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( ^ω^)は見えない敵と戦うようです
54
:
◆N/wTSkX0q6
:2016/04/03(日) 23:40:25 ID:0w0/X/Ow0
(; ^ω^)「ツン!ツン!!大丈夫かお!?」
たまらず僕が駆け寄るころには、ツンが震える腕で息も絶え絶えに上体を持ち上げていた。
彼女を支えて起き上がらせて、僕は悲鳴を上げそうになった。
(; ^ω^)「骨が見えてるお!?」
ツンの左腕の傷はあまりにも深く、肉の大部分を抉りとられて大量出血していた。
血の色の筋肉が蠢き、淡い黄色の脂肪が液体と化して流れ出ている。
なによりも白い骨が露出していて――人間の骨を生で見るのはこれが初めてだった。
それも生きた人間のだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「大丈夫、平気よ……内藤が無事で良かった……」
まるで自分のことを顧みない発言に、今度は僕が頭に血の上る番だった。
(# ^ω^)「ぜんっぜん良かねえお!お前なに考えてんだ死にてえのかお!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ツバつけとけば治るわよ……」
(# ^ω^)「そういう問題じゃねえって言ってんだ!!」
僕はたまらず怒鳴り散らした。
確かに欠損した指が再生するくらいなら抉れた肉だって治癒するかもしれない。
流れた血液だって元に戻るかもしれない。出血多量で死ぬ前に治るかもしれない。
だけどそれはあくまで原状回復であって、痛みも苦しみも消えてなくなるわけじゃない。
現にツンは額にびっしりと脂汗をかいていて、想像を絶する苦痛に耐えていることが僕にはわかった。
ξ;゚⊿゚)ξ「私は大丈夫だから……私は平気なのよ……」
うわ言のように繰り返すツンの姿は、まるで熱病に冒されているかのよう。
彼女は自分にこそ言い聞かせている。その姿勢は苛烈というよりもむしろ自罰的にさえ思えた。
( ^ω^)「全然平気に見えないお……あんま心配かけさせんなお……」
ツンの頑なな態度に、僕はもう零すような言葉しか出てこない。
彼女はそれを聞いてか聞かずか、またあの無色透明な微笑みを返す。
ξ゚ー゚)ξ「……もう治ったわ。今日は一人で帰る。心配かけて、ごめんなさい」
違う。僕はそんな言葉が聞きたいんじゃないのに。
ツンの額から脂汗が引いていた。傷はとっくに塞がって、血糊以外は綺麗な肌が見えていた。
前はこんなに早く治らなかったはずだ。実際、彼女の治癒能力はここ数日で異常なほどに高まっていた。
少しでも多く、長く戦いたいというツンの意志に、肉体が呼応しているかのようだった。
自分の力で立ち上がって、何事もなかったかのように帰っていく彼女の姿を僕は何も言えずに見ていた。
こんな状態が自然であるはずがない。絶対に肉体に負担がかかっているはずだ。
僕の懸念は的中した。
翌日、津村ツンは今学期始まって初めて、学校を休んだ。
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