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今日も何処かで誰かが世界を救っているようです

7 ◆q3XheuOe12:2016/04/03(日) 22:56:00 ID:VBbdKorg0
想像の先。
人間自身すら知覚していない、精神の奥底――集合無意識。
即ち、神。

神話という空想に塗り固められる前の、原初の神の姿を映すナノマシン。
それがハインリッヒの理想だった。
その実現の為なら、彼女はどんな犠牲や悪行をも厭わない。

彼女は宗教家ではない。
ただ神の存在を明らかにする事で、己の科学が至高のものであると証明したいだけなのだ。

故に、彼女は厭わない。
集合無意識を映し出すナノマシンが、この世に『あの世』を招き入れてしまう危険を秘めている事さえも。

ハインリッヒの足元に、ナノマシンが小さな筒状の機械を形成した。
筒から突き出される鋸刃がバリアをゆっくりと、だが着実に切削していき――穴を開けた。
小さな、だがナノマシンが通過するには十分過ぎる穴が。

从 ゚∀从 「待ってろよ、可愛い可愛いナノマシンちゃん。
                      アップグレード
      もうすぐ私がこの手で、お前を神様にしてやるからな」

ハインリッヒが右手を灯火に翳す。
彼女の操るナノマシンが、灯火を覆う、卵のような収容器を形成していく。

「――そんなに神様に会いたきゃ、せめて自分一人で会いに行って欲しいもんだお」

不意に、彼女の背後から声がした。
ハインリッヒの表情が強張る。同時に右手にナノマシンが集結し小型ブラスターを形成。
そのまま反射的に振り返り――女神像の冠の上に、人の形をした雷光が立っていた。

( ^ω^)「世界を救いに来たお。秒速200kmでね」

雷光は右手の人差し指で銃を模って、ハインリッヒに向けていた。

ハインリッヒの視界に青い稲妻が閃いた。
短い悲鳴を上げて、彼女はその場に跪く。

从#゚∀从 「い……ってえなコラ!不意打ちかましやがって!」

ハインリッヒが膝を突いたまま、顔を上げ、悪態を吐く。

从#゚∀从 「テメェそれがヒーローのする事かよ!ブーン!」

( ^ω^)「勿論違うお。だから撃つ前に一声かけたんだお」

雷光は、平然と答えた。


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