID:AxsdikKc0
从 ;∀从「ねぇ、もしも生まれ変わりとかがあるなら、次こそ私は真っ当に生きたい。 そしてまたクーに会いたい」
川 ゚ -゚)「うん」
从 ;∀从「だからクーも生まれ変わって、私と出会ってほしい。 わがままだけど…またクーに出会いたい」
川 ゚ -゚)「うん。 また会おう」
从 ;∀从「待ってるから」
川 ゚ -゚)「うん。 ハイン、待ってい
クーの姿が見えなくなった。光に包まれていた。
死後の世界はあるのだろうか。あったとして、こんな私は天国に行けるのだろうか。
そういえばお母さんは私が幼い頃に人は死んだらお星様になるんだよ、と教えてくれた。
お母さんはお星様になっただろうか。私はお星様になれるだろうか。
私は銀河鉄道の車窓から見えた銀河の星の一つになれるのだろうか。
クーが銀河鉄道の夜に見る、一つの星に。
意識が遠のいていく。
でもそれは沈んでいくというより、浮かび上がる感じだった。
225
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:48:38 ID:AxsdikKc0
6 銀河鉄道車掌長の帰りを待つ
226
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:49:28 ID:AxsdikKc0
私が目を覚ましたのは白い部屋だった。
暫くしてどうやらそこが病院であると気がついた。
もしや生まれ変わったのか、と思ったけれどどうやら違うようだった。
目を覚ました私に気がついて看護師がどこかにすっ飛んでいった。
後に医師や警察から聞かされた話を総合すると、
私と彼ら三人を乗せたトヨタ・クラウンアスリートはMAZDAターンパイクにてクラッシュ、柵を越えて高架下に転落。
直後付近を通りかかったライダーが大破した柵を確認し警察に通報、神奈川県警による捜索で高架下に転落したトヨタ・クラウンアスリートを発見した。
乗員全員が救急搬送されたものの彼ら三人は死亡、私だけが奇跡的に一命をとりとめた。
私は五十日ほど意識不明の状態だった。
227
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:50:02 ID:AxsdikKc0
意識を取り戻したと聞いて警察が事情聴取に来たものの、あの事故はハンドルミスとして処理されているようだった。
しかし私は行方不明届が出されていてそちらの聴取も行われた。私は全てを喋った。
藤沢で援助交際をしていた事、彼らに拉致監禁されていた事、多くの客と行為をさせられた事、お母さんが殺され埋められている事。
あの石碑の近くだと私は覚えていて差し出された地図で説明をした。後日捜索が行われてお母さんの死体が土の中から見つかった。
私は入院していたし一ヶ月半も意識不明状態だったために一人で歩く事すら出来ず葬儀には参列出来なかった。
葬儀は富山県から連絡を受けて駆けつけた親戚が執り行ってくれた。顔も知らないその親戚は母の兄だそうだ。
事情を聞いても辛かったな、と私に言うだけで責めるような事はしなかった。私はベッドでただただ泣いていた。
彼ら三人は容疑者死亡のまま書類送検となった。
あのマンションは東京の淡路町・小川町の駅前にあった。彼らの痕跡を徹底的に調べて客やあの獰猛な男たちを追うという。
228
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:50:28 ID:AxsdikKc0
時間の経過と共にどうしてもあの銀河鉄道が気になった。私は死んでいなかった。
あの銀河鉄道で旅をしていた期間と同じ五十日あまり意識不明となっていた。
あの銀河鉄道は、夢だったのだろうか。いつしかそう思うようになった。
意識不明の間にずっと夢を見ていたんです、そんな事を医師に言っても信じてもらえないだろう。
あの銀河鉄道はあまりにも非現実的だった。しかしその反面リアルだった。
ヒートも、ドクオも、トソンも、そしてクーも、夢の中の登場人物だったのだろうか。
クーと二人で過ごしたあの長い時間も、夢だったのだろうか。
もやもやして仕方なかった。でも何も裏付けるものはなかった。
クーと生まれ変わったらまた出会おうと約束したのに。
私は生きていた。死んでいない。
クーは夢の中の登場人物に過ぎないのだろうか。
会いたいと思った。クーに会いたい。夢を見れば会えるのだろうか。
だけどどれほど眠っても銀河鉄道の夢を見る事はなかった。
もどかしくて仕方がない。だけど、どうしようもない。
229
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:52:49 ID:AxsdikKc0
そんな風に時間が過ぎて、リハビリをしながらの入院生活が三ヶ月経った頃、来客がやって来た。
リハ*゚ー゚リ「あの、ハインさん、来客が来てるんですけど」
从 ゚∀从「来客?」
何故か申し訳なさそうに受け持ちの看護師が病室にやって来た。
リハ*゚ー゚リ「なんでも会えば分かるって強引に来ちゃって」
从 ゚∀从「え、なんか怖いんですけど」
すると廊下から男が顔を出した。私は飛び上がりそうになった。
('A`)「よう」
あのドクオだった。
('A`)「びっくりしただろ」
看護師が去っていった後に、ドクオはベッド脇のパイプ椅子に座りにやりと笑った。
从;゚∀从「な、なんで」
('A`)「お前夢の中の登場人物のはずじゃ、的な?」
从 ゚∀从「何故分かる」
('A`)「仕方ない仕方ない、俺も最初はそう思った」
230
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:54:18 ID:AxsdikKc0
それは正真正銘ドクオだった。あの陰鬱そうな顔、癖っ毛の前髪、手入れもした事がなさそうな太い眉。
服はさすがに上下黒のユニクロのスウェットではない。
('A`)「お前どのぐらい向こうにいた? 俺は三週間だったからリハビリ二ヶ月近くかかったわ。 筋肉って使わないとすぐ衰えんのな」
从 ゚∀从「えっ、向こうって?」
('A`)「決まってんだろ、銀河鉄道だよ」
本当にあるんだ。私は、嬉しくなった。
从 ゚∀从「あるの? 銀河鉄道が?」
('A`)「そうだな、簡単に言おうか。 あの銀河鉄道は死んだ人間が乗客として乗り込んでくる、という前提だっただろ? まずその前提が違ったんだ。
銀河鉄道に乗っていたのは意識不明になった人間だった」
从 ゚∀从「意識不明になった人間」
('A`)「俺も家から飛び降りて意識不明の重体だった。 お前も意識不明だっただろ?
意識不明の間、俺たちはあの不思議な銀河鉄道に乗っていたんだ。 そして銀河鉄道で自分の記憶を取り戻す事は成仏でも何でもない。
現実世界で目を覚ますのさ」
从 ゚∀从「あ…」
('A`)「お前もあの銀河鉄道で自分の記憶を取り戻したんだろ? 消えたと思ったらこの病院で目が覚めたって感じだろ?」
从 ゚∀从「うん」
('A`)「な、あそこは先人が自分は死んだと思い込んだから誤解が受け継がれちまったんだ。 自分は死んだ、記憶を取り戻したら旅の終わりって。
でも実際は違った。 全員生きていた。 記憶を取り戻すと現実世界に帰ってくる。 これが答えだ」
从 ゚∀从「じゃあ」
('A`)「あぁ、ヒートは生きてる。 トソンも、クーも恐らく生きてる」
231
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:55:24 ID:AxsdikKc0
私は涙が止まらなかった。
ドクオが生きている、ヒートが生きている、トソンが生きている、そしてクーが生きている。存在している。同じ世界に。
嬉しかった。夢だったのではと、あの二人の長い時間を否定しそうになった。もう会えないのだと思った。
でもクーは生きている。この世に、存在している。
('A`)「何も泣くなよ」
从 ;∀从「だって…あれ、ドクオはどうしてその答えにたどり着いたの」
('A`)「ヒートの最後があっただろ、あれもし現実なら新聞とかに残るはずだって思って調べたんだ。 そしたらヒット。
静岡市駿河区の静岡鉄道静岡清水線の踏切で女子高生が車椅子の同級生を残し人身事故、これらが出てきた。
これであぁあの銀河鉄道はパラレル・ワールドだかなんだか知らないけど本物だったんだって。
こんな事誰に言っても信じてもらえないし当事者同士でしか分かんないけどな」
从 ゚∀从「ヒートには?」
('A`)「会ったよ。 会って真相を伝えた。 はじめ俺を見たらお前みたいな反応してたよ」
从 ゚∀从「そっか、元気そうで良かった」
('A`)「俺の後はどうなったんだ?」
从 ゚∀从「先にトソン、後で私が記憶を取り戻したよ。 新しい乗客は私が消えた時にはいなかった」
クーはきっと一人でまた江ノ電に乗って銀河鉄道に戻ったはずだ。そう考えると心が傷んだ。
232
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:56:34 ID:AxsdikKc0
('A`)「そうか、早いところトソンを見つけて教えてやりたいな」
从 ゚∀从「そうだね」
('A`)「どんな感じだったんだ、お前とトソンは」
私は自分とトソンの取り戻した記憶、過去を簡潔に話した。
同じ銀河鉄道で旅をしたドクオに自分の汚れた過去を話すのは苦ではなかった。
('A`)「ははぁ、お前ビッチじゃねーか」
从#゚∀从「お前っ、お前よくこの流れでそんな事が言えんなオイ!」
('A`)「悪かったって。 しかし胸でけーな」
从#゚∀从「反省してんのかオイ」
('A`)「嘘だ嘘。 そうか、トソンは大津か」
从 ゚∀从「あれ、お前はなんで私の居場所が分かったんだ? 私が藤沢出身って先に消えたお前は知らないだろう」
('A`)「お前が初めて行った街、小田原で記憶を少し取り戻しただろう。 それで近辺で記事を調べたんだ。
そしたらヒット、MAZDAターンパイクのクラッシュ事故で三人死亡の記事にお前の名前があったんだよ。 ハインリッヒさん重体って」
从 ゚∀从「なるほどな…でもなんで病院まで分かったんだ」
233
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:57:51 ID:AxsdikKc0
('A`)「俺の親戚がちょっと有名な凄腕医者だって覚えてるか」
从 ゚∀从「うん」
('A`)「ちょっとしたパイプみたいなものがあってね、調べてもらったんだ。 トソンは分からなかったけど、お前とヒート、クーは分かった」
从;゚∀从「えっ?」
私はまた飛び上がりそうになった。
从;゚∀从「クーの居場所を知っているの…?」
('A`)「あぁ、分かるぜ。 治ったら行くか」
从 ゚∀从「行く。 絶対に、行く」
('A`)「俺まだクーのところには行ってないんだ。 もう目覚めてるか、まだ銀河鉄道に乗っているかは分からないけどな。
じゃあクーはお前に託すよ」
ドクオは携帯電話からクーのいる病院名と住所をメモに書き写した。
私はそれを大切に受け取った。
从 ゚∀从「ドクオ、本当に助かったよ。 ありがとう。 全部夢だったんじゃないかって諦めかけてた。 ドクオが来なければ分からなかった」
234
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:58:35 ID:AxsdikKc0
('A`)「どうも。 俺もクズだったから、これぐらいはするさ」
从 ゚∀从「ドクオそんなにクズじゃあないよ」
('A`)「クズだよ。 でももう過去には戻れない。 先に進むしかない。 そうだろ?」
从 ゚∀从「うん。 未来があるんだから、先に進む」
('A`)「だな」
私は多くを失った。お母さん、時間、社会的地位。でもそれらはもう取り戻せない。
後悔はする。後悔はするけれど、後悔しているだけではどこにも進めない。
確かにこの身体では、海にもプールにも温泉にも入れない、会社の更衣室で着替える事も出来ない。
それでも私はこの入れ墨を十字架として背中に背負う。過去の罪は消えない。消えない罪はここにある。
十字架を、消えない罪を背負いながら、私は生きていく。生きる事と未来へ進む事は、同じ事だ。
JR東海道線で横浜駅まで乗り、横浜駅から東急東横線に乗り換える。
クーが入院しているのは横浜だった。私はクーが嘔吐したあの日を思い出した。
大きなターミナル駅、幾つもの私鉄への乗り換え口、バス・ターミナル、あそこは横浜駅前だった。
あそこはきっとクーの街だったのだ。クーはあのイメージを見て嘔吐し、そのまま自分の街を後にしてしまった。
235
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 21:59:28 ID:AxsdikKc0
四ヶ月に及ぶリハビリの末に私は退院した。身の回りの整理をして私は横浜を目指した。
私が現実世界に帰ってきてから四ヶ月。クーはもう記憶を取り戻して目覚めているだろうか、それともまだ銀河鉄道に乗っているだろうか。
東急東横線の急行に乗り日吉駅で降りる。駅前の花屋でプリザーブド・フラワーを買い日吉駅から東急バスに乗り換えた。
病院は小高い丘の上にあり、乗ってきた路線バスの終点だった。三階建ての決して大きくはない病院だ。
面会時間は十五時からだった。バスに二十分ほど揺られてちょうど十五時になろうとしていた。
受付まで来て、果たして面会に通してもらえるだろうか、と心配になった。ドクオみたいに押し切るべきだろうか。
案の定受付けでクー様ですか、そちらの患者様の面会は…と断られてしまった。
どうしよう、そう思った時に声をかけられた。
( ‘∀‘)「あのう、うちの娘に何かご用でしょうか」
クーの母親はガナーさんといった。
元は美人であったはずなのに、明らかにやつれて老け込んでしまっていた。
私はクーの古い友人です、と自己紹介した。銀河鉄道で会いました、と言っても信じてはもらえない。
从 ゚∀从「クーさんが大変な事になっていると人づてに聞きまして、居ても立ってもいられなくなって来ました」
( ‘∀‘)「そう、それはありがとう…もう最近ではお見舞いに来る人はめっきりいなくなってね」
从 ゚∀从「クーさんは、まだお目覚めではないのですか」
( ‘∀‘)「えぇ、まだ…」
236
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 22:00:40 ID:AxsdikKc0
病室に着いた。ドアが開けられる。個室にはベッドが一つ。恐る恐る近づいた。
そこで眠っていたのは、クーだった。痩せ細っているけれど、紛れもなくクーだった。
从 ;∀从「あ…あぁ…」
手を握り、私は嗚咽した。クー。生きていた。存在していた。また出会えた。クー。
(; ‘∀‘)「それほど娘と仲が良かったんですか」
ガナーさんはさすがに驚いているようだった。
( ‘∀‘)「ごめんなさいね、貴方の事は初めて見たから」
从 ゚∀从「ごめんなさい、取り乱してしまって…本当に、古い友人なんです」
座って下さい、とガナーさんに椅子を勧められた。
从 ゚∀从「あの、もし差し支えなければ、クーさんがどうして意識不明になってしまったか、お聞きしてもよろしいですか」
( ‘∀‘)「そうですね…恥ずかしいお話なのですけれど、それほどクーと仲の良かった貴方なら…」
ガナーさんはクーの髪をなでた。
( ‘∀‘)「この子のご職業はご存知でしたか」
从 ゚∀从「いいえ」
237
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 22:02:20 ID:AxsdikKc0
( ‘∀‘)「この子は鉄道会社で乗務員をしています。 車掌ですね。 日吉まで東横線に乗ってきたかと思いますが、あの東横線の車掌です」
从 ゚∀从「クーが車掌…」
( ‘∀‘)「それで、この子は職場恋愛をしたんです。 相手は運転士でした。
そして相手は妻子ある人でした。 この子は本気でした。 でも相手は多分本気ではなかった。
妻とは離婚するとクーには言っていたそうですが、なかなか踏み切る気配は見られなかった」
いったんガナーさんは区切った。唾を飲み込んだのが分かった。
( ‘∀‘)「この子はその相手との子供を身籠ったんです。 そしてそれを相手に告げた。
妊娠したとなれば、このままの状態を続けられないだろうと思ったのでしょう。 でも違った。
相手は怖気づいて妻に全てを話したのです。 妻は怒り狂い相手を叩きのめしクーの元に押しかけました」
またクーの髪をなでる。幼子をあやす様に優しくなでた。
( ‘∀‘)「この子はとにかく殴られました。 罵声を浴びせられました。 この人でなし、ビッチ、泥棒猫、淫乱女…。
そして本人は何が何でも産むと決めていた子供を、半ば強制的に堕胎させられてしまったのです」
あの横浜駅前で見たイメージ。あれはやはり人工中絶手術のものだったのだ。
( ‘∀‘)「この子は相手との関係が終わった事などよりも子供を殺してしまった罪悪感にずっと苛まれていたようなのです。
遺書にはその事ばかり綴られていました」
从 ゚∀从「遺書」
( ‘∀‘)「はい。 この子は睡眠薬を一気に大量に飲んで自殺を図りました。
意識不明となって、もう随分と時間が経ちます」
238
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 22:03:22 ID:AxsdikKc0
从 ゚∀从「そうだったんですか…」
あの人工中絶手術のイメージは、クーの記憶の一部だった。だからクーは吐いた。
( ‘∀‘)「お恥ずかしい話ですが私はこの子の地元の長野の方に住んでいて、この子のそれらについて何一つ知らなかったのです。
自殺を図り病院に入院している、と連絡を受けた時は愕然としました。 遺書で全てを知ったのです。 もう…」
ガナーさんが声を詰まらせた。
( ‘∀‘)「本当に、本当にもう長い時間が経ちます。 訪れる人も減って、世間からこの子が忘れられていくような気がして…」
从 ゚∀从「大丈夫です、クーさんは絶対に目覚めます」
( ‘∀‘)「それはどうもありがとう…」
从 ゚∀从「いえ、気休めなんかではないんです。 これを見て下さい」
私は鞄から封筒を取り出してガナーさんに手渡した。
从 ゚∀从「言ってなかったんですが私は交通事故で四ヶ月前まで一ヶ月半に渡り意識不明の状態でした」
病院から退院時に渡されたその封筒には診断書、手術証明書、退院証明書などが入っている。
ガナーさんは驚きそれを見た。目が見開かれた。
239
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 22:04:41 ID:AxsdikKc0
从 ゚∀从「私は一ヶ月半の意識不明の状態から目覚めました。 四ヶ月に及ぶリハビリを終え、こうして一人で歩けるようになりました。
ガナーさん、クーさんもきっと目覚めます。 私のように元気に歩ける日が必ず来ます。 私が証明します。 信じて下さい」
ガナーさんの目から涙が溢れた。一度溢れるともう止まらなくなる。
( ;∀;)「あぁ…」
ガナーさんは泣いた。顔がぐしゃぐしゃになるまで泣いた。
( ;∀;)「あ、ありがとう…本当にありがとう…勇気づけられました」
从 ゚∀从「いえ。 ですから気を強く持って下さい」
( ;∀;)「はい…。 ごめんなさい、見苦しいところを、少し顔を洗ってきてもいいですか」
从 -∀从「ええ、どうぞ」
「この子を、クーをよろしくお願いします」
ガナーさんが病室から出ていく。
私は痩せ細ったクーを見た。
240
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 22:05:56 ID:AxsdikKc0
从 ゚∀从「本当は、薄々気づいているんじゃないのかな」
クーは人工中絶手術の記憶の一部を見て嘔吐した。すぐに銀河鉄道に戻りたいと言って、自分の街を出ていった。
そしてクーは静かに涙を流していた。音もなく、声もあげず、ただ静かに泣いていた。
もし、本当は自分の記憶にうっすら気づいていて、知るのが怖くて、気がつかないふりをしていたら。
そのせいでずっと、銀河鉄道に乗り続けているとしたら。
いつかは旅立たなくてはいけない。ここはずっといていい場所ではないんだよ。
クーはそう言っていた。でもそれに一番気づいているのはクー自身ではないだろうか。
旅はいつか終わるものだ。クーだっていつかは自分の旅を終わらせなければならない。
自分の過去を受け止め、後悔し、未来に歩み出さなければいけない。
強いクーが、実は一番弱かったのかもしれない。トソンの言葉は当たっていたのかもしれない。
从 ゚∀从「だからさ、早く帰って来いよ」
クーがいつか長い長い銀河鉄道の旅を終えた時、私はそばにいてあげたい。
長い旅から帰ってきたクーを、おかえりと私は出迎えてあげたい。
だから私は待とう。いつまでも待とう。
私はここで、銀河鉄道車掌長の帰りを待つ。
从 ゚∀从銀河鉄道車掌長の帰りを待つようです
241
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/22(火) 22:06:55 ID:AxsdikKc0
投下終了です。
読んでいただいた方ありがとうございました。
242
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 22:30:27 ID:pP3qRVIA0
ハルレヤ
243
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 23:43:59 ID:ZNRWjZ6.0
乙…
244
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 23:53:02 ID:ort8RpO20
乙 やるせないな…… 皆少しでもこれから先幸せになれるといいな
245
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 23:53:55 ID:/b8rfxYw0
最後にタイトル回収か
乙
246
:
名無しさん
:2017/08/23(水) 00:13:28 ID:k5t1Fqtg0
あんたすげーよ
247
:
◆lWV9WxNHV.
:2017/08/23(水) 00:15:03 ID:9vpMeDws0
今回誤字脱字誤AA脱AAが多いです申し訳ないです…
>>40
ノパ⊿゚)「ギコ君って彼氏いないっぽいよね、見たことない」
↓
ノパ⊿゚)「ギコ君って彼女いないっぽいよね、見たことない」
>>172
川 ゚ -゚)「あぁ、本当だ。 どうしてだろうね」
↓
川 ; -;)「あぁ、本当だ。 どうしてだろうね」
>>187
私は答えずにシャワーを浴びた。秘部に指を入れて精液を�惜き出した。
↓
私は答えずにシャワーを浴びた。秘部に指を入れて精液を搔き出した。
>>237
相手は怖気づいて妻に全てを話したのです。 妻は怒り狂い相手を叩きのめしクーの元に押しかけました」
↓
相手は怖気づいて妻に全てを話したのです。 妻は怒り狂い相手を叩きのめしこの子の元に押しかけました」
>>239
「この子を、クーをよろしくお願いします」
↓
( ;∀;)「この子を、クーをよろしくお願いします」
になります
248
:
名無しさん
:2017/08/23(水) 00:52:53 ID:apE2s3Hw0
乙!面白かった!
>>10
の性格も誤字かな
249
:
名無しさん
:2017/08/23(水) 08:53:36 ID:Yy9onQSU0
結局ヒートってどうなったんだろう?
多分一番酷いことになってるよな…
250
:
名無しさん
:2017/08/23(水) 15:50:27 ID:Kd2Y/c7M0
読み終わった
泣きそう
251
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 05:48:16 ID:YmNJcusM0
知ってる街ばかりでそういう意味でも楽しめた
やっぱ1の作品はすきだなぁ
252
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 07:02:45 ID:0vs0m05.0
このストーリーと救いのあるエンド……最高だな
253
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 20:11:24 ID:74n0JquM0
ヒートのその後は一番気になるな
希望が見えてるといいけど
254
:
名無しさん
:2017/08/25(金) 15:27:14 ID:3Gtk/F5M0
これやべえ(言語能力喪失)
銀河鉄道の設定もキャラの過去も上手く作られてる
ドクオとかデルタのとこはいろいろな意味で読むのが
キツかったけどどのキャラも幸せになって欲しい……
東海道線を上っていくのかと思ったがどうなんだろう
ハインが箱根だしなぁ
とにかく良かった 盛大な乙を送りたい
255
:
名無しさん
:2017/08/25(金) 21:53:32 ID:B19LMllo0
描写が細かくてすごく感情移入した
おつでした
クーが戻ったらみんなで鉄道旅行してほしい
256
:
◆TflJu3mvXc
:2017/08/27(日) 01:00:00 ID:G0UZLwe.0
【業務連絡】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。
このレス以降に続きを書いた場合
◆投票開始前の場合:遅刻作品扱い(全票が半分)
◆投票期間中の場合:失格(全票が0点)
となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)
詳細は、こちら
【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/257
】
【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/295
】
257
:
名無しさん
:2017/08/29(火) 22:43:22 ID:PyKgDvec0
なんていうか凄い作品だよ本当、乙
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