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貘の王
1
:
◆d.zV15ctw.
:2017/08/20(日) 22:10:31 ID:hW9v6RD60
紅白
21
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 22:50:00 ID:hW9v6RD60
二月の玄奥の空の下。
一点の曇のない澄んだ氷の上を、遙かなる時の呼び声を頼りに歩み続けた時、
旅人は太古の人理を受け止める。
( ;´>ω<)
やがて足の裏は刳れ、膝は鉄となり、腰は音を立てて崩れる。
疲れ果てて動けなくなった旅人は、空を仰ぎ世界の始まりに想いを馳せる。
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:
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〜ー-- ニ二__'⌒ ̄ ーー ーー〜〜 二 | | 二 。⌒¬辷_ _ _ _ .... .. .. -〜 ''""~~ _ _ _ - _ - _ ノ⌒丶、
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'⌒⌒''"´ ̄``丶、.: .: .: ) `''"~ ; ; ノ . . : : : ノ __7''"~~``´ ̄__ノ''""~γ´ ノ´ ̄
月が生まれ変わる頃、遠き金色の海原を眺め、宇宙の広さの一片を悟った時、
旅人はまた歩き始める。
貘共によって齎される永遠の命の下で、延々と歩き始める。
.
22
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 22:51:19 ID:hW9v6RD60
私の元に辿り着くまで、幾千幾億の出会いと別れがあった。
(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)
っy== っy== っy== っy== っy==
未だ抗うことを辞めない人達の群れ。
それには勇気でその人達に別れを告げた。
(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)
っ† っ† っ† っ† っ†
悲しみに暮れる人達の群れ。
それには慈愛でその人達に別れを告げた。
(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)(;;;;::;;;;,,;;;;)
っ っ っ っ っ
貘共に支配され、幸福を得る人達の群れ。
それには愁傷をもってその人達に別れを告げた。
.
23
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 22:52:59 ID:hW9v6RD60
/ ,' 3
旅人は老人に出会う。
永遠の命の中、その老人の肉体は枯れ果て、目には輝きもなく、
その眼差しでは観音菩薩の柔らかな手にも触れることは出来ない。
だが、老人は貘共に夢を食わせなかった。
幻夢をも凌駕する意思で、夢を守り抜いていたのだ。
わあわあ
わあわあ ( ^ω^)
( ^ω^) わあわあ
( ^ω^)
あの汁滴る芳醇な夢を、貘共が束で齧り付こうとも、老人は夢を渡さない。
えーーん
えーーん ( 。´ω`)
( 。´ω`) えーーん
( 。´ω`)
泣いて喚こうとも夢を渡すことはない。
生けるものが知り得ぬ時の彼方まで、貘共はこの夢の味を語らう事を憧れ続ける事だろう。
.
24
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 22:54:30 ID:hW9v6RD60
旅人は老人を介して、永遠の孤独を形として知った。
( ´・ω・)
っ○
そして、老人に摩訶色の果実を渡し、無言の別れを告げた。
私は旅人の到着を待つことにした。
旅路の終わりに私が在るというならば、喜んで光輪を潜らせよう。
祝福を齎す事は出来ないが、その知を敬う事は出来よう。
もそもそ
((( ^ω^) もそもそ
((( ^ω^) ((( ^ω^) ( ´・ω)
((( ^ω^) もそもそ
((( ^ω^)
旅人の杖が地の加護を受けようという頃、貘共は旅人の後を追い始めた。
貘共は旅人に興味を覚えたのである。
旅人は拒むことを知らないから、あるがままにそれを受け入れた。
.
25
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 22:55:57 ID:hW9v6RD60
。
’
.・ ザク
( ´・ω) ザク
旅人はまだ見ぬ希望の残り香だけを力に変えて、地を踏む。
ちゅるちゅる
ちゅりゅちゅりゅ
((( )^ω^)”
貘はその旅人の持つ、鈍色の夢を食い、旅人についていく。
月の満ちる夜。
旅人と貘共は、七つの山脈を越えて須弥山を見上げるに至った。
. . . . . .. .: . . . .
. . .: .:.: .:. .: . .: .: .:. . : .: .:.. : . . .
. . ..:..:.:.::;:;;';:;';';.: '"´ ' ;.:.. : . .
. . ..:.:.:;:;';;';'.''´ ;.:. . .
. . ..:.::;';':'' :.:. : .
. . ..::;'′ ,:.:.. .
. . .:.;' :.:. .
. ..:.; ;.: . .
. ..:; :.:. . .
..:.:; ;.: : .
. .:.:, .:.:. . .
. .::, ,:.: . .
. . :., ,.:.: : .
. . .:... ,..: .: . .
. .: :': . .. ,. .:.: . : .
. . : .: ' : . ...,. .,... . : ' :. : . .
. : . .: . . : . : .
須弥山の向こう、桃色の月は人の王の誕生を告げるものである。
.
26
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 22:57:14 ID:hW9v6RD60
4.円
ちゅるり
((( )^ω^)”
((( ´・ω)
ちゅるり
((( )^ω^)”
人の王は貘共と共に須弥山を登る。
大いなる旅路が知を齎そうとも、乳海を越える雄健の両足があろうとも、過酷な道程である。
.
.・
( ´>ω) ビューー
風が吹けば色を失い、大地が揺れれば行を失う。
やがて受も想も奪われ、識を持って須弥山を登ろうとするも、意識なき意識の中で、
人の王は自ら識を手放して行く。
川 ゚ -゚)
世が朝を忘れた頃、苦を失くした人の王は遂に私の前に現れる。
.
27
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 22:59:02 ID:hW9v6RD60
( ´・ω・)
手は罅割れて血が滲み、足は管の渡るのが目に見えるようで、その顔は淀みのない
蓮池の様である。
( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)
沈黙は長く続いた。
千の夜を越えた。
貘共は未だ静寂を貫く。念仏を唱える様子はない。
人の王は、遂に求めていた知を知ることは出来なかった。
旅人は遂に終着点にたどり着いたのである。
( ´・)
人の王は、元来た道を辿り始める。貘共はついて行かない。
ただ、静寂の中で人の王を見守るのみである。
その中で貘共は、観音菩薩の指が僅かに動くことを知る。
28
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:01:26 ID:hW9v6RD60
こね
こね
( ´・ω・)
っ”
人の王は旅の証に、知を捏ねる事にした。
天と地を渡る須弥山の中、米粒ほどの無を見つけ、そこに土と水で捏ね上げた知を入れた。
? ?
? ?
( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)
貘共に捏ねられた知を知る術は無かった。
空間に違和感を感じたが、気には止めなかった。
祈りの中に無があるから、無は二つも取り入れられない。
リliリ ゚ー゚)
知はやがて少女と成って、風に打たれる。
.
29
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:03:14 ID:hW9v6RD60
立つことを知らぬ、あどけない顔の少女は人の王を親と知る。
五月の縷々たる風の中に人の王の香りを感じ、そのまだ見ぬ人の王が胸を締め付けた。
リliリ - -)
人
無から覗く世界には祈りがあった。
少女は祈りを知らない。貘共を真似て、ただ手を合せる。
無垢の祈りとは、時の流れに輝くものである。
( ^ω^ )o
O ;'⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ 、_
( (´・ω・`)
ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒~
貘共は人の王の夢がひどく懐かしくなった。
むしゃむしゃ むしゃむしゃ むしゃむしゃ
むしゃむしゃ むしゃむしゃ むしゃむしゃ
むしゃむしゃ むしゃむしゃ
( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”
夢に帰りたくなった貘共は、それを紛らわすために他の夢を食い漁った。
30
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:04:28 ID:hW9v6RD60
うふふ
( ゚ω゚)
やがて、幻夢を逸脱し、狂う貘も現れ始める。
きゃあ〜
.・
( ^ω^) ( ^ω^) ( ゚/ /ω゚)
,
そういう貘は間引くか、取って食うかをしているが、恒河沙ほど経を唱えてからは、
後者の方が多い。
私は貘の王であるから、外から生を取り入れる必要は全く無い。
それでも貘を食べるのは、咀嚼が新たなる天を造るからである。
うっとり
( ´ω`)
貘共は私に喰われる事に憧れを抱いている。
星々を生む歯に、すり潰される憧れがある。
永久に堕ち行く管を通る憧れがある。
私と一体となり、第二の太平を魂として成すことに憧れがある。
.
31
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:06:00 ID:hW9v6RD60
憧れは祈りによって円やかとなる。
_jI二ニニ冬,
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⌒~¨¨¨~⌒
幾億の星がぶつかり、砕け、真円となるように、貘共の祈りと憧れは、ついに虹色の輪となり
天に浮かんだ。
その輪からは汎ゆる物が出でる。
一日目には金色の象が出た。
二日目には両翼を失った蝉が出た。
三日目には緋色に輝く本が出た。
四日目は何も出ることがなく、五日目に営みのない街が出た。
リliリ ゚ー゚)
そして六日目に、貘がいつか恋をした少女が出た。
.
32
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:07:18 ID:hW9v6RD60
うっ うっ
うっ うっ
うっ
( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)
総ての貘共は涙を流した。
王とも神とも違う、鮮やかなる光を放つ少女を貘は直視出来ない。
少女に近寄る事無く、距離を取ってそれに見惚れるのみである。
見惚れる事の出来る、須弥山の貘はまだ良い。
少女を見ることが出来ない、感じることしか出来ない、金輪際に至るまでの総ての貘共は
その少女を一目見ることを望んだ。
( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)
終いには貘共は食欲を失い、夢を食べる事をしなくなった。
夢を食べなくなった貘は、貘とは言えない。
スー… スー…
( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´;;;,, ,, ( ´ω`)( ´ω`)( ;;;;,,, ,,, ,, ..
貘である必要性を欠いた貘から、現によって弾かれ、消えていった。
観音菩薩は祈ることを忘れた貘共を、同じ表情のまま見下ろしている。
そうしているうちに、須弥山の蓮は見事な果托と成った。
.
33
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:09:14 ID:hW9v6RD60
5.人の王
五十九太陽年振りに月は桃色と成って闇を照らした。
人の王がこの須弥山を再びその足で登りきったのだ。
ブウウウウウウン
∵ 。・ ;:::;.・ ・ ;:::;.・
・ ;:::;.・.・ ブウウウウン
・,・∵ 。 ・ ・;・
リliリ ゚・;;,゚・.・ ( ´・ω)
,。・∵ ・ ;:::;.・
∵ ・ ;:::;.
しかし、その傍らに貘はない。
在るのは無から這い出た少女と、無から生まれた無数の蟲である。
およよ
およよ
(; ´ω`)”
蟲は貘の脳を貪るため貘共は嫌がったが、蟲に囲まれる少女を見て、
貘共は混乱した。
恋い焦がれた少女が二人此処に在るのである。
瓜二つとも違う。同じ少女が在る。
.
34
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:10:36 ID:hW9v6RD60
およよ
およよ およよ
およよ およよ およよ およよ
およよ およよ
(; ´ω`)”(; ´ω`)”(; ´ω`)”(; ´ω`)”(; ´ω`)”(; ´ω`)”(; ´ω`)”
貘共には理解出来ぬだろう。
しく
( ;ω;) しく
この不可思議な光景に、涙を流す貘も、
・ ブシュッ
( ^ω^),・ ブシュッ
自傷に駆られる貘も生まれた。
その瞬間、確かに貘には個性があった。
.
35
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:11:59 ID:hW9v6RD60
ブウウウウウウン
・
・
・ ;:::;.・ ´・ω)
私は人の王が再び現れる因果を知っていた。
知らなくてはならない事を知るために此処に来たのである。
それが達せられぬ限り、因果は果まで続き、体が朽ち果てようと再びこの須弥山に
舞い戻ってくるものである。
遥か太古に失われた人語を用いて、人の王は私に言った。
・
・
・ ;:::;.・ ´・ω)「この幼子、三位にて一体と成る」
私はそれにこう答えた。
川 ゚ -゚)「然り。だがそれは出来ぬ」
翳りの風が吹き、人の王はこう返す。
・
・
・ ;:::;.・ ´・ω)「一体こそ、真の世なり」
.
36
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:13:06 ID:hW9v6RD60
私は言う。
川 ゚ -゚)「此処に在る故、此れ此処こそ真の世なり」
桃色の月は輝きを増す。
須弥山が神秘の色として輝くのを観音菩薩は見下ろした。
およよ
およよ
(; ´ω`)”o
O ;'⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ 、_
( リliリ ゚ー゚)
ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒~
貘共は阿呆であるから、人の王が開悟の境地を見たと言うのに、
女のことばかりを考えている。
・ ブウウウウウウウウウン
・ ・ ;:::;.・
・ ;:::;.・ ´・ω) ・ ;:::;.・ ・,・∵ 。 ・
・,・∵ 。 ・
人の王は円を見る。
やがて、全ての蟲が円を覆い、羽を休めた。
人の王はその様子を見ているだけである。
.
37
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:14:50 ID:hW9v6RD60
リliリ ゚ー゚)
少女は蟲に導かれる因果である。
すやぁ すやぁ
すやぁ すやぁ
( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)( ´ω`)
蟲円から現れた少女は貘共の上を歩き、人の王へと向かった。
その柔らかな足に触れられた貘は、撫でられる夢を見て、穏やかな
眠りにつくものである。
ぴとり
リliリ ゚ー゚) (゚ー゚ リliリ
っ⊂
少女と少女が手を合わせた時、近隣における乳海は引いていった。
眠りについていた貘共は目を覚まし、恋い焦がれる女の異常を察した。
三位成るには私の器が必要である。
だが、私は貘の王なり。貘の王として此処に在るものであるから、
この世から解脱する事は許されないのであろう。
それを責と知る。
.
38
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:15:50 ID:hW9v6RD60
我が器の宇宙は古を知らず、我が蓋の宇宙にその先は無い。
汁を吸うは、私も知らぬ。
人の王は言う。
( ´・ω)「三位にて劫を成すなり」
少女が光るよりも先に、貘共は槍と成って人の王を貫いた。
・
;;,’
./
/,・ ドシュッ!
( ´゚'ω)
/’
一つは死を知らぬ心臓を貫き、もう一つは老いを知らぬ脊椎を貫いた。
残りの貘共も槍となって人の王に飛び込んだ。
五百の槍が刺さった時、血溜まりは須弥山を流れ、乳海に取って代わった。
.
39
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:17:30 ID:hW9v6RD60
ヴォオオオオオオオオオオオオオオオ!!
ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
貘共が幻夢を超越し、ただ吠えるだけのものと成った時、少女は眩い光を放った。
貘共にはそれを止めることは出来ないだろう。
リliリ - -) (- - リliリ
っ⊂
知と知が重なり合う時、本来であれば日輪は新たなる輪を付ける。
.::::::::::。/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;, -=ー-....、二 _..-‐=、
::.::;:;:;:;:;:;: ..::......:::/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/*:_ -‐=、::::::::::::::::::::::\
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,; :;:;:;:;:;:;:;:;.。:::*:;:;:;:;:;:: .:.: .:. .: . .: .: .:. . : .: .:.. : . .:;:;:;:;:;._ィ─-......_
.. ヽ ::;;:.:..:.:.::;:;;';:;';';.: '"´ ' ;.:.. : . . ::_ -─-、::::::::`ー-..
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.`;;:::::;:;:;;:;';;';'.''´ ...,.,.,,,.,.,. .;.:. . ..:;:;:;. :;:;:;:;:;:;:;:;:;:
:;:;:;:;:;:;:;: !:.:.::;';':'' ,g:'戀戀戀戀'g:.、 ..:.:. : .:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
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..ヘ:;:;:;:;:.;' .,犇:ji戀戀鑾鑾戀戀i:犇, .....:.:.:;:;..:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ
:::....ヘ...:.; ;淡:i戀戀鑾鬱鑾戀戀i:淡; .;.: .:;:;:;:;. :;:;:;.:.::.:.:
淡:戀戀鑾鬱鬱鑾戀戀:淡
:;:;:;\::.:; ‘黍:i戀戀鑾鬱鑾戀戀i:淡’ ;.: : .:;:;:;:;:;:. . .:::
、:;:;:;:;:;::.:, ''淡:i戀:戀鑾鑾戀:戀i:淡' ...:.:. . ....:;:;:;:;:;:;:;:.:::
..::::ヽ:;:;:;:;:::,, ‘鳰戀戀戀戀戀戀炒’ .,:.: . ..::::::;:;:;:;:;:;:;:;:..:::
::::::oへ. .:., ‘'%:戀戀戀戀:沙'゙ .,.:.: : .::_ノ:;:;:;:;:;:;:..:.:.:::
\::::::::::へ :... `¨“““““¨´ .,..: .: . ..'':;:;:;:;:;:;:;:.. . .:.:.:.:.
しかし、日輪は黒き焔となり、劫を崩壊させる程の轟音を伴って七つの山脈に堕ちる
ものと知る。
.
40
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:19:42 ID:hW9v6RD60
黒き焔と王の血は、光の少女と世の全てを飲み込んだ。
無数の貘は灼熱に舞い、それを逃れた貘は血の海に飲まれていった。
主を失った蟲は、空を支配して貘の脳を貪り食うが、やがて貘と共に焔に舞う。
我が光も、焔や血は滅することは出来ない。
王として、焼ける世界をただただ眺めるのみである。
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚)) ヴボオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
狂った貘共だけは、焔からも海からも逃れ、此処にあった。
目を剥き、牙を生やした貘共は焔の中を行く。
人の味を知った貘共は、人の夢に回顧する。
貘は人の味が我慢ならぬ。
人の味を覚えて、人の夢に溺れていくのである。
.
41
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:20:45 ID:hW9v6RD60
ゴオオオオオオオオオ!!
・
. 。
;,・
ヴボオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
,;;.
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚)).・
だが、貘共が如何に人の夢を欲しようとも、殆どの夢を生むものは焔と海のに飲まれてしまった。
貘共は吠え、藻掻き、苦しみながら成れの果てを突き進むのである。
( ´・ω),,,.
;;;;;...;;;...
;;;;;,,,,
人の王は貘共を哀れんで、遂に死を知り、地が溶けていくのを横目に、
川の向こう側へと渡っていった。
.
42
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:23:01 ID:hW9v6RD60
6.媚毒
私の光にて、全てを無しにすることも考えぬ訳ではない。
黒煙の空から、観音菩薩諸共、光柱にて更地にすることは容易である。
王の威光にて理を破滅させるのにも劫程の時は必要ない。
私がここに在る限り、無となって何もが止まってしまっても、王たる私の体が
大地となり、その垢は生けるものとなり、新たなる神秘が誕生しよう。
川 ゚ -゚)”
だが、人の王の呪いはそうはさせぬ。
彼奴の臓物は我が体を食い込み、離れることはない。
不完全な真世を生み出しておいて、ようも此処までやるか。阿呆である。
三三三三三三三三三三ニニ==―;:;. :;. ;:;::;:;:;' ,:;:;:;:;:' ,:;:' ;:―==ニニ三三三三三三三三
三三三三三三三三ニニ==―:;., ';:;:;:,. '; ';: ;:;: ':' ;' ,:;' ,;:;' ,:;―==ニニ三三三三三三三
三三三三三三ニニ==―;:;:' :;:;., ' ':;: ':;. ';: ; ; :' ;:' ' ,.;:;:―==ニニ三三三三三三三三
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光の少女は黒の焔に飲まれ、世界線を乗り越えた。
こうなればもう引き戻せはしない。
.
43
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:24:25 ID:hW9v6RD60
人の王が見ようとした真世は葬られた。
否、此れこの末世こそ真世となろうとしているか。
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚)) ヴボオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
狂った貘共は全てを破壊しながら人の夢を求める。
僅かに生き残った人を見つけようとも、その狂った目では器ごと貪ってしまうであろう。
そして、より明確となった人の味を嫌い、再び人の夢を求める。
梵世のみならず、三千世界までも広がった焔と海の中、貘共はついに理想の夢を見つけた。
/ ,' 3
その汁滴る芳醇な夢は、狂った貘共にでさえ大いなる魅力と感じた。
五百の貘が鬼獣となり、それを産む老人に襲いかかるが、その夢にはまるで歯が立たない。
.
44
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:25:58 ID:hW9v6RD60
。
. ギャアアアアアアアアアアアアアア!!
(( ゚゚W゚゚)).・
老人の意思は現をも凌駕し続け、その夢は梵天の域に達していたのであるから、
貘共のそれとは次元が違うのである。
::;;ヽヽ:;;;ヽヾゞ;::;:; ヾ; ;.:ゞ;"ゞ ;;;;;ヾ゛ミゞ;;゙;:ヾ; ;ヾ)
⌒ゞ;ゞゞ;ヾゞ;ゞヾゞ;;;,.ヾゞヾ;::;:; ヾ;;ミ; :.ヾヾ;::;:ゞ _ ` :
ゞ;ゞ゚ ゞ; ヾ ; ; ヾゝヾゞ。゙;;;ゞ;;:::゛;;ゞ; ;ヾ;゛; ヾ
ゞゞ::;;ゝ;;゛ゝ;::;:ヾヾ:/;;゚::;;ヾゝ;;;::;:゙ヽヽゞ;;ゞゞ ` ` .
;;''ヾ;;ゞ;;ゝゞ;;ミミ::ヾヾヽ;;;ゞ;;ソ;;゛:.:;;.ゝ
ゝ;;ゞ::ヽ;;゚ヽヾ::;;ソィ;;ヽヾゞ ' .
::(,ゝ;;ゞ:::ヾゞ::ソ;;ミ` 'ー ` ,
:!i::{
ヾヾ゚;;ヽ':;;ミミヾ;ヾヾヽ:.,
;;ヽ::;ヽ::;:ヽ::ヽミ;ゝ;;;::;:ヽヾツ;.:.. ´ ` .
;';;ゝヽ:::;: ;;), ' ヾゝ'::ゞ;;゛;::ヽ;;ッ 、 . . . ´ ` .
⌒;;ヾヾゝヾゞ:;;⌒ヾ;';;ゝヽ::ヾ;;ゝ;;ソィ,, . . ` .
;; ::;:;;ヾゝ;;ヽ;.::ヽ; ;:⌒ヽ゛ ヽ ;::ミヽヾ;;ゞ。.:, ' , '
;ゝ /;;ゞヽ::ゞ;;;゛::ゞ:ゞ::;"ゞ ; ; ;ゞ゛ ゛:: ;;ソ . `
ii:::..ヽ;; ::;:;;ヾゝ;;ヽ;.::ヽ;;ゝヽ;; ::;:;;ヾゝ;;ヽ;.ヽミ;;ン ´ `
;;|:ヾゞ;;::; ;;ヾゝ:.:.゛;; ;:ゝゝヾ::⌒ミ゛;;⌒;;;;へ゛;;::;::;;ヾゝ ;;゛ン;., ` ` ,
ヾ|i ゝ;` ; ;;゛::ヾゞ;;::゚;;/;: ; ; ;ゞ::;::: ;;::⌒ヾ゚;;ヽ':;;ミ゛..゛:: ;;ソゝゞ,;.,, (丶
::;::,゛ゞ.ヾ;ツヽヾ;;ゝゞ:ヾゞ;;::ゝ;::ヽ;;ゝヽ::;: ゞ;ゞ゚ ゞ; ヾ ; ; ヾゝヾゞ。゙;;;ゞ `
;;|i ;;;ヾ(;;ヾヾゝ;:;::ヽ;;ゝ;` ;ゝゞ; ;;ヾヾゝ;;ゞ:ゞ::ゞ;;/.::⌒;;ヾ::;:;;ヽ::;ヽ)゛::).;、 , - ' i)
|i;:;;;i:ii;;.;;; ;ゝ;;).:ゞ:,゛ゞ.ヾ;: ; ;ヾ;;;ヽヾ.ヾ;;;ヾゞ;;;,.ヾゞヾ::;:; ヾ;;ミ;:.ヾヾ:ゞ 、
イ-=' ̄¨ー、;ィr==`゙ "ゞ ; ;"/" ヾ ;ゞ ;" " ~ , 、
__、===≧=ィ'イ⌒゙ ` 、 、 ,
、r-''ー' ̄-‐'´` ` . 、 ,
老人は遙かなる命の中で、この瞬間を待っていた。
そして、三千世界の焔までも耐え忍んだ夢の汁は、狂った貘共を溺れさせるには十分過ぎた。
.
45
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:28:56 ID:hW9v6RD60
貘共の体は乾ききっている。
毛根から染み入るほどの濃厚な夢は、阿片よりも危険な毒であった。
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああ
上二本与半卉亠十士廿卞广下广卞:(・)廿士十亠∵∴∵∴ ああああああああああああああ
下广卞廿士十亠卉半与本:(・)二上旦上二本与半卉亠十士∵∴∵∴∵∴
∵∴∵∴ 广卞廿士十亠卉半与本二上旦上:(・)二本与半卉
∵∴∵∴ 上旦上二:(・)本与半,.==- =;卞广:(・):(・)下下广卞廿士十亠卉半与本二
∵∴ 卞:(・)广卞廿士:(・)十 ーo 、 ,..of二上旦上二本:(・)与半卉亠十士廿卞广下
与本二本与半卉亠十士廿 ̄ i∵∴∵∴・ ゚゚W゚゚廿士十亠卉半与本二
∵∴∵∴ 十士廿卞廿士十亠卉 .r _ j /上:(・)旦上二本与:(・)半卉亠十士
卉半与本二本与半卉亠十士:(・) 'ー-=ゝ/ 下
亠十士廿卞∵∴∵∴士十亠卉半与\ ∵∴∵∴ノ上二:(・)本与半卉亠十士廿卞广下
十亠:(・)卉:(・)半与本半卉∵∴亠十士廿卞广下
ri亠十士廿:(・)卞广下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二本与
毒に侵された貘は人面となって、感染する憤怒に達した。
焔と海の中で、消滅した貘を含め、全ての貘共は憤怒した。
竜巻が起こり、憤怒の妖獣共は怒りのままにその全てを破壊した。
:(・)廿士十亠
:(・)卞广下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二本与
∴∵∴ノ上二:(・)本与; :・ 卞广:(・):(・)
:(・):(・): / ,' 3 ∵∴∵∴卉:(・)半与本半卉
士十亠卉半与本二上 旦上二本与
十士廿卞广下∴∵∴
老人は決して屈さぬ夢で貘共を操った。
怒りの貘共は破壊の化身となって須弥山へ向かった。
怒りの咆哮は空を割り、観音菩薩をも押し出した。
.
46
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:30:14 ID:hW9v6RD60
私は目を剥き、天空から光を降らせた。
おおよそ一億の貘が肉片となって跳ねたが、怒りの貘共は在りし日の韋駄天の速さで
私の元へ向かってくる。
あああああああああああああああああ
∵∴∵∴∴∵∴∵∴∵∴(●)∴∵∴∵
∵(●) ∴(●)∴∵∴∵∴∵∴
∵∴ ( ●)∵∴∵∴∵∴∵∴(●)∴
∵∴(●)∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵ あああああああああああああああああ
∵∴∵∴∵∴∵(●)∵∴∵∴∵∴∵
∵∴(●)∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴(●)∴
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴ ∵(●)∴∵∴∵∴∵
∴∵∴∵∴∵∴(●)∴∵ ゚゚W゚゚ ∴∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
∴(●)∴∵∴∵(●)∴∵ ∴∵ ∴∵∴(●)∵∴∵(●)∵∴∵∴∵(●)∵
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵(●)∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴(●)∵∴∵∴∵
∵(●)∵∴(●)∵∴∵(●)∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵(●)∴∵∴∵∴∵∴(●)∴∵∴
∵∴∵∴∵∴∵(●)∵∴∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵
∵∴∵(●)∵
そして、大那由他の肉片は憤怒により再生した。
怒りの力は幻想を狂わせるものだ。
私とて知らない訳ではない。
愚か貘共は、完膚無きまで怒りに支配されたか。
最も醜き妖獣と成り果てたか。
此処に在るなら良きではあるが、これはあまりにも愚かである。
.
47
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:31:39 ID:hW9v6RD60
上二本与半卉亠十士廿卞广下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二本与半卉
下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二本与半卉亠十士廿卞广下下广卞廿士十亠
上二本与半卉亠十士廿卞广下广卞廿士十亠卉半与本
下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二本与半
上二本与半卉亠十士廿卞广下
下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二本与半
上二本与半卉亠十士廿卞广下广卞廿士十亠
下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二本与半卉亠十士廿卞广下下广卞
上二本与半卉亠十士廿卞广下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二
二上旦上二本与半卉亠十士廿
卞广下广卞廿士十
亠卉半与本二上旦
半卉亠十士廿卞广下广卞
士十亠卉半与本
やがて貘は、老人を含む全ての生を破壊した。
破壊の化身は摩訶色の果実を踏み砕き、三千世界は私と貘共のみとなったのだ。
詰みである。
憤怒こそ王の理を破壊する真なる力であるから、我が威光をもってしても再生には繋がらぬ。
観音菩薩が緑となって、錆びて朽ち落ちることをもって、真の壊劫の到来を告げた。
.
48
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:33:25 ID:hW9v6RD60
ベシャリ
_,ィ(。
`'''´⌒'・ あああああああああああああ
,ィ圭|゚゚W゚゚ア '’ __ ’ ,ィ(____,ィ∵ ,ィ(_ あああああああああ
炸圭( ,ィ升彡 ..・ξ ゚川 ノ圭圭圭゚゚W゚゚そ 。 佳圭゚゚W゚゚、_
⌒`寸ト、 ,{抄'⌒ ノ斧ミ、 o ∴炸圭圭圭|iて ',∴ ・ _ノ佳佳佳て。
゜ ノ/ ⌒∴ ・ ノ(_ノ圭斥⌒',寸ミ、 ',.:,:・'`¨∵¨¨⌒´
,,、 // ノ( .・ /少'⌒ ` ..,, _,.。x≦少"・ ,ィ(_∴_,:・・
π_ノ心、_ノ(,炸||( ,,.,⌒ ・っ (゚-∴ ・ ;,,ィ炒⌒;. c=≠二,ィ゚゚W゚゚圭圭(;''
)圭圭圭圭圭ア ∴:¨'` ` ',∴ ・ ⌒ 寸筵τ'⌒``
τ`Ⅷ:圭圭゚゚W゚゚圭(_ノ廴 τミx。、∴__ ノ廴_,ィ゚゚W゚゚廴ィ
)}圭圭圭圭圭そ `⌒'・ __,ィ圭掛x、∵ ,ィ炸圭少⌒'・
_,ィ炸圭圭才寸圭廴。x:≦少"´⌒''''⌒¨∵¨´ ⌒¨¨∵:・
⌒`寸ト、∴`寸ミ、 ∵:・
`寸そ:¨'`沁っ
轟音の後、貘共の波は私を飲み込んだ。
瞬間、耐えたが、私は粉砕した。
体は少しの形を残し、他は擦られたように伸び、粉となった。
脊椎は腐敗した赤茄子の様に潰れ、汚泥となった。
終いに、脳は爆ぜ広がり、地の染みとなった。
王を失った事に貘共は気づかない。
怒りに満ちた妖獣は、怒りのままに王なき世を蹂躙するのである。
.
49
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:40:47 ID:hW9v6RD60
7.敗と知る
星は貘共のみのものとなった。
もはや誰も怒りを邪魔するものなどいない。
全てが怒りによって消えるまで、怒り狂う事が出来よう。
( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)( ^ω^)
貘共の怒りは幾億という歳月の果てに、ようやく終わりを迎えた。
うっ うっ
うっ うっ
うっ
( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)( ;ω;)
そして貘共は王である私が居ないことを初めて知り、絶望した。
ええーん
ええーん
。・゚゚ '゜(。´ω`) '゜゚゚・。
貘共はその後、幾千幾億を涙だけで過ごした。
血の海は引き、代わりに貘の涙がそれを満たした。
それは非常に澄んだ海であった。
また、この世界に夢が無くなった為に、貘共は泡のみを食すようにもなった。
.
50
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:43:17 ID:hW9v6RD60
ぽふぽふ ぽふぽふ ぽふぽふ
ぽふぽふ ぽふぽふ ぽふぽふ
ぽふぽふ ぽふぽふ ぽふぽふ
( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”
( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”
( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”( )^ω^)”
夢を食えぬ貘は、貘である意味を失う。だが、泡のみの源でも貘は良く良く増えた。
貘は油断をすると、すぐに増え始めるものであるから、適度に間引かなくてはならない。
しかし、貘は貘を無碍に殺せはしまい。
( ´ω`) o
O ;'⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ 、_
( 川 ゚ -゚)
ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒ヽ、_ノ⌒~
貘共は太平の世を思い出した。
あの、王の居て、祈りがあり、天から光の降り注ぐ、あの頃を渇望した。
.
51
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:44:14 ID:hW9v6RD60
。。
MM
( ^ω^)
やがて貘共は王を産んだ。
貘に選ばれた貘は、実に王らしく振る舞った。
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚)) ヴボオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))(( ゚゚W゚゚))
貘は王の誕生を至極喜んだのだが、やがて怒りと人の味を思い出すと、
貘共は波となって王を踏み潰した。
( ^ω^)
貘共はそれを何千回も繰り返し、果てに貘では王になれぬという事を理解した。
.
52
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:47:17 ID:hW9v6RD60
みちみち
みちみち
( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ ((
( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ ((
( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ ((
( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ ((
( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ ((
( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ (( ^ω^ )) ^ω^ ((
その長きに渡る勉強の中でも、貘共は増えに増えていた。
ついに貘同士が付き、身動きも取れなくなった頃、貘自身、貘であることを忘れ始めた。
リliリ ゚ー゚)
ただ、恋い焦がれた少女の姿ははっきりと覚えている。
風に香る檸檬の飛沫。眼に移る時の凪。鐘の音は今や聞こえない。
あの暖かき少女の手を、額に寄せる妄想をし、身動きの取れぬままに、幾億の歳月が過ぎた。
貘共は増え続ける。
月が無色にて輝く夜、星は貘を支えきれなくなった。
幻想に潰された星は、次第に星である価値を失い、此処にあることが出来なくなっていった。
.
53
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:48:51 ID:hW9v6RD60
風のない朝、遂に星は幻想に飲まれた。
これは現の敗北を意味する。
なれば新たなる劫を始める事も出来ぬ。この時に滅するものなり。
貘はまだ増え続ける。
だが、増え続ける意味はない。
星を超えて、ただただ永遠に増え続ける。無の空間で、ただ肥大する。
その肥大は誰にも知られること無く、無意味な膨張を永遠に続けるものである。
それは価値のない幻想という他ない。
吁、こうなった責は私が取らねばならない。
臓物を散らし、脳をも風に晒した私では命をもって責を取ることは出来ぬ。
故に私は、我が庭の蓮の花を切り落とした。
淡赤の花弁がしぼみ行く中で、私はとある夢を思い出していた。
.
54
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:50:55 ID:hW9v6RD60
私がまだ王となる前の遠き夢。
从'ー'从「一つ一つ丁寧に描きましょうね」
リliリ ゚ー゚)
φ...
幼子の頃の私が、大きな紙に動物の絵を描く。
あの夏の日。
父母に連れられて来た祈りの島。
祈りの鐘の鳴る寺院。極彩色の輝き。微かな香辛料の残り香を感じる。
釈迦の座る所白くある動物の、その愛らしさたるや、他の何にも変えられぬ。
私はそれが愛おしかったのだ。
ただ、愛おしかったのだ。
― 了 ―
.
55
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:53:18 ID:mkFI5z4w0
乙
不思議な読み心地
56
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 23:53:47 ID:xe8Porc.0
よくわからなかったので解説してください
57
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 00:01:09 ID:YVdZmuWU0
解脱して下さい
58
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 10:03:17 ID:0c2ZRQbs0
ふうむ
59
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 12:30:24 ID:pQVGbT6Y0
解説は知らんが無粋なつっこみならできる
出てくる用語はほとんどが仏教用語やね
般若心経を教えてるから"私"は生前日本の大乗仏教の何かの家に生まれたのだろうことは推測できる。
>>14
空前の灯火→風前の灯火?
>>16-18
般若心経が所処おかしいのは素なのか、
"私"がうろ覚えだという設定なのか
>>24
摩訶色の果実とは恐らくビワのこと
仏教の教典「如来性品」(にょらいしょうぼん)には、
「大薬王樹(ビワの木)」によって全ての病気が救えるとある。
旅人がショボンなのともかけているのかもしれない。
>>25
須弥山とは…
超ざっくりいうと仏教における世界の中心で神々の世界
神々もまだ悟りを開いていないが、限りなくそれに近い存在
もうちょっとで解脱できるレベルの者がたどり着ける領域
参考画像
http://tobifudo.jp/newmon/betusekai/shumi.jpg
http://tobifudo.jp/newmon/betusekai/wa1.gif
カリンの塔の10万倍くらいの高さっすね
>>30
恒河沙=10^56
>>35-38
「この幼子、三位にて一体と成る」とは、キリスト今日の三位一体のように、
仏教における三身(さんしん)とかけて三身一体と言っているのではないかと。
仏教の三身とはすなわち法身・報身・応身
このうち"私は"報身であると思われる
(永遠の"いのち"(無量寿)と、無限の智慧の光(無量光)を持っているため)
>>54
これだけでは言い切れないが、白いバクだから恐らくマレーバクのこと
寺院が多いタイのことだと思うが、マレーシア、ミャンマーでないとは言い切れない
60
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 12:59:34 ID:fdF8nM7k0
最後の白い動物ってのはマレーバクのことだと思う
釈迦が座った事によって白くなったって地元の言い伝えがあるってのをテレビで見たことがあるな
あと、島って書いてあるからインドネシアの線も捨てきれないよな。今でこそヒンドゥーだけど昔は仏教も強かった。
祈りの鐘はガムランか?
61
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 19:00:07 ID:4LYXyXT20
>>56-57
ちょっとワロタ
62
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 23:41:45 ID:hzxEdj4k0
この読後感
たまらんな
63
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 00:06:03 ID:Ruf0WHtA0
物凄いことわりの広がりを目撃してしまった、という気持ち
俺にはそれを完全に理解する事は出来ないと思うけど、これは………すげえ
64
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 05:19:49 ID:F1T/1pXs0
なんかとんでもないものを読んでしまった感ある、乙
65
:
◆TflJu3mvXc
:2017/08/27(日) 00:50:02 ID:KiOoUZg.0
【業務連絡】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。
このレス以降に続きを書いた場合
◆投票開始前の場合:遅刻作品扱い(全票が半分)
◆投票期間中の場合:失格(全票が0点)
となるのでご注意ください。
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【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/257
】
【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/295
】
66
:
名無しさん
:2017/08/28(月) 23:55:30 ID:rsDErZao0
作者は何者なんだ乙
宗教的なことはよく分からないが、すごく惹かれてしまう
貘はとても愚かで怖いけど、顔文字の使い方がうまいせいか、なんだか可愛いくも見えてしまう
67
:
名無しさん
:2017/09/05(火) 00:57:13 ID:oQrVevGE0
作品絵を描かせて頂きました。
とても良かったです。
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2433.jpg
潰れた部分のアップも置いておきます。
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2434.jpg
68
:
名無しさん
:2017/09/05(火) 01:07:42 ID:0qTLSmXc0
単行本だと加筆ありますか?
69
:
名無しさん
:2017/09/05(火) 01:34:57 ID:1V2hKfVg0
すげぇ
ハードカバーの表紙にできそう
70
:
名無しさん
:2017/09/08(金) 23:34:57 ID:m6WGtDcA0
https://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1355443.jpg
6日目の少女の顕現です
https://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1355445.jpg
蓮の花を切り落とす場面です
この作品の高次元のテーマを、私が持つ程度の技術では到底表現しきれませんでしたが、よければお納め下さい。
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