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今日も何処かで誰かが世界を救っているようです
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:
◆q3XheuOe12
:2016/04/03(日) 23:25:24 ID:VBbdKorg0
モララーがハインリッヒに目配せをする。
彼女は彼が言わんとする事をすぐに理解したようで、ナノマシンを操作。
小型のホログラム・タブレットを形成し、机の上を滑らせるように大統領へ渡す。
( ・∀・)「我々が回収した『遺産』の内、世界にとって脅威でしかないものは破壊しています。
ですが『遺産』の中には汎用的な科学技術として再現可能なものもある。
それがなくとも、私とハインリッヒは……自分で言うのもなんですが、天才科学者だ」
大統領はホログラム・タブレットを操作しながら、無言で、小さく何度か頷いた。
「……分かった。今後、合衆国内でのミラージュの活動を我々は黙認しよう。
その代わり……この旧式クレイトロニクスの効率的製法を譲って欲しい」
( ・∀・)「おや、随分控えめな物をお選びになりましたね」
「今この国に常温核融合炉を導入して何になる。
プログラムした形状を再現するだけのクレイトロニクスでも、建物や道を作るだけなら十二分だ。
迅速な復興、再建……今この国に最も必要なものだ」
( ・∀・)「なるほど……では、取引は成立……ですね」
「あぁ、君達の貴重な時間を、この国の為に割いてくれた事を感謝するよ」
モララーが頷き、ブーン達に視線を配る。
もうこの場に留まる必要はない――皆が席を立ち、出口へと歩き出した。
「……おっと、最後にもう一つ、聞かせてくれないか」
大統領の声に、上りの階段に足をかけたモララーが振り返る。
「彼女の掲げる灯火……アレは、どういう扱いになるのかな?
破壊されるのか、科学技術として解析されるのか、それとも……」
その問いに、モララーは、すぐには答えを返さなかった。
より正確には、返せなかったのだ。
それはつまり、問いの答えが『どう答えるべきか迷うようなもの』であるという事だ。
少なくとも「破壊する」だとか「解析する」ではない。
大統領はその事をすぐに察した。
モララーもまた、それを悟られたであろう事を察した。
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