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( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです

1ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2016/09/23(金) 23:19:53 ID:tPVEEtDg0
前スレ
( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1438259918/

支援曲 Answer(すーぱーもぐりん氏より)
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/link.cgi?url=https%3A%2F%2Fyoutu.be%2F-c3XqxQ_j2A


ゆっくりまったりと。2スレ目でもよろしく。

302ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 21:26:12 ID:qmYKrV7w0




第二十六話「どこまで行っても掌の上で踊らされるあんた方の為の詩」




,

303ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 21:27:37 ID:qmYKrV7w0

( ・∀・】「大丈夫ですか? まぁそりゃそうですよね。よかったら迎えに行きましょうか」

( ・∀・】「いらない。はぁ、まあ僕としてはその方が楽なんでいいですけどね」

( ・∀・】「真祖の方は放置してもいいんですか? どう見てもアレはハインリッヒ・アルカードじゃないでしょう」

( ・∀・】「ふーん、まぁ貴方がそう言うならそうなんでしょうね。そういうわけで、僕はファイナルあたりにいるんで何かあったら連絡くださいな。それじゃ」

( ・∀・)「やれやれ、電話中は気を遣って離れてくれると嬉しいんだけどねぇ」


( ・∀・)、

               ζ(゚ー゚*ζ

( ・∀・)「大変な騒ぎだねぇ。君は参加しないのかい? 使える駒はそれなりにいるだろう」

ζ(^ー^*ζ「まさか。お姉様がああなった以上、私に出来ることなんてありませんよ」


( ・∀・)「へえ、君は彼女のあの力について何か知ってるのかい? 少なくとも僕が知る限りでは、彼女があんな力を発現させたことは無いけど」

ζ(゚ー゚*ζ「そりゃそうでしょうねぇ。私だって見たことありませんもの。正直嫉妬しちゃいます」

( ・∀・)「嫉妬? 何にだい?」

ζ(゚ー゚*ζ「お姉様をあそこまで怒らせた人に、ですかね」

(; ∩∀・)、「ははは……ほんとに君は健気だね」

ζ(^ー^*ζ「あら、そう言ってくれます? 貴方が理解のある方で良かったです」

304ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 21:39:04 ID:qmYKrV7w0

ζ(゚ー゚*ζ「ま、見たことはありませんがあれがどういうものかは理解出来ます」

( ・∀・)「おかしな事を言うね。女の勘ってやつかい?」

ζ(^ー^*ζ「ふふふ、前から思ってましたけど、貴方の冗談って少し空回ってて面白いですね」

( ・∀・)、「こりゃ手厳しい」

ζ(゚ー゚*ζ「そんな冗談はさておき……女の勘、というより同族の確信と言った方がいいでしょうね」

( ・∀・)「同族の確信」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。勘ではなく確信というのがミソですね」

305ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 21:59:19 ID:qmYKrV7w0

ζ(゚ー゚*ζ「この学園のみならず、世界中の同胞達が同じように確信を持っているはずです。それこそイノヴェルチじゃなくとも、言葉を持たぬグールでさえもね」

( ・∀・)「不思議だ。シンクロニシティみたいだね」

ζ(゚ー゚*ζ「似たようなものでしょうね。不思議なのも同感です」

ζ(゚ー゚*ζ「産まれて初めての感覚なのに、まるでこんな日が来るのが最初から分かっていたかのような感覚。悪い気分ではないですね。むしろ胸が躍ります」

( ・∀・)「……」

ζ(^ー^*ζ「アレは私たち吸血鬼の親ですよ。永劫にも近い人類史の中で、今まで継承されてきた力の本来の持ち主」


ζ(゚ー゚*ζ「吸血鬼の王キリバリ-・アルカード」

,

306ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 22:10:10 ID:qmYKrV7w0

( ・∀・)「聞いたことがある。確かニイタ国の伝承だ。キリバリ-の火」

ζ(゚ー゚*ζ「博識ですね。私だって吸血鬼になるまでは知らなかった伝承なのに」

( ・∀・)「仕事柄、色んな国に行くことが多くてね」

ζ(゚ー゚*ζ「あら素敵、今度ご一緒しても?」

( -∀-)「構わないがオススメはしないね。君が想像してるよりもずっと退屈さ」

ζ(゚、゚*ζ「あら……振られちゃいましたね」

307ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 22:25:14 ID:qmYKrV7w0

( ・∀・)「それにしても、伝承のキリバリ-の顕現とはこの学園も危ない場所になったもんだね」

ζ(゚、゚*ζ「もともとそんなに安全な場所でもなかったでしょう」

( ・∀・)「そうかい? 僕からしたら外よりずっと快適だったけどね」

ζ(゚ー゚*ζ「余裕ですねえ第一王位サマは」

(; -∀・)「いやいやほんとに。余裕とかじゃなくてね」

ζ(^ー^*ζ「ふふふ、からかってみただけですよ。その椅子からしか見えないこともあるんでしょう?」

( ・∀・)`「……へぇ」

ζ(゚、゚*ζ「あら?」

308ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 23:01:38 ID:qmYKrV7w0

( ・∀・)「申し訳ないけど、君にそういう言葉をかけられるとは思わなかったな」

ζ(゚ー゚*ζ「酷いですねぇ。私は自分じゃ太刀打ち出来ない人にはしっかり媚びるんですよ?」

( ・∀・)「そう、そうだったね。むしろそういう物言いの方がしっくりくる」

ζ(^ー^*ζ「お気に召したようでなによりです。ところでモララーさん」

( ・∀・)「ん?」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方はアレと戦わないのですか?」

( -∀・)「……理由が無いな」

ζ(゚ー゚*ζ「……この世界で唯一、貴方という絶対的強者の退屈を満たせるかもしれない。それだけでは理由になりませんか?」

309名無しさん:2017/07/30(日) 23:32:19 ID:AVnSmM1A0
>>290
トライデントってトライバルの間違い?

310ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 23:33:40 ID:qmYKrV7w0

( ・∀・)「生憎、そういう動機だけで動ける立場じゃないんでね。それにしても意外だな。あれだけ彼女に固執していた君が、こんな風にけしかけるなんて」

ζ(゚ー゚*ζ「アレはお姉様であってお姉様ではありませんから。あの綺麗な身体が私以外に傷つけられるのは不本意ですが、そうも言ってられなさそうな状況ですしね」

( ・∀・)、「ふうん。、ま、どっちみち僕は興味も無いし、学園の外に出るよ。一緒にどうだい?」

ζ(゚ー゚*ζ「……嬉しいお誘いですけど、私にはまだやらなきゃいけないことがあるので」

( ・∀・)「あら、振られちゃったね」

ζ(^ー^*ζ「ふふっ、間が悪いのもなんとなく貴方らしいですよ」

( -∀・)「ほんとに手厳しいや。悪巧みかい?」

ζ(゚ー゚*ζ「そんなところです」

311ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 23:40:36 ID:qmYKrV7w0
         { /
          ヽ、
           ヽ、
                 7
             ′
       r ¬   ′
       `ー   /      「また会いましょう。モララーさん
、          ./|       次は一緒に"踊れる"といいですね」
  、       /:.:|
         . ':.:.:.',
、   へ.    イ:.:.:.:.:. ',
ニ>く   `¨´ '、:.:.:.:.:.:.',
二ニハ      ヽ:.:.:.:.:.:',
二二ハ       '.:.:.:.:.:.:',
二二八      ',:.:.:.:.: ,
二二二>、     }:.:.:.:ハ!
二二二ニ心、   ノ:.:.:/
二二二二ニハ /ィ:./
二二二二二.!   }/
二二二二二ヘ
二二二二二ニ≧x、

312ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/30(日) 23:47:47 ID:qmYKrV7w0
   ~ ''' ‐- . ,__   .'   _ . .-‐ ''' "
    「ああ」       冫 '  _ - -     - - - -
  _ ,,.. -‐ '' " ,  '" i`     - ._
        ,  '   ,'    ` 、    " - .._
     ,  '"        ;    `  `     " - . _
  , '"   , "  /  ,'   ', ヽ  `    ` 、  `
      ,         i  ',  ヽ「そうだね」 ` 、   ` 、  `
     ,     ,'  ,'   :      、  `
    ,     /        ',  ',       、     ` 、
   ,        ,'  '   !     ',   、    ヽ
    ,   ,'  ,       ;   ',      、      、
   ,   / , ,'  ,'   ;          、   、

313ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 00:15:45 ID:Iju0uVVw0

 降り注ぐ雨の中、モララーはデレの気配が消えるまで、空を見上げたまま立ち尽くしていた。
 濡れた長髪は首筋を伝って、毛先から水が滴っている。
 前髪を?き上げる。柔和な表情は、整った造形も相俟って、見る者を吸い込んでしまいそうだった。

( ・∀・)「そこそこ居心地のいい場所だったんだけど、跡形もなく消えたりしなきゃいいなぁ」

 その保証はどこにもないことを知っていて、自身が手を尽くせばいくらでも、どうとでもなるという自覚を持ちながら、モララーは動こうとしない。
 きっと元は人並みに欲もあったはずなのに、とモララーは自嘲めいた溜息を漏らす。
 その気になればあらゆる望みを実現出来る力を持っているがゆえに、その力が、モララーから情熱の一切を奪い去った。

( -∀-)(考えても詮無い)

 自分一人で、どこまで歩く?

 そう自身に投げかけて、正門に向かって歩き出そうとした瞬間、彼は近づいてくる足音を察知した。

314ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 00:53:32 ID:Iju0uVVw0

( ・∀・)「これはこれは……まだ避難してなかったのかい。ツンさん」

ξ゚⊿゚)ξ「……モラくん」

 ペストの制服を着たままのツンが、力無い足取りでモララーの元へ歩み寄ってくる。
 巻き髪は雨に濡れて、波打ちながら肩まで下りている。
 道中で転んだのか、いつも新品同様に真っ白な制服も泥に塗れていて、それが彼女から漂う喪失感を助長している。

ξ゚⊿゚)ξ「私の方が年下じゃない。さん付けで呼ばなくていいっていつも言ってるのに」

 軽口を飛ばしながらも、その笑みは弱々しい。
 モララーは素直に、気の毒だなと思った。

315ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 01:07:05 ID:Iju0uVVw0

ξ゚⊿゚)ξ「どうしよう。なんか大変な騒ぎじゃない。皆水がここにも流れてくるって……」

( ・∀・)「……そうだね。大変なことだ」

ξ゚⊿゚)ξ「ペストも、店じまいか……」

( ・∀・)「……」

 この騒ぎの原因は自分ではないのに、モララーは肩を落とすツンを見て、申し訳ない気持ちになった。
 ペストはこの学園の生徒たちに愛された店。それは、モララーとて例外ではなかった。

( ・∀・)「……ねぇツンさん」

 失意に陥った人間を鼓舞する言葉を、モララーは知らない。
 恭しく口を開き、眉根を寄せながら慎重に言葉を選ぶ彼の姿を、王位の者が見たら、きっと自分の目を疑うだろう。

ξ ⊿ )ξ「…………」

316ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 01:31:16 ID:Iju0uVVw0

( ・∀・)「僕さ、友人にはよく『お前って高級なコース料理しか食べなさそうだよな』なんて言われるんだ。別にそんなことないのにね」

ξ ⊿ )ξ「……?」

( ・∀・)「ペストのチキンカレー、美味しかったなぁ」

 モララーは遠い目をして、敢えてツンから視線を逸らすように、空を見上げた。
 辿々しさが先行するあまり、語尾は力なく尻すぼみ。
 最早彼自身、誰に話しかけているのかも見失ってしまいそうだった。

( ・∀・)「鶏肉がさ、皮がパリッとしてるんだ。たまにこの皮だけをお腹いっぱいになるまで食べたいって思うよ」

ξ ⊿ )ξ「……」

( ・∀・)「ルゥがもったりしてるのもいいね。見た目じゃなく味で勝負ってやつ? 家庭の味って感じだね。あ、いや……家庭の味なんて言っても僕にはよく分からなかったや……」

317ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 01:52:10 ID:Iju0uVVw0


( ・∀・)、

                 ξ ⊿ )ξ


"(∩・∀・)「……何を言ってるんだろうね僕は」

ξつ⊿ )ξ「……ぅ」

(; ・∀・)「…………」

ξ ⊿ )ξ「……ありがと」

( ・∀・)

"(∩・∀・)「…………」

318ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 02:12:00 ID:Iju0uVVw0

 その気になれば一国の興廃すらも左右することが出来る。
 そんな自分が、たった一人の非力な少女の涙に狼狽えていることが、モララーには不思議でならなかった。

 否、そうではない――

 最初から、彼は自覚していた。
 自分がどれだけの力を有していようと、これだけは、人の感情だけは、思いのままに出来ないのだと。

( ・∀・)

 彼は、孤高などではなかった。
 群れを成さず、自身の自由意志にのみ従って、飄々とした言葉を使って人間を煙に巻く。
 なるほど、これが天下の第一王位のやり口か、とモララーは胸中を泥で満たす。

 だがそれすらも洗い流すように、雨は、降っていた。

319ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 02:34:15 ID:Iju0uVVw0

( ・∀・)「なんとかなるさ。もし店が流されても、ツンさんがいれば美味しい料理は作れるよ」

(; ・∀・)「いや、違うな……大丈夫、店は流されない……」

 とも言い切れないと分かっているから、その語尾に力は無い。
 しどろもどろなモララーの対応は決してスマートでっはないかもしれない。
 だが少なくとも彼は今、一人の人間に対して真摯に向き合っていた。
 そして人を勇気づけるために取り繕う不格好な言葉が、花のように貴いことを知る。

( ・∀・)「うん」

ξ ⊿ )ξ「…………」

( ・∀・)「また、カレー食べたい」

ξ ⊿ )ξ

320名無しさん:2017/07/31(月) 02:39:49 ID:QGOcNxY60
あああ……モララーめっちゃいい子だった……

321ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 02:57:45 ID:Iju0uVVw0
                     ヽ
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322ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 02:59:38 ID:Iju0uVVw0










                  「 行こうか 」














,

323ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 03:00:15 ID:Iju0uVVw0
nemasu

324名無しさん:2017/07/31(月) 03:24:22 ID:z0ltGaRM0

モララー( ・∀・)イイ!!奴

325名無しさん:2017/07/31(月) 04:32:34 ID:QGOcNxY60
おつ
この2人の絡みは意外だったけどツボった

326名無しさん:2017/07/31(月) 05:52:09 ID:S99G3ZQI0
今まで1位という振る舞いと能力による強さが目立ってたから
不器用なモララーにちょっと驚いた

327名無しさん:2017/07/31(月) 06:29:15 ID:rGsRDKA60
まずい、応援したい奴が増えていく


328名無しさん:2017/07/31(月) 07:18:45 ID:cm7luTho0
イケメンかよ

329名無しさん:2017/07/31(月) 07:24:21 ID:RtEKelTo0
モララーの印象がガラッと変わるなぁ
ほんと全員キャラが立ってて面白いわ

330ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 17:35:50 ID:Iju0uVVw0
色々AA弄ってみたいので辞書登録のストック溜めてきます
なので今日は休みにするかも
夜気力があったらまたながらで
明日明後日は私用につき少し厳しい
どの日も来れたら来る
期待しててください
よろしく

331名無しさん:2017/07/31(月) 18:13:00 ID:rGsRDKA60
ジョルジュ達の目(単体)間に合ってる?


332名無しさん:2017/07/31(月) 19:54:10 ID:RtEKelTo0
期待しまくってんよ

333ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 21:45:57 ID:Iju0uVVw0
投下いけるわ
よろしく

334ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 21:59:48 ID:Iju0uVVw0

 ━━━━━
 ━━━━━━━━

 曇天。降り注ぐ雨。
 学園上空は未だ炎と亡者達で埋め尽くされて、、月を望むことは出来ない。
 時折空に広がる高出力の波動によって、地上の建造物が軋み、木々はどよめく。

 夜闇の中、光輝くことなく自身の漆黒によってのみ存在を主張する吸血鬼の王を見上げ、二人の男は表情を強張らせていた。

(´・ω・`),・

( ;゚д゚ )

(´・ω・`)「……お前もか」

( ゚д゚ )「……ああ」

(´・ω・`)「不思議な感覚だ。アレがああなった瞬間、全部理解した」

( :゚д゚ )「……」

(´・ω・`)「吸血鬼の王キリバリ-・アルカード。お前、聞いたことあるか」

( ;゚д゚ )゙ ブンブン

(´・ω・`)「だよな、僕もだ」

335ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 22:14:08 ID:Iju0uVVw0

(;´-ω-`)「にもかかわらず、今の僕にはあいつの名前が解る」

( ゚д゚ )「……あれがどういうものなのかも」

(´・ω・`)「ああ、そうだ」

( ;゚д゚ )「…………正直」

(´・ω・`),・

( ;゚д゚ )「俺はこれ以上、ここにいたくない」

(´・ω・`)「同感だよ。だがデレとの主従関係が切れてない以上、僕らがこの学園から出ることは出来ない」

(;´・ω・)゙「最悪だ。この混乱に乗じて真祖と接触しようと思ったら……」

336ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 22:39:35 ID:Iju0uVVw0

 始祖としての力を顕現させたハインへの畏怖が二人の身体を氷のように冷たい膜で覆っている。
 そんな戦慄の中、ショボンはもう一つの事柄に恐れ慄いていた。

(´-ω-`)(こんな状況下でもデレの支配が解けない。恐ろしいやつだ)

(;´・ω・)゙(吸血鬼になってみて感覚的に、この生き物の性質が理解出来た。だからこそ解る)
  ザッザッ

( ´・ω・)(あの女はバケモノだ。こと支配力においては、あの真祖と同等……いや、それ以上か)

 イノヴェルチとして覚醒したショボンが、生前と変わらず兄への復讐を続けると決意して、真っ先に学習したのは、吸血鬼としての特性だった。
 その気になれば自身もデレと同じように血を広め、眷属となるイノヴェルチを作ることも可能。
 その事実を知った時、盛大な自己嫌悪が彼を苛んだ。

 だが、それでも兄を殺めるという彼の信念が、自己嫌悪を乗り越えたのはすぐだった。

337ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 23:03:28 ID:Iju0uVVw0

               ,.-、
             /  .l  /`ヽ
            /   ./ /   / .,..-、
            /ヽ/    / /   / ./  l
        /   l   l ./   ,'  /  /
        /   |   | l    l ../  /.,..-、
        l   イ   l j   .| /  /./  /
         .|    ',   `´   ヽ'  /./  /
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          |    `ヽ .\         ,'
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         ./       /   /
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       ./             /
      /            /
      ./           /



 自身の掌を見つめながら、ショボンはこれまでに学習した吸血鬼の特性について振り返る。

 グールの肉は脆く、生身の人間より耐久力が低い。高い膂力を持つが、その力に耐えきれず自壊することもある。
 イノヴェルチは心臓と脳を同時に破壊されない限り、再生を続ける。
 イノヴェルチの再生速度は吸血鬼特有の力の多寡に依存しており、生前の武力は関係ない。
 イノヴェルチは自身の吸血衝動を満たす為とは別に、眷属を作る為に吸血の際に自身の血を対象に混ぜることが出来る。
 新たに誰かの眷属として覚醒したイノヴェルチの吸血鬼としての能力は、主の力に依存する。
 グールは日光を嫌うが、イノヴェルチは日光による不調を患わない。
 などなど――

338ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/07/31(月) 23:32:08 ID:Iju0uVVw0

  o
    ゝ;:ヽ-‐―r;;,               。
,,_____冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\      ,,,,,,,, o  /
"`ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从    (;:;:;:;:ヾ-r
   〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:) 0  ソ;:;:;:;:;:;:;:}
  ,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ     ゞイ"ヾ,:;:,ソ
  (;:;:ノr-´^~;;r-ー⌒`    ,.、
  "  ,,,,      _;:;:⌒ゝソ;:/
    (;:;:丿    (;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
            ヾ;;;;;;;;;;;;/; \
            ´  /;:ノ 。  。
                ()


 吸血鬼の主従関係は、人間の社会的な主従よりも遥かに固い。
 主が死ねと言えば死ぬ。
 主が、愛する者を蹂躙しろと言えば血涙を流しながら非道の限りを尽くすだろう。
 魂が縛られていないにもかかわらず、その身体には隷属の血が流れ、髪の毛一本残さず主に捧げられる。

 その主従の糸は系譜のように、親のイノヴェルチ、更にその親のイノヴェルチといったように、脈々と続く。
 その頂点に存在するのが……




                   从 ゚∀从


              真祖ハインリッヒ・アルカード。 


.

339ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 00:03:23 ID:htw1B6cw0

(´・ω・`)(アレが頂点であるにもかかわらず、デレが真祖の意に反する行動を続けられる理由……

 イノヴェルチとなって日の浅いショボンが考えられる理由は、そう多くなかった。
 どれも想像の域を出ないので、裏取りにも動きにくい。
 その中で最も有力なのは、元々デレが高い素養を持った魔術師だったということ。

 錬金術、医学にも精通し、人には扱えない魔術の代替としてそれを世界に普及した偉大なる魔術師フィレンクト・ミッドガルド。
 デレが受け継ぐのはかの高名な魔術師の血であり、世界的に有名な彼の研究の中には当時猛威を振るっていたグールの生態研究も含まれていた。
 ただでさえ、魔術師の力の継承は吸血鬼のそれと似通っていて、その親和性も高いのだ。

 医科学の祖と呼ばれた魔術師の血が、イノヴェルチとなった彼女に、真祖に抵抗しうる力を与えている。
 その考えが正しいか否かを確かめる術は現状無いが、そうだと仮定しても不自然ではない。

(´・ω・`)(フィレンクト・ミッドガルの血があの女に与える恩恵が、僕らに対する支配にも及んでるとしたら……)

(;´・ω・`)=3

( ゚д゚ )「……?」

 絶望的だな、と脳裏をよぎった言葉を、ショボンは揉み消した。

340ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 00:04:21 ID:htw1B6cw0
休憩

341名無しさん:2017/08/01(火) 00:27:24 ID:lvcltG2A0
ゆゆ��!!!!!
支援。

342ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 01:45:33 ID:htw1B6cw0
再開

343名無しさん:2017/08/01(火) 01:49:10 ID:XvRLrqLY0
おかえり!

344ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 01:57:41 ID:htw1B6cw0

 自身と同じ境遇にあるミルナとは行動を共にすることが増えたが、ショボンはまだ彼のことを信頼していなかった。
 むしろ、現時点では信用を計る必要すら無いと考えている。
 王位の座を賭けて闘う中で、二人の間には確かに通じ合うものがあった。
 だがそれは、互いにもうここで終わってもいいという、決闘の際特有の境地に至っていたから。
 元々武人としての性質が強かったミルナとは違い、ショボンは闘いというものに対して冷めきっていた。

 全ては兄への復讐を遂げる為。
 自身の中に毛ほどに残っている武人としての矜持や誇りも、その悲願の前には塵も同然。

 だからショボンはミルナと積極的に情報を共有しようとは思わなかった。
 とはいえ同じ境遇で、同じように情報を求める二人なので、ミルナから有益な情報がもたらされることもあるだろう。
 その時の為に、あくまでポーズとして、情報共有の姿勢を見せている。

 それに対してミルナは何の疑いも抱いていなかった。
 王位として戦闘を日常とする環境に身を置いた期間の差が、このようなショボン優位の関係を作り上げたと言えるだろう。

 あるいは、自分もあの兄のように、戦わずして勝つ打算めいた思考の天才なのかもしれない。
 そう思うと、ショボンは苛立ちに奥歯を噛み締めずにはいられなかった。

345ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 02:09:10 ID:htw1B6cw0

( ゚д゚ ),・「おいショボン。あれ……」
  σ

(´・ω・`)「ん? ああ……」

 ショボンがミルナの指差す方を見る。


     ,,,,----------- 、
.    /  ̄ ̄ ̄.// ̄ ̄|| |
   /     .//.    .|| |
  [ /―---― //[ ]   || |___________________   ブォォォォ
  i_    _ i 'ー´ ̄ ̄|.| |ニニニニニニl.|
  l0|.__|○E.|  .,r―|.|_| ̄ ̄ヽ / ̄ヽヨ  _ _.,_,,('"     (⌒ヾ
  モ__=口=_テ___|l⌒ l.――― | l⌒l 三!     ^'ノ⌒ヽ,,._ソ''"
        `--'    `ー'   `--'  `ー'    ''⌒`'"~

 第四ブロックと第五ブロックを繋ぐバイパス道路を、一台のトラックが走る。

 それ自体は珍しいことではない。この緊急時、車両で逃げようとする者がいてもおかしくはない。
 その荷台に積んでいるものが、二人が求めているもの、もとい二人の主がかき集めてこいと命じたものだった。

346ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 02:23:11 ID:htw1B6cw0

      アァァァ…
                       ウッウ……
  イテェ                               タスケテ……
               __
            /`´: : : :\  _ ........._                         r- '⌒ヽ
          , -イ:.:.:/{{`ヽ-: : :ヽ .ア:__,.へ:::`ヾ                _ノ゙ヾ、   .j ,___ぅ^′
__     /:.:.:.:ゞ/rx__r廾>ヽ: }ア::ノ,zz  __ヽ<, -へ__     , --- 、-{:.:.:; -'ー 、 / l
: : : : :>-- '´_:.:.:.:.:.:.:.:.L..」└‐┘!/}:_/ ゚-  ゚ ' ハ:.:.:.:.:.:.:.:ゞ´ ̄>´::::::::::::::::::::ヽ/:.:.:.:.:.:.:.:.:\__l   __
    }:.:, ´: : :`丶: : : \ー`,. イ:.:il:.:ゝ!  [二l ハi:.i:.:.:.:.:.//<__::::::::,、::::::ヽ:::l:.:.:.:i:.:.:.:.:.ト、:.:.:l ア ̄r---
^~`ヽレ′: : : : : : :厂`Lア二,イ:V ヾ__ヽ  .._ イlr.ヽ>`. . . . . . .く/V xz-↑L:.:.:ト,__/二_/   /
:::::::::::l: : : : : : : : : /  </ヽ/`ヽ/     ゝ..__/. . . . ,、. ,、_ト. .ミ __゚- .r '::::}:.:「 x. -゚イ_ /
:::::::::::ハi,、,、i: : : /         .l   i      Ⅵ. . ノ-イ r. Lト'ー 'イ⌒ヽヽ-< rっ':.:.:.:.ド、
Aヘ::::j__Lヽ_r-ァ'        ./ j   i  ;;;   ヽVr┘・` _ー レヘ V⌒′'. ト、!:.:.:ト¨´:.:.:.:.:.ヾ:.:.`l
.゚ ' r ':::::}  ア  ;;;;    /}  Y⌒ヽl        >- 、.ー'イ´`ヽ L_.ノ! ! ハ:.:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ┴- 、
-‐'´:::/:::| ∠_      ∠、 丁]  .厂      r ⌒7:.:/:.`¨´:.:.:.:.:.:`ヽ__l .l  厂ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
::::::::::):::/:.:.:.:.`丶__  j.  ヽ !/  ,l        ヽ  !V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:,/l`\! l  /r‐┴ 、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:::::::> '::::::::::::::::::::::::::::V- 、   './  / !  , -=  ̄ ̄^\ `!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ ヽ-l .//ノ:.:.:.:.:.:.:. ̄`ヽ- ...._
::/::::::::::::::/::::::::::::::::{   ヽ  l ./| }/:::::::::::::::::::::::::::::ヽ `ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L_ヽL) /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}: : : :/:

 まるで物のように積まれた人間達。
 一目で彼らが重傷を負っていることが解る。
 ミルナは彼らの痛ましい姿に目を伏せ、これから自分がやることに自己嫌悪を抱き、吐き気を催した。

,・( ;-д゚ )「叶うならば、自刃したいところだ」

 トラックを発見してショボンに教えるまでの澱みない所作。
 それすらも吸血鬼としての血の隷属がさせたこと。
 気づいた時、ミルナは咄嗟に舌を噛んだ。
 だが口の中に血の味が広がった後に、肉がせり上がり再生する不愉快な感覚を噛みしめるはめになっただけだった。

347ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 02:41:19 ID:htw1B6cw0

(´-ω-`)「今叶わないことを願うのは感情の浪費だ。やるしかねぇだろうよ」


                     _ /ヽ
                    ⌒`ヽ、\
                    '" ̄⌒`ヽ   /Y
                  '" ̄/ミ/ \ヽ::/
                   ⌒\ \::/
                       / //:::/
                   / ミ>:::::/
                  /:::/
                  /:::/
                xく:::/           }/  ノl/ - ノ
                /::://             l/ /   / ツ
           /\ \ミ_
            /:::/ / /                }/  ノl/ - ノ
       /\\   ミ         /       l/ /   / ツ
      /:::/   ミ /ミ_  _   彡
      {/    / /_   ̄
         \  { /   ̄二ニ
               /
 
 (´・ω・`) ジャキ
────⊂

(´・ω・`)「僕は殺るぜ。どれだけ胸糞悪い命令であろうと、どれだけ関係の無い人間を殺すことになろうと……」


,・、’(´゚ω゚`)「最後まで生き残って、兄さんとあのクソッタレ売女をぶっ殺す」
    ギンッ

348ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 02:56:22 ID:htw1B6cw0

 ━━━━━━━━━━
 ━━━━━━

(´<_` )「思ったよりも時間がかかるな……」
⊂   ブロロロロ...

(´<_`; )「やっぱり怪我人を積み過ぎたか。すまん兄者、まっててくれ」
⊂ ブロロロロ...

 トラックを運転するのは弟者。
 アクセルは常にべったりと踏み込んでいる状態、にもかかわらず伸びないスピードに弟者は苛立っていた。
 サイドミラーに映る後方の景色。中の空は掌に収まるほど小さい。

 その空で、今まさに人外同士による空前絶後の闘いが繰り広げられている。

(´<_` )「……二十分。いや、十八分か……」


 そこから第五ブロックの救護スタッフに呼びかける。
 それを考えると、彼にとって今は一秒すら惜しかった。

349ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 02:59:14 ID:htw1B6cw0





 元々置いてあったボトルガムに弟者が手を伸ばしたその瞬間。





 火蓋は切って落とされた。





.

350ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 03:07:06 ID:htw1B6cw0
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351ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 03:15:46 ID:htw1B6cw0

∑(´<_` ;)「っ!」
 ⊂

 弟者の背を、悪寒が撫でる。
 咄嗟にブレーキを踏み、ハンドルを切る。
 荷台に怪我人が乗っていることを案ずる余裕などない。

 強者としての直感が告げていた。
 今すぐ車内から離脱しなければ、命は無いと――

 弟者はこの時、思考することを止めていた。
 論理的な思考が脳内で出来上がり、出力されるまでの僅かな時間すら命取りであると、身体が解っていたからだ。

 次に弟者はドアに手をかけた。
 乗せた人間の命を、一切放棄した瞬間だった。

352ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 03:25:22 ID:htw1B6cw0
                                                      _,,.. 〟 ._..-'i.,..‐'}
                                                  ,..-'"´   `´     .|
                                               _..-'"             !
                                       _..、 _..-'"゛                  !
                                         /                 ,..、      `7
                                       /        ._......、 ,,/ ̄!'´ l       /
                                  /       ,..-'″  ″     ./       /
            _..―┐                   ,/     , .,/           /        ,!
      . /    |,                   ,,‐'"     ,/゛.″              /        ,!
    .,,-'_、..-'^l   /                 , '="    , /                  /        /
  .r'"/ ゛  ./  /             /     /                   /        /
 / /    .7  ./               /    .,. l./                     /           i|.
//     ./  !              /    ./ ゛                 /         ./
'"      /   ./             /    ./                      /         ./
      /   .彳        _/     /                      , . /         /_,
     リ   /      .,,i ,/     /                   /./             lr'"
     ゙l. /      ,./ `   ,.,..‐i .,i'″                      ,r'ゞ          ,i′
     / . l゙    ./    .メ"  ゞ                  y./              /
    /  .l゙  ._i /     /                      ノテ'゛           /
    'リ  .!、 ,r,!./     /                      〃                /
   .i|、  ."..メ′ _ i ./                      /              /
    .|      / |ノ                     /                 〃
    ‘l    ./                          /              /゛
    .|- 、 ./                       ,i ./              /
       ´                      ノ/                 /
                              ,.j|ノ゛               /
                             / ゛                  /
                           /                 /
                          /                  ,i′

353ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 03:41:46 ID:htw1B6cw0

 蛇のようにうねりながら、その一閃は神速の域に達していた。

 道路を滑るトラックを絡め取りながら、"羅刹棍"の先端は運転席を叩き割り、荷台部分を捕縛する。
 濡れたアスファルトに焦げ跡を作りながら傾くトラックは、横転直前で止まった。
 捕縛する鎖の隙間から怪我人が雪崩落ち、悲痛の呻き声が響き渡る。

(´<_` ;),・。「くっ……!」

 アスファルトに叩きつけられる直前で受け身の姿勢を取り、転がりながら事なきを得る。
 すぐさま顔を上げるが、状況は絶望的だった。

「よく避けたじゃねぇか」

                }
                   /  ``
                 /
                   i′
                ヽ ¨`
                     `ヽ
                 { __, --y- '´
                    ヽ - '´
                  ハ
                       ∧
                      }        ,. <
                       八    _,. ≦-‐─ヘ   ,.
                     >‐<      ハ /
                               ノ
                               /
                              i´
                                ハ
                             ∧



(´゚`ω゚`)「だがなってねぇな〜〜〜〜〜〜〜? 大事な荷物は簡単に手放すもんじゃねぇぜ?」
───⊂

.

354ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 03:42:52 ID:htw1B6cw0
二十六話おわり
色々試行錯誤してみます
おやすみ

355名無しさん:2017/08/01(火) 03:46:42 ID:XvRLrqLY0
目のやつゾッとしたわ


356名無しさん:2017/08/01(火) 07:31:13 ID:EVmcYMoA0
ショボンの魅力が上がりすぎてやばい

357名無しさん:2017/08/01(火) 08:09:12 ID:eu.u1x7s0
噛ませポジだったりするけれど
なんだかんだミルナが好き

358名無しさん:2017/08/01(火) 19:27:03 ID:KoV7yy4Q0
かなりAA表現増えてきたな
地の文ラッシュも好きだが試行錯誤も悪くない

359ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 21:05:52 ID:htw1B6cw0
ふふふ
結局来ちゃった
よろしく

360ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 21:18:47 ID:htw1B6cw0
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: : : : : : :|::|_   --┴─…¬冖ニ二¨¨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ 二 ニ 冖宀=-  .... ,,,, __.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
───二三三二─ ‐ ‐ ‐ ‐           ‐ ‐ ‐ ‐ ‐        ‐ ‐ ‐    ‐ ‐ ‐二二 二二三三二二ニニ==
三二二─‐  _二-‐ ‐ ‐           _ _ _                        ──二_─二三三三三三三
=‐ _ ̄ ─二─ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐        ─ ‐ ‐ ‐   _ _ _ _   ‐ ‐ ‐      ‐‐‐二二─ _ ̄─_二三
-二二二二二───── ‐ ‐ ‐                ‐ ‐三三─ ‐ ‐      ‐ ‐    ‐ ‐ ‐ ‐ ‐  二─ _ _
二二二─── ‐ ‐                  ‐ ‐ ──二二三三三─ ─ ─ ─      ──二二二三三三三
二二─ - -       --          ──二三三三二─ ‐ ‐         ────二二二二二二三三三三

361ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 21:27:03 ID:htw1B6cw0


   (´゚ω゚`)、’
━━─○─━━
                      ,・(´<_` ;)


 (´<_` ),,(最悪だ……! よりによってこの男……!)

 兄者から聞いた王位の面子の名前とそれぞれの人柄から、自分が最悪の窮地に立たされていることを察知する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      ( ´_ゝ`)「仮に奴と闘うことになったら、迷わず離脱することを考えた方がいいな……
            王位としての格の違いとかじゃなくて……あいつはイカれてる         」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 兄であるシャキンを前にして発狂した時のことは聞いていた。
 それに加えて、先日のジョルジュによる王位の公表。

 弟者が、目の前の男がショボンであると断ずるのは容易だった。

362ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 21:42:17 ID:htw1B6cw0

 緊迫した状況は、たちまち捕食される側の人間に閉塞感を与える。
 生徒会長素直クールを始め、自身が目にしたことのある歴戦の猛者と同等の覇気に気圧され、弟者は空気の薄さを感じていた。

(゚<_` ;)(刺し違えるつもりでようやく離脱出来るか……あるいはそれも希望的観測)

 心臓の鼓動すら気取られ、殺される。
 そんなイメージが脳内をめぐり続ける。
 兄者ならば、この状況をどうするか。兄者がいれば、自分はどうするか。

 そこまで考えたところで弟者は視界の端にトラックから雪崩れ落ちた怪我人を捉える。

    「うぅ……」
                     「いてぇ……いてぇよ……」

  「ぁ……家に……家に……」

∑(´<_` ;)(馬鹿か俺は……)

 俺は兄者と約束した。怪我人を運んで戻ってくると――
 今までどのようなことがあっても裏切ったことの無かった兄を、なぜ今になって裏切ることが出来ようか。

 それは、兄弟の間で長い年月をかけて結ばれた、言葉のいらない契り。

363ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 21:59:42 ID:htw1B6cw0
                 .. /⌒i
               _,,..、 .|  / ,..-、
               l   l | /´ l,、_ノ ,
                 |  i' '´_,,、
                 .|  し''´ 」
                 |  ,,.-''´  .
                | .|      ,、 r‐'l .r、、
                  .l、_ノ     i ゙l.| ゙l / l゙
                           │ ゙l | |/ l゙
                         ゙l,,ノ '"│ /
                       ´  .l゙ l゙
                            \,l゙
                                                             `、\N\
 ────────────────────────────────────────→    >
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7 /7/
                                                            //


,・───────=二(´゚ω゚`)
                      ────=二(´<_` ;),,’・


(´<_` ;)「ちっ……!」

(´゚ω゚`)「オラオラ余所見してんじゃねェぞおおおおおおおおおおお!!」

 一閃。

 弟者とて視界からショボンを外すほど油断したわけではない。
 自分の意識の及ぶ範囲で、最大限の警戒を敷いていた。
 ほんの一瞬だ。瞬きをする時間よりも短い一瞬の意識の乱れを、ショボンは見逃さなかった。

364ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 22:17:23 ID:htw1B6cw0

 追撃につぐ追撃。
 羅刹棍による打撃は弟者のガードの上から骨を軋ませる。
 仮にがら空きのところを打ち抜けば、文字通り人体を砕くだろう。

(゚<_` ;)「ぅぐ……!」

 時間にして、一分にも満たない連撃。
 既に弟者のガードは緩み、両腕の骨にはヒビが入っていた。

,・(´゚,ω゚`)「あああああああ足りねぇ足りねぇ!! 全然足りねェええええええええ!!」

 
      ────=二(´゚ω゚`)(´<_` )    

        「なんだその無様な姿は!!」

        「退屈過ぎて欠伸が出るんだよ!」        \ ,,_人、ノヽ      
                                      )ヽ    (
        「ちっとは反撃してみろ!!」         - <       >
                                     )      て
        「ほらほらほらほらァ!!」            /^⌒`Y´^\

(´゚ω゚`),・、’「ああああああほらやってみろやなァ!? やってみろ! やってみろ! ヤッてみろ!!」

365ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 22:57:20 ID:htw1B6cw0

,・、’(´<_` ;)(兄者から聞いてはいたが……まさかこれほどとは……)

 反撃を一切恐れていない猛攻。
 弟者はこれよりも洗練され、かつ威力の高い連撃を放つ猛者を見たことがある。
 帝国随一の剣技を持つ、VIP最強の剣客素直クールだ。

 武術としての質の高低を測るならば、ショボンではなくクーに軍配が上がる。
 だがこの猛攻はそういった武術としての観点で推し量れるものではなく、ただただ恐ろしい。
 箍が外れたような連撃は人間というより、飢餓状態の猛獣を思わせる。
 一つ一つの動作の間にある僅かな隙すら、捨て身覚悟の覇気に気圧されて埋められてしまう。

(´゚ω゚`)

 ショボンは吸血鬼になって、自身を守る為の技を捨てた。
 事実上不死となった自分に、傷を負わないための配慮など不要だからだ。

 自己嫌悪を乗り越えてからは早かった。
 彼の武術に対する直向きさは、自分の身体に最も即した戦闘スタイルを確立させる為の一助を担った。

(´<_` #)(重傷覚悟で退くしかない……距離を取って厄介な棍を奪取出来れば……)

366ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 23:21:13 ID:htw1B6cw0






     弟者が意を決したその時だった。




     その一閃の煌めきは、限りなく零に近かった。






.

367ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 23:26:43 ID:htw1B6cw0
                        _,.. ー   ─=二.,,_        ! l
                   ,, -;;il!!'"    _,,,.. -ー''"   ̄ ̄`゙゙''ー\l l,   .|      .,i7
                 ,,.;;シ'" ._,, -'''''"゛                      l,   ll      ,l゛!
               ,..!广   .'二ア"  ._,, ‐''''^ ̄ ̄ ヽ            ヽ  i゙.!     ,/
                ,/゛ _,,..ニ'"゛  .,..-'"゛             l          ヽ ! .|  ., .ll' .l゙
           '" ー'“゙ /   ,, ‐″             l               : ! .l|  ,! i′
             ,..-'´  . /                    |               l l.!  l l
          ,∠´   . /                      l゙               | .!l  iリ
            "゛ / . /                     !               !,!l  /
    ,〃   ..i/ ./                         |              l゙   /l
  .,, /    ./ /                           l                 |  . l/
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イ l|   .ノ/                          !                 i゙ ,i゙iリ    il"./l゙
,i!/   .,/./                            l               !/ .ll゙    /.!/ l
,i′ .,i./                               /               ″ /   ./   /
  ,//                               /                 /   /   !
. ,r./                              /                 /   /   l
ツ゛                                /                  l ,i /   !
′                                /                  l..i′|.   ,,/
                                /                  !〃 .l!  ,i"
                             /                  /iリ  ,! /
                               /                     iリ l  .! .i′
                              ,/                  i}"/  .! l
                          /                     │  l/
                         /                      l   .ll゙
                           /                      l   i゙
                          /                          ll
                         /                        リ
                      /                         ll

368ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/01(火) 23:49:47 ID:htw1B6cw0


.         二二二二二二二二二二┌ ┬‐v─ v 、//////////> '"二二二二二 \'/////////
.         _________∠| / /   / .〉-、///> '"────────_>ァァ77777
.         / }─〉////////////////,L.{__∧_/ーヘ }} "二二二二{`'ー'"~ ̄ ̄`77//∨∧/////
.      {_/ /く>く>く>く>く>く>く>く>く>く>く><>// //〜〜〜〜〜 }77/     {{// ∧∨/////
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`'ー‐< ̄ ̄{二´ /────‐ ////   ....::::: `∨//∧∨////
           ────────── ̄ ̄\フ´─────‐ `¨¨7  / ///\.'/∧∨///
         二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二゙'ー'゙ー'^'ー'ー'゙ニ==-\__`\_
.       ────────────────────────────/'//////////,


  ( -д- ),,’・
────┼○ チンッ

 ショボンの連撃と対を為す洗練された一撃。
 ,              
,,・’( <_  ),, カフッ

 ショボンと弟者の二人の間に流れる闘気の隙間を縫うように、そしてその閃きは刹那を駆け抜け、弟者の背中を斬りつけた。

( -д-)
( <_  ) 

( ゚д゚ )「悪いな。この身体は武士道を真っ当することすら許さぬようだ」

369ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 00:17:25 ID:cjjGXVZk0


 ,・;'’( <_  ),,・;’(くっそ……)

 この学園に入学した時点でいつかこんな日が来るということは覚悟していた。
 つもりだった――

 闘って死ぬということを知っていた。
 それが俺の身に降りかかる日が明日であろうと、ずっと先の話であろうと……
 そんな日が誰しもに平等に訪れるという知識だけがあって、俺は本当の意味で、死というものを実感していなかったのかもしれない。

 血が熱い。

 それが外気に触れた途端、鉄のように冷え切ってゆくのが、手に取るように解った。

 ( <_  )

 なぁ、兄者――

━━━━━━━━━
━━━━

370ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 00:21:40 ID:cjjGXVZk0
意識が元に戻る
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
三三三二ニ=-―   ¨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄¨   ―-=ニ二三三三
 ̄ ̄                    すまん、約束……                         ̄ ̄
__                                                       __
三三三二ニ=―-   ______               _______   -―=ニ二三三三
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ

371ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 00:22:54 ID:cjjGXVZk0
あああああああああああやっちまったああああああああああ以下訂正

372ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 00:23:19 ID:cjjGXVZk0
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
三三三二ニ=-―   ¨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄¨   ―-=ニ二三三三
 ̄ ̄                    すまん、約束……                         ̄ ̄
__                                                       __
三三三二ニ=―-   ______               _______   -―=ニ二三三三
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ

373ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 00:24:01 ID:cjjGXVZk0
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
三三三二ニ=-―   ¨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄¨   ―-=ニ二三三三
 ̄ ̄                    守れなかった――                        ̄ ̄
__                                                       __
三三三二ニ=―-   ______               _______   -―=ニ二三三三
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ
ニ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ニ

374ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 00:25:48 ID:cjjGXVZk0
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三

375ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 00:26:46 ID:cjjGXVZk0
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭

376ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 00:29:08 ID:cjjGXVZk0
二十六話おわり
紅白結果発表まで先は長い
俺は多分死ぬ
おやすみ

377名無しさん:2017/08/02(水) 01:24:22 ID:zeo4eXJY0
ミスワロタ

378名無しさん:2017/08/02(水) 02:42:46 ID:bQC.0btQ0
おつかれw
自分の意思すら優先できねえ体になんてなりたくねえものよな

379名無しさん:2017/08/02(水) 08:56:31 ID:GVU0IcLg0
ショボン様……

380名無しさん:2017/08/02(水) 18:30:25 ID:R6iD/V8Q0
>>354でも二十六話終わったけどどっちが正しいのか

381ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 18:35:25 ID:tJL4tDXw0
あああああああああやらかしたあああああああああここまでが26話でよろしくおねがいしますうううううつううううううううう
殺してくれ

382ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 21:59:12 ID:cjjGXVZk0
十二時には寝られるよう頑張ります
毎日投下してると追ってる側からしたら大変かもだけど今日もよろしく
ほいたら投下

383ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 22:01:40 ID:cjjGXVZk0



第二十七話「降臨する何か。その時ぼくらは同じ敵を見た」



.

384名無しさん:2017/08/02(水) 22:04:03 ID:eCrQEGBM0
いや残念ながら楽しみにしてるだけだ

385ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 22:15:59 ID:cjjGXVZk0

 雨は更に勢いを増す。
 雨ざらしの瓦礫は上空からの衝撃の余波を受ける度に一つ、また一つと水流に飲まれてゆく。
 汚泥を含む流れはせり上がる壁にぶち当たる。
 やがて誰もがその壁を心許なく思うようになった。

 第三ブロックから浸水した流れは各ブロックの営みすらも削り取る。
 特に隣接する第四ブロックは酷かった。
 濁流の中に、ペストの看板があったことは、この時誰も知らない。

 元々、半ば隔離されるような形で存在していた第八ブロックに大勢の生徒が押し寄せていた。
 中にはこの騒ぎに呑まれるように、雪崩れる人の群れに押され、踏みつけられ、命を落とした者すらいるだろう。

 たった一夜にして、フォックスが、生徒たちが作り上げてきた営みは壊された。

386ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 22:28:14 ID:cjjGXVZk0


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    /  l,.く 'i . / ./   / ...-'゙゛     i! l'i .l     `\、゙'-、 .\ ヽ  ,  ,i'./ .ヽ
   ./  / ヽヽ.` / / yi" ./ / .,巛┘._.. /.i;;;;.l...l ,,、...テ''i  .\ \  .\ ヽ .ノ"/./ .l  .l
  .i′./  ヾV゛./ _lミ'゙,/ .,i". ヽ.゙,.,シ彡'"゙/ /  l .l゙゙'''ミ-.".- .,, \ ヽしミ,ヽ ヽ.,/,i′ !、 l
  !  /    7 l゙ .゛./ /  `´'!シソ゛ 〈) ./ l ".゙ ゙L.l ,i .`' !./ ″  ヽ ゙.l  . l. l/    .l  .!
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  .!  .!  lュ l .l .!;;' ゙l, lヽヽ . ヽ> l .〉 〟 ,ゝ _ .く、 ty .l ゙t/゙.l/゙ノ,i'ゞ / iニ'7 l     ! │
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  ..l  .l,   .,..l  l゙'゙,゙. ヽ. ヽ)_ヽ / i∨゙__r'_,_,,゙,,,,.. ;;>.,゙'' ! l,i'〃 / . " / / . -、 i ./  /
   . l. ..l. ..、゙".、ヽ .\.'゙゙,, \ ゙ヽ li′...‐゙、 .゙,゙,゙'''''''^'二..、  \ ,ノ"../、/゙ / /  ‘'" ´./  /
    ヽ .ヽゝ-'冫.\ `、゙‐'  ゙'-、`'<、 ゞ " ゙Ψ  '! = .,, / ゛,/ ゙レ./ / . ,_   ./  /
     ヽ .ヽ ゛,,-. .\ `-、   .`'ッ ,,_`"―-----―'''"゙_,,,イ″  ._/ ./. ' ,ヽ 、./  ./
      ヽ. \゙'.iッ'"  .\. `-、、 ヽヽ´゙'''''――ーー'''"´,i'./  , / .,/....-/' ,,´ .r'" /
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                     `゙''ー ..,,___, ヽ/゛__,,,,,, -ー'"゛
                             ̄ ̄゛

387ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 22:40:35 ID:cjjGXVZk0

,・、’从 ゚∀从,・、’

 ハイン、いや、始祖キリバリ-・アルカードは退屈そうに腕を組み、眉根を寄せて地上を見下ろしていた。
 彼女の視線の先には、燻るように揺らぐ炎の残滓と、無数の骨達。
 そして始祖の背後に顕現した魔法陣は空を覆わんばかりに拡がり、その光で地上を照らしている。

从 ゚∀从『セント・ジョーンズ! この私が手ずから出向いてやったのだ。かような茶番で退屈させるな!』

 怒号のようで、その中に清廉すら思わせる声が響く。
 王が下々の者達に説くように、今の彼女が空より放つ闘気は聞く者全てを圧倒していた。

 彼女の視線は足元の炎から第八ブロックに向く。
 蟻のように群がり、どよめく彼らが、彼女には塵芥のように見えた。

388ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 22:59:56 ID:cjjGXVZk0

从 ゚∀从『……汚い』

从 ゚∀从,・、’『汚い! 汚い! 汚い!』

从 ゚∀从『なんだこれは!? 何なのだ!? 仮にも真祖として力を継いだこの娘が愛した世界はこんな薄汚い箱庭か!』

     ,
从 ゚∀从,,・’

从 ∀从

::从 ∀从:: フッククッ...

从 ゚∀从,・、『ハハハハハハハハハッ!!』ドッ

从 ゚∀从『なぁ小娘よ! この私に何を為せと言うのだ! 貴様は言ったな、■■■■■■■■と!』

从 ゚∀从『この薄汚い世界の何処に、私が救うに値する者がいる! 私の目には塵芥しか映ってないぞ!』

389ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 23:06:09 ID:cjjGXVZk0
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390ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 23:16:08 ID:cjjGXVZk0

 始祖は不意に嗤うのをやめ、目を細めて地上の有象無象を眺める。
 そしてほくそ笑んだ。

 あの虫けら共に、我が軍勢をけしかけたらさぞ愉快なことになるのではないか――

 それは羽虫をその手に捕らえた幼子のそれとよく似た、下卑た好奇心。
 未だ彼女の背後の陣から無尽蔵に湧き続ける骨の軍勢は同じ姿勢で滞空し、主の指示を待ち続けている。

从 ゚∀从『間引きも、王たる者の導き。ならば娘も本望だろうさ……再び目を覚ましたあやつの顔を夢想し、眠りにつくのも一興か』

 足元で燻っていた炎が燃え上がるのを視認し、片手間で蝿を払うように煩わしげな視線を落とす。
 顎をしゃくり、無言で軍勢に命ずる。潰せ、と――

 たちまち骨の軍勢は炎の中心に向かって身を投じ、火龍の存在自体を揉み消してゆく。

391ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 23:45:23 ID:cjjGXVZk0

从 ゚∀从『セント・ジョーンズよ。思えば貴様も青臭い理想を謳っていたな』

从 ゚∀从『貴様の口車に乗せられて愚かな衆愚に知恵と戦の火を授けたが、これを見て確信したよ』

从 ∀从『……やはり、人はどこまでいっても愚かであると』

 一瞬、ほんの一瞬だ。
 彼女は目を伏せ、こみ上げるものを噛み殺した。
 始祖という、人間から最も遠い場所にいる高位存在が僅かに見せた感情の機微を見る者はいない。

从 ゚∀从,・、『ストリガよ! 我が命を拝聴するがよい!』

从 ゚∀从『かつて我等を闇に封じた愚かな人間共は堕落した!』

从 ゚∀从『私が許す! 頃来の真祖ハインリッヒ・アルカードの所願を果たす為、命じよう!』

从 ゚∀从『我等の破壊を以て人類の救済とする! 嘆きの魔女達よ!』

392ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 23:46:55 ID:cjjGXVZk0







     『救え! 救い尽くすがいい!』







.

393ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 23:55:57 ID:cjjGXVZk0

 始祖の号令を受けて、骨の軍勢は一斉に咆哮を上げた。
 金切り声のようなそれは重なり合い、学園上空に響き渡る。
 小刻みに震えながら、それらは互いに鼓舞しあっているのだろうか。

 復讐のシュプレヒコール。

 鳴り止まない不協和音。

 骨達は一斉に身を屈め、第八ブロックに集まる人の群れを、ひび割れた眼窩で捉えた。

 その時――

 始祖の眼前の大気が、否、空間そのものが……

394ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/02(水) 23:58:46 ID:cjjGXVZk0
      .ヽ  ...l .l       ,!   \   l三L  .r|    iゞ   .!  ./  ./ i′       ,./     ., -'''″
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  `''-..、   .!'、、  .\    /         ヽ.,!三三三} ,i、/     l‐l゙  ,ノン゛      ,,/,..-‐' /
、    `''、, .l  \   ヽ  │           l゙三三三| / . l′   ./ .! シ´       ./    /
. ゙''-、    .\.l   .`'-、.ヽ. !        /.三三三|/  .l    ,l lン゛      . /    /
   `''-、.   ..゙!、     ゙ゝゝ         /三三三三 !、  l   ./ | ."     . /     ./        ... -ー''',゙
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        l     `-、   ヽ三三三三三三三三三三 テ三三| .,..‐゙/  . _..-'"三r'" ̄ ̄ ̄ ̄"
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._..-'"     ,/;i./ .ー ̄^゙'、.,..-''゙三-''7;i,゙_‐´ .,./ 三三三三三 ! ヽ三三三三三゙ゝ、__二ュ三三ヽ、
     ._.. -゙‐─^゙~゙''ー ../゙'''ク´   /三三゙'゙三三三三三三l′ |三三三三三三,____三三三、三三`'、
__‐''"            /     l三三三三三三 /.l三三ヽ .!三三三三 |     ̄ !.、 `'''ーxy..ミll― .__
               /     l丶;.,./ 三-、三/  .l三三三三、三三三|      .| .!     `'-,,ヽ、
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_,,.. -‐''''^゙ ̄ー―┐       ,/'"  /      l,    .ー!'、.;;ノ    `''''、;;.!     │.ヽ            `'-、、
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     ,/゛ .`./     /     ./       / .!     .!   ヽ       .ヽ      ヽ  .|'-

395ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/03(木) 00:12:06 ID:OBnTskHU0

从 ゚∀从,・、’

 キリバリ-・アルカードはかつて自分が生きた世でも見なかった規格外の闘気に身震いした。
 それは彼女にとって初めてのことだった。

/ 3, ,’・,・、’

 彼女は咄嗟に自身の黒い腕を構え、防衛の姿勢を取った。
 不死者の王たる彼女の中で、いや、不死者の王たる彼女を構成する全てが、警鐘を鳴らしていた。
 これも、初めてのことだった。

 細胞のエマージェンシーコール。
 それを掻き消すのは、絶対的王者としての自負、驕り。

从 ゚∀从『ほう……』

 常人であれば、直接当てられるだけで意識を刈り取るほどの闘気に触れ、始祖は悍ましい笑みを浮かべた。

从 ゚∀从『素晴らしい。この澱んだ世に、かような瑞々しい覇気を持つ者が存在したとはな』

/ 3

从 ゚∀从『名乗ることを許すぞ。人間』

/ 3「やれやれじゃのう……くたばり損ないの吸血鬼とやらは、随分とせっかちなようじゃ。殺気がびんびんイチモツを撫でおる」

/ 3「ま、儂も冗長な前口上は好かん。では、簡潔に名乗らせてもらおう」

396ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/03(木) 00:17:01 ID:OBnTskHU0
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;;;;;;; !  .,!;/゛  ,、 i、「しかと聞け、異形の者よ」 ,!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;│  !;;;;/.,/;;;;;;;;;;;;\_   `''-、;;;;;;;;
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397ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/03(木) 00:18:13 ID:OBnTskHU0








        ,・、/ ,゚ 3「儂が神である」








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398ゆゆ ◆AdHxxvnvM.:2017/08/03(木) 00:18:54 ID:OBnTskHU0
寝ます
少なくてごめんね
また明日

399名無しさん:2017/08/03(木) 01:40:36 ID:Mwr/g9SI0
乙乙
ブーン=戦神だったっけ?

400名無しさん:2017/08/03(木) 01:44:30 ID:/8svAyb20
悪い方向に転がりまくってる
ブーン達帰ってくる頃に学園あるの・・・・・・?

401名無しさん:2017/08/03(木) 02:50:38 ID:e.fRkFrk0
あの冒頭にちゃんと戻れるのか
ハラハラする


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