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(,,゚Д゚) 狐地蔵のようです

1名無しさん:2017/08/21(月) 15:41:59 ID:b7L6u47g0

 セミの声がうるさくて、空は眩むほどに高い。

 視線の先で化物みたいな入道雲が、絵の具を塗りたくったみたいにふくらんでいた。
 齧ったスイカのしゃくしゃくとした食感、舌先を駆け抜ける爽やかにあまい味を思い出す。


 夏休み。


 ガキの頃は、それがいつまでも続くような錯覚を覚えていた。
 確かに「永遠」の別称だったのだ。

 期間の長さでいえばむしろ〝人生の夏休み〟もとい大学生となった現在の方が
ずっと長いはずであるのに、今となっては到底、永遠とは思えなくなっていた。

 宝石のようにきらめいて見えた水飛沫。
 胸が高鳴った知らない道。
 終わりを告げられるようで怖かった夕方の鐘。

 世界の全てに掛かっていた魔法はすっかり解けてしまったようで、
満ちていたはずの不可思議はもはや日常と成り果てていた。


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