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( ^ω^)は見えない敵と戦うようです

57 ◆N/wTSkX0q6:2016/04/03(日) 23:45:02 ID:0w0/X/Ow0
ツンの声が震えて、僕は彼女の眼に涙が光り始めているのに気がついた。
おかしいだろ、泣くほど戦いたいなんてことがあってたまるか。

( ^ω^)「……なあ、ツン」

僕はそれでも、ここを通すわけにはいかない。
だから、これまで封印してきた言葉を、聞くべきじゃない問いを、言う。

( ^ω^)「君がどんなに傷ついても、死にかけても、誰もそれを知らない。
     君のことをバカにして後ろから嘲笑ってるような連中ばかりだお。
     ――そんな奴らの為に君がボロボロになってまで戦う意味は、あるのかお?」

言いたくなかった。何度も考えたけど、その度に無理やり打ち消してきた。
ツンは、一年間誰にも知られず戦ってきた。誰も彼女を助けようとはしなかった。
なら義理も何もないじゃないか。知らんぷりして安全な家で、穏やかに暮らせば良い。
津村ツンは、それを許されるだけの善行を、これまで積んできたじゃないか。

ちょっとぐらいサボったって、誰も彼女を責めはしない。
だって彼女の戦いを、人々は知らないんだから。

ツンは僕の説得を、唇を噛みしめて聞いていた。
彼女は初めから聞き耳を待たないんじゃなく、理解してその上で意志の力でねじ伏せてる。
だから、こうして諦めずに説得を続ければ、いずれわかってくれるはずだ。
僕は殆ど縋るような思いで、ツンの前から動かなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「……私もね、一度、そういうことを考えたことがあるの」

ツンはこぼれ落ちるような言葉で、胸の中の痛みを爪の先でひっかくような声で言った。

ξ゚⊿゚)ξ「その時も、風邪を引いて、体中が痛くて重くて、布団の中で泣いてた。
      それで、見えない敵が出る時間になっても具合が良くならなくて……行かなかった」

光明が見えたような気がした。
これだ、この思い出から彼女の意志を解きほぐしていけばきっと考えなおしてくれるはずだ。
一回も二回もサボるなら同じだって思ってくれるはずだ!

(; ^ω^)「それでいいんだお!具合悪いならしょうがないんだお!
     今日は大事をとってお休みして、明日僕と一緒に二匹いっぺんに倒せば――」

ξ゚⊿゚)ξ「――それが、半年前のこと」

(; ^ω^)「…………え?」

自分の足元がぐにゃりと揺れるような錯覚がした。
半年前、そのワードを彼女が今ここで出すことの意味は、いくら鈍い僕でも気付く。

鈍い痛みに頭の奥が埋め尽くされていた。
まさか。まさかまさかまさかまさか。


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