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( ^ω^)は見えない敵と戦うようです

20 ◆N/wTSkX0q6:2016/04/03(日) 23:07:19 ID:0w0/X/Ow0
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあどこから話そうか……」

彼女の母親の淹れてくれたホットココアを二人で飲みながら、ツンから無貌の怪物()の話を聞く。
いちいち茶目っ気を入れてきてその度に話が横道に逸れるので、ここから先は聞いた話を僕が整理した内容だ。

津村ツンが"敵"を知覚できるようになったのは一年前。
ある日突然街に化物が出現し、街の公共物を破壊し始めたそうだ。
この街は繁華街にほど近く治安もそれほどよくないので、それらの被害は珍走団や半グレの仕業と処理されていた。
しかしツンにはそれが化物によるものであると分かった。見ていたからだ。

初めは警察に通報したり周りの大人に知らせたりしていたが、誰一人として信じる者はいなかった。
彼女以外の誰にも化物を見ることが出来なかったのだ。

やがて正義感と、自分だけが見えているという使命感によって、ツンは化物と戦い始めた。
化物との戦いは熾烈を極め、時には大怪我することもあったが、不思議と傷はすぐに治癒した。
代わりに彼女が被ったのは、見えない何かと戦う厨二病をこじらせた子という汚名だった。

化物は様々な形状があり、ツンはそれを魚タイプや犬タイプ、恐竜タイプや巨人タイプと分けて呼んだ。
基本的にはその数種類がローテーションで出現し、従ってツンはその全てと戦闘経験がある。

概ねコンクリ製の噴水を破壊するほどの攻撃力を持つが、素早さは大したことなくて女子高生のツンでも格闘できる程度だ。
急所は頭か心臓。これは生き物として共通する弱点で、槍のようなもので刺突するのが最も効果的。
急所の部位を破壊するか、出血多量に追い込めば殺すことができ、その意味でも打撃より刃物のほうが都合が良かった。

( ^ω^)「でも白兵戦は危険すぎるお。飛び道具とか使わないのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ホームセンターに売ってないじゃない……」

なるほど、言われてみればそうである。
なんの後ろ盾もないただの女子高生が武器になるものを入手するには、ホームセンターぐらいしか頼れる場所がない。

ξ゚⊿゚)ξ「少し前に海外の通販でボウガンを買ったんだけどね、職質されて取り上げられた。
      もうめちゃくちゃ怒られたわ。お父さんにもぶん殴られたし停学になったし」

(; ^ω^)「そりゃそうだろ過ぎる……」

当たり前だが日本は法治国家、殺傷力のある飛び道具を理由なく持ち歩いて良いわけがない。
いや理由はあるんだけど、それを第三者に理解してもらうことは不可能だ。見えないんだから。
そもそも化物はわりと一目のあるところに出現するのだ。
流れ弾が周りの人に当たりでもしたらそれこそ街の防衛どころの話じゃない。

そもそも、あんな衆目の中凶器を振り回してこれまで逮捕されなかったのが奇跡みたいなものだ。
いや補導はされてるんだけど、それでも彼女が高校生をやれてるのは、ツンがまだ未成年で、年端もいかない少女だからだ。
それにしたって限界はある。遠からず、彼女は本当に逮捕されてしまうだろう。

そこまでツンの話を聞いて、僕の中に一つの覚悟が決まっていた。
少なくとも一回、僕は彼女に命を救われている。その借りは返しておきたいと思った。


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