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二眼惚れ
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:
名無しさん
:2016/04/03(日) 22:09:55 ID:VPVGlNwc0
人の多い時間をさける目的で電車を二本早めてしばらくが経った。
いつも通り車内は空いている。
最早指定席となった場所に座る。かの女性もいつもの席にいる。
文庫本に目を落とすふりをして、左目を閉じ、右目を薄く開ける。
右目は俯く私の顔にありながらも、真っ直ぐに女性を見つめる。
少年のような恋だ。叶えてやりたいと思うが、いったいどう声をかければ良いというのか。
「私の右目があなたに恋をしたようなのでお付き合いいただけますか?」とでも言えと言うのか?
目どころか頭がおかしい奴ではないか。叶えてやるどころか電車の同乗すら避けられかねない。
それは私にとっても歓迎できない事態だ。
やはり、しばらくは眺めさせるだけの恋に甘んじて貰おう。
いくらか時を経れば見慣れて恋心も収まってくるはずだ。
それにしてもこの右目、女性の顔ばかり見ている。
一目惚れ……失敬、二目惚れなのだから、その外見を愛でるのは当然ではあるのだがもう少し他を見ようとは思わないのか。
彼女の美しさは顔立ちだけにはとどまらないのだ。
体の線は流麗。膝の上に揃えた手は白くきめ細やかで美しい。
いつも静かに座っているだけだが、時々姿勢を直す動作には、内面の清楚さがにじみ出ているようだった。
勿体ない、というのは無礼だが、それでも顔にしか興味が無いというのはあまりにの浅さはか。
所詮眼球の恋ということか。
「面食いめ」と胸中で毒づきながらも、私も右目と共にぼんやりと女性を眺めて過ごした。
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