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( ^ω^)は見えない敵と戦うようです
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◆N/wTSkX0q6
:2016/04/03(日) 23:57:32 ID:0w0/X/Ow0
ξ;゚⊿゚)ξ「く……!」
細長い刃渡りをもつ柳刃包丁を片手に、ツンは走り回っていた。
白刃を振り回し、ときおり飛びのいたり踏み込んだりしているが、その動きにはこれまでのような精細がない。
やはり本調子ではないのだ。
僕はもう何も迷わなかった。
彼女の姿を捉えた瞬間、自分がなにをすべきかがはっきりとわかった。
ゆっくりと、低く身を屈めていく。太陽熱を残したアスファルトの温もりが心地よい。
姿勢は、スターターなしのクラウチングスタート。
靭帯の損傷自体は回復している。
ただ、切れグセがついたというか、事故前より脆弱で、長時間の走行や練習には耐えられないと診断された。
それでも、一回ダッシュするぐらいなら保ってくれるはずだ。
短距離走において重要なのはもちろん第一に足の筋力だが、同時に同じぐらいフォームや走法も大きく影響する。
それはおしなべて言えばスプリントの感性。より効率よく前へ進む身体の操縦方法。
入院生活で確かに僕の足の筋肉は衰えたが、走行感性まで錆びつかせたつもりはない。
――たった一走限りなら、僕は今でも陸上部のエースだ。
( ^ω^)「おっ!!」
第一歩目から理想通りのスピードが乗った。
二歩、三歩と速度が掛け算のように追加され、僕は掛け値なしに風と一体になる。
これが、陸上部時代に全ての部員をごぼう抜きにした僕の走法、内藤ストライド!
( ^ω^)「おおおおおおおおお!!!」
視界の下をアスファルトが凄まじい速度で流れていき、僕の眼はまっすぐ前を見る。
ツンが膝をつき、武器を取り落として見えない敵を見上げていた。
ツンの前に立ちはだかる敵は、僕には見ることができない。
見えなくても、理解はできる。
ダビデ像という有名な彫像がある。
かの作品が傑作たる所以は、少年ダビデの目線や仕草で見る者に敵対者の姿を想像させられる所にある。
僕はこれまで何度も、ツンが敵と戦うところを見てきた。
だからたとえ目に見えなくたって、彼女の目に映るものを――想像で補完できる!!
そこにいるのは見たこともないタイプの"敵"だった。
既存のどの生物にも例えることのできない、五体を持ち、二足で立つ巨大な化け物。
一対の両腕には、凶悪な爪が彼岸花のように開いており、ツンの首を刈ろうとしていた。
確かに凶悪で強力な化物だが、僕はちっとも怖くない。
だってこいつ――胴体がガラ空きだ。
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