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( ・∀・)キルルイ参上のようです

1名無しさん:2017/07/16(日) 03:04:23 ID:ohKyNNpo0
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★これまでのあらすじ






          ┌──────
          │ 良かった…
          └────v──

       ギ ギ ギ

                  /V\
             〈{ (`¥´ r^) }〉
                n    /

             ┌──ヘ─────────
             │やっと、やっと会えましたよ
             └────────────


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83名無しさん:2018/06/12(火) 07:06:52 ID:EPgj7ZRM0
レジスタンス!

84名無しさん:2018/06/12(火) 21:13:12 ID:whFtBnSM0
待ってたぜ、乙
さりげなく入るさわおワロタ

85azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:45:25 ID:HwtO2NwU0
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★訂正

前回、細かい箇所でちょいちょい誤表記があったので訂正します
訂正はロックじゃない

>>70
( ・-・)「あれは照明弾ですか?」

( ・-・)「あれは閃光弾ですか?」

>>74
私はシィ・リジー

私はシィ・リジィ


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86azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:45:46 ID:HwtO2NwU0
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港町ウォギングは、急峻なリアス式海岸と深い森に囲まれた、猫の額ほどの小さな町である

漁業が盛んで、特にトラウトがよく摂れる
古来よりこの町の住人はトラウトを信仰の対象としており、漁港すぐ横に位置する小さな洞に
トラウトを模したマスクを祀っている……と、シィは語る



(*゚ー゚)「で、町の土産物屋はそのレプリカを町の名物として全力で推してるの」

シィはトラウト・マスク・レプリカを二人に手渡した

(*゚ー゚)「付けなさい、無いよりはいいでしょ」






          /V\            ∧_∧            ∧∧
       ( ・-・)        ( ・∀・)          (゚ー゚*)
       〈つi>(゚Q゚)<O       〈つi>(゚Q゚)<O           O   〉

                    ┌─ヘ───
                    │ …………
                    └─────


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87azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:46:12 ID:HwtO2NwU0
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          /V\            ∧_∧             ∧∧
       ( ・-・)        (ミi>(゚Q゚n           (゚ー゚*)
       〈つi>(゚Q゚)<O       〈    ノ'          O   〉

                    ┌─ヘ──────
                    │…………………
                    └────────


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88azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:46:38 ID:HwtO2NwU0
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(ミ!>(゚Q゚)「似合う?」



(*゚ー゚)



( ・-・)



(ミ!>(゚Q゚)






(ミ!>(゚Q゚)「……似合う?」



キルルイ参上のようです / #6 「Town Called Malice!!」


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89azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:47:10 ID:HwtO2NwU0
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(*゚ー゚)「狭い町なのよ、だから本当に娯楽が無くて」

(*゚ー゚)「寂れた映画館とバーが五、六軒……それでお終い。都会の人達が羨ましかった」

シィは草村を切り開くように進み、二人は成すがまま後に続く

(*゚ー゚)「私達の楽しみと言えば、仕事が終わった後にバーに集まって、大音量でロックを演奏すること……本当にそれだけ」

(*゚ー゚)「でも、どんなに仕事が辛くても、それさえあれば明日も頑張るかって気になれたのにねぇ」



ウォギングの町からロックが消えたのは
ロック禁止令によってワッドストック島が「ロック囚人島」と化してから間もなくの話だった

(*゚ー゚)「ワッドストックから一番近い港を持つ町だから、他の町以上に取り締まりが厳しいみたいでね」

(*゚ー゚)「私のバンドメンバーも皆捕まっちゃって……今じゃ、海の向こう」

( ・∀・)「へぇ、俺のお仲間か」


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90azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:47:38 ID:HwtO2NwU0
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( ・-・)「まだ、帰ってきてないんですか」

(*゚ー゚)「まったく……音沙汰も無い、風の噂も無いわ」

やがてシィは、草村の中でも一際目立つ大木の手前で立ち止まり、そのすぐ横の茂みをかき分け始める

(*゚ー゚)「だからこそ私は、昔の仲間を取り戻すために、或いはロックを取り戻すために、モータウン・ジャンクスを結成した」

茂みの奥には、身体を「く」の字に屈めることでようやく入れそうな、小さな暗がりがあった

(*゚ー゚)「ここを真っすぐ行くと、私達のアジトがある」



洞穴は緩やかな下り坂になっており、数十mも進んでしまえば、辺りは一面暗闇となる
モララーツとシーンは手探りでそろそろと進むが、シィはどうやら、随分と先に行ってしまったようだ

(*゚ー゚)「別に何も無いわよ、安心して進みなさい」

シィの声が、狭く細い洞穴に反響する

( ・-・)「安心なんて……あんたの素性もロクに分かってないのに、そりゃ警戒するでしょう」

(*゚ー゚)「あれま、私はあんた達を助けてあげたのにね」

(*゚ー゚)「別にいいのよ、さっさと引き返しちゃっても……どうせ、すぐ捕まるでしょうけどね」


シーンが口籠った
どうもこの男、シィとはいまいち反りが合わないようだ


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91azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:48:01 ID:HwtO2NwU0
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( ・∀・)「……警戒するのは、むしろあんたの方じゃないのかい」

(*゚ー゚)「そうかしら?」



( ・∀・)「どこで俺達のことを見てたのかは知らないけどさ、あんたから見りゃ、俺達こそ一体誰なのか分かんないでしょうよ」

( ・∀・)「ひょっとしたら俺達はワッドストックの連中に飼いならされた犬で、さっきのすったもんだも自作自演かもしれん」

( ・∀・)「『あのキルルイがワッドストックの守衛に追いかけられてるんだから、あいつらは絶対助け舟を出すだろう』……ってな」



( ・∀・)「……もし俺の言うことが本当だったら、あんたらは終わりだぜ」



僅かばかりの沈黙が流れた後、シィの、薄く乾いた笑いが遥か先の方から聞こえる

(*゚ー゚)「私はね、貴方をそこまで疑うほど、失望してるわけじゃないの」

(*゚ー゚)「私は今でもロックを信じてる……貴方なら尚更、そうじゃないの?」


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92azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:48:25 ID:HwtO2NwU0
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( ・∀・)「……」

モララーツは、思わず答えに詰まってしまった
数日前までの、独居房での快適な生活に慣らされてしまった自分を鑑みると、そう簡単に「信じている」とは、言えなかった



( ・-・)「貴方を信用していいんですね?」

(*゚ー゚)「さあ?自分で考えなさいよ」

どこかの誰かの舌打ちが、細く小さな洞穴に大きくこだまする



洞穴の奥にほんの僅かな光の点が見え始めたと思えば、瞬く間にそれが大きくなり
気が付けばモララーツとシーンは、窮屈ながらもある程度まとまった空間に放り出されていた
目の前には、シィが待ち兼ねたかのように仁王立ちしている

(*゚ー゚)「ま、ここは玄関みたいなもんね」

(*゚ー゚)「似たような抜け穴があと三つほどあって、そのうちの一つ」

( ・∀・)「へぇ、立派なもんだね」


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93azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:49:04 ID:HwtO2NwU0
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(*゚ー゚)「昔からこの辺りは潮が激しくてね、波が海岸を削って、洞穴が沢山出来るんだけど」

(*゚ー゚)「それをバーッと拡張して、こんなアジトを作っちゃったってわけ」

シィが、玄関に備え付けられた粗末なドアをノックする



「俺は貴族だ、正確には伯爵だ」

ドアの向こうから、細く高い男の声が聞こえた

(*゚ー゚)「それがどうした」

「どうぞ」

ドアが開いた。どうやら合言葉か、何かのようだ
ドアの向こうに一人、声の持ち主と思われる男が立っており、シィに会釈をした。全体的に、あらゆる線が細い男だった

( ゚Д゚)「お疲れ様です、リーダー」

(*゚ー゚)「ありがとう、ギコナー君」


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94azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:49:33 ID:HwtO2NwU0
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(*゚ー゚)「彼はね、リー・ギコナー。まだ10代後半…だったっけ?よく働いてくれてるわ」

( ゚Д゚)「ギコナーです……どうも」

このギコナーと名乗る男、人見知りが入っているようで、決して二人に目を合わせようとはしなかった

(*゚ー゚)「この町の隅から隅にまでカメラを付けてくれて、一日中それを監視してるんだけど……」

(*゚ー゚)「貴方を見つけたのも、それを私に知らせたのもギコナー君なの」

( ・∀・)「はえー、命の恩人だ」

( ・∀・)「……でも、よく俺だって分かったな。君達」

モララーツの若干訝し気な呟きを、シィは聞き逃さない

(*゚ー゚)「貴方がワッドストックから脱走したって情報は、昨日の時点でモナールトン君がキャッチしてたの」

( ・∀・)「モナールトン?」

(*゚ー゚)「……連中はね、毎日決まった時間に島から本部に乱数放送を流してるんだけど」

(*゚ー゚)「それを解読してくれるのが、ラリー・モナールトン君」

シィはそう言うと奥へ引っ込み、それから間もなく、小太りで色白の男を連れて来た
歳は恐らく、ギコナーと同じくらいだろうか


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95azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:50:07 ID:HwtO2NwU0
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( ´∀`)「あっ、モララーツさんですか。ってことは貴方がキルルイさんですか、ヘヘヘッ」

ギコナーとは打って変わって、いかにも馴れ馴れしそうな男だ

( ´∀`)「貴方が脱走したって放送がね、昨日の午後に流れてきたんですよ」

( ´∀`)「あの島脱走すりゃ、まずはこの町に来るじゃないですか。じゃあこっちに来てもらおうって、ヘヘヘッ」

( ・∀・)「はえー、じゃあ君も命の恩人だ」

モララーツはシーンの方へ振りむいたが、彼は洞穴を抜けて以来、押し黙ったままだった
よほどシィとの会話が癪に障ったからだろうか



(*゚ー゚)「この子達の親御さんはね、この町でずっとバンドを続けてたんだけど、先の禁止令で捕まっちゃってね」

(*゚ー゚)「まだ小さい子に離れ離れになって、もう十年と数年……言ってしまえば『ロック孤児』ね」

( ・∀・)「ロック孤児」

(*゚ー゚)「今はこうして、私と一緒に活動してくれてるの。これからも、頼むからね」

( ゚Д゚)( ´∀`)「「あい!」」

シィはそう言い、ギコナーとモナールトン、二人の肩を叩く。二人の顔は、満更でも無さそうだった


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96azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:50:29 ID:HwtO2NwU0
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アジト本部は思いの外広く、中央を廊下が突っ切り、左右それぞれから、幾つかの部屋が分かれていた
ギコナーが一日中無数のモニターを眺める監視室、モナールトンが一日中大きなラジカセにへばりつく諜報室、
そして会議室に、粗末なベッドが置かれている寝室が男女別にある



(*゚ー゚)「大体は町で働きつつ、ワッドストックからの取り締まりが緩い夕方から夜にかけて皆集まるんだけど」

(*゚ー゚)「さっきの『ロック孤児』の子は、ここにずっと寝泊りして、アジトを守ってるの……さっきの二人と、女の子が一人」

でも、その女の子が曲者でねとシィが呟き、女子寝室の扉をノックした

(*゚ー゚)「ピータートソン、いる?」

返事は無い

(*゚ー゚)「ピータートソン、いる?」

返事は無い

(*゚ー゚)「ピータートソン、いてもいなくても入るわよ」

「……いる」

か細い返事が、ドアの向こうから返って来た


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97azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:51:23 ID:HwtO2NwU0
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シィが、ドアを開ける
ドアの向こう、部屋の奥の粗末なベッドの横に、小柄な少女が突っ立っていた
透き通るように色が白く、今にもこぼれ落ちそうな、うるんだ大きな目を持つ少女だった



(*゚ー゚)「この子が、ヴィッキー・ピータートソン。歳はさっきの二人より少し下なの」

( ・∀・)「あれま、可愛い子」

(゚、゚トソン「……」

部屋の向こうで、彼女は押し黙ったままだ

(*゚ー゚)「ピータートソン、この人があのキルルイよ。世界的ロックスターだった、あのキルルイ」

( ・∀・)「あっ、本名はパトリック・モララーツって言います。どうもどうも」



(*゚ー゚)「……と、すみません。名前を聞いてなかった」

シーンがシィに目を向けずに、抑揚の無い声で

( ・-・)「シーン・ガラース」

と、呟いた

(*゚ー゚)「だって。色々と教えてもらいなさい」


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98azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:51:57 ID:HwtO2NwU0
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(゚、゚トソン「……そんなもの、無い」



( ・∀・)「んん?」

(゚、゚トソン「こんな人達なんかに教えてもらうことなんて、何も無い」

(゚、゚トソン「くだらない、ロックスターなんて」

トソンが漸く口に出した言葉は、思いもよらぬものだった



( ・-・)「……どういうことかな?」



(゚、゚トソン「ロックは私からパパとママを奪った、サイテーな音楽です」

(゚、゚トソン「そのサイテーな音楽でお金を稼いできた貴方達もサイテー」

(゚、゚トソン「……そうでしょ?」


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99azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:52:28 ID:HwtO2NwU0
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     キルルイ参上のようです
   ─────────────
     #6 「Town Called Malice!!」









                                                 ノイソlヘ
                                                (゚、゚トソン
                       r' 「 )  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ l|t      〈:: ::::〉
                       | |三三三三三三三三三三三| |       ん⊥jゝ
        _  _ __ _____|_|___________|_| ___ u \) _____ __ _  _


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100azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:52:49 ID:HwtO2NwU0
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★「#5」の元ネタ



・サブタイトル「Runnning On Empty!!」

アメリカのロックシンガー、ジャクソン・ブラウンが1977年にリリースしたライブアルバム
及びその表題曲「Runnning On Empty」から
虚無と後悔に苛まれながらも、泥臭く地道に、求められるがまま演奏旅行を続ける
=走り続けるジャクソン・ブラウン本人の、何ともやりきれない思いがひしと伝わって来る大名曲

https://www.youtube.com/watch?v=04WYDwFJwjA

>>60

・『アゥイエー!』

昨日まで選ばれなかった男こと、the pillowsの山中さわおがライブ中によく放つ鳴き声
まだ若いのにこのバンドのファンを公言している人間は九割九分スケット団の影響である

・ストローで蟻を鼻に吸い込んだり

その昔、オジー・オズボーンがラリっていた時に本当にしでかしたことらしい
その場に居合わせたモトリー・クルーのメンバーも当然ラリっていたため、狂ったように笑っていたらしい

>>61

・「この前はロードバイクだって買ったし、よっぽどの遠出じゃなければそれで通ウグッ」

晩年の忌野清志郎が自転車に凝っていたのは有名な話だが
目的地が都内であれば、車も電車も使わずに大体自転車で行ってしまうくらいにはドハマりしていたそうだ


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101azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:53:27 ID:HwtO2NwU0
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>>69

・Born To Run

アメリリカンロックの雄、ボスことブルース・スプリングスティーンの代表曲
ボスのアルバムを聴けば、家に居ながらにして疑似的にUSAを体験できると専らの噂である

https://www.youtube.com/watch?v=IxuThNgl3YA

>>74

・「モータウン・ジャンクス」

UKはウェールズのロックバンド、Manic Street Preachersの初期の代表曲「Motown Junk」から

とにかくこの頃の彼らはビッグマウスで、30曲入り二枚組のデビューアルバムを世界中で一位にしてから解散すると豪語したり
その話を訝しんだインタビュアーに対してその心意気を見せつけるために
リズムギターのリッチー・エドワーズが剃刀を使って腕に「4 REAL(本気だ)」と切り刻んだりしていた

その後はそのリッチーが失踪する等紆余曲折あり、今ではウェールズを代表する国民的バンドに成り上がっている

https://www.youtube.com/watch?v=axAJ0RtBd7I

・「シィ・リジィ」

アイルランドのハードロックバンド、Thin Lizzyから
アイリッシュ民謡を大胆に取り入れたその音楽性は唯一無二、ここぞと言う時に聴けば士気が上がること間違い無し
特にゲイリー・ムーアが一時期在籍していた頃の「Waiting For An Alibi」はツインギターが光る超名曲である

https://www.youtube.com/watch?v=gJZDyqR4JuE

>>75

・「ウォギング」

イギリスのネオモッズバンド、The JamのVoであるポール・ウェラーの出身地


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102azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/14(木) 00:53:54 ID:HwtO2NwU0
今日のロケンローはここまでです
ところで皆さん、AAはしっかりズレ無く映っていますか
ズレ無く読めれば、よりロケンローです

103名無しさん:2018/06/14(木) 01:03:35 ID:2Tq9HofA0
モータウンか!baby you can drive my car!!!

104名無しさん:2018/06/14(木) 07:21:46 ID:5fRwu8QU0
ロックの事はわからんが今回もすげーロックだったぜ

105名無しさん:2018/06/14(木) 14:43:45 ID:BYoFPtfk0
貴族ネタは鉄板だよね

106名無しさん:2018/06/14(木) 20:27:50 ID:uyXUs6E.0
ロケンロー

107名無しさん:2018/06/14(木) 21:44:03 ID:jk0Wp.OE0
そういやAAズレたまま読んでたが画面拡大率調節したら何とかなった

108名無しさん:2018/06/16(土) 07:52:06 ID:GWngbyuw0
ピロウズはスケット団よりフリクリです

109名無しさん:2018/06/16(土) 11:41:26 ID:FnbK1h8s0
帰ってきてくれてアリガットウ

110名無しさん:2018/06/16(土) 16:39:37 ID:fbR0M9kI0
トソン・・・政府さえ寛容なら、の前にロックさえなければ、が来てるんだろうか

111azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:17:38 ID:gf1NO2mY0
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(* -ヮ)「……ま、そういう子ってことで。ごめんなさいね」

女子寝室のドアをゆっくりと閉め、シィがおもむろに口を開ける。

( ・-・)「ありゃ、厄介ですね。真に憎まなければいけないものが何なのか、分かってないんだ」

(・-・ )「まぁ、あの年頃の子なら仕方無いんでしょうが」



シーンは淡々と言うが、一方のモララーツは、どうにも複雑な心境だった。
自分が全青春……はおろか、人生の全てを賭けたと言っても過言では無いロックを
うら若き少女に、目の前で全否定されたのだから――

( ・∀・)「……なぁ、シーン」

( ・-・)「はい?」

( -∀-)「俺ぁまだ、思ったよりロックが好きな男みたいだな」


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112azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:18:00 ID:gf1NO2mY0
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キルルイ参上のようです / #7 「Town Called Malice!!(2)」



モララーツとシーンは、会議室に通された。
今日いっぱいはここに泊まってくださいなと、シィが言う。



(*゚ー゚)「もう他の隊員は帰ったし、残ってるのは私とあの三人だけ……うるさくはないと思うわ」

( ・∀・)「これはどうも、お気遣いを」

ふいに、シーンがシィに尋ねる。

( ・-・)「……隊員って、どれくらいいるんです?この片田舎で、そんなに集まりますか」

(゚ー゚*)「悪かったね、片田舎で」

相変わらずこの二人は、やり取りに一々棘が目立つ。

(*゚ー゚)「ま、名簿では100人いて、実際に活動してるのはその半分ってところね」

(*゚ー゚)「仰る通り小さな町だから、人が少ないってのもあるけど」

(゚ー゚*)「何より、かなりの同胞が 海 の 向 こ う に 行っちゃったもんだから」
                     ワッドスクトック


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113azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:18:42 ID:gf1NO2mY0
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その一言で、しばしの沈黙が会議室に流れる。



( -∀-)「ってことは、結成時にはもっともっと人がいたわけだ」

(*゚ー゚)「ざっと、この町の半分くらいは入ってたから……今の五、六倍はいたかもね」

(*- -)「お国のイヌと戦っていくうちに、どんどんいなくなっちゃって、今じゃ組織を守るだけで精一杯」

(* -ヮ)「ま、こんな小さな町のレジスタンスでお国と張り合おうなんてのが、ムチャだったのね」

シィは、あくまでも淡々と、他人事のように語るが、その目元は小刻みに震えていた。



(*゚ー゚)「ま、それでも」

シィが、さっきまでの諦観めいた雰囲気を薙ぎ払うかのように立ち上がる。

(゚ー゚*)「最後まで悪あがきしないと、ロックじゃないでしょ」

そう呟き、会議室のドアを開け、その向こうへと消えて行った。



( ・∀・)「悪あがきねぇ」

( ・∀・)「なんかもっとこう、楽に考えられないもんかね」


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114azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:19:25 ID:gf1NO2mY0
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( ・-・)「楽に、ですか」

( -∀-)「いやさ、拘り過ぎって言うかさ」

( ・∀・)「ロックなんてもののせいで生活が危うくなっちゃうんならさ、捨てちまった方がいいのよ、そんなもん」

突然のモララーツの言葉に、シーンが眉を潜める。

( ・-・)「……そいつは、どういうことです?さっきの話と矛盾してませんか」

(・∀・ )「何がよ」

( ・-・)「貴方、自分で思ってるよりもロックが好きなんじゃ、なかったんですか」



( -∀-)「そりゃ、俺は今でもロックが好きだし、いつだってロックスターになってやるよ」

( ・∀・)「でも、ロックのせいで小さな娘を一人置き去りにしちゃうってのは、あんまりカッコいい話じゃないよな」

( ・∀・)「カッコ良くないのは、ロックじゃないだろ」



( ・-・)「はあ……」


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115azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:20:04 ID:gf1NO2mY0
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( -∀-)「無謀な抵抗を続けて、挙句自分の人生棒に振るんだったらさ」

( ・∀・)「お上に媚びへつらって、心の底でベロ出すみたいな臨機応変さを身に着けた方が」

(・∀・ )「このレジスタンスも、もうちょいしぶとく生き残れると思うんだけどな……だろ?」



( ・-・)「貴方は、美学ってやつを知らないんだ」

( ・∀・)「はっ、ほざけ」



シーンは複雑だった。
どうして俺はこのようなしょうもない人間を、危険を冒してまで救い出してしまったのだろう、と。
いくら世界に名だたるロックスターとは言えども、KOJの上層部が喉から手が出るほど欲しがった
その理由が、シーンには分からなかった。

と同時に、ある一つの疑問が浮かぶ。



( ・-・)「……モララーツさん、じゃあ貴方、どうして捕まったんです?」


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116azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:20:31 ID:gf1NO2mY0
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モララーツが椅子の背もたれに背中を落とし、面倒そうに応える。

( ・∀・)「……俺がさっき言ったのは、ただの理屈だよ」

( -∀-)「理屈だけじゃ勝てないような、もっとデカいものがあるんだよ。それに俺は負けたんだ」

(,  -∀)「ここで捕まった連中も、それに負けたんだよ……多分」



( ・-・)「……」

シーンは、モララーツがさっき口に出した言葉は、この男の理屈であると同時に、
この男の後悔の言葉でもあるのだろう、と思った。



( ・-・)「貴方は捻くれ者だ、結局、ロックの美学を信じ続けてるじゃないか」

( ・∀・)「はっ、ほざけ」


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117azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:20:56 ID:gf1NO2mY0
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しばらくして、シィが会議室に戻って来た。
小脇に、何かを抱えている。

(*゚ー゚)「家宝を持って来たわ……大したものじゃないけどね」

そう言って机の上にゆっくりと置いた物……ファンダーのフロートキャスター、50年製。

( ・∀・)「うおっ、凄ぇ。テロキャスターになる前のやつだ……」

思わぬ珍品に、モララーツが目を丸くする。それもそのはず、世界初のソリッドエレキギターだ。
ポップス文化の一大発明品と言っても、過言では無かった。

(*゚ー゚)「私の祖父が、まだ元気だった頃にくれたものなの。もう傷だらけで、塗装剥げだらけ」

(*゚ー゚)「いつかの法令で楽器は全部没収されたけど、これだけはちゃんと隠してた……弾いてみる?」

( ・∀・)「いいなぁコレ、コレだよ、この剥げ具合が貫録なんだよな」

モララーツは傷だらけのフロートキャスターを手に取り、右手の指で、六弦から一弦までを、そっと爪弾く。
フレットは五、六割程度までスレているのだろうか……
四弦に僅かなビビりが見られるが、弾く分には問題は無さそうだった。

( ・∀・)「トラスロッドは?」

(*゚ー゚)「正直、もう限界。リペアしないとね」


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118azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:21:28 ID:gf1NO2mY0
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( -∀-)「……リペアできるといいな」

モララーツは静かに呟き、おもむろにCのコードを押さえ、ゆっくりと何かの曲を弾き始める。
C、F、G、C……



Once upon a time you dressed so fine

Threw the bums a dime in your prime

...didn't you?



People call say 'beware doll, you're bound to fall

You thought they were all

...Kidding you?


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119azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:21:54 ID:gf1NO2mY0
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...You used to laugh about

Everybody that was hanging out

Now you don't talk so loud

Now you don't seem so proud



About having to be scrounging your next meal...



「なぁ、どんな気分だ?」

「どんな気分なんだ?」

「帰る家も無い、誰にも知られることなんて無い」



( -∀-)「転がる石のようになっちまった気分ってのは、さ」


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120azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:22:26 ID:gf1NO2mY0
..


その時シーンは、確かにこの男こそと、確信したのだ。
決して巧くは無いが、まるで部屋ごと熱気で奮い立たすような、人を惹きつける天性の歌声。
時にはしなやかな鞭のように鋭く、時には毛布のように優しく人を包み込む――

そこにいたのは、パトリック・モララーツのようでいて、そうでない姿
往年のロックスター「キルルイ」そのものだったのだ。

( ・-・)「……いやはや」



( ・∀・)「この曲しか覚えてなかったのよ、コード」

モララーツはフロートキャスターをそっと机の上に置き、鼻を鳴らした。

( ・∀・)「……ダメだね、声が出ない、ギターもロクに弾けたもんじゃない」



ふと隣を見ると、さっきまでそこにはいなかったはずの、モナールトンとギコナーが立っていた。
モナールトンは先程の調子で、薄笑いを浮かべながら

( ´∀`)「本物のロックだぁ、久々に聴きましたよ。ヘヘヘッ」

と、言う。


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121azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:22:50 ID:gf1NO2mY0
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( ゚Д゚)「……貴方の曲ですか?」

( ・∀・)「いや、違うよ」

( -∀・)「古い古い曲だよ……でも、これがロックの行き着く先なんだ。全部この曲に帰って来る」

( ゚Д゚)「……はあ」

ギコナーは、首を斜めに傾げる。



(*゚ー゚)「転がる石のような気分、ねえ。絶妙な曲を選んでくれちゃって」

(・∀・ )「たまたまこの曲のコードを覚えてただけだ、他意は無い」

(*゚ー゚)「ふーん……」



(゚ー゚*)「ま、決して悪い気分ばっかりじゃないってことは言っておくわ」

モララーツは、言葉を返さなかった。


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122azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:23:45 ID:gf1NO2mY0
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( ´∀`)「俺もロックやりたいです、早くロックしたいんですよ。ロックンローラーってイカすじゃない、ヘヘヘッ」

(´∀` )「俺は親父と同じでドラム!お前はベース!」

( ゚Д゚)「ベース?」

( ´∀`)「ガリガリな奴はベースをやるって相場が決まってるんだって、親父が言ってた。ヘヘヘッ」

( ゚Д゚)「…………」

( -∀-)「好きなものをやりゃいいんだよ、好きなものをさ……」



やがてシィ達が会議室を出て、部屋にはモララーツとシーン、二人だけになった。
シーンは、この一日のことを静かに思い返す。

今、俺の目の前にいるのは、パトリック・モララーツであり、確かに紛れも無い「キルルイ」だった。
彼はそれを、たった数分で力ずくで俺達に納得させたのだ。

――正直なところ、俺は今でもこの男の価値を認め切っているわけではない。
だが、彼は今でもロックの魔法にかかっている。冷めたふりをして、まったく冷めやらぬ、最高に強力なロックの魔法だ。



( ・-・)「……魔法にかかり続けられるってのは、それだけでも才能なんですよ」

( ・∀・)「え?何だって?」

( ・-・)「何でもないです、独り言です」


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123azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:24:31 ID:gf1NO2mY0
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場面は変わり、会議室の向こう、女子寝室。
あの歌声は、確かに彼女の耳にも聞こえていた。


(゚、゚トソン「……転がる石」

ピータートソンはそう呟くと、シーツを頭から被り、しかと耳を塞いだ。
この歌、この言葉、どこかで聞いたことがある。
遠い記憶の奥の奥の奥で、顔も覚えていない誰かの声がこだましている。



あの日、ピータートソンの父は、ギターをスタンドの上に置くと、彼女の頭を乱暴に撫でながら
独り言か、それとも彼女に聞かせたかったのか、震える声を絞り出し、確かに、こう言ったのだ。



お父さんも、お母さんも、近いうち……そう遠くないうちに、この歌のようになっちまうかもしれない

家にも帰れなくなるかもしれないし、皆からも忘れられちまうかもしれない

ただ、ピータートソン……お前にだけは、俺達のことを忘れないでいてほしいんだ


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124azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:25:07 ID:gf1NO2mY0
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(゚、゚トソン「……転がる石」

もう一度、呟いた。
パパとママが転がる石だとしたら、転がる石に置いてきぼりにされた、私は何?
転がることすらできない、何の価値も無い、路肩の石?



(゚、゚トソン「パパ」

(、 トソン「私……パパの顔も、ママの顔も、忘れちゃった」



心の拠り所も見つけられず、哀しみの捌け口も分からず、ここまで生きてきた。

今のピータートソンは、分かりやすい対象を憎んでいるだけだった。

両親を遠くに連れ去ったのが、この国の「お偉方」であることは、百も承知だった。
が、強大な力にいくら憎しみを向けても、敵うどころか、負け続ける一方であることは、痛い程分かっている。

だから、実態を持たず、物も言わぬ極めて曖昧な概念――ロックに憎しみを向けることで
その絶望的な現実から、目を背けようとしたかったのだ。


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125azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:25:32 ID:gf1NO2mY0
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(、 トソン「分かってるんだけど」

分かっているけれど……
分かっているけれどの後に続く言葉は、いくら探しても出てこなかった。

(、 トソン「分かってるんだけど……」



その夜、ピータートソンは夢を見た。
何度も見る夢だった。
パパとママと、柔らかな日差しが差し込む小さな家の中で、戯れている夢――

パパは暖炉の傍に腰掛け、小さなギターを手に取り、アンプの電源を入れ
おもむろに弾き始めたのは、何の曲だろう。


嗚呼、私はそれでも、それでも。
この夢を見続ける限り、ロックを憎み続けなければならない。



キルルイ参上のようです / #7 「Town Called Malice!!(2)」


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126azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:25:59 ID:gf1NO2mY0
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★「#6」の元ネタ

>>86

・トラウト・マスク・レプリカ

鬼才、Captain Beefheartの名盤「トラウト・マスク・レプリカ」から。
トラウトの仮面を被った男が手を振っているジャケットはあまりにも有名で、一度見たら二度と忘れられない……。


>>89

・寂れた映画館とバーが五、六軒……

浜田省吾の「MONEY」に出てくる一節。
僅か数百mのメインストリートに寂れた映画館とバーが五、六軒あるらしいが
意外とバーが多いなと思ったのは僕だけではないはずだ

>>93

・合言葉の流れ

スウェーデンのネオクラシカルメタルの雄こと豚貴族……もといイングヴェイ・マルムスティーンの逸話が由来。

初対面のブルース・ディッキンソン(Iron MaidenのVo)に
「俺は貴族だ、正式には伯爵だ」と自慢をしたら、「それがどうした」と返されたと言う。
それ以来、イングヴェイはブルースのことを心の底から憎んでいるらしい。


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127azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:26:46 ID:gf1NO2mY0
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>>94

・リー・ギコナー

フュージョンギタリスト、Lee Ritenourから。

・ラリー・モナールトン

同じくフュージョンギタリスト、Larry Carltonから。
この二人、日本では何かとニコイチで扱われることが多い。

>>96

・ヴィッキー・ピータートソン

The Banglesのギタリスト、Vicki Petersonから。
代表曲「Walk Like an Egyptian」がジョジョのEDに使われたりしたのは記憶に新しいところ。

https://www.youtube.com/watch?v=Cv6tuzHUuuk


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128azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:27:16 ID:gf1NO2mY0
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★今日の数曲


・Rush「Time Stand Still」

超絶変態プログレトリオ、Rushが80年代に入り、ある程度コマーシャルな曲を書くようになった時期の曲。
キャッチーなメロディと透き通るようなサウンドメイキングは絶品。PVは死ぬ程ダサい。

https://www.youtube.com/watch?v=dMSFqXGZ5TQ

・The Drums「Lets Go Surfing」

10年程前にパワープレイされた、アメリカのインディーロックバンドの代表曲。
ゆっるーいようでいて実はタイトなことをやっているこの感じ、あの頃の流行だったような気がしないでもない。

https://www.youtube.com/watch?v=VkQrJ3SVXko

・フルカワユタカ「I don't wanna dance」

「スター」ことDoping PandaのVo、フルカワユタカのソロ曲。
一時期邦楽ロック界隈で大流行した四つ打ちダンスビートだが、この人はもうちょい前からそれをやっていた。

https://www.youtube.com/watch?v=qX37fWB9x9k

・The Jon Spencer Blues Explosion「Bellbottoms」
ギター二本にドラムという異色スリーピースバンドの代表曲。
この編成だからこそのキレ味とスリリングさ、まさに引き算の美学。

https://www.youtube.com/watch?v=TZzVmGuUYQg


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129azmi ◆azmiEn8mYU:2018/06/17(日) 23:27:52 ID:gf1NO2mY0
今日のロケンローはここまでです
ロケンローな感想待ってるぜ


>>103
モータウンなら月並みですがMartha & the Vandellasを愛聴しております
Come And Get These Memoriesは名曲……

130名無しさん:2018/06/18(月) 19:15:30 ID:0guG4GLY0
ロケンロー
やっぱり歌があると最高だな

131名無しさん:2018/06/18(月) 21:55:06 ID:JVaV5EII0
otudesu

132名無しさん:2018/06/19(火) 07:39:15 ID:spbG/bVM0
トソンと両親のためにも頼むぜモララーツ


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