したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

「ハロー、お嬢さん」のようです

1名無しさん:2016/08/21(日) 18:02:56 ID:mCwVJoHw0











夏物語参加作品









.

2名無しさん:2016/08/21(日) 18:04:32 ID:mCwVJoHw0










「ハロー、お嬢さん」のようです









.

3名無しさん:2016/08/21(日) 18:05:18 ID:mCwVJoHw0

中学2年の夏休み、私は両親と共に祖母の家来ていた。
予定としては約一週間の滞在期間だっただろうか。
既にその終盤に差し掛かっていたもので、最後に近所の人に挨拶をと朝から祖母と両親が出かけてしまった。
人と関わることを得意としなかった私は、1人で留守番をして縁側でくつろいでいた。

一般的な好みに反しているとは思うが、私は夏があまり好きではなかった。

どこか懐かしさを湧きたてる畳と木製の古い家。
懸命に鳴き続ける蝉の声。
そよ風が鳴らす風鈴の音。
真夏の太陽が輝き、白い雲が点々と散りばめられた青い空。
光沢のある緑の葉を身にまとった木々。
漂うTheお婆ちゃん家の匂い。

私はこの夏らしい空間を扇風機の風を浴びながら妬んでいる。
夏と言えば、充実した生活を送る人々の季節。
そんな人々とはかけ離れた生活を送っている私は、夏という季節を鬱陶しく思っていた。

4名無しさん:2016/08/21(日) 18:07:33 ID:mCwVJoHw0


祖母の家が東北にあるため、東京と比べて暑さが和らぐと母親が言った。
どうせやることもないため、なら涼しいところでと祖母の家に来てみたはいいものの、扇風機があればなんとかなるくらいの暑さであった。

これならエアコンのある自分の部屋に篭っていた方がマシだったと、自分の愚かさを呪う。

ふぅ、と溜め息をつき、腕と脚を伸ばし横になる。
汗が肌を走り、その雫がとてもゆっくり地面に落ちた。
こんな田舎で暇を持て余しているせいか、1秒1秒が長く感じてしまうのだ。

時間は12時30分、まだまだ1日は長い。

とても孤独な空間だった。
横になっていると、しだいに眠気が襲ってくる。
私は眠気に身を任せそっと瞼を閉じた。
太陽が顔を照らしているため、目をつぶっていても白く明るい。

私はその白い光に吸い込まれていった。

5名無しさん:2016/08/21(日) 18:10:05 ID:mCwVJoHw0

(*゚ー゚)「ん……」


何分寝ていたのだろうか。


(*゚O゚)「ふぁ……」


重い瞼を持ち上げ、両腕を伸ばして大きな欠伸をする。


(*゚ー゚)「……」

(*゚ー゚)「……あれ?」


これは夢なのだろうか。
しかし、夢じゃないとおかしい。

なぜなら私は今、駅のホームにいるのだから。


海の上の、駅のホームに。

6名無しさん:2016/08/21(日) 18:13:13 ID:mCwVJoHw0

長さ約40m、幅約20mのコンクリートの地面。
ホームの真ん中に4つの椅子とそれを上から覆う小さな屋根。
その隣に置いてある少し古びた自販機。
この場にそぐわないホームの片側にそびえ立つ大樹。
太陽が輝き、白い雲が点々と散りばめられた青い空。
そして辺り一面を青く染める熱帯を連想させるような透き通った海。

ありそうでなさそうな、どこか現実離れした駅のホーム。
その真ん中の椅子に私は座っていた。


(*゚-゚)「夢……、じゃないのかな……」


頬をつねってみると痛みを感じ、意識もはっきりしている。
暑さと焦りから、背中で汗が流れるのを感じた。

7名無しさん:2016/08/21(日) 18:17:12 ID:mCwVJoHw0

(;゚ー゚)


恐る恐る椅子から離れ海を覗き込む。
地面から約1mちょっと下、そしてそこからまた約1mちょっと離れたところに、線路が漂っている。

そう、漂っているのだ。

そしてその線路辿ってみる。
線路はずっとずっと、ずーっと先の地平線の彼方まで伸びていた。


(*゚ー゚)「線路は続くよ、どこまでも……」


私は思わず溜め息をついた。

8名無しさん:2016/08/21(日) 18:19:24 ID:mCwVJoHw0

私は一体何をすればいいのか。
悩みに悩んで、とりあえずホームにいるのだから電車が来るのを待つことにした。

喉が乾いたので、何故かポケットに入っていた500円玉を自販機に入れ、三ツ矢サイダーを購入し、椅子に腰掛けた。

そのときだった。


「あれ? 起きてたんだ」

(;゚ー゚)そ「!?」


私は驚き、突如聞こえた声の方へ顔を向ける。


ミセ*゚ー゚)リ「ハロー、お嬢さん」

9名無しさん:2016/08/21(日) 18:22:31 ID:mCwVJoHw0

20歳くらいの女性だろうか。
くせっ毛が目立つショートの髪型で、前髪は向日葵のヘアピンでとめられている。
着古したであろう柄付きの白いTシャツにジーンズのショーパンにサンダルと、傍から見れば大分ラフな格好だろう。

しかし、女性にしては背が高くスタイルもいいので、服装による劣りを感じさせなかった。
何より可愛らしい顔つきと、ショーパンから伸びた程よい肉付きの綺麗な脚が、女性の私ですら興奮するほどの女性だった。


ミセ;´ー`)リ「ちょっと喉乾いちゃったから一口もらっていい?」


見惚れていると、お姉んはTシャツをパタパタと煽りながら、私の三ツ矢サイダーを見て言った。


(*゚ー゚)「え、あ……。はい、どうぞ」

ミセ;´ー`)リ「ありがと〜」


受け取った三ツ矢サイダーをゴクゴクと喉を鳴らしながら気持ちよく飲んでみせる。
この短時間で中身が半分以下になっていた。
結構もっていかれたようだ。

10名無しさん:2016/08/21(日) 18:23:33 ID:mCwVJoHw0

ミセ*>Д<)リ「プッハー!! 生き返ったー!!」

ミセ*゚ー゚)リ「私も好きなんだよね〜、三ツ矢サイダー!」

(*゚ー゚)「はぁ……」


脚をパタパタ動かしながら笑顔で三ツ矢サイダーへの愛を語る。
見かけに反して……、いやそんなこともないか。
だが思っていたよりも元気な女性であった。

私とは正反対。


ミセ*゚ー゚)リ「しぃちゃんも好きなんでしょ?」

(;゚ー゚)「!?」


突如彼女の口から出た呼び名に驚く。
小学生のときに呼ばれてたあだ名。
なぜ見ず知らずの人が?

11名無しさん:2016/08/21(日) 18:24:45 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「しぃちゃんは私のことを何も知らないと思う」

ミセ*゚ー゚)リ「でも私はしぃちゃんのこと何でも知ってるよ」

(*゚ー゚)「なんでも……」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、何でも!」


そう言うとピョンと勢いよく立ち上がり、海の方へ歩き出す。
私はただ彼女座って見つめていた。
動くことよりも考えることを脳が優先したのだ。


(*゚ー゚)「お姉さんは一体―――」

ミセ*゚ー゚)リ「ねぇ、来てごらん!」

(*゚ー゚)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「早く早く!」


私の質問を遮り、手を招きながら急かしてくる。
こんなに暑いのにどうしてこの人はこんなに元気なのだろうか。

12名無しさん:2016/08/21(日) 18:26:21 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「ほら、魚がいっぱいいるよ!」

ミセ*゚ー゚)リ「あれがベラであそこに泳いでるのがアジ、んであっちのやつがキンチャクハナダイで……、おぉ! ホウボウもいるじゃん!」


色々な魚を指差しながらそれぞれ紹介してくれる。
珍しい魚を見つけては興奮して一人騒いでいので、よほど魚が好きなのだろうと解釈できた。


(*゚ー゚)「詳しいんですね」

ミセ*゚ー゚)リ「友達の影響で海の生き物が好きになってね〜。今も大学で勉強してるの」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、見て! あの集団で泳いでる青い小さな魚、ソラスズメダイっていうの」

ミセ*゚ー゚)リ「綺麗だよね〜」


ソラスズメダイという魚を見てみる。
色は全体的に青く、尾鰭だけ黄色をしている。
5cmくらいの小さな魚で、数十匹で群れをなし、色々なところを行ったり来たりと楽しそうに泳いでいた。

13名無しさん:2016/08/21(日) 18:29:31 ID:mCwVJoHw0

ふと1匹だけ、集団からはぐれている魚を見つけた。
その一匹はなんとか追いつこうと、一生懸命泳いでいる。


(*゚ー゚)「集団の何がいいんだろ。1人の方が楽なのに……」


つい口から出てしまった本音。
しかし訂正はしなかった。


ミセ*゚ー゚)リ「……そうだったね」


不機嫌な私の顔を見て、クスッと笑ながら彼女は言った。


ミセ*゚ー゚)リ「あなたは集団行動が嫌いだったね」

ミセ*゚ー゚)リ「意味もなく自分が否定されている気持ちになるから」


そうだ。
友達のいない私は、強制的に1人っきりになる。
その孤独が、自分は否定されているんだと感じさせた。

14名無しさん:2016/08/21(日) 18:30:39 ID:mCwVJoHw0

(*゚ー゚)「学校行事も嫌い」

ミセ*゚ー゚)リ「自分がいてもいなくても変わらない、空気みたいな存在になるから」

(*゚ー゚)「少数グループも嫌い」

ミセ*゚ー゚)リ「輪に入れない自分が虚しくなるから」

(*゚ー゚)「休み時間も嫌い」

ミセ*゚ー゚)リ「友達がいないこと、孤立してることを主張してるように感じるから」

(*゚ー゚) ミセ*゚ー゚)リ「「何より自分が嫌い。コミュ力もなく人見知りで、何も面白みもなく、
誇れるところも、褒められるようなところも、役に立つようなところも、
人に好かれるようなもところも、なに1つないから」」

(*゚ー゚)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「だから友達も好きな人も作らない。自分が必要とされていない事を自覚してしまうから」

ミセ*゚ー゚)リ「自分を含め全ての人が嫌い」

ミセ*゚ー゚)リ「そんな子だったね」


彼女は悲しそうな声でそう言った。
本当に私のことを全て知っているようだった。

15名無しさん:2016/08/21(日) 18:32:31 ID:mCwVJoHw0

私は小5の頃虐めにあっていた。
私が虐められる前の虐められっ子を庇ったからという単純な理由で。
それまで仲良かった友達は虐めには加わってはいないが、矛先が自分達へ向かないよう私と関わるのをやめた。
前の虐められっ子も庇ったからといって友達になる訳でもなく、むしろ虐める側へ立ち位置を変えていた。

中学ではその虐めっ子達とは別れたが、私が虐められていたことを知っている人がいたこともあり、
クラスに馴染めず友達を作ることができなかった。
それだけではなく、人と関わるのが怖いというのもあったのだが……。

誰からも必要とされないというのは本当につらい。
しかし、それでも誰かを信じるというのは怖かった。

だから人が嫌い、集団行動が嫌い。
楽しそうにしている人も、幸せそうにしている人も嫌いだった。

そしてこんな醜い、自分のことも―――

16名無しさん:2016/08/21(日) 18:33:29 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「死んじゃいたいって思ってるでしょ?」


さっきまで海を見ていた彼女は、気付いたら私を真っ直ぐ見ていた。
それも真剣な眼差しで。

思わず目をそらし、たじろいでしまった。


(*゚ー゚)「……思ってちゃ、ダメですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「ダメじゃないよ」

ミセ*゚ー゚)リ「ダメじゃないけど……、やめといた方がいいと思う」

(*゚ー゚)「どうして?」

ミセ*゚ー゚)リ「私はね、しぃちゃんの過去と現在だけじゃなくて、未来のことまで知ってるんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「しいちゃんはね、変わるの。少し勇気が持てる人間に」

17名無しさん:2016/08/21(日) 18:34:49 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「今はピンとこないだろうし、まさかと思うかもしれけど、そのおかげで友達が一人できるよ」

ミセ*゚ー゚)リ「好きなことに対してのギャップがすごいちょっと変わった子だけどね」

ミセ*゚ー゚)リ「その子はしぃちゃんに色々な影響を与えるの。やりたいことが見つけられたり、精神面でも強くなったり」

ミセ*゚ー゚)リ「その子はしぃちゃんの一生の親友になるんだ」


ミセ*゚ー゚)リ「それと高校に入ってからまた増える」

ミセ*゚ー゚)リ「表情と性格かなり尖ってるけど、実はかなり乙女なツンデレちゃん」

ミセ*゚ー゚)リ「恋愛中毒だけど、悩みとか相談に乗ってくれる皆のお姉さん」

ミセ*゚ー゚)リ「全てがすごいイケメンで、恐らく1番まともな常識人」

ミセ*゚ー゚)リ「そんな愉快な仲間達と一緒にいることになる」


彼女は指を折りながら1人ずつ友達の紹介をした。
楽しい日々を思い返していたのか、笑顔で話す彼女は、すごく楽しいそうで、すごく羨ましかった。

18名無しさん:2016/08/21(日) 18:36:49 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「皆ね」

ミセ*゚ー゚)リ「あなたと一緒に笑ったり泣いたり怒ったりしてくれて」

ミセ*゚ー゚)リ「あなたを支えてくれて必要としてくれて愛してくれるの」

ミセ*゚ー゚)リ「そんな素晴らしい人達と出会えるから……」


彼女は私を見つめ、そっと微笑む。
その微笑みは、燦々と輝く太陽よりも眩しいものだった。
私を、私の心を焦がすような、そんな微笑み。


(*゚ー゚)「そんなの―――」

ミセ*゚ー゚)リ「信じられないよね」

ミセ*゚ー゚)リ「でも信じてほしいの」

ミセ*゚ー゚)リ「ただ今のままじゃダメなんだけどね。しぃちゃんは変わらないといけない」

(*゚ー゚)「……どうしたら変われるかわからない」

ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫、その時になればわかるから」

(*゚ー゚)「そんな無茶苦茶な……。そもそもそんな簡単に変われるとは思えない」

ミセ*゚ー゚)リ「やればできるかもしれない」

ミセ*゚ー゚)リ「でもやらなきゃ何もできないんだよ?」

ミセ*゚ー゚)リ「絶対にね」

ミセ*゚ー゚)リ「このままじゃいけないって思ってること、知ってるんだから」


つん、と私の頬をつつき意地悪な笑顔を見せる。
1番口に出されたくなかったことを言われ、少し腹が立った。

19名無しさん:2016/08/21(日) 18:38:16 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「そんな不安を拭えないあなたへ、私からのプレゼント」


前髪をとめている向日葵のヘアピンをとり、私の右手に握らせる。
強く、願いを込めるかのように。


ミセ*゚ー゚)リ「御守り」

ミセ*゚ー゚)リ「あなたなら大丈夫だから」


彼女は優しく囁いた。
まるで一切の心配もないような、そんな声で。


ミセ*゚ー゚)リ「そろそろ時間みたいだね……」


彼女な目線は、遠くの線路へ向いていた。
だんだんと電車が近付いてくるのがわかる。

彼女はあの電車に乗るのだろう。
あの電車に乗って、何処まで行くのだろうか。

20名無しさん:2016/08/21(日) 18:40:01 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「あ、そうだ」

ミセ*゚ー゚)リ「さっきしぃちゃんが聞こうとしてた質問、私は一体誰なのか」

ミセ*゚ー゚)リ「私は特別な人でも何でもない、ただの通りすがりのリア充女子大生」

ミセ*゚ー゚)リ「ちょっと可哀想な少女を見かけたもんだからね」

ミセ*゚ー゚)リ「たった1度きりの短い人生なんだし、笑って生きてほしい、そう思ってアドバイスしたの」

ミセ*゚ー゚)リ「ただ、それだけ」


結局わからないままじゃないか。
でも、彼女自身については言及しないことにした。
彼女の笑顔が気持ちよく感じたからから。
そんなしょうもない理由だった。

21名無しさん:2016/08/21(日) 18:41:38 ID:mCwVJoHw0

(*゚ー゚)「1つ聞いてもいいですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「なぁに?」

(*゚ー゚)「もし……、もし私が変わることができたら、この先もずっと笑って過ごせますか?」

ミセ*゚ー゚)リ「この先もずっとか……」

ミセ*゚ー゚)リ「ごめんね、未来のことまで知ってるって言ったけど、それは大学2年の夏までのことなんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「だからその先はあなた次第」

(*゚ー゚)「そうですか……、わかりました」

(*゚ー゚)「でもなんで私の大学生までの未来を知ってて、その先のことは知らないんですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、それはね―――」

22名無しさん:2016/08/21(日) 18:42:22 ID:mCwVJoHw0










ミセ*゚ー゚)リ「 」









.

23名無しさん:2016/08/21(日) 18:44:00 ID:mCwVJoHw0

(*゚ー゚)「ッ!?」


彼女の声は、突如強く吹いた風によってかき消されてしまった。


プォ―――――――――――――ッ!!!!!


電車の警笛が鳴り響いた。
そして電車の到着と同時に、私の意識が遠のいていく。


ミセ*゚ー゚)リ「それじゃあバイバイ、短い時間だったけど楽しかった」

ミセ*゚ー゚)リ「どうか頑張ってね、健闘を祈ってるよ!」


そのセリフを最後に私の意識は途絶えた。




.

24名無しさん:2016/08/21(日) 18:45:08 ID:mCwVJoHw0

気が付くと、昼と同じ祖母の家の縁側にいた。
空は赤く染まっており、ひぐらしの鳴き声が切なく聞こえた。


(*゚ー゚)「やっぱり夢だったのかな……」


まだ眠気が冷めないせいかボヤける視界をうざったく思い、手で目を擦ろうとしたときに気付く。

右手で何かを握っていることに。

開いてみるとそこにはお姉さんからもらった向日葵のヘアピンがあった。


(*゚ー゚)「夢じゃなかったんだ……」


私は再びヘアピンを握りしめ、洗面所の鏡へと向かった。
目を隠すくらいまで伸びて垂れた前髪を右側に流しヘアピンでとめてみる。
普段狭く暗い視界が、いつもと違って広く明るい視界へと変わった。


(*゚ー゚)


外見的な変化はわずかでしかない。


(*゚ー゚)


しかしこのわずかな変化が、前向きに少しずつ頑張っていこうという気持ちにさせてくれたのだった。

25名無しさん:2016/08/21(日) 18:46:41 ID:mCwVJoHw0

この日をきっかけに、私の人生は少しずつ変化していく。
もちろん良い方向へ。

夏休みが終わり、2学期の開始。
いつも通りの一人の生活。
放課後、何か小説でも読もうかと思い図書室へ行ってみると、そこには私の好きな本を

読んでいる女の子がいた。
その子の名は都村トソン。
私と同じクラスで、一人で本を読んでいるような子だった。

あの本はかなりマイナーで、読んでいたり好きだったりする人は珍しい。
そのため、仲間を見つけることができたら是非語り合いたいと前々から思っていた。

その時になればわかる。
彼女の言葉が頭に浮かんだ。


(*゚ー゚)(変わらなきゃ……)

26名無しさん:2016/08/21(日) 18:48:11 ID:mCwVJoHw0

(*゚ー゚)「都村さん」

(゚、゚トソン「椎名さんですか、どうしました?」

(*゚ー゚)「それ流石兄弟シリーズだよね?」

(゚、゚*トソン「流石兄弟シリーズを知ってるのですか!?」

(;゚ー゚)「ふぇ……、う、うん。私も好きなんだ」

(゚、゚*トソン「マジですか!! これ『流石兄弟は空をいく』なんですけど読んだことありますか!?」

(*゚ー゚)「読んだことあるよ。中々に名作だよね」

(゚、゚*トソン「そうなんですよ! 特にあそこが激アツで―――」

身を乗り出して作品について語り始める彼女。
物静かな子だと思っていたが、好きな事に対してはかなりヒートアップする子のようだ。
私の一声から始まった会話は好きな物ということもあってか、かなり盛り上がり久しぶりに楽しい会話をすることが出来た。

これを機に彼女とクラスでも少しずつ話すようになり、最終的にいつも一緒にいるような
親友へとランクアップした。

親友とまで言える友達ができたのは初めてで、2人で話したり、食事をしたり、
遊んだりするのがなんだか新鮮で、それでいてとても楽しくて安心できた。

27名無しさん:2016/08/21(日) 18:49:49 ID:mCwVJoHw0

2人でよく遊ぶようになって、半年くらいだろうか。
彼女から水族館に行こうと誘われたので、近くの水族館に行くことになった。
彼女は海の生き物が大好きで、小説以外にもよくそういう本を読んでいる。
私も影響され興味を持つようになり、彼女から本を借りてよく読むようになったのだ。

水族館に着くと彼女はおおはしゃぎ。
普段は大人びた性格だが、水族館ではまるで子供のような性格になる。
私は親の気分で彼女を微笑みながら見守っていた。

大きな水槽の前に着く。
多種多様な魚を見ながら、彼女は自分の夢について語り始めた。


(゚、゚トソン「私、将来は海洋生物に関する研究職に就きたいんです」

(*゚ー゚)「よく魚の本とか読んでるもんね。私も都村さんに影響されて好きになったんだもん」

(゚、゚トソン「そう言ってもらえると嬉しいです」

(゚、゚トソン「海は地球の7割を占める大きさです。大きいが故にまだまだ未知のことが沢山あります」

(゚、゚トソン「深海なんかが例として挙げれますね。人が手を出せない領域ですから……」

(゚、゚トソン「そんな未知が多い海という世界に生息してる生き物達にすごい興味があるんです。
すごい、おもしろい、まだまだ知りたい。そういう気持ちでいっぱいになります」

(゚、゚トソン「だから将来、その未知を調査できる職に就きたいんです」

(*゚ー゚)「まだ中学生なのに、そこまでやりたいことが定まってるってすごいね……。私、応援してるから!」

(゚、゚*トソン「ありがとうございます」

彼女は照れながら軽くお辞儀をした。
こういう可愛いところが、彼女の好きなところの一つだったりする。

28名無しさん:2016/08/21(日) 18:50:36 ID:mCwVJoHw0

(゚、゚トソン「実は今のは前置きで、本題はここからなんです」

(*゚ー゚)「あれ、そうなの?」

(゚、゚トソン「はい。椎名さんは海洋生物に限らず、様々な生き物が好きですよね?」

(*゚ー゚)「んー、まぁそうだね。私も生き物が関わる何かしらの職につけたらいいなぁってくらいには好きだよ?」

(゚、゚トソン「そこでなんですが、一緒にニュー速高校を目指しませんか?」

(*゚ー゚)「え?」

(゚、゚トソン「あそこは大学付属の高校なんですよ。ニュー速大学が獣医、海洋生物、応用生物、
畜産動物や植物と色々な生物学を学べる大学なんです」

(゚、゚トソン「なので、同じような夢を持つあなたと、一緒に夢を追いかけたいんです」

(゚、゚トソン「……一緒に目指しませんか?」


不意な誘いに戸惑う私。
こんな嬉しいことがあるだろうか。
これからも一緒にいよう、そう言われたのだ。
初めて誰かに必要とされたのだ。

歓喜の雄叫びを上げるのをぐっと堪える。
その代わりに、彼女に対しての返答を口にした。


(*^ー^)「うん、喜んで!」

29名無しさん:2016/08/21(日) 18:51:21 ID:mCwVJoHw0

こうして、私達は共に同じ高校を目指し、受験勉強に励んだ。
それなりにレベルの高い高校であったため、優秀である彼女とは違い、学のない私は
かなり努力することになった。
毎日毎日勉強三昧。
つらい日々や模試の結果に涙することはあったが、決して努力を怠ることはしなかった。
しかし、その努力が報われたのか、見事二人仲良く合格することができたのだった。


(゚、゚トソン「なんとか2人で合格することができましたね」

(*゚ー゚)「本当によかった……。都村さんが勉強教えてくれなかったら今頃底辺高校に入学だったよ……」

(゚、゚トソン「あの……、そろそろやめませんか?」

(*゚ー゚)「え、何を?」

(゚、゚トソン「呼び方、もうずっといるのに苗字呼びは変じゃないですか? これからも一緒なわけですし……」

(*゚ー゚)「確かにそうだね。今更感ハンパないけど」

(゚、゚トソン「ハンパないですね」

30名無しさん:2016/08/21(日) 18:52:20 ID:mCwVJoHw0

(*゚ー゚)「えへへ」

(゚、゚*トソン「ふふっ」

本当に今更過ぎることに思わず笑いがこぼれる。
なんで今まで不思議に思わなかったのか。
自分たちの関係の曖昧さに再び笑いが込みあがる。

落ち着いたところで、改まって向き合う2人。
また、ここから。








(*゚ー゚)「これからよろしくね、トソン」






(゚ー゚トソン「はい、ミセリ」








こうして、私は初めて下の名前で呼び合う親友ができた。

31名無しさん:2016/08/21(日) 18:53:59 ID:mCwVJoHw0

高校に入学するにあたって、私は髪をバッサリ切ることにした。
元々くせっ毛ということもあり、前髪は目にかぶるくらい、他は肩ぐらいまで伸ばしていた。
しかし、せっかくの機会なのだからとトソンが提案してきたので、イメチェンということでショートにすることにしたのだ。

どうせ切るならくせっ毛を活かす髪型にしようと、美容師にあるイメージを伝え切ってもらった。


ミセ*゚ー゚)リ


鏡にはあのお姉さんとそっくりな自分がいた。
当然だ、あのお姉さんをイメージして切ってもらったのだから。

最近、トソンに明るくなったとか笑顔が増えたと言われることが多い。
出会った頃とは段違いです!とまで言われたことも。

それはあの人を意識しているからだった。
あんな人になりたい、そういう思いからだ。

だからあの人と同じ髪型にした。
そうすればもっとあの人に近けると思ったからだ。

もちろん、前髪にはあの向日葵のヘアピンを付けた。

32名無しさん:2016/08/21(日) 18:54:56 ID:mCwVJoHw0

高校に入学してからもトソンと一緒にいた。
またクラスが一緒になったということもあったが、何より彼女といるのが一番落ち着くからだ。

しかし、中学のときとは違って他にも友達ができた。


('、`*川「あ〜彼氏ほしい」


誰よりも恋愛を経験しているが、性格のせいか誰よりも失恋している私達のお姉さん、伊藤ペニサス。


ξ゚⊿゚)ξ「あんたまた失恋したんだって? 外見だけで選んでるからいつまで経っても幸せになれないのよ」


目つきと性格キツイがかなりピュアなツンデレ姫、津出ツン。


从 ゚∀从「そんなキツイこと言ってやるなって。ペニサスだって頑張ってるんだから」


男よりも全てがイケメンな常識人、高岡ハインリッヒ。


3人ともクラスが同じで授業の関係で仲良くなり、5人でつるむことになった。
実は3人とも私から声をかけた。
私の昔の事を知っているトソンは、それを嬉しそうに眺めていたのをよく覚えている。


(゚、゚トソン「ツンはB専にもほどがあると思いますがね……」

ミセ*゚ー゚)リ「ちょ、トソンしー!」


5人とも部活には入っておらず、放課後は買い物に行ったりカラオケに行ったりファミレスでだべったりとユルい学生生活を送っていた。

33名無しさん:2016/08/21(日) 18:56:40 ID:mCwVJoHw0

トソンと2人でいるのも楽しいがこの3人といても中々楽しいものだった。
何より私を含めたこの5人は個性が異なるので、一緒にいても飽きことはなかった。

ときには下らないやりとりをしたり。


('、`#川「どこのどいつだ!? 私より先に彼氏つくりやがって!!」

ξ;゚⊿゚)ξ「と、隣のクラスの内藤ホライゾンよ。ちょっと色々あって仲良くなってそれで……」

ミセ*゚ー゚)リ「クリスマスに告白されたんだよね〜」

('、`#川「あ!? お前それ絶対聖夜の夜になったろ!? ピュアアピールしといてやることやっただろ!?」

从 ゚∀从「はいはいストップ。ツンはちょっとした下ネタでもダメなの知ってるだろ?」

ξ//⊿//)ξ

(゚、゚トソン「真っ赤っか……」


ときには涙を流したり。


ミセ*;ー;)リ「渡辺先生いなくなっちゃ嫌だぁ……」

(゚、゚トソン「あの先生には大分お世話になりましたからね……」

('、`*川「私が煙草吸ってたの黙認してくれたしな……」

ξ゚⊿゚)ξ「私が酔っ払って泣いて補習は許してってお願いしたら本当になしにしてくれたしね……」

从 ゚∀从「なぁ、お前ら未成年だよなぁ? なぁ?」

34名無しさん:2016/08/21(日) 18:57:40 ID:mCwVJoHw0

ときには喧嘩したり。


('、`#川「だから朝飯は絶対パンに決まってるでしょ!? 朝からあんなもっちゃもっちゃしたもん食えるか!!」

ξ#゚⊿゚)ξ「あんたそれでも日本人!? 朝は白米と味噌汁っていう大石菊丸コンビも顔負けの黄金コンビに決まってるでしょ!!」

ミセ;゚ー゚)リ「2人ともやめなよ〜。トソンもハインも止めてよ〜」

(゚、゚トソン 从 ゚∀从「「ほっとけ」」


ときには笑ったり


从 ゚∀从「卒業式なんだし、最後に写真撮るぞー」

('、`*川「皆いい? 321で"あれ"だからね」

(゚、゚トソン「本当にやるんですか?」

ξ*゚⊿゚)ξ「私が見事な"あれ"を見せてあげるわ」

ミセ*゚ー゚)リ「ツンがノリノリなのが意外……」

从 ゚∀从「はい、3、2、1」

v从(゜)Q 从v vミセ*(゜)Q(゜))リv vξ(゜)Q(゜)ξv v((゜)Q(゜)*川v v((゜)Q(゜)トソンv

从 ゚∀从ミセ*゚ー゚)リξ゚⊿゚)ξ('、`*川(゚、゚トソン「wwwwwwwwwwwwwww」

35名無しさん:2016/08/21(日) 19:01:17 ID:mCwVJoHw0

こんなやりとりも下らないものかも知れない、それでもすごく楽しかった。
昔なら少人数グループを毛嫌いしていたのに。
輪の外でポツリと1人、眺めることしかできなかった私が、今では輪の中に入り友達との交流を心の底から楽しめていた。

それがとても幸せだった。

大学に入学してからも、皆との関係は変わらない。
私とトソン、ツンとペニサスとハインで学科が別れてしまったので、高校のときのように常に一緒にいられなかった。
しかし、キャンパスは皆同じであったため、食事のときや放課後は皆で集まることが多かった。

これからも私達は変わらず仲良くやっていくのだろう。
こんな素晴らしい友達と出会えた喜びを忘れることは絶対にない。

今、私は何もかもが楽しい。
私に関わる全てが好きだ。

これも全てあの人、あのお姉さんのおかげだ。
あのお姉さんのおかげでヘアピンの向日葵のように、毎日笑っていられるのだ。

この喜びをあの人に伝えたい。
伝わるはずもないのだが。
それでも、心の中でありがとうと呟いた。

36名無しさん:2016/08/21(日) 19:02:03 ID:mCwVJoHw0

ξ゚⊿゚)ξ「これからどうする?」

('、`*川「それなんだけど今晩うちでタコパしない?」

ミセ*゚ー゚)リ「いいね! しよしよ!」

从 ゚∀从「俺これから講義あるからそれ終わったら行くわ」

ξ゚⊿゚)ξ「おけー、いってらっしゃい」

('、`*川「じゃあ私とツンで準備してるから、トソンとミセリ買い物頼んでいい?」

(゚、゚トソン「任せて下さい。買う物はたこ焼きの材料とお酒だけでいいですかね?」

('、`*川「いいよー。追加するもんあったら連絡するわ」

(゚、゚トソン「わかりました、ではまた後ほど」

ミセ*゚ー゚)リ「またね〜」

37名無しさん:2016/08/21(日) 19:02:42 ID:mCwVJoHw0

早速スーパーへ向かう私たち。
真夏の太陽が輝き、白い雲が点々と散りばめられた青い空で、とても気持ちの良い天気だった。
後に控えるタコパのこともあり、足取りも上機嫌だった。
そんな中、トソンがぽつりと言った。

(゚、゚トソン「ミセリは本当に変わりましたね」

ミセ*゚ー゚)リ「急にどうしたの? あ、身長の話?」

(゚、゚トソン「確かに身長も高くなりましたが……。中学の頃は一人でずっとムスッとした
顔をした暗い女の子だったのに、今では見る影もないということです」

ミセ*゚ー゚)リ「それはトソンだって同じようなもんでしょ! ずっと図書室に篭って本読んでたの誰ですか〜?」

(゚、゚トソン「ふふ、確かに人の事は言えませんね。でも今の元気で幸せそうなミセリの
笑顔を見てたら、私まで幸せな気持ちになってしまいましたよ」

ミセ*゚ー゚)リ「んーそこまでかなー?」

(゚、゚トソン「はい、そこまでです。今のミセリはハキハキしてますもん」

38名無しさん:2016/08/21(日) 19:04:01 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「……だとしたらあのお姉さんのおかげだよ」

彼女の笑顔を思い返す。
あそこまで向日葵の似合う女性は彼女のほ他にいないだろう。

(゚、゚トソン「例の夢の?」

ミセ*゚ー゚)リ「夢じゃないよ。だってこの向日葵のヘアピンあの人からもらったんだもん」

(゚、゚トソン「俄には信じられない話ですが……」

ミセ*゚ー゚)リ「まぁ当然だよ。私がトソンの立場だったら絶対信じられないもん」

申し訳なさそうな顔をするトソン。
そんな顔をしなくてもいいのに。

ミセ*゚ー゚)リ「まぁでも夢でも夢じゃなくてもどっちでもいいんだよね」

ミセ*゚ー゚)リ「あのお姉さんのおかげで私は変われた。あのお姉さんの言葉のおかけで今の私がいる」

ミセ*゚ー゚)リ「その事実さえあれば私は強く生きれるから」

(゚、゚トソン「そうですね……」

(゚、゚トソン「今私達がこうして一緒にいられるのも、その人のおかげかもしれないですからね」

ミセ*゚ー゚)リ「そうかもね」


2人でにっこり笑いあう。
かも、じゃないんだ。
彼女のおかげなんだよ。

39名無しさん:2016/08/21(日) 19:05:56 ID:mCwVJoHw0

ミセ*゚ー゚)リ「そういえば、あの人は最後何を言ってたんだろ……」

(゚、゚トソン「最後とは?」

ミセ*゚ー゚)リ「あのね、何故かその人の予言?が大学2年のある日までしかわからなかったの」

ミセ*゚ー゚)リ「だから最後にそれは何で?っ聞いたんだけど風の音でかき消されちゃって……」

(゚、゚トソン「そうなんですか……」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、そういえば今日だ!」

(゚、゚トソン「はい?」

ミセ*゚ー゚)リ「お姉さんと会ったの、6年前の今日なの!」

(゚、゚トソン(6年前の今日……)

ミセ*゚ー゚)リ「もう6年経つのか〜。早いな〜」


私が思い出にふけって歩いていると、隣にトソンがいないことに気がつく。
後ろを振り返ってみると、かなり後ろの法で立ち止まって何かを考えていた。


ミセ*゚ー゚)リ「トソーン! 立ち止まってないで早くきてよー!」

(゚、゚トソン(今日までの予言はあるのに明日からの予言はない?)

ミセ*゚ー゚)リ「もー、先行ってるからね!」

(゚、゚トソン(考えすぎかもしれない……)

(゚、゚トソン(でも、もしかしたら―――)

(゚、゚;トソン「ッ!? ミセリッ!! 危ないッ!! 」




ミセ*゚ー゚)リ「え―――」




.

40名無しさん:2016/08/21(日) 19:06:23 ID:mCwVJoHw0















.

41名無しさん:2016/08/21(日) 19:08:17 ID:mCwVJoHw0

あれ、なぜだろう……。
まだ昼間のはずなのに、空が赤い。

私のそばでトソンが泣いている。
少しずつ、トソンの他に人が集まってきた。
医者らしき人たちが来て叫んでいる。
トソンも泣きながら私に呼び掛けていた。

しかし、その声は少しも聞こえない。

どうやら私は事故にあってしまったらしい。

体中が痛い。
視界がぼやけて意識も保てなくなってきた。
そんな危機的状況にも関わらず、珍しく私の脳は冴えており、色々な思考が駆け巡った。

その結果、あの日のことが全て繋がった。
なんで私の今日以降の未来がわからなかったのか。

短い人生という言葉に違和感はなかった。
人間の寿命なんて地球の歴史に比べたら短いもの。
しかし、そういう意味ではなかったのだ。

そして、そこから解るあのお姉さんの正体。

今なら解る、あの人の最後の言葉。


(*゚ー゚)「でもなんで私の大学生までの未来を知ってて、その先のことは知らないんですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、それはね―――」

.

42名無しさん:2016/08/21(日) 19:09:10 ID:mCwVJoHw0















ミセ*゚ー゚)リ「6年後の今日、私は死んじゃったから」















.

43名無しさん:2016/08/21(日) 19:09:35 ID:mCwVJoHw0















.

44名無しさん:2016/08/21(日) 19:10:14 ID:mCwVJoHw0

気がつくと、私は駅のホームにいた。

海の上の駅のホームに。

長さ40m、幅20mのコンクリートの地面。
ホームの真ん中に4つの椅子とそれを上から覆う小さな屋根。
その隣に置いてある少し古びた自販機。
この場にそぐわないホームの片側にそびえ立つ大樹。
真夏の太陽が輝き、白い雲が点々と散りばめられた青い空。
そして辺り一面を青く染める熱帯を連想させるような透き通った海。

ありそうでなさそうな、どこか現実離れした駅のホーム。

そのホームの椅子に、一人の少女が三ツ矢サイダーを片手に座っている。

さて、一声かけにいきますか。

残り少ない人生を謳歌できるように。




ミセ*゚ー゚)リ「あれ? 起きてたんだ」

(;゚ー゚)そ「!?」

驚く少女の表情に思わず笑みがこぼれる

45名無しさん:2016/08/21(日) 19:11:46 ID:mCwVJoHw0














. "お嬢さん"
ミセ*゚ー゚)リ「ハロー、 私 」のようです














.

46名無しさん:2016/08/21(日) 19:14:32 ID:mCwVJoHw0
終わりです。
最後ずれた……。
4日くらいで仕上げた作品なので
ミスや突っ込みどころあると思いますが
優しい目で見てやってください。
読んでいただきありがとうございました。

47名無しさん:2016/08/22(月) 00:22:59 ID:Sc3jxEak0
タコパがタバコしない?に見えて、急に不良になったのかと焦ったw
乙、素敵な話だった

48名無しさん:2016/08/22(月) 00:31:54 ID:M3kJlJ1w0
乙乙
ちょっと儚く素敵な話だった

>>47
タバコしない?が休憩しない?になる方言があってな…

49名無しさん:2016/08/22(月) 04:25:15 ID:KMab4VFw0
ひえーーー、まさかこんふうにオチるとは思わなかった
スカッとした


50名無しさん:2016/08/22(月) 14:14:35 ID:oRZFPtmg0
や、やっぱりホラーじゃないか

51名無しさん:2024/11/04(月) 23:30:26 ID:camznAw.0
乙乙
夢を叶えたり平均寿命まで生きてこそ人生、みたいに考えがちだけど、今を真剣に生きてこそ人生なんだなとハッとした
ありがとう


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板