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二眼惚れ
10
:
名無しさん
:2016/04/03(日) 22:17:01 ID:VPVGlNwc0
('、`*川 「初めてあなたが電車に乗ってきた時には。すでにこうだったんです」
「お恥ずかしい話、顔は確かにタイプだったんですが」と付け加えつつ、女性は言った。
つまるところ、私の右目が彼女に恋をしてしまったように、彼女の右目もまた私に恋をしていたのだ。
普段から目を閉じていたのは、それを悟られないようにするためだという。
時々薄目を開けて見ていて、私の右目の視線に気づき、もしやと思っていたらしい。
だから、今回の尾行も早い段階からばれていたというわけだ。
奇妙な話である。
中々お目にかかれない話である。
私たちは実は部分的な片思いをする、両想いだったのだ。
女性の名は、伊藤といった。
私と伊藤は初めての会話の際に連絡先を交換し、ほどなくしてまた会うことになった。
似た境遇にあったお蔭で会話が弾んだ。
右目を通してお互いをよく見ていたおかげで、通常の初対面に比べれば相手のことも良く知っている。
逢瀬を重ねるうちに、私は徐々に伊藤に対し同情以上の想いを抱くようになっていた。
伊藤もそうであることを、うっすらと期待混じりに悟っていた。
('、`*川 「もしかしたら、右目が勝手に動いたのは、私たちの深層の恋の表れだったのかもしれませんね」
伊藤がそう言って微笑んだのをきっかけに、私と伊藤は交際する運びになった。
それぞれの右目が導いてくれた、奇妙な縁であった。
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