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( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです
1
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/09/23(金) 23:19:53 ID:tPVEEtDg0
前スレ
( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1438259918/
支援曲 Answer(すーぱーもぐりん氏より)
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/link.cgi?url=https%3A%2F%2Fyoutu.be%2F-c3XqxQ_j2A
ゆっくりまったりと。2スレ目でもよろしく。
262
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 05:10:23 ID:rTH936sg0
かっこいい、でも不穏……
263
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 05:11:49 ID:MJ.Sf8WE0
(=゚д゚)「この女、気ぃ失いやがった……」
( ´_ゝ`)「悪い、少し離れたところで寝かしといてやってくれ。弟者が戻って来たら第五ブロックに一緒に運んでもらうよ」
(=゚д゚)「あ、ああ……」
男は少女を運ぼうと数歩歩いたところで足を止めて、振り返った。
(=゚д゚)「なぁ、本当に行くのか? いくらあんたと言えど、確実に命は無いぜ。それにネーノとかいうのも……」
( ´_ゝ`)「行かないよ。行くわけがない」
(=゚д゚)「えっ」
( ´_ゝ`)「俺がここを離れたら誰が避難を扇動するんだ。それこそ助かる筈の命も助からなくなっちまう」
(=゚д゚)「…………」
( ´_ゝ`)「さっさと行ってくれ。俺は向こうの寮を見てくる」
264
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 05:20:16 ID:MJ.Sf8WE0
足早にその場を離れた兄者は、行き交う人の群れの中、誰にも自身の顔を見られぬよう顔を伏せた。
( _ゝ )「……くそ、くそ!」
誰にも気づかれぬよう小さく吐き捨てる言葉。悪態。
固く結んだ口の端から、握りしめた拳の中から、血が垂れる。
なぁ王位の連中、と、兄者は胸の中で、誰にも届かない声で呼びかける。
俺はお前らにただ一言、一言言いたいことがある。
そこまで過ぎった頭の中の言葉を一旦堰き止めて、兄者は大きく息を吸った。
(# ´_ゝ`)「こっちだ! 自力で動けるやつは第八ブロックまで急げ!」
――クソッタレ!
.
265
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 05:21:37 ID:MJ.Sf8WE0
寝る
褒めといてくれ
おやすみ
266
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 05:27:34 ID:rTH936sg0
あーーーすごいよかった
怪獣の足元的な風景クッソツボ 乙
267
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 07:35:20 ID:h4wB6FC60
兄者はほんと常識人のいい奴だな
登場キャラ全員の中で一番まともだわ
268
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 08:58:30 ID:/7S91NOY0
>>267
ほんとにな性人だぜ
269
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 13:45:33 ID:EcDpYfrA0
性人ワロタけど同意
270
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 13:47:41 ID:MJ.Sf8WE0
投下
271
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 14:20:14 ID:MJ.Sf8WE0
第三ブロックは外壁に囲まれ、水が逃げる場所を失い、うねり続けている。
降り注ぐ火の粉と骨の欠片も損害を助長する。
次々倒壊してゆく建物の中で、未だ崩壊の兆しのない一つの塔。
ワカッテマスはその水に流される瓦礫を次々乗り継いで、真っ直ぐそこを目指していた。
( <●><●>)(倒壊が酷い……ジョルジュはどう出る?)
未だ火龍を使役するのみで、大きなアクションを起こさないジョルジュが、ワカッテマスにとっては不気味だった。
彼はデレが自分を含めた複数の王位と対立した際に、自身の龍王気を軽々と食い破った火龍の覇気を思い出して身震いする。
( <●><●>)(あの時は俺とて本気じゃなかった。とはいえ……俺も腹を決めなきゃいけないだろうな)
一際大きな瓦礫が降る。
それを軽く払いのけるような所作で粉々に吹き飛ばし、ワカッテマスは更に加速した。
272
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 14:36:41 ID:MJ.Sf8WE0
見えてきたフォックスが住まう塔に向かって、大腿部に力を込め、一気に跳躍する。
最上階付近に定めた狙いの通り、自身の身体が風を切りながら跳ぶのを感じ、ワカッテマスは全神経を研ぎ澄ませる。
ワカッテマスが地上と最上階の間の、ちょうど中間に差し掛かった時、窓が割れた。
_
( ゚∀゚)「よく来たな。もてなすぜ」
半裸のまま顔を出したジョルジュ。
そのまま窓の縁に足をかけ、ワカッテマスに向かって飛び降りた。
( <●><●>)
_
( ゚∀゚)
右腕に纏う炎。可視化された龍王気。
二つの力が衝突し、衝撃波が走るのと、上空で黒の波動が広がるのは同時だった。
273
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 15:01:40 ID:MJ.Sf8WE0
( <●><●>)(重い――)
一瞬だけ受けて、即座に流したはずなのに、それでも痺れを訴える左腕を庇いながら、ワカッテマスは塔の外壁に片手で掴む。
_
( ゚∀゚)「いいねぇ〜痺れるぜ」
自身のジャブを受け流しつつ、空中という体勢の自由が利かない状況下で、すぐさま反撃してきたワカッテマスの胆力に、ジョルジュは高揚する。
打ち込まれた脇腹への蹴撃。
内蔵まで響くその痛みに浸りながら、ジョルジュは倒壊寸前の屋根からワカッテマスを見上げた。
_
( ゚∀゚)「最初にやり合うのがお前とは思わなかったぜ堅物。そんなに俺が憎かったか?」
( <●><●>)「個人的な恨みは微塵もありませんよ。ただ、私には貴方の幼稚な統治に従う理由もない」
_
( ゚∀゚)「理由が無いから歯向かう、か」
( <●><●>)「そう解釈してもらって構いません。貴女に何を説いても無駄なのは分かってます」
_
( ゚∀゚)「はっはっは! いいねぇ、それでこそだよ。お前はここの生徒の鑑だ!」
先日自身を訪ねてきたモララーと、今目の前にいる敵を較べ、ジョルジュは満足げに顔をくしゃくしゃにして笑った。
274
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 15:47:04 ID:MJ.Sf8WE0
降り注ぐ雨が両者の身体をしとどに濡らす。
闘気の奔流は第三ブロックを流れる水の流れにも似て、微動だにせず対峙する二人の間で荒れ狂う。
_
( ゚∀゚)「お前が今から闘うのは人類最古の奇跡だ。心してかかれよ色男」
闘気の流れの中、際立って膨れ上がったジョルジュの闘気が周囲を燃え上がらせる。
紅蓮の腕を翳し、ワカッテマスに向ける。そして、固く拳を握る。
先の上空での戦闘の際、火龍が出現させた光の魔法陣と同じものがジョルジュの背を中心に展開される。
( <●><●>)「いいでしょう。奇跡とは須く人の業に踏み躙られ、その威光を失うのが道理だと知りなさい」
大気そのものが不可視の力によって固定されたかのような閉塞感。
達人が放つ武の顕現とも言える覇気の最上位、龍王気。
降り注ぐ雨粒の速度を遥か遠くに置き去りにして、ワカッテマスは地上を破壊する激流に身を投じた。
275
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 17:49:29 ID:EcDpYfrA0
乙?
初撃はワカッテマスも全く負けてないな
276
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 17:57:06 ID:MJ.Sf8WE0
魔法陣から炎の矢が放たれる。
それら一つ一つが弾丸のような威力を孕んでいたが、両者の間でそれは飛び道具にすらならなかった。
水の流れに足をつけたワカッテマスはそのまま水上を駆る。
迎え撃たんとする炎の矢を紙一重で躱し、あっという間にジョルジュの眼前に躍り出る。
( <●><●>)
_
( ゚∀゚)
空気の壁すら打ち抜く、そして音すら置き去りにする正拳突き。
ジョルジュはそれを、ワカッテマスの肩の動きから察知し、躱す。
伸び切ったワカッテマスの腕を掴まんと手を伸ばすが、既にワカッテマスはジョルジュの懐から離脱していた。
熱を帯びたジョルジュの掌の周囲の空気が揺らいでいる。
もしもあのまま腕を掴まれていたら、バターでも切るように焼き切られていただろう、とワカッテマスは内心冷や汗をかいていた、
_
( ゚∀゚)「いーいはんだ――」
良い判断だ。と言いかけたジョルジュを遮るのは衝撃。
側頭部に走る痛みに耐えかね、ジョルジュは激流の中に沈んだ。
277
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 17:58:41 ID:MJ.Sf8WE0
休憩
めしふろ終わり次第投下再開
九時くらいには始めたい
よろしく
278
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 18:11:31 ID:EcDpYfrA0
早まった 乙
279
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 21:12:34 ID:MJ.Sf8WE0
再開
280
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 21:29:46 ID:zFuKYGMI0
ウイまじか支援
281
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 21:42:36 ID:MJ.Sf8WE0
水飛沫が飛んだ直後に、その地点の水が一瞬にして蒸発する。
_
( ゚∀゚)「はっはっはっはっはァ!! い〜ぞォ! 楽しいぞ!」
一瞬でワカッテマスの懐に潜り込み、大振りな蹴撃。
正拳、裏拳。前蹴り。手刀、薙ぎ払い。
( <●><●>)「――!」
ワカッテマスはジョルジュの肉薄に対し、その全てを紙一重で躱しきっている。
足場になる大きな瓦礫が、二人の重みで沈む度に乗り継ぎ、時には辛うじて原型を保つ建造物の外壁を滑り落ちながら。
隙きがあれば大きく後ろに跳んで距離を空けようとするワカッテマスだが、ジョルジュはぴったり張り付くように追撃を打ち続ける。
熱を孕んだ打撃を受けても、直ちに致命傷に繋がるわけではない。
だがその一瞬のミスを皮切りに、圧倒的劣勢を強いられることは想像に難くなかった。
282
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 21:58:07 ID:MJ.Sf8WE0
ジョルジュの打撃の殆どが大振りで躱すこと自体は難しくない。
それに加えてカウンターを浴びせることも、ワカッテマスならば可能だろう。
だがそれだけの技量があるがゆえに、ワカッテマスは反撃しない。
_
( ゚∀゚)「どうした!? 逃げてるだけじゃあ俺は倒せねぇぞ!」
王位という称号を得た最上位の武人同士が拳をぶつけ合う中で、それは不自然な隙だった。
たとえばわざと匂わせた隙にまんまと飛び込んできた自分に、最大級のカウンターを見舞うつもりだったら?
その可能性を拭えないワカッテマスは、 その仮定の中で、ジョルジュの想定の範疇を遥かに凌駕する一撃をぶつける機会を、虎視眈々と窺う。
_
( ゚∀゚)「俺を退屈させるなァ!!」
後ろに跳んだワカッテマスに向かって振るったジョルジュの腕は炎を纏い、その炎は霧状に燃え広がる。
283
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 22:37:11 ID:MJ.Sf8WE0
両手を前方に翳し、炎に備えるワカッテマス。
闘気は集中し、炎と掌がぶつかり、ワカッテマスの身体を避けるように炎は散る。
_
( ゚∀゚)「悪手だぜ堅物」
散った炎の向こう側から距離を詰めてきたジョルジュに対して、ワカッテマスの反応が遅れた。
それは一秒にも満たない僅かな隙だったが、それだけあれば、二人にとっては充分だった。
ジョルジュの手がワカッテマスの首に伸びる。
それを避けるには一秒にも満たない、途方もなく長い時間が必要だった。
そして今、ワカッテマスにその時間は、無かった。
(;<●><●>)「――――!」
声にならない絶叫。
ワカッテマスの首がみるみるうちに爛れてゆく。
痛みのあまり上げる声は一瞬で喉を涸らす。ジョルジュの掌に力が籠もる。
絶対に逃さない。このまま首を焼き切ってやると、皮膚を焼く熱がそう言って舌舐めずりする。
284
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 22:55:34 ID:MJ.Sf8WE0
ジョルジュの顔が下卑た笑みで歪む。
格下を相手にする時、彼はよほどのことが無い限り積極的に命まで取ろうとはしない。
だが今はその限りではなかった。
闘いの中で研ぎ澄まされてゆく感覚。
そしてそれに伴う多幸感にも似た高揚に、自身の意識がずぶずぶと沈んでゆく感覚が堪らない。
ぎりぎりのところに身を置くからこそ、その対価として得られる快感。
ワカッテマスを捕らえた今もそれは迸り続けている。
ならばこそ、このまま縊り殺さなければ自分すら脅かされるのだ。
それがジョルジュの手に力を込めさせる衝動の根源にある感情。
ジョルジュ自身、それを自覚していなかった。
裏を返せば警鐘とも取れる感情を、自覚していなかったがゆえに、ジョルジュは叫び散らすワカッテマスの右手が銃の象り、その指先が自分に向いていることに気づけなかった。
285
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 23:14:04 ID:MJ.Sf8WE0
龍王気を指先で練り上げ、気弾として撃ち出す。
ジョルジュに悟られぬよう形成した弾は銃弾未満の大きさではあるが、その狙いは的確だった。
がら空きになったジョルジュの胸に向かう。最小限のインパクトで、確実にその心臓を貫く為に。
(;<●><●>)(ニヤケ面のまま血をぶち撒けろ……!)
視界の端から、世界が濁る。
予想以上に負傷が深刻であることを悟り、ワカッテマスの心臓が暴れ狂う。
_
( ゚∀゚)
(;<●><●>)
気付くな――
気付くな――――
気付くな―――――――!
.
286
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 23:19:33 ID:MJ.Sf8WE0
そのまま死ね!
,
287
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 23:20:03 ID:MJ.Sf8WE0
` '
、 ノヾ '
)ヽ/ ヽ、ノ|ノ´
------- ―== ニ ニ二 二ニ ニ ==― --------
) (
, '´⌒`Y´⌒` 、
, , \
288
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 23:21:00 ID:Bdtd8xUM0
やったか?
289
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 23:24:07 ID:MJ.Sf8WE0
( ) _
( ∀ )
,
290
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 23:38:04 ID:MJ.Sf8WE0
_
(;゚∀゚)「こ……の……」
夥しい血がジョルジュの身体に彫り込まれたトライデントを濡らす。
ワカッテマスの首を握っていた掌の熱は消え失せ、ジョルジュは激痛に耐えるあまり、その手を離してしまう。
左の肩口からの出血を庇いながら、手放したワカッテマスから離れる。
(;<●><●>)(やり損ねた……直前で気取られたか、くそっ!)
首の火傷は深い。
呼吸の際の僅かな喉の動きでさえも、痛みで集中力が途切れる。
ジョルジュとて平常時と比較してままならないことは、ワカッテマスの目にも明らかだが、彼にとってこの奇襲が齎した結果は、決して十全ではなかった。
_
(;゚∀゚)「面白え……本当に面白えよ……お前」
脂汗を拭いながらも、ジョルジュの顔から笑みは消えていない。
ワカッテマスに負わせた傷と自身の傷を比較するが、戦況を正しく判断するだけの観察力も、痛みに阻害される。
それでも溢れる笑みが、彼を生粋の戦闘狂たらしめる。
互いに、まだ闘いは始まったばかりだと自覚すると同時に、その意識はより深く――
より深いところへ、潜ってゆく。
291
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/29(土) 23:40:34 ID:MJ.Sf8WE0
二十五話終わり
案の定ジョルジュの眉毛がずれた
全部俺もAA弄ってみようなんて助平心を出したのが悪い
もう二度とやらねえ誰もここには触れないでくれ
紅白の書き溜めします
また明日
292
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 23:47:07 ID:/7S91NOY0
>>289
これかww
293
:
名無しさん
:2017/07/29(土) 23:51:41 ID:8blIArcM0
乙
お疲れ様です
294
:
名無しさん
:2017/07/30(日) 00:03:35 ID:oXs1Ts2o0
上がるなこれ
295
:
名無しさん
:2017/07/30(日) 00:14:09 ID:JeBwOSo.0
おつ
これだけ濃密に書けるだけで凄いと思うの
296
:
名無しさん
:2017/07/30(日) 01:10:35 ID:Z37SQMbE0
乙!!!
一瞬の油断が死を招く状態で
しばきあえるのかっこよすぎ
297
:
名無しさん
:2017/07/30(日) 13:19:40 ID:958ahkd.0
傷を抉るようで申し訳ないが演出クソ熱かった
AAテストのツールとか使ってなんとかできそうならまたやってくれ
298
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 21:21:56 ID:qmYKrV7w0
眠くなるまで投下
今日もよろしく
299
:
名無しさん
:2017/07/30(日) 21:23:21 ID:e8EdphcI0
きた!!
300
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 21:24:40 ID:qmYKrV7w0
第二十六話「どこまで行っても掌の上で踊らせれるあんた方の為の詩」
,
301
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 21:25:21 ID:qmYKrV7w0
流石にタイトルで誤字は酷いので仕切り直し
302
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 21:26:12 ID:qmYKrV7w0
第二十六話「どこまで行っても掌の上で踊らされるあんた方の為の詩」
,
303
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 21:27:37 ID:qmYKrV7w0
( ・∀・】「大丈夫ですか? まぁそりゃそうですよね。よかったら迎えに行きましょうか」
( ・∀・】「いらない。はぁ、まあ僕としてはその方が楽なんでいいですけどね」
( ・∀・】「真祖の方は放置してもいいんですか? どう見てもアレはハインリッヒ・アルカードじゃないでしょう」
( ・∀・】「ふーん、まぁ貴方がそう言うならそうなんでしょうね。そういうわけで、僕はファイナルあたりにいるんで何かあったら連絡くださいな。それじゃ」
( ・∀・)「やれやれ、電話中は気を遣って離れてくれると嬉しいんだけどねぇ」
( ・∀・)、
ζ(゚ー゚*ζ
( ・∀・)「大変な騒ぎだねぇ。君は参加しないのかい? 使える駒はそれなりにいるだろう」
ζ(^ー^*ζ「まさか。お姉様がああなった以上、私に出来ることなんてありませんよ」
( ・∀・)「へえ、君は彼女のあの力について何か知ってるのかい? 少なくとも僕が知る限りでは、彼女があんな力を発現させたことは無いけど」
ζ(゚ー゚*ζ「そりゃそうでしょうねぇ。私だって見たことありませんもの。正直嫉妬しちゃいます」
( ・∀・)「嫉妬? 何にだい?」
ζ(゚ー゚*ζ「お姉様をあそこまで怒らせた人に、ですかね」
(; ∩∀・)、「ははは……ほんとに君は健気だね」
ζ(^ー^*ζ「あら、そう言ってくれます? 貴方が理解のある方で良かったです」
304
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 21:39:04 ID:qmYKrV7w0
ζ(゚ー゚*ζ「ま、見たことはありませんがあれがどういうものかは理解出来ます」
( ・∀・)「おかしな事を言うね。女の勘ってやつかい?」
ζ(^ー^*ζ「ふふふ、前から思ってましたけど、貴方の冗談って少し空回ってて面白いですね」
( ・∀・)、「こりゃ手厳しい」
ζ(゚ー゚*ζ「そんな冗談はさておき……女の勘、というより同族の確信と言った方がいいでしょうね」
( ・∀・)「同族の確信」
ζ(゚ー゚*ζ「はい。勘ではなく確信というのがミソですね」
305
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 21:59:19 ID:qmYKrV7w0
ζ(゚ー゚*ζ「この学園のみならず、世界中の同胞達が同じように確信を持っているはずです。それこそイノヴェルチじゃなくとも、言葉を持たぬグールでさえもね」
( ・∀・)「不思議だ。シンクロニシティみたいだね」
ζ(゚ー゚*ζ「似たようなものでしょうね。不思議なのも同感です」
ζ(゚ー゚*ζ「産まれて初めての感覚なのに、まるでこんな日が来るのが最初から分かっていたかのような感覚。悪い気分ではないですね。むしろ胸が躍ります」
( ・∀・)「……」
ζ(^ー^*ζ「アレは私たち吸血鬼の親ですよ。永劫にも近い人類史の中で、今まで継承されてきた力の本来の持ち主」
ζ(゚ー゚*ζ「吸血鬼の王キリバリ-・アルカード」
,
306
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 22:10:10 ID:qmYKrV7w0
( ・∀・)「聞いたことがある。確かニイタ国の伝承だ。キリバリ-の火」
ζ(゚ー゚*ζ「博識ですね。私だって吸血鬼になるまでは知らなかった伝承なのに」
( ・∀・)「仕事柄、色んな国に行くことが多くてね」
ζ(゚ー゚*ζ「あら素敵、今度ご一緒しても?」
( -∀-)「構わないがオススメはしないね。君が想像してるよりもずっと退屈さ」
ζ(゚、゚*ζ「あら……振られちゃいましたね」
307
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 22:25:14 ID:qmYKrV7w0
( ・∀・)「それにしても、伝承のキリバリ-の顕現とはこの学園も危ない場所になったもんだね」
ζ(゚、゚*ζ「もともとそんなに安全な場所でもなかったでしょう」
( ・∀・)「そうかい? 僕からしたら外よりずっと快適だったけどね」
ζ(゚ー゚*ζ「余裕ですねえ第一王位サマは」
(; -∀・)「いやいやほんとに。余裕とかじゃなくてね」
ζ(^ー^*ζ「ふふふ、からかってみただけですよ。その椅子からしか見えないこともあるんでしょう?」
( ・∀・)`「……へぇ」
ζ(゚、゚*ζ「あら?」
308
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 23:01:38 ID:qmYKrV7w0
( ・∀・)「申し訳ないけど、君にそういう言葉をかけられるとは思わなかったな」
ζ(゚ー゚*ζ「酷いですねぇ。私は自分じゃ太刀打ち出来ない人にはしっかり媚びるんですよ?」
( ・∀・)「そう、そうだったね。むしろそういう物言いの方がしっくりくる」
ζ(^ー^*ζ「お気に召したようでなによりです。ところでモララーさん」
( ・∀・)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方はアレと戦わないのですか?」
( -∀・)「……理由が無いな」
ζ(゚ー゚*ζ「……この世界で唯一、貴方という絶対的強者の退屈を満たせるかもしれない。それだけでは理由になりませんか?」
309
:
名無しさん
:2017/07/30(日) 23:32:19 ID:AVnSmM1A0
>>290
トライデントってトライバルの間違い?
310
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 23:33:40 ID:qmYKrV7w0
( ・∀・)「生憎、そういう動機だけで動ける立場じゃないんでね。それにしても意外だな。あれだけ彼女に固執していた君が、こんな風にけしかけるなんて」
ζ(゚ー゚*ζ「アレはお姉様であってお姉様ではありませんから。あの綺麗な身体が私以外に傷つけられるのは不本意ですが、そうも言ってられなさそうな状況ですしね」
( ・∀・)、「ふうん。、ま、どっちみち僕は興味も無いし、学園の外に出るよ。一緒にどうだい?」
ζ(゚ー゚*ζ「……嬉しいお誘いですけど、私にはまだやらなきゃいけないことがあるので」
( ・∀・)「あら、振られちゃったね」
ζ(^ー^*ζ「ふふっ、間が悪いのもなんとなく貴方らしいですよ」
( -∀・)「ほんとに手厳しいや。悪巧みかい?」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなところです」
311
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 23:40:36 ID:qmYKrV7w0
{ /
ヽ、
ヽ、
7
′
r ¬ ′
`ー / 「また会いましょう。モララーさん
、 ./| 次は一緒に"踊れる"といいですね」
、 /:.:|
. ':.:.:.',
、 へ. イ:.:.:.:.:. ',
ニ>く `¨´ '、:.:.:.:.:.:.',
二ニハ ヽ:.:.:.:.:.:',
二二ハ '.:.:.:.:.:.:',
二二八 ',:.:.:.:.: ,
二二二>、 }:.:.:.:ハ!
二二二ニ心、 ノ:.:.:/
二二二二ニハ /ィ:./
二二二二二.! }/
二二二二二ヘ
二二二二二ニ≧x、
312
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/30(日) 23:47:47 ID:qmYKrV7w0
~ ''' ‐- . ,__ .' _ . .-‐ ''' "
「ああ」 冫 ' _ - - - - - -
_ ,,.. -‐ '' " , '" i` - ._
, ' ,' ` 、 " - .._
, '" ; ` ` " - . _
, '" , " / ,' ', ヽ ` ` 、 `
, i ', ヽ「そうだね」 ` 、 ` 、 `
, ,' ,' : 、 `
, / ', ', 、 ` 、
, ,' ' ! ', 、 ヽ
, ,' , ; ', 、 、
, / , ,' ,' ; 、 、
313
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 00:15:45 ID:Iju0uVVw0
降り注ぐ雨の中、モララーはデレの気配が消えるまで、空を見上げたまま立ち尽くしていた。
濡れた長髪は首筋を伝って、毛先から水が滴っている。
前髪を?き上げる。柔和な表情は、整った造形も相俟って、見る者を吸い込んでしまいそうだった。
( ・∀・)「そこそこ居心地のいい場所だったんだけど、跡形もなく消えたりしなきゃいいなぁ」
その保証はどこにもないことを知っていて、自身が手を尽くせばいくらでも、どうとでもなるという自覚を持ちながら、モララーは動こうとしない。
きっと元は人並みに欲もあったはずなのに、とモララーは自嘲めいた溜息を漏らす。
その気になればあらゆる望みを実現出来る力を持っているがゆえに、その力が、モララーから情熱の一切を奪い去った。
( -∀-)(考えても詮無い)
自分一人で、どこまで歩く?
そう自身に投げかけて、正門に向かって歩き出そうとした瞬間、彼は近づいてくる足音を察知した。
314
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 00:53:32 ID:Iju0uVVw0
( ・∀・)「これはこれは……まだ避難してなかったのかい。ツンさん」
ξ゚⊿゚)ξ「……モラくん」
ペストの制服を着たままのツンが、力無い足取りでモララーの元へ歩み寄ってくる。
巻き髪は雨に濡れて、波打ちながら肩まで下りている。
道中で転んだのか、いつも新品同様に真っ白な制服も泥に塗れていて、それが彼女から漂う喪失感を助長している。
ξ゚⊿゚)ξ「私の方が年下じゃない。さん付けで呼ばなくていいっていつも言ってるのに」
軽口を飛ばしながらも、その笑みは弱々しい。
モララーは素直に、気の毒だなと思った。
315
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 01:07:05 ID:Iju0uVVw0
ξ゚⊿゚)ξ「どうしよう。なんか大変な騒ぎじゃない。皆水がここにも流れてくるって……」
( ・∀・)「……そうだね。大変なことだ」
ξ゚⊿゚)ξ「ペストも、店じまいか……」
( ・∀・)「……」
この騒ぎの原因は自分ではないのに、モララーは肩を落とすツンを見て、申し訳ない気持ちになった。
ペストはこの学園の生徒たちに愛された店。それは、モララーとて例外ではなかった。
( ・∀・)「……ねぇツンさん」
失意に陥った人間を鼓舞する言葉を、モララーは知らない。
恭しく口を開き、眉根を寄せながら慎重に言葉を選ぶ彼の姿を、王位の者が見たら、きっと自分の目を疑うだろう。
ξ ⊿ )ξ「…………」
316
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 01:31:16 ID:Iju0uVVw0
( ・∀・)「僕さ、友人にはよく『お前って高級なコース料理しか食べなさそうだよな』なんて言われるんだ。別にそんなことないのにね」
ξ ⊿ )ξ「……?」
( ・∀・)「ペストのチキンカレー、美味しかったなぁ」
モララーは遠い目をして、敢えてツンから視線を逸らすように、空を見上げた。
辿々しさが先行するあまり、語尾は力なく尻すぼみ。
最早彼自身、誰に話しかけているのかも見失ってしまいそうだった。
( ・∀・)「鶏肉がさ、皮がパリッとしてるんだ。たまにこの皮だけをお腹いっぱいになるまで食べたいって思うよ」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ・∀・)「ルゥがもったりしてるのもいいね。見た目じゃなく味で勝負ってやつ? 家庭の味って感じだね。あ、いや……家庭の味なんて言っても僕にはよく分からなかったや……」
317
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 01:52:10 ID:Iju0uVVw0
( ・∀・)、
ξ ⊿ )ξ
"(∩・∀・)「……何を言ってるんだろうね僕は」
ξつ⊿ )ξ「……ぅ」
(; ・∀・)「…………」
ξ ⊿ )ξ「……ありがと」
( ・∀・)
"(∩・∀・)「…………」
318
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 02:12:00 ID:Iju0uVVw0
その気になれば一国の興廃すらも左右することが出来る。
そんな自分が、たった一人の非力な少女の涙に狼狽えていることが、モララーには不思議でならなかった。
否、そうではない――
最初から、彼は自覚していた。
自分がどれだけの力を有していようと、これだけは、人の感情だけは、思いのままに出来ないのだと。
( ・∀・)
彼は、孤高などではなかった。
群れを成さず、自身の自由意志にのみ従って、飄々とした言葉を使って人間を煙に巻く。
なるほど、これが天下の第一王位のやり口か、とモララーは胸中を泥で満たす。
だがそれすらも洗い流すように、雨は、降っていた。
319
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 02:34:15 ID:Iju0uVVw0
( ・∀・)「なんとかなるさ。もし店が流されても、ツンさんがいれば美味しい料理は作れるよ」
(; ・∀・)「いや、違うな……大丈夫、店は流されない……」
とも言い切れないと分かっているから、その語尾に力は無い。
しどろもどろなモララーの対応は決してスマートでっはないかもしれない。
だが少なくとも彼は今、一人の人間に対して真摯に向き合っていた。
そして人を勇気づけるために取り繕う不格好な言葉が、花のように貴いことを知る。
( ・∀・)「うん」
ξ ⊿ )ξ「…………」
( ・∀・)「また、カレー食べたい」
ξ ⊿ )ξ
320
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 02:39:49 ID:QGOcNxY60
あああ……モララーめっちゃいい子だった……
321
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 02:57:45 ID:Iju0uVVw0
ヽ
'. .|!
} .|!
.′
/
/
人 _ . -:ァ‐- . .|!
`ヽ. ヽ::/: : : :_ : :> .|! .:
} ー ´ .|! .::::::
ノ .|! .::::::::
八 .|! ..::::::::::::::
∧ .|! .:::::::::::::::::::
.|! ..:::::::::::::::::::::::
} .|! .::::::::::::::::::::::::::::::
{ .|! .:::::::::::::::::::::::::::::::::::
.|! .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
| .|! ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
; {_j ...:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
| .....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
| ................:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
人............::::::::::::.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
> ::::::::::___:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
322
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 02:59:38 ID:Iju0uVVw0
「 行こうか 」
,
323
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 03:00:15 ID:Iju0uVVw0
nemasu
324
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 03:24:22 ID:z0ltGaRM0
乙
モララー( ・∀・)イイ!!奴
325
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 04:32:34 ID:QGOcNxY60
おつ
この2人の絡みは意外だったけどツボった
326
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 05:52:09 ID:S99G3ZQI0
今まで1位という振る舞いと能力による強さが目立ってたから
不器用なモララーにちょっと驚いた
327
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 06:29:15 ID:rGsRDKA60
まずい、応援したい奴が増えていく
乙
328
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 07:18:45 ID:cm7luTho0
イケメンかよ
329
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 07:24:21 ID:RtEKelTo0
モララーの印象がガラッと変わるなぁ
ほんと全員キャラが立ってて面白いわ
330
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 17:35:50 ID:Iju0uVVw0
色々AA弄ってみたいので辞書登録のストック溜めてきます
なので今日は休みにするかも
夜気力があったらまたながらで
明日明後日は私用につき少し厳しい
どの日も来れたら来る
期待しててください
よろしく
331
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 18:13:00 ID:rGsRDKA60
ジョルジュ達の目(単体)間に合ってる?
゚
332
:
名無しさん
:2017/07/31(月) 19:54:10 ID:RtEKelTo0
期待しまくってんよ
333
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 21:45:57 ID:Iju0uVVw0
投下いけるわ
よろしく
334
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 21:59:48 ID:Iju0uVVw0
━━━━━
━━━━━━━━
曇天。降り注ぐ雨。
学園上空は未だ炎と亡者達で埋め尽くされて、、月を望むことは出来ない。
時折空に広がる高出力の波動によって、地上の建造物が軋み、木々はどよめく。
夜闇の中、光輝くことなく自身の漆黒によってのみ存在を主張する吸血鬼の王を見上げ、二人の男は表情を強張らせていた。
(´・ω・`),・
( ;゚д゚ )
(´・ω・`)「……お前もか」
( ゚д゚ )「……ああ」
(´・ω・`)「不思議な感覚だ。アレがああなった瞬間、全部理解した」
( :゚д゚ )「……」
(´・ω・`)「吸血鬼の王キリバリ-・アルカード。お前、聞いたことあるか」
( ;゚д゚ )゙ ブンブン
(´・ω・`)「だよな、僕もだ」
335
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 22:14:08 ID:Iju0uVVw0
(;´-ω-`)「にもかかわらず、今の僕にはあいつの名前が解る」
( ゚д゚ )「……あれがどういうものなのかも」
(´・ω・`)「ああ、そうだ」
( ;゚д゚ )「…………正直」
(´・ω・`),・
( ;゚д゚ )「俺はこれ以上、ここにいたくない」
(´・ω・`)「同感だよ。だがデレとの主従関係が切れてない以上、僕らがこの学園から出ることは出来ない」
(;´・ω・)゙「最悪だ。この混乱に乗じて真祖と接触しようと思ったら……」
336
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 22:39:35 ID:Iju0uVVw0
始祖としての力を顕現させたハインへの畏怖が二人の身体を氷のように冷たい膜で覆っている。
そんな戦慄の中、ショボンはもう一つの事柄に恐れ慄いていた。
(´-ω-`)(こんな状況下でもデレの支配が解けない。恐ろしいやつだ)
(;´・ω・)゙(吸血鬼になってみて感覚的に、この生き物の性質が理解出来た。だからこそ解る)
ザッザッ
( ´・ω・)(あの女はバケモノだ。こと支配力においては、あの真祖と同等……いや、それ以上か)
イノヴェルチとして覚醒したショボンが、生前と変わらず兄への復讐を続けると決意して、真っ先に学習したのは、吸血鬼としての特性だった。
その気になれば自身もデレと同じように血を広め、眷属となるイノヴェルチを作ることも可能。
その事実を知った時、盛大な自己嫌悪が彼を苛んだ。
だが、それでも兄を殺めるという彼の信念が、自己嫌悪を乗り越えたのはすぐだった。
337
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 23:03:28 ID:Iju0uVVw0
,.-、
/ .l /`ヽ
/ ./ / / .,..-、
/ヽ/ / / / ./ l
/ l l ./ ,' / /
/ | | l l ../ /.,..-、
l イ l j .| / /./ /
.| ', `´ ヽ' /./ /
l .l \ 〈./ /
| `ヽ .\ ,'
l \ `''-..,,__ .|
.', '., |
.', l |
.ヽ ./
/ l /
./ / /
/ / /
./ /
/ /
./ /
自身の掌を見つめながら、ショボンはこれまでに学習した吸血鬼の特性について振り返る。
グールの肉は脆く、生身の人間より耐久力が低い。高い膂力を持つが、その力に耐えきれず自壊することもある。
イノヴェルチは心臓と脳を同時に破壊されない限り、再生を続ける。
イノヴェルチの再生速度は吸血鬼特有の力の多寡に依存しており、生前の武力は関係ない。
イノヴェルチは自身の吸血衝動を満たす為とは別に、眷属を作る為に吸血の際に自身の血を対象に混ぜることが出来る。
新たに誰かの眷属として覚醒したイノヴェルチの吸血鬼としての能力は、主の力に依存する。
グールは日光を嫌うが、イノヴェルチは日光による不調を患わない。
などなど――
338
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/31(月) 23:32:08 ID:Iju0uVVw0
o
ゝ;:ヽ-‐―r;;, 。
,,_____冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\ ,,,,,,,, o /
"`ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从 (;:;:;:;:ヾ-r
〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:) 0 ソ;:;:;:;:;:;:;:}
,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ ゞイ"ヾ,:;:,ソ
(;:;:ノr-´^~;;r-ー⌒` ,.、
" ,,,, _;:;:⌒ゝソ;:/
(;:;:丿 (;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
ヾ;;;;;;;;;;;;/; \
´ /;:ノ 。 。
()
吸血鬼の主従関係は、人間の社会的な主従よりも遥かに固い。
主が死ねと言えば死ぬ。
主が、愛する者を蹂躙しろと言えば血涙を流しながら非道の限りを尽くすだろう。
魂が縛られていないにもかかわらず、その身体には隷属の血が流れ、髪の毛一本残さず主に捧げられる。
その主従の糸は系譜のように、親のイノヴェルチ、更にその親のイノヴェルチといったように、脈々と続く。
その頂点に存在するのが……
从 ゚∀从
真祖ハインリッヒ・アルカード。
.
339
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 00:03:23 ID:htw1B6cw0
(´・ω・`)(アレが頂点であるにもかかわらず、デレが真祖の意に反する行動を続けられる理由……
イノヴェルチとなって日の浅いショボンが考えられる理由は、そう多くなかった。
どれも想像の域を出ないので、裏取りにも動きにくい。
その中で最も有力なのは、元々デレが高い素養を持った魔術師だったということ。
錬金術、医学にも精通し、人には扱えない魔術の代替としてそれを世界に普及した偉大なる魔術師フィレンクト・ミッドガルド。
デレが受け継ぐのはかの高名な魔術師の血であり、世界的に有名な彼の研究の中には当時猛威を振るっていたグールの生態研究も含まれていた。
ただでさえ、魔術師の力の継承は吸血鬼のそれと似通っていて、その親和性も高いのだ。
医科学の祖と呼ばれた魔術師の血が、イノヴェルチとなった彼女に、真祖に抵抗しうる力を与えている。
その考えが正しいか否かを確かめる術は現状無いが、そうだと仮定しても不自然ではない。
(´・ω・`)(フィレンクト・ミッドガルの血があの女に与える恩恵が、僕らに対する支配にも及んでるとしたら……)
(;´・ω・`)=3
( ゚д゚ )「……?」
絶望的だな、と脳裏をよぎった言葉を、ショボンは揉み消した。
340
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 00:04:21 ID:htw1B6cw0
休憩
341
:
名無しさん
:2017/08/01(火) 00:27:24 ID:lvcltG2A0
ゆゆ��!!!!!
支援。
342
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 01:45:33 ID:htw1B6cw0
再開
343
:
名無しさん
:2017/08/01(火) 01:49:10 ID:XvRLrqLY0
おかえり!
344
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 01:57:41 ID:htw1B6cw0
自身と同じ境遇にあるミルナとは行動を共にすることが増えたが、ショボンはまだ彼のことを信頼していなかった。
むしろ、現時点では信用を計る必要すら無いと考えている。
王位の座を賭けて闘う中で、二人の間には確かに通じ合うものがあった。
だがそれは、互いにもうここで終わってもいいという、決闘の際特有の境地に至っていたから。
元々武人としての性質が強かったミルナとは違い、ショボンは闘いというものに対して冷めきっていた。
全ては兄への復讐を遂げる為。
自身の中に毛ほどに残っている武人としての矜持や誇りも、その悲願の前には塵も同然。
だからショボンはミルナと積極的に情報を共有しようとは思わなかった。
とはいえ同じ境遇で、同じように情報を求める二人なので、ミルナから有益な情報がもたらされることもあるだろう。
その時の為に、あくまでポーズとして、情報共有の姿勢を見せている。
それに対してミルナは何の疑いも抱いていなかった。
王位として戦闘を日常とする環境に身を置いた期間の差が、このようなショボン優位の関係を作り上げたと言えるだろう。
あるいは、自分もあの兄のように、戦わずして勝つ打算めいた思考の天才なのかもしれない。
そう思うと、ショボンは苛立ちに奥歯を噛み締めずにはいられなかった。
345
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 02:09:10 ID:htw1B6cw0
( ゚д゚ ),・「おいショボン。あれ……」
σ
(´・ω・`)「ん? ああ……」
ショボンがミルナの指差す方を見る。
,,,,----------- 、
. /  ̄ ̄ ̄.// ̄ ̄|| |
/ .//. .|| |
[ /―---― //[ ] || |___________________ ブォォォォ
i_ _ i 'ー´ ̄ ̄|.| |ニニニニニニl.|
l0|.__|○E.| .,r―|.|_| ̄ ̄ヽ / ̄ヽヨ _ _.,_,,('" (⌒ヾ
モ__=口=_テ___|l⌒ l.――― | l⌒l 三! ^'ノ⌒ヽ,,._ソ''"
`--' `ー' `--' `ー' ''⌒`'"~
第四ブロックと第五ブロックを繋ぐバイパス道路を、一台のトラックが走る。
それ自体は珍しいことではない。この緊急時、車両で逃げようとする者がいてもおかしくはない。
その荷台に積んでいるものが、二人が求めているもの、もとい二人の主がかき集めてこいと命じたものだった。
346
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 02:23:11 ID:htw1B6cw0
アァァァ…
ウッウ……
イテェ タスケテ……
__
/`´: : : :\ _ ........._ r- '⌒ヽ
, -イ:.:.:/{{`ヽ-: : :ヽ .ア:__,.へ:::`ヾ _ノ゙ヾ、 .j ,___ぅ^′
__ /:.:.:.:ゞ/rx__r廾>ヽ: }ア::ノ,zz __ヽ<, -へ__ , --- 、-{:.:.:; -'ー 、 / l
: : : : :>-- '´_:.:.:.:.:.:.:.:.L..」└‐┘!/}:_/ ゚- ゚ ' ハ:.:.:.:.:.:.:.:ゞ´ ̄>´::::::::::::::::::::ヽ/:.:.:.:.:.:.:.:.:\__l __
}:.:, ´: : :`丶: : : \ー`,. イ:.:il:.:ゝ! [二l ハi:.i:.:.:.:.:.//<__::::::::,、::::::ヽ:::l:.:.:.:i:.:.:.:.:.ト、:.:.:l ア ̄r---
^~`ヽレ′: : : : : : :厂`Lア二,イ:V ヾ__ヽ .._ イlr.ヽ>`. . . . . . .く/V xz-↑L:.:.:ト,__/二_/ /
:::::::::::l: : : : : : : : : / </ヽ/`ヽ/ ゝ..__/. . . . ,、. ,、_ト. .ミ __゚- .r '::::}:.:「 x. -゚イ_ /
:::::::::::ハi,、,、i: : : / .l i Ⅵ. . ノ-イ r. Lト'ー 'イ⌒ヽヽ-< rっ':.:.:.:.ド、
Aヘ::::j__Lヽ_r-ァ' ./ j i ;;; ヽVr┘・` _ー レヘ V⌒′'. ト、!:.:.:ト¨´:.:.:.:.:.ヾ:.:.`l
.゚ ' r ':::::} ア ;;;; /} Y⌒ヽl >- 、.ー'イ´`ヽ L_.ノ! ! ハ:.:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ┴- 、
-‐'´:::/:::| ∠_ ∠、 丁] .厂 r ⌒7:.:/:.`¨´:.:.:.:.:.:`ヽ__l .l 厂ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
::::::::::):::/:.:.:.:.`丶__ j. ヽ !/ ,l ヽ !V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:,/l`\! l /r‐┴ 、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:::::::> '::::::::::::::::::::::::::::V- 、 './ / ! , -=  ̄ ̄^\ `!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ ヽ-l .//ノ:.:.:.:.:.:.:. ̄`ヽ- ...._
::/::::::::::::::/::::::::::::::::{ ヽ l ./| }/:::::::::::::::::::::::::::::ヽ `ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L_ヽL) /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}: : : :/:
まるで物のように積まれた人間達。
一目で彼らが重傷を負っていることが解る。
ミルナは彼らの痛ましい姿に目を伏せ、これから自分がやることに自己嫌悪を抱き、吐き気を催した。
,・( ;-д゚ )「叶うならば、自刃したいところだ」
トラックを発見してショボンに教えるまでの澱みない所作。
それすらも吸血鬼としての血の隷属がさせたこと。
気づいた時、ミルナは咄嗟に舌を噛んだ。
だが口の中に血の味が広がった後に、肉がせり上がり再生する不愉快な感覚を噛みしめるはめになっただけだった。
347
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 02:41:19 ID:htw1B6cw0
(´-ω-`)「今叶わないことを願うのは感情の浪費だ。やるしかねぇだろうよ」
_ /ヽ
⌒`ヽ、\
'" ̄⌒`ヽ /Y
'" ̄/ミ/ \ヽ::/
⌒\ \::/
/ //:::/
/ ミ>:::::/
/:::/
/:::/
xく:::/ }/ ノl/ - ノ
/:::// l/ / / ツ
/\ \ミ_
/:::/ / / }/ ノl/ - ノ
/\\ ミ / l/ / / ツ
/:::/ ミ /ミ_ _ 彡
{/ / /_  ̄
\ { /  ̄二ニ
/
(´・ω・`) ジャキ
────⊂
(´・ω・`)「僕は殺るぜ。どれだけ胸糞悪い命令であろうと、どれだけ関係の無い人間を殺すことになろうと……」
,・、’(´゚ω゚`)「最後まで生き残って、兄さんとあのクソッタレ売女をぶっ殺す」
ギンッ
348
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 02:56:22 ID:htw1B6cw0
━━━━━━━━━━
━━━━━━
(´<_` )「思ったよりも時間がかかるな……」
⊂ ブロロロロ...
(´<_`; )「やっぱり怪我人を積み過ぎたか。すまん兄者、まっててくれ」
⊂ ブロロロロ...
トラックを運転するのは弟者。
アクセルは常にべったりと踏み込んでいる状態、にもかかわらず伸びないスピードに弟者は苛立っていた。
サイドミラーに映る後方の景色。中の空は掌に収まるほど小さい。
その空で、今まさに人外同士による空前絶後の闘いが繰り広げられている。
(´<_` )「……二十分。いや、十八分か……」
⊂
そこから第五ブロックの救護スタッフに呼びかける。
それを考えると、彼にとって今は一秒すら惜しかった。
349
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 02:59:14 ID:htw1B6cw0
元々置いてあったボトルガムに弟者が手を伸ばしたその瞬間。
火蓋は切って落とされた。
.
350
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 03:07:06 ID:htw1B6cw0
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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351
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 03:15:46 ID:htw1B6cw0
∑(´<_` ;)「っ!」
⊂
弟者の背を、悪寒が撫でる。
咄嗟にブレーキを踏み、ハンドルを切る。
荷台に怪我人が乗っていることを案ずる余裕などない。
強者としての直感が告げていた。
今すぐ車内から離脱しなければ、命は無いと――
弟者はこの時、思考することを止めていた。
論理的な思考が脳内で出来上がり、出力されるまでの僅かな時間すら命取りであると、身体が解っていたからだ。
次に弟者はドアに手をかけた。
乗せた人間の命を、一切放棄した瞬間だった。
352
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 03:25:22 ID:htw1B6cw0
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353
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 03:41:46 ID:htw1B6cw0
蛇のようにうねりながら、その一閃は神速の域に達していた。
道路を滑るトラックを絡め取りながら、"羅刹棍"の先端は運転席を叩き割り、荷台部分を捕縛する。
濡れたアスファルトに焦げ跡を作りながら傾くトラックは、横転直前で止まった。
捕縛する鎖の隙間から怪我人が雪崩落ち、悲痛の呻き声が響き渡る。
(´<_` ;),・。「くっ……!」
アスファルトに叩きつけられる直前で受け身の姿勢を取り、転がりながら事なきを得る。
すぐさま顔を上げるが、状況は絶望的だった。
「よく避けたじゃねぇか」
}
/ ``
/
i′
ヽ ¨`
`ヽ
{ __, --y- '´
ヽ - '´
ハ
∧
} ,. <
八 _,. ≦-‐─ヘ ,.
>‐< ハ /
ノ
/
i´
ハ
∧
(´゚`ω゚`)「だがなってねぇな〜〜〜〜〜〜〜? 大事な荷物は簡単に手放すもんじゃねぇぜ?」
───⊂
.
354
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 03:42:52 ID:htw1B6cw0
二十六話おわり
色々試行錯誤してみます
おやすみ
355
:
名無しさん
:2017/08/01(火) 03:46:42 ID:XvRLrqLY0
目のやつゾッとしたわ
乙
356
:
名無しさん
:2017/08/01(火) 07:31:13 ID:EVmcYMoA0
ショボンの魅力が上がりすぎてやばい
357
:
名無しさん
:2017/08/01(火) 08:09:12 ID:eu.u1x7s0
噛ませポジだったりするけれど
なんだかんだミルナが好き
358
:
名無しさん
:2017/08/01(火) 19:27:03 ID:KoV7yy4Q0
かなりAA表現増えてきたな
地の文ラッシュも好きだが試行錯誤も悪くない
359
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 21:05:52 ID:htw1B6cw0
ふふふ
結局来ちゃった
よろしく
360
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 21:18:47 ID:htw1B6cw0
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: : : : : : :|::|: : : : : : : :.:.:||: : : : : ||: : : ||: ::|: :|: : :i: : : : : ::::]_'゚i_|⊥┴=ニ¨¨ ̄ ̄|:::| ̄_,,,.... --──‐─…宀:::宀¬冖冖'''' ¨¨ ̄
: : : : : : :|::|_ --┴─…¬冖ニ二¨¨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ 二 ニ 冖宀=- .... ,,,, __.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
───二三三二─ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐二二 二二三三二二ニニ==
三二二─‐ _二-‐ ‐ ‐ _ _ _ ──二_─二三三三三三三
=‐ _ ̄ ─二─ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ─ ‐ ‐ ‐ _ _ _ _ ‐ ‐ ‐ ‐‐‐二二─ _ ̄─_二三
-二二二二二───── ‐ ‐ ‐ ‐ ‐三三─ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ 二─ _ _
二二二─── ‐ ‐ ‐ ‐ ──二二三三三─ ─ ─ ─ ──二二二三三三三
二二─ - - -- ──二三三三二─ ‐ ‐ ────二二二二二二三三三三
361
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/08/01(火) 21:27:03 ID:htw1B6cw0
(´゚ω゚`)、’
━━─○─━━
,・(´<_` ;)
(´<_` ),,(最悪だ……! よりによってこの男……!)
兄者から聞いた王位の面子の名前とそれぞれの人柄から、自分が最悪の窮地に立たされていることを察知する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
( ´_ゝ`)「仮に奴と闘うことになったら、迷わず離脱することを考えた方がいいな……
王位としての格の違いとかじゃなくて……あいつはイカれてる 」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
兄であるシャキンを前にして発狂した時のことは聞いていた。
それに加えて、先日のジョルジュによる王位の公表。
弟者が、目の前の男がショボンであると断ずるのは容易だった。
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