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今日も何処かで誰かが世界を救っているようです

9 ◆q3XheuOe12:2016/04/03(日) 22:58:43 ID:VBbdKorg0
上空から、白い巨大な卵のような何かが、落ちてくる。
ハインリッヒがナノマシンで形成した緩衝材だ。
彼女がブーンに対して相性が悪いと判断したのは、モララーだけではない。

ハインリッヒ自身もまた、同じ判断をした。
彼女の操るナノマシンが持つ性質は『工場』。
彼女が脳内で図面を引いた機械や材質を、ナノマシンは完全に再現出来る。

それはつまり、あらゆる攻防に『作成時間』が伴うという事だ。
ブーンの『雷光』を相手取るには、彼女のナノマシンは遅すぎる。

緩衝材が地面に落下し、その衝撃を分散する為に四散した。

从 ゚∀从 「手ぇ貸せ旦那!ブーンが来やがった!私じゃ相性が……って、アンタもやられてんのかよ!」

白衣と銀髪と煤まみれにしたハインリッヒが、すぐ隣でぶっ倒れたモララーを見て叫んだ。

( ^ω^)「……これで決着、でいいんじゃないかお」

雷光がハインリッヒの正面に降り立って、そう言った。
ショボンも展覧ホールから、二人の傍にまで既に距離を詰めていた。

人の形をした雷光が、明滅する。
そうしてゆっくりと光が収まっていき――雷は、青年になった。
青年――ブーンは、モララーとハインリッヒをまっすぐに見据えていた。

( ^ω^)「モララーさん、ハインリッヒさん、なんでなんだお?」

そして、問いを発した。

( ^ω^)「あなた達の様子がおかしいって、ずっと前からショボンに相談をされてたお。
      だからちょっと、あなた達の研究所に忍び込んだ。
      もし何もなかったら、久しぶりに顔を見に来たって言うつもりで」

ブーンの視線には、稲光のような、冷たい鋭さが宿っていた。


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