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今日も何処かで誰かが世界を救っているようです

11 ◆q3XheuOe12:2016/04/03(日) 23:01:54 ID:VBbdKorg0
( ・∀・)「私達は、ナノマシンに作り変えられたのさ。体だけじゃない。
      ヒーローに郷愁はいらない。ヒーローに、付きっきりで守りたくなる人はいらない。
      だから、忘れさせられた」

重力子が彼の右手の中で球体を形成した。

( ・∀・)「それだけじゃない。人格さえもが、私達が気づかない内に変化しているだろう。
      ブーン君……君はあの戦争の中で、きっと何もかもを守りたいと願ったんだろう。
      だから、ナノマシンは君にその力を与えた。秒速200kmでどこへでも行ける力を」

その球体が、ゆっくりと、縮小しつつあった。

( ・∀・)「だが、どうしたものだ。そんな優しい君が……さっきはハインリッヒ君を危うく殺す所だったじゃないか。
      そして今も、私を殺そうとしている。あの戦争で薙ぎ倒し、スクラップにしたロボットのように。
      ショボン君もだ。こんな事はしたくないと言いつつも……あの一撃は防御が間に合わなければ私は死んでいたぞ」

モララーは、かつては大企業の社長であり、天才的なシステムエンジニアだった。
ハインリッヒが作るナノマシンをハードとすれば、彼が組み立てるプログラムはソフトだ。
クレイトロニクスというあらゆる意味で人類史に残る大発明は、彼なしでは実現しなかった。

彼は自分が天才である事を自認していた。
自分が人類に、科学に、無限大の進歩を施せる存在であると信じていた。

だから彼は大戦の最中、自分は決して死ねないと思っていた。
この戦争を好転させる為には、そしてその後の社会を立て直す為には、自分という存在が必要不可欠だと思っていた。

( ・∀・)「ナノマシンは、私達をただの一色に染め上げてくれやがったのさ」

自分の存在は、『何よりも重い』とすら思っていた。
想像を映し出すナノマシンは、それを現実に反映した。

( ・∀・)「そして私は、私を失ってしまった事が我慢ならないんだよ。他ならぬナノマシンの力によってね」

モララーの手中で、重力子は更に再生成と凝縮を繰り返していた。
その事にブーンとショボンが気付く。
ブーンの体が雷光と化し、ショボンの大腿筋が隆起する――だが既に遅い。

( ・∀・)「私は、私を取り戻す為ならなんだってするだろう。
      集合無意識を掘り起こして、神をこの世に引きずり下す事だって、厭わない。
      ……いや、厭えないんだ」

「それ」は既に完成していた。
極めて強力な、空気や塵を巻き込んだ重力球。
もしもモララーがその重力を、不意に解除したらどうなるか。

答えは――強大な反作用のみがその場に残る。
つまり、炸裂するのだ。
それは宇宙空間で起これば、超新星爆発と呼ばれる現象だった。


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